JP2015526743A - 走査型プローブ顕微鏡検査法用の小型カンチレバー・プローブ、及びその製造方法 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡検査法用の小型カンチレバー・プローブ、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

カンチレバー・プローブは、上基板、下基板、内側層、第1の分離層、及び第2の分離層からなる多層構造から形成されており、第1の分離層は上基板と内側層の間に位置し、第2の分離層は下基板と内側層の間に位置し、第1の分離層及び第2の分離層は、第1の基板及び第2の基板、内側層に対して差別的にエッチング可能である。上基板は、プローブ先端が形成される第1のデバイス層である。内側層は、カンチレバー・アームが形成される第2のデバイス層である。下基板は、ハンドル又はベース部が形成されるハンドル層である。任意の層のパターン形成及びエッチング処理は、分離層により他の層から隔絶される。

Description

本発明は、一般に、走査型プローブ顕微鏡検査法に関し、より詳細には、小型カンチレバー・プローブ構造、及びその製造方法に関する。
原子間力顕微鏡(AFM)などの走査型プローブ顕微鏡(SPM)、は、典型的には鋭い先端を使用してナノスケールサイズまで試料の表面の特徴を調べる機器である。本発明のために用いられるナノスケールという用語は、1マイクロメートルより小さい寸法を指す。SPMは、試料とプローブ先端の間の相互作用を監視する。先端と試料の間に相対走査移動を与えることにより、表面特徴データは、試料上の特定の箇所にわたって取得することができ、その箇所の対応するマップを生成する。その分解能及び多機能性のため、SPMは、半導体製造、材料科学、ナノテクノロジ、及び生物学的研究などの多数の様々な分野で重要な測定装置である。
典型的なSPMのプローブは、支持体(すなわち、ハンドル)にその基部で固定されていると共に、反対側の自由端から延びる鋭いプローブ先端を有する非常に小型のカンチレバーを備えている。プローブ先端は、検査される試料の表面のとても近くに運ばれ又はそれと接触させられ、試料とプローブ先端の相互作用に応じたカンチレバーの偏向が、例えば、ハンスマ(Hansma)らの特許文献1に記載されるような光てこシステムなどの超高感度偏向検出器、又はひずみゲージ、静電容量センサなどの何らかの他の偏向検出器を用いて測定される。プローブは、試料支持体、プローブ、又は両方の組み合わせに作用する高分解能の3軸スキャナを用いて表面の上で走査される。したがって、この機器は、試料のトポグラフィ又は他の表面特性又はナノ機構特性を測定することができる。カンチレバー・プローブは、導電性材料から作製することができ、電気特性の測定を可能にする。
SPMは、表面を測定、撮像、又はその他の方法で検査するための各モード、ならびに試料のナノ機構特性を測定するためのモードなどの様々なモードで動作するように構成することができる。接触動作モードでは、典型的には、顕微鏡は一定のプローブ・試料相互作用力を維持しながら試料の表面全体にわたって先端を走査させる。タッピング・モードと呼ばれる場合もある振動モードの動作では、SPMの先端は、プローブのカンチレバーの共振周波数で又はその近傍で試料と相互作用しながら振動させられる。この振動の振幅又は位相角は、プローブ・試料相互作用の影響を受け、振動の変化が感知される。
プローブを試料の表面上を走査するとき、プローブ位置決め制御システムは、例えば、(接触モードの場合には)カンチレバーの偏向、又は(振動モードの場合には)振動の振幅又は位相角の変化などのプローブと試料表面の相互作用を監視する。この制御システムは、一定のプローブ・試料相互作用を維持するために、試料に対してプローブの位置(又は、振動モードの場合には平均位置)を調整する。したがって、位置調整は、試料のトポグラフィを追跡する。このようにして、位置調整に関連したデータは記憶され、試料を特徴付けるデータに処理することができる。このデータを使用して検査した試料の表面の画像を構成したり、又は選択した表面特徴(例えば、特徴の高さなど)のある種の計測を行ったりすることができる。
プローブ位置調整は、駆動回路により駆動されるカンチレバー位置決めアクチュエータにより影響を受ける。圧電変換時及び磁気変換器を含めてカンチレバー・アクチュエータ
のための様々な技術が公知である。この駆動回路は、プローブ位置決め信号を生成し、このプローブ位置決め信号を増幅してアクチュエータに加えられる駆動信号を生成する。この駆動信号は、試料からのプローブの分離距離を連続的に変えて試料表面の任意のトポグラフィを追跡する。したがって、駆動信号は、ゼロ・ヘルツからSPMの最大動作の帯域幅に関連した周波数までの帯域幅を有し、これは、プローブが試料表面のトポグラフィを追跡できる最大速度に対応する。
SPM技術のより最近の開発の一部は、試料をほぼリアルタイムで観察できるようにビデオ速度で走査速度を与えることができる高速スキャニングに重点を置いている。これには、いくつかの課題がある。1つには、カンチレバー・プローブは、必要なビデオ速度で任意のトポグラフィの上を走査可能にするのに十分高い共振周波数を有するべきである。理想的には、カンチレバーは、より大きい範囲が所望の速度で走査できるようにできる限り「高速」にすべきである。約1MHz以上の共振周波数が必要とされる。同時に、カンチレバー・プローブは、試料との所与の相互作用力についての偏向量の観点で最大感度を与えるべきである。より感度のよいカンチレバー・プローブは、測定中に試料に及ぼされる力を最小にするために使用することができ、それにより試料の真の特性に関してより良い特性を得る。
残念ながら、カンチレバー・プローブには速度と感度の間にトレード・オフが存在する。より柔らかい、すなわち、より感度のよい小さいバネ定数のカンチレバー・プローブは、低い共振特性を有する傾向があり、そのため高速でない。両方の特性の改善は、カンチレバー・プローブの寸法を縮小することにより得ることができる。したがって、より短い、より狭い、及びより薄いカンチレバー・プローブが望まれている。
カンチレバー・プローブの寸法を縮小することは、それ自体の多くの問題を示す。一般に好適な製造法は、個別的にではなくウェア・スケールで適用されるナノ電気機械システム(NEMS)技法を利用するバッチ処理である。これらの技法は、カンチレバー・プローブの大量生産を可能にする薄膜蒸着及びフォトリソグラフィの動作を含む。カンチレバー・プローブの最小寸法がサブミクロン・スケールへ減少されるにつれて、従来の製造法は、均一に制御することが非常に困難になる。この問題は、化学エッチングの使用、及びカンチレバー・アームになる薄い膜のエッチング量の制御にある。
独自に製造された高性能プローブは、カンチレバー・アームの形成とは別個のステップとして、プローブ先端の電子ビーム誘起蒸着(EBID)などの技法を用いて作製することができる。しかし、これらの信号デバイス技法は、大量生産になじみにくい。このやり方で生産されたプローブは、量産したプローブよりも1〜2桁費用が大きいものであり得る。したがって、独自に製造されたプローブと同様かそれより良い特性を有するカンチレバー・プローブのバッチ(ウェハ規模)生産を可能にする解決手段が必要とされている。バッチ処理は、複数のデバイス又はAFMプローブを各ウェハで並行に生産し、1つ又は複数のウェハを同時に処理することを意味する。カンチレバー・プローブに用いられる典型的な材料には、シリコン又は窒化シリコン(Si)膜製のカンチレバー・アームが含まれる。プローブ先端は、様々な材料から作製できるが、比較的単純なエッチング技法と二酸化シリコン(SiO)の層が先端構造に成長される熱酸化法とを用いて先端をとても鋭いものとすることができるので、一般的には、シリコンが好適である。
シリコン・プローブ先端を備えたシリコンのカンチレバー・アームから作製された従来のカンチレバー・プローブの製造では、通常、開始点は、未使用のシリコン・ウェハである。カンチレバー・アームは、あるパターン成形された範囲内で未使用のウェハの厚さを減少させることにより、典型的には10.2cm(4インチ)のウェハ内に300個のデバイスの密度で生産される。そのようなウェハは、通常、一部の範囲内で厚さの変動があ
り、典型的には、厚さ300ミクロンのウェハの場合には+/−1ミクロンである。厚さ1ミクロンのカンチレバー・アームを生産するようにエッチングが進行するとき、例えば、エッチングは、300ミクロンのウェハにおいて299ミクロンの材料を除去しなければならない。+/−1ミクロンでのウェハの厚さの不均一のため、299ミクロンの材料を除去すると、300ミクロンの厚さの範囲内では1ミクロンの厚さのカンチレバー・アームがもたらされ、301ミクロンの厚さの範囲内では2ミクロンの厚さのカンチレバー・アームがもたらされ、299ミクロンの厚さの範囲内ではカンチレバー・アームが全くないことになる。所望の範囲内の厚さを有するカンチレバー・アームにより定義されたカンチレバー・アームを形成する様々な処理ステップからのカンチレバー・アームの形成歩留りは、(カンチレバー・アームのサイズを超えるサイズを有する領域内で)+/−1μmでのウェハの厚さの不均一がウェハ全体にわたって等しく分布している場合、たった約30%である。工業規模の生産環境では、そのような歩留りは受け入れられない。より大きいバルク材料からカンチレバー・アームとして使用される厚さ1000nm未満のシリコンの薄い層を、エッチ速度が正確に制御されても1つのバッチから別のものへ低い生産歩留り又はカンチレバー・アームの厚さの大きな変化に直面することなく、形成することはとても難しい。バネ定数がカンチレバー・アームの厚さの3乗に比例しているので、ゆったりした公差でバッチが生産されるとき、厚さの変化は、バネ定数の変化を指数的に大きくする。
1ミクロンより薄いアームを有するカンチレバー・プローブの作製は、はるかに困難である。1つの手法は、化学気相成長(CVD)により等しい厚さとなっている窒化シリコン(Si)の薄膜などの化学的に類似しない材料を利用し、堆積した材料をカンチレバー・アームにパターン形成することである。窒化シリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン先端を用いて作製されたこれらの従来のカンチレバー・プローブでは、シリコン先端及びハンドルを形成する材料のエッチングが実質的に窒化物のカンチレバー・アームに影響を与えないので、窒化物のカンチレバー・アームは、全部シリコンのプローブのカンチレバー・アームよりも薄くかつ均一な厚さで作製することができる。この場合には、カンチレバーの厚さ及びサイズを制御することはずっと容易である。しかし、そのような工程は、CVDで施したSiの上に先端を形成するシリコン材料がないので、他の課題、すなわち、異方性エッチングにより鋭い先端を形成するためにシリコンを用いることをもたらす。典型的には、電子線蒸着などの順次(非バッチ)処理が、窒化シリコンのカンチレバー・アーム上に先端を形成するために使用される。
バッチ処理のための他の手法が提唱されてきたが、寸法をスケール・ダウンさせる入り混じった結果及び制限を伴う。また、シリコン先端を形成すると共に窒化物カンチレバー・アームをその所望の幅寸法及び形状にパターン形成するバッチ処理では、従来の工程は、フォトリソグラフィの作業が薄い窒化物の膜だけにより支持される構造上で行わることがしばしば要求されている。これは、典型的なバッチのカンチレバー・アームの約10%が破損するという結果になり、他の10%は他の原因により失われる。この減少した歩留りの場合でも、従来の方法を用いて経済的に作製できる最も薄い実際のカンチレバー・アームは約200nmである。
より最近の進歩により、カンチレバー・プローブの形成前に多層構造がウェハ・レベルで形成される埋設式の層技術が導入された。非特許文献1に開示された工程に使用されているシリコン・オン・インシュレータ(SOI)と呼ばれる構造の1タイプでは、酸化物の層は第1のシリコン・ウェハの上に成長され、次いで、第2のシリコン・ウェハは酸化物の上部に接合されて単一のシリコン酸化物シリコン・ウェハ又はスラブを形成し、そこから複数のカンチレバーがバッチ処理により形成することができる。埋設された酸化層は、デバイス層を分離し、その上にシリコンのカンチレバー・アーム及びプローブ先端が形成され、ハンドル層からカンチレバーの基部でシリコンの大部分が維持される。これは、
ハンドル層をシリコンを侵食する化学物質を用いてエッチングすることを可能にするが、二酸化シリコンを侵食せず、デバイス層にもエッチングが入ることなくカンチレバーをリリースする。しかし、デバイス層は、カンチレバー・アームの厚さを制御するために時間で制御された工程を用いてやはりエッチングされなければならない。薄めた腐食液の濃度は、より大きい制御のために材料除去工程を遅らせるために使用できるが、そうすることにより処理能力を減少させると共に、カンチレバー・プローブの製造費用を増加させる。
特許文献2では、埋設された酸化層を、窒化膜カンチレバー・アーム及びシリコン先端を有するカンチレバー・プローブの製造に使用する製造工程が提案されている。この手法では、プローブ先端は、ベース・パッドで形成される。その後、窒化膜が、その一部がシリコン先端のベース・パッドに結合するように堆積される。結果として得られたカンチレバー構造は、ベース・パッドと、カンチレバー・アームの自由端にあるカンチレバー先端とを有する。この手法は、それが裏面からリリースされた後に薄膜窒化物カンチレバー・アームをパターンン成形しなければならない問題に対処することができるが、このベース・パッドの厚さは、上記の理由のため制御することが難しい。カンチレバーのサイズ及び性能は、ベース・パッドと窒化物カンチレバー・アームを整合させること、及び有効なカンチレバー・アームが、窒化膜とプローブ先端まで至るベース・パッドの部分の両方で構成されるカンチレバー構造を有することによりに関する難題によりこの工程においても制限される。
特許文献3では、埋設され窒化物・酸化物多層構造が、バッチ・カンチレバー・プローブ製造の開始点として提案されており、窒化物層が、後の処理ステップでカンチレバー・アームに形成されることが意図されている。埋設された窒化物層を使用することにより、プローブ先端をカンチレバー・アームの上に直接形成することが可能になるが、この手法は、同じ材料で作製されたハンドル層がエッチングされるときにプローブ先端を保護することが必要となる。プローブ先端を保護する典型的なプロトコルは、先端の上に窒化膜の保護被覆を堆積させることを伴い、これによりハンドル層の化学エッチングを阻止する。しかし、次いで、保護層は、除去されなければならず、この除去のエッチングは、カンチレバー・アームに用いられた窒化膜をエッチングすることにもなる。したがって、カンチレバーの厚さを制御する同じ問題が、この手法でも解決されなければならない。
一般に、SPMプローブの性能は、カンチレバーの共振周波数fに比例する動作帯域幅と、カンチレバーのバネ定数kに反比例する力の制御のレベルにより測られる。f/kの最大化(又は一般にf/kとして表される)は、プローブ性能の最適化としてみなされる。非特許文献2によれば、f/k〜1/bhLであり、ただし、Lは長さ、bは幅、及びhは厚さである。したがって、カンチレバー・アームの全ての寸法を比例して減少させることにより、性能が大いに改善される。非特許文献3により示される極端なものでは、カンチレバーのサイズは、幅、長さ、厚さそれぞれについて2μm×8μm×0.1μmまで減少される。しかし、プローブ・サイズの縮小は、上記の多くの理由のため、バッチ処理に大きな課題がある。アンドー(Ando)らに報告されたサイズの小さいカンチレバーの上に先端を形成する困難に加えて、小さいカンチレバーの自由端にある先端の配置も、リソグラフィの誤差よりとても難しい。したがって、SPMの分野は、そのような小さいプローブの生産のために高価な順次処理に頼ってきた。
SPM応用の追加の要求は、所与のモデル・タイプのプローブが、個々に実質的に均一であることであり、好適にはバネ定数の変動が30%より小さく、共振周波数の変動が30%より小さく、先端位置及び幾何学的変動が(先端高さ及び頂点半径の変化)が40%未満であることを意味する。そのようなプローブを市販の量で生産することは実際的ではなかった。
米国特許第RE34,489号 米国特許第7,913,544号 米国特許第7,182,876号
ユー・チンカイ(Qingkai Yu),チン・ゴーティン(Guoting Qin),ダルネ・チンマイ(Chinmay Darne),ツァイ・チェンジ(Chengzhi Cai),ウォジク・ワンダ(Wanda Wosik),and ペイ・シン−シェム(Shin−Shem Pei),Fabrication of Short and Thin Silicon Cantilevers for AFM with SOI Wafers,126 Sensors and Actuators A: Physical, Issue 2 (2006) pp.369〜374 サダー(Sader)ら,Calibration of Rectangular Atomic Force Microscope Cantilevers,Rev.Sci.Instrum.70,3967 (1999) アンドー(Ando)ら,A High−Speed Atomic Force Microscope for Studying Biological Macromolecules,PNAS 98,12468(2001)
上記に鑑みて、シリコン又は窒化物のカンチレバー・アームで作製されたシリコン先端カンチレバーを小型化する多数の課題の解決手段が必要とされている。
本発明の各態様は、カンチレバー・プローブが共振周波数及びバネ定数の観点で高い性能を有するように、かつバッチ製造したプローブが当業界でかねてより可能であったものよりも良い均一性を有するように、自動制御でバッチ処理を用いて小型のカンチレバー・プローブを製造できる方法を提供する。本発明の1態様は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)カンチレバーの製造に使用される多層構造を構築する方法に向けられている。この方法によれば、第1の基板及び第2の基板が、第1の分離層及び第2の分離層と共に用意される。第1の分離層及び第1の基板は差別的にエッチング可能であり、第2の分離層及び第2の基板は差別的にエッチング可能である。内側層は、第1の分離層と第2の分離層の間に位置するように用意される。内側層は、第1の分離層及び第2の分離層に対して差別的にエッチング可能である。内側層が、第1の分離層及び第2の分離層によりそれぞれ第1の基板及び第2の基板から隔てられるように、第1の分離層と第2の分離層の間に内側層を位置させることを含む多層構造が組み立てられる。
本発明の関連した態様では、多層構造を組み立てる工程の後、内側層の第1の表面とは反対の第2の表面の別の層との接合を維持しつつ内側層の第1の表面を露出させるように第1の基板及び第1の分離層から材料が選択的に除去される。その後、内側層の一部を除去して、そこからカンチレバー・アームを形成し、その後、内側層の第2の表面を露出させるように第2の基板及び第2の分離層から材料を選択的に除去し、それにより前記カンチレバー・アームをリリースする。こうしたものなどの工程は、0.1〜1N/mの間のバネ定数を有するカンチレバー・プローブ、及び100kHz〜10MHzの間の共振周波数を有するカンチレバー・アームと先端の組み合わせをバッチ生産することができる。
本発明の別の態様による走査型プローブ顕微鏡(SPM)と共に使用されるカンチレバー・プローブは、バルク半導体材料から形成されたベース部と、ベース部の上に位置する近位端、及びベース部の周囲を越えて突出する遠位端を有するカンチレバー・アームと、ベース部とカンチレバー・アームの近位端との間に位置する、カンチレバー・アーム及びベース部に対して差別的にエッチング可能な下分離層と、カンチレバー・アームの遠位端の一部の上に位置するプローブ先端と、プローブ先端とカンチレバー・アームの間に位置する、カンチレバー・アームに対して差別的にエッチング可能な上分離層とを備える。
本発明の別の態様は、走査型プローブ顕微鏡と共に使用されるカンチレバー・プローブの大量生産されたバッチに向けられている。このバッチは、複数のカンチレバー・プローブを含む。各プローブは、バルク半導体材料から形成されたベース部と、ベース部の上に位置する近位端、及びベース部の周囲を越えて突出する遠位端、ならびに30〜300nmの厚さを有するカンチレバー・アームと、カンチレバー・アームの遠位端の一部の上に位置するシリコン・プローブ先端とを備える。カンチレバー・プローブのバッチ内のカンチレバー・アームの厚さの分類されていないばらつきは+/−5%であり、(壊れていないカンチレバー・アームの比として定義される)カンチレバー・プローブのバッチ内の生産歩留りは90%より大きい。
本発明の別の態様では、ハンドル部、カンチレバー・アーム、及びプローブ先端からそれぞれなるカンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程であって、
バッチのカンチレバー・プローブごとのハンドル部のための材料を含む第1の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのカンチレバー・アームのための材料を含む第2の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのプローブ先端のための材料を含む第3の層とを含む多層複合ウェハを得る動作と、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー先端を同時に形成するように、第1のセットのエッチ動作で第3の層から余分な材料を除去する動作と、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー・アームを同時に形成するように、第2のセットのエッチ動作で第2の層から余分な材料を除去する動作と、
複数のカンチレバー・プローブの複数のハンドル部を同時に形成するように、第3のセットのエッチ動作で第1の層から余分な材料を除去する動作と、
からなり、
第1の層、第2の層、及び第3の層の各々から余分な材料を除去することにより、長さが5〜30ミクロンであり、幅が2から15ミクロンの間であり、厚さが30〜300ナノメートルである寸法を有する個々のカンチレバー・プローブを形成することになり、カンチレバー・アームの厚さは、第1、第2、及び第3の各エッチング動作の継続期間には依存しないカンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程である。
本発明のさらに別の態様では、カンチレバー・プローブは、ハンドル部、カンチレバー・アーム、及びプローブ先端を備える。カンチレバー・プローブは、上述のように、カンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程により生産される。
本発明のさらに別の態様によるカンチレバー・プローブは、カンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程により生産され、この工程は、
バッチのカンチレバー・プローブごとのプローブ先端構造のための材料を含む第1の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのカンチレバー・アームのための材料を含む第2の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのハンドル部のための材料を含む第3の層とを備える多層複合構造を得ることからなり、
バッチのカンチレバー・プローブごとに、
第1の層の一部を除去し、多層構造の層に直交して向けられている第1の層の直交面を露出させるように、高いアスペクト比の異方性エッチングを実行し、
露出した直交面の上に直交保護層を形成し、
第2の層から離れるように向いている鋭い点を有するプローブ先端構造を形成するように等方性エッチングを用いて第1の層から追加の材料を選択的に除去し、直交保護層が等方性エッチング中に直交面を保存し、
その後に、第1の層の直交面を露出させるように直交保護層を除去し、直交面は、プローブ先端構造の頂点を含む。
本発明の別の態様は、SPMと共に使用される同時に上に製造され部分的に形成されたカンチレバー・プローブのバッチを有するウェハに向けられる。このウェハは、次の動作でウェハからリリースされる複数のカンチレバー・プローブを含み、各カンチレバー・プローブは、バルク半導体材料から形成されたベース部、ベース部の上に位置する近位端、及びベース部の周囲を越えて突出する遠位端、ならびに30〜300nmの厚さを有するカンチレバー・アームと、カンチレバー・アームの遠位端の一部の上に位置するシリコン・プローブ先端とを有する。カンチレバー・アームは、0.1〜1N/mのバネ定数を有し、カンチレバー・アームと先端の組み合わせは、100kHz〜10MHzの共振周波数を有する。
本発明のさらなる態様は、ハンドル部と、ハンドル部の上に位置する近位端及びハンドル部の周囲を越えて突出する遠位端を有するカンチレバー・アームと、カンチレバー・アームの遠位端に近くに位置するプローブ先端構造とからなる改良されたカンチレバー・プローブに向けられる。あるタイプの実施形態では、改良は、カンチレバー・アームが、近位端と遠位端の間の長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームが、遠位端のフェース部と、フェース部とベース部の間の、フェース部より小さい幅寸法を有するネック部とを含むパドル外形を有する。
別のタイプの実施形態では、改良は、カンチレバー・アームが、近位端と遠位端の間の長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームが、ネック部と、ショルダ部とを含み、ショルダ部は、カンチレバー・アームの近位端に位置すると共にベース部の周囲を越えて遠位方向に突出し、ネック部は、ショルダ部よりも実質的に小さい幅寸法を有する。
本発明は、以下の添付図面と併せて本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を検討することによって、より完全に理解することができる。
本発明の各態様が組み込まれている典型的なSPMシステムを示すブロック図。 トポグラフィ追跡のためのアクチュエータ運動に対応する振幅スペクトルの概要を示す図。 振動モードに対応する振幅スペクトル概要を示す図。 粗プローブ位置決めに対応する振幅スペクトル概要を示す図。 圧電スタック・アクチュエータのための構成を駆動する様々なアクチュエータを示す図。 圧電スタック・アクチュエータのための構成を駆動する様々なアクチュエータを示す図。 圧電スタック・アクチュエータのための構成を駆動する様々なアクチュエータを示す図。 圧電スタック・アクチュエータのための構成を駆動する様々なアクチュエータを示す図。 本発明のいくらかの態様による例示的なカンチレバー・プローブの主要部分のいくつかを示す概略図。 あるタイプの実施形態によるショルダ構造の有益な機能を示す図。 プローブ先端が様々な実施形態によるカンチレバー・アームに電気的に接続されている、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)プローブ、シリコン・オン・シリコン(SOS)プローブ、及びSOSプローブを製造するように、カンチレバー・プローブがバッチ処理を用いて形成できる例示的な多層構造を示す図。 プローブ先端が様々な実施形態によるカンチレバー・アームに電気的に接続されている、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)プローブ、シリコン・オン・シリコン(SOS)プローブ、及びSOSプローブを製造するように、カンチレバー・プローブがバッチ処理を用いて形成できる例示的な多層構造を示す図。 プローブ先端が様々な実施形態によるカンチレバー・アームに電気的に接続されている、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)プローブ、シリコン・オン・シリコン(SOS)プローブ、及びSOSプローブを製造するように、カンチレバー・プローブがバッチ処理を用いて形成できる例示的な多層構造を示す図。 一実施形態による図5の多層構造を形成する例示的な工程を段階的に示す図。 一実施形態による図5の多層構造を形成する例示的な工程を段階的に示す図。 一実施形態による図5の多層構造を形成する例示的な工程を段階的に示す図。 一実施形態による図5の多層構造を形成する例示的な工程を段階的に示す図。 一実施形態による図5の多層構造を形成する例示的な工程を段階的に示す図。 図6Aの多層構造を形成する様々な実施形態による例示的な工程を示す図。 図6Aの多層構造を形成する様々な実施形態による例示的な工程を示す図。 図6Aの多層構造を形成する様々な実施形態による例示的な工程を示す図。 図6Aの多層構造を形成する様々な実施形態による例示的な工程を示す図。 図6Aの多層構造を形成する様々な実施形態による例示的な工程を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造を形成する図8D〜図8Eの工程の変形例を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造を形成する図8D〜図8Eの工程の変形例を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造を形成する図8D〜図8Eの工程の変形例を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造を形成する図8D〜図8Eの工程の変形例を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 図5の多層構造から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造の一実施形態による例示的な工程を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 カンチレバー・アームの遠位端に揃えられた自己整合のプローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成する一実施形態によるバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Aの多層構造から始まる、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブを有するカンチレバー・プローブを製造する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。 一実施形態による図6Bの多層構造から始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す図。
本発明は、様々な修正形態及び変更形態に適用可能であるが、その明細書は、図において例により示されており、詳細に説明される。しかし、本発明を、記載した特定の実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。反対に、添付の特許請求の範囲に何らかの具体的な限定がされない限り、修正形態、均等形態、及び代替形態の全てを含むことが意図されている。
図1は、典型的なSPMシステム100の一部を示す最上位の図である。システム100は、プローブ104を保持するカンチレバー102を備える。プローブ104は、表面108を有する試料106を検査するために使用される。表面108は、あるトポグラフィを有し、これは、ある種の応用では検査対象である。より詳細には、対応するアスペクト比により定められる主要面を有さない試料については、試料のトポグラフィが、同様に、SPMにより検査され得る。本明細書中では、トポグラフィという用語は、限定するものではないが試料の表面特徴を含む試料又は試料の一部の3次元プロファイルを表すものとして定義される。
この検査は、表面108とプローブ104の間の検出可能な相互作用を確立するために、カンチレバー102、試料106、又は両方のいずれかを動かすことにより表面108に対してプローブ104の位置を定めることによって遂行される。プローブ104が、試料を上をすなわち試料を横切って走査させられると共に、プローブ104が、試料106のトポグラフィ、例えば、表面108のトポグラフィなどを追跡する。トポグラフィの追跡には、試料上に存在する以下の特徴、例えば、線、くぼみ、壁、コーナ、空洞、突出等
などが含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、図1に示したように、SPMシステム100は、表面108に対してカンチレバー102を動かして図2Aに示したような運動202を引き起こすことによりアクチュエータ110がプローブ・試料相互作用を調整するアクチュエータサブシステムを含む。図2Aは、運動202の振幅スペクトルを示しており、ただし、運動202は、振幅Aとロールオフ周波数fに基づく帯域幅とを有する。関連した各実施形態では、アクチュエータ110は、カンチレバー102に対して試料106を移動することができ、又はアクチュエータ110は、試料106とカンチレバー102の両方を移動することができる。カンチレバー102と試料106の相対移動は、表面108に直角又は斜めであり得ると共に、並進運動成分又は回転運動成分を含み得る。簡単にするために、プローブ・試料相互作用のレベルを調整する試料106とカンチレバー102の相対再位置決めは、z方向の又はz軸に沿った運動として本明細書では呼ばれているものとする。
SPMシステム100は、プローブ104と試料106の間の結合を含む機械構造がプローブと試料の間の相対運動の減衰、共振、又はその他の相互作用を低減する又は防ぐように構築することができることを当業者は理解されよう。例えば、アクチュエータ110は、シャーシにしっかりと取り付けることができ、このシャーシには試料106もしっかりと装着されている。
カンチレバー102又は試料106あるいは両方を移動させるアクチュエータを含む追加の機械システム112も設けることができ、プローブ104と表面108の相対運動が表面108にほぼ平行である面に沿っているようになっている。簡単にするために、この運動は、x−y方向の運動又はx軸もしくはy軸に沿った運動と呼ばれているものとする。x−y方向のこの運動は、表面108の上のプローブ104の走査を助ける。プローブ104が試料108の上での上で走査させられるとき、アクチュエータ110は、ほぼ一定レベルのプローブ・試料相互作用を維持するように、カンチレバー102と表面108との相対再位置決めを調整して運動202を作り出し、これによりプローブ104が表面108のトポグラフィを追跡する。振動モード・システムでは、プローブ・試料相互作用を振動周期について平均化して、プローブ104が表面108の上で走査されるときに維持されるプローブ・試料相互作用のレベルを表す対応するスカラ量を生成することができる。
追加の機械システム112は、振動モードで動作するそれらの実施形態についてのカンチレバー102の振動運動を助けることができる。図2Bは、振動モードによる振動運動204の振幅スペクトルを示す。振動運動204は、振幅Aより実質的に小さい振幅Bを有する。典型的には、振動運動204は、z方向であると共に、振動周期に沿って様々な点でプローブ・試料相互作用に影響を及ぼすが、一般には、振動運動は、表面108のトポグラフィを追跡するために使用されない。振動運動204は、周波数fよりずっと高いものであり得るカンチレバー/プローブ機構の共振周波数の又はその近くの周波数fを中心とする狭い帯域幅を有する。この比較的狭い帯域幅は、表面108の任意のトポグラフィを追跡するために運動204がプローブ104を移動させるのを妨げる。z軸運動の帯域幅は、ゼロ・ヘルツ(すなわち、直流)を含む。トポグラフィ追跡運動202の振幅Aは、振動運動204の振幅Bよりかなり大きい変位を有する。一実施形態では、例えば、トポグラフィ追跡運動202は、少なくとも1ミクロンの変位を有する。別の実施形態では、運動202は、少なくとも10ミクロンの変位を有する。
さらに、追加の機械システム112は、プローブ104と表面108の高速の接触及び離脱のためのz軸に沿った粗調整を含むことができる。図2Cは、粗調整運動206の振幅スペクトルを示す。粗調整運動206は振幅Cを有し、振幅Cはトポグラフィ追跡運動
202の振幅Aに対応する変位よりかなり大きい変位を与える。しかし、典型的には、粗運動206は、z軸に沿ったその分解能に限定され、したがって表面108のトポグラフィを高速で追跡するためには役立たない。トポグラフィがアクチュエータ110の範囲を超えて変化する場合などのある種の状況では、追加の機械システム112により設けられた粗z軸調整は、その変位の範囲内でアクチュエータ110を動作させるようにカンチレバー102又は試料106を再位置決めするために使用することができる。
関連したタイプの実施形態では、アクチュエータ110を利用して、振動モード運動204又は粗z方向運動206を実現することができる。上記の実施形態にあるように、アクチュエータ110により実現される振動運動204は、振動運動204は狭帯域駆動信号に応答すると共に比較的より小さい変位を有するという点でトポグラフィ追跡運動202と異なる。アクチュエータ110により実現される粗z軸運動206は、粗z軸運動206がかなり限られた帯域幅を有するという点でトポグラフィ追跡運動202と区別される。したがって、粗z軸運動は、トポグラフィ追跡運動202によりサポートされるより高い走査速度で表面108のトポグラフィを追跡するために使用することができない。
あるタイプの実施形態では、x軸、y軸、及びz軸用のアクチュエータは、圧電スタックである。関連した各実施形態では、アクチュエータは、限定するものではないが、電歪み、磁歪、静電、誘導、及び/又はボイス・コイル駆動機構から形成された他の圧電素子のアクチュエータ、ならびに入力信号に応じて運動を生じさせる他のアクチュエータを含む任意の個数の代替の作動技術を用いることもできる。
図3A〜図3Dは、運動202、204、及び206をそれぞれもたらすトポグラフィ追跡信号306、振動モード信号308、及び粗z軸調整信号310を用いてカンチレバー304に結合した圧電スタック型のZ軸アクチュエータ302を駆動する様々な例の構成を示す。図3Aの構成では、トポグラフィ追跡信号306は、振動モード信号308と直列に加えられてこれらの信号の重ね合せを生成する。図3Bでは、粗z軸調整信号310は圧電スタック302全体に加えられ、一方、トポグラフィ追跡信号306は、スタック302のより小さい部分セットに加えられる。振動モード信号308は、スタック302のさらに小さい部分に加えられる。対応する異なる個数の圧電素子へこれらの信号を加えることにより、望ましい変位スケーリング特性、分解能スケーリング特性、及び負荷スケーリング特性を与える。図3Cの実施形態では、トポグラフィ追跡信号306及び振動モード信号308は、駆動信号増幅器312において差別増幅される。図3Dの構成では、トポグラフィ追跡信号306は、コモン・モードで圧電スタック302に加えられ、一方、振動モード信号308は、スタック302のある部分間に差別的に加えられる。図3A〜図3Dのこれらの構成例は、様々な駆動装置の利用可能性を単に示すものであり、可能な変形例の範囲を網羅的に示すものとしてとらえられるべきではない。
再び図1を参照すると、SPMシステム100は、表面108を追跡するために、モニタ114と、運動202を制御するためのコントローラ116とを備えた制御システムを有する。プローブ・試料相互作用は、モニタ114により監視される。一実施形態では、モニタ114は、レーザ・ビーム偏向システムがカンチレバー102の偏向を測定する光学系を利用する。振動モードの実施形態では、プローブ・試料相互作用の変化は、プローブ・試料相互作用による共振特性の変化に起因する振動の位相オフセットのシフトなどにおける振動特性の変化を観察することにより検出することができる。
モニタ114は、プローブ・試料相互作用を示す信号115を生成し、信号115をコントローラ116に供給し、コントローラ116は、維持されるプローブ・試料相互作用の量を表す設定値信号と信号115とを比較する。コントローラ116は、プローブ位置決め信号117を生成し、プローブ位置決め信号117は、表面108のトポロジを表す
ものとしてアナライザ118に入力される。図1に示された実施形態では、モニタ114及びコントローラ116は、フィードバック制御トポロジを実現する。他の実施形態では、他のタイプの制御トポロジが可能である。例えば、フィ−ド・フォワード制御システム、又はモデル・ベース制御システムを利用することができる。
増幅器120は、プローブ位置決め信号117を増幅してカンチレバー駆動信号121を生成する。1例の実施形態では、増幅器120は、単一の回路基板上の単品の及び集積化した電気/電子部品を用いて実装される。他の実施形態では、増幅器120の回路は、複数の相互接続した回路基板、又は複数の別個の相互接続された同封物にまたがる。増幅器120は、内部フィードバック・ネットワーク122と、負荷分離インピーダンス124とを含む。
上述のように、SPM製造業者は、良好な測定感度を実現しつつ高速測定を助ける解決手段を必要としている。これは、感度増加のための柔らかいバネ定数と共に高速動作のための高い共振周波数を有する小さくて薄いカンチレバー・プローブを必要とする。したがって、本発明の各態様は、新型のSPMカンチレバー・プローブ、及び関連した製造方法、ならびに様々とても厳しい公差で高い生産歩留りを助けるための関連した特徴に向けられている。
図4Aは、本発明の各態様による例示的なカンチレバー・プローブ400の主要部分のいくつかを示す概略図である。これらの部分は、原寸に比例して描いたものではない。カンチレバー・プローブ400は、ベース部すなわちハンドル402で構成されている。ハンドル402は、それがカンチレバー・プローブを把持するために使用されているのでそのように名付けられている。いくつかの実施形態では、カンチレバー・プローブ400の他の部分はとても小さく、それらはかなり拡大しないと見えない。ハンドル402は、シリコンなどのバルク材料の比較的大きい部品から一般に作製される。カンチレバー・アーム404は、近位端404a及び遠位端404bを有する。カンチレバー・アーム404は、一般にシリコン又は窒化シリコンといった材料の1つの1次層から作製されるが、もちろん他の材料が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、金属被覆が、カンチレバー・アーム404の片側に施されて、ある種の材料は関心の光波長でこの特徴を不要にするのに十分反射性であり得るが、レーザ・ビーム偏向測定装置と共に用いるために光反射率を助ける。構造的に、カンチレバー・アーム404が形成されている材料は、ハンドル402の上に位置すると共に取り付けられている部分404cを有する(だが、この部分はカンチレバーとしてそれ自体は機能しない)。
遠位端404bには、頂点408を有するプローブ先端406が位置している。好ましい実施形態では、プローブ先端406は、シリコンから形成することができるが、他の実施形態では、他の適切な材料が使用され得る。一実施形態では、プローブ先端406は、ピラミッド構造である。別の実施形態では、プローブ先端406は、頂点408がカンチレバー・アーム404の遠位端に位置するように、カンチレバー・アーム404の末端と位置を揃えられた直角三角形の外形を有する。見える先端と呼ばれるこの後者のタイプのプローブ先端は、実際には拡大しないと見えず、カンチレバー・プローブがSPMと共に使用されているときには見えず、むしろ、操作者は、頂点408がカンチレバー・アーム404の端と縦方向に縦方向に揃っていることを知っていれば、カンチレバー・プローブの位置を推論することができる。
関連した実施形態では、カンチレバー・アーム404はショルダ410を備え、このショルダ410は、より狭いネック部412よりも幅が広いカンチレバー・アーム404の部分である。ショルダ410は、ハンドル402の上の近位端に位置している。ショルダ410は、ネック部412よりもずっとその幅が大きいために、実質的より大きいバネ定
数を有する。一実施形態では、ショルダ410は、カンチレバー400全体のバネ定数にわずかな取るに足りない影響しか与えず、カンチレバー・アーム404の有効長さは、従来のカンチレバー・プローブにおけるようにカンチレバー・アーム・ハンドル接合部からではなくショルダ・ネック接合部から測られるようになっている。
図4Bは、ショルダ410の有益な機能を示す図である。この図では、小さくて薄いカンチレバーが、ショルダなしで断面図に示されている。ハンドル402の厚さは、そこに行われたエッチングの量に左右され、これは正確に制御することが難しい。したがって、線430及び線432により示されるように、厚さにいくらかの変動が見られる。シリコンがハンドル402用の材料とされる場合、カンチレバー404がリリースされると、ハンドル402は、シリコンの結晶構造の後に材料の除去によりカンチレバー・アーム404に対して125.3度の角度を形成する。これは、434に示された有効カンチレバー・アーム長さの変化になる。従来のカンチレバー・プローブでは、この長さの変化は、比較的大きい寸法に与えられるとき無視してもよい。しかし、小型のカンチレバー・プローブでは、この長さの変化は、
Figure 2015526743
により定められたバネ定数にかなり大きく影響を及ぼし得る。ここで、Eはヤング率であり、wはカンチレバー・アームの幅、tはカンチレバー・アームの厚さ、Lはカンチレバー・アームの長さである。
幅広のショルダ410の使用は、遠位方向のハンドル402の周囲を越えてのショルダ410の突出量が潜在的な長さの変化434を超える場合、この問題をすっかり未然に防ぐ。特定の一実施形態では、ショルダの幅は、ネック部412の幅の少なくとも10倍である。他の実施形態では、ショルダとネックの幅の比は25:1、50:1、及び100:1以上である。
図4Aをさらに参照すると、関連した実施形態では、パドル面414の形態のより幅の広い部分が、遠位端404bに位置している。様々な実施形態では、パドル面414は、円形、楕円形、正方形、三角形、又は任意の適切な形状とすることができる。パドル面414は、SPM機器のレーザ・ビーム偏向システムにおけるレーザ・ビームの標的を与えるために狭いネック部404により利用できる表面積よりも大きい表面積を与える。一実施形態では、パドル面414は、直径が2〜4ミクロンの範囲の概して丸い外形を有する。パドル面414は、十分に小さいレーザ・スポットを使用するシステム、又はカンチレバーの偏向を決定するのに光学的手段を使用しないSPMシステムのために、完全に省略することができることを理解されたい。様々な実施形態では、カンチレバー・アームのネック部404の長さは、パドル面414の直径より大きい。他の実施形態では、ネック部404は、パドル面414の直径より短い。様々な実施形態の中で、ネック部及びパドル面の相対寸法は、所望のバネ定数、所望の共振周波数、材料特性、レーザ・スポット・サイズ、及び他のパラメータに応じて変わり得る。1例の実施形態では、パドル面の直径とネック部の幅の比は、少なくとも2:1である。関連した実施形態では、この比は、2:1〜4:1の間である。別の例の実施形態では、パドル面の直径とカンチレバーの長さの比は、2:1〜1:5の間である。これらの比及び範囲は、例示的であり、特許請求の範囲の中で具体的に宣告されない限り、限定として構成されるものではない。
様々な実施形態によれば、カンチレバー・プローブ400は、有効長さ30ミクロン(すなわち、ショルダ・ネック接合部から測定されたものである)、幅15ミクロン、及び厚さ300nmより小さい寸法を有する。1特定の実施形態では、有効長さは5〜30ミクロンであり、最大幅は2〜15ミクロンであり、厚さは30〜300nmである。より洗練された実施形態では、厚さは20〜200nmである。さらなる実施形態では、厚さは30〜100nmである。さらなる実施形態では、厚さは、30nmより薄くすることができる。ある特定の実施形態は、長さ8ミクロン、最大幅2ミクロン、及び30〜300nmの厚さを与える。特に、これらの寸法は、本発明の各態様によれば、ウェハ・スケール、すなわちバッチ処理により実現され、そこでは、(処理中の特定の長さ、幅、及び厚さの寸法におけるカンチレバーの非破損として定義される)生産歩留りが90%以上で、上記のものなどのサイズ寸法及び厳しい公差(例えば、+/−5%の厚さの変動)を有する複数のカンチレバー・プローブを、パターン成形技法及びエッチング技法を同時に適用してバッチで生産する。カンチレバーの性能の観点では、一実施形態によれば、カンチレバー・アームのバネ定数は0.1〜1N/mであり、共振周波数は100kHz〜10MHzである。関連した実施形態では、カンチレバー・プローブは、バネ定数が0.1N/m〜1N/mであり、共振周波数が1MHz〜10MHzであるバッチ処理により生産される。
本発明の1態様では、多層のウェハ規模構造は、まず厳しい公差の工程を用いて製造され、すなわち、そこから複数のカンチレバー・プローブが、続くバッチ動作を用いて形成できる。図5、図6A、図6Bは、例示的な多層構造を断面図(原寸に比例してない)として示す。これらの例示的な構造は、以下の共通の構成、すなわち、第1のデバイス層と、ハンドル層と、これらの間に位置する第2のデバイス層とを有し、ハンドルと第2のデバイス層の間、及び第1のデバイス層と第2のデバイス層の間には分離層がある。第1のデバイス層はプローブ先端の中に形成されるのに対して、第2のデバイス層はカンチレバー・アームの中に形成される。以下に詳述する実施形態では、ハンドル及び第2のデバイス層はシリコンであり、一方、第1のデバイス層は、本明細書中で低応力窒化物とも呼ばれるシリコン又は低圧化学気相成長(LPCVD)シリコン窒化膜とすることができ、分離層は、単に酸化物とも呼ばれる二酸化シリコンである。しかし、本発明の各実施形態の積層技法と併せて他の適切な材料が使用されてもよいことが理解されよう。
まず図5に移ると、多層構造500は、第1のデバイス層としてシリコン基板502、それに続いて酸化物から作製された第1の分離層504、LPCVD窒化物から形成された内側層としての第2のデバイス層、それに続いて第2の分離層508、そしてハンドル層として第2のシリコン基板510を備えている。分離層504,508は、それぞれ第1のデバイス層502及び第2のデバイス層504の各々、ならびにハンドル層510に対して差別的にエッチング可能である。差別的にエッチング可能という用語は、一方の層が他方の層よりもずっと大きい速さでエッチングでき、より遅いエッチ速度の材料がエッチ・ストップ層として働くことができるようになっていることを示唆する。典型的には、差別的にエッチング可能な材料は、少なくとも50のエッチ速度比を有する。用いられている層材料及び腐食液に応じて、差別的なエッチ比は、100、1000以上であり得る。あるタイプの実施形態では、隣接した差別的にエッチング可能な層の相対厚さは、差別的なエッチ速度を構成するように形成されており、材料が取り除かれる層と、他の層を保存するためにエッチ・ストップとして働く層とは、続く処理において露出され、材料が十分に取り除かれると共に、(エッチングによりいくぶん減少するにも関わらず)エッチ・ストップ層が残るようになっている。したがって、多層構造に関しては、デバイス層は、その厚さが、エッチング動作の持続期間により影響を受けないように処理全体を通じて保護される。これは、層の厚さについて小さい公差で、とても厳しい制御を可能にする。
図6A及び図6Bでは、内側層606、すなわち第2のデバイス層、すなわちカンチレ
バー・アームの中に形成される層は、シリコンである。したがって、これらの構造は、以下のように、すなわち、第1のデバイス層602(シリコン)、第1の分離層604(酸化物)、第2のデバイス層606(シリコン)、第2の分離層608(酸化物)、及びハンドル層610(シリコン)のように層状である。図6Bは、続く動作で第1のデバイス層602から形成されるプローブ先端の下に位置するポリシリコンなどの導電性材料のパッド612を含む。導電性パッド612は、導電性プローブ(このプローブは、第1のデバイス層及び第2のデバイス層のための高度にドープされたシリコンを用いて導電性になされ得る)と共に使用するために第1の分離層604を通じた電気接続を行う。
次に、図7A〜図7Eに移ると、多層構造500を形成する例示的な工程が示されている。図7Aでは、2つの別個のシリコン・ウェハなどの基板502’ ,510’が用意
されている。次に、図7Bに示されるように、酸化層504a,504b,508a,508bが、表面上に熱成長されている。次に、図7Cに示されるように、LPCVD窒化物506a,506bは、それぞれ酸化層508a,508bの上に堆積される。窒化物層506bは、本実施形態では必要とされないが、窒化物層506bは、次の工程で付随的に除去されるので、その堆積を防ぐ必要はない。図示したように、窒化物層506a,506bは、ハンドル層ウェハの上に堆積されるが、それは、その代わりに又はハンドル基板に加えて、第1のデバイス層基板に施されてもよいことが容易に理解されよう。次に、図7Dに示されるように、層506a,504bが研磨され、接合される。接合は、(シリコンと酸化物の接合用の)融着又は陽極接合を用いて実現することができる。次に、図7Eに示されるように、第1のデバイス層基板502’及びハンドル層基板510’は、化学的機械的研磨(CMP:chemical−mechanical polish)法、又は他の適切な操作によりその目標厚さまで研削及び研磨される。結果として得られた層は、シリコンデバイス層502及びシリコンハンドル層510である。
図8A〜図8Eは、様々な実施形態による多層構造600aを形成する工程を示す。図8Aに示されるように、3つのシリコン基板602’ ,606’ ,610’は、開始点として使用される。次いで、分離層605a〜fは、図8Bに示されるように作り出される。一実施形態では、分離層605a〜eは、熱成長される酸化層である。別の実施形態では、分離層605a〜fは、適切な方法を用いて堆積される窒化膜である。別の実施形態では、分離層605a〜605eのいくつかは、酸化物とすることができ、一方、他のものは窒化物である。
次に、図8Cに示されるように、被覆された基板606’ ,610’は、(層605
dと605eの間の)その接合部で研磨され、融着又は陽極接合の方法を用いて共に接合され、埋設された分離層608を形成する。次に、図8Dに示されるように、第2のデバイス層606が、目標厚さまで基板606’を研削及び研磨することにより形成される。この目標厚さは、とても薄い(例えば、300nm以下の)厚さが目標公差以内で得られるように適切な処理パラメータを用いて注意深く制御される。次に、(分離層605bを被覆した)第1のデバイス層基板602’と内側(第2のデバイス)層606との間の接合部が研磨され、図8Eに示されるように、各層が融着又は陽極接合され、埋設された分離層604を形成する。次いで、上面及び下面が、それらの目標厚さまで研削及び研磨され、この工程中に層605a,605fを除去する。
図8EE〜8HHは、多層構造600bを形成するための図8D〜図8Eの様々な工程を示す。図8EEに示された工程は、図8Dに示された状態から続いており、内側(第2のデバイス)層606が、その目標厚さまで研削及び研磨される。酸化物又は窒化物からの新しい分離層615が、層606の上にそれぞれ成長又は堆積されている。次に、図6F’に示されるように、フォトリソグラフィ及び選択エッチングを用いて層606の上面上の新しい分離層615の一部が除去されて、パターン成形された層615’中に空所を
形成する。次いで、ポリシリコン612’層が、ポリシリコンの一部がパターン成形された層615’中の空所を充填するように堆積される。次に、図8GGに示されるように、ポリシリコン612’がパターン成形されて、層615’中の空所内を充填する部分612を除いたポリシリコンの全部を除去する。このようにして、ポリシリコン部分612は、導電性パッドを形成する。
次に、第1のデバイス層基板602’は、この工程の中でその目標厚さに研削及び研磨され、層605bを除去し、層615’及び導電性パッド612の上面を研磨して複合分離層614と共に集積パッド612を形成する。図8HHに示されるように、これらの層は融着又は陽極接合され、埋設された分離層614を形成する。最後に、上面及び下面が研削及び研磨されて第1のデバイス層602及びハンドル層610の目標厚さを実現する。
次に、カンチレバー・プローブを製造するための処理ステップに移ると、図9A〜図9Nは、多層構造500から始まるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)カンチレバー・プローブのバッチ製造するための一実施形態による例示的な工程を示す。図9Aに示されるように、酸化層902a,902bが、多層構造500の上面及び下面を覆って熱成長されている。次に、窒化物層904a,904bを作り出すためにCVD工程を用いて窒化物が堆積される。次に、図9Bでは、フォトレジストが上面を覆って施され、マスク906を作り出すためにパターン成形される。マスク906は、プローブ先端の形成時に次のステップで使用される。
次に、図9Cでは、層904a,902aは、フォトレジスト906によりマスクされた材料を除いて窒化物及び酸化物の材料の全部を除去するドライ・エッチ法を用いて選択エッチングされる。これは、構造908a,910aを残す。次に、図9Dに示されるように、フォトレジスト906は取り除かれ、シリコン層502が、例えば水酸化カリウム(KOH)又は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:tetramethylammonium hydroxide)などの酸化物よりもずっと高い速度でシリコンを侵食する化学物質を用いて異方性エッチングされる。この結果が、第2のデバイス層506又はハンドル層510に影響を及ぼすことなく第1のデバイス層502から形成された尖った先端構造922である。したがって、図9Eに示されるように、酸化物924は、先端を尖らせる先端構造の上に熱成長される。
次に、90度回転した同じ構造の断面図である図9F及び図9Gに示されるように、フォトレジスト・マスク916が、カンチレバー・アームのパターン成形中に先端922及び層504,506の一部を保護するために施される。特に、それがリリースされる前に、カンチレバー・アームがパターン成形される。言い換えれば、ハンドル層510は、このステージでカンチレバー・アームをまだ支持し、カンチレバー・パターン成形工程を受けるより強固な構造を作製する。図9Hは、ショルダ部930、ネック部932、パドル・フェース部934、及び先端936を含むカンチレバー・パターンを示す上面図である。
次に、図9Iに示されるように、窒化物保護層940が酸化された先端構造の上に施され、裏面リソグラフィ工程942が層902b,904bの一部を除去するために実行される。層902b,904bの残りの材料は、図9Jに示されるようにカンチレバー・アームをリリースするまで次のハンドル層510のエッチング944の間にマスクとして働く。次に、図9Kに示されるように、窒化物層940,904bは、例えば、リン酸(HPO)などの適切な腐食液を用いて、946で選択エッチングされる。酸化層504,508は、この腐食液から内側窒化物(第2のデバイス)層506を保護するためにエッチ・ストップとして働く。
図9Lに示されるように、露出した酸化層504,508は、例えば、フッ化水素酸などの同じ速度でシリコン又は窒化物を侵食しない適切な腐食液を用いて、948で除去される。残りの構造は、残りのハンドル層510’と、酸化層508の保護された及び除去されていない部分508’と、先端922真下の酸化層504の除去されていない部分504’とを含む。
図9Mは、結果として得られた構造及びパターン成形されたカンチレバー・アームを示す上面図である。ハンドル950は、シリコンの大きいブロックである。カンチレバー・アームは、ハンドル950の周囲を越えて遠位方向に量Aだけ突出するショルダ部952を有すると共に、カンチレバー・ネック部954の幅をはるかに上回る幅Bを有する。したがって、(そのバネ定数が関わっている限り)有効なカンチレバー・アームは、ネック部954及びパドル面956で構成され、その上にプローブ先端958が位置している。ネック部954は狭く、より感度のよいカンチレバーを与える。パドル面956が、必要な場合、SPM機器中のレーザ・システム用の目標を与えるのに役立つ。さもなければ、パドル面956は、さらにより高速なカンチレバー設計の場合には省略されてもよい。最後に、図9Nに示されるように、金属膜960は、必要であれば光反射率を高めるために下面側に堆積される。
次に、図10A〜図10Oに移ると、本明細書中で見えるプローブ先端とも呼ばれるカンチレバー・アームの遠位端に揃えられる自己整合式プローブ先端を有するSOIカンチレバー・プローブを形成するバッチ処理が、関連した実施形態により説明される。図10Aを参照すると、この工程は、多層構造500から始まる。この工程はその後に下側酸化層902bを有しつつ上酸化層902aの選択除去が続くことを除いて、前述したように、酸化物が熱工程を用いて成長されて酸化層902a,902bを作り出す。次に、窒化物層904a,904bが、LPCVDを用いて堆積される。
図10B−1及び図10B−2は、それぞれ、図示のようにフォトレジスト層1002が施されてパターン成形されるフォトリソグラフィの次の処理ステップの断面図及び上面図を示す。代わりに、様々な他のカンチレバー・アームの外形が使用されてもよく、この場合には、それに応じてパターン成形が変わることになる。例えば、上記のパドル形状(又はその変形例)は、関連実施形態に用いることができる。
図10C−1及び図10C−2にそれぞれ断面図及び上面図で示されるように、フォトレジスト1002は、反応性イオン・エッチング(RIE:reactive ion etch)法を用いて窒化物層904aをエッチングしてパターン成形された窒化物層904a’にするためのマスクとして働く。図10D−1及び図10D−2は、DRIEなどの高いアスペクト比のドライ・エッチを用いた第1のデバイス層502を通じてのエッチングの次のステップを示す。これにより層502における残りの材料の周囲に沿った垂直面1020を作り出す。
図10Eは、酸化層504及び窒化物層506aがRIE法を用いて取り除かれる次の動作を示す。このRIE法は自動停止がなく、そのため酸化層508の一部又は全部及びハンドル層510の一部がRIEにより取り除かれ得ることがこの動作に付随して起こる。しかし、ハンドル層510及び酸化層508のこれらの部分は、最終的に続く処理により除去されるので、これらの付随的な事柄は、このステージにおけるインプラントではない。
次に、図10Fに示されるように、フォトレジスト1002は取り除かれ、垂直の酸化物1004は、直交面1020に熱成長される。次に、図10G−1及び図10G−2に
断面図及び上面図で示されるように、窒化物層904a’ ,904bは選択エッチ工程
1005を用いて除去され、上側の酸化物はパターン成形されて、カンチレバー・アームとなるもののかなり遠位端に直交面1020に沿って小さい部分を残す。
その後、図10Hに示されるように、シリコン層502は、1006で選択エッチされてプローブ先端1008を形成する。プローブ先端1008は、酸化層1004が成長する直交面を備える。この直交面は、プローブ先端の頂点も含む。次に、図10Iに示されるように、熱酸化物1010が、プローブ先端1008の他方の表面に成長される。その後、図10Jに示されるように、LPCVD窒化物層1012a,1012bは、上下に堆積される。次に、図10Hに示されるように、下側の窒化物904b及び酸化物902bは、フォトリソグラフィ工程1014を用いてパターン成形及びエッチされて、切除層902b’ ,904b’を作り出す。図10Lは、エッチング・ハンドル510’のい
くつかの動作を表しており、次いで、窒化物層1012a,1012b’を取り除き、酸化層902b’、酸化層1010、酸化層504、及び酸化層1004を取り除く。最後に、図10Mに示されるように、必要であれば、金属層950が施される。図10Nは、カンチレバー・アームの自由端に見えるプローブ先端1008を示す斜視図である。図10Oは、11.5ミクロンの高さを有する上記の工程を用いて形成された実際に見える先端を示す走査型電子顕微鏡(SEM)の像である。
次に、図11A〜図11Lに移ると、一実施形態による、とても薄いシリコンのカンチレバー・アーム及びシリコン・プローブ先端を有するカンチレバー・プローブを製造する動作を示す例示的なバッチ処理が記載されている。この工程は、多層構造600aから始まる。SOIプローブについての上記の各ステップと同様に、図11Aに示されるように、酸化層902a,902bは熱成長され、次いで窒化物層904a,904bが堆積される。図11B〜図11Cは、フォトレジスト906を用いてシリコン・プローブ先端を形成し、マスク908a,910aを形成する先端を形成するエッチ・マスクをパターン成形する動作を示す。図11Dは、第1のデバイス層をエッチして先端922を形成する次の動作を示す。次に、図11Eに示されるように、先端は熱酸化され、それによりさらに尖らせられる。
図11F及び図11Gは、フォトレジスト916を用いたカンチレバー・アームのパターン成形動作を示す。層604,606の一部ならびに先端をマスクするようにし、層604,606から無関係の材料を選択除去するようになっている。これらの動作は、この工程における内側層606がシリコンであることを除いて、SOIカンチレバー製造について行われたものと同様であり、したがって、シリコンに適した選択腐食液が、カンチレバー・アームをエッチングするために使用される。いくらかの実施形態による上記の例に示されるように、カンチレバーは、パドル状の外形を有するようにパターン成形することができる。
次に、図11Hに示されるように、窒化物の保護層940は、上側を覆うように堆積され、フォトリソグラフィ1142は、裏側に実施されて、窒化物904b及び酸化層902bの一部をそれぞれ取り去るようになっている。次に、図11Iに示されるように、ハンドル層は、層902b,904bの残りの部分をエッチ・マスクとして用いて取り外され、カンチレバー・アームがリリースされる。次に、図11J及び図11Kに示されるように、窒化物層940,904bは選択エッチ工程1146を用いて取り除かれ、酸化層902b,924は選択エッチ1148を用いて取り除かれる。次に、図11Lに示されるように、金属層1150が、必要に応じて堆積されてもよい。
図12A〜図12Lは、一実施形態による、多層構造600bから始まる導電性カンチレバー・プローブを形成する例示的なバッチ処理を示す。図12Aに示されるように、酸
化層902a,902bは熱成長され、窒化物層904a,904bは堆積される。図12Bに示されるように、フォトレジスト906は、導電性パッド912の上に堆積される。これらは、完全に位置合わせされていなくてもよいが、十分な重なりがある限り、形成されるプローブ先端は、カンチレバー・アームに電気的に接続される。図12B〜図12Lは、この工程の残りの動作を示しており、これらは図11B〜図11Lの非導電性カンチレバー・プローブを形成する工程と同様である。したがって、図12B〜図12Dは、プローブ先端のマスキング及びエッチングを示し、図12Eは、プローブ先端922を尖らせるための酸化物924の成長を示し、図12F及び図12Gは、フォトレジスト・マスク916及び選択エッチ動作1202を用いてカンチレバー・アームをパターン成形することを示す。図12H〜図12Iは、保護窒化物層940の堆積と、裏面の窒化物及び酸化層をエッチングするためにエッチ・マスクを用意するための裏面リソグラフィ1242と、ハンドルを形成すると共にカンチレバー・アームをリリースするためのエッチ動作1244とを示す。図12Jに示されるように動作1246時、上窒化物層及び下窒化物層は、選択エッチを用いて取り除かれる。図12Kに示された動作1248にて、残りの上側酸化層及び下側酸化層は取り除かれる。最後に、図12Lにおいて、必要があれば、金属膜1250は裏側に堆積される。
特に、上述した工程は、複数のカンチレバー・プローブを同時に生産し、そのようなプローブを少ないユニット費用で大量生産を可能にする。同時に、この工程は、厳しい公差でとても小さい寸法を有する劇的に改善したカンチレバー・プローブをもたらすことができ、カンチレバー・プローブが、高度の可撓性(すなわち、低いバネ定数)を維持しつつ高い機械的共振点を有することにより、非常に高速のSPM装置と共に使用可能であり、それにより検査中の試料との相互作用の高感度を維持することを意味する。
これらのバッチ処理により生産されたカンチレバー・プローブのいくらかの実施形態は、製造されたバッチ内で均一性を支持する追加の特徴を有し、ハンドル層の厚さの変動による長さの変化を解決するカンチレバー・アーム・デバイス層から形成されたショルダ部の使用を含む。また、ある種の関連した実施形態は、感度増加のために大変狭いネック部の形成を可能にするカンチレバー・アームの外形を含み、一方、カンチレバー・プローブの自由端の移動及び偏向を追跡するレーザ・システムによってより容易に標的にできるパドル面を提供する。
加えて、いくらかの実施形態によるカンチレバー・プローブは、カンチレバー・アームの遠位端に整合して位置するその頂点を有する見える先端を含むことができる。
発明概念の概要
発明概念の以下の概要では、組み合わせが互いに矛盾していない限り、2つ以上の発明概念のそのような様々な組み合わせで組み合わせ可能であることを理解されたい。
発明概念1. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)カンチレバーの製造に使用される多層構造を構築する方法であって、
第1の基板及び第2の基板を用意する工程と、
第1の分離層及び第2の分離層を用意する工程であって、第1の分離層及び第1の基板は差別的にエッチング可能であり、第2の分離層及び第2の基板は差別的にエッチング可能である工程と、
第1の分離層と第2の分離層の間に位置するように、第1の分離層及び第2の分離層に対して差別的にエッチング可能な内側層を用意する工程と、
内側層が、第1の分離層及び第2の分離層によりそれぞれ第1の基板及び第2の基板から隔てられるように、第1の分離層と第2の分離層の間に内側層を位置させることを含む多層構造を組み立てる工程と
を含む多層構造を構築する方法。
発明概念2. 第1の基板及び第2の基板を用意する工程では、第1の基板及び第2の基
板がシリコンからそれぞれ形成される、発明概念1に記載の方法。
発明概念3. 第2の分離層を用意する工程は、第2の基板の表面上に第2の分離層を形成する工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念4. 第2の基板の表面上に第2の分離層を形成する工程は、酸化物の層を成長させる工程を含む、発明概念3に記載の方法。
発明概念5. 第1の分離層を用意する工程は、第1の基板の表面上の第1の分離層を形成する工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念6. 第1の分離層を用意する工程は、内側層の表面上に第1の分離層を形成する工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念7. 第1の分離層を用意する工程は、酸化物の層を成長させる工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念8. 内側層を用意する工程が、第1の分離層又は第2の分離層の少なくとも1つの上に窒化シリコンの薄膜を堆積させる工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念9. 窒化シリコンの薄膜を堆積させる工程では、低圧化学気相成長(LPCVD)法が使用される、発明概念8に記載の方法。
発明概念10. 多層構造を組み立てる工程は、少なくとも2つの拡散接合動作を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念11. 内側層を用意する工程は、30nm〜300nmの厚さを有するシリコンの層を形成する工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念12. 内側層を用意する工程は、20nmと200nmの間の厚さを有するシリコンの層を形成する工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念13. 内側層を用意する工程は、30nm〜100nmの厚さを有するシリコンの層を形成する工程を含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念14. 多層構造を組み立てる工程は、ウェハ規模動作を行う工程を含み、多層構造がウェハ規模構造である、発明概念1に記載の方法。
発明概念15. 多層構造を組み立てる工程の前に、第1の基板と内側層の間に位置する1組の導電性パッドを形成する工程であって、導電性パッドの各1つが、第1の基板から形成される対応するプローブ先端と内側層から形成される対応するカンチレバー・アームとの間の電気接続を与えるように配置される1組の導電性パッドを形成する工程
をさらに含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念16. 導電性パッドを形成する工程は、内側層の表面及び第1の基板の表面の少なくとも1つの上に導電性材料をパターン成形する工程を含む、発明概念15に記載の方法。
発明概念17. 多層構造を組み立てる工程の後、第1の分離層から離れるように向いている鋭い点を有するプローブ先端構造を形成するように、第1の基板から材料を選択的に除去する工程
をさらに含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念18. 多層構造を組み立てる工程の後、第1の基板の一部を除去し、多層構造の層に直交して向けられている第1の基板の直交面を露出させるように高いアスペクト比の異方性エッチングを実行する工程と、
露出した直交面の上に直交保護層を形成する工程と、
第1の分離層から離れるように向いている鋭い点を有するプローブ先端構造を形成するように等方性エッチングを用いて第1の基板から追加の材料を選択的に除去する工程であって、直交保護層が等方性エッチング中に直交面を保存する、選択的に除去する工程と、
その後、プローブ先端構造の頂点を含む第1の基板の直交面を露出するように直交保護層を除去する工程と、
をさらに含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念19. 多層構造を組み立てる工程の後、内側層の両側の部分を露出させるように第1の基板、第1の分離層、第2の基板、及び第2の分離層から材料を選択的に除去する工程
をさらに含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念20. 多層構造を組み立てた後に、
内側層の第1の表面とは反対の第2の表面の別の層との接合を維持しつつ内側層の第1の表面を露出させるように第1の基板及び第1の分離層から材料を選択的に除去する工程と、
その後、内側層の一部を除去して、そこからカンチレバー・アームを形成する工程と、
その後、内側層の第2の表面を露出させるように第2の基板及び第2の分離層から材料を選択的に除去し、それによりカンチレバー・アームをリリースする工程と、
をさらに含む、発明概念1に記載の方法。
発明概念21. (a)上基板、下基板、内側層、上基板と内側層の間に位置する、第1の基板及び内側層に対して差別的にエッチング可能な第1の分離層、及び下基板と内側層の間に位置する、第2の基板及び内側層に対して差別的にエッチング可能な第2の分離層からなる多層構造を得る工程と、
(b)第1の分離層から離れるように向いている鋭い点を有するプローブ先端構造を形成すると共に第1の分離層の上面を露出させるように第1の基板から材料を選択的に除去する工程と、
(c)(b)の後に、内側層の上面を露出させるように第1の分離層から材料を選択的に除去する工程と、
(d)第2の分離層の下面を露出させるように第2の基板から材料を選択的に除去する工程と、
(e)(d)の後に、内側層の下面を露出させるように第2の分離層から材料を選択的に除去する工程と、
(f)内側層から材料を選択的に除去してそこからカンチレバー・アームをパターン成形する工程とからなる走査型プローブ顕微鏡(SPM)と共に使用されるカンチレバーを構築する方法。
発明概念22. (f)は、(c)の後であるが(d)の前に実行される、発明概念21に記載の方法。
発明概念23. (f)は、(e)の後であるが(b)の前に実行される、発明概念21に記載の方法。
発明概念24. 材料を選択的に除去する工程は、他の層を実質的に影響を受けないままにしつつ選択エッチを受ける対応する材料を除去する差別する腐食液を適用する工程を含む、発明概念21に記載の方法。
発明概念25. (a)の多層構造を得る工程では、第1の基板及び第2の基板がシリコンからそれぞれ形成され、(b)及び(d)では、材料を選択的に除去する工程は、シリコンだけをエッチングすることを含む、発明概念21に記載の方法。
発明概念26. (a)の多層構造を得る工程では、第1の分離層及び第2の分離層は、酸化物からそれぞれ形成され、(c)及び(d)では、材料を選択的に除去する工程は、酸化物だけをエッチングすることを含む、発明概念21に記載の方法。
発明概念27. (a)の多層構造を得る工程では、内側層は、窒化物から形成され、(f)では、材料を選択的に除去する工程は、窒化物だけをエッチングすることを含む、発明概念21に記載の方法。
発明概念28. (a)の多層構造を得る工程では、内側層は、シリコンから形成され、(f)では、材料を選択的に除去する工程は、シリコンだけをエッチングすることを含む、発明概念21に記載の方法。
発明概念29. (a)の多層構造を得る工程では、第1の分離層は、導電性材料から形成された部分を含み、(b)のプローブ先端構造を形成する工程は、導電性材料の上に位置する第1の基板材料のエッチングを防ぐことを含む、発明概念21に記載の方法。
発明概念30. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)と共に使用するカンチレバー・プローブであって、
バルク半導体材料から形成されたベース部と、
ベース部の上に位置する近位端、及びベース部の周囲を越えて突出する遠位端を有するカンチレバー・アームと、
ベース部とカンチレバー・アームの近位端との間に位置する、カンチレバー・アーム及びベース部に対して差別的にエッチング可能な下分離層と、
カンチレバー・アームの遠位端の一部の上に位置するプローブ先端と、
プローブ先端とカンチレバー・アームの間に位置する、カンチレバー・アームに対して差別的にエッチング可能な上分離層と
からなるカンチレバー・プローブ。
発明概念31. プローブ先端は、バルク半導体材料から形成される、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念32. プローブ先端は、カンチレバー・アームに直交して向けられた直交面を含むと共に、直交面に位置する頂点をさらに含む、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念33. 直交面は、カンチレバー・アームの遠位端に位置する、発明概念32に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念34. プローブ先端は、導電性材料から形成される、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念35. 上分離層は、プローブ先端に対して差別的にエッチング可能である、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念36. 上分離層の少なくとも一部は、導電性材料から形成される、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念37. 上分離層は、プローブ先端に融着される、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念38. 上分離層は、半導体材料の層に成長した酸化物から形成され、後でそこからプローブ先端が形成される、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念39. 上分離層は、半導体材料の層に成長した酸化物から形成され、後でそこからカンチレバー・アームが形成される、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念40. カンチレバー・アームは、半導体材料の単層を備える、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念41. カンチレバー・アームは、導電性材料から形成される、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念42. カンチレバー・アームは、低応力窒化膜の単層を含む、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念43. カンチレバー・アームは、30nmと300nmの間の厚さを有する、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念44. カンチレバー・アームは、5〜30ミクロンの長さと、2〜15ミクロンの最大幅とを有する、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念45. カンチレバー・アームは長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームは、遠位端のフェース部と、フェース部とベース部の間の、フェース部より小さい幅寸法を有するネック部とを含むパドル外形を有する、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念46. カンチレバー・アームは長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームは、ネック部と、ショルダ部とを含み、ショルダ部は、カンチレバー・アームの近位端に位置すると共にベース部の周囲を越えて遠位方向に突出し、ネック部は、ショルダ部よりも実質的に小さい幅寸法を有する、発明概念30に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念47. ベース部の周囲を越えて遠位方向に突出するネック部は、カンチレバー・アームのバネ定数にわずかな影響しかもたらさない、発明概念46に記載のカンチレバー・プローブ。
発明概念48. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)と共に使用される同時に上に製造される部分的に形成されたカンチレバー・プローブのバッチを有するウェハであって、
次の動作でウェハからリリースされる複数のカンチレバー・プローブからなり、各カンチレバー・プローブが、
バルク半導体材料から形成されたベース部と、
ベース部の上に位置する近位端、及びベース部の周囲を越えて突出する遠位端、ならびに30〜300nmの厚さを有するカンチレバー・アームと、
カンチレバー・アームの遠位端の一部の上に位置するシリコン・プローブ先端とを備え、
カンチレバー・アームは、0.1〜1N/mのバネ定数を有し、カンチレバー・アームと先端の組み合わせは、100kHz〜10MHzの共振周波数を有するウェハ。
発明概念49. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)と共に使用されるカンチレバー・プローブの大量生産されたバッチであって、
複数のカンチレバー・プローブからなり、各カンチレバー・プローブが、
バルク半導体材料から形成されたベース部と、
ベース部の上に位置する近位端、及びベース部の周囲を越えて突出する遠位端、ならびに30〜300nmの厚さを有するカンチレバー・アームと、
カンチレバー・アームの遠位端の一部の上に位置するシリコン・プローブ先端とを備え、
カンチレバー・プローブのバッチ内のカンチレバー・アームの厚さの分類されていないばらつきは+/−5%であり、カンチレバー・プローブのバッチ内の生産歩留りは90%より大きいバッチ。
発明概念50. カンチレバー・アームは、シリコンから形成される、発明概念49に記載のカンチレバー・プローブのバッチ。
発明概念51. カンチレバー・アームは、シリコン窒化膜から形成される、発明概念49に記載のカンチレバー・プローブのバッチ。
発明概念52. プローブ先端は、カンチレバー・アームに直交して向けられた、カンチレバー・アームの遠位端に位置する直交面を含むと共に、直交面に位置する頂点をさらに含む、発明概念49に記載のカンチレバー・プローブのバッチ。
発明概念53. カンチレバー・アームは、5〜30ミクロンの長さと、1〜15ミクロンの最大幅とを有する、発明概念49に記載のカンチレバー・プローブのバッチ。
発明概念54. カンチレバー・アームは長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームは、遠位端のフェース部と、フェース部とベース部の間の、フェース部より小さい幅寸法を有するネック部とを含むパドル外形を有する、発明概念49に記載のカンチレバー・プローブのバッチ。
発明概念55. カンチレバー・アームは長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームは、ネック部と、ショルダ部とを含み、ショルダ部は、カンチレバー・アームの近位端に位置すると共にベース部の周囲を越えて遠位方向に突出し、ネック部は、ショルダ部よりも実質的に小さい幅寸法を有する、発明概念49に記載のカンチレバー・プローブのバッチ。
発明概念56. ハンドル部、カンチレバー・アーム、及びプローブ先端からそれぞれなるカンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程であって、
バッチのカンチレバー・プローブごとのハンドル部のための材料を含む第1の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのカンチレバー・アームのための材料を含む第2の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのプローブ先端のための材料を含む第3の層とを含む多層複合ウェハを得ることと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー先端を同時に形成するように、第1のセットのエッチ動作で第3の層から余分な材料を除去することと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー・アームを同時に形成するように、第2のセットのエッチ動作で第2の層から余分な材料を除去することと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のハンドル部を同時に形成するように、第3のセットのエッチ動作で第1の層から余分な材料を除去することと、
からなり、
第1の層、第2の層、及び第3の層の各々から余分な材料を除去することにより、長さが5〜30ミクロンであり、幅が2〜15ミクロンであり、厚さが30〜300ナノメートルである寸法を有する個々のカンチレバー・プローブを形成することになり、カンチレバー・アームの厚さは、第1、第2、及び第3の各エッチング動作の継続期間には依存しないカンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程。
発明概念57. カンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程により生産される、ハンドル部と、カンチレバー・アームと、プローブ先端とからなるカンチレバー・プローブであって、上記工程が、
バッチのカンチレバー・プローブごとのハンドル部のための材料を含む第1の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのカンチレバー・アームのための材料を含む第2の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのプローブ先端のための材料を含む第3の層とを含む多層複合ウェハを得ることと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー先端を同時に形成するように、第1のセットのエッチ動作で第3の層から余分な材料を除去することと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー・アームを同時に形成するように、第2のセットのエッチ動作で第2の層から余分な材料を除去することと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のハンドル部を同時に形成するように、第3のセットのエッチ動作で第1の層から余分な材料を除去することと、
からなり、
第1の層、第2の層、及び第3の層の各々から余分な材料を除去することにより、長さが5〜30ミクロンであり、幅が2〜15ミクロンであり、厚さが30〜300ナノメートルである寸法を有する個々のカンチレバー・プローブを形成することになり、カンチレバー・アームの厚さは、第1、第2、及び第3の各エッチング動作の継続期間には依存しないカンチレバー・プローブ。
発明概念58. カンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程により生産される、ハンドル部と、カンチレバー・アームと、プローブ先端とからなるカンチレバー・プローブであって、上記工程が、
バッチのカンチレバー・プローブごとのハンドル部のための材料を含む第1の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのカンチレバー・アームのための材料を含む第2の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのプローブ先端のための材料を含む第3の層とを含む多層複合ウェハを得ることと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー先端を同時に形成するように、第1のセットのエッチ動作で第3の層から余分な材料を除去することと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のカンチレバー・アームを同時に形成するように、第2のセットのエッチ動作で第2の層から余分な材料を除去することと、
複数のカンチレバー・プローブの複数のハンドル部を同時に形成するように、第3のセットのエッチ動作で第1の層から余分な材料を除去することと
からなり、
第1の層、第2の層、及び第3の層の各々から余分な材料を除去することにより、カンチレバー・アームが0.1〜1N/mのバネ定数を有し、カンチレバー・アームと先端の組み合わせは、100kHz〜10MHzの共振周波数を有する個々のカンチレバー・プローブを形成することになるカンチレバー・プローブ。
発明概念59. カンチレバー・プローブのバッチを同時に製造する工程により生産される、ハンドル部と、カンチレバー・アームと、プローブ先端構造とからなるカンチレバー・プローブであって、上記工程が、
バッチのカンチレバー・プローブごとのプローブ先端構造のための材料を含む第1の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのカンチレバー・アームのための材料を含む第
2の層と、バッチのカンチレバー・プローブごとのハンドル部のための材料を含む第3の層とを備える多層複合構造を得ることからなり、
バッチのカンチレバー・プローブごとに、
第1の層の一部を除去し、多層構造の層に直交して向けられている第1の層の直交面を露出させるように、高いアスペクト比の異方性エッチングを実行し、
露出した直交面の上に直交保護層を形成し、
第2の層から離れるように向いている鋭い点を有するプローブ先端構造を形成するように等方性エッチングを用いて第1の層から追加の材料を選択的に除去し、直交保護層が等方性エッチング中に直交面を保存し、
その後に、第1の層の直交面を露出させるように直交保護層を除去し、直交面は、プローブ先端構造の頂点を含む、カンチレバー・プローブ。
発明概念60. ハンドル部と、ハンドル部の上に位置する近位端及びハンドル部の周囲を越えて突出する遠位端を有するカンチレバー・アームと、カンチレバー・アームの遠位端に近くに位置するプローブ先端構造とからなる改良されたカンチレバー・プローブであって、
カンチレバー・アームは、近位端と遠位端の間の長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームは、遠位端のフェース部と、フェース部とベース部の間の、フェース部より小さい幅寸法を有するネック部とを含むパドル外形を有する改良されたカンチレバー・プローブ。
発明概念61. ハンドル部と、ハンドル部の上に位置する近位端及びハンドル部の周囲を越えて突出する遠位端を有するカンチレバー・アームと、カンチレバー・アームの遠位端に近くに位置するプローブ先端構造とからなる改良されたカンチレバー・プローブであって、改良は、
カンチレバー・アームが近位端と遠位端の間の長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、長さ寸法及び幅寸法により定められた基準面内で、カンチレバー・アームが、ネック部と、ショルダ部とを含み、ショルダ部が、カンチレバー・アームの近位端に位置すると共にベース部の周囲を越えて遠位方向に突出し、ネック部が、ショルダ部よりも実質的に小さい幅寸法を有する、改良されたカンチレバー・プローブ。
結論
上述した各実施形態及び各発明概念は、例示であり、限定であることは意図されない。追加の実施形態は特許請求の範囲内である。加えて、本発明の各態様は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、特許請求の範囲により定められるので、本発明の範囲から逸脱せずに形態及び細部の変更がなされ得ることを当業者は理解されよう。
当業者は、本発明は、上記の個々の実施形態に示されたものより少ない特徴をからなってもよいことを理解されよう。本明細書に記載の実施形態は、本発明の様々な特徴を得ることができるやり方の網羅的な表示であることを意味するものではない。したがって、実施形態及び発明概念は、相互に排他的な特徴の組み合わせではなく、むしろ、本発明は、当業者により理解されるように、相互に排他的でない限りにおいて、様々な個々の実施形態又は発明概念から選択される様々な個々の特徴の組み合わせからなり得る。

Claims (24)

  1. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)カンチレバーの製造に使用される多層構造を形成するための方法において、
    第1の基板及び第2の基板を設ける工程と、
    第1の分離層及び第2の分離層を設ける工程であって、前記第1の分離層及び前記第1の基板は差別的にエッチング可能であり、前記第2の分離層及び前記第2の基板は差別的にエッチング可能である、第1の分離層及び第2の分離層を設ける工程と、
    前記第1の分離層と前記第2の分離層の間に位置するように、前記第1の分離層及び前記第2の分離層に対して差別的にエッチング可能な内側層を設ける工程と、
    前記内側層が、前記第1の分離層及び前記第2の分離層によりそれぞれ前記第1の基板及び前記第2の基板から隔てられるように、前記第1の分離層と前記第2の分離層の間に前記内側層を位置させることを含む前記多層構造を組み立てる工程と
    を備える、方法。
  2. 第1の基板及び第2の基板を設ける工程では、前記第1の基板及び前記第2の基板がシリコンからそれぞれ形成される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記内側層を設ける工程が、前記第1の分離層又は前記第2の分離層の少なくとも1つの上に窒化シリコンの薄膜を堆積させる工程を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記内側層を設ける工程は、30nm〜300nmの厚さを有するシリコンの層を形成する工程を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記内側層を設ける工程は、30nm〜100nmの厚さを有するシリコンの層を形成する工程を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記多層構造を前記組み立てる工程は、ウェハ規模動作を行う工程を含み、前記多層構造がウェハ規模構造である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記多層構造を組み立てる工程の前に、前記第1の基板と前記内側層の間に位置する1組の導電性パッドを形成する工程であって、前記導電性パッドの各1つが、前記第1の基板から形成される対応するプローブ先端と前記内側層から形成される対応するカンチレバー・アームとの間の電気接続を与えるように配置される1組の導電性パッドを形成する工程をさらに備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記多層構造を組み立てる工程の後、前記第1の基板の一部を除去し、前記多層構造の層に直交して向けられている前記第1の基板の直交面を露出させるように高いアスペクト比の異方性エッチングを実行する工程と、
    前記露出した直交面の上に直交保護層を形成する工程と、
    前記第1の分離層から離れるように向いている鋭い点を有するプローブ先端構造を形成するために等方性エッチングを用いて前記第1の基板から追加の材料を選択的に除去する工程であって、前記直交保護層が前記等方性エッチング中に前記直交面を保存する、前記第1の基板から追加の材料を選択的に除去する工程と、
    その後、前記プローブ先端構造の頂点を含む前記第1の基板の前記直交面を露出するように前記直交保護層を除去する工程と、
    をさらに備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記多層構造を組み立てた後に、
    前記内側層の前記第1の表面とは反対の第2の表面の別の層との接合を維持しつつ前
    記内側層の第1の表面を露出させるように前記第1の基板及び前記第1の分離層から材料を選択的に除去する工程と、
    その後、前記内側層の一部を除去して、そこからカンチレバー・アームを形成する工程と、
    その後、前記内側層の前記第2の表面を露出させるように前記第2の基板及び前記第2の分離層から材料を選択的に除去し、それにより前記カンチレバー・アームをリリースする工程と、
    をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法により構築される前記多層構造から形成した、走査型プローブ顕微鏡(SPM)と共に使用するようになされたカンチレバー・プローブであって、
    バルク半導体材料から形成されたベース部と、
    前記ベース部の上に位置する近位端、及び前記ベース部の周囲を越えて突出する遠位端を有するカンチレバー・アームと、
    前記ベース部と前記カンチレバー・アームの近位端との間に位置する、前記カンチレバー・アーム及び前記ベース部に対して差別的にエッチング可能な下分離層と、
    前記カンチレバー・アームの遠位端の一部の上に位置するプローブ先端と、
    前記プローブ先端と前記カンチレバー・アームの間に位置する、前記カンチレバー・アームに対して差別的にエッチング可能な上分離層と
    からなるカンチレバー・プローブ。
  11. 前記プローブ先端は、バルク半導体材料から形成される、請求項10に記載のカンチレバー・プローブ。
  12. 前記プローブ先端は、前記カンチレバー・アームに直交して向けられた直交面を含むと共に、前記直交面に位置する頂点をさらに有する、請求項10又は11に記載のカンチレバー・プローブ。
  13. 前記直交面は、前記カンチレバー・アームの前記遠位端に位置する、請求項12に記載のカンチレバー・プローブ。
  14. 前記上分離層は、前記プローブ先端に対して差別的にエッチング可能である、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  15. 前記上分離層の少なくとも一部は、導電性材料から形成される、請求項10乃至14のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  16. 前記上分離層は、前記プローブ先端に融着される、請求項10乃至15のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  17. 前記上分離層は、半導体材料の層に成長した酸化物から形成され、後でそこから前記プローブ先端が形成される、請求項10乃至15のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  18. 前記上分離層は、半導体材料の層に成長した酸化物から形成され、後でそこから前記カンチレバー・アームが形成される、請求項10乃至15のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  19. 前記カンチレバー・アームは、半導体材料の単層を備える、請求項10乃至18のいず
    れか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  20. 前記カンチレバー・アームは、低応力窒化膜の単層を含む、請求項10乃至18のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  21. 前記カンチレバー・アームは、30nm〜300nmの厚さを有する、請求項10乃至20のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  22. 前記カンチレバー・アームは、5〜30ミクロンの長さと、2〜15ミクロンの間の最大幅とを有する、請求項10乃至21のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  23. 前記カンチレバー・アームは長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、前記長さ寸法及び前記幅寸法により定められた基準面内で、前記カンチレバー・アームは、前記遠位端のフェース部と、前記フェース部と前記ベース部の間の、前記フェース部より小さい幅寸法を有するネック部とを含むパドル外形を有する、請求項10乃至22のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
  24. 前記カンチレバー・アームは長さ寸法、幅寸法、及び厚さ寸法を有し、前記長さ寸法及び前記幅寸法により定められた基準面内で、前記カンチレバー・アームは、ネック部と、ショルダ部とを含み、前記ショルダ部は、前記カンチレバー・アームの前記近位端に位置すると共に前記ベース部の周囲を越えて遠位方向に突出し、前記ネック部は、前記ショルダ部よりも実質的に小さい幅寸法を有する、請求項10乃至23のいずれか1項に記載のカンチレバー・プローブ。
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