JP2015523698A - 最適な膜の電気化学的エネルギー貯蔵システム - Google Patents

最適な膜の電気化学的エネルギー貯蔵システム Download PDF

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Abstract

本発明は、イオン的に帯電したレドックス活性材料および分離器を含む水性レドックスフロー電池に関し、分離器は、約100μm以下であり、フロー電池は、(a)少なくとも約100mA/cm2の電流密度で少なくとも85%の電流効率で動作する:(b)少なくとも約100mA/cm2の電流密度で少なくとも60%の往復電圧効率で動作する:かつ/または(c)第1の活性材料、第2の活性材料、またはこれら双方について、約1?10−7mol/cm2‐sec以下の、分離器を通じた拡散速度を生じる、ことができる。

Description

開示の内容
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2012年12月19日出願の米国特許出願第61/739,140号および61/739,538号の優先権を主張する、2013年3月12日出願の米国特許出願第13/796,004号の一部継続出願である。本出願はまた、2012年12月19日出願の米国特許出願第61/739,145号、2012年12月18日出願の米国特許出願第61/738,546号、2012年8月15日出願の米国特許出願第61/683,260号、および2012年7月27日出願の米国特許出願第61/676,473号の優先権を主張する、2013年3月12日出願の米国特許出願第13/795,878号の一部継続出願である、2013年7月23日出願の米国特許出願第13/948,497号の一部継続出願である。これらの出願はそれぞれが、ありとあらゆる目的で参照により全体として本明細書に組み込まれる。
〔技術分野〕
この開示は、電気化学的エネルギー貯蔵システム、電池、ならびにそれらを動作させるフロー電池システムおよび方法を含む、エネルギー貯蔵システムの分野に関する。
〔背景〕
エネルギー貯蔵のための、安全で費用がかからず、使用しやすく、かつ信頼性のあるテクノロジーに対する長年にわたる必要性が存在する。大型のエネルギー貯蔵は、エネルギー供給の多様化、およびエネルギー網(energy grid)の最適化を可能にする。既存の再生可能エネルギーシステム(例えば太陽および風力に基づくシステム)は、エネルギー生産者が非化石燃料エネルギー源を調査するにつれて、拡大する名声(increasing prominence)を享受しているが、太陽光が利用できない場合、および風が吹いていない場合に、高品質エネルギー供給を保証するために貯蔵が必要である。
フロー電池などの電気化学的エネルギー貯蔵システムが、大型のエネルギー貯蔵のために提案されてきた。しかし、既存のフロー電池は、例えば、最適な分離器、エネルギーと電力との切り離し、システムのスケーラビリティ、往復エネルギー効率(round trip energy efficiencies)(RTEff)、サイクル寿命、および他の部分を含む、さまざまな性能およびコストの制約を受ける。
かなりの開発努力にもかかわらず、どのフロー電池テクノロジーも、システムの経済的な側面を不都合なものにしてしまう材料および工学的な障害のために、広範な商業利用を達成していない。したがって、当技術分野には、改善されたフロー電池に対する必要性がある。
分離器は、ナトリウムもしくはカリウムなどの可動イオンが、異なる電解質溶液間を流れることを可能にすると共に、バナジウムもしくは鉄などの活性材料の流れを制限する。フロー電池の電流効率は、活性材料の拡散的なクロスオーバー、活性材料の移動クロスオーバー(transference crossover)、電気的短絡(electrical shorting)、寄生性副反応、および分流を含む、さまざまな要因により、失われる。可動イオンの流れを最大にすると共に活性材料のクロスオーバーを最小化する、これまでの試みは、さまざまなタイプのポリマー、分離器厚さ、および他のさまざまな技術の使用を伴ってきた。本明細書に記載するのは、電流および電圧効率が最大化されると共に、分離器の厚さが所与の電流密度について最小になる、分離器に関連した問題に対する新しい解決策である。
〔概要〕
本発明はこれらの課題に取り組む。一実施形態では、本開示は、ある態様において、可逆な電気化学性および調節可能な(tunable)レドックス電位を示すレドックス活性部分、および水性の無害の電解質(benign electrolytes)を用いた、低コストエネルギー貯蔵を提供する。これは、高い電圧で動作する有効なセルを生じるために、電解質、分離器の厚さ、分離器の組成、活性材料、および電極組成を選択することで、達成される。
本発明のある実施形態は、フロー電池を提供し、各フロー電池は、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、分離器と、を含み、フロー電池は、少なくとも約90%の電圧効率で、少なくとも約100mA/cmの電流密度で動作することができ、分離器は、約100μm以下の厚さを有する。
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さの分離器と、を含み、少なくとも約60%の往復電圧効率で、少なくとも約100mA/cmの電流密度で動作することができる、フロー電池も提供される。
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さであり、第2の電解質から第1の活性材料の約98%を排除し、第1の電解質から第2の活性材料の約98%を排除することができる、分離器と、を含む、フロー電池がさらに提供される。
他の実施形態は、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さであり、第1および第2の活性材料にわたり1つの可動イオンについて約50〜約10の範囲で選択性を有することができる、分離器と、を含む、フロー電池を提供する。
追加の実施形態は、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さを有し、第1の活性材料、第2の活性材料、またはその両方について、約1×10-7mol/cm-秒以下となるよう、拡散速度を生じさせることができる、分離器と、を含む、フロー電池を提供する。
他の実施形態は、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さの分離器と、を含む、フロー電池を提供し、分離器は、多孔質膜であり、フロー電池は、85%超の電流効率で、約100mA/cm超の電流密度で動作することができる。
さらなる実施形態は、フロー電池を提供し、これは、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質であって、第1の活性材料が正味のイオン電荷(net ionic charge)を有する、第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質であって、第2の活性材料が正味のイオン電荷を有する、第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さの分離器と、を含み、分離器は、アイオノマー膜を含み、第1の活性材料、第2の活性材料、またはこれら双方の活性材料の正味のイオン電荷は、アイオノマー膜のものと一致し、フロー電池は、少なくとも90%の電流効率で、少なくとも約100mA/cmの電流密度で動作することができる。
他の実施形態は、フロー電池を提供し、これは、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さの分離器と、を含み、分離器は、複数の層を有し、少なくとも1つの層は、イオン伝導が可能であり、少なくとも1つの他の層は、選択的イオン輸送が可能であり、フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも約90%の電流効率で、動作することができる。
さらなる実施形態は、フロー電池を提供し、これは、第1の電解質と、第2の電解質と、約100μm以下の厚さを有し、第1の電解質と第2の電解質とを流体分離させると共に、少なくとも1つの可動イオンのイオン伝導を可能にするようにフロー電池内部に配された、分離器と、を含み、約1mA/cm以下までの短絡(shorting)に起因するクーロン効率損失により特徴づけられる。
さらなる実施形態は、フロー電池を提供し、これは、第1の活性材料を含む水溶液を含む負の電解質と、第1の活性材料とは異なる第2の活性材料を含む水溶液を含む正の電解質と、約10μmより薄く、負の電解質と正の電解質とを流体分離すると共に可動イオンのイオン伝導を可能にするようにフロー電池内部に配される、分離器と、を含む。
他の実施形態は、フロー電池を提供し、これは、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さの分離器と、を含み、フロー電池は、少なくとも約30Wh/Lのエネルギー密度で動作することができる。
さらなる実施形態は、フロー電池を提供し、これは、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、約100μm以下の厚さの分離器と、を含み、第1の電解質、第2の電解質、またはこれら双方の電解質は、約1〜約13の範囲のpHを有する。
さらに他の実施形態は、フロー電池を提供し、これは、少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、第1の水性電解質と接触している第1の電極と、第2の水性電解質と接触している第2の電極と、連続膜を含む分離器と、を含む。
本出願は、添付図面と併せて読めば、さらに理解される。主題を例示する目的で、図面には、主題の例示的な実施形態が図示されるが、現在開示される主題は、開示される特定の方法、装置、およびシステムに制限されない。加えて、図面は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
本開示は、添付の図面および実施例と共に読まれる、以下の説明を参照することで、より容易に理解されるであろう。説明、図面および実施例はすべて、本開示の一部を形成する。本開示は、本明細書に記載および/または図示される特定の製品、方法、条件またはパラメータに制限されないこと、ならびに、本明細書で使用される用語は、ほんの一例として特定の実施形態を説明する目的のものであり、主張する開示を制限することは意図していないことが、理解される。同様に、特に明記されない限り、可能な機構または作用様式または改善の理由に関するあらゆる説明は、例示的であるにすぎないことが意図されており、本発明は、そのような示唆される機構または作用様式または改善の理由の正確さまたは不正確さに束縛されるものではない。本文書全体にわたり、説明は、装置およびシステムを操作する方法と、その方法をもたらす装置およびシステムと、の両方に言及することが認識される。すなわち、開示がフロー電池を操作する1つもしくは複数の方法を説明および/または主張する場合、これらの説明および/または主張は、それらの方法を達成するための装置、機器、またはシステムも説明および/または主張していることが、認識される。
本開示では、単数形「a」、「an」および「the」は、複数のものへの言及も含み、特定の数値への言及は、文脈で明らかに別のことを示していない限り、少なくともその特定の値を含む。よって、例えば、「材料(a material)」への言及は、当業者に既知のそのような材料およびそれらの等価物などのうちの少なくとも1つへの言及である。
値が記述子「約」を用いて近似値として表わされる場合、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。概して、用語「約」の使用は、開示される主題により得ようとする所望の特性に応じて変化できる近似値を示し、その機能に基づいて、その語が使用される特定の文脈で解釈されるべきものである。当業者は、これを、いつものこととして解釈できるだろう。場合によっては、特定の値に使用される有効桁数は、単語「約」の範囲を決定する1つの非制限的方法となり得る。他の場合、一連の値において使用されるグラデーション(gradations)は、各値で用語「約」に利用可能な意図される範囲を決定するのに使用され得る。存在する場合、すべての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。すなわち、範囲において述べる値への言及は、その範囲内のすべての値を含む。
明瞭性のために別々の実施形態の文脈で本明細書に記載される、本発明のある特徴は、単一の実施形態で、組み合わせて提供され得ることが、理解される。すなわち、明らかに不適合でないか、または特に排除されていなければ、個々の実施形態はそれぞれ、任意の他の実施形態と組み合わせ可能であるとみなされ、そのような組み合わせは、別の実施形態と考えられる。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載される、本発明のさまざまな特徴は、別々に、または任意の部分的組み合わせで、提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部またはより一般的な構造の一部として記載され得るが、各工程は、それ自体、独立した実施形態と考えることもできる。
電気化学的エネルギー貯蔵システムは、典型的には、電気エネルギーおよび化学エネルギーの相互変換を通じて動作する。電気化学的エネルギー貯蔵システムのさまざまな実施形態は、電池、コンデンサ、可逆性燃料電池などを含み、本発明は、これらのシステムのうちの任意の1つまたは組み合わせを含み得る。
エネルギー貯蔵材料および膜/電流コレクタのエネルギー変換要素が単一の組立体で使用される、典型的な電池テクノロジー(例えばLi‐イオン、Ni‐金属水酸化物、鉛酸など)とは異なり、フロー電池は、本明細書中別の場所でさらに詳細に説明する、例示的な図1にあるように、レドックス活性エネルギー貯蔵材料を、貯蔵タンクから、電気化学的スタックを通じて、(例えばポンプ作用により)輸送する。この設計特徴により、電気エネルギー貯蔵システム電力(kW)がエネルギー貯蔵容量(kWh)から切り離され、かなりの設計の融通性およびコストの最適化が可能となる。
本開示によるフロー電池は、第1の水性電解質と接触する負の電極を含む第1のチャンバと、第2の水性電解質と接触する正の電極を含む第2のチャンバと、第1の電解質と第2の電解質との間に配される分離器と、の観点で述べることもできる。電解質チャンバは、セル内部に別々の貯蔵部を提供し、この貯蔵部を通って、第1および/または第2の電解質が流れ、それぞれの電極および分離器に接触する。各チャンバと、それに関連する電極および電解質とは、その対応する半電池を画定する。分離器は、いくつかの機能を提供し、その機能には、例えば(1)第1および第2の電解質の混合に対するバリアとして役立つこと;(2)正の電極と負の電極との間の短絡を低減または防止するために電子的に絶縁すること;(3)正の電解質チャンバと負の電解質チャンバとの間にイオン輸送をもたらし、これにより、充電および放電サイクル中の電子輸送のバランスを取ること、が含まれる。負および正の電極は、充電および放電中に電気化学的反応のための表面をもたらす。充電または放電サイクル中、電解質は、別々の貯蔵タンクから、対応する電解質チャンバを通って輸送され得る。充電サイクルでは、電力がシステムに加えられ、第2の電解質に含まれる活性材料が、1または複数電子酸化(one-or-more electron oxidation)を受け、第1の電解質中の活性材料は、1または複数電子還元(one-or-more electron reduction)を受ける。同様に、放電サイクルでは、第2の電解質が還元され、第1の電解質が酸化されて、電力を生成する。
この点に対し、さまざまな実施形態が、個々のフロー電池の観点から主に説明されている。可能な場合、この説明は、特定の特徴で動作しているか、または動作することのできるフロー電池を含むものとして読まれるべきであることを、理解されたい。同様に、この説明は、本明細書に記載するフロー電池のうち少なくとも2つを含む、フロー電池のシステムを含むものとして読まれるべきである。
例示的なフロー電池が図1に示される。この図面に示すように、フロー電池システムは、電気化学的セルを含んでよく、これは、電気化学的セルの2つの電極を分離する分離器20(例えば膜)を特徴とする。電極10は、適切には、金属、炭素、グラファイトなどといった、導電性材料である。タンク50が、第1のレドックス材料30を収容でき、この材料は、酸化状態と還元状態との間で循環することができる。
ポンプ60は、タンク50から電気化学的セルへの第1の活性材料30の輸送に影響を及ぼし得る。フロー電池はまた、適切には、第2の活性材料40を収容する第2のタンク(標識せず)を含む。第2の活性材料40は、活性材料30と同じであっても、同じでなくてもよい。第2のポンプ(標識せず)は、電気化学的セルへの第2のレドックス材料40の輸送に影響を及ぼし得る。これらのポンプは、電気化学的セルからシステムのタンクへの活性材料の輸送に影響を及ぼすために使用されることもできる。流体の輸送に影響を与える他の方法、例えばサイフォン、が、レドックス材料を電気化学的セル内へ出し入れするのに使用されてもよい。また、電源または電源負荷70も示されており、これは、電気化学的セルの回路を完成させ、ユーザーが、セルの動作中に電気を収集するか、または蓄えることを可能にする。
図1は、フロー電池の特定の非限定的実施形態を描いていることを理解されたい。したがって、本開示による装置は、図1に描いたシステムの態様のすべてを含んでも、含まなくてもよい。一実施例として、本開示によるシステムは、溶液に溶解した1つの固体、液体、もしくは気体および/または複数の固体、液体、もしくは気体である活性材料を含み得る。活性材料は、タンクに、大気にさらされている容器に蓄えられるか、または、単に大気に通気されることができる。
いくつかの場合、ユーザーは、単一の電池から利用可能であるよりも高い充電または放電電圧を提供することを望む場合がある。そのような場合、およびある実施形態では、いくつかの電池が直列に接続され、各セルの電圧が加法的(additive)となる。導電性であるが無孔の材料(例えばバイポーラー板)が、隣接する電池セルを、バイポーラースタックにして接続するのに使用されてよく、これにより、電子輸送が可能となるが、隣接するセル間の流体または気体の輸送は妨げられる。個々のセルの正の電極コンパートメントおよび負の電極コンパートメントは、適切には、そのスタックにおける共通の正および負の流体マニホールドを介して、流体接続される。このように、個々の電気化学的セルは、直列に積み重ねられて、DC適用、またはAC適用の変換に適切な電圧を与えることができる。
スタック内のセルのある領域は、有用な装置ではおよそ200〜6000cmの実際的な面積を有する、より大きなセルの差分要素(differential element)(例えば2〜60cm)を表わす。この差分要素は、正および負の活性材料および電解質の濃度、電圧、ならびに電流密度を含む、その面積にわたる均一な条件によって特徴づけられる。セルは、活性材料および電解質の濃度、電圧、ならびに電流密度に不均一性が存在し得る、前述した活性面積範囲全体により表わされる。
追加の実施形態では、セル、セルスタック、または電池は、より大きなエネルギー貯蔵システムに組み込まれ、このシステムは、適切には、これらの大きなユニットの動作に有用なパイプおよび制御装置を含む。このようなシステムに適切なパイプ、制御装置、および他の機器は、当技術分野では既知であり、例えば、充電および放電された電解質を保持するそれぞれのチャンバおよび貯蔵タンクに電解質を出入りさせるそれぞれの電気化学的反応チャンバと流体連通している、パイプおよびポンプを含む。本開示により説明されるエネルギー貯蔵および生成システムは、電解質循環ループも含んでよく、このループは、1つまたは複数のバルブ、1つまたは複数のポンプ、およびオプションとして、均圧ラインを含み得る。本開示のエネルギー貯蔵および生成システムは、動作管理システムも含んでよい。動作管理システムは、コンピュータもしくはマイクロプロセッサなどの任意の適切なコントローラ装置であってよく、さまざまなバルブ、ポンプ、循環ループなどのいずれかの動作を設定する論理回路を含むことができる。
適切なフロー電池システムは、フロー電池(セルもしくはセルスタックを含む);電解質を収容および輸送するための貯蔵タンクおよびパイプ;制御ハードウェアおよびソフトウェア(安全システムを含み得る);電力調節ユニットを含むことができる。フロー電池のセルスタックは、充電サイクルおよび放電サイクルの変換を達成し、エネルギー貯蔵システムのピーク電力を決定し、この電力は、いくつかの実施形態では、kW範囲であってよい。貯蔵タンクは、正および負の活性材料を収容し、タンク容量が、kWhで測定され得る、システムに蓄えられたエネルギーの量を決定する。制御ソフトウェア、ハードウェア、およびオプションの安全システムは、適切には、フロー電池のエネルギー貯蔵システムの安全で自律的かつ効率的動作を保証するために、センサ、緩和機器、および他の電子/ハードウェア制御装置および安全装置を含む。このようなシステムは、当業者には既知である。電力調節ユニットが、エネルギー貯蔵システムの前端部で使用されて、入ってくる電力および出ていく電力を、エネルギー貯蔵システムもしくは適用に最適な電圧および電流に変換することができる。電力系統に接続されたエネルギー貯蔵システムの実施例では、充電サイクルにおいて、電力調節ユニットは、電気化学的スタックに適切な電圧および電流で、入ってくるAC電気をDC電気に変換する。放電サイクルでは、このスタックは、DC電力を生成し、電力調節ユニットは、送電網適用(grid applications)に適切な電圧および周波数で、AC電力に変換する。
本開示のエネルギー貯蔵システムは、いくつかの実施形態では、数時間継続する、持続した充電または放電サイクルに適している。したがって、本開示のシステムは、エネルギー供給/需要プロファイルを平滑化し、(例えば再生可能エネルギー源からの)断続的な電力生成資源を安定化させる機構を提供するのに使用され得る。本開示のさまざまな実施形態は、このような長い充電または放電持続時間が有益である、電気エネルギー貯蔵適用を含むことを理解されたい。例えば、このような適用の非限定的な実施例には、再生可能エネルギー源の統合(renewables integration)、ピーク負荷の変化、送電網の安定化(grid firming)、ベースロード電力生成消費、エネルギー裁定取引、伝送および流通資産据え置き(transmission and distribution asset deferral)、弱い送電網支持(weak grid support)、周波数調整、またはこれらの任意の組み合わせを可能とするように、本開示のシステムが電力系統(electrical grid)に接続されたものが含まれる。本開示によるセル、スタック、またはシステムは、例えば離れた陣営(remote camps)、前線基地、自家発電の電気通信(off-grid telecommunications)、遠隔センサ、またはこれらの任意の組み合わせのための電源として、送電網または微細送電網(micro-grid)に接続されない適用のために安定した電力を供給するために使用されることもできる。
フロー電池エネルギー貯蔵効率は、活性材料の往復DC−DCエネルギー効率(RTEFF)およびエネルギー密度(Wh/Lで測定)の双方により決定される。RTEFFは、電池の充電サイクルおよび放電サイクル双方の電圧および電流効率の合成物である。電気化学的装置では、電圧および電流効率は、電流密度の関数であり、電圧および電流効率は典型的には電流密度(mA/cm)が増大するにつれて減少するが、高い電流密度は、所与の電力定格を達成するのに使用される電気化学的スタックサイズ/コストを減少させるのにしばしば望ましい。活性材料のエネルギー密度は、セルのOCV(OCV=開路電圧)、活性種の濃度、および活性種1モル当たりに伝達される電子の数に正比例する。高いエネルギー密度が、所与の量の蓄積エネルギーに必要な活性材料の容量を減らすのに、望ましい。
本明細書に記載されるさまざまな実施形態が、フロー電池システムについて記載されているが、同じ戦略、デザイン、化学的実施形態、およびこれらの組み合わせが、ハーフセルの一方または両方が不動の電解質を利用するものを含む、不動(非流動)の電気化学的セル、電池、またはシステムと共に利用されてもよいことを、理解されたい。これらの実施形態はそれぞれ、本発明の範囲内と考えられる。
〔用語〕
本明細書全体にわたり、単語には、当業者に理解されるような、通常の意味が与えられる。しかしながら、誤解を避けるために、特定の用語の意味を、具体的に定義または明瞭化する。
用語「活性材料」は、電気化学および電気化学的エネルギー貯蔵の分野の当業者には周知であり、システムの動作中に酸化状態の変化を受ける材料を指すことを意味している。活性材料は、溶液中に溶解した1つの固体、液体、もしくは気体および/または複数の固体、液体、もしくは気体を含み得る。ある実施形態では、活性材料は、溶液中に溶解した分子および/または超分子を含む。本発明により記載される物質の組成物を含む活性材料は、正のカップルおよび負のカップルを形成するために他の活性材料と対になるように、エネルギー貯蔵システムにおいて使用されてよく、この他の活性材料は、可溶物、半固体、インターカレーション、容量性もしくは擬似容量性、かつプレーティングタイプの活性材料を含め、本発明により説明されるか、または、当技術分野で既に知られているか、または、それらの組み合わせである。分子の濃度は、2M超、1〜2M、約1.5M、0.5M〜1M、または約0.5M以下であってよい。別個の実施形態は、約5M、約4M、約3M、約2.5M、または約2Mの上限濃度(upper concentrations)を提供する。
適切な活性材料は、電気化学および無機化学の分野の当業者には既知である、「金属リガンド配位化合物」を含み得る。金属リガンド配位化合物は、原子もしくは分子に結合した金属イオンを含み得る。結合原子もしくは分子は、「リガンド」と呼ばれる。ある非限定的な実施形態では、リガンドは、C、H、Nおよび/またはO原子を含む分子を含み得る。言い換えれば、リガンドは、有機分子を含み得る。本開示の金属リガンド配位化合物は、水、水酸化物、またはハロゲン化物(F、Cl、Br、I)ではない少なくとも1つのリガンドを含むことが理解される。
金属リガンド配位化合物は、「レドックス活性金属イオン」および/または「レドックス不活性金属イオン」を含み得る。用語「レドックス活性金属イオン」は、金属が使用条件下で酸化状態の変化を受けることを含意することが意図されている。本明細書で使用される用語「レドックス不活性」金属イオンは、金属が使用条件下で酸化状態の変化を受けないことを含意することが意図される。金属イオンは、例えばAl、Ca、Co、Cr、Sr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、Zn、Zr、Vまたはこれらの組み合わせの、0価でない塩(non-zero valence salts)を含み得る。熟練した職人であれば、所与の0価でない金属が、所定の電解質環境下でレドックス活性または不活性である状況を認識することができるであろう。特定の実施形態では、第1のレドックス活性材料、第2のレドックス活性材料、または第1および第2双方のレドックス活性材料は、M(L1)(L2)(L3) を含む式を有する金属リガンド配位錯体を含み、
Mは、Al、Ca、Ce、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Sn、Ti、W、Zn、またはZrであり、
L1、L2およびL3はそれぞれ独立して、アスコルベート、カテコレート、シトレート、グリコレートまたはポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはグリセロールから得られるリガンドを含む)、グルコネート、グリシネート、α-ヒドロキシアルカノエート(例えばグリコール酸からのα-ヒドロキシアセテート)、β-ヒドロキシアルカノエート、γ-ヒドロキシアルカノエート、マレート(malate)、マレアート、フタラート、ピロガレート(pyrogallate)、サルコシネート(sarcosinate)、サリチレート、またはラクテートであり、
x、y、およびzは独立して、0、1、2、または3であり、1≦x+y+z≦3であり、
mは、+1、0、−1、−2、−3、−4、または−5である。関連実施形態および独立した実施形態は、(a)x=3、y=z=0である;(b)x=2、y=1、z=0である;(c)x=1、y=1、z=1である;(d)x=2、y=1、z=0である;(e)x=2、y=z=0である;または(f)x=1、y=z=0であるものを定める。個々の好適な実施形態では、Mは、Al、Cr、Fe、またはTiであり、x+y+z=3である。
他の特定の実施形態では、第1のレドックス活性材料、第2のレドックス活性材料、または第1および第2双方のレドックス活性材料は、例えば、クロム、鉄、マンガン、モリブデン、もしくはルテニウム、好ましくはクロム、鉄、もしくはマンガンヘキサシアニド、例えばフェリシアニドもしくはフェロシアニドを含む、ヘキサシアニド金属リガンド配位錯体を含む。
他の実施形態では、活性材料は、「有機活性材料」を含み得る。有機活性材料は、遷移金属イオンを含有しない分子または超分子を含み得る。有機活性材料は、水溶液に溶解した分子または超分子を含むことを意味することが、さらに理解される。そして、有機活性材料は、電気化学的エネルギー貯蔵システムの動作中に酸化状態の変化を受けることができる。この場合、分子または超分子は、システムの動作中に電子を受け入れるか、または提供することができる。
別段指定のない限り、用語「水性(aqueous)」は、溶媒の総重量に対し、少なくとも約98重量%の水を含む溶媒系を指す。いくつかの適用では、可溶性、混和性、または部分的に混和性の(界面活性剤もしくは他のもので乳化された)共溶媒も、有用に存在することができ、これは、例えば、水の流動性の範囲を延ばす(例えばアルコール/グリコール)。特定される場合、追加の独立した実施形態は、「水性」溶媒系が、溶媒全体に対して、少なくとも約55%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約75wt%、少なくとも約80%、少なくとも約85wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%の水を含むものを含む。場合によっては、水性溶媒は、本質的に水からなってよく、共溶媒または他の種を実質的に含まないか、または完全に含まなくてよい。溶媒系は、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%の水であってよく、いくつかの実施形態では、共溶媒または他の種を含まない。
以下に記載するレドックス活性材料に加え、水性電解質は、追加の緩衝剤、支持電解質、粘度調整剤、湿潤剤などを含有し得る。
用語「バイポーラー板」は、セルスタックにおいて電気化学的セルを分離するのに役立ち得る、導電性で、実質的に無孔の材料を指し、これにより、セルは、直列に接続されて、セル電圧はセルスタックにわたり加法的となる。バイポーラー板は2つの表面を有し、バイポーラー板の1つの表面は、1つのセルにおける正の電極および隣接するセルにおける負の電極の基板として役立つ。バイポーラー板は、典型的には、炭素、および炭素含有複合材料を含む。
用語「セル外形(cell geometry)」は、電気化学の分野の当業者に周知であり、フロー電池の外側の物理的構造(over physical construction)を指す。
用語「セルの機械的負荷(cell mechanical loading)」は、電気化学の分野の当業者に周知であり、個々のフロー電池セルにおいて経験されるか、または、セルのスタックにおける個別のセルごとに平均に基づいた、機械的圧縮の度合いを指す。機械的圧縮の度合いは、通常、psiで測定する。
用語「セル電位」は、電気化学の分野の当業者には容易に理解されるものであり、動作中の電気化学的セルの電圧であると定義される。セル電位は、式1によりさらに定義され得:
Figure 2015523698
式中、OCVは、「開路電位」であり、
Figure 2015523698
は、所与の電流密度での、正および負の電極それぞれの過電位であり、
iRは、組み合わせられた全セル抵抗と関連する電圧損失である。「開路電位」またはOCVは、式2に従って容易に理解されることができ:
OCV=E−E (2)
式中、EおよびEは、正および負の電極それぞれで生じるレドックス反応の「半電池電位」である。半電池電位は、周知のネルンスト式3によりさらに説明されることができ:
E=E−RT/nF ln(Xred/Xox) (3)
式中、Eは、目的のレドックスカップル(例えば正または負の電極)の標準還元電位であり、Rは、一般気体定数であり、Tは温度であり、nは、目的のレドックスカップルで移動する電子の数であり、Fはファラデー定数であり、Xred/Xoxは、電極における還元種と酸化種との割合である。
電池システムのOCVは、第1の電極と第2の電極との間の電流の流れが0に等しい場合、標準的技術を用いることで、測定され得る。この状態では、第1の電極と第2の電極との間の電圧差が、OCVに対応する。電池システムのOCVは、このシステムの充電状態(SOC)によって決まる。任意の理論の正確さに束縛されるつもりはないが、理想的な電池のOCVは、ネルンスト式(前記の式4)に従って充電状態と共に変化するであろう。本出願における単純化のために、すべてのOCVは、50%のSOCでの値を基準とする。当業者は、より高いSOCで、電池のOCVが、50%のSOCでの値より増大し、より低いSOCで、OCVが減少するであろうことを、認識するだろう。
用語「電荷(charge)」は、活性材料またはアイオノマー部分と関連する「正味の電荷」または総電荷を指す。
用語「電流密度」は、電気化学の分野の当業者に周知であり、セルの電極の幾何学的エリアにより分割された電気化学的セル内を通る総電流を指し、一般的に、mA/cmの単位で報告される。本発明のある実施形態では、電流密度は、約50mA/cmから、約100mA/cmから、または約200mA/cmから、約200mA/cmまで、約300mA/cmまで、約400mA/cmまで、または約500mA/cmまで、の範囲であり得、これらの範囲は、「少なくとも100mA/cm」を提供するとして言及される実施形態にも当てはまり得る。
用語「電流効率」(IEFF)は、システムの放電時に生成される総電荷と、充電時に通過する総電荷との割合として説明され得る。いくつかの実施形態では、放電の際に生成されるか、または充電時に通過する電荷は、当業者には周知の標準的な電気化学的クーロン計数技術を用いて測定され得る。任意の理論の制限により束縛されるつもりはないが、電流効率は、フロー電池の充電状態の関数であってよい。いくつかの非制限的な実施形態では、電流効率は、約35%〜約60%のSOC範囲にわたって評価され得る。
用語「拡散媒体特性(diffusion media properties)」は、電気化学の分野の当業者に周知であり、材料の特性を指し、この材料は、イオンまたは分子をその材料にわたり拡散させるというものである。
用語「エネルギー密度」は、活性材料において単位体積当たりで蓄積され得るエネルギーの量を指す。本明細書で使用されるエネルギー密度は、エネルギー貯蔵の理論上のエネルギー密度を指し、式4により計算され得:
エネルギー密度=(26.8A−h/mol)×OCV×[e] (4)
式中、OCVは、前記で定めたとおり、50%の充電状態での開路電位であり、(26.8A−h/mol)は、ファラデー定数であり、[e]は、99%の充電状態で活性材料に蓄積された電子の濃度である。活性材料が正および負の電解質の双方について、原子種または分子種を主に含む場合、[e]は、次のように計算され得:
[e]=[活性材料]×n/2 (5)
式中、[活性材料]は、負または正の電解質の活性材料の濃度(mol/LもしくはM)の、どちらか小さいほうであり、nは、活性材料の1つの分子当たりに移動する電子の数である。関連する用語「電荷密度」は、各電解質が含有し得る電荷の総量を指す。所与の電解質について以下であり:
電荷密度=(26.8A−h/mol)×[活性材料]×n (6)
式中、[活性材料]およびnは、前記で定めたとおりである。
用語「エネルギー効率」は、システムの放電時に生成される総エネルギーと、充電時に消費される総エネルギーとの割合として説明され得る。エネルギー効率(RTEFF)は、式7により算出され得る:
RTEFF=VEFF,RT×IEFF (7)
本明細書で使用される用語「発生電流(evlution current)」は、特定の化学種の発生(生成)に関連する、電圧印加されたフロー電池構成において加えられた電流の部分を説明している。この文脈では、酸素が正の電極で発生するか、または水素が負の電極で発生するか、またはこの双方が起こるように、十分な過電位(下記参照)がフロー電池において加えられた場合、酸素または水素の発生に関連する電流の部分は、それぞれ、酸素発生電流または水素発生電流である。
ある好適な実施形態では、水素発生、酸素発生、または水素および酸素の両方の発生に関連する電流がない。これは、正の半電池が、正の電極の熱力学的閾値電位または閾値過電位未満の電位で動作している場合(すなわち、酸素が生成されない;以下の用語の説明を参照)、または負の半電池セルが負の電極の熱力学的閾値電位または閾値過電位より正の電位で動作している場合(すなわち、水素が生成されない)、またはこの双方において、生じ得る。別の実施形態では、電池は、それぞれの正または負の電極の熱力学的閾値電位または閾値過電位いずれかの0.3V以内、0.25V以内、0.2V以内、0.15V以内、または0.1V以内、で動作する。
気体が発生される実施形態では、気体発生(水素または酸素またはこれらの双方)に関連する電流の部分は、適切には、加えられる総電流の約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、または約1%未満、である。より低い気体発生電流が、電池(セルまたはセルスタック)効率には、特に適していると考えられる。
用語「除外する(excluding)」は、あるイオンまたは分子が分離器を通って流れないようにする分離器の能力を指し、典型的には、パーセントとして測定される。
用語「可動イオン」は、電気化学の分野の当業者によって理解され、電気化学的エネルギー貯蔵システムの動作中に負の電極と正の電極との間で移動するイオンを含むことを意味している。別段指定のない限り、用語「可動イオン」はまた、充電/放電中にイオン電流の少なくとも80%超を運ぶイオンを指す。別の実施形態は、イオンが、充電/放電中にイオン電流の90%超または95%超を運び得ることを定めている。
本明細書で使用される用語「負の電極」および「正の電極」は、互いに関して定義される電極であり、充電サイクルおよび放電サイクル双方において、動作する実際の電位には関係なく、負の電極は、正の電極より負の電位で動作するか、または動作するよう設計もしくは意図される(逆もまた同様である)。負の電極は、可逆水素電極に対して負の電位で実際に動作してもしなくてもよく、または、動作するように設計もしくは意図されてもされなくてもよい。本明細書に記載するように、負の電極は、第1の水性電解質と関連し、正の電極は、第2の電解質と関連する。
用語「過電位(overpotential)」は、電気化学の分野の当業者には十分に理解されており、ネルンスト式により定義されるように、電気化学的セルの動作中の電極と、その電極の標準の半電池電位との間の電圧の差により定められる。理論によって束縛されるつもりはないが、過電位という用語は、所与の割合または電流密度で反応を行うように、熱力学で要求されるものを超えた、エネルギーを示すことが意図されている。用語「過電位」はまた、正の電極において水から酸素発生するための熱力学的開始電圧より正の電位、および負の電極において水から水素発生するための熱力学的開始電圧より負の電位を示す。
同様に、本明細書で使用される用語「閾値過電位」は、水素または酸素気体がそれぞれの電極で発生し始める過電位を指す。留意すべきは、「不完全な」(すなわち、触媒的に理想未満の)電極を含む電気化学的システムは、次の3つの領域:(a)熱力学的開始電位より「低い」電位で(すなわち、負の電極の熱力学的開始電位より正であり、正の電極の熱力学的開始電位より負である;気体の発生がないので、気体発生電流もない);(b)熱力学的閾値電位と閾値過電位との間の電位で(気体の発生がなく、依然として発生電流がない);および(c)閾値過電位を超えて(気体が発生し、気体発生電流が示される)、動作し得ることである。このような閾値過電位は、例えば、電子活性材料の存在下または不存在下で、(例えば質量分析計を用いて)加えられた半電池電位の関数として気体発生を測定することによって、所与のシステムで当業者により識別され得る。以下も参照のこと。
気体発生閾値電位は、電解質の性質によっても影響される。ある化学物質は、バルク電解質における何らかの活性により、または、それぞれの電極をコーティングするか、もしくは別様に非活性化させるそれらの能力により、電解セル(electrolytic cells)において水素および酸素の発生を阻害することが知られており、例えば、Pt表面上の塩化物もしくはホスフェートなどのマクロ分子またはオリゴマーまたは塩がある。したがって、ある実施形態では、第1または第2の電解質、あるいは第1および第2双方の電解質は、少なくとも1つの化合物を含み、システムの水素または酸素閾値過電位をそれぞれ増大する。
本明細書で使用される用語「再生燃料セル」または「可逆な燃料セル」または「フロー電池」または「フローエネルギー装置」は、エネルギー貯蔵およびエネルギー生成双方について(セルまたはセルスタックを含む)同じ電池構成を利用する、同じかまたは同様のタイプの装置を含意する。
用語「可逆水素電極」またはRHEは、従来の意味で使用される。すなわち、可逆水素電極(RHE)は、基準電極である。RHEの電位E(RHE)は、式8の電位に対応する:
Figure 2015523698
式8の反応が、所与のpHおよび1atm Hで、平衡状態で実行された場合。この電位は、以下の関係により、標準の水素電極E(NHE)を基準とし得:
E(RHE)=E(NHE)−0.059×pH=0.0V−0.059×pH (9)
式中、E(NHE)は、標準状態(1M H、1atm H)での式8の反応の電位として定義された、標準の水素電極(NHE=0.0V)の電位である。よって、0V vs. RHEの電位は、pH0では0V vs. NHEの電圧、およびpH7では−0.413V vs. NHEの電圧に対応する。
用語「選択性」は、電気化学の分野の当業者に周知であり、膜を通じた可動イオンと活性材料との移動の割合を可能にする膜の能力を指す。例えば、50:1の割合の可動イオンと活性材料とが通過することを可能にする膜は、50の選択性を有する。
用語「分離器」および「膜」は、電気化学的セルの正の電極と負の電極との間に配された、イオン伝導性で、電気的に絶縁する材料を指す。
本開示で有用なポリマー電解質は、アニオンまたはカチオン伝導性電解質であってよい。「アイオノマー」として記載される場合、この用語は、電気的に中性な反復単位、およびイオン化反復単位の一部の双方を含むポリマーを指し、イオン化単位は、垂れ下がっており(pendant)、ポリマー骨格に共有結合している。イオン化単位の一部は、約1モル%〜約90モル%の範囲であり得るが、それらのイオン化単位含有量に従ってさらに分類されることができる。例えば、ある場合には、イオン化単位含有量が、約15モル%未満であり、他の場合には、イオン含有量は、より高い、典型的には、約80モル%超である。さらに他の場合には、イオン含有量は、中間的範囲により、例えば約15〜約80モル%の範囲で、定められる。イオン化アイオノマー単位は、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、カルボキシ酸、スルホン酸、ホスホン酸などの塩を含む、アニオン性官能基を含み得る。これらの官能基は、一価、二価、またはより多価のカチオン、例えばアルカリもしくはアルカリ土類金属により、電荷のバランスがとられ得る。アイオノマーは、結合または包埋した四級アンモニウム、スルホニウム、ホスファゼニウム(phosphazenium)、およびグアニジニウムの残留物または塩を含有するポリマー組成物を含むこともできる。本開示において有用なポリマーは、高度にフッ素化されるかまたは全フッ素置換されたポリマー骨格を含み得る。本開示で有用な、あるポリマー電解質は、テトラフルオロエチレン、および1つまたは複数のフッ素化された酸官能性のコモノマー(fluorinated, acid-functional co-monomers)のコポリマーを含み、これらは、デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Companyによる、NAFION(商標)全フッ素置換ポリマー電解質として市販されている。他の有用な全フッ素置換電解質は、テトラフルオロエチレン(TFE)とFSO−CFCFCFCF−O−CF=CFとのコポリマーを含む。
用語「スタック」または「セルスタック」または「電気化学的セルスタック」は、電気的に接続されている個々の電気化学的セルの集合を指す。これらのセルは、直列または並列に電気的に接続され得る。セルは、流体接続されていてもいなくてもよい。
用語「充電状態」(SOC)は、電気化学、エネルギー貯蔵、および電池の分野の当業者には十分に理解される。SOCは、電極での還元種と酸化種の濃度比(Xred/Xox)から決定される。例えば、個別の半電池の場合、Xred/Xox=1となるようにXred=Xoxであるとき、半電池は、50%のSOCであり、半電池の電位は、標準のネルンストの値(standard Nernstian value)Eに等しい。電極表面における濃度比が、Xred/Xox=0.25またはXred/Xox=0.75に対応する場合、半電池は、それぞれ、25%および75%のSOCである。完全なセル(full cell)のSOCは、個々の半電池のSOCによって決まり、ある実施形態では、SOCは、正および負の電極双方で同じである。OCVで電池のセル電位を測定し、式2および3を用いて、各電極でのXred/Xoxの割合は決定され得、したがって、電池システムのSOCが決定され得る。
用語「支持電解質」は、電気化学およびエネルギー貯蔵の分野では周知であり、目的の電位窓でレドックス不活性であり、かつ電荷およびイオン伝導率を支持するのを助ける、任意の種を指すことが意図されている。本発明の場合、支持電解質は、配位錯体の可溶性を実質的に損なわない。非限定的な例としては、アルカリ金属、アルキルもしくはアリール基で部分的もしくは完全に置換されたアンモニウムイオンを含むアンモニウムイオン、ハロゲン化物(例えばCl、Br、I)、カルコゲニド、リン酸塩、リン酸水素、ホスホン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、またはそれらの混合物、および当技術分野で既知の他のものを含む、塩が含まれる。
用語「電圧効率」は、所与の電流密度での、観察された電極電位と、その電極の半電池電位との割合(×100%)として説明され得、半電池電位は、前記のとおり算出される。電圧効率は、電池の充電工程、放電工程、または「往復電圧効率」について記載され得る。所与の電流密度での往復電圧効率(VEFF,RT)は、放電時のセル電圧(V放電)および充電時の電圧(V充電)から、式10を用いて算出され得る:
EFF,RT=V放電/V充電×100% (10)
〔例示的な動作特性〕
本開示は、開示されるシステムおよび方法のさまざまな技術的特徴を提供する。これらの特徴のいずれか1つが、任意の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせられ得ることを、理解されたい。例えば、ユーザーは、有機活性材料(例えばキノン)を含む電解質を特徴とするシステムを操作することができ、その電極は、約3のpHを有する。このようなシステムは、約35μmの厚さを有する膜分離器も特徴とし得る。本開示は以下の特徴の任意の特定の1つまたは複数の組み合わせに制限されないことを、さらに理解されたい。
可動イオンは、典型的には、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物を含む。本開示のさまざまな実施形態では、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物以外のイオンを(例えばこれらのイオンが、1Mより低いなど、比較的低い濃度で存在する場合に)さらに輸送することができる。フロー電池を動作させるこれらの方法の別の実施形態は、可動イオンがプロトン、ヒドロニウム、または水酸化物から本質的にならないものを含む。この実施形態では、可動イオンの約50%以下が、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物を含む。他の実施形態では、可動イオンの約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、または約2%以下が、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物を含む。これらの実施形態における例示的な可動イオンは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオン(特に、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、F、Cl、Br、またはOH)を含む。
本開示のいくつかの実施形態では、(例えば、活性材料の可溶性および/または低いシステムコストを可能にするために)pH1〜13で動作することが有利である。したがって、一方または双方の電解質は、約1〜約13、または約2〜約12、または約4〜約10、または約6〜約8の範囲でpHを有するものとして特徴づけられ得る。他の独立した実施形態では、一方または双方の電解質は、約1〜約3、または約3〜約6、または約6〜約9、または約9〜約13の範囲のpHを有するものとして特徴づけられ得る。いくつかの実施形態では、電解質のpHは、緩衝剤により維持され得る。典型的な緩衝剤は、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、トリスアミノメタン(Tris)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、ピペラジン−N,N’−ビス(エタンスルホン酸)(PIPES)、およびこれらの組み合わせの塩を含む。ユーザーは、酸(例えばHCl、HNO、HSOなど)、塩基(NaOH、KOHなど)、またはこれらの両方を添加して、所与の電解質のpHを所望のとおりに調節することができる。
第1および第2の電解質のpHは、適切には、等しいか、または実質的に同様であってよく、他の実施形態では、これら2つの電解質のpHは、約0.1〜約2pH単位、約1〜約10pH単位、約5〜約12pH単位、約1〜約5pH単位、約0.1〜約1.5pH単位、約0.1〜約1pH単位、または約0.1〜約0.5pHの範囲の値だけ異なっている。これに関連して、用語「実質的に同様」は、さらなる条件なしで、2つの電解質間のpHの差が約1pH単位以下であることを含意するよう意図されている。追加のオプションの実施形態は、pHの差が約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下、または約0.1以下のpH単位であることを定める。
開示されるシステムおよび方法は、帯電する膜アイオノマーおよび活性材料も含み得る。用語「電荷」は、活性材料またはアイオノマー部分と関連する「正味の電荷」または総電荷を指す。帯電種は、アニオン性またはカチオン性であり得る。本開示のある所望の実施形態では、(例えば、膜を横切る活性材料の移動を防ぐために)活性材料および膜アイオノマーが同じ符号の電荷を含むことが有利である。
本開示によるシステムおよび方法は、金属‐リガンド配位化合物を含む活性材料も特徴としている。金属‐リガンド配位化合物は、例えば少なくとも約0.25M、少なくとも約0.35M、少なくとも約0.5M、少なくとも約0.75M、少なくとも約1M、少なくとも約1.25M、少なくとも約1.5M、少なくとも約2M、または2M超、例えば3M、4M、または5Mほどの高さ、の濃度で存在し得る。
金属‐リガンド配位化合物は、酸化性または還元性の種の性質について、さらに特徴づけられ得る。例えば、一部の場合において、金属‐リガンド配位化合物のレドックス電位は、完全に金属中心内部における遷移により定められ得、すなわち、レドックス電位は、金属内部のさまざまな原子価状態間の遷移と関連するエネルギーのアクセス性により定められる。他の場合には、酸化/還元は、リガンド系内部で局所化され得る。さらに他の場合には、酸化/還元は、レドックス活性錯体全体にわたり分布でき、金属およびリガンド系の双方が、電荷分布を共有する。好ましくは、レドックス電位は、少なくとも0.5ボルトだけ異なるべきである。より好ましくは、レドックス電位は、少なくとも1.0ボルト異なるべきである。第1の金属中心および第2の金属中心が異なる酸化状態を有する限り、各電解質が同じ金属中心を含むことが適切である。
本開示の特定の実施形態では、金属‐リガンド配位化合物は、単座、二座、三座、または多座配位性であるリガンドを含み得る。単座配位リガンドは、1つの原子を通じて金属に結合するが、二座、三座、または多座配位リガンドは、それぞれ、2つ、3つ、または4つ以上の原子を通じて金属に結合する。単座配位リガンドの例は、ハロゲン(F、Cl、Br、I、)、シアン化物(CN)、カルボニルもしくは一酸化炭素(CO)、窒化物(N3−)、オキソ(O2−)、ヒドロキソ(OH)、水(HO)、硫化物(S2−)、ピリジン、ピラジンなどを含む。他のタイプのリガンド結合部分は、単座、二座、三座、または多座配位リガンドを含み得る、アミノ基(NR)、アミド基(NR)、イミド基(NR)、アルコキシ基(R−CO)、シロキシ(R−SiO)、チオレート(R−S)などを含む。二座配位リガンドの例は、カテコール、ビピリジン、ビピラジン、エチレンジアミン、ジオール(エチレングリコールを含む)などを含む。三座配位リガンドの例は、テルピリジン、ジエチレントリアミン、トリアザシクロノナン、トリスアミノメタンなどを含む。他の許容可能なリガンドは、キノン、ハイドロキノン、ビオロゲン、ピリジニウム、アクリジニウム、多環芳香族炭化水素、およびこれらの組み合わせを含む。
開示されるシステムおよび方法は、ある特徴を有する、電気化学的セル分離器および/または膜を特徴とし得る。この開示では、膜および分離器という用語は、互換的に使用される。本開示の膜は、いくつかの実施形態では、約500μm以下、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約75μm以下、約50μm以下、約30μm以下、約25μm以下、約20μm以下、約15μm以下、または約10μm以下、例えば、約5μmまでの厚さを有する、膜分離器を特徴とし得、「100μm以下」というフレーズが使用される場合、別の実施形態は、これらの範囲を使用するものを含む。適切な分離器は、分離器が100μm以下の厚さを有する場合にフロー電池が100mA/cmの電流密度で少なくとも約85%の電流効率で動作することができる、分離器を含む。より好ましくは、フロー電池は、分離器が約50μm以下の厚さを有する場合に少なくとも99.5%の電流効率で、分離器が約25μm以下の厚さを有する場合に少なくとも99%の電流効率で、分離器が約10μm以下の厚さ(例えば、5μmまでの小さい厚さ)を有する場合に少なくとも98%の電流効率で、動作することができる。適切な分離器は、フロー電池が約100mA/cmの電流密度で少なくとも60%の電圧効率で動作することができる、分離器を含む。より好ましくは、適切な分離器は、フロー電池が少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の電圧効率で動作することができる、分離器を含む。
分離器は、一般的に、固体または多孔質として分類される。固体膜は、典型的には、イオン交換膜を含み、アイオノマーは、ポリマーの本体を通じた、可動イオンの輸送を促進する。アイオノマーは、1cm当たりアイオノマーが2×10−3g未満という、面積ベースのアイオノマー質量含有率を有することが適切である。膜を通じてイオンが導かれる設備は、抵抗、典型的にはΩcmの単位での面積抵抗(area resistance)、によって特徴づけられ得る。面積抵抗は、固有の膜伝導性および膜の厚さの関数である。イオン伝導により受ける非効率性を減少するには、薄い膜が望ましく、そのため、薄い膜は、エネルギー貯蔵装置の電圧効率を増大させるのに役立ち得る。活性材料のクロスオーバー比も、膜の厚さの関数であり、典型的には、膜の厚さの増大と共に減少する。クロスオーバーは、薄い膜を利用することにより、電圧効率利得と概ねバランスがとられる、電流効率損失を表わす。適切な膜は、活性材料について約0.05mg/cm以下の透過速度を有する膜を含む。第1の電解質中に存在する活性材料は、第2の電解質中に存在してもよい。逆に、第2の電解質溶液中に存在する第2の電解質は、第1の電解質溶液中に存在してもよい。それぞれの場合において、第2の電解質溶液中の第1の活性材料または第1の電解質溶液中の第2の活性材料の濃度は、約1mM以下でなければならない。第1の電解質が実質的に第2の活性材料を含み、第2の電解質が、実質的に第1の活性材料を含まないことが好ましい。「実質的に含まない」の意味は、当業者に明らかであろう。第1または第2の活性材料の拡散速度は、約1×10−7mol/cm‐sec以下、約1×10−9mol/cm‐sec以下、約1×10−11mol/cm‐sec以下、約1×10−13mol/cm‐sec以下、または約1×10−15mol/cm‐sec以下でなければならない。本発明の他の実施形態は、第1の電解質および第2の電解質が混ぜられる状況も含む。
多孔質の膜は、非伝導性の膜であり、これは、伝導性電解質で満たされた開口チャネルを介して、2つの電極間の電荷移動を可能にする。多孔質の膜は、液体または気体の化学物質に透過性である。この透過性により、一方の電極からもう一方へと多孔質の膜を通過する化学物質が、二次汚染および/またはセルエネルギー効率減少を引き起こす可能性が増大する。この二次汚染の程度は、他の特徴の中でも、孔のサイズ(有効直径およびチャネル長)、および特性(疎水性/親水性)、電解質の性質、および、孔と電解質との間の湿潤度によって決まる。孔のサイズ分布は、2つの電解質溶液間での活性材料のクロスオーバーを実質的に防ぐのに、概ね十分である。適切な多孔質の膜は、約0.001nm〜20μmの平均サイズ分布を有する。好ましくは、平均サイズ分布は、約0.001nm〜100nmであるべきである。多孔質の膜における孔のサイズ分布は、重要(substantial)となり得る。言い換えれば、多孔質の膜は、非常に小さい直径(およそ1nm未満)の複数の孔を含んでよく、また、非常に大きい直径(およそ10μm超)の複数の孔を含んでもよい。より大きな孔サイズは、より多量の活性材料クロスオーバーをもたらし得る。多孔質の膜が活性材料のクロスオーバーを実質的に防ぐ能力は、孔の平均サイズと活性材料とのサイズの相対差によって決まる。例えば、活性材料が金属‐リガンド錯体の形態の金属中心である場合、金属リガンド錯体の平均直径は、多孔質の膜の孔の平均サイズより約50%大きい。一方、多孔質の膜が実質的に均一な孔サイズを有する場合、金属リガンド錯体の平均直径が、多孔質の膜の孔の平均サイズより約20%大きいことが好ましい。同様に、金属リガンド錯体の平均直径は、金属‐リガンド錯体が少なくとも1つの水分子とさらに配位された場合に、増大する。少なくとも1つの水分子と配位された金属‐リガンド錯体の直径は、概して、流体力学直径であると考えられる。このような状況では、流体力学直径は、孔の平均サイズより概ね少なくとも約35%大きい。孔の平均サイズが実質的に均一である場合、流体力学半径は、孔の平均サイズより約10%大きくなくてはならない。当業者は、「実質的に均一な」という用語を理解するであろう。
適切なイオン交換分離器は、膜を含んでもよく、これらの膜は、ポリマー電解質膜(PEM)またはイオン伝導性膜(ICM)と呼ばれることもある。適切な膜は、任意の適切なポリマー、例えばポリマーアニオンもしくはカチオン交換膜またはこれらの組み合わせを含む、典型的にはイオン交換樹脂を、含み得る。このような膜の移動相は、プロトンまたは水酸化物イオン以外の、少なくとも1つの一価、二価、三価、またはそれより多価のカチオンおよび/または一価、二価、三価、またはそれより多価のアニオンの、(電池の動作中の)主要または優先的な輸送を含み、かつ/またはそのような輸送の原因となり得る。適切な固体カチオン交換ポリマーは、以下のポリマーのうちの1つまたは複数の使用を含む:ポリアミンを有する、架橋されたハロゲン化アルキル化化合物、ポリアミンを有する架橋された芳香族ポリスルホン型ポリマー、全フッ素置換された炭化水素スルホネートアイオノマー(perfluoriniated hydrocarbon sulfonate ionomers)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)、スルホン化されたポリ(フタラジノンエーテルケトン)、スルホン化されたフェノールフタレインポリ(エーテルスルホン)、スルホン化されたポリイミド、スルホン化されたポリホスファゼン、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール、スルホン酸基を含む芳香族ポリマー、スルホン化された全フッ素置換ポリマー、スルホン酸基、カルボキシレート基、リン酸基、ボロン酸基を有するフッ素化されたアイオノマー、スルホン酸基もしくはカルボキシレート基を有するポリ芳香族エーテル、ポリ(4-ビニルピリジン、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(1-メチル−4−ビニルピリジン)、ポリ[(2,2’−m−フェニレン)−5,5’-ビベンゾイミダゾール][ポリ(2,2’-(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール]、ポリ(2,5−ベンゾイミダゾール)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはこれらの組み合わせ。適切な固体のアニオン性交換膜は、以下のポリマーのうちの1つまたは複数の使用を含む:ポリジアリールジメチルアンモニウム(polydiaryl dimethyl ammonium)、ポリ(メタクリルオイルオキシエチルトリエチルアンモニウム)(poly (methacryloyloxyethyl triethylammonium))、ポリ(ジアリルアンモニウム)(poly(diallylammonium))、またはこれらの組み合わせ。
さらに、スルホン酸基(またはカチオン交換スルホン酸基)で修飾された、実質的にフッ素化されていない膜も使用され得る。このような膜は、実質的に芳香族の骨格を備えたもの、例えばポリスチレン、ポリフェニレン、ビフェニルスルホン(bi-phenyl sulfone)(BPSH)、またはポリエーテルケトンもしくはポリエーテルスルホンなどの熱可塑性物質を含む。
イオン交換膜の他の例は、Nafion(商標)(112、117、HP、XL、NR−212、またはU5)、Gore Select膜、Flemion(商標)、およびSelemion(商標)を含む。
電池‐分離器スタイルの多孔質膜も使用され得る。これらは、固有のイオン伝導能力を含まないので、このような膜は、典型的には、機能するために、添加物を含浸される。これらの膜は、典型的には、ポリマーの混合物、および無機充填剤、および開放気孔率で構成される。適切なポリマーは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、現在説明しているシステムの電解質と化学的に適合性のあるものを含む。適切な無機充填剤は、炭化ケイ素マトリックス材料、二酸化チタン、二酸化ケイ素、リン化亜鉛、およびセリアを含み、その構造は、当技術分野でこの目的のために知られるものなどのメッシュ構造を含む、実質的に非アイオノマーの構造で内部が支持され得る。
膜は、ポリエステル、ポリ(エーテル‐ケトン‐エーテル‐ケトン‐ケトン)、ポリ(塩化ビニル)、ビニルポリマー、置換されたビニルポリマーから、単独で、または前述した任意のポリマーと組み合わせて、構成されることもできる。
膜は、高い安定性のために補強材料を含むこともできる。適切な補強材料は、ナイロン、コットン、ポリエステル、結晶シリカ、結晶チタニア、非晶質シリカ、非晶質チタニア、ゴム、アスベスト、木材、またはこれらの組み合わせを含む。補強材料の容量パーセントは、以下の実施例により所与の膜厚さにて決定され得る。補強材料のパーセントは、式(9)から決定される:
所望厚さ=最初の膜厚さ/(1−補強材の容量%) (9)
例えば、膜は、15μmの所望厚さでは、10μmの膜で始めて、約33容量%の補強材料を含有しなければならない。
適切な膜は、連続膜も含む。連続膜は、少なくとも、連続もしくは不連続構造の材料、および連続もしくは不連続構造である充填剤材料を含む。連続もしくは不連続構造の適切な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(塩化ビニル)、またはそれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む。連続もしくは不連続構造の適切な充填剤材料は、不織繊維または天然に存在する物質のうちの1つまたは複数を含む。適切な不織繊維は、ナイロン、コットン、ポリエステル、結晶シリカ、非晶質シリカ、非晶質チタニア、結晶チタニア、またはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含む。適切な天然に存在する物質は、ゴム、アスベスト、木材、またはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含む。連続膜は多孔質であってもよい。適切な多孔率は、約5〜約75%の体積分率の範囲内にある。
適切な分離器は、複数の層を有することもできる。例えば、適切な分離器は、イオン伝導が可能な層と、選択的なイオン輸送が可能な少なくとも1つの層と、を含む。イオン伝導が可能な層は、分離器内に吸い込まれた第1の電解質または第2の電解質のうちの少なくとも一方を含む。電解質溶液、例えば塩化カリウム(KCl)は、分離器内に吸い込まれ、ポリマーマトリックスから実質的に漏れ出ない。吸収分離器の所望の面積抵抗範囲は、式(10)により決定され:
Figure 2015523698
式中、Rは抵抗であり、Kは、膜の伝導性であり、K電解質は、電解質の伝導性であり、多孔率分離器は、分離器の多孔率であり、厚さ分離器は、分離器の厚さである。任意の不活性電解質、例えば、NaCl、KClなどが適している。当業者は、この目的に適した、適切な不活性電解質を認識するであろう。選択的なイオン輸送が可能な層は、前述した固体カチオン性ポリマーのうちのいずれかを含む。伝導、強度、厚さ、選択性、透過性などといった特性を高めるか、または低減することのできる他の層が、本発明の範囲内で構想される。
適切な分離器は、約50、約100、約200、約500、約1000、約5000、もしくは約10,000の値で下限(lower end)を、約1,000,000、約100,000、約10,000、もしくは約1000で上限(upper end)を境界された範囲の選択性を、任意の本発明の活性材料にわたり少なくとも1つの可動イオンに与えることができる分離器を含む。いくつかの独立した実施形態は、分離器が、約50〜約1000、約50〜約500、約50〜約300、約100〜約200、約100〜約500の範囲、および約50〜約100の範囲、の選択性を与えることができるものを含む。他の独立した実施形態は、分離器が、約1〜約6桁、約2〜約5桁、約3〜約5桁、または約2〜約4桁の範囲の選択性を、任意の本発明の活性材料にわたり少なくとも1つの可動イオンに与えることができるものを提供する。
オンロードまたはオフロード状態で、セルのある領域において正および負の電解質中の活性材料種の濃度に著しい差が存在する場合がある。分離器の存在にもかかわらず、すべての分離器がいくらかの透過性を示すので、これらの濃度差に起因して、分離器にわたりこれらの種のいくらかの有限のフラックスが常に存在する。これらの種が、分離器を越えて渡ると、帯電種が直接的相互作用を通じて自己放電するため、エネルギー効率の損失が生じるが、電池が異なる活性材料化合物を利用する場合には、電解質再生のための電位が存在する。前述したような理由で、充電もしくは放電モードにおいて、一方の電解質からもう一方への活性材料の拡散的クロスオーバーによる損失が合計で、オンロード状態における電流の2%を超えない、好ましくは<1%(1%「未満」)、最も好ましくは<<1%(1%「よりはるかに少ない」)となるようにする、フロー電池の化学的性質およびセルの構成を開発することは興味深いことである。
適切な分離器は、分離器が活性材料のうちの少なくとも1つの少なくとも約98%を排除することができる、分離器を含む。好ましくは、分離器は、活性材料のうちの少なくとも1つの少なくとも約99.0%、および活性材料の少なくとも約99.5%を排除することができる。
実際的なフロー電池セルを構築する際、電極は、わずかに分離器を透過することができ、結果として、セルのある領域で短絡が生じ得る。これにより、それらの短絡にわたる電子の直接交換が促進され、これは、電流効率損失をもたらす別の形態の自己放電を表わす。フロー電池のデザインは、概して、分離器の機械的特性(すなわち強度)、拡散媒体特性、セル外形、およびセルの機械的負荷の、所望の組み合わせを含む。充電もしくは放電モードで、短絡に起因する損失が、合計で、オンロード状態における電流の2%を超えるようにする、フロー電池の化学的性質およびセルの構成を開発することは、興味深いことである。
適切な分離器は、Li、Na、および/またはKについて約0.01〜約0.02S/cmの伝導性を、また、Cl、Br、I、および/またはOHについて約0.01S/cm以下の伝導性を、有するものとして特徴づけられる分離器である。
フロー電池セルのある領域における充電または放電中のオンロード状態では、イオン電流は、動作の経過中に、分離器を横切って流れなければならない。イオン電流需要の大部分が、電解質中の支持種により提供される可動イオンにより運ばれることが、望ましい。しかしながら、活性材料がイオン的に帯電する場合、それらの活性材料は、イオン電流需要の一部を運ぶことに関与でき、その一部とは、活性材料の移動によって決まる。充電または放電中に生じる活性材料の著しい移動は、電流効率損失をもたらす自己放電のさらに別の形態を表わす。前述したような理由で、充電もしくは放電モードにおいて、いずれかの電解質からもう一方への活性材料の移動が、合計で、オンロード状態における電流の2%を超えない、好ましくは<1%、最も好ましくは<<1%となるようにする、フロー電池の化学的性質およびセルの構成を開発することは興味深いことである。
セル外形の一部は、活性エリアを含み得る。活性エリアの少なくとも一部が、チャネルで構成されることが望ましい。チャネルは、電解質、および電極を直接、もしくは拡散媒体を通じて電気的に接続する導電性プレート材料の一部、の流れに対し大部分は開放されている。逆に、活性エリアが、第1の電解質もしくは第2の電解質の流れを透過させる領域で実質的に形成され、その容量が部分的に、高表面積の導電性媒体で構成されることが、適切である。
適切なフロー電池は、約1〜約1000psiの範囲の機械的負荷に耐えることができる、セルの機械的負荷が可能である。好ましくは、フロー電池は、約3〜約500psi、より好ましくは約5〜約100psiの範囲の機械的負荷に耐えることができる。
フロー電池セルにおける充電または放電中のオンロード状態では、望ましくない副反応において消費される電流の電位が存在し得る。このような副反応は、セル材料の腐食、活性材料構造の分解、または電解質の分解を含む。これは、濃度、電圧、または電流密度の著しい不均一性が、セルエリアにわたり存在する場合に、特に当てはまる。前述したような理由で、充電もしくは放電モードにおいて、寄生反応(parasitic reactions)における電流損失が、合計で、オンロード状態における電流の4%を超えない、好ましくは<2%、最も好ましくは<1%、となるようにする、フロー電池の化学的性質およびセルの構成を開発することは興味深いことである。
フロー電池は、バイポーラー構成にスタックされたセルで構成され、これにより、活性材料が共通のマニホールドを通って正および負の電解質チャンバのうちの一方または両方に供給される。これらの電解質は、イオン伝導性であるので、共通のマニホールド内にそれらが存在することにより、陽イオン電流が、スタックの正の端部(positive end)の方を向いているセルから、負の端部(negative end)の方を向いているセルまで、駆動される。このプロセスは、正および負の電解質マニホールド双方で生じ、更に別の形態の自己放電および電流効率損失を表わす。前述したような理由で、充電もしくは放電モードにおいて、分流により表わされる電流損失が合計で、オンロード状態における電流の5%を超えない、好ましくは<3%、最も好ましくは<2%、となるようにする、フロー電池の化学的性質およびセル/スタックの構成を開発することは興味深いことである。
電気化学的セルの開路電位(OCV)は、電気化学的エネルギー貯蔵システムの、関連する動作特性である。ある実施形態では、OCVは、比較的大きくてよい(例えば、少なくとも1V、および2V、3V、または4V以上)。このような比較的大きな開路電位は、高いセル電圧効率、高いDC−DC変換効率、高いエネルギー貯蔵密度、および低いシステムコストを可能にすることで知られる。水性電解質および可溶性活性材料を備えた従来のフロー電池は、約1.2V未満のOCVで動作し得る。本開示による電気化学的セルは、少なくとも約1.4Vの開路電位により適切に特徴づけられる。
いくつかの実施形態では、フロー電池の開路電圧(OCV)は、少なくとも約1.2V、少なくとも約1.3V、少なくとも約1.4V、少なくとも約1.5V、少なくとも約1.6V、少なくとも約1.7V、少なくとも約1.8V、少なくとも約1.9V、または少なくとも約2Vである。前述のとおり、より高い開路電圧は、より高い電力密度と関連する。
本開示によるシステムおよび方法は、所与の往復電圧効率で特定の電流密度を示し得る。所与の往復電圧効率で電流密度を決定する方法は、電気化学および電気化学的エネルギー貯蔵の分野の当業者に既知である。
電気化学的セルの性能の測定基準として役立つように、特定の電流密度が、測定される電圧効率に概ねリンクされる。所与の往復電圧効率の、より高い電流密度により、より低いコストの電気化学的セルおよびセルスタックが可能となる。ある実施形態では、少なくとも約50%のVEFF,RTで、少なくとも約50mA/cmの電流密度でフロー電池を動作させることが望ましい。他の実施形態では、電流密度は、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%のVEFF,RTで、少なくとも約50mA/cmである。他の実施形態では、電流密度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%などのVEFF,RTで、少なくとも100mA/cmである。他の実施形態では、電流密度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%のVEFF,RTで、少なくとも200mA/cmである。ある実施形態では、これらの効率は、電流密度が、約50mA/cm、約100mA/cm、もしくは約200mA/cmから、の下限と、約200mA/cm、約300mA/cm、約400mA/cm、もしくは約500mA/cmの上限とを有する範囲内にある場合に、達成され得る。
金属配位の非存在下または存在下で、有機活性材料を含む電解質は、開示されるシステムおよび方法の一方または双方の半電池に適していると考えられる。適切な有機活性材料は、キノン、ハイドロキノン、ビオロゲン、ピリジニウム、ピリジン、アクリジニウム、カテコール、他の多環式芳香族炭化水素などを含む、炭素、芳香族炭化水素を含む。適切な有機活性材料はまた、チオール、硫化物、および二硫化物部分を含む、硫黄を含み得る。適切な有機活性材料は、少なくとも約0.1M、少なくとも約0.5M、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、または少なくとも約2Mの濃度で、水に可溶性であってよい。別の実施形態は、濃度の上位レベル(upper levels)が約5M、約4M、約3M、約2.5M、または約2Mである範囲を提供する。より高いシステムエネルギー密度を生じるためには、より高い濃度が好ましい。
開示されるシステムおよび方法は、それらの半電池電位についても特徴づけられ得る。負および正の電極の双方は、半電池電位を示すことができる。本開示による電気化学的セルは、いくつかの実施形態では、負の電極について、約0.5V未満(vs. RHE)、約0.2V未満(vs. RHE)、約0.1V未満(vs. RHE)、約0.0V未満(vs. RHE)、約−0.1V未満(vs. RHE)、約−0.2V未満(vs. RHE)、約−0.3V未満(vs. RHE)、約−0.5V未満(vs. RHE)、例えば、約−2V vs. RHEまでの半電池電位を有し得る。本開示による電気化学的セルは、いくつかの実施形態では、正の電極について、少なくとも約0.5V vs. RHE、少なくとも約0.7V vs. RHE、少なくとも約0.85V vs. RHE、少なくとも約1.0V vs. RHE、少なくとも約1.1V vs. RHE、少なくとも約1.2V vs. RHE、少なくとも約1.3V vs. RHE、少なくとも約1.4V vs. RHEなど、例えば、約2V vs. RHEまで、の半電池電位を有し得る。
開示されるシステムおよび方法は、前記に定めたとおり、それらのエネルギー密度についても特徴づけられ得る。本開示のフロー電池は、約5Wh/L、約5Wh/L〜約15Wh/L、約10Wh/L〜約20Wh/L、約20Wh/L〜約30Wh/L、約30〜約40Wh/L、約25Wh/L〜約45Wh/L、および45Wh/L超、例えば約50Wh/Lまで、約60Wh/Lまで、または約70Wh/Lまで、のエネルギー密度で動作し得る。
本発明の範囲内で考えられる多くの特定の実施形態のうち、以下がある:
実施形態1:フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
分離器と、
を含み、
フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも約85%の電流効率で動作することができ、
分離器は、約100μm以下の厚さを有する、フロー電池。
実施形態2:実施形態1に記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
活性材料の拡散的クロスオーバーが、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
実施形態3:実施形態1または2に記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
正の電極と負の電極との間でセル内に存在する短絡が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失の原因となる、フロー電池。
実施形態4:実施形態1〜3のいずれかに記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
正の電解質と負の電解質との間での帯電した活性材料の移動が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における約2%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
実施形態5:実施形態1〜4のいずれかに記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
寄生反応へとそらされる電流の量が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における約4%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
実施形態6:実施形態1〜5のいずれかに記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
流体マニホールド内で生じる分流が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における約5%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
実施形態7:実施形態1〜6のいずれかに記載のフロー電池において、
第1および第2の活性材料は、金属リガンド配位化合物である、フロー電池。
実施形態8:実施形態7のフロー電池において、
金属リガンド配位化合物は、以下:CN−、HO、ハロ、ヒドロキシル、アミン、ポリアミン、多価アルコール、カルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノ酸のアニオン、カルボニルもしくは一酸化炭素カルボニルもしくは一酸化炭素、窒化物、オキソ、硫化物、ピリジン、ピラジン、アミド基、イミド基、アルコキシ基、シロキシ、チオレート、カテコール、ビピリジン、ビピラジン、エチレンジアミン、ジオール、テルピリジン、ジエチレントリアミン、トリアザシクロノナン、トリスアミノメタン、キノン、ハイドロキノン、ビオロゲン、ピリジニウム、アクリジニウム、多環芳香族炭化水素、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、リガンドを含む、フロー電池。
実施形態9:実施形態1〜8のいずれかに記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態10:実施形態1〜9のいずれかに記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態11:実施形態1〜10のいずれかに記載のフロー電池において、
第2の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態12:実施形態11に記載のフロー電池において、
第2の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態13:実施形態1〜12のいずれかに記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属および第2の金属リガンド配位化合物の金属は、還元電位が、少なくとも約0.5ボルトだけ異なる、フロー電池。
実施形態14:実施形態1〜13のいずれかに記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属および第2の金属リガンド配位化合物の金属は、還元電位が、少なくとも約1.0ボルトだけ異なる、フロー電池。
実施形態15:実施形態1〜14のいずれかに記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属は、第2の金属リガンド配位化合物と同じであり、
第1の金属および第2の金属は、異なる酸化状態を有する、フロー電池。
実施形態16:実施形態1〜15のいずれかに記載のフロー電池において、
第2の活性材料は、第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
実施形態17:実施形態1〜16のいずれかに記載のフロー電池において、
可動イオンは、充電/放電中にイオン電流の少なくとも約80%を運ぶ、フロー電池。
実施形態18:実施形態1〜17のいずれかに記載のフロー電池において、
可動イオンは、充電/放電中にイオン電流の少なくとも約85%を運ぶ、フロー電池。
実施形態19:実施形態1〜18のいずれかに記載のフロー電池において、
可動イオンは、以下:Li、K、Na、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Cl、Br、I、OH、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態20:実施形態1〜19のいずれかに記載のフロー電池において、
分離器は、約50μm以下の厚さを有し、フロー電池は、少なくとも約98%の電流効率で動作する、フロー電池。
実施形態21:実施形態1〜20のいずれかに記載のフロー電池において、
分離器は、25μm以下の厚さを有し、フロー電池は、少なくとも約96%の電流効率で動作する、フロー電池。
実施形態22:実施形態1〜21のいずれかに記載のフロー電池において、
フロー電池は、約1mA/cm以下、約0.5mA/cm以下、または約0.01mA/cm以下の短絡損失(shorting losses)で動作することができる、フロー電池。
実施形態23:実施形態1〜22のいずれかに記載のフロー電池において、
分離器はポリマーを含み、
ポリマーは、アニオン性官能基で構成されるカチオン性交換膜である、フロー電池。
実施形態24:実施形態23に記載のフロー電池において、
ポリマーは、以下:ポリアミンを有する、架橋されたハロゲン化アルキル化化合物、ポリアミンを有する架橋された芳香族ポリスルホン型ポリマー、全フッ素置換された炭化水素スルホネートアイオノマー、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)、スルホン化されたポリ(フタラジノンエーテルケトン)、スルホン化されたフェノールフタレインポリ(エーテルスルホン)、スルホン化されたポリイミド、スルホン化されたポリホスファゼン、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール、スルホン酸基を含む芳香族ポリマー、スルホン化された全フッ素置換ポリマー、スルホン酸基、カルボキシレート基、リン酸基、ボロン酸基、またはこれらの組み合わせを有するフッ素化されたアイオノマー、スルホン酸基もしくはカルボキシレート基を有するポリ芳香族エーテル、ポリ(4-ビニルピリジン、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(1-メチル−4−ビニルピリジン)、ポリ[(2,2’−m−フェニレン)−5,5’-ビベンゾイミダゾール][ポリ(2,2’-(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール]、ポリ(2,5−ベンゾイミダゾール)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態25:実施態様1〜24のいずれかに記載のフロー電池において、
分離器は、固体ポリマーを含み、固体ポリマーは、カチオン性官能基で構成されたアニオン性交換膜である、フロー電池。
実施形態26:実施形態25に記載のフロー電池において、
ポリマーは、以下:ポリジアリールジメチルアンモニウム、ポリ(メタクリルオイルオキシエチルトリエチルアンモニウム)、ポリ(ジアリルアンモニウム)、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態27:実施態様1〜26のいずれかに記載のフロー電池において、
ポリマーは、以下:ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、全フッ素置換されたポリマー、フッ化ポリビニリデン、ポリ(エーテル‐ケトン‐エーテル‐ケトン‐ケトン)、ポリ(塩化ビニル)、置換ビニルポリマー、ポリスチレン、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態28:実施形態27に記載のフロー電池において、
膜は、補強材料をさらに含む、フロー電池。
実施形態29:実施形態28に記載のフロー電池において、
補強材料は、以下:ナイロン、コットン、ポリエステル、結晶シリカ、結晶チタニア、非晶質シリカ、非晶質チタニア、ゴム、アスベスト、木材、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態30:実施形態29に記載のフロー電池において、
補強材(reinforcement)の容量パーセントは、所与の膜厚さにおいて:
所望厚さ=10μm/(1−補強材の容量%)
により、決定される、フロー電池。
実施形態31:フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さを有する分離器と、
を含み、
フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも約60%の往復電圧効率で動作することができる、フロー電池。
実施形態32:実施形態31に記載のフロー電池において、
フロー電池は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の電圧効率で動作することができる、フロー電池。
実施形態33:実施形態31または32に記載のフロー電池において、
第2の活性材料は、第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
実施形態34:フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さであり、第1および第2の活性材料にわたり1つの可動イオンについて約50〜約1,000,000の範囲の選択性を有することができる、分離器と、
を含む、フロー電池。
実施形態35:実施形態34に記載のフロー電池において、
分離器は、第1および第2の活性材料にわたり少なくとも1つの可動イオンについて約50〜約200の範囲の選択性を有することができる、フロー電池。
実施形態36:実施形態35に記載のフロー電池において、
分離器は、第1および第2の活性中心にわたり少なくとも1つの可動イオンについて100〜約1000の範囲の選択性を有することができる、フロー電池。
実施形態37:実施形態34〜36のいずれかに記載のフロー電池において、
第2の活性材料は、第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
実施形態38:フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さを有する分離器であって、第1の活性材料、第2の活性材料、またはそれら両方について、分離器を通じる拡散速度を、約1×10−7mol/cm‐sec以下になるよう、生じさせることができる、分離器と、
を含む、フロー電池。
実施形態39:実施形態38に記載のフロー電池において、
第1の活性材料、第2の活性材料、またはそれらの両方は、約1×10−9mol/cm‐sec以下、約1×10−11mol/cm‐sec以下、約1×10−13mol/cm‐sec以下、または約1×10−15mol/cm‐sec以下の、分離器を通じる拡散速度を有する、フロー電池。
実施形態40:実施形態38または39に記載のフロー電池において、
第2の活性材料は、第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
実施形態41:実施形態1〜40のいずれかに記載のフロー電池において、
分離器は、多孔質の膜を含む、フロー電池。
実施形態42:実施形態41に記載のフロー電池において、
分離器は、多孔質の膜であり、
多孔質の膜は、約0.001nm〜100nmの平均サイズ分布の孔を有する、フロー電池。
実施形態43:実施形態41または42に記載のフロー電池において、
活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
金属‐リガンド配位化合物の平均直径は、多孔質の膜の孔の平均サイズより約50%大きい、フロー電池。
実施形態44:実施形態41〜43のいずれかに記載のフロー電池において、
活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
金属‐リガンド配位化合物の平均直径は、孔のサイズ範囲が実質的に均一である場合に、多孔質の膜の孔の平均サイズより約20%大きい、フロー電池。
実施形態45:実施形態1〜44のいずれかに記載のフロー電池において、
活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
金属‐リガンド配位化合物は、金属‐リガンド配位化合物が流体力学直径を有するものとして特徴づけられるように水和球を有し、
流体力学直径は、多孔質の膜の孔の平均サイズより約35%大きい、フロー電池。
実施形態46:実施形態1〜44のいずれかに記載のフロー電池において、
活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
金属‐リガンド配位化合物は、流体力学直径を生じる少なくとも1つの水分子にさらに配位され、
流体力学直径は、孔のサイズ範囲が実質的に均一である場合に、多孔質の膜の孔の平均サイズより約10%大きい、フロー電池。
実施形態47:フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質であって、第1の活性材料は正味のイオン電荷を有する、第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質であって、第2の活性材料は正味のイオン電荷を有する、第2の電解質と、
第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さであり、アイオノマー膜を含む、分離器と、
を含み、
第1の活性材料、第2の活性材料、またはこれら両方の活性材料の正味のイオン電荷は、アイオノマー膜のものと一致し、
フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも約90%の電流効率で動作することができる、フロー電池。
実施形態48:実施形態47に記載のフロー電池において、
アイオノマーは、1cm当たり2×10−3g以下のアイオノマーの面積ベースでアイオノマー質量対モル含有率(ionomer mass to molar content)を有する、フロー電池。
実施形態49:フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さの分離器と、
を含み、
分離器は、複数の層を有し、これら複数の層において、少なくとも1つの層は、イオン伝導が可能であり、少なくとも1つの他の層は、選択的なイオン輸送が可能であり、
フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも約90%の電流効率で動作することができる、フロー電池。
実施形態50:実施形態49に記載のフロー電池において、
少なくとも1つの層は、分離器上に吸収されるべき第1の電解質または第2の電解質のうちの少なくとも一方を含む、フロー電池。
実施形態51:実施形態49または50に記載のフロー電池において、
吸収分離器の所望の面積抵抗範囲は、
Figure 2015523698
によって決定される、フロー電池。
実施形態52:実施形態49〜51のいずれかに記載のフロー電池において、
選択的なイオン輸送が可能な少なくとも1つの他の層は、以下:全フッ素置換されたスルホネートポリマー(sulfonate polymer)、全フッ素置換された炭化水素スルホネートアイオノマー、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)、スルホン化されたポリ(フタラジノンエーテルケトン)、スルホン化されたフェノールフタレインポリ(エーテルスルホン)、スルホン化されたポリイミド、スルホン化されたポリホスファゼン、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール、スルホン酸基もしくはカルボン酸基を有するポリ芳香族エーテル、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
実施形態53:実施形態49〜52のいずれかに記載のフロー電池において、
複数の層のうちの少なくとも1つの層は、多孔質の膜である、フロー電池。
〔実施例〕
以下の実施例は、本開示内に記載される概念の一部を例示するために提供される。各実施例は、組成物、調製および使用方法の特定の個々の実施形態を提供すると考えられるが、どの実施例も、本明細書に記載する、より一般的な実施形態を制限するものと考えるべきではない。
〔実施例1〕
実施例1.1.‐材料
ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物99%、NaFe(CN)・10HO;ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物98+%、KFe(CN)・3HO;ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムACS99.0%最小;KFe(CN);エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、乳酸(80〜85%水溶液);グリシン、グリコール酸(67%水溶液);マレイン酸;リンゴ酸;フタル酸;サリチル酸;グルコン酸;クエン酸;サルコシン;硫酸鉄(III);塩化鉄(III);オキシ硫酸チタン(titanium oxysulfate);硫酸マンガン(II);および硫酸クロム(III)が、前記で指定のない限り、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))から、ACSグレード以上として購入され、追加精製なしで使用された。アンモニウムビスラクテートビスヒドロキシチタン(IV)(Ammonium bislactatobishydroxytitanium (IV))が、Sigma Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から50%水溶液として購入され、さらなる精製なしで使用された。ヘキサシアノクロム(III)酸カリウム、K[Cr(CN)]およびヘキサシアノマンガン(III)酸カリウム、K[Mn(CN)]が、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入され、追加の精製なしに使用された。
錯体は、いくつかの方法により合成され得た。ホモレプティックのトリス結合された錯体(Homoleptic tris-ligated complexes)が、pHが、目的の錯体の典型的な安定範囲(typical window of stability)である8〜13になるまで、アルカリ金属水酸化物溶液をゆっくり加えながら、リガンドと金属塩との3:1水性混合物を撹拌することにより、最も容易に合成された。ある混合されたリガンド種、例えば、Ti(ラクテート)(サリチレート)も、この方法により合成され得た。
鉄およびチタンのモノおよびビスα‐ヒドロキシ酸錯体は、金属サルフェート(2〜3M)と適切な割合の適切なリガンドとの、撹拌溶液に対し、2当量の重炭酸ナトリウムを部分的に添加すること(portion-wise addition)によって、合成された。例えば、6ミリモルのTiOSOと、6ミリモルのグリコール酸が撹拌され、12ミリモルのNaHCOがゆっくりと添加されて、気体発生が、添加と添加との間でおさまった。結果として得られる溶液のpHは、MLの溶液では、約3.5であり、MLの溶液では、約2であった。アクア金属(aquated metals)に対するこれらの錯体の可溶性は、そのような高いpHでのTiLおよびTiL溶液の金属酸化物の沈殿に対する安定性により、証明される。リガンドを添加しない対照実験では、1当量超のNaHCOが添加されたときにTiOの大規模かつ不可逆な沈殿が観察され、これは、約1のpHに対応する。
追加のリガンドを含む錯体は、先の段落で説明したように合成された適切な量のMLまたはML溶液を、炭酸カリウムもしくは水酸化カリウムなどの適切な塩基と混合された所望の追加的リガンドの溶液に添加することにより、合成されることができた。Mn、Cr、Ti、およびFe化合物の混合リガンド類似体が、同様の反応スキームにより調製され得る。
チタンビス‐ラクテート(Titanium bis-lactate)L’錯体も、シントンとして、(NHTi(ラクテート)(OH)(Sigma Aldrichから50%溶液として入手可能)を使用して、合成されることができた。この場合、L’(例えばサリチル酸)が添加され、約1時間撹拌した後、2当量のアルカリ金属水酸化物の水溶液が添加されて、アンモニウムを脱プロトン化し、ドラフト内でキャップを外した約24時間の撹拌にわたってアンモニアを除去し(drive off)、ナトリウム/カリウム塩、例えばNaKTi(ラクテート)(サリチレート)として、所望の金属錯体をもたらした。
チタン酸二ナトリウム(IV)トリスカテコレート(Disodium titanium(IV) triscatecholate)、NaTi(カテコレート)が、Daviesにより説明された手順を改変することにより、オキシ硫酸チタン(IV)およびピロカテコールから、合成された。Davies, J. A.: Dutramez, S. J. Am. Ceram. Soc. 1990, 73. 2570-2572を参照のこと。ナトリウム塩を得るために、水酸化アンモニウムの代わりに、水酸化ナトリウムを使用した。ナトリウムカリウムチタン(IV)トリスピロガレート(Sodium potassium titanium(IV) trispyrogallate)、NaKTi(ピロガレート)が、まず、アンモニウム塩、(NH)Ti(ピロガレート)として、類似の方法で作られ、その後、水酸化ナトリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液との混合物中で加熱することにより、ナトリウムカリウム塩に変換された。
混合されたリガンドチタン錯体ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノピロガレート(mixed ligand titanium complexes sodium potassium titanium(IV) biscatecholate monopyrogallate)、ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレート−モノラクテート(sodium potassium titanium(IV) biscatecholate-monolactate)、ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノグルコネート(sodium potassium titanium (IV) biscatecholate monogluconate)、ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノアスコルベート(sodium potassium titanium(IV) biscatecholate monoascorbate)、およびナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノシトレート(sodium potassium titanium(IV) bis catecholate monocitrate)が、チタンカテコレート二量体、Na[TiO(カテコレート)]から作られた。四カリウム塩の合成については、Borgias, B. A.; Cooper, S. R.; Koh, Y. B.; Raymond, K. N. Inorg. Chem. 1984, 23, 1009-1016を参照。所望のキレート(ピロガロール、乳酸、グルコン酸、アスコルビン酸、もしくはクエン酸)との、チタン二量体の1対1混合物により、混合リガンド種が得られた。ナトリウムカリウムチタン(IV)モノカテコレートモノピロガレートモノラクテート(Sodium potassium titanium(IV) monocatecholate monopyrogallate monolactate)が、ピロガロールおよび乳酸の双方をカテコレート含有二量体に添加することで、同様に作られた。Al、Cr、Fe、およびMn化合物の混合リガンド類似体が、同様の反応スキームにより調製され得る。Al、Cr、Fe、およびMn化合物の混合リガンド類似体が、同様の反応スキームにより調製され得る。
ナトリウムカリウム鉄(III)トリスカテコレート(Sodium potassium iron(III) triscatecholate)、Na1.51.5Fe(カテコレート)が、Raymondらによる手順概要に従って調製された。Raymond, K. N.; Isied, S.S., Brown, L. D.; Fronczek, F. R.; Nibert, J. H. J. Am. Chem. Soc. 1976, 98, 1767-1774を参照。唯一の改変は、水酸化カリウムの代わりに、過剰塩基として水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの混合物を使用したことであった。
ナトリウムチタン(IV)トリスシトレート(Sodium titanium(IV) triscitrate)、NaTi(シトレート)が、カテコールの代わりにクエン酸を使用したことを除き、前述したナトリウムチタン(IV)トリスカテコレートに使用した方法に類似して、合成された。これらの出発原料は、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手され、試薬グレード以上のものであり、受領したときのまま使用された。
ナトリウムアルミニウム(III)ビスシトレートモノカテコレート(Sodium aluminum(III) biscitrate monocatecholate)、Al(シトレート)(カテコレート)が、硫酸アルミニウム(III)(aluminum(III) sulfate)の溶液に対し、2当量のクエン酸および1当量のカテコールを使用したことを除き、前述したナトリウムチタン(IV)トリスカテコレートに使用した方法と同じように、合成された。これらの出発原料は、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手され、試薬グレード以上のものであり、受領したときのまま使用された。
実施例1.2‐サイクリックボルタンメトリー
サイクリックボルタンメトリーデータが、iRを補正して、760cポテンシオスタット(テキサス州オースティンのCH Instruments)を用いて記録された。試験は、ガラス状炭素作用電極(Bioanalytical Systems, Inc.、インディアナ州ウェストラフィエット)、Ag/AgCl基準電極(Bioanalytical Systems, Inc.、インディアナ州ウェストラフィエット)および白金線対電極(Alfa Aesar、マサチューセッツ州ワードヒル)を用いて行われた。作用電極は、各実験前に、供給業者の説明書に従って、磨かれた。基準電極は、電気化学の分野の当業者に知られるような+0.210V vs. NHEの電位を有することが知られる「マスター」Ag/AgCl電極に対して、較正された。溶液は、各実験前に、少なくとも5分間、アルゴンを注入された(sparged with argon)。すべての実験は、周囲温度(17〜22℃)で行われた。特に指定のない限り、支持電解質は加えられなかった。すべてのデータは、特に指定のない限り、100mV/sのスキャン速度で収集された。これらの条件下で、水素発生は、−0.80V vs. RHEより負の電位で顕著となり、酸素発生は、RHEに対する+2.20V vs. RHEより正の電位で顕著となった。代表的な電気化学的データが、以下の表に記載される。
Figure 2015523698
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実施例1.3. 5cm活性面積フロー電池の実験手順
5cmの活性面積のために設計され、酸の流れのために改変された、セルのハードウェアが、Fuel Cell Technologies(ニューメキシコ州アルバカーキ)から入手された。名目上は3mm厚さの炭素フェルトが、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手され、MGL 370カーボン紙が、Fuel Cell Earth(マサチューセッツ州ストーナム)から入手された。フェルトは、Vulcan XC-72炭素(Cabot Corp.、マサチューセッツ州ボストン)およびNAFION(商標)(Ion-Power、デラウェア州ニューカッスル)の懸濁液で浸漬被覆され、使用前に空気乾燥され、カーボン紙は、受領したときのまま使用された。NAFION(商標)HP、XLまたはNR-212カチオン交換膜は、H形態でIon-Powerから入手され、受領したときのまま使用された。VITON(商標)ガスケットは、McMaster Carr(ニュージャージー州ロビンスヴィル(Robinsville))から入手され、セルの正および負のコンパートメントから電解質が出入りするためにフェルトの上下に〜1cmの面積を残して、5cmの活性面積を許容するように切断された。セルは、フェルトもしくは紙の測定された厚さの〜25%の圧縮をもたらしたガスケットを用いて、組み立てられた。膜および電極は、組み立て前には、事前処理されなかった。電解質貯蔵部は、PVDF管および圧縮用付属品を備えたSchedule 80 PVCパイプから形成された。Masterflex(商標)L/S蠕動ポンプ(Cole Parmer、イリノイ州バーノンヒルズ)が、Tygon(商標)管と共に使用された。電解質は、電気化学的試験前に、油入りバブラーの出口を通ってUHPアルゴンを注入され、アルゴンの上部圧力は、試験中維持された。Arbin Instruments BT2000(テキサス州カレッジステーション)が、電気化学的性能を試験するのに使用され、Hioki 3561 Battery HiTESTER(ニュージャージー州クランブリー)が、セルにわたるAC抵抗を測定するのに使用された。
典型的な実験では、正および負の電極について、それぞれ50mLの電解質含有活性材料が、別々の貯蔵部に投入され、セルを通じて電解質を循環させながら、20分間アルゴンを注入された。電解質は、40%のSOCまで充電され(活性材料の濃度および電解質の容量から算出)、セルのiV反応が得られ、その後、電解質は、40%のSOCと60%のSOCとの間を循環した。Hioki電池テスターからのアナログ出力が、膜および接触抵抗の変化を観察するために記録された。
〔実施例2〕
レドックスフロー電池セルは、負および正の電解質の活性材料として、それぞれ、チタントリス−カテコレート(Ti4+/3+(cat) 2−/3−)およびフェリ/フェロ‐シアニド(Fe3+/2+(CN) 3−/4−)金属リガンド配位化合物を用いて、実施例1に記載した方法に従って組み立てられた。活性材料は、0.5M、pH11のNaSO支持電解質(負の電解質、もしくは負の分解物(negolyte))中、または支持電解質なし(正の電解質、もしくは正の分解物(posolyte))で、0.5Mの濃度で調製され、5cm炭素フェルト電極およびNa形態のNAFION(商標)カチオン選択性膜(50μm厚さ)を用いて組み立てられたフロー電池セルを通って、100mL/分で流された。〜150mA/cmの電流密度で電池を充電および放電し、図2の、結果として得られたセル電位を監視することにより、いくつかの充電/放電サイクルが集められる前に、セルは、最初は、0から50%の充電状態に充電された。開回路では、Ti4+/3+(cat) 2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−の外部測定E1/2値に基づいて、50%のSOCで平衡セル電位について予測されたとおり、1.63Vのセル電位が、観察された。充電/放電のサイクルは、正常に動作した、再現可能な電圧/電流対時間のトレースを明らかにし、確実な耐久性が、明らかとなった(図2)。69%のRT電圧効率が、150mA/cmで、このシステムについて測定された。NR212、XLおよびHP膜で作られたセルの膜および接触抵抗コンポーネントについて、Hioki電池テスターにより測定された典型的な抵抗は、それぞれ、0.77、0.60、0.5Ω−cmであった。
図3は、本発明のフロー電池の充電/放電特徴を示し、負および正の活性材料は、それぞれ、Ti4+/3+(cat) 2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−を含む。セル電位は、電池が充電されるにつれて増大し、電池が放電されるにつれて減少する。
〔実施例3〕
レドックスフロー電池セルは、チタントリス‐カテコレート(Ti4+/3+(cat) 2−/3−)およびフェリ/フェロ−シアニド(Fe3+/2+(CN) 3−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質それぞれの活性材料として用いて、実施例1.3に記載した方法に従って組み立てられた。典型的なセルでは、99.8%の往復電流効率を示す、各サイクルの放電エネルギーが充電エネルギーの99.8%であるときに、60%のSOCまで充電し、40%のSOCまで放電することを繰り返すと、安定した電圧が観察された(図4を参照)。これは、充電および放電の両方で一定の電流密度(例えば150mA/cm)を用い、充電時間よりわずかに短い(すなわち、充電時間の99.8%の)放電時間で、達成された。これらの条件下で、40および60%のSOCでの開路電圧は、長時間にわたり安定していた。
クロスオーバーフラックスデータ(Crossover flux data)は、適切に長期にわたる電池試験、典型的には、7cmの膜面積について1〜2週間の期間の、電池試験の始めと終わりに、各電解質において、FeおよびTiの濃度を測定することにより、得られた。その濃度は、ニューヨーク州シラキュースのEvans Analytical Groupが行った誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)実験により決定された。試験前のTi含有電解質中のFeのモル数が、試験の終わりに、同じ電解質中のモル数から減算された。これは、そのモル数を、膜面積および試験時間で割ることにより、フラックスに変換された。
この実施例では、活性材料は、0.5M pH11のNaSO電解質中で0.5Mの濃度で調製され、5cm炭素フェルト電極およびNa形態のNAFION(商標)カチオン選択性膜(50μm厚さ)を用いて組み立てたフロー電池セルを通じて、100mL/分で流された。100mA/cmの電流密度での数回の充電/放電サイクルの前に、セルは、最初に0から50%の充電状態まで充電された。セルは、163時間の実験の間に、283サイクルにわたり、40%のSOCと60%のSOCとの間を循環した。試験はその後終了し、正の電解質のサンプルが、Ti含有量について分析された。正の電解質中のTi濃度、曝露された全体の膜面積(7cm)、および曝露時間(163時間)から、5×10−8モル cm−2 day−1のTiのフラックスが計算され得た。表5を参照。この実施例の間、Ti錯体上の膜にわたり、NaまたはKイオンをポンプ供給する選択性は、各放電サイクルにおいて通過したイオンの量を算出し(この場合、60%から40%のSOC)、その量を、実験終了時の正の電解質中のTiの量の2倍と比較することによって算出され得る(Ti(cat)錯体では−2およびNaまたはKイオンでは+1の電荷の説明となる)。この場合、5×10−3モルのNa/Kが、各サイクルにおいて通過し、実験の283サイクルでは、およそ1.42モルのNa/Kが通過した。正の電解質中のTiの量は、2.3×10−6モルと測定されたので、〜3×10の選択性が決定され得る(1.42モルのNa/Kを、2×2.3×10−6モルのTiで割る)。
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ボイルしたDuPont NAFION(商標)NR212膜(50μm厚さ)を用いて、100mA/cmで動作されたセルにおける金属リガンド配位錯体の典型的なフラックスは、フェリ/フェロシアニドでは5.0×10−8mol cm−2 day−1、チタントリスカテコレートでは6.5×10−8mol cm−2 day−1であった。よって、鉄およびチタン錯体は、それぞれ、ボイルしていない膜を通過するイオンの合計のモルフラックスの5.6×10−5%および7.2×10−5%を構成する。ボイルしていないDuPont NAFION(商標)HP(20μm厚さ)では、測定したフラックスは、前記の鉄およびチタン錯体について、それぞれ1.1×10−5および3.3×10−6mol cm−2 day−1であった。よって鉄およびチタン錯体は、ボイルしていない膜を通過するイオンの合計のモルフラックスの0.012%および0.0037%をそれぞれ構成する。これらのデータは、ボイルされた膜およびボイルしていない膜双方の試験に対する、平均往復電流効率が99.9%超であることを示している。これらの結果は、本明細書に記載する化合物について、代表的かつ典型的なものであると考えられる。
〔実施例4〕
レドックスフロー電池セルが、チタンビス‐カテコレートモノ‐ピロガレート(titanium bis-catecholate mono-pyrogallate)(Ti4+/3+(cat)(gal)2−/3−)およびフェリ/フェロ‐シアニド(Fe3+/2+(CN) 3−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質の活性材料としてそれぞれ使用して、実施例1.3に記載した一般的な方法に従って、組み立てられた。この実施例では、炭素フェルト電極は、実施例2と同じように、Vulcan炭素およびNAFION(商標)で触媒されたTORAY(商標)カーボン紙電極と置き換えられた。さらに、「互いに組み合わせた(interdigitated)」タイプの流動場を利用した。活性材料溶液濃度は、1.5Mまで増大され、セル性能は、電流密度の関数として、充電および放電サイクル双方においてセル電位を監視することにより、評価された。図5で分かるように、セルは、150、200、250mA/cmの電流密度で、それぞれ84%、79%、73%の往復電圧効率を維持する。この構成では、フロー電池活性材料は、32.79Wh/Lのエネルギー密度を示した。
Ti4+/3+(cat) 2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−を用いた類似実験の結果が、図6および図7に示される。
〔実施例5〕
レドックスフロー電池セルが、チタンビス‐ラクテートモノ−サリチレート(titanium bis-lactate mono-salicylate)([Ti4+/3+(ラクテート)(サリチレート)]2−/3−)およびフェリ/フェロ‐シアニド([Fe3+/2+(CN)3−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質の活性材料としてそれぞれ使用して、実施例1.3に記載された方法に従って、組み立てられた。活性材料溶液は、追加の支持電解質なしで、1Mの濃度で調製され、5cmカーボン紙電極およびNa形態のNAFION(商標)カチオン選択性膜(25μm厚さ)を用いて組み立てられたフロー電池セルを通して、100mL/分で流された。150もしくは100mA/cmでセルを充電および放電し、結果として得られたセル電位を監視することにより(図8)(ここでは、視覚的により広いサイクルが、150mA/cmの代わりに100mA/cmで取られた)、充電/放電サイクルが集められる前に、セルは、最初に、0から25%の充電状態に充電された。開回路では、[Ti4+/3+(ラクテート)(サリチレート)]2−/3−および[Fe3+/2+(CN)3−/4−の外部測定E1/2値に基づいて、50%のSOCで平衡セル電位について予測されたとおりに、1.60Vのセル電位が観察された。充電/放電のサイクルは、正常に動作した、再現可能な電圧/電流対時間のトレースを明らかにし、確実な耐久性が、明らかとなった(図8)。67%のRT電圧効率が、150mA/cmで、このシステムについて測定された。NR212、XLおよびHP膜で作られたセルの膜および接触抵抗コンポーネントについて、Hioki電池テスターにより測定された典型的な抵抗は、それぞれ、0.77、0.60、0.5Ω−cmであった。
〔実施例6〕
レドックスフロー電池セルが、チタンビス‐ラクテートモノ-グリコール酸(titanium bis-lactate mono-glycolic acid)([Ti4+/3+(ラクテート)(α-ヒドロキシアセテート)]2−/3−)およびフェリ/フェロ‐シアニド([Fe3+/2+(CN)3−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質それぞれの活性材料として用いて、実施例1.3に記載した方法に従って組み立てられた。典型的なセルでは、99.8%の往復電流効率を示す、各サイクルの放電エネルギーが充電エネルギーの99.8%であるときに、75%のSOCまで充電し25%のSOCまで放電するのを繰り返すと、安定した電圧が観察された(図9を参照)。これは、充電および放電の両方で一定の電流密度(例えば150mA/cm)を用い、充電時間よりわずかに短い(すなわち、充電時間の99.8%の)放電時間で、達成された。これらの条件下で、25および75%のSOCでの開路電圧は、長時間にわたり安定していた。
当業者は認識するであろうが、これらの教示を踏まえると、本発明の多くの改変およびバリエーションが可能であり、そのようなものすべてが、ここで企図される。例えば、本明細書に記載した実施形態に加えて、本発明は、本明細書で引用した発明の特徴、および本発明の特徴を実装する引用先行技術文献の特徴の組み合わせにより生じる発明を企図し、主張する。同様に、説明した任意の材料、特徴、または物品は、任意の他の材料、特徴、または物品と組み合わせて使用されてよく、そのような組み合わせは、本発明の範囲内とみなされることが、理解されるであろう。
本明細書で引用もしくは説明された各特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
〔実施の態様〕
(1) フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
分離器と、
を含み、
前記フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも85%の電流効率で動作することができ、
前記分離器は、約100μm以下の厚さを有する、フロー電池。
(2) 実施態様1に記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
活性材料の拡散的クロスオーバーが、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
(3) 実施態様1に記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
正の電極と負の電極との間で前記セル内に存在する短絡が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失の原因となる、フロー電池。
(4) 実施態様1に記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
正の電解質と負の電解質との間での帯電した活性材料の移動が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
(5) 実施態様1に記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
寄生反応へとそらされる電流の量が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における4%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
(6) 実施態様1に記載のフロー電池において、
オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
流体マニホールド内で生じる分流が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における5%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
(7) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記第1および第2の活性材料は、金属リガンド配位化合物である、フロー電池。
(8) 実施態様7に記載のフロー電池において、
前記リガンドは、以下:CN−、HO、ハロ、ヒドロキシル、アミン、ポリアミン、多価アルコール、カルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノ酸のアニオン、カルボニルもしくは一酸化炭素カルボニルもしくは一酸化炭素、窒化物、オキソ、硫化物、ピリジン、ピラジン、アミド基、イミド基、アルコキシ基、シロキシ、チオレート、カテコール、ビピリジン、ビピラジン、エチレンジアミン、ジオール、テルピリジン、ジエチレントリアミン、トリアザシクロノナン、トリスアミノメタン、キノン、ハイドロキノン、ビオロゲン、ピリジニウム、アクリジニウム、多環芳香族炭化水素、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(9) 実施態様1に記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(10) 実施態様9に記載のフロー電池において、
前記第1の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(11) 実施態様1に記載のフロー電池において、
第2の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(12) 実施態様11に記載のフロー電池において、
前記第2の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(13) 実施態様1に記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属および第2の金属リガンド配位化合物の金属は、還元電位が、少なくとも約0.5ボルトだけ異なる、フロー電池。
(14) 実施態様1に記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属および第2の金属リガンド配位化合物の金属は、還元電位が、少なくとも約1.0ボルトだけ異なる、フロー電池。
(15) 実施態様1に記載のフロー電池において、
第1の金属リガンド配位化合物の金属は、第2の金属リガンド配位化合物と同じであり、
第1の金属および第2の金属は、異なる酸化状態を有する、フロー電池。
(16) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
(17) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記可動イオンは、充電/放電中にイオン電流の少なくとも約80%を運ぶ、フロー電池。
(18) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記可動イオンは、充電/放電中にイオン電流の少なくとも約85%を運ぶ、フロー電池。
(19) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記可動イオンは、以下:Li、K、Na、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Cl、Br、I、OH、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(20) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記分離器は、50μm以下の厚さを有し、前記フロー電池は、少なくとも約98%の電流効率で動作する、フロー電池。
(21) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記分離器は、25μm以下の厚さを有し、前記フロー電池は、少なくとも約96%の電流効率で動作する、フロー電池。
(22) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記フロー電池は、約1mA/cm以下の短絡損失で動作することができる、フロー電池。
(23) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記分離器はポリマーを含み、
前記ポリマーは、アニオン性官能基で構成されるカチオン性交換膜である、フロー電池。
(24) 実施態様23に記載のフロー電池において、
前記ポリマーは、以下:ポリアミンを有する、架橋されたハロゲン化アルキル化化合物、ポリアミンを有する架橋された芳香族ポリスルホン型ポリマー、全フッ素置換された炭化水素スルホネートアイオノマー、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)、スルホン化されたポリ(フタラジノンエーテルケトン)、スルホン化されたフェノールフタレインポリ(エーテルスルホン)、スルホン化されたポリイミド、スルホン化されたポリホスファゼン、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール、スルホン酸基を含む芳香族ポリマー、スルホン化された全フッ素置換ポリマー、スルホン酸基、カルボキシレート基、リン酸基、ボロン酸基、またはこれらの組み合わせを有するフッ素化されたアイオノマー、スルホン酸基もしくはカルボキシレート基を有するポリ芳香族エーテル、ポリ(4-ビニルピリジン、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(1-メチル−4−ビニルピリジン)、ポリ[(2,2’−m−フェニレン)−5,5’-ビベンゾイミダゾール][ポリ(2,2’-(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール]、ポリ(2,5−ベンゾイミダゾール)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(25) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記分離器は、固体ポリマーを含み、
前記固体ポリマーは、カチオン性官能基で構成されたアニオン性交換膜である、フロー電池。
(26) 実施態様25に記載のフロー電池において、
前記ポリマーは、以下:ポリジアリールジメチルアンモニウム、ポリ(メタクリルオイルオキシエチルトリエチルアンモニウム)、ポリ(ジアリルアンモニウム)、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(27) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記ポリマーは、以下:ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、全フッ素置換されたポリマー、フッ化ポリビニリデン、ポリ(エーテル‐ケトン‐エーテル‐ケトン‐ケトン)、ポリ(塩化ビニル)、置換ビニルポリマー、ポリスチレン、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(28) 実施態様27に記載のフロー電池において、
前記膜は、補強材料をさらに含む、フロー電池。
(29) 実施態様28に記載のフロー電池において、
前記補強材料は、以下:ナイロン、コットン、ポリエステル、結晶シリカ、結晶チタニア、非晶質シリカ、非晶質チタニア、ゴム、アスベスト、木材、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(30) 実施態様29に記載のフロー電池において、
補強材の容量パーセントは、所与の膜厚さにおいて:
所望厚さ=10μm/(1−補強材の容量%)
により、決定される、フロー電池。
(31) フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さを有する分離器と、
を含み、
前記フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも60%の往復電圧効率で動作することができる、フロー電池。
(32) 実施態様31に記載のフロー電池において、
前記フロー電池は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の電圧効率で動作することができる、フロー電池。
(33) 実施態様31に記載のフロー電池において、
前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
(34) フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さであり、前記第1および第2の活性材料にわたり1つの可動イオンについて約50〜約1,000,000の範囲の選択性を有することができる、分離器と、
を含む、フロー電池。
(35) 実施態様34に記載のフロー電池において、
前記分離器は、前記第1および第2の活性材料にわたり少なくとも1つの可動イオンについて約50〜約300の範囲の選択性を有することができる、フロー電池。
(36) 実施態様34に記載のフロー電池において、
前記分離器は、第1および第2の活性中心にわたり少なくとも1つの可動イオンについて100〜約1000の範囲の選択性を有することができる、フロー電池。
(37) 実施態様34に記載のフロー電池において、
前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
(38) フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さを有する分離器であって、前記第1の活性材料、前記第2の活性材料、またはそれら両方について、前記分離器を通じる拡散速度を、1×10−7mol/cm‐sec以下になるよう、生じさせることができる、分離器と、
を含む、フロー電池。
(39) 実施態様38に記載のフロー電池において、
前記第1の活性材料、前記第2の活性材料、またはそれらの両方は、約1×10−9mol/cm‐sec以下、約1×10−11mol/cm‐sec以下、約1×10−13mol/cm‐sec以下、または1×10−15mol/cm‐sec以下の、前記分離器を通じる拡散速度を有する、フロー電池。
(40) 実施態様38に記載のフロー電池において、
前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
(41) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記分離器は、多孔質の膜を含む、フロー電池。
(42) 実施態様41に記載のフロー電池において、
前記分離器は、多孔質の膜であり、
前記多孔質の膜は、約0.001nm〜100nmの平均サイズ分布の孔を有する、フロー電池。
(43) 実施態様42に記載のフロー電池において、
前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
前記金属‐リガンド配位化合物の平均直径は、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約50%大きい、フロー電池。
(44) 実施態様41に記載のフロー電池において、
前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
前記金属‐リガンド配位化合物の平均直径は、孔のサイズ範囲が実質的に均一である場合に、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約20%大きい、フロー電池。
(45) 実施態様1に記載のフロー電池において、
a.前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
b.前記金属‐リガンド配位化合物は、前記金属‐リガンド配位化合物が流体力学直径を有するものとして特徴づけられるように水和球を有し、
c.前記流体力学直径は、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約35%大きい、フロー電池。
(46) 実施態様41に記載のフロー電池において、
a.前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
b.前記金属‐リガンド配位化合物は、流体力学直径を生じる少なくとも1つの水分子にさらに配位され、
c.前記流体力学直径は、孔のサイズ範囲が実質的に均一である場合に、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約10%大きい、フロー電池。
(47) フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質であって、前記第1の活性材料は正味のイオン電荷を有する、第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質であって、前記第2の活性材料は正味のイオン電荷を有する、第2の電解質と、
前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さであり、アイオノマー膜を含む、分離器と、
を含み、
前記第1の活性材料、前記第2の活性材料、またはこれら両方の活性材料の前記正味のイオン電荷は、前記アイオノマー膜のものと一致し、
前記フロー電池は、少なくとも100mA/cmの電流密度で少なくとも90%の電流効率で動作することができる、フロー電池。
(48) 実施態様47に記載のフロー電池において、
前記アイオノマーは、1cm当たり2×10−3g以下のアイオノマーの面積ベースでアイオノマー質量対モル含有率を有する、フロー電池。
(49) フロー電池において、
少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
約100μm以下の厚さの分離器と、
を含み、
前記分離器は、複数の層を有し、前記複数の層において、少なくとも1つの層は、イオン伝導が可能であり、少なくとも1つの他の層は、選択的なイオン輸送が可能であり、
前記フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも90%の電流効率で動作することができる、フロー電池。
(50) 実施態様49に記載のフロー電池において、
前記少なくとも1つの層は、前記分離器上に吸収されるべき前記第1の電解質または前記第2の電解質のうちの少なくとも一方を含む、フロー電池。
(51) 実施態様49に記載のフロー電池において、
吸収分離器の所望の面積抵抗範囲は、
Figure 2015523698
によって決定される、フロー電池。
(52) 実施態様49に記載のフロー電池において、
選択的なイオン輸送が可能な前記少なくとも1つの他の層は、以下:全フッ素置換されたスルホネートポリマー(sulfonate polymer)、全フッ素置換された炭化水素スルホネートアイオノマー、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)、スルホン化されたポリ(フタラジノンエーテルケトン)、スルホン化されたフェノールフタレインポリ(エーテルスルホン)、スルホン化されたポリイミド、スルホン化されたポリホスファゼン、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール、スルホン酸基もしくはカルボン酸基を有するポリ芳香族エーテル、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
(53) 実施態様49に記載のフロー電池において、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの層は、多孔質の膜である、フロー電池。
例示的なフロー電池の概略図である。 実施例2に記載するような、Ti4+/3+(cat) 2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−に基づいた、5cmのシステムの250回の充電/放電サイクル中に得られた安定性能データを提供している。 実施例2に記載するような、本発明のフロー電池の充電/放電トレースを提供している。この実施例は、Ti4+/3+(cat) 2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−をそれぞれ第1および第2の電解質として含有する。電池は、200mA/cmの電流密度および〜76%のRT電圧効率で、0%のSOCから60%のSOCまで充電され、その後40%のSOCまで放電された。 実施例3に記載するような、Ti4+/3+(cat) 2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−に基づいたシステムで得られた電流効率データを提供している。 実施例4に記載するような、Ti4+/3+(cat)(ピロガレート)2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−に基づいたシステムの、電流密度の関数としての、電圧効率データを提供している。 実施例4に記載するような、Ti4+/3+(cat) 2−/3−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−に基づいたシステムの、電流密度の関数としての、電圧効率データを提供している。 本発明のフロー電池の充電/放電トレースを提供している。この実施例は、Fe3+/2+(cat) 3−/4−およびFe3+/2+(CN) 3−/4−をそれぞれ第1および第2の電解質として含有する。電池は、100mA/cmの電流密度およびおよそ82%のRT電圧効率で、0%のSOCから60%のSOCまで充電され、その後40%のSOCまで放電された。 100mA/cmとして言及されたエリアを除いて150mA/cmの電流密度で、5cm活性面積フロー電池の、いずれもpH11の、正のカップル(positive couple)としての1MのFe(CN)および負のカップル(negative couple)としての1MのTi(ラクテート)(サリチレート)について、充電‐放電サイクル中のセル電圧のデータを提供する。 150mA/cmの電流密度で、5cm活性面積フロー電池の、いずれもpH11の、正のカップルとしての1MのFe(CN)および負のカップルとしての1MのTi(ラクテート)(α-ヒドロキシアセテート)について、充電‐放電サイクル中の、時単位での試験時間および各サイクル間のiVトレースに対してプロットされた、ボルト単位のセル電圧を提供する。

Claims (53)

  1. フロー電池において、
    少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
    第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
    前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
    前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
    分離器と、
    を含み、
    前記フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも85%の電流効率で動作することができ、
    前記分離器は、約100μm以下の厚さを有する、フロー電池。
  2. 請求項1に記載のフロー電池において、
    オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
    活性材料の拡散的クロスオーバーが、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
  3. 請求項1に記載のフロー電池において、
    オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
    正の電極と負の電極との間で前記セル内に存在する短絡が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失の原因となる、フロー電池。
  4. 請求項1に記載のフロー電池において、
    オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
    正の電解質と負の電解質との間での帯電した活性材料の移動が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における2%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
  5. 請求項1に記載のフロー電池において、
    オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
    寄生反応へとそらされる電流の量が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における4%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
  6. 請求項1に記載のフロー電池において、
    オンロードまたはオフロード状態におけるフロー電池内のセルのある領域が、正および負の電解質で実質的に満たされ、
    流体マニホールド内で生じる分流が、充電または放電モードにおいてオンロード状態における5%以下の電流効率損失を表わす、フロー電池。
  7. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記第1および第2の活性材料は、金属リガンド配位化合物である、フロー電池。
  8. 請求項7に記載のフロー電池において、
    前記リガンドは、以下:CN−、HO、ハロ、ヒドロキシル、アミン、ポリアミン、多価アルコール、カルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノ酸のアニオン、カルボニルもしくは一酸化炭素カルボニルもしくは一酸化炭素、窒化物、オキソ、硫化物、ピリジン、ピラジン、アミド基、イミド基、アルコキシ基、シロキシ、チオレート、カテコール、ビピリジン、ビピラジン、エチレンジアミン、ジオール、テルピリジン、ジエチレントリアミン、トリアザシクロノナン、トリスアミノメタン、キノン、ハイドロキノン、ビオロゲン、ピリジニウム、アクリジニウム、多環芳香族炭化水素、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  9. 請求項1に記載のフロー電池において、
    第1の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  10. 請求項9に記載のフロー電池において、
    前記第1の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  11. 請求項1に記載のフロー電池において、
    第2の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  12. 請求項11に記載のフロー電池において、
    前記第2の金属リガンド配位化合物の金属は、以下の原子:Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  13. 請求項1に記載のフロー電池において、
    第1の金属リガンド配位化合物の金属および第2の金属リガンド配位化合物の金属は、還元電位が、少なくとも約0.5ボルトだけ異なる、フロー電池。
  14. 請求項1に記載のフロー電池において、
    第1の金属リガンド配位化合物の金属および第2の金属リガンド配位化合物の金属は、還元電位が、少なくとも約1.0ボルトだけ異なる、フロー電池。
  15. 請求項1に記載のフロー電池において、
    第1の金属リガンド配位化合物の金属は、第2の金属リガンド配位化合物と同じであり、
    第1の金属および第2の金属は、異なる酸化状態を有する、フロー電池。
  16. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
  17. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記可動イオンは、充電/放電中にイオン電流の少なくとも約80%を運ぶ、フロー電池。
  18. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記可動イオンは、充電/放電中にイオン電流の少なくとも約85%を運ぶ、フロー電池。
  19. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記可動イオンは、以下:Li、K、Na、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Cl、Br、I、OH、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  20. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記分離器は、50μm以下の厚さを有し、前記フロー電池は、少なくとも約98%の電流効率で動作する、フロー電池。
  21. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記分離器は、25μm以下の厚さを有し、前記フロー電池は、少なくとも約96%の電流効率で動作する、フロー電池。
  22. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記フロー電池は、約1mA/cm以下の短絡損失で動作することができる、フロー電池。
  23. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記分離器はポリマーを含み、
    前記ポリマーは、アニオン性官能基で構成されるカチオン性交換膜である、フロー電池。
  24. 請求項23に記載のフロー電池において、
    前記ポリマーは、以下:ポリアミンを有する、架橋されたハロゲン化アルキル化化合物、ポリアミンを有する架橋された芳香族ポリスルホン型ポリマー、全フッ素置換された炭化水素スルホネートアイオノマー、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)、スルホン化されたポリ(フタラジノンエーテルケトン)、スルホン化されたフェノールフタレインポリ(エーテルスルホン)、スルホン化されたポリイミド、スルホン化されたポリホスファゼン、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール、スルホン酸基を含む芳香族ポリマー、スルホン化された全フッ素置換ポリマー、スルホン酸基、カルボキシレート基、リン酸基、ボロン酸基、またはこれらの組み合わせを有するフッ素化されたアイオノマー、スルホン酸基もしくはカルボキシレート基を有するポリ芳香族エーテル、ポリ(4-ビニルピリジン、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(1-メチル−4−ビニルピリジン)、ポリ[(2,2’−m−フェニレン)−5,5’-ビベンゾイミダゾール][ポリ(2,2’-(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール]、ポリ(2,5−ベンゾイミダゾール)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  25. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記分離器は、固体ポリマーを含み、
    前記固体ポリマーは、カチオン性官能基で構成されたアニオン性交換膜である、フロー電池。
  26. 請求項25に記載のフロー電池において、
    前記ポリマーは、以下:ポリジアリールジメチルアンモニウム、ポリ(メタクリルオイルオキシエチルトリエチルアンモニウム)、ポリ(ジアリルアンモニウム)、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  27. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記ポリマーは、以下:ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、全フッ素置換されたポリマー、フッ化ポリビニリデン、ポリ(エーテル‐ケトン‐エーテル‐ケトン‐ケトン)、ポリ(塩化ビニル)、置換ビニルポリマー、ポリスチレン、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  28. 請求項27に記載のフロー電池において、
    前記膜は、補強材料をさらに含む、フロー電池。
  29. 請求項28に記載のフロー電池において、
    前記補強材料は、以下:ナイロン、コットン、ポリエステル、結晶シリカ、結晶チタニア、非晶質シリカ、非晶質チタニア、ゴム、アスベスト、木材、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  30. 請求項29に記載のフロー電池において、
    補強材の容量パーセントは、所与の膜厚さにおいて:
    所望厚さ=10μm/(1−補強材の容量%)
    により、決定される、フロー電池。
  31. フロー電池において、
    少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
    第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
    前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
    前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
    約100μm以下の厚さを有する分離器と、
    を含み、
    前記フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも60%の往復電圧効率で動作することができる、フロー電池。
  32. 請求項31に記載のフロー電池において、
    前記フロー電池は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の電圧効率で動作することができる、フロー電池。
  33. 請求項31に記載のフロー電池において、
    前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
  34. フロー電池において、
    少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
    第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
    前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
    前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
    約100μm以下の厚さであり、前記第1および第2の活性材料にわたり1つの可動イオンについて約50〜約1,000,000の範囲の選択性を有することができる、分離器と、
    を含む、フロー電池。
  35. 請求項34に記載のフロー電池において、
    前記分離器は、前記第1および第2の活性材料にわたり少なくとも1つの可動イオンについて約50〜約300の範囲の選択性を有することができる、フロー電池。
  36. 請求項34に記載のフロー電池において、
    前記分離器は、第1および第2の活性中心にわたり少なくとも1つの可動イオンについて100〜約1000の範囲の選択性を有することができる、フロー電池。
  37. 請求項34に記載のフロー電池において、
    前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
  38. フロー電池において、
    少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
    第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
    前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
    前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
    約100μm以下の厚さを有する分離器であって、前記第1の活性材料、前記第2の活性材料、またはそれら両方について、前記分離器を通じる拡散速度を、1×10−7mol/cm‐sec以下になるよう、生じさせることができる、分離器と、
    を含む、フロー電池。
  39. 請求項38に記載のフロー電池において、
    前記第1の活性材料、前記第2の活性材料、またはそれらの両方は、約1×10−9mol/cm‐sec以下、約1×10−11mol/cm‐sec以下、約1×10−13mol/cm‐sec以下、または1×10−15mol/cm‐sec以下の、前記分離器を通じる拡散速度を有する、フロー電池。
  40. 請求項38に記載のフロー電池において、
    前記第2の活性材料は、前記第1の活性材料とは異なる、フロー電池。
  41. 請求項1に記載のフロー電池において、
    前記分離器は、多孔質の膜を含む、フロー電池。
  42. 請求項41に記載のフロー電池において、
    前記分離器は、多孔質の膜であり、
    前記多孔質の膜は、約0.001nm〜100nmの平均サイズ分布の孔を有する、フロー電池。
  43. 請求項42に記載のフロー電池において、
    前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
    前記金属‐リガンド配位化合物の平均直径は、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約50%大きい、フロー電池。
  44. 請求項41に記載のフロー電池において、
    前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
    前記金属‐リガンド配位化合物の平均直径は、孔のサイズ範囲が実質的に均一である場合に、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約20%大きい、フロー電池。
  45. 請求項1に記載のフロー電池において、
    a.前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
    b.前記金属‐リガンド配位化合物は、前記金属‐リガンド配位化合物が流体力学直径を有するものとして特徴づけられるように水和球を有し、
    c.前記流体力学直径は、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約35%大きい、フロー電池。
  46. 請求項41に記載のフロー電池において、
    a.前記活性材料は、実質的に、金属‐リガンド配位化合物の形態であり、
    b.前記金属‐リガンド配位化合物は、流体力学直径を生じる少なくとも1つの水分子にさらに配位され、
    c.前記流体力学直径は、孔のサイズ範囲が実質的に均一である場合に、前記多孔質の膜の孔の平均サイズより約10%大きい、フロー電池。
  47. フロー電池において、
    少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質であって、前記第1の活性材料は正味のイオン電荷を有する、第1の電解質と、
    第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質であって、前記第2の活性材料は正味のイオン電荷を有する、第2の電解質と、
    前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
    前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
    約100μm以下の厚さであり、アイオノマー膜を含む、分離器と、
    を含み、
    前記第1の活性材料、前記第2の活性材料、またはこれら両方の活性材料の前記正味のイオン電荷は、前記アイオノマー膜のものと一致し、
    前記フロー電池は、少なくとも100mA/cmの電流密度で少なくとも90%の電流効率で動作することができる、フロー電池。
  48. 請求項47に記載のフロー電池において、
    前記アイオノマーは、1cm当たり2×10−3g以下のアイオノマーの面積ベースでアイオノマー質量対モル含有率を有する、フロー電池。
  49. フロー電池において、
    少なくとも1つの可動イオンを含有する第1の活性材料を含む水溶液を含む第1の電解質と、
    第2の活性材料および少なくとも1つの可動イオンを含む水溶液を含む第2の電解質と、
    前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
    前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
    約100μm以下の厚さの分離器と、
    を含み、
    前記分離器は、複数の層を有し、前記複数の層において、少なくとも1つの層は、イオン伝導が可能であり、少なくとも1つの他の層は、選択的なイオン輸送が可能であり、
    前記フロー電池は、少なくとも約100mA/cmの電流密度で少なくとも90%の電流効率で動作することができる、フロー電池。
  50. 請求項49に記載のフロー電池において、
    前記少なくとも1つの層は、前記分離器上に吸収されるべき前記第1の電解質または前記第2の電解質のうちの少なくとも一方を含む、フロー電池。
  51. 請求項49に記載のフロー電池において、
    吸収分離器の所望の面積抵抗範囲は、
    Figure 2015523698
    によって決定される、フロー電池。
  52. 請求項49に記載のフロー電池において、
    選択的なイオン輸送が可能な前記少なくとも1つの他の層は、以下:全フッ素置換されたスルホネートポリマー、全フッ素置換された炭化水素スルホネートアイオノマー、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)、スルホン化されたポリ(フタラジノンエーテルケトン)、スルホン化されたフェノールフタレインポリ(エーテルスルホン)、スルホン化されたポリイミド、スルホン化されたポリホスファゼン、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール、スルホン酸基もしくはカルボン酸基を有するポリ芳香族エーテル、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を含む、フロー電池。
  53. 請求項49に記載のフロー電池において、
    前記複数の層のうちの少なくとも1つの層は、多孔質の膜である、フロー電池。
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