JP2015519475A5 - 改良された快削性展伸アルミニウム合金製品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、機械加工用途のための、とくに快削用途のための展伸アルミニウム合金製品に関するものである。本発明は、また、押出成形および精密旋削への適合性の機能として最適化され、特に、融点が低く、鉛などのように環境および健康に有害か、または、合金の冶金学的構造の脆化を引き起こすことのある元素を含まない化学組成を有するAA6000系アルミニウム製の、主に棒またはロッド型の単純な押出製品から得られる精密旋削部品の分野に関するものである。
国際公開第2005/100623号には、機械加工または快削用途のための、好ましくは押出成形の形態の快削性展伸AlMgSi合金製品が開示されており、その合金は、重量%で、0.6〜2.0のSi、0.2〜1.0のFe、0.5〜2.0のMg、最大1.0のCu、最大1.5のMn、最大1.0のZn、最大0.35のCr、最大0.35のTi、0.04〜0.3のZr、各々最大0.05で総量で最大0.15の不純物を含み、残余がAlである。
したがって、鉛含有合金AA6262またはAA2011製のそれらの製品に類似した性質を有する、すなわち、快削中に長い切屑を形成することを防止し、適切な機械的性質および耐食性を有し、陽極酸化されるのに適した、Pbを含まない快削性展伸合金製品を得ることは今なお目標である。
本発明の第一の目的は、重量%で表示した下記の化学組成
‐1.3%≦Si≦12%、
‐1.35%≦Fe≦1.8%、
を有する快削性展伸アルミニウム合金製の押出製品であって、
Fe+Siの総含有量は3.4%、好ましくは3.6%、より高く、
‐0.15%≦Cu≦6%、
‐0.6%≦Mg≦3%、
‐任意で、一つまたは複数の下記の元素
‐Mn≦1%
‐Cr≦0.25%
‐Ni≦3%
‐Zn≦1%
‐Ti≦0.1%
‐Bi≦0.7%
‐In≦0.7%
‐Sn≦0.7%
‐他の元素が各々≦0.05%で総量≦0.15%
‐残余がアルミニウム
であることを特徴とする押出製品である。
‐1.3%≦Si≦12%、
‐1.35%≦Fe≦1.8%、
を有する快削性展伸アルミニウム合金製の押出製品であって、
Fe+Siの総含有量は3.4%、好ましくは3.6%、より高く、
‐0.15%≦Cu≦6%、
‐0.6%≦Mg≦3%、
‐任意で、一つまたは複数の下記の元素
‐Mn≦1%
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‐In≦0.7%
‐Sn≦0.7%
‐他の元素が各々≦0.05%で総量≦0.15%
‐残余がアルミニウム
であることを特徴とする押出製品である。
本発明によると、展伸合金製品では、合金製品の強度、硬度を高めるため、および、切屑が削ぎ取られ、より容易に破砕されるように共に機械加工性を改良するSi含有金属間粒子の量を増加させるために、Si含有量は1.3重量%より高い。好ましくは、Si含有量は1.3重量%よりかなり高い。有利には、Si含有量は1.55重量%より高い。しかしながら、シリコン量が高すぎると、その結果として粗ダイヤモンド立方体‐F格子相粒子の沈澱が生じ、押し出し性が悪化し、均質化中の二次相粒子の初期融解の危険性を増大させることにつながる。Si含有量は共晶含有量に近い12%より低いことが有利であり、好ましくは5重量%より低い。
展伸合金製品のFe含有量は1.35重量%より高く、チップブレーカとして作用するアルミニウムを含む硬質金属間相を形成する。Fe含有量は短い切屑の形成を促進する二次相粒子の量を制御する。Fe含有量は好ましくは1.55%より高いが、押し出し性を低下させるビレット鋳造中の一次鉄含有相の形成を防ぐために、1.8%より低い。さらに好ましくは、Fe含有量は1.7重量%から1.8重量%の範囲である。
展伸合金製品は0.6%より高いMg含有量を有し、Mgの存在は合金の強度を増大させ、Mg含有金属間粒子の量を増加させ、それは切屑が削り取られ、より容易に破砕されるので、さらに機械加工性を改良する。Mg含有量は、0.6〜3重量%であり得る。それは、好ましくはSi含有量との関係によって決定され、シリコン含有量が高いほど、均質化中の二次相粒子の初期融解の危険性を低下させるためにマグネシウム含有量は高くなければならない。しかしながら、マグネシウム含有量が高過ぎると、押し出し性および工具摩耗に都合が良くない。したがって、Si含有量が5重量%より低いとき、Mg含有量は0.6〜2重量%であるのが好ましい。
銅もまた合金製品の強度をかなり増大させる。本発明による展伸製品の合金は最小含有量が0.15重量%の銅を含む。Cu、SiおよびMgの同時存在の結果、合金の低下した靭性と組み合わされた、増大した強度を得ることになり、それは切屑の脆弱性および形状を改良する。好ましくは、銅の含有量は0.65%より高いが、6%より低く、好ましくは、その押し出し性への逆効果のせいで1%より低い。
展伸合金製品は、任意で最大1重量%のZn含有量を有する。特にMgおよび/またはCuと組み合わせると、Znは合金製品の強度を増大させる。
展伸合金製品は、同様にビスマス、錫、またはインジウムを含むことがある。鉛のように、これらの元素は融点が低い軟質相を形成することがある。切屑の形成の間、これらの軟質相は材料中に脆弱点を形成し、その結果、切屑はより容易に破砕される。本発明では、Bi、SnまたはInの含有量は0.7%より低い。しかしながら、それらは好ましくは他の元素と組み合わせてチップブレーカとして作用する金属間相を形成するのに十分な低濃度で合金中に存在し、それによって、低い融点での軟質層の形成を防止する。好ましい実施態様では、これらの元素の少なくとも一つの含有量は0.05重量%よりわずかに高く、0.4重量%より低い。
チタンは一次アルミニウムの細粒化を促進し、上述の二次相の分布に影響する。それは鋳放しの微細構造の細粒化剤として添加され、最大で0.1重量%まで存在することができる。細粒化アルミニウム展伸合金技術で公知のように、Tiは、TiB2および/またはTiCと共に、または、それとして添加される。その含有量は、押し出し性に悪影響があるせいで、0.1%までに制限される。
本発明の別の目的は、
(i)上述のような化学組成を有する合金製のビレットを鋳造する段階、
(ii)前記鋳造ビレットを525〜580℃、好ましくは535〜555℃の範囲の温度で少なくとも一時間均質化する段階、
(iii)前記均質化ビレットを押出成形する段階、
(iv)500℃より高い温度で押出製品を固溶化熱処理し、つづいて、急冷、好ましくは、水焼き入れされる段階であって、前記固溶化熱処理は押出成形中に発生した熱によって実施されるものであるか、或いは、前記固溶化熱処理は別の熱処理炉を使用することによって制御されるものである段階、
(v)押出成形され、急冷された製品の合金を時効処理する段階
からなる快削性展伸アルミニウム合金製品の製造方法である。
(i)上述のような化学組成を有する合金製のビレットを鋳造する段階、
(ii)前記鋳造ビレットを525〜580℃、好ましくは535〜555℃の範囲の温度で少なくとも一時間均質化する段階、
(iii)前記均質化ビレットを押出成形する段階、
(iv)500℃より高い温度で押出製品を固溶化熱処理し、つづいて、急冷、好ましくは、水焼き入れされる段階であって、前記固溶化熱処理は押出成形中に発生した熱によって実施されるものであるか、或いは、前記固溶化熱処理は別の熱処理炉を使用することによって制御されるものである段階、
(v)押出成形され、急冷された製品の合金を時効処理する段階
からなる快削性展伸アルミニウム合金製品の製造方法である。
本発明のまた別の目的は、展伸アルミニウム合金製品をいずれかの機械加工金属切削作業を使用して機械加工し、次に硬質陽極酸化して、典型的には低粗度の約30μmの陽極酸化層を有し、その陽極酸化表面の粗度Rmaxは好ましくは4μm未満、さらに好ましくは3μm未満であり、それによって特に改良されたブレーキピストンボディが得られる、本発明による展伸アルミニウム合金製品の使用である。
実際、本出願人は、本発明による展伸アルミニウム合金製品が、重金属を含まない快削性合金製の公知の製品の陽極酸化後の表面粗度よりもかなり良好な、陽極酸化後の優れた表面粗度を示すことに気づいた。本発明による展伸アルミニウム合金製品の使用は、それらの優れた機械的性質、機械加工性、および陽極酸化後に低い表面粗度を有するそれらの優れた適性によって、特にブレーキピストンボディの製造に推奨される。
陽極酸化から生じる表面粗度は複数のパラメータによって変化し、それらのパラメータとしては、陽極酸化前の表面粗度、陽極酸化方法および陽極酸化される合金、特にその微細構造に存在する相の分布、サイズおよび化学的性質がある。陽極酸化された表面粗度が極めて重要な用途の一つに、ブレーキピストンボディの製造がある。ブレーキピストンボディは、通常円筒形である所望の形状の機械加工によって展伸アルミニウム棒から通常製造される部品である。高性能ブレーキピストンボディは、その後硬質陽極酸化され、厚さが約30μmの陽極酸化層が得られる。
Claims (15)
- 重量%で表示した下記の化学組成
‐1.3%≦Si≦12%、
‐1.35%≦Fe≦1.8%、
を有する快削性展伸アルミニウム合金製品であって、
Fe+Siの総含有量は3.4%より高く、
‐0.15%≦Cu≦6%、
‐0.6%≦Mg≦3%、
‐任意で、一つまたは複数の下記の元素
‐Mn≦1%
‐Cr≦0.25%
‐Ni≦3%
‐Zn≦1%
‐Ti≦0.1%
‐Bi≦0.7%
‐In≦0.7%
‐Sn≦0.7%
‐他の元素は各々が0.05%未満で、総量が0.15%未満
‐残余がアルミニウム
であることを特徴とする快削性展伸アルミニウム合金製品。 - Fe+Si+Cuの総含有量は4重量%より高いことを特徴とする請求項1に記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- Fe含有量は1.55重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- Si含有量は1.55重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- Si含有量は5重量%より低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- 重量%で表示したFe含有量は、1.7%<Fe≦1.8%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- 重量%で表示したCu含有量は、0.65%より高いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- Bi含有量は、0.05〜0.4重量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- Sn含有量は、0.05〜0.4重量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- Fe+Mn含有量は、1.9重量%より低いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- Fe+Mn+Cr含有量は2.1重量%より低いことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の快削性展伸アルミニウム合金製品。
- (i)請求項1〜11のいずれか一つに記載の化学組成を有する合金製のビレットを鋳造する段階、
(ii)前記鋳造ビレットを525〜580℃の範囲の温度で少なくとも一時間均質化する段階、
(iii)前記均質化ビレットを押出成形する段階、
(iv)500℃より高い温度で押出製品を固溶化熱処理し、つづいて、急冷される段階であって、前記固溶化熱処理は押出成形中に発生した熱によって実施されるものであるか、或いは、前記固溶化熱処理は別の熱処理炉を使用することによって制御されるものである段階、
(v)押出成形され、急冷された製品の合金を時効する段階、
を含む快削性展伸アルミニウム合金製品の製造方法。 - 時効処理された押出製品は、平均粒径が2μm未満で、面積比が5〜15%の二次相粒子を含むことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
- 前記アルミニウム合金のCu含有量は1.4重量%より低く、時効処理された押出製品の極限強さは400MPaより高いことを特徴とする請求項12または13に記載の製造方法。
- 前記展伸アルミニウム合金製品は機械加工され、次に硬質陽極酸化され、ブレーキピストンボディを得ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の、または、請求項12〜14のいずれか一つに記載の方法によって作製された、快削性展伸アルミニウム合金製品の使用。
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