JP2015511014A - アルツハイマー病の診断、予後および監視におけるオリゴマー型Aβ - Google Patents

アルツハイマー病の診断、予後および監視におけるオリゴマー型Aβ Download PDF

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Abstract

本発明は、アルツハイマー病の診断、予後および監視の方法を提供する。これらの方法は、対象者から採取した試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量ならびに単量体型Aβの量を測定し、比を決定することを含む。この比は、アルツハイマー病を診断、予後および/または監視することに使用することが可能である。

Description

関連出願の参照
本出願は、非仮出願であり、2012年3月13日に出願された第61/610,390号の利益を主張し、これは、あらゆる目的のために、参照によってその全体が取り込まれる。
背景技術
アルツハイマー病(AD)は、老年性認知症に帰着する進行性疾患である(Selkoe,TINS 16:403(1993);Hardy et al.,WO92/13069;Selkoe,J.Neuropathol.Exp.Neurol.53:438(1994);Duff et al.,Nature 373:476(1995);Games et al.,Nature 373:523(1995))。概して、この疾患は、老年(65歳以上)に生じる後期発症型、および、老年期よりもかなり前、つまり35歳から60歳までの間に発症する早期発症型、の2つの範疇に分類される。どちらの型の疾患においても、病理は同じであるが、より早い年齢で始まる症例では、異常はより深刻で広範囲に及ぶ傾向にある。ADは、アミロイド斑、神経原線維変化およびニューロン欠損によって特徴付けられる。神経原線維変化は、互いにより合わされて組を成す2本の繊維で構成される、微小管に関連するタウタンパクの細胞内沈着である。アミロイド斑は、脳組織の切片の顕微鏡分析によって視ることが可能な、中央に細胞外アミロイド斑を有する直径150μmに達する無秩序な神経網の領域である。早期発症アルツハイマー病は、APPにおける遺伝子変異つまりプレセニリン遺伝子など、および、ダウン症候群における染色体21のトリソミーに関連している。
アミロイド斑の主たる構成物質はAβと呼ばれるペプチドである。Aβは、大きな膜貫通糖タンパクであるアミロイド前駆タンパク(APP)のタンパク分解処理から生成される。Aβの長さは39アミノ酸から43アミノ酸まで変動する。優勢型であるAβ40は、長さが40アミノ酸であり、短型と考えられている。その次によく見られる型であるAβ42は、長さが42アミノ酸であり、長型と考えられている。Aβ42は、病理に関連し、老人斑(90%)および柔組織血管沈着(75%)における第1の構成要素である。Roher et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:10836(1993)。Aβのカルボキシ末端は、APPの疎水性膜貫通ドメインの一部を含み、これが、斑を形成する原線維へと会合するAβの傾向の原因であるかも知れない。
Aβの進行性脳沈着は、何年も、さらには何十年も、認知症状に先行する(Selkoe,J.Neuropath.and Exp.Neurol.53:438(1994)およびSelkoe,Neuron 6:487(1991))。ADの治療および予防は、アミロイド斑の形成、および/または、認知症状の発症に先立つ他の疾患関連の生理的異常を検出するアッセイによって容易になるであろう。脳生検は、非常に侵入的であり、したがって、認知症状を呈していない対象者において特に、好ましくない。アミロイド斑のインビボ造影が、脳生検の代替として報告されているが(WO11/106732)、造影技術は、複雑で高価な装置、および画像を解釈するための専門職員を必要とする。
もう1つのアプローチは、組織試料、特に体液中のバイオマーカーを検出することである。ADを有する対象者の脳脊髄液(CSF)においては、健常な対照と比べて、可溶性のAβ42のレベルが低いことが報告されている。他のバイオマーカーであるタウは、神経細胞損傷によって放出されるが、AD患者のCSFにおいて高いことが報告されている(Vandermeeren et al.,J.Neurochem.61:1828(1993))。ADの診断および監視において、可溶性Aβおよび/または可溶性タウの測定を使用することが提案されている(たとえば、US Patent No.7,700,309を参照)。しかし、非AD対象者とAD対象者とでこれらのバイオマーカーの範囲は重複しており、偽陰性および偽陽性の結果となる。
発明の概要
本発明は、アルツハイマー病またはそれに対する感受性の診断、予後または監視における支援の方法を提供する。これらの方法は、(a)対象者からの体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;(b)前記対象者からの体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;(c)前記単量体型Aβの量と前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量を比較する工程;ならびに、(d)前記対象者におけるアルツハイマー病またはそれに対する感受性の前記診断、予後または監視において前記比較を使用する工程を含む。いくつかの方法は、単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの比を決定し、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合がより低いことは、前記疾患の罹患に対する感受性がより大きいこと、前記疾患の存在の可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供する。いくつかの方法は、単量体型Aβとオリゴマー型Aβとの比を決定し、オリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合がより低いことは、前記疾患の罹患に対する感受性がより大きいこと、前記疾患の存在の可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供する。いくつかの方法は、オリゴマー型Aβの量を決定し、オリゴマー型Aβの量がより高いことは、前記疾患の罹患に対する感受性がより大きいこと、前記疾患の存在の可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供する。
いくつかの方法は、Aβx−37,Aβx−38,Aβx−39,Aβx−40,Aβx−41,およびAβx−42の少なくとも1つを測定する。いくつかの方法は、少なくともAβx−40を測定する。いくつかの方法は、少なくともAβx−42を測定する。いくつかの方法は、少なくともAβx−40およびAβx−42を測定する。
いくつかの方法において、単量体型Aβの量は、単量体型Aβには存在するがオリゴマー型Aβには存在しない、1つ以上のC末端エピトープに結合する1つ以上の抗体を用いて測定される。いくつかの方法において、前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,またはAβ42に対する1つ以上の末端特異的抗体である。いくつかの方法において、前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ40に対して末端特異的な抗体、随意的に抗体2G3を含む。いくつかの方法において、前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ42に対して末端特異的な抗体、随意的に抗体21F12を含む。いくつかの方法において、前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ40に対して末端特異的な抗体およびAβ42に対して末端特異的な抗体を含む。いくつかの方法において、前記単量体型Aβは、前記1つ以上のC末端抗体ならびにN末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する他の抗体を含む、免疫親和性サンドイッチアッセイによって測定される。いくつかの方法において、前記他の抗体は、N末端エピトープに結合し、随意的に抗体3D6である。いくつかの方法において、前記他の抗体は、中央エピトープに結合し、随意的に抗体266である。いくつかの方法において、前記1つ以上のC末端抗体はレポーター抗体であり、前記他の抗体は捕捉抗体である。いくつかの方法において、前記1つ以上のC末端抗体は捕捉抗体であり、前記他の抗体はレポーター抗体である。いくつかの方法において、前記1つ以上のレポーター抗体はルテニウムで標識され、前記捕捉抗体はビオチンで標識される。
いくつかの方法において、工程(b)における単量体型およびオリゴマー型Aβの量の測定は、オリゴマー型Aβを単量体型Aβに変換する脱会合試薬で前記試料を処理すること、および、前記脱会合試薬で処理した試料中の単量体型Aβの量を測定することを含む。いくつかの方法において、前記脱会合試薬は、オリゴマーを溶解させて単量体とするカオトロープを含む。カオトロープは、塩酸グアニジン、グアニジンイソチオシアネート、尿素、チオ尿素、過塩素酸リチウム、および/またはヨウ化カリウムを含む。いくつかの方法において、前記脱会合試薬は、非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの方法において、前記脱会合試薬は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリフェノール、および/またはヘキサフルオロイソプロパノールなどの一定の低分子を含む。いくつかの方法において、前記脱会合試薬で処理された試料中の単量体型Aβの量は、工程(a)において単量体型Aβの量の測定に用いられるものと同じアッセイによって測定される。いくつかの方法において、前記測定工程は、定量的質量分析によって行われる。いくつかの方法において、前記測定工程は、キャピラリ電気泳動またはゲル電気泳動によって、および続いての定量的ウエスタンブロッティングによって行われる。
いくつかの方法において、前記体液試料はCSF試料である。いくつかの方法において、前記体液試料は血液試料である。いくつかの方法において、前記血液試料は血漿試料である。いくつかの方法において、工程(a)および(b)は、同時に行われる。いくつかの方法において、工程(a)の前記試料および工程(b)の前記第2の試料は、単一試料からの別個のアリコートである。
いくつかの方法において、前記対象者は認知障害を有しておらず、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定する。いくつかの方法において、前記対象者は軽度の認知障害を有しており、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定する。いくつかの方法において、前記対象者は認知障害を有しており、工程(d)は、工程(c)の前記比較と前記対象者の状態の他の症状および/または兆候との組み合わせを用いてアルツハイマー病の診断を提供することを含む。いくつかの方法において、前記対象者は、当該方法を実施する前に、アルツハイマー病を有すると診断されており、工程(d)は、前記疾患の段階の目安を提供する。いくつかの方法において、前記対象者は、アルツハイマー病に対する治療または予防を受けつつあり、工程(d)は、治療に対する前記対象者の反応の目安を提供する。いくつかの方法において、当該方法は、前記同じ対象者に周期的に実施され、工程(c)の前記比較における経時的な変化は、治療に対する対象者の反応の目安を提供する。
いくつかの方法において、前記対象者は、Aβに対する免疫療法で治療されている。いくつかの方法において、前記対象者は、バピニューズマブで治療されている。いくつかの方法は、工程(a)および(b)を行う前に、前記試料をバピニューズマブに対する抗イディオタイプ抗体、随意的にJH11.22G2で処理することをさらに含む。いくつかの方法は、前記試料中のタウまたP−タウの量を決定することをさらに含み、対照値に対してタウまたはP−タウが高いことは、アルツハイマー病の罹患に対する感受性があること、アルツハイマー病が存在すること、または前記対象者の状態が悪化しつつあることのさらなる目安を提供する。
いくつかの方法において、前記対象者は、アルツハイマー病の治療または予防のための薬物を試験する臨床試験への参加の候補者であり、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの前記割合が閾値よりも低い場合、前記対象者は前記臨床試験に含まれ、前記対象者が前記閾値よりも高い場合、前記対象者は前記臨床試験から除外される。いくつかの方法は、前記対象者または前記対象者の介護担当者に、前記診断、予後または監視を知らせることをさらに含む。
いくつかの方法において、単量体型Aβの量と単量体型およびオリゴマー型Aβの量を比較する工程は、コンピュータにおいて実行される。いくつかの方法において、前記コンピュータは、単量体型Aβの量、ならびに単量体型およびオリゴマー型Aβの量に関する信号を受け、前記信号を定量的な量に変換し、前記定量的な量を比較し、前記量、前記量の比較、前記対象者の状態、または、前記対象者の推奨される治療に関する出力を提供する。
本発明は、さらに、アルツハイマー病に対する予防または治療をもたらす薬物を、集団におけるどの対象者に投与するかを決定する方法を提供する。これらの方法は、前記集団における各対象者について、(a)体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;(b)前記体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;ならびに、(c)前記単量体型Aβの量を前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程を含み、前記集団における対象者は、前記比較に基づいて、アルツハイマー病を治療または予防するための薬物を、投与されるまたは投与されない。いくつかの方法において、前記比較は、単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの比を決定し、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が閾値よりも低い対象者は、前記薬物を投与される。
本発明は、さらに、集団における対象者に、どの治療計画を実施するかを決定する方法を提供する。これらの方法は、体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;前記体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;ならびに、前記単量体型Aβの量を前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程を必要とする。前記対象者の第1の部分集団は第1の治療計画を施され、前記対象者の第2の部分集団は第2の治療計画を施され、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比は、第1の部分集団の対象者と第2の部分集団の対象者とで、有意に相違する。これらの方法のいくつかにおいて、前記第1の治療計画はアルツハイマー病の予防または治療のための薬物を含み、前記第2の治療計画は前記薬物を含まず、前記第1の部分集団の前記対象者は、前記第2の部分集団の前記対象者よりも、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比が低い。これらの方法のいくつかにおいて、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合は、前記第1の部分集団の前記対象者において、閾値よりも低く、前記第2の部分集団の前記対象者において、閾値よりも低い。Aβ型の測定およびオリゴマー型Aβ関連パラメータの計算は、本明細書に記載の方法のいずれかに従い得る。
本発明は、さらに、集団における対象者を異なる態様で処理する方法を提供し、これらの方法は、前記対象者の第1の部分集団に第1の治療計画を施すこと、および、前記対象者の第2の部分集団に第2の治療計画を施すことを含み、前記第1の部分集団における対象者および前記第2の部分集団における対象者は、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの平均比が有意に異なる。いくつかの方法において、前記第1の部分集団の対象者は、アルツハイマー病の予防または治療のための薬物で処理され、前記第2の部分集団の対象者は、前記薬物で処理されず、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比は、前記第1の部分集団の対象者において前記第2の部分集団の対象者よりも有意に低い。
本発明は、さらに、集団におけるどの対象者を臨床試験に登録するかを決定する方法を提供し、これらの方法は、前記集団の各対象者について、体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;前記体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;ならびに、前記単量体型Aβの量を前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程を含み、前記集団における対象者は、前記比較に基づいて、前記臨床試験に登録されるまたは登録されない。いくつかの方法において、前記比較は、単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの比を決定し、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が閾値よりも低い対象者は、臨床試験に登録される。
本発明は、さらに、Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,またはAβ42に対して末端特異的な少なくとも1つのC末端抗体;AβのN末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する抗体;ならびに、オリゴマー型Aβを単量体型Aβに変換する脱会合剤を含む診断キットを提供する。いくつかのキットにおいて、前記C末端抗体は、Aβ40またはAβ42に対して末端特異的である。いくつかのキットは、Aβ40に対して末端特異的なC末端抗体およびAβ42に対して末端特異的なC末端抗体を含み、前記方法結果の正確性または感度を改善するために、疾患査定について複数の比を提供する。
本発明は、さらに、アルツハイマー病に対して活性を有する薬剤をスクリーニングする方法を提供し、これらの方法は、アルツハイマー病の遺伝子導入げっ歯類モデルを前記薬剤に接触させる工程;前記薬剤に接触させた前記遺伝子導入げっ歯類の体液中の単量体型Aβの量を単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程;ならびに、前記比較を用いて、前記薬剤がアルツハイマー病を治療するのに有用な活性を有するかを決定することを含む。
本発明は、さらに、Aβを分析する方法を提供し、これらの方法は、(a)対象者からの体液の試料中のAβの量を測定する工程であって、前記試料は脱会合剤で処理されない工程;(b)前記対象者からの体液の試料中のAβの量を測定する工程であって、前記試料は脱会合剤で処理される工程;ならびに、(c)工程(a)および(b)で測定した量を比較する工程を含む。いくつかの方法において、工程(a)および(b)における測定は、AβのC末端に対して末端特異的な抗体を用いて行われる。いくつかの方法において、工程(c)の前記比較は、工程(b)における量に対する工程(a)における量の比、または、工程(a)および(b)における量の差を決定する。いくつかの方法は、前記対象者におけるアルツハイマー病またはこれに対する感受性の診断、予後または監視において、前記比または差を使用することをさらに含み、工程(b)における前記量に対する工程(a)における前記量の割合がより低いこと、または、工程(b)における量と工程(a)における量の差がより大きいことは、前記疾患を罹患することに対する感受性がより高いこと、前記疾患の存在の可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安となる。
いくつかの方法において、工程(a)および(b)は、Aβx−37,Aβx−38,Aβx−39,Aβx−40,Aβx−41,およびAβx−42の少なくとも1つを測定する。いくつかの方法において、工程(a)および(b)は、少なくともAβx−40を測定する。いくつかの方法において、工程(a)および(b)は、少なくともAβx−42を測定する。いくつかの方法において、工程(a)および(b)は、少なくともAβx−40およびAβx−42を測定する。いくつかの方法において、前記Aβの量は、Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,またはAβ42に対して末端特異的な1つ以上のC末端抗体を用いて測定される。いくつかの方法において、前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ40に対して末端特異的な抗体およびAβ42に対して末端特異的な抗体を含む。いくつかの方法において、Aβは、前記1つ以上のC末端抗体ならびにN末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する他の抗体を含む、免疫親和性サンドイッチアッセイによって測定される。いくつかの方法において、前記脱会合試薬は、塩酸グアニジン、グアニジンイソチオシアネート、尿素、チオ尿素、過塩素酸リチウム、および/またはヨウ化カリウム、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリフェノール、および/またはヘキサフルオロイソプロパノールを含む。いくつかの方法において、工程(a)および(b)は同じアッセイを用いて前記Aβの量を測定する。いくつかの方法において、前記体液試料はCSF試料または血液試料である。
いくつかの方法は、(d)前記対象者におけるアルツハイマー病またはこれに対する感受性の診断、予後または監視において、前記比または差を使用する工程をさらに含み、工程(b)における量に対する工程(a)における量の割合がより低いこと、または、工程(b)における量と工程(a)における量の差がより大きいことは、前記疾患を罹患することに対する感受性がより高いこと、前記疾患の存在する可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安となる。いくつかの方法において、前記対象者は認知障害を有しておらず、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定する。いくつかの方法において、前記対象者は軽度の認知障害を有しており、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定する。いくつかの方法において、前記対象者は認知障害を有しており、工程(d)は、工程(c)の比較と前記対象者の状態の他の症状および/または兆候との組み合わせを用いることを含み、アルツハイマー病の診断を提供する。いくつかの方法において、前記対象者は、当該方法を実施する前に、アルツハイマー病を有すると診断されており、工程(d)は、前記疾患の段階の目安を提供する。いくつかの方法において、前記対象者は、アルツハイマー病に対する治療または予防を受けつつあり、工程(d)は、治療に対する前記対象者の反応の目安を提供する。いくつかの方法において、当該方法は周期的に実施され、工程(c)の比較における経時的な変化は、治療に対する反応の目安を提供する。いくつかの方法において、前記対象者は、バピニューズマブなどの、Aβに対する免疫療法で治療されている。
いくつかの方法は、工程(a)および(b)を行う前に、前記試料をバピニューズマブに対する抗イディオタイプ抗体、随意的にJH11.22G2で処理することをさらに含む。いくつかの方法は、前記試料中のタウまたP−タウの量を決定することをさらに含み、対照値に対してタウまたはP−タウが高いことは、アルツハイマー病の罹患に対する感受性があること、アルツハイマー病が存在すること、または前記対象者の状態が悪化しつつあることのさらなる目安を提供する。いくつかの方法は、前記対象者または前記対象者の介護担当者に、前記診断、予後または監視を知らせることをさらに含む。これらの方法のいくつかは、集団における対象者に実施され、前記対象者の第1の部分集団に第1の治療計画を施し、前記対象者の第2の部分集団に第2の治療計画を施し、工程(b)において測定されるAβの量に対する工程(a)において測定されるAβの量の比は、前記第1の部分集団の対象者において前記第2の部分集団の対象者よりも有意に低い。いくつかの方法において、前記第1の治療計画はアルツハイマー病の予防または治療のための薬物を含み、前記第2の治療計画は前記薬物を含まない。いくつかの方法において、工程(b)において測定されるAβの量に対する工程(a)において測定されるAβの量の比は、前記第1の部分集団の対象者において閾値よりも低く、前記第2の部分集団の対象者において前記閾値よりも高い。
定義
「抗体」の用語には、無欠損抗体およびその結合フラグメントが含まれる。一般に、フラグメントは、それが由来する無欠損抗体と、抗原への結合について競合する。フラグメントには、分離した重鎖、軽鎖、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、二重特異性抗体、Dabs、およびナノボディが含まれる。フラグメントは、組み換えDNAによって産生される。
特異的結合とは、標的(たとえば、試料の成分)への抗体(または他の薬剤)の結合であって、検出可能なほど規模が大きく、無関係な標的に対して生じる少なくとも1つの非特異的結合から識別可能な結合を指す。特異的結合は、特定の官能基間の結合の形成、または、特定の空間的合致(たとえば、鍵と鍵穴型)の結果であり得、一方、非特異的結合は、通例、ファン・デル・ワールス力の結果である。ただし、特異的結合は、薬剤が唯一の標的に結合することを意味しない。したがって、薬剤は、いくつかの異なる標的に対して異なる強度で特異的に結合し、他の標的に対して非特異的にのみ結合することが可能であり、そのような挙動を示すことが多い。特異的結合は、通常、10,10または10−1以上の会合定数を伴う。
「エピトープ」の用語は、免疫グロブリンまたは抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)が特異的に結合する、抗原上の部位を指す。エピトープは、連続アミノ酸、または、タンパクの二次および/または三次折り畳みによって並置された非連続アミノ酸の、双方によって形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープは、変性溶媒に曝しても一般に保持され、一方、二次および/または三次折り畳みによって形成されるエピトープは、変性溶媒での処理で一般に失われる。エピトープは、一般に、独特の立体コンホメーションの、少なくとも3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14または15個のアミノ酸を含む。エピトープの立体コンホメーションを決定する方法には、例えば、X線結晶構造解析および2次元核磁気共鳴がある。たとえば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照。
抗体が、Aβ1〜11などの特定の残基内のエピトープに結合すると言うとき、その意味するところは、その抗体がその特定の残基(つまり、この例ではAβ1〜11)を含むポリペプチドに特異的に結合する、ということである。そのような抗体は、必ずしも、Aβ1〜11内のあらゆる残基と接触するわけではない。また、Aβ1〜11内の単一アミノ酸の置換または削除がすべて、結合親和性に影響するわけでもない。
末端特異的抗体は、Aβペプチドの真にN末端またはC末端のエピトープに特異的に結合する(つまり、そのエピトープはそのペプチドのN末端アミノ酸またはC末端アミノ酸を含む)が、より長い型のAβにおける、またはAPPにおける、エピトープを構成する残基には、より弱く結合するか、特異的に結合しない。したがって、Aβ40に末端特異的な抗体は、その抗体が、残基37,38,39,41,42,または43で終わるAβペプチドと比べて、Aβ40に優先的に結合する(たとえば、少なくとも10倍高い会合定数)ことを意味する。同様に、Aβ42に末端特異的な抗体は、その抗体が、残基37,38,39,40,41,または43で終わるAβペプチドよりも、残基42で終わるAβペプチドに優先的に結合することを意味する。
「対象者」の用語には、ヒトおよび他の哺乳動物対象が含まれる。この用語は、疾患の兆候または症状を有しないものから疾患の完全な症状を有する個体までのスペクトル上の、あらゆる位置における個体を指し得る。このスペクトルにおける個体は、無症状であることから、疾患の1つ以上の兆候、1つ以上の症状、疾患の本格的な症状を有することにまで、進行し得る。兆候および症状は、順次にまたは同時に現れ得る。これらの段階の何処かにある個体は、疾患を罹患する遺伝的なまたは他の既知の危険性を、有するかも知れないし、有しないかも知れない。
アルツハイマー病は、DSM−IV−TRの基準によって診断することができる。
軽度の認知障害は、米国神経学会の2001指針によって診断することが可能である。簡潔に言えば、これらの指針は、個体が、好ましくは他の人によって確認される、自身の記憶障害を報告すること;測定可能な、標準的な記憶評価試験で検出される通常よりも大きい記憶障害;ならびに、通常の一般的思考および理由付け技術ならびに通常の日常行動を行う能力を必要とする。
個体が従来の定義(たとえば、DSM IV TRによる)での疾患を未だ有していないが、規定の期間(5年など)内に疾患を罹患する対象者の危険性を一般的集団よりも有意に高くする、1つ以上の既知の危険因子(たとえば、70歳超、遺伝的、生化学的、家族歴、前駆症状および/または本明細書に記載するオリゴマー型Aβパラメータ)を有する場合、その個体は、アルツハイマー病の危険性が高い。
感受性とは、疾患罹患の可能性もしくは危険性、および/または、疾患罹患の切迫性を指す。可能性または危険性が高いことは、感受性が高いことを意味する。測定と疾患の発症との時間間隔が短いことも、感受性が高いことを示す。
「症状」の用語は、対象者によって感知される、異常歩行などの疾患の主観的な証拠を指す。「兆候」は、医師によって観察される疾患の客観的な証拠を指す。
統計的有意性は、p値が0.05以下であることを意味する。
診断、予後または監視アッセイは、対象者における現在のもしくは将来の状態またはその変化を判断することにおいて、通常、100%未満の正確性であるが、それでも、アッセイから得られる情報が、状態の現在または将来の進行について、アッセイによってもたらされる情報がない場合よりも有意に大きいまたは小さい確からしさを示す場合は、有用である。
発明の詳細な説明
I.概説
本発明は、アルツハイマー病(AD)の診断、予後および/または監視における支援の方法を提供する。本発明の実施は機構の理解に依存するものではないが、オリゴマー型Aβは、AD患者の体液に存在する可溶性Aβのかなりの割合を占めており、現在の免疫学的アッセイ法では検出されないと考えられる。オリゴマー型Aβは、ADにおける認知症状の原因物質、または、それ自体がADにおける認知症状の発症の原因物質であるアミロイド斑を形成する中間物質であると考えられる。従来の報告において体液中のオリゴマー型Aβが検出されていないことは、アルツハイマー病を有する対象者と有しない対象者とで、体液中のAβの値が大きく重複していることを、説明できるかも知れない。本方法は、体液中のAβのオリゴマー型成分を査定し、その査定をADの診断に使用して、AD患者について予後を提供すること、および/または、AD患者における疾患の監視をすることが可能である。そのような査定は、アルツハイマー病の診断が従来の基準によってなされる前の、疾患の早期での診断および監視に特に有用である。
II.Aβ
Aβは、アルツハイマー病の特徴であるアミロイド斑の主要な成分である。Aβは、天然に産する完全長型(βおよびγセクレターゼによるアミロイド前駆タンパク(APP)の開裂で直接生じ、さらなる分解を伴わない)をいくつか有している。最も多くみられるAβの天然完全長型は、Aβ39,Aβ40,Aβ41,Aβ42,およびAβ43と呼ばれている。これらのペプチドの例示的配列、および、それらが由来する大きな膜貫通糖タンパクであるAPとそれらの関係が、HardyらのTINS 20:155−158(1997)の図1に示されている。
Aβ42は次の配列を有する:NH−Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His Gln Lys Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala Ile Ile Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val Ile Ala−COOH(配列番号1)。
天然型Aβ41,Aβ40,Aβ39,Aβ38およびAβ37は、それぞれ、C末端Ala,Ile−Ala,およびVal−Ile−Ala,Val−Val−Ile−Ala,Gly−Val−Val−Ile−Alaアミノ酸残基を欠く点で、Aβ42と異なり、Aβ43は、追加のThrアミノ酸残基をC末端に含む点で、Aβ42と異なる。これらの型のいずれも、アークティック(Arctic)変異などの、上記配列の天然に生じる多形変異体を含み得る。Aβの切断型は、Aβのさらなる(つまり、βおよびγセクレターゼ以外による)分解によってインビボで生成され、または、体液の試料を得た後、インビトロでの分解で生成される。天然に産するAβフラグメントのいくつかは、N末端切断型である。これまでに同定されたN末端切断型Aβペプチドの例には、アミノ酸残基6〜42,11〜40,11〜43,12〜43,または17〜40を有するAβペプチドがある。これまでに同定された天然に産する他のAβフラグメントは、N末端およびC末端の双方からの切断を特徴とする。このようなペプチドの例には、アミノ酸残基3〜34,6〜27,6〜34,6〜35,または11〜34を有するAβペプチドがある。Aβの他のフラグメントは、単離した試料における分解の結果であるかも知れないが、そのような分解は最小であることが好ましい。
Aβを測定するためのいくつかの技術は、体液試料中の完全長型のAβとそのフラグメントとを、必ずしも識別しない。たとえば、Aβ40のC末端に対して末端特異的な1つの抗体、および残基20〜25の中央エピトープに特異的な他の抗体での免疫アッセイは、Aβ40およびAβx−40フラグメントを検出することが可能であり、ここで、xはおおよそ1〜20の数である。したがって、Aβがこのようなアッセイで測定されるとき、そのアッセイは、実際にはAβ40およびAβx−40型を有するそのあらゆるフラグメントを測定することになり、ここで、xはおおよそ1〜20の数である。他のアッセイは、本質的にAβの完全長型のみを測定する。たとえば、Aβ40のC末端に対して末端特異的な1つの抗体およびN末端に対して末端特異的な(たとえば、残基1〜5の、または残基1〜5内のエピトープに結合する)他の抗体での免疫アッセイは、(背景または陰性対照のレベルを超えて)サブフラグメントを検出することなく、Aβ40を検出する。定量的質量分析などの他のアッセイは、Aβの完全長型を個別に測定することができる上、フラグメントを個別に測定することができる。いくつかのアッセイは、完全長Aβとその一定のフラグメントとを識別しないので、Aβを指すことは、文脈つまりアッセイの性質がそうではないと理解することを必要とする場合を除いて、検出する体液試料に存在する完全長Aβおよびフラグメントを含むことになる。簡潔に述べれば、記号Aβx−yは、残基yで終わるAβペプチドおよびそのあらゆるフラグメントを示すために使用することができ、ここで、yは37,38,39,40,41,42,または43である。たとえば、Aβx−42は、完全長Aβ42または上記のアミノ酸配列の残基42で終わるあらゆるフラグメントを指すために使用される。同様に、Aβx−40は、完全長Aβ40または残基40で終わるあらゆるフラグメントを示す。
Aβペプチドおよびそのフラグメントは、会合の異なる度合いを表す単量体型、オリゴマー型、前原線維型および小線維型で存在する。単量体型Aβとは、脱会合溶媒もしくは試薬の存在また非存在にかかわらず、予想される単量体の分子量を有するAβを意味する。単量体型Aβの完全長型の予想される分子量は、長さに応じて、約3900〜4700Daである(Aβ42およびAβ40は、それぞれ4514および4330Daという分子量を有する)。切断型は、長さに応じて、比例的に小さい分子量を有する。分子量は、ゲル、カラム(たとえば、HPLCによる)、または質量分析、その他の方法で評価することができる。単量体型Aβは、また、脱会合剤で処理しても、測定される分子量に変化がないことによって認識することができる。単量体型Aβは、また、オリゴマー型Aβの対照調製物に対する結合よりも、単量体型Aβの対照調製物に対する結合が、少なくとも10倍高い優先度を示す抗体、たとえば、Aβ40またはAβ42などのAβの完全長型のC末端に末端特異的な抗体、によって認識されるAβであると機能的に定義することもできる。DMSOに新たに溶解したAβの調製物は、主として単量体型で存在し、試験調製物の分子量を評価するために有用な対照を提供する。数日にわたって放置することが可能であり、且つ、単量体をオリゴマーから分離するゲル電気泳動またはカラムクロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィーもしくは免疫親和性クロマトグラフィーなど)によってオリゴマー型Aβが単離している水中のAβの調製物は、オリゴマー型Aβの対照として使用することが可能である。
オリゴマー型Aβとは、非共有的に互いに会合した少なくとも2分子のAβを意味する。オリゴマー型Aβは、そのペプチドのC末端(APPの膜貫通ドメインの一部)の疎水性残基によって、少なくとも部分的に共に保持されると考えられる。単量体型Aβと同様に、オリゴマー型は、生理的条件下で可溶である。ほとんどのオリゴマー型Aβは、Aβの約2〜20または5〜20分子を有する。オリゴマー型Aβは、分子量が少なくとも二量体分子の分子量であることによって認識され得る。たとえば、完全長Aβのオリゴマーは、少なくとも約7500Daという分子量を有する。Aβフラグメントのオリゴマーは、7500Daよりも小さい分子量を有するかも知れないが、ほとんどは、4600Daを超える分子量を有する。オリゴマー型Aβは、また、脱会合剤での処理で分子量が減少することによっても、認識され得る。体液中のすべてのまたはほとんどのオリゴマー型Aβは、脱会合剤によって、せいぜい約4600Daの分子量を有する単量体型へと変換され得る。規定の脱会合条件下で、体液中のほとんどまたはすべてのオリゴマー型Aβは、脱会合剤での連続処理による分子量のさらなる変化がないとき、および/または、オリゴマーに特徴的な分子量を有する検出可能な型がないとき、単量体型に変換されている。単量体型Aβに対する抗体によって認識されるいくつかのエピトープ、特にC末端エピトープは、オリゴマー型Aβにおいては検出されない。これは、オリゴマー型Aβを形成する個々のAβペプチド間の物理的会合によるエピトープの部分的なもしくは全体的な遮蔽、オリゴマー型Aβを成す個々のAβペプチドにおける、エピトープを破壊する構造的再配置、または、それらの組み合わせに起因するかも知れない。したがって、オリゴマー型Aβの量は、(1)脱会合剤での処理後に測定される単量体型およびオリゴマー型Aβの量と(2)脱会合剤で処理せずに測定される単量体型Aβの量との差として、機能的に定義することができる。
分子が徐々に再配置し重合がさらに進むと、オリゴマー型Aβは、20個を超えるAβペプチドを有する会合体および伸長型前原線維構造を生成し、その後原線維構造を生成する。生理的条件で可溶のオリゴマー型Aβとは異なり、原線維型Aβは、一般に、生理的条件で不溶である。その不溶性の故に、原線維型Aβはアミロイド斑などの沈着物中に見られる。原線維型Aβから形成される斑が、アルツハイマー病に関連する認知障害の原因であるかも知れないということが提案されている。これに代えてまたは加えて、オリゴマー型Aβがアルツハイマー病における原因物質であるということが提案されている。オリゴマー型Aβが原因物質または原因物質への中間物質であるか否かにかかわらず、本方法におけるその分析は、診断、予後または監視のための有用な指標である。
Aβ40またはAβ42は、ヒトにおいてもっともよく見られる型のAβである。Aβ40は、血液およびCSFにおいて、Aβ42よりも10倍豊富であるが、Aβ42が、会合したAβにおいて見られる主要な型である。たとえば、Roherら(Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:10836(1993))は、Aβ42が、老人斑におけるAβの90%、および、柔組織血管沈着におけるAβの75%に相当することを見出した。加えて、Aβ42は、溶液においてオリゴマーを形成する能力がより大きく、Aβ42オリゴマーは、Aβ40オリゴマーよりも、かなり速やかに原線維を形成する。Bitan et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci USA 100:330(2003)。血液、血清、血漿またはCSFにおいて、Aβ40もしくはAβx−40および/またはAβ42もしくはAβx−42は、比較的豊富なので、Aβの他の型(たとえば、Aβx−37,Aβx−38,Aβx−39,Aβx−41)を個別に検出することなく、全可溶Aβの測定に代わるものとして使用することができる。ただし、本発明の方法は、Aβのあらゆる型(たとえば、Aβx−37,Aβx−38,Aβx−39,Aβx−40,Aβx−41,Aβx−42)の、単独または組み合わせでの測定を含む。CSFについての測定においては、少なくともAβ42またはAβx−42を測定するのが好ましい。血液の測定では、少なくともAβ40またはAβx−40を測定するのが好ましい。
III.単量体型およびオリゴマー型Aβの測定
本方法は、体液中のオリゴマー型Aβの量を測定することができる。この測定は、好ましくは、オリゴマー型Aβおよび単量体型Aβの合計量、ならびに単量体型Aβの量の双方を測定すること、によって行われる。これに代えてまたは加えて、本方法は、オリゴマー型Aβの量を直接測定することができる。量は、重量または結合信号の単位、および他の単位で測定することが可能である。信号強度の任意の単位は、検体の既知の量での検量線によって重量に変換することが可能である。
単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量ならびに単量体型Aβの量を測定するために、種々の技術を使用することができる。好ましい技術には、定量的免疫親和性アッセイがあり、これは標的抗原を検出するために抗体を使用するものである。サンドイッチ型免疫親和性アッセイなどにおいてなされるように、抗体の組み合わせを使用することが好ましい。アッセイは、好ましくは、少なくとも1つの捕捉抗体および少なくとも1つのレポーター抗体であって、同一標的分子の異なるエピトープを認識する捕捉抗体およびレポーター抗体を使用する。サンドイッチアッセイを含む定量的免疫親和性アッセイは、固相型(たとえば、ELISAもしくはビーズ法(たとえば、Luminex(登録商標)ビーズ))または液相型(たとえば、電気化学発光)であり得る。定量的免疫親和性アッセイは、たとえば、Antibodies:A Laboratory Manual,by Harlow and Lane,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1988)に総説されている。ヒト対象者からの試料中のAβを検出するのに使用されるELISAサンドイッチアッセイの例が、国際特許公報第WO 99/27944号および米国特許第US7,700,309号に記載されている。代替的に、単量体型および/またはオリゴマー型Aβは、質量分析または電気泳動(たとえば、キャピラリまたはゲル電気泳動)およびそれに続く定量的ウエスタンブロットを用いて、検出し定量化することが可能であり、どちらの技術も、随意的に、免疫親和性捕捉技術(たとえば、免疫沈降)ならびに/またはタンパク精製技術(たとえば、沈殿および/もしくはHPLCなどのクロマトグラフィー)と組み合わせて行われる。質量分析に基づくAβの分析は、たとえば、Iurascu et al.,Anal.Bioanal.Chem.395:2509(2009),Portelius et al.,Acta Neuropathol.120:185(2010),およびWang et al.,J.Biol.Chem.271:31894(1996)に記載されている。
試料中の単量体型Aβの量の免疫親和性に基づく測定について、そのアッセイに使用する少なくとも1つの抗体は、単量体型Aβとオリゴマー型Aβとを識別しなければならない。適切な抗体には、AβのC末端(つまり、アミノ酸残基29〜43)のエピトープに結合するもの、好ましくは、C末端に末端特異的な抗体が含まれる。単量体型Aβとオリゴマー型Aβとを識別するコンホメーション変化、ならびに、隠されたペプチド−ペプチド相互作用およびそれに関連する立体障害のために、単量体型Aβに存在するいくつかのエピトープは、オリゴマー型Aβでは存在しないかマスクされ、単量体型AβのC末端領域のエピトープに特異的な抗体は、オリゴマー型Aβには結合しない。このような抗体は、したがって、単量体型Aβおよびオリゴマー型Aβの双方を含む試料において、本質的に単量体型Aβのみの検出を可能にする。C末端に対する末端特異的抗体は、たとえば、Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,またはAβ42に特異的であり得る。C末端に対する好ましい末端特異的抗体には、Aβ40のC末端に特異的な抗体(たとえば、モノクローナル抗体2G3)、およびAβ42のC末端に特異的な抗体(たとえば、モノクローナル抗体21F12)がある。このようなC末端エピトープ特異的抗体は、単独で、または、1つ以上の追加のC末端エピトープ特異的抗体(たとえば、Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,Aβ42またはAβ43に対して末端特異的な1つ以上の抗体)との組み合わせで使用して、試料中のAβに結合させることが可能である。
サンドイッチアッセイにおいて、単量体型とオリゴマー型とを識別する抗体は、捕捉またはレポーター抗体であり得るが、好ましくは、捕捉抗体または複数の捕捉抗体である。このようなサンドイッチアッセイで使用される他の抗体は、識別抗体が結合するエピトープとは別個の単量体型Aβ上のエピトープに結合する。簡単のために、識別抗体を捕捉抗体と呼び、別個のエピトープに結合する抗体をレポーター抗体と呼ぶ(ただし、逆の特異性も可能である)。たとえば、C末端エピトープ特異的抗体が単量体型Aβを捕捉するために使用されるとき、中央エピトープ(残基12〜28内)特異的抗体(たとえば、モノクローナル抗体266)またはN末端(つまり、残基1〜11内)エピトープ特異的抗体(たとえば、モノクローナル抗体3D6または10D5)が、レポーター抗体として使用可能である。中央エピトープに結合する抗体を使用することで、N末端レポーター抗体では一部または全部が検出されない、AβのN末端切断型を検出することが可能になる。
試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量の免疫親和性に基づく測定について、試料は、オリゴマー型Aβを脱会合させて単量体型Aβとする薬剤(たとえば、溶媒)で処理することができる。脱会合した試料は、次いで、希釈されて、免疫親和剤(つまり、捕捉抗体および/またはレポーター抗体)が耐え得るレベルにまで脱会合剤の濃度が下げられる。抗体の脱会合剤許容性は、実験的に決定することが可能である。適切な希釈により、脱会合した単量体型Aβの抗体に基づく再認識を阻害することなく、オリゴマー型Aβを脱会合させ得るあらゆる薬剤を、使用することができる。適する脱会合剤には、カオトロープ、非イオン性界面活性剤、可溶化剤もしくは親油性増強剤、または、これらのあらゆる組み合わせ(たとえば、カオトロープと界面活性剤との組み合わせ)が含まれる。脱会合剤は、オリゴマー型Aβを単量体型に変換するという目的のために、個別に、または、有効なあらゆる比率での有効なあらゆる組み合わせで、使用することができる。適するカオトロープには、たとえば、塩酸グアニジン、グアニジンイソチオシアネート、尿素、チオ尿素、過塩素酸リチウム、およびヨウ化カリウムがある。適する非イオン性界面活性剤には、Tween(登録商標)系列の界面活性剤、Triton(登録商標)系列の界面活性剤、および、Brij(登録商標)系列の界面活性剤がある。他の可溶化剤/親油性増強剤には、ヘキサフルオロイソプロパノール、および、サイズが10,000〜50,000Daのポリマー(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリフェノールなどのポリマー)がある。
脱会合剤の最大濃度は、免疫親和性剤(つまり、捕捉抗体および/またはレポーター抗体)の耐性ならびにその方法の感度の双方に依存する。一般に、脱会合した試料の約1:5〜約1:40(たとえば、約1:5〜約1:20、または約1:10)での希釈が、方法の感度への影響を最小または皆無にしつつ、抗体の脱会合剤許容性を確保するであろう。したがって、免疫親和性アッセイにおける尿素(または塩酸グアニジン)の最大許容濃度が0.5Mと決定され、脱会合した試料が免疫アッセイに先立って1:10に希釈される場合、脱会合した試料において許容される脱会合剤の最大濃度は、5Mである。同様の分析を、界面活性剤、可溶化剤/親油性増強剤(たとえばポリマー)および溶媒/脱会合剤の組み合わせについて、行うことができる。たとえば、約10,000〜40,000Daのポリマーについて、最大濃度は約5%〜約10%の範囲である。
試料は、試料中のすべてのまたは本質的にすべてのAβが単量体状態になるように、脱会合剤で処理される(つまり、さらなる処理が、後のアッセイにおいて、検出可能なほど信号を上昇させることはない)。脱会合剤で処理した試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量は、免疫アッセイ、好ましくはサンドイッチアッセイ、によって測定される。脱会合剤で処理した試料においては単量体型Aβとオリゴマー型Aβとを識別する必要がないので(つまり、脱会合剤で処理した試料にはオリゴマー型Aβが本質的にないので)、Aβ結合非重複エピトープに対する抗体のあらゆる組み合わせを、捕捉抗体およびレポーター抗体として使用することができる。ただし、アッセイ間の直接の比較可能性のために、試料(つまり、脱会合剤で処理されていない試料)中の単量体型Aβの量を測定するのに使用される同じアッセイを、脱会合剤で処理した試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量を測定するのにも、好ましく使用することができる(最良実施例)。したがって、たとえば、C末端特異的捕捉抗体および中央またはN末端エピトープ特異的レポーター抗体を用いるサンドイッチアッセイが、単量体型Aβの量を測定するために使用される場合、同じC末端エピトープ特異的捕捉抗体および中央またはN末端エピトープ特異的レポーター抗体を含む同じサンドイッチアッセイを、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量を測定するために使用することが好ましい。前記2つの測定をするのに異なるアッセイを使用する場合、抗体結合の強度の差異を補償するのに適するように、単量体型Aβまたは単量体型およびオリゴマー型Aβの、濃度が既知の対照試料の測定を参照することによって、測定値を規格化することができる。
単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量の測定は、単に、別個の単量体型Aβの測定(たとえば、上述のもの)とオリゴマー型Aβの測定とを加算することによっても、行うことが可能である。免疫親和性に基づく測定について、これは、オリゴマー型Aβを認識するが単量体型Aβを認識しない抗体を用いて、対象者から得た体液の試料中のオリゴマー型Aβの量を測定することによって、達成することができる。オリゴマー型Aβに対して特異的であるが単量体型Aβには結合しない抗体は、例えば、国際特許公報WO04/031400に記載されている。
アッセイのフォーマット次第で、単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの識別は、完全ではない。換言すると、オリゴマー型Aβよりも単量体型Aβに優先的結合する抗体が、完全には識別しないかも知れず、脱会合剤での処理が、オリゴマー型Aβの100%を単量体型Aβに変換しないかも知れない。さらに、実際には単量体型であるいくつかのAβが、単量体型Aβとオリゴマー型Aβとを識別するのに使用されるエピトープ(たとえば、C末端エピトープ)をマスクするタンパクまたは他の巨大分子と会合することにより、オリゴマー型であるとして評定されるかも知れない。このように完全な正確性を欠くにもかかわらず、オリゴマー型Aβよりも単量体型Aβに優先的に結合する抗体(たとえば、末端特異的C末端抗体)を含む免疫アッセイを用いる、脱会合剤での処理の前または後の体液試料の測定は、単量体型Aβならびに単量体型およびオリゴマー型Aβの測定に代わるものとして扱うことが可能であり、したがって、後のデータ分析に付すことができる。
見方を変えると、本方法は、検出されるものを単量体型、オリゴマー型、またはタンパクなどの会合した単量体型であるとして特徴付けることを要しないで、脱会合剤での処理を含むまたは含まない、体液試料中のAβの分別検出によって行うことができる。このような方法では、対象者からの体液の試料であって脱会合剤で処理されていない試料においてAβ量が検出され、その対象者からの体液の別の試料であって脱会合剤で処理された試料においてAβ量が検出されて、検出された複数のAβ量が比較される。検出は、AβのC末端に末端特異的な抗体、または、オリゴマー型Aβよりも単量体型Aβに優先的に結合する他の抗体で行われる。比較は、脱会合工程での処理を含んでまたは含まずに測定されたAβ量の、比または差を決定する。この比または差は、オリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比または差と同様に、アルツハイマー病の診断、予後または監視に使用される。したがって、オリゴマー型Aβおよび単量体型Aβの比、割合または差についてのすべての説明、ならびに、それらの測定、解釈および異なる治療計画への適用は、オリゴマー型Aβよりも単量体型Aβに優先的に結合する抗体を採用する免疫アッセイで、脱会合剤の存在下または非存在下で測定されるAβ量の比に準用される。たとえば、解離剤を用いた量に対する解離剤を用いない量の割合がより低いこと、または、解離剤を用いた量と解離剤を用いない量との差がより大きいことは、前記疾患の罹患に対する感受性がより高いこと、前記疾患が存在する可能性がより大きいこと、対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供する。他の方法と同じく、試験する対象者の集団は、上述の割合または差に基づいて第1および第2の部分集団に階層化し、これらの部分集団は別の治療計画を受けることができる。たとえば、割合がより低いまたは差がより大きい部分集団は、アルツハイマー病の予防または治療のための薬物で処理し、割合がより高いまたは差がより小さい部分集団は、その薬物なしで処理する(処理をしないことを含む)ことが可能である。
好ましくは、単量体型Aβの量ならびに単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量の測定は、同じ試料について、たとえば、同じ試料の異なるアリコートについて行われる。ただし、複数の試料が、本質的に同じ時間に、同じ対象者の本質的に同じ部位から採取されるときなど、試料が本質的に同じであると考える確固とした根拠がある場合には、測定は異なる試料について行い得る。単量体型Aβの量ならびに単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量の測定は、好ましくは同じ試薬および器具を用いて、同時にまたは連続して行うことが可能である。アルツハイマー病に対する受動免疫療法を受けている(つまり、バピニューズマブなどのAβに特異的な治療抗体を受けている)対象者から得た試料については、試料は、随意的に、治療抗体を中和する試薬(たとえば、バピニューズマブを中和するJH11.22G2などの、抗イディオタイプ抗体)で、免疫アッセイを行う前に、処理される。これに代えて、アッセイは、捕捉およびレポーター抗体として、中央領域およびC末端領域に対する抗体を用いて行うことができる。バピニューズマブは、中央またはC末端抗体から離れた部位に結合するので、このようなアッセイを妨害しない。
IV.Aβに対して特異的な抗体
Aβを検出するために使用される抗体は、AβのN末端エピトープ、中央エピトープ、またはC末端エピトープに結合するものに、おおよそ分類される。N末端エピトープは残基1〜11に由来し、中央エピトープは残基12〜28に由来し、C末端エピトープは残基29〜C末端(たとえば、残基37,38,39,40,41,42,または43)に由来する。AβのC末端領域のエピトープに結合する抗体には、たとえば、抗体2G3,21F12および369.2Bがある。Aβの中央領域のエピトープに結合する抗体には、たとえば、抗体266,15C11,2B1,1C2,4G8および9G8がある。AβのN末端領域のエピトープに結合する抗体には、たとえば、抗体12B4,12A11,6C6,3A3,2H3,10D5および3D6がある。
2G3は、ヒトAβにおいて、具体的にはAβ40のC末端に位置する、C末端エピトープに特異的に結合するmAbである(Johnson−Wood et al.,PNAS February 18,1997 vol.94,1550−1555)。
21F12は、ヒトAβにおいて、具体的にはAβ42のC末端に位置する、C末端エピトープに特異的に結合するmAbである(Johnson−Wood et al.,PNAS February 18,1997 vol.94 no.4 1550−1555)。
369.2Bは、ヒトAβにおいて、具体的にはAβ42のC末端に位置する、C末端エピトープに特異的に結合するmAbである。369.2B抗体およびその変異体は、たとえば、米国特許第US5,786,180号に記載されている。
ヒトAβの型のC末端エピトープに対して末端特異的な他の多くの抗体が、科学文献に記載されおよび/または市販されている(たとえば、Aβ40に対して末端特異的なハイブリドーマ82E1、およびAβ42に対して特異的なハイブリドーマ1A10および1C3に言及するHorikoshi et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.319,733−7(2004);Iwatsubo et al.,Neuron 13,45−53(1994);Barelli et al.,Mol.Med.3,695−707(1997);Levites et al.,J.Clin.Invest.116,193−201(2006);ワールドワイドウェブalzforum.org/res/com/ant;Novos,Biologicals,cat# NB300−225(Aβ40に対して末端特異的)、ならびに、Autogen Bioclear cat# ABT109(Aβ42に対して末端特異的)を参照)。
266は、ヒトAβにおいて、具体的には残基16〜24に位置する、中央エピトープに特異的に結合するmAbである。266抗体およびその変異体は、米国公開特許公報第US20050249725号および国際特許公報第WO01/62801号に記載されている。266モノクローナル抗体を産する細胞株は、ブダペスト条約の規定に従って、2004年6月20日にATCCに寄託されており、PTA−6123の受託番号を有している。
15C11は、ヒトAβにおいて、具体的には残基19〜22に位置する、中央エピトープに特異的に結合するmAbである。15C11抗体およびその変異体は、たとえば、米国特許第US7,625,560号および国際特許公報第WO2006/066049号に記載されている。15C11モノクローナル抗体を産する細胞株は、ブダペスト条約の規定に従って、2005年12月13日にATCCに寄託されており、PTA−7270の受託番号を有している。
2B1は、ヒトAβにおいて、具体的には残基19〜23に位置する、中央エピトープに特異的に結合するmAbである。2B1抗体およびその変異体は、たとえば、米国公開特許公報第US20060257396号および国際特許公報第WO2006/066171号に記載されている。2B1抗体を産する細胞株は、ブダペスト条約の規定に従って、2005年11月1日にATCCに寄託されており、受託番号PTA−7202を割り当てられている。
1C2は、ヒトAβにおいて、具体的には残基16〜23に位置する、中央エピトープに特異的に結合するmAbである。1C2抗体およびその変異体は、たとえば、米国公開特許公報第US20060257396号および国際特許公報第WO2006/066171号に記載されている。1C2抗体を産する細胞株は、ブダペスト条約の規定に従って、2005年11月1日にATCCに寄託されており、受託番号PTA−7199を割り当てられている。
9G8は、ヒトAβにおいて、具体的には残基16〜21に位置する、中央エピトープに特異的に結合するmAbである。9G8抗体およびその変異体は、たとえば、米国特許第US7,625,560号および国際特許公報第WO2006/066049号に記載されている。9G8抗体を産する細胞株は、ブダペスト条約の規定に従って、2005年11月1日にATCCに寄託されており、受託番号PTA−7201を割り当てられている。
4G8は、ヒトAβにおいて、具体的には残基17〜24に位置する、中央エピトープに特異的に結合するmAbである(Covance SIG−39220)。
12B4は、ヒトAβにおいて、具体的には残基3〜7に位置する、N末端エピトープに特異的に結合するmAbである。12B4抗体およびその変異体は、米国公開特許公報第US20040082762号および国際特許公報第WO03/077858号に記載されている。
12A11は、ヒトAβにおいて、具体的には残基3〜7に位置する、N末端エピトープに特異的に結合するmAbである。12A11抗体およびその変異体は、たとえば、米国公開特許公報第US20050118651A1号、米国公開特許公報第US20060198851号、国際特許公報第WO04/108895A2号および国際特許公報第WO2006/066089号に記載されている。12A11モノクローナル抗体を産する細胞株は、ブダペスト条約の規定に従って、2005年12月13日にATCCに寄託されており、受託番号PTA−7271を有している。
6C6は、ヒトAβにおいて、具体的には残基3〜7に位置する、N末端エピトープに特異的に結合するmAbである。6C6抗体およびその変異体は、たとえば、米国公開特許公報第US20060257396号および国際特許公報第WO2006/066171号に記載されている。6C6抗体を産する細胞株は、ブダペスト条約の規定に従って、2005年11月1日にATCCに寄託されており、受託番号PTA−7200を割り当てられている。
3A3は、ヒトAβにおいて、具体的には残基3〜7に位置する、N末端エピトープに特異的に結合するmAbである。2H3は、ヒトAβにおいて、具体的には残基2〜7に位置する、N末端エピトープに特異的に結合するmAbである。3A3抗体および2H3抗体ならびにそれらの変異体は、たとえば、米国公開特許公報第US20060257396号および国際特許公報第WO2006/066171号に記載されている。抗体2H3および抗体3A3を産する細胞株は、受託番号PTA−7267およびPTA−7269をそれぞれ有し、ブダペスト条約の規定に従って、2005年12月13日にATCCに寄託された。
3D6は、ヒトAβにおいて、具体的には残基1〜5に位置する、N末端エピトープに特異的に結合するmAbである。3D6モノクローナル抗体を産する細胞株(RB96 3D6.32.2.4)は、ブダペスト条約の規定に従って、2003年4月8日に米国培養細胞系統保存機関(ATCC),Manassas,Va.に寄託されており、受託番号PTA−5130を有している。10D5は、ヒトAβにおいて、具体的には残基3〜7に位置する、N末端エピトープに特異的に結合するmAbである。10D5モノクローナル抗体を産する細胞株(RB44 10D5.19.21)は、ブダペスト条約の規定に従って、2003年4月8日にATCCに寄託されており、受託番号PTA−5129を有している。3D6抗体および10D5抗体ならびにそれらのヒト化およびキメラ型は、さらに、たとえば、米国公開特許公報第US20030165496号および米国公開特許公報第US20040087777号、ならびに、国際特許公報第WO02/088306号、国際特許公報第WO02/088307号、国際特許公報第WO02/46237号および国際特許公報第WO04/080419号に記載されている。追加のヒト化3D6抗体が、米国公開特許公報第US20060198851号および国際特許公報第WO2006/066089号に記載されている。
体液中の単量体型および/またはオリゴマー型Aβの量を測定するために有用な他の抗体は、新たに発見することが可能である。その抗体は、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ヤギ、ウシ、およびニワトリを含む、あらゆる好適な動物の免疫化から得ることができる。これに代えて、抗体は、ファージ提示法などのインビトロ選択法、または、遺伝子導入マウスの免疫化によって産することができ、後者は、ヒト抗体もしくはナノ抗体を含む他の種類の抗体を可能にする。
抗体は、ポリクローナル、キメラ、またはヒト化したものであり得る。末端特異的な抗体は、特異性が望まれるAβの末端で終結する短いペプチド(たとえば、4〜8アミノ酸)で免疫化することによって作成される。たとえば、Aβ38〜42のペプチドは、Aβ42に対する末端特異的抗体を生産する免疫原として機能し得、Aβ37−41はAβ41に対する末端特異的抗体を生産する免疫原として機能し得、Aβ36−40はAβ40に対する末端特異的抗体を生産する免疫原として機能し得、Aβ35−39はAβ39に対する末端特異的抗体を生産する免疫原として機能し得、Aβ34−38はAβ38に対する末端特異的抗体を生産する免疫原として機能し得、または、Aβ33−37はAβ37に対する末端特異的抗体を生産する免疫原として機能し得る。短いペプチドは、免疫応答を引き起こすのを支援するために、キャリアーに連結される。抗体は、より長い型のAβ、APP、または、末端特異性が望まれる自由末端を有しないより長いタンパクの一部である免疫原のアミノ酸を含むその断片に比べて、所望の型のAβに優先的に結合する能力についてスクリーニングされる。ポリクローナル末端特異的抗体は、類似の免疫化によって、および、所望の特異性を欠く抗体を、より長い型のAβ、APP、または末端特異性が望まれる自由末端を有しない免疫原のアミノ酸を含むその断片の親和性カラムで除去することによって、作成することができる。適する抗体およびそのフラグメントは、遺伝子組み換えで産することができる。さらに、抗体の結合特異性を模した他の組み換えタンパクを使用することが可能である(たとえば、国際特許公報第WO/2009/140039号に記載のシンボディ(synbody)を参照)。
Aβに対して特異的な抗体は、AβのN末端領域のエピトープ(つまり、アミノ酸残基1〜11)、中央領域のエピトープ(つまり、アミノ酸残基12〜28)、または、C末端領域のエピトープ(つまり、アミノ酸残基29〜43)などの、所望の標的エピトープを有する免疫原で調製することができる。キャリアー分子は、免疫原に連結して、従来技術によって抗血清またはモノクローナル抗体を調製するのに使用することが可能である。適する免疫原は、通常、Aβ内の少なくとも5個の連続残基を有し、6個を超える残基を含んでもよい。キャリアー分子は、Hudson and Hay,Practical Immunology,Blackwell Scientific Publications,Oxford,(1980),Chapter 1.3に総説されるように、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、または他の適するタンパクキャリアーを含む。
抗体は、使用される測定アッセイに応じて、修飾することも修飾しないこともできる。たとえば、捕捉抗体は、ビオチン、アビジン、または短いペプチド(たとえば、his−tag)などの、親和剤に連結することが可能である。親和剤は、次いで、特異的な高親和性相互作用(たとえば、アビジンまたはストレプトアビジンへのビオチンの結合)によって、固体基板に連結される。固体基板は、たとえば、ビーズまたは壁の表面であり得、親和剤の高親和性相互作用は、捕捉抗体を固体基板に付着させるのに使用することが可能である。これに代えて、捕捉抗体の一部(たとえば、定常領域)に特異的な2次抗体は、固体基板(たとえば、プラスチック皿、ビーズ)に吸収され得、捕捉抗体を固体基板に付着するのに使用することができる。同様に、レポーター抗体は、標識、または、レポーター抗体の一部(たとえば、定常領域)に特異的な2次抗体を含むように修飾することができ、その標識を提供するために使用することが可能である。レポーター抗体上または2次抗体上の標識は、たとえば、酵素(たとえば、化学リンカーによって連結され、または、抗体とインフレームで融合される)、蛍光分子、化学発光剤、発色団、放射性同位元素、または、定量化可能な信号を提供する他の化学物質または薬剤、であり得る。
V.試料
本方法は、対象者から得た試料中の、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量、単量体型Aβの量、ならびに/またはオリゴマー型Aβの量を、直接測定する。これらの方法は、対象者から試料を採取すること、および/または、測定を行う前に試料を処理することを含む。対象者は、一般にヒトであるが、また、げっ歯類などの哺乳動物、好ましくはマウス、たとえば、アルツハイマー病のモデルとして機能し得る遺伝子導入マウスでもある。体液には、たとえば、脳脊髄液(CSF)、血液、尿、および腹水が含まれる。血液とは、全血のみならず、血漿または血清を意味し得る。
試料の調製には、試料の貯蔵(たとえば、室温で、4℃で、または凍結で)、および/または輸送が含まれる。他の処理には、たとえば、血液を遠心分離して血漿を得ること、血液を凝固させ遠心分離して血清を得ることが含まれ得る。さらなる試料調製がある場合、それは、単量体型および/またはオリゴマー型Aβの測定に使用されるアッセイフォーマットに依存し、タンパク沈降および/またはカラムクロマトグラフィーなどの生化学的工程を含み得る。ポリスチレン収集チューブは、Aβに結合して、試料の質の損失を招くことが観測されているが、ポリエチレンチューブは、同様のAβ結合親和性を示さず、好ましい。
VI.Aβの測定結果の使用
単量体型およびオリゴマー型Aβ(または、オリゴマー型Aβ)ならびに単量体型Aβの生の測定結果は、アルツハイマー病の診断、予後および監視において有用な情報へと処理することが可能である。通常、これらの方法は、体液中の単量体型Aβの量ならびに単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量を提供する。これらの量は、対象者の状態のいくつかの有用なパラメータを提供するために、比較することができる。好ましくは、単量体型Aβの量と単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量との比が決定される。この比は、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合、または、その逆(逆割合)として表すことができる。逆割合は、割合の逆数なので、比を決定することは、割合および逆割合の双方を決定することと考えられる。単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合は、体液中の全Aβにおける単量体型の分率の尺度である。この分率を1から減ずることによって、体液中の全Aβにおけるオリゴマー型Aβの分率が得られる。割合つまり分率は、百分率で表すことも可能である。量は、単量体型Aβの量を単量体型およびオリゴマー型Aβの量から減じて、オリゴマー型Aβの量を得ることによっても比較することができる。これに代えて、量は、単量体型Aβとオリゴマー型Aβとの比を決定することによって、比較することが可能である。これらの比較で決定されるパラメータは、オリゴマー型Aβ関連パラメータと総称される。
オリゴマー型Aβ関連パラメータは、診断、予後または監視において使用される。診断、予後および監視は、同じパラメータが、一連の疾患の状態および進行に適用される際に、種々の方法で有用になり得るので、相互に排他的ではない。たとえば、1つのパラメータは、対象者の現在の状態(診断)、および、将来の状態の予測(予後)を示すことができる。パラメータは、現在の診断を提供し、監視における一連のパラメータのうちの1つであり得る。一般に、体液中のオリゴマー型Aβの量が多いことは、疾患に対する感受性が高いこと、疾患の存在する可能性が高いこと、または、対象者の状態が悪化しつつあることに関連する。比、特に、体液中の単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの比の形のパラメータは、体液中のAβの総量の、対象者間の差異による歪を減少させるのに好ましい。オリゴマー型Aβの量が増大すると、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が減少する。したがって、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が低いことは、疾患の罹患の危険性が高いこと、疾患の存在する可能性が高いこと、または、対象者の状態が悪化しつつあることに関連する。同様に、オリゴマー型Aβが増大すると、オリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が減少し、割合が低いことは、疾患の罹患の危険性が高いこと、疾患の存在する可能性が高いこと、または、対象者の状態が悪化しつつあることに関連する。逆に、オリゴマー型Aβが増大すると、単量体型Aβに対する単量体型およびオリゴマー型Aβの割合、または、単量体型Aβに対するオリゴマー型Aβの割合が増大し、この割合が高いことは、疾患の罹患の危険性が高いこと、疾患の存在する可能性が高いこと、または、対象者の状態が悪化しつつあることに関連する。単量体型Aβとオリゴマー型Aβとの比較は、他の方法で行うことができ、同様に、疾患の罹患の危険性が高いもしくは低いこと、疾患の存在する可能性が高いもしくは低いこと、または、対象者の状態が悪化しつつあるもしくは好転しつつあることに関連する。
単量体型Aβおよびオリゴマー型Aβの測定値の比較によって決定される種々のパラメータは、アルツハイマー病の診断、予後または監視における支援のために、ベースライン値と比較することができる。対象者の対照群から決定されるパラメータの値を、ベースライン値とすることができる。対照群は、陰性対照群でも陽性対照群でもよい。適する陰性対照群は、アルツハイマー病の既知の症状もしくは兆候またはその遺伝的危険性を何ら有していない、60歳未満の個体である。適する陽性対照群は、アルツハイマー病を有すると診断された個体である。これに代えて、同一の対象者から前もって得たパラメータの値を、ベースライン値とすることができる。
対象者の陰性対照群において、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合のベースライン値は、約1.0(たとえば、約0.90〜約1.10)であると期待される。陰性対照群における平均の割合よりも低い割合は、対象者は、アルツハイマー病に対する感受性が高いこと、または、アルツハイマー病が存在する可能性が高いことの目安を提供する。少なくとも95%の信頼度で統計的に有意な、対象者の割合と集団の平均の割合との差は、診断および予後の形成において特に有用である。ただし、より低い信頼度間隔(たとえば、約67〜95%信頼度)もまた、個体が危険であると知らせて、他のバイオマーカーのアッセイを開始すること、または、時間経過に従って割合を監視することにおいて、価値がある。先に決定した対象者のベースライン値よりも低い(好ましくは少なくとも95%信頼度で評価した実験誤差を超える)割合は、対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供する。
パラメータのベースライン(閾値ということもある)は、また、試験対象者の先のアッセイに基づいて規定することも可能である。たとえば、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合などのパラメータは、アルツハイマー病の症状のない対象者の集団であって、その後どの対象者がアルツハイマー病を罹患するかを決定すべく追跡される集団、において測定することができる。そうすると、ベースラインつまり閾値は、既知の誤差範囲内で、閾値よりも低い対象者が1つの転帰(たとえば、アルツハイマー病の罹患)を有し、その閾値よりも高い対象者が別の転帰(たとえば、アルツハイマー病を罹患しないまま)を有するように設定することができる。ちょうど閾値上のパラメータ値を有する対象者は、通常、閾値がどのように設定されるかに応じて、1つの転帰または他の転帰にすべて割り当てられるか、あるいは、不確定であると判定することができる。誤りの確率およびその結果の偽陽性および偽陰性の可能性は、設定される閾値の値によって制御することが可能である。他の例として、閾値は、アルツハイマー病を有することまたは有しないことが知られている集団のパラメータの値を比較することによって、アルツハイマー病の存在または非存在を決定するために設定することが可能である。この場合も、閾の精密な値は、偽陽性または偽陰性の数を許容範囲内に保つように設定することができる。許容範囲は異なる健康管理実施者で相違するかも知れないが、好ましくは、閾値は、偽陽性および/または偽陰性の数が20%未満、15%未満、10%未満、または、好ましくは5%未満となるように選択される。異なる閾値を、異なる予後、診断および監視について、使用することもできる。好ましくは、ベースライン値および閾値は、試験対象者における比を決定するのに用いられるものと同じアッセイフォーマット(たとえば、アッセイの種類が同じで、免疫親和性サンドイッチアッセイに使用される特異的な捕捉抗体およびレポーター抗体などの、試薬が同じ)を用いて決定される。同様に、ベースライン値および閾値は、好ましくは、試験対象者における比を決定するのに用いられるものと同じ試料調製技術を用いて決定される。
通常、単量体型Aβおよびオリゴマー型Aβの測定量を比較して得られるパラメータは、対象者の他の兆候および症状との組み合わせにおいて、予後、診断または監視の情報、特に、対象者の認知能力および/または他のバイオマーカーの評価を提供すること援助をする。ADAS−CO 11,ADAS−CO 12,DAASD,CDR−SB,NTB,NPI,MMSEは、認知機能を評価するための周知のスケールである。他のバイオマーカーには、[18F]FDG,MRIマーカー(BBSIおよびVBSI),CSFバイオマーカーAβ42,Tau,および/またはP−Tau、ならびに、脳におけるAβのPET造影がある。対象者にアルツハイマー病の兆候または症状がある場合、それは、この分析の目的を決定し得る。たとえば、無症状対象者において、目的は、通常、アルツハイマー病に対する感受性を決定すること、および/または、疾患に向かっての前進、存在する場合には進行、を監視することである。認知障害を有する対象者においては、目的は、アルツハイマー病を罹患することへの感受性を決定すること、および、疾患に向かっての前進を監視することであり得るが、目的は、アルツハイマー病の存在を決定または排除することでもあり得る。他の基準(たとえば、DSM−IV−TR)によってアルツハイマー病であると既に診断されている対象者においては、目的は、疾患の段階を決定すること、診断を確定すること、または、疾患の将来の進行を監視することであり得る。治療中の対象者においては、目的は、治療に対する反応を測定することであり得る。
したがって、たとえば、認知低下の症状を呈していない対象者において、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合であって、陰性対照対象者についてのベースライン値(上記規定のもの)よりも低い割合は、対象者が、その対照集団よりも、アルツハイマー病の罹患に対する感受性が高いことの目安を提供する。同じ対象者について、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合が、その対象者について先に決定した割合よりも低いことは、アルツハイマー病に向かって進行中であることの目安を提供する。
軽度の認知障害(MCI)の症状を呈する対象者については、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合であって、陰性対照対象者についての特定のベースライン値よりも低い割合は、アルツハイマー病の罹患に対する対象者の感受性が高いことの目安を提供する。軽度の認知障害は、それ自体、認識される状態であり、アルツハイマー病の前駆相であり得るが、他の理由で生じることもあり得る。したがって、低い割合とMCIの症状との組み合わせは、MCIおよび正常な割合を有する対象者またはMCIなしで同じ割合を有する者と比べて、アルツハイマー病の感受性が高いことの目安を提供する。たとえば、MCIおよびその対象者について先に決定した割合よりも低い割合を有する対象者については、アルツハイマー病に向かっての前進の目安を提供する。
MCIに分類されるか否かにかかわらず、概して認知低下の症状を呈している対象者について、その低下は、アルツハイマー病もしくはその進行、または、無関係の認知症に関連しているかも知れない。そのような個体においては、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合であって、陰性対照対象者のベースライン値よりも低い割合を、随意的に、アルツハイマー病を診断または除外するために、疾患の他の兆候または症状と組み合わせて、使用することが可能である。
アルツハイマー病を有すると既に診断されている対象者については、病期を分類するために、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合であって、閾値よりも低い割合を、使用することができる。たとえば、閾値は、アルツハイマー病の特定の段階(たとえば、軽度、中度、後期)に対応するように規定することが可能である。対象者について先に決定した割合よりも低い割合は、対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供する。したがって、割合は、対象者の状態を監視するために使用することができる。対象者がアルツハイマー病のための治療(たとえば、バピニューズマブ免疫療法などの免疫療法)を受けている場合、割合は療法に対する反応を監視するのに使用することができる。時間経過に伴う割合の変化は、治療剤に依存する。免疫療法については、脳におけるAβの沈着物が可溶化されて体液に放出されるので、治療剤は、最初、体液中の割合の低下を引き起こす。しかし、やがてオリゴマー型Aβが体液から消滅するにつれて、割合は上昇するかも知れない。Aβ会合を阻害する低分子などの他の薬剤においては、割合は、治療の成功に応じて、一過性の減少を伴うことなく、上昇するかも知れない。
単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合を、例示を目的として説明するが、先に述べたいずれのパラメータも、これに加えてまたは代えて、同様に使用することが可能である。当然、方法には、何らかの表面上の差異がある。たとえば、単量体型Aβに対する単量体型Aβおよびオリゴマー型Aβの割合を使用するとき、特定のベースライン値または閾値を(下回るのではなく)上回る値が、対象者がAβ関連の状態を有していること、またはその状態を罹患することに対して感受性があることの目安を提供する。陰性対照対象者の集団から生成したベースライン値は、約1.0(たとえば、約0.95〜約1.10)であると期待することができる。オリゴマー型Aβの量については、アルツハイマー病またはそのような状態に対する感受性の目安となる閾値は、約0.3ng/mLである。
対象者からの試料中のタウまたはリン酸化タウ(つまり、P−タウ)の量は、Aβ関連状態の診断もしくは予後またはAβ関連状態の監視において支援をするために、単量体型Aβおよびオリゴマー型Aβから算出されるパラメータと共に使用することが可能な、好ましいバイオマーカーである。タウは、アルツハイマー病患者の脳の神経原線維変化に見られる微小管関連タンパクである(Goedert et al.,Neuron 3:519−526(1989);Goedert,TINS 16:460−465(1993))。CSF中のタウ、および特にP−タウ、のレベルが高いことは、神経損傷およびアルツハイマー病と関連付けられている。たとえば、1ミリリッター当たり約300pgというCSF中のタウの量を、アルツハイマー病を有することの目安の閾値として使用することができ、CSF中のタウの量が300pg/mL以上であることは、対象者が、Aβ関連の状態を有すること、または、その状態を罹患することに対する感受性があることを示し、CSF中のタウの量が300pg/mL未満であることは、対象者が、Aβ関連の状態を有しない、または、その状態を罹患することに対する感受性を有しない可能性が、より大きいことを示す(米国特許第7,700,309号を参照)。
タウは、たとえば、免疫アッセイによって検出することができる。有用な検出技術には、たとえば、共にタウに対して特異的な捕捉抗体および標識したレポーター抗体を含む免疫親和性サンドイッチアッセイが含まれる(米国特許第7,700,309号および国際出願第PCT/US11/033649号を参照)。タウに対する抗体は市販されており(たとえば、Sigma,St.Louis,MOによる)、そうでなくても公知であり(米国特許第7,700,309号)、または、従来法で調製することができる。
本方法は、対象者から体液試料を採取または入手し、その試料のアッセイを行って1つ以上の分析物(たとえば、単量体型Aβならびに単量体型およびオリゴマー型Aβ)の量を測定し、測定した値をデータ分析して診断、予後もしくは監視の情報を提供し、その情報を対象者、介護者もしくは健康管理提供者に連絡することを必要とするかも知れない。いくつかの方法において、すべての工程は、一人または同一組織(たとえば、医療機関、病院、または健康管理機構)の複数の人によって、行うことができる。これに代えて、これらの方法は、契約に従ってまたはそうではなく協働して従事する異なる組織の複数の人によって行うことができる。たとえば、1つの組織の人が、アッセイを指示し、対象者試料を採取し、対象者または介護者に情報を連絡してよい。他の機構の人が、アッセイおよびデータ分析の一部または全部を行ってよい。
VII.コンピュータによる実現
これらの方法における1つ以上の工程(湿潤化学工程以外)は、適切にプログラムされたコンピュータにおいて行うことが可能である。オリゴマー型Aβ関連の1つ以上のパラメータの計算は、そのようなコンピュータにて行うことができる。あらゆる型のAβ(単量体型、単量体型およびオリゴマー型、変性溶媒で処理をしたまたはしなかったもの)の測定からの生データは、コンピュータにおいて、たとえば、生の信号を数値に関連付けるコンピュータに記憶された検量線を用いて、数値(たとえば、量または濃度)へと処理することができる。コンピュータは、また、検出されたあらゆる型のAβの測定量、オリゴマー型Aβ関連パラメータの値、対象者の状態(たとえば、診断、予後、監視、疾患の進行、アルツハイマー病罹患の危険性)、および/または、治療の選択肢を出力して提供するようにプログラムすることもできる。
本発明は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにて実施することが可能である。たとえば、本発明の異なる側面は、クライアント側論理またはサーバー側論理のいずれでも実施することができる。本発明またはその一部は、適切に構成された計算装置にロードされるとその装置を本発明に従って機能させる、論理命令および/またはデータを含む固定媒体プログラム部分において実施することができる。論理命令を含む固定媒体は、観察者のコンピュータに物理的にロードするために、固定媒体上で観察者に配布することができるし、または、論理命令を含む固定媒体は、観察者が、プログラムの一部をダウンロードするために、通信媒体を通じてアクセスする遠隔サーバーに駐在してもよい。
ハードウェアは、パーソナルコンピュータ、または、たとえば、デジタル化テレビ、携帯電話、携帯情報端末などの、遠隔データアプリケーションとのインタフェースとなるあらゆる情報装置であり得る。主記憶または補助記憶に駐在する情報は、そのようなシステムをプログラムするのに使用することができ、ディスク型の光学または磁気媒体、磁気テープ、固相のダイナミックまたはスタティックメモリなどを表し得る。たとえば、本発明は、その全体または一部を、そのような固定媒体に記録されたソフトウェアとして、実施してもよい。主記憶に記憶される様々なプログラムには、種々の型のAβ(単量体型、単量体型およびオリゴマー型、変性溶媒で処理をしたまたはしなかったもの)の測定に関する信号を受信するプログラム、そのような信号を処理して数値(たとえば、量または濃度)にするプログラム、測定量からオリゴマー型Aβ関連の値を算出するプログラム、Aβ関連パラメータを対象者の状態、予後または治療計画の観点から解釈するプログラム、などを含めることができる。そのようなプログラムは、部分的には、対象者におけるオリゴマー型Aβ関連パラメータの1つ以上の計算値を、対象者の状態、予後または治療計画に関連するそのような値を記憶したデータベースと比較することによって、動作するかも知れない。コンピュータ記憶装置は、また、検出されたあらゆる型のAβの測定値の出力を提供するプログラム、オリゴマー型Aβ関連パラメータの値、対象者の状態(たとえば、アルツハイマー病罹患の危険性)および/または治療の選択肢、を記憶してもよい。出力は、たとえば、追加の記憶装置(たとえば、ZIPディスク,CD−R,DVD,フロッピーディスク、フラッシュメモリカード)に記憶すること、および/または、紙などに印刷してハードコピーを得ることにより、表示装置上で行うことができる。処理の結果は、使用者の判断に応じて、全体または一部を記憶しまたは表示することが可能である。
VIII.臨床試験
上記で決定されたオリゴマー型Aβ関連パラメータは、対象者を臨床試験に登録するか否かの決定に使用することができる。臨床試験は、アルツハイマー病の予防または治療に潜在的に有用な薬物を試験するものであり得る。薬物は、たとえば、抗体(たとえば、Aβに対して特異的な抗体)、または、Aβに対する抗体を誘導するように設計された免疫原であり得る。
オリゴマー型Aβ関連パラメータは、適当な閾値と比較される。適当な閾値は、使用されるオリゴマー型Aβ関連パラメータおよび試験の目的に依存する。たとえば、閾値は、アルツハイマー病を有する可能性がきわめて高い対象者のみを特定するために選択することが可能であり、または、アルツハイマー病に対する感受性の高い対象者を特定するために選択することができる。閾値よりも高いまたは低いオリゴマー型Aβ関連パラメータを有する集団内の対象者は、臨床試験への参加に適している。たとえば、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合が適当な閾値よりも低い集団内の対象者が、臨床試験への参加に適しているのに対して、閾値よりも高い割合を有する低い集団内の対象者は、臨床試験への参加に適していない。これに代えて、単量体型Aβに対するオリゴマー型および単量体型Aβまたはオリゴマー型Aβの逆割合が、適当な閾値よりも高い集団内の対象者が、臨床試験への参加に適しているのに対して、そのような割合または量が閾値よりも低い集団内の対象者は、臨床試験への参加に適していない。試験への対象者の登録の基準としてオリゴマー型Aβ関連パラメータを使用することは、アルツハイマー病もしくはその疾患に対する高い感受性を欠いて、試験される治療に対して偽陽性の反応を示し易い個体が存在しないかまたは少ない、均一な集団をもたらす。
IX.治療計画の変更
上記で決定されるオリゴマー型Aβ関連パラメータは、どの対象者が治療計画を受けるかまたは受けないかを決定するのに、使用することも可能である。そのようなパラメータは、適当な閾値と比較される。その比較に基づいて、対象者は、アルツハイマー病に対する予防または治療をもたらす薬物を投与され得る。これに代えて、Aβ関連状態の予防または治療のための薬物を既に受けている対象者について、比較は、対象者が受けている用量が、増加、減少、または、異なる薬物を用いるために排除されるべきであることを示し得る。
たとえば、アルツハイマー病の治療または予防を何も受けていない対象者は、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が、閾値よりも高いまたは低いと分類することができ、閾値よりも低い対象者はその後に治療または予防を受け、閾値以上の対象者はその後治療または予防を受けない。アルツハイマー病の予防または治療のための薬物を既に受けている対象者は、単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合が、閾値よりも高いか低いかによって分類され、閾値よりも高い対象者はその薬剤を受け続け、閾値よりも低い対象者は、薬物用量を調節され、またはアルツハイマー病の予防または治療のための新たな薬物に切り替えられる。これに代えて、薬物を既に受けている対象者については、その対象者について先に決定された同じパラメータの割合に対応する割合は、ベースライン値と比較され得る。その割合がベースライン値よりも低い場合、用量が増加され、または、対象者は、アルツハイマー病の予防もしくは治療のための新たな薬物に切り替えることができる。割合がベースライン値よりも高い場合、対象者の薬物用量は、減少させるかそのままにすることができる。
単量体型Aβに対する単量体型およびオリゴマー型Aβまたはオリゴマー型Aβの割合(逆割合)などの、他のオリゴマー型Aβ関連パラメータも、また、Aβ関連状態またはAβ関連状態の罹患に対する感受性を有する対象者の、治療計画を変更するための方法において使用することができる。これらの方法は、オリゴマー型Aβの割合または量を閾値と比較するとき、割合または量が閾値つまりベースライン値よりも高い場合、対象者(たとえば、何の治療も受けていない対象者)にアルツハイマー病の予防または治療をもたらす薬物を処方すること、対象者の薬物用量を増加すること、または、対象者をアルツハイマー病の予防または治療のための新たな薬物に切り替えることができること除いて、上述の方法に類似している。オリゴマー型Aβの逆割合または逆量が閾値つまりベースライン値よりも低い場合は、対象者の薬物用量を減少させ、または用量をそのままにすることができる。
単量体型Aβならびに単量体型およびオリゴマー型Aβの量、ならびに、これらの値を比較することから得られるあらゆるオリゴマー型Aβ関連パラメータは、また、2つ以上の治療計画のうちのどれを集団内の対象者に施すかを決定することに利用することもできる。オリゴマー型Aβ関連パラメータは、集団を、Aβ関連パラメータが集団間で有意に相違する第1および第2の部分集団へと、階層化するのに使用される。たとえば、第1の部分集団における単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比の平均は、第2の部分集団におけるその比の平均とは、統計的に有意な差で相違する。第1の部分集団の対象者は、第1の治療計画を施され、第2の部分集団の対象者は、第1の治療計画とは異なる第2の治療計画を施される。治療計画は、空白の治療計画(つまり、対象者は治療を受けない)であり得る。したがって、たとえば、第1の部分集団の対象者は、アルツハイマー病の予防または治療のための薬物を受けることができ、第2の部分集団の対象者は、何も受けない(または、少なくとも第1の部分集団の対象者と同じ薬物を受けない)ことができる。このような相違する治療計画は、たとえば、Aβの単量体型およびオリゴマー型に対する単量体型の比が、第1の部分集団の対象者において、第2の部分集団よりも低い場合に、提示することができる。これに代えて、第1の部分集団の対象者は、アルツハイマー病の予防または治療のための第1の薬物を受け、第2の部分集団の対象者は、そのような第2の薬物を受けることができる。これに代えて、第1および第2の部分集団の対象者は、アルツハイマー病の治療または予防のための同じ薬物を、異なる用量、異なる頻度、または、異なる投与経路で受けることができる。いくつかの集団は、1つの部分集団のすべての対象者が、閾値以上のオリゴマー型Aβ関連パラメータ値を有し、別の部分集団のすべての対象者が、その閾値以下のオリゴマー型Aβ関連パラメータ値を有するように階層化される。此処および本出願の他所において、ちょうど閾値上のパラメータ値を有する対象者は、通常、閾値がどのように設定されるかに応じて、すべて1つの部分集団に割り当てられるか他方に割り当てられ、または、不確定であると判定して、どちらの集団にも含まれないようにすることができる。扱う集団およびその部分集団における対象者の数は、1つ以上のオリゴマー型Aβ関連パラメータが、部分集団間で統計的に有意な程度に相違するのに、十分でなければならない。たとえば、これらの方法は、少なくとも20,50,100,1000または10,000人の対象者を含む集団に適用することが可能である。
本発明は、さらに、上記のように階層化された部分集団における対象者を、異なる態様で処理する方法を提供する。異なる部分集団の対象者はアルツハイマー病の予防もしくは治療のための同じ薬剤を受けることもしくは受けないことによって、アルツハイマー病の予防もしく治療のための別の薬を受けることによって、または、アルツハイマー病の予防もしくは治療のための薬を、異なる用量、異なる頻度、もしくは異なる投与経路で受けることによって、異なる態様で処理され得る。
X.キット
本発明は、また、アルツハイマー病の診断、予後または監視において援助するアッセイを行うためのキットも提供する。キットは、対象者から採取した体液などの試料中の単量体型Aβの量を測定するために有用な、2つ以上のAβ特異的な抗体を含み得る。抗体は、例えば、免疫親和性サンドイッチアッセイを行うために有用であり得る。好ましくは、キットは、Aβに対して特異的な少なくとも1つの捕捉抗体、および、前記少なくとも1つの捕捉抗体と同時に単量体型Aβに結合することが可能な、Aβに対して特異的な少なくとも1つのレポーター抗体を含む。前記少なくとも1つの捕捉抗体または前記少なくとも1つのレポーター抗体のどちらかは、単量体型Aβに特異的に結合するがオリゴマー型Aβには結合することができないように選択される。たとえば、前記少なくとも1つの捕捉抗体は、C末端エピトープに結合する抗体を含むことができ、前記少なくとも1つのレポーター抗体は、N末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する抗体を含むことができる。これに代えて、前記少なくとも1つの捕捉抗体は、N末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する抗体を含むことができ、前記少なくとも1つのレポーター抗体は、C末端エピトープに結合する抗体を含むことができる。適する抗体には、そのような抗体のフラグメントを含む、本明細書に記載のあらゆる抗体が含まれる。好ましいC末端エピトープ特異的抗体には、Aβ40に対して末端特異的な抗体(たとえば、mAb 2G3)およびAβ42に対して末端特異的な抗体(たとえば、mAb 21F12)が含まれるが、Aβ40,Aβ42に対して末端特異的な抗体に代えてまたは加えて、Aβ37,Aβ38,Aβ39,もしくはAβ41のいずれかまたはすべてに対して末端特異的な1つ以上の抗体も、含まれる。好ましい中央エピトープ特異的抗体には、Aβのアミノ酸残基12〜28内のエピトープに特異的な抗体(たとえば、mAb 266)が含まれる。N末端エピトープ特異的抗体には、Aβのアミノ酸残基1〜11内のエピトープ、好ましくは、Aβのアミノ酸残基3〜7内(たとえば、mAb 10D5)またはAβのアミノ酸残基1〜5内(たとえば、mAb 3D6)のエピトープに対して特異的な抗体が含まれる。
キットにおける捕捉抗体は、随意的に、ビオチン、アビジンまたはペプチドタグ(たとえば、his−tag)などの親和剤に接合される。これに代えて、キットは、捕捉抗体に特異的に結合する2次抗体を含むことができる。キットにおけるレポーター抗体は、髄的に、標識、たとえば、酵素、蛍光分子、化学発光剤、発色団、放射性同位元素、または、定量化可能な信号を提供する他の化学物質または薬剤に接合される。これに代えて、キットは、レポーター抗体に特異的に結合する2次抗体を含むことができ、適切な標識を含む。
本発明のキットは、さらに、オリゴマー型Aβを脱会合させるのに適する脱会合剤(たとえば、溶媒)を含むことが可能である。脱会合剤は、たとえば、本明細書に記載のあらゆる脱会合剤であり得る。本発明のキットは、また、対象者からの試料に存在する治療抗体を阻害するための薬剤を含むことができる。たとえば、阻害剤は、バピニューズマブに対して特異的な抗イディオタイプ抗体(たとえば、mAb JH11.22G2)などの、抗イディオタイプ抗体であり得る。本発明のキットは、また、キットの内容物を使用して本明細書に記載の測定、たとえば、単量体型Aβの測定もしくは単量体型およびオリゴマー型Aβの合計の測定、または、前述の比などのオリゴマー型Aβ関連パラメータの決定、を行うための指示を含むことができる。
XI.遺伝子導入動物アッセイ
アルツハイマー病の多くの動物モデルが報告されている(たとえば、WO 93/14200,US Pats.5,604,102,5,387,742,および6,717,031を参照)。アルツハイマー病について特に有用な動物モデルには、哺乳類モデル、より具体的には、げっ歯類モデル、特に、ネズミモデルおよびハムスターモデル、が含まれる。このような動物モデルは、ヒトAPPまたはそのフラグメントをコードし発現する導入遺伝子を含み得る。ヒトAPP導入遺伝子には、動物モデルにおけるアルツハイマー病の進行を促進させるまたは速める変異を含めることができる。変異は、たとえば、遺伝型のアルツハイマー病に関連し得る。たとえば、スウェーデン型変異(つまり、アスパラギン595−ロイシン596)、または、ロンドン型もしくはインジアナ型の家族性アルツハイマー病変異に関連するAPPのアミノ酸717における変異である。このような変異は、米国特許第US7,700,309号および第US6,717,031号に記載されている。これらのモデルは、アルツハイマー病の経過に影響する能力、つまり、病状を改善する能力および悪化させる能力の双方について、化合物をスクリーニングするのに有用である。アルツハイマー病は、体液中の単量体型Aβの量の減少およびオリゴマー型Aβの量の増加によって特徴づけられるので、アルツハイマー病の有効な治療は、オリゴマー型Aβ関連パラメータを変化させる。たとえば、アルツハイマー病の進行を速める薬剤は、試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合を減少させる傾向にある。逆に、アルツハイマー病の進行を遅くするまたは停止させる薬剤は、何らかの増加の前に一過性の減少があるかも知れないが、試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する単量体型Aβの量の割合を増加させる傾向を有するかも知れない。このような試験化合物には、抗体またはそのフラグメント、タンパク、小有機化合物などが含まれる。
これらの方法は、アルツハイマー病の遺伝子導入動物モデルに試験化合物を投与すること、動物からの体液試料中の単量体型Aβならびにオリゴマー型Aβおよび単量体型Aβの合計量を測定すること、単量体型Aβを測定しオリゴマー型Aβを測定すること、または、単に、オリゴマー型Aβを測定すること、ならびに、測定に基づき、その動物についての1つ以上のオリゴマー型Aβ関連パラメータを決定すること、を含む。決定されるオリゴマー型Aβ関連パラメータに応じて、関連ベースライン値と比べたパラメータ統計の上昇または減少が、試験化合物がアルツハイマー病を改善するか悪化させるかを示す。ベースライン値は、試験化合物を与えられていない対照動物の群(たとえば、遺伝的に類似または同一の動物群)から決定することができる。
たとえば、これらの方法は、動物からの体液中の単量体型Aβの量を測定すること、その体液中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量を測定すること、その体液について、測定した単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量に対する測定した単量体型Aβの量の割合を決定すること、および、その割合を適当なベースライン値と比較することを含む。割合がベースライン値よりも高い場合、試験化合物は、アルツハイマー病の予防または治療に潜在的に有用な薬物であると認定される。そうではなく、割合がベースライン値よりも低い場合は、試験化合物はアルツハイマー病の進行を悪化または速める薬物であると認定される。
上記に代えて、これらの発明は、動物からの体液中の単量体型Aβの量を測定すること、その体液中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量を測定すること、その体液について、測定した単量体型Aβの量に対する単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量の逆割合を決定すること、および、その逆割合を適当なベースライン値と比較することを含む。割合がベースライン値よりも低い場合、試験化合物は、アルツハイマー病の予防または治療に潜在的に有用な薬物であると認定される。そうではなく、割合がベースライン値よりも高い場合は、試験化合物はアルツハイマー病の進行を悪化または速める薬物であると認定される。
上記に代えて、これらの発明は、動物からの体液中の単量体型Aβの量を測定すること、その体液中の単量体型およびオリゴマー型Aβの合計量を測定すること、その体液中のオリゴマー型Aβの量を決定すること、および、オリゴマー型Aβの量を適当なベースライン値と比較することを含む。その量がベースライン値よりも低い場合、試験化合物は、アルツハイマー病の予防または治療に潜在的に有用な薬物であると認定される。そうではなく、その量がベースライン値よりも高い場合は、試験化合物はアルツハイマー病の進行を悪化または速める薬物であると認定される。このような方法は、オリゴマー型Aβの量を直接測定することによっても行うことができる。
XII.変更例
アルツハイマー病およびAβについての上述と同じ原理および方略は、他のアミロイド生成性疾患およびその成分ペプチドについて、準用することが可能である。換言すると、体液中のオリゴマー型および単量体型アミロイド生成性ペプチドに対する単量体型アミロイド生成性ペプチドの比(上述の他の関連パラメータ)が、オリゴマー型および単量体型アミロイド生成性ペプチドに対する単量体型アミロイド生成性ペプチドの割合が比較的低い対象者の診断、予後および監視を提供するために使用されて、疾患が存在すること、疾患に対する感受性があること、または、対象者の状態が悪化していることの目安を提供する。アミロイド生成性疾患およびその成分ペプチドのいくつかの例は、2型糖尿病、IAPP(アミリン);パーキンソン病および他のレビー小体病、アルファ−シヌクレイン;感染性海綿状脳症(たとえば、牛海綿状脳症)、PrPSc;ハンチントン病、ハンチントン;甲状腺髄様癌、カルシトニン(ACal);不整脈および孤立性心房アミロイド症、心房性ナトリウム利尿因子(AANF);アテローム性動脈硬化、アポリポタンパクAI(AApoA1);反応性アミロイド症、家族性地中海熱、じんま疹および難聴を伴う家族性アミロイド腎症、ならびに、リウマチ性関節炎、血清アミロイドA(AA);大動脈中膜アミロイド、メディン(AMed);プロラクチノーマ、プロラクチン(APro);家族性アミロイド多発ニューロパシー、トランスサイレチン(ATTR);遺伝性非神経病全身性アミロイド症、リゾチーム(ALys);透析関連アミロイド症、ベータ2マイクログロブリン(Aβ2M);フィンランドアミロイド症、ゲルゾリン(AGel);格子状角膜変性症、カラトエピセリン(keratoepithelin)(Aker);脳アミロイド血管症(アイスランド型)、シスタチン(ACys);全身性ALアミロイド症または多発性骨髄腫、免疫グロブリン軽鎖AL;孤発性封入体筋炎、S−IBM;いくつかの免疫細胞異混和症に関連する重鎖アミロイド症である。アミロイド生成性疾患およびそれらのペプチドの他の例は、米国特許第6,936,246号の表1に提供されている。
理解の明瞭性を目的として本発明を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲の範囲内で一定の変更を行ってよい。本明細書で引用するすべての出版物および特許文献は、そうであると個々に示されているのと同程度に、すべての目的のために、参照によってその全体が取り込まれる。そうでないことが文脈から明らかでない限り、あらゆる工程、要素、または実施形態は、他と組み合わせて使用することが可能である。

Claims (89)

  1. アルツハイマー病またはそれに対する感受性の診断、予後または監視における支援の方法であって、
    a.対象者からの体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;
    b.前記対象者からの体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;
    c.前記単量体型Aβの量と前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量を比較する工程;ならびに
    d.前記対象者におけるアルツハイマー病またはそれに対する感受性の前記診断、予後または監視において前記比較を使用する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 工程(c)は、単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの比を決定し、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合がより低いことは、前記疾患の罹患に対する感受性がより大きいこと、前記疾患の存在の可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 工程(c)は、単量体型Aβとオリゴマー型Aβとの比を決定し、オリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合がより低いことは、前記疾患の罹患に対する感受性がより大きいこと、前記疾患の存在の可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 工程(c)は、オリゴマー型Aβの量を決定し、オリゴマー型Aβの量がより多いことは、前記疾患の罹患に対する感受性がより大きいこと、前記疾患の存在の可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安を提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 工程(a)および(b)は、Aβx−37,Aβx−38,Aβx−39,Aβx−40,Aβx−41,およびAβx−42の少なくとも1つを測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(a)および(b)は、少なくともAβx−40を測定することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 工程(a)および(b)は、少なくともAβx−42を測定することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. 工程(a)および(b)は、少なくともAβx−40およびAβx−42を測定することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  9. 単量体型Aβの量は、単量体型Aβにおいては存在するがオリゴマー型Aβにおいては存在しないか立体的に阻害される、1つ以上のC末端エピトープに結合する1つ以上の抗体を用いて測定されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,またはAβ42に対する1つ以上の末端特異的抗体であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ40に対して末端特異的な抗体、随意的に抗体2G3を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  12. 前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ42に対して末端特異的な抗体、随意的に抗体21F12を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  13. 前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ40に対して末端特異的な抗体およびAβ42に対して末端特異的な抗体を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  14. 前記単量体型Aβは、前記1つ以上のC末端抗体ならびにN末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する他の抗体を含む、免疫親和性サンドイッチアッセイによって測定されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記他の抗体は、N末端エピトープに結合し、随意的に前記抗体は3D6であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記他の抗体は、中央エピトープに結合し、随意的に前記抗体は266であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  17. 前記1つ以上のC末端抗体はレポーター抗体であり、前記他の抗体は捕捉抗体であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  18. 前記1つ以上のC末端抗体は捕捉抗体であり、前記他の抗体はレポーター抗体であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  19. 前記1つ以上のレポーター抗体はルテニウムで標識され、前記捕捉抗体はビオチンで標識されることを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
  20. 工程(b)における単量体型およびオリゴマー型Aβの量の測定は、オリゴマー型Aβを単量体型Aβに変換する脱会合試薬で前記試料を処理すること、および、前記脱会合試薬で処理した試料中の単量体型Aβの量を測定することを含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記脱会合試薬は、塩酸グアニジン、グアニジンイソチオシアネート、尿素、チオ尿素、過塩素酸リチウム、および/またはヨウ化カリウムを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 前記脱会合試薬は、非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  23. 前記脱会合試薬は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリフェノール、および/またはヘキサフルオロイソプロパノールを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  24. 前記脱会合試薬で処理された試料中の単量体型Aβの量は、工程(a)において単量体型Aβの量の測定に用いられるものと同じアッセイによって測定されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  25. 工程(a)および(b)は、定量的質量分析によって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  26. 工程(a)および(b)は、キャピラリ電気泳動またはゲル電気泳動によって、および続いての定量的ウエスタンブロッティングによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  27. 前記体液試料はCSF試料であることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記体液試料は血液試料であることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記血液試料は血漿試料であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 工程(a)および(b)は、同時に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  31. 工程(a)の前記試料および工程(b)の前記第2の試料は、単一試料からの別個のアリコートであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  32. 前記対象者は認知障害を有しておらず、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定することを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記対象者は軽度の認知障害を有しており、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定することを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記対象者は認知障害を有しており、工程(d)は、工程(c)の前記比較と前記対象者の状態の他の症状および/または兆候との組み合わせを用いてアルツハイマー病の診断を提供することを含むことを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記対象者は、当該方法を実施する前に、アルツハイマー病を有すると診断されており、工程(d)は、前記疾患の段階の目安を提供することを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記対象者は、アルツハイマー病に対する治療または予防を受けつつあり、工程(d)は、治療に対する前記対象者の反応の目安を提供することを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  37. 当該方法は周期的に実施され、工程(c)の前記比較における経時的な変化は、治療に対する反応の目安を提供することを特徴とする請求項36に記載の方法。
  38. 前記対象者は、Aβに対する免疫療法で治療されていることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  39. 前記対象者は、バピニューズマブで治療されていることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  40. 工程(a)および(b)を行う前に、前記試料をバピニューズマブに対する抗イディオタイプ抗体、随意的にJH11.22G2で処理することをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
  41. 前記試料中のタウまたP−タウの量を決定することをさらに含み、対照値に対してタウまたはP−タウが高いことは、アルツハイマー病の罹患に対する感受性があること、アルツハイマー病が存在すること、または前記対象者の状態が悪化しつつあることのさらなる目安を提供することを特徴とする請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記対象者は、アルツハイマー病の治療または予防のための薬物を試験する臨床試験への参加の候補者であり、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの前記割合が閾値よりも低い場合、前記対象者は前記臨床試験に含まれ、前記対象者が前記閾値よりも高い場合、前記対象者は前記臨床試験から除外されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  43. 前記対象者または前記対象者の介護担当者に、前記診断、予後または監視を知らせることをさらに含むことを特徴とする請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 当該方法の少なくとも工程(c)は、コンピュータにおいて実行されることを特徴とする請求項1〜43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記コンピュータは、単量体型Aβの量、ならびに単量体型およびオリゴマー型Aβの量に関する信号を受け、前記信号を定量的な量に変換し、前記定量的な量を比較し、前記量、前記量の比較、前記対象者の状態、または、前記対象者の推奨される治療に関する出力を提供することを特徴とする請求項44に記載の方法。
  46. アルツハイマー病に対する予防または治療をもたらす薬物を、集団におけるどの対象者に投与するかを決定する方法であって、前記集団における各対象者について、
    a.体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;
    b.前記体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;ならびに
    c.前記単量体型Aβの量を前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程
    を含み、
    前記集団における対象者は、前記比較に基づいて、アルツハイマー病を治療または予防するための薬物を、投与されるまたは投与されないことを特徴とする方法。
  47. 前記比較は、単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの比を決定し、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が閾値よりも低い対象者は、前記薬物を投与されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
  48. 請求項1〜44のいずれか1項に従って実施されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
  49. 集団における対象者に、どの治療計画を実施するかを決定する方法であって、前記集団における各対象者について、
    a.体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;
    b.前記体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;ならびに
    c.前記単量体型Aβの量を前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程
    を含み、
    前記対象者の第1の部分集団は第1の治療計画を施され、前記対象者の第2の部分集団は第2の治療計画を施され、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比は、前記第1の部分集団の対象者と前記第2の部分集団の対象者とで、有意に相違することを特徴とする方法。
  50. 前記第1の治療計画はアルツハイマー病の予防または治療のための薬物を含み、前記第2の治療計画は前記薬物を含まず、前記第1の部分集団の前記対象者は、前記第2の部分集団の前記対象者よりも、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比が低いことを特徴とする請求項49に記載の方法。
  51. 単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合は、前記第1の部分集団の対象者において、閾値よりも低く、前記第2の部分集団の対象者において、閾値よりも低いことを特徴とする請求項49または50に記載の方法。
  52. 請求項1〜44のいずれか1項に従って実施されることを特徴とする請求項49〜51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 集団における対象者を異なる態様で処理する方法であって、前記対象者の第1の部分集団に第1の治療計画を施すこと、および、前記対象者の第2の部分集団に第2の治療計画を施すことを含み、前記第1の部分集団における対象者および前記第2の部分集団における対象者は、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの平均比が有意に異なることを特徴とする方法。
  54. 前記第1の部分集団の対象者は、アルツハイマー病の予防または治療のための薬物で処理され、前記第2の部分集団の対象者は、前記薬物で処理されず、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの比は、前記第1の部分集団の対象者において前記第2の部分集団の対象者よりも有意に低いことを特徴とする請求項53に記載の方法。
  55. 単量体型およびオリゴマー型Aβの量に対する単量体型Aβの量は、請求項1〜44のいずれか1項に従って測定および比較されることを特徴とする請求項53または54に記載の方法。
  56. 集団におけるどの対象者を臨床試験に登録するかを決定する方法において、前記集団の各対象者について、
    a.体液の試料中の単量体型Aβの量を測定する工程;
    b.前記体液の第2の試料中の単量体型およびオリゴマー型Aβの量を測定する工程;ならびに
    c.前記単量体型Aβの量を前記単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程
    を含み、
    前記集団における対象者は、前記比較に基づいて、前記臨床試験に登録されるまたは登録されないことを特徴とする方法。
  57. 前記比較は、単量体型Aβと単量体型およびオリゴマー型Aβとの比を決定し、単量体型およびオリゴマー型Aβに対する単量体型Aβの割合が閾値よりも低い対象者は、前記臨床試験に登録されることを特徴とする請求項56に記載の方法。
  58. Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,またはAβ42に対して末端特異的な少なくとも1つのC末端抗体;
    AβのN末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する抗体;ならびに
    オリゴマー型Aβを単量体型Aβに変換する脱会合剤
    を含むことを特徴とする診断キット。
  59. 前記C末端抗体は、Aβ40またはAβ42に対して末端特異的であることを特徴とする請求項58に記載の診断キット。
  60. Aβ40に対して末端特異的なC末端抗体およびAβ42に対して末端特異的なC末端抗体を含むことを特徴とする請求項58に記載の診断キット。
  61. アルツハイマー病に対する活性について薬剤をスクリーニングする方法であって、
    アルツハイマー病の遺伝子導入げっ歯類モデルを前記薬剤に接触させる工程;
    前記薬剤に接触させた前記遺伝子導入げっ歯類の体液中の単量体型Aβの量を単量体型およびオリゴマー型Aβの量と比較する工程;ならびに
    前記比較を用いて、前記薬剤がアルツハイマー病を治療するのに有用な活性を有するかを決定すること
    を含むことを特徴とする方法。
  62. Aβを分析する方法であって、
    a.対象者からの体液の試料中のAβの量を測定する工程であって、前記試料は脱会合剤で処理されない工程;
    b.前記対象者からの体液の試料中のAβの量を測定する工程であって、前記試料は脱会合剤で処理される工程;ならびに
    c.工程(a)および(b)で測定した量を比較する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  63. 工程(a)および(b)における測定は、Aβに対して末端特異的なC末端抗体を用いて行われることを特徴とする請求項62に記載の方法。
  64. 前記比較は、工程(b)における量に対する工程(a)における量の比、または、工程(a)および(b)における量の差を決定することを特徴とする請求項62に記載の方法。
  65. d.前記対象者におけるアルツハイマー病もしくはこれに対する感受性の診断、予後または監視において、前記比または差を使用する工程
    をさらに含み、
    工程(b)における量に対する工程(a)における量の割合がより低いこと、または、工程(b)における量と工程(a)における量の差がより大きいことは、前記疾患を罹患することに対する感受性がより高いこと、前記疾患の存在する可能性がより大きいこと、または、前記対象者の状態が悪化しつつあることの目安となることを特徴とする請求項62に記載の方法。
  66. 工程(a)および(b)は、Aβx−37,Aβx−38,Aβx−39,Aβx−40,Aβx−41,およびAβx−42の少なくとも1つを測定することを特徴とする請求項62〜65のいずれか1項に記載の方法。
  67. 工程(a)および(b)は、少なくともAβx−40を測定することを特徴とする請求項62〜65のいずれか1項に記載の方法。
  68. 工程(a)および(b)は、少なくともAβx−42を測定することを特徴とする請求項62〜65のいずれか1項に記載の方法。
  69. 工程(a)および(b)は、少なくともAβx−40およびAβx−42を測定することを特徴とする請求項62〜65のいずれか1項に記載の方法。
  70. 前記Aβの量は、Aβ37,Aβ38,Aβ39,Aβ40,Aβ41,またはAβ42に対して末端特異的な1つ以上のC末端抗体を用いて測定されることを特徴とする請求項62〜65のいずれか1項に記載の方法。
  71. 前記1つ以上のC末端抗体は、Aβ40に対して末端特異的な抗体およびAβ42に対して末端特異的な抗体を含むことを特徴とする請求項70に記載の方法。
  72. Aβは、前記1つ以上のC末端抗体ならびにN末端エピトープおよび/または中央エピトープに結合する他の抗体を含む、免疫親和性サンドイッチアッセイによって測定されることを特徴とする請求項70または71に記載の方法。
  73. 前記脱会合試薬は、塩酸グアニジン、グアニジンイソチオシアネート、尿素、チオ尿素、過塩素酸リチウム、および/またはヨウ化カリウム、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリフェノール、および/またはヘキサフルオロイソプロパノールを含むことを特徴とする請求項62〜72のいずれか1項に記載の方法。
  74. 工程(a)および(b)は同じアッセイを用いて前記Aβの量を測定することを特徴とする請求項62〜73のいずれか1項に記載の方法。
  75. 前記体液試料はCSF試料または血液試料であることを特徴とする請求項62〜74のいずれか1項に記載の方法。
  76. 前記対象者は認知障害を有しておらず、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定することを特徴とする請求項62〜75のいずれか1項に記載の方法。
  77. 前記対象者は軽度の認知障害を有しており、工程(d)は、アルツハイマー病の罹患に対する前記対象者の感受性を査定することを特徴とする請求項65〜75のいずれか1項に記載の方法。
  78. 前記対象者は認知障害を有しており、工程(d)は、工程(c)の前記比較と前記対象者の状態の他の症状および/または兆候との組み合わせを用いることを含み、アルツハイマー病の診断を提供することを特徴とする請求項65〜75のいずれか1項に記載の方法。
  79. 前記対象者は、当該方法を実施する前に、アルツハイマー病を有すると診断されており、工程(d)は、前記疾患の段階の目安を提供することを特徴とする請求項65〜75のいずれか1項に記載の方法。
  80. 前記対象者は、アルツハイマー病に対する治療または予防を受けつつあり、工程(d)は、治療に対する前記対象者の反応の目安を提供することを特徴とする請求項65〜75のいずれか1項に記載の方法。
  81. 当該方法は周期的に実施され、工程(c)の比較における経時的な変化は、治療に対する反応の目安を提供することを特徴とする請求項80に記載の方法。
  82. 前記対象者は、Aβに対する免疫療法で治療されていることを特徴とする請求項80または81に記載の方法。
  83. 前記対象者は、バピニューズマブで治療されていることを特徴とする請求項82に記載の方法。
  84. 工程(a)および(b)を行う前に、前記試料をバピニューズマブに対する抗イディオタイプ抗体、随意的にJH11.22G2で処理することをさらに含むことを特徴とする請求項83に記載の方法。
  85. 前記試料中のタウまたP−タウの量を決定することをさらに含み、対照値に対してタウまたはP−タウが高いことは、アルツハイマー病の罹患に対する感受性があること、アルツハイマー病が存在すること、または前記対象者の状態が悪化しつつあることのさらなる目安を提供することを特徴とする請求項62〜84のいずれか1項に記載の方法。
  86. 前記対象者または前記対象者の介護担当者に、前記診断、予後または監視を知らせることをさらに含むことを特徴とする請求項62〜85のいずれか1項に記載の方法。
  87. 集団における対象者に実施され、前記対象者の第1の部分集団に第1の治療計画を施し、前記対象者の第2の部分集団に第2の治療計画を施し、工程(b)において測定されるAβの量に対する工程(a)において測定されるAβの量の比は、前記第1の部分集団の対象者において前記第2の部分集団の対象者よりも有意に低いことを特徴とする請求項62に記載の方法。
  88. 前記第1の治療計画はアルツハイマー病の予防または治療のための薬物を含み、前記第2の治療計画は前記薬物を含まないことを特徴とする請求項87に記載の方法。
  89. 工程(b)において測定されるAβの量に対する工程(a)において測定されるAβの量の比は、前記第1の部分集団の対象者において閾値よりも低く、前記第2の部分集団の対象者において前記閾値よりも高いことを特徴とする請求項87または88に記載の方法。
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