JP2015232098A - 固形筆記体及びそれを用いた固形筆記体セット - Google Patents

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Abstract

【課題】筆跡の変色性が良好で、変色後の経時安定性に優れた固形筆記体の提供。【解決手段】可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、賦形材と、フィラーとを含み、前記賦形材が重量平均分子量が2,000〜50,000である側鎖結晶性ポリオレフィンを含んでなることを特徴とする固形筆記体。【選択図】図1

Description

本発明は、固形筆記体及びそれを用いた固形筆記体セットに関するものである。さらに詳しくは、可逆熱変色性を有する筆跡を形成することが可能な固形筆記体及び固形筆記体と摩擦部材とを具備してなる固形筆記体セットに関するものである。
従来から、常温域など一定の温度域において、変色前後の状態を互変的に記憶保持できる可逆熱変色性組成物を用いた固形筆記体が提案されている。
前記固形筆記体は、賦形材であるワックス中に添加する着色剤として可逆熱変色性組成物単独又はそのマイクロカプセル封入物を用いることで、温度変化により変色する筆跡を形成するものである。特に、加熱消色タイプの可逆熱変色性組成物を封入したマイクロカプセル顔料を用いた場合、摩擦熱によって筆跡を容易に消去できるため、誤記などの修正などが可能な利便性の高い筆記体となり、例えば、ノートや手帳への筆記や、描画等に利用可能である。しかしながら、前記固形筆記体では、機械的な強度と筆跡の濃度がトレードオフの関係にあり、高い強度と濃い筆勢濃度とを両立することが困難であった。
可逆熱変色組成物をマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料を賦形材中に均一に分散した固形筆記体とすることについては、すでにいくつかの検討例があり、例えば引用文献1〜6に記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、これらの文献に記載されたいずれの固形筆記体も改良の余地があった。
実開平7−6248号公報 特開2008−291048号公報 特開2009−166310号公報 国際特許公開第2013/061814号明細書 特開2014−051536号公報 特開2014−051537号公報
本発明は、書き味や発色が良好であり、かつ強度や耐衝撃性に優れた前固形筆記体を提供することを目的とするものである。
本発明による固形筆記体は、
(1)(イ)電子供与性呈色性有機化合物からなる成分と、
(ロ)電子受容性化合物からなる成分と、
(ハ)前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体と、
を含んでなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と
(2)賦形材と
(3)フィラーと
を含んでなる固形筆記体であって、前記賦形材が重量平均分子量が2,000〜50,000である側鎖結晶性ポリオレフィンを含んでなることを特徴とするものである。
また。本発明による固形筆記体セットは、前記の固形筆記体と摩擦部材とを具備してなることを特徴とするものである。
本発明によれば、筆跡の変色や消色が良好で、変色や消色させた筆跡の経時安定性も良好な固形筆記体が提供される。
本発明に用いられる加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
本発明の実施形態について詳細に説明すると以下の通りである。
<固形筆記体>
[固形筆記体のヒステリシス特性]
本発明による固形筆記体は、
(1)可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
(2)賦形材と、
(3)フィラーと
を含んでなる固形筆記体であって、前記賦形材が特定のものであることを特徴とするものである。
本発明による固形筆記体は、第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈することができる。本発明で言う、第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈するとは、有色(1)と有色(2)の二つの発色した状態、発色状態と消色状態または消色状態と発色状態を互変的に呈することを意味する。即ち、第1の発色状態から温度が上昇して第2の発色状態へ変化する場合、有色(1)から有色(2)への変化、発色状態から消色状態への変化、即ち、加熱消色型の変化を含んでいる。
本発明による固形筆記体で筆記した際の筆跡の変色挙動について、加熱消色型を例に、図1と共に説明する。図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度T(以下、完全消色温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度T(以下、消色開始温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度T(以下、発色開始温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度T(以下、完全発色温度ということがある)における濃度を示す点である。変色温度域は前記TとT間の温度域であり、発色状態と消色状態の両状態が共存でき、TとTの間の温度域において完全発色状態と完全消色状態を選択的に呈することができる温度域となる。また、線分EFの長さが変色の割合を示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅( 以下、ΔHと言うことがある)である。本発明において、このΔH値を有することで、一定の温度域で第1の発色状態と第2の発色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示すこととなる。
変色温度領域は前記TとT間の温度域であり、TとTの間の温度域が実質変色温度域、即ち、着色状態或いは消色状態のいずれかの状態を保持できる温度域である。
具体的には、消色状態にある可逆熱変色性組成物を、発色開始温度以下の温度まで冷却することにより発色状態への変化を開始させることができ、完全発色温度以下の温度に冷却することにより完全な発色状態とすることができ、可逆熱変色性組成物の温度を消色開始温度まで上げない限り、その状態を維持することができる。
また、発色状態にある可逆熱変色性組成物に摩擦などにより生じた熱を加え、消色開始温度以上の温度まで加熱することにより消色状態への変化を開始させることができ、完全消色温度以下の温度まで加熱することにより完全な消色状態とすることができ、可逆熱変色性組成物の温度を発色開始温度まで上げない限り、その状態を維持することができる。
更に、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態のみ存在させると共に、前記可逆熱変色性組成物による筆跡を摩擦により簡易に変色させるためには、好ましくは完全消色温度(T)が45〜95℃であることが好ましく、且つ、発色開始温度(T)が−50℃〜10℃であることが好ましい。
ここで、完全消色温度(T)が45〜95℃、且つ、発色開始温度(T)が−50〜10℃であることにより、変色状態が常温域で保持でき、且つ、筆跡の摩擦による変色性を容易となる理由は以下の通りである。発色状態から消色開始温度(T)を経て完全消色温度(T)に達しない状態で加温を止めると、再び第一の状態に復する現象を生じること、及び、消色状態から発色開始温度(T)を経て完全発色温度(T)に達しない状態で冷却を中止しても発色を生じた状態が維持されることから、完全消色温度(T)が常温域を越える45℃以上であれば、発色状態は通常の使用状態において維持されることになり、発色開始温度(T)が常温域を下回る−50〜10℃の温度であれば消色状態は通常の使用において維持される。
更に、摩擦により筆跡を消去する場合、完全消色温度(T)が95℃以下であれば、筆記面に形成された筆跡上を摩擦部材による数回の摩擦による摩擦熱で十分に変色できる。完全消色温度(T)が95℃を越える温度の場合、摩擦部材による摩擦で得られる摩擦熱が完全消色温度に達し難くなるため、容易に変色し難くなり、摩擦回数が増加したり、或いは、荷重をかけ過ぎて摩擦する傾向にあるため、筆記面を傷めてしまう虞がある。
よって、前記温度設定は筆記面に変色状態の筆跡を選択して択一的に視認させる熱消去性筆記具には重要な要件であり、利便性と実用性を満足させることができる。前述の完全消色温度(T)の温度設定において、発色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより高い温度であることが好ましく、しかも、摩擦による摩擦熱が完全消色温度(T)を越えるようにするためには低い温度であることが好ましい。よって、完全消色温度(T)は、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃である。
更に、前述の発色開始温度(T)の温度設定において、消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、−50〜5℃が好適であり、−50〜0℃がより好適である。
本発明において、筆跡の変色を実現するための可逆熱変色性組成物は上記の例に限定されず、任意のものを用いることができる。このような可逆熱変色性組成物は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を適用できる(図1参照)。このような可逆熱変色性組成物は、例えば特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載されている。
また、大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での第一色相を呈する状態(発色状態)、又は、高温域での第二色相を呈する状態(消色状態)を特定温度域で保持できる色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を用いることもできる。このような可逆熱変色性組成物は、例えば特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報等に記載されている。
[マイクロカプセル顔料]
本発明においてマイクロカプセル顔料は、前記したように変色特性を実現するために可逆熱変色性組成物を内包している。この可逆熱変色性組成物を構成する各成分について具体的に化合物を例示すると以下の通りである。
本発明において(イ)成分は、顕色剤である成分(ロ)に電子を供与し、成分(イ)が有するラクトン環等の環状構造が開環し、成分(ロ)と共鳴構造をとることにより発色する電子供与性呈色性有機化合物からなるものである。このような電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができる。
本発明の成分(ロ)は、成分(イ)から電子を受け取り、成分(イ)が有するラクトン環等の環状構造を開裂させ、共鳴構造をとることができる、顕色剤として機能する電子受容性化合物からなる。
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物があり、これらの中でも活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明すると以下の通りである。前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類を用いることができる。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物が用いられる。このような化合物としては、種々のものが提案されており、それらから任意に選択して用いることができるが、具体的には下記のようなものが挙げられる。
まず、前記(ハ)成分として、特開2006−137886号公報に記載されている下記一般式(1)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2015232098
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、q1は0〜2の整数を示し、Xのいずれか一方は−(CHOCOR’又は−(CHCOOR’であり、他方は水素原子であり、kは0〜2の整数を示し、R’は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Yはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又はハロゲンを示し、p1はそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、q1が0の場合がより好適である。
なお、一般式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(1a)で示される化合物が用いられる。
Figure 2015232098
(式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。)
さらに、前記(ハ)成分として、特開2006−188660号公報に記載されている下記一般式(2)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2015232098
〔式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基を示し、p2はそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、Xはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはハロゲンを示す。〕
さらに、前記(ハ)成分として下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2015232098
(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示し、p3はそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、q3は1〜20の整数を示す。)
さらに、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2015232098
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、p4はそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。)
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2015232098
(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示し、p5はそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、q5は1〜20の整数を示す。)
更に、電子受容性化合物として炭素数3〜18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11−129623号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003−253149号公報)等を用いた加熱発色型の可逆熱変色性組成物を適用することもできる。
前記(イ)成分、(ロ)成分、および(ハ)成分の構成成分割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量基準である)。又、各成分は各々二種以上の混合であってもよい。
本発明において、前記三成分からなる可逆熱変色性組成物はマイクロカプセルに内包して使用される。このため、また、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができる。
本発明の固形筆記体に用いる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料には、その機能に影響を及ぼさない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤、防腐・防黴剤などの各種添加剤を添加することができる。
前記マイクロカプセルは、特に限定されないが平均粒子径が0.1〜50μmであることが好ましい。この範囲より小さいと発色濃度が低くなる傾向が見られ、この範囲より大きいと固形筆記体に用いる際に、分散安定性や加工性が劣る傾向が見られる。より好ましくは0.3〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmであり、この範囲にあると、発色状態も良好で分散安定性や加工性がさらに良くなる。
本発明でいうマイクロカプセル顔料および吸熱性マイクロカプセルの平均粒子径とは、粒子の外径を測定したときの体積基準で表わしたD50の値で表されるが、ここでは、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製;LA−300)を用いて測定してその数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出した値を用いる。
本発明に用いるマイクロカプセル顔料は、内包物と壁膜の質量比が、内包物:壁膜=1:1〜7:1であることが好ましい。この範囲より内包物の比率が大きくなると、壁膜の厚みが薄くなり、圧力や熱に対して弱くなりマイクロカプセルが破壊される傾向があり、この範囲より小さいと、発色状態での濃度や視認性が低下する傾向がある。より好ましくは、内包物:壁膜=1:1〜6:1であり、この範囲にあると、発色状態での濃度や視認性が高く、マイクロカプセルが破壊されることがない。
前記マイクロカプセル化は、イソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセルの形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
[賦形材]
本発明による固形筆記体は賦形材として側鎖結晶性ポリオレフィンを含んでなる。通常の直鎖状ポリオレフィンは、その主鎖が折りたたまれて結晶化するために、融解が広い温度範囲で起こる傾向がある。これに対して側鎖結晶性ポリオレフィンとは、結晶化が主としてポリオレフィン主鎖ではなく側鎖で起こり、その結果、融点が低く、また融解が狭い温度範囲で起こるという特徴を有している。このような側鎖結晶性ポリオレフィンは、側鎖に長いアルキル基を有することが特徴である。具体的には、C12〜C28の長鎖アルキル基を有しているものが好ましい。また、側鎖の長鎖アルキル基は、直鎖型であっても分岐型でも特に限定されないが、結晶性の観点から直鎖型がより好ましい。なお、この側鎖であるアルキル基は置換基を有してもよいが、それによって結晶性が下がる傾向がある。したがって、結晶性を調整するために、側鎖結晶性ポリオレフィンの側鎖を、例えばスチレンなどによって変性することもできる。また、長鎖アルキル基は、水素結合を形成する官能基を持っていると、長鎖アルキル基が水素結合をおこし、アルキル基同士の凝集が起こり、結晶性が向上するため好ましいものの一例としてあげることが出来る。
また、側鎖結晶性ポリオレフィンのひとつとして、高度に分岐構造を有するポリオレフィン(以下、簡単のために高分岐ポリオレフィンという)を挙げることができる。すなわち高分岐ポリオレフィンは、単一の主鎖に対して、側鎖が結合した構造とは少し異なった構造を有するが、結晶化の際に主鎖が折りたたまれることが少ないため、融点が低く、また融解が狭い温度範囲で起こる。
なお、固形筆記体の機械的強度や変色特性、製造時の取り扱い性の観点から、側鎖結晶性ポリオレフィンの重量平均分子量Mwが2,000〜50,000であるものが好ましく、10,000〜30,000であることが好ましい。また、側鎖結晶性ポリオレフィンの数平均分子量Mnが1,000〜10,000であるものが好ましい。ここで、重量平均分子量、および数平均分子量はポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたものである。
また、好ましい側鎖結晶性ポリオレフィンとして、融点(m.p.)が20〜80℃であるものが挙げられる。より好ましくは、25℃〜60℃であり、更に好ましくは、30℃〜55℃である。融点がこの範囲より低いと、固形筆記体の強度が小さくなる傾向があり、この範囲より大きいと発色性が悪くなる傾向がある。融点がこのような範囲にあると、実用環境下での安定性を損なわずに筆記の際に摩擦熱によって固形筆記体が柔軟になり、筆記面への転写量が増えるために筆跡濃度を改良することができる。
このような側鎖結晶性ポリオレフィンとしては、HSクリスタ4100、HSクリスタ6100(いずれも商品名、豊国製油株式会社製)、エルクリスタ4100、エルクリスタ6100(いずれも商品名、出光興産株式会社製)などが挙げられ、高分岐ポリオレフィンとしては、VYBAR103、VYBAR260、VYBAR343、VYBAR852(いずれも商品名、ベイカーヒューズ社製)などが挙げられる。
本発明において賦形材として、前記側鎖結晶性ポリオレフィンを用いると、固形筆記体の状態で保存、あるいは筆記および切削する際には、筆記先端以外は、常温で保持されているため、軟化現象は伴わず、その結晶性が固形筆記体の強度を向上することに働く。また、前記の通り、前記側鎖結晶性ポリオレフィンの融点は、一般的な賦形材として用いられるワックスと比較して低いことから、筆記時に固形筆記体が被筆記面と接する部分においては、軟化あるいは融解するので筆記時の転写量が増加する。この結果、本発明による固形筆記体は、従来の固形筆記体に比較して転写量を増加させることができる。また、軟化あるいは融解を伴うことにより、被筆記面に対する定着がより均一になる傾向がある。更に、筆記時にマイクロカプセル顔料を消色することが無いため、自己消色を防止する効果も得られる。すなわち、筆記する際の摩擦熱は、マイクロカプセル顔料の消色温度以上に達することがあり、従来の固形筆記体では、その摩擦熱の影響により、筆跡の一部が消色することがあった。しかし、本発明による固形筆記体では、賦形材がその熱を吸収するため、無用な消色をおこすことが少ない。その結果、本発明による固形筆記体は、従来の固形筆記体に対して、転写量が増加すること、被筆記面に対してより均一に定着すること、無用な消色が抑制されることによって、発色性能が向上すると考えられる。
また、賦形材は前記側鎖結晶性ポリオレフィンの中から2種類以上を選択して組み合わせて用いてもよい。また、本発明においては、賦形材として、前記側鎖結晶性ポリオレフィンに、前記側鎖結晶性ポリオレフィンに包含されない賦形材を組み合わせて用いることもできる。このような場合、前記側鎖結晶性ポリオレフィンに包含されない賦形材として、従来の固形筆記体に用いられている賦形材を用いることが出来る。例えばワックス、ゲル化剤、粘土などを用いることが出来る。ワックスとしては、従来公知のものであればいずれを用いてもよく、具体的にはカルナバワックス、木ろう、蜜ろう、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、スチレン変性ポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。ゲル化剤としては従来公知のものを用いることができ、例えば12ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール類、トリベンジリデンソルビトール類、アミノ酸系油、高級脂肪酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイトなどが挙げられる。賦形材としては、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステルまたはデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、αオレフィン重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のワックスなどが挙げられる。そして、これらのうち、組み合わせて用いられる側鎖結晶性ポリオレフィンよりも高い融点を有する賦形材を用いることが好ましい。
特に、賦形材として前記ポリオレフィンワックスのうち、軟化点が100℃〜130℃の範囲にあり、かつ針入度が10以下であるものを用いると、固形筆記体の筆記感が改善される傾向にあるので好ましく用いられる。針入度が10を越えると、固形筆記体が柔らかすぎて筆記し難くなる傾向が見られ、しかも、擦過消去時に筆跡が紙面上で伸びてしまう(ワックスが薄層化される)ために筆記面の空白部分を汚染したり、他の紙への色移りや汚れを生じることがあるので注意が必要である。
尚、前記ポリオレフィンワックスの軟化点、針入度の測定方法は、JIS K2207に規格化されており、針入度の値は、0.1mmを針入度1と表す。従って、数字が小さいほど硬く、大きいほど柔らかい固形筆記体である。
具体的には、ネオワックスシリーズ(ヤスハラケミカル株式会社製、ポリエチレン)、サンワックスシリーズ(三洋化成工業株式会社製、ポリオレフィン)、ハイワックスシリーズ(三井化学株式会社製、ポリオレフィン)、A−Cポリエチレン(Honeywell社製、ポリエチレン)等が挙げられる。
なお、前記側鎖結晶性ポリオレフィンとそれ以外の賦形材、特に側鎖結晶性ポリオレフィンよりも高い融点を有する賦形材を組み合わせて用いる場合には、前記側鎖結晶性ポリオレフィンと、それ以外の賦形材との配合比が、質量基準で1:9〜9:1であることが好ましく、2:8〜8〜2であることがより好ましい。配合比がこの範囲にあると、筆記時の摩擦熱による固形筆記体成分の軟化または融解の効果が十分に得られるため、筆跡濃度が向上する傾向にある。また、この範囲にあると固形筆記体として必要な曲げ強度値が得られ、筆記や切削性に優れた固形筆記体とすることができる。
[フィラー]
本発明による固形筆記体はフィラーを含んでなる。フィラーは、固形筆記体の強度の向上や書き味を調整する目的で配合される。本発明において用いることができるフィラーとしては、例えばタルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、窒化硼素、チタン酸カリウム、およびガラスフレークなどが挙げられ、特に成形性の点からタルク、炭酸カルシウムがこのましい。
[各成分の配合比]
本発明の固形筆記体に用いるマイクロカプセル顔料の配合割合としては、前記固形筆記体全質量に対し、1〜70質量%が好ましい。この範囲より小さいと発色濃度が低くなる傾向が見られ、この範囲より大きいと固形筆記体の強度が低下する傾向が見られる。好ましくは3〜50質量%、さらに好ましくは5〜40質量%であり、この範囲にあると、固形筆記体の強度と筆跡濃度を両立することができる。本発明によれば、従来の固形筆記体と比較して、固形筆記体の強度を落とすこと無く、発色性を向上することが出来るので、従来の固形筆記体と比較して、マイクロカプセル顔料の配合割合を減らした際にも、従来と同様の発色濃度が得られるなどの効果も得られる。
前記賦形材と、前記フィラーと、前記マイクロカプセルとの配合比は、特に限定されないが、質量基準で、一般にマイクロカプセル1に対して賦形材が0.1〜5、好ましくは0.5〜2であり、フィラーが0.1〜5、好ましくは0.5〜2である。
[その他の成分]
本発明による固形筆記体は、必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、樹脂、フィラー、粘度調整剤、防かび剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線防止剤、光安定剤、香料などが挙げられる。前記樹脂としては、固形筆記体の強度などを向上する目的で配合されるが、天然樹脂、合成樹脂を用いることができる。具体的には、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ピロリドン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アミド系樹脂、塩基性基含有樹脂などが挙げられる。
また、本発明による組成物には、ヒンダードアミン化合物を添加することができる。ヒンダードアミン化合物を添加することにより、筆跡を消去した箇所の残像がいっそう視認され難くなるという特徴がある。このため被筆記面の見栄えを損なうことなく、しかも、再筆記性を満足させることができ、商品性を高めることができるので好ましい。
このようなヒンダードアミン化合物の具体例は以下の通りである。
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとの混合エステル化物、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、
N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、
N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペレジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、
ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ})、
コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、
コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−
(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの1対1の反応生成物、
ジブチルアミン・1,3−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、
デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル(1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシド)とオクタンとの反応生成物、
シクロヘキサンと過酸化N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物等を例示することができる。
なお、前記ヒンダードアミン化合物として、下記一般式(7)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2015232098
(式中、R61は炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R62、R63、R64、R65はそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、p6は1以上の整数を示し、R66はn価の有機残基を示す。)
前記ヒンダードアミン化合物の分子量が1000以下であることにより他の成分との相溶性に富み、ブリードアウトし難くなるため、経時後も明瞭な筆跡を形成することができるので好ましい。
なお、前記ヒンダードアミン化合物の融点は120℃以下であることが好ましい。融点が低いことにより、製造時に過度の熱を加えることなく熱可逆性変色組成物や、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、それを用いた固形筆記体を製造することができるため、組成物の成分などが劣化することを防止できる。
本発明の固形筆記体は、有色から別の有色への変化を実現するために、染料や顔料などの非熱変色性の着色剤を含むこともできる。
なお、本発明による固形筆記体は、単独で筆記体として使用が可能であるが、この筆記体の外側を樹脂などを含む外殻で被覆することもできる。このような外殻は、内部にある固形筆記体が物理的接触によって損傷を受けることを防ぐほか、固形筆記体全体の機械的強度の向上に寄与することもできる。このような外殻は、一般にフィラーや賦形材を含んでなる。このような外殻は筆跡形成に寄与する着色剤を含んでいても含んでいなくてもよいが、一般に固形筆記体の先端は錐状に削られることが多いため、外殻は筆跡には影響を与えないことが多い。このため、外殻に着色剤を添加しないのが一般的である。
<筆記具および筆記具セット>
本発明の固形筆記体は、各種被筆記面に対して、筆記することが可能である。さらに、その筆跡は、指による擦過や加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、簡便に変色可能な手段として摩擦部材が用いられることが好ましい。
前記摩擦部材は、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好ましく用いられる。前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。前記摩擦部材は固形筆記体と別体の任意形状の部材である摩擦部材とを組み合わせて固形筆記体セットを得ることもできるが、固形筆記体または、固形筆記体を外装収容物に収容した固形筆記具際の外装に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れたものとなる。
本発明を諸例により説明すると以下の通りである。
実施例1
<マイクロカプセルの製造>
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン5部、(ロ)として2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、4,4’−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)としてラウリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなるからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、t:−8℃、t:−1℃、t:52℃、t:65℃、黒色から無色、無色から黒色へ可逆的に色変化するヒステリシス特性を示した。
<固形筆記体の製造>
マイクロカプセル顔料 40質量部
タルク 38質量部
側鎖結晶性ポリオレフィン 10質量部
(豊国製油株式会社製 HSクリスタ4100(商品名))
ポリオレフィンワックス 10質量部
(三洋化成工業社製 サンワックス131−P(商品名)軟化点110℃ 針入度3.5))
ポリビニルアルコール 2質量部
上記配合物をニーダーにて混練し、得られた混練物をプレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ60mmに成形して固形筆記体を得た。
実施例2〜8および比較例1〜3
固形筆記体の製造において、各成分の配合量(質量部基準)を表1に示す通りに変更したほかは実施例1と同様にして固形筆記体を得た。
原料および固形筆記体の評価方法
以下の方法により、原料および固形筆記体の物性や、固形筆記体の特性を評価した。
<曲げ強度>
JIS−S6005により測定した。
<発色性>
固形筆記体を用いて中性紙に筆記し、その筆跡濃度を目視により評価した。評価基準は以下の通りとした。
A:筆跡を視認することができ、その濃度は十分高い。
B:筆跡を視認することができ、その濃度は高い。
C:筆跡を視認することはできるが、その濃度は十分でない。
D:筆跡を視認することができない。
<変色特性>
発色性で評価した筆跡を摩擦消去具にて消去し、消去跡を作製した。得られた消去跡を−5℃にて、1時間放置し、1時間後の消去跡を目視により評価した。評価基準は以下の通りとした。
A:消去跡の再発色は見られず、良好な変色性能を維持していた。
B:消去跡の再発色はほとんど無く、良好な変色性能を維持していた。
C:消去跡に一部再発色があり、変色性能に劣化が見られるが、実用上問題の無いレベル。
D:消去跡の再発色が確認され、変色性能が劣っていた。
<自己消色性>
固形筆記体を用いて中性紙に筆記し、筆記時の摩擦熱による影響をその筆跡濃度を目視により評価した。評価基準は以下の通りとした。
A:筆跡が完全に発色しており、非常に濃い筆跡が得られている。
B:筆跡の消色がほとんど無く、濃い筆跡が得られている。
C:筆跡の消色が確認され、濃度が薄い筆跡が得られている。
D:筆跡の消色が顕著であり、筆跡が途切れている。
Figure 2015232098
表中:
側鎖結晶性ポリオレフィンA1: 豊国製油株式会社製 HSクリスタ4100(商品名、Mw:16,000、m.p.:44.4℃)
側鎖結晶性ポリオレフィンA2: 豊国製油株式会社製 HSクリスタ6100(商品名、Mw:28,000、m.p.:60.6℃)
高分岐ポリオレフィンB1: ベイカーヒューズ社製 VYBAR103(商品名、Mn:4,400、m.p.:67.7℃)
高分岐ポリオレフィンB2: ベイカーヒューズ社製 VYBAR260(商品名、Mn:2,600、m.p.:54.7℃)
高分岐ポリオレフィンB3: ベイカーヒューズ社製 VYBAR343(商品名、m.p.:36.0℃)
パラフィンワックスC: 日本精蝋株式会社製 パラフィンワックス115(商品名、Mw:400、m.p.:48.8℃)
ショ糖脂肪酸エステルD: 三菱化学フーズ株式会社製 リョートーシュガーエステルP−170(商品名)
ポリオレフィンワックスE: 三洋化成工業株式会社製 サンワックス131−P(商品名)、軟化点110℃ 針入度3.5))、
完全消色温度
消色開始温度
発色開始温度
完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅

Claims (8)

  1. (1)(イ)電子供与性呈色性有機化合物からなる成分と、
    (ロ)電子受容性化合物からなる成分と、
    (ハ)前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体と、
    を含んでなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と
    (2)賦形材と
    (3)フィラーと
    を含んでなる固形筆記体であって、前記賦形材が重量平均分子量が2,000〜50,000である側鎖結晶性ポリオレフィンを含んでなることを特徴とする固形筆記体。
  2. 前記側鎖結晶性ポリオレフィンの融点が20〜80℃である、請求項1に記載の固形筆記体。
  3. 前記側鎖結晶性ポリオレフィンの重量平均分子量が、10,000〜30,000である、請求項1又は2に記載の固形筆記体。
  4. 前記固形筆記体の全質量を基準とした、前記側鎖結晶性ポリオレフィンの含有量が、1〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形筆記体。
  5. 前記賦形材が、前記側鎖結晶性ポリオレフィンの他に、前記側鎖結晶性ポリオレフィンよりも高い融点を有する賦形材を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固形筆記体。
  6. 前記側鎖結晶性ポリオレフィンと、前記側鎖結晶性ポリオレフィンよりも高い融点を有する賦形材の配合比が質量基準で1:9〜9:1である、請求項5に記載の固形筆記体。
  7. 摩擦部材をさらに具備してなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の固形筆記体。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の固形筆記体と、摩擦部材とを具備してなることを特徴とする固形筆記体セット。
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