JP2017013320A - 描画材セット - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、被描画体に描画された描画物が、屋外などで展示、掲示された際にも退色や意図しない変色をおこすこと無く、耐光性に優れた描画物を得ることが可能な描画材セットを提供すること。
【解決手段】
可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と賦形材を含む熱変色性の描画物が形成可能な固形描画材と、被描画体と描画物に耐候性を付与することが可能な保護フィルムを含む描画材セットとした。
【選択図】 図2
本発明は、被描画体に描画された描画物が、屋外などで展示、掲示された際にも退色や意図しない変色をおこすこと無く、耐光性に優れた描画物を得ることが可能な描画材セットを提供すること。
【解決手段】
可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と賦形材を含む熱変色性の描画物が形成可能な固形描画材と、被描画体と描画物に耐候性を付与することが可能な保護フィルムを含む描画材セットとした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、描画材セットに関する。さらに詳しくは、熱変色性の描画が可能な熱変色性固形描画材と被描画体と耐光性を有する保護フィルムからなる描画材セットに関する。
従来から、常温域など一定の温度域において、変色前後の状態を互変的に記憶保持できる可逆熱変色性組成物を用いた固形描画材が提案されている(例えば特許文献1〜3)。
前記固形描画材は、賦形材であるワックス中に添加する着色剤として可逆熱変色性組成物をのマイクロカプセル封入物(以下、マイクロカプセル顔料と言うことがある)を用いることで、温度変化により変色する描画物を形成するものである。特に、加熱消色タイプの可逆熱変色性組成物を封入するマイクロカプセル顔料を用いた場合、摩擦熱によって描画物を容易に消色できるため、誤記などの修正などが可能な利便性の高い描画材となり、例えば、ノートや手帳への筆記や、描画等に適用可能である。
また、加熱により消色可能なインキを収容したボールペン形態の筆記具と着色可能な像を備える塗り絵とからなる塗り絵セットが提案されている。(例えば特許文献4)前記塗り絵セットは、筆記具で塗り絵の像を塗った際に、はみ出した箇所や間違えた部分を容易に消去できるなど、利便性に優れた塗り絵セットである。また、固形描画材を塗り絵に用いることについても提案されている。(例えば特許文献5)しかしながら、前記塗り絵セットは、用いる着色剤の性質から、描かれた絵の耐光性についても改良の余地があった。
本発明は、被描画体に描画された描画物が、屋内外などで展示、掲示された際にも退色や意図しない変色をおこすこと無く、耐光性に優れた描画物を得ることが可能な描画材セットを提供するものである。
本発明は、描画材セットとして、被描画体と熱変色性の描画物を描画可能な固形描画材と描画物に耐光性を付与できる保護フィルムを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、熱変色性の描画物を描画可能な固形描画材と被描画体と描画物に耐光性を付与できる保護フィルムを組み合わせた描画材セットとしたことにより、描画物に耐光性を持たせることができることから、屋内外などの光が当たる環境においても、描画物が退色や意図しない変色を防ぐことができるなど、描画物の発色性を良好に保つことが可能になるなど優れた効果を奏するものである。
本発明による描画材セットは、熱変色性の描画物を描画可能な固形描画材と被描画体と耐光性を付与できる保護フィルムを含むことが一つの特徴的とするものである。
本発明による描画材セットは、固形描画材を用いるが、熱変色性の描画物を筆記可能な固形描画材(以下、熱変色性固形描画材または単に固形描画材と言うことがある)である。
本発明に用いる固形描画材としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と賦形材を含む構成である。
本発明に用いる固形描画材としては、第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈することができる。本発明で言う、第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈するとは、有色(1)と有色(2)の二つの発色した状態、発色状態と消色状態または消色状態と発色状態を互変的に呈することを意味する。即ち、第1の発色状態から温度が上昇して第2の発色状態へ変化する場合、有色(1)から有色(2)への変化、発色状態から消色状態への変化、即ち、加熱消色型の変化を含んでいる。
本発明に用いる固形描画材で描画した際の描画物の変色挙動について、加熱消色型を例に、図2と共に説明する。図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t2(以下、発色開始温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t1(以下、完全発色温度ということがある)における濃度を示す点である。変色温度域は前記t1とt4間の温度域であり、発色状態と消色状態の両状態が共存でき、t2とt3の間の温度域において完全発色状態と完全消色状態を選択的に呈することができる温度域となる。また、線分EFの長さが変色の割合を示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅( 以下、ΔHと言うことがある)である。本発明において、このΔH値を有することで、一定の温度域で第1の発色状態と第2の発色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示すこととなる。
前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料について以下に説明する。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を適用できる(図1参照)。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔHB=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2〜t3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料も適用できる(図2参照)。
以下に前記可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を図2のグラフによって説明する。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全に消色した状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色し始める温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色し始める温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全に発色した状態に達する温度t1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
ここで、t4とt3の差、或いは、t2とt1の差(Δt)が変色の鋭敏性を示す尺度である。
更に、可逆熱変色性組成物の発消色状態のうち常温域では特定の一方の状態(発色状態)のみ存在させると共に、前記可逆熱変色性組成物による描画物を摩擦により生じる摩擦熱により簡易に変色(消色)させるためには、完全消色温度(t4)が50〜95℃であり、且つ、発色開始温度(t2)が−50〜10℃である。
ここで、発色状態が常温域で保持でき、且つ、描画物の摩擦による変色性を容易とするために何故完全消色温度(t4)が50〜95℃、且つ、発色開始温度(t2)が−50〜10℃であるかを説明すると、発色状態から消色開始温度(t3)を経て完全消色温度(t4)に達しない状態で加温を止めると、再び第一の状態に復する現象を生じること、及び、消色状態から発色開始温度(t2)を経て完全発色温度(t1)に達しない状態で冷却を中止しても発色を生じた状態が維持されることから、完全消色温度(t4)が常温域を越える50℃以上であれば、発色状態は通常の使用状態において維持されることになり、発色開始温度(t2)が常温域を下回る−50〜10℃の温度であれば消色状態は通常の使用において維持される。
更に、摩擦により描画物を消去する場合、完全消色温度(t4)が95℃以下であれば、被描画面に形成された印像上を摩擦部材による数回の摩擦による摩擦熱で十分に変色できる。
完全消色温度(t4)が95℃を越える温度の場合、摩擦部材による摩擦で得られる摩擦熱が完全消色温度に達し難くなるため、容易に変色し難くなり、摩擦回数が増加するおそれがある。
よって、前記温度設定は被描画体に変色状態の描画物を選択して択一的に視認させるためには重要な要件であり、利便性と実用性を満足させることができる。
前述の完全消色温度(t4)の温度設定において、発色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより高い温度であることが好ましく、しかも、摩擦による摩擦熱が完全消色温度(t4)を越えるようにするためには低い温度であることが好ましい。よって、完全消色温度(t4)は、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃である。更に、前述の発色開始温度(t2)の温度設定において、消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、−50〜5℃が好適であり、−50〜0℃がより好適である。本発明においてヒステリシス幅(ΔH)は50℃〜100℃の範囲であり、好ましくは55〜90℃、更に好ましくは60〜80℃である。
本発明による固形描画材に用いるマイクロカプセル顔料は、前記変色温度域よりも高温側に完全消色温度(t4)を有する可逆熱変色性組成物を用いることもできる。
前記可逆熱変色性組成物の発消色状態のうち常温域では特定の一方の状態(発色状態)のみ存在させると共に、前記可逆熱変色性組成物による描画物を加熱消去具等から得られる熱により消色させるためには、完全消色温度(t4)が80℃以上とし、且つ、発色開始温度(t2)が15℃以下である。ここで、発色状態が常温域で保持でき、且つ、消色状態は通常の使用において維持されるために何故完全消色温度(t4)が80℃以上、且つ、発色開始温度(t2)が15℃以下であるかを説明すると、発色状態から消色開始温度(t3)を経て完全消色温度(t4)に達しない状態で加温を止めると、再び第一の状態に復する現象を生じること、及び、消色状態から発色開始温度(t2)を経て完全発色温度(t1)に達しない状態で冷却を中止しても発色を生じた状態が維持されることから、完全消色温度(t4)が常温域を越える80℃以上であれば、発色状態が夏場の車内等の高温環境下で維持され、発色開始温度(t2)が常温域を下回る15℃以下の温度であれば消色状態は通常の使用において維持される。更に、完全消色温度(t4)が90℃以上であれば、発色状態は高温環境下でより維持され、発色開始温度(t2)が10℃以下であれば、消色状態が通常の使用状態でより維持される。よって、前記温度設定は被描画体の描画面に変色状態の描画物を選択して択一的に視認させるための重要な要件であり、描画物は所期の目的を達成することができる。前述の完全消色温度(t4)の温度設定において、発色状態が高温環境下で維持されるためにはより高い温度であることが好ましく、完全消色温度(t4)は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上である。更に、前述の発色開始温度(t2)の温度設定において、消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、−50〜10℃が好適であり、−50〜5℃がより好適である。なお、可逆熱変色性組成物を予め発色状態にするためには冷却手段としては汎用の冷凍庫にて冷却することが好ましいが、冷凍庫の冷却能力を考慮すると、−50℃迄が限度であり、従って、完全発色温度(t1)は−50℃以上であることが好ましい。本発明においてヒステリシス幅(ΔH)は70℃〜150℃の範囲である。
前記可逆熱変色性組成物を用いることで、夏場の車内などの高温環境下で放置しても消色することがなく、直接光が当たる環境下での適用範囲を広げることができる。
また、可逆熱変色性組成物として、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いることで、本発明の描画材セットを、屋外で、例えば、絵画や塗り絵などの用途として好適に用いることができる。即ち、本発明に用いる熱変色性固形描画材と被描画体を用い、屋外または屋内で絵を描いたり塗り絵をし手描画された被描画体に、耐光性を付与することが可能な保護フィルムを熱変色性固形描画材を用いて描画したり、描画した描画物をお湯によって消色または変色させたり、シャワーなどの冷水によって、発色させたりするなど、楽しむことができる。従来からある印刷物での玩具とは異なり、自分の好きな絵が描ける、変化する色を選択出来るなど、本発明の描画材セットを用いることで、より興趣に富んだものとなる。
本発明による描画とは、絵を描いたり、ぬり絵などの描画の他、文字や記号などの筆記も含み、描画物は、前記筆記により形成された筆跡も含んでいる。
以下に可逆熱変色性組成物を構成する(イ)、(ロ)、(ハ)成分について説明する。
本発明において(イ)成分は、顕色剤である成分(ロ)に電子を供与し、成分(イ)が有するラクトン環などの環状構造が開環し、成分(ロ)と共鳴構造をとることにより発色する電子供与性呈色性有機化合物からなるものである。このような電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類、ピリジン類、キナゾリン類、ビスキナゾリン類などを挙げることができる。
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
更に、電子受容性化合物として炭素数3〜18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料に適用することもできる(図3参照)。
前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類を挙げることができる。
前記(ハ)成分としては、その用途に応じ適宜選択が可能であるが、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物が用いられる。このような化合物としては、種々のものが提案されており、それらから任意に選択して用いることができるが、具体的には下記のようなものが挙げられる。
まず、前記(ハ)成分として、特開2006−137886号公報などに記載されている下記一般式(1)で示される化合物が好適に用いられる。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X1、X2のいずれか一方は−(CH2)nOCOR2又は−(CH2)nCOOR2、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、R2は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y1及びY2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。)
前記式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
(式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。)
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Xは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1〜20の整数を示す。)
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Xは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1〜3の整数を示し、nは1〜20の整数を示す。)
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(7)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Rは炭素数4〜22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4〜22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物としては、4−フェニル安息香酸デシル、4−フェニル安息香酸ラウリル、4−フェニル安息香酸ミリスチル、4−フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4−ビフェニル酢酸オクチル、4−ビフェニル酢酸ノニル、4−ビフェニル酢酸デシル、4−ビフェニル酢酸ラウリル、4−ビフェニル酢酸ミリスチル、4−ビフェニル酢酸トリデシル、4−ビフェニル酢酸ペンタデシル、4−ビフェニル酢酸セチル、4−ビフェニル酢酸シクロペンチル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4−ビフェニル酢酸ヘキシル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルなどを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(8)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Rは炭素数3〜7のアルキル基を示し、Xは水素原子、メチル基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、メチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物としては、4−ブトキシ安息香酸フェニルエチル、4−ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチルなどを例示できる。
前記化合物としては、4−ブトキシ安息香酸フェニルエチル、4−ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチルなどを例示できる。
前記(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分の構成成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量基準である)。また、各成分は各々二種以上を混合して用いてもよい。
前記可逆熱変色性組成物はマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として使用される。これは、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化する方法としては、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与することや、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
ここで、可逆熱変色性組成物とマイクロカプセル壁膜の質量比は7:1〜1:1、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たす。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料には、その機能に影響を及ぼさない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤、防腐・防黴剤、非熱変色性染料や顔料等の各種添加剤を添加することができる。
本発明に用いる熱変色性筆記具に用いるマイクロカプセル顔料は、特に限定されないが平均粒子径が0.1〜50μmであることが好ましい。この範囲より小さいと、発色濃度が低くなる傾向が見られ、この範囲より大きいと固形描画材に用いる際に、分散安定性や加工性が劣る傾向が見られる。より好ましくは、0.3〜30μmである。この範囲にあると、発色状態も良好で、分散安定性や加工性がよくなる。
本発明でいうマイクロカプセル顔料の平均粒子径とは、粒子径を測定したときの体積基準で表わしたD50の値で表される。測定の一例としては、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製;LA−300)を用いて測定してその数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出した値を用いる。
前記固形描画材に用いる賦形材としては、熱変色性の描画物を形成することが出来れば特に限定はないが、例えばワックス、ゲル化剤、粘土などを用いることが出来る。ワックスとしては、従来公知のものであればいずれを用いてもよく、具体的にはカルナバワックス、木ろう、蜜ろう、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、スチレン変性ポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。ゲル化剤としては従来公知のものを用いることができ、例えば12−ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール類、トリベンジリデンソルビトール類、アミノ酸系油、高級脂肪酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイトなどが挙げられる。賦形材としては、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステルまたはデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、αオレフィン重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のワックスなどが挙げられる。
特に、前記ポリオレフィンワックスの軟化点が100℃〜130℃の範囲にあるとともに、針入度が10以下であるものは、描画する際の描画感が高いために、好ましく用いられる。
尚、前記ポリオレフィンワックスの軟化点、針入度の測定方法は、JIS K2207に規格化されており、針入度の値は、0.1mmを針入度1と表す。従って、数字が小さいほど硬く、大きいほど柔らかい固形描画材である。
具体的には、ネオワックスシリーズ(ヤスハラケミカル(株)製 ポリエチレン)、サンワックスシリーズ(三洋化成工業(株)製 ポリエチレン)、ハイワックスシリーズ(三井化学(株)製 ポリオレフィン)、A−Cポリエチレン(Honeywell社製 ポリエチレン)等が挙げられる。
前記固形描画材の賦形材として、ショ糖脂肪酸エステルまたはデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していると、描画物濃度の向上を図ることが出来るため好ましく用いられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、特にC12〜C22の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好ましく、より好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸が有用である。具体的には、三菱化学フーズ(株)製:リョートーシュガーエステルシリーズ、第一工業製薬(株)製:シュガーワックスシリーズ等が挙げられる。
また、本発明の固形描画材のに用いるデキストリン脂肪酸エステルとしては、特にC14〜C18の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好適であり、より好ましくは、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸が有用である。具体的には、千葉製粉(株)製:レオパールシリーズ等が挙げられる。
さらに、賦形材として、側鎖結晶性ポリオレフィンを用いても良い。側鎖結晶性ポリオレフィンとは、結晶化が主としてポリオレフィン主鎖ではなく側鎖で起こり、その結果、融点が低く、また融解が狭い温度範囲で起こるという特徴を有している。このような側鎖結晶性ポリオレフィンは、側鎖に長いアルキル基を有することが特徴である。具体的には、C12〜C28の長鎖アルキル基を有しているものが好ましい。また、側鎖の長鎖アルキル基は、直鎖型であっても分岐型でも特に限定されないが、結晶性の観点から直鎖型がより好ましい。なお、この側鎖であるアルキル基は置換基を有してもよいが、それによって結晶性が下がる傾向がある。したがって、結晶性を調整するために、側鎖結晶性ポリオレフィンの側鎖を、例えばスチレンなどによって変性することもできる。また、長鎖アルキル基は、水素結合を形成する官能基を持っていると、長鎖アルキル基が水素結合をおこし、アルキル基同士の凝集が起こり、結晶性が向上するため好ましいものの一例としてあげることが出来る。
また、側鎖結晶性ポリオレフィンのひとつとして、高度に分岐構造を有するポリオレフィン(以下、簡単のために高分岐ポリオレフィンという)を挙げることができる。すなわち高分岐ポリオレフィンは、単一の主鎖に対して、側鎖が結合した構造とは少し異なった構造を有するが、結晶化の際に主鎖が折りたたまれることが少ないため、融点が低く、また融解が狭い温度範囲で起こる。
側鎖結晶性ポリオレフィンとしては、HSクリスタ4100、HSクリスタ6100(いずれも商品名、豊国製油株式会社製)、エルクリスタ4100、エルクリスタ6100(いずれも商品名、出光興産株式会社製)などが挙げられ、高分岐ポリオレフィンとしては、VYBAR103、VYBAR260、VYBAR343、VYBAR852(いずれも商品名、ベイカーヒューズ社製)などが挙げられる。
前記固形描画材は、必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、樹脂、フィラー、粘度調整剤、防かび剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線防止剤、光安定材、吸熱材、香料などが挙げられる。前記樹脂としては、固形描画材の強度などを向上する目的で配合されるが、天然樹脂、合成樹脂を用いることができる。具体的には、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ピロリドン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、塩基性基含有樹脂などが挙げられる。前記フィラーとしては、例えばタルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、窒化硼素、チタン酸カリウム、ガラスフレークなどが挙げられ、特にマイクロカプセル顔料に対する変色性能への影響などや成形性の点からタルク、炭酸カルシウムが好ましい。
本発明の固形描画材は、第1の発色状態と第2の発色状態が、有色(1)と有色(2)の変化をする場合、染料や顔料などの非熱変色性の着色剤を配合することで達成できる。
本発明による描画物を形成する際に、前記固形描画材の他、ボールペンやマーカーなど他の筆記具を使用することもできる。これらの筆記具を併用することで、描画線が変化に富んだものとなるため好ましい。この際に用いる筆記具は、熱変色性、非熱変色性などの筆記具を用いることができ、固形描画材として、非変色性の固形描画材を用いることができる。
本発明に用いる被描画体としては、前記固形描画材で描画が可能で有れば特に限定はないが、一般に描画や筆記に用いられる、画用紙、コピー紙、筆記用紙や、アート紙、塗工紙などのコーティングを施したコート紙類や、ポロプロピレンなどを用いた合成紙、フィルム類、布類などを用いることができる。
本発明において、描画物に耐光性を付与する方法としては、描画物の表面に、耐光性を有する保護層を形成することで、耐光性を得ることができるが、本発明においては、取り扱いや描画物の着色剤としての特性などから、描画面に描画された描画物に耐光性を付与することが可能な保護フィルム(以下、単に保護フィルムと言うことがある)を用いる。具体的には、紫外線吸収剤など耐光性を付与することが可能な材料をフィルム表面に配設し、耐光性を付与したフィルム、耐光性を付与することが可能な材料をあらかじめフィルム中に配合、または、材料自体が耐光性を有する材料を用いてフィルムとし、フィルム自体が耐光性を有しているフィルム、などを用いることができる。より具体的には、耐候性を付与することが可能な材料としては、紫外線吸収剤、金属酸化物などが挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、金属酸化物としては、酸化チタン、アルミナ、シリカ、亜鉛華、鉛白,パール顔料などが挙げられる。これらの材料を、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムの表面に、蒸着などにより直接、または、樹脂溶液に前記耐候性を付与することが可能な材料を溶解、または、分散するなどして塗布することにより、設ける事ができる。さらには、材料自体が耐光性を有するフィルムとしては、ポリビニルフルオライドフィルムなどを用いることができる。
本発明に用いる保護フィルムは、上記フィルムの他、シート状のものや、板状(樹脂、ガラスなど)のものを用いても良い。
従来から、固形描画材に耐光性付与剤を配合することは検討されているが、固形描画材中に配合できる割合が限られてしまうことや、描画した際に、着色剤と同一の描画面に配置されるため、その効果については、十分ではなかった。保護フィルムを設けることにより、描画面の表面に別の層として耐光性付与層を得ることができ、フィルムを配設することから、簡単に、しかも効果的に耐光性を付与することができる。
本発明による描画物に耐光性を付与することが可能な保護フィルムを設ける方法としては、前記保護フィルムを直接、または、粘着剤を用いて描画物が形成された被描画体に貼り合わせることにより、設けることができる。前記保護フィルムを設ける際には、圧着やラミネート加工によって設けることができる。さらに、前記粘着剤を用いる際には、粘着剤に耐光性を付与することが可能な材料を配合してもよい。また、前記フィルム袋状にし、描画物が形成された被描画体を袋の中に入れることによって、保護フィルムを設けることもできる。
本発明において、保護フィルムを設けることで、描画物に耐光性を付与することが可能となるが、熱による意図としない消色や変色を防ぐ目的で、遮熱断熱材料を併用しても良い。本発明に用いることができる遮熱断熱性の材料としては、描画物が原色で見えれば特に限定はないが、赤外線反射剤や赤外線吸収剤、金属材料、金属酸化物、セラミック材料、などが挙げられ、赤外線反射剤としては、炭化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などが挙げられ、赤外線吸収剤としては、、酸化インジウム、酸化錫、ジインモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物などが挙げられ、金属材料としては、ステンレス鋼、
アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、チタン、チタン合金、錫、鈴合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金などが挙げられる。
アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、チタン、チタン合金、錫、鈴合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金などが挙げられる。
本発明による描画材セットで得られた描画物は耐光性を有しているが、さらに、その描画物は、指による擦過や加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。
前記加熱具としては、PTC素子等の抵抗発熱体を装備した、サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプを用いた通電加熱変色具、温水等の媒体を充填した加熱変色具、スチームやレーザー光を用いた加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられる。好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。
前記摩擦部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、ポリエステル系エラストマー等が用いられる。前記摩擦部材は固形描画材と別体の任意形状の部材である摩擦体とを組み合わせ用いることもできるが、固形描画材に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れたものとなる。
また、本発明に用いる固形描画材は、固形描画材を外装収容物に収容した固形描画具とすることもできる。具体的には、筆記先端を回転繰り出しにより外装収容物から繰り出すタイプや、固形描画材をチャックで保持し、ノック機構により筆記先端を繰り出すタイプの固形筆記具とすることもできる。その際、外装に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れたものとなる。
前記冷熱具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片などの冷媒を充填した冷熱変色具や保冷剤、冷蔵庫や冷凍庫の適用などが挙げられる。
(実施例1)
(固形描画材の製造)
(マイクロカプセル顔料Aの製造)
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0質量部からなる感温変色性色彩記憶組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて熱変色マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して熱変色マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、t1:−20℃、t2:−10℃、t3:48℃、t4:58℃、ΔH:68℃、感温変色性色彩記憶組成物:壁膜=2.6:1.0のヒステリシス特性を有する挙動を示し、ピンク色から無色、無色からピンク色へ可逆的に色変化した。
(固形描画材の製造)
マイクロカプセル顔料A 40質量部
ポリオレフィンワックス 10質量部
(三洋化成工業(株)製 サンワックス131−P 軟化点110℃ 針入度3.5)
ショ糖脂肪酸エステル 10質量部
(三菱化学フーズ(株)製 リョートーシュガーエステルP−170)
ポリビニルアルコール 2質量部
タルク 38質量部
上記配合物をニーダーにて混練し、プレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ150mmの固形描画材を得た。
さらに外軸として長さ150mmの丸形木軸を用い、基軸の中心部に、前後方向に延びるφ3mmの貫通孔を形成した。前記貫通孔に、前記により得られた固形描画材を収納することで描画具を得た。
得られた描画具の前端部を鉛筆削りにて削り、芯を露出させた後、合成紙(ユポ FPG80)に筆記したところ、ピンク色の描画物が得られた。得られた描画物をSEBS樹脂からなる摩擦部材で擦過したところ、生じた摩擦熱により、描画物を消色することができた。
(固形描画材の製造)
(マイクロカプセル顔料Aの製造)
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0質量部からなる感温変色性色彩記憶組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて熱変色マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して熱変色マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、t1:−20℃、t2:−10℃、t3:48℃、t4:58℃、ΔH:68℃、感温変色性色彩記憶組成物:壁膜=2.6:1.0のヒステリシス特性を有する挙動を示し、ピンク色から無色、無色からピンク色へ可逆的に色変化した。
(固形描画材の製造)
マイクロカプセル顔料A 40質量部
ポリオレフィンワックス 10質量部
(三洋化成工業(株)製 サンワックス131−P 軟化点110℃ 針入度3.5)
ショ糖脂肪酸エステル 10質量部
(三菱化学フーズ(株)製 リョートーシュガーエステルP−170)
ポリビニルアルコール 2質量部
タルク 38質量部
上記配合物をニーダーにて混練し、プレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ150mmの固形描画材を得た。
さらに外軸として長さ150mmの丸形木軸を用い、基軸の中心部に、前後方向に延びるφ3mmの貫通孔を形成した。前記貫通孔に、前記により得られた固形描画材を収納することで描画具を得た。
得られた描画具の前端部を鉛筆削りにて削り、芯を露出させた後、合成紙(ユポ FPG80)に筆記したところ、ピンク色の描画物が得られた。得られた描画物をSEBS樹脂からなる摩擦部材で擦過したところ、生じた摩擦熱により、描画物を消色することができた。
(描画材セットの作製)
前記固形描画材と被描画体である合成紙(ユポ FPG80)の半分に自動車を薄青色で印刷した塗り絵と、耐光性を有するフィルム(ポリビニルフルオライドフィルム)を組み合わせて描画材セットとした。
前記塗り絵を、前記固形描画材を用いて輪郭をなぞったり、絵を塗りつぶしたり、輪郭線内部を塗ったところ、絵を完成することが出来た。その際、間違えて塗った箇所やはみ出した箇所を前記摩擦部材で擦過すると、生じた摩擦熱により消色して視認されなくなった。
また、完成した塗り絵を、前記摩擦部材で擦過すると生じた摩擦熱により絵を消色することができた。絵を塗ったり、消色したりすることは、繰返し行うことができ、この操作は、摩擦部材を具備した固形描画材を用いて簡便に行えることができた。
さらに、前記摩擦部材を具備した固形描画材を用いて、合成紙に形成された空白部に任意の像を描画したり、像を塗ったり、消色したりすることで、塗り絵をさらに楽しむことが出来るものとなった。形成された描画物の表面に、ポリビニルフルオライドフィルムを設けた描画物を得た。この描画物を屋外にて1ヶ月放置したが、発色性は変わっていなかった。さらに、放置後の描画物の一部を摩擦部材で擦過したところ、生じた摩擦熱により、消色することができた。
前記固形描画材と被描画体である合成紙(ユポ FPG80)の半分に自動車を薄青色で印刷した塗り絵と、耐光性を有するフィルム(ポリビニルフルオライドフィルム)を組み合わせて描画材セットとした。
前記塗り絵を、前記固形描画材を用いて輪郭をなぞったり、絵を塗りつぶしたり、輪郭線内部を塗ったところ、絵を完成することが出来た。その際、間違えて塗った箇所やはみ出した箇所を前記摩擦部材で擦過すると、生じた摩擦熱により消色して視認されなくなった。
また、完成した塗り絵を、前記摩擦部材で擦過すると生じた摩擦熱により絵を消色することができた。絵を塗ったり、消色したりすることは、繰返し行うことができ、この操作は、摩擦部材を具備した固形描画材を用いて簡便に行えることができた。
さらに、前記摩擦部材を具備した固形描画材を用いて、合成紙に形成された空白部に任意の像を描画したり、像を塗ったり、消色したりすることで、塗り絵をさらに楽しむことが出来るものとなった。形成された描画物の表面に、ポリビニルフルオライドフィルムを設けた描画物を得た。この描画物を屋外にて1ヶ月放置したが、発色性は変わっていなかった。さらに、放置後の描画物の一部を摩擦部材で擦過したところ、生じた摩擦熱により、消色することができた。
本発明による描画セットは、屋外など光が当たる環境においての展示や掲示物としての用途や、塗り絵や絵画としての用途など各種利用可能である。
t1 本発明の加熱消色型の固形描画材の描画物の完全発色温度
t2 本発明の加熱消色型の固形描画材の描画物の発色開始温度
t3 本発明の加熱消色型の固形描画材の描画物の消色開始温度
t4 本発明の加熱消色型の固形描画材の描画物の完全消色温度
ΔH ヒステリシスの程度を示す温度幅
t2 本発明の加熱消色型の固形描画材の描画物の発色開始温度
t3 本発明の加熱消色型の固形描画材の描画物の消色開始温度
t4 本発明の加熱消色型の固形描画材の描画物の完全消色温度
ΔH ヒステリシスの程度を示す温度幅
Claims (1)
- 熱変色性の描画が可能な固形描画材と、該描画材で描画が可能な描画面を有する被描画体と、描画面に描画された描画物に耐候性を付与することが可能な保護フィルムを含む描画材セット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015131296A JP2017013320A (ja) | 2015-06-30 | 2015-06-30 | 描画材セット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015131296A JP2017013320A (ja) | 2015-06-30 | 2015-06-30 | 描画材セット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017013320A true JP2017013320A (ja) | 2017-01-19 |
Family
ID=57828796
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015131296A Pending JP2017013320A (ja) | 2015-06-30 | 2015-06-30 | 描画材セット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017013320A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020105314A (ja) * | 2018-12-27 | 2020-07-09 | 株式会社パイロットコーポレーション | 固形筆記体 |
-
2015
- 2015-06-30 JP JP2015131296A patent/JP2017013320A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020105314A (ja) * | 2018-12-27 | 2020-07-09 | 株式会社パイロットコーポレーション | 固形筆記体 |
JP7198077B2 (ja) | 2018-12-27 | 2022-12-28 | 株式会社パイロットコーポレーション | 固形筆記体 |
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