JP2015230748A - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活物質層の剥がれや活物質の滑落が抑制されているリチウムイオン二次電池用電極を製造する方法を提供すること。【解決手段】ここで開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、第一の活物質と第一のバインダとを含む第一の複合粒子1と、第一の複合粒子1よりも流動性が高く、第二の活物質と第二のバインダとを含む第二の複合粒子2とを用意すること;長尺の集電体32の長手方向に沿った端部の少なくとも一方に帯状の集電部36を設定し、集電部36に隣接する帯状の領域である第一部分P1に第一の複合粒子1を供給すること;第二の複合粒子2を、第一部分P1よりも集電体32の長手方向に直交する幅方向中心側の領域である第二部分P2に供給すること;および、集電体32上に供給された第一および第二の複合粒子1,2を圧延して活物質層を形成すること;を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、活物質とバインダとを含む複合粒子を用いたリチウムイオン二次電池用電極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に用いられる電極は、シート状の集電体上に、電極活物質層を備えている。かかる電極活物質層は、一般に、液状媒体中に活物質粒子を含む電極材料が分散された活物質層形成用スラリーを調製し、このスラリーを集電体に供給して、乾燥させた後、圧密することで製造されている。その一方で、この電極を、液状媒体を使用することなく、乾燥工程を省略して、省エネルギーで低コストに製造する方法も知られている。例えば、特許文献1には、活物質粒子とバインダとを所定の割合で混合して造粒した複合粒子を、集電体の表面に供給し、加熱しながら圧延することで、電極を製造することが開示されている。
特開2005−340188号公報
ところで、このようなリチウムイオン二次電池については、高容量化を図る等の目的で、電極を長尺のシート状に形成し、捲回軸を中心に捲回した形態の捲回型電極体が知られている。しかしながら、上記の複合粒子を圧延して製造した電極については、捲回時に活物質層の端部が剥がれたり、活物質が滑落したりしやすいという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、活物質層の剥がれや活物質の滑落を抑制しながら電極を製造することができるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するものとして、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法を提供する。かかる製造方法は、第一の活物質と第一のバインダとを含む第一の複合粒子と、上記第一の複合粒子よりも流動性が高く、第二の活物質と第二のバインダとを含む第二の複合粒子とを用意すること;長尺の集電体の長手方向に沿った端部の少なくとも一方に帯状の集電部を設定し、上記集電部に隣接する帯状の領域である第一部分に上記第一の複合粒子を供給すること;上記第二の複合粒子を、上記第一部分よりも上記集電体の上記長手方向に直交する幅方向中心側の領域である第二部分に供給すること;および、上記集電体上に供給された上記第一および第二の複合粒子を圧延して活物質層を形成すること;を含むことを特徴としている。
かかる構成によると、流動性が低い複合粒子が活物質層の端部に位置するように電極を製造する。これにより、活物質の端部において複合粒子の結着性を高めることができ、端部の活物質層の欠けや剥離および活物質の脱落を防止することができる。このようにして製造される電極は、活物資層の端部の剥離強度が高められている。そのため、例えば、捲回型電極体を構築するのに好適に用いることができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様では、上記圧延は、ロール圧延であることを特徴としている。
かかる構成により、上記の流動性の異なる2種類の複合粒子を用いた電極を好適に製造することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様では、上記圧延は、上記第一および第二の複合粒子を加熱しながら実施することを特徴としている。これにより、第一および第二の複合粒子同士を互いに強く結着させることができ、活物質層が剥がれ難く、活物質が滑落しにくい電極を製造することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様では、上記圧延に先立って、上記集電体上に供給された第一および第二の複合粒子をスキージで平坦化すること;を含むことを特徴としている。
かかる構成によると、集電体上に適切な量の複合粒子を均一に供給することができる。したがって、単位面積当たりの複合粒子の量(目付量)のバラつきを抑制しながら電極を製造することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様において、上記第一の複合粒子は、安息角が35°以上であることを特徴としている。
かかる構成によると、活物質層の端部の剥離強度がより一層高められた電極を製造することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様において、上記第一の複合粒子は、上記第二の複合粒子よりも安息角が5°以上高いことを特徴としている。
かかる構成によると、活物質層の端部の剥離を抑制しつつ、それ以外の部分は目付量のバラつきをより一層抑制しながら好適に電極を製造することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様において、上記第一および第二の複合粒子は、さらに導電材を含むことを特徴としている。
かかる構成によると、内部抵抗の低い電極をも製造することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様において、上記第一の複合粒子における上記第一のバインダの配合量は、上記第二の複合粒子における上記第二のバインダの配合量よりも多いものであり得る。そして、上記第一の複合粒子の平均粒子径は、上記第二の複合粒子の平均粒子径よりも小さいものであり得る。
かかるいずれか1以上の構成を採用することにより、上記第一および第二の複合粒子の流動性を好適に調整することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の好ましい一態様においては、さらに、上記活物質層を備えた上記集電体を、上記幅方向を軸として捲回することを含むことを特徴としている。かかる構成によると、例えば、正負の電極を、セパレータを介して積層し捲回することで捲回電極体を構築することができることから、高容量で、エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池を実現するに好適な電極が提供される。
図1は、第一および第二の複合粒子の供給位置を説明する平面概略図である。 図2は、電極の構成を概念的に示す断面模式図である。 図3は、一実施形態としての活物質層の端部の剥離強度を例示した図である。 図4は、比較例において見られた活物質層の端部の剥離の様子を例示した像である。 図5は、リチウムイオン二次電池の構成を例示した断面図である。 図6は、捲回型電極体の構成を説明する概略図である。
以下、ここで提案される電極の製造方法について、好適な一実施形態を基にして、適宜図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、電極以外のリチウムイオン二次電池の構成や作動方法等の一般的事項等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。また、各図は模式的に描かれており、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間においてリチウムイオンに伴う電荷の移動により繰り返し充放電が実現される二次電池をいう。一般に「リチウム二次電池」のように称される電池(例えば、リチウムイオンポリマー二次電池)はリチウムイオン二次電池に包含され、本明細書におけるリチウムイオン二次電池の典型例であり得る。
以下に、本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、かかる電極が適用されるリチウムイオン電池の構成についても併せて説明する。
[リチウムイオン二次電池]
図5は、リチウムイオン二次電池100の一構成例を示す断面模式図である。図6は、当該リチウムイオン二次電池100の内部に備えられる発電要素たる捲回型電極体20の一構成例を説明する模式図である。なお、図5および図6に示されるリチウムイオン二次電池100および電極体20は、本発明で製造される電極が適用され得るリチウムイオン二次電池および電極体の一構成例に過ぎず、本発明にて製造される電極の使用形態はこれに限定されない。
リチウムイオン二次電池100は、大まかな構成として、電池ケース10と、電極体20を備えている。この図6に示される電極体20は、長尺状の電極体20が捲回されてなる、いわゆる捲回型電極体20として構築されている。なお、本明細書において、長尺とは、平面視で一方向において寸法が大きいことを意味する。例えば、平面視での縦の寸法aと横の寸法bに関し、a>bの関係が成立していれば良い。好ましくは、a≧2bであり、典型的にはa≧10bである。
[捲回型電極体]
捲回型電極体20は、正負の電極30,40を備えている。より具体的には、図6に示すように、長尺の、正極30と、負極40と、セパレータ50とを備えている。正極30と負極40は、セパレータ50を間に介することで、互いに絶縁されている。正負の電極30,40は、集電体32,42の表面(片面または両面)に活物質層34,44を備えている。これら正負の電極30,40においては、集電体32,42の長手方向に沿った端部の少なくとも一方に、帯状の集電部36,46が設定されている。そして、活物質層34,44は、集電体32,42の集電部36,46を除いた領域の片面もしくは両面に配設されている。ここで、「集電部36,46」は、集電体32,42の表面に活物質層34,44が形成されてない部分とも理解できる。
捲回型電極体20は、一般に、第1のセパレータ50、正極30、第2のセパレータ50および負極40をこの順で積層し、捲回軸WLの周囲に捲回することで、構成されている。積層に際しては、負極活物質層44が、正極活物質層34を長手方向に直交する幅方向で覆うように配置される。また、第1および第2のセパレータ50は、負極活物質層44と正極活物質層34とを幅方向で覆うように配置される。そして、正極30の集電部36と負極40の集電部46とは、セパレータ50の幅方向の反対側に突出するように配置されている。この例では、正極または負極の集電部36,46は、捲回軸方向から見てらせん状に突出している。また、この例において、捲回型電極体20は、電池ケース10の形状に対応するように、捲回軸に直交する方向で圧縮されたような、扁平な形状を有している。なお、捲回型電極体20は、使用する電池ケース10の形状に応じた形状とすればよく、例えば、円筒形状等であっても良い。
したがって、捲回型電極体20における捲回曲面(電極表面)は、捲回中心に近くなるほど、曲率が高くなる。また、集電体32,42と活物質層34,44との間には、より捲回内側に位置する部材に圧縮の応力が生じ、より捲回外側に位置する部材に引張りの応力が生じ得る。したがって、捲回曲面における集電体32,42と活物質層34,44との界面には剪断応力が発生し、集電体32,42と活物質層34,44とは剥離しやすい。特に、側面が開放されている活物質層34,44の幅方向の端部は、活物質層34,44に割れが生じて捲回型電極体20から脱落する可能性がある。なお、かかる活物質層34,44の端部の欠けや剥離は、活物質とバインダとを含む複合粒子を圧延することで形成された活物質層34,44において顕著に見られる。さらに、かかる活物質層34,44の端部の欠けや剥離は、集電部36,46に隣接する側の活物質層34,44の端部において顕著にみられ得る。これは以下の理由による。
すなわち、活物質とバインダとを、溶媒等に分散したスラリーの形態で集電体32,42に供給し、乾燥、圧延して活物質層34,44を形成する場合には、溶媒中での分散作用により、溶媒を除去する際に活物質とバインダとがある程度密に充填される。したがって、所定の密度の活物質層34,44を得るに際し、圧延に要する圧力は比較的低く済む。一方の、活物質とバインダとが複合粒子の形態で集電体32,42に供給されると、複合粒子は自然な(自然落下に近い)充填状態で存在するため、複合粒子間には間隙が多く存在し得る。したがって、所定の密度の活物質層34,44を得るに際し、圧延に要する圧力は比較的高くなってしまう。そのため、複合粒子を用いて形成した活物質層34,44は、複合粒子同士の結合が緩くなりがちで、活物質層34,44自体の強度も弱くなりがちである。延いては、活物質層34,44の端部で欠けや剥離が発生しやすい。
また、集電体32,42の幅方向の一方の端部に沿って集電部36,46が設けられ、その他の部分に活物質層34,44が設けられた電極30,40は、一般に、その2倍幅の電極30,40を作製しておき、これを中心で切断して製造することが多い。つまり、まず、集電体32,42の幅方向の両方の端部に沿って集電部36,46が設けられ、その集電部36,46の間の部分に活物質層34,44を設けることで、2倍幅の電極30,40を用意する。そして、次に、その2倍幅の活物質層34,44の幅方向の中心で、当該電極30,40を2つに切断することで、一方の端部にのみ集電部36,46を備える電極30,40が製造される。
ここで、上記の複合粒子を用いて活物質層34,44を形成する場合、一般的に、搬送されている集電体32,42の幅方向の中央近傍に複合粒子を連続的に供給する。そして、ヘラのようなスキージで複合粒子を均し、複合粒子を集電体32,42の集電部36,46以外の領域に層状に行き亘らせる。そして、複合粒子の層を圧延することで、複合粒子が一体的に結合されて活物質層34,44を形成する。
ここで、本発明者らの知見によると、複合粒子を均すに際し、集電体32,42の幅方向の中央近傍からより離れた部位にまで移動するのは、複合粒子の中でも相対的に流動性の高い粒子であり得る。そして、複合粒子の中でも相対的に流動性の低い粒子は、幅方向の中央近傍に残存しがちであり得る。かかる傾向から、活物質層34,44は幅方向の両端部と中央部とで、構成する複合粒子の流動性に差が生じ得ていた。その結果として、例えば、活物質層34,44は幅方向の両端部と中央部とでは、集電体32,42と活物質層34,44との間の密着性、延いては剥離強度にも差が生じることが判明した。このとき、活物質層34,44の中央部程、剥離強度が高くなる傾向がある。そして、活物質層34,44の両端部、すなわち集電部36,46に隣接する部位に近い程、剥離強度が低くなる傾向がある。したがって、活物質層34,44の幅方向の中央で切断することで、一方の端部に沿って集電部36,46が設けられた電極30,40は、集電部36,46に隣接する活物質層34,44の端部において、捲回時に活物質層34,44の欠けや脱落が生じ易いことがわかった。
[電極の製造工程]
図1および図2は、かかる電極の製造方法を説明するための、電極の平面および断面の模式図である。上記の知見に基づき、本発明の電極の製造方法においては、下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴としている。
(1)第一の複合粒子1と、第二の複合粒子2とを用意する。ここで、第一の複合粒子1は、第一の活物質と第一のバインダとを含んでいる。また、第二の複合粒子2は、この第一の複合粒子1よりも流動性が高く、第二の活物質と第二のバインダとを含んでいる。
(2)長尺の集電体32,42の長手方向に沿った端部の少なくとも一方に帯状の集電部36,46を設定し、集電部36,46に隣接する帯状の領域である第一部分P1に第一の複合粒子1を供給する。
(3)第二の複合粒子2を、第一部分P1よりも集電体32,42の長手方向に直交する幅方向中心側の第二部分P2に供給する。
(4)集電体32,42上に供給された第一および第二の複合粒子1,2を圧延して活物質層34,44を形成する。
以下、各工程について説明する。
[1.第一複合粒子および第二複合粒子の用意]
ここに開示される電極の製造方法においては、正負極の活物質層34,44を製造するのに、正負の活物質とバインダとを複合粒子1,2の形態で用いるようにしている。複合粒子1,2は、少なくとも一つの粒子状の活物質とバインダとを含んでいる。複合粒子1が単一の粒子状の活物質を含む場合は、活物質の表面に、例えば粒状又は糸状のバインダが付着した形態であり得る。複合粒子は、典型的には、複数の粒子状の活物質を含んでいる。かかる複合粒子1,2は、個々の活物質の表面に粒状又は糸状のバインダが付着し、さらにその活物質がバインダにより互いに結合された形態であり得る。ここで、バインダは、活物質の表面の全てを覆うことはないが、上記粒状又は糸状のバインダが複合粒子の内部および外表面に局所的に偏在することなく、全体として略均一に分散されて配置するよう含まれるのが好ましい。なお、活物質層34,44がさらに導電材を含む構成では、この複合粒子1,2がさらに導電材を含んでいても良い。導電材を含む構成では、導電材は主としてバインダ中に分散されているのが好ましい。
この複合粒子1,2は、入手方法に特に制限されず、例えば、所定の割合の活物質およびバインダを、乾式または湿式で混合して造粒・分級等することで用意することができる。複合粒子1,2の流動性については、上記のとおり、バインダの物性や配合量、複合粒子1,2の粒径を制御すること等で、所望の値に調整することができる。
なお、活物質としては、後で詳細に述べるが、目的の性能を発揮し得るよう、リチウムイオン二次電池用電極に適した酸化または還元作用を示し得る公知の各種の材料を用いることができる。ここで、第一の複合粒子1を構成する第一の活物質と、第二の複合粒子2を構成する第二の活物質とは、同一であっても良いし、異なっていても良い。また、バインダとしては、活物質の結合を実現し得る各種の材料のなかから、例えば、採用する造粒方法に適した材料を用いることができる。ここで、第一の複合粒子1を構成する第一のバインダと、第二の複合粒子2を構成する第二のバインダとは、同一であっても良いし、異なっていても良い。造粒の手法としては、特に制限されないが、例えば、具体的には、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法等の手法の1つ以上を採用することができる。これにより、複合粒子1,2を好適に製造することができる。なお、導電材を含む構成では、導電材を予めバインダに分散させておき、かかる導電材を含むバインダと活物質との複合粒子1,2を形成すればよい。複合粒子の製造に際しては、公知の手法に従い、例えば、水やNMP等の適切な溶媒を少量使用することもできる。また、バインダは、特に限定されるものではないが、粒子状のものを好適に用いることができる。
複合粒子1,2の粒径は特に限定されないが、例えば、平均粒子径(D50)がおよそ20μm〜100μm程度のもの、粒度分布が5〜150μm程度のものを好ましく用いることができる。
そしてここに開示される製造方法においては、複合粒子1,2は、流動性の異なる第一複合粒子1と第二複合粒子とを用意するようにしている。そして、これらの第一複合粒子1と第二複合粒子とを、活物質層34,44の特定の部位に選択的に配置するようにしている。
すなわち、第一複合粒子1は、第二複合粒子2よりも流動性が低く、結着性が高いことで特徴づけられる。かかる第一複合粒子1は、図1および図2に示されるように、集電部36,46に隣接する帯状の領域として定義される、第一部分P1に配置される。
また、第二複合粒子2は、第一複合粒子1よりも流動性が高く、結着性が低いことで特徴づけられる。かかる第二複合粒子2は、図1および図2に示されるように、第一部分P1よりも集電体32,42の幅方向の中心側の領域として定義される、第二部分P2に配置される。
なお、複合粒子1,2の流動性は、これら複合粒子1,2が集電体上に供給され平坦化される際の流動性を示すとともに、活物質層34,44を形成する際の複合粒子1,2の結着性を示す指標となり得る。
ここで、複合粒子1,2の流動性は、公知の各種の指標を使って評価することができる。しかしながら、ここに開示される製造方法においては、複合粒子1,2の流動性を評価する指標として、安息角を好ましく採用するようにしている。安息角は、粉体の無荷重状態での流動性を示し得る指標である。そして、集電体上に供給された複合粒子1,2の流動のし難さ、すなわち結着性をも好適に表し得る指標であるからである。複合粒子1,2の結着性を安息角で評価することは、本発明者らによる全く新しい特異な知見である。
かかる安息角は、本明細書においては、複合粒子1,2を一定の高さの漏斗から水平な基板の上に落下させることで生成した円すい状の堆積物の直径および高さから算出される底角として規定される。かかる安息角は、例えば、JIS R 9301−2−2:1999「アルミナ粉末物性測定方法−2:安息角」の規定に準じて測定することができる。
安息角は、一般的に、流動性の良い粉体ほど小さく、流動性の良くない粉体ほど大きくなり得る。ここに開示される製造方法において、第一複合粒子1の安息角は、35°以上であるのが好ましい。本明細書においては、安息角が35°以上であることで、流動性が低いと判断することができる。さらに、かかる第一複合粒子1の安息角は、38°以上であるのがより好ましく、40°以上であるのがより好ましい。第一複合粒子1の安息角の上限については特に制限はないが、集電体32,42上への供給性を考慮した場合、例えば、安息角を55°以下、例えば45°以下とすることが例示される。
また、第二複合粒子2の安息角は、35°未満であるのが好ましい。安息角が35°未満であることで、流動性があると判断することができる。かかる第二複合粒子2の安息角は、32°以下であるのがより好ましく、30°以下であるのがさらに好ましい。第二複合粒子2の安息角の下限については特に制限はないが、安息角が小さすぎると第二複合粒子2が飛散し易くなりうる。したがって、第二複合粒子2の集電体32,42上への供給性を考慮した場合、例えば、安息角を20°以上とすることが例示される。
なお、第一複合粒子1の安息角と、第二複合粒子2の安息角とを比較した場合、第一複合粒子1の安息角が5°以上高いことが好ましい。より好ましくは、7°以上、例えば10°以上高いことがさらに好ましい。安息角にかかる差を設けることで、活物質層34,44の端部の欠けや剥がれを好適に抑制しつつ、目付量を安定させて活物質層34,44を簡便に作製することが可能となる。
なお、上記の第一複合粒子1と第二複合粒子2の流動性は、様々な条件により制御可能である。例えば、具体的には、複合粒子1,2の形成に用いるバインダの種類や、その分子量、配合量等を調整することで制御することが例示される。適切な種類のバインダを用いたり、その分子量や、配合量を調整したりすることで、かかるバインダの粘性等を変化させることができ、所望の流動性を示す複合粒子1,2を得ることができる。
例えば、これに限定されるものではないが、第二複合粒子2に一般的なバインダであるアクリル系ポリマーバインダを用いた場合、第一複合粒子1のバインダとしてフッ素樹脂系のバインダを用いることで、比較的バランスよく複合粒子1,2の流動性の制御を行うことができる。あるいは、例えば、複合粒子1,2のバインダとして同種のバインダを用いる場合、第一複合粒子1と第二複合粒子2とでそれらの配合量を変化させることも有効な態様であり得る。かかる配合量は、樹脂の種類等にもよるため厳密には言えないものの、例えば、第二複合粒子2に用いるバインダの配合量を0.5質量%〜10質量%程度(例えば、0.5質量%〜5質量%程度)とする場合、第一複合粒子1に用いるバインダの配合量をその1.5〜2倍程度、例えば、1質量%〜20質量%程度(例えば、1質量%〜10質量%程度)とすること等が好適な例として示される。
また、安息角は、複合粒子1,2の粒径を調整することでも制御することができる。一般に安息角は、同じ性状の複合粒子1,2であれば、平均粒子径が小さくなるほど大きく、逆に平均粒子径が大きくなるほど小さくなる傾向がある。おおよその目安としては、第一複合粒子の平均粒子径を30μm以下(30μm未満)とし、第二複合粒子の平均粒子径を30μm以上とすることが例示される。
例えば、正極を製造するのに用いる第一および第二の複合粒子については、以下のような粒度関係とするのが好適な例として示される。
第一複合粒子:平均粒子径が20〜30μm
第二複合粒子:平均粒子径が30〜70μm(より好ましくは45〜70μm)
粒度分布が5〜150μm(より好ましくは45〜150μm)
なお、特に制限されるものではないが、この場合の複合粒子を構成する正極活物質粒子の粒度分布は、例えば3〜10μm程度(平均粒子径は4〜5μm程度)であるのがより好適な例として示される。
また、例えば、負極を製造するのに用いる第一および第二の複合粒子については、以下のような粒度関係とするのが好適な例として示される。
第一複合粒子:平均粒子径が20〜30μm
第二複合粒子:平均粒子径が30〜100μm(より好ましくは75〜100μm)
粒度分布が10〜150μm(より好ましくは75〜132μm)
なお、特に制限されるものではないが、この場合の複合粒子を構成する負極活物質粒子の粒度分布は、例えば10〜30μm程度(平均粒子径は15〜25μm程度)であるのが好適である。
なお、本明細書中における「平均粒子径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置により測定された粒度分布における、積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;以下、D50と略記する場合もある。)を意味するものとする。
[2.第一複合粒子の供給]
次工程では、上記で用意した第一の複合粒子1を、シート状の集電体32,42の集電部36,46に隣接する帯状の第一部分P1に供給する。ここで、集電体32,42は、典型的には、コンベア等の搬送手段により、所定の速度で、予め設定された搬送経路に沿って搬送されている。集電体32,42の搬送の方向は制限されず、例えば、水平方向であっても良いし、垂直方向であってもよい。また、第一複合粒子1は、図示しない供給装置に収容されており、集電体32,42が搬送されるに合わせて所定の量が集電体32,42の第一部分P1に供給される。第一部分P1は、典型的には、図1および図2に示すように、活物質層34,44の幅方向の両端部を構成する領域となり得る。第一部分P1の幅は、活物質層34,44の寸法にもよるため一概には言えないが、おおよその目安として、0.1mm〜10mm程度(例えば1mm〜10mm程度)とすることが例示される。かかる寸法とすることで、活物質層34,44の端部の欠けや剥がれを好適に抑制することができる。また、例えば第一複合粒子の崩落を防止するためのガイド部材等を使用することなく、自然な供給(自然落下)により、活物質層を製造することができる。第一複合粒子1の供給手段については特に制限はないが、例えば、供給装置から篩いを通じて第一複合粒子1を集電体32,42上に篩い落とすのが好ましい。第一複合粒子1は、供給装置から、断続的に供給しても良いが、第一部分P1の活物質層34,44の強度を高く保つためには、連続的に供給するのがより好ましい。また、活物質層34,44の幅方向の両端部に第一複合粒子1を供給する場合、一方の端部に供給する第一複合粒子1と他方の端部に供給する第一複合粒子1とは、同一の供給装置から供給されても良いし、別個に設置された供給装置から供給しても良い。
[3.第二複合粒子の供給]
次いで、上記で用意した第二複合粒子2を、第一部分P1よりも幅方向中心側の第二部分P2に供給する。この第二部分P2は、図1および図2に示すように、実際的には、上記の第一部分P1により挟まれた部分となり得、活物質層34,44の中央部を含む領域であり得る。第二複合粒子2は、図示しない供給装置に収容されており、集電体32,42が搬送されるに合わせて所定の量が集電体32,42の第二部分P2に供給される。第二複合粒子2の供給手段についても特に制限はないが、例えば、供給装置から篩いを通じて第二複合粒子2を集電体32,42上に篩い落とすのが好ましい。なお、集電体32,42を水平方向に搬送する構成では、第二複合粒子2は、集電体32,42の幅方向に亘ってほぼ均一に供給しても良いし、幅方向の一部(例えば中心付近)に供給しても良い。第二複合粒子2は、供給装置から、断続的に供給しても良いし、連続的に供給してもよい。なお、幅方向の一部(例えば中心付近)に供給する場合には、次に述べるスキージSによる平坦化を行うのが好ましい。また、集電体32,42を垂直方向に搬送する構成では、上記の第一複合粒子1の供給と、第二複合粒子2の供給とは、同時に行うようにしても良い。
[4.複合粒子の平坦化]
なお、必須の工程ではないが、集電体32,42が水平方向に搬送される場合には、集電体32,42上に供給された第一および第二の複合粒子1,2をスキージSで平坦化することが好ましい。図1に示す例では、搬送される集電体32,42上に供給されている複合粒子1,2を、所定の位置に設置されたスキージSの下を通過させることで、その表面を平坦化するようにしている。複合粒子1,2が集電体32,42の幅方向の一部に供給される場合は、かかるスキージSにより複合粒子1,2が集電体32,42の幅方向の表面に均一に行き渡るように均されるために好ましい。また、スキージSは、垂直方向で集電体32,42の表面からの位置(換言すると、複合粒子1,2の供給厚さ)を調整し得るように構成されていてもよい。スキージSの垂直方向での位置を調整することで、集電体32,42の表面に供給された過剰な複合粒子1,2を除去することができる。このようにスキージSで複合粒子1,2を均すことにより、集電体32,42上には、ほぼ均質な目付量(単位面積当たりの複合粒子の重量)の複合粒子1,2の層が形成される。また、かかる目付量を所望の値に調整することもできる。
[5.圧延]
次いで、集電体32,42上に供給された第一および第二の複合粒子1,2を圧延して互いに結合させ、活物質層34,44を形成する。かかる圧延の手法は特に限定されず、平板圧延やロール圧延等の公知のいずれの圧延手法を採用しても良い。また、かかる圧延は、圧延を1回のみ行う一段圧延であってもよく、2回以上の圧延を行う多段圧延であってもよい。しかしながら、活物質およびバインダを複合粒子1,2の形態で供給する本発明の製造方法においては、集電体32,42上に供給された複合粒子1,2をロール圧延により圧延するのが好適である。このロール圧延は、例えば、所望の正極30または負極40が得られるように、例えば、以下の条件を参考にして実施することができる。また、ロール圧延を複数回行う多段ロール圧延とするのがより好ましい。かかる構成によると、比較的間隙の多い複合粒子1,2の層を活物質を破損させることなく、密に圧延することが可能となる。
(正極)
ロール間隔 :正極厚み(例えば50〜120μm)
ロール線圧 :1〜2t/cm
圧延温度 :25℃(加熱しても良い)
スキージ間隔:90〜200μm
(負極)
ロール間隔 :負極厚み(例えば60〜130μm)
ロール線圧 :1〜2t/cm
圧延温度 :25℃(加熱しても良い)
スキージ間隔:100〜230μm
また、上記の圧延は、少なくとも一つを加熱圧延とするのが好ましい。すなわち、例えば、圧延板や圧延ロールを加熱しながら圧延するのが好ましい態様であり得る。圧延しながら加熱することで、複合粒子1,2に含まれるバインダを軟化または溶融させることができる。これにより、複合粒子1,2同士をより強固に結合させて、高強度を有する活物質層34,44を形成することができる。また、かかる活物質層34,44と集電体32,42とを強固に結合することができる。なお、多段圧延を行う際は、かかる加熱圧延を2回目以降の圧延として行うのがより好ましい。これにより、より高密度な活物質層34,44を形成することができる。
加熱圧延の際の加熱の温度は、複合粒子1,2に用いられるバインダの物性に応じて適宜決定することができる。例えば、バインダの、ガラス転移温度、軟化点、融点等をもとに決定することができる。例えば、おおよその目安として、60℃〜180℃程度の温度範囲で圧延することが例示される。
なお、加熱しながらの圧延に際しては、圧延板や圧延ロールを加熱しながら圧延することに限られない。例えば、圧延工程に搬送される直前の複合粒子1,2の層に対して、赤外線や遠赤外線、レーザ等の非接触による加熱手段により加熱するようにしても良い。なお、温風や熱風を送って加熱することも可能であるが、複合粒子1,2が吹き飛ばされたり、圧密度合いに悪影響が及んだりしないように注意する必要がある。
[6.切断]
以上の製造方法により、集電体32,42と、当該集電体32,42上に配置され、複合粒子1,2がバインダによって接合された活物質の層(活物質層34,44)とを有する電極30,40が製造される。
なお、必ずしも必要ではないが、上記のとおり製造された電極30,40は、その幅方向の中央近傍で切断して、2以上の電極30,40とすることができる。例えば、活物質層34,44の幅方向の中央で切断することで、2つの電極30,40を得ることができる。複合粒子1,2を用いて形成する活物質層34,44は、上述のとおり、その第二部分P2に供給される第二複合粒子2のなかでも、比較的流動性の低いものが幅方向の中心に存在し得る。そのため、このような幅方向の中央で電極30,40を切断しても、かかる切断により活物質層34,44の切断端面では、欠けや剥離が抑制され得る。したがって、上記の一連の工程により、2以上の電極30,40を同時に製造することが可能となる。また、言うまでもないが、長尺の電極30,40を製造する場合は、電極30,40を長手方向の任意の位置で切断して、所望の寸法の電極30,40を得ることができる。
[効果]
以上の製造方法により得られる電極30,40は、活物質層34,44を形成する際に、活物質を複合粒子1,2の形態で用いている。したがって、活物質を含む活物質層形成用ペーストを調製する必要がない。このため、活物質とバインダとは、複合粒子1,2における分散状態を保ったまま、活物質層34,44を形成することができる。あるいは、複合粒子1,2における分散状態を保ちつつ、より圧密された状態で、活物質層34,44を形成することができる。また、複合粒子1,2が導電材を含む構成においては、活物質とバインダと導電材とが、複合粒子1,2における分散状態を保ったまま、活物質層34,44を形成することができる。あるいは、複合粒子1,2における分散状態を保ちつつ、より圧密された状態で、活物質層34,44を形成することができる。したがって、例えば、小粒径の活物質や導電材等が、その寸法や比重等に起因して、活物質層34,44の表面や底部等に偏在することが防止される。これにより、例えば、活物質とバインダと(さらには導電材と)がより均一に分散された構成の活物質層34,44を備えた電極を得ることができる。
また、活物質層34,44には、活物質層形成用ペーストに必要な粘度を付与するのに用いられる増粘剤に代表される添加剤を含まない構成とすることができる。つまり、ここに開示される製造方法によって形成された電極30,40の活物質層34,44には、バインダは含まれているが、増粘剤は含まれない形態であり得る。増粘剤に代表される添加剤は一般に導電性を備えていないため、活物質層34,44中に含まれることで抵抗成分となり得る。このため、かかる増粘剤が含まれていない活物質層34,44を備える電極30,40は、低抵抗であり得る。したがって、かかる電極30,40を蓄電素子に使用することで、当該蓄電素子の抵抗を低く抑えることが可能となる。
さらに、活物質層34,44の形成に際して、活物質層形成用ペーストに含まれる溶媒を乾燥により除去する必要がない。つまり、ここに開示される製造方法は、乾燥工程が必要でないために、省エネルギーであり得る。また、製造にかかる時間を短縮でき、さらに製造コストを低く抑えることができる。
以上のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、例えば、活物質の種類を問わず、各種用途のリチウムイオン二次電池用電極40の製造に好適に適用することができる。また、以上の電極の製造方法は、例えば、活物質の他に導電材を含む活物質層34,44を備える電極40に好適に適用することができる。さらに、以上の電極の製造方法は、活物質層34,44の端部の欠けおよび剥離が好適に抑制されているため、例えば、電極30,40を倦回することで倦回型電極体20を構築する目的の電極30,40の製造に特に好適に適用することができる。延いては、より高品質なリチウムイオン二次電池を製造することが可能となる。
引き続き、かかる製造方法に使用するリチウムイオン二次電池用電極30,40の構成材料について説明するとともに、この電極30,40が適用されたリチウムイオン二次電池の好適な構成例について説明する。
[電池ケース]
図5に示されるように、電池ケース10は、ケース本体12と、封口板14とを備えている。ケース本体12は、一面に開口部を有した中空形状であり得る。この例におけるケース本体12は、扁平な直方体形状であり、リチウムイオン二次電池100の通常の使用状態における上方に相当する一面が開口している。ケース本体12には矩形の開口が形成されている。そして封口板14は、ケース本体12の当該開口を塞ぐ部材である。封口板14はおよそ開口に対応した形状の板状部材であり得る。かかる封口板14がケース本体12の開口周縁に溶接等により接合されることによって、電池ケース10の内部と外部とが遮断される構成となっている。
電池ケース10の材質は、特に限定されないものの、例えば、軽量で強度があり、熱伝導性に優れる金属材料を主体に構成されることが好ましい例として挙げられる。このような金属製材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、およびこれらの合金が挙げられる。具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等であり得る。本実施形態に係る電池ケース10(ケース本体12および封口板14)はアルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。なお、用途に応じて、電池ケース10は、例えば樹脂等の、金属材料以外の材料から構成することもできる。
図5に示す例では、封口板14には、当該封口板14と絶縁された状態で、正極外部接続端子60および負極外部接続端子70が配設されている。また、封口板14には、図示しない安全弁と、注液口が形成されてもいる。安全弁は、電池ケース10の内圧が所定レベル(例えば、設定開弁圧0.3MPa〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に当該内圧を開放するように構成されている。また、注液口は、封口板14にて電池ケース10を封口してから電解液を注入するのに利用される。電解液が注入された後の注液口は、蓋材によって封止される。かかる電池ケース10には、上記の製造方法で製造された電極30,40から構成される電極体20が収容されている。
電極30,40の好適な構成材料は以下のとおりである。
[正極]
正極(正極シート)30は、正極集電体32と正極活物質層34とを備えている。正極集電体32には、例えば、正極30に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電体32には、例えば、所定の幅を有し、厚さがおよそ12〜15μm程度の帯状のアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる箔を好ましく用いることができる。
正極活物質層34は、全体としては、正極活物質がバインダによって接合されてなる層である。ここで、正極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられる各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)や、これらの複合体(例えば、LiNi0.5Mn1.5、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)の粒子が挙げられる。また、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等の粒子が挙げられる。かかる正極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。二種以上を組み合わせる場合には、混合物であっても良いし、固溶体等を形成させるなどしてもよい。この正極活物質は、特に限定されるものではないが、例えば、一次粒子の平均粒子径(D50)が例えば1μm〜20μm程度、好ましくは3〜10μm程度、さらに好ましくは4〜5μm程度のものを好ましく用いることができる。かかる正極活物質は、上述のとおり、一次粒子とバインダとを含む複合粒子の形態で使用される。
正極活物質層34は、さらに導電材を含んでいてもよい。かかる導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバー等のカーボン材料が好適なものとして例示される。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
正極活物質層34全体に占める正極活物質の割合は、およそ50質量%以上、典型的には50質量%以上95質量%以下とすることが適当であり、通常はおよそ70質量%以上95質量%以下であることが好ましい。正極活物質層34に占める導電材の割合は、正極活物質100質量%に対して、例えばおよそ0.1質量%〜20質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜15質量%、例えば2質量%〜10質量%、典型的には3質量%〜7質量%とすることが好ましい。正極活物質層に占めるバインダの割合は、正極活物質100質量%に対して、例えばおよそ0.01質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ0.1質量%〜7質量%程度、より好ましくは1質量%〜5質量%程度とすることができる。
また、正極活物質層34の厚みは、特に限定されないが、例えば20μm以上、典型的には30μm以上であって、100μm以下、典型的には50μm以下とすることができる。また、正極活物質層34の目付量は、特に限定されないが、片面当たり、例えば10g/cm以上、典型的には12.5g/cm以上であって、20g/cm以下、典型的には15g/cm以下とすることができる。また、特に限定されるものではないが、これらの値から、正極活物質層34の密度は、例えば1.5g/cm以上、典型的には2g/cm以上であって、4g/cm以下、典型的には3g/cm以下とすることができる。上記範囲を満たす正極活物質層は、高い電池性能(例えば、高いエネルギー密度や出力密度)を実現し得る。
[負極]
負極(負極シート)40は、負極集電体42と負極活物質層44とを備えている。負極集電体42には、例えば、負極40に適する金属箔が好適に使用され得る。負極集電体42には、例えば、所定の幅を有し、厚さがおよそ10μmの帯状の銅箔を用いることができる。
負極活物質層44は、全体として、負極活物質がバインダによって接合されてなる層である。ここで、負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池の負極活物質として用いられる各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、黒鉛、天然黒鉛、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物、シリコン化合物等が挙げられる。かかる負極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。この負極活物質は、特に限定されるものではないが、例えば、平均粒子径(D50)が1μm〜50μm程度、好ましくは10〜30μm程度、より好ましくは15〜25μm程度のものを用いることができる。かかる負極活物質は、上述のとおり、一次粒子とバインダとを含む複合粒子の形態で使用される。
また、かかる負極活物質層44は、必要に応じて、上記正極活物質層34と同様に、さらに導電材を含んでいてもよい。かかる導電材は、上記に記載されたものを用いることができる。
負極活物質層44全体に占める負極活物質の割合は、特限定されるものではないが、およそ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%、例えば95質量%〜99質量%である。バインダを使用する構成では、負極活物質層54に占めるバインダの割合を、負極活物質100質量%に対して例えば0.01質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ0.1質量%〜7質量%程度、より好ましくは1質量%〜5質量%程度とすることができる。
そして、上記負極40は、適宜プレス処理を施すことによって、負極活物質層44の厚みや密度が調整され得る。プレス処理後の負極活物質層の厚みは、例えば20μm以上、典型的には50μm以上であって、200μm以下、典型的には100μm以下とすることができる。また、負極活物質層44の目付量は、特に限定されないが、片面当たり、例えば5g/cm以上、典型的には6.5g/cm以上であって、10g/cm以下、典型的には8.5g/cm以下とすることができる。また、特に限定されるものではないが、これらの値から、負極活物質層の密度は、例えば0.5g/cm以上、典型的には1g/cm以上であって、3g/cm以下、典型的には2g/cm以下とすることができる。上記範囲を満たす負極活物質層44は、高い電池性能(例えば、高いエネルギー密度や出力密度)を実現し得る。
[バインダ]
バインダは、正負極の活物質層34,44において、活物質層34,44に含まれる電極活物質や導電材等の各粒子を接合したり、これらの粒子と正負の集電体32,42とを接合したりする材料である。そして本発明においては、上記の第一複合粒子1および第二複合粒子2を構築するための必須の成分となっている。かかるバインダは、正極30や負極40の製造方法や用途等に応じて、上記の機能を果たし得るものであれば、特に制限なく用いることができる。代表的には、各種の樹脂材料を用いることができる。
例えば、下記で説明する複合粒子の形成に好適なバインダとしては、例えば、ガラス転移温度が−30℃〜30℃程度、好ましくは−30℃〜10℃程度のポリマーが例示される。具体的には、複合粒子の形成に用いる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アクリル重合体等が好ましい例として示される。
[セパレータ]
セパレータ50は、微小な孔を多数有する所定幅の帯状のシート材で構成され得る。セパレータ50には、樹脂製の微多孔質膜、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂で構成された微多孔質フィルムを用いることができる。かかるセパレータ50は、単層構造であっても良いし、積層構造であってもよい。この例では、図6に示すように、負極活物質層44の幅は、正極活物質層34の幅よりも少し広い。さらにセパレータ50の幅は、負極活物質層44の幅よりも少し広い。
なお、図示は省略するが、セパレータ50は、その表面に耐熱層(Heat Resistance Layer;HRL)を備えていても良い。耐熱層は、耐熱性を有する材料からなる耐熱性粒子とバインダとからなる。耐熱性粒子としては、特に制限されないが、アルミナ、シリカ、ムライト等の無機酸化物を好適に用いることができる。
そして、図5に示す例では、上述のとおり、第1のセパレータ50、正極30、第2のセパレータ50および負極40を積層して捲回することで、捲回型電極体20を構成している。そして、セパレータ50からはみ出た正負の集電部36,46は、例えば、上記の捲回軸に直交する方向で寄せ集められ、封口板14の電池ケース10内方側に設けられた正負の内部端子62,72の先端部64,74に溶接等により接続されている。かかる正負の集電部36,46は、これらの内部端子62,72を介して、封口板14に設けられた正極外部接続端子60および負極外部接続端子70にそれぞれ電気的に接続されている。かかる電極体20は、図5に示すように、封口板14に固定された状態で、電池ケース10に収容される。電池ケース10には、注入孔(図示せず)を介して電解質として非水電解液(図示せず)が導入される。非水電解液は、捲回軸WLの軸方向の両側から電極体20の内部に浸透する。
[非水電解液]
非水電解液としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられている、適切な非水系溶媒に電解質を含有させた構成のものを特に限定なく使用することができる。典型的には、非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の有機溶媒を用いることができる。非水溶媒は、これらの有機溶媒の1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、電解質(支持塩ともいう)としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)にLiPFを約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。なお、電解質としては、上記非水電解質に代えて、高いイオン伝導性を示すゲルないしは固体状の固体電解質を用いるようにしても良い。
[充放電]
このように構築されたリチウムイオン二次電池100においては、正極30と負極40との間の電荷担体(リチウムイオン)の移動により、充電および放電が行われる。
すなわち、充電時には、正極外部端子60および負極外部端子70の間に外部充電電源を繋ぎ、リチウムイオン二次電池100に電力を供給する。すると、電荷中性条件を満たすべく、電極体20においては、正極30から負極40へとリチウムイオンが移動する。具体的には、正極活物質層34に含まれる正極活物質から非水電解液中にリチウムイオンが放出される。かかるリチウムイオンは、非水電解液を介して、セパレータ50を通過し、負極40に移動する。負極40では、非水電解液中のリチウムイオンが、負極活物質層44に含まれる負極活物質に取り込まれて、リチウムイオンが蓄えられる。
また、放電時には、電極体20において、負極40から正極30へとリチウムイオンが移動する。具体的には、負極活物質層44に含まれる負極活物質から非水電解液中にリチウムイオンが放出される。かかるリチウムイオンは、非水電解液を介して、セパレータ50を通過し、正極30に移動する。正極30では、非水電解液中のリチウムイオンが、正極活物質層34に含まれる正極活物質に取り込まれて、リチウムイオンが蓄えられる。ここで、正極外部端子60および負極外部端子70の間に外部負荷を繋ぐことで、電力を取り出すことができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
以下に説明する手順で、No.1〜4の電極を製造した。
(第二複合粒子の用意)
すなわち、まず、正極活物質として、平均粒子径が4.5μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3を用いた。導電材としては、アセチレンブラック(AB)を用いた。そしてバインダとして、下記の表1に示すように、数平均分子量:35万のアクリル系樹脂バインダを用いた。そして、これらの正極活物質、導電材およびバインダを、質量比が94.5:4:1.5となるように秤量した。そして、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン(株)製、ノビルタ130)に、まず、導電材およびバインダ投入して混合したのち、正極活物質と少量の水とを加えて、分散部動力3kWで、10時間程度混合し、得られた混合物を適宜粉砕・分級することで、平均粒子径が40μm以上の第二複合粒子(造粒粒子)を得た。
(第一複合粒子の用意)
上記の第二複合粒子と同じ正極活物質および導電材を用意した。また、下記の表1に示すように、No.2のバインダとして数平均分子量が35万のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、No.3〜4のバインダは上記第二複合粒子と同じバインダを用意した。そして、これら正極活物質、導電材およびバインダを、No.2および4の第二複合粒子については質量比が94.5:4:1.5となるように、No.3の第二複合粒子については質量比が93.0:4:3.0となるように秤量した。次いで、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン(株)製、ノビルタ130)に、まず、導電材およびバインダ投入して混合したのち、正極活物質と少量の水とを加えて、分散部動力3kWで、10時間程度混合し、得られた混合物を適宜粉砕・分級することで、平均粒子径が40μm以上(No.2〜3)と30μm以下(No.4)の第一の複合粒子(造粒粒子)を得た。
(安息角の測定)
上記のようにして用意した第二複合粒子と、No.2〜4の第一複合粒子について、JIS R 9301−2−2:1999「アルミナ粉末物性測定方法−2:安息角」の規定に準じて、安息角を測定した。すなわち、サンプルをA.B.D.粉体特性測定器(ホソカワミクロン(株)製,パウダテスタPT−S)に供し、一定の高さの漏斗から水平な基板の上に落下させることで円すい状の堆積物を生成させ、その直径および高さから当該堆積物の底角を算出して安息角とした。その結果を、表1に示した。
(電極シートの作製)
No.1の正極シートを以下の手順で作製した。まず、正極集電体として、厚さ約15μmの長尺状アルミニウム箔を用いた。また、上記で用意した第二複合粒子を第二粉体供給機に収容した。そして、コンベア上を搬送される正極集電体の両端部に帯状の集電部を確保しつつ、かかる集電部の間の領域に第二複合粒子を所定の供給速度で供給した。第二複合粒子の供給の際には、幅方向両端にガイドをあてることなく、自然落下により供給した。
そして、正極集電体上に供給した第二複合粒子については、下流に設けた高さセンサ付きのスキージにより過剰な量を掻きとるとともに、正極集電体の幅方向で高さを均一に均すことで、正極集電体上に均一な厚みの第二複合粒子の層を形成した。
そして、さらに下流に設置された圧延部において、かかる複合粒子の層に対しロール圧延を施すことで、厚さが約48μmで、目付量(片面あたり)が約13mg/cmの正極活物質層を形成した。なお、ロール圧延の条件は、以下のとおりとした。
ロール間隔 :110μm
ロール線圧 :1.35t/cm
圧延温度 :25℃
スキージ間隔:95μm
次いで、正極活物質層の幅方向の中央で、正極活物質層と正極集電体とを2条に切断することで、2本のNo.1の正極シートを得た。
次いで、No.2〜4の正極シートを以下の手順で作製した。
すなわち、上記で用意したNo.2〜4の第一複合粒子をそれぞれ第一粉体供給機に、また第二複合粒子を第二粉体供給機に収容した。正極集電体はNo.1の正極シートと同じものを用いた。そして、コンベア上を搬送される正極集電体の両端部に帯状の集電部を確保しつつ、かかる集電部に沿って帯状に設定される2条の第一部分に、第一複合粒子を所定の供給速度で供給した。本実施形態において第一部分の幅は約1.0mmずつとし、必須ではないものの供給の際には第一部分の幅を揃えたり嵩高さを確保するために幅方向両端にガイドをあてるようにした。
次いで、引き続き搬送される正極集電体上の2条の第一部分に挟まれた幅方向中心側の第二部分に、第二複合粒子を所定の供給速度で供給した。
そして、正極集電体上に供給した第一および第二の複合粒子については、さらに下流に設けた高さセンサ付きのスキージにより過剰な量を掻きとるとともに、正極集電体の幅方向で高さを均一に均すことで、正極集電体上に均一な厚みの第一および第二の複合粒子の層を形成した。次いで、No.1の正極シートと同様に圧延し、スリットすることで、2本のNo.2〜4の正極シートを得た。
[剥離強度の測定]
上記で得られたNo.1〜4の正極シートについて、集電部に隣接する側の活物質層の端部の剥離強度を測定した。測定は、一般的な引っ張り試験機を利用して、試験部位に貼り付けた貼り付け面積10mm×150mmのセロハンテープ(スリーオンテック社製、No.6280)を、90°の方向へ一定の速度で引き剥がす際に要する応力(N)を剥離強度として測定した。測定は、N=3(箇所)で行い、その結果を図3に示した。なお、参考のために、活物質層の幅方向の中心近くの剥離強度を同様に測定したところ、13Nであった。
[電極シート捲回時の活物質層の剥離試験]
また、上記で得られたNo.1〜4の正極シートを、直径3mmの円筒形の芯材に巻き付け、集電部に隣接する側の活物質層の端部に欠けが生じていないかどうかを目視で観察した。その結果を表1に併せて示した。また、欠けが生じた部位についての観察像を図4に示した。
図3に示されるように、第二複合粒子のみから活物質層を形成したNo.1の正極シートは、その端部の剥離強度が全正極シートの中で最も低いことがわかった。また、No.1の正極シートの端部の剥離強度は約10Nと、中心部の剥離強度13Nに比べても低いことが確認された。これは、第二複合粒子を正極集電体上に均一に供給するための均しの際に、第二複合粒子のなかでも比較的流動性の高い粒子が活物質層の幅方向の端部により多く移動し、配置されてしまうことに因るものと考えられる。すなわち、流動性の高い第二複合粒子からなる部位は、相対的に剥離強度が低下してしまうことがわかった。
なお、No.1の正極シートを捲回することで、図4に示されるように、活物質層の端部に大きな活物質層の欠け(剥離)が確認された。
これに対し、活物質層の端部により流動性の高い、すなわち安息角の大きい第一複合粒子を配置させるようにしたNo.2〜4の正極シートは、図3に示されるように、いずれも活物質層の端部の剥離強度が向上されたことが確認できた。また、剥離強度の増大とともに、表1に示されるように、実際に正極シートの捲回時に活物質層の端部の欠けが抑制ないしは解消されたことが確認できた。なお、表1の安息角と図3の剥離強度との関係から、本実施形態では、第1部分に用いる第一複合粒子の安息角は第2部分に用いる第二複合粒子の安息角よりも大きくすることが好ましいことがわかった。かかる安息角は、第二複合粒子よりも第一複合粒子について5°以上大きい(例えば安息角35°程度以上)であることが好ましく、より確実に活物質層の剥離を抑制するためには10°以上大きい(例えば安息角40°程度以上)とすることが好ましいことがわかった。
なお、上記のNo.4で用いた第一および第二複合粒子は、複合粒子の平均粒子径の差のみによってその流動性が調整されている。すなわち、平均粒子径のより小さい第一複合粒子は、平均粒子径のより大きい第二複合粒子よりも、安息角が大きく、流動性が低い。つまり、平均粒子径のより小さい複合粒子は、流動性が低くなることがわかる。ここで、No.4の例では、例えば、平均粒径の差により安息角が10°異なるように調製されている。そして、No.4の正極シートの供給端部(第一部分)と供給中央部(第2部分)とで活物質層のBET比表面積を測定したところ、流動性の低い複合粒子により形成した第一部分の方が、第二部分よりも、BET比表面積が0.40m/g以上大きかった。これらのことから、ここに開示される技術により製造される電極においては、例えば、BET比表面積によりその複合粒子の流動性の差を確認できること、さらに、第一部分において第二部分よりもBET比表面積が高くなり得ることが確認できた。なお、概ね、安息角が10°異なる場合、BET比表面積は0.40m/g程度異なってくるといえる。したがって、かかるBET比表面積により造粒粒子の流動性の大小を評価することもできる。
また、上述した実施形態では、電極活物質としてリチウム遷移金属酸化物を用い、リチウムイオン二次電池用の正極を製造した。しかしながら、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、負極の製造についても同様に適用できること、および、各種寸法等の異なるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法についても適用できることは、当業者に十分理解される。また、ここで開示される製造方法で製造された電極は各種用途のリチウムイオン二次電池用に利用可能であり、捲回電極体を構築する場合においても剥離強度に優れたリチウムイオン二次電池を実現し得る。したがって、捲回電極体を構築することで、高いエネルギー密度や出力密度を実現する用途のリチウムイオン二次電池に好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、このリチウムイオン二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなるモジュールの形態で使用されてもよい。
1 第一の複合粒子
2 第二の複合粒子
10 電池ケース
12 ケース本体
14 封口板
20 電極体
30 正極(正極シート)
32 正極集電体
34 正極活物質層
36 正極集電部
40 負極(負極シート)
42 負極集電体
44 負極活物質層
46 負極集電部
50 セパレータ
60 正極外部接続端子
70 負極外部接続端子
62,72 内部端子
64,74 先端部
100 リチウムイオン二次電池
P1 第一部分
P2 第一部分
S スキージ

Claims (10)

  1. 第一の活物質と第一のバインダとを含む第一の複合粒子と、前記第一の複合粒子よりも流動性が高く、第二の活物質と第二のバインダとを含む第二の複合粒子とを用意すること;
    長尺の集電体の長手方向に沿った端部の少なくとも一方に帯状の集電部を設定し、前記集電部に隣接する帯状の領域である第一部分に前記第一の複合粒子を供給すること;
    前記第二の複合粒子を、前記第一部分よりも前記集電体の前記長手方向に直交する幅方向中心側の領域である第二部分に供給すること;および、
    前記集電体上に供給された前記第一および第二の複合粒子を圧延して活物質層を形成すること;
    を含む、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記圧延は、ロール圧延である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記圧延は、前記第一および第二の複合粒子を加熱しながら実施する、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  4. 前記圧延に先立って、
    前記集電体上に供給された第一および第二の複合粒子をスキージで平坦化すること;を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  5. 前記第一の複合粒子は、安息角が35°以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  6. 前記第一の複合粒子は、前記第二の複合粒子よりも安息角が5°以上高い、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  7. 前記第一および第二の複合粒子は、さらに導電材を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  8. 前記第一のバインダの前記第一の複合粒子における配合量は、前記第二のバインダの前記第二の複合粒子における配合量よりも多い、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電極のリチウムイオン二次電池用製造方法。
  9. 前記第一の複合粒子の平均粒子径は、前記第二の複合粒子の平均粒子径よりも小さい、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  10. 前記活物質層を備えた前記集電体を、前記幅方向を軸として捲回することを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
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