JP2015229159A - 逆浸透膜の耐汚染化処理方法 - Google Patents

逆浸透膜の耐汚染化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐汚染化処理効果の持続性、フラックス安定性に優れたRO膜の耐汚染化処理方法を提供する。【解決手段】RO膜に、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を接触させる。ポリアルキレンオキサイド鎖はポリエチレンオキサイド鎖が好ましい。ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物は、従来用いられてきたメチル基やブチル基等の疎水基を有するベタイン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの共重合ポリマーよりもRO膜への吸着性が高く、耐汚染性を長時間持続できる上に、フラックス低下も抑制される。【選択図】図2

Description

本発明は、水処理分野で使用される逆浸透(RO)膜が、有機物や無機物で汚染され、透過流束(フラックス)が低下することを効果的に抑制する耐汚染化処理方法、及びこの方法で耐汚染化処理を行ったRO膜と、RO膜の耐汚染化処理剤に関する。
RO膜は、その特性を生かして、脱塩や濃縮などの目的で各種の水処理分野で広くに実用化されている。
従来、膜汚染によるRO膜のフラックスの低下を抑制するために、RO膜にポリビニルアルコール(PVA)を接触させることが知られている(例えば、特許文献1〜3)。
PVAをRO膜に接触させることにより、RO膜が親水化し、RO膜の透過性能が維持されるようになる。即ち、PVAはOH基が多く、親水性が高いため、PVAをRO膜に付着させることにより、RO膜が親水化され、RO膜への膜汚染物質の吸着が抑制されて耐汚染性が向上する。
しかし、PVAを用いる従来のRO膜の親水化処理では、
(1) PVAが、長期の使用においてRO膜から剥離し、耐汚染化効果が失われてしまう。
(2) PVAをRO膜に付着させることで、付着前に比べてRO膜のフラックスが大きく低下する。
といった問題があった。
これに対して、ベタイン化合物を膜の耐汚染化処理に用いる検討も行われている。
例えば、非特許文献1では、限外濾過膜をカルボキシメチルベタイン系の1−カルボキシ−N,N−ジメチル−N−(2’−メタクリロイルオキシエチル)メタンアミニウム分子内塩とn−ブチルメタクリレートとの共重合ポリマーにより表面修飾して、タンパク質の一種である牛血清アルブミン(BSA)に対する耐汚染化を試みている。
また、非特許文献2では、ポリビニリデンフロライド(PVDF)製の精密濾過膜を、スルホベタイン系の[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]−ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムハイドロオキサイドとメチルメタクリレートとの共重合ポリマーにより表面修飾して、BSAに対する耐汚染化を試みている。
特許文献4には、ホスホリルコリン類似モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合ポリマーよりなるファウリング防止材の記述があり、特許文献5には、ホスホリルコリン類似モノマーとカチオン性(メタ)アクリル酸エステルとの共重合ポリマーがRO膜の耐汚染化の表面処理剤として記述されている。
特開昭51−13388号公報 特開昭53−28083号公報 特開平11−28466号公報 特開2006−239636号公報 特開2014−8479号公報
中尾真一ら、日本膜学会第34年会講演要旨集、52(2012) 大向吉景ら、日本膜学会第34年会講演要旨集、53(2012)
非特許文献1,2や特許文献4,5に記載されるベタイン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの共重合ポリマーにおいては、耐汚染化機能をベタイン系モノマー単位が担い、膜に共重合ポリマーを吸着させるアンカー機能を(メタ)アクリル酸エステル系モノマー単位が担っている。
このような共重合ポリマーによる耐汚染性を持続的に発現させるためには、アンカー部分が膜に安定に吸着することが課題となる。
特許文献5には、ベタイン系モノマーと共重合させるモノマーとして、疎水性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルよりもカチオン性の官能基を有するカチオン性(メタ)アクリル酸エステルの方が有効であることが記されているが、カチオン性の官能基を有するものでは、RO膜のフラックスを低下させてしまう問題がある。特許文献5では、通水試験での相対的変化しか示されていないが、カチオン性の共重合ポリマーで膜を表面修飾することによって、初期のフラックスが低下していると考えられる。また、ベタイン系の共重合ポリマーでは、ベタイン系モノマー単位の荷電が中和されることで耐汚染性を発現するのに対して、余剰のカチオン性の官能基を膜表面に生じさせることにより、シリカ等のアニオン性物質が吸着するリスクもある。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、耐汚染化効果を長期間維持することができ、しかも、比較的高いフラックスを維持することができるRO膜及びそのための耐汚染化処理方法と耐汚染化処理剤を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、ポリエチレングリコールがRO膜との吸着性が高いという知見から、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を用いることで、従来用いられてきた、メチル基やブチル基等の疎水基を有する、ベタイン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの共重合ポリマーよりもRO膜への吸着性が向上すること、また、ベタイン系モノマーとカチオン性(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの共重合ポリマーのような初期フラックスの低下やアニオン性物質の吸着といった問題もないこと、このため、比較的高いフラックスを維持した上で、耐汚染化効果を長期間維持できることを見出した。
なお、本発明者らは、PVAにおける前述の(1),(2)の問題を解決するものとして、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する変性PVAを用いるRO膜の親水化処理方法を提案しているが(特願2012−279590)、本発明によれば、このポリアルキレンオキサイド鎖を有する変性PVAと同等以上の効果を奏する耐汚染化処理方法が提供される。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 逆浸透膜に、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を接触させることを特徴とする逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
[2] 前記ポリアルキレンオキサイド鎖がポリエチレンオキサイド鎖であることを特徴とする[1]に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
[3] 前記ベタイン化合物が、下記式(1)、式(2)又は式(3)で表される部分構造を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
Figure 2015229159
(上記式(1)〜(3)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
[4] 液導入口と液排出口とを有する容器内を前記逆浸透膜で仕切り、該液導入口から導入した前記ベタイン化合物を含む水溶液を該逆浸透膜に透過させて該液排出口から排出させて通水することにより、該逆浸透膜に該ベタイン化合物を接触させることを特徴とする、[1]ないし[3]のいずれかに記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかに記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法により耐汚染化処理されてなる逆浸透膜。
[6] ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を含む逆浸透膜の耐汚染化処理剤。
本発明によれば、RO膜を、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物で処理することにより、RO膜の耐汚染性を高め、またその耐汚染化効果を長期に亘って維持することができる。しかも、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物であれば、耐汚染化処理によるRO膜の初期フラックスの低下を抑制することもできる。
実施例で用いた平膜試験装置の構成を示す模式図である。 実施例1及び比較例1〜4におけるフラックスの経時変化を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<RO膜>
本発明が適用されるRO膜としては、芳香族ポリアミドを緻密層とするポリアミド系RO膜が挙げられるが、ポリアミド系のナノ濾過膜を対象としてもかまわない。すなわち、本発明で処理対象とするRO膜はナノ濾過膜を含有する広義のRO膜である。また、新しい膜や使用後の膜、劣化した膜などにも問題なく適用が可能である。
RO膜の構造についても特に制限はなく、平膜モジュール、スパイラル型モジュール、中空糸モジュールなどを用いることができる。
<ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物>
本発明において、RO膜の耐汚染化処理に用いるポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物による耐汚染化の作用機構は以下の通りである。
(1) ベタイン系の構造部分をRO膜表面に存在させることにより、生物代謝物等の膜汚染物質に対するRO膜の耐汚染性を向上させる。
(2) RO膜への親和性が高いアルキレンオキサイド鎖部分がRO膜に安定に吸着することにより、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物をRO膜に安定に吸着させることで、上記(1)の効果を長期に亘り維持する。
本発明で用いるポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物の形態としては特に制限はないが、ベタイン系化合物よりなるモノマー(以下、「ベタイン系モノマー」と称す。)と、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとの共重合体であることが、上記(1),(2)の効果を有効かつ確実に得ることができるため、好ましい。
ベタイン系モノマーとしては、下記式(1)〜(3)で表される部分構造を、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物に導入できるようなものが好ましい。
Figure 2015229159
(上記式(1)〜(3)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
このような化合物としては、上記式(1)〜(3)で表される部分構造と、共重合可能な炭素−炭素二重結合とを有するものが挙げられ、例えば、下記式(4)〜(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015229159
(上記式(4)〜(6)において、R〜Rは前記式(1)〜(3)におけると同義であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
より具体的には、下記式(4A)で表される[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩(以下、「MPDSAH」と記載する。)、下記式(5A)で表される1−カルボキシ−N,N−ジメチル−N−(2’−メタクリロイロキシエチル)メタアミニウム分子内塩、下記式(6A)で表される2−メタクリロイルオキシエチル−2−トリメチルアンモニオエチルホスフェートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2015229159
一方、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとしては、ポリアルキレンオキサイド鎖と、共重合可能な炭素−炭素二重結合とを有するものが挙げられ、例えば、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、本発明では、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとしては、下記式(7)で表されるポリアルキレングリコールモノアリルエーテルが好ましいものとして挙げられる。
Figure 2015229159
(上記式(7)中、m,nは、それぞれ独立に0〜30の整数である。ただし、mとnが共に0となることはない。)
上記式(7)で表されるポリアルキレンオキサイドモノアリルエーテルとしては、ポリエチレンオキサイドモノアリルエーテル、ポリプロピレンオキサイドモノアリルエーテルなどが挙げられ、上記式(7)におけるm,nはその合計で2〜50、特に2〜20であることが好ましい。この値が小さ過ぎると、ポリアルキレンオキサイド鎖によるRO膜への吸着性の向上効果を十分に得ることができず、大きすぎると、耐汚染化処理によるRO膜のフラックスの低下が大きくなるため好ましくない。
上記の共重合モノマーの共重合比は、ベタイン系モノマーの割合が多過ぎ、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーの割合が少な過ぎると、ポリアルキレンオキサイド鎖部分による前記(2)の吸着安定性の効果を十分に得ることができず、逆に、ベタイン系モノマーの割合が少な過ぎ、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーの割合が多過ぎると、ベタイン系の構造部分による前記(1)の耐汚染化効果を十分に得ることができないため、ベタイン系モノマー:ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーのモル比で、ベタイン系モノマー:ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマー=1:0.1〜10、特に1:0.2〜5の割合で用いることが好ましい。
ベタイン系モノマーとポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとの共重合反応は、常法に従って行うことができる。
このようなベタイン系モノマーとポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとの共重合体は、分子量が小さ過ぎると膜への吸着安定性が低くなり、逆に分子量が多過ぎると吸着させたときの膜のフラックスを大きく低下させることから、重量平均分子量が5000〜150000、特に10000〜100000であることが好ましい。
なお、本発明において重量平均分子量は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて算出した値である。
なお、ベタイン系モノマーとポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとの共重合体は、ベタイン系モノマー及びポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマー以外の他の共重合成分を有するものであってもよい。ただし、ベタイン系の構造部分による前記(1)の効果と、ポリアルキレンオキサイド鎖部分による前記(2)の効果を有効に得る上で、他の共重合成分の割合は全共重合成分中30モル%以下であることが好ましい。
本発明において、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物としては、1種のみを用いてもよく、また、共重合モノマーの種類やモノマーの共重合比、分子量等の異なるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
このようなポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物は、通常0.1〜5000mg/L、好ましくは1〜1000mg/L程度の濃度の水溶液としてRO膜の耐汚染化処理に用いられる。この濃度が低過ぎると目的とする耐汚染化効果を得るための処理時間を長く要し非効率であり、逆にこの濃度が高過ぎると水溶液の粘性が高くなり、RO膜への接触処理時の取り扱いの面で好ましくない。
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物の水溶液の調製に用いる水としては、特に制限はなく、脱塩水などのイオン負荷の低い水が用いられるが、RO膜供給水にポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を直接添加して処理を行うことも可能である。
<耐汚染化処理方法>
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物をRO膜に接触させる方法には特に制限はないが、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物の水溶液をRO膜に加圧通水して接触させることが好ましい。
即ち、例えば、液導入口と液排出口を有する容器内を被処理RO膜で仕切り、液導入口からポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物の水溶液を導入してRO膜を透過させて液排出口から排出させる方法が挙げられる。この場合、通常のRO膜分離装置のRO膜モジュールのRO供給水に対して、前述の如く、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を直接添加して耐汚染化処理を行うこともできる。即ち、本発明による耐汚染化処理は、既存のRO膜分離装置のRO膜モジュールに対して、RO膜分離処理中に、RO膜の被処理水にポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を添加して実施することもできるし、RO膜分離処理を中断して実施することもできる。
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物の水溶液をRO膜に加圧通水する際の圧力に特に制限はないが、0.1〜2.0MPaの範囲が好ましい。なお、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物の水溶液のRO膜への通水には、通常、RO膜の洗浄で使用するポンプが用いられ、この場合にはポンプの能力から、通水圧力は0.1〜0.5MPaの範囲となる。通水する際のフラックスに特に制限はないが、0.1〜1.0m/day程度が好ましい。この通水条件が低すぎると十分な耐汚染化効果が得られず、高すぎるとフラックスの低下が大きくなる懸念がある。
処理時間としては特に制限はないが、1時間以上1000時間以下が好ましく、2時間以上300時間以下がさらに好ましい。処理時間が短いと十分な耐汚染化効果が得られず、長いとRO膜のフラックスが低下しすぎる懸念がある。
また、耐汚染化処理中の温度(水温)は10〜35℃であることが好ましい。水温が低すぎるとフラックスが低下し、接触効率が悪化する。水温が高すぎると膜素材の変性等の問題が出てくることが考えられる。
このような本発明の耐汚染化処理方法で処理されたRO膜は、超純水製造システム、排水回収システム、その他水処理システムに好適に使用することができる。
以下、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[合成例1]
前記式(4A)で表されるMPDSAH(Aldrich社製)と前記式(7)で表されるポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(三洋化成社製「サニコールH−0800」、式(7)において、m=5〜10、n=0)を1:4のモル比で水溶液中で共重合させて、重量平均分子量50000の共重合体(以下「AO−MPDSAHコポリマー」と称す。)を得た。具体的には、重合開始剤として過硫酸カリウムを用い、ポリアルキレングリコールモノアリルエーテルの水溶液中に、MPDSAHと過硫酸カリウムを水溶液として滴下する方法で反応させた。反応温度は80℃、反応時間は20時間とした。
[合成例2]
MPDSAH(Aldrich社製)のみを用いて水溶液中で重合させることにより、重量平均分子量50000の重合体(以下、「MPDSAHホモポリマー」と称す。)を得た。重合開始剤としては過硫酸カリウムを用い、反応温度は80℃、反応時間は4時間とした。
[平膜試験装置]
以下の実施例及び比較例では、図1に示す平膜試験装置を用いてフラックスの測定を行った。
図1の平膜試験装置では、RO膜供給水が、配管11よりポンプ4で、密閉容器1のRO膜をセットした平膜セル2の下側の原水室1Aに供給され、RO膜透過水が透過水室1Bを経て配管12より取り出され、濃縮水が配管13より取り出される。原水室1A内はスターラー3による攪拌子5の回転で攪拌される。密閉容器内圧力は、給水配管11に設けた圧力計6と圧力調整バルブ7により所定圧力に調整される。
RO膜としては、日東電工社製超低圧ポリアミド膜「ES20」、又は耐汚染膜として市販されているDow Filmtec社製超低圧ポリアミド膜「XFRLE」を使用した。
試験は、操作圧力0.75MPa、温度25℃の条件で行った。
[実施例1]
RO膜としてES20を用い、AO−MPDSAHコポリマーを純水により1mg/Lの濃度に希釈したものを9日間通水したところ、フラックスは、0.85m/(m・day)で安定化した。これにより、ES20がAO−MPSDAHコポリマーにより十分に処理されたと判断し、RO膜供給水を1mg/Lのキサンタンガム水溶液に切り替えて、フラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
[比較例1]
RO膜へのAO−MPSDAHコポリマーの吸着を行わなかったこと以外は実施例1と同条件で、ES20に1mg/Lのキサンタンガム水溶液を通水して、フラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
[比較例2]
RO膜としてES20の代りにXFRLEを用いたこと以外は比較例1と同条件で、1mg/Lのキサンタンガム水溶液を通水して、フラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
[比較例3]
AO−MPDSAHコポリマーの代わりに、特願2012−279590の実施例1で用いたポリアルキレンオキサイド鎖を有する変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製「エコマティWO−320N」、以下「EO−PVA」と称す。)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてRO膜の処理を行い、その後キサンタンガム水溶液を通水したときのフラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
[比較例4]
AO−MPDSAHコポリマーの代わりに、MPDSAHホモポリマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてRO膜の処理を行い、その後キサンタンガム水溶液を通水したときのフラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
図2より次のことが分かる。
未処理のES20に通水した比較例1では、フラックスが0.75m/(m・day)以下に低下した。耐汚染膜であるXFRLEに通水した比較例2でも0.75m/(m・day)に近い値にまで低下している。EO−PVAでES20を処理した比較例3では、比較例1、2よりもフラックスが安定化する傾向が見られる。
MPDSAHホモポリマーを用いた比較例4では、フラックスが大きく低下してしまっており、ベタイン化合物による効果的な処理ができていないことが分かる。
これに対して、AO−MPDSAHコポリマーを用いた実施例1では、初期値の0.85m/(m・day)からほとんど変化しておらず、比較例1〜4よりも、フラックスが高く維持されている。この実施例1では、キサンタンガム水溶液の通水を開始した時点のフラックスを1とすると、357時間後のフラックスは0.95であり、非常に安定である。
以上の結果から、本発明によれば、初期フラックスの低下を抑制した上で、RO膜の耐汚染性を効果的に向上させることができ、膜汚染物質が存在するRO膜供給水を通水してもフラックスを高く維持することができることが分かる。
1 容器
1A 原水室
1B 透過水室
2 平膜セル
3 スターラー

Claims (6)

  1. 逆浸透膜に、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を接触させることを特徴とする逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
  2. 前記ポリアルキレンオキサイド鎖がポリエチレンオキサイド鎖であることを特徴とする請求項1に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
  3. 前記ベタイン化合物が、下記式(1)、式(2)又は式(3)で表される部分構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
    Figure 2015229159
    (上記式(1)〜(3)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  4. 液導入口と液排出口とを有する容器内を前記逆浸透膜で仕切り、該液導入口から導入した前記ベタイン化合物を含む水溶液を該逆浸透膜に透過させて該液排出口から排出させて通水することにより、該逆浸透膜に該ベタイン化合物を接触させることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法により耐汚染化処理されてなる逆浸透膜。
  6. ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物を含む逆浸透膜の耐汚染化処理剤。
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