JP2015227022A - 積層フィルム及び透明基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルムの一方の面側に耐熱性樹脂層A,他方の面側に耐熱性樹脂層Bを備えた積層フィルムであって、耐熱性樹脂層Aは、平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を該層中に40体積%〜70体積%の割合で含有し、且つ、基材フィルムの厚みの4%〜15%の厚みを有する硬化樹脂層であり、基材フィルム介して耐熱性樹脂層Aとは反対側に位置する耐熱性樹脂層Bは、微粒子を含有しないか或いは平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を該層中に10体積%以下の割合で含有し、且つ、前記耐熱性樹脂層Aの厚みの200%〜400%の厚みを有する硬化樹脂層であることを特徴とする積層フィルムを提案する。
【選択図】なし
Description
耐熱性樹脂層Aは、平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を該層中に40体積%〜70体積%の割合で含有し、且つ、基材フィルムの厚みの4%〜15%の厚みを有する硬化樹脂層であり、
基材フィルム介して耐熱性樹脂層Aとは反対側に位置する耐熱性樹脂層Bは、微粒子を含有しないか或いは平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を該層中に10体積%以下の割合で含有し、且つ、前記耐熱性樹脂層Aの厚みの200%〜400%の厚みを有する硬化樹脂層であることを特徴とする積層フィルムを提案する。
しかも、耐熱性樹脂層A、Bが含有する粒子は、平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子であるから、光の散乱が少なく、光学特性やデバイス特性を阻害することもない。
本発明の実施形態の一例に係る積層フィルム(以下、「本積層フィルム」と称する。)は、基材フィルムの一方の面側に耐熱性樹脂層A、他方の面側に耐熱性樹脂層Bを備えた構成を有する積層フィルムである。
基材フィルムとしては、該フィルムを構成する樹脂の種類及びその製法を限定するものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂及び環状オレフィンホモポリマーや環状オレフィンコポリマー等の環状オレフィン系樹脂などの樹脂を含有するフィルム、好ましくはこれらの樹脂を主成分とするフィルム、例えば、これらの樹脂からなるフィルムを挙げることができる。
当該二軸延伸ポリエステルフィルムとしては、光学特性及び機械特性を確保する観点から、例えば、押出法により押し出されたポリエステルフィルムを二軸延伸し、必要に応じて熱固定したフィルムが好ましい。
当該粒子としては、平均粒子径が0.02μm〜3.0μm、中でも0.02μm〜2.0μmの粒子が好ましい。平均粒子径が0.02μm以上であれば、フィルムの巻き特性が劣ることもなく作業性を維持することができる。また、平均粒子径が3.0μm以下であれば、フィルム表面の平面性を維持することができ、表面粗さによるヘーズの上昇を抑えることができる。
ここで「平均粒子径」とは、数平均粒子径の意味であり、粒子の形状が球状の場合には、「測定粒子の円相当径の総和/測定粒子の数」で算出することができ、また、粒子の形状が球状でない場合には、「短径と長径の総和/測定粒子の数」で算出することができる。また、2種類以上の粒子を含有する場合には、それら混合粒子の平均粒子径が前記の「平均粒子径」となる。他の箇所に記載された平均粒子径についても同様である。
耐熱性樹脂層A及びBは、本積層フィルムに主に耐熱性を付与するための層であり、基材フィルムの一方の面側に位置する耐熱性樹脂層Aは、平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を40体積%〜70体積%の割合で含有し、且つ、基材フィルムの厚みの4%〜15%の厚みを有する層である。他方、基材フィルム介して耐熱性樹脂層Aとは反対側に位置する耐熱性樹脂層Bは、微粒子を含有しないか或いは10体積%以下の割合で含有し、且つ、前記耐熱性樹脂層Aの厚みの200%〜400%の厚みを有する層であるのが好ましい。
さらに本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に形成する耐熱性樹脂層A、Bにおける、微粒子の含有量と各層の厚みを各層毎に異ならせしめて非対称構成としたことにより、反りを生じることなく、耐熱性及び平滑性の両方を得ることができる。すなわち、上述のように、一方の耐熱性樹脂層Aについては、微粒子の含有量が多く、各微粒子が隣接する微粒子と密に接するため、高温での熱寸法安定性を得ることができる。他方、耐熱性樹脂層Bについては、微粒子を含有しないか或いは含有量が少ないため、耐熱性樹脂層B側のフィルム表面の平滑性を高めることができる。
しかも、微粒子を多く含有する耐熱性樹脂層Aについては、基材フィルムの厚みの4〜15%の厚みとし、微粒子を含有しないか或いは僅かに含有する耐熱性樹脂層Bについては、耐熱性樹脂層Aの厚みの200%〜400%の厚みとするように、両層の微粒子含有量と厚みを調整することで、反りの発生を抑えることもできる。
耐熱性樹脂層Aは、上述のように、平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を40体積%〜70体積%の割合で含有し、且つ、基材フィルムの厚みの4〜15%の厚みを有する層とするのが好ましい。
このような耐熱性樹脂層Aを形成することで、加熱時に基材フィルムが収縮するのを抑制することができ、また積層フィルム表面で反射する光の量を低減させて高い透明性を付与することができる。
かかる観点から、耐熱性樹脂層Aにおける微粒子の含有率は40体積%〜70体積%であるのが好ましく、中でも50体積%以上或いは65体積%以下、その中でも特に55体積%以上或いは65体積%以下であるのがさらに好ましい。
耐熱性樹脂層Bは、上述のように、微粒子を含有しないか或いは10体積%以下の割合で含有し、且つ、前記耐熱性樹脂層Aの厚みの200%〜400%の厚みを有する層であるのが好ましい。
このような耐熱性樹脂層Bを形成することで、少なくとも耐熱性樹脂層B側のフィルム表面の平滑性を得ることができると共に、上記耐熱性樹脂層Aとのバランスにより、積層フィルムの反りを抑制することができる。
上記のように、微粒子をより高充填することでフィルムの耐熱性を向上させることができるが、耐熱性樹脂層の乾燥、硬化工程において微粒子が表出した場合、平滑性が失われてしまう。このため、一面側の耐熱性樹脂層Bについては、微粒子を含まないか、或いは表層に微粒子が表出し難い低濃度とすることで、当該フィルム表面の平滑性を確保することができる。
かかる観点から、耐熱性樹脂層A及びBの合計厚みは、基材フィルムの厚みの600%以下であるのが好ましく、中でも50%以下、その中でも45%以下であるのがさらに好ましい。
他方、耐熱性樹脂層A及びBの合計厚みが基材フィルムの12%以上であることが好ましい。耐熱性樹脂層A及びBの合計厚みが基材フィルムの12%以上であれば、耐熱性を高めることができ、例えば、本積層フィルムを200℃で30分間加熱した際のMD方向及びTD方向の熱収縮率が、いずれにおいても1.2%未満とすることができる。但し、耐熱性樹脂層A及びBが過剰に厚いと、ひびや割れが発生しやすくなり好ましくない。
かかる観点から、表裏両側の耐熱性樹脂層A及びBの合計厚みが基材フィルムの12%以上であることが好ましく、中でも基材フィルムの厚みの13%以上であることがより好ましく、特に15%以上或いは50%以下であることがより一層好ましく、中でも特に20%以上或いは45%以下であることがさらに好ましく、30%を越え45%以下であることが最も好ましい。
耐熱性樹脂層A,Bは、硬化樹脂層からなる層である。ここで、硬化樹脂層とは、主剤及び硬化剤の混合、湿気等の外部環境変化及び光又は熱エネルギーを与えることにより、当該層を形成する組成物が反応して硬化(架橋)して得られる層である。
硬化樹脂層としては、二液性硬化樹脂層、常温硬化樹脂層、光硬化樹脂層及び熱硬化樹脂層を挙げることができ、好ましくは光硬化樹脂層又は熱硬化樹脂層、すなわち光エネルギー又は熱エネルギーを与えることにより、当該層を形成する組成物を反応させて硬化(架橋)させて得られる硬化樹脂層を挙げることができる。
上記光又は熱硬化樹脂層(以下、総称して単に「硬化樹脂層」とも称する)は、具体的には、光重合性化合物、光重合開始剤及び必要に応じて微粒子を含有してなる光硬化性組成物、又は熱硬化性樹脂及び必要に応じて微粒子を含有してなる熱硬化性組成物(以下、総称して単に「硬化性組成物」ともいう)を光又は熱により硬化(架橋)して得られる層である。
光重合性化合物としては、重合性不飽和結合を有する化合物、具体的にはエチレン性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマーを挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリレートモノマーや、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及びフルオレン(メタ)アクリレート等の分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を好適に例示することができる。
このような光重合性化合物を使用することにより、積層時の透明性、耐熱性などの効果を奏することができる。なお、これらは1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
活性エネルギー線として紫外線照射を応用する場合、光重合開始剤は必須であり、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等の光重合性開始剤を使用することができる。
上記光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2− ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド及びメチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂及びアクリル樹脂や、透明ポリイミド前駆体ワニスなどを挙げることができる。
耐熱性樹脂層A,B中に含有させる微粒子は、平均粒子径が1nm〜200nmである微粒子であるのが好ましく、中でも平均粒子径が4nm以上或いは100nm以下、その中でも5nm以上或いは50nm以下の範囲にある微粒子を用いるのが特に好ましい。
平均粒子径が200nm以下であれば、入射した可視光領域の光はミー散乱現象によって入射する光に対して散乱現象を起こすことがなく、フィルムの透明性を確保することができる。
特に好ましくは、線膨張係数や比重、価格の点において、酸化ケイ素微粒子が好ましい。
上記硬化性組成物には、上記以外の成分として、例えば、上記例示以外の他の光重合性化合物や、熱硬化性樹脂、光重合開始剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材及び熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で含有することができる。
その他、硬化性、吸水性及び硬度などの物性を調整するために、上記熱可塑性樹脂以外にも、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂等のポリマー成分を含有させることも可能である。
後述する種種のコーティング方式に応じて、溶剤の種類や添加量は適宜選択することができる。
これら溶剤の使用量は、特に制限されるものではない。通常、硬化性組成物の固形分全体量100質量部に対して、0〜300質量部である。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏面に耐熱性樹脂層A、Bを直接重ねて積層してもよいし、また、基材フィルムと当該耐熱性樹脂層A,Bとの間に他の層が介在してもよい。基材フィルムと当該耐熱性樹脂層A,Bとの間に、耐熱性樹脂層A及びBの基材フィルムへの密着性を改良するためのプライマー層などを介在させることができる。
本積層フィルムが備えることができる各種物性について説明する。
本積層フィルムに関しては、下記の方法にて測定した反りの値を10mm未満、特に好ましくは7mm未満、さらに特に好ましくは5mm未満とすることができる。
測定は、MD方向及びTD方向について5回ずつ行い、その平均値を算出し、MD方向及びTD方向の平均値のうち、大きな値を積層フィルムの反りの値とすればよい。
本積層フィルムに関しては、前記耐熱性樹脂層Bの表面、すなわち耐熱性樹脂層B側のフィルム表面の平均面粗さ(算術平均粗さSa)を0.5nm〜3nm、中でも0.5nm以上或いは2nm以下、その中でも0.5nm以上或いは1.5nm以下とすることができる。
本積層フィルムに関しては、全光線透過率を80%〜95%、中でも85%以上或いは95%以下、その中でも90%以上或いは95%以下とすることができる。
本積層フィルムに関しては、200℃で30分間加熱した際の巻き取り方向(MD方向)及び直交方向(TD方向)のいずれの熱収縮率も1.2%未満とすることができる。
積層フィルムがかかる範囲の熱収縮率を有することで、回路や素子を形成する際の寸法ズレが少なくなり、また無機バリア層を積層させる際にも、より高いバリア性を得ることができる。
特に二軸延伸フィルムなどでは、製膜工程中に横方向の施緩処理によって熱収縮率を低減することが可能であるが、縦方向の施緩処理は別工程が必要である場合が多く、一般的に縦方向の熱収縮率が相対的に大きくなる。そのため、本積層フィルムでは特に縦方向の熱収縮率を低減させることが好ましい。
本積層フィルムは、例えば、基材フィルムの少なくとも表裏両面に、熱硬化性樹脂又は光重合性化合物、必要に応じて光重合開始剤を含有し、さらに必要に応じて微粒子を含有してなる硬化性組成物を塗付し、硬化させて耐熱性樹脂層A,Bを形成して、本積層フィルムを作製することができる。但し、本積層フィルムの作製方法をこのような方法に限定するものではない。
上記の高圧水銀灯を使用する場合は、80W/cm〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5m/分〜60m/分で硬化させるのが好ましい。
他方、電子線により硬化させる場合は、100eV〜500eVのエネルギーを有する電子線加速装置の使用が好ましい。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏面側に所定の耐熱性樹脂層A及びBを備えた構成であるから、基材フィルムに対してヒートセット処理を行わなくても、透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れた積層フィルムを得ることができる。しかしながら、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされたフィルムを使用することも可能である。
中でも、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされた2軸延伸ポリエステルフィルムは、基材フィルムとして好ましい一例である。
本積層フィルムは、例えば太陽電池、中でも特に有機系太陽電池、フレキシブルディスプレイ、有機発光ディスプレイ、電子ペーパー、有機EL照明、タッチパネルなどの基板材料として用いることができる積層フィルム、及びこれを基材として備えた透明基板などとして使用することができる。但し、これらの用途に限定されるものではない。
より具体的には、本積層フィルム上に、直接又は樹脂材料からなる下塗り層を介して、透明導電層を形成して導電性フィルム(「本導電性フィルム」と称する)を作製することができ、本導電性フィルムも上記用途に用いることができる。
本積層フィルムに設けられた耐熱性樹脂層A及びBの一方又は両方に、ガスバリア加工を施し、更に透明導電層を形成することで、バリアフィルム性を有する透明導電性フィルムとして使用することもできる。
次に、本積層フィルム上に、直接又は樹脂材料からなる下塗り層を介して、透明導電層を形成してなる構成を備えた導電性フィルム(「本導電性フィルム」と称する)について説明する。
上記透明導電層の材料を特に限定するものではない。透明な導電性の膜を形成することができる材料であればよい。例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、さらには酸化インジウム、酸化亜鉛及び酸化ガリウムを含有する複合酸化物(IGZO)などの薄膜が挙げられる。これらの化合物は、適切な生成条件を選択することにより、透明性と導電性を両立できる。
本積層フィルム上への透明導電層の形成の際、下塗り層を介することが好ましい。下塗り層を介することによって、透明導電層の密着性、結晶性を向上させることができる。中でも、耐熱性樹脂層A及びB中に微粒子(フィラー)が含有する場合には、本積層フィルム上への透明導電層の形成の際に上記下塗り層を介在させることが好ましい。このように下塗り層を介在させることで、表面平滑性を高め、透明導電層の連続性を高めることができる理由から、本導電性フィルムの表面抵抗値を低くすることができる。
なお、下塗り層の平坦性が悪いと、透明導電層の結晶成長を阻害する可能性があることから、下塗り層は実質的に粒子を有していないことが好ましい。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
また、「主成分」と表現した場合、全構成成分中、当該成分を50質量%以上含むことを意味する。
ここでは先ず、実施例及び比較例の際に行った各種物性値の測定方法について説明する。
粒子の平均粒子径は、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)S−4500を用いて測定した。具体的には、試料の傾斜角を30度、加速電圧5kV、ソーキングディスタンス15mm、直接倍率を30,000倍に設定し、デジタル画像を取得後、得られた画像からランダムに200個の粒子の粒径を実測し、その平均を求めることで粒子の平均粒子径とした。
この際、粒子の形状が球状の場合には、「測定粒子の円相当径の総和/測定粒子の数」を算出し、粒子の形状が球状でない場合には、「短径と長径の総和/測定粒子の数」を算出して平均粒子径を求めた。
実施例・比較例で得た積層フィルムの表面粗さは、直接位相検出干渉法、いわゆるマイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法を用いた非接触表面計測システム(マイクロマップ社製「Micromap512)」により、試料フィルムの耐熱性樹脂層B面の表面粗さ(Sa)を計測した。この際、測定波長は554nmとし、対物レンズは50倍を用いて、173μm×129μmのエリアから計測される値を用い、フィルムに対してランダムに48点の計測地点から算出される値の平均値とした。
実施例・比較例で得られた積層フィルムの全光線透過率は、以下の装置を用い、JIS
K7361に準拠する方法にて測定した。
反射・透過率計:株式会社村上色彩技術研究所「HR−100」
実施例・比較例で得られた積層フィルムから、巻き取り方向(MD方向)、直交方向(TD方向)の長さがそれぞれ200mm、50mmの短冊状の積層フィルム片を切り出した。切り出した積層フィルム片を、短辺側の片方の端辺を固定して吊るした状態で、熱風乾燥機を用いて200℃で30分熱処理した後、反りの内面側を上面にして平板に静置し、室温にて放置冷却後、固定されていない短辺側の端辺中央部の、平板からの浮き上がりの値を計測し、MD方向の反りの値とした。
測定は、MD方向及びTD方向について5回ずつ行い、その平均値を算出し、MD方向及びTD方向の平均値のうち、大きな値を積層フィルムの反りの値とした。
実施例・比較例で得られた積層フィルムから、巻き取り方向(MD方向)、直交方向(TD方向)の長さがそれぞれ200mm、50mmの短冊状に切り出し、その中間に長さ150mm間隔の標線を記入して試験片を作製した。この試験片を、200℃に設定した恒温槽内で30分間無荷重の状態で懸垂し、取り出した後、室温で、15分以上放冷し、恒温槽に入れる前後の標線間の長さから熱収縮率を%値で求めた。なお、測定は5回行い、その平均値を算出し、MD方向の熱収縮率とした。
MD方向、TD方向それぞれの熱収縮率のうち、大きな値を示す方を積層フィルムの熱収縮率とした。
(硬化性組成物aの調製)
光重合性6官能ウレタンアクリレート(分子量約800、新中村化学工業株式会社製、商品名「U−6LPA」)21.9質量%、透明微粒子として株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」(平均粒子径10nm)(以下「微粒子a」)を77.4質量%、及び、光重合開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.7質量%からなる硬化性組成物100質量部に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)34.1質量部を均一に混合し、耐熱性樹脂層形成用の硬化性組成物aを得た(以下、「塗料a」と称する。組成物中の固形分量は66%であった。)。
光重合性6官能ウレタンアクリレート(分子量約800、新中村化学工業株式会社製、商品名「U−6LPA)50.0質量%、光重合開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)2.5質量%、及び、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)47.5質量%を均一に混合し、耐熱性樹脂層形成用の硬化性組成物bを得た(以下、「塗料b」と称する)。
厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂製、商品名「T602E25N−N」、以下「フィルムa」と称する)の片面に、上記で調製した塗料aを、硬化後の厚みが所定の厚みになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に5分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化樹脂層からなる耐熱性樹脂層Aを有する積層フィルムを得た。
耐熱性樹脂層Aにおける微粒子aの体積割合は63.4体積%であった。また、光重合性化合物の体積割合は35.5体積%であり、光重合開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
得られた積層フィルムの特性を上記記載の要領で評価した。結果は表1に示す。
(積層フィルムの作製)
上記フィルムaの片面に、硬化後の厚みが2μmの厚みになるように、ワイヤーバーコーターを用いて塗料aを塗布した後、100℃に設定したオーブン中に5分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、フィルムの片面に光硬化樹脂層からなる耐熱性樹脂層Aを有するフィルムを得た。
その後、前記フィルムの当該耐熱性樹脂層Aが形成されていない面に対し、硬化後の厚みが2μmの厚みになるように、ワイヤーバーコーターを用いて塗料aを塗布した後、耐熱性樹脂層Aと同様の方法を用いて、光硬化樹脂層からなる耐熱性樹脂層B’を形成し、樹脂層A,B’が形成された積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの特性を実施例1と同様にして評価した。結果は表1に示す。
(硬化性組成物cの調製)
光重合性6官能ウレタンアクリレート(分子量約800、新中村化学工業株式会社製、商品名「U−6LPA)95.0質量%、透明微粒子として微粒子aを2.1質量%、及び、光重合開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)2.9質量%からなる硬化性組成物100質量部に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)34.1質量部を均一に混合し、耐熱性樹脂層形成用の硬化性組成物cを得た(以下、「塗料c」と称する)。組成物中の固形分量は42.9%であった。
上記フィルムaの片面に、前記塗料aを、硬化後の厚みが表1に示した厚みになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に5分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化樹脂層からなる耐熱性樹脂層Aを有する積層フィルムを得た。
なお、耐熱性樹脂層Aにおける微粒子aの体積割合は63.4体積%であった。また、光重合性化合物の体積割合は35.5体積%であり、光重合開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
他方、耐熱性樹脂層B”における微粒子aの体積割合は1.0体積%であった。
得られた積層フィルムの特性を実施例1と同様にして評価した。結果は表1に示す。
(硬化性組成物dの調製)
光重合性6官能ウレタンアクリレート(分子量約800、新中村化学工業株式会社製、商品名「U−6LPA)31.4質量%、透明微粒子として微粒子aを67.7質量%、及び、光重合開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.9質量%からなる硬化性組成物100質量部に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)34.1質量部を均一に混合し、耐熱性樹脂層形成用の硬化性組成物dを得た(以下、「塗料d」と称する)。組成物中の固形分量は61.2%であった。
上記フィルムaの片面に、上記で調製した塗料dを、硬化後の厚みが表1に示した厚みになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に5分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化樹脂層からなる耐熱性樹脂層A’を有する積層フィルムを得た。
なお、耐熱性樹脂層A’における微粒子aの体積割合は48.9体積%であった。
得られた積層フィルムの特性を実施例1と同様にして評価した。結果は表1に示す。
上記フィルムaを、実施例1と同様にして評価した。結果は表1に示す。
Claims (8)
- 基材フィルムの一方の面側に耐熱性樹脂層A,他方の面側に耐熱性樹脂層Bを備えた積層フィルムであって、
耐熱性樹脂層Aは、平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を該層中に40〜70体積%の割合で含有し、且つ、基材フィルムの厚みの4〜15%の厚みを有する硬化樹脂層であり、
耐熱性樹脂層Bは、微粒子を含有しないか或いは平均粒子径が1nm〜200nmの範囲にある微粒子を該層中に10体積%以下の割合で含有し、且つ、前記耐熱性樹脂層Aの厚みの200%〜400%の厚みを有する硬化樹脂層であることを特徴とする積層フィルム。 - 下記の方法にて測定した反りの値が10mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
反りの値の測定方法:積層フィルムから、巻き取り方向(MD方向)、直交方向(TD方向)の長さがそれぞれ200mm、50mmの短冊状の積層フィルム片を切り出す。切り出した積層フィルム片を、短辺側の片方の端辺を固定して吊るした状態で、熱風乾燥機を用いて200℃で30分熱処理した後、反りの内面側を上面にして平板に静置し、室温にて放置冷却後、固定されていない短辺側の端辺中央部の、平板からの浮き上がりの値を計測し、MD方向の反りの値とする。
測定は、MD方向及びTD方向について5回ずつ行い、その平均値を算出し、MD方向及びTD方向の平均値のうち、大きな値を積層フィルムの反りの値とする。 - 前記基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含有するフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム。
- 耐熱性樹脂層Bは0.5μm以上の厚みを有し、且つ、耐熱性樹脂層A及びBの合計厚みが、基材フィルムの厚みの60%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルム。
- 耐熱性樹脂層A及びBは、1分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物を含有する硬化性組成物を塗付し、光硬化させて形成された層であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の積層フィルム。
- 耐熱性樹脂層A、Bに含有される微粒子が、酸化ケイ素からなる微粒子であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の積層フィルム。
下量)) - 全光線透過率が80%〜95%であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜7の何れかに記載された積層フィルムを用いてなる透明基板。
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