JP2015226731A - 拡張デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】生体への負荷を低減させつつ、拡張部の広い範囲を均一に拡張させることが可能な拡張デバイスを提供する。【解決手段】先端部近傍に軸方向に沿って延びる複数の線材部47が周方向に並んで配置される外管4と、外管4の内部に挿通され、外管4の先端部に連結された内管2と、を有する拡張デバイス1であって、線材部47は、外管4が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する拡張部44と、拡張部44の先端側に形成されて拡張部44よりも曲げ剛性が低い先端側脆弱部45と、拡張部44の基端側に形成されて拡張部44よりも曲げ剛性が低い基端側脆弱部46と、を有する。【選択図】図8

Description

本発明は、生体管腔内で拡張する拡張部を有する拡張デバイスに関する。
近年、例えば心筋梗塞や狭心症の治療では、冠動脈の病変部(狭窄部)にステントを留置して、冠動脈内の空間を確保する方法が行われており、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の生体管腔内に生じた狭窄部の改善についても同様の方法が行われることがある。
ステントを生体管腔内で拡張させる方法の1つとして、バルーンカテーテルを用いる方法が一般的に知られている。バルーンカテーテルは、流体を供給することで拡張可能なバルーンを備えており、収縮した状態のバルーン上に、線材によって全体として管状に形成されたステントが配置される。そして、目的の位置にてバルーンを拡張させることで、ステントの線材を塑性変形させてステントを拡径させて、生体管腔内にステントを密着固定することができる。
しかしながら、例えばバルーンカテーテルを血管内で使用する場合、バルーンが拡張すると血管がバルーンによって塞がれてしまうため、血流が妨げられて生体への負担が大きくなる。
このため、例えば特許文献1では、血流を妨げずに生体管腔内で拡張可能な拡張部を備える治療具が提案されている。この治療具は、軸方向に延びるスリットが周方向に複数形成されたチューブと、このチューブの内部に挿通されてチューブの先端部に固着された芯材を備えており、芯材によりチューブを軸方向へ圧縮することで、隣接するスリットの間に形成される線状の部位(拡張部)を、チューブの径方向外側へ突出するように変形させて拡張させる構造となっている。この治療具によれば、拡張部を構成する線状の部位の間に隙間が形成されるため、血流を妨げず、生体への負担を低減させることができる。
特開2005−270394号公報
特許文献1に記載の治療器具を用いると、チューブの拡張部は、その中央部の狭い範囲のみが径方向外側へ大きく突出するように拡張することになる。このため、拡張部の中央部のみでしか押圧できず、広い範囲を均一に押圧することができない。また、生体管腔の壁面が硬い場合、チューブの拡張部は壁面に押し負けて変形し、不均一な形状となる可能性がある。さらに、チューブの拡張部は、中央部のみが大きく突出するため、中央部が押圧する部位に過剰な負荷がかかって生体への負荷が大きくなる虞がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体への負荷を低減させつつ、拡張部の広い範囲を均一に拡張させることが可能な拡張デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る拡張デバイスは、先端部近傍に軸方向に沿って延びる複数の線材部が周方向に並んで配置される管体と、前記管体の内部に挿通され、前記管体の先端部に連結された芯材と、を有する拡張デバイスであって、前記線材部は、前記管体が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する拡張部と、前記拡張部の先端側に形成されて前記拡張部よりも曲げ剛性が低い先端側脆弱部と、前記拡張部の基端側に形成されて前記拡張部よりも曲げ剛性が低い基端側脆弱部と、を有する。
上記のように構成した拡張デバイスは、拡張部の先端側に当該拡張部よりも曲げ剛性が低い先端側脆弱部が形成され、拡張部の基端側に拡張部よりも曲げ剛性が低い基端側脆弱部が形成されているため、管体に圧縮力が作用する場合に、先端側脆弱部および基端側脆弱部が拡張部よりも大きく撓み、拡張部が略均一に径方向外側へ拡張する。このため、拡張部による生体への負荷を低減させつつ、拡張部の広い範囲を均一に拡張させることが可能となる。
前記先端側脆弱部および基端側脆弱部は、材料、周方向への幅、および厚さの少なくとも1つが前記拡張部と異なることで前記拡張部よりも曲げ剛性が低く設定されるようにすれば、先端側脆弱部および基端側脆弱部の曲げ剛性を容易かつ適切に設定することができる。
前記管体は、周方向に隣接する前記拡張部の間に主スリットが形成され、当該主スリットの先端側および基端側の少なくとも一方から複数に分岐する分岐スリットが形成され、当該分岐スリットが設けられることで前記先端側脆弱部および基端側脆弱部の少なくとも一方の周方向への幅が前記拡張部よりも狭く設定されるようにすれば、主スリットおよび分岐スリットを形成するだけで、拡張部、先端側脆弱部および基端側脆弱部の曲げ剛性を、容易かつ適切に設定することができる。
前記拡張部は、X線造影性材料を含むようにすれば、生体管腔内に位置する拡張部の位置を確認しつつ、正確な位置で拡張させることができる。
前記芯材は、前記拡張部の内側に位置する部位にX線造影性材料を含むようにすれば、生体管腔内に位置する拡張部の位置を確認しつつ、正確な位置で拡張させることができる。
第1実施形態に係る拡張デバイスを示す平面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスの先端部を示す平面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスの先端部を示す断面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスの変形例の先端部を示す断面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスの他の変形例の先端部を示す断面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスのさらに他の変形例の先端部を示す平面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスの拡張部を拡張させた状態を示す平面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスの拡張部を拡張させた際の先端部を示す平面図である。 第1実施形態に係る拡張デバイスの拡張部を拡張させた際の先端部を示す断面図である。 第2実施形態に係る拡張デバイスの先端部を示す平面図である。 第2実施形態に係る拡張デバイスの拡張部を拡張させた状態を示す平面図である。 拡張デバイスの拡張部の変形例を示す平面図である。 図12に示す拡張デバイスの拡張部を拡張させた状態を示す平面図である。 拡張デバイスの拡張部の他の変形例を示す平面図である。 図14に示す拡張デバイスの拡張部を拡張させた状態を示す平面図である。 操作部の変形例を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る拡張デバイス1は、血管、胆管、気管、食道、尿道、またはその他の生体管腔内に生じた狭窄部や閉塞部等にステント6を留置して管腔の開存状態を維持するためのものである。なお、本明細書では、管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
第1実施形態に係る拡張デバイス1は、図1〜3に示すように、管状の内管2(芯材)と、内管2の先端部の外周面に固着される先端部材3と、内管2を覆う管状の外管4(管体)と、内管2および外管4の基端部が接続される操作部5とを備えている。
内管2は、内部にガイドワイヤを挿入するためのガイドワイヤルーメン21が形成されている。先端部材3は、拡張デバイス1の最先端部を構成する部材であり、内管2の先端部の外周面に固着され、拡張デバイス1を管腔内に挿入する際に生体への影響を低減させるために、柔軟な材料によって先端方向へ縮径するように形成されている。
外管4は、内管2を覆う管体であり、内管2に対して軸方向へ相対的に移動可能となっている。外管4の先端部は、内管2の先端部に固着されている。なお、外管4の先端部が、先端部材3を介して内管2に固着されてもよい。また、先端部材3が、内管2の一部であってもよく、または、外管4の一部であってもよい。
外管4の先端近傍には、周方向に並ぶ複数の主スリット41が形成されている。なお、スリットとは、線状に延びる切り込み部または開口部を意味している。したがって、スリットは、内管2が露出する開口部であってもよい。主スリット41は、本実施形態では4つ設けられており、周方向に等間隔かつ外管4の軸線に対して平行に形成されている。主スリット41の各々には、当該主スリット41から先端方向へ向かって拡がりつつ分岐する複数(本実施形態では2つ)の先端側分岐スリット42(分岐スリット)が連続して形成されている。また主スリット41の各々には、当該主スリット41から基端方向へ向かって拡がりつつ分岐する複数(本実施形態では2つ)の基端側分岐スリット43(分岐スリット)が連続して形成されている。なお、主スリット41の数は、2つ以上であれば数は限定されない。また、主スリット41は、必ずしも周方向に等間隔に形成されなくてもよい。また、主スリット41は、外管4の軸線に対して傾斜して形成されてもよい。
周方向に隣接する主スリット41の間には、周方向の幅が一定に形成される拡張部44が形成されている。拡張部44は、ステント6が載置される部位である。拡張部44の先端側には、拡張部44から連続する先端側脆弱部45が、先端側分岐スリット42に挟まれて形成されている。先端側脆弱部45は、主スリット41から拡がりつつ分岐する先端側分岐スリット42に挟まれて形成されることで、周方向の幅が、拡張部44よりも狭く形成されている。また、拡張部44の基端側には、拡張部44から連続する基端側脆弱部46が、基端側分岐スリット43に挟まれて形成されている。基端側脆弱部46は、主スリット41から拡がりつつ分岐する基端側分岐スリット43に挟まれて形成されることで、周方向の幅が、拡張部44よりも狭く形成されている。先端側脆弱部45、拡張部44および基端側脆弱部46は、軸線に沿って連続して延びる1つの線材部47として形成されている。
先端側脆弱部45、拡張部44および基端側脆弱部46は、同一の材料によって一定の厚さで形成されている。このため、拡張部44よりも周方向の幅が狭い先端側脆弱部45および基端側脆弱部46は、拡張部44よりも曲げ剛性が低い。
内管2および外管4の形成材料としては、硬度があってかつ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、Wなどなどが好適に使用できる。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系などが好ましく使用される。
外管4の拡張部44、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46が形成される先端近傍の部位は、外管4の基端側の部位と異なる部材により形成されてもよい。
拡張デバイス1の長さ(先端部材3が設けられる最先端部から操作部5までの長さ)は、特に限定されないが、例えば血管用のステント6の拡張等に用いる場合には、1200mm〜1600mmが好ましい。外管4の外径は、特に限定されないが、例えば血管用のステント6の拡張等に用いる場合には、0.5mm〜2.0mmが好ましい。外管4の厚さは、特に限定されないが、例えば血管用のステント6の拡張等に用いる場合には、0.10mm〜0.35mmが好ましい。
先端部材3の形成材料としては、柔軟性を有する材料を用いることが好ましく、例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマーなどの合成樹脂エラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ラテックスゴムなどの天然ゴムなどのゴム類が使用される。
拡張部44は、材料中にX線造影性材料が含まれて形成されていてもよい。これにより、X線造影下でステント6の位置を的確に把握することができ、手技がより容易なものとなる。X線造影性材料としては、例えば、金、プラチナ、プラチナ−イリジウム合金、銀、ステンレス、モリブデン、タングステン、タンタル、パラジウムあるいはそれらの合金等が好適である。
また、図4に示す変形例のように、内管2の拡張部44に囲まれる位置に、X線造影性材料からなるマーカー22が配置されてもよい。マーカー22は、X線造影性材料により形成されるワイヤを内管2の外面に巻きつけること、もしくはX線造影性材料によりパイプを形成して内管2の外面にかしめる又は接着することにより取り付けられる。
なお、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46は、拡張部44よりも曲げ剛性が低ければ、構成は限定されない。したがって、例えば図5に示す変形例のように、先端側脆弱部45、拡張部48および基端側脆弱部46を同一の材料によって形成し、拡張部48の厚さのみを、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46よりも厚くすることで、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の曲げ剛性を、拡張部48よりも低くすることができる。この場合、図2に示す形態と同様に、主スリット41、先端側分岐スリット42および基端側分岐スリット43が形成されてもよいが、厚さのみでも曲げ剛性を設定できるため、分岐する先端側分岐スリット42および基端側分岐スリット43を設けずに、先端側脆弱部45、拡張部48および基端側脆弱部46の周方向の幅が一定で形成されてもよい。また、拡張部44の材料を、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の材料よりも剛性の高い材料とすることで、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の曲げ剛性を、拡張部44よりも低くすることもできる。また、図6に示す他の変形例のように、拡張部44の外周側に補強部材49を固着することで、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の曲げ剛性を、拡張部44よりも低く設定することもできる。なお、補強部材は、拡張部44に埋め込まれてもよく、または拡張部44の内周側に取り付けられてもよい。補強部材49は、上述したX線造影性材料により形成されてもよい。
このように、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の材料、周方向への幅、および厚さの少なくとも1つを、拡張部44と異ならせることで、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の曲げ剛性を、拡張部44よりも低く設定することができる。
操作部5は、図1に示すように、外管4の基端部が連結される操作部本体51と、操作部本体51に対して止めネジ52を介して回動自在に連結された操作ハンドル53とを備えている。操作部本体51は、外管4の基端部が連結される部位に対して止めネジ52を挟んで反対側に、術者が指をかけることが可能な第1指掛け部54が形成されている。操作部本体51の外管4が連結される部位には、貫通孔が形成されており、外管4の基端側開口部から導出される内管2が、貫通孔を通って基端側へ突出している。操作ハンドル53は、操作部本体51の貫通孔を通って基端側へ突出する内管2が連結されており、止めネジ52が接続される部位において操作部本体51から離れる方向へ屈曲し、内管2の基端部が連結される部位に対して止めネジ52を挟んで反対側に、術者が指をかけることが可能な第2指掛け部55が形成されている。術者が、第1指掛け部54および第2指掛け部55に指を掛け、第1指掛け部54および第2指掛け部55を近接または離間させることで、操作部本体51に連結されている外管4および操作ハンドル53に連結されている内管2を、相対的に移動させることができる。
次に、第1実施形態に係る拡張デバイス1の使用方法を、血管内にステント6を留置する場合を例として説明する。
始めに、セルジンガー法などによりカテーテルイントロデューサーを経皮的に血管に穿刺する。次に、ルーメン内にガイドワイヤを挿入したガイディングカテーテルを、カテーテルイントロデューサーに挿入し、ガイドワイヤを先行させ、ガイディングカテーテルの先端をカテーテルイントロデューサーの先端開口から血管内へ挿入する。この後、ガイドワイヤを先行させつつ、ガイディングカテーテルを目的部位まで徐々に押し進める。
次に、拡張部44の外周面に収縮させたステント6を設置した拡張デバイス1(図1〜3を参照)のガイドワイヤルーメン21の先端開口部に、ガイドワイヤの末端を挿入し、内管2の基端開口部からガイドワイヤを出す。次に、血管内に挿入されているガイディングカテーテル内に拡張デバイス1を先端部材3から挿入し、ガイドワイヤに沿わせて拡張デバイス1を押し進め、ガイディングカテーテルから突出させて、目的とする狭窄部内に拡張部44を位置させる。このとき、拡張部44にX線造影性材料が含まれているので、拡張部44の位置を確認しつつ、正確に位置決めすることができる。
次に、術者が第1指掛け部54および第2指掛け部55に指を掛け、第1指掛け部54および第2指掛け部55を近接するように操作すると、図7に示すように、内管2が外管4に対して基端方向へ移動する。このとき、ステント6の軸方向の位置がずれないように、第1指掛け部54および第2指掛け部55の両方を移動させるように近接させることが好ましい。本実施形態に係る拡張デバイス1は、第1指掛け部54および第2指掛け部55を備えることで、第1指掛け部54および第2指掛け部55の両方の移動を指で微妙に調節することができるため、ステント6の位置を適切に設定することが可能である。
内管2が外管4に対して基端方向へ移動すると、図8,9に示すように、外管4が軸方向に圧縮され、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46が径方向外側へ撓みつつ、拡張部44が径方向外側へ拡がる。これにより、ステント6が拡張部44によって塑性変形しつつ拡張され、血管の狭窄部が押し広げられる。このとき、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の曲げ剛性が、拡張部44の曲げ剛性よりも低いため、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46が主として湾曲し、拡張部44は、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46ほど湾曲しない。このため、血管の壁面が硬い場合に、外管4の拡張部44が壁面に押し負けて変形することが抑制され、拡張部44の形状が均一に維持されやすい。
また、拡張部44が、略均一に拡張し、拡張部44の中央部のみが大きく突出する現象を抑制できるため、血管壁面に過剰な負荷がかからず、生体への負荷を低減できる。そして、拡張部44が形成される軸方向の広い範囲が、略均一に拡張することで、ステント6の広い範囲を均一に押し拡げることができる。
また、拡張部44が拡張した際には、拡張部44を構成する線材部47の間に隙間が形成されるため、拡張部44が血流を妨げず、生体への負担を低減させることができる。また、バルーンカテーテルでは、バルーンを拡張・収縮させるために、流体を供給・排出する必要があるが、本実施形態に係る拡張デバイス1は、流体を必要としないため、迅速な操作が可能となり、生体への影響を低減できる。また、バルーンを用いる場合には、バルーンを拡張させた後に、バルーンから流体を排出できなくなるデフレーション不良が生じる可能性があるが、本実施形態に係る拡張デバイス1は、流体を必要としないため、拡張部44を確実に収縮させることができる。
この後、術者が第1指掛け部54および第2指掛け部55を離すように操作すると、内管2が外管4に対して先端方向へ移動する。内管2が外管4に対して先端方向へ移動すると、外管4に作用する圧縮力が低下し、拡張部44が収縮する。これにより、ステント6を、血管の狭窄部に留置した状態で取り残すことができる。
なお、ステント6の拡張が不十分である場合には、上述の操作部5の操作を繰り返し、拡張部44を繰り返し拡張させて、ステント6をより望ましい状態となるように変形させることができる。拡張デバイス1は、バルーンのように流体を使用しないため、迅速に拡張部44の拡張・収縮を繰り返すことが容易である。
ステント6を血管内に留置した後には、拡張デバイス1およびガイドワイヤを、ガイディングカテーテルを介して抜去し、ガイディングカテーテルをカテーテルイントロデューサーから抜去した後、カテーテルイントロデューサーを生体から抜去して、手技が完了する。
以上のように、第1実施形態に係る拡張デバイス1は、先端部近傍に軸方向に沿って延びる複数の線材部47が周方向に並んで配置される外管4(管体)と、外管4の内部に挿通され、外管4の先端部に連結された内管2(芯材)とを有し、線材部47は、外管4が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する拡張部44と、拡張部44の先端側に形成されて拡張部44よりも曲げ剛性が低い先端側脆弱部45と、拡張部44の基端側に形成されて拡張部44よりも曲げ剛性が低い基端側脆弱部46とを有している。このため、外管4に圧縮力が作用する場合に、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46が拡張部44よりも大きく撓み、拡張部44が略均一に径方向外側へ拡張する。したがって、拡張部44による生体への負荷を低減させつつ、拡張部44の広い範囲を均一に拡張させることが可能となる。
また、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46は、材料、周方向への幅、および厚さの少なくとも1つを拡張部44と異ならせることで拡張部44よりも曲げ剛性を低く設定できるため、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の曲げ剛性を、容易かつ適切に設定することができる。
また、外管4(管体)は、周方向に隣接する拡張部44の間に主スリット41が形成され、当該主スリット41の先端側および基端側から複数に分岐する先端側分岐スリット42および基端側分岐スリット43(分岐スリット)が形成され、当該先端側分岐スリット42および基端側分岐スリット43によって先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の周方向への幅が拡張部44よりも狭く設定される。このため、主スリット41、先端側分岐スリット42および基端側分岐スリット43を形成するだけで、拡張部44、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46の曲げ剛性を、容易かつ適切に設定することができる。
また、拡張部44が、X線造影性材料を含むようにすれば、生体管腔内に位置する拡張部44の位置を確認しつつ、正確な位置で拡張部44を拡張させることができる。
また、内管2(芯材)が、拡張部44の内側に位置する部位にX線造影性材料を含むようにすれば、生体管腔内に位置する拡張部44の位置を確認しつつ、正確な位置で拡張部44を拡張させることができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る拡張デバイス7は、操作部71の構成のみが、第1実施形態とことなる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態に係る拡張デバイス7は、図10に示すように、外管4の基端部が固定されるハウジング72と、ハウジング72内に回転可能に配置される回転操作部73と、操作ワイヤ77とを備えている。
ハウジング72は、術者が把持しやすい形状で形成されており、回転操作部73の一部を露出させる開口部721が形成されている。
回転操作部73は、円盤状の操作ダイヤル74と、操作ダイヤル74と一体的かつ同軸的に形成されて操作ワイヤ77を外周面に巻取可能な円柱状の巻き取り部75と、操作ダイヤル74の中心軸上に位置してハウジング72に対して回転可能に枢着する軸部76とを備えている。操作ダイヤル74は、術者が指で回転操作する部位であり、術者が操作できるように、外周の一部が、ハウジング72の開口部721から外部に露出している。
操作ワイヤ77は、一端が内管2の基端部に固定され、他端が巻き取り部75の外周面に固定されている。
次に、第2実施形態に係る拡張デバイス7の作用を説明する。
第2実施形態に係る拡張デバイス7は、術者が操作ダイヤル74を回転させることで、巻き取り部75に操作ワイヤ77が巻き取られて、操作ワイヤ77に固定されている内管2が外管4に対して基端方向へ移動する。内管2が外管4に対して基端方向へ移動すると、図11に示すように、外管4が軸方向に圧縮され、先端側脆弱部45および基端側脆弱部46が径方向外側へ撓みつつ、拡張部44が径方向外側へ拡がる。これにより、ステント6が拡張部44によって塑性変形しつつ拡張され、例えば血管の狭窄部が押し広げられる。
この後、術者が操作ダイヤル74を反対方向へ回転させると、巻き取り部75に巻き取られた操作ワイヤ77が先端方向へ移動し、操作ワイヤ77に固定されている内管2が外管4に対して先端方向へ移動する。内管2が外管4に対して先端方向へ移動すると、外管4に作用する圧縮力が低下し、拡張部44が収縮する。これにより、ステント6を、血管の狭窄部に留置した状態で取り残すことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、図12に示すように、拡張部44が、軸方向に複数並んで形成されてもよい。このような構成とすれば、軸方向に長いステント6であっても、図13に示すように、良好に拡張させることが可能となる。すなわち、拡張部が長すぎると、拡張部の中央部において拡張力が低減しやすくなるが、複数の拡張部44を設けることで、軸方向に長いステント6であっても、良好に拡張させることが可能となる。
また、図14に示すように、先端側脆弱部81および基端側脆弱部82に、部分的に曲げ剛性が高い部位811,821を設けてもよい。このような構成とすれば、図15に示すように、先端側脆弱部81および基端側脆弱部82の湾曲する位置を、先端側脆弱部81および基端側脆弱部82のうち剛性が高い部位811,821を除く位置に限定して、高い拡張力を得ることが可能となる。
また、内管2および外管4を操作する操作部9は、図16に示すように、外管4の基端部に固着される第1ハブ91と、外管4の基端側開口部から導出される内管2の基端部に固着される第2ハブ92とを、相対的に移動させることが可能な構造であってもよい。
また、内管2(芯材)は、外管4に圧縮力を作用させることができるのであれば、管体でなくてもよい。
また、上述した各々の実施形態は、拡張部にステント6が設置されたが、ステント6が設置されずに、拡張部が生体管腔を直接押圧する構成であってもよい。また、本発明は、拡張部を備える医療用デバイスであれば適用でき、例えば、バルーンの表面に刃(ブレード)が設けられるカッティングバルーンカテーテルの代わりに使用されるカテーテルであってもよい。この場合、拡張部(線状部)がバルーンの役割を果たすとともに、拡張部自体が、刃として機能することもできるが、拡張部に別途の刃が取り付けられてもよい。また、本発明は、例えば、異物を回収するための網状の部位が設けられる異物回収用カテーテルに適用されてもよい。この場合、拡張部(線状部)自体が、異物を回収する網として機能することもできるが、拡張部に、別途の網構造が取り付けられてもよい。
また、外管は、湾曲させたい部位が望ましい方向へ湾曲するように、予め形状づけられていてもよい。
1,7 拡張デバイス、
2 内管(芯材)、
22 マーカー(X線造影性材料)、
4 外管(管体)、
41 主スリット、
42 先端側分岐スリット(分岐スリット)、
43 基端側分岐スリット(分岐スリット)、
44,48 拡張部、
45,81 先端側脆弱部、
46,82 基端側脆弱部、
47 線材部、
49 補強部材、
6 ステント。

Claims (5)

  1. 先端部近傍に軸方向に沿って延びる複数の線材部が周方向に並んで配置される管体と、
    前記管体の内部に挿通され、前記管体の先端部に連結された芯材と、を有する拡張デバイスであって、
    前記線材部は、前記管体が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する拡張部と、前記拡張部の先端側に形成されて前記拡張部よりも曲げ剛性が低い先端側脆弱部と、前記拡張部の基端側に形成されて前記拡張部よりも曲げ剛性が低い基端側脆弱部と、を有する拡張デバイス。
  2. 前記先端側脆弱部および基端側脆弱部は、材料、周方向への幅、および厚さの少なくとも1つが前記拡張部と異なることで前記拡張部よりも曲げ剛性が低く設定される請求項1に記載の拡張デバイス。
  3. 前記管体は、周方向に隣接する前記拡張部の間に主スリットが形成され、当該主スリットの先端側および基端側の少なくとも一方から複数に分岐する分岐スリットが形成され、当該分岐スリットが設けられることで前記先端側脆弱部および基端側脆弱部の少なくとも一方の周方向への幅が前記拡張部よりも狭く設定される請求項1または2に記載の拡張デバイス。
  4. 前記拡張部は、X線造影性材料を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の拡張デバイス。
  5. 前記芯材は、前記拡張部の内側に位置する部位にX線造影性材料を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の拡張デバイス。
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