JP2016129536A - 拡張デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】拡張用流体を用いることなく周方向に均一に拡張対象物を押し広げることができる拡張デバイスを提供する。【解決手段】拡張デバイス10Aは、拡張機構20を有する外管14と、の内側に配置された内管12とを備える。外管14は、周方向に間隔をおいて複数の第1スリット22が形成された第1管部24と、周方向に間隔をおいて複数の第2スリット26が形成された第2管部28とを有する。拡張機構20は、第1スリット22間に形成された複数の第1拡張部36と、第2スリット26間に形成された複数の第2拡張部50とを有する。複数の第1スリット22と複数の第2スリット26とが周方向の異なる位置に形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、生体管腔内で拡張する拡張機構を有する拡張デバイスに関する。
近年、例えば心筋梗塞や狭心症の治療では、冠動脈の病変部(狭窄部)にステントを留置して、冠動脈内の空間を確保する方法が行われており、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の生体管腔内に生じた狭窄部の改善についても同様の方法が行われることがある。
ステントを生体管腔内で拡張させる方法の1つとして、バルーンカテーテルを用いる方法が一般的に知られている。バルーンカテーテルは、拡張用流体を供給することで拡張可能なバルーンを備えており、収縮した状態のバルーン上に、線材によって全体として管状に形成されたステントが配置される。そして、目的の位置にてバルーンを拡張させることで、ステントの線材を塑性変形させてステントを拡径させて、生体管腔内にステントを密着固定することができる。
一方、下記特許文献1では、拡張用流体を用いることなくステントを生体管腔内で拡張することができる拡張デバイス(拡張補助具)が提案されている。具体的に、特許文献1の拡張デバイスは、軸方向に延びるスリットが周方向に複数形成されたチューブと、このチューブの内部に挿通されてチューブの先端部に固着された芯材を備えており、芯材によりチューブを軸方向へ圧縮することで、隣接するスリットの間に形成される線状の部位(拡張部)を、チューブの径方向外側へ突出するように変形させて拡張させる構造となっている。
特開2005−270394号公報
しかしながら、特許文献1の拡張デバイスでは、拡張部を拡張させると、周方向に隣接する拡張部間に大きな隙間ができるため、ステントを周方向に均一に拡張することができない。また、特許文献1の拡張デバイスの拡張部により血管等の生体管腔を直接押し広げる場合、生体管腔内壁において拡張部が押圧する部位に過剰な負荷がかかって生体への負荷が大きくなる恐れがある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、拡張用流体を用いることなく周方向に均一に拡張対象物を押し広げることができる拡張デバイスを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の拡張デバイスは、拡張及び収縮が可能な拡張機構を有する管体と、前記管体の内側に配置され、前記管体の前記拡張機構よりも先端側で前記管体に連結された芯材と、を備え、前記管体は、周方向に間隔をおいて複数の第1スリットが形成された第1管部と、前記第1管部と前記芯材との間に配置され周方向に間隔をおいて複数の第2スリットが形成された第2管部とを有し、前記拡張機構は、前記第1管部における前記第1スリット間に形成された複数の第1拡張部と、前記第2管部における前記第2スリット間に形成された複数の第2拡張部とを有し、前記複数の第1スリットと前記複数の第2スリットとが周方向の異なる位置に形成されている、ことを特徴とする。
上記のように構成された拡張デバイスによれば、管体と芯材との軸方向の相対移動によって管体の軸方向に圧縮力が作用することに伴って拡張機構が拡張するので、拡張用流体を用いることなく拡張対象物を拡張させることができる。また、拡張機構の拡張時に生体管腔を完全に閉塞しないため、血液等の体液の流れを遮断することなく拡張対象物を拡張させることができる。また、拡張機構は、外側の第1拡張部と内側の第2拡張部とを有する二重構造となっており、複数の第1スリットと複数の第2スリットとが周方向に異なる位置に形成されているので、周方向の広い範囲において拡張対象物を内側から押圧することができる。これにより、拡張対象物を周方向に均一に押し広げることができる。
上記の拡張デバイスにおいて、前記拡張機構の拡張状態において、前記第1拡張部と前記第2拡張部とが周方向に交互に並んでもよい。
この構成により、拡張対象物を周方向に一層均一に押し広げることができる。
上記の拡張デバイスにおいて、前記拡張機構は、前記第1拡張部の拡張状態で、周方向に互いに隣接する前記第1拡張部の間で且つ前記第2拡張部の外側に配置されることにより前記第2拡張部が前記第1拡張部よりも外側に出ることを規制する規制部を有してもよい。
上記の構成によれば、第2拡張部が第1拡張部よりも外側に出ることが防止されるので、第2拡張部が再収縮できなくなることを未然に回避することができる。
上記の拡張デバイスにおいて、前記規制部は、前記拡張機構の収縮状態で折り畳まれており、前記拡張機構が拡張する際に周方向に互いに隣接する前記第1拡張部の間隔が拡大することに伴って展開する膜状部材により構成されていてもよい。
これにより、規制部を簡易構成で実現することができる。
上記の拡張デバイスにおいて、前記膜状部材は、前記第1スリットに沿って延在していてもよい。
この構成により、周方向に隣接する第1拡張部間の隙間を軸方向の長い領域でなくすことで、拡張対象物を周方向に一層均一に押し広げることができる。
上記の拡張デバイスにおいて、前記膜状部材は、前記拡張機構の収縮状態で前記第1拡張部と前記第2拡張部との間に挟まれていてもよい。
これにより、拡張機構内に膜状部材が折り畳まれて収納されるので、膜状部材を設けることに伴う拡張機構の直径の増大を効果的に抑制することができる。
上記の拡張デバイスにおいて、前記第1管部は、周方向に並んで配置された複数の第1線材部を有し、前記第2管部は、周方向に並んで配置された複数の第2線材部を有し、前記第1線材部は、前記第1管部が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する前記第1拡張部と、前記第1拡張部の先端側に形成されて前記第1拡張部よりも曲げ剛性が低い第1先端側脆弱部と、前記第1拡張部の基端側に形成されて前記第1拡張部よりも曲げ剛性が低い第1基端側脆弱部とを有し、前記第2線材部は、前記第2管部が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する前記第2拡張部と、前記第2拡張部の先端側に形成されて前記第2拡張部よりも曲げ剛性が低い第2先端側脆弱部と、前記第2拡張部の基端側に形成されて前記第2拡張部よりも曲げ剛性が低い第2基端側脆弱部とを有していてもよい。
この構成により、第1管部の軸方向に圧縮力が作用することに伴って、第1先端側脆弱部及び第1基端側脆弱部が第1拡張部よりも大きく撓み、第1拡張部が軸方向において略均一に径方向外側へ拡張する。また、第2管部の軸方向に圧縮力が作用することに伴って、第2先端側脆弱部及び第2基端側脆弱部が第2拡張部よりも大きく撓み、第2拡張部が軸方向において略均一に径方向外側へ拡張する。このため、拡張機構の軸方向に広い範囲を均一に拡張させ、拡張機構による生体への負荷を一層低減することができる。
上記の拡張デバイスにおいて、前記第2先端側脆弱部は、前記第1先端側脆弱部よりも軸方向長さが長く、前記第2基端側脆弱部は、前記第1基端側脆弱部よりも軸方向長さが長くてもよい。
この構成により、拡張機構の拡張状態で、複数の第1拡張部の外径と、複数の第2拡張部の外径とを略等しくすることができ、拡張機構の周方向に略均一に拡張させることができる。
本発明の拡張デバイスによれば、拡張用流体を用いることなく周方向に均一に拡張対象物を押し広げることができる。
本発明の第1実施形態に係る拡張デバイスの構成を示す概略構成図である。 図1に示した拡張デバイスの拡張機構及びその周辺部位を示す側面図である。 図1に示した拡張デバイスの拡張機構及びその周辺部位を示す断面図である。 図4Aは、収縮状態の拡張機構の横断面図であり、図4Bは、拡張状態の拡張機構の横断面図である。 拡張状態の拡張機構及びその周辺部位を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る拡張デバイスにおける収縮状態の拡張機構の及びその周辺部位の側面図である。 図7Aは、図6に示す拡張デバイスにおける収縮状態の拡張機構の横断面図であり、図7Bは、当該拡張デバイスにおける拡張状態の拡張機構の横断面図である。 図8Aは、本発明の第3実施形態に係る拡張デバイスにおける収縮状態の拡張機構の横断面図であり、図8Bは、当該拡張デバイスにおける拡張状態の拡張機構の横断面図である。 図9Aは、別の構成例に係る操作部を示す側面図であり、図9Bは、さらに別の構成例に係る操作部を示す側面図である。
以下、本発明に係る拡張デバイスについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書では、管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る拡張デバイス10Aの構成を示す概略構成図である。図2は、拡張デバイス10Aの拡張機構20及びその周辺部位を示す側面図である。図3は、拡張デバイス10Aの拡張機構20及びその周辺部位を示す断面図である。
この拡張デバイス10Aは、例えば、血管、胆管、気管、食道、尿道、又はその他の生体管腔内に生じた狭窄部や閉塞部等の病変部にステント11を送達してその場所でステント11を拡張させることにより病変部を押し広げ、これにより病変部を改善するために使用される。あるいは、拡張デバイス10Aは、生体管腔内に生じた病変部を直接押し広げることによって病変部を改善するためにも使用され得る。また、拡張デバイス10Aは、ガイドワイヤ等のデバイスが狭窄部や閉塞部等の病変部を通過する際に、バックアップ補助するアンカーとしても利用され得る。
拡張デバイス10Aは、管状の内管12(芯材)と、拡張及び収縮が可能な拡張機構20を有し内管12を覆う管状の外管14(管体)と、内管12の先端部の外周面に固着される先端部材16と、内管12及び外管14の基端部が接続される操作部18とを備える。
図3に示すように、内管12は、外管14の内側に配置され、外管14の拡張機構20よりも先端側で外管14に連結されている。内管12には、内部にガイドワイヤを挿入するためのガイドワイヤルーメン12aが形成されている。
外管14は、内管12に対して軸方向へ相対的に移動可能となっている。外管14の先端部は、内管12の先端部近傍の外周面に固着されている。なお、外管14の先端部が、先端部材16を介して内管12に固着されてもよい。また、先端部材16が、内管12の一部であってもよく、又は、外管14の一部であってもよい。
図4Aは、収縮状態の拡張機構20の横断面図であり、図4Bは、拡張状態の拡張機構20の横断面図である。図2〜図4Aにおいて、外管14は、周方向に間隔をおいて複数(図示例では、4つ)の第1スリット22が形成された第1管部24と、第1管部24と内管12との間に配置され周方向に間隔をおいて複数(図示例では、4つ)の第2スリット26が形成された第2管部28とを有する。
第1管部24は、外管14の全長と同じ長さを有しており、先端部材16の基端から操作部18まで延在している。第2管部28は、第1管部24よりも短い長さを有しており、第1管部24の先端部の内側に配置されている。第2管部28の先端部は、内管12の先端部近傍の外周面、先端部材16の基端面及び第1管部24の先端部の内周面に接合されている。第2管部28の基端部は、第1管部24の内周面に接合されている。
なお、図示例の構成に代えて、第2管部28が、外管14の全長と同じ長さを有し、先端部材16の基端から操作部18まで延在し、第1管部24が、第2管部28よりも短い長さを有し、第2管部28の先端部の外側に配置されてもよい。
図2に示すように、第1スリット22の各々は、軸方向に沿って延在する主スリット30と、主スリット30から連続して先端方向へ向かって拡がりつつ分岐する複数(本実施形態では2つ)の先端側分岐スリット32と、主スリット30から連続して基端方向へ向かって拡がりつつ分岐する複数(本実施形態では2つ)の基端側分岐スリット34とを有する。主スリット30は、本実施形態では周方向に等間隔且つ外管14の軸線に対して平行に形成されている。
第1管部24において、周方向に隣接する主スリット30の間には、周方向の幅が軸方向に一定の第1拡張部36が形成されている。第1拡張部36は、ステント11が載置される部位である。
第1拡張部36の先端側には、第1拡張部36から連続する第1先端側脆弱部38が、周方向に隣接する先端側分岐スリット32に挟まれて形成されている。第1先端側脆弱部38は、主スリット30から拡がりつつ分岐する先端側分岐スリット32に挟まれて形成されることで、周方向の幅が、第1拡張部36よりも狭く形成されている。
第1拡張部36の基端側には、第1拡張部36から連続する第1基端側脆弱部40が、周方向に隣接する基端側分岐スリット34に挟まれて形成されている。第1基端側脆弱部40は、主スリット30から拡がりつつ分岐する基端側分岐スリット34に挟まれて形成されることで、周方向の幅が、第1拡張部36よりも狭く形成されている。
図3に示すように、第1先端側脆弱部38、第1拡張部36及び第1基端側脆弱部40は、外管14の軸線に沿って連続して延びる1つの第1線材部42として形成されている。従って、第1管部24では、複数の第1線材部42が周方向に並んで形成されている。
第1先端側脆弱部38、第1拡張部36及び第1基端側脆弱部40は、同一の材料によって一定の厚さで形成されている。このため、第1拡張部36よりも周方向の幅が狭い第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40は、第1拡張部36よりも曲げ剛性が低い。
図2に示すように、第2スリット26の各々は、第1スリット22と同様に、主スリット44と、複数(本実施形態では2つ)の先端側分岐スリット46(分岐スリット)と、複数(本実施形態では2つ)の基端側分岐スリット48(分岐スリット)とを有する。主スリット44は、本実施形態では周方向に等間隔且つ外管14の軸線に対して平行に形成されている。
また、第1管部24と同様に、第2管部28において、周方向に隣接する主スリット44の間には、周方向の幅が一定に形成される第2拡張部50が形成されて、第2拡張部50の先端側には、第2拡張部50よりも周方向の幅が狭い第2先端側脆弱部52が形成され、第2拡張部50の基端側には、第2拡張部50よりも周方向の幅が狭い第2基端側脆弱部54が形成されている。
第2先端側脆弱部52、第2拡張部50及び第2基端側脆弱部54は、同一の材料によって一定の厚さで形成されている。このため、第2拡張部50よりも周方向の幅が狭い第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54は、第2拡張部50よりも曲げ剛性が低い。
図3に示すように、第2先端側脆弱部52、第2拡張部50及び第2基端側脆弱部54は、軸線に沿って連続して延びる1つの第2線材部56として形成されている。従って、第2管部28では、複数の第2線材部56が周方向に並んで形成されている。
図4Aに示すように、複数の第1スリット22(特に、主スリット30)と複数の第2スリット26(特に主スリット44)とは、周方向の異なる位置に形成されている。本実施形態では、周方向に隣接する第1スリット22の主スリット30のちょうど中間角度位置に、第2スリット26の主スリット44が形成されていることにより、主スリット30と主スリット44とが周方向に45°ずれて形成されている。
なお、スリットとは、線状に延びる切り込み部又は開口部を意味している。従って、第1スリット22及び第2スリット26は、内側の部材が露出する開口部であってもよい。第1スリット22の数及び第2スリット26の数は、それぞれ2つ以上であれば数は限定されない。第1スリット22及び第2スリット26は、それぞれ必ずしも周方向に等間隔に形成されなくてもよい。主スリット30、44は、それぞれ外管14の軸線に対して傾斜して形成されてもよい。
外管14に設けられた拡張機構20は、上述した第1管部24に形成された複数の第1線材部42と、第2管部28に形成された複数の第2線材部56とにより構成されている。
図2に示すように、本実施形態では、第2先端側脆弱部52の長さL5は、第1先端側脆弱部38の長さL2よりも若干(ΔL)だけ長く、第2基端側脆弱部54の長さL6は、第1基端側脆弱部40の長さL3よりも若干(ΔL)だけ長い。このため、第2拡張部50の長さL4は、第1拡張部36の長さL1よりも2ΔLだけ短い。この場合、ΔLは、拡張機構20の拡張状態(図4B)において、第1拡張部36と第2拡張部50とが周方向に交互に並ぶように設定されている。
内管12及び外管14の形成材料としては、硬度があって且つ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W等が好適に使用できる。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系等が好ましく使用される。
なお、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40は、第1拡張部36よりも曲げ剛性が低ければ、構成は限定されない。同様に、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54は、第2拡張部50よりも曲げ剛性が低ければ、構成は限定されない。
従って、例えば、第1先端側脆弱部38、第1拡張部36及び第1基端側脆弱部40を同一の材料によって形成し、第1拡張部36の厚さのみを、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40よりも厚くすることで、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40の曲げ剛性を、第1拡張部36よりも低くすることができる。この場合、図2に示す形態と同様に、主スリット30、先端側分岐スリット32及び基端側分岐スリット34が形成されてもよいが、厚さのみでも曲げ剛性を設定できるため、分岐する先端側分岐スリット32及び基端側分岐スリット34を設けずに、第1先端側脆弱部38、第1拡張部36及び第1基端側脆弱部40の周方向の幅が一定で形成されてもよい。
あるいは、第1拡張部36の材料を、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40の材料よりも剛性の高い材料とすることで、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40の曲げ剛性を、第1拡張部36よりも低くすることもできる。あるいは、第1拡張部36の外周側に補強部材を固着することで、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40の曲げ剛性を、第1拡張部36よりも低く設定することもできる。なお、補強部材は、第1拡張部36に埋め込まれてもよく、又は第1拡張部36の内周側に取り付けられてもよい。補強部材は、X線造影性材料により形成されてもよい。
このように、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40の材料、周方向への幅、及び厚さの少なくとも1つを、第1拡張部36と異ならせることで、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40の曲げ剛性を、第1拡張部36よりも低く設定することができる。同様に、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54の材料、周方向への幅、及び厚さの少なくとも1つを、第2拡張部50と異ならせることで、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54の曲げ剛性を、第2拡張部50よりも低く設定することができる。
図1〜図3において、先端部材16は、拡張デバイス10Aの最先端部を構成する部材であり、内管12の先端部の外周面に固着され、拡張デバイス10Aを管腔内に挿入する際に生体への影響を低減させるために、柔軟な材料によって先端方向へ縮径するように形成されている。
先端部材16の形成材料としては、柔軟性を有する材料を用いることが好ましく、例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマー等の合成樹脂エラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴム、ラテックスゴム等の天然ゴム等のゴム類が使用される。
先端部材16の最先端部から操作部18までの長さは、特に限定されないが、例えば血管用のステント11の拡張等に用いる場合には、1200〜1600mmが好ましい。外管14の外径は、特に限定されないが、例えば血管用のステント11の拡張等に用いる場合には、0.5〜2.0mmが好ましい。
拡張機構20は、その構成材料中にX線造影性材料が含まれて形成されていてもよい。これにより、X線造影下でステント11の位置を的確に把握することができ、手技がより容易なものとなる。X線造影性材料としては、例えば、金、プラチナ、プラチナ−イリジウム合金、銀、ステンレス、モリブデン、タングステン、タンタル、パラジウムあるいはそれらの合金等が好適である。
図3のように、内管12のうち第1拡張部36に囲まれる位置に、X線造影性材料からなる造影マーカー57が配置されてもよい。造影マーカー57は、X線造影性材料により形成されるワイヤを内管12の外面に巻きつけること、若しくはX線造影性材料によりパイプを形成して内管12の外面にかしめる又は接着することにより取り付けられる。
図1に示すように、操作部18は、外管14の基端部が連結される操作部本体60と、操作部本体60に対して止めネジ62を介して回動自在に連結された操作ハンドル61とを備えている。操作部本体60は、外管14の基端部が連結される部位に対して止めネジ62を挟んで反対側に、術者が指をかけることが可能な第1指掛け部64が形成されている。
操作部本体60の外管14が連結される部位には、貫通孔60aが形成されており、外管14の基端側開口部から導出される内管12が、貫通孔60aを通って基端側へ突出している。操作ハンドル61は、操作部本体60の貫通孔60aを通って基端側へ突出する内管12が連結されており、止めネジ62が接続される部位において操作部本体60から離れる方向へ屈曲し、内管12の基端部が連結される部位に対して止めネジ62を挟んで反対側に、術者が指をかけることが可能な第2指掛け部66が形成されている。
術者が、第1指掛け部64及び第2指掛け部66に指を掛け、第1指掛け部64及び第2指掛け部66を近接又は離間させることで、操作部本体60に連結されている外管14及び操作ハンドル61に連結されている内管12を、相対的に移動させることができる。
本実施形態に係る拡張デバイス10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
拡張デバイス10Aを用いた治療では、血管内に発生した病変部(狭窄部)の治療の場合、例えば、以下のように行う。まず、血管内に発生した病変部(狭窄部)の形態を、血管内造影法や血管内超音波診断法により特定する。
次に、セルジンガー法等によりカテーテルイントロデューサーを経皮的に血管に穿刺する。次に、ルーメン内にガイドワイヤを挿入したガイディングカテーテルを、カテーテルイントロデューサーに挿入し、ガイドワイヤを先行させ、ガイディングカテーテルの先端をカテーテルイントロデューサーの先端開口から血管内へ挿入する。そして、X線透視下で、ガイドワイヤを先行させつつ、ガイディングカテーテルを目的部位まで徐々に押し進める。
次に、拡張機構20(具体的には、第1拡張部36)の外周面に収縮させたステント11を設置した拡張デバイス10Aのガイドワイヤルーメン12aの先端開口部に、ガイドワイヤの末端を挿入し、内管12の基端開口部からガイドワイヤを出す。次に、血管内に挿入されているガイディングカテーテル内に拡張デバイス10Aを先端部材16から挿入し、ガイドワイヤに沿わせて拡張デバイス10Aを押し進め、ガイディングカテーテルから突出させて、目的とする病変部内に第1拡張部36を位置させる。このとき、拡張機構20にX線造影性材料が含まれているので、第1拡張部36の位置を確認しつつ、正確に位置決めすることができる。
次に、術者が第1指掛け部64及び第2指掛け部66に指を掛け、第1指掛け部64及び第2指掛け部66を近接するように操作すると、内管12が外管14に対して基端方向へ移動する。このとき、ステント11の軸方向の位置がずれないように、第1指掛け部64及び第2指掛け部66の両方を移動させるように近接させることが好ましい。
本実施形態に係る拡張デバイス10Aは、第1指掛け部64及び第2指掛け部66を備えることで、第1指掛け部64及び第2指掛け部66の両方の移動を指で微妙に調節することができるため、ステント11の位置を適切に設定することが可能である。
内管12が外管14に対して基端方向へ移動すると、外管14を構成する第1管部24及び第2管部28が軸方向に圧縮される。これにより、図4B及び図5に示すように、第1管部24において、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40が径方向外側へ撓みつつ第1拡張部36が径方向外側へ拡がる。また、第2管部28において、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54が径方向外側へ撓みつつ第2拡張部50が径方向外側へ拡がる。
これにより、ステント11が複数の第1拡張部36及び複数の第2拡張部50によって塑性変形しつつ拡張され、病変部(狭窄部)が押し広げられる。このとき、本実施形態では、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40の曲げ剛性が、第1拡張部36の曲げ剛性よりも低いため、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40が主として湾曲し、第1拡張部36は、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40ほど湾曲しない。同様に、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54の曲げ剛性が、第2拡張部50の曲げ剛性よりも低いため、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54が主として湾曲し、第2拡張部50は、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54ほど湾曲しない。このため、血管の壁面が硬い場合に、第1拡張部36及び第2拡張部50が壁面に押し負けて変形することが抑制され、第1拡張部36及び第2拡張部50の形状が均一に維持されやすい。
また、第1拡張部36及び第2拡張部50において軸方向中央部が大きく突出する現象を抑制できる。このため、第1拡張部36及び第2拡張部50により血管内壁を直接押圧する場合でも、血管内壁に過剰な負荷がかからず、生体への負荷を低減できる。そして、第1拡張部36及び第2拡張部50が形成される軸方向の広い範囲が、略均一に拡張することで、ステント11の広い範囲を均一に押し拡げることができる。
バルーンカテーテルでは、バルーンを拡張・収縮させるために、流体を供給・排出する必要があるが、本実施形態に係る拡張デバイス10Aは、流体を必要としないため、迅速な操作が可能となり、生体への影響を低減できる。
上記のようにステント11を拡張させた後、術者が第1指掛け部64及び第2指掛け部66を離すように操作すると、内管12が外管14に対して先端方向へ移動する。内管12が外管14に対して先端方向へ移動すると、外管14に作用する圧縮力が低下し、拡張機構20が収縮する。これにより、ステント11を血管の狭窄部に留置した状態で生体内に残すことができる。
なお、ステント11の拡張が不十分である場合には、上述の操作部18の操作を繰り返し、拡張機構20を繰り返し拡張させて、ステント11をより望ましい状態となるように変形させることができる。拡張デバイス10Aは、バルーンのように流体を使用しないため、迅速に拡張機構20の拡張及び収縮を繰り返すことが容易である。
ステント11を血管内に留置した後には、拡張デバイス10A及びガイドワイヤを、ガイディングカテーテルを介して抜去し、ガイディングカテーテルをカテーテルイントロデューサーから抜去した後、カテーテルイントロデューサーを生体から抜去して、手技が完了する。
以上説明したように、拡張デバイス10Aによれば、外管14と内管12との軸方向の相対移動によって外管14の軸方向に圧縮力が作用することに伴って拡張機構20が拡張するので、拡張用流体を用いることなく拡張対象物を拡張させることができる。
また、拡張機構20は、収縮状態において、外側の第1拡張部36と内側の第2拡張部50とを有する二重構造となっており、複数の第1スリット22と複数の第2スリット26とが周方向に異なる位置に形成されている。このため、拡張機構20の拡張状態では、周方向に並ぶ第1拡張部36と第2拡張部50とにより、周方向の広い範囲において拡張対象物を内側から押圧することができる。これにより、拡張対象物を周方向に均一に押し広げることができる。
また、拡張機構20の拡張状態において、第1拡張部36と第2拡張部50とが周方向に交互に並ぶので、拡張対象物を周方向に一層均一に押し広げることができる。
本実施形態の場合、第1管部24の軸方向に圧縮力が作用することに伴って、第1先端側脆弱部38及び第1基端側脆弱部40が第1拡張部36よりも大きく撓み、第1拡張部36が軸方向において略均一に径方向外側へ拡張する。また、拡張機構20の拡張時に生体管腔を完全に閉塞しないため、血液等の体液の流れを遮断することなく拡張対象物を拡張させることができる。また、第2管部28の軸方向に圧縮力が作用することに伴って、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54が第2拡張部50よりも大きく撓み、第2拡張部50が軸方向において略均一に径方向外側へ拡張する。このため、拡張機構20の軸方向の広い範囲を均一に拡張させることができる。
特に、本実施形態の場合、第2先端側脆弱部52は、第1先端側脆弱部38よりも軸方向長さが若干だけ長く、第2基端側脆弱部54は、第1基端側脆弱部40よりも軸方向長さが若干だけ長い。この構成により、拡張機構20の拡張状態で、複数の第1拡張部36の外径と、複数の第2拡張部50の外径とを略等しくすることができ、拡張機構20の周方向に略均一に拡張させることができる。
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る拡張デバイス10Bの拡張機構20及びその周辺部位の側面図である。図7Aは、拡張デバイス10Bにおける収縮状態の拡張機構20の横断面図であり、図7Bは、拡張デバイス10Bにおける拡張状態の拡張機構20の横断面図である。なお、第2実施形態に係る拡張デバイス10Bにおいて、第1実施形態に係る拡張デバイス10Aと同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
拡張デバイス10Bの拡張機構20は、第1拡張部36の拡張状態において、周方向に互いに隣接する第1拡張部36の間で且つ第2拡張部50の外側に配置されることにより第2拡張部50が第1拡張部36よりも外側に出ることを規制する規制部70を有する。本実施形態では、規制部70は、膜状部材72により構成されている。
図7Aに示すように、膜状部材72は、拡張機構20の収縮状態で、周方向に間隔をおいて形成された複数の第1スリット22に対応して周方向に複数並んで配置されており、第1拡張部36と第2拡張部50との間に挟まれて折り畳まれている。膜状部材72は、周方向に隣接する第1拡張部36の縁部内面に接合されている。図7Bに示すように、膜状部材72は、拡張機構20が拡張する際に周方向に互いに隣接する第1拡張部36の間隔が拡大することに伴って展開する。
膜状部材72の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料あるいはこれらの混合物、あるいは上記二種以上の高分子材料の多層膜が挙げられる。
図6に示すように、膜状部材72は、第1スリット22に沿って延在しているとよい。この場合、膜状部材72は、主スリット30の略全長に亘る範囲に設けられるとよい。これにより、拡張機構20の拡張状態において、周方向に隣接する第1拡張部36間に形成される隙間をなくすことができ、拡張対象物を周方向に一層均一に押し広げることができる。
なお、本実施形態では、周方向に複数の膜状部材72が配置されているが、このような構成に代えて、周方向に一周連続した膜状体を、膜状部材72と同様となるように周方向の複数個所で折り畳み、第1拡張部36の内面に膜状部材72と同様の箇所で接合してもよい。すなわち、連続した一つの膜状体から複数の膜状部材72を形成してもよい。
上記のように構成された拡張デバイス10Bによれば、拡張機構20の拡張時に、規制部70の作用により、第2拡張部50が第1拡張部36よりも外側に出ることが防止されるので、第2拡張部50が再収縮できなくなることを未然に回避することができる。
本実施形態の場合、規制部70は、拡張機構20の収縮状態で折り畳まれており、拡張機構20が拡張する際に周方向に互いに隣接する第1拡張部36の間隔が拡大することに伴って展開する膜状部材72により構成されているので、規制部70を簡易構成で実現することができる。
また、膜状部材72は、第1スリット22に沿って延在しているので、周方向に隣接する第1拡張部36間の隙間を軸方向の長い領域でなくすことで、拡張対象物を周方向に一層均一に押し広げることができる。
本実施形態の場合、膜状部材72は、拡張機構20の収縮状態で第1拡張部36と第2拡張部50との間に挟まれているので、拡張機構20内に膜状部材72が折り畳まれて収納される。これにより、膜状部材72を設けることに伴う拡張機構20の直径の増大を抑制することができる。
なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する各構成部分については、第1実施形態における当該共通の各構成部分がもたらす作用及び効果と同一又は同様の作用及び効果が得られることは勿論である。
[第3実施形態]
図8Aは、本発明の第3実施形態に係る拡張デバイス10Cにおける収縮状態の拡張機構20の横断面図であり、図8Bは、当該拡張デバイス10Cにおける拡張状態の拡張機構20の横断面図である。なお、第3実施形態に係る拡張デバイス10Cにおいて、第1実施形態に係る拡張デバイス10Aと同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
拡張デバイス10Cにおいて、拡張機構20は、第2拡張部50の外面上に配置された線状のカッティング部材76(ブレード)を周方向に複数有する。本実施形態では、1つの第2拡張部50につき1つのカッティング部材76が設けられており、従って、周方向に間隔を置いて4つのカッティング部材76が設けられている。カッティング部材76は、外管14の軸線に対して平行に延在している。
カッティング部材76は、病変部での拡張機構20の拡張時に病変部に切り込みを入れるための細長い部材である。カッティング部材76の断面形状は、例えば、第2管部28の径方向外方に向かって細くなる形状である。目的の病変部に切り込みを入れやすくするため、カッティング部材76の外端には、鋭利な刃先が形成されているとよい。なお、鋭利な刃先はなくてもよい。
カッティング部材76は、第1スリット22の主スリット30の位置に配置されている。図8Aのように、拡張機構20の収縮状態において、カッティング部材76は、第1管部24の外周面から突出しておらず、外管14の外部に露出していない。一方、図8Bのように、拡張機構20の拡張状態において、カッティング部材76は、周方向に隣接する第1拡張部36の間を介して突出しており、外管14の外部に露出する。
カッティング部材76の構成材料としては、例えば、金属類(合金含む)や樹脂等が挙げられる。そのような金属類としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅、銅系合金、タンタル、コバルト合金が挙げられる。そのような樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)が挙げられる。
上記のように構成された拡張デバイス10Cを用いて治療を行う場合、上述した拡張デバイス10Aと同様の手順で、拡張機構20を病変部(狭窄部等)へ到達させる。そして、拡張機構20を病変部の内側に位置させた状態で拡張機構20を拡張させると、病変部が押し広げられ、これにより病変部の治療を行うことができる。拡張機構20が拡張する際、第2拡張部50の外面に設けられたカッティング部材76により病変部に切り込みを入れながら第1拡張部36及び第2拡張部50で病変部を拡張していくため、硬い病変部(高度石灰化病変)であっても、容易に拡張させることができる。
なお、拡張デバイス10Cにおいて、第2実施形態に係る拡張デバイス10Bと同様に、膜状部材72が設けられてもよい。この場合、拡張機構20の拡張時には、カッティング部材76が膜状部材72を突き破って、病変部に切り込みを入れることができる。
第3実施形態において、第1実施形態と共通する各構成部分については、第1実施形態における当該共通の各構成部分がもたらす作用及び効果と同一又は同様の作用及び効果が得られることは勿論である。
上述した拡張デバイス10A〜10Cの変形例では、拡張機構20が軸方向に複数並んで設けられてもよい。このような構成とすれば、軸方向に長いステントであっても、良好に拡張させることが可能となる。すなわち、拡張部が長すぎると、拡張機構20の中央部において拡張力が低下しやすくなるが、拡張機構20が軸方向に複数並んで設けられることで、軸方向に長いステントであっても、良好に拡張させることが可能となる。
上述した拡張デバイス10A〜10Cにおいて、操作部18に代えて、図9Aに示す操作部78又は図9Bに示す操作部90が採用されてもよい。
図9Aに示す操作部78は、外管14の基端部が固定されるハウジング80と、ハウジング80内に回転可能に配置される回転操作部82と、一端が内管12の基端部に固定された操作ワイヤ84とを有する。ハウジング80には、回転操作部82の操作ダイヤル86の一部を露出させる開口部80aが形成されている。
術者が、回転操作部82の操作ダイヤル86を回転させると、回転操作部82の巻き取り部88に操作ワイヤ84が巻き取られて、操作ワイヤ84に固定されている内管12が外管14に対して基端方向へ移動する。これにより、外管14が軸方向に圧縮され、図5のように、第1拡張部36及び第2拡張部50が径方向外側へ拡がる。
一方、術者が操作ダイヤル86を逆方向に回転させると、巻き取り部88に巻き取られた操作ワイヤ84が先端方向へ移動し、操作ワイヤ84に固定されている内管12が外管14に対して先端方向へ移動する。これにより、外管14に作用する圧縮力が低下し、図2のように、第1拡張部36及び第2拡張部50が収縮する。
図9Bに示す操作部90は、外管14の基端部に固定された第1ハブ92と、外管14の基端側開口部から導出される内管12の基端部に固定された第2ハブ94とを有し、第1ハブ92と第2ハブ94とを相対的に移動させることが可能となっている。
術者が第2ハブ94を第1ハブ92に対して相対的に基端方向に移動させると、第2ハブ94に固定された内管12が外管14に対して相対的に基端方向に移動する。これにより外管14が軸方向に圧縮され、図5のように、第1拡張部36及び第2拡張部50が径方向外側へ拡がる。
一方、術者が第2ハブ94を第1ハブ92に対して相対的に先端方向に移動させると、第2ハブ94に固定されている内管12が外管14に対して先端方向へ移動する。これにより、外管14に作用する圧縮力が低下し、図2のように、第1拡張部36及び第2拡張部50が収縮する。
上述した拡張デバイス10A〜10Cが、拡張機構20により病変部を直接押し広げるデバイスとして使用される場合、第1拡張部36と第2拡張部50の少なくとも一方又は両方の外面に、薬剤が塗布されていてもよい。薬剤は、第1拡張部36の外面の全体又は第2拡張部50の外面の全体に塗布されてもよく、第1拡張部36の外面の一部又は第2拡張部50の外面の一部に塗布されてもよい。
薬剤は、生物学的生理活性物質であり、拡張機構20により病変部を拡張させる際に病変部に付着され、拡張された病変部に徐々に溶出することで再狭窄を抑制する効果を有する。このような薬剤としては、例えば抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、抗高脂血症薬、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症剤、生体由来材料、インターフェロン、NO産生促進物質等が挙げられる。
上述した拡張デバイス10A〜10Cにおいて、第1先端側脆弱部38、第1基端側脆弱部40、第2先端側脆弱部52及び第2基端側脆弱部54をなくしてもよい。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10A〜10C…拡張デバイス 12…内管
14…外管 22…第1スリット
24…第1管部 26…第2スリット
28…第2管部 36…第1拡張部
50…第2拡張部 70…規制部
72…膜状部材

Claims (8)

  1. 拡張及び収縮が可能な拡張機構を有する管体と、
    前記管体の内側に配置され、前記管体の前記拡張機構よりも先端側で前記管体に連結された芯材と、を備え、
    前記管体は、周方向に間隔をおいて複数の第1スリットが形成された第1管部と、前記第1管部と前記芯材との間に配置され周方向に間隔をおいて複数の第2スリットが形成された第2管部とを有し、
    前記拡張機構は、前記第1管部における前記第1スリット間に形成された複数の第1拡張部と、前記第2管部における前記第2スリット間に形成された複数の第2拡張部とを有し、
    前記複数の第1スリットと前記複数の第2スリットとが周方向の異なる位置に形成されている、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
  2. 請求項1記載の拡張デバイスにおいて、
    前記拡張機構の拡張状態において、前記第1拡張部と前記第2拡張部とが周方向に交互に並ぶ、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
  3. 請求項1又は2記載の拡張デバイスにおいて、
    前記拡張機構は、前記第1拡張部の拡張状態で、周方向に互いに隣接する前記第1拡張部の間で且つ前記第2拡張部の外側に配置されることにより前記第2拡張部が前記第1拡張部よりも外側に出ることを規制する規制部を有する、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
  4. 請求項3記載の拡張デバイスにおいて、
    前記規制部は、前記拡張機構の収縮状態で折り畳まれており、前記拡張機構が拡張する際に周方向に互いに隣接する前記第1拡張部の間隔が拡大することに伴って展開する膜状部材により構成されている、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
  5. 請求項4記載の拡張デバイスにおいて、
    前記膜状部材は、前記第1スリットに沿って延在している、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
  6. 請求項5記載の拡張デバイスにおいて、
    前記膜状部材は、前記拡張機構の収縮状態で前記第1拡張部と前記第2拡張部との間に挟まれている、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の拡張デバイスにおいて、
    前記第1管部は、周方向に並んで配置された複数の第1線材部を有し、
    前記第2管部は、周方向に並んで配置された複数の第2線材部を有し、
    前記第1線材部は、前記第1管部が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する前記第1拡張部と、前記第1拡張部の先端側に形成されて前記第1拡張部よりも曲げ剛性が低い第1先端側脆弱部と、前記第1拡張部の基端側に形成されて前記第1拡張部よりも曲げ剛性が低い第1基端側脆弱部とを有し、
    前記第2線材部は、前記第2管部が軸方向に圧縮されることで径方向外側へ拡張する前記第2拡張部と、前記第2拡張部の先端側に形成されて前記第2拡張部よりも曲げ剛性が低い第2先端側脆弱部と、前記第2拡張部の基端側に形成されて前記第2拡張部よりも曲げ剛性が低い第2基端側脆弱部とを有する、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
  8. 請求項7記載の拡張デバイスにおいて、
    前記第2先端側脆弱部は、前記第1先端側脆弱部よりも軸方向長さが長く、
    前記第2基端側脆弱部は、前記第1基端側脆弱部よりも軸方向長さが長い、
    ことを特徴とする拡張デバイス。
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