JP2015225796A - 回路遮断器 - Google Patents

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Abstract

【課題】始動突入電流および始動電流による不要動作を防止することが可能な回路遮断器を得る。【解決手段】回路遮断器1は、負荷側端子6と接触および開離可能に設けられた第2のバイメタル29を有するバイパス回路を備えている。第2のバイメタル29は、回路遮断器1の投入時またはモータの電源投入時には負荷側端子6の接触部6aと接触して引き外し装置2と並列に電流を流し、所定の温度に達すると負荷側端子6から開離して、引き外し装置2のみに電流を流すように動作する。【選択図】図3

Description

本発明は、配線用遮断器等に組み込まれる熱動−電磁形または完全電磁形の回路遮断器に関する。
従来の熱動−電磁形の回路遮断器の引き外し装置は、特許文献1に示されるように、鉄板等の磁性材料で形成された固定鉄心および可動鉄心と、固定鉄心との間にヒータを挟持して一体に固着された平板状の熱応動素子であるバイメタルとを有している。
このような回路遮断器において、導体とシャント端子に接続されたヒータに電流が流れると、固定鉄心と可動鉄心とを通る磁束が発生する。電磁による引き外し時には、この磁束によって生じる吸引力により、可動鉄心が復帰スプリングのばね力に反して固定鉄心に吸引され自動遮断が行われる。また、熱動による引き外し時には、バイメタルの湾曲動作により開閉機構部のトリップバーが回動され自動遮断が行われる。
ところで、モータ回路においては、一般に、モータの過負荷保護は電磁開閉器が行い、回路遮断器は回路の短絡保護を目的として設置される。しかし、経済性を目的として、過負荷および短絡保護のみならずモータの始動や停止も行うモータブレーカという遮断器があり、比較的低定格(例えば225A以下)のモータにおいて使用されている。
特開平8−96689号公報
上記のような従来の回路遮断器においては、モータの始動時に最初の第1波のみ流れる非常に大きな電流である始動突入電流による瞬時引き外し装置の不要動作や、モータ始動時の始動突入電流の後に数サイクル流れる始動電流による過電流引き外し装置の不要動作が起こり、回路が自動遮断され、モータの始動および停止を正常に行うことができないという問題があった。近年の国際的な地球温暖化防止の動きを背景に、より高効率なモータの使用が推進されており、始動突入電流も大きくなる傾向にあるため、従来のモータブレーカが使えなくなるという問題があった。
また、始動突入電流による不要動作を防止するために、回路遮断器の瞬時引き外し電流値を上げると、遮断器内部のヒータ等の通電部が溶断する恐れがある。この溶断を防止するために通電部の容量を大きくすると、引き外し特性が得られない。このようなトレードオフの関係があることから、引き外し特性を確保することと、始動突入電流による不要動作を起こさないことを両立させることは難しく、従来の回路遮断器の課題であった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、始動突入電流および始動電流による不要動作を防止することが可能な回路遮断器を得ることを目的とする。
本発明に係る回路遮断器は、電源側端子に接続された固定接触子と、この固定接触子と接触および開離可能に設けられた可動接触子と、可動接触子と負荷側端子の間に配置され定格電流に基づいて設定された所定値以上の過電流が流れたときに自動遮断を行う過電流引き外し装置と、過電流引き外し装置と並列に接続され、負荷側端子と接触および開離可能に設けられたスイッチ部を有するバイパス回路を備えた回路遮断器であって、バイパス回路のスイッチ部は、負荷の電源投入時には負荷側端子と接触して過電流引き外し装置と並列に電流を流し、電流が定格電流の所定範囲以内になると負荷側端子から開離して過電流引き外し装置のみに電流を流すように動作するものである。
本発明によれば、負荷の電源投入時にはバイパス回路のスイッチ部が負荷側端子と接触して引き外し装置と並列に電流が流れるので、過電流引き外し装置に流れる電流を減少させることができ、始動突入電流および始動電流による不要動作を防止することが可能である。また、電流が定格電流の所定範囲以内になるとスイッチ部が負荷側端子から開離し、過電流引き外し装置のみに電流が流れるようになるため、過電流引き外し装置による通常の過負荷検出が可能となる。
本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の閉路状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の開路状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の引き外し装置およびバイパス回路を示す部分側面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器のスイッチ部を示す部分側面図である。 本発明の実施の形態2に係る回路遮断器の開路状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態3に係る回路遮断器の引き外し装置およびバイパス回路を示す部分側面図である。 本発明の実施の形態3に係る回路遮断器の引き外し装置およびバイパス回路を示す部分側面図である。 従来の回路遮断器の引き外し装置を示す斜視図である。 従来の回路遮断器の引き外し装置を示す側面図である。
参考例1.
本発明の参考例として、特許文献1と同様の構成である図8および図9に示す従来の熱動−電磁形の回路遮断器の引き外し装置を説明する。図8および図9は、従来の熱動−電磁形の回路遮断器の引き外し装置の要部を示す斜視図および側面図である。
固定鉄心51は、鉄板等の磁性材料で平板状に形成されている。マグサポート52は、ステンレス鋼板等の非磁性材料をコの字状に折り曲げて形成され、コの字状に折り曲げた一対の側辺には、下端部に一対のストッパ52a、上端部に一対のスプリング掛止片52b、中央部に一対のU字溝52cを有している。
ヒータ53はL字状であり、その下端部にはシャント端子と締結する雌ねじ53aが接続され、上端部には負荷側端子6に接続された接続導体54が接続されている。平板状のバイメタル55は、固定鉄心51との間にヒータ53およびマグサポート52を挟持してリベット56により一体に固着されている。バイメタル55の自由端には、調整ねじ57が止めナット58により取付けられ、サーマル動作特性を調整する。
可動鉄心59は、鉄板等の磁性材料でコの字状に折り曲げて形成されている。可動鉄心59は、固定鉄心51に対向する一対の可動片59aと、一対の側辺に設けられた軸受け部59bと、コの字状に折り曲げられた一側辺が上方向に延び、その先端に設けられた操
作片59cと、コの字状の底面に設けられた突起59dを有している。操作片59cは、開閉機構部のトリップバーを押圧し、突起59dは、マグサポート52のストッパ52aに押し付けられる。
ダブルトーション形の復帰スプリング60は、可動鉄心59の中央部にシャフト61により回動自在に軸支されると共に、ダブルトーションの足60aは、マグサポート52のスプリング掛止片52bに掛止される。さらに、このシャフト61は、マグサポート52の一対のU字溝52cに挿入されている。
このように構成された引き外し装置においては、導体54とシャント端子に接続されたヒータ53に電流が流れると、固定鉄心51と可動鉄心59とを通る磁束が発生する。電磁による引き外し時には、この磁束によって生じる吸引力により可動鉄心59が復帰スプリング60のばね力に反して固定鉄心51に吸引され、開閉機構部のトリップバーが回動され自動遮断が行われる。熱動による引き外し時には、バイメタル55の湾曲動作により開閉機構部のトリップバーが回動され自動遮断が行われる。
また、上記の引き外し装置では、モータ始動時の大きな始動突入電流が流れた場合にも、可動鉄心59が回路遮断器の投入と同時に瞬時に動作したり、数サイクル続くモータの始動電流によりバイメタル55が急速に加熱されたりして、定常電流に至る前に遮断器を不要動作させてしまうことがある。
以下に説明する本発明の実施の形態1〜実施の形態3では、このような始動突入電流および始動電流による不要動作を防止することを目的として、引き外し装置と並列に接続され、負荷側端子と接触および開離可能に設けられたスイッチ部を有するバイパス回路を設けたものである。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1に係る回路遮断器について、図面に基づいて説明する。図1および図2は、本実施の形態1に係る回路遮断器を示す側面図であり、図1は閉路状態、図2は開路状態をそれぞれ示している。また、図3は、本実施の形態1に係る回路遮断器の引き外し装置およびバイパス回路を示す部分側面図である。なお、各図において、同一または相当部分には、同一符号を付している。
本実施の形態1に係る回路遮断器1は、図1および図2に示すように、過電流引き外し装置2(以下、引き外し装置2と略す)、合成樹脂材料からなるベース3およびカバー4、電源側端子5、負荷側端子6、固定接触子7、可動接触子8、および開閉機構部11等を含んで構成される。
固定接触子7は、電源側端子5に接続されている。可動接触子8は、固定接触子7に対向して配置され、固定接触子7と接触および開離可能に設けられている。可動子ホルダ9は、可動接触子8と引き外し装置2を接続する。
可動接触子8と負荷側端子6の間に配置された引き外し装置2は、定格電流に基づいて設定された所定値以上の過電流が流れたときに自動遮断を行うものであり、取付けねじ10により可動子ホルダ9に接続されている。開閉機構部11は、引き外し装置2の動作により押されて回路遮断器1をトリップさせるトリップバー11aを有している。
本実施の形態1における引き外し装置2の構成について、図1〜図3を用いて説明する。引き外し装置2は、固定鉄心21、ヒータ22、バイメタル23、可とう銅より線24、調整ねじ25、止めナット26、可動鉄心27、および復帰スプリング28を備えてい
る。
固定鉄心21は、スプリング掛止片部21a、橋絡部21b、一対の側壁部21c、および一対の磁極21dが一体に形成されている。可動鉄心27は、鉄板等の一枚の磁性材により、可動片と呼ばれる被吸引部27a、一対の軸受け部27b、および操作片部27cが一体に形成されている。可動鉄心27の被吸引部27aは、固定鉄心21の磁極21dに対向している。
可動鉄心27は、図1において、ベース3の軸受け部(図示省略)を回転中心とし、復帰スプリング28により反時計回りに付勢されており、これをベース3のストッパ部(図示省略)で止められている。
また、ヒータ22は、その一方の端部を可動子ホルダ9と接続され、他方の端部をバイメタル23と固着されている。バイメタル23は、熱膨張率の異なる二枚の金属板を貼り合わせた金属接合板で、温度の変化に応じて湾曲する熱応動素子であり、可動接触子8と負荷側端子6の間に配置され通電される。
バイメタル23と負荷側端子6は、可とう銅より線24を介して接続されている。また、バイメタル23の下端部は、ヒータ22のヒータ部22aと面接触している。これにより、バイメタル23は可動子ホルダ9および可動接触子8と電気的に接続されると共に、ヒータ部22aにより加熱される。
すなわち、バイメタル23は、通電による自己発熱と、ヒータ部22aによる加熱の両方により昇温する。バイメタル23の自由端には、止めナット26によって調整ねじ25が取付けられている。この調整ねじ25により、バイメタル23のサーマル動作特性が調整される。
本実施の形態1に係る回路遮断器1は、この引き外し装置2と並列に接続され、負荷側端子6と接触および開離可能に設けられたスイッチ部を有するバイパス回路を備えている。本実施の形態1では、スイッチ部として第2のバイメタル29を備え、第2のバイメタル29の一方の端部は、図3に示すように、バイメタル23のヒータ22との接続部に接続されている。なお、図3は、回路遮断器1の閉路状態において第2のバイメタル29が負荷側端子6から開離している状態を示している。
本実施の形態1におけるバイパス回路は、負荷側端子6、第2のバイメタル29、バイメタル23、およびヒータ22を含んでいるが、これに限定されるものではなく、他の導電性部材を含んでいても良い。ただし、バイパス回路は、第2のバイメタル29の一方の端部が、可動接触子8と電気的に接続された導電性部材に固定される。
第2のバイメタル29は、回路遮断器1の投入時または負荷であるモータの電源投入時には、負荷側端子6の接触部6aと接触して引き外し装置2と並列に電流を流し、所定の温度に達すると負荷側端子6から開離して、引き外し装置2のみに電流を流すように動作する。
過負荷電流が、電源側端子5から固定接触子7、可動接触子8、可動子ホルダ9、ヒータ22、バイメタル23、可とう銅より線24、負荷側端子6の経路で流れると、引き外し装置2のバイメタル23は、ヒータ部22aによる加熱と自己発熱により昇温し湾曲する。この湾曲により、バイメタル23に取付けられた調整ねじ25がトリップバー11aを押し、開閉機構部11が動作して回路遮断器1をトリップさせる。
また、バイメタル23に短絡電流等の大電流が流れると、この大電流により発生する大磁束により固定鉄心21が強く磁化され、磁極21dに可動鉄心27の被吸引部27aが瞬時に吸引される。この吸引により、可動鉄心27は、復帰スプリング28のばね力に反して回動し、操作片部27cがトリップバー11aを押して回路遮断器1をトリップさせる。
一方、モータ始動時に一時的に流れる始動突入電流や始動電流に対して上記のような引き外し装置2による自動遮断が行われると、モータを正しく始動することができない。このため、本実施の形態1に係る回路遮断器1は、第2のバイメタル29をスイッチ部とするバイパス回路を備えることにより、回路遮断器1の投入時またはモータの電源投入時に引き外し装置2に流れる電流を減少させ、始動突入電流や始動電流による不要動作を防止している。
また、モータの電源投入後、定格電流の80%〜100%となった時の第2のバイメタル29の温度を求め、この温度に達すると第2のバイメタル29は負荷側端子6から開離するように設定している。このため、始動電流が起こる可能性が無くなる頃には引き外し装置2のみに電流が流れるようになり、通常の過負荷検出が可能となる。
ただし、始動突入電流を超える大きな短絡事故電流が流れた場合は、第2のバイメタル29が負荷側端子6と接触し並列回路が形成されていても、引き外し装置2が瞬時に動き、回路遮断器1をトリップさせる構成としている。
また、図4に示すように、負荷側端子6の第2のバイメタル29との接触部6aに代えて、板ばね30を負荷側端子6の第2のバイメタル29との接触部として設けることにより、板ばね30のたわみ代により第2のバイメタル29が開離する距離をより高い精度で調整することができる。これにより、例えば定格電流の95%〜100%の範囲で第2のバイメタル29が負荷側端子6から開離するように設定することも可能となる。
また、負荷側端子6の第2のバイメタル29との接触部6aに、マイクロスイッチ(図示省略)を設けても良い。マイクロスイッチは、外部にアクチュエータを備え、絶縁性のケース内に接点部とスナップ動作機構部を有している。
第2のバイメタル29をマイクロスイッチのアクチュエータ部に接触させることにより、負荷側端子6と第2のバイメタル29が接触、開離するときに発生するアークをマイクロスイッチのケース内で発生させることができる。これにより、負荷側端子6と第2のバイメタル29との接触信頼性が保たれ、接触部の長寿命化が可能となる。
以上のように、本実施の形態1に係る回路遮断器1によれば、負荷側端子6と接触および開離可能に設けられた第2のバイメタル29を有するバイパス回路を備え、回路遮断器1の投入時またはモータの電源投入時には第2のバイメタル29が負荷側端子6の接触部6aと接触して引き外し装置2と並列に電流を流すようにしたので、引き外し装置2に流れる電流を減少させることができ、始動突入電流や始動電流による不要動作を防止することができる。
また、第2のバイメタル29は、所定の温度に達すると負荷側端子6から開離し、引き外し装置2のみに電流が流れるようになるため、通常の過負荷検出が可能となり、モータの始動および停止を正常に行うことが可能である。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る回路遮断器の開路状態を示す側面図である。本実施の形態2では、上記実施の形態1とは異なる構成の引き外し装置2Aを備えた回路遮断器1Aにおいて、引き外し装置2Aと並列に接続されたバイパス回路を備え、そのスイッチ部として第3のバイメタル37を用いたものである。なお、図5中、図1と同一または相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
回路遮断器1Aの引き外し装置2Aについて説明する。L字形のヨーク31の固定部には、アーマチュア32が可動的に支持されている。このアーマチュア32は、復帰スプリング33により所定位置に保持されている。コイル34の一方の端部は可とう接続線36を介して可動接触子8に接続され、他方の端部は負荷側端子6に接続されている。このコイル34内にはオイルダッシュポット35が挿通され、オイルダッシュポット35の一方の端部はアーマチュア32に対向配置されている。
また、回路遮断器1Aは、負荷側端子6と接触および開離可能に設けられたスイッチ部を有するバイパス回路を備えている。本実施の形態2では、スイッチ部として第3のバイメタル37を用い、引き外し装置2Aと並列なバイパス回路を形成している。第3のバイメタル37の一方の端部は、コイル34の可動接触子8の側の端部と接続される。すなわち、バイパス回路は、負荷側端子6、第3のバイメタル37、およびコイル34の一端を含んでいるが、これに限定されるものではなく、他の導電性部材を含んでいても良い。
第3のバイメタル37は、回路遮断器1Aの投入時またはモータの電源投入時には負荷側端子6と接触して、引き外し装置2Aと並列に電流を流し、所定の温度に達すると負荷側端子6から開離して、引き外し装置2Aのみに電流を流すように動作する。
過負荷電流が、電源側端子5から固定接触子7、可動接触子8、可とう接続線36、コイル34、負荷側端子6の経路で流れると、オイルダッシュポット35内の鉄心が可動することで磁束密度が高まり、アーマチュア32がオイルダッシュポット35に吸引される。この動作により、アーマチュア32がトリップバー11aを押し、開閉機構部11が動作して回路遮断器1Aをトリップさせる。
また、コイル34に短絡電流等の大電流が流れると、漏洩磁束により瞬時にアーマチュア32がオイルダッシュポット35に吸引される。この動作により、アーマチュア32がトリップバー11aを押し、回路遮断器1Aをトリップさせる。
一方、モータ始動時に一時的に流れる始動突入電流や始動電流に対して上記のような引き外し装置2Aによる自動遮断が行われると、モータを正しく始動することができない。このため、本実施の形態2に係る回路遮断器1Aは、第3のバイメタル37をスイッチ部とするバイパス回路を備えることにより、回路遮断器1Aの投入時またはモータの電源投入時に引き外し装置2Aに流れる電流を減少させ、始動突入電流や始動電流による不要動作を防止している。
また、モータの電源投入後、定格電流の80%〜100%となった時の第3のバイメタル37の温度を求め、この温度に達すると第3のバイメタル37が負荷側端子6から開離するように設定している。このため、始動電流が起こる可能性が無くなる頃には引き外し装置2Aのみに電流が流れるようになり、通常の過負荷検出が可能となる。
ただし、始動突入電流を超える大きな短絡事故電流が流れた場合は、第3のバイメタル37が負荷側端子6と接触し並列回路が形成されていても、引き外し装置2Aが瞬時に動き、回路遮断器1Aをトリップさせる構成としている。
本実施の形態2においても、上記実施の形態1において接触部6aに代えて板ばね30を接触部として設けたと同様に、負荷側端子6の第3のバイメタル37との接触部に、板ばねを設けるようにしても良い。これにより、例えば定格電流の95%〜100%の範囲で第3のバイメタル37が負荷側端子6から開離するように設定することが可能となる。
さらに、上記実施の形態1において負荷側端子6の第2のバイメタル29との接触部6aに、マイクロスイッチを設けたと同様に、負荷側端子6の第3のバイメタル37との接触部に、マイクロスイッチ(図示省略)を設けても良い。これにより、負荷側端子6と第3のバイメタル37との接触信頼性が保たれ、接触部の長寿命化が可能となる。
本実施の形態2に係る回路遮断器1Aにおいても、上記実施の形態1と同様に、始動突入電流や始動電流による不要動作を防止することができ、モータの始動および停止を正常に行うことが可能である。
実施の形態3.
図6は、本実施の形態3に係る回路遮断器の引き外し装置を示す部分側面図、図7は本実施の形態3に係る回路遮断器において、始動突入電流通電時の引き外し装置の状態を示す部分側面図である。なお、本実施の形態3に係る回路遮断器1Bの全体構成は、上記実施の形態1と同様であるので、図1を流用して説明する。
回路遮断器1Bの引き外し装置2Bの構成は、ヒータ22およびバイメタル23と電気的に結合された通電ブラケット38を備えている以外は、上記実施の形態1と同様である。また、過負荷電流が流れた時の引き外し装置2Bによる遮断動作は、上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
回路遮断器1Bは、バイパス回路のスイッチ部として、負荷側端子6に設けられた第2の固定鉄心41と、第2の固定鉄心41と対向して配置された第2の可動鉄心39を備えている。第2の可動鉄心39の一方の端部は、可動接触子8と電気的に接続された導電性部材である通電ブラケット38に回動可能に取り付けられる。
図6では、第2の可動鉄心39は、通電ブラケット38の軸穴38aを回転中心とし、復帰スプリング40により時計回りに付勢されており、その一方の端部を固定鉄心21のストッパ部21eにより止められている。すなわち、本実施の形態3におけるバイパス回路は、負荷側端子6、第2の固定鉄心41、第2の可動鉄心39および通電ブラケット38を含んでいるが、これに限定されるものではない。
このように構成された回路遮断器1Bにおいては、負荷側端子6に始動突入電流や始動電流が流れると、第2の固定鉄心41が磁化され、図7に示すように、第2の可動鉄心39が吸引されて第2の固定鉄心41に接触し、引き外し装置2Bと並列なバイパス回路が形成される。このバイパス回路は、引き外し装置2Bの可動鉄心27が固定鉄心21に吸引される動作よりも前に形成される。これにより、引き外し装置2Bに流れる電流を減少させることができ、始動突入電流や始動電流による回路遮断器1Bの不要動作を防止することが可能である。
ただし、始動突入電流を超える大きな短絡事故電流が流れた場合は、第2の可動鉄心39が第2の固定鉄心41と接触し並列回路が形成されていても、引き外し装置2Bが瞬時に動き、回路遮断器1Bをトリップさせる構成としている。
また、本実施の形態3における通電ブラケット38、第2の可動鉄心39、および第2の固定鉄心41を含むバイパス回路の構成は、熱の影響を受けないため、ある程度回路遮断器1Bが温まった状態からのモータの始動(ホットスタート)においても、始動突入電流や始動電流による不要動作を防止することができる。
また、本実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様に、負荷側端子6に設けられた第2の固定鉄心41にマイクロスイッチ(図示省略)を設けても良い。これにより、第2の固定鉄心41と第2の可動鉄心39との接触信頼性が保たれ、接触部の長寿命化が可能となる。
本実施の形態3に係る回路遮断器1Bにおいても、上記実施の形態1と同様の効果が得られ、さらに、モータのホットスタート時における始動突入電流や始動電流による不要動作を防止することが可能である。なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
本発明は、配線用遮断器等に組み込まれる熱動−電磁形または完全電磁形の回路遮断器として利用することができる。
1、1A、1B 回路遮断器、2、2A、2B 引き外し装置、3 ベース、
4 カバー、5 電源側端子、6 負荷側端子、6a 接触部、7 固定接触子、
8 可動接触子、9 可動子ホルダ、10 取付けねじ、11 開閉機構部、
11a トリップバー、21 固定鉄心、21a スプリング掛止片部、
21b 橋絡部、21c 側壁部、21d 磁極、21e ストッパ部、
22 ヒータ、22a ヒータ部、23 バイメタル、24 可とう銅より線、
25 調整ねじ、26 止めナット、27 可動鉄心、27a 被吸引部、
27b 軸受け部、27c 操作片部、28 復帰スプリング、
29 第2のバイメタル、30 板ばね、31 ヨーク、32アーマチュア、
33 復帰スプリング、34 コイル、35 オイルダッシュポット、
36 可とう接続線、37 第3のバイメタル、38 通電ブラケット、38a 軸穴、39 第2の可動鉄心、40 復帰スプリング、41 第2の固定鉄心。

Claims (11)

  1. 電源側端子に接続された固定接触子と、この固定接触子と接触および開離可能に設けられた可動接触子と、前記可動接触子と負荷側端子の間に配置され定格電流に基づいて設定された所定値以上の過電流が流れたときに自動遮断を行う過電流引き外し装置と、前記過電流引き外し装置と並列に接続され、前記負荷側端子と接触および開離可能に設けられたスイッチ部を有するバイパス回路を備えた回路遮断器であって、
    前記バイパス回路の前記スイッチ部は、負荷の電源投入時には前記負荷側端子と接触して前記過電流引き外し装置と並列に電流を流し、電流が定格電流の所定範囲以内になると前記負荷側端子から開離して前記過電流引き外し装置のみに電流を流すように動作することを特徴とする回路遮断器。
  2. 前記過電流引き外し装置は、固定鉄心と、この固定鉄心の磁極に対向する可動鉄心と、前記可動接触子と前記負荷側端子の間に配置され通電されるバイメタルを有し、前記可動鉄心が前記固定鉄心に吸引される動作または前記バイメタルの湾曲動作により自動遮断を行うことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
  3. 前記バイパス回路は、前記スイッチ部として第2のバイメタルを備え、前記第2のバイメタルの一方の端部は、前記可動接触子と電気的に接続された導電性部材に固定されることを特徴とする請求項2記載の回路遮断器。
  4. 前記第2のバイメタルは、前記負荷の電源投入後、所定の温度に達すると前記負荷側端子から開離することを特徴とする請求項3記載の回路遮断器。
  5. 前記バイパス回路は、前記スイッチ部として、前記負荷側端子に設けられた第2の固定鉄心と、前記第2の固定鉄心と対向して配置された第2の可動鉄心を備え、前記第2の可動鉄心の一方の端部は、前記可動接触子と電気的に接続された導電性部材に回動可能に取り付けられることを特徴とする請求項2記載の回路遮断器。
  6. 前記過電流引き外し装置は、固定部を有するL字形のヨークと、このヨークの前記固定部に可動的に支持されたアーマチュアと、前記アーマチュアを所定位置に保持する復帰スプリングと、一方の端部が前記可動接触子に接続され他方の端部が前記負荷側端子に接続されたコイルと、前記コイル内に挿通されると共に一方の端部が前記アーマチュアに対向配置されたオイルダッシュポットを有し、前記アーマチュアが前記オイルダッシュポットに吸引される動作により自動遮断を行うことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
  7. 前記バイパス回路は、前記スイッチ部として第3のバイメタルを備え、前記第3のバイメタルの一方の端部は、前記コイルの前記可動接触子の側の前記端部と接続されることを特徴とする請求項6記載の回路遮断器。
  8. 前記第3のバイメタルは、前記負荷の電源投入後、所定の温度に達すると前記負荷側端子から開離することを特徴とする請求項7記載の回路遮断器。
  9. 前記負荷側端子は、前記スイッチ部との接触部に板ばねが設けられていることを特徴とする請求項3または請求項7に記載の回路遮断器。
  10. 前記負荷側端子は、前記スイッチ部との接触部にマイクロスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
  11. 前記バイパス回路は、前記負荷の電源投入後、定格電流の80%〜100%の電流になると、前記スイッチ部が前記負荷側端子から開離することを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
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