JP2015224141A - 改質器、水素製造方法、水素製造装置及び燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒によって炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類を効率よく改質することができる改質器、当該改質器を用いた水素製造方法、水素製造装置及び燃料電池システムを提供すること。【解決手段】本発明の一側面に係る炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類の改質器17は、第1の担体と、第1の担体上に設けられた第1の貴金属含有層と、を有する第1の触媒200と、第2の担体と、第2の担体上に設けられた第2の貴金属含有層と、を有し、第2の貴金属含有層の厚さが第1の貴金属含有層よりも大きい第2の触媒100と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類の改質器、水素製造方法、水素製造装置及び燃料電池システムに関する。
近年、環境負荷の少ない発電装置として、水素を用いた燃料電池が注目されている。燃料電池に用いる水素は、例えば、LPガス等の炭化水素化合物類の改質反応によって製造される。例えば、下記特許文献1には、ルテニウムを含む触媒を用いた炭化水素の改質によって、燃料電池用の水素を製造する方法が開示されている。
本発明は、触媒によって炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類を効率よく改質することができる改質器、当該改質器を用いた水素製造方法、水素製造装置及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る、炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類の改質器は、第1の担体と、第1の担体上に設けられた第1の貴金属含有層と、を有する第1の触媒と、第2の担体と、第2の担体上に設けられた第2の貴金属含有層と、を有し、第2の貴金属含有層の厚さが第1の貴金属含有層よりも大きい第2の触媒と、を備える。
上記の本発明の一側面においては、上記第1の触媒が、第1の担体と、第1の担体の表面の少なくとも一部に担持された第2族元素の酸化物と、第1の担体の表面において第2族元素の酸化物が担持された部分の少なくとも一部を覆う、第1の貴金属含有層と、を有し、上記第2の触媒が、第2の担体と、第2の担体の表面の少なくとも一部に担持された第2族元素の酸化物と、第2の担体の表面において第2族元素の酸化物が担持された部分の少なくとも一部を覆う、第2の貴金属含有層と、を有することができる。
本発明の一側面においては、上記第1の触媒における第2族元素の酸化物の含有率が、第1の触媒全体の質量に対して3質量%以上であり、且つ、第1の貴金属含有層の厚さが、40〜150μmであり、上記第2の触媒における第2族元素の酸化物の含有率が、第2の触媒全体の質量に対して3質量%以下であり、且つ、第2の貴金属含有層の厚さが、100〜300μmであってよい。
本発明の一側面においては、上記第2族元素は、バリウムを含んでよい。
本発明の一側面に係る水素製造方法は、炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類を含有する改質用原料を、上記の本発明の一側面に係る改質器で改質して水素を得る。
本発明の一側面に係る水素製造装置は、上記の本発明の一側面に係る改質器を有する改質部、及び、当該改質部に、炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類が含まれる改質用原料を供給する供給部、を備える。
本発明の一側面に係る燃料電池システムは、上記の水素製造装置を備える。
本発明によれば、触媒によって炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類を効率よく改質することができる改質器、当該改質器を用いた水素製造方法、水素製造装置及び燃料電池システムを提供することができる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付す。
本実施形態に係る炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類の改質器は、第1の担体と、第1の担体上に設けられた第1の貴金属含有層と、を有する第1の触媒と、第2の担体と、第2の担体上に設けられた第2の貴金属含有層と、を有し、第2の貴金属含有層の厚さが第1の貴金属含有層よりも大きい第2の触媒と、を備える。
以下では、説明の便宜のために、ヘテロ原子を含有する置換基を有しない炭化水素化合物類と、ヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類とを、「炭化水素化合物類」と総称する。
本実施形態に係る炭化水素化合物類の改質器によれば、水蒸気改質反応時の触媒層の温度分布において低温になる部分に第2の触媒を配し、高温になる部分に第1の触媒を配することにより、炭化水素化合物類の改質効率を向上させることができる。このような改質器を用いることにより、水素の製造効率を向上させることができる。また、活性金属の量を削減して触媒コストの低減を図ることができる。更に、本実施形態の改質器によれば、低温度域まで水素製造能力を維持することができることから、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムに適用した場合、SOFCのアノード電極を低温度域まで還元雰囲気下で保持してアノード酸化を抑制することができ、発電セルの劣化を軽減することが可能となる。また、本実施形態の改質器によれば、改質器温度が低下した時も未改質の炭化水素が漏れ出しにくいことから、例えば、未改質の炭化水素濃度が上昇してアノードのニッケル上でコーキングが発生しセルが劣化するなどの問題を抑制できる、ロバスト性の高い燃料電池システムを構成することができる。
本実施形態の改質器によれば、燃料電池システム、特にはSOFCシステムの耐久性の向上と製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態に係る炭化水素化合物類の改質器は、第1の担体と、第1の担体の表面の少なくとも一部に担持された第2族元素の酸化物と、第1の担体の表面において第2族元素の酸化物が担持された部分の少なくとも一部を覆う、第1の貴金属含有層と、を有する第1の触媒と、第2の担体と、第2の担体の表面の少なくとも一部に担持された第2族元素の酸化物と、第2の担体の表面において第2族元素の酸化物が担持された部分の少なくとも一部を覆う、第2の貴金属含有層と、を有し、第2の貴金属含有層の厚さが第1の貴金属含有層よりも大きい第2の触媒と、を備えることができる。この場合、第1の触媒における第1の貴金属含有層の厚み及び第2の触媒における第2の貴金属含有層の厚みを容易に制御することが可能となる。
上述した改質器に用いられる触媒について説明する。以下では、炭化水素化合物類を改質する触媒の活性を、単に「活性」と記す。
図1a及び図1bに示すように、本実施形態に係る触媒10は、担体1と、担体1の表面の少なくとも一部に担持された第2族元素の酸化物3と、担体1の表面において第2族元素の酸化物3が担持された部分の少なくとも一部を覆う貴金属含有層5と、を備える。貴金属含有層5は、白金族元素を含む。貴金属含有層5は、白金族元素に加えて、他の元素を含んでもよい。
図1aに示すように、担体1の表面の一部は、第2族元素の酸化物3及び貴金属含有層5に覆われることなく、露出していてよい。第2族元素の酸化物3の一部は、貴金属含有層5に覆われることなく、露出していてよい。貴金属含有層5の一部は、担体1の表面の一部を直接覆っていてよい。一部の白金族元素5aは、貴金属含有層5を形成することなく、担体1の表面に直接担持されていてよい。第2族元素の酸化物3を含む層、又は第2族元素の酸化物3のみからなる層が、担体1の表面の一部又は全部を覆っていてよい。図1bに示すように、第2族元素の酸化物3は、担体1の表面全体を覆っていてもよい。貴金属含有層5は、担体1の表面において第2族元素の酸化物3が担持された部分の全体を覆ってもよい。
第2族元素は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)及びラジウム(Ra)からなる群よりなる一種又は複数種である。第2族元素の酸化物3は、例えば、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO及びRaOからなる群より選ばれる一種又は複数種であってよい。第2族元素は、例えば、アルカリ土類金属であってもよい。アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)及びラジウム(Ra)からなる群よりなる一種又は複数種である。アルカリ土類金属の酸化物は、例えば、CaO、SrO、BaO及びRaOからなる群より選ばれる一種又は複数種であってよい。白金族元素は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及び白金(Pt)からなる群より選ばれる少なくとも一種である。貴金属含有層5は、複数種の白金族元素を含んでよい。貴金属含有層5は、例えば、白金族元素のみからなっていてよい。貴金属含有層5は、例えば、白金族元素のみからなる粒子(活性点)の集合体であってよい。
第2族元素の酸化物3の含有率は、例えば、触媒10全体の質量に対して0.5〜10質量%、又は1〜5.4質量%であってよい。第2族元素の酸化物3を覆う貴金属含有層5の厚さは、例えば、300μm以下、10〜300μm、30〜300μm、40〜300μm、又は40〜250μmであってよい。第2族元素の酸化物3の含有率、及び貴金属含有層5の厚さが上記の範囲内である触媒10の活性(又は反応速度)は、第2族元素の酸化物3の含有率、及び貴金属含有層5の厚さが上記の範囲外である触媒10の活性(又は反応速度)に比べて高い傾向がある。
触媒10における第2族元素の酸化物3の含有率が高いほど、貴金属含有層5が薄い傾向がある。触媒10における第2族元素の酸化物3の含有率が低いほど、貴金属含有層5が厚い傾向がある。つまり、第2族元素の酸化物3の含有率よって、貴金属含有層5の厚さの制御が可能である。これは、第2族元素の酸化物3により、白金族元素の触媒内部への拡散が抑制される効果による、と推測される。また、第2族元素の酸化物3の含有率が上記下限値以上であり、貴金属含有層5が上記上限値以下の薄さを有する場合、触媒10の活性(又は反応速度)が高くなり易い、と推測される。第2族元素の酸化物3の含有率が上記上限値以下であり、貴金属含有層5が上記下限値以上の厚さを有する場合、白金族元素の極端な偏在と熱に起因する白金族元素の凝集が第2族元素の酸化物3により抑制され、触媒10の活性(又は反応速度)が高くなり易い、と推測される。以上のような機序は、第2族元素の酸化物3がバリウムの酸化物を含む場合に顕著になる、と本発明者らは考える。なお、貴金属含有層5の厚さとは、SEM−EPMAによって測定される触媒10の断面における貴金属含有層5の厚さである。
触媒10に含まれる白金族元素の含有率は、例えば、触媒10全体の質量に対して、0.1〜3.0質量%であってよい。白金族元素の含有率が0.1〜3.0質量%である場合、触媒10の活性が向上し易い傾向がある。白金族元素の含有率が3.0質量%を超える場合、白金族元素の担持量の増加に伴う触媒の活性の向上の程度が小さくなる傾向がある。また白金族元素は高価であるため、白金族元素の含有率の増加に伴い、触媒の製造コストが高くなる。なお、触媒10に含まれる白金族元素の含有率が一定であったとしても、第2族元素の酸化物3の含有率によって貴金属含有層5の厚さの制御が可能である。
触媒10における第2族元素の酸化物3の含有率が低く、貴金属含有層5が厚いほど、低い反応温度での触媒10の活性(又は反応速度)が向上する傾向がある。ここで、反応温度とは、炭化水素化合物類の改質反応の反応温度である。反応温度は、例えば、炭化水素化合物類の改質反応における触媒10の温度と言い換えてよい。低い反応温度とは、200〜450℃又は300〜400℃であってよい。
触媒10における第2族元素の酸化物3の含有率が高く、貴金属含有層5が薄いほど、高い反応温度での触媒10の活性(又は反応速度)が向上する傾向がある。高い反応温度とは、450〜800℃又は500〜600℃であってよい。
本実施形態に係る炭化水素化合物類の改質器では、第1の触媒における貴金属含有層の厚さよりも第2の触媒における貴金属含有層の厚さのほうが大きくなるように触媒を組み合わせる。本実施形態に係る炭化水素化合物類の改質器においては、触媒層の温度分布において、低温になる部分に第2の触媒を配し、高温になる部分に第1の触媒を配することにより、炭化水素化合物類を効率よく改質することができる。
高い反応温度での炭化水素化合物類の改質に適した第1の触媒における貴金属含有層の厚さは、例えば、40〜150μm、又は40〜130μmであってよい。
高い反応温度での炭化水素化合物類の改質に適した第1の触媒における第2族元素の酸化物の含有率は、例えば、触媒全体の質量に対して3質量%以上、3〜10質量%、3〜7質量%、3〜5質量%、3.0〜5.4質量%、3.1〜10質量%、3.1〜5.4質量%、3.2〜10質量%、又は3.2〜5.4質量%であってよい。
低い反応温度での炭化水素化合物類の改質に適した第2の触媒における貴金属含有層の厚さは、例えば、100〜300μm、130〜250μm、150〜300μm、又は150〜250μmであってよい。
低い反応温度での炭化水素化合物類の改質に適した第2の触媒における第2族元素の酸化物の含有率は、例えば、触媒全体の質量に対して3質量%以下、0.5〜3質量%、1〜3質量%、3質量%未満、0.5質量%以上3質量%未満、1質量%以上3質量%未満、1.0〜3.1質量%、又は1.0〜3.2質量%であってもよい。
以下では、本実施形態に係る触媒10のうち、低い反応温度での活性に優れ、上述した低い反応温度での炭化水素化合物類の改質に適した第2の触媒を、「低温活性触媒」と記す。また、本実施形態に係る触媒10のうち、高い反応温度での活性に優れ、上述した高い反応温度での炭化水素化合物類の改質に適した第1の触媒を、「高温活性触媒」と記す。
1gの触媒10に吸着するCOのモル数がMCOであり、1gの触媒10に含まれる白金族元素のモル数がMPであるとき、MCO/MP×100と定義される白金族元素の分散度は、10.0〜60.0%であってよい。白金族元素の分散度は、触媒10における活性点の多さに対応し、白金族元素の分散度の増加に伴い、触媒10における活性点も増加する傾向がある。白金族元素の分散度が60.0%以下である場合、触媒の熱劣化が抑制され易く、熱劣化による触媒の初期性能の低下が抑制され易い傾向がある。白金族元素の分散度が10.0〜60.0%である触媒10の活性は、分散度が上記範囲外である場合の触媒10の活性よりも高い傾向がある。同様の理由から、白金族元素の分散度は、18.2〜31.8%であってよい。
白金族元素に加えて、ニッケル(Ni)又はレニウム(Re)等の遷移金属が、担体1に担持されていてよい。
担体は、例えば、無機酸化物であってよい。担体は、例えば、多孔質であってよい。担体は、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化亜鉛、及びゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。アルミナは、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、η−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ及びχ−アルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。複数種の担体を用いてもよい。担体が成形体である場合、担体の平均粒径は、例えば、1.0〜5.0mmであってよい。
触媒10はセリア(CeO2)を含有してもよい。セリアが担体1に担持されていてよい。担体1の少なくとも一部がセリアであってもよい。触媒10におけるセリアの含有率は、例えば、触媒10の全質量に対して1.0〜20質量%、3〜12質量%、又は5.8〜12質量%であってよ。触媒10がセリアを含有することにより、触媒10の活性が向上する傾向がある。
セリウム(Ce)以外の希土類元素の酸化物が担体1に担持されていてよい。担体1が、セリウム以外の希土類元素を含む複合酸化物であってもよい。セリウム以外の希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Em)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
本実施形態に係る上記触媒10は、以下の製造方法によって製造される。
本実施形態に係る触媒の製造方法は、以下に説明する第一工程、第二工程、第三工程及び第四工程を備える。第一工程後に第二工程を実施し、第二工程後に第三工程を実施し、第三工程後に第四工程を実施する。
[第一工程]
触媒の製造に用いる担体としては、例えば、上記の無機酸化物を用いてよい。第2族元素の溶液を担体に付着させる前に、希土類元素の酸化物(例えば、セリア)を担体に担持してもよい。例えば、希土類元素の塩の溶液を無機酸化物に付着させて前駆体を形成して、前駆体を酸素の存在する雰囲気(例えば大気)で焼成して、複合酸化物を形成してよい。この複合酸化物を担体として用いてよい。この焼成温度は、例えば、担体に金属を担持する際に用いた金属塩の分解温度以上であればよい。下記第四工程後に活性に優れた触媒が得られ易い。また、焼成温度は、例えば、触媒を使用する際の温度(触媒を用いた改質の反応温度)の上限値以下であればよい。例えば、硝酸塩を用いる場合、第一工程の焼成温度は550〜800℃であってよい。この場合、下記第四工程後に活性に優れた触媒が得られ易い。第一工程の焼成時間は、例えば、10時間程度であればよい。前駆体を焼成前に空気中で100℃以上の温度で加熱して、前駆体を乾燥してもよい。希土類元素の塩としては、例えば、硝酸塩、ハロゲン化物(塩化物等)、硫酸塩、酢酸塩及びアセト酢酸塩を用いてよい。塩は錯体であってもよい。
触媒の製造に用いる担体としては、例えば、上記の無機酸化物を用いてよい。第2族元素の溶液を担体に付着させる前に、希土類元素の酸化物(例えば、セリア)を担体に担持してもよい。例えば、希土類元素の塩の溶液を無機酸化物に付着させて前駆体を形成して、前駆体を酸素の存在する雰囲気(例えば大気)で焼成して、複合酸化物を形成してよい。この複合酸化物を担体として用いてよい。この焼成温度は、例えば、担体に金属を担持する際に用いた金属塩の分解温度以上であればよい。下記第四工程後に活性に優れた触媒が得られ易い。また、焼成温度は、例えば、触媒を使用する際の温度(触媒を用いた改質の反応温度)の上限値以下であればよい。例えば、硝酸塩を用いる場合、第一工程の焼成温度は550〜800℃であってよい。この場合、下記第四工程後に活性に優れた触媒が得られ易い。第一工程の焼成時間は、例えば、10時間程度であればよい。前駆体を焼成前に空気中で100℃以上の温度で加熱して、前駆体を乾燥してもよい。希土類元素の塩としては、例えば、硝酸塩、ハロゲン化物(塩化物等)、硫酸塩、酢酸塩及びアセト酢酸塩を用いてよい。塩は錯体であってもよい。
第2族元素の溶液を担体に付着させる前にセリアを担体に担持する場合、担体の質量に対するセリアの質量の比率に応じて、第四工程で形成される貴金属含有層の厚さ及び白金族元素の分散度が変化する傾向がある。担体に担持される第2族元素の酸化物の質量が比較的大きい場合、担体の質量に対するセリアの質量の比率の増加に伴い、第四工程で形成される貴金属含有層の厚さが減少し、白金族元素の分散度が増加する傾向がある。なお、担体の質量に対するセリアの質量の比率は、例えば、担体の調製に用いる溶液中のセリウム塩の含有率によって制御されてよい。
第一工程では、第2族元素の溶液を担体に付着させる。第2族元素の溶液は、第2族元素の塩(錯体を含む。)の水溶液又は非水溶液であってよい。非水溶液用の溶媒は、有機溶媒であってよい。有機溶媒は、例えば、アルコール等の極性溶媒であってよい。第2族元素の塩は、例えば、硝酸塩、ハロゲン化物(塩化物等)、硫酸塩、酢酸塩及びアセト酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。複数種の第2族元素の塩を用いてもよい。
第一工程では、担体を第2族元素の溶液に浸漬してよい。第2族元素の溶液を担体へ噴霧していてもよい。担体が多孔質である場合、第2族元素の溶液を担体内に含浸させてよい。これらの操作によって、溶液中の第2族元素の塩が担体に付着する。
[第二工程]
第二工程では、第2族元素の溶液を付着させた担体を、酸素の存在する雰囲気(例えば大気)中で焼成する。この焼成により、第2族元素の塩の分解及び酸化が起こり、第2族元素の酸化物が担体の表面の少なくとも一部又は全体に担持される。担体を焼成前に空気中で100℃以上の温度で加熱して、担体を乾燥してもよい。
第二工程では、第2族元素の溶液を付着させた担体を、酸素の存在する雰囲気(例えば大気)中で焼成する。この焼成により、第2族元素の塩の分解及び酸化が起こり、第2族元素の酸化物が担体の表面の少なくとも一部又は全体に担持される。担体を焼成前に空気中で100℃以上の温度で加熱して、担体を乾燥してもよい。
第二工程の焼成温度は、例えば、第2族元素の塩の分解温度以上であればよい。第二工程の焼成温度が、第2族元素の塩の分解温度以上である場合、第2族元素の塩が分解し易く、不純物が触媒に残り難いため、触媒の活性が向上し易い傾向がある。また、第二工程の焼成温度は、例えば、触媒を用いた改質の反応温度の上限値以下であればよい。例えば、第2族元素の硝酸塩を用いる場合、第二工程の焼成温度は550〜800℃であってよい。第二工程の焼成温度が800℃以下である場合、第2族元素の酸化物の過度の焼成又は凝集が抑制され易く、触媒の活性の低下が抑制され易い傾向がある。第二工程の焼成時間は、例えば、10時間程度であればよい。
担体の質量に対する第2族元素の酸化物の質量の比率により、第四工程において形成される貴金属含有層の厚さを制御することができる。担体の質量に対する第2族元素の酸化物の質量の比率は、例えば、第一工程で用いる溶液中の第2族元素の塩の含有率によって制御されてよい。担体の質量に対する第2族元素の酸化物の質量の比率が大きいほど、第四工程において薄い貴金属含有層が形成される傾向がある。担体の質量に対する第2族元素の酸化物の質量の比率が小さいほど、第四工程において厚い貴金属含有層が形成される傾向がある。上記のような第2族元素の酸化物と貴金属含有層の厚さとの関係は、第2族元素の酸化物により、第三工程において、白金族元素の触媒内部への拡散が抑制される効果による、と本発明者らは考える。また、上記のような第2族元素の酸化物と貴金属含有層の厚さとの関係は、第四工程において白金族元素の担体内部への熱拡散が第2族元素の酸化物によって抑制されることにも起因する、と本発明者らは考える。以上のような機序は、第2族元素の酸化物がバリウムの酸化物を含む場合に顕著になる、と本発明者らは考える。なお、担体の質量に対する第2族元素の酸化物の質量の比率、又は溶液中の第2族元素の塩の濃度は、完成後の触媒における第2族元素の酸化物の含有率及び貴金属含有層の厚さの目標値に応じて、適宜調整すればよい。
[第三工程]
第三工程では、白金族元素の溶液を担体に付着させる。白金族元素の溶液は、白金族元素の塩(錯体を含む。)の水溶液又は非水溶液であってよい。非水溶液用の溶媒は、有機溶媒であってよい。有機溶媒は、例えば、アルコール等の極性溶媒であってよい。白金族元素の塩は、例えば、硝酸塩、ハロゲン化物(塩化物等)、硫酸塩、酢酸塩及びアセト酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。複数種の白金族元素の塩を用いてもよい。白金族元素の溶液は、さらにニッケル(Ni)又はレニウム(Re)等の遷移金属の塩を含有してもよい。
第三工程では、白金族元素の溶液を担体に付着させる。白金族元素の溶液は、白金族元素の塩(錯体を含む。)の水溶液又は非水溶液であってよい。非水溶液用の溶媒は、有機溶媒であってよい。有機溶媒は、例えば、アルコール等の極性溶媒であってよい。白金族元素の塩は、例えば、硝酸塩、ハロゲン化物(塩化物等)、硫酸塩、酢酸塩及びアセト酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。複数種の白金族元素の塩を用いてもよい。白金族元素の溶液は、さらにニッケル(Ni)又はレニウム(Re)等の遷移金属の塩を含有してもよい。
第三工程では、担体を白金族元素の溶液に浸漬してよい。白金族元素の溶液を担体へ噴霧していてもよい。担体が多孔質である場合、白金族元素の溶液を担体内に含浸させてよい。これらの操作により、溶液中の白金族元素の塩が担体に付着する。
第三工程において担体に付着したルテニウムの塩は、第四工程における担体の焼成によって酸化して、揮発性(昇華性)を有するRuO4が生成することがある。このRuO4は、貴金属含有層の形成に寄与し難い。したがって、白金族元素としてルテニウム以外の元素を用いた場合の貴金属含有層の厚さの制御は、ルテニウムを用いた場合の貴金属含有層の厚さの制御よりも容易であり、且つ正確である。この点において、白金族元素は、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
[第四工程]
第四工程では、担体を焼成する。この焼成より、担体の表面において第2族元素の酸化物が担持された部分の一部又は全部が、白金族元素を含む貴金属含有層で覆われる。担体を焼成前に空気中で100℃以上の温度で加熱して、担体を乾燥してもよい。
第四工程では、担体を焼成する。この焼成より、担体の表面において第2族元素の酸化物が担持された部分の一部又は全部が、白金族元素を含む貴金属含有層で覆われる。担体を焼成前に空気中で100℃以上の温度で加熱して、担体を乾燥してもよい。
第四工程の焼成温度は、例えば、白金族元素の塩の分解温度以上であればよい。第四工程の焼成温度が、白金族元素の塩の分解温度以上である場合、白金族元素の塩が分解し易く、不純物が触媒に残り難い傾向がある。その結果、貴金属含有層が形成され易く、貴金属含有層の厚さ及び白金族元素の分散度が所望の範囲に制御され易い傾向がある。また、第四工程の焼成温度は、例えば、触媒を用いた改質の反応温度の上限値以下であればよい。例えば、白金族元素の硝酸塩を用いる場合、第四工程の焼成温度は550〜800℃であってよい。第四工程の焼成時間は、例えば、5時間程度であればよい。
担体の質量に対する白金族元素の質量(金属換算の質量)の比率によって、貴金属含有層の厚さを制御してもよい。担体の質量に対する白金族元素の質量の比率は、例えば、第三工程で用いる溶液中の白金族元素の塩の含有率によって制御されてよい。ただし、担体の質量に対する白金族元素の質量が一定であったとしても、担体の質量に対する第2族元素の酸化物の質量の比率のみによって、貴金属含有層の厚さを自在に変えることが可能である。
以上の工程を経て、本実施形態に係る触媒が完成する。触媒の形状は、例えば、粉末状(略球状)、リング状、タブレット状、又は円筒状であってよい。触媒の成形により、触媒の形状を適宜調整してよい。
次に、本実施形態の改質器について説明する。図2に示す改質器17は、炭化水素化合物類を含有する改質用原料が供給される供給ラインL1に接続された入口Iと、改質ガスを取り出し、後段に送る移送ラインL2に接続された出口Oと、入口側に充填された低温活性触媒からなる触媒層100と、出口側に充填された高温活性触媒からなる触媒層200と、改質ガスを取り出し、後段に送る移送ラインL2に接続された出口Oとを有する。
本実施形態の改質器17の触媒層は低温活性触媒及び高温活性触媒の2層構成であるが、3層以上の構成とすることができる。この場合、上流側から下流側に向かって第2族元素の酸化物の含有率が小さいものから大きいものとなる順序で上記触媒10のうちの低温活性触媒及び高温活性触媒を配置することができる。或いは、上流側から下流側に向かって貴金属含有層の厚さが大きいものから小さいものとなる順序で上記触媒10のうちの低温活性触媒及び高温活性触媒を配置することができる。
改質器17は、上記触媒10のうちの低温活性触媒及び高温活性触媒を複数用意し、これらを第2族元素の酸化物の含有率若しくは貴金属含有層の厚さが、小さいものから若しくは大きいものから順に所定の容器に充填することにより作成できる。
図2に示される改質器17は、流れの方向に対し垂直の方向から見た図である。改質器17が、円筒形など、流れ方向に垂直な平面で切断したときの断面積が切断位置によらず一定であるような形状を有するものである場合、(Fx/F100)×100が低温活性触媒の充填割合(%)を示し、(Fy/F100)×100が高温活性触媒の充填割合(%)を示す。
これらの割合は、用いる第1の触媒及び第2の触媒の組み合わせと、改質器内の反応温度或いは触媒層の温度分布とを考慮して適宜設定することができる。
改質器17において、上記触媒10のうちの低温活性触媒及び高温活性触媒を流れの方向に沿って順に配置する触媒層の構成方法を説明したが、触媒層の構成方法はこれに限定されず、触媒層の温度分布を考慮して3次元的に決定することができる。例えば、改質器底面を火炎で熱する場合は、改質器下部の温度が上部と比較して高温になるので、上下方向で低温活性触媒及び高温活性触媒を配置することができる。改質器外面全体を熱する場合は、改質器の外表面の温度が内部と比較して高温になるので、ドーナツ状に低温活性触媒及び高温活性触媒を配置することができる。
改質器の容器は公知のものを使用することができる。また、改質器の反応形式は、例えば、固定床式、移動床式又は流動床式であってよい。
(水素の製造方法)
本実施形態に係る水素の製造方法は、炭化水素化合物類を含む改質用原料を本実施形態に係る改質器で改質して水素を生成させる工程を備える。
本実施形態に係る水素の製造方法は、炭化水素化合物類を含む改質用原料を本実施形態に係る改質器で改質して水素を生成させる工程を備える。
改質は、例えば、水蒸気改質、部分酸化改質、自己熱改質、又は二酸化炭素改質であってよい。改質用原料は、例えば、水、酸素、及び二酸化炭素から選択される少なくとも一種と、炭化水素化合物類と、を含んでもよい。水蒸気改質を行う場合、改質用原料は、水と炭化水素化合物類とを含めばよい。部分酸化改質を行う場合、改質用原料は、酸素と炭化水素化合物類とを含めばよい。自己熱改質を行う場合、改質用原料は、水と酸素と炭化水素化合物類とを含めばよい。二酸化炭素改質を行う場合、改質用原料は、二酸化炭素と炭化水素化合物類とを含めばよい。改質用原料は、さらに水素、一酸化炭素又は窒素を含んでもよい。
上記の改質反応において、改質器の触媒層の温度分布は入口側が低く、入口から出口にかけて温度が高くなる傾向にあるため、改質器の入口側に低温活性触媒を充填し、出口側に高温活性触媒を充填することができる。図2に示す改質器17を用いる場合、炭化水素化合物類を含む改質用原料を、上記低温活性触媒及び上記高温活性触媒の順に接触させて、水素を生成させることができる。なお、改質器の触媒層の温度分布はこれらに限定されることはなく、上述したように改質器の温度分布は多様にあるため、その温度勾配に応じて低温活性触媒及び高温活性触媒を適宜配置することができる。
改質の反応形式は、例えば、固定床式、移動床式又は流動床式であってよい。
炭化水素化合物類は、例えば、炭素数が1〜40、1〜30、又は1〜6である有機化合物であってよい。炭化水素化合物類は、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、又は芳香族炭化水素であってよい。炭化水素化合物類は置換基を含んでよい。置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、又はアラルキル基等であってよい。
炭化水素化合物類は、鎖状の飽和脂肪族炭化水素又はその構造異性体であってよい。鎖状の飽和脂肪族炭化水素は、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、又はオクタンであってよい。炭化水素化合物類は、鎖状の不飽和脂肪族炭化水素又はその構造異性体であってよい。鎖状の不飽和脂肪族炭化水素は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、又はオクテンであってよい。炭化水素化合物類は、例えば、環状飽和炭化水素であってよい。環状飽和炭化水素は、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、又はシクロオクタンであってよい。炭化水素化合物類は、例えば、芳香族炭化水素であってよい。芳香族炭化水素は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、又はビフェニルであってよい。上記の炭化水素化合物類の一種又は複数種を含む具体的物質は、例えば、都市ガス、LNG(Liquefied Natual Gas)、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、ナフサ、ガソリン、灯油、又は軽油であってよい。
炭化水素化合物類は、ヘテロ原子を含有する置換基を有してもよい。ヘテロ原子を含有する置換基は、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はホルミル基であってよい。ヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類は、例えば、アルコール類、エーテル類、又はバイオ燃料であってよい。アルコール類としては、例えば、メタノール又はエタノールであってよい。エーテル類は、例えば、ジメチルエーテルであってよい。バイオ燃料は、例えば、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、又はバイオジェットであってよい。
炭化水素化合物類中の硫黄分を構成する硫黄原子の含有率は、炭化水素化化合物類全体に対して50質量ppb以下であってよい。この場合、改質中の触媒の被毒及びコークの析出が抑制され易い。改質前の炭化水素化合物類の脱硫を行ってもよい。
改質用原料が気体であるとき、ガス空間速度(GHSV)は、例えば、10〜10,000h−1であってよい。なお、GHSVは、Vgas/Vcatと定義される。Vcatは、触媒の体積である。Vgasは、触媒に単位時間(1h)当たりに供給される改質用原料の体積(流量)である。改質用原料が液体であるとき、液空間速度(LHSV)は、例えば、0.05〜5.0h−1であってよい。なお、LHSVは、Vliquid/Vcatと定義される。Vliquidは、触媒に単位時間(1h)当たりに供給される改質用原料の体積(流量)である。GHSV又はLHSVが大きいほど、触媒の量に対する水素の生成量の比率が増加し、水素の製造効率が高まる傾向がある。GHSV又はLHSVが小さいほど、改質用原料が触媒に接触する時間が長くなり、改質反応が進行し易く、炭化水素化合物類の転化率が高まる傾向がある。
改質の反応温度は、例えば、200〜1000℃であってよい。反応温度が低いほど、触媒における貴金属含有層の凝集が抑制され易く、触媒の活性の劣化が抑制され易い傾向がある。反応温度が高いほど、改質の反応速度が高まる傾向がある。反応温度は、例えば、触媒の温度であってよい。
本実施形態においては、例えば、所定の改質反応における反応温度と、高温活性触媒の反応速度rhに対する低温活性触媒の反応速度rlの比rl/rhとの関係に基づき、比が1となる温度T0を求めておき、改質器の触媒層の温度分布において、温度T0よりも低くなるところに低温活性触媒を充填し、温度T0以上のところに高温活性触媒を充填した改質器を用いることができる。
或いは、改質器に充填された低温活性触媒と高温活性触媒との境界部の温度が温度T0となるように改質の反応温度を設定することができる。
低温活性触媒による炭化水素化合物類の改質効率の向上効果を十分に得る観点から、改質の反応温度は、出口温度が温度T0以上(例えば、425℃以上)となるように設定することができる。改質器が、改質の反応温度が温度T0未満の部分と温度T0以上の部分とを含む場合、本発明に係る効果を充分得ることができる。
改質の反応場の気圧(改質器内の気圧)は、例えば、大気圧〜20MPaであってよい。著しく低い気圧下で改質を行う場合、改質器に減圧機構が必要となり、著しく高い気圧下で改質を行う場合、改質器に耐圧性が要求される。
水蒸気改質を行う場合、改質用原料のスチーム/カーボン比は、例えば、0.3〜10であってよい。改質用原料に含まれる水分子のモル数がSであり、改質用原料に含まれる炭素原子のモル数がCであるとき、スチーム/カーボン比は、S/Cと定義される。S/Cが大きいほど、改質用原料中の水分子(スチーム)が豊富であり、触媒におけるコークの析出が抑制され、触媒が失活し難い傾向がある。S/Cが小さいほど、スチームの発生及び供給に要するエネルギーが低減され、余剰のスチーム(未反応のスチーム)の回収に要するコストが低減される傾向がある。
部分酸化改質又は自己熱改質を行う場合、改質用原料の酸素/カーボン比は、例えば、0より大きく0.8以下であってよい。改質用原料に含まれる酸素分子のモル数がOであり、改質用原料に含まれる炭素原子のモル数がCであるとき、酸素/カーボン比は、O/Cと定義される。O/Cが小さいほど、二酸化炭素及び水の過度の生成が抑制され水素の生成量が増加し易い傾向がある。
本実施形態に係る第1の触媒(高温活性触媒)及び第2の触媒(低温活性触媒)を備える改質器は、炭化水素化合物類を改質する活性に優れる。特に第2族元素の酸化物の含有率が高く貴金属含有層が薄い高温活性触媒は、炭化水素化合物類を高い反応温度で効率よく改質でき、第2族元素の酸化物の含有率が低く貴金属含有層が厚い低温活性触媒は、炭化水素化合物類を低い反応温度で効率よく改質できる。本実施形態に係る第1の触媒(高温活性触媒)及び第2の触媒(低温活性触媒)を備える改質器を用いる水素の製造方法(炭化水素化合物類の改質)では、炭化水素化合物類の転化率を高くすることができ、水素が生成し易い。
本実施形態に係る水素の製造方法によって製造された水素は、例えば、燃料電池の燃料として用いることができる。つまり、本実施形態に係る改質器は、例えば、燃料電池用の水素製造装置の改質器、又は燃料電池システムの改質器に用いることができる。
水素製造装置は、例えば、本実施形態に係る改質器と、改質用原料を改質部内へ供給する供給部を備えてよい。
燃料電池システムは、上記本実施形態に係る水素製造装置を備えることができ、例えば、本実施形態に係る改質器と、改質用原料を改質部内へ供給する供給部と、改質器で生成した水素が供給される燃料電池(固体高分子形燃料電池)と、を備えてよい。
図3に示すように、供給部30は、例えば、水が貯蔵されたタンク(水タンク11)、炭化水素化合物類が貯蔵されたタンク(燃料タンク13)、脱硫器15、及び気化器16を備えてよい。
燃料タンク13内の炭化水素化合物類は、燃料ポンプ14を経て、脱硫器15に供給される。脱硫器15により、炭化水素化合物類の脱硫を行う。脱硫器15内には、例えば、脱硫触媒が充填されていてよい。脱硫触媒は、例えば、銅及び亜鉛を含む触媒、又はニッケル及び亜鉛を含む触媒であってよい。水素ガスを脱硫器15内へ供給して、水素化脱硫を行ってもよい。この水素ガスは、改質器17の下流のガス、シフト反応器19の下流のガス、一酸化炭素の選択酸化を行う反応器20の下流のガス、及びアノードオフガスの少なくともいずれかから供給されてもよい。脱硫された炭化水素化合物類は、水と混合されてよい。水は、水タンク11から水ポンプ12を経て供給される。炭化水素化合物類及び水の混合物は、気化器16に供給され、気化された改質用原料が得られる。改質用原料は、改質器17へ供給される。
改質用原料が、改質器17内に充填された触媒と接触することにより、改質用原料中の炭化水素化合物類が改質されて、水素及び一酸化炭素を含む改質ガスが生成する。改質器17の内部は、バーナー27によって加熱されてよい。改質器17の内部の温度(又は触媒の温度)は、例えば、200〜1000℃に調整されてよい。バーナー27の燃料は、燃料タンクか13から供給される炭化水素化合物類、又はアノードオフガスであってよい。
改質ガスは、水性ガスシフト反応を行うシフト反応器19を通過した後、一酸化炭素の選択酸化を行う反応器20を通過する。その結果、改質ガス中の一酸化炭素の濃度が、燃料電池の特性に影響を及ぼさない程度まで低減される。つまり、改質ガスは、燃料電池への使用に適した純度の水素ガスになる。この水素ガスが、燃料電池26へ供給される。シフト反応器19には、例えば、鉄及びクロムを含む触媒、又は銅及び亜鉛を含む触媒の少なくともいずれが充填されていてよい。反応器20には、例えば、ルテニウムを含む触媒が充填されていてよい。
燃料電池26が、例えば、固体高分子形燃料電池である場合、燃料電池26はアノード21、カソード22、固体高分子電解質23からなり、アノード側には上記の方法で得られた高純度の水素を含有する燃料ガスが、カソード側には空気ブロアー18から送られる空気が、それぞれ必要であれば適当な加湿処理を行なった後(加湿装置は図示していない)導入される。この時、アノードでは水素ガスがプロトンとなり電子を放出する反応が進行し、カソードでは酸素ガスが電子とプロトンを得て水となる反応が進行する。これらの反応を促進するため、それぞれ、アノードには白金黒、活性炭担持のPt触媒あるいはPt−Ru合金触媒などが、カソードには白金黒、活性炭担持のPt触媒などが用いられる。通常アノード、カソードの両触媒とも、必要に応じてポリテトラフロロエチレン、低分子の高分子電解質膜素材、活性炭などと共に多孔質触媒層に成形される。また、電気負荷24はアノード、カソードと電気的に連結される。アノードオフガスは加温用バーナー27において消費される。カソードオフガスは排気口25から排出される。
部分酸化改質を行う場合、改質用原料として、酸素及び炭化水素化合物類の混合ガスが改質器17に供給されてよい。自己熱改質を行う場合、改質用原料として、水、酸素及び炭化水素化合物類の混合ガスが改質器17に供給されてよい。二酸化炭素改質を行う場合、改質用原料として、二酸化炭素及び炭化水素化合物類を含む混合ガスが改質器17に供給されてよい。
本実施形態に係る改質器を燃料電池システムの改質器に用いることにより、低温度域まで水素製造能力を維持することができることから、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムに適用した場合、SOFCのアノード電極を低温度域まで還元雰囲気下で保持してアノード酸化を抑制することができ、発電セルの劣化を軽減することが可能となる。すなわち、燃料電池の停止時には、燃料電池セルの破損を防ぐために、燃料電池セルへ水素を供給する必要がある。燃料電池の停止時に改質器の温度が低下した場合であっても、本実施形態に係る低温活性触媒を改質器に用いることにより、未改質の改質用原料が燃料電池セルへ供給され難くなり、燃料電池セルの耐久性が向上する。具体的には、例えば、未改質の炭化水素濃度が上昇してアノードのニッケル上でコーキングが発生しセルが劣化するなどの問題を抑制できる、ロバスト性の高い燃料電池システムを構成することができる。また、改質器を加熱するバーナーにおける燃焼温度の不足によって改質器の温度が低下した場合であっても、低温で炭化水素化合物類の改質が進行するので、燃料電池システムの安定性及び安全性が向上する。
本実施形態に係る低温活性触媒を改質器に用いることにより、より少ない熱量で効率よく燃料電池用の水素を製造することが可能になる。したがって、社会における水素エネルギーの利用及び省エネルギーが促進される。
以下では実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<触媒の調製>
(触媒A)
[担体の調製]
ポアフィリング法より、硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液を球状のγ−アルミナの成形体に含浸させ、このγ−アルミナを120℃で3時間乾燥した。乾燥後のγ−アルミナを空気中において550℃で10時間焼成することにより、担体を得た。この際、最終的に得られる触媒全体の質量に対するセリウム酸化物(CeO2)の含有率の目標値を6.0質量%として、γ−アルミナに含浸させるセリウム量を調整した。γ−アルミナとしては、住友化学株式会社製のKHA−24を用いた。γ−アルミナの比面積は155mm2/gであった。
(触媒A)
[担体の調製]
ポアフィリング法より、硝酸セリウム(Ce(NO3)3)水溶液を球状のγ−アルミナの成形体に含浸させ、このγ−アルミナを120℃で3時間乾燥した。乾燥後のγ−アルミナを空気中において550℃で10時間焼成することにより、担体を得た。この際、最終的に得られる触媒全体の質量に対するセリウム酸化物(CeO2)の含有率の目標値を6.0質量%として、γ−アルミナに含浸させるセリウム量を調整した。γ−アルミナとしては、住友化学株式会社製のKHA−24を用いた。γ−アルミナの比面積は155mm2/gであった。
[第一工程]
ポアフィリング法により、硝酸バリウム(Ba(NO3)2)水溶液を上記担体に含浸させた後、担体を120℃で3時間乾燥した。この際、最終的に得られる触媒全体の質量に対するバリウム酸化物(BaO)の含有率が1.0質量%になるように、担体に含浸させるバリウム量を調整した。
ポアフィリング法により、硝酸バリウム(Ba(NO3)2)水溶液を上記担体に含浸させた後、担体を120℃で3時間乾燥した。この際、最終的に得られる触媒全体の質量に対するバリウム酸化物(BaO)の含有率が1.0質量%になるように、担体に含浸させるバリウム量を調整した。
[第二工程]
第一工程後、担体を空気中において600℃で5時間焼成した。
第一工程後、担体を空気中において600℃で5時間焼成した。
[第三工程]
第二工程後、ポアフィリング法により、硝酸ロジウム(Rh(NO3)3)の水溶液を担体に含浸させた後、担体を120℃で3時間焼成した。この際、最終的に得られる触媒全体の質量に対するロジウム単体の含有率の目標値を0.50質量%として、担体に含浸させるロジウム量を調整した。
第二工程後、ポアフィリング法により、硝酸ロジウム(Rh(NO3)3)の水溶液を担体に含浸させた後、担体を120℃で3時間焼成した。この際、最終的に得られる触媒全体の質量に対するロジウム単体の含有率の目標値を0.50質量%として、担体に含浸させるロジウム量を調整した。
[第四工程]
第三工程後、担体を空気中において600℃で5時間焼成して、触媒Aを得た。
第三工程後、担体を空気中において600℃で5時間焼成して、触媒Aを得た。
(触媒B)
以下の事を除いて触媒Aの調製と同様の方法で、触媒Bを作製した。最終的に得られる触媒全体の質量に対するセリウム酸化物の含有率の目標値を6.0質量%として、γ−アルミナに含浸させるセリウム量を調整した。第一工程では、最終的に得られる触媒全体の質量に対するバリウム酸化物の含有率の目標値を5.0質量%として、担体に含浸させるバリウム量を調整した。第三工程では、最終的に得られる触媒全体の質量に対するロジウム単体の含有率の目標値を0.50質量%として、担体に含浸させるロジウム量を調整した。
以下の事を除いて触媒Aの調製と同様の方法で、触媒Bを作製した。最終的に得られる触媒全体の質量に対するセリウム酸化物の含有率の目標値を6.0質量%として、γ−アルミナに含浸させるセリウム量を調整した。第一工程では、最終的に得られる触媒全体の質量に対するバリウム酸化物の含有率の目標値を5.0質量%として、担体に含浸させるバリウム量を調整した。第三工程では、最終的に得られる触媒全体の質量に対するロジウム単体の含有率の目標値を0.50質量%として、担体に含浸させるロジウム量を調整した。
[触媒の組成及び構造の分析]
X線回折及び湿式質量分析(ICP−MS)法に基づく分析の結果、触媒A及びBは、γ−アルミナ、ロジウム(金属)、バリウムの酸化物及びセリウムの酸化物を含有することが確認された。触媒A及びBにおける、触媒全体の質量に対するRh(金属)の含有率は、下記表1に示す値であった。触媒全体の質量に対するバリウムの酸化物(BaO換算)の含有率は、下記表1に示す値であった。触媒全体の質量に対するセリウムの酸化物(CeO2換算)の含有率は、下記表1に示す値であった。
X線回折及び湿式質量分析(ICP−MS)法に基づく分析の結果、触媒A及びBは、γ−アルミナ、ロジウム(金属)、バリウムの酸化物及びセリウムの酸化物を含有することが確認された。触媒A及びBにおける、触媒全体の質量に対するRh(金属)の含有率は、下記表1に示す値であった。触媒全体の質量に対するバリウムの酸化物(BaO換算)の含有率は、下記表1に示す値であった。触媒全体の質量に対するセリウムの酸化物(CeO2換算)の含有率は、下記表1に示す値であった。
触媒を樹脂に包埋し樹脂を切断して、断面を研磨した。研磨後の断面に露出した触媒の断面をSEM−EPMAを用いて分析した。SEM−EPMAとしては、日本電子株式会社製の電子線アナライザーJXA−8800Rを用いた。SEM−EPMAによる分析(線分析)は、以下の条件下で行った。
加速電圧:20kV。
プローブ電流:0.1μA。
ビーム径:10nmφ。
ステップ幅:5μm。
加速電圧:20kV。
プローブ電流:0.1μA。
ビーム径:10nmφ。
ステップ幅:5μm。
SEM−EPMAを用いた分析の結果、触媒A及びBは、γ−アルミナと、γ−アルミナの表面に担持されたバリウムの酸化物と、γ−アルミナの表面においてバリウムの酸化物が担持された部分を覆う貴金属含有層と、を備えることが確認された。貴金属含有層がRhから構成されることも確認された。SEM−EPMAによって測定された貴金属含有層の厚さを、表1に示す。SEM−EPMAで撮影した触媒Aの断面の写真を図4aに示す。また、SEM−EPMAで撮影した触媒Bの断面の写真を図4bに示す。
一酸化炭素を用いたガス吸着分析法(COパルス法)に基づき、触媒におけるRhの分散度を測定した。測定装置としては、日本BEL社製のBEL−METAL−3SPを用いた。Rhの分散度は、下記式(1)に基づき算出した。
Rhの分散度(%)=MCO/MP×100 ・・・ 式(1)
MCO(単位:mol/g)は、1gの触媒に吸着したCOのモル数(触媒1g当たりのCOの吸着量)である。MP(単位:mol/g)は、触媒1g当たりのRhのモル数である。
MCO(単位:mol/g)は、1gの触媒に吸着したCOのモル数(触媒1g当たりのCOの吸着量)である。MP(単位:mol/g)は、触媒1g当たりのRhのモル数である。
MCOは、下記式(2)に基づき算出した。
MCO(mol/g)=V50/2/W×(273/(273+t))×(P/101.325)/(22.4×103) ・・・ 式(2)
V50:温度50(℃)において測定した触媒におけるCO吸着量(ml)。
W:触媒の質量(g)。
P:測定時の圧力(kPa)。
t:測定時の温度(℃)。
MCO(mol/g)=V50/2/W×(273/(273+t))×(P/101.325)/(22.4×103) ・・・ 式(2)
V50:温度50(℃)において測定した触媒におけるCO吸着量(ml)。
W:触媒の質量(g)。
P:測定時の圧力(kPa)。
t:測定時の温度(℃)。
上記式(2)は、触媒の担体表面に担持されたRhが球体であり、1個のRh原子に2個のCO分子が吸着することを前提としている。
上記V50は、以下の手順で測定した。触媒をサンプルセル内に設置し、50ml/分の水素気流下において400℃で60分間触媒の前処理を行った。続いて50ml/分のヘリウム気流下において400℃で30分間触媒の前処理を行った。これらの前処理後、サンプルセル内の触媒を50℃に加熱した状態で、ヘリウムガス気流下でCOパルスをサンプルセル内に注入した。COパルスの注入を開始してからCOパルスが定常状態に至るまでにサンプルセルから溶出されるCOの各パルスと、定常状態におけるCOのパルスと、との差分を求めた。これらの差分の和がV50である。
触媒A及びBにおけるRhの分散度を表1に示す。
[触媒の活性の評価]
<試験1>
下記試験1により、触媒を用いたLPGの水蒸気改質のC1転化率を測定した。
<試験1>
下記試験1により、触媒を用いたLPGの水蒸気改質のC1転化率を測定した。
試験1では、触媒0.3gを、固定床の反応管(内径約4mm)内に充填した。触媒が充填された反応管を管状電気炉内に設置した。管状電気炉内の温度(反応温度)を300℃に調整し、大気圧下においてLPG及びスチームを反応管内へ供給し、LPGの水蒸気改質を行った。スチーム/カーボン比は3.0に調整した。GHSVは2,000h−1に調整した。
水蒸気改質の生成ガスをガスクロマトグラフィーによって分析した。同様に、反応管へ供給する前のLPGを分析した。これらの分析結果に基づき、下記式(3)で定義されるC1転化率を求めた。触媒A及びBの300℃でのC1転化率を表1に示す。高いC1転化率は、触媒の活性が高いことを意味する。
C1転化率(%)=MC1/MC−LPG×100 ・・・ 式(3)
MC1:生成ガス中に含まれるC1成分(炭素数が1である分子)の総モル数。
MC−LPG:反応管へ供給されたLPG中に含まれる炭素原子の総モル数。
C1転化率(%)=MC1/MC−LPG×100 ・・・ 式(3)
MC1:生成ガス中に含まれるC1成分(炭素数が1である分子)の総モル数。
MC−LPG:反応管へ供給されたLPG中に含まれる炭素原子の総モル数。
<試験2>
試験2では反応温度を400℃に調整した。この事項を除いて試験1と同様の方法で、試験2を実施した。
試験2では反応温度を400℃に調整した。この事項を除いて試験1と同様の方法で、試験2を実施した。
<試験3>
試験3では反応温度を500℃に調整し、GHSVは15,000h−1に調整した。これらの事項を除いて試験1と同様の方法で、試験3を実施した。
試験3では反応温度を500℃に調整し、GHSVは15,000h−1に調整した。これらの事項を除いて試験1と同様の方法で、試験3を実施した。
<試験4>
反応温度を600℃に調整し、GHSVは15,000h−1に調整した。これらの事項を除いて試験1と同様の方法で、試験4を実施した。
反応温度を600℃に調整し、GHSVは15,000h−1に調整した。これらの事項を除いて試験1と同様の方法で、試験4を実施した。
触媒A及びBの各反応温度でのC1転化率を表1に示す。
[触媒の改質器への適用及び当該改質器を用いる水素製造の評価]
図5aは、反応温度と、触媒Bの反応速度r0に対する触媒Aの反応速度rの比r/r0との関係を示す図である。各反応温度における触媒A及びBの反応速度の比r/r0は、上記C1転化率の比に相当する。図5a中の直線L3は、各反応温度におけるr/r0の値を最小二乗法により近似することにより得られた直線である。
図5aは、反応温度と、触媒Bの反応速度r0に対する触媒Aの反応速度rの比r/r0との関係を示す図である。各反応温度における触媒A及びBの反応速度の比r/r0は、上記C1転化率の比に相当する。図5a中の直線L3は、各反応温度におけるr/r0の値を最小二乗法により近似することにより得られた直線である。
図5aに示されるように、425℃でr/r0が1となり、425℃より低温側では触媒Aの反応速度が大きく、425℃より高温側では触媒Bの反応速度が大きくなる。
低温活性触媒として触媒Aを用い、高温活性触媒として触媒Bを用いて、図2に示される改質器と同様の構成を有する改質器を構成したときの、水素製造の効率について評価した。
図5bは、入口温度69℃、出口温度475℃の温度分布を有する触媒層における低温活性触媒の充填割合(図2における(Fx/F100)×100に相当)と、出口プロパン濃度の相対値との関係を示す図である。
触媒層の温度分布は、反応中の改質器内部の温度測定結果の一例に基づいて得られたものである。
出口プロパン濃度の相対値とは、高温活性触媒としての触媒Bを100%用いた場合の出口プロパン濃度を1としたときの出口プロパン濃度の割合を示すものである。出口プロパン濃度は、上記試験1〜試験4と同様の条件でLPGの水蒸気改質を行ったときの生成ガス中に含まれるプロパン濃度を示し、上記試験1〜試験4で得られたC1転化率に基づき、MC−LPG÷Mn−LPG×{1−(C1転化率)}÷Mtotalの計算式から算出した値である。MC−LPGは、反応管へ供給されたLPG中に含まれる炭素原子の総モル数を示し、Mn−LPGは、反応管へ供給されたLPG中に含まれる炭化水素分子の数平均炭素数を示し、Mtotalは、生成ガス中に含まれる全成分の総モル数を示す。
図5bに示されるように、低温活性触媒の充填割合が70%のところで出口プロパン濃度の相対値の極小値が得られ、このとき炭化水素化合物類を効率よく改質することができる。低温活性触媒の充填割合が75%となる位置は、触媒層の温度が425℃になる位置に相当する。
図6aは、入口温度109℃出口温度550℃の温度分布を有する触媒層における低温活性触媒の充填割合と、出口プロパン濃度の相対値との関係を示す図である。低温活性触媒の充填割合が40%のところで出口プロパン濃度の相対値の極小値が得られ、このとき炭化水素化合物類を効率よく改質することができる。低温活性触媒の充填割合が50%となる位置は、触媒層の温度が425℃になる位置に相当する。
図6bは、入口温度56℃出口温度450℃の温度分布を有する触媒層における低温活性触媒の充填割合と、出口プロパン濃度の相対値との関係を示す図である。低温活性触媒の充填割合が80%のところで出口プロパン濃度の相対値の極小値が得られ、このとき炭化水素化合物類を効率よく改質することができる。低温活性触媒の充填割合が80%となる位置は、触媒層の温度が425℃になる位置に相当する。
本発明によれば、触媒によって炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類を効率よく改質することができる改質器、当該改質器を用いた水素製造方法、水素製造装置及び燃料電池システムを提供することができる。
1…担体、3…第2族元素の酸化物、5…貴金属含有層、5a…一部の白金族元素、10…触媒、11…水タンク、12…水ポンプ、13…燃料タンク、14…燃料ポンプ、15…脱硫器、16…気化器、17…改質器、18…空気ブロアー、19…シフト反応器、20…一酸化炭素の選択酸化を行う反応器、21…アノード、22…カソード、23…固体高分子電解質、24…電気負荷、25…排気口、26…燃料電池、27…加温用バーナー、30…供給部、100,200…触媒層。
Claims (7)
- 第1の担体と、前記第1の担体上に設けられた第1の貴金属含有層と、を有する第1の触媒と、
第2の担体と、前記第2の担体上に設けられた第2の貴金属含有層と、を有し、前記第2の貴金属含有層の厚さが前記第1の貴金属含有層よりも大きい第2の触媒と、
を備える、炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類の改質器。 - 前記第1の触媒が、前記第1の担体と、前記第1の担体の表面の少なくとも一部に担持された第2族元素の酸化物と、前記第1の担体の表面において前記第2族元素の酸化物が担持された部分の少なくとも一部を覆う、前記第1の貴金属含有層と、を有し、
前記第2の触媒が、前記第2の担体と、前記第2の担体の表面の少なくとも一部に担持された第2族元素の酸化物と、前記第2の担体の表面において前記第2族元素の酸化物が担持された部分の少なくとも一部を覆う、前記第2の貴金属含有層と、を有する、請求項1に記載の改質器。 - 前記第1の触媒における前記第2族元素の酸化物の含有率が、前記第1の触媒全体の質量に対して3質量%以上であり、且つ、前記第1の貴金属含有層の厚さが、40〜150μmであり、
前記第2の触媒における前記第2族元素の酸化物の含有率が、前記第2の触媒全体の質量に対して3質量%以下であり、且つ、前記第2の貴金属含有層の厚さが、100〜300μmである、請求項2に記載の改質器。 - 前記第2族元素は、バリウムを含む、請求項2又は3に記載の改質器。
- 炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類を含有する改質用原料を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の改質器で改質して水素を得る、水素製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の改質器を有する改質部、及び、当該改質部に、炭化水素化合物類又はヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素化合物類が含まれる改質用原料を供給する供給部、を備える、水素製造装置。
- 請求項6に記載の水素製造装置を備える、燃料電池システム。
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