JP2015221497A - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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毅 鶴崎
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友和 小竹
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Abstract

【課題】インク受容層の紙面強度が優れ、且つ染料インクで印字した際にも発色性が優れたインクジェット記録媒体を提供すること。【解決手段】本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、基材上に合成非晶質シリカおよびポリビニルアルコールを含有するインク受容層塗工液を塗工することでインク受容層形成するインク受容層形成工程と、このインク受容層上にシラノール変性ポリビニルアルコールを含有するオーバーコート液を塗工するオーバーコート液塗工工程とを有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体の製造方法に関するものである。
近年、インクジェット記録用の記録媒体として、光沢が抑えられた落ち着きと深みのある面質を有する記録媒体(マット調記録媒体)への要求がある。マット調記録媒体を得るために、光沢度を抑えることができるような二次粒子径の大きい顔料を用いると、顔料を接着するのに必要なバインダー成分が多くなる傾向があり、染料インクの発色性が低下する場合がある。一方、バインダー成分を少なくしてしまうと、紙面強度が低下してしまう場合がある。
上記の課題に対して、特許文献1では、非吸水性支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有する記録媒体が開示されている。この記録媒体は、最上層のインク受容層(A)が平均粒子径1.5μm〜2.5μmの湿式シリカを含有し、インク受容層(A)と支持体との間に、平均二次粒子径500nm以下の無機顔料を主体とするインク受容層(B)を有する。また、その製造方法は、インク受容層(B)を塗布後、塗布液が不動化した後にインク受容層(A)を湿式シリカが0.4〜1.5g/m含有されるように塗布するものである。このような構成により、画像濃度及び紙面強度を改善した記録媒体が提供できることが記載されている。
また、特許文献2では、支持体上に形成するインク受容層と該インク受容層の上にポリウレタン系樹脂またはセルロース系樹脂からなるオーバーコート層を有するインクジェット記録媒体が提案されている。
また、特許文献3では、耐水性バインダーを主成分とするインク受容層に、昜水溶性ポリマーを主成分とするオーバーコート液を塗布、含浸させる記録媒体の製造方法が提案されている。
特開2008−246983号公報 特開2001−150798号公報 特許第3155267号
本発明者らは、これらの従来技術について検討したところ、以下の課題があることがわかった。
特許文献1と2に記載された記録媒体では、紙面強度及び染料インクでの発色性において十分満足できない場合があった。また、特許文献3に記載の製造方法の記録媒体では、インク受容層の表面のバインダー量が多く、染料インクの発色性が十分ではない。
一般的に紙面強度を改良しようとする場合、インク受容層中のバインダー成分を多くすることが知られているが、バインダー成分を増量することで、染料インクの場合には発色性が不十分になる傾向がある。
したがって、本発明は、以上のような状況を鑑みて、マット調の記録面を提供し得る無機粒子を含有するインク受容層の紙面強度に優れ、且つ染料インクで印字した際にも発色性にも優れたインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によれば、基材上に、合成非晶質シリカおよびポリビニルアルコールを含有するインク受容層塗工液を塗工することでインク受容層を形成するインク受容層形成工程と、前記インク受容層上にシラノール変性ポリビニルアルコールを含有するオーバーコート液を塗工するオーバーコート液塗工工程とを有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法が提供される。
又、本発明の他の実施形態は、前記オーバーコート液の乾燥塗工量が0.2g/m以上2.0g/m以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法に関する。
本発明の実施形態によれば、紙面強度に優れた記録面を有し、染料インクの発色性にも優れたインクジェット記録媒体が提供できる。
本発明者の検討によると、無機粒子としての合成非晶質シリカと、バインダーとしてのポリビニルアルコールを含有するインク受容層では、インク受容層表層のバインダー存在量の影響により染料インクで印字した際の発色性が不十分となることがある。そこで、本発明では、まず合成非晶質シリカとポリビニルアルコールを含有するインク受容層塗工液を塗工することでインク受容層を形成するインク受容層形成工程を実施する。その後に、シラノール変性ポリビニルアルコールを含有するオーバーコート液を塗工するオーバーコート液塗工工程を実施する。こうすることで、前記インク受容層中に存在するポリビニルアルコールを再湿潤させ、インク受容層表層のポリビニルアルコールの存在量を減少させる。また、オーバーコート液に含有されるシラノール変性ポリビニルアルコールが、インク受容層表層に良好な量存在する。インク受容層表層のポリビニルアルコールの存在量が適化されて染料インクの発色性が向上する。また、オーバーコート液に含有のシラノール変性ポリビニルアルコールがインク受容層表層に分布し、合成非晶質シリカとの相互作用により表面強度を良好にしている。本発明では、このような製造方法により、染料インクの発色性、紙面強度に優れたインクジェット記録媒体が提供できる。以下、「インクジェット記録媒体」を単に「記録媒体」と呼ぶことがある。特に本発明では、無機粒子としての合成非晶質シリカがマット調のインクジェット記録媒体を提供するに適した粒子径範囲を有する場合に好適である。
以下に、本発明をその好ましい実施形態例に基づいて説明する。尚、本発明はこれらの実施形態例のみに限定して解釈されるものではない。
本発明の記録媒体の製造方法は、基材上に合成非晶質シリカおよびポリビニルアルコールを含有するインク受容層塗工液を塗工することでインク受容層を形成するインク受容層形成工程と、該インク受容層の上にシラノール変性ポリビニルアルコールを含有するオーバーコート液を塗工するオーバーコート液塗工工程とを有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法である。
<記録媒体>
インク受容層は、基材の片面に設けられていても、基材の両面に設けられていてもよい。或いは、インク受容層と基材との間に、インク受容層にひび割れが発生しない程度であれば、別の層を設けてもよい。
<基材>
基材としては、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂被膜紙)などの紙類を好ましく用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の透明な熱可塑性フィルムなどを好ましく用いることができる。
また基材として、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙やコート紙、無機物の充填もしくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙など)も使用できる。さらに、ガラスまたは金属などからなるシートなどを基材として使用しても良い。これらの基材とインク受容層との接着強度を向上させるため、基材の表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施すことも可能である。
上述した基材の中でも、インク受容層形成後の記録媒体のマット感等の品位の点などの観点から、紙等の透気性基材を用いるのが好ましい。
<インク受容層>
本発明に用いるインク受容層は、合成非晶質シリカ、ポリビニルアルコール(バインダー)以外に、カチオン性ポリマー及び各種添加剤を含有することができる。以下に、これらの成分について詳しく説明する。
(合成非晶質シリカ)
本発明のインク受容層に含有される合成非晶質シリカとは、乾燥重量でSiO93%以上、Al5%以下、NaO5%以下を含む粒子であることが好ましい。このような合成非晶質シリカは、その製造方法から、ホワイトカーボン、シリカゲルなどの湿式法シリカと、ヒュームドシリカなどなどの乾式法シリカとに大別される。乾式法には燃焼法と加熱法があり、湿式法には沈澱法とゲル法と言われる製造方法がある。
乾式燃焼法は、例えば、気化させた四塩化ケイ素を水素と混合したものを1600〜2000℃の空気中で燃焼させる方法で、気相法とも呼ばれる。
湿式沈澱法は、例えば、ケイ酸ソーダと硫酸等の鉱酸を水溶液中で反応(アルカリ性のpH領域)させて、SiOを沈澱させる方法で、反応温度や鉱酸の添加速度等の条件によりシリカの比表面積や一次粒子径等を調整することができる。また、乾燥や粉砕条件で二次粒子径やシリカ物性が微妙に変化する。
湿式ゲル法は、例えば、ケイ酸ソーダと硫酸等の鉱酸の同時添加等で反応(酸性のpH領域)させて製造されるもので、シリカ粒子同士の場合、たとえばシラノール基の脱水縮合が進んで三次元的なヒドロゲル構造になったものである。その特徴は、一次粒子が比較的小さいヒドロゲル構造であるため、比表面積の大きな二次粒子ができることであり、その一次粒子径の大きさは反応条件等を変えることにより調整でき、吸油量の異なる二次粒子を製造できる。
本発明では、上記合成非晶質シリカの一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明におけるインク受容層は、コールターカウンター法で測定した平均二次粒子径が1.5μm以上15.0μm以下の合成非晶質シリカを含有することが好ましい。この範囲の粒子径を有する合成非晶質シリカを含有することにより、記録媒体に良好なマット感を付与することが可能となる。インク受容層に含有される合成非晶質シリカの平均二次粒子径が1.5μm以上であれば、層中で粒子が密に詰まり難くなり、結果として記録媒体のマット感が損なわれることを防止できる。また、合成非晶質シリカの平均二次粒子径が15.0μm以下であれば、二次粒子により形成される細孔の径が適切となり、紙面強度の低下を抑制できる。紙面強度はより多くのバインダーを使用することで補うことができるが、発色性が低下する場合があるため好ましくない。インク受容層中に平均二次粒子径が2.0μm以上12.0μm以下の合成非晶質シリカを含有すると、染料インクの発色性と紙面強度のバランスが良好になるため更に好ましい。
(バインダー)
本発明は、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる。本発明において、「ポリビニルアルコール」は、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールを意味し、シラノール変性ポリビニルアルコールのような所謂「変性ポリビニルアルコール」は含まない。本発明において、ポリビニルアルコールは、平均重合度が1500以上5000以下のものがより好ましい。また、ケン化度は70以上100以下のものが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、一種を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明におけるインク受容層中のポリビニルアルコールの含有量は、合成非晶質シリカ100質量部に対して20質量部以上40質量部以下であることが好ましい。合成非晶質シリカ100質量部に対するポリビニルアルコールの含有量が20質量部以上であれば、バインダー成分が不足して合成非晶質シリカとの結着力が低下することがなく、また、インク受容層の接着強度が増大し、インク受容層の欠落が発生し難くなる。また、合成非晶質シリカ100質量部に対するポリビニルアルコールの含有量が40質量部以下であれば、インク受容層表層のバインダー成分が過度に多くなることがなく、染料インクの発色性低下を抑制できる。インク受容層中の非晶質シリカ100質量部に対するポリビニルアルコールの含有量が25質量部以上35重量部以下の範囲であると、染料インクの発色性と紙面強度のバランスが良好になるため更に好ましい。
(カチオン性ポリマー)
インク受容層中にカチオン性ポリマーを含有させることができる。カチオン性ポリマーを含有させる場合、その含有量は、合成非晶質シリカ100質量部に対して5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。カチオン性ポリマーの含有量が合成非晶質シリカ100質量部に対して5質量部以上であれば、染料インクをインク受容層内で十分に定着させることができ、印刷画像に水を滴下した際に、インクがにじむなどの耐水性の低下を抑制できる。一方、カチオン性ポリマーの含有量が合成非晶質シリカ100質量部に対して15質量部以下であれば、染料インクの定着性が強くなり過ぎることがなく、染料インクの凝集を抑制し、染料インクで印刷した際の印字濃度の低下を防止できる。インク受容層中に含有されるカチオン性ポリマーは、合成非晶質シリカ100質量部に対して7質量部以上13質量部以下で使用することが特に好ましい。
本発明のインク受容層中に含有させることができるカチオン性ポリマーとしては、例えば、分子内に1〜3級アミン構造、4級アンモニウム塩構造を有する高分子が挙げられる。具体的には、ポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、ジシアン系カチオン樹脂、ポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン‐ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルアミン塩重合物等が挙げられる。
(添加剤)
本発明のインク受容層中には、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、顔料分散剤、堅牢性向上剤、染料定着剤等を挙げることができ、インク受容層形成後の物性が大きく変化しない範囲で適宜、使用することができる。
<オーバーコート液>
本発明におけるオーバーコート液は、バインダーとしてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有するものである。シラノール変性ポリビニルアルコールは、例えば、珪素を含むビニル化合物を酢酸ビニルと共重合させた後、ケン化して、酢酸ビニル単位はビニルアルコールに、珪素がシラノール基にそれぞれ変換されて得られるものである(特開昭58−59203号公報)。シラノール変性ポリビニルアルコールは、合成非晶質シリカ等の無機顔料と特異的に強固に結合し、ポリビニルアルコールと比べて少量で十分な紙面強度を付与することができる。
本発明におけるオーバーコート液の乾燥塗工量は0.2g/m以上2.0g/m以下であることが好ましい。乾燥塗工量が2.0g/m以下であれば、インク受容層表層のバインダー成分が多くなり過ぎることがなく、染料インクの発色性が良好となる。一方、乾燥塗工量が0.2g/m以上であれば、シラノール変性ポリビニルアルコールが不足することがなく、十分な紙面強度を付与することができる。オーバーコート液の乾燥塗工量が0.5g/m以上1.5g/m以下であると、染料インクの発色性と紙面強度のバランスが良好になるため更に好ましい。
本発明に用いるオーバーコート液は、シラノール変性ポリビニルアルコール以外に、溶媒としての水、あるいは水と相溶性のある有機溶媒との混合溶媒を含有し、さらに、各種添加剤を含有することができる。シラノール変性ポリビニルアルコールを主として含有するオーバーコート液の乾燥固形分濃度は、効果の程度によって調整されるが、乾燥固形分濃度が0.5重量%以上10.0重量%以下であることが好ましい。オーバーコート液の乾燥固形分濃度が、0.5%重量%以上であれば、最低限必要な乾燥塗工量を付与するために、多量のオーバーコート液を塗工する必要がなくなる。この結果、インク受容層表面に、シラノール変性ポリビニルアルコールが適切な量で存在し、十分な紙面強度を付与できる。一方、オーバーコート液の乾燥固形分濃度が10.0重量%以下であれば、上記の乾燥塗工量の範囲が確保でき、染料インクの発色性低下を抑制できる。
<記録媒体の製造方法>
本発明の記録媒体の製造方法として、例えば以下の方法を挙げることができる。
まず、上記の合成非晶質シリカおよびポリビニルアルコールを含有し、任意にカチオン性ポリマー、各種添加剤を含有したインク受容層用塗工液を調製する。このとき、溶媒若しくは分散媒として、水、あるいは水と相溶性のある有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。そしてこのように調製されたインク受容層用塗工液を基材に塗工することで、インク受容層を形成するインク受容層塗工工程を実施する。
インク受容層の塗工量は、必要なインク吸収容量や、インク受容層の組成等に応じて適宜調整することができるが、通常、乾燥塗工量として5g/m以上50g/m以下の範囲とすることができる。インク受容層の塗工量が5g/m以上であれば、インク吸収性の低下を抑制し易くなる。インク受容層の塗工量が50g/m以下であれば、折り割れ強度が低下し難くなる。インク受容層の塗工量が7g/m以上30g/m以下であると、オーバーコートによって染料インクの発色性が良好になるため更に好ましい。
インク受容層用塗工液の塗工には、適正な塗工量が得られるように、例えば、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター等を用いた塗工方法を使用できる。これらの塗工方法を用いて、オンマシン、またはオフマシンで基材に塗工する。
なお、インク受容層用塗工液の塗工時に、該塗工液の粘度調整等を目的として、該塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温することも可能である。
また、インク受容層用塗工液の塗工後、後述するオーバーコート液塗工工程に先立って、インク受容層を乾燥する工程を有することが好ましい。この乾燥工程には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機を使用できる。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜、選択して用いることができ、塗工表面のタックがなくなるまで乾燥する。
インク受容層を塗工、乾燥後、インク受容層上にシラノール変性ポリビニルアルコールを含有するオーバーコート液を塗工するオーバーコート液塗工工程を実施する。オーバーコート液塗工工程は、インク受容層の塗工工程と同様の塗工方法を使用でき、オンマシン、オフマシンでインク受容層の上にオーバーコート液を塗工する。
なお、オーバーコート液塗工工程時に、オーバーコート液の粘度調整等を目的として、オーバーコート液を加温してもよく、コーターヘッドを加温することも可能である。オーバーコート液を塗工(塗布)することで、オーバーコート液中の溶媒によりインク受容層中のバインダー(ポリビニルアルコール)が再湿潤する。このとき、シラノール変性ポリビニルアルコールはインク受容層表層の合成非晶質シリカと反応し、インク受容層表層の紙面強度を向上できる。オーバーコート液の塗工工程後には、インク受容形成工程と同様に乾燥工程を設けることが好ましい。オーバーコート液の塗工から乾燥工程に移行するまでの時間(塗工から乾燥までの時間)は、オーバーコート液の組成、乾燥時の温度や方法にもよるが、3秒以上60秒以下が好ましい。塗工から乾燥までの時間が3秒以上であれば、インク受容層中のバインダーを再湿潤させて、インク受容層表面のポリビニルアルコールの存在量が適化され、染料インクの発色性が向上する。塗工から乾燥までの時間が60秒以下であれば、表面強度が良好である。
また、塗工後のオーバーコート液の乾燥には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機を使用できる。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜、選択して用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、下記実施例は、本発明のより一層深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
(基材の作製)
下記条件にて基材を作製した。まず、下記組成の紙料を固形分濃度が3質量%となるように水で調製した。
<紙料組成>
・パルプ 100質量部
〔濾水度450mlCSF(Canadian Standard Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)(80質量部)、および濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)(20質量部)〕。
・カチオン化澱粉 0.60質量部。
・重質炭酸カルシウム 10質量部。
・軽質炭酸カルシウム 15質量部。
・アルキルケテンダイマー 0.10質量部。
・カチオン性ポリアクリルアミド 0.030質量部。
次に、この紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。この後、サイズプレス装置で、固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸させ、乾燥させた。この後、マシンカレンダー仕上げをして、坪量170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基材Aを得た。
(分散液Aの調製)
純水中にカチオン性ポリマー(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合体、商品名:「PAS−92」、日東紡(株)製)を添加した溶液中に、合成非晶質シリカ粉体(平均二次粒子径:10μm)を固形分濃度が15質量%となるように添加した。カチオン性ポリマーの添加量は、シリカ100質量部に対して10質量部とした。これを、高圧ホモジナイザーで分散し、さらに合成非晶質シリカ粉体の固形分濃度が10質量%となるように適宜、純水で希釈して分散液Aを得た。尚、合成非晶質シリカの平均二次粒子径は、コールターカウンター法により測定された値である。
(インク受容層用塗工液Aの調製)
ポリビニルアルコールA(ケン化度:87〜89モル%、商品名:「PVA235」、クラレ(株)製、以下、PVA−Aとする)をイオン交換水中に溶解させて、固形分8.0質量%のPVA水溶液を得た。そして、上記で調製した分散液Aに前記作製したPVA水溶液を、合成非晶質シリカの100質量部に対して、PVA−Aが30質量部となるように混合して、インク受容層用塗工液Aを得た。
(インク受容層用塗工液Bの調製)
PVA−AをポリビニルアルコールB(ケン化度:98〜99モル%、商品名:「PVA117」、クラレ(株)製、以下、PVA−Bとする)に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にしてインク受容層用塗工液Bを調製した。
(インク受容層用塗工液Cの調製)
PVA−AをポリビニルアルコールC(ケン化度:78〜81モル%、商品名:「PVA420」、クラレ(株)製、以下、PVA−Cとする)に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にして、インク受容層用塗工液Cを得た。
(インク受容層用塗工液Dの調製)
PVA−Aを合成非晶質シリカの100質量部に対して、25質量部に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にしてインク受容層用塗工液Dを調製した。
(インク受容層用塗工液Eの調製)
PVA−Aを合成非晶質シリカの100質量部に対して、35質量部に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にしてインク受容層用塗工液Eを調製した。
(インク受容層用塗工液Fの調製)
PVA−Aを合成非晶質シリカの100質量部に対して、20質量部に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にしてインク受容層用塗工液Fを調製した。
(インク受容層用塗工液Gの調製)
PVA−Aを合成非晶質シリカの100質量部に対して、40質量部に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にしてインク受容層用塗工液Gを調製した。
(インク受容層用塗工液Hの調製)
PVA−Aを合成非晶質シリカの100質量部に対して、60質量部に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にしてインク受容層用塗工液Hを調製した。
(インク受容層用塗工液Iの調製)
PVA−Aをシラノール変性ポリビニルアルコール(商品名:「R−1130」、クラレ(株)製、以下、Si−PVAとする)に変更した以外はインク受容層用塗工液Aと同様にしてインク受容層用塗工液Iを調製した。
(オーバーコート液1の調製)
Si−PVAをイオン交換水中に溶解させて、乾燥固形分8質量%のPVA水溶液を得た。そして、さらにイオン交換水で乾燥固形分5質量%水溶液になるよう希釈し、オーバーコート液1を調製した。
(オーバーコート液2の調製)
Si−PVAをPVA−Aに変更した以外はオーバーコート液1と同様にしてオーバーコート液2を調製した。
<実施例1>
基材A上に、インク受容層用塗工液Aを乾燥塗工量が15g/mとなるように塗工後、110℃で乾燥させた。更にインク受容層上にオーバーコート液1を乾燥塗工量が0.5g/mとなるように塗工した後5秒後に、110℃で乾燥させて、インクジェット記録媒体1を作製した。
<実施例2>
実施例1のインク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Bに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体2を作製した。
<実施例3>
実施例1のインク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Cに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体3を作製した。
<実施例4>
実施例1のインク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Dに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体4を作製した。
<実施例5>
実施例1のインク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Eに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体5を作製した。
<実施例6>
基材A上に、インク受容層用塗工液Fを乾燥塗工量が15g/mとなるように塗工後、110℃で乾燥させた。更にインク受容層上にオーバーコート液1を乾燥塗工量が0.2g/mとなるように塗工した後5秒後に、110℃で乾燥させて、インクジェット記録媒体6を作製した。
<実施例7>
実施例6のオーバーコート液1の乾燥塗工量を2.0g/mに変更した以外は、実施例6と同様の方法で、インクジェット記録媒体7を作製した。
<実施例8>
実施例6のインク受容層用塗工液Fをインク受容層用塗工液Gに変更した以外は、実施例6と同様の方法で、インクジェット記録媒体8を作製した。
<実施例9>
実施例6のインク受容層用塗工液Fをインク受容層用塗工液Gに、オーバーコート液1の乾燥塗工量を2.0g/mに変更した以外は、実施例6と同様の方法で、インクジェット記録媒体9を作製した。
<比較例1>
オーバーコート液1を塗工しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体10を作製した。
<比較例2>
実施例1のインク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Hに変更し、オーバーコート液1を塗工しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体11を作製した。
<比較例3>
基材A上に、インク受容層用塗工液Iを乾燥塗工量が15g/mとなるように塗工後、110℃で乾燥させて、オーバーコート液1を塗工しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体12を作製した。
<比較例4>
実施例1のオーバーコート液1をオーバーコート液2に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体13を作製した。
<比較例5>
基材A上に、インク受容層用塗工液Iを乾燥塗工量が15g/mとなるように塗工後、110℃で乾燥させた。更にインク受容層上にオーバーコート液2を乾燥塗工量が0.5g/mとなるように塗布後、110℃で乾燥させて、インクジェット記録媒体14を作製した。
<比較例6>
実施例1のインク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Iに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体15を作製した。
<実施例10>
実施例1のオーバーコート液の塗工から乾燥までの時間を5秒から3秒に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体16を作製した。
<実施例11>
実施例1のオーバーコート液の塗工から乾燥までの時間を5秒から60秒に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体17を作製した。
<評価>
製造した記録媒体に対して、以下の評価を行った。
(紙面強度)
作製した記録媒体のインク受容層上に黒紙を置き、その上から0.147N/cm(15g/cm)の荷重をかけ、黒紙を一定速度で10cm引っ張ることを20回行った。このときの黒紙への付着物(インク受容層残渣、以下「粉」という)の付着量を目視で評価を行った。
A:黒紙への粉の付着がほとんど視認できない。
B:黒紙への粉の付着がわずかに視認できるが、実用上問題ないレベル。
C:黒紙への粉の付着がはっきり視認でき、実用上問題あるレベル。
(染料インクの発色性)
インクジェット方式を用いたプリンタ(商品名:「PIXUS MG6130」、キヤノン製)を用いて、ファインアート「PhotoRag」モードで、作製したインクジェット記録媒体に、RGBモードで、(R,G,B)=(0,0,0)で塗りつぶした画像のパッチを印字した。その後、25℃、50%RH環境で3日間保存後、分光光度計(商品名:「スペクトロリノ」、グレタグマクベス社製)を用いて測色を行い、各インクジェット記録媒体のO.D.値(光学濃度)を算出し発色性を評価した。尚、この際の評価基準は以下の通りとした。
A:O.D.値が1.70以上であり、高濃度部の階調再現性が非常に良い。
B:O.D.値が1.60以上、1.70未満であり、評価Aより高濃度部の階調再現性がやや劣るが、実用上問題のない発色性である。
C:O.D.値が1.60未満であり、高濃度部の階調再現性がよくなく、発色性が低い。
Figure 2015221497

Claims (6)

  1. 基材上に、合成非晶質シリカおよびポリビニルアルコールを含有するインク受容層用塗工液を塗工することでインク受容層を形成するインク受容層形成工程と、前記インク受容層上にシラノール変性ポリビニルアルコールを含有するオーバーコート液を塗工するオーバーコート液塗工工程とを有することを特徴するインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記オーバーコート液の乾燥塗工量が0.2g/m以上2.0g/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記合成非晶質シリカの平均二次粒子径が1.5μm以上15.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 前記インク受容層中の、前記ポリビニルアルコールの含有量が、合成非晶質シリカ100質量部に対して20質量部以上40質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  5. オーバーコート液塗工工程に先立って、前記インク受容層を乾燥する工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  6. オーバーコート液塗工工程に続いて、乾燥工程を更に有し、オーバーコート液塗工工程から乾燥工程に移行するまでの時間が3秒以上60秒以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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