JP2019177585A - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

インクジェット用記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2019177585A
JP2019177585A JP2018068251A JP2018068251A JP2019177585A JP 2019177585 A JP2019177585 A JP 2019177585A JP 2018068251 A JP2018068251 A JP 2018068251A JP 2018068251 A JP2018068251 A JP 2018068251A JP 2019177585 A JP2019177585 A JP 2019177585A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording medium
ink
receiving layer
polyethylene wax
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018068251A
Other languages
English (en)
Inventor
考利 田中
Takatoshi Tanaka
考利 田中
仁藤 康弘
Yasuhiro Nito
康弘 仁藤
有佳 田中
Yuka Tanaka
有佳 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2018068251A priority Critical patent/JP2019177585A/ja
Publication of JP2019177585A publication Critical patent/JP2019177585A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 マット調の面質を有し、水性染料インク及び水性顔料インクのいずれにおいても優れた画像の光学濃度を得ることができ、かつ、優れた耐粉落ち性及び滑らかな手触り感を有するインクジェット用記録媒体を提供する。【解決手段】 本発明のインクジェット用記録媒体は、平均二次粒径3.0μm以上の無機粒子、バインダー、及び窒素原子を有するカチオン性ポリマーを有するインク受容層と、ポリエチレンワックスを含有する被覆部を有し、前記記録媒体の表面のポリエチレンワックスの存在面積割合が、8%以上20%以下であり、前記記録媒体の表面の、元素のピーク強度比(N/O)が1/20以上1/10以下であり、前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが3.0μm以下であることを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット用記録媒体に関する。
インクジェット記録方法などに用いられる記録媒体では、光沢が抑えられ、落ち着きと深みのある画像が得られるマット調の記録媒体が求められている。マット調の面質の記録媒体を得る方法として、記録媒体の表面のインク受容層に平均二次粒径の大きい無機粒子を含有させ、記録媒体の光沢度を低く抑えることが一般的に行われている。しかしながら、無機粒子の平均二次粒径が大きいため、色材がインク受容層の内部に沈み込みやすく、光学濃度が低下しやすいという課題があった。また、平均二次粒径の大きい無機粒子を用いた場合、記録媒体から無機粒子を含むインク受容層が脱落する現象(粉落ちとも呼ぶ)が生じ易くなる。
上記課題に対して、特許文献1では、最表層のインク受理層に平均粒子径が2.9μm以下で且つBET比表面積が260m/g以下である多孔性合成非晶質シリカを含有させることが提案されている。そして、特許文献1では、この構成により、水性顔料インクの発色性を高めている。また、特許文献2では、インク受理層上に、滑り性付与成分及びインク定着性付与成分を含有する滑り層を形成することで、印字画像の鮮明性、耐水性、及び搬送性を高めている。
特開2006−116797号公報 特開2002−172853号公報
本発明者等が特許文献1に記載の発明について検討したところ、水性染料インク及び水性顔料インクを用いて印刷した際に、一定レベルの画像の光学濃度を得ることができた。しかしながら、本発明者等が求めるさらに高いレベルの画像の光学濃度を満足するものではなかった。また、非晶質シリカの平均粒径が小さいため、本発明者らが求めるレベルのマット面調を得ることはできなかった。
また、本発明者らは特許文献2に記載の発明について検討したところ、水性染料インク及び水性顔料インクを用いて印刷した際に、一定レベルの耐粉落ち性と画像の光学濃度を得ることができた。しかしながら、本発明者等が求めるさらに高いレベルの画像の光学濃度を満足するものではなかった。
本発明は、上記した従来技術の課題を鑑みなされたものである。即ち、本発明の目的は、マット調の面質を有し、水性染料インク及び水性顔料インクのいずれにおいても優れた画像の光学濃度を得ることができ、かつ、優れた耐粉落ち性及び滑らかな手触り感を有するインクジェット用記録媒体を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明にかかるインクジェット用記録媒体は、基材と、前記基材上のインク受容層と、前記インク受容層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆部と、を有するインクジェット用記録媒体において、前記インク受容層は、平均二次粒径3.0μm以上の無機粒子、バインダー、及び窒素原子を有するカチオン性ポリマーを有し、前記被覆部は、ポリエチレンワックスを含有し、前記記録媒体の表面のポリエチレンワックスの存在面積割合が、8%以上20%以下であり、前記記録媒体の表面を波長分散型X線分光法(WDX)で測定したときの、窒素元素と酸素元素のピーク強度比(N/O)が1/20以上1/10以下であり、前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが3.0μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、マット調の面質を有し、水性染料インク及び水性顔料インクのいずれにおいても優れた画像の光学濃度を得ることができ、かつ、優れた耐粉落ち性及び滑らかな手触り感を有するインクジェット用記録媒体を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、以下、インクジェット用記録媒体を、単に「記録媒体」と称することがある。また、以下、水性顔料インクを、単に「顔料インク」と称し、水性染料インクを、単に「染料インク」と称することがある
本発明の記録媒体は、基材と、前記基材上に、平均二次粒径3.0μm以上の無機粒子、バインダー、及び、カチオン性ポリマーを含有するインク受容層とを有する。更に、前記インク受容層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆部を有し、被覆部はポリエチレンワックスを含有する。また、本発明においては、記録媒体表面のポリエチレンワックスの存在面積割合が、8%以上20%以下を満足する。
本発明において、ポリエチレンワックスの存在面積割合は、以下の方法によって求められる。
まず、走査型電子顕微鏡(SEM)によってインク受容層を有している側の記録媒体の表面を観察して記録媒体の表面の画像を得る。この画像中におけるポリエチレンワックスの合計の面積を求め、観測された画像領域の全面積に対するポリエチレンワックスの合計の面積の割合を算出することでポリエチレンワックスの存在面積割合が得られる。
ポリエチレンワックスの存在面積割合を上記範囲にすることで、インク受容層の表面、即ち記録媒体の表面の動摩擦係数を適度に低下させることが可能となる。その結果、インク受容層表面を擦った際の無機粒子の剥がれを抑制することが可能となり、耐粉落ち性が向上する。また、インク受容層の表面に過剰にポリエチレンワックスを存在していないため、色材が定着可能な表面を十分に確保でき、その結果、染料インク及び顔料インクいずれのインクでも高い光学濃度(発色性)を発現することが可能となる。
ポリエチレンワックスの存在面積割合が8%未満の場合、記録媒体の表面に存在するポリエチレンワックスの量が少なくなりすぎるため、記録媒体の表面の動摩擦係数を十分に下げることが出来ず、十分な耐粉落ち性が得にくくなる。また、ポリエチレンワックスの存在面積割合が20%を超えると、記録媒体の表面に存在するポリエチレンワックスが多くなりすぎるため、色材が定着可能な記録媒体の表面領域が少なくなり、その結果、色材定着性を十分に確保できなくなる。更に、インク吸収性が低下し、インク受容層内に速やかな溶剤の吸収が起こらなくなるため、染料インク及び顔料インクの発色性が低下しやすくなる。なお、ポリエチレンワックスの存在面積割合は、インク受容層の単位面積を基準として10%以上18%以下であることが好ましい。
本発明において、記録媒体の表面を波長分散型X線分光法(WDX)で測定したときの、窒素元素(N)と酸素元素(O)のピーク強度比(N/O)は1/20以上1/10以下である。
波長分散型X線分光法(WDX)は、測定試料(記録媒体)のインク受容層を有する側の表面に電子線を照射して、記録媒体から放射される特性X線を、回折格子(分光結晶)を用いて波長ごとに分解し、得られた測定結果から元素の同定を行う方法である。このWDXは、電子線を照射して特定X線を観測する点で類似する測定方法であるエネルギー分散型X線分光法(EDX)と比較して、エネルギー分解能が高い。そのため、WDXは、微量の元素分析やEDXで測定した際にピーク分離が難しい元素の同定が可能である。例えば、WDXでは、EDXによる測定ではピークが重なってしまい、元素の同定が難しい窒素元素と炭素元素に関しても同定が可能である。また、記録媒体の表面から数nm程度の深さの領域までの元素を測定する方法であるため、記録媒体表面の元素の同定が可能である。
本発明では、記録媒体表面をWDXで窒素元素(N)及び酸素元素(O)を分析対象元素として選んでいる。WDXスペクトルにおいて、窒素元素に由来するピークは0.38〜0.42keV付近の位置に現れ、酸素元素に由来するピークは0.50〜0.54keV付近の位置に現れるため、これらの位置におけるピーク強度を用いてピーク強度比(N/O)を求めた。このWDXで観測される窒素元素は、実質的にインク受容層中のカチオン性ポリマーに含まれる窒素原子に由来する元素であると考えられる。また、このWDXで観測される酸素元素は、主にインク受容層中のシリカ及びバインダーに含まれる酸素原子に由来する元素であると考えられる。従って、窒素元素と酸素元素のピーク強度比(N/O)を算出することで、記録媒体の表面に存在するカチオン性ポリマーの存在比率の指標とすることができる。また、被覆部のポリエチレンワックスはN及びOのいずれの元素も含まないため、ピーク強度比(N/O)に大きく影響を及ぼすことはない。
ピーク強度比(N/O)を上記範囲になるように、記録媒体表面にカチオン性ポリマーを存在させることで、染料及び顔料といった色材を効果的に表面に留めることが可能となり、染料及び顔料インクのいずれでも高い発色性を発現することが可能となる。
ピーク強度比(N/O)が1/20を下回ると、記録媒体表面に存在するカチオン性ポリマーの存在が少なくなりすぎるため、記録媒体表面で染料インク及び顔料インクの色材を十分留めることができなくなり、染料インク及び顔料インクの発色性の低下を招く。とりわけ、染料インクにおいて発色性が大きく低下する。
ピーク強度比(N/O)が1/10を上回ると、記録媒体表面に存在するカチオン性ポリマーの存在が多くなりすぎてしまう。その結果、染料インク及び顔料インクに含まれる色材を記録媒体表面で過剰に留めることになるため、過剰な凝集によるブロンジングが発生し、発色性が低下する。また、顔料インクにおいては、上記ブロンジングのみならず、顔料の過剰な凝集により、記録媒体表面において顔料が均一に存在しにくくなるため発色性が低下する。
上記比率は、インク受容層の無機粒子、バインダー、カチオン性ポリマーの含有比率の影響を大きく受けるが、必ずしもこれのみによって決定されるものではない。上記比率は、特に被覆部の成分の含有比率の影響も受ける。特に、被覆部にカチオン性ポリマーを多く含有すると、記録媒体表面にカチオン性ポリマーが多く存在することになるため、染料インク及び顔料インクの発色性の低下を招く。従って、本発明の記録媒体の形成において、被覆部用の塗工液は、ポリエチレンワックス100質量部に対して、カチオン性ポリマーは、0.5質量部以下であることが好ましく、0質量部であることがより好ましい。
本発明において、記録媒体表面のISO4287:1997で規定されるカットオフ値0.8mmで測定した算術平均粗さRaが3.0μm以下であることを満足する。
Raが3.0μmを上回ると、表面の凹凸が大きくなり、指で表面を触った際に、ややひっかかりを感じるため、手触り感が低下する。また、大きなRaに起因して、凹部にインクが残り易くなるため、ブロンジングし易い色においては、発色性が下がる傾向にある。また、Raの下限値については特に制限されないが、記録媒体のマット調の面質を高めるために、Raは1.0μm以上であることが好ましい。
本発明において、記録媒体の表面をX線光電子分光法で測定したときの、炭素原子(C1s)とケイ素原子(Si2p)のピーク面積比(C1s/Si2p)が1.3以上2.3以下を満足することが好ましい。ここで、C1sは炭素原子の1s電子のピークであり、Si2pは、ケイ素原子の2p電子のピークである。
X線光電子分光法は、元素にX線を照射し元素から放出された特有の自由電子の運動エネルギーを定性及び定量的に測定する方法である。測定原理の特性上、記録媒体の表面から深さ5nm程度の位置までの表面の構成元素を測定する方法である。従って、記録媒体の表面をX線光電子分光法で測定することにより、バインダー及びその他添加剤の炭素鎖に由来するC1sのピークとシリカに由来するSi2pのピーク面積比(C1s/Si2p)を算出することができる。そして、得られたピーク面積比(C1s/Si2p)は、記録媒体の表面の主にバインダーとシリカの存在率の指標とすることができる。
ピーク面積比(C1s/Si2p)を1.3以上にすることで、被覆部のポリエチレンワックス量とインク受容層中のバインダーを表面に一定量存在させることが可能となるため、記録媒体の耐粉落ち性をより高めることができる。また、ピーク面積比を2.3以下にすることで、特に顔料インクにおいて色材が定着できるシリカ表面を十分に露出させることが可能となり、より高い発色性を示す。
本発明において、被覆部のポリエチレンワックスの融点が120℃以上であることが好ましい。融点を120℃以上にすることで、被覆部用の塗工液をインク受容層上に塗布し、乾燥する際に、ポリエチレンワックスが融解することなく、ワックスが粒子の状態でインク受容層上に残ることが可能となるため、耐粉落ち性をより高めることができる。また、ポリエチレンワックスの融解によるシリカ等の表面露出の減少が起こらないため、染料インク及び顔料インクの発色性をより高めることが可能となる。また、ポリエチレンワックスの融点の上限値については特に制限されないが、例えば、ポリエチレンワックスの融点は200℃以下であることが好ましい。また、ポリエチレンワックスの融点は、示差走査熱量分析装置を用いてASTM D3418−82に準じて測定することができる。
本発明において、カチオン性ポリマーはポリアミン系のカチオン性ポリマーであることが好ましい。ポリアミン系のカチオン性ポリマーを選択することで、染料インク及び顔料インクの両方において、画像の光学濃度をより高めることができる。
以下、本発明の記録媒体に用いる材料についてより詳細に説明する。
<基材>
基材としては、特に制限はなく、公知の基材を用いることができる。例えば、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂被膜紙)などの紙類を用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の透明な熱可塑性フィルムも用いることができる。
これ以外にも、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙やコート紙、無機物の充填もしくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙など)を使用できる。また、ガラスまたは金属などからなるシートなどを使用しても良い。更に、これらの基材と多孔質インク受容層との接着強度を向上させるため、基材の表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施すことも可能である。
上記基材の中でも、適度なサイジングを施された紙等の透気性を有する基材を用いることが好ましい。
<インク受容層>
本発明に用いるインク受容層は、無機粒子、バインダー、及びカチオン性ポリマーを含有する。本発明においては、上記したインク受容層に含まれる材料を含む塗工液を調製し、係る塗工液を塗工、乾燥することでインク受容層を形成することが好ましい。即ち、本発明において、インク受容層に含まれる材料は、インク受容層を形成するために用いる塗工液に含まれる材料と等しいことが好ましい。
本発明において、インク受容層における無機粒子とバインダーの質量比率(無機粒子の含有量/バインダーの含有量)は、100/20〜100/50であることが、インク受容層の強度やインク吸収性の向上の観点から好ましい。また、無機粒子とバインダーの質量比率は、100/23〜100/40であることがより好ましい。
また、本発明において、無機粒子とカチオン性ポリマーの質量比率(無機粒子の含有量/カチオン性ポリマーの含有量)はインクの発色性の向上の観点から100/5〜100/15であることが好ましく、100/5〜100/13であることがより好ましい。
インク受容層の厚みは、15μm以上35μm以下であることが、インク受容層の強度やインク吸収性、染料インク及び顔料インクの発色性の観点から好ましい。
(無機粒子)
本発明のインク受容層は、無機粒子を含有する。また、マット調の面質を得るために、無機粒子の平均二次粒径は、3.0μm以上であることが重要である。なお、本発明において、無機粒子の平均二次粒径は、レーザー回折法によって測定することができる。また、より滑らかな手触り感を有する記録媒体を得るために、無機粒子の平均二次粒径は3.0μm以上16.0μm以下であることが好ましい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、軽質炭酸カルシウムを好ましく用いることができる。その中でも、シリカを用いることが本発明の効果を発現する上で好ましい。また、シリカとしては非晶質シリカであることが好ましい。また、シリカは、製造方法に依らず、いずれのものも好適に用いることができる。具体的には、シリカの製造方法としては、乾式法、湿式法が挙げられるが、本発明においては、いずれの方法により得られたシリカも、好適に用いることができる。以下、乾式法、湿式法についてより詳細に説明する。乾式法は更に燃焼法と加熱法に区別され、また、湿式法は更に沈殿法とゲル化法に区別される。乾式燃焼法は、気相法とも呼ばれる方法であり、気化させた四塩化ケイ素と水素との混合物を1500〜2000℃で空気中で燃焼させることで非晶質シリカを得る方法である。湿式沈殿法は、ケイ酸ソーダと硫酸等を水溶液中で反応させることで、非晶質シリカを沈殿物として得る方法であり、反応温度や酸の添加速度等の条件によりシリカの一次粒子径等を調整することができる。また、乾燥や粉砕条件等で二次粒子径等も変化させることができる。湿式ゲル化法は、ケイ酸ソーダと硫酸を同時に添加することで非晶質シリカを得る方法であり、係る方法を用いることで、シラノール基の脱水縮合によるシリカ粒子同士の重合が進んだ、三次元的なハイドロゲル構造を有する非晶質シリカを得ることができる。湿式ゲル化法で製造したシリカは、比較的小さなハイドロゲル構造であるため、湿式沈殿法と比べて比表面積の大きな二次粒子径を製造することが可能である。本発明においては、湿式ゲル化法による非晶質シリカが特に好ましい。
本発明に用いる非晶質シリカは、特に制限されるものでは無いが、JIS−K6217−4に準じて測定される吸油量が、150ml/100g以上、350ml/100g以下であることが好ましく、より好ましくは180ml/100g以上、330ml/100g以下である。
本発明に用いる非晶質シリカは、特に制限されるものではないが、BET法で得られる細孔容積は、1.0ml/g以上であることが好ましく、更に好ましくは、1.3ml/g以上である。また、BET法で得られる比表面積は、200m/g以上500m/g以下であることが好ましい。
尚、本発明においては、本件の効果を損なわない範囲であれば、無機粒子が1種類でも良く、2種類を併用しても良い。
(バインダー)
本発明のインク受容層はバインダーを含む。バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等が挙げられる。
上記バインダーは、単独で、又は複数種を混合して用いることができる。中でも最も好ましく用いられるバインダーはPVAである。PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAを好適に用いることができる。PVAの平均重合度は1500以上5000以下であることが好ましい。また、PVAのケン化度は70以上100以下であることが好ましい。上記したPVA以外にも、末端にシラノール基を有するシラノール変性PVA等の変性PVAを用いても良い。前記PVAは、単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
(カチオン性ポリマー)
本発明のインク受容層は、窒素原子を有するカチオン性ポリマーを含有する。カチオン性ポリマーとしては、例えば、分子内に1〜3級アミンを有する高分子や、4級アンモニウム塩を有する高分子が挙げられる。具体的には、ポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、ジシアン系カチオン樹脂、ポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン‐ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムコロライド重合物、ジアリルアミン塩重合物等が挙げられる。カチオン性ポリマーの中でも、ポリアミン系のカチオン性ポリマーを用いることが、発色性の観点から好ましい。また、カチオン性ポリマーは、非晶質シリカの分散の際に添加することが好ましい。
(添加剤)
インク受容層用の塗工液の添加剤として、顔料分散剤、堅牢性向上剤、界面活性剤等を、本発明の効果を損なわない程度で、適宜使用することができる。
<被覆部>
(ポリエチレンワックス)
本発明の記録媒体の被覆部は、ポリエチレンワックスを含有する。ポリエチレンワックスの中でも、融点が120℃以上であるものが耐粉落ち性及び発色性の観点から好ましい。ポリエチレンワックスの付与量は、0.03g/m以上0.15g/m以下であることが好ましく、0.05g/m以上0.15g/m以下であることがより好ましい。被覆部用の塗工液の作製においては、ポリエチレンワックスエマルジョンを用いることが好ましい。
(添加剤)
被覆部用の塗工液の添加剤として、バインダー、界面活性剤等を本発明の効果を損なわない程度で、適宜使用することができる。中でもバインダーは、被覆部用の塗工液をインク受容層上に塗工し、乾燥する際に、ポリエチレンワックスを記録媒体の表面(すなわち、インク受容層上)に留めやすくなるため、好ましい。バインダーは、ポリビニルアルコール(PVAとも称する)であることが好ましい。また、被覆部用の塗工液中におけるバインダーの含有量は、ポリエチレンワックス100質量部に対して20質量部以上100質量部以下であることが好ましい。
カチオン性ポリマーを被覆部用の塗工液の添加剤に加える場合は、ポリエチレンワックス100質量部に対して0.5質量部以下であることが好ましく、0質量部である(すなわち、カチオン性ポリマーを含有しない)ことがより好ましい。
<記録媒体の製造方法>
本発明の記録媒体の製造方法としては、以下の方法を用いて記録媒体を製造することができる。まず、非晶質シリカ、バインダー、及びカチオン性ポリマーを含むインク受容層用塗工液を調製する。次に、ポリエチレンワックスエマルジョンを含む被覆部用の塗工液を調整する。その後、調製したインク受容層用塗工液を透気性基材に塗工及び乾燥することで、インク受容層を得る。ついで、インク受容層上に被覆部用の塗工液を塗工及び乾燥することで、インクジェット用記録媒体を得ることができる。
本発明において、インク受容層用の塗工液及び被覆部用の塗工液の塗工方法及び乾燥方法は特に限定されず、記録媒体を製造する際に用いられる公知の方法を用いることができる。具体的には、インク受容層用の塗工液を塗工する方法としては、各種カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーター等の塗工機を用いて塗工することができる。尚、インク受容層用の塗工液の塗工時に、塗工液の粘度調製等を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温してもよい。また、塗工後の塗工液の乾燥には、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機を好適に用いることができる。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜選択して用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、下記実施例は、本発明のより一層深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
<基材の作製>
下記条件にて透気性基材を作製した。
まず、下記に示す組成の紙料を固形分濃度が3.0質量%となるように水で調製した。
(紙料)
濾水度450mlCSFの、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP) 80質量部
濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP) 20質量部
カチオン化澱粉 0.60質量部
重質炭酸カルシウム 10質量部
軽質炭酸カルシウム 15質量部
アルキルケテンダイマー 0.10質量部
カチオン性ポリアクリルアミド 0.030質量部
尚、上記CSFは、Canadian Standard Freenessの略である。
次に、上記紙料を固形分濃度で3質量%含む水を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で、固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸し、乾燥した。その後、マシンカレンダー仕上げをすることで、坪量200g/m、厚み、280μm、ステキヒトサイズ度300秒、透気度200秒、ベック平滑度15秒の透気性基材を得た。
<インクジェット用記録媒体の作製>
(分散液A〜Kの調製)
純水中にカチオン性ポリマーA(商品名:CatiofastPR8154 BASF社製、ポリアミン系のカチオン性ポリマー)を非晶質シリカ100質量部に対して8質量部となるように添加した溶液中に、非晶質シリカ粒子A(商品名:ニップゲルAY−603(東ソーシリカ社製)、平均二次粒径:10.0μm)の固形分濃度が22質量%となるように、非晶質シリカ粒子Aを加え、撹拌機で十分撹拌し、分散液を得た。得られた分散液を非晶質シリカ粒子の固形分濃度が20質量%となるように適宜純水で希釈することで分散液Aを得た。
また、非晶質シリカ粒子Aを、非晶質シリカ粒子B(商品名:Gasil HP39(PQコーポレーション社製)、平均二次粒径:10.0μm)、非晶質シリカ粒子C(商品名:ミズカシルP78D(水澤化学社製)、平均二次粒径12.0μm)、非晶質シリカ粒子D(商品名:ミズカシルP78F(水澤化学社製)、平均二次粒径18.0μm)にそれぞれ変更した以外は分散液Aの調製と同様の操作を行い、固形分濃度を20質量%の分散液B〜Dをそれぞれ得た。
また、カチオン性ポリマーAをカチオン性ポリマーB(商品名:CatiofastBP BASF社製、ジアリルジメチルアミン系)、カチオン性ポリマーC(商品名:パピオゲン P−105 センカ社製、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン系)にそれぞれ変更した以外は分散液Aの調製と同様の操作を行い、固形分濃度20質量%の分散液E、Fを得た。
また、カチオン性ポリマーAのシリカ100質量部に対する添加量を0質量部、4質量部、5質量部、12質量部、13質量部にそれぞれ変更した以外は分散液Aの調製と同様の操作を行い、固形分濃度20質量%の分散液G〜Kを得た。
尚、各無機粒子(非晶質シリカ)の平均二次粒径は、いずれもレーザー回折法により測定された値である。
(インク受容層用塗工液Aの調整)
バインダーA(商品名:PVA235 クラレ社製、ポリビニルアルコール)を純水中に溶解することで、固形分8.0質量%のPVA水溶液Aを得た。得られたPVA溶液Aを、非晶質シリカの固形分に対して、非晶質シリカ:バインダーAの質量比が100:30となるように、上記した操作によって得られた分散液Aに加えた。得られた混合液を混合液の総固形分濃度が13質量%となるように適宜純水で希釈し、撹拌することでインク受容層用塗工液Aを得た。
(被覆部用塗工液A〜Fの調整)
ポリエチレンワックスエマルジョンA(商品名:HYTEC E−1000 東邦化学社製、融点:137℃)を純水に加え、固形分濃度が3質量%とした後、上記PVA水溶液AをポリエチレンワックスエマルジョンAに対して、ポリエチレンワックス:バインダーAの質量比が100:33となるように加えた。得られた混合液を混合液の総固形分濃度が1質量%となるように適宜純水で希釈し、撹拌することで被覆部用の塗工液Aを得た。
また、ポリエチレンワックスエマルジョンAをポリエチレンワックスエマルジョンB(商品名:HYTEC E−6400 東邦化学社製、融点:120℃)、ポリエチレンワックスエマルジョンC(商品名:HYTEC E−8237 東邦化学社製、融点:106℃)にそれぞれ変更した以外は被覆部用の塗工液Aの調製と同様の操作を行い、総固形分濃度が1質量%の被覆部用の塗工液B及びCを得た。
また、被覆部用の塗工液Aの成分比をポリエチレンワックス:バインダーA:カチオン性ポリマーAの質量比が100:33:0.5及び100:30:1となるようにそれぞれ変更した以外は、被覆部用の塗工液Aの調製と同様の操作を行った。そして、総固形分濃度1質量%となるように適宜純水で希釈し、撹拌することで被覆部用の塗工液D、Eを得た。
また、被覆部用の塗工液A中のカチオン性ポリマーAをカチオン性ポリマーCに変更した。さらに、塗工液の成分比をポリエチレンワックス:バインダーA:カチオン性ポリマーCの質量比が20:8:1となるように変更した。これらの点以外は、被覆部用の塗工液Aの調製と同様の操作を行った。そして、総固形分濃度1質量%となるように適宜純水で希釈し、撹拌することで被覆部用の塗工液Fを得た。
尚、ポリエチレンワックスエマルジョンA、B、及びC中のワックス粒子の平均粒径は、それぞれ140nm、55nm、80nmであった。
(インクジェット用記録媒体1〜24の作製)
以下に記載の通りにインクジェット用記録媒体1〜24を作製した。尚、インクジェット用記録媒体1〜24の作製に用いた材料および作製条件を下記の表1及び2に示す。なお、表1及び2中のP/Bは、インク受容層における無機粒子とバインダーの質量比率(無機粒子の含有量/バインダーの含有量)を意味する。
[実施例1]
前記透気性基材上に、インク受容層用塗工液Aを、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工後、100℃で乾燥することでインク受容層を得た。その後、インク受容層上に被覆部用の塗工液Aを、乾燥後の塗工量(乾燥塗工量とも称する)が0.16g/mとなるように塗工後、100℃で乾燥することでインクジェット用記録媒体1を得た。
[実施例2]
被覆部用の塗工液Aの乾燥後の塗工量を0.10g/mに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体2を得た。
[実施例3]
被覆部用の塗工液Aの乾燥後の塗工量を0.22g/mに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体3を得た。
[実施例4]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Iに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体4を得た。
[実施例5]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Jに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体5を得た。
[実施例6]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Cに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体6を得た。
[実施例7]
インク受容層用塗工液Aの非晶質シリカ:バインダーAの質量比を100:40に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体7を得た。
[実施例8]
インク受容層用塗工液Aの非晶質シリカ:バインダーAの質量比を100:42に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体8を得た。
[実施例9]
インク受容層用塗工液Aの非晶質シリカ:バインダーAの質量比を100:23に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体9を得た。
[実施例10]
インク受容層用塗工液Aの非晶質シリカ:バインダーAの質量比を100:21に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体10を得た。
[実施例11]
被覆部用の塗工液Aを被覆部用の塗工液Bに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体11を得た。
[実施例12]
被覆部用の塗工液Aを被覆部用の塗工液Cに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体12を得た。
[実施例13]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Eに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体13を得た。
[実施例14]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Fに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体14を得た。
[実施例15]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Bに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体15を得た。
[実施例16]
被覆部用の塗工液Aを被覆部用の塗工液Dに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体16を得た。
[比較例1]
被覆部用の塗工液Aを塗工しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体17を得た。
[比較例2]
被覆部用の塗工液Aの乾燥後の塗工量を0.07g/mに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体18を得た。
[比較例3]
被覆部用の塗工液Aの乾燥後の塗工量を0.25g/mに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体19を得た。
[比較例4]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Hに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体20を得た。
[比較例5]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Kに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体21を得た。
[比較例6]
被覆部用の塗工液Aを被覆部用の塗工液Eに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体22を得た。
[比較例7]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Gに、被覆部用の塗工液Aを被覆部用の塗工液Fに、被覆部用の塗工液の乾燥後の塗工量を3.00g/mに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体23を得た。
[比較例8]
インク受容層用塗工液Aの作製に用いた分散液Aを分散液Dに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体24を得た。
<記録媒体の評価>
(ポリエチレンワックスの存在面積割合の算出)
記録媒体表面のポリエチレンワックスの存在面積割合は、記録媒体表面を、走査型電子顕微鏡(SU−70 日立製作所社製)を用いて観察し、以下の方法で算出した。なお、走査型電子顕微鏡の測定の際の加速電圧は2kV、倍率は3万倍とした。
まず、観測されたSEM画像中に存在する個々のワックス粒子の面積を測定する。個々のワックス粒子の面積は、SEM画像中におけるワックス粒子の長径と短径を用い、[{(長径+短径)}/4]×円周率によって求めた。次に、得られたワックス粒子の面積の総和を算出し、さらに得られたSEM画像の面積(SEM画像の視野面積)に対するワックス粒子の面積の総和の割合を算出し、得られた値を存在面積割合とした。
(ピーク強度比(N/O)の算出)
N、Oの各元素のピークは、上記走査型電子顕微鏡に取り付けられた波長分散型X線分析装置(WDS オックスフォードインストゥルメンツ社製)を用いて測定した。具体的には、X線源の加速電圧3kV、倍率1500倍、ビーム電流を15〜25nAの条件で得られた記録媒体表面を測定した。得られたN及びOの各元素のピーク強度(ピーク高さ)を測定し、ピーク強度比(N/O)を算出した。
(C1s及びSi2pのピーク面積比の算出)
炭素1s電子(C1s)及びケイ素2p電子(Si2p)のピークは、XPS装置「QUANTUM2000」(商品名、アルバック ファイ社製)にて測定した。具体的には、X線源の加速電圧15kV、エミッション電流3mA、真空度1.2×10−8mbar条件下、走査領域(Scan Size)1mm×1mmで上記操作により得られた記録媒体の表面を測定した。得られた炭素1s電子及びケイ素2p電子のピークは、半値幅法によりそれぞれの面積を求め、ピーク面積比(C1s/Si2p)を算出した。
(算術平均粗さRaの測定)
算術平均粗さRaの測定は、下記の測定装置及び条件で行った。
測定装置:Surfcorder SE3500(小坂研究所製)
測定条件:ISO4287:1997に準じて、カットオフ値0.8mmに設定し、評価長さはカットオフ値の5倍の長さとして測定した。
(水性染料インクの画像の光学濃度の評価)
インクジェット方式を用いたプリンタ(商品名:「PIXUS PRO−100」、キヤノン社製)を用いて、ファインアート「写真用紙プレミアムマット」モードで、得られたインクジェット用記録媒体それぞれに、ブラックの100%Dutyのベタバッチを印字した。尚、水性染料インクとしては、上記プリンタのインクタンクである「BCI−43」(商品名、キヤノン社製)のBKインク(ブラックインク)を用いた。その後、25℃、50%R.H.(相対湿度)環境で2日間保存した後、分光光度計「スペクトロリノ」(商品名、グレタグマクベス社製)を用いて、各インクジェット用記録媒体におけるベタバッチを印字した部分のO.D.値(光学濃度)を測定した。得られたO.D.値と下記評価基準とを用い、画像の光学濃度の評価を行った。
A:O.D.値が1.83以上である
B:O.D.値が1.80以上1.83未満である
C:O.D.値が1.77以上1.80未満である
D:O.D.値が1.77未満である
(水性顔料インクの画像の光学濃度の評価)
インクジェット方式を用いたプリンタ(商品名:「ImagePROGRAF PRO−1000」、キヤノン社製)を用いて、ファインアート「写真用紙プレミアムマット」モードで、得られたインクジェット用記録媒体のそれぞれに、ブラックの100%Dutyのベタバッチを印字した。尚、顔料インクとしては、上記プリンタのインクタンクである「PFI−1000」(商品名、キヤノン社製)のBKインク(ブラックインク)を用いた。その後、25℃、50%R.H.(相対湿度)環境で2日間保存した後、分光光度計「スペクトロリノ」(商品名、グレタグマクベス社製)を用いて、各インクジェット用記録媒体におけるベタバッチを印字した部分のO.D.値(光学濃度)を測定した。得られたO.D.値と下記評価基準とを用い、画像の光学濃度の評価を行った。
A:O.D.値が1.64以上である
B:O.D.値が1.61以上1.64未満である
C:O.D.値が1.58以上1.61未満である
D:O.D.値が1.58未満である
(耐粉落ち性の評価)
得られた記録媒体上に黒紙を置き、その上から15g/cmの荷重をかけ、黒紙を一定速度で10cm引っ張る操作を20回繰り返した。そして、黒紙への粉の付着の前後における、黒紙の黒色の光学濃度の変化率(粉付着後の黒色の光学濃度/粉付着前の黒色の光学濃度)を算出した。光学濃度は光学反射濃度計(商品名:530分光濃度計、X−Rite製)を用いてそれぞれ測定した。得られた光学濃度の変化率と下記評価基準とを用い、記録媒体の耐粉落ち性の評価を行った。
A:黒色の光学濃度の変化率が90%以上である
B:黒色の光学濃度の変化率が85%以上90%未満である
C:黒色の光学濃度の変化率が75%以上85%未満である
D:黒色の光学濃度の変化率が75%未満である
(手触り感の評価)
得られた記録媒体表面を指で擦った際の感触と下記評価基準を用いて、記録媒体の手触り感の評価を行った。
A:表面に引っかかりをほとんど感じず、滑らかな手触り感である
B:表面に引っかかりをわずかに感じるが、比較的滑らかな手触り感である
C:表面に引っかかりを感じ、ざらついた手触り感である
以上の評価結果を表3に示す。

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材上のインク受容層と、前記インク受容層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆部と、を有するインクジェット用記録媒体において、
    前記インク受容層は、平均二次粒径3.0μm以上の無機粒子、バインダー、及び窒素原子を有するカチオン性ポリマーを有し、
    前記被覆部は、ポリエチレンワックスを含有し、
    前記記録媒体の表面のポリエチレンワックスの存在面積割合が、8%以上20%以下であり、
    前記記録媒体の表面を波長分散型X線分光法(WDX)で測定したときの、窒素元素と酸素元素のピーク強度比(N/O)が1/20以上1/10以下であり、
    前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが3.0μm以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 前記無機粒子が、シリカである請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記記録媒体の表面をX線光電子分光法で測定したときの、炭素原子(C1s)とケイ素原子(Si2p)のピーク面積比(C1s/Si2p)が1.3以上2.3以下である請求項1又は2に記載のインクジェット用記録媒体。
  4. 前記ポリエチレンワックスの融点が120℃以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  5. 前記カチオン性ポリマーが、ポリアミン系のカチオン性ポリマーである請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
JP2018068251A 2018-03-30 2018-03-30 インクジェット用記録媒体 Pending JP2019177585A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018068251A JP2019177585A (ja) 2018-03-30 2018-03-30 インクジェット用記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018068251A JP2019177585A (ja) 2018-03-30 2018-03-30 インクジェット用記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019177585A true JP2019177585A (ja) 2019-10-17

Family

ID=68277500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018068251A Pending JP2019177585A (ja) 2018-03-30 2018-03-30 インクジェット用記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019177585A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4174116A4 (en) * 2020-06-29 2024-07-17 Kuraray Co WATER SOLUBLE FILM AND PACKAGING

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4174116A4 (en) * 2020-06-29 2024-07-17 Kuraray Co WATER SOLUBLE FILM AND PACKAGING

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101370153B1 (ko) 기록 매체
JP6108764B2 (ja) 記録媒体
JP5398850B2 (ja) 記録媒体
JP6929648B2 (ja) 記録媒体
JP2019177585A (ja) インクジェット用記録媒体
JP2016064574A (ja) 記録媒体
JP6463074B2 (ja) 記録媒体の製造方法
JP4271781B2 (ja) インクジェット記録材料用支持体
JP4805504B2 (ja) 記録媒体
JP3329524B2 (ja) インクジェット記録シート
JP2015221497A (ja) インクジェット記録媒体の製造方法
JP2016016663A (ja) 記録媒体
US11338604B2 (en) Print media
JP3926974B2 (ja) インクジェット用記録材料の製造方法
JP5868083B2 (ja) 記録媒体
JP2016064655A (ja) 記録媒体
JP2013154613A (ja) 記録媒体
JP2016043657A (ja) 記録媒体及びその製造方法
JPH1148601A (ja) インクジェット記録体の製造方法
JP2018202814A (ja) 記録媒体
JP2018187843A (ja) 記録媒体
JP2015123649A (ja) 記録媒体
JP2003266929A (ja) インクジェット記録媒体
JP2016036920A (ja) 記録媒体の製造方法
JP2004148657A (ja) インクジェット記録材料