JP2015220196A - 複合活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カーボンを含む活物質と非結晶質の硫化物系固体電解質(SE)とを乾式で機械的に混合する工程、及び、活物質の表面に形成された硫化物系固体電解質(SE)の被膜を結晶化する工程、を備える、複合活物質の製造方法とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、カーボンを含む活物質と非結晶質の硫化物系固体電解質(SE)とを乾式で機械的に混合する工程、及び、活物質の表面に形成された硫化物系固体電解質(SE)の被膜を結晶化する工程、を備える、複合活物質の製造方法である。
一方で、活物質の表面は結晶化によって伝導度が高められた固体電解質によって被覆されていることが好ましい。しかしながら、結晶化させた固体電解質は硬く、活物質の表面を十分に被覆するためには、乾式混合において大きなエネルギーが必要となる。本発明者が鋭意研究を進めたところ、被覆に必要なエネルギーが大きい場合、乾式混合の際に活物質の破壊が生じる結果、電池とした場合の充放電効率が著しく低下することが明らかとなった。一方で、低いエネルギーでは固体電解質の被覆率が不十分となることも分かった。
そこで、本発明では、乾式混合の際、非結晶質の軟らかい硫化物系固体電解質を用いることにより、低エネルギーで活物質表面を硫化物系固体電解質によって十分に被覆したうえで、形成された硫化物系固体電解質被膜を焼成によって結晶化させて、複合活物質を得ることとした。
本発明において用いられる活物質にはカーボンが含まれている。このような活物質は特にリチウム電池の負極活物質として有用である。カーボンを含む活物質の形態(成分、形状等)は特に限定されるものではなく、電池の電極に採用される公知の活物質をいずれも適用可能である。特に、リチウム電池の負極活物質として適用する場合は、充放電によるリチウムの吸蔵・放出が可能な黒鉛等の炭素材料を用いることが好ましい。
本発明において用いられる硫化物系固体電解質(SE)は、硫黄元素を含有し、且つ、上述した活物質の表面を被覆できる程度に、活物質表面に対して化学的親和性があるものであればよい。例えば、Li−A−S(AはP、Ge、B、Si、及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種)系の固体電解質材料を例示することができる。より具体的には、Li2S−P2S5、Li2S−P2S3、Li2S−P2S3−P2S5、Li2S−SiS2、Li2S−Si2S、Li2S−B2S3、Li2S−GeS2、Li2S−P2S5−LiI、Li2S−P2S5−Li2O−LiI、LiI−Li2S−SiS2−P2S5、Li2S−SiS2−Li4SiO4、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li3PS4−Li4GeS4、Li3.4P0.6Si0.4S4、Li3.25P0.75Ge0.25S4、Li4−xGe1−xPxS4等が挙げられる。これら硫化物系固体電解質の中でも、特に、Li2S−P2S5をその組成中に含むものが好ましい。
SEは混合前において非結晶質のものを用いる。SEが結晶質であるか非結晶質であるかは、粉末X線回折測定等によって容易に確認可能である。
SEは、混合前の粒子径が1μm以下であることが好ましい。粒子径の小さなSEを用いることで、混合時における機械的エネルギーを一層低エネルギーとしつつ、活物質表面をSEで被覆することができる。
本発明においては、まず、上述の活物質と非結晶質の硫化物系固体電解質(SE)とを乾式で機械的に混合する。「乾式で機械的に混合する」とは、材料に機械的エネルギーを付与可能な混合手段を用いて乾式混合することを意味する。特に、回転するロータ(ブレード)と壁面との間において、乾式で材料に摩擦・せん断エネルギーを与える機械的混合手段を用いて乾式混合することが好ましい。この場合のブレード−壁間隔、ロータ回転数や処理時間については特に限定されるものではなく、機械的混合手段の規模に応じて適宜決定すればよい。
或いは、本発明ではボールミル等を用いて乾式混合を行っても良い。
このように乾式混合時の仕込みのSE比率を下げることにより、滑りを抑制でき、被覆化に必要なエネルギーを一層低下させることができる。
尚、本発明では、乾式混合を複数回行ってもよい。例えば、上記の所定の仕込み比にて活物質とSEとを乾式混合した後、SEをさらに追加して再び乾式混合を行うこともできる。SEを追加して多段階で乾式混合を行う場合は、追加するSEが体積比で5%≦(追加するSE)/(活物質+乾式混合済みのSE+追加するSE)≦10%となるように調整するとよい。
この時の加熱温度はSEが結晶化しない温度とする。好ましくは40℃〜120℃、より好ましくは80℃程度である。
上述の乾式混合により、活物質の表面には硫化物系固体電解質(SE)の被膜が形成される。本発明では複合活物質の伝導性を高めるために当該被膜を結晶化させる。結晶化工程はSEの結晶化温度以上に加熱することにより容易に実施可能である。加熱温度や加熱時間についてはSEを結晶化させることが可能な条件であればよく、特に限定されるものではない。例えば、120℃超250℃以下、好ましくは200℃程度で、30分〜10時間、好ましくは2時間程度加熱処理するとよい。
尚、被覆率については走査型電子顕微鏡(SEM)等を利用して容易に特定可能である。
(実施例1)
負極活物質として天然黒鉛(平均粒子径20μm)を20g、硫化物系固体電解質(SE)として60Li2S−20P2S5−20LiI(非結晶質、平均粒子径0.8μm)を8.65gそれぞれ秤量した。体積比で負極活物質:SE=70:30であった。
秤量した粉末を乾式混合装置(ホソカワミクロン社製NOB−MINI)へ投入し、ブレード−壁間隔1mm、回転数4000rpmにて30分間乾式混合することによって、負極活物質の表面にSEの被膜を形成し、前駆体を得た。
得られた前駆体2gをアルゴン雰囲気下、200℃で2時間焼成し、SE被膜を結晶化させ、複合活物質を得た。
負極活物質として天然黒鉛(平均粒子径20μm)を20g、硫化物系固体電解質(SE)として60Li2S−20P2S5−20LiI(非結晶質、平均粒子径0.8μm)を2.24gそれぞれ秤量した。体積比で負極活物質:SE=90:10であった。
秤量した粉末を乾式混合装置(ホソカワミクロン社製NOB−MINI)へ投入し、ブレード−壁間隔1mm、回転数3000rpmにて2時間乾式混合することによって、負極活物質の表面にSEの被膜を形成し、前駆体を得た。
得られた前駆体2gをアルゴン雰囲気下、200℃で2時間焼成し、SE被膜を結晶化させ、複合活物質を得た。
負極活物質として天然黒鉛(平均粒子径20μm)を20g、硫化物系固体電解質(SE)として60Li2S−20P2S5−20LiI(非結晶質、平均粒子径0.8μm)を2.24gそれぞれ秤量した。体積比で負極活物質:SE=90:10であった。
秤量した粉末を乾式混合装置(ホソカワミクロン社製NOB−MINI)へ投入し、加熱環境下(80℃)、ブレード−壁間隔1mm、回転数2000rpmにて5時間乾式混合することによって、負極活物質の表面にSEの被膜を形成し、前駆体を得た。
得られた前駆体2gをアルゴン雰囲気下、200℃で2時間焼成し、SE被膜を結晶化させ、複合活物質を得た。
負極活物質として天然黒鉛(平均粒子径20μm)を20g、硫化物系固体電解質(SE)として60Li2S−20P2S5−20LiI(結晶質、平均粒子径0.8μm)を8.65gそれぞれ秤量した。体積比で負極活物質:SE=70:30であった。尚、硫化物系固体電解質はアルゴン雰囲気下において200℃で2時間加熱することによって予め結晶化した。
秤量した粉末を乾式混合装置(ホソカワミクロン社製NOB−MINI)へ投入し、ブレード−壁間隔1mm、回転数4000rpmにて30分間乾式混合することによって、負極活物質の表面にSEの被膜を形成し、前駆体を得た。
得られた前駆体に対して結晶化処理を行うことなく、そのまま複合活物質とした。
負極活物質として天然黒鉛(平均粒子径20μm)を20g、硫化物系固体電解質(SE)として60Li2S−20P2S5−20LiI(結晶質、平均粒子径0.8μm)を8.65gそれぞれ秤量した。体積比で負極活物質:SE=70:30であった。尚、硫化物系固体電解質はアルゴン雰囲気下において200℃で2時間加熱することによって予め結晶化した。
秤量した粉末を乾式混合装置(ホソカワミクロン社製NOB−MINI)へ投入し、ブレード−壁間隔1mm、回転数5000rpmにて30分間乾式混合することによって、負極活物質の表面にSEの被膜を形成し、前駆体を得た。
得られた前駆体に対して結晶化処理を行うことなく、そのまま複合活物質とした。
粉末散布した複合活物質の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。2次電子像で形態を評価し、反射電子像でコントラスト差から被覆状態を評価した。また、画像処理ソフトによって、複合活物質全体の投影面積と、硫化物系固体電解質の塑性変形によって被覆されている部分の面積との割合によって被覆率を算出した。
正極活物質(80.3質量%)、硫化物系固体電解質(16.4質量%)、VGCF(1.2質量%)及びPVdF(2.0質量%)からなる正極合材を作製した。
・ 1/3CCCV充放電
・ 電位範囲:3V〜4.55V
・ 充放電効率[%]=(CCCV放電容量[mAh/g])/(CCCV充電容量[mAh/g])×100
下記表1及び図2〜8に評価結果を示す。
図2〜7は、実施例1〜3、及び比較例1、2に係る複合粒子のSEM画像である。図2が実施例1、図3が実施例2、図4が実施例3、図5が比較例1、図6が比較例2と対応する。図7は電池の充放電効率を比較したグラフである。
一方、図4から分かるように、実施例3に係る複合粒子は、乾式混合時の回転数を他の例よりも小さくしたにも関わらず、加熱環境化で乾式混合を行うことで、負極活物質の表面全体を硫化物系固体電解質被膜で覆うことができた(被覆率90%超)。電池とした場合の充放電効率についても80%超と極めて良好であった。
一方、図6から分かるように、比較例2に係る複合活物質にあっては、乾式混合時に付与するエネルギーを他の例よりも増大させた結果、負極活物質の表面全体を硫化物系固体電解質被膜で覆うことができた。しかしながら、表1や図7に記載したように、電池とした場合における充放電効率が70%未満と、実施例1〜3と比較して著しく低下した。
実施例1、比較例1、2を比べると、実施例1では被覆率97%であったのに対し、同じ回転数4000rpmである比較例1は被覆率70%と低く、5000rpmで処理した比較例2で被覆率92%となった。このことから、結晶の硫化物系固体電解質を被覆するよりも、非結晶質の硫化物系固体電解質を被覆させたほうが、乾式混合時のエネルギーを低下させることができるといえる。
また、実施例1〜3と比較例2とを比べると、被覆率がいずれも90%超であったにもかかわらず、電池とした場合の充放電効率は比較例2が著しく劣っていた。乾式混合時における機械的エネルギーを低下させたことで、実施例1〜3では、比較例2よりも、負極活物質の破壊を抑制できたためと考えられる。
尚、本発明者らの知見によれば、処理回転数が小さ過ぎる場合には被覆率を十分に確保できない場合がある。この場合は、実施例3のように、加熱環境下で乾式混合を行うことが有効である。すなわち、加熱環境下で乾式混合を行うことで、硫化物系固体電解質を軟化し、より低エネルギーで被覆可能といえる。或いは、乾式混合をさらに長時間行うものとしてもよい。
Claims (2)
- カーボンを含む活物質と非結晶質の硫化物系固体電解質(SE)とを乾式で機械的に混合する工程、及び、
前記活物質の表面に形成された前記硫化物系固体電解質(SE)の被膜を結晶化する工程、
を備える、複合活物質の製造方法。 - 前記混合する工程において、
1回目の混合における前記活物質と前記硫化物系固体電解質(SE)との仕込み比を体積比で5%≦SE/(活物質+SE)≦10%に調整する、
請求項1に記載の製造方法。
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2014
- 2014-05-21 JP JP2014105029A patent/JP2015220196A/ja active Pending
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