JP2015218707A - 内燃機関の燃料供給装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、燃料を短時間で高温に加熱することが可能な燃料供給装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
これにより、燃料供給装置は、デリバリパイプ内の燃料圧力を高めることで、燃料の沸点を上昇させ、燃料温度を高温にすることが可能である。また、燃料供給装置は、リターン通路の燃料流れを抑制することで、加熱手段により加熱された燃料がデリバリパイプからリターン通路へ流出することを抑制可能である。したがって、この燃料供給装置は、内燃機関始動前のプレヒート時に、燃料を短時間で高温に加熱し、内燃機関を短時間で確実に始動することができる。
これにより、第2発明は、上述した第1発明と同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1から図4に示す。第1実施形態の燃料供給装置1は、燃料供給源としての燃料タンク2の燃料を、燃料ポンプ3によって汲み上げて加圧し、燃料供給通路4を通じてデリバリパイプ5に蓄圧する。
燃料供給通路4に設けられた逆止弁6は、燃料ポンプ3からデリバリパイプ5への燃料流れを許容し、デリバリパイプ5から燃料ポンプ3への燃料流れを規制する。逆止弁6は、その筐体の内側の燃料通路に形成された弁座に着座及び離座可能な弁体、及び、その弁体を弁座側へ付勢するスプリングなどから構成される。
なお、加熱手段8の構成として、加熱室形成体81を備えることなく、デリバリパイプ5の内側にヒータ8を設けてもよい。
レギュレータ9は、その筐体の内側の燃料通路に形成された弁座に着座及び離座可能な弁体、及び、その弁体を弁座側へ付勢するスプリングなどから構成される。レギュレータ9のスプリングの付勢力は、デリバリパイプ5に設定される燃料圧力に応じて調整される。これにより、レギュレータ9は、デリバリパイプ5内の燃料圧力を所定圧に維持することが可能である。
なお、レギュレータ9は、デリバリパイプ5に限らず、リターン通路11に設けてもよい。
また、燃料供給装置1は、内燃機関の高温再始動時に、燃料ポンプ3を駆動して燃料タンク2からデリバリパイプ5に比較的低温の燃料を導入することにより、デリバリパイプ5内のベーパを消滅させることも可能である。
時刻t1で、ECU10は、例えば運転者が車両に乗車する動作などから内燃機関が始動されることを検出すると、燃料ポンプ3を駆動すると共に、ヒータ8に通電する。なお、ポンプへの通電とヒータ8への通電とは、同時に行ってもよく、又は、いずれか一方を先に行ってもよい。
時刻t1から時刻t2の間にデリバリパイプ5内の燃料圧力が所定圧に上昇すると、時刻t2でECU10は、燃料ポンプ3の駆動を停止する。なお、この所定圧は、レギュレータ9によって調整される燃料圧力である。
上述した時刻t1から時刻t3までの処理を、本実施形態では内燃機関始動前の「プレヒート」と称する。なお、時刻t3以降も、ECU10は、ヒータ8への通電を継続して行う。
なお、時刻t4以降、ECU10は、燃料の種類又は環境温度に応じてヒータ8への通電を停止してもよい。
プレヒート処理が開始されると、ステップ1でECU10は、内燃機関の冷却水の水温Twを検出する。ECU10には、内燃機関が冷間始動時か否かを判別するための閾値としての所定値Tkが予め記憶されている。ECU10は、検出した水温Twが所定値Tk以下の場合、処理をステップ2へ移行する。
一方、検出した水温Twが所定値Tkより高い場合、ECU10は処理をステップ9に移行する。ステップ9でECU10は、燃料ポンプ3を駆動して、この処理を終了し、その後、内燃機関を始動する。
一方、検出したエタノール濃度Kalcが所定値kalckより低い場合、ECU10は処理をステップ9に移行する。ステップ9でECU10は、燃料ポンプ3を駆動して、この処理を終了し、その後、内燃機関を始動する。
ヒータ8の通電時間th(時刻t1−t3)は、燃料供給通路4の長さ、及び、デリバリパイプ5の容積などから設定することが可能である。また、燃料ポンプ3の作動時間tp(時刻t1−t2)は、内燃機関の雰囲気の温度、及び、燃料の種類又は濃度などから設定することが可能である。
続いてステップ5でECU10は、タイマーtが、燃料ポンプ3の作動時間tpを経過したか否かを判定する。タイマーtが、燃料ポンプ3の作動時間tpを経過すると(ステップ5:YES)、ECU10は処理をステップ6へ移行し、燃料ポンプ3の駆動を停止する。
続いてステップ9でECU10は、燃料ポンプ3を駆動して、このプレヒート処理を終了する。
プレヒート処理が終了した後、ECU10は、内燃機関のスタータモータを駆動してクランクシャフトを回転させると共に、燃料噴射弁7から内燃機関に燃料を噴射し、内燃機関を始動する。
図4では、第1実施形態の燃料供給装置1による燃料温度の変化を実線Aに示す。また、比較例の燃料供給装置による燃料温度の変化を実線Bに示す。
なお、比較例の燃料供給装置とは、第1実施形態の燃料供給装置1と同一の構成において、ECU10が、時刻t1から時刻t3の間、さらに時刻t3以降も継続して燃料ポンプ3を駆動する制御を行ったものである。
(1)第1実施形態では、ECU10は、燃料ポンプ3を駆動してデリバリパイプ5内の燃料圧力をレギュレータ9により調整された所定圧とし、且つ、リターン通路11の燃料流れを抑制する。
これにより、燃料供給装置1は、デリバリパイプ5内の燃料圧力を高めることで、燃料の沸点を上昇させ、燃料温度を高温にすることが可能である。また、燃料供給装置1は、リターン通路11の燃料流れを抑制することで、ヒータ8によって加熱された燃料がデリバリパイプ5からリターン通路11へ流出することを抑制可能である。したがって、この燃料供給装置1は、内燃機関始動前のプレヒート時に、燃料を短時間で高温に加熱し、内燃機関を短時間で確実に始動することができる。
これにより、プレヒート時に、ヒータ8によって加熱された燃料がデリバリパイプ5からリターン通路11へ流出することが防がれる。
また、燃料供給装置1は、プレヒート時に燃料ポンプ3の駆動を停止することにより、内燃機関始動前のバッテリの電力消費量を低減することが可能である。
これにより、燃料供給装置1は、プレヒート時に燃料ポンプ3の駆動を停止した際、デリバリパイプ5から燃料ポンプ3側へ燃料が逆流することを防ぐことができる。
本発明の第2実施形態を図5及び図6に示す。第2実施形態では、燃料供給装置1は燃料供給通路4に逆止弁6を備えていない。
この第2実施形態の燃料供給装置1が備えるECU10が行うプレヒート処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
ステップ1からステップ5までは、上述した第1実施形態の処理と同一である。
このステップ10でECU10は、燃料ポンプ3へ通電する電流を低減し、燃料ポンプ3が備えるインペラの回転数を下げる。これにより、ECU10は、燃料ポンプ3の吐出する燃料圧力を、デリバリパイプ5の燃料圧力に近づける。そのため、燃料ポンプ3が吐出する流量は、ほぼ0m3/sに減少する。したがって、デリバリパイプ5からリターン通路11へ流出する燃料の流れが抑制される。また、デリバリパイプ5から燃料ポンプ3側へ燃料が逆流することが防がれる。
ステップ10に続くステップ7及び8は、上述した第1実施形態の処理と同一である。
ステップ8に続くステップ11でECU10は、燃料ポンプ3の燃料吐出量を増加して、この処理を終了し、その後、内燃機関を始動する。
これにより、ヒータ8によって加熱された燃料が、デリバリパイプ5からリターン通路11へ流出することが抑制される。そのため、燃料供給装置1は、燃料を短時間で高温に加熱することが可能である。
また、燃料供給装置1は、プレヒート時に燃料ポンプ3に通電する電流値を下げることにより、内燃機関始動前のバッテリの電力消費量を低減することが可能である。
本発明の第3実施形態を図7から図9に示す。第3実施形態では、燃料供給装置1は第1リターン通路11、第2リターン通路12、及び切替弁13を備えている。
第1リターン通路11は、一端がデリバリパイプ5に接続され、他端が燃料タンク2に接続されている。第2リターン通路12は、一端が第1リターン通路11の途中に接続され、他端が切替弁13に接続されている。
なお、第1リターン通路11は、第1実施形態及び第2実施形態で説明したリターン通路11と実質的に同一の構成である。
ステップ1からステップ3までは、上述した第1及び第2実施形態の処理と同一である。
ステップ4において、ECU10が燃料ポンプ3を作動するとき、ECU10は切替弁13を制御し、燃料タンク2側の燃料供給通路4とデリバリパイプ5側の燃料供給通路4とを連通すると共に、燃料供給通路4と第2リターン通路12とを遮断する。これにより、図7の矢印F1に示すように、燃料ポンプ3から切替弁13及び燃料供給通路4を経由してデリバリパイプ5に燃料が圧送される。この矢印F1に示す燃料流れの経路を第1経路と称する。
デリバリパイプ5の燃料圧力が所定圧以上になると、レギュレータ9が開弁し、図7の矢印F2に示すように、デリバリパイプ5から第1リターン通路11を経由して燃料タンク2に燃料が流出する。
このステップ20でECU10は切替弁13を制御し、燃料タンク2側の燃料供給通路4と第2リターン通路12とを連通する。これと共に切替弁13は、燃料タンク2側の燃料供給通路4及び第2リターン通路12と、デリバリパイプ5側の燃料供給通路4とを遮断する。これにより、図8の矢印F3に示すように、燃料ポンプ3から切替弁13及び第2リターン通路12を経由して燃料タンク2に燃料が流れる。このF3に示す燃料流れの経路を第2経路と称する。
なお、ECU10が切替弁13の制御により燃料経路を第2経路した時、ECU10は燃料ポンプ3の駆動を停止するか、又は燃料ポンプ3の燃料吐出量を低減してもよい。これにより、プレヒート時の電力消費量を低減することが可能である。
ステップ8に続くステップ21でECU10は、切替弁13の制御により燃料経路を第1経路とし、このプレヒート処理を終了する。
これにより、燃料供給装置1は、燃料ポンプ3から第1経路を経由してデリバリパイプ5に導入される燃料により、デリバリパイプ5内の燃料圧力を高め、燃料の沸点を上昇させることが可能である。
燃料供給装置1は、デリバリパイプ5内の燃料圧力を高めた後、切替弁13により燃料経路を第1経路から第2経路に切り替えることで、燃料ポンプ3が吐出する燃料をデリバリパイプ5を経由することなく燃料タンク2へ戻すことが可能である。これにより、ヒータ8により加熱された燃料がデリバリパイプ5から第1リターン通路11へ流出することが抑制される。したがって、燃料供給装置1は、内燃機関始動前のプレヒート時に、燃料を短時間で高温に加熱することができる。
本発明の第4実施形態を図10に示す。第4実施形態は、第3実施形態の変形例である。
第4実施形態では、第2リターン通路12は、一端が燃料タンク2に接続され、他端が切替弁13に接続されている。そのため、ECU10が切替弁13により燃料経路を第2経路に切り替えると、図10の矢印F4に示すように、燃料ポンプ3から切替弁13及び第2リターン通路12を経由して燃料タンク2に燃料が流れる。
第4実施形態は、第3実施形態と同一の作用効果を奏する。
上述した実施形態では、燃料タンク2から燃料ポンプ3によって汲み上げた燃料を蓄圧するデリバリパイプ5を備えた燃料供給装置1について説明した。これに対し、他の実施形態では、燃料供給装置1の備えるデリバリパイプ5は、燃料タンク2から燃料ポンプ3によって汲み上げ、さらに高圧ポンプによって加圧した燃料を蓄圧するものとしてもよい。この場合、デリバリパイプ5に接続する燃料噴射弁7は、内燃機関の気筒内に燃料を直接噴射することが可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
2 ・・・燃料タンク(燃料供給源)
3 ・・・燃料ポンプ
5 ・・・デリバリパイプ
8 ・・・ヒータ(加熱手段)
9 ・・・レギュレータ(燃圧調整手段)
10・・・ECU(制御手段)
11・・・リターン通路
Claims (6)
- 燃料供給源(2)から燃料を吸い上げ加圧する燃料ポンプ(3)と、
前記燃料ポンプから吐出された燃料を燃料噴射弁(7)に供給するデリバリパイプ(5)と、
前記デリバリパイプから前記燃料噴射弁に供給される燃料を加熱する加熱手段(8)と、
前記デリバリパイプから燃料供給源へ燃料を戻すリターン通路(11)と、
前記デリバリパイプの燃料圧力を調整する燃圧調整手段(9)と、
前記燃料ポンプを駆動して前記デリバリパイプの圧力を前記燃圧調整手段により調整された所定圧とし、且つ、前記リターン通路の燃料流れを抑制する制御手段(10)と、を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置(1)。 - 前記制御手段は、内燃機関始動前に燃料を加熱するプレヒート時に、前記燃料ポンプを駆動して前記デリバリパイプの圧力を前記所定圧とした後、前記燃料ポンプの燃料吐出量を減少することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記制御手段は、内燃機関始動前に燃料を加熱するプレヒート時に、前記燃料ポンプを駆動して前記デリバリパイプの圧力を前記所定圧とした後、前記燃料ポンプの駆動を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記燃料ポンプと前記デリバリパイプとを接続する燃料供給通路に、前記燃料ポンプから前記デリバリパイプへの燃料流れを許容し、前記デリバリパイプから前記燃料ポンプへの燃料流れを規制する逆止弁(6)を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記燃料ポンプと前記デリバリパイプとを接続する燃料供給通路を流れる燃料を、前記デリバリパイプを経由することなく燃料供給源側へ戻す第2リターン通路と、
前記燃料ポンプから前記デリバリパイプに燃料を流す第1経路と、前記燃料ポンプから前記第2リターン通路に燃料を流す第2経路とを切り替えることの可能な切替弁(13)と、をさらに備え、
前記制御手段は、内燃機関始動前に燃料を加熱するプレヒート時に、前記燃料ポンプを駆動し、前記切替弁により燃料経路を前記第1経路として前記デリバリパイプの圧力を前記所定圧にした後、前記切替弁により燃料経路を前記第2経路に切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料供給装置。 - 燃料供給源から燃料を吸い上げ加圧する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプから吐出された燃料を燃料噴射弁に供給するデリバリパイプと、
前記デリバリパイプから前記燃料噴射弁に供給される燃料を加熱する加熱手段と、
前記デリバリパイプから前記燃料供給源へ燃料を戻すリターン通路と、
前記デリバリパイプの燃料圧力を調整する燃圧調整手段と、
前記燃料ポンプの駆動を制御する制御手段と、を備えた燃料供給装置の制御方法であって、
前記制御手段により前記燃料ポンプを駆動し、前記デリバリパイプの圧力を前記燃圧調整手段により調整された所定圧とする圧力調整ステップ(S3−S5)と、
前記圧力調整ステップの後、前記リターン通路の燃料流れを抑制する流出抑制ステップ(S6−S8,S10,S20)と、を含むことを特徴とする燃料供給装置の制御方法。
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