JP2015216221A - キャパシタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャパシタ1では、内部電極7は、Cu、Ni、及びFeから選択される少なくとも1種の金属材料を含み、固体電解質体5は、リチウムイオン伝導性固体電解質である、LiαZrβMγ(PO4)3(但し、MはMg、Ca、Ni、Cu、及びZnから選択される少なくとも1種の金属であり、α、β、γは、1.1<α≦2.3、0.01≦γ/β≦0.4、α>1+2γ)を、50体積%以上含む。
【選択図】図1
Description
また、これとは別に、導電率等の優れた特性を有する固体電気化学素子を製造するために、リチウム伝導性固体電解質として、Li1-xZr2-xLx(PO4)3(L:V、Nb、Ta、0.1≦x≦0.9)を用いた技術が開示されている(特許文献2参照)。
リチウムイオン伝導性固体電解質材料を用いて新規の固体キャパシタを製造する場合には、コスト低減のために、安価な電極材料を用い、リチウムイオン伝導性固体電解質材料と電極材料とを積層して積層体を形成し、その積層体を焼成する方法が考えられる。
また、LATP、LLTは、耐還元性が劣るTiを含むため、低酸素分圧での焼成が難しいという問題がある。
なお、前記特許文献1、2には、大気雰囲気での焼成が記載されているが、還元雰囲気におけるリチウムイオン伝導性固体電解質材料と電極材料との同時焼成に関する記載は無い。
この様に、本第1態様により、Ni等の卑金属と同時焼成が可能な低酸素分圧の還元雰囲気でも、焼結性が良好で、高いイオン伝導度を有する固体電解質体が得られ、それにより、静電容量が大きな固体キャパシタの作製が可能となる。
還元雰囲気でも良好な焼結性が得られる固体電解質体材料の条件として、その酸素分圧で分解するような化合物を含まない、酸素分圧によって価数変化を伴うような元素を含まない等の条件が挙げられる。
これに対して、本第1態様で用いられる固体電解質体であるLZMPは、分解しやすい化合物(例えばGe)を含まず、また、価数変化し易い元素(例えばTi)も含まない。そのため、α、γ/βを、α>1+2γの条件を満たして、上述した規定の数値に制御することにより、低酸素分圧の還元雰囲気で焼成した場合でも、良好な焼結性が得られ、また、イオン伝導度も優れるため、固体キャパシタ用の固体電解質材料として好適である。
αを1.1<α≦2.3に規定する理由は、αが1.1以下であると、低酸素分圧の還元雰囲気での焼結性が悪く、2.3より多いと、過剰なLiにより、Li化合物が粒界に生成し、イオン伝導度の悪化を来すからである。
本第2態様では、電極の金属材料がNiであるので、コストが低く、しかも、Cuに比べて融点が高く、また、Feに比べて、(製造時等に)酸化し難いという利点がある。
本第3態様では、電極材料として、金属材料と(固体電解質体材料である)リチウムイオン伝導性固体電解質とを含むので、焼成時(電極と固体電解質体の同時焼成時)における電極材料と固体電解質体材料との収縮挙動が近くなる。よって、電極と固体電解質体との密着性(接合性)が高くなるという利点がある。
[実施形態]
本実施形態では、キャパシタとして積層セラミックチップコンデンサを例に挙げて説明する。
図1に模式的に示すように、本実施形態のキャパシタ1は、直方体形状の積層セラミックチップコンデンサであり、複数の(例えば50層の)固体電解質層3が積層された(母材の誘電体である)固体電解質体5と、各固体電解質層3の間に配置された複数の電極(内部電極)7と、固体電解質体5の長手方向(図1(b)の左右方向)の両端に設けられた一対の外部電極9とから構成されている。
このうち、前記複数の内部電極7は、一方の第1外部電極9aに接続された複数の第1内部電極7aと、他方の第2外部電極9bに接続された複数の第2内部電極7bとからなり、第1内部電極7aと第2内部電極7bとは、互いに入り組むように櫛歯状に配置されている。
なお、内部電極7中に、前記リチウムイオン伝導性固体電解質を、例えば30体積%以下の範囲で含んでいてもよい。
b)次に、本実施形態のキャパシタ1の製造方法について説明する。
まず、固体電解質体5である前記組成のLZMPを製造するために、例えば下記表1、
表2に示すLi、Zr、Ca(又はMg)のモル比となるように、炭酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム(又は酸化マグネシウム)、リン酸水素2アンモニウムを、所定量秤量して混合した混合材料を作製し、その混合材料を、エチルアルコールと共に、ナイロンポットとジルコニア球石を用いて混合した。
<粉砕粉末作製工程>
次に、前記仮焼粉末を、エチルアルコールとともに、ナイロンポットとジルコニア球石を用いて、15時間粉砕を行い、乾燥して、所定の成分比率の粉砕粉末を作製した。
次に、前記粉砕粉末と、バインダ(アクリル樹脂)と、可塑剤(フタル酸ジオクチル)とを、メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤中で混合して、スラリーを作製した。
次に、前記スラリーを、ドクターブレード法で、片面にSi処理されたPET製キャリアフィルムに塗布して、厚さ30μmのシートを作製した。
次に、前記Ni電極材料をスクリーン印刷したシートを、前記固体電解質体5の所定の構造(積層構造)となるように、所定枚数(例えば50枚)積み重ねて、固体電解質体材料とNi電極材料との積層体を作製した。
次に、前記積層体を、大気雰囲気で300℃に加熱して、脱バインダ処理をした後に、ウエッター(30℃)を通して加湿した0.5(体積)%H2/N2の混合ガス雰囲気(還元雰囲気)中で、最高温度1000℃で2時間保持して焼成した。
<外部電極作製工程>
次に、従来と同様に、前記キャパシタ本体11の長手方向の両端部に、外部電極9の下層の材料として、Niペーストを塗布して焼き付けた後に、Niメッキ及びSnメッキを施して、外部電極9を形成した。
c)次に、本実施形態のキャパシタ1及びその製造方法の効果について説明する。
本実施形態のキャパシタ1では、内部電極7は、Cu、Ni、及びFeから選択される少なくとも1種の金属材料を含み、固体電解質体5は、リチウムイオン伝導性固体電解質である前記条件を満たすLiαZrβMγ(PO4)3を、50体積%以上含んでいる。
また、特に、内部電極7の材料として、Niを用いる場合には、コストが低く、しかも、Cuに比べて融点が高く、また、Feに比べて、(製造時等に)酸化し難いという利点がある。
d)次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
本実験例1は、キャパシタを構成する固体電解質体の焼結体密度とイオン伝導度を調べたものである。
最初に、本実験例1に用いる試料の作製方法について説明する。
まず、下記表1、2に示すLi、Zr、Ca(又はMg)のモル比となるように、炭酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム(又は酸化マグネシウム)と、リン酸水素2アンモニウムを、所定量秤量して混合した混合材料を作製し、その混合材料を、エチルアルコールと共に、ナイロンポットとジルコニア球石を用いて混合した。
次に、前記仮焼粉末を、エチルアルコールとともに、ナイロンポットとジルコニア球石を用いて、15時間粉砕を行い、乾燥して、所定の成分比率の粉砕粉末を得た。
なお、表1、表2の実施例1〜10が本発明の範囲の試料であり、比較例1〜10が本発明の範囲外の試料である。このうち、実施例1〜5、比較例1〜5が、MをCaとした例であり、実施例6〜10、比較例6〜10が、MをMgとした例である。
次に、前記試料を用いた評価方法について説明する。
・密度測定
前記固体電解質体の各試料について、純水を用いて、アルキメデス法により、密度測定を行った。その結果を、下記表1、表2に記す。
前記キャパシタの各試料について、交流インピーダンス法により、各試料のイオン導電率(イオン伝導度)を測定した。インピーダンスの測定は、アジレントインピーダンスアナライザー4294Aを用い、測定電圧100mV、測定周波数40Hz〜110MHzで行い、コールコールプロットの円弧から求めた抵抗値と試料寸法からイオン導電率を算出した。その結果を、下記表1、表2に記す。
本実験例2は、前記実施形態のキャパシタ(積層セラミックチップコンデンサ)の静電容量を調べたものである。
キャパシタの試料を作製する方法は、基本的に、上述した実施形態におけるキャパシタの製造方法と同様であり、下記表1、表2に示すLi、Zr、Ca(又はMg)のモル比となるように、炭酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム(又は酸化マグネシウム)、リン酸水素2アンモニウムを、所定量秤量して、同様な「仮焼粉末作製工程」、「粉砕粉末作製工程」、「スラリー作製工程」、「シート作製工程」、「積層体作製工程」、「焼成工程」、「外部電極作製工程」により、実験に使用するキャパシタの試料を作製した。
また、表1、表2に示す本発明の範囲外の比較例1〜10の試料を作製した。
<評価方法>
前記キャパシタの試料について、直流定電位法により、静電容量を測定した。静電容量の測定は、ADC超高抵抗/微小電流計R8340Aと、アジレントデジタルマルチメータ34410Aを用い、充電時間1時間、充電電圧2.5V及び1.0Vで充電した後に、放電し、放電電荷量から、静電容量を算出した。その結果を、下記表1、表2に記す。
本実験例3では、前記実験例1及び実験例2と同様にして、下記表3に示す試料(実施例11)を作製し、同様に評価を行った。その結果を、下記表3に示す。
本実験例4では、前記実験例1及び実験例2と同様にして、下記表4に示す試料(実施例12、13)を作製し、同様に評価を行った。その結果を、下記表4に示す。
本実験例5では、前記実験例1及び実験例2と同様にして、下記表5に示す試料(実施例14、15)を作製し、同様に評価を行った。その結果を、下記表5に示す。
前記実施形態と同様にして、実施例16の試料を作製した。但し、LZMPの組成は、前記実施例1と同じとし、焼成時の酸素分圧は、1×10-12MPaとした。そして、実験例2と同様に静電容量を測定したところ、大きな静電容量(充電電圧2.5Vの条件下で、2300μF)が得られた。
前記実施形態と同様にして、実施例17の試料を作製した。但し、LZMPの組成は、前記実施例1と同じとし、電極材料はNi及びLZMP(但しLZMPは30体積%)とした。そして、実験例2と同様に静電容量を測定したところ、大きな静電容量(充電電圧2.5Vの条件下で、2700μF)が得られた。
3…固体電解質層
5、23…固体電解質体
7、7a、7b、9、9a、9b、25、27…電極
Claims (4)
- 固体電解質体と、
該固体電解質体に形成されるとともに、該固体電解質体を介して対向して配置された複数の電極と、
を備えたキャパシタであって、
前記電極は、Cu、Ni、及びFeから選択される少なくとも1種の金属材料を含み、
前記固体電解質体は、リチウムイオン伝導性固体電解質である、LiαZrβMγ(PO4)3(但し、MはMg、Ca、Ni、Cu、及びZnから選択される少なくとも1種の金属であり、α、β、γは、1.1<α≦2.3、0.01≦γ/β≦0.4、α>1+2γ)を、50体積%以上含むことを特徴とするキャパシタ。 - 前記金属材料は、Niであることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ。
- 前記電極は、前記リチウムイオン伝導性固体電解質を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のキャパシタ。
- 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法であって、
前記固体電解質体となる未焼成電解質体と、該未焼成電解質体を介して対向した配置された前記電極となる前記金属材料を含む複数の未焼成電極と、を有する未焼成積層体を形成する工程と、
前記未焼成積層体を、酸素分圧1×10-12MPa以下の雰囲気で焼成する工程と、
を有することを特徴とするキャパシタの製造方法。
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