JP2015216125A - 液式鉛蓄電池用セパレータおよび液式鉛蓄電池 - Google Patents

液式鉛蓄電池用セパレータおよび液式鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来、液式鉛蓄電池において、デンドライトショートが発生し難いとされてきた、平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.8μm程度で空隙率が55〜75%程度のリブ付き微多孔質フィルムからなるセパレータにおいて、過放電状態になり易い環境で使用される場合においても、デンドライトショートを極力防止し得る液式鉛蓄電池用セパレータを提供する。【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して成形加工により平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形後、可塑剤の一部を除去してなるリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータであり、平板状シートの極板当接用主リブを突設した面の反対側面に、極板当接用主リブよりも、リブ高さが0.3倍以下、底部リブ幅が0.3倍以下である、極板当接用ミニリブを突設する。【選択図】 なし

Description

本発明は、正負極板間に介装状態に組み込まれて使用される、平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータと、該セパレータを用いた液式鉛蓄電池に関する。
正負極板間に電解液が流動性を有して充填されてなるいわゆる液式鉛蓄電池に用いられる液式鉛蓄電池用セパレータとして、リブの一体加工や極板を包む構成とするための袋加工が容易なポリオレフィン系樹脂等を主体として成形した、平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設してなるリブ付き微多孔質フィルムが知られている。このリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータは、通常、極板当接用主リブを突設した面が正極板に当接するように設計されている。これは、液式鉛蓄電池の使用時に正極板から発生する発生期酸素の強い酸化力により、ポリオレフィン系樹脂等からなるセパレータのベース部分(肉薄平板部分)が早期に酸化損耗して孔が開く等の早期の電池短絡(電池寿命の短寿命化)の原因を招くことを防ぐために、正極板とセパレータのベース部分とが直接接触しないように、リブ高さの大きい主リブを正極板と当接する面に設けるようにしているものである。また、このリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータは、通常、極板当接用主リブを突設した面と反対側の面は、リブを設けないフラットな面とし、負極板に当接するように設計されている。
このようなリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータは、通常、主に、重量平均分子量が50万以上のポリオレフィン系樹脂と比表面積が100m/g以上の無機粉体に開孔剤(通常、可塑剤を兼ねる)を加えた原料組成物を溶融混練して成形加工し、平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形した後、開孔剤を除去することにより製造されるものであり、フィルム全体に非常に微細な孔を均一に有してなる平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.8μm程度で空隙率が55〜75%程度の微多孔質性を有したフィルムに形成されるものである。
従って、従来の液式鉛蓄電池においては、このような平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.8μm程度で空隙率が55〜75%程度のリブ付き微多孔質フィルムからなるセパレータを使用した場合、正負極板間をデンドライトが貫通することで引き起こされるデンドライトショートは起こり難いとされてきた。
しかしながら、最近では、特に、液式鉛蓄電池の主用途である自動車用途において、アイドリングストップシステムが採用されつつあり、液式鉛蓄電池が過放電状態になり易い使用環境になってきている。液式鉛蓄電池が過放電状態になり易い使用環境は、デンドライトショートが起こり易い使用環境を作り出している。
デンドライトショートについて簡単に説明すると、放電過程で負極板上に生成した硫酸鉛は、過放電状態になり硫酸電解液が中性に近づくと、その一部が電解液中に溶出し、鉛イオンが負極板表面やセパレータ中に存在するようになる。この状態から充電を行うと、負極板表面や負極板表面と連なっていた鉛イオンが還元されて、鉛として析出してくる。このような鉛の析出(樹枝状結晶、デンドライト)が繰り返されることで、負極上から樹枝状結晶が徐々に成長していき、正極へ到達すると、短絡を生じることになる。これを、デンドライトショートと呼んでいる。
このような過放電状態になり易い使用環境を有する液式鉛蓄電池で、故障モードを調査してみると、前記したような平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.8μm程度で空隙率が55〜75%程度のリブ付き微多孔質フィルムからなるセパレータを使用した場合においても、デンドライトショートが発生するケースがあることが判明した。
そこで、本発明は、従来、液式鉛蓄電池において、デンドライトショートが発生し難いとされてきた、平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.8μm程度で空隙率が55〜75%程度のリブ付き微多孔質フィルムからなるセパレータにおいて、過放電状態になり易い使用環境で使用される場合においても、デンドライトショートを極力防止し得る液式鉛蓄電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明者等は、平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.8μm程度で空隙率が55〜75%程度のリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータにおいて、デンドライトショートが発生した状況を観察した結果、極板当接用主リブが、短絡部位になっていることを突き止めた。つまり、通常の液式鉛蓄電池では、極板当接用主リブが正極板と当接し、極板当接用主リブを突設した面と反対側の面はフラット面であり、このフラット面が負極板と当接する状態に構成されているが、デンドライトショートは、このフラット面から極板当接用主リブの頂面にかけてリブ部を貫通するように発生していた。
よって、平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.8μm程度で空隙率が55〜75%程度のリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータにおいて、デンドライトショートの発生を抑える考え方としては、次のような2つの解決方法が考えられた。
(1)そもそも、セパレータのリブ部を介して、1層のセパレータが正極板面と負極板面とに、両方に当接し、セパレータの極板当接用主リブの頂面と、セパレータの極板当接用主リブを突設した面と反対側の面とを、セパレータのフィルム面に対して略垂直に連絡し得るセパレータ貫通経路(孔経路)を有する構造にしないことが有効と考えられた。
(2)セパレータのリブ部を介して、1層のセパレータが正極板面と負極板面とに、両方に当接し、セパレータの極板当接用主リブの頂面と、セパレータの極板当接用主リブを突設した面と反対側の面とを、セパレータのフィルム面に対して略垂直に連絡し得るセパレータ貫通経路(孔経路)を有する構造の場合、この貫通経路となりうるリブ部の孔構造において、デンドライトが成長または貫通し難くするべく、孔構造を緻密化および/または複雑化することも有効と考えられた。
本発明の液式鉛蓄電池用セパレータは、このような考え方に基づき、請求項1に記載の通り、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して成形加工により平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形した後、前記可塑剤の一部を除去してなるリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータにおいて、前記平板状シートの前記極板当接用主リブを突設した面の反対側面に、前記極板当接用主リブよりも、リブ高さが0.3倍以下、底部リブ幅(底部リブ幅寸法の小さい方の値)が0.3倍以下である、極板当接用ミニリブを突設したことを特徴とする。
また、請求項2に記載の液式鉛蓄電池用セパレータは、請求項1に記載のセパレータにおいて、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(極板当接用主リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面と、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用ミニリブとの境界線(極板当接用ミニリブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面とが、フィルム面に対して垂直の位置に重なる部分の総面積が、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シート面積(微多孔質フィルムがリブを有しない平板状シートであるとした場合の該平板状シートの片面の面積)の0.5%以下であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の液式鉛蓄電池用セパレータは、請求項1に記載のセパレータにおいて、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(極板当接用主リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面と、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用ミニリブとの境界線(極板当接用ミニリブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面とが、フィルム面に対して垂直の位置に重なる部分の総面積が、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(極板当接用主リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面の総面積の5%以下であることを特徴とする。
また、本発明の液式鉛蓄電池は、請求項4に記載の通り、請求項1〜3の何れか1項に記載のセパレータを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、従来、液式鉛蓄電池において、デンドライトショートが発生し難いとされてきた、平均細孔径が0.02〜0.2μm程度で最大孔径が0.3〜0.7μm程度で空隙率が55〜75%程度のリブ付き微多孔質フィルムからなるセパレータにおいて、過放電状態になり易い使用環境で使用される場合においても、デンドライトショートを極力防止し得る液式鉛蓄電池用セパレータを提供することができ、該セパレータを使用した液式鉛蓄電池は、過放電状態になり易い使用環境においても、デンドライトショートを極力防止し得る。
本発明の液式鉛蓄電池用セパレータの実施形態は、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して成形加工により平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形した後、可塑剤の一部を除去してなるリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータにおいて、平板状シートの極板当接用主リブを突設した面の反対側面に、極板当接用主リブよりも、リブ高さが0.3倍以下、底部リブ幅(底部リブ幅寸法の小さい方の値)が0.3倍以下である、極板当接用ミニリブを突設したことを条件とするものである。
これにより、そもそも、セパレータのリブ部を介して、1層のセパレータが正極板面と負極板面とに、両方に当接し、セパレータの極板当接用主リブの頂面と、セパレータの極板当接用主リブを突設した面と反対側の面とを、セパレータのフィルム面に対して略垂直に連絡し得るセパレータ貫通経路(孔経路)を有する構造にしないようにすることで、過放電状態になり易い使用環境で使用される液式鉛蓄電池に適用する場合においても、デンドライトショートの発生を抑えることができるようになる。尚、極板当接用ミニリブは、極板当接用主リブに対しリブ高さと底部リブ幅(底部リブ幅寸法の小さい方の値)が0.3倍以下であることが、電気抵抗やデンドライトショート防止効果の面からは望ましいが、極板当接用主リブに対し極板当接用ミニリブのリブ高さと底部リブ幅(底部リブ幅寸法の小さい方の値)が著しく小さくなると、極板当接用ミニリブを突設しない場合と差が少なくなり、デンドライトショート防止効果が発揮され難くなる可能性がある。このため、極板当接用主リブに対し極板当接用ミニリブのリブ高さと底部リブ幅(底部リブ幅寸法の小さい方の値)は、0.05倍以上であることが好ましい。
本発明の液式鉛蓄電池用セパレータの実施形態は、更に、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して成形加工により平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形した後、可塑剤の一部を除去してなるリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータにおいて、リブ付き微多孔質フィルムを、平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)にて、フィルム面に対して垂直にカットしたときの、極板当接用主リブを含む部分をリブ部、極板当接用主リブを含まない部分をベース部としたとき、(1)ベース部の空隙率が55〜75%であり、リブ部の空隙率がベース部の空隙率の0.8倍以下であること、(2)ベース部の平均細孔径が0.02〜0.2μmであり、リブ部の平均細孔径がベース部の平均細孔径の0.8倍以下であること、(3)ベース部の最大孔径が0.3〜0.8μmであり、リブ部の最大孔径がベース部の最大孔径の0.8倍以下であること、のすべてを満たすように構成してもよいし、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して成形加工により平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形した後、可塑剤の一部を除去してなるリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータにおいて、リブ付き微多孔質フィルムを、平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)にて、フィルム面に対して垂直にカットしたときの、極板当接用主リブを含む部分をリブ部、極板当接用主リブを含まない部分をベース部としたとき、ベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率が30〜60%であり、極板当接用主リブの頂面の開口率がベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率の0.8倍以下であるように構成してもよい。
これらにより、セパレータのリブ部を介して、1層のセパレータが正極板面と負極板面とに、両方に当接し、セパレータの極板当接用主リブの頂面と、セパレータの極板当接用主リブを突設した面と反対側の面とを、セパレータのフィルム面に対して略垂直に連絡し得るセパレータ貫通経路(孔経路)を有する構造である場合にも、この貫通経路となりうるリブ部の孔構造において、孔構造を緻密化および/または複雑化することで、デンドライトがこの孔経路を通じて成長または貫通し難くすることができ、過放電状態になり易い使用環境で使用される液式鉛蓄電池に適用する場合においても、デンドライトショートの発生を抑えることができるようになる。尚、ベース部に対しリブ部の空隙率と平均細孔径と最大孔径が0.8倍以下であることが、デンドライトショート防止効果の面からは望ましいが、ベース部に対しリブ部の空隙率と平均細孔径と最大孔径が著しく低くなると、電気抵抗の増大が問題となる可能性がある。このため、ベース部に対しリブ部の空隙率と平均細孔径と最大孔径は、0.2倍以上であることが好ましい。尚、ベース部に対しリブ部の表面開口率が0.8倍以下であることが、デンドライトショート防止効果の面からは望ましいが、ベース部に対しリブ部の表面開口率が著しく低くなっても、電気抵抗は殆ど増大せず問題とならない可能性が高いが、平板状シートの単位面積当たりのリブ部の占有面積が大きい場合は問題となる可能性がある。このため、ベース部に対しリブ部の表面開口率は、0.1倍以上であることが好ましい。
リブ付き微多孔質フィルムを得る方法は、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して成形加工により平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形した後、可塑剤の一部を除去することによる。これにより、膜全体に均一かつ微細で複雑に入り組んだ複雑な経路を有する無数の連通孔が形成された膜が得られる。具体的な製造法の一例を以下に示す。まず、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体、可塑剤に、必要に応じて親水化剤(界面活性剤)等の添加剤を加えた原材料をヘンシェルミキサーまたはレーディゲミキサー等の混合機により攪拌・混合し、原料混合物を得る。次に、この混合物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、一方のロールに所定の溝を刻設した一対の成形ロール間を通すことで、平板状シートの片面に所定形状のリブを一体に成形したフィルム状物を得る。次に、このフィルム状物を、適当な溶剤(例えば、n−ヘキサン)中に浸漬し、可塑剤の所定量を抽出除去し乾燥すれば、目的のリブ付き微多孔質フィルムが得られる。得られたリブ付き微多孔質フィルムのベース厚さ(平板状シート厚さ)は0.1〜0.3mm程度である。
また、本発明の場合、前述したように、リブ付き微多孔質フィルムの構成として、平板状シートの極板当接用主リブを突設した面の反対側面に、極板当接用主リブよりも、リブ高さが0.3倍以下、底部リブ幅(底部リブ幅寸法の小さい方の値)が0.3倍以下である、極板当接用ミニリブを突設するように構成する必要があり、例えば、成形ロールを変更する(一方のロールに極板当接用主リブのための溝を、他方のロールに極板当接用ミニリブのための溝を刻設する)等して、極板当接用主リブを一体成形加工する際に極板当接用ミニリブも同様に一体成形加工するようにする。
これにより得られる、表裏面の一方の面に極板当接用主リブ、他方の面に極板当接用ミニリブが突設されたリブ付き微多孔質フィルムは、デンドライトショート防止効果をより高めるために、極板当接用主リブと極板当接用ミニリブが、できる限り、フィルム面に対して垂直の位置に両者が存在しないようにすることが好ましい。具体的には、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面と、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用ミニリブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面とが、フィルム面に対して垂直の位置に重なる部分の総面積が、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シート面積(微多孔質フィルムがリブを有しない平板状シートであるとした場合の該平板状シートの片面の面積)の0.5%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0%であることが更に好ましい。また、具体的には、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面と、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用ミニリブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面とが、フィルム面に対して垂直の位置に重なる部分の総面積が、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面の総面積の5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0%であることが更に好ましい。
尚、本願において、極板当接用主リブとは、リブ付き微多孔質フィルムの表裏面のうち、極板当接用主リブが突設された側の面において、最もリブ高さが大きくリブ高さが略同一であるリブ群を言い、極板当接用ミニリブとは、リブ付き微多孔質フィルムの表裏面のうち、極板当接用主リブが突設された面の反対側の面において、最もリブ高さが大きくリブ高さが略同一であるリブ群を言う。また、本願において、リブ高さとは、該リブが突設された側の平板状シート表面から該リブの頂面までのフィルム面に対して垂直な距離を言う。また、頂部リブ幅とは、リブの頂面の幅寸法を言い、底部リブ幅とは、リブを平板状シートの該リブが突設された側の表面に沿ってカットしたときの該リブの底部の幅寸法を言う。
そして、本発明の場合、前述したように、リブ付き微多孔質フィルムの構成として、(1)ベース部の空隙率が55〜75%であり、リブ部の空隙率がベース部の空隙率の0.8倍以下であること、(2)ベース部の平均細孔径が0.02〜0.2μmであり、リブ部の平均細孔径がベース部の平均細孔径の0.8倍以下であること、(3)ベース部の最大孔径が0.3〜0.8μmであり、リブ部の最大孔径がベース部の最大孔径の0.8倍以下であること、のすべてを満たすか、リブ付き微多孔質フィルムの構成として、ベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率が30〜60%であり、極板当接用主リブの頂面の開口率がベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率の0.8倍以下であることを満たすように構成する場合、微多孔質フィルムの表面および/または内部の孔構造を制御するため、例えば、可塑剤の除去前または除去後の極板当接用主リブを有したフィルムの極板当接用主リブに対して、熱源の接触状態または非接触近接状態での加熱処理、軟化または溶融処理、加圧処理、圧縮または収縮処理、発泡または膨潤処理、抽出または除去処理、充填または付着処理、浸漬または含浸処理、ガスまたは液体の吹付け処理、特殊雰囲気処理、減圧処理、塗工処理、被膜処理等を行う工程を加える。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等の単独重合体または共重合体およびこれらの混合物が使用できる。中でも、成形性や経済性の面で、ポリエチレンを主体とすることが好ましい。ポリエチレンは、溶融成形温度がポリプロピレンよりも低く、生産性が良好で製造コストを抑えられる。ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が50万以上とすることにより、無機粉体を多く含んだ微多孔質フィルムにあっても、膜の機械的強度を確保することができる。そのため、ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が100万以上であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、無機粉体との混合性も良好で、微多孔質フィルムにあって無機粉体の骨格を接着機能材料として結合させながら強度を維持するとともに、化学的に安定であり安全性が高い。
無機粉体としては、粒径が細かく内部や表面に孔構造を備えた、シリカ、アルミナ、チタニア、珪酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、クレー、ガラス微細粉体等の1種または2種以上が使用できる。中でも、粒子径、比表面積等の各種粉体特性の選択範囲が広く、比較的安価で入手し易く、不純物が少ない点で、シリカが好ましい。無機粉体は、比表面積が100m/g以上であると、微多孔質フィルムの孔構造をより微細化(緻密化)かつ複雑化して耐短絡性を高め、微多孔質フィルムの電解液保持力を高め、粉体表面に多数の親水基(−OH)を備えることにより微多孔質フィルムの親水性を高めるため好ましい。そのため、無機粉体の比表面積は150m/g以上であることがより好ましい。また、無機粉体の比表面積は400m/g以下であることが好ましい。無機粉体の比表面積が400m/gを超える場合は、粒子の表面活性度が高く凝集力が強くなるため、微多孔質フィルム中で無機粉体が均一分散され難くなるため好ましくない。
可塑剤としては、ポリオレフィン系樹脂の可塑剤となり得る材料を選択することが好ましく、ポリオレフィン系樹脂と相溶性を有し各種溶剤等で容易に抽出できる各種有機液状体が使用でき、具体的には、飽和炭化水素(パラフィン)からなる工業用潤滑油等の鉱物オイル、ステアリルアルコール等の高級アルコール、フタル酸ジオクチル等のエステル系可塑剤等が使用できる。中でも、再利用がし易い点で、鉱物オイルが好ましい。可塑剤は、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体、可塑剤を主体とした原料組成物中に、30〜70質量%配合されることが好ましい。
可塑剤は、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して所定形状のフィルム状物に成形された後、除去されることで、多孔質化するものであるが、液式鉛蓄電池用セパレータにおいては、鉱物オイルのような可塑剤を適量含有させておくことで、耐酸化性の向上に寄与する。セパレータ中の可塑剤の含有量は5〜30質量%とすることが好ましい。
可塑剤を抽出除去するために用いる溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和炭化水素系の有機溶剤を使用することができる。
原料組成物または微多孔質フィルムには、その他、必要に応じて、界面活性剤(親水化剤)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、抗菌剤、防黴剤、顔料、染料、着色剤、防曇剤、艶消し剤等の添加剤を、本発明の目的および効果を損なわない範囲で添加(配合)または含有させてもよい。
次に、本発明の実施例について、参考例、従来例とともに詳細に説明する。
(実施例)
重量平均分子量150万の超高分子量ポリエチレン樹脂粉体(融点約135℃)40質量部と、BET法による比表面積が200m/gのシリカ微粉体60質量部と、パラフィン系鉱物オイル120質量部とを混合し、この原料組成物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機を用い加熱溶融混練しながらシート状に押し出し、一方のロールに極板当接用主リブのための所定の溝を、他方のロールに極板当接用ミニリブのための所定の溝を刻設した一対の成形ロール間を通し、平板状シートの一方の面に所定形状の極板当接用主リブを、他方の面に所定形状の極板当接用ミニリブを一体に成形加工したフィルム状物を得た。次に、このフィルム状物をn−ヘキサン中に浸漬し、パラフィン系鉱物オイルの所定量を抽出除去し、乾燥させて、ポリエチレン樹脂34質量%、シリカ微粉体51質量%、パラフィン系鉱物オイル15質量%とで構成される、ベース厚さが0.2mm、水銀圧入法による空隙率が65%、水銀圧入法による平均細孔径が0.10μm、水銀圧入法による最大孔径が0.65μmのリブ付き微多孔質フィルム(液式鉛蓄電池用セパレータ)を得た。
尚、極板当接用主リブは、MD方向(流れ方向)に平行なリブピッチ(ピッチ間距離(隣り合う2つのリブの中心間の距離))が10mmの複数条の連続直線状のリブであり、その横断面(MD方向に対して直角方向にカットした断面)は、リブ高さが0.8mm、頂部リブ幅が0.4mm、底部リブ幅が0.8mmの略左右対称の略台形状であり、リブの頂面(上面)はフィルム面と平行な略平坦面である。
尚、極板当接用ミニリブは、MD方向(流れ方向)に略平行なリブピッチ(ピッチ間距離(隣り合う2つのリブの中心間の距離))が10mmの複数条の連続直線状のリブであり、その横断面(MD方向に対して直角方向にカットした断面)は、リブ高さが0.1mm(極板当接用主リブの約0.13倍)、底部リブ幅が0.1mm(極板当接用主リブの約0.13倍)の略左右対称の略半円形状であり、リブの頂面(上面)はR曲面である。尚、極板当接用ミニリブの複数条の各直線は、極板当接用主リブの複数条の直線間の略中間位置(極板当接用主リブのピッチ間の略中央)に配置されている。
尚、リブ付き微多孔質フィルムを、平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)にて、フィルム面に対して垂直にカットし、極板当接用主リブを含む部分をリブ部、極板当接用主リブを含まない部分をベース部としたとき、リブ部の空隙率が65%(ベース部の1.0倍)、ベース部の空隙率が65%、リブ部の平均細孔径が0.10μm(ベース部の1.0倍)、ベース部の平均細孔径が0.10μm、リブ部の最大孔径が0.65μm(ベース部の1.0倍)、ベース部の最大孔径が0.65μm、リブ部の極板当接用主リブの頂面の開口率が40%(ベース部の1.0倍)、ベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率が40%であった。
尚、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面と、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用ミニリブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面とが、フィルム面に対して垂直の位置に重なる部分の総面積は、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シート面積(微多孔質フィルムがリブを有しない平板状シートであるとした場合の該平板状シートの片面の面積)の0%であり、リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面の総面積の0%であった。
(参考例1)
重量平均分子量150万の超高分子量ポリエチレン樹脂粉体(融点約135℃)40質量部と、BET法による比表面積が200m/gのシリカ微粉体60質量部と、パラフィン系鉱物オイル120質量部とを混合し、この原料組成物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機を用い加熱溶融混練しながらシート状に押し出し、一方のロールに極板当接用主リブのための所定の溝を刻設した一対の成形ロール間を通し、平板状シートの一方の面に所定形状の極板当接用主リブを一体に成形加工したフィルム状物(リブ高さが1.4mm)を得た。次に、このフィルム状物をn−ヘキサン中に浸漬し、パラフィン系鉱物オイルの所定量を抽出除去し、乾燥させて多孔質化させるとともに、多孔質化させたフィルム状物を約110℃の炉内に入れて70〜80℃程度に加温し、所定のロール間隙間寸法に設定した一対のロール間を通すことで、厚さ方向に加圧して極板当接用主リブを圧縮し極板当接用主リブの孔構造を変化させて、ポリエチレン樹脂34質量%、シリカ微粉体51質量%、パラフィン系鉱物オイル15質量%とで構成される、ベース厚さが0.2mm、水銀圧入法による空隙率が60%、水銀圧入法による平均細孔径が0.09μm、水銀圧入法による最大孔径が0.65μmのリブ付き微多孔質フィルム(液式鉛蓄電池用セパレータ)を得た。
尚、極板当接用主リブは、MD方向(流れ方向)に平行なリブピッチ(ピッチ間距離(隣り合う2つのリブの中心間の距離))が10mmの複数条の連続直線状のリブであり、その横断面(MD方向に対して直角方向にカットした断面)は、リブ高さが0.8mm、頂部リブ幅が0.4mm、底部リブ幅が0.8mmの略左右対称の略台形状であり、リブの頂面(上面)はフィルム面と略平行な略平坦面である。
尚、リブ付き微多孔質フィルムを、平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)にて、フィルム面に対して垂直にカットし、極板当接用主リブを含む部分をリブ部、極板当接用主リブを含まない部分をベース部としたとき、リブ部の空隙率が45%(ベース部の約0.69倍)、ベース部の空隙率が65%、リブ部の平均細孔径が0.07μm(ベース部の0.7倍)、ベース部の平均細孔径が0.10μm、リブ部の最大孔径が0.45μm(ベース部の約0.69倍)、ベース部の最大孔径が0.65μm、リブ部の極板当接用主リブの頂面の開口率が35%(ベース部の約0.88倍)、ベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率が40%であった。
尚、この参考例1においては、上記の通り、多孔質化させたフィルム状物を70〜80℃程度の加温状態にした上で、所定のロール間隙間寸法に設定した一対のロール間を通し厚さ方向に加圧することで、結果として、ベース部の孔構造(空隙率、平均細孔径、最大孔径)に対して、リブ部の孔構造(空隙率、平均細孔径、最大孔径)が0.8倍以下に緻密化されるような、極板当接用主リブを圧縮させ極板当接用主リブの孔構造を変化させる操作を実現しているが、多孔質化されたフィルム状物を所定の加温状態にしないで、上記加圧処理を行ったとしても、極板当接用主リブを加圧することで極板当接用主リブを圧縮させ極板当接用主リブの孔構造を変化させ、結果として、ベース部の孔構造(空隙率、平均細孔径、最大孔径)に対して、リブ部の孔構造(空隙率、平均細孔径、最大孔径)が0.8倍以下に緻密化されるような操作にはならない。なぜならば、多孔質化されたフィルム状物を所定の加温状態にしないで加圧処理を行うと、極板当接用主リブが加圧により厚さ方向に潰される(フィルム面方向に扁平状態に変形する)ものの、孔構造(空隙率、平均細孔径、最大孔径)が変化するような圧縮操作は殆ど生じない(つまり、主に極板当接用主リブの外形構造の変形をもたらすのみで、極板当接用主リブの内部構造の変形は殆どもたらされない)ためである。
(参考例2)
重量平均分子量150万の超高分子量ポリエチレン樹脂粉体(融点約135℃)40質量部と、BET法による比表面積が200m/gのシリカ微粉体60質量部と、パラフィン系鉱物オイル120質量部とを混合し、この原料組成物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機を用い加熱溶融混練しながらシート状に押し出し、一方のロールに極板当接用主リブのための所定の溝を刻設した一対の成形ロール間を通し、平板状シートの一方の面に所定形状の極板当接用主リブを一体に成形加工したフィルム状物(リブ高さが0.9mm)を得た。次に、このフィルム状物をn−ヘキサン中に浸漬し、パラフィン系鉱物オイルの所定量を抽出除去し、乾燥させて多孔質化させるとともに、多孔質化させたフィルム状物の極板当接用主リブの頂面に対して、熱源の接触状態での加熱処理(150〜170℃程度)を施すことで、極板当接用主リブの頂面の孔構造を変化させて、ポリエチレン樹脂34質量%、シリカ微粉体51質量%、パラフィン系鉱物オイル15質量%とで構成される、ベース厚さが0.2mm、水銀圧入法による空隙率が65%、水銀圧入法による平均細孔径が0.10μm、水銀圧入法による最大孔径が0.80μmのリブ付き微多孔質フィルム(液式鉛蓄電池用セパレータ)を得た。
尚、極板当接用主リブは、MD方向(流れ方向)に平行なリブピッチ(ピッチ間距離(隣り合う2つのリブの中心間の距離))が10mmの複数条の連続直線状のリブであり、その横断面(MD方向に対して直角方向にカットした断面)は、リブ高さが0.8mm、頂部リブ幅が0.4mm、底部リブ幅が0.8mmの略左右対称の略台形状であり、リブの頂面(上面)はフィルム面と略平行な略平坦面である。
尚、リブ付き微多孔質フィルムを、平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)にて、フィルム面に対して垂直にカットし、極板当接用主リブを含む部分をリブ部、極板当接用主リブを含まない部分をベース部としたとき、リブ部の空隙率が65%(ベース部の1.0倍)、ベース部の空隙率が65%、リブ部の平均細孔径が0.10μm(ベース部の1.0倍)、ベース部の平均細孔径が0.10μm、リブ部の最大孔径が0.80μm(ベース部の約1.23倍)、ベース部の最大孔径が0.65μm、リブ部の極板当接用主リブの頂面の開口率が20%(ベース部の0.5倍)、ベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率が40%であった。
(従来例)
重量平均分子量150万の超高分子量ポリエチレン樹脂粉体(融点約135℃)40質量部と、BET法による比表面積が200m/gのシリカ微粉体60質量部と、パラフィン系鉱物オイル120質量部とを混合し、この原料組成物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機を用い加熱溶融混練しながらシート状に押し出し、一方のロールに極板当接用主リブのための所定の溝を刻設した一対の成形ロール間を通し、平板状シートの一方の面に所定形状の極板当接用主リブを一体に成形加工したフィルム状物を得た。次に、このフィルム状物をn−ヘキサン中に浸漬し、パラフィン系鉱物オイルの所定量を抽出除去し、乾燥させて、ポリエチレン樹脂34質量%、シリカ微粉体51質量%、パラフィン系鉱物オイル15質量%とで構成される、ベース厚さが0.2mm、水銀圧入法による空隙率が65%、水銀圧入法による平均細孔径が0.10μm、水銀圧入法による最大孔径が0.65μmのリブ付き微多孔質フィルム(液式鉛蓄電池用セパレータ)を得た。
尚、極板当接用主リブは、MD方向(流れ方向)に平行なリブピッチ(ピッチ間距離(隣り合う2つのリブの中心間の距離))が10mmの複数条の連続直線状のリブであり、その横断面(MD方向に対して直角方向にカットした断面)は、リブ高さが0.8mm、頂部リブ幅が0.4mm、底部リブ幅が0.8mmの略左右対称の略台形状であり、リブの頂面(上面)はフィルム面と略平行な略平坦面である。
尚、リブ付き微多孔質フィルムを、平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(該リブの付け根のライン)にて、フィルム面に対して垂直にカットし、極板当接用主リブを含む部分をリブ部、極板当接用主リブを含まない部分をベース部としたとき、リブ部の空隙率が65%(ベース部の1.0倍)、ベース部の空隙率が65%、リブ部の平均細孔径が0.10μm(ベース部の1.0倍)、ベース部の平均細孔径が0.10μm、リブ部の最大孔径が0.65μm(ベース部の1.0倍)、ベース部の最大孔径が0.65μm、リブ部の極板当接用主リブの頂面の開口率が40%(ベース部の1.0倍)、ベース部の極板当接用主リブを突設した側の表面の開口率が40%であった。
次に、上記にて得られた実施例、参考例1〜2、従来例の各セパレータについて、デンドライトショート特性、電気抵抗を評価した。結果を表1に示す。尚、各試験方法については、以下の通りとした。
〈デンドライトショート特性〉
70mm×70mmの正方形状にカットした微多孔質フィルムを50mm×50mmの正方形状の鉛極板(純鉛製、厚さ3mm)2枚で挟んで、微多孔質フィルムと2枚の鉛極板の3つの正方形の中心が一致しかつ3つの正方形の各辺が互いに平行であるようにして、電槽内に水平状態に設置し、その上に(正方形の中心位置に)5kgの重りを載せた後、飽和硫酸鉛水溶液を注入する。その後、鉛極板に1mAの電流を通電し、電圧の変化を連続的に記録する。電圧は緩やかに低下していき、ある時点で急激に低下する。この通電開始から急激に電圧が低下するまでの時間を計測する。尚、表1には、従来例の値を100とした場合の相対値を表示した。
〈空隙率〉
微多孔質フィルムの細孔容積(水銀圧入法)と真密度(浸漬法)から、次式により算出した。
空隙率=Vp/((1/ρ)+Vp)
但し、Vp:細孔容積(cm/g)、ρ:真密度(g/cm
〈平均細孔径〉
水銀圧入時の、圧力と水銀の容量から細孔径分布を算出した。全細孔容積の50%の容積の水銀が圧入された時点の細孔径を平均細孔径(メディアン径)とした。
〈最大孔径〉
平均細孔径試験における細孔径分布曲線から、水銀の圧入が開始された孔径を最大孔径とした。
〈フィルム表面の開口率〉
微多孔質フィルム表面の5視野以上について、SEMにて20000倍で撮影後、画像処理を行うことで算出した。
〈電気抵抗〉
微多孔質フィルムを70mm×70mmサイズに裁断し試験片とし、SBA S 0402に準拠した試験装置で測定した。
Figure 2015216125
以上の結果から、以下のことがわかった。
(1)実施例のセパレータは、そもそも、セパレータのリブ部を介して、1層のセパレータが正極板面と負極板面とに、両方に当接し、セパレータの極板当接用主リブの頂面と、セパレータの極板当接用主リブを突設した面と反対側の面とを、セパレータのフィルム面に対して略垂直に連絡し得るセパレータ貫通経路(孔経路)を有しない構造にしたことにより、過放電状態になり易い液式鉛蓄電池の使用環境を再現したデンドライトショート特性試験において、デンドライトが成長または貫通し難くできたことにより、従来例のセパレータに比べ、デンドライトショート特性が良化した。具体的には、実施例のセパレータは、従来例のセパレータに対し、極板当接用主リブを突設した面の反対側面にも極板当接用ミニリブを突設したことで、デンドライトショート特性は30%良化した一方で、空隙率は同等で電気抵抗も同等であった。
(2)参考例1〜2のセパレータは、セパレータのリブ部を介して、1層のセパレータが正極板面と負極板面とに、両方に当接し、セパレータの極板当接用主リブの頂面と、セパレータの極板当接用主リブを突設した面と反対側の面とを、セパレータのフィルム面に対して略垂直に連絡し得るセパレータ貫通経路(孔経路)を有するが、この貫通経路となりうるリブ部の孔構造を、ベース部に対して緻密化および/または複雑化させたことにより、過放電状態になり易い液式鉛蓄電池の使用環境を再現したデンドライトショート特性試験において、デンドライトが成長または貫通し難くできたことにより、従来例のセパレータに比べ、デンドライトショート特性が大きく良化した。具体的には、参考例1のセパレータは、従来例のセパレータに対し、セパレータ全体の空隙率は約8%低下し電気抵抗は約9%増大したものの、デンドライトショート特性は50%良化した。また、参考例2のセパレータは、従来例のセパレータに対し、デンドライトショート特性は70%良化した一方で、セパレータ全体の空隙率は同等で電気抵抗も同等であった。

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して成形加工により平板状シートの片面に極板当接用主リブを突設したフィルム状物に一体成形した後、前記可塑剤の一部を除去してなるリブ付き微多孔質フィルムからなる液式鉛蓄電池用セパレータにおいて、前記平板状シートの前記極板当接用主リブを突設した面の反対側面に、前記極板当接用主リブよりも、リブ高さが0.3倍以下、底部リブ幅(底部リブ幅寸法の小さい方の値)が0.3倍以下である、極板当接用ミニリブを突設したことを特徴とする液式鉛蓄電池用セパレータ。
  2. 前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(極板当接用主リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面と、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用ミニリブとの境界線(極板当接用ミニリブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面とが、フィルム面に対して垂直の位置に重なる部分の総面積が、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シート面積(微多孔質フィルムがリブを有しない平板状シートであるとした場合の該平板状シートの片面の面積)の0.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液式鉛蓄電池用セパレータ。
  3. 前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(極板当接用主リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面と、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用ミニリブとの境界線(極板当接用ミニリブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面とが、フィルム面に対して垂直の位置に重なる部分の総面積が、前記リブ付き微多孔質フィルムの平板状シートと極板当接用主リブとの境界線(極板当接用主リブの付け根のライン)で囲まれたフィルム面に対して平行な面の総面積の5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液式鉛蓄電池用セパレータ。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のセパレータを用いたことを特徴とする液式鉛蓄電池。
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