JP2015214679A - ポリオレフィンまたはポリエステル用アンチブロッキング剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アミノアルキルアルコキシシランで表面処理されたシリカ粒子からなり、未反応シランの含有量が3mg/kg以下に抑制されていることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明の他の目的は、上記のアンチブロッキング剤が基材樹脂であるポリオレフィンまたはポリエステルに配合されたマスターバッチを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記アンチブロッキング剤が配合されたポリオレフィン樹脂組成物や、該組成物から形成されたフィルムを提供することにある。
(1)前記基材樹脂100質量部当たり1〜30質量部の量で前記アンチブロッキング剤が配合されていること、
(2)前記基材樹脂がポリオレフィンであること、
(3)前記基材樹脂がポリプロピレンであること、
が好ましい。
例えば、表面処理されていないシリカ粒子では、押出スクリューへの粉付着や押出機投入口での粉立ちは抑制されているが、目ヤニや発泡を生じている。また、メタクリルシランやシリコーンオイルで表面処理されているシリカ粒子では、目ヤニや発泡は抑制されているものの、押出スクリューへの粉付着や押出機投入口での粉立ちを生じてしまう。
このように、本発明によれば、アミノアルキルアルコキシシランによって表面処理されたシリカ微粒子をアンチブロッキング剤として使用することにより、マスターバッチ加工性の全般にわたって顕著な改善が認められるということは、極めて予想外であるということができる。このような予想外の事実が発現する理由については、明確に解明されていない。
しかしながら、目ヤニや発泡は粒子の樹脂に対する分散性に起因するものと考えられるが、押出スクリューへの粉付着や押出機投入口での粉立ちなどは樹脂に対する分散状態以外の要因も影響していると考えられ、且つアミノアルキルアルコキシシラン中のアミノ基は、ポリオレフィンやポリエステルの分散性向上には寄与するものではないことから、おそらく、アミノアルキルアルコキシシランを用いての表面処理により、シリカ粒子の樹脂に対する分散性に加えて、他の性質、例えば荷電特性などが変化しているために、上記のようなポリオレフィンやポリエステルのマスターバッチ加工性が全般にわたって改善されるのではないかと、本発明者等は推定している。
本発明において、表面処理される非晶質シリカ粒子(未処理シリカ)としては、アンチブロッキング性を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、特に、アンチブロッキング性が優れているものとして知られている特許第4521477号に開示されているものが好適に使用される。
また、上記の形態に関連して、かかる非晶質シリカは、一般に、レーザー回折散乱法で測定した二次粒子の中位径が1〜10μmの範囲にあり、高い吸油量(40ml/100g以上)と低い嵩密度(0.25〜0.70g/cm3)を有している。
本発明において、上記の非晶質シリカ粒子の表面処理剤としては、アミノアルキルアルコキシシランが使用される。アミノアルキルアルコキシシランは、メタクリルシラン等の従来公知のシランカップリング剤に比べて安価に入手でき、且つ、優れたマスターバッチ加工性、アンチブロッキング性、透明性および滑り性を付与することができるからである。
Xn−Si(R)m(OR)4−n−m (1)
式中、
nは、1〜3の整数であり、
mは、0〜2の整数であり、
Rは、メチル基、エチル基もしくはイソプロピル基であり、
Xは、アミノアルキル基であり、該アミノ基は、アルキル基やフェニル基等の置換
基を有していてもよく、該置換基は、さらにアミノ基を有していてもよく、
X及びRが複数存在するとき、複数のX及びRは互いに異なっていてもよい、
で表される。
例えば、未処理の非晶質シリカと所定量のアミノシランとをスーパーミキサー等の乾式混合機を用いて100〜150℃程度の加熱下で混合することにより容易に行うことができる。反応の終点は、エタノール等のアルコール蒸気の生成が停止することで確認できる。アルコール蒸気の生成は、時計皿等の表面が曇ることで認識される。
上記のようにして調製される本発明のアンチブロッキング剤(即ち、表面処理シリカ)は、ポリオレフィンやポリエステルを基材樹脂とするマスターバッチを調製する際の加工性に優れている。また、未処理のシリカや従来の表面処理シリカと同等のアンチブロッキング性、透明性(Haze、clarity)および滑り性を示し、また、延伸フィルムにおけるボイドの発生も有効に抑制する。更に、未処理シランの含有量も抑制されているため、本発明のアンチブロッキング剤を用いて製造されたフィルムは種々の用途に使用される。
また、基材樹脂の重合前のモノマーと、このアンチブロッキング剤とを混合しておき、その後重合を行ってマスターバッチを調製してもよい。
最終成形品をフィルムとする場合、本発明のアンチブロッキング剤を直接、あるいは、上記のようにして調製されたマスターバッチの状態にして、基材樹脂と溶融混合し、得られた樹脂組成物を用いて、用途に応じてフィルム成形を行い、目的とするポリオレフィンフィルム或いはポリエステルフィルム(以下、本発明のフィルムと呼ぶことがある)を得ることができる。溶融混合は、それ自体公知の方法で行えばよく、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリミキサー、リボンブレンダー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合機や混練機により行えばよい。フィルムの成形は、それ自体公知の方法により行えばよく、例えば、本発明の樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、ダイを通して押し出し、インフレーション製膜法、T−ダイ法等により行うことができる。
なお、先にも簡単に述べたが、本発明のアンチブロッキング剤は、フィルムに対する馴染みが良好であり、このフィルムが延伸されている場合には、フィルムから脱落しないという利点を有している。
試料約3gをジクロロメタン30mLで5時間撹拌して抽出を行った。抽出液を下記条件でガスクロマトグラフ/質量分析(GC/MS)測定を行い、抽出可能な未反応シランの残存量(含有量)を定量した。なお、単位はmg/kgフィラーであるが、請求項及び明細書ではmg/kgと表記している。
GC/MS分析条件
装置:サーモサイエンティフィック社製 TRACE DSQ
カラム:Rtx―5Amine(30m×0.25mm×0.25μm)
注入モード:スプリット(スプリット比10:1)
カラム流量:1.0mL/min
GC温度条件
注入口:250℃
昇温条件:50℃〜280℃
MSインターフェース:280℃
MS条件
イオン源温度:250℃
イオン化電圧:70eV
測定モード:SIM
定量イオン:163m/z
JIS.K.6220−1 7.7:2001に準拠して測定した。
実験例1〜4,7〜9については、Marvern社製Mastersizer Sを使用し溶媒に水を用いてレーザー回折散乱法で体積基準での中位径(D50)を測定した。
実験例5及び6については、Marvern社製Mastersizer 2000を使用し溶媒にエタノールを用いてレーザー回折散乱法で体積基準での中位径(D50)を測定した。
JIS.K.5101−13−1:2004に準拠して測定した。
特許第4521477号の製造例1に記載の方法で得た非晶質シリカ(非晶質シリカA)を使用した。
カワタ(株)製スーパーミキサーSMV−20に非晶質シリカAを110℃乾燥ベースで1.75kg投入し撹拌した。撹拌中にシランカップリング剤である3−アミノプロピルトリエトキシシラン(表面処理剤A)を87.5g滴下し,140℃まで加熱した。排気口に時計皿をかざした時に揮発分であるエタノールによって曇らなくなるまで撹拌した。
表面処理剤Aの量を175gに変更した以外は、実験例2と同様にして表面処理シリカを得た。
表面処理剤Aの量を262.5gに変更した以外は、実験例2と同様にして表面処理シリカを得た。
表面処理剤Aを3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(表面処理剤B)とした以外は実験例3と同様にして表面処理シリカを得た。
表面処理剤Aをメチルハイドロジェンシリコーンオイル(表面処理剤C)とした以外は実験例3と同様にして表面処理シリカを得た。
W.R.グレース社製サイロブロック45を使用した。
表面処理剤Aの量を122.5gに変更した以外は、実験例2と同様にして表面処理シリカを得た。
表面処理剤Aの量を210.0gに変更した以外は、実験例2と同様にして表面処理シリカを得た。
ポリプロピレン樹脂(ランダムPP、MFR=7g/10分)100質量部あたり、2質量部になるように各AB剤を添加し、二軸押出機(φ26mm)を用いて230℃溶融混合し、トータル押出量2.7kg/hrで押出し、マスターバッチ(MB)を得た。作製したマスターバッチについて、以下の評価を行った。その評価結果を表2に示した。尚、AB剤以外の成分は添加していない。
二軸押出機(φ26mm)を用いて1時間連続してマスターバッチを成形し、ダイリップ部への目ヤニ付着状況を評価した。評価は目視で行い、目ヤニの付着有りを×、付着ほとんど無しを○、付着無しを◎とした。
二軸押出機(φ26mm)を用いて1時間連続してマスターバッチを成形し、ストランドの発泡状況を評価した。評価は目視で行い、発泡有りを×、発泡少し有りを△、発泡無しを○とした。
二軸押出機(φ26mm)を用いて1時間連続してマスターバッチを成形し、スクリューへの粉付着状況を評価した。評価は目視で行い、粉の付着有りを×、付着ほとんど無しを○とした。
二軸押出機(φ26mm)を用いて1時間連続してマスターバッチを成形し、投入口の粉立ち状況を評価した。評価は目視で行い、粉立ち有りを×、粉立ちほとんど無しを○とした。
ASTM D 1003−00−procedure Aに準拠してHaze(%)を測定した。Hazeの値が小さいほど透明性に優れる。測定装置はBYK−Gardner社製 haze−gard plusを用いた。
ASTM D 1044−94に記載の測定装置にてClarityを測定した。Clarityの値が大きいほど鮮明性に優れる。測定装置はBYK−Gardner社製haze−gard plusを用いた。
ISO 8295−1995に準拠し、フィルム外表面同士の静摩擦係数(SCOF)を評価した。SCOFの値が低いほど滑り性に優れる。測定装置は東洋精機製摩擦測定機TR−2を用いた。
ISO 11502−1995 method Bに準拠した方法でフィルムのブロッキング力を測定した。フィルム同士の熱圧着条件は、CPPフィルムでは6kgf/100cm2、60℃、15時間とし、BOPPフィルムでは6kgf/100cm2、60℃、3日間とした。測定装置は島津製作所製オートグラフ AGSH20Nを用いた。
菱化システム社製表面粗さ計VertScan2.0を用いて観察範囲630μm×470μmのフィルム表面形状を観察した。凹凸の無い平滑な面を基準とし、深さ0.25μm以上、平滑面での面積5μm2以上の凹みをボイドと規定し、その個数(個/0.30mm2)及び観察面積に対するボイド面積割合(%)を計測した。
またCPPフィルムのHazeとブロッキング力のバランスを図1に、HazeとSCOFのバランスを図2にそれぞれ示した。いずれにおいても、各パラメーターのバランスが原点Oに近いほど、アンチブロッキング剤としての性能が優れていることを示す。
Claims (9)
- アミノアルキルアルコキシシランで表面処理されたシリカ粒子からなり、未反応シランの含有量が3mg/kg以下に抑制されているポリオレフィン及びポリエステル用アンチブロッキング剤。
- シリカ粒子100質量部当たり6〜14質量部の量でアミノアルキルアルコキシシランによる表面処理が行われている請求項1に記載のアンチブロッキング剤。
- 請求項1または2に記載のアンチブロッキング剤が基材樹脂に配合されているマスターバッチであって、該基材樹脂がポリオレフィンまたはポリエステルであるマスターバッチ。
- 前記基材樹脂100質量部当たり1〜30質量部の量で前記アンチブロッキング剤が配合されている請求項3に記載のマスターバッチ。
- 前記基材樹脂がポリオレフィンである請求項4に記載のマスターバッチ。
- 前記基材樹脂がポリプロピレンである請求項5に記載のマスターバッチ。
- 請求項1または2に記載のアンチブロッキング剤が配合されているポリオレフィン樹脂組成物であって、該ポリオレフィン樹脂組成物100質量部あたり前記アンチブロッキング剤が0.001〜1.0質量部配合されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物。
- 少なくとも表面が請求項7に記載のポリオレフィン樹脂組成物から形成されているフィルム。
- 少なくとも表面が、請求項7に記載のポリオレフィン樹脂組成物から形成されており、且つ、一軸方向または二軸方向に延伸されているフィルム。
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