JP2015214663A - ポリエステル系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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豊明 佐々木
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Abstract

【解決手段】本発明に係るポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル(A)60〜98重量%、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)1〜25重量%、極性基変性スチレン系エラストマー(C)1〜15重量%(ただし、(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)を含んでなることを特徴とする。【効果】本発明によれば、ポリエステルが本来有する高い機械的強度、寸法安定性、耐久性などの優れた性状を維持し、かつ、従来技術よりも大幅に微細化された分散径で、分散相がポリエステル中に分散したポリエステル系樹脂組成物を提供することができる。本発明の成形体およびポリエステルシートは、ポリエステルが本来有する機械的強度、寸法安定性、耐久性などを有し、かつ、高度な光線反射率を示す。また、本発明のポリエステルシートは、微細な空孔が均質に分散し、光線の反射性及び散乱性に優れるとともに、一部に強度低下部や穴等を生じることなく、全面で均質な特性を示す。【選択図】なし

Description

本発明は、光反射性能に優れた反射シートを製造し得るポリエステル系樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物から得られる成形体およびポリエステルシートに関する。
液晶ディスプレイや照明看板などの表示装置においては、背面から光を照射することにより画像を鮮明に見せることができるが、軽量化、薄型化が求められるにつれて、背面に直接光源を具備するバックライト方式に変わり、周縁部からの光を反射板や反射シートにより反射して背面から照射する方式が主流となっている。そして、さらなる軽量化・薄型化を達成しつつ表示性能を向上させるため、反射板や反射シートには、薄く軽量で機械的強度に優れ、反射率が高く、光の散乱性にも優れるものが望まれる。
液晶ディスプレイなどの平面型画像表示方式における、面光源装置の反射板および反射シート、照明看板の背面反射シート、太陽電池の背面反射シートなどとしては、光線の反射性が良く、安価で寸法安定性にも優れるなどの理由から、微細な粒子あるいは空孔を包含するポリエステルシートが用いられている。
光線反射性能を有するポリエステルシートを得る方法としては、ポリエステルシート中に硫酸バリウムなどの無機粒子を多数混合し、ポリエステルと無機粒子の界面および無機粒子を核として形成する微細な空孔の界面での光反射を利用する方法(特許文献1参照)、ポリエステルと非相溶な樹脂を混合することにより、ポリエステルと非相溶な樹脂の界面および非相溶な樹脂を核として形成する微細な空孔の界面での光反射を利用する方法(特許文献2参照)、圧力容器中で不活性ガスをポリエステルに含浸させることで内部に多数の微細な空孔を形成し、ポリエステルと空孔の界面での光反射を利用する方法(特許文献3参照)等が挙げられる。
しかしながら、酸化チタンなどの無機粒子を用いたポリエステルシートでは、反射率の向上に限界があり、また無機粒子が特定の波長を吸収する傾向があることから、それに対応する波長域の光に対しては反射率が低下し、画面が暗くなるという問題があった。また、内部の空孔が大きな場合には、光反射性能が不十分である他、機械的強度に劣る場合があるという問題があった。
特に携帯端末や液晶テレビなどに広く用いられる液晶ディスプレイは、画面の高輝度化や省電力化が常に要求されており、反射シートについても光線反射性能の向上が求められている。ポリエステルシートの光線反射性能を向上するためには、ポリエステルフィルム中の光反射する界面を増やす必要がある。そこで、より微細かつ多数の空孔を形成する取り組みがなされてきた。例えば、ポリエステルに非相溶な樹脂を微分散させるため、相溶化剤にスチレン系エラストマーを用いて形成した白色ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献4、5参照)。
特開2004−330727号公報 特開平04−239540号公報 国際公開第97/01117号パンフレット 特開2004−123784号公報 特開2009−40045号公報
液晶ディスプレイなどの表示装置には、より表示性能に優れ、省電力でかつ軽量なものが求められている。このため反射シートについても、より高度な光線反射性能が求められている。本発明者の検討によれば、前記特許文献4および特許文献5に示される白色ポリエステルシートは、ポリエステル中の非相溶な樹脂の分散相のサイズが大きいため、近年要求される高度な光線反射性能を満足することは困難である。また、多層構造を必須とするため製造工程が煩雑で経済的でないという問題があった。
本発明はこのような問題を解決するものであって、ポリエステルに非相溶の樹脂成分がより微細に分散し、より高度な光線反射性能を示すシートを成形し得るポリエステル系樹脂組成物、ならびに反射シート等として好適な成形体およびポリエステルシートを提供することを課題としている。
本発明者は、鋭意研究した結果、ポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)、極性基変性スチレン系エラストマー(C)を特定の割合で含んでなる樹脂組成物によって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル(A)60〜98重量%、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)1〜25重量%、極性基変性スチレン系エラストマー(C)1〜15重量%(ただし、(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)を含んでなることを特徴とする。
このような本発明のポリエステル系樹脂組成物においては、前記極性基変性スチレン系エラストマー(C)が、極性基変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体であることが好ましく、前記極性基変性スチレン系エラストマー(C)のスチレン含量が5〜20重量%であることも好ましい。また、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)の融点は、230〜240℃であることが好ましい。さらに、前記ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明の成形体およびポリエステルシートは、前記本発明のポリエステル系樹脂組成物からなることを特徴としている。このような本発明のポリエステルシートは、延伸処理する工程を経て得られたものであることが好ましい。本発明のポリエステルシートは、高い光線反射性能を有するため、平面型画像表示装置の反射シートなどの各種反射シートの用途に好適に用いられる。
本発明によれば、ポリエステルが本来有する高い機械的強度、寸法安定性、耐久性などの優れた性状を維持し、かつ、従来技術よりも大幅に微細化された分散径で、分散相がポリエステル中に分散したポリエステル系樹脂組成物を提供することができる。このようなポリエステル系樹脂組成物を用いると、微細な空孔が均質に分散し、高い光線反射性を有し、しかも高い機械的強度、寸法安定性、耐久性などを有し、反射シートとして好適なポリエステルシートなどの成形体を製造することができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物からなる成形体およびポリエステルシートは、ポリエステルが本来有する機械的強度、寸法安定性、耐久性などを有し、かつ、高度な光線反射率を示す。また、本発明の樹脂組成物からなる成形体およびポリエステルシートは、分散相が従来より大幅に微細化された分散径で分散した樹脂組成物を用いて得られるものであるため、微細な空孔が均質に分散したものとすることができ、光線の反射性及び散乱性に優れるとともに、一部に強度低下部や穴等を生じることなく、全面で均質な特性を示す。このような成形体およびポリエステルシートは、液晶ディスプレイなどの平面型画像表示装置の反射シート、照明看板の反射シート、太陽電池の背面反射シートなどの各種反射シートの用途に好適に用いることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
ポリエステル系樹脂組成物
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)、極性基変性スチレン系エラストマー(C)を必須成分として含む。以下、これらの成分および任意に添加してもよい成分について説明する。
〔ポリエステル(A)〕
本発明で用いられるポリエステル(A)は、アンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン系触媒などの公知のポリエステル重合用触媒の存在下で、ジカルボン酸とジオールを含むモノマーを重合することにより製造することができる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸では、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸およびそのエステル誘導体が挙げられ、また脂肪族ジカルボン酸では、アジピン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそのエステル誘導体が、脂環族ジカルボン酸では、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びそのエステル誘導体が挙げられ、また多官能酸では、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体が代表例として挙げられる。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコールやポリエチレングリコール、およびポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルなどが代表例として挙げられる。
本発明で用いられるポリエステル(A)は、機械強度、耐熱性、製造コストなどを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートを基本構成とするポリエステルが好ましい。
〔4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)〕
本発明で用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)は、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒などの公知のオレフィン重合用触媒の存在下で、4−メチル−1−ペンテンを含むモノマーを重合することにより製造することができる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)は、例えば、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、あるいは4−メチル−1−ペンテンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられ、本発明の効果を奏する限り、そのいずれの意味も含む。
前記4−メチル−1−ペンテンと共重合してもよい他のオレフィンとしては、エチレンおよび4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。該α−オレフィンとして具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数6〜20のα−オレフィンであり、さらに好ましくは炭素原子数8〜20のα−オレフィンである。これらのα−オレフィンは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)が共重合体である場合、共重合体を構成する4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の量は、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上である。
本発明で用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)は、好ましくは、下記要件(B−i)および(B−ii)を満たす。
(B−i)メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、260℃、5kgf)が、通常1〜500g/10min、好ましくは10〜300g/10min、より好ましくは100〜250g/10minである。MFRが上記範囲にあると、ポリエステルへの分散性の点で好ましい。
(B−ii)融点(Tm)が、通常200〜250℃、好ましくは220〜245℃、より好ましくは230〜240℃である。融点が200℃未満であると、当該4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む樹脂組成物を用いて得られるフィルムの寸法安定性、耐熱性が低下するおそれがあり、また、融点が250℃を越える場合、当該4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む樹脂組成物を用いて得られる成形体の衝撃強度および靭性が低下する場合がある。
なお、融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、たとえば、次のように測定される。試料3〜7mgをアルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で280℃まで加熱し、その試料を、完全融解させるために300℃で5分間保持する。次いで10℃/分で−50℃まで冷却し、−50℃で5分間置いた後、その試料を10℃/分で300℃まで再度加熱する。この2度目の加熱試験でのピーク温度を、融点(Tm)として採用する。なお、後述のオレフィン系重合体(C)の融点も、同様の方法で測定できる。
本発明にかかる4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)の製造は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)を構成するモノマーに加えて、遷移金属触媒成分および共触媒成分を含む重合触媒を重合反応器に供給する方法により行われる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)を構成するモノマーの重合は、溶液重合、懸濁重合、バルク重合法などの液相重合法、気相重合法、その他公知の重合方法で行うことができる。また重合を液相重合法で行う場合には、溶媒として不活性炭化水素を用いることもできるし、反応条件下において反応に供する液状のオレフィンを用いることもできる。さらに、本発明において重合は、回分式、半連続式、連続式の何れの方法においても行なうことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)の製造方法に用いられる重合触媒を構成する遷移金属触媒成分としては、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体からなる固体状チタン触媒や、メタロセン触媒などが挙げられる。このうち、好ましくは固体状チタン触媒が挙げられ、特に好ましくは、特開2003−105022号公報に記載されている、不活性炭化水素溶媒に懸濁させたマグネシウム化合物と、電子供与体として複数の原子を間に介してエーテル結合を2以上有する化合物と、液体状態のチタン化合物とを接触させて得られるチタン、マグネシウム、ハロゲンおよび複数のエーテル結合を有する化合物からなるチタン触媒が挙げられる。
不活性炭化水素溶媒としては、ヘキサン、デカンおよびドデカンなどが挙げられる。
電子供与体としては、複数の原子を間に介してエーテル結合を2以上有する化合物である2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンおよび2−イソペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンなどが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、無水塩化マグネシウムおよびメトキシ塩化マグネシウムなどが挙げられる。
本発明において、固体状チタン触媒は、例えば液相重合法の場合、全液体容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常0.0001〜0.5ミリモル、好ましくは0.0005〜0.1ミリモルの量で用いられることが好ましい。
また、上記固体状チタン触媒において、ハロゲンおよびチタンの比率(ハロゲン/チタン)は、原子比で、通常2〜100、好ましくは4〜90であり、2以上のエーテル結合を含む化合物およびチタンの比率(2以上のエーテル結合を含む化合物/チタン)は、モル比で、通常0.01〜100、好ましくは0.2〜10であり、マグネシウムおよびチタンの比率(マグネシウム/チタン)は原子比で、通常2〜100、好ましくは4〜50である。
上記固体状チタン触媒と共に用いられる共触媒成分(有機金属化合物触媒成分)としては、有機アルミニウム化合物が挙げられ、たとえば、RanAlX3-nで示される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
RanAlX3-n中、nは、1〜3である。Raは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえば、アルキル基、シクロアルキル基およびアリール基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基およびトリル基などであり、nが2または3の場合、同一でも異なっていてもよい。Xは、ハロゲンまたは水素であり、nが2または3の場合、同一でも異なっていてもよい。
RanAlX3-nで示される有機アルミニウム化合物としては、たとえば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムおよびトリ2−エチルヘキシルルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリドおよびジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリドおよびエチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリドおよびエチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライドおよびジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
これらのうち、トリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムが好ましい。
共触媒成分(有機金属化合物触媒成分)の量は、たとえば、遷移金属触媒成分が固体状チタン触媒である場合には、固体状チタン触媒1g当たり、通常0.1〜1000000g、好ましくは100〜1000000gの重合体が生成するような量であればよく、固体状チタン触媒中のチタン原子1モル当たり、通常0.1〜1000モル、好ましくは約0.5〜500モル、より好ましくは1〜200モルの量である。
遷移金属触媒成分は、不活性有機溶媒(好ましくは、飽和脂肪族炭化水素)に懸濁して重合反応器に供給するのが好ましい。
また、遷移金属触媒成分は3−メチル−1−ペンテンまたは4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンと予備重合した固体触媒成分として用いることが好ましい。予備重合は、遷移金属触媒成分1g当たり、上記のα−オレフィンを通常0.1〜1000g、好ましくは0.3〜500g、より好ましくは1〜200gの量で重合させて行う。また、予備重合は、4−メチル−1−ペンテンの重合における反応系内の触媒濃度よりも高い触媒濃度で行うことができる。
本発明では、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)を製造するに際し、溶解重合および懸濁重合(スラリー重合)などの液相重合法が好ましく用いられるが、さらに好ましくは懸濁重合(スラリー重合)法が用いられる。
また、本重合時に水素を用いれば、得られる重合体の分子量を調節することができ、メルトフローレートの大きい重合体が得られる。
さらに、本重合時に用いる固体状チタン触媒に含まれる電子供与体の種類を選定することにより、得られる重合体の立体規則性を調整することが可能となり、これにより、重合体の融点の調整が可能となる。
本発明において、オレフィンの重合温度および重合圧力は、重合方法および重合するモノマーの種類により異なるが、重合温度は、通常10〜200℃、好ましくは30〜150℃に、重合圧力は、通常常圧〜5MPa−G、好ましくは0.05〜4MPa−Gに設定される。
〔極性基変性スチレン系エラストマー(C)〕
本発明で用いられる極性基変性スチレン系エラストマー(C)は、モノビニル置換芳香族炭化水素(スチレン系芳香族炭化水素)を共重合成分としたスチレン系エラストマーの極性基変性物である。
好ましくは、本発明で用いられる極性基変性スチレン系エラストマー(C)は、下記式(x)または式(y)で表されるブロックの形態のブロック共重合体であるスチレン系エラストマーの極性基変性物である。
X(YX)n ・・・(x)
(XY)n ・・・(y)
前記式(x)または(y)のXで示される重合ブロックを構成するモノビニル置換芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、クロロスチレン、低級アルキル置換スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のスチレンまたはその誘導体などが挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
前記式(x)または(y)のYで示される重合ブロックを構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物が挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。また、前記共役ジエン化合物は一部または全部が水素添加されていてもよく、好ましくは水素添加率が90モル%以上、より好ましくは95モル%以上である。
前記式(x)または(y)nは1以上、5以下の整数、好ましくは1または2である。
本発明において用いることのできる極性基変性スチレン系エラストマー(C)を構成するスチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブチレン−ブタジレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)(α−MeSBα−MeS)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)(α−MeSIα−MeS)等を挙げることができ、さらには、上記例示した共重合体を構成する共役ジエン化合物、具体的にはブタジレンやイソプレンが水添された態様が挙げられる。これらのなかでもスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−水添ブタジエンゴム、スチレン−水添イソプレンゴムが好ましく用いられる。
上述したスチレン系エラストマーの製造方法は特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体例としては、水素添加前のブロック共重合体は、例えば不活性溶媒中で、リチウム触媒またはチーグラー触媒の存在下に、ブロック共重合を行わせる方法により製造することができる。詳細な製造方法は、例えば特公昭40−23798号などに記載されている。水素添加処理は、不活性溶媒中で公知の水素添加触媒の存在下に行うことができる。詳細な方法は、例えば特公昭42−8704号、同43−6636号、同46−20814号などに記載されている。
共役ジエンモノマーとしてブタジエンが用いられる場合、ポリブタジエンブロックにおける1,2−結合量の割合は20重量%以上、80重量%以下、好ましくは30重量%以上、60重量%以下である。
本発明で用いられる極性基変性スチレン系エラストマー(C)としては、上述のスチレン系エラストマーの一部が極性モノマーにより変性されているものが挙げられる。変性は、従来公知の方法で行うことができる。
変性に用いる極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸またはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、ビニル基含有有機ケイ素化合物、カルボジイミド化合物などが挙げられる。これらのうち、不飽和カルボン酸またはその誘導体が特に好ましい。
不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物等を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。これらの化合物は従来公知のものが使用でき、特に制限はないが具体的な化合物としては、例えばアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸;またはその誘導体、例えば酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等が挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、例えば塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸無水物が好ましく用いられる。
このような極性基変性スチレン系エラストマー(C)は、上述のスチレン系エラストマー100重量部に対して、極性モノマーを通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部の量でグラフト重合させることにより得ることができる。
極性基変性スチレン系エラストマー(C)としては市販品を使用することもできる。具体的なものとしては、ダイナロン(商標、JSR株式会社)8630P、タフテック(商標、旭化成(株)製)M1913、等が挙げられる。極性基変性スチレン系エラストマー(C)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
本発明で用いられる極性基変性スチレン系エラストマー(C)は、好ましくは下記要件(C−i)および(C−ii)を満たす。
(C−i)メルトフローレート(MFR;JIS K7210、230℃、2.12kgf)が、通常1〜100g/10min、好ましくは10〜50g/10minである。MFRが上記範囲にあると、ポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)と溶融粘度、流動性が近くなり、相溶化剤として良好な分散性を発現する。
(C−ii)スチレン含量が、通常1〜35重量%、好ましくは5〜20重量%である。スチレン含量が1重量%未満である場合、ポリエステル(A)との相溶性が低下し、また、35重量%を越えると、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)との相溶性の低下が大きくなる。
〔その他の成分〕
本発明に係るポリエステル系樹脂組成物には、その用途に応じて、上述したポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)および極性基変性スチレン系エラストマー(C)以外の樹脂あるいは重合体および/または樹脂用添加剤が、本発明の目的を損なわない範囲で任意に添加されていてもよい。
本発明のポリエステル系樹脂組成物が、上述した(A)、(B)、(C)成分以外のその他の樹脂あるいは重合体を含有する場合、他の樹脂あるいは重合体としては、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、エチレン・α−オレフィン共重合ゴム、共役ジエン系ゴム、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂組成物がこれらのその他の樹脂あるいは重合体を含有する場合、その他の樹脂あるいは重合体の含有量の総量は、ポリエステル系樹脂組成物の総重量に対して、0.1〜30重量%であることが好ましい。
本発明のポリエステル系樹脂組成物に添加されていてもよい樹脂用添加剤としては、例えば、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、(透明)核剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独でも、適宜2種以上を組み合わせても用いることができる。
顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂組成物の総重量に対して、合計で、通常5重量%以下、好ましくは0.1〜3重量%である。
充填剤としてはガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレーク等が挙げられる。これらの充填剤は1種単独または2種以上の併用いずれでもよい。
滑剤としては、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂等が挙げられる。
離型剤としては、高級脂肪酸の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4〜30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール等)、リン系(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスフォネート等)、アミン系(N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等)の酸化防止剤が挙げられる。
難燃剤としては、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素等が挙げられる。
界面活性剤としては非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
帯電防止剤としては、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
上記充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤などの各種添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内であればよく、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂組成物の総重量に対して、それぞれ、0.1〜30重量%であることが好ましい。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)および極性基変性スチレン系エラストマー(C)を上述した所定の配合割合で含むことにより、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)の少なくとも一部が、微細にかつ均一に樹脂組成物中に分散した状態を良好に示す。
〔ポリエステル系樹脂組成物の製造方法〕
本発明に係るポリエステル系樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリエステル(A)を乾燥した後、乾燥したポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)、極性基変性スチレン系エラストマー(C)および他の任意成分を上述の添加割合で混合したのち、溶融混練して得られる。溶融混練の方法は、特に制限されず、一般的に市販されている押出機などの溶融混練装置を用いて行うことが可能である。
例えば、混練機にて混練を行う部分のシリンダ温度は、通常250〜310℃、好ましくは260〜290℃である。温度が250℃よりも低いと溶融不足により混練が不十分となり、樹脂組成物の物性の向上が見られない。一方、温度が310℃よりも高いと、ポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)、極性基変性スチレン系エラストマー(C)の熱分解が生じ、樹脂組成物の物性の低下が起こる場合がある。混練時間は、通常0.1〜30分間、特に好ましくは1〜5分間である。混練時間が0.1分に満たないと十分に溶融混練が行われず、また、混練時間が30分を超えるとポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)、極性基変性スチレン系エラストマー(C)の熱分解が起こる場合がある。
このようにして製造した本発明のポリエステル系樹脂組成物は、通常、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)の少なくとも一部が樹脂組成物中に微細に分散した状態を示す。
成形体
本発明の成形体は、上述した本発明のポリエステル系樹脂組成物からなる。本発明の成形体は、樹脂組成物を成形する従来公知の方法により、本発明のポリエステル系樹脂組成物を成形して得ることができる。
本発明の成形体は、どのような形状を呈していてもよいが、板状あるいはシート状とした場合には、反射板あるいは反射シートとして有用であるため好ましい。
特に、本発明の成形体が延伸工程を経て得られたシートである場合には、反射シートとして特に有用である。以下、本発明に係るシートについてさらに説明する。
〔ポリエステル系樹脂組成物からなるシート〕
本発明に係るポリエステル系樹脂組成物からなるシートは、樹脂組成物からシート状物を製造する公知の方法により特に限定されることなく製造することができるが、具体的には、たとえば、各種成形法によって得られたシート状物(未延伸シート)を延伸処理することにより好適に製造することができ、より好ましくは、押出成型法によって得られたシート状物を2軸延伸することによって製造することができる。
未延伸シートの製造方法は、特に制限されず、一般的に市販されている装置を用いて行うことが可能である。未延伸シートは、たとえば、前記のポリエステル(A)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)、極性基変性スチレン系エラストマー(C)および必要に応じてその他の任意成分からなる本発明のポリエステル系樹脂組成物のペレットを、必要に応じて真空乾燥などにより乾燥した後、Tダイを有する押出機に供給し、押出成形することにより作成できる。また、前記の樹脂組成物を押出機に供給する際に、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)、極性基変性スチレン系エラストマー(C)およびその他の成分を必要に応じて添加して押出機内でポリエステル系樹脂組成物を調製し、引き続いて押出成形を行って、未延伸シートを作成してもよい。未延伸シートは、単層のシートであってもよく、前記ポリエステル系樹脂組成物の層を含む積層シートでもよい。
延伸処理する工程では、延伸装置を用いて未延伸シートを延伸する。好ましくは、未延伸シートを、2軸延伸装置を用いて2軸延伸する。延伸処理する工程を経て得られた本発明のシートは、微細な空孔を多数有する。この延伸工程においては、上述のポリエステル系樹脂組成物からなる未延伸シート中のポリエステル(A)と、ポリエステル(A)中に微細に分散している4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)との界面に剥離が生じ、これによりポリエステル系シート中に微細な空孔が多数形成される。
延伸処理の条件は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル(A)にポリエチレンテレフタレートを用いた場合、未延伸シートを70〜90℃に加熱した後、長手方向に2〜5倍、長手方向に垂直な方向に2〜5倍に延伸するのが好ましい。延伸方法は、特に制限されず、一般的に市販されている装置を用いて行うことが可能である。また、2軸延伸を行う場合には、長手方向、長手方向に垂直な方向に逐次的の延伸する方法、長手方向と垂直方向を同時に延伸する方法のいずれでも良い。
延伸処理を行ったシートは、引き続き、機械的強度、寸法安定性などを高めるために、シート端部をクリップなどで固定した状態で、150〜240℃で1〜120秒間の熱処理を行い、配向結晶化の促進と延伸ひずみの除去を行うことが好ましい。熱処理工程中は、必要に応じて長手方向および垂直方向に1〜10%の弛緩処理を施しても良い。
また、延伸処理する工程を経て得られたシートに、光安定性やアンチブロッキング性などの機能を付与するため、塗布層を設けても良い。さらに本発明のポリエステルシートは、同種あるいは他種のシートとの積層体としてもよい。
このようにして得られた本発明のポリエステルシートは、微細な空孔をシート全体に均質に有し、優れた光線反射性能、機械的強度、寸法安定性、耐久性等を発現することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の実施例および比較例における測定方法は以下の通りである。
[平均分散径の測定方法]
樹脂組成物中の分散相のサイズは、得られたペレットもしくはシートの断面を切り出しSEMにより観察した。分散相の平均分散径は、SEMで確認された任意の分散相10点の平均値とした。
[延伸シートの光線反射率の測定方法]
延伸シートの光線反射率は、分光光度計(日立ハイテクサイエンス製)により測定した。長手方向、長手方向に垂直な方向について、波長550nmの光線反射率を測定し、その平均値を用いた。
[実施例1]
ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製三井PET、銘柄名:J005PC、IV=0.62dl/g)を、真空乾燥機を用い150℃、16時間の条件で乾燥した。乾燥したポリエステル(A)を88重量部、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)として4−メチル−1−ペンテン・デセン−1共重合体(三井化学株式会社製TPX(登録商標)、銘柄名:DX820、融点:233℃、MFR(ASTM D1238、260℃、5kgf):180g/10min)を10重量部、極性基変性スチレン系エラストマー(C)として極性基変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(JSR株式会社製、銘柄名:ダイナロン(登録商標)8630P、MFR(JIS K7210、230℃、2.16kgf):15g/10min、密度:0.89g/cm3、スチレン含量:15%)を2重量部の組成比にてブレンドした。さらに該混合物を2軸押出機(株式会社テクノベル製、φ=25mm、L/D=40、シリンダ温度:270℃、スクリュウ回転数:1800rpm)で溶融混練しペレットを得た。得られたペレット中の分散相の平均分散径は1.3μmであった。
[実施例2]
ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製三井PET、銘柄名:J005PC、IV=0.62dl/g)を真空乾燥機を用い150℃、16時間の条件で乾燥した。乾燥したポリエステル(A)を84重量部、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)として4−メチル−1−ペンテン・デセン−1共重合体(三井化学株式会社製TPX(登録商標)、銘柄名:DX820、融点:233℃、MFR(ASTM D1238、260℃、5kgf):180g/10min)を10重量部、極性基変性スチレン系エラストマー(C)として極性基変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(JSR株式会社製、銘柄名:ダイナロン8630P、MFR(JIS K7210、230℃、2.16kgf):15g/10min、密度:0.89g/cm3、スチレン含量:15%)を6重量部の組成比にてブレンドした。さらに該混合物を2軸押出機(株式会社テクノベル製、φ=25mm、L/D=40、シリンダ温度:270℃、スクリュウ回転数:1800rpm)で溶融混練しペレットを得た。得られたペレット中の分散相の平均分散径は1.1μmであった。
[実施例3]
ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製三井PET、銘柄名:J005PC、IV=0.62dl/g)を真空乾燥機を用い150℃、16時間の条件で乾燥した。乾燥したポリエステル(A)を82重量部、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)として4−メチル−1−ペンテン・デセン−1共重合体(三井化学株式会社製TPX(登録商標)、銘柄名:DX820、融点:233℃、MFR(ASTM D1238、260℃、5kgf):180g/10min)を10重量部、極性基変性スチレン系エラストマー(C)として極性基変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(JSR株式会社製、銘柄名:ダイナロン8630P、MFR(JIS K7210、230℃、2.16kgf):15g/10min、密度:0.89g/cm3、スチレン含量:15%)を8重量部の組成比にてブレンドした。さらに該混合物を2軸押出機(株式会社テクノベル製、φ=25mm、L/D=40、シリンダ温度:270℃、スクリュウ回転数:1800rpm)で溶融混練しペレットを得た。得られたペレット中の分散相の平均分散径は1.3μmであった。
[比較例1]
ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製三井PET、銘柄名:J005PC、IV=0.62dl/g)を真空乾燥機を用い150℃、16時間の条件で乾燥した。乾燥したポリエステル(A)を84重量部、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)として4−メチル−1−ペンテン・デセン−1共重合体(三井化学株式会社製TPX(登録商標)、銘柄名:DX820、融点:233℃、MFR(ASTM D1238、260℃、5kgf):180g/10min)を10重量部、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(JSR株式会社製、銘柄名:ダイナロン1321P、MFR(JIS K7210、230℃、2.16kgf):10g/10min、密度:0.89g/cm3、スチレン含量10重量%)を8重量部の組成比にてブレンドした。さらに該混合物を2軸押出機(株式会社テクノベル製、φ=25mm、L/D=40、シリンダ温度:270℃、スクリュウ回転数:1800rpm)で溶融混練しペレットを得た。得られたペレット中の分散相の平均分散径は3.8μmであった。
[実施例4]
ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製三井PET、銘柄名:J005PC、IV=0.62dl/g)を、真空乾燥機を用い150℃、16時間の条件で乾燥した。乾燥したポリエチレンテレフタレート80重量部、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)として4−メチル−1−ペンテン・デセン−1共重合体(三井化学株式会社製TPX(登録商標)、銘柄名:DX820、融点:233℃、MFR(ASTM D1238、260℃、5kgf):180g/10min)を15重量部、極性基変性スチレン系エラストマー(C)として極性基変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(JSR株式会社製、銘柄名:ダイナロン8630P、MFR(JIS K7210、230℃、2.16kgf):15g/10min、密度:0.89g/cm3、スチレン含量:15%)を5重量部の組成比にてブレンドした。さらに該混合物を2軸押出機(株式会社テクノベル製、φ=25mm、L/D=40、シリンダ温度:270℃、スクリュウ回転数:1800rpm)で溶融混練し、厚み100μmのシートを作成した。得られたシート中の分散相の平均分散径は1.4μmであった。さらに、2軸延伸装置(ブルックナー製)を用い、未延伸シートを100℃まで加熱した後、長手方向に3倍、長手方向に垂直な方向に3倍、延伸速度300mm/秒の条件で逐次延伸した。延伸シートを200℃、60秒間の条件で熱処理を施した。延伸シートの波長550nmの光線反射率は75%であった。
[比較例2]
ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製三井PET、銘柄名:J005PC、IV=0.62dl/g)を真空乾燥機を用い150℃、16時間の条件で乾燥した。また、相溶化剤であるポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリアルキレングリコール(PAG)のブロック共重合体(東レ・デュポン株式会社製ハイトレル(R)(登録商標))を、真空乾燥機を用い100℃、8時間の条件で乾燥した。乾燥したポリエチレンテレフタレート80重量部、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)として4−メチル−1−ペンテン・デセン−1共重合体(三井化学株式会社製TPX(登録商標)、銘柄名:DX820、融点:233℃、MFR(ASTM D1238、260℃、5kgf):180g/10min)を15重量部、相溶化剤として乾燥したポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリアルキレングリコール(PAG)のブロック共重合体(東レ・デュポン株式会社製ハイトレル(R)(登録商標))を5重量%の組成比にてブレンドした。さらに該混合物を2軸押出機(株式会社テクノベル製、φ=25mm、L/D=40、シリンダ温度:270℃、スクリュウ回転数:1800rpm)で溶融混練し、厚み100μmのシートを作成した。得られたシート中の分散相の平均分散径は2.4μmであった。さらに、2軸延伸装置(ブルックナー製)を用い、未延伸シートを100℃まで加熱した後、長手方向に3倍、長手方向に垂直な方向に3倍、延伸速度300mm/秒の条件で逐次延伸した。延伸シートを200℃、60秒間の条件で熱処理を施した。延伸シートの波長550nmの光線反射率は68%であった。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、各種成形体の用途に用いることができ、特に反射板あるいは反射シートを製造する用途に好適に用いることができる。本発明の成形体およびポリエステルシートは、各種用途に制限なく用いることができ、特に、液晶ディスプレイなどの平面型画像表示装置の反射シート、照明看板の反射シート、太陽電池の背面反射シートなどの各種反射シートの用途に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリエステル(A)60〜98重量%、4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)1〜25重量%、極性基変性スチレン系エラストマー(C)1〜15重量%(ただし、(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)を含んでなるポリエステル系樹脂組成物。
  2. 前記極性基変性スチレン系エラストマー(C)が、極性基変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体である請求項1に記載のポリエステル系樹脂組成物。
  3. 前記極性基変性スチレン系エラストマー(C)のスチレン含量が5〜20重量%の範囲である請求項1または2に記載のポリエステル系樹脂組成物。
  4. 前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(B)の融点が、230〜240℃である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物。
  5. 前記ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレートである請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステル系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物からなる成形体。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物からなるポリエステルシート。
  8. 延伸処理する工程を経て得られたものである請求項7に記載のポリエステルシート。
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