JP2015214025A - 熱可塑性樹脂シートの製造装置および製造方法、並びにそれにより得られた熱可塑性樹脂シート - Google Patents

熱可塑性樹脂シートの製造装置および製造方法、並びにそれにより得られた熱可塑性樹脂シート Download PDF

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    • B29C48/914Cooling of flat articles, e.g. using specially adapted supporting means cooling drums

Abstract

【課題】残留位相差が小さく、かつシート反りが小さい熱可塑性樹脂シートを安定して製造できる熱可塑性樹脂シートの製造装置を提供すること。【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置1は、ダイ10から溶融状態の熱可塑性樹脂を押出して、金属製ベルト15および第三の冷却ロール13間に導入させた後、金属製ベルト15で搬送しつつ冷却して金属製ベルト15から剥離させることで熱可塑性樹脂シート30を形成する。そして、熱可塑性樹脂シート30の反りを矯正するための反り矯正駆動ロール17と、駆動ピンチロール20とを備え、反り矯正駆動ロール17の表面には、非粘着性の被覆膜171が設けられる。被覆膜171は、テープ剥離力が1N以下であり、鉛筆硬度が9H以上であり、表面粗さRzが0.8μm以下であり、耐熱性が200℃以上であり、膜厚が5μm以下であるという条件を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示素子などに用いられる光学シートとして好適な優れた光学的特性を有する熱可塑性樹脂シート、並びに、それを安定して製造できる熱可塑性樹脂シートの製造装置および製造方法に関する。
液晶表示素子における透明電極用基板や樹脂製前面板としては、全光線透過率が高く、表面平滑性が高く、シート反りが小さく、かつ残留位相差が小さい熱可塑性樹脂シートが求められている。
そこで、このような熱可塑性樹脂シートを製造するために、表面が弾性材で被覆された第一の冷却ロールと、第二の冷却ロールとの間に巻回され表面が鏡面の金属製ベルトと、前記金属製ベルトを介して前記第一の冷却ロールと対向配置された第三の冷却ロールと、を備え、第三の冷却ロールの表面の温度および金属製ベルトの温度を制御するとともに、金属製ベルトおよび第三の冷却ロール間の線圧も制御することができる熱可塑性樹脂シートの製造装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2010−105188号公報
液晶表示素子などに用いられる光学シートにおいては、多様な光学特性が求められるために、多様な熱可塑性樹脂が用いられている。そして、例えば、ポリメチルメタクリレート/ポリカーボネート/ポリメチルメタクリレートの層構成を備える多層シートの場合のように、反りを矯正できる適正温度条件において、ロールに対し強い粘着性を有する熱可塑性樹脂層を備える光学シートなども求められている。しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置を用いて、上記のようにロールに対し強い粘着性を有する熱可塑性樹脂層を備える光学シートを製造する場合には、残留位相差およびシート反りの点で十分な光学シートを安定して製造することができないという問題がある。
そこで、本発明は、残留位相差が小さく、かつシート反りが小さい熱可塑性樹脂シート、並びにそれを安定して製造できる熱可塑性樹脂シートの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ロールに対し強い粘着性を有する熱可塑性樹脂層を備える光学シートを製造する場合において、シート張力や反り矯正駆動ロールの表面温度を制御するだけでは足りず、反り矯正駆動ロールの表面を適切な状態にする必要があることを見出し、本発明をなすに至った。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置は、表面が弾性材で被覆された第一の冷却ロールと、第二の冷却ロールとの間に巻回され表面が鏡面の金属製ベルトと、前記金属製ベルトを介して前記第一の冷却ロールと対向配置された第三の冷却ロールと、を備え、押出機に取り付けられたダイから溶融状態の熱可塑性樹脂を押出して、前記金属製ベルトおよび前記第三の冷却ロール間に導入させた後、前記金属製ベルトで搬送しつつ冷却して前記金属製ベルトから剥離させることで熱可塑性樹脂シートを形成する、熱可塑性樹脂シートの製造装置であって、前記金属製ベルトから剥離させた熱可塑性樹脂シートの反りを矯正するための反り矯正駆動ロールと、前記反り矯正駆動ロールの下流側に配置され、前記熱可塑性樹脂シートを引取るための駆動ピンチロールと、を備え、前記反り矯正駆動ロールの表面には、非粘着性の被覆膜が設けられ、前記被覆膜は、テープ剥離力が1N以下であり、鉛筆硬度が9H以上であり、表面粗さRzが0.8μm以下であり、耐熱性が200℃以上であり、膜厚が5μm以下であるという条件を満たすことを特徴とするものである。
本発明においては、反り矯正駆動ロールの表面に特定条件を満たす非粘着性の被覆膜が設けられている。これにより、反り矯正駆動ロールの表面に、熱可塑性樹脂シートの一部が付着することや、反り矯正駆動ロールからの剥離時に熱可塑性樹脂シートに跡(剥離マーク)が残り、残留位相差が大きくなることを抑制できる。そのため、熱可塑性樹脂シートのシート反りを小さくしつつ、残留位相差を小さくできる。一方で、前記のような被覆膜を設けられた反り矯正駆動ロールを用いる場合には、熱可塑性樹脂シートおよび反り矯正駆動ロールの間の摩擦係数が低くなる。そのため、反り矯正駆動ロールの速度を変更しても、反り矯正駆動ロールの上流側のシート張力を変更できなくなる。しかし、本発明においては、反り矯正駆動ロールの下流側に駆動ピンチロールが配置されている。そして、この駆動ピンチロールの速度を制御しながら、熱可塑性樹脂シートを引取ることにより、金属製ベルトから駆動ピンチロールまでの間のシート張力を制御できる。そのため、反り矯正駆動ロールの上流側のシート張力も制御できる。
このようにして、本発明によれば、残留位相差が小さく、かつシート反りが小さい熱可塑性樹脂シートを安定して製造できる。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置においては、前記反り矯正駆動ロールおよび前記駆動ピンチロールの間に、荷重検出器を備えたガイドロールを備えることが好ましい。
このような場合、前記荷重検出器で検出した荷重が所定範囲内となるように、前記駆動ピンチロールの速度を制御するピンチロール速度制御手段を備えることが好ましい。
この発明においては、荷重検出器により、反り矯正駆動ロールおよび駆動ピンチロールの間において熱可塑性樹脂シートにかかる荷重を検出できる。そして、この検出値に基づいて、ピンチロール速度制御手段により駆動ピンチロールの速度を制御することで、金属製ベルトから駆動ピンチロールまでの間において熱可塑性樹脂シートにかかる荷重を所定範囲内に制御できる。そのため、金属製ベルトから駆動ピンチロールまでの間のシート張力を所定範囲内に制御でき、熱可塑性樹脂シートのシート反りを小さくしつつ、残留位相差を小さくできる。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置においては、前記ピンチロール速度制御手段は、前記荷重検出器で検出した荷重から算出されるシート張力を0.5MPa以下に制御することが好ましい。
この発明においては、シート張力を特定の値以下としたので、熱可塑性樹脂シートのシート反りを小さくしつつ、残留位相差を小さくできる。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置においては、前記反り矯正駆動ロールの表面近傍のシート速度を検出するシート速度検出器と、前記シート速度検出器で検出したシート速度と前記反り矯正駆動ロールの速度とが同調するように、前記反り矯正駆動ロールの速度を制御する反り矯正ロール速度制御手段と、を備えることが好ましい。
この発明においては、シート速度検出器により、反り矯正駆動ロールの表面近傍のシート速度を検出できる。そして、この検出値に基づいて、反り矯正ロール速度制御手段により反り矯正駆動ロールの速度を制御することで、シート速度検出器で検出したシート速度と反り矯正駆動ロールの速度とを同調させることできる。このようにして、反り矯正駆動ロールにて反りを矯正する際に、熱可塑性樹脂シートに傷が発生することを抑制できる。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置においては、前記反り矯正駆動ロールの表面の温度を(Tg−10℃)以上(Tg+80℃)以下に制御することが好ましい。
この発明においては、反り矯正駆動ロールの表面の温度が所定温度以上であることにより、熱可塑性樹脂シートのシート反りが十分に矯正できる。また、反り矯正駆動ロールの表面の温度が所定温度以下であることにより、反り矯正駆動ロールの表面に熱可塑性樹脂シートの一部が付着することをより確実に防止することができ、外観性が低下することを防止することができる。さらに、反り矯正駆動ロールからの剥離時に熱可塑性樹脂シートに跡が残り、残留位相差が大きくなることをより確実に防止することができる。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置においては、前記反り矯正駆動ロール上のシート温度を制御する手段を備えることが好ましい。
この発明においては、反り矯正駆動ロール上のシート温度を制御する手段により、熱可塑性樹脂シートの反りが矯正されやすくなり、また、反り矯正駆動ロールの表面に熱可塑性樹脂シートの一部が付着するなどの不都合を防止することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置は、前記反り矯正駆動ロールに接触する側にポリメチルメタクリレート層を有する熱可塑性樹脂シートを製造する装置であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置によれば、残留位相差が小さく、かつシート反りが小さい熱可塑性樹脂シートを得られる。そのため、反り矯正に関して適正な温度条件において、ロールに対し強い粘着性を有するポリメチルメタクリレート層を備える熱可塑性樹脂シートを、安定して製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法は、表面が弾性材で被覆された第一の冷却ロールと、第二の冷却ロールとの間に巻回され表面が鏡面の金属製ベルトと、前記金属製ベルトを介して前記第一の冷却ロールと対向配置された第三の冷却ロールと、を備える製造装置を用いて、押出機に取り付けられたダイから溶融状態の熱可塑性樹脂を押出して、前記金属製ベルトおよび前記第三の冷却ロール間に導入させた後、前記金属製ベルトで搬送しつつ冷却して前記金属製ベルトから剥離させることで熱可塑性樹脂シートを形成する、熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、前記金属製ベルトから剥離させた熱可塑性樹脂シートの反りを反り矯正駆動ロールにより矯正する矯正工程と、前記反り矯正駆動ロールの下流側に配置された駆動ピンチロールにより前記熱可塑性樹脂シートを引取る引取工程と、を備え、前記反り矯正駆動ロールの表面には、非粘着性の被覆膜が設けられ、前記被覆膜は、テープ剥離力が1N以下であり、鉛筆硬度が9H以上であり、表面粗さRzが0.8μm以下であり、耐熱性が200℃以上であり、膜厚が5μm以下であるという条件を満たすことを特徴とする方法である。
本発明においても、前記熱可塑性樹脂シートの製造装置と同じ作用効果を奏することができる。なお、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法においても、前記熱可塑性樹脂シートの製造装置について記載した内容を適用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂シートは、前記熱可塑性樹脂シートの製造方法により得られるものであることを特徴とするものである。
前記熱可塑性樹脂シートの製造方法によれば、残留位相差が小さく、かつシート反りが小さい熱可塑性樹脂シートが得られる。
本発明の実施形態にかかる熱可塑性樹脂シートの製造装置を示す概略構成図である。 シート反りの評価における測定箇所を示す説明図である。
図1を参照して本実施形態に係る熱可塑性樹脂シート(以下、「シート」と略記する)の製造装置および製造方法、およびそれらにより得られたシートについて説明する。
先ず、本実施形態のシートの製造装置の構成を説明する。
[実施形態]
この製造装置1は、図1に示すように、押出機のダイ10と、第一の冷却ロール11と第二の冷却ロール12と第四の冷却ロール14との間に巻装された金属製ベルト15(以下、「ベルト15」と略記する)と、シート30およびベルト15を介して第一の冷却ロール11と対向配置された第三の冷却ロール13と、を備えている。
第一の冷却ロール11の下方には、第四の冷却ロール14が配置されており、第四の冷却ロール14と略同じ高さ位置には、第二の冷却ロール12が配置されている。第三の冷却ロール13は、第一の冷却ロール11と略同じ高さ位置で対向配置されている。第三の冷却ロール13は、シート30とベルト15を介して第一の冷却ロール11と接触し、しかもベルト15で第三の冷却ロール13側に押圧されたシート30を抱き込むようにして設けられている。即ち、ベルト15とこのベルト15と接触しているシート30は、第三の冷却ロール13の周面131の一部に巻き付くようにして蛇行している。
製造装置1は、ベルト15および第三の冷却ロール13の間に加わる線圧を制御するニップ圧力制御手段と、第三の冷却ロール13の表面である周面131の温度を制御するロール温度制御手段と、ベルト15の裏面温度を制御するベルト温度制御手段と、をさらに備える。
ここで、周面131は、ベルト15にて搬送されるシート30に当接する面である。ベルト温度制御手段は、第一、第二および第四の冷却ロール11,12、14の周面111、121,141の温度を制御する第二のロール温度制御手段と、ベルト温度調節器16とを有する。これら第二のロール温度制御手段およびベルト温度調節器16により、ベルト15の裏面温度が制御される。
ベルト温度調節器16は、第一および第二の冷却ロール11、12間に配設され、ベルト15を介して周面131に略対向する冷却面161を有する。この冷却面161は、ベルト15と第一の冷却ロール11とが離れる位置からシート30とベルト15とが離れる位置に亘ってベルト15を冷却する。
また、ロール温度制御手段およびベルト温度制御手段は、周面131の温度およびベルト15の温度を(Tg−60℃)以上(Tg+30℃)以下に制御し、かつその温度差を30℃以内に制御することが好ましい。ここで、Tgは熱可塑性樹脂のガラス転移温度である。周面131の温度およびベルト15の温度が(Tg−60℃)未満ではシート30が急冷され挟圧された時に大きい残留位相差を生じる傾向にある。一方、周面131の温度およびベルト15の温度がそれぞれ(Tg+30℃)を越えると、剥離時の張力で位相差ムラや厚みムラが発生しやすくなる傾向にある。また、温度差が30℃を超えると、シート30の表裏の温度差により収縮率に差が生じ、残留位相差が大きくなってしまう場合がある。
ダイ10(Tダイ)は、シート30を押出す押出口101を有する。この押出口101から樹脂がベルト15および第三の冷却ロール13の間に導入されるまでの距離(エアーギャップ)は、200mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、180mm以下である。エアーギャップが200mmを超えると、シート30のバタツキが発生して厚みムラが発生する場合があり、溶融状態のシート30が挟圧(ニップ)される前に冷却され、残留位相差が生じやすくなる傾向にある。
第一から第四の冷却ロール11,12,13、14は、例えば、二重管スパイラル金属ロールである。第三の冷却ロール13の表面粗さRzは、特に限定されないが、例えば0.1μmである。
第一の冷却ロール11は、その表面に弾性材113が被覆されている。この弾性材113としては、フッ素ゴム、ニトリルゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。弾性材113の硬度(JIS K6301 A型に準拠)は、90度以下であることが好ましい。弾性材113の厚さは、3mm以上であることが好ましいが、これに限られない。
第一から第四の冷却ロール11,12,13、14の各中心には、回転軸112、122,132,142が設けられている。製造装置1は、ニップ圧力制御手段を備え、このニップ圧力制御手段は、第三の冷却ロール13の回転軸132を第一の冷却ロール11に対して近接移動または離隔移動させることができる。このような移動により、ベルト15および第三の冷却ロール13間に加わる線圧(ニップ圧力)を所定の圧力に制御する。なお、第一の冷却ロール11の回転軸112を第三の冷却ロール13に対して近接移動または離隔移動させることによりニップ圧力を制御してもよい。
ニップ圧力制御手段により加わるニップ圧力は、300N/cm以下が好ましく、さらに好ましくは、250N/cm以下である。ニップ圧力が300N/cmを超えると、シート30幅方向で部分的にバンク(溶融樹脂溜り)が発生し結果として安定した低位相差のシート30を得ることができない場合がある。
製造装置1は、図1に示すように、反り矯正駆動ロール17と、ガイドロール18と、検出器付ガイドロール19と、駆動ピンチロール20と、をさらに備える。
反り矯正駆動ロール17は、ベルト15に接着したシート30を剥離し、ベルト15から剥離されたシート30の反りを矯正することができる。反り矯正駆動ロール17は、第三の冷却ロール13と所定の間隔を有して配置されている。
反り矯正駆動ロール17の表面には、図1に示すように、非粘着性の被覆膜171が設けられている。
そして、この被覆膜171は、次の条件(i)〜(v)を満たすことが必要である。
(i)テープ剥離力は、1N以下であることが必要である。テープ剥離力が1Nを超える場合には、反り矯正時にシートの一部が密着したり、剥離マークが発生してしまう。なお、テープ剥離力は、0.01N以上であることが好ましい。テープ剥離力は、JIS-Z0237−10「粘着テープ、粘着シート試験方法」に記載の方法(90°引き剥がし粘着力)に準拠して測定できる。
(ii)鉛筆硬度は、9H以上であることが必要である。鉛筆硬度が9H未満では、連続製膜時に経時でロール表面に傷が入り、シート表面に傷が転写してしまう。なお、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に記載の方法に準拠して測定できる。
(iii)表面粗さRzは、0.8μm以下であることが必要である。表面粗さRzが0.8μmよりも粗い場合には、シート表面に傷をつけてしまい、光学分野などへの用途展開ができない。なお、表面粗さRzは、JIS B 0601:2001に記載の方法に準拠して測定できる。
(iv)耐熱性は、200℃以上であることが必要である。耐熱性が200℃よりも低いと、製造装置としては実用に耐えない。
(v)膜厚は、5μm以下であることが必要である。膜厚が5μmを超える場合には、反り矯正駆動ロールの温度伝熱性が悪化し、ロール表面温度の不均一性を招くので好ましくない。なお、膜厚は、0.1μm以上であることが好ましい。
ガイドロール18は、第三の冷却ロール13および反り矯正駆動ロール17の間に配置されている。このガイドロール18の位置を調整することで、反り矯正駆動ロール17でのシート抱き角度を大きくすることができる。
ガイドロール18の表面には、硬質クロムメッキなどが施されている。ガイドロール18の表面粗さRzは、0.8μm以下(より好ましくは0.4μm以下)であることが好ましい。
ガイドロール18は、駆動ロールであっても、駆動のないフリーロールでもよい。
ガイドロール18は、内部を温調してもよい。内部を温調する場合には、ロータリージョイントによる抵抗が増すので、回転荷重を下げるために駆動ロールとすることが好ましい。
検出器付ガイドロール19は、反り矯正駆動ロール17および駆動ピンチロール20の間に配置されている。この検出器付ガイドロール19の荷重検出器では、反り矯正駆動ロール17および駆動ピンチロール20の間において、シート30にかかる荷重を測定できる。なお、この荷重の検出値からシート張力を算出できる。そして、この荷重検出器と、駆動ピンチロール20のピンチロール速度制御手段とはシーケンサーを介して電気的に接続しており、この検出値の情報に基づき速度制御できる。
検出器付ガイドロール19の表面には、硬質クロムメッキなどが施されている。検出器付ガイドロール19の表面粗さRzは、0.8μm以下(より好ましくは0.4μm以下)であることが好ましい。
検出器付ガイドロール19は、駆動ロールであっても、駆動のないフリーロールでもよい。
フリーロールの場合には、製膜中Tg付近まで温度上昇してもその回転荷重が5N未満であること(より好ましくは、1N以下)が好ましい。回転荷重が5N以上の場合には、回転抵抗のためにシート表面に傷が発生しやすくなる傾向にある。
検出器付ガイドロール19は、内部を温調してもよい。内部を温調する場合には、ロータリージョイントによる抵抗が増すので、回転荷重を下げるために駆動ロールとすることが好ましい。
駆動ピンチロール20は、シート30を引取るためのものであり、反り矯正駆動ロール17の下流側に配置されている。
この駆動ピンチロール20は、駆動ピンチロール20の速度を制御するピンチロール速度制御手段(図示しない)を備える。このピンチロール速度制御手段としては、ベクトルインバーターモーターなどにより、高精度で速度を制御可能なものが挙げられる。そして、検出器付ガイドロール19に設けられた荷重検出器で検出した検出値に基づいて、駆動ピンチロール20の速度を制御しながら、シート30を引取ることができる。これにより、ベルト15から駆動ピンチロール20までの間のシート張力を0.5MPa以下に制御できる。その結果、シート30のシート反りを小さくしつつ、残留位相差を小さくできる。
製造装置1は、図1に示すように、反り矯正駆動ロール17の表面近傍のシート速度を検出するシート速度検出器21と、反り矯正駆動ロール17の速度を制御する反り矯正ロール速度制御手段(図示しない)と、をさらに備える。
シート速度検出器21により、反り矯正駆動ロールの表面近傍のシート速度を検出できる。そして、この検出値に基づいて、反り矯正ロール速度制御手段により反り矯正駆動ロールの速度を制御することで、シート速度検出器で検出したシート速度と反り矯正駆動ロールの速度とを同調させることできる。
製造装置1は、図1に示すように、反り矯正駆動ロール17の周面172と対向するように配置された反り矯正ロール上のシート温度制御手段22をさらに備える。
反り矯正駆動ロール17上のシート温度制御手段22としては、例えば、赤外線輻射ヒーターなどのヒーターが挙げられる。このシート温度制御手段22は、500℃までの温度制御が可能なものであることが好ましい。また、反り矯正駆動ロール17との距離調整が可能なものであることが好ましい。
このシート温度制御手段22は、反り矯正駆動ロール17に接触している側のシート表面温度が(Tg−10℃)以上(Tg+80℃)以下の範囲になるまで加熱できる。
このシート温度制御手段22は、シート幅方向に最低三ゾーンの温度制御が可能であることが好ましい。このように三ゾーンの温度制御をすると、シート端部の反りの矯正に有効である。
次に、シート30の製造方法について説明する。
まず、押出機に取り付けられたダイ10の押出口101から溶融状態の熱可塑性樹脂を押出して、ベルト15および第三の冷却ロール13の間に導入させる。このとき、ニップ圧力制御手段により第三の冷却ロール13およびベルト15の間に加わる線圧を300N/cm以下に制御する。また、ロール温度制御手段により周面131の温度を調節するとともに、ベルト温度制御手段によりベルト15の温度を制御する。これにより、周面131の温度と、ベルト15の温度とを(Tg−60℃)以上(Tg+30℃)以下に制御し、かつその温度差を、30℃以内に制御する。
そして、ベルト15でシート30を搬送しつつ冷却してベルト15から剥離させることでシート30を形成する。
次いで、ベルト15から剥離させたシート30は、ガイドロール18を経由して、反り矯正駆動ロール17に送られる。このとき、反り矯正駆動ロール17上のシート温度制御手段22により、反り矯正駆動ロール17の周面172の温度を(Tg−10℃)以上(Tg+80℃)以下に制御する。また、シート速度検出器21により、反り矯正駆動ロール17の表面近傍のシート速度を検出し、シート速度検出器21で検出したシート速度と反り矯正駆動ロール17の速度とを同調させる。このようにして、反り矯正駆動ロール17により、シート30の反りを矯正する。
その後、矯正後のシート30は、検出器付ガイドロール19を経由して、駆動ピンチロール20に引取られる。このとき、検出器付ガイドロール19の荷重検出器は、シート30にかかる荷重を測定する。また、この検出値に基づいて、駆動ピンチロール20の速度を制御することで、シート張力を0.5MPa以下に制御する。以上のようにして、シート30を製造できる。
次に、本実施形態で得られるシート30について説明する。
本実施形態で得られるシート30は、熱可塑性樹脂からなるものであり、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。なお、シート30を多層構造にする方法としては、例えば、ダイ10に複数の押出機を取り付ける方法を採用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートが挙げられる。特に、環状オレフィン系樹脂は熱可塑性を有し、他の熱可塑性透明樹脂、例えばポリカーボネートやポリスチレンなどと比較して、光学異方性が小さく、光弾性係数が小さく、複屈折が生じにくいため、光学分野における種々の用途などに有用である。一方、ポリカーボネートは、ポリスチレンやポリメチルメタクリレートなどと比較して、耐熱性、耐衝撃性に優れているため、薄肉化を求められる光学用途などに有用である。
本実施形態で得られるシート30は、残留位相差が小さく、かつシート反りが小さいものである。
前記したような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)反り矯正駆動ロール17の表面に特定条件を満たす非粘着性の被覆膜171が設けられている。これにより、反り矯正駆動ロール17の表面に、シート30の一部が付着することや、反り矯正駆動ロールからの剥離時にシート30に跡(剥離マーク)が残り、残留位相差が大きくなることを抑制できる。そのため、シート30のシート反りを小さくしつつ、残留位相差を小さくできる。一方で、被覆膜171を設けられた反り矯正駆動ロール17を用いる場合には、シート30および反り矯正駆動ロール17の間の摩擦係数が低くなる。そのため、反り矯正駆動ロール17の速度を変更しても、反り矯正駆動ロールの上流側のシート張力を変更できなくなる。しかし、本発明においては、反り矯正駆動ロール17の下流側に駆動ピンチロール20が配置されている。そして、この駆動ピンチロール20の速度を制御しながら、シート30を引取ることにより、ベルト15から駆動ピンチロール20までの間のシート張力を制御できる。そのため、反り矯正駆動ロール17の上流側のシート張力も制御できる。
(2)反り矯正駆動ロール17および駆動ピンチロール20の間に設けられた検出器付ガイドロール19は荷重検出器を備えているので、反り矯正駆動ロール17および駆動ピンチロール20の間においてシート30にかかる荷重を検出できる。そして、この検出値に基づいて、ピンチロール速度制御手段により駆動ピンチロール20の速度を制御することで、ベルト15から駆動ピンチロール20までの間においてシートにかかる荷重を所定範囲内に制御できる。そのため、ベルト15から駆動ピンチロール20までの間のシート張力を特定の値以下に制御でき、シート30のシート反りを小さくしつつ、残留位相差を小さくできる。
(3)反り矯正駆動ロール17の近傍にはシート速度検出器21が設けられているので、反り矯正駆動ロール17の表面近傍のシート速度を検出できる。そして、この検出値に基づいて、反り矯正ロール速度制御手段により反り矯正駆動ロール17の速度を制御することで、シート速度検出器で検出したシート速度と反り矯正駆動ロール17の速度とを同調させることができる。このようにして、反り矯正駆動ロール17にて反りを矯正する際に、シート30に傷が発生することを抑制できる。
(4)反り矯正駆動ロール17の近傍には反り矯正駆動ロール17上のシート温度制御手段22が設けられているので、シート30の温度を制御できる。
(5)製造装置1によれば、残留位相差が小さく、かつシート反りが小さいシート30を得られる。そのため、適正な反り矯正温度においてロールに対し強い粘着性を有するポリメチルメタクリレート層を備えるシート30を、安定して製造することができる。
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第三の冷却ロール13および反り矯正駆動ロール17の間に配置されているガイドロール18には、荷重検出器を設けない態様を示したが、これに限定されない。ガイドロール18にも荷重検出器を設け、第三の冷却ロール13および反り矯正駆動ロール17の間において、シート30にかかる荷重を測定してもよい。
また、前記実施形態では、第三の冷却ロール13および反り矯正駆動ロール17の間にガイドロール18を設けている態様を示したが、これに限定されず、このガイドロール18を設けない態様としてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
押出機、押出加工条件、ベルト機、第一から第四の冷却ロールおよび反り矯正駆動ロールについて以下に示す。
ベント式単軸押出機A:Φ90mm(L/D=32)、これでポリカーボネート(PC)を押出、ギヤポンプ付。
ベント式単軸押出機B:Φ50mm(L/D=32)、これでポリメチルメタクリレート(PMMA)を押出、ギヤポンプ付。
ポリマーフィルター:リーフディスク型、8インチ16枚、ろ過精度公称20μm、フィードブロック方式でPMMA/PC/PMMAの2種3層に積層。
コートハンガーダイ:1000mm幅、リップ開度2mm。
押出加工条件:
押出機Aシリンダー部;C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7=200/230/260/260/215/215/215℃、
押出機Bシリンダー部;C1/C2/C3/C4/C5/C6=220/220/225/225/205/205℃、
アダプター部;260℃、
ギヤポンプ部;260℃、
ポリマーフィルター部;240℃、
フィードブロック;260℃、
ダイ;260℃、
押出量;押出機A=130kg/h、押出機B=25kg/h、
平均層比;PMMA/PC/PMMA=8/84/8%、
シートの引取り速度;2.6m/min。
ベルト機:ステンレススチールベルト;厚み0.85mm、幅1000mm、ベルト表面粗さRz=0.12μm。
第一の冷却ロール:厚み10mm、JIS−A60°のニトリルゴム(NBR)で被覆されたロール(Φ650mm)。
第二の冷却ロール:二重管スパイラル金属ロール(Φ650mm)。
第三の冷却ロール:表面粗さRz=0.09μmの二重管スパイラルロール(Φ650mm)。
第四の冷却ロール:二重管スパイラル金属ロール(Φ650mm)。
反り矯正駆動ロール:表面には非粘着性の被覆膜(日本フッ素工業株式会社製 硬質系・非粘着コーディング NFX−5131)が設けられている。被覆膜の物性は、次の通り。テープ剥離力は0.5N、鉛筆硬度は9H以上、表面粗さRzは0.6μm、耐熱性は250℃、膜厚は2μm。
次に、シートの製造方法について説明する。
まず、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂(MVR=27cm/10min;300℃、1.2kgf ISO1133(JIS−K7210)、Tg=148℃の出光興産(株)製「タフロン(登録商標)A−1700」)を熱風乾燥機にて110℃、2時間乾燥処理した。ポリメチルメタクリレート樹脂(MFR=8.5 ISO1133(JIS−K7210)、Tg=94℃三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)IRS404)は乾燥せず用いた。
PC樹脂を押出機Aのホッパーに供給し、PMMA樹脂を押出機Bのホッパーに供給し、押出口(ダイリップ)から265℃の溶融状態の溶融積層体樹脂膜を押出した。
押出した溶融積層体樹脂膜を、エアーギャップ125mmで100℃のベルト15と、このベルト15を介して第一の冷却ロール11と対向配置された第三の冷却ロール13(100℃)との間に導入させ350N/cmの線圧で挟圧した。その後、ベルト15で搬送しつつ冷却してベルト15から剥離させた。この際、ベルト温度制御手段によりベルトの裏面から温度制御を実施し、ベルト温度を所定の温度に保った。その後、シート30を、図1に示すガイドロール18、表面の温度が140℃に制御された反り矯正駆動ロール17、検出器付ガイドロール19、および駆動ピンチロール20を通して製膜した。反り矯正駆動ロール17により、実質的に反りがない1mmの厚みのシート30を製造した。なお、検出器付ガイドロール19でのシート張力は0.25MPaに設定した。
得られたシート30について、以下のようにして、平均リタデーション値(位相差の平均値)を測定した。すなわち、測定装置としては、リタデーション測定機器(大塚電子株式会社製「RETS−100」)を用い、回転検光子法によりリタデーション値を測定した。そして、機械方向(MD)に650mmピッチで16点、シート幅方向(機械方向を横断する方向:TD)に50mmピッチで16点、すなわち総n数256点の平均リタデーション値(位相差の平均値)を測定した。
平均リタデーション値は、7.9nmであり、標準偏差は、1.1nmであった。このように、得られたシート30は、残留位相差が小さいことが確認された。
また、得られたシート30について、以下のようにして、シート反りを測定した。すなわち、シート30を機械方向(MD)に150mmの長さで切断し、さらに、シート幅方向(機械方向を横断する方向:TD)に90mmの長さ毎に、切り代を設けつつ切断して試料を得た。なお、切り代は、シート30の片側端部を基準として端から5mmで、試料間では10mmであり、全部で9点の試料(TD位置の中心:50mm、150mm、250mm、350mm、450mm、550mm、650mm、750mm、850mm)を採取した。そして、得られた試料を室温(25℃)にて定盤上に配置し、図2に示す測定箇所における試料および定盤の隙間(単位:mm)をシックネスゲージにて測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2015214025
表1に示す結果からも明らかなように、得られたシート30は、シート反りが小さいこと、並びに、シート全体でのシート反りのバラツキも小さく安定して製造できることが確認された。
[比較例1]
比較例1では、実施例1の反り矯正駆動ロールの表面に、非粘着性の被覆膜に代えて、表面粗さRzが0.6μmの硬質クロムメッキ処理されているものを用いた以外の条件は実施例1と同様にしてシートを作製した。
その結果、140℃の反り矯正ロール温度ではPMMA層が反り矯正駆動ロール17に付着して、TDに剥離マークが発生し外観不良となり、平坦なシートが製膜できなかった。また、得られたシートをクロスニコル下で観察したところ、剥離マークの部分が他の部分と明確にリタデーション値(位相差)が異なっており、実用に供することができるものではなかった。
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造装置により製造できる熱可塑性樹脂シートは、タッチパネルなどの透明電極用基板シートや樹脂製前面板として利用できる。例えば、従来、ガラス/ITO電極として使用されていたものを、熱可塑性樹脂シート/ITO電極に、またアルカリ強化ガラス前面板を熱可塑性樹脂シート前面板に代替して利用できる。
1…熱可塑性樹脂シートの製造装置
10…ダイ
11…第一の冷却ロール
12…第二の冷却ロール
13…第三の冷却ロール
14…第四の冷却ロール
15…金属製ベルト
16…ベルト温度調節器
17…反り矯正駆動ロール
18…ガイドロール
19…検出器付ガイドロール
20…駆動ピンチロール
21…シート速度検出器
22…反り矯正駆動ロール上のシート温度制御手段
30…熱可塑性樹脂シート

Claims (10)

  1. 表面が弾性材で被覆された第一の冷却ロールと、第二の冷却ロールとの間に巻回され表面が鏡面の金属製ベルトと、前記金属製ベルトを介して前記第一の冷却ロールと対向配置された第三の冷却ロールと、を備え、
    押出機に取り付けられたダイから溶融状態の熱可塑性樹脂を押出して、前記金属製ベルトおよび前記第三の冷却ロール間に導入させた後、前記金属製ベルトで搬送しつつ冷却して前記金属製ベルトから剥離させることで熱可塑性樹脂シートを形成する、熱可塑性樹脂シートの製造装置であって、
    前記金属製ベルトから剥離させた熱可塑性樹脂シートの反りを矯正するための反り矯正駆動ロールと、
    前記反り矯正駆動ロールの下流側に配置され、前記熱可塑性樹脂シートを引取るための駆動ピンチロールと、を備え、
    前記反り矯正駆動ロールの表面には、非粘着性の被覆膜が設けられ、
    前記被覆膜は、テープ剥離力が1N以下であり、鉛筆硬度が9H以上であり、表面粗さRzが0.8μm以下であり、耐熱性が200℃以上であり、膜厚が5μm以下であるという条件を満たす
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置において、
    前記反り矯正駆動ロールおよび前記駆動ピンチロールの間に、荷重検出器を備えたガイドロールを備える
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  3. 請求項2に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置において、
    前記荷重検出器で検出した荷重が所定範囲内となるように、前記駆動ピンチロールの速度を制御するピンチロール速度制御手段を備える
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  4. 請求項3に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置において、
    前記ピンチロール速度制御手段は、前記荷重検出器で検出した荷重から算出されるシート張力を0.5MPa以下に制御する
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置において、
    前記反り矯正駆動ロールの表面近傍のシート速度を検出するシート速度検出器と、
    前記シート速度検出器で検出したシート速度と前記反り矯正駆動ロールの速度とが同調するように、前記反り矯正駆動ロールの速度を制御する反り矯正ロール速度制御手段と、を備える
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置において、
    前記反り矯正駆動ロールの表面の温度を(Tg−10℃)以上(Tg+80℃)以下に制御する
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置において、
    前記反り矯正駆動ロール上のシート温度を制御する手段を備える
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂シートの製造装置において、
    前記反り矯正駆動ロールに接触する側にポリメチルメタクリレート層を有する熱可塑性樹脂シートを製造する装置である
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造装置。
  9. 表面が弾性材で被覆された第一の冷却ロールと、第二の冷却ロールとの間に巻回され表面が鏡面の金属製ベルトと、前記金属製ベルトを介して前記第一の冷却ロールと対向配置された第三の冷却ロールと、を備える製造装置を用いて、
    押出機に取り付けられたダイから溶融状態の熱可塑性樹脂を押出して、前記金属製ベルトおよび前記第三の冷却ロール間に導入させた後、前記金属製ベルトで搬送しつつ冷却して前記金属製ベルトから剥離させることで熱可塑性樹脂シートを形成する、熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、
    前記金属製ベルトから剥離させた熱可塑性樹脂シートの反りを反り矯正駆動ロールにより矯正する矯正工程と、
    前記反り矯正駆動ロールの下流側に配置された駆動ピンチロールにより前記熱可塑性樹脂シートを引取る引取工程と、を備え、
    前記反り矯正駆動ロールの表面には、非粘着性の被覆膜が設けられ、
    前記被覆膜は、テープ剥離力が1N以下であり、鉛筆硬度が9H以上であり、表面粗さRzが0.8μm以下であり、耐熱性が200℃以上であり、膜厚が5μm以下であるという条件を満たす
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  10. 請求項9に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法により得られるものであることを特徴とする熱可塑性樹脂シート。
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