自動分析装置10の構成について図1〜図3を参照して説明する。図1は、自動分析装置10の全体構成を示すブロック図である。
[自動分析装置の全体構成]
図1に示すように、自動分析装置10は、分析部24と、駆動制御部25と、データ処理部30と、システム制御部70と、操作部80と、出力部40と、記憶部50とを有する。
〔データ処理部〕
データ処理部30は、演算部31と、データ記憶部32とを有する。演算部31は、分析部24から出力された測定結果を受けて、混合液中の特定物質の濃度を算出処理し、分析データ、検量データ等を作成する。データ記憶部32は、これらのデータを一時的に記憶する。
〔システム制御部〕
システム制御部70は、駆動制御部25と、データ処理部30と、出力部40とを統括して制御する。操作部80は、システム制御部70に対して各種コマンド信号の入力操作等を行う。
〔出力部〕
出力部40は、データ処理部30、操作部80等から受けた情報を、システム制御部70の制御に基づいて印刷出力、表示出力、及び、ネットワーク等を介して外部に出力する。この外部出力は、例えば、表示部41、及び、印刷部42を用いる。出力部40が受ける情報としては、例えば、データ処理部30で生成された各種データ、反応曲線等が挙げられる。また、出力部40が受ける情報としては、操作部80から入力された操作入力の情報が挙げられる。
〔操作部〕
操作部80は、例えば、マウス、キーボード等の独立した操作入力機能を有するものが挙げられる。また、操作部80は、表示部41と組み合わされたものであってもよい。これは、例えば、タッチパネル等の操作入力機能と表示機能とが組み合わされたものである。操作部80は、例えば、直接入力されたものを、自動分析装置10への命令としてシステム制御部70に入力する。また、例えば、表示部41に表示されたボタン等のオブジェクトをマウス等によって選択する。これにより、この操作に対応する命令が、自動分析装置10への命令としてシステム制御部70に入力される。
〔記憶部〕
記憶部50は、データ処理部30、操作部80等から受けた情報を保管する。また、記憶部50は、システム制御部70の制御に基づいて保管された情報を各部に出力する。
〔分析部〕
分析部24は、試料、及び、試薬の各液体を含む混合液を生成し、混合液の成分を測定する。この測定結果は、データ処理部30等に出力される。測定データとしては、例えば、被検データが挙げられる。分析部24は、1つの検体に対して、複数の項目の測定を行う。
(分析部の詳細構成)
図2は、分析部24の構成の詳細、及び、分析部24の制御構成を示す図である。図2を参照して分析部24の構成を詳細に説明する。
試料は、試料容器61に収容されている。試料容器61は、試料搬送手段に載置される。試料搬送手段は、例えば、回転可能な円形状のディスクサンプラ6が挙げられ、試料容器61は、ディスクサンプラ6を構成する回動可能な試料ラック(図示省略)に載置される。また、試料搬送手段は、試料ラックを搬送路上において直線移動させるラックサンプラ(図示省略)が挙げられ、試料容器61は、ラックサンプラ(図示省略)を構成する試料ラックに載置される。
試薬は、試薬容器4に収容されている。試薬容器4は、第1試薬庫2、及び、第2試薬庫3に載置される。試薬容器4には、検体の項目に対し選択的に反応する各種の第1試薬、又は、第1試薬と対の各種の第2試薬が収納される。第1試薬が収容された試薬容器4は、第1試薬庫2に載置され、第2試薬が収納された試薬容器4は、第2試薬庫3に載置される。第1試薬庫2、及び、第2試薬庫3には、回動可能な円形状の試薬ラック1が収納されている。各試薬容器4は、この試薬ラック1に環状に並んで収納されている。また、以下において、第1試薬庫2、及び、第2試薬庫3をまとめて「試薬庫」と呼ぶ場合がある。
反応容器51は、反応庫5に載置される。反応容器51には、試料、及び、試薬が分注される。試料、及び、試薬の分注は、試料プローブ7、第1試薬プローブ8、及び、第2試薬プローブ9により行われる。以下において、第1試薬プローブ8、及び、第2試薬プローブ9をまとめて「試薬プローブ」と呼ぶ場合がある。
反応庫5の外周には、更に撹拌ユニット11、測光ユニット12、及び、洗浄装置13が設けられている。
撹拌ユニット11は、規定の撹拌位置に停止した反応容器51に対し、撹拌動作を行う撹拌部である。撹拌動作とは、反応容器51に分注された試料、及び、試薬(第1試薬、及び、第2試薬。)を撹拌して反応容器51内に混合液を生成させる動作をいう。
測光ユニット12は、測光位置に停止した反応容器51に対し、測定動作を行う測定部である。測定動作とは、反応容器51内に収容された混合液の吸光度を測定する動作をいう。
(洗浄装置)
洗浄装置13は、吸引管120と、供給管121と、供給ポンプ122と、吸引ポンプ123と、閉止弁124と、調整弁125とを有する。洗浄装置13は、規定の洗浄位置に停止した反応容器51に対し、洗浄動作を行う洗浄部である。洗浄動作とは、反応容器51に収容された廃液を吸引し、反応容器51の内壁を洗浄、及び、乾燥させる動作をいう。ここでいう「廃液」とは、測定後の混合液である。以下、この「廃液」と、反応容器51の内壁を洗浄することによって生じる液体とを、まとめて「廃液」という。洗浄装置13の詳細については後述する。
(駆動制御部)
駆動制御部25は、駆動部26と、制御部27と、洗浄装置用駆動部700とを有し、分析部24の各分析ユニットを制御、及び、駆動する。
(制御部)
制御部27は、駆動部26に含まれる各種の駆動部に対し指示を与えることで、この駆動部に対応する分析部24の各分析ユニットの駆動を制御する。
(駆動部)
駆動部26は、試料庫用駆動部104、試料プローブ駆動部105、試薬庫用駆動部204、試薬プローブ駆動部205、及び、反応庫用駆動部304を含む。
試料庫用駆動部104は、制御部27からの指示を受けて、試料搬送機構を駆動する。試料プローブ駆動部105は、制御部27からの指示を受けて、試料プローブ7を駆動する。試薬庫用駆動部204は、制御部27からの指示を受けて、試薬庫を駆動する。試薬プローブ駆動部205は、制御部27からの指示を受けて、試薬プローブ(第1試薬プローブ8、及び、第2試薬プローブ9。)を駆動する。反応庫用駆動部304は、制御部27からの指示を受けて、反応庫5を駆動する。なお、洗浄ユニット用駆動部703、排出処理部701、及び、供給処理部702については、洗浄装置13の説明の中で詳述する。
次に、分析部24において、試料分注動作を行う構成、及び、この動作を制御するための駆動制御部25について説明する。試料分注動作は、試料容器61に収容された試料を反応容器51に分注する動作をいう。この説明において、試料搬送手段をディスクサンプラ6とするが、駆動部26は、試料搬送手段がラックサンプラであっても同様に駆動することができる。
ディスクサンプラ6は、回動可能な試料ラック(図示省略)を備える。この試料ラックには、複数の試料容器61が円周方向に並べた状態で載置されている。この試料ラックは、試料庫用駆動部104により駆動されることで、円周方向に回転する。試料庫用駆動部104は、この試料ラックを回転させることで、複数の試料容器61を順番に規定の試料吸引位置に移動させる。
反応庫5は、前述したように、回動可能なカセット部材(図示省略)を備える。このカセット部材は、反応庫用駆動部304により駆動されることで、円周方向に回転する。反応庫用駆動部304は、カセット部材を回転させることで、複数の反応容器51を順番に規定の試料吐出位置に移動させる。
試料プローブ駆動部105は、試料プローブ7を所定の吸引位置に回動させ、この試料プローブ7を所定の高さ位置(以下、上方位置という。)から作業する高さ位置(以下、作業位置という。)に下降させる。試料プローブ駆動部105は、試料プローブ7を駆動させて規定の試料吸引位置に移動させた試料容器61から試料を吸引させる。吸引された試料は、試料プローブ7の内部に保持される。その後、試料プローブ駆動部105は、試料プローブ7を作業位置から上方位置に上昇させ、規定の試料吐出位置に回動させる。試料プローブ駆動部105は、試料プローブ7を駆動することで、吸引した試料を、規定の試料吐出位置に移動させた反応容器51に吐出させる。
次に、分析部24において、試薬分注動作を行う構成、及び、この動作を制御するための駆動制御部25について説明する。試薬分注動作は、試薬容器4に収容された試薬を反応容器51に分注する動作をいう。
第1試薬庫2は、前述したように、回動可能な試薬ラック1を備える。この試薬ラック1は、試薬庫用駆動部204により駆動されることで、円周方向に回転する。試薬庫用駆動部204は、試薬ラック1を回転させることで、複数の試薬容器4を順番に規定の第1試薬吸引位置に移動させる。
反応庫用駆動部304は、カセット部材(図示省略)を、さらに回転させることで、規定の試料吐出位置において試料が分注された複数の反応容器51を順番に規定の第1試薬吐出位置に移動させる。試薬プローブ駆動部205は、第1試薬プローブ8を規定の第1試薬吸引位置に回動させ、この第1試薬プローブ8を上方位置から作業位置に下降させる。試薬プローブ駆動部205は、規定の第1試薬吸引位置に移動させた試薬容器4から第1試薬を吸引させる。その後、試薬プローブ駆動部205は、第1試薬プローブ8を駆動させて、第1試薬プローブ8を、作業位置から所定位置に上昇させ、規定の第1試薬吐出位置に回動させ、吸引した第1試薬を、規定の第1試薬吐出位置に移動させた反応容器51に吐出させる。
反応庫用駆動部304は、カセット部材(図示省略)を、さらに回転させることで、規定の第1試薬吐出位置において第1試薬が分注された複数の反応容器51を順番に規定の第2試薬吐出位置に移動させる。試薬プローブ駆動部205は、第2試薬プローブ9を第1試薬プローブ8と同様に駆動させることができる。自動分析装置10による測定において第2試薬を使用しない場合には、この動作は省略される。
次に、分析部24において、撹拌動作を行う構成、及び、この動作を制御するための駆動制御部25について説明する。反応庫用駆動部304は、カセット部材(図示省略)を、さらに回転させることで、規定の試薬吐出位置において試薬が分注された複数の反応容器51を順番に規定の撹拌位置に移動させる。ここで、規定の試薬吐出位置とは、規定の第1試薬分注位置、及び、規定の第2試薬分注位置のうちのいずれかである。規定の撹拌位置には、撹拌ユニット11が配されている。撹拌ユニット11は、撹拌装置用駆動部305により駆動されることによって、液体に対して撹拌力を与える。撹拌装置用駆動部305は、例えば、撹拌ユニット11に備えられた図示しない撹拌子に電圧を印加することにより、この撹拌子に接触する液体に対して撹拌力を与える。これにより、撹拌ユニット11は、規定の撹拌位置に停止した反応容器51に収容された試料、及び、第1試薬等を撹拌して、反応容器51内に混合液を生成させる。
次に、分析部24において、測定動作を行う構成について説明する。反応庫用駆動部304は、カセット部材(図示省略)を、さらに回転させることで、混合液が収容された複数の反応容器51を順番に規定の測定位置に移動させる。測定位置には測光ユニット12が配されている。測光ユニット12は、システム制御部70により制御されることで、反応容器51に対し、測定動作を行って、得られた測定データをデータ処理部30に出力する。この測定データを受けたデータ処理部30は、測定データから特定物質の吸光度を特定し、混合液における特定物質の濃度を求める。これにより、混合液に含まれる成分を測定することが可能となる。測定後の混合液は廃液となる。
次に、分析部24において、洗浄動作を行う構成、及び、この動作を制御するための駆動制御部25について説明する。
反応庫用駆動部304は、カセット部材(図示省略)を、さらに回転させることで、廃液が収容された複数の反応容器51を順番に規定の洗浄位置に移動させる。つまり、反応庫用駆動部304は、カセット部材(図示省略)を回転させて、所定の反応容器を、規定の試料分注位置、規定の試薬吐出位置、規定の撹拌位置、及び、規定の測定位置の順に搬送させ、最終的に規定の洗浄位置に搬送する。洗浄位置には洗浄装置13が配されている。
洗浄装置13は、洗浄装置用駆動部700により駆動されることで、反応容器51に対し、洗浄動作を行う。洗浄装置13の詳細構成、及び、洗浄装置用駆動部700による駆動の詳細については後述する。
制御部27は、前述したように、駆動部26に含まれる各駆動部を制御する。制御部27は、さらに、試料を吸引、及び、吐出させるためのポンプ(図示省略)、電磁弁(図示省略)、及び、アクチュエータ(図示省略)を含む各種駆動部を制御する。
制御部27は、駆動部26に含まれる各駆動部を制御するための制御情報を記憶部50に記憶させる。制御部27は、記憶部50から制御情報を読み出し、駆動部26に含まれる各駆動部を制御する。制御部27は、試料プローブ7、試薬プローブ(第1試薬プローブ8、及び、第2試薬プローブ9。)、洗浄装置13を含む各部品の下降及び上昇の各動作を制御する。
(洗浄装置用駆動部)
次に、洗浄装置13の詳細構成、及び、洗浄装置用駆動部700による洗浄装置13の駆動の詳細について図3、及び、図4を参照して説明する。図3は、反応容器51を洗浄するための洗浄装置13の構成の一例を示した図、図4は、洗浄装置13を構成する各洗浄ユニットの洗浄部141の一例を示した図である。
洗浄装置用駆動部700は、洗浄ユニット用駆動部703、排出処理部701、及び、供給処理部702を備えている。
図3に示すように、反応容器51の移動方向の手前側から奥側にわたって複数回の洗浄をするために7つの洗浄位置P1〜P7、及び、乾燥位置P8が設けられている。洗浄装置13による洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51をこの移動方向の手前側にある始端の洗浄位置P1からこの移動方向の奥側にある乾燥位置P8までの間を1つずつ順次移動させる。これにより、位置毎に洗浄動作が規定された洗浄位置P1〜P7、及び、乾燥位置P8に、反応容器51が1サイクル毎に順番に配置されることで、一連の洗浄が行われる。
洗浄装置13は、供給部140と、洗浄部141と、排出部142とを備える。供給部140と、洗浄部141とは、供給流路で接続される。供給部140は、この供給流路を介して洗浄部141に、洗浄液を供給する。洗浄液は、例えば、純水、アルカリ性洗剤、酸性洗剤等が挙げられる。以下、アルカリ性洗剤、及び、酸性洗剤をまとめて「洗剤」という場合がある。洗浄部141は、供給部140から供給された、洗浄液を用いて、各洗浄位置に停止した反応容器51を洗浄する。洗浄部141と排出部142は、供給部140と独立した排出流路で接続される。排出部142は、この排出流路を介して反応容器51に収容された廃液を反応容器51から排出する。
図4に示すように、洗浄部141は、洗浄位置P1〜P7、及び、乾燥位置P8に停止した反応容器51をそれぞれ洗浄、乾燥する洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hを備える。図5に示すように、洗浄ユニット13A、洗浄ユニット13D、洗浄ユニット13E、及び、洗浄ユニット13Fは、それぞれ同様な構成を有する。また、洗浄ユニット13B、及び、洗浄ユニット13Cは、それぞれ同様な構成を有する。
洗浄ユニット13A、及び、洗浄ユニット13D〜13Fは、2本のノズルから構成されるノズルユニット130を備える。ノズルユニット130は、吸引ノズル1301と吐出ノズル1302とを備え、これらが並列に並んでいる。これらは、それぞれ、吸引管120、供給管121に相当する。吸引ノズル1301、及び、吐出ノズル1302は、ともに、両端に開口を有する直円筒形状を有し、一方の端部が保持部1303に保持される。ノズルユニット130は、洗浄処理において反応容器51内に液体を貯留する洗浄ユニットに設けられる。ノズルユニット130は、例えば、「2本ノズル」と呼ばれる。この場合、洗浄ユニット13Aに備えられた、吸引ノズル1301は第1の吸引ノズル、及び、吐出ノズル1302は第1の供給ノズルに相当する。洗浄ユニット13D〜13Fに備えられた、吸引ノズル1301は第2の吸引ノズル、及び、吐出ノズル1302は第2の供給ノズルに相当する。
ノズルユニット130の上端部は、保持部1303により保持されている。保持部1303は、ノズルユニット130の上端部の開口に流路が接続可能なように、ノズルユニット130を保持する。これにより、吸引ノズル1301の上端部の開口が、タンク134Dに連通する排出流路に接続され、吐出ノズル1302の上端部の開口が、それぞれの洗浄ユニットに対応する供給流路に接続される。吸引ノズル1301の下端部は吸引口1301a、吐出ノズル1302の下端部は吐出口1302aとなる。吸引ノズル1301は、吐出ノズル1302よりも長く形成される。そのため、ノズルユニット130において、吸引口の位置は、吐出口の位置よりも下方となる。例えば、反応容器51内に溜まった廃液を、下降移動する吸引ノズル1301により吸引する場合、吸引口1301aと吐出口1302aとの間の位置で、この廃液を吸引することができる。このとき、吸引口1301aは吐出口1302aよりも下方に設けられているので、吐出口1302aがこの廃液の液面に接触して汚染されることがない。その結果、反応容器51内に溜まった廃液を吸引しつつも、吸引位置よりも上方から反応容器51内に液体を供給するとき、この液体が廃液によって汚染されることを少なくすることができる。ここで、液体とは、洗浄液、濯ぎ液を含む(以下同様である。)。
洗浄ユニット13Bは、シャワーノズル131を備える。シャワーノズル131は、吸引ノズル1311を取り囲むようにして吐出ノズル1312が形成された二重ノズルである。シャワーノズル131を構成する吸引ノズル1311、及び、吐出ノズル1312は、ともに、両端に開口を有する直円筒形状を有し、吐出ノズル1312の外周直径は、吸引ノズル1311の外周直径よりも小さい。吸引ノズル1311、及び、吐出ノズル1312は、それぞれ両端に開口を有する直円筒形状を有し、一方の端部が保持部1313に保持される。シャワーノズル131は、洗浄処理において反応容器51内に液体を貯留せずに、その内壁を洗浄する洗浄工程を有する洗浄ユニットに設けられる。この場合、吸引ノズル1311は第1の吸引ノズル、及び、吐出ノズル1312は第1の供給ノズルに相当する。
保持部1313は、各ノズルの上端部の開口に流路が接続可能に、シャワーノズル131を保持する。これにより、吸引ノズル1311の上端部の開口が、タンク134Dに連通する排出流路に接続され、吐出ノズル1312の上端部の開口が、それぞれの洗浄ユニットに対応する供給流路に接続される。吸引ノズル1311の下端部は吸引口1311a、吐出ノズル1312の下端部は吐出口1312aとなる。吸引ノズル1311は、吐出ノズル1312よりも長く形成される。このため、シャワーノズル131において、吸引口は、吐出口よりも鉛直下方の位置となる。そのため、シャワーノズル131において、吸引口1311aの位置は、吐出口1312aの位置よりも下方となる。例えば、反応容器51内に溜まった廃液を、下降移動する吸引ノズル1311により吸引する場合、吸引口1311aと吐出口1312aとの間の位置で、この廃液を吸引することができる。このとき、吸引口1311aは吐出口1312aよりも下方に設けられているので、吐出口1312aがこの廃液の液面に接触して汚染されることがない。これにより、反応容器51内に溜まった廃液を吸引しつつも、吸引位置よりも上方から反応容器51内に洗浄液を供給するとき、この液が廃液によって汚染されることを少なくすることができる。
また、シャワーノズル131は、例えば、吸引ノズル1311と吐出ノズル1312とが同軸に設けられて構成される。また、吐出口1312aは、シャワーノズル131の外側に斜め吐出が可能なように形成される。そのため、吐出口1312aから吐出される洗浄液は、鉛直下方に向かうに従って傘状に拡がる。これにより、シャワーノズル131は、反応容器51の内壁に直接洗浄液を当てることができる。また、シャワーノズル131は、反応容器51の内壁において所定の高さの位置に洗浄液を当てることができる。このとき、シャワーノズル131は、洗浄ユニット用駆動部703により所定の位置に停止させられる。また、このとき、シャワーノズル131には、供給処理部702により所定の流量、所定の圧力の洗浄液が供給される。吐出口1312aから噴射された洗浄液は、反応容器51の内壁に対して所定の角度をなす。この角度は、シャワーノズル131に供給される洗浄液の流量、圧力によって設定することができる。
洗浄ユニット13Gは、吸引ノズル132を備える。吸引ノズル132は、両端に開口を有する直円筒形状を有し、一方の端部が保持部1323に保持される。保持部1323は、上端部の開口に流路が接続可能に保持する。これにより、吸引ノズル132の上端部の開口が、タンク134Eに連通する排出流路に接続される。吸引ノズル1301の下端部の開口は吸引口132aとなる。
乾燥ユニット13Hは、ノズル1331の下端部に乾燥チップ1332が備えられた吸引乾燥ユニット133を備えている。ノズル1331は、例えば、両端に開口を有する筒形状を有し、上端部が保持部1333に保持される。保持部1333は、ノズル1331の上端部の開口に流路を接続可能なようにノズル1331を保持する。これにより、ノズル1331の上端部が、排出流路に接続される。ノズル1331の側面のうち乾燥チップ1332が備えられている部分に複数の吸引孔(図示省略)が設けられている。
洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示に基づいて、各洗浄ユニットを所定位置と作業位置との間で上昇、及び、下降させる。洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hを、例えば、それぞれ独立に上昇、及び、下降させることができる。また、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hを、例えば、一律に上昇、及び、下降させることができる。制御部27は、洗浄ユニット用駆動部703に同期制御を指示することで、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hを一律に動作させることができる。洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄部用駆動部に相当する。
また、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hの各保持部が連結されて構成されており、洗浄ユニット用駆動部703が、この保持部を上昇、及び、下降させることで、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hを一律に動作させることができる。これら洗浄ユニット等を一律に動作させる場合、各洗浄ユニットにおける吸引口(吸引口1301a、1312a、及び、132a。)の鉛直方向位置と、乾燥ユニット13Hの乾燥チップ1332の底部の鉛直方向位置とが同じ位置となる。これにより、各洗浄位置での洗浄動作、及び、乾燥位置での乾燥動作を同時に行うことができ、これら動作を同時に終了させることができる。洗浄動作、及び、乾燥動作を同時に終了させることで、複数の反応容器51を、同時に次の洗浄位置、又は、乾燥位置に移動させることができる。
洗浄ユニット用駆動部703の構成は、各洗浄ユニットに備えられた各吸引口を上方位置と液面近傍位置との間を往復移動させるように、各洗浄ユニット、及び、乾燥ユニット13Hを昇降移動させる。例えば、図示しない生成部は、制御部27の指示を受け、予め定められたパルス数n、及び、各洗浄ユニットを移動させる予め定められた距離sから、所要時間tを求める。距離sは、例えば、各吸引口を上方位置と液面近傍位置との間の距離である。制御部27は、所要時間tを制御情報として、記憶部50に記憶させる。洗浄ユニット用駆動部703は、パルス数nと所要時間tとから、距離sの範囲で上昇及び下降させることができる。各洗浄ユニットに備えられた各吸引口の鉛直方向における位置が同じであって、各洗浄ユニットが一律動作する場合、洗浄ユニット用駆動部703は、各洗浄ユニットを、所定距離sの範囲で上昇及び下降させることができる。
供給部140は、純水が収容されたタンク134Aと、アルカリ性洗剤が収容されたタンク134Bと、酸性洗剤が収容されたタンク134Cとを備える。これらタンクと、対応する洗浄ユニット(洗浄ユニット13A〜13F。)の供給側の接続部とが供給流路で接続される。洗浄ユニットの供給側の接続部は、この洗浄ユニットに備えられた吐出ノズルと連通可能に接続されている。供給部140は、洗浄液供給手段を有する。洗浄液供給手段は、これらタンクから供給流路を介して対応する洗浄ユニットに洗浄液を供給する。供給処理部702は、洗浄液供給手段を制御して、これらタンクから対応する洗浄ユニットへ洗浄液を供給させる。洗浄液供給手段は、例えば、洗浄液を反応容器51内に供給するためのポンプ、電磁弁、及び、アクチュエータ等が挙げられる。
タンク134Aは、洗浄用、及び、濯ぎ用の純水を貯蔵する。つまり、純水は、洗浄液としての機能と、濯ぎ液としての機能を有する。タンク134Aは、供給流路を介して洗浄ユニット13A、洗浄ユニット13D、洗浄ユニット13E及び洗浄ユニット13Fの供給側の接続部にそれぞれ接続される。この供給流路には、純水供給用ポンプ135A(図において「P」と表す。)が少なくとも備えられ、必要に応じて、閉止弁136A(図において「GV」と表す。)、及び、流量調整弁137A(図において「CV」と表す。)が備えられている。これらは、それぞれ供給ポンプ122、閉止弁124、及び、調整弁125に相当する。
純水供給用ポンプ135Aは、供給処理部702に駆動されることによりタンク134Aから洗浄ユニット13A、及び、洗浄ユニット13D〜13Fに向けてそれぞれ純水を輸送する洗浄液供給手段の一例である。純水供給用ポンプ135Aは、例えば、洗浄ユニットごとに設けられる。純水供給用ポンプ135Aは、各洗浄ユニットに対し独立に設けられているので、供給処理部702は、純水の供給制御を洗浄ユニットごとに行うことができる。純水の供給制御とは、例えば、洗浄ユニットに純水を供給するタイミング、供給流量、供給時間等が挙げられる。純水供給用ポンプ135Aにより供給流路に供給された純水は、例えば、洗浄ユニット13Aまで到達し、この洗浄液は吐出ノズル1302から反応容器51内に形成された空間に向けて供給される。
また、純水供給用ポンプ135Aは、例えば、複数の洗浄ユニットに対して1つ設けられる場合がある。この場合、純水供給用ポンプ135Aは、1つの供給口と、複数の吐出口とを有する。これら吐出口と各洗浄ユニットの供給側の接続部とが供給流路で接続されることで、これら洗浄ユニットに純水が供給される。この場合、純水供給用ポンプ135Aは、供給処理部702によって、供給流路に対し継続的に洗浄液を供給するように制御される。これら供給流路には、それぞれ独立に制御可能な閉止弁136A、及び、流量調整弁137Aがそれぞれ設けられている。
供給部140が洗浄部141に洗浄液を供給する一例として、タンク134Aから純水供給用ポンプ135Aを介して洗浄ユニット13Aに純水が供給される場合の構成、制御について説明する。以下に説明する構成、制御は、洗浄ユニット13D〜13Fにも同様に適用することができる。
閉止弁136Aは、純水供給用ポンプ135Aの吐出口と、洗浄ユニット13Aの供給側の接続部(図示省略)とを接続する供給流路上に設けられる。閉止弁136Aは、純水供給停止動作と、純水供給動作とを行う洗浄液供給手段の一例である。純水供給停止動作、及び、純水供給動作は、供給処理部702による制御に基づいて行われる。純水供給停止動作は、供給流路の遮断動作であって、閉止弁136Aに設けられた図示しない遮断部(弁体)が動作することで、この遮断部(弁体)が供給流路を完全に塞ぐことをいう。純水供給動作は、供給流路の開放動作であって、供給流路を完全に塞いでいる遮断部(弁体)が動作することで、供給流路を完全に開放することをいう。閉止弁136Aは、遮断動作を行うことによって、供給流路における純水の輸送を、閉止弁136Aが設けられた位置において遮断することができる。閉止弁136Aは、開放動作を行うことによって、閉止弁136Aにより遮断されていた純水を、供給流路を介して洗浄ユニットに供給することができる。
閉止弁136Aは、供給処理部702によって制御可能な電磁弁としての構成を有する。閉止弁136Aは、供給流路の遮断と開放が可能な構成を有するものであればどのようなものであってもよく、例えば、仕切弁、ダイヤフラム弁、ボール弁等の従来公知のバルブを用いることができる。これらバルブの中でも、供給処理部702による制御に対する開閉動作の応答が速いものが選ばれる。このバルブは、例えば、開閉機能を有し、流量調節機能を有しないものである。このとき、バルブの閉動作は遮断動作、開動作は開放動作に対応する。
純水供給用ポンプ135Aが、各洗浄ユニットに向けて連続的に洗浄液を供給している場合、供給処理部702は、閉止弁136Aに対し、吐出口1302aから反応容器51内に供給する純水の供給タイミング、及び、供給時間を制御することができる。
流量調整弁137Aは、純水供給用ポンプ135Aの吐出口と、洗浄ユニット13Aの吐出ノズル1302に繋がる供給口(図示省略)とを接続する供給流路に設けられる。流量調整弁137Aは、この供給流路において閉止弁136Aの下流側に設けられる。流量調整弁137Aは、供給流路内を流れる洗浄液に対する流量調整動作を行う洗浄液供給手段の一例である。流量調整弁137Aは、供給流路内を流れる洗浄液の流量を調整可能に構成されている。閉止弁136Aは、供給流路における流量を制限することにより、供給流路を流れる純水に対して流量調整動作を行う。流量調整動作は、流量調整弁137Aに設けられた図示しない遮断部(弁体)が動作することで、この遮断部(弁体)が流路の一部を塞ぐ。これにより、供給流路断面積を小さくすることができる。流量調整弁137Aは、流量調整動作を行うことによって、例えば、供給流路において流れる洗浄液の流量を流量調整弁137Aにおいて調節することができる。
流量調整弁137Aは、供給処理部702によって制御可能な電磁弁としての構成を有する。流量調整弁137Aは、供給流路内を流れる純水の流量を調整可能な構成を有するものであればどのようなものであってもよく、例えば、絞り弁等の従来公知のバルブ、従来公知の流量調整装置等を用いることができる。流量調整弁137Aは、これら挙げた中で、供給処理部702による制御に対し、純水の供給確度が高いものが選ばれる。純水の供給確度が高いとは、供給処理部702で設定された流量と、実際に吐出ノズル1302から洗浄位置に停止した反応容器51内に供給される純水の流量との差が小さいものである。
純水供給用ポンプ135Aが、各洗浄ユニットに向けて連続的に洗浄液を供給している場合、供給処理部702は、流量調整弁137Aに対し、吐出ノズル1302から洗浄位置P1に停止した反応容器51に供給される純水の流量を制御することができる。
さらに、制御部27は、図示しない計時部を備えており、この計時部は、供給部140において、純水供給用ポンプ135Aが駆動中に閉止弁136Aが「開」となっている時間を計測する。この計時部で計測された時間と、流量調整弁137Aの開度とによって、洗浄位置P1に載置された反応容器51に供給された純水の液量を知ることができる。
このように、供給処理部702は、閉止弁136Aに対して、各洗浄位置に停止した反応容器51内に供給される純水の供給タイミング、及び、供給時間を制御する。さらに、供給処理部702は、流量調整弁137Aに対し、各洗浄位置に停止した反応容器51内に供給される純水の流量を制御する。供給処理部702は、純水の供給時間と流量と適宜制御することで、供給処理部702は、所望の液量の純水を各停止位置に停止した反応容器51内に供給することができる。また、閉止弁136A、及び、流量調整弁137Aが設けられる位置を洗浄ユニットの近傍とすることで、これら弁と洗浄ユニットとの距離が短くなる。これにより、洗浄ユニットに対する純水の供給制御を純水供給用ポンプ135Aで行う場合と比較して、供給流路を形成する管による圧力損失を最小限とすることができ、純水の供給確度を高くすることができる。さらに、閉止弁136Aと洗浄ユニットとの距離が短いので、吐出ノズル1302による純水供給の応答速度を高くすることができる。
タンク134Bは、洗浄用のアルカリ性洗剤を貯蔵する。タンク134Bは、供給流路を介して洗浄ユニット13Bに接続される。この供給流路には、アルカリ性洗剤供給用ポンプ135B(図において「P」と表す。)が少なくとも備えられ、必要に応じて、閉止弁136B(図において「GV」と表す。)、及び、流量調整弁137B(図において「CV」と表す。)が備えられている。
アルカリ性洗剤供給用ポンプ135B、閉止弁136B、及び、流量調整弁137Bは、純水をアルカリ性洗剤に読み替えて、純水供給用ポンプ135A、閉止弁136A、及び、流量調整弁137Aと同様に構成することができる。また、これらは、前記同様、供給処理部702で制御される。
タンク134Cは、洗浄用の酸性洗剤を貯蔵する。タンク134Cは、供給流路を介して洗浄ユニット13Cに接続される。この供給流路には、酸性洗剤供給用ポンプ135C(図において「P」と表す。)が少なくとも備えられ、必要に応じて、閉止弁136C(図において「GV」と表す。)、及び、流量調整弁137C(図において「CV」と表す。)が備えられている。
酸性洗剤供給用ポンプ135C、閉止弁136C、及び、流量調整弁137Cは、純水を酸性洗剤に読み替えて、純水供給用ポンプ135A、閉止弁136A、及び、流量調整弁137Aと同様に構成することができる。また、これらは、前記同様、供給処理部702で制御される。
排出部142は、高濃度の廃液を貯蔵するタンク134Dと、低濃度の廃液を収容するタンク134Eを備える。排出部142は、廃液輸送手段を有する。廃液輸送手段は、各洗浄ユニットで吸引された廃液をタンク134D、及び、タンク134Eのいずれか一方もしくは両方に輸送する。排出処理部701は、廃液輸送手段を制御して、各洗浄位置に停止した反応容器51から廃液を吸引させ、タンク134D等にこの廃液を輸送させる。廃液輸送手段としては、例えば、廃液を反応容器51内から外部に排出するためのポンプ等が挙げられる。
タンク134Dと、洗浄ユニット13A〜13Fの排出側の接続部とが排出流路で接続される。この排出流路には、廃液排出用ポンプ138A(図において「P」と表す。)が備えられている。洗浄ユニットの排出側の接続部は、この洗浄ユニットに備えられた吸引ノズルと連通可能に接続されている。廃液排出用ポンプ138Aは、吸引ポンプ123に相当する。
廃液排出用ポンプ138Aは、供給処理部702によって駆動されることにより、洗浄位置に停止した反応容器51に収容された廃液を吸引して、この廃液をタンク134Dに向けて輸送する。廃液排出用ポンプ138Aは、例えば、洗浄ユニットごとに独立して設けられてもよいし、複数の洗浄ユニットに対して1つ設けられてもよい。
廃液排出用ポンプ138Aが、各洗浄ユニットに対し独立に設けられている場合、供給処理部702が、廃液排出用ポンプ138Aをそれぞれ制御することで、廃液の排出制御を洗浄ユニットごとに行うことができる。廃液排出用ポンプ138Aが、複数の洗浄ユニットに対して1つ設けられている場合、廃液の排出制御は複数の洗浄ユニットに対し一律に行われるが、例えば、以下に示すような構成とすることで廃液の排出制御を洗浄ユニットごとに行うことができる。廃液排出用ポンプ138Aと各洗浄ユニットを接続する排出流路のそれぞれに、図示しない閉止弁を設ける。この場合、廃液排出用ポンプ138Aは、タンク134Dに向けて連続的に廃液を輸送する。この閉止弁は供給処理部702により制御可能な構成を有しており、供給処理部702は、この閉止弁を開閉制御することで、廃液の排出制御を洗浄ユニットごとに行うことができる。廃液排出用ポンプ138Aにより、反応容器51から吸引された廃液は、タンク134Dに到達し貯蔵される。
タンク134Eと、洗浄ユニット13G、及び、乾燥ユニット13Hと、洗浄ユニットの接続部とが排出流路で接続される。この排出流路には、廃液排出用ポンプ138B(図において「P」と表す。)が備えられている。洗浄ユニット13Gの接続部は、洗浄ユニット13Gに備えられた吸引ノズルと連通可能に接続されている。乾燥ユニット13H洗浄ユニットの接続部は、乾燥ユニット13Hに備えられた吸引孔と連通可能に接続されている。
廃液排出用ポンプ138Bは、廃液排出用ポンプ138Aと同様な構成を有する。供給処理部702は、廃液排出用ポンプ138Bを、廃液排出用ポンプ138Aと同様に駆動することができる。
また、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hにおける廃液の排出動作を、1つの廃液排出用ポンプにより行ってもよい。この場合、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hから、この廃液排出用ポンプにより廃液が一括に吸引され、タンクに貯蔵される。
[自動分析装置の動作]
以下、この実施形態に係る自動分析装置10の動作例について説明する。自動分析装置10は、洗浄装置13において、反応容器51を洗浄する場合、反応容器51内壁に触れる洗浄液の位置に対し、反応容器51に溜まる濯ぎ液の液面の位置を高くするように駆動制御部25、及び、洗浄装置13を構成した。これにより、反応容器51の内壁において、廃液の表面張力による液上がりを低く抑えることができる。ここで、「液上がり」とは、反応容器51に貯留された液体の表面張力等の作用により、この液体が、反応容器51の内壁をせり上がることをいう。また、「液上がりする」を「液がせり上がる」ともいう。さらに、濯ぎ液の液面の位置を、反応容器51の管壁に沿って廃液がせり上がっていると思われる位置よりも高い位置としたので、廃液による汚れが反応容器51の内壁に残留することを少なくすることができる。この液上がりは、例えば、反応容器51の内壁と液体との間の表面張力の作用、反応容器51の内壁に対して衝突する噴流による作用等によって生じる。
記憶部50は、以下で説明する処理例のフローの各ステップに対応したプログラムを予め記憶する。システム制御部70、駆動制御部25等が内蔵するCPUは、記憶部50に記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムに対応した処理を実行することにより、各フローの処理を実現する。
上述したように、供給部140、洗浄部141、及び、排出部142が動作することで、洗浄位置P1〜P7に停止した反応容器51は洗浄され、乾燥位置P8に停止した反応容器51は乾燥される。反応庫用駆動部304は、1サイクルの洗浄動作毎に、反応容器51を所定時間毎に前の洗浄位置から次の洗浄位置に移動させる。1サイクルの洗浄動作とは、各洗浄位置において各プローブが下降移動、及び上昇移動する一連の洗浄動作をいう。この所定時間は、洗浄位置P1〜P7に停止した反応容器51が、これら位置に戻ってくるまでに要する時間である。つまり、反応庫5が1回転するのに要する時間である。反応庫5では、所定時間は、例えば、16〜20秒となる。また、洗浄装置13では、測定が終了した混合液を収容する反応容器51の洗浄、及び、乾燥には8サイクルを要する。つまり、反応容器51は、洗浄位置P1〜P7、及び、乾燥位置P8において1サイクルごとに洗浄動作、及び、乾燥動作が行われる。
図5〜7は、各反応容器に供給された洗浄液による一連の洗浄動作を示した図である。図5〜7に示すように、洗浄装置13は、各洗浄位置に停止した反応容器51に対し、洗浄、乾燥動作を行う。
以下、1つの洗浄対象である反応容器51に対する各サイクルにおける洗浄過程、及び、乾燥過程を説明する。ステップで表される各サイクルにおける洗浄過程、及び、乾燥過程は、例えば、各洗浄ユニットが一律動作することで、各洗浄位置、及び、乾燥位置において同時に行われる。また、各洗浄ユニットが一律動作することで、各洗浄位置、及び、乾燥位置において各サイクルにおける洗浄過程、及び、乾燥過程が同時に終了する。これにより、この終了と同時に、反応容器51を、次の洗浄位置、又は、乾燥位置に移動させることができる。
洗浄位置P1において、洗浄ユニット13Aは、反応容器51に対して、1サイクル目の洗浄処理を行う。これをサイクル1の洗浄動作と呼ぶ場合がある。サイクル1の洗浄動作が終了すると、反応容器51は洗浄位置P2に移動する。洗浄位置P2において、洗浄ユニット13Bは、洗浄位置P2に移動した反応容器51対して、2サイクル目の洗浄処理を行う。これをサイクル2の洗浄動作と呼ぶ場合がある。サイクル2の洗浄動作が終了すると、反応容器51は洗浄位置P3に移動する。洗浄ユニット13Cは、洗浄位置P3に移動した反応容器51に対して、3サイクル目の洗浄処理を行う。これをサイクル3の洗浄動作と呼ぶ場合がある。サイクル3の洗浄動作が終了すると、反応容器51は洗浄位置P4に移動する。洗浄位置P4において、洗浄ユニット13Dは、洗浄位置P4に移動した反応容器51に対して、4サイクル目の洗浄処理を行う。これをサイクル4の洗浄動作と呼ぶ場合がある。サイクル4の洗浄動作が終了すると、反応容器51は洗浄位置P5に移動する。洗浄位置P5において、洗浄ユニット13Eは、洗浄位置P5に移動した反応容器51対して、5サイクル目の洗浄処理を行う。これをサイクル5の洗浄動作と呼ぶ場合がある。サイクル5の洗浄動作が終了すると、反応容器51は洗浄位置P6に移動する。洗浄位置P6において、洗浄ユニット13Fは、洗浄位置P6に移動した反応容器51対して、6サイクル目の洗浄処理を行う。これをサイクル6の洗浄動作と呼ぶ場合がある。サイクル6の洗浄動作が終了すると、反応容器51は洗浄位置P7に移動する。洗浄位置P7において、洗浄ユニット13Gは、洗浄位置P7に移動した反応容器51対して、7サイクル目の洗浄処理を行う。これをサイクル7の洗浄動作と呼ぶ場合がある。サイクル7の洗浄動作が終了すると、反応容器51は乾燥位置P8に移動する。乾燥位置P8において、乾燥ユニット13Hは、乾燥位置P8に移動した反応容器51対して、8サイクル目の乾燥処理を行う。これをサイクル8の乾燥動作と呼ぶ場合がある。サイクル8の乾燥動作が終了すると、その反応容器51は試料分注位置に搬送され、新たな試料等が分注される。このように、反応容器51は、洗浄位置を順次移動することで、次のサイクルの洗浄に移行する。
次に、洗浄位置P1〜P7における洗浄動作、乾燥位置P8における乾燥動作について説明する。
図5〜7に示す、ステップ1(ステップ1−1〜1−6)は、洗浄装置13による1サイクルの洗浄動作、及び、乾燥動作の詳細を示す。洗浄位置P1における1サイクルの動作は、サイクル1における1サイクルの洗浄動作に対応する。同様に、洗浄位置P2〜P7における1サイクルの動作は、サイクル2〜7における1サイクルの洗浄動作に対応する。同様に乾燥位置P8における1サイクルの動作は、サイクル8における1サイクルの乾燥動作に対応する。
1サイクルの動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応庫5を回動させて、ステップ1−7に示すように、洗浄位置P1〜P7、及び、乾燥位置P8に停止していた各反応容器51を、反応庫5の回動方向に1つずつずれた位置に停止させる。これにより、洗浄位置P1〜P7に停止していた反応容器51は、図7に示す、ステップ2(ステップ2−1)において洗浄位置P2〜P7、及び、乾燥位置P8に停止する。ステップ2には、ステップ1に対応しており、洗浄装置用駆動部700は、洗浄位置が反応庫5の回動方向に1つずつずれた各反応容器51に対し、ステップ1と同様な洗浄動作を1サイクル行う。
このように、各反応容器51に対して、洗浄装置用駆動部700によるステップ1の洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、これら反応容器51を回動方向に1つずつずらした洗浄位置に停止させる。洗浄装置用駆動部700は、これら洗浄位置に停止した各反応容器51に対し、ステップ1の洗浄動作を1サイクル行う。反応庫用駆動部304は、各反応容器51に対するステップ1の洗浄動作が終了するごとに、これら反応容器51を回動方向に1つずつずらして停止させる。その結果、洗浄位置P1に停止していた反応容器51は、反応庫用駆動部304により各洗浄位置P2〜P7に順次移動させられ、これら洗浄位置において洗浄され、最終的に乾燥位置P8に移動させられ、乾燥位置P8において乾燥される。
以下、洗浄装置13、及び、洗浄装置13を駆動するための駆動制御部25の構成を説明する。この説明において、洗浄位置P1〜P7における洗浄動作は、サイクル1〜サイクル7の洗浄動作にそれぞれ対応し、乾燥位置P8における乾燥動作は、サイクル8の乾燥動作に対応する。
反応庫用駆動部304は、反応容器51を所定時間毎に前の洗浄位置から次の洗浄位置に移動させる。これにより、洗浄位置P1〜P7、及び、乾燥位置P8には、洗浄、乾燥サイクル(サイクル1〜サイクル8)が、反応容器51の回動方向に1つずつずれた反応容器51が停止する。つまり、始端の位置である洗浄位置P1には、洗浄装置13による洗浄が行われていない反応容器51が停止するのに対し、終端の位置である乾燥位置P8には、洗浄装置13によるサイクル1〜7の洗浄動作が終了した反応容器51が停止する。
この説明は、サイクル1のステップ1−1において洗浄位置P1に停止している反応容器51を追跡する形態で行う。つまり、この反応容器51に対するサイクル1〜サイクル7の洗浄動作、及び、サイクル8の乾燥動作を、順を追って説明する。
洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27の指示を受け、各洗浄ユニット、及び、乾燥ユニット13Hを予め定められた距離、昇降移動させる。
〔サイクル1〕
サイクル1の洗浄動作(図5〜7に示す、洗浄位置P1における動作)について、ステップ1−1〜2−1の順番に説明する。サイクル1の洗浄動作は、洗浄位置P1で行われる。洗浄位置P1では、反応容器51に収容された第1の廃液Eが洗浄ユニット13Aの吸引口1301aから吸引、及び、排出されると共に、洗浄ユニット13Aの吐出口1302aから反応容器51内に第1の純水が供給される。第1の廃液Eは、測定後の混合液である。
(ステップ1−1)
制御部27からの指示を受けて、反応庫用駆動部304は、反応容器51を所定時間毎に前の洗浄位置から次の洗浄位置に移動させる。洗浄位置P1には、洗浄装置13による洗浄が行われていない反応容器51が停止する。この反応容器51には、測定終了後の混合液である第1の廃液Eが収容されており、反応容器51の内壁には、表面張力により液上がりした第1の廃液Eが付着している。液上がりした第1の廃液Eは、反応容器51の中心軸と交差する第1の廃液Eの液面の高さである位置Bよりも高い位置の内壁に付着する。ここで、「液面の高さ」を液面と反応容器51の中心軸とが交差する位置の高さとし、以下同様とする。位置Bは、反応容器51に分注された液体の液量と、液量と液高との対応情報とに基づいて予め算出され、この算出結果が記憶部50に記憶されている。位置Bは、例えば、反応容器51の底部の位置と頂部の位置との中間の位置とすることができる。ここで、中間の位置とは、中間の位置の近傍の位置を含む。
また、図5に示すように、第1の廃液Eが内壁に付着する位置のうち、最も高い位置を位置Aとする。位置Aは、第1の廃液Eが、反応容器51の内壁に沿ってせり上がった部分LOの高さのうち最高の位置をいう。部分LOは「液上がり部」の一例に相当する。位置Aは、都度、測定で求めることができるが、過去の経験的なデータから求めることができる。このデータは、例えば、記憶部50に記憶されている。一般に、反応容器51に分注される、試料、及び、試薬の量は、ほぼ一定の量であるので、位置Aもほぼ一定の高さを示す。また、検査内容により、試料、試薬等の特性や、量が変わる場合には、その特性毎、量毎に、位置Aを予め算出しておき、この算出結果を採用するようにしてもよい。位置Aは、例えば、反応容器51の濡れ性から、使用する混合液と反応容器51の内壁との接触角度を求めることで算出することができる。容器の内壁をせり上がる所謂毛細管現象は、固液界面の界面張力と、固体の表面張力との差によって求めることができる。固液界面の界面張力が、固体の表面張力より大きければ、内壁面を液体がせり上がることとなる。このとき、液面を上昇する高さhは、反応容器51を円筒容器とすると、例えば、表面張力をT、接触角度をθ、液体の密度をρ、重力加速度g、管の内径をrとして、h=2Tcosθ/ρgrで表される。反応容器51が角筒容器である場合には、底面積をπで割った平方根をrとすることで、液面を上昇する高さhを求めることができる。
また、測定により位置Aを検知する場合、例えば、図示しない撮影部により洗浄位置P1に載置された反応容器51を撮影して比較映像データを取得する。次に、この比較映像データと、予め取得された参照映像との差分をとり、この反応容器51内の第1の廃液Eの分布を検知する。参照映像は、例えば、洗浄位置P1に載置された空の反応容器51の映像である。次に、検知した第1の廃液Eの分布から、第1の廃液Eの最高の位置を検知する。これにより、位置Aを検知することができる。
(ステップ1−2〜1−3)
制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Aを駆動して、吸引口1301aを、反応容器51の上方である上方位置から反応容器51内の底部に近い底部近傍位置に移動させるように、洗浄ユニット13Aを下降移動させる。上方位置と底部近傍位置との距離は、記憶部50に予め記憶されており、制御部27は、この距離に基づいて算出された時間、洗浄ユニット13Aを下降動作させる。このとき、吐出口1302aも底部近傍位置付近に移動させられる。また、制御部27からの指示を受けて、排出処理部701は、排出部142を駆動して反応容器51内の第1の廃液Eを吸引口1301aから吸引し、この第1の廃液Eをタンク134D内に排出する。具体的に、排出処理部701は、廃液排出用ポンプ138Aを駆動させて第1の廃液Eを吸引口1301aから吸引する。吸引された第1の廃液Eは流路によりタンク134Dまで輸送される。
第1の廃液Eの吸引の例について以下に説明する。第1の例として、排出処理部701は、吸引口1301aが最下点である底部近傍位置に達すると洗浄ユニット13Aの下降移動を停止する。排出処理部701は、この停止の後に、反応容器51内の第1の廃液Eを吸引口1301aから吸引することができる。また、第2の例として、洗浄ユニット13Aは、例えば、吸引口1301aを上方位置から底部近傍位置に下降移動させつつ、反応容器51内の第1の廃液Eを吸引口1301aから吸引させることもできる。排出処理部701は、洗浄ユニット13Aを駆動して、吸引口1301aの高さが位置Bに達したとき吸引を開始させる。このとき、洗浄ユニット13Aの下降速度と、吸引口1301aからの吸引速度とを適宜設定することで、洗浄ユニット13Aは、第1の廃液Eの吸引を吐出口1302aが第1の廃液Eの液面に接触させずに行うことができる。吸引速度は、例えば、吸引により反応容器51に収容された第1の廃液Eが下がる速度と比例する。
洗浄ユニット13Aにより第1の廃液Eが排出された後の反応容器51の内壁には第1の廃液Eが付着することで残留する。第1の廃液Eは、反応容器51の内壁のうち、図5に示す位置Aの高さまでの部分に付着している。
(ステップ1−4)
排出処理部701は、吸引口1301aから吸引される第1の廃液Eの流量がほぼ0となると、制御部27に、反応容器51から第1の廃液Eが排出されたことを出力する。制御部27は、排出処理部701からの入力を受けて、洗浄ユニット用駆動部703に洗浄ユニット13Aを上昇移動させるように指示する。洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット13Aを駆動して、吐出口1302aを底部近傍位置付近から上方位置に移動させるように、洗浄ユニット13Aを上昇移動させる。また、制御部27からの指示を受けて、供給処理部702は、供給部140を駆動して、吐出口1302aから反応容器51内に、洗浄液として第1の純水を供給させる。この第1の純水が供給される場合、例えば、供給部140において、純水供給用ポンプ135Aが閉止弁136Aに向けて第1の純水を供給するように駆動し、閉止弁136Aの弁が所望の時間全開となり、流量調整弁137Aが所望の開度となる。これにより、タンク134Aから所望の液量の第1の純水が反応容器51に供給される。
反応容器51内への第1の純水の供給の例について以下に説明する。第1の純水の供給の第1の例として、洗浄ユニット13Aの上昇移動を一旦停止させ後に反応容器51内に第1の純水を供給することが挙げられる。洗浄ユニット用駆動部703は、反応容器51内において吐出口1302aが所定の高さ位置(例えば、位置D)となったときに、洗浄ユニット13Aの上昇移動を一旦停止させる。このとき、供給処理部702は、供給部140を駆動して、吐出口1302aを介して反応容器51に第1の純水を供給させる。所定の高さ位置の情報は、例えば、記憶部50に記憶されており、洗浄ユニット用駆動部703は、この情報から算出された時間、洗浄ユニット13Aを上昇移動させる。供給処理部702は、供給部140を駆動して、吐出口1302aを介して、タンク134Aから、反応容器51内に第1の純水を供給する。洗浄ユニット用駆動部703は、第1の純水を含む第2の廃液W1が、反応容器51において所定の高さ位置まで貯留したとき、洗浄ユニット13Aの上昇移動を再開する。
反応容器51において、第2の廃液W1が所定の高さ位置まで貯留したことを検知する形態を例に挙げて述べる。
第2の廃液W1が所定の高さ位置まで貯留したことを検知する形態の第1の例として、吐出ノズル1302に備えられた、図示しない液面検知機構により、第2の廃液W1の液面を検知することが挙げられる。この液面検知機構は、吐出口1302aに液面が触れることで液面を検知することができる。吐出口1302aから第1の純水が供給されている場合、吐出口1302aに第2の廃液W1が触れることで、この液面検知機構は液面を検知する。このとき、吐出口1302aは、所定の高さ位置にあるので、第2の廃液W1の液面が、反応容器51において所定の高さ位置であることを知ることができる。供給処理部702は、供給部140に対する駆動を、この検知と同時に停止することで、第2の廃液W1を所定の高さ位置まで貯留させることができる。液面検知機構は、静電容量式、電極式等の従来公知の構成を適宜選択することができる。
第2の廃液W1が所定の高さ位置まで貯留したことを検知する形態の第2の例として、供給部140により反応容器51に供給された第1の純水の液量から、反応容器51において貯留する第2の廃液W1の液高を検知することが挙げられる。記憶部50には、反応容器51における液量と液高との対応情報(以下、液量と液高との対応情報という。)、及び、吸引後に反応容器51内に残留する第1の廃液Eの液量の情報が予め記憶されている。また、供給部140により反応容器51に供給された第1の純水の液量は、純水供給用ポンプ135Aが駆動し、閉止弁136Aが「開」となっている時間と、流量調整弁137Aの開度とから算出することができる。反応容器51に貯留する第2の廃液W1の液量は、吸引後に反応容器51内に残留する第1の廃液Eの液量と反応容器51に供給された第1の純水の液量との合計となる。このとき、吸引後に反応容器51内に残留する第1の廃液Eの液量は微量であるので、無視してもよい。制御部27に備えられた図示しない算出部は、反応容器51において液面が所定の高さ位置となる液量を算出する。吸引後に反応容器51内に残留する第1の廃液Eの液量を無視する場合、供給処理部702は、吐出口1302aを介して反応容器51に供給される第1の純水の液量が算出部で算出された液量となるように供給部140を駆動する。供給処理部702は、このように供給部140を駆動することで、第2の廃液W1を所定の高さ位置まで貯留させることができる。この例の場合、反応容器51に第1の純水を供給するときの、吐出口1302aの位置を任意に決めることができるので、例えば、反応容器51に第1の純水を供給するとき、吸引口1301a、及び、吐出口1302aを第2の廃液W1に接触させないようにすることができる。
また、第1の純水の供給の第2の例として、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Aを、吐出口1302aを底部近傍位置付近から上方位置に上昇移動させる。供給処理部702は、この上昇移動の開始とともに供給部140の駆動を開始して、この上昇移動とともに吐出口1302aから反応容器51内に第1の純水を供給させる。第2の廃液W1が所定の高さ位置まで貯留すると、供給処理部702は、供給部140の駆動を停止する。第2の廃液W1が所定の高さ位置まで貯留したことを検知する形態は、上記に挙げた例を適宜用いることができる。このとき、洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301a、及び、吐出口1302aに第2の廃液W1が触れないような速度で、洗浄ユニット13Aの上昇速度を制御する。以下、各液面位置の検出、及び、反応容器51に対する洗浄液の供給は、上記の例に挙げた方法を適宜用いて行うものとする。
反応容器51内に供給された第1の純水は、反応容器51内に残存する第1の廃液Eと混合する。これにより、反応容器51内の位置Dまでの領域に第2の廃液W1が貯留する。反応容器51に第1の純水が供給されているとき、制御部27は、排出部142を駆動して反応容器51内の第2の廃液W1を吸引口1301aから吸引することができる。これにより、反応容器51内の第2の廃液W1に、吐出口1302aから吸引口1301aに至る旋回流が生じる。この旋回流によって、第2の廃液W1が撹拌され、反応容器51の内壁に流れが衝突する。その結果、反応容器51の内壁に付着した第1の廃液Eを効率よく除去することができる。反応容器51に対し、供給部140による第1の純水の供給と、排出部142による第2の廃液W1の排出とが同時に行われている場合、第1の純水の供給量と第2の廃液W1の排出領都の差分の量を、反応容器51における第2の廃液W1の貯留量とする。
第2の廃液W1の液面の高さである位置Dは、位置Aよりも低い位置となる。つまり、第2の廃液W1が反応容器51の内壁上をせり上がるため、このせり上がった第2の廃液の最高位置が位置Aよりも低くなるように第2の廃液の液面の位置Dが設定される。位置Dを、位置Aよりも低い位置とする理由は、反応容器51へ第1の純水が注入されることにより、反応容器51の内壁に付着した第1の廃液Eの高さ位置が変動し、この高さ位置が位置Aを超えてしまうことを防ぐためである。また、反応容器51へ注入された第1の純水自体が反応容器51の内壁をせり上がることで、第1の純水を含む廃液の液面の高さ位置が位置Aを超えてしまうことを防ぐためである。位置Dを、第1の位置とするとき、位置Aは、第2の位置に相当する。
位置Dは、例えば、位置Bと同じ位置とすることができる。また、位置Dは、例えば、位置Bよりも低い位置とすることができる。これら位置Dの情報は、予め記憶部50に記憶されており、供給処理部702は、この情報に基づいて供給部140を駆動する。また、位置Dは、例えば、位置Aに対応しており、位置Aと位置Dとの対応情報が、記憶部50に予め記憶されている。供給処理部702は、位置Aの情報と位置Aと位置Dとの対応情報とに基づいて供給部140を駆動する。
反応容器51の内壁上をせり上がった第2の廃液W1は、反応容器51の内壁に付着した第1の廃液Eと混合して第3の廃液L1となる。第3の廃液L1の廃液濃度は、第1の廃液Eよりも小さく、第2の廃液W1よりも大きい。廃液濃度とは、測定後の混合液の成分が含まれる濃度をいう。また、このステップの洗浄動作は、第1の洗浄部の一例に相当する洗浄ユニット13Aにより行われる第1の洗浄の一例に相当する。また、第3の廃液L1が液上がりするであろう最高の位置は、位置Aよりも低い位置となる。また、第3の廃液L1により形成される部分は、「液上がり部」の一例に相当する。
(ステップ1−5〜1−6)
反応容器51内への第1の純水の供給量が規定の液量に達すると、制御部27は、供給処理部702に対し、供給部140の駆動の停止を指示する。これにより、洗浄装置13による反応容器51への第1の純水の供給が停止する。供給処理部702による供給部140の駆動と、洗浄ユニット用駆動部703による洗浄ユニット13Aの上方移動とが同時に行われている場合、洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301aが上方位置に達すると、洗浄ユニット13Aの上昇移動を停止させる。また、洗浄ユニット用駆動部703が洗浄ユニット13Aの上方移動を停止させてから、供給処理部702による供給部140の駆動が行われた場合、反応容器51内への第1の純水の供給量が規定の液量に達すると、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Aの上方移動を再開させる。同様に、洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301aが上方位置に達すると、洗浄ユニット13Aの上昇移動を停止させる。
(ステップ1−7)
サイクル1において、ステップ1−1〜1−6の処理が行われることにより、サイクル1の洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51を回動方向に移動させる。反応庫用駆動部304は、洗浄位置P1に停止していた反応容器51を、回動方向に1つだけずれた位置である洗浄位置P2に停止(ステップ2−1)させ、この洗浄位置P2で、サイクル2の洗浄動作が行われる。この反応容器51の移動に伴い、洗浄位置P2〜P7に停止していた各反応容器51は、同様に洗浄位置P3〜P8に停止する。洗浄位置P1には、例えば、測定後の混合液が収容された反応容器51が新たに停止し、この反応容器51に対して、同様にサイクル1の洗浄動作が行われる。
反応庫用駆動部304は、洗浄位置P1に停止していた反応容器51を回動方向に移動させる場合、反応庫5を少なくとも1周回動した後に、この反応容器51を洗浄位置P2に停止する。この場合、反応容器51は、内部に第2の廃液W1が貯留された状態で、反応庫5を少なくとも1周回動する。このとき、この回動中の遠心力、振動等によって、第3の廃液L1に第2の廃液W1が接触する。第2の廃液W1の廃液濃度は、第3の廃液L1の廃液濃度よりも低いので、この接触により、反応容器51の内壁に付着した第3の廃液L1が洗浄される。この反応容器51が回動する時間は、例えば、10〜20秒、又は、15〜20秒である。このことは、洗浄位置P2〜P7に停止していた各反応容器51についても同様である。
〔サイクル2〕
サイクル2の洗浄動作(図5〜7に示す、洗浄位置P2における動作。)についてステップ1−1〜2−1の順番に説明する。サイクル2の洗浄動作は、洗浄位置P2で行われる。サイクル2の洗浄動作において、ステップ1−1は、サイクル1のステップ2−1に対応する。洗浄位置P2では、反応容器51に収容された第2の廃液W1が洗浄ユニット13Bの吸引口1311aから吸引、及び、排出されると共に、洗浄液であるアルカリ性洗剤を用いて反応容器51の内部(内壁)が洗浄される。この洗浄は、洗浄ユニット13Bの吐出口1312aから、反応容器51の内壁に向けて傘状にアルカリ性洗剤が噴射されることにより行われる。噴射されたアルカリ性洗剤は、反応容器51の内壁の側壁に沿って底部に達する。このとき、洗浄ユニット13Bの吸引口1311aは底部近傍位置において停止しており、吸引口1311aからアルカリ性洗剤を含む廃液である第4の廃液D1が吸引、及び、排出される。
(ステップ1−1)
制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Bを駆動して、吸引口1311aを反応容器51の上方である上方位置から反応容器51内の底部に近い底部近傍位置に移動させるように洗浄ユニット13Bを下降移動させる。また、制御部27からの指示を受けて、排出処理部701は、排出部142を駆動して反応容器51内の第2の廃液W1を吸引口1301aから吸引し、この第2の廃液W1をタンク134D内に排出する。
第2の廃液W1の排出の第1の例として、排出処理部701は、廃液排出用ポンプ138Aを駆動させて反応容器51内の第2の廃液W1を吸引口1311aから吸引し、この第2の廃液W1をタンク134D内に排出することが挙げられる。このとき、洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301aの位置が最下点である底部近傍位置となるような位置に、洗浄ユニット13Bを停止させる。このとき、制御部27は、排出処理部701に対し、反応容器51内の第1の廃液Eを吸引口1301aから吸引させるよう指示する。
第2の廃液W1の排出の第1の例として、洗浄装置用駆動部700は、吸引口1311aを上方位置から底部近傍位置に下降移動させるように洗浄ユニット13Bを駆動させつつ、反応容器51内の第2の廃液W1を吸引口1311aから吸引させることが挙げられる。制御部27は、下降移動により吸引口1311aの高さが位置Dに達したとき、液体排出動作を排出処理部701に指示する。排出処理部701は、制御部27からの指示を受けて、排出部142を駆動し、第2の廃液W1の吸引を開始する。洗浄ユニット13Bは、そのまま下降移動しながら第2の廃液W1の吸引を継続する。洗浄ユニット13Bは、下降移動により吸引口1311aの高さが最下点である底部近傍位置に達したとき、第2の廃液W1の吸引を停止する。このとき、洗浄ユニット13Bの下降速度と、吸引口1311aからの吸引速度とを適宜設定することで、洗浄ユニット13Aは、第1の廃液Eの吸引を吐出口1302aが第1の廃液Eの液面に接触せずに行うことができる。ここで、吸引速度は、例えば、吸引により反応容器51に収容された第2の廃液W1が下がる速度と比例する。
(ステップ1−2)
洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1311aが最下点である底部近傍位置に達したとき、洗浄ユニット13Bの下降移動を一旦停止させる。洗浄ユニット13Bにより第2の廃液W1が排出された後の反応容器51の内壁には第2の廃液W1と第3の廃液L1とが残留する。第2の廃液W1、及び、第3の廃液L1は、共に反応容器51の内壁に付着している。第2の廃液W1は、反応容器51の内壁のうち、例えば、位置Dの高さまでの部分に付着している。第3の廃液L1は、反応容器51の内壁のうち、位置Dの高さから位置Aの高さまでの部分に付着している。
(ステップ1−3)
次に、供給処理部702は、供給部140を制御して、アルカリ性洗剤を洗浄ユニット13Bに供給させる。洗浄ユニット13Bの吐出口1312aから、反応容器51の内壁に向けて傘状にアルカリ性洗剤が噴射される。このアルカリ性洗剤は、洗浄液として反応容器51に供給される。噴射されたアルカリ性洗剤は、反応容器51の内壁に衝突する。アルカリ性洗剤が、この内壁に衝突する位置(高さ)は位置Cである。位置Cは、例えば、位置Aよりも低い。つまり、アルカリ性洗剤は、反応容器51の内壁において、第1の廃液Eが、反応容器51の内壁上を液上がりするであろう最高の位置よりも低い位置に噴射される。位置Cを、位置Aよりも低い位置とする理由は、反応容器51へアルカリ性洗剤が注入されることにより、反応容器51の内壁に付着した第1の廃液Eの高さ位置が変動し、この高さ位置が位置Aを超えてしまうことを防ぐためである。また、反応容器51へ注入されたアルカリ性洗剤自体が反応容器51の内壁をせり上がることで、アルカリ性洗剤を含む廃液の液面の高さ位置が位置Aを超えてしまうことを防ぐためである。位置Cを、第1の位置とするとき、位置Aは、第2の位置に相当する。
位置Cは、底部近傍位置よりも高い位置とすることができる。つまり、シャワーノズル131は、吸引口1311aが底部近傍位置にあるとき、吐出口1312aの位置が、位置Cよりも高い位置となるように構成される。また、位置Cは、例えば、位置Dよりも高く、位置Bよりも低い。また、位置Cは、例えば、位置B、又は、位置Dと同じ位置としてもよい。また、位置Cに基づいて、アルカリ性洗剤の噴射時における吐出口1312aの高さ位置を設定することができる。洗浄ユニット用駆動部703は、アルカリ性洗剤の噴射時における吐出口1312aの高さ位置が位置Aよりも低い位置となるような位置に洗浄ユニット13Bを停止させる。また、吐出口1312aから噴射されるアルカリ性洗剤の噴射角度は、圧力、流量等によって変化させることができる。噴射角度と、圧力、流量等との対応情報は、記憶部50に予め記憶されている。供給処理部702は、この対応情報に基づいて供給部140を駆動し、吐出口1312aにアルカリ性洗剤を供給する。
排出処理部701は、反応容器51内へのアルカリ性洗剤の供給が開始されても、排出部142の制御を継続する。この制御により、吸引口1311aから、第2の廃液W1の吸引、及び、排出に引き続いて、アルカリ性洗剤を含む第4の廃液D1の吸引、及び、排出が行われる。つまり、吸引口1311aから吸引される第2の廃液W1の流量がほぼ0となると、供給処理部702は、上記のように、洗浄ユニット13Bを駆動して吐出口1312aから、反応容器51にアルカリ性洗剤を供給すると共に、排出処理部701は、洗浄ユニット13Bを駆動して吸引口1311aから第4の廃液D1を吸引、及び、排出させる。このように、反応容器51内において、アルカリ性洗剤の供給と、第4の廃液D1の排出とが同時に行われるので、反応容器51内にアルカリ性洗剤が貯留することがなく、反応容器51の内壁におけるアルカリ性洗剤の液上がりを防止することができる。
前述したように、反応容器51の内壁の位置Cでアルカリ性洗剤が衝突することで、このアルカリ性洗剤は、この内壁において位置Cよりも高い位置まで拡がる。この位置は、位置Aよりも低い位置となる。また、この位置は、第1の廃液Eの液面高さの位置である位置Bとしてもよい。このとき、位置Cは位置Bよりも低い位置となる。このことから、第3の廃液L1には、アルカリ性洗剤が混合して、第5の廃液L2となる。第5の廃液L2は、例えば、第3の廃液L1よりも廃液濃度が低い。また、このステップの洗浄動作は、第1の洗浄部の一例に相当する洗浄ユニット13Bにより行われる第1の洗浄の一例に相当する。また、アルカリ性洗剤が拡がる(液上がりする)であろう最高の位置は、位置Aよりも低い位置となる。また、第5の廃液L2が形成する部分は、「液上がり部」の一例に相当する。
(ステップ1−4)
供給処理部702は、反応容器51に供給したアルカリ性洗剤の液量が所定の量に達すると、洗浄ユニット13Bにアルカリ性洗剤の供給の停止を指示する。また、排出処理部701は、吸引口1311aから吸引される第4の廃液D1の流量がほぼ0となると、制御部27に、反応容器51から第4の廃液D1が排出されたことを示す情報を出力する。制御部27は、排出処理部701からの入力受けて、洗浄ユニット用駆動部703に洗浄ユニット13Bを上昇移動させるように指示する。洗浄ユニット13Bにより第4の廃液D1が排出された後の反応容器51の内壁には第4の廃液D1と第5の廃液L2とが残留する。第4の廃液D1、及び、第5の廃液L2は、共に反応容器51の内壁に付着している。第4の廃液D1は、反応容器51の内壁のうち、例えば、位置Cの高さ、又は、位置C近傍の高さまでの部分に付着している。第5の廃液L2は、反応容器51の内壁のうち、位置C、又は、位置C近傍の高さから位置Aの高さまでの部分に付着している。
(ステップ1−5〜1−6)
洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301aが上方位置に達すると、洗浄ユニット13Bの上昇移動を停止させる。
(ステップ1−7)
ステップ1−1〜1−6の処理が行われることにより、サイクル2の洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51を回動方向に移動させる。反応庫用駆動部304は、洗浄位置P2に停止していた反応容器51を、回動方向に1つだけずれた位置である洗浄位置P3に停止(ステップ2−1)させ、この洗浄位置P3で、サイクル3の洗浄動作が行われる。この動作は、サイクル1のステップ1−7と同様に行われる。つまり、この反応容器51は、例えば、反応庫5において少なくとも1周回動した後に、洗浄位置P3に停止する。
〔サイクル3〕
サイクル3の洗浄動作(図5〜7に示す、洗浄位置P3における動作)についてステップ1−1〜2−1の順番に説明する。サイクル3の洗浄動作は、洗浄位置P3で行われる。サイクル3の洗浄動作において、ステップ1−1は、サイクル2のステップ2−1に対応する。洗浄位置P3では、洗浄液である酸性洗剤を用いて反応容器51の内部(内壁)が洗浄される。この洗浄は、洗浄ユニット13Cの吐出口1312aから、反応容器51の内壁に向けて傘状に酸性洗剤が噴射されることにより行われる。噴射された酸性洗剤は、反応容器51の内壁の側壁に沿って底部に達する。このとき、洗浄ユニット13Cの吸引口1311aは底部近傍位置において停止しており、吸引口1311aから酸性洗剤を含む廃液である第6の廃液D2が吸引、及び、排出される。
(ステップ1−1)
制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Cを駆動して、吸引口1311aを反応容器51の上方である上方位置から反応容器51内の底部に近い底部近傍位置に移動させるように洗浄ユニット13Cを下降移動させる。
(ステップ1−2)
洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1311aが最下点である底部近傍位置に達したとき、洗浄ユニット13Cの下降移動を一旦停止させる。
(ステップ1−3)
次に、供給処理部702は、供給部140を制御して、酸性洗剤を洗浄ユニット13Cに供給させる。洗浄ユニット13Cの吐出口1312aから、反応容器51の内壁に向けて傘状に酸性洗剤が噴射される。この酸性洗剤は、洗浄液として反応容器51に供給される。噴射された酸性洗剤は、反応容器51の内壁に衝突する。酸性洗剤が、この内壁に衝突する位置(高さ)は位置Cである。位置Cは、サイクル2のステップ1−3で説明した位置に適宜設定される。シャワーノズル131は、サイクル2のステップ1−3で説明した構成を適宜用いることができる。
排出処理部701は、反応容器51内への酸性洗剤の供給が開始されると、排出部142の制御を開始する。吸引口1311aからは、酸性洗剤を含む第6の廃液D2の吸引、及び、排出が行われる。このように、反応容器51内において、酸洗剤の供給と、第6の廃液D2の排出とが同時に行われるので、反応容器51内に酸性洗剤が貯留することがなく、反応容器51の内壁における酸性洗剤の液上がりを防止することができる。サイクル2及びサイクル3において行われる、洗剤を用いた反応容器51の洗浄処理は、第1の洗浄に該当する。この場合、洗剤は第1の洗浄液に該当する。また、サイクル1において行われる、純水を用いた反応容器の洗浄処理を第1の洗浄に含めてもよい。この場合、この純水は第1の洗浄液に該当する。
前述したように、反応容器51の内壁に位置Cで酸性洗剤が衝突することで、この酸性洗剤は、この内壁において位置Cよりも高い位置まで拡がる。この位置は、位置Aよりも低い位置となる。位置Cを、位置Aよりも低い位置とする理由は、反応容器51へ酸性洗剤が注入されることにより、反応容器51の内壁に付着した第1の廃液Eの高さ位置が変動し、この高さ位置が位置Aを超えてしまうことを防ぐためである。また、反応容器51へ注入された酸性洗剤自体が反応容器51の内壁をせり上がることで、酸性洗剤を含む廃液の液面の高さ位置が位置Aを超えてしまうことを防ぐためである。
前述したように、反応容器51の内壁に位置Cで酸性洗剤が衝突することで、この酸性洗剤は、この内壁において位置Cよりも高い位置まで拡がる。この位置は、第1の廃液Eの液面高さの位置である位置Bとしてもよい。このとき、位置Cは位置Bよりも低い位置となる。このことから、第5の廃液L2には、アルカリ性洗剤が混合して、第7の廃液L3となる。第7の廃液L3は、例えば、第3の廃液L1よりも廃液濃度が低い。また、第7の廃液L3は、アルカリ性洗剤と酸性洗剤とを含むので、両者が中和反応することで生成した塩が含まれている。この塩は、例えば、水溶性である。また、このステップの洗浄動作は、第1の洗浄部の一例に相当する洗浄ユニット13Cにより行われる第1の洗浄の一例に相当する。また、酸性洗剤が拡がる(液上がりする)であろう最高の位置は、位置Aよりも低い位置となる。また、第5の廃液L2が形成する部分は、「液上がり部」の一例に相当する。
(ステップ1−4)
供給処理部702は、反応容器51に供給した酸性洗剤の液量が所定の量に達すると、洗浄ユニット13Cに酸性洗剤の供給の停止を指示する。また、排出処理部701は、吸引口1311aから吸引される第6の廃液D2の流量がほぼ0となると、制御部27に、反応容器51から第6の廃液D2が排出されたことを出力する。制御部27は、排出処理部701からの入力受けて、洗浄ユニット用駆動部703に洗浄ユニット13Cを上昇移動させるように指示する。洗浄ユニット13Cにより第6の廃液D2が排出された後の反応容器51の内壁には第6の廃液D2と第7の廃液L3とが残留する。第6の廃液D2、及び、第7の廃液L3は、共に反応容器51の内壁に付着している。第6の廃液D2は、反応容器51の内壁のうち、例えば、位置Cの高さ、又は、位置C近傍の高さまでの部分に付着している。第7の廃液L3は、反応容器51の内壁のうち、位置C、又は、位置C近傍の高さから位置Aの高さまでの部分に付着している。
(ステップ1−5〜1−6)
洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301aが上方位置に達すると、洗浄ユニット13Cの上昇移動を停止させる。
(ステップ1−7)
ステップ1−1〜1−6の処理が行われることにより、サイクル3の洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51を回動方向に移動させる。反応庫用駆動部304は、洗浄位置P3に停止していた反応容器51を、回動方向に1つだけずれた位置である洗浄位置P4に停止(ステップ2−1)させ、この洗浄位置P4で、サイクル4の洗浄動作が行われる。この動作は、サイクル1のステップ1−7と同様に行われる。つまり、この反応容器51は、例えば、反応庫5において少なくとも1周回動した後に、洗浄位置P4に停止する。
〔サイクル4〕
サイクル4の洗浄動作についてステップ1−1〜2−1の順番に説明する。サイクル4の洗浄動作は、洗浄位置P4で行われる。サイクル4の洗浄動作において、ステップ1−1は、サイクル3のステップ2−1に対応する。洗浄位置P4では、洗浄ユニット13Dの吐出口1302aから反応容器51内に濯ぎ液である第2の純水が供給される。
(ステップ1−1)
制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Dを駆動して、吸引口1301aを反応容器51の上方である上方位置から反応容器51内の底部に近い底部近傍位置に移動させるように洗浄ユニット13Dを下降移動させる。
(ステップ1−2)
制御部27は、吸引口1301aが最下点である底部近傍位置に達したとき、洗浄ユニット用駆動部703に洗浄ユニット13Dの下降移動を一旦停止させるように指示する。洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示を受けて、この下降移動を一旦停止させる。
(ステップ1−3〜1−5)
吸引口1301aが最下点である底部近傍位置に達したとき、制御部27は、洗浄ユニット用駆動部703に、洗浄ユニット13Dの下降移動を一旦停止させた後に、洗浄ユニット13Dに対して上昇移動させるよう指示する。洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット13Dを駆動して、吐出口1302aを底部近傍位置付近から上方位置に移動させるように、洗浄ユニット13Dを上昇移動させる。また、制御部27からの指示を受けて、供給処理部702は、供給部140を駆動して、吐出口1302aから反応容器51内に、濯ぎ液として第2の純水を供給させる。第2の純水は、例えば、第1の純水と同じものが用いられる。第2の純水は、例えば、タンク134Aに貯蔵されており、この第2の純水の供給は、第1の純水の供給と同様に行うことができる。これにより、タンク134Aから所望の液量の第2の純水が反応容器51に供給される。
反応容器51内への、第2の純水の供給は、例えば、洗浄ユニット13Aを洗浄ユニット13D、第1の純水を第2の純水に読み替えて、サイクル1のステップ1−4において挙げた、第1の例、第2の例と同様にして行うことができる。また、この第1の例において、洗浄ユニット13Aの上昇移動を一旦停止させる位置は、例えば、位置Aである。つまり、第2の純水は、反応容器51において液面が位置Aに達するまで供給される。反応容器51内に供給された第2の純水は、反応容器51内に残存する第6の廃液D2と混合して第8の廃液W2が生成する。これにより、反応容器51内の位置Aまでの領域に第8の廃液W2が貯留する。つまり、第1の廃液Eが、反応容器51の内壁上を液上がりするであろう最高の位置まで、第2の純水が貯留される。反応容器51に第2の純水が供給されているとき、制御部27は、排出部142を駆動して反応容器51内の第8の廃液W2を吸引口1301aから吸引することができる。これにより、反応容器51内の第8の廃液W2に、吐出口1302aから吸引口1301aに至る旋回流が生じる。反応容器51に対し、供給部140による第2の純水の供給と、排出部142による第8の廃液W2の排出とが同時に行われている場合、第2の純水の供給量と第8の廃液W2の排出量との差分の量を、反応容器51における第8の廃液W2の貯留量とする。
第8の廃液W2が、反応容器51内の位置Aまで貯留されることで、第7の廃液L3は第8の廃液W2と混合する。この場合、第7の廃液L3と第8の廃液W2との混合液も、第8の廃液W2と呼ぶ。これにより、反応容器51の内壁のうち、第7の廃液L3が付着した内壁が第8の廃液W2により濯がれる。第7の廃液L3は、第1の廃液Eよりも廃液濃度が大幅に低い。また、第7の廃液L3の全液量は、第1の廃液Eの全液量よりも大幅に少ない。さらに、第7の廃液L3の全液量は、反応容器51に供給される第2の純水の全液量よりも大幅に少ない。そのため、第8の廃液W2の廃液濃度は、第1の廃液Eの廃液濃度よりも著しく低くなる。また、これらステップの洗浄動作は、第2の洗浄部の一例に相当する洗浄ユニット13Dにより行われる第2の洗浄の一例に相当する。また、第7の廃液L3が形成する部分は、「液上がり部」の一例に相当する。
(ステップ1−6)
洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301aが上方位置に達すると、洗浄ユニット13Dの上昇移動を停止させる。
(ステップ1−7)
ステップ1−1〜1−6の処理が行われることにより、サイクル4の洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51を回動方向に移動させる。反応庫用駆動部304は、洗浄位置P4に停止していた反応容器51を、回動方向に1つだけずれた位置である洗浄位置P5に停止(ステップ2−1)させ、この洗浄位置P5で、サイクル5の洗浄動作が行われる。この動作は、サイクル1のステップ1−7と同様に行われる。
この反応容器51は、例えば、反応庫5において少なくとも1周回動した後に、洗浄位置P5に停止する。この場合、反応容器51は、内部に第8の廃液W2が貯留された状態で、反応庫5を少なくとも1周回動する。この反応容器51が回動する時間は、例えば、サイクル1のステップ1−7で挙げた時間と同様に設定することができる。
このサイクルにおいては、反応容器51の内壁を第2の純水により高さAの位置まで一気に濯ぐ。つまり、サイクル1〜3の洗浄動作により、反応容器51の内壁に付着した廃液の最高の高さを変動させずに、この廃液の廃液濃度をある程度低くし、反応容器51の内壁を第2の純水により高さAの位置まで一気に濯ぐ。言い換えれば、反応容器51の内壁を洗剤等で洗浄することにより、この内壁に付着した廃液の最高の高さが変動すると、この洗浄後に、この内壁に廃液が残留してしまうことがある。そこで、廃液や洗剤が、この内壁をせり上がる最高の高さを、経験則で得られる最高の高さ(例えば、位置A。)以下にしておき、これに基づいてサイクル1〜3の洗浄動作を行うことで、この洗浄後に、この内壁に廃液が残留してしまうことを防ぐことができる。
〔サイクル5〕
サイクル5の洗浄動作についてステップ1−1〜2−1の順番に説明する。サイクル5の洗浄動作は、洗浄位置P5で行われる。洗浄位置P5では、反応容器51に収容された第8の廃液W2が洗浄ユニット13Eの吸引口1301aから吸引、及び、排出されると共に、洗浄ユニット13Eの吐出口1302aから反応容器51内に濯ぎ液である第3の純水が供給される。
(ステップ1−1)
制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Eを駆動して、吸引口1301aを、反応容器51の上方である上方位置から反応容器51内の底部に近い底部近傍位置に移動させるように、洗浄ユニット13Eを下降移動させる。このとき、吐出口1302aも底部近傍位置付近に移動させられる。また、制御部27からの指示を受けて、排出処理部701は、排出部142を駆動して反応容器51内の第8の廃液W2を吸引口1301aから吸引し、この第8の廃液W2をタンク134D内に排出する。具体的に、排出処理部701は、廃液排出用ポンプ138Aを駆動させて第8の廃液W2を吸引口1301aから吸引する。吸引された第8の廃液W2は流路によりタンク134Dまで輸送される。
第8の廃液W2の吸引は、例えば、洗浄ユニット13Aを洗浄ユニット13Eに、第1の廃液Eを第8の廃液W2に読み替えて、サイクル1のステップ1−2〜1−3の説明において挙げた、第1の例、第2の例と同様に行うことができる。第2の例において、排出処理部701は、洗浄ユニット13Eを駆動して、吸引口1301aの高さが位置Aに達したとき吸引を開始させる。
洗浄ユニット13Eにより第8の廃液W2が排出された後の反応容器51の内壁には第8の廃液W2が残留する。第8の廃液W2は、反応容器51の内壁に付着している。第1の廃液Eは、反応容器51の内壁のうち、図5に示す位置Aの高さまでの部分に付着している。
(ステップ1−2)
制御部27は、吸引口1301aが最下点である底部近傍位置に達したとき、洗浄ユニット用駆動部703に洗浄ユニット13Eの下降移動を一旦停止させるように指示する。洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示を受けて、この下降移動を一旦停止させる。さらに、制御部27は、排出処理部701に、排出部142の駆動を停止させるように指示する。排出処理部701は、制御部27からの指示を受けて、第8の廃液W2の吸引、及び、排出を停止する。
(ステップ1−3〜1−5)
吸引口1301aが最下点である底部近傍位置に達したとき、制御部27は、洗浄ユニット用駆動部703に、洗浄ユニット13Eの下降移動を一旦停止させた後に、洗浄ユニット13Eに対して上昇移動させるよう指示する。洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット13Eを駆動して、吐出口1302aを底部近傍位置付近から上方位置に移動させるように、洗浄ユニット13Eを上昇移動させる。また、制御部27からの指示を受けて、供給処理部702は、供給部140を駆動して、吐出口1302aから反応容器51内に、濯ぎ液として第3の純水を供給させる。
第3の純水は、例えば、第2の純水と同じものが用いられる。第3の純水の反応容器51への供給は、第2の純水を第3の純水に読み替えて、サイクル4のステップ1−3〜1−6と同様に行うことができる。反応容器51内に供給された第3の純水は、反応容器51において液面が位置Aに達するまで供給される。この第3の純水は、反応容器51内に残存する第8の廃液W2と混合して第9の廃液W3が生成する。これにより、反応容器51内の位置Aまでの領域に第9の廃液W3が貯留する。つまり、第1の廃液Eが、反応容器51の内壁上を液上がりするであろう最高の位置まで、第2の純水が貯留される。反応容器51に第3の純水が供給されているとき、制御部27は、排出部142を駆動して反応容器51内の第9の廃液W3を吸引口1301aから吸引することができる。これにより、反応容器51内の第9の廃液W3に、吐出口1302aから吸引口1301aに至る旋回流が生じる。反応容器51に対し、供給部140による第3の純水の供給と、排出部142による第9の廃液W3の排出とが同時に行われている場合、第3の純水の供給量と第9の廃液W3の排出量との差分の量を、反応容器51における第8の廃液W2の貯留量とする。
第9の廃液W3が、反応容器51内の位置Aまで貯留されることで、反応容器51の内壁のうち、第8の廃液W2が付着した内壁が第9の廃液W3により濯がれる。第9の廃液W3は、第8の廃液W2よりも廃液濃度が低い。そのため、第9の廃液W3の廃液濃度は、第8の廃液W2の廃液濃度よりもさらに低くなる。また、反応容器51において、第8の廃液W2の液面高さと、第9の廃液W3の液面高さとを等しくした。そのため、例えば、第8の廃液W2が、反応容器51の内壁において液上がりし、位置Aよりも高い位置に付着していても、第9の廃液W3が、その位置の近傍まで液上がりするので、位置Aよりも高い位置に付着した第8の廃液W2を、第9の廃液W3で濯ぐことができる。また、これらステップの洗浄動作は、第2の洗浄部の一例に相当する洗浄ユニット13Eにより行われる第2の洗浄の一例に相当する。
(ステップ1−6)
洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口1301aが上方位置に達すると、洗浄ユニット13Eの上昇移動を停止させる。
(ステップ1−7)
ステップ1−1〜1−6の処理が行われることにより、サイクル4の洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51を回動方向に移動させる。反応庫用駆動部304は、洗浄位置P5に停止していた反応容器51を、回動方向に1つだけずれた位置である洗浄位置P6に停止(ステップ2−1)させ、この洗浄位置P6で、サイクル6の洗浄動作が行われる。この動作は、サイクル1のステップ1−7と同様に行われる。
この反応容器51は、例えば、反応庫5において少なくとも1周回動した後に、洗浄位置P6に停止する。この場合、反応容器51は、内部に第9の廃液W3が貯留された状態で、反応庫5を少なくとも1周回動する。第8の廃液W2が、反応容器51の内壁において液上がりして付着している場合、この回動中の遠心力、振動等によって、第8の廃液W2に第9の廃液W3が接触する。第9の廃液W3は、第8の廃液W2よりも廃液濃度が低いので、この接触により、反応容器51の内壁に付着した第8の廃液W2が第9の廃液W3により濯がれる。この反応容器51が回動する時間は、例えば、サイクル1のステップ1−7で挙げた時間と同様に設定することができる。
このサイクルにおいては、反応容器51の内壁を第3の純水により高さAの位置まで濯ぐ。サイクル5、及び、サイクル6の洗浄動作は、第2の純水による濯ぎによって生じた、第8の廃液W2の廃液濃度が所定の濃度以下である判断される場合、省略することができる。第8の廃液W2の廃液濃度は、例えば、第1の廃液Eの種別等から判断される。
〔サイクル6〕
サイクル6の洗浄動作は、洗浄位置P6で行われる。洗浄位置P6では、反応容器51に収容された第9の廃液W3が洗浄ユニット13Fの吸引口1301aから吸引、及び、排出されると共に、洗浄ユニット13Fの吐出口1302aから反応容器51内に濯ぎ液である第4の純水が供給される。サイクル6の洗浄動作は、洗浄ユニット13Eを洗浄ユニット13F、第8の廃液W2を第9の廃液W3、第3の純水を第4の純水、第9の廃液W3を、第10の廃液W4として、サイクル5の洗浄動作と同様に行うことができる。ここで、第10の廃液W4は、第4の純水を含む。
このサイクルにおける、ステップ1−1〜1−6の洗浄処理によって、反応容器51には、濯ぎ液として第4の純水が供給され、反応容器51の位置Aの高さまで、第10の廃液W4が貯留される。そのため、第9の廃液W3が、反応容器51の内壁において液上がりし、位置Aよりも高い位置に付着していても、第10の廃液W4が、その位置の近傍まで液上がりするので、位置Aよりも高い位置に付着した第9の廃液W3を、第10の廃液W4で濯ぐことができる。また、ステップ1−3〜1−5の洗浄動作は、第2の洗浄部の一例に相当する洗浄ユニット13Fにより行われる第2の洗浄の一例に相当する。
また、ステップ1−7において、反応容器51は、内部に第10の廃液W4が貯留された状態で、反応庫5を少なくとも1周回動し、回動方向に1つだけずれた位置である洗浄位置P7に停止(ステップ2−1)する。この洗浄位置P7で、サイクル7の洗浄動作が行われる。第9の廃液W3が、反応容器51の内壁において液上がりして付着している場合、この回動中の遠心力、振動等によって、第9の廃液W3に第10の廃液W4が接触する。第10の廃液W4は、第9の廃液W3よりも廃液濃度が低いので、この接触により、反応容器51の内壁に付着した第9の廃液W3が第8の廃液W2により濯がれる。この反応容器51が回動する時間は、例えば、サイクル1のステップ1−7で挙げた時間と同様に設定することができる。
〔サイクル7〕
サイクル7の洗浄動作についてステップ1−1〜2−1の順番に説明する。サイクル7の洗浄動作は、洗浄位置P7で行われる。洗浄位置P7では、反応容器51に収容された第10の廃液W4が洗浄ユニット13Gの吸引口132aから排出される。
(ステップ1−1)
制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Gを駆動して、吸引口132aを、反応容器51の上方である上方位置から反応容器51内の底部に近い底部近傍位置に移動させるように、洗浄ユニット13Gを下降移動させる。また、制御部27からの指示を受けて、排出処理部701は、排出部142を駆動して反応容器51内の第10の廃液W4を吸引口132aから吸引し、この第10の廃液W4をタンク134E内に排出する。具体的に、排出処理部701は、廃液排出用ポンプ138Bを駆動させて第10の廃液W4を吸引口132aから吸引する。吸引された第10の廃液W4は排出流路によりタンク134Eまで輸送される。
第10の廃液W4の吸引は、例えば、洗浄ユニット13Aを洗浄ユニット13Gに、第1の廃液Eを第10の廃液W4に読み替えて、サイクル1のステップ1−2〜1−3の説明において挙げた、第1の例、第2の例と同様に行うことができる。第2の例において、排出処理部701は、洗浄ユニット13Gを駆動して、吸引口132aの高さが位置Aに達したとき吸引を開始させる。
(ステップ1−2)
制御部27は、吸引口132aが最下点である所定の位置に達すると、洗浄ユニット用駆動部703に洗浄ユニット13Eの下降移動を一旦停止させるように指示する。所定位置としては、例えば、最下点である底部近傍位置よりも若干高い位置が挙げられる。その理由は、反応容器51内に、第10の廃液W4を意図的に残留させることによって、サイクル8による乾燥動作を効率良く行うことができるからである。そのため、吸引ノズル132の長さは、吸引ノズル1301、及び、吸引ノズル1311の長さよりも短くなる。制御部27は、吸引口132aが最下点である所定の位置に達すると、排出処理部701に、排出部142の駆動を停止させるように指示する。排出処理部701は、制御部27からの指示を受けて、第10の廃液W4の吸引、及び、排出の動作を停止する。
(ステップ1−3〜1−5)
吸引口1301aが最下点である所定の位置に達したとき、制御部27は、洗浄ユニット用駆動部703に、洗浄ユニット13Gの下降移動を一旦停止させた後に、洗浄ユニット13Gに対して上昇移動させるよう指示する。洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット13Gを駆動して、吸引口132aを所定の位置付近から上方位置に移動させるように、洗浄ユニット13Gを上昇移動させる。
(ステップ1−6)
洗浄ユニット用駆動部703は、吸引口132aが上方位置に達すると、洗浄ユニット13Fの上昇移動を停止させる。
(ステップ1−7)
ステップ1−1〜1−6の処理が行われることにより、サイクル7の洗浄動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51を回動方向に移動させる。反応庫用駆動部304は、洗浄位置P7に停止していた反応容器51を、回動方向に1つだけずれた位置である乾燥位置P8に停止(ステップ2−1)させ、この乾燥位置P8で、サイクル8の乾燥動作が行われる。この動作は、サイクル1のステップ1−7と同様に行われる。
〔サイクル8〕
サイクル8の乾燥動作についてステップ1−1〜2−1の順番に説明する。サイクル8の乾燥動作は、乾燥位置P8で行われる。乾燥位置P8では、乾燥ユニット13Hの吸引孔(図示せず)から第10の廃液W4が排出されると共に、乾燥チップ1332により、反応容器51の内壁の乾燥が行われる。乾燥チップ1332は、吸水性を有する多孔質のチップが用いられる。乾燥チップ1332を、乾燥位置P8に停止した反応容器51内に進入、後退させることにより、この反応容器51内に付着した第10の廃液W4を吸水し、この反応容器51を乾燥させる。
(ステップ1−1)
制御部27からの指示を受けて、洗浄ユニット用駆動部703は、乾燥ユニット13Hを駆動して、乾燥チップ1332の下部端面を、反応容器51の上方である上方位置から反応容器51内の底部に近い底部近傍位置に移動させるように、乾燥ユニット13Hを移動させる。
(ステップ1−2)
制御部27は、乾燥チップ1332の下部端面が最下点である底部近傍位置の位置に達すると、洗浄ユニット用駆動部703に乾燥ユニット13Hの下降移動を一旦停止させるように指示する。
(ステップ1−3)
制御部27は、乾燥チップ1332の下部端面が底部近傍位置の位置に達すると、排出処理部701に、排出部142の駆動を開始させるように指示する。排出処理部701は、制御部27からの指示を受けて、第10の廃液W4の吸引、及び、排出の動作を開始する。具体的に、排出処理部701は、制御部27からの指示を受けて、排出部142を駆動し、乾燥チップ1332を介して図示しない吸引孔から、反応容器51内に残留した第10の廃液W4を吸引させる。吸引された第10の廃液W4は、タンク134E内に排出される。具体的に、排出処理部701は、廃液排出用ポンプ138Bを駆動させて、第10の廃液W4をこの吸引孔から吸引させる。吸引された第10の廃液W4は排出流路によりタンク134Eまで輸送される。このとき、反応容器51内に、第10の廃液W4を所定量残留させることにより、乾燥チップ1332全体に第10の廃液W4を浸潤させることができる。これにより、廃液排出用ポンプ138Bによる吸引の瞬時圧を大きくすることができる。その結果、第10の廃液W4の吸引を効率良く行うことができる。また、この吸引、及び、排出の動作は、乾燥ユニット13Hの下降動作の開始と同時に開始してもよい。
(ステップ1−4〜1−5)
乾燥チップ1332の下部端面が最下点である底部近傍位置に達したとき、制御部27は、洗浄ユニット用駆動部703に、乾燥ユニット13Hの下降移動を一旦停止させた後に、乾燥ユニット13Hに対して上昇移動させるよう指示する。洗浄ユニット用駆動部703は、制御部27からの指示を受けて、乾燥チップ1332の下部端面を底部近傍位置付近から上方位置に移動させるように、乾燥ユニット13Hを上昇移動させる。この上昇移動の際、排出処理部701は、反応容器51内における第10の廃液W4の吸引動作を継続する。
(ステップ1−6)
洗浄ユニット用駆動部703は、乾燥チップ1332の下部端面が上方位置に達すると、乾燥ユニット13Hの上昇移動を停止させる。
(ステップ1−7)
ステップ1−1〜1−6の処理が行われることにより、サイクル8の乾燥動作が終了すると、反応庫用駆動部304は、反応容器51を回動方向に移動させる。反応庫用駆動部304は、乾燥位置P8に停止していた反応容器51を、回動方向に1つだけずれた位置(図示せず)に停止させる。この位置に停止した反応容器51は、次回の試料、及び、試薬の分注に用いることが可能となる。
上記、サイクル1〜8の説明において、洗浄ユニット用駆動部703は、各洗浄ユニット、乾燥ユニット13Hを独立に移動させているが、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13A〜13G、及び、乾燥ユニット13Hを一律動作させることができる。つまり、洗浄装置用駆動部700は、サイクル1〜8における動作を、各洗浄位置において同時に行うことができる。
この場合、洗浄ユニット用駆動部703は、各洗浄ユニットに備えられた、吸引口1301a、及び、吸引口1311aが同じ高さとなるように、各洗浄ユニットを、下降、及び、上昇移動させる。また、洗浄ユニット用駆動部703は、洗浄ユニット13Gに備えられた、吸引口132aが、各洗浄ユニットに備えられた、吸引口1301a、及び、吸引口1311aは同じ高さ、又は、これら吸引口よりも高い位置となるように、洗浄ユニット13Gを、下降、及び、上昇移動させる。また、洗浄ユニット用駆動部703は、乾燥ユニット13Hに備えられた、乾燥チップ1332の下面が、各洗浄ユニットに備えられた、吸引口1301a、及び、吸引口1311aは同じ高さ、又は、これら吸引口よりも高い位置となるように、乾燥ユニット13Hを、下降、及び、上昇移動させる。各洗浄ユニットにおいて、供給口は、吸引口よりも高い位置に設けられているので、反応庫用駆動部304は、上昇移動する吸引口1301a、及び、吸引口1311aが上方位置に達したタイミングで、反応庫5を回動させる。
この実施形態の自動分析装置10に備えられた、洗浄装置13は、この洗浄処理の対象となる廃液の廃液濃度が高いと、この洗浄処理で使用する液体、及び、この洗浄処理で生じる廃液の反応容器51の内壁に触れる位置(例えば、位置B、C、及び、D)を低くする。また、この洗浄処理の対象となる廃液の廃液濃度が低いと、この洗浄処理で使用する液体、及び、この洗浄処理で生じる廃液の反応容器51の内壁に触れる位置(例えば、位置A)を高くする。廃液濃度が高い廃液とは、例えば、濯ぎ液を含まない廃液をいう。また、廃液濃度が低い廃液とは、例えば、濯ぎ液を含む廃液をいう。廃液濃度が高い廃液の液面高さとしては、例えば、測定後の混合液の液面高さと等しい、又は、その液面高さよりも低いことが挙げられる。また、この内壁の高さを、洗剤が触れる高さとしてもよい。廃液濃度が低い廃液の液面高さとしては、例えば、測定後の混合液が反応容器51の内壁上を液上がりするであろう最高の位置と等しい、又は、その最高の位置よりも低いことが挙げられる。
また、洗浄ユニット13A、及び、洗浄ユニット13D〜13Fを、ノズルユニット130の代わりにシャワーノズル131を用いて構成することもできる。この場合、反応容器51の内壁に純水が当たる位置は、上述した、各位置において貯留する廃液の液面位置の近傍となる。シャワーノズル131は、洗浄処理において、開口の詰まりが生じやすく、コストも高いため、好適には、洗浄ユニット13A、及び、洗浄ユニット13D〜13Fはノズルユニット130を用いて構成される。また、洗浄ユニット13B及び洗浄ユニット13Cを、ノズルユニット130で構成することもできる。その場合、反応容器51の内壁に直接洗剤を当てることができないので、この洗剤は反応容器51内に貯留される。この洗剤の液面の高さは、内壁における液上がりを考慮して、例えば、位置Bと同じ高さの位置、又は、位置Bよりも低い位置(例えば、位置C、位置D)に設定される。
また、位置Aは、位置B〜Dを基準にして設定することもできる。例えば、位置B、位置C、又は、位置Dの高さに、所定の倍数を掛けることで、位置Aの高さをと設定することができる。例えば、位置B、位置C、又は、位置Dの高さに、1.3〜3倍の範囲における任意の数を掛けた高さを位置Aとすることができる。具体的には、位置B、位置C、又は、位置Dの高さに、1.3倍、1.5倍、2倍、2.5倍、又は、3倍を掛けた高さを位置Aとする。この場合に設定される位置Aの高さが、反応容器51の全高を超える場合には、反応容器51の頂部の位置を位置Aに設定する。
以上、サイクル1からサイクル8の順番に、駆動制御部25、及び、洗浄装置13の構成、及び、動作を説明した。
[自動分析装置の作用、効果]
この実施形態の自動分析装置10は、洗浄装置13で反応容器51を洗浄する場合、サイクル1〜3において反応容器51の内壁に接触する洗浄液(第1の純水、アルカリ性洗剤、及び、酸性洗剤)の位置に対し、サイクル4〜6において反応容器51内に貯留させた濯ぎ液(第2〜第4の純水)の液面の位置を高くするように駆動制御部25、及び、洗浄装置13を構成した。つまり、サイクル1〜3の洗浄動作により、反応容器51の内壁に付着した廃液の最高の高さを変動させずに、この廃液の廃液濃度をある程度低くし、反応容器51の内壁を第2の純水により、この反応容器51の内壁を液上がりしているであろう最高の位置まで一気に濯ぐ。言い換えれば、反応容器51の内壁を洗剤等で洗浄することにより、この内壁に付着した廃液の最高の高さが変動すると、この洗浄後に、この内壁に廃液が残留してしまうことがある。そこで、廃液や洗剤が、この内壁をせり上がる最高の高さを、経験則で得られる最高の高さ(例えば、位置A。)以下にしておき、これに基づいてサイクル1〜3の洗浄動作を行うことで、この洗浄後に、この内壁に廃液が残留してしまうことを防ぐことができる。
また、反応容器51の内壁を、第1の廃液Eが液上がりして付着した部分LOに対して、液上がりを用いて第1の純水を接触させ、第3の廃液L1を生成させた。第3の廃液L1は、第1の廃液Eよりも廃液濃度が低い。この内壁に対し洗剤(アルカリ性洗剤、及び、酸性洗剤。)を噴射させ、この噴流が衝突することによって、この内壁上を洗剤が拡散させた。これにより、第3の廃液L1に洗剤を接触させて、第5の廃液L2、及び、第7の廃液L3をさせた。第5の廃液L2は、第3の廃液L1よりも廃液濃度が低い。第7の廃液L3は、第5の廃液L2よりも廃液濃度が低い。このように、反応容器51の内壁を液上がりした廃液の廃液濃度を、液上がりしているであろう最高の位置よりも低い領域で段階的に低くすることができる。これにより、液上がりしているであろう最高の位置を上昇させることなく、液上がりした廃液の廃液濃度を低くさせることができる。
液上がりした廃液の廃液濃度を低くした後に、大量の純水を供給して、この内壁を濯いだので、この濯ぎによって生成する廃液の廃液濃度を低くすることができる。さらに、この濯ぎを複数回行ったので、最終的に生成する廃液の廃液濃度をほぼ0とすることができる。また、この濯ぎによって生成する廃液が、反応容器51の内壁において液上がりし、第1の廃液Eが液上がりした最高の位置よりも高い位置に付着していても、次の行われる濯ぎによって、濯ぎ液が、その位置の近傍まで液上がりするので、この位置に付着した廃液を濯ぐことができる。
さらに、濯ぎ液である純水が供給された反応容器51は、例えば、反応庫5において少なくとも1周回動した後に、次の洗浄位置に停止する。この場合、反応容器51は、内部に廃液が貯留された状態で、反応庫5を少なくとも1周回動する。この廃液よりも、廃液濃度の高い廃液が、反応容器51の内壁において液上がりして付着している場合、この回動中の遠心力、振動等によって、廃液濃度の高い廃液に廃液濃度の低い廃液が接触する。この接触により、反応容器51の内壁に付着した廃液濃度の高い廃液を廃液濃度の低い廃液で濯ぐことができる。つまり、反応容器51を洗浄処理する場合、制御部27は、廃液の廃液濃度に応じて、液体が反応容器51の内壁に触れる位置を変えるように洗浄装置13を制御する。この液体は、この洗浄処理で使用する液体(洗剤、純水等。)、及び、この洗浄処理で生じる廃液を含む。
さらに、各洗浄ユニットに備えられた、ノズルユニット130、及び、シャワーノズル131の吸引口の高さが等しくなるように洗浄装置13を構成し、各洗浄ユニットを同期させて動作可能に構成したので、1回の上昇、及び、下降移動により、複数の反応容器51の洗浄処理を同時に行うことができる。
これらのことにより、洗浄装置13は、反応容器51の内壁を確実に洗浄することができ、さらに、液上がり等によって、反応容器51の内壁に洗浄時の廃液が残留することを飛躍的に少なくすることができる。つまり、この実施形態の自動分析装置10に備えられた洗浄装置13によって洗浄された反応容器51の内壁に付着する残留物の量を飛躍的に減少させることができる。その結果、自動分析装置10は、この反応容器51を用いて測定を行うことで、測定の信頼度を高く維持可能とすることができる。
上記実施形態において説明した構成は、自動分析装置以外の臨床検査装置にも適用することができる。
臨床検査装置としては、例えば、自動分析装置や血液ガス分析装置や電気泳動装置や液体クロマトグラフィー装置などの臨床化学分析機器、ラジオイムノアッセイ装置などの核医学機器、ラテックス凝集反応測定装置やネフェロメータなどの免疫血清検査機器、自動血球計数装置、血液凝固測定装置などの血液検査機器、微生物分類同定装置や血液培養検査装置やDNA・RNA測定装置などの細菌検査機器、尿分析装置や便潜血測定装置などの尿検査機器、自動組織細胞染色装置などの病理検査機器、生理機能検査機器、マイクロピペットや洗浄装置分注装置や遠心分離装置などのその他の臨床検査機器等が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。