JP2015208788A - 打撃作業機 - Google Patents

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Abstract

【課題】打撃機構が設けられたケースの強度を向上した打撃作業機を提供する。【解決手段】ピストンの動作により圧力が変化する空気室C1と、空気室C1の圧力で動作する打撃子29と、空気室C1及び打撃子29が設けられたシリンダケース12と、シリンダケース12に取付けられ、かつ、打撃子29により打撃される先端工具43を保持するホルダ30と、を備えた打撃作業機10であって、シリンダケース12の内面から径方向に突出し、かつ、シリンダケース12の側面視で、打撃子29が動作する中心線A1に対して傾斜した複数のリブ12Hが設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、道路や建造物の破砕等に用いられる打撃作業機に関し、特に、打撃機構により打撃子を打撃して、その打撃力を先端工具に伝達する打撃作業機に関する。
従来、打撃機構としてのピストンを中心線に沿った方向に往復動させ、ピストンと打撃子との間に形成された流体室の圧力を上昇させて打撃子に打撃力を加える打撃作業機が知られており、その打撃作業機が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された打撃作業機は、筒状のケース及び筒状のケースを有し、ケースとケースとが同心状に接続されて固定されている。ケース内に筒状のシリンダが設けられており、シリンダの中心線に沿った方向に移動可能なピストンが設けられている。また、動力源の回転力を、ピストンの往復動力に変換する運動変換機構が設けられている。
さらに、シリンダ内に打撃子が設けられており、打撃子はシリンダ内で中心線に沿った方向に移動可能である。シリンダ内において、ピストンと打撃子との間に流体室が形成されている。また、シリンダを径方向に貫通し、かつ、流体室に通じる呼吸孔が設けられている。さらに、ケースの内部から外部に亘って、筒状の先端工具保持部材が設けられている。先端工具保持部材は、シリンダと同心状に配置されており、先端工具保持部材は、中間子及び先端工具を中心線に沿った方向に移動可能に支持している。
動力源の回転力でピストンがシリンダ内で往復動すると、流体室の圧力が上昇と下降とを交互に繰り返す。打撃子は、流体室の圧力が上昇すると中間子に近づく向きで移動し、かつ、中間子を打撃する。先端工具が対象物に押し付けられている場合、中間子に加えられた打撃力は先端工具に伝達される。
これに対して、先端工具が対象物に押し付けられていない場合、中間子は、先端工具保持部材に接触し、先端工具により中心線に沿った方向の移動が規制されている。このため、中間子に打撃力が加わると、その打撃力は先端工具保持部材を経由してケースに伝達される。
特開2002−127043号公報
上記のように、先端工具が対象物に押し付けられていない場合に、打撃力がケースに伝達されると、ケースには中心線に沿った方向の引っ張り荷重及び中心線に交差する方向のねじり荷重が加わる。特許文献1に記載された打撃作業機は、この引っ張り荷重や、ねじり荷重を考慮したケース構造ではなく、改善の余地があった。
本発明の目的は、打撃機構が設けられたケースの強度を向上することの可能な打撃作業機を提供することにある。
一実施の形態は、ピストンの動作により圧力が変化する流体室と、前記流体室の圧力で動作する打撃子と、前記流体室及び前記打撃子が設けられた筒形状のケースと、前記ケースに取り付けられ、かつ、前記打撃子により打撃される先端工具を保持する先端工具保持部材と、を備えた打撃作業機であって、前記ケースの表面から径方向に突出し、かつ、前記ケースの側面視で、前記打撃子が動作する中心線に対して傾斜した複数のリブが設けられている。
他の実施形態は、打撃機構により動作される打撃子を支持するケースと、前記ケースに取り付けられ、かつ、前記打撃子により打撃される先端工具を保持する先端工具保持部材と、を備えた打撃作業機であって、前記ケースの表面から径方向に突出し、かつ、前記ケースの側面視で、前記打撃子が動作する中心線に対して傾斜した複数のリブが設けられている。
本発明の打撃作業機によれば、ケースの強度を中心線に対して傾斜する向きで高めることができる。したがって、打撃力がケースに伝達された場合に、ケースに応力が集中することを抑制できる。
本発明の実施の形態における打撃作業機の側面断面図である。 本発明の実施の形態における打撃作業機の要部断面図である。 (A)は、図1及び図2に示すシリンダケースの斜視図、(B)は、図1及び図2に示すシリンダケースの断面図である。 (I)は、図2のI−I線における平面断面図、(II)は、図2のII−II線における平面断面図、(III )は、図2のIII −III 線における底面断面図である。 比較例の打撃作業機におけるシリンダケースの斜視図である。 (A)は、図5に示すシリンダケースの胴部の平面断面図、(B)は、図5に示すシリンダケースのボス部の平面断面図である。
(実施の形態)
以下、本発明が適用された打撃作業機を、図1〜図4に基づいて詳細に説明する。打撃作業機10は、モータケース11と、モータケース11に固定されたシリンダケース12とを有する。モータケース11内に電動モータ13が設けられている。電動モータ13は、電気エネルギを出力軸14の運動エネルギに変換する動力源である。電動モータ13の出力軸14にピニオンギヤ15が設けられている。
また、モータケース11内に中間軸16が設けられており、中間軸16にギヤ17,18が設けられている。ギヤ17の歯数は、ピニオンギヤ15の歯数及びギヤ18の歯数よりも多い。ギヤ17はピニオンギヤ15と噛み合っている。また、モータケース11内にクランクシャフト19が設けられており、クランクシャフト19はギヤ20を有する。ギヤ20の歯数はギヤ18の歯数よりも多く、ギヤ20はギヤ18と噛み合っている。クランクシャフト19は、回転中心線から偏心した位置にピン21を有している。
モータケース11の外に2本のハンドル22,23が設けられており、ハンドル22,23は、それぞれハンドルホルダに取り付けられている。ハンドルホルダは、支持軸を中心として所定角度の範囲内で動作可能である。一方のハンドル23にレバー24が設けられている。レバー24は作業者により操作される。ハンドル23には電力ケーブル25が接続されており、電力ケーブル25は商用電源に接続される。レバー24が操作されると、電力ケーブル25を介して電動モータ13に電力が供給され、出力軸14が回転する。出力軸14の回転力は、ギヤ17、ギヤ18を介してギヤ20に伝達され、クランクシャフト19が回転する。
ギヤ17、ギヤ18、ギヤ20により減速機26が構成され、出力軸14からクランクシャフト19に回転力を伝達すると、クランクシャフト19の回転速度は、出力軸14の回転速度よりも低速となり、かつ、回転力が増幅される。
シリンダケース12は金属材料、例えば、アルミニウムにより一体成形されている。シリンダケース12は、円筒状の胴部12Aと、胴部12Aの両端に設けたボス部12B,12Cとを有する。胴部12Aは、中心線A1を中心として配置されている。中心線A1を中心とする径方向で、ボス部12Bの厚さは胴部12Aの厚さよりも大きく、ボス部12Cの厚さは胴部12Aの厚さよりも大きい。
ボス部12Bは、中心線A1を囲む環状に設けられており、ボス部12Bは、中心線A1に対して垂直な平面内における外周形状が略四角形である。図3(A)のように、ボス部12Bに軸孔12Dが複数設けられている。軸孔12Dは、中心線A1に沿った方向にボス部12Bを貫通しており、複数の軸孔12Dは、中心線A1を中心とする同一円周上に等間隔で配置されている。軸孔12Dの数は実施例では4個である。4個の軸孔12Dは、ボス部の4つの角に相当する箇所に配置されている。
また、ボス部12Bには、減肉部12Eが複数設けられている。減肉部12Eは、ボス部12Bの端面に開口された凹部、溝、窪み等を含む。複数の減肉部12Eは、軸孔12D同士の間にそれぞれ配置されている。そして、4個の軸孔12Dにそれぞれ挿入される4本のねじ部材52が設けられており、シリンダケース12は、ねじ部材52によりモータケース11に固定されている。ねじ部材52は、シリンダケース12とモータケース11とを、中心線A1に沿った方向で互いに位置決めし、かつ、互いに固定する。モータケース11には、ねじ部材52がねじ込まれる雌ねじ孔が4個設けられている。
一方、シリンダケース12の平面視で、図4(II)のように、ボス部12Cの外周形状は円形であり、ボス部12Cに雌ねじ孔12Fが複数設けられている。中心線A1に対して垂直な平面内で、複数の雌ねじ孔12Fは、中心線A1を中心とする同一円周上に等間隔で配置されている。中心線A1を中心とする円周上で、複数の雌ねじ孔12Fが配置されている位置は、複数の軸孔12Dが配置されている位置とは異なる。シリンダケース12を平面視すると、中心線A1を中心とする円周上で、複数の雌ねじ孔12Fと、複数の軸孔12Dとが交互に配置されている。また、ボス部12Cに減肉部12Gが複数設けられている。減肉部12Gは、胴部12Aに向けて開口された凹部、溝、窪み等を含む。複数の減肉部12Gは、雌ねじ孔12F同士の間にそれぞれ配置されている。
さらに、図3(B)及び図4(I)のように、シリンダケース12の内面には、リブ12Hが内面から突出するように複数本設けられている。リブ12Hは、ボス部12Bとボス部12Cとをつないでいる。シリンダケース12の内面を展開すると、リブ12Hは、ボス部12Bのうち軸孔12Dが配置された箇所と、ボス部12Cのうち雌ねじ孔12Fが配置された箇所とをつなぐように配置されている。つまり、シリンダケース12の側面視で、リブ12Hは中心線A1に対して傾斜し、かつ、直線状に配置されている。本実施の形態では、リブ12Hが合計で8本設けられている。
シリンダケース12の内面において、2つのリブ12Hとボス部12Cとの間に凹部12Jが形成されている。凹部12Jは減肉部12Gにつながっている。シリンダケース12の内面において、2本のリブ12Hとボス部12Bとの間に凹部12Kが形成されている。シリンダケース12の内面を展開して平面視すると、凹部12Jの内縁を形成する側壁12M及び凹部12Kの内縁を形成する側壁12Nは、共に三角形を成している。
凹部12Jは、シリンダケース12の円周方向における幅が、中心線A1に沿った方向でホルダ30から離れるに伴い狭くなる。凹部12Kは、シリンダケース12の円周方向における幅が、中心線A1に沿った方向でホルダ30から離れるに伴い広くなる。シリンダケース12の厚さ方向で、凹部12Jの深さと凹部12Kの深さとは同じである。シリンダケース12において、リブ12Hが配置されている箇所の厚さは、凹部12Jが配置されている箇所の厚さ、及び凹部12Kが配置されている箇所の厚さよりも大きい。
シリンダケース12内に筒状のシリンダ27が設けられている。シリンダ27は金属製であり、シリンダケース12及びシリンダ27は同心状に配置されている。打撃作業機10の側面視で、シリンダケース12及びシリンダ27の中心線A1は、電動モータ13の出力軸14が回転する中心線B1に対して直交している。シリンダ27内にピストン28が収納されており、ピストン28は中心線A1に沿った方向に動作可能である。ピストン28にコンロッド53が連結されており、コンロッド53はピン21に対して回転可能に連結されている。このため、クランクシャフト19が回転すると、ピストン28はシリンダ27内を中心線A1に沿った方向に往復動する。クランクシャフト19及びピン21は、ギヤ20の回転力をピストン28の往復動力に変換する運動変換機構である。
また、シリンダ27内に打撃子29が設けられており、打撃子29は中心線A1に沿った方向に移動可能である。シリンダ27内であって、ピストン28と打撃子29との間に空気室C1が形成されている。
さらに、シリンダ27を径方向に貫通する呼吸孔45が、複数設けられている。シリンダ27とシリンダケース12との間に空間E1が形成されており、呼吸孔45は空間E1と空気室C1とをつなぐ。呼吸孔45は、流体としての空気を空気室C1に出入りさせる通路である。空間E1は、シリンダケース12の外部に通じている。また、シリンダ27を径方向に貫通する空打ち防止孔46が複数設けられている。空打ち防止孔46は空間E1と空気室C1とをつなぐ。中心線A1に沿った方向で、呼吸孔45は空打ち防止孔46とモータケース11との間に配置されている。
さらに、シリンダケース12であって、中心線A1に沿った方向でモータケース11とは反対側の端部にホルダ30が固定されている。ホルダ30は中心線A1を中心とする筒形状であり、ホルダ30は、大径部30A及び中径部30B及び小径部30Cを有する。ホルダ30は、鋼材により一体成形されている。大径部30Aの外径は中径部30Bの外径よりも大きく、中径部30Bの外径は小径部30Cの外径よりも大きい。中心線A1に沿った方向で、大径部30Aと小径部30Cとの間に中径部30Bが配置されている。大径部30Aの外周面から突出されたフランジ47が設けられている。フランジ47は、中心線A1を中心とする径方向で外側に向けて突出している。
また、大径部30A内に環状のダンパ36が配置されており、ダンパ36はゴム状弾性材により一体成形されている。ホルダ30の大径部30A内から、シリンダケース12内に亘ってスリーブ33が設けられている。スリーブ33は金属製であり、スリーブ33は、筒部34と、筒部34の外周面から、筒部34の半径方向で外側に向けて張り出したフランジ部35と、を有する。フランジ部35が大径部30Aに配置され、筒部34はシリンダケース12内に配置されている。また、ダンパ36は、中心線A1に沿った方向で、フランジ部35とシリンダケース12との間に介在されている。スリーブ33は、中心線A1に沿った方向で、ダンパ36の弾性変形する範囲内において移動可能である。
大径部30Aの外側に環状のプレート48が配置されており、中心線A1に沿った方向でプレート48とシリンダケース12との間にフランジ47が配置されている。フランジ47に複数の軸孔47Aが設けられている。複数の軸孔47Aは、フランジ47を中心線A1に沿った方向に貫通しており、複数の軸孔47Aは、中心線A1を中心とする円周上に等間隔で配置されている。軸孔47Aの配置数は4個である。
プレート48及びホルダ30は、固定要素であるねじ部材31によりシリンダケース12に固定されている。ねじ部材31は、ホルダ30とシリンダケース12とを、中心線A1に沿った方向で互いに位置し、かつ、互いに固定している。ねじ部材31は複数本設けられており、ねじ部材31は、雌ねじ孔12Fにそれぞれねじ込まれている。ねじ部材31の数は4本であり、ねじ部材52の数と同数である。図4(III )のようにプレート48を底面視すると、中心線A1を中心とする円周上で、ねじ部材31が配置されている箇所と、ねじ部材52が配置されている箇所とが異なる。具体的には、プレート48の円周方向に沿って、ねじ部材31とねじ部材52とが交互に配置されている。
シリンダ27内からホルダ30内に亘り、中間子37が設けられている。中間子37は、金属製であり、中間子37は、円柱状の小径部38と、小径部38に連続された大径部39と、を有する。大径部39外径は、小径部38の外径よりも大きく、小径部38は、筒部34内及びシリンダ27内に配置されている。大径部39は、ホルダ30の支持孔32内に配置されている。支持孔32は中径部30Bに設けられている。大径部39の外径は、筒部34の内径よりも大きい。中間子37は、スリーブ33に対して中心線A1に沿った方向に移動可能であり、中間子37がシリンダケース12内に向けて移動し、大径部39がフランジ部35に接触すると、中間子37が停止する。
一方、小径部30Cに保持孔42が設けられており、保持孔42は支持孔32につながっている。保持孔42は支持孔32よりも小径であり、保持孔42と支持孔32との間に段部49が形成されている。中間子37がピストン28から離れる向きで中心線A1に沿った方向に移動し、大径部39が段部49に接触すると、中間子37が停止する。つまり、中間子37は、ピストン28から離れる向きで中心線A1に沿った方向に移動することが規制される。小径部30Cに抜け止め50が設けられている。抜け止め50は、U字形状に曲がっており、抜け止め50は、小径部30Cに対して支持軸51を中心として回転可能に取り付けられている。抜け止め50は受け部50Aを有する。受け部50Aは、中心線A1に対して交差する向きで延ばされている。
さらに、ホルダ30は先端工具43を保持している。先端工具43は金属材料を棒状に成形したものであり、先端工具43は、支持孔32及び保持孔42に配置されている。先端工具43における長さ方向の中途部位に係止部44が設けられている。先端工具43は、ホルダ30に保持された状態で、中心線A1に沿った方向に移動可能であり、先端工具43であって支持孔32に配置された箇所は、中間子37に接触する。なお、打撃作業機10の全長、質量の一例を挙げると、中心線A1に沿った方向の全長、例えば、モータケース11の上端から先端工具43の先端までの長さが1mであり、質量が30kgである。
次に、作業者が打撃作業機10を使用する例を説明する。まず、図1のように、先端工具43の端部を対象物W1に押し付けると、中間子37が先端工具43に押され、大径部39がフランジ部35に接触して中間子37が停止する。そして、作業者がレバー24を操作すると、電動モータ13の出力軸14が回転し、ピストン28がシリンダ27内を中心線A1に沿った方向に往復動作する。つまり、出力軸14の回転力は、ピストン28の往復動力に変換される。
ピストン28が上昇すると空気室C1内の圧力が、空間E1の圧力よりも低下し、空間E1の空気は、呼吸孔45を通り空気室C1に空気が吸入されるとともに、打撃子29が上昇する。ピストン28が上昇するとは、中心線A1に沿った方向でクランクシャフト19に近づく向きで移動することである。打撃子29が上昇するとは、中心線A1に沿った方向で中間子37から離れる向きで移動することである。
打撃子29が上昇すると、呼吸孔45は打撃子29により閉じられ、空気室C1に空気は吸い込まれなくなる。また、ピストン28が上死点に到達し、かつ、ピストン28が上死点から下降すると、空気室C1内の圧力が上昇し、空気室C1の圧力に応じて打撃子29に打撃力が加わる。このため、打撃子29は中間子37に近づく向きで下降し、打撃子29が中間子37を打撃する。中間子37に加えられた打撃力は、先端工具43を介して対象物W1に伝達され、対象物W1を破砕する作業、斫る作業等を実行できる。中間子37及び先端工具43に加えられる打撃力は、中心線A1に沿った方向である。
呼吸孔45は、打撃子29が中間子37を打撃する直前に開かれ、ピストン28が下死点に到達するまでの間、空気室C1の空気は呼吸孔45を通り空間E1へ排出される。中間子37から先端工具43に打撃力が伝達され、かつ、ピストン28が下死点に到達すると、ピストン28は下死点から上死点に向けて移動する。以後、電動モータ13の出力軸14が回転している間、ピストン28の上昇及び下降、打撃子29の上昇及び下降を繰り返して、空気室C1の圧力が変化する。したがって、打撃子29の打撃力は、中間子37を介して間欠的に先端工具43に伝達される。
先端工具43の端部が対象物W1に押し付けられていない場合、中間子37が自重で下降し、図2のように、大径部39が段部49に接触して中間子37が停止する。また、打撃子29も自重で下降し、打撃子29は中間子37に接触して停止する。つまり、呼吸孔45及び空打ち防止孔46が共に開かれた状態となる。さらに、係止部44が抜け止め50の受け部50Aに掛かり、先端工具43が支持される。このため、先端工具43がホルダ30から抜けることはない。なお、抜け止め50を回転させると、係止部44が抜け止め50に掛からなくなるため、先端工具43をホルダ30から取り外すことができる。
次に、先端工具43の端部が対象物W1に押し付けられていない状態で、レバー24が操作された場合の例を説明する。この場合は、空打ち防止孔46が開かれているため、ピストン28が中心線A1に沿った方向に往復動作しても、空気室C1の圧力は、空打ち防止孔46が閉じられている場合の圧力よりも低い。したがって、打撃子29に加わる打撃力は、先端工具43が対象物W1に押し付けられている場合に生じる打撃力よりも低い。
打撃子29に加えられた打撃力は、中間子37を介して段部49に伝達される。このため、ホルダ30をシリンダケース12から離す向きの荷重が加わる。つまり、ホルダ30は、打撃子29および中間子37から外力を受ける。ホルダ30が受けた外力は、ねじ部材31を経由してシリンダケース12へ伝達される。
前述のように、シリンダケース12は、ボス部12Bがねじ部材52を用いてモータケース11に固定されている。モータケース11内には、重量物としての電動モータ13、ギヤ17、18等が配置されている。このため、ホルダ30からモータケース11に外力が伝達され、モータケース11が中心線A1に沿った方向に振動する場合、中心線A1に沿った方向の慣性力による構造物としてのモータケース11の動きは、シリンダケース12の動きよりも遅れて生じる。そのため、シリンダケース12に対して、中心線A1に沿った方向の引っ張り荷重が加わり、応力が集中する可能性がある。
シリンダケース12に加わる引っ張り荷重は、図3(B)のように、ボス部12Bにおいてねじ部材52が取り付けられる箇所と、ボス部12Cにおいてねじ部材31が取り付けられる箇所とを結ぶ方向の作用線F1に沿って発生する。本実施形態のシリンダケース12は、作用線F1に沿うリブ12Hを有し、作用線F1が通らない箇所に比べて強度もしくは剛性が高められている。ここで、「作用線F1に沿う」とは、リブ12Hの配置領域内に作用線F1が位置するように、リブ12Hが配置されていることを意味する。したがって、シリンダケース12に加わる引っ張り荷重及び中心線A1に交差する方向のねじり荷重をリブ12Hが主に受けることになるため、打撃作業機10の長寿命化を図ることができる。
また、シリンダケース12の内面を展開すると、リブ12H及びボス部12Bは三角形状に配置されている。図形の最小単位である三角形状の補強構造は、トラス構造等に代表されるように、あらゆる方向からの荷重に耐え得る。
さらに、ボス部12Cに減肉部12Gが設けられ、かつ、ボス部12Bに減肉部12Eが設けられている。このため、シリンダケース12を構成する金属材料を少なくすることができ、シリンダケース12の高剛性化及び高強度化と、軽量化とを両立することが可能となる。
さらに、リブ12Hは、シリンダケース12の内面に設けられており、シリンダケース12の外面に凹凸が形成されていない。したがって、作業者が打撃作業機10を移動させる際には膝をシリンダケース12の外面に当てて行う場合があるが、このような際に膝をシリンダケース12の外面に当てても、膝とシリンダケース12との単位面積あたりの接触圧力が高くなることを回避でき、作業者が疲労を感じにくく、作業性が向上する。
本実施の形態で説明した構成と、本発明の構成との関係を説明すると、空気室C1が、本発明の流体室に相当し、シリンダケース12が、本発明のケースに相当し、モータケース11が、本発明のハウジングに相当し、ホルダ30が、本発明の先端工具保持部材に相当する。また、電動モータ13が、本発明のモータに相当し、ねじ部材31及び雌ねじ孔12Fが、本発明の第1固定要素に相当し、ねじ部材52及び軸孔12Dが、本発明の第2固定要素に相当し、作用線F1が、本発明の結ぶ位置に相当し、ボス部12Cが、本発明の第1ボス部に相当し、ボス部12Bが、本発明の第2ボス部に相当する。さらに、減肉部12Gが、本発明の第1減肉部に相当し、減肉部12Eが、本発明の第2減肉部に相当し、中間子37が、本発明の打撃力伝達部材に相当し、段部49が、本発明のストッパに相当する。さらに、凹部12J,12Kが、本発明の凹部に相当し、凹部12Jが、本発明の第1凹部に相当し、凹部12Kが、本発明の第2凹部に相当する。さらに、クランクシャフト19及びピン21が、本発明の運動変換機構に相当する。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、打撃力を発生させるための動力源であるモータは、電動モータ、油圧モータ、空気圧モータ、エンジン等を含む。つまり、モータの回転力が、ピストンの往復運動力に変換されて、打撃力が発生する。さらに、固定要素の数は任意に設定可能である。さらに、打撃作業機は、先端工具に中心線に沿った方向に打撃力が加えられる構造の他、先端工具に打撃力及び回転力を加えることの可能な構造を含む。
本発明の打撃作業機は、コンクリートまたは石材などに、穴あけを行う先端工具に打撃力を加える構造を含む。本発明の打撃作業機は、先端工具に打撃力を加えて地面を突き固める構造を含む。さらに本発明の打撃作業機は、先端工具を打撃して、対象物に穴、溝を形成したり、対象物に角部を形成したりする構造を含む。
さらに、本発明における固定要素は、ねじ部材と雌ねじ孔との組み合わせの他、スタッドボルトとナットとの組み合わせを含む。さらに、モータの出力軸の回転力を、ピストンの往復動力に変換する運動変換機構は、クランクシャフトを用いる構造の他、カム機構を用いる構造を含む。さらに、本発明の打撃作業機は、モータの出力軸の中心線と、ピストンの動作方向の中心線とが交差して配置されている構造の他、モータの出力軸の中心線と、ピストンの動作方向の中心線とが、平行に配置されている構造を含む。本発明におけるリブは、ケースの外面に設けられていてもよい。つまり、リブは、ケースの表面から径方向に突出していればよい。さらに、本発明の打撃作業機は、電動モータに電力を供給する電池パックをケースに着脱できる構造を含む。
さらに、本発明における打撃機構は、モータの回転力をピストンの往復動力に変換し、かつ、流体室の圧力で打撃子を打撃する第1の手段の他、ばねの弾性力で打撃子を打撃する第2の手段、圧縮空気の圧力で打撃子を打撃する第3の手段を含む。第2の手段は、打撃子をモータの動力でばねの弾性力に抗して動作させた後、打撃子に伝達するモータの動力を低下させ、ばねの弾性力で打撃子を打撃する機構である。第3の手段は、打撃子を打撃する圧力を生じる空気室と、空気室につながる圧縮空気の通路と、通路を開閉するバルブと、有し、バルブを開閉することで、打撃子を打撃する機構である。
本発明におけるリブは、中心線に沿った方向でケースの強度を高めるための構造である。本発明におけるモータは、ピストンを動作させる動力源である。本発明における固定要素は、中心線に沿った方向でケースとケースとを互いに位置決めし、かつ、互いに固定する。本発明における減肉部は、ケースの強度を高めた構成において、ケースを構成する材料を減らし、軽量化を図る目的で形成されている。
(比較例)
比較例の打撃作業機に用いるシリンダケースを、図5及び図6(A),(B)を参照して説明する。シリンダケース100は、筒形状の胴部101と、胴部101の両端に形成されたボス部102,103を有する。ボス部102に複数の軸孔104が設けられており、複数の軸孔104にそれぞれねじ部材105が挿入されて、シリンダケース100が、ケースに固定される。ボス部103に雌ねじ孔109が複数設けられ、雌ねじ孔109にそれぞれ挿入される複数のねじ部材106が設けられている。複数のねじ部材106は、ホルダをボス部103に固定する。
胴部101の外面には、中心線D1に沿った方向にリブ107が設けられている。リブ107は胴部101の外面から突出している。リブ107は、胴部101の円周方向に沿って複数配置されている。リブ107同士は平行に配置されている。また、ボス部103に減肉部108が複数設けられている。減肉部108は、ボス部103の外周面に開口されている。シリンダケース100の円周方向に、減肉部108と雌ねじ孔109とが交互に配置されている。
比較例の打撃作業機は、シリンダケース100の外面に、リブ107及び減肉部108が設けられており、シリンダケース100の外面に凹凸が存在する。このため、作業者の膝がシリンダケース100の外面に接触すると、膝とシリンダケース100の外面との単位面積あたりの接触圧力が高くなる。したがって、作業者が痛みを感じ、作業効率が著しく低下する。
10…打撃作業機、11…モータケース、12…シリンダケース、12A…胴部、12B,12C…ボス部、12D…軸孔、12E,12G…減肉部、12F…雌ねじ孔、12H…リブ、12J,12K…凹部、12M,12N…側壁、28…ピストン、29…打撃子、30…ホルダ、31,52…ねじ部材、37…中間子、43…先端工具、49…段部、A1…中心線、C1…空気室、F1…作用線。

Claims (14)

  1. ピストンの動作により圧力が変化する流体室と、前記流体室の圧力で動作する打撃子と、前記流体室及び前記打撃子が設けられた筒形状のケースと、前記ケースに取り付けられ、かつ、前記打撃子により打撃される先端工具を保持する先端工具保持部材と、を備えた打撃作業機であって、
    前記ケースの表面から径方向に突出し、かつ、前記ケースの側面視で、前記打撃子が動作する中心線に対して傾斜した複数のリブが設けられている、打撃作業機。
  2. 前記複数のリブは、前記ケースの内面から突出して設けられている、請求項1に記載の打撃作業機。
  3. 前記ピストンを往復動させるモータと、
    前記モータを支持し、かつ、前記ケースが固定されるハウジングと、
    前記先端工具保持部材と前記ケースとを互いに固定し、かつ、前記中心線を中心とする円周方向に配置された複数の第1固定要素と、
    前記ケースと前記ハウジングとを互いに固定し、かつ、前記中心線を中心とする円周方向で、前記複数の第1固定要素とは異なる位置に配置された複数の第2固定要素と、
    が設けられ、
    前記複数のリブは、前記ケースの側面視で前記第1固定要素と前記第2固定要素とをそれぞれ結ぶ位置に配置されている、請求項1または2に記載の打撃作業機。
  4. 前記第1固定要素の数と前記第2固定要素の数とが同数である、請求項3に記載の打撃作業機。
  5. 前記ケースは、前記中心線を囲む胴部と、前記中心線に沿った方向で前記胴部の両端に接続された第1ボス部及び第2ボス部と、を備え、
    前記複数のリブは、前記胴部の内面に設けられ、
    前記第1固定要素は、前記第1ボス部と前記先端工具保持部材とを互いに固定し、
    前記第2固定要素は、前記第2ボス部と前記ケースとを互いに固定し、
    前記第1ボス部は、第1減肉部を備え、前記第2ボス部は、第2減肉部を備えている、請求項3または4に記載の打撃作業機。
  6. 前記打撃子の打撃力を前記先端工具に伝達する打撃力伝達部材が設けられ、
    前記先端工具保持部材は、前記打撃力伝達部材が前記ピストンから離れる向きで前記中心線に沿った方向に移動することを規制するストッパを備えている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の打撃作業機。
  7. ピストンの動作により圧力が変化する流体室と、前記流体室の圧力で動作する打撃子と、前記流体室及び前記打撃子が設けられた筒形状のケースと、前記ケースに取り付けられ、かつ、前記打撃子により打撃される先端工具を保持する先端工具保持部材と、を備えた打撃作業機であって、
    前記ケースの内面から径方向で外側に向けて窪んだ複数の凹部と、
    前記ケースの側面視で、前記複数の凹部の内縁をそれぞれ形成し、かつ、前記打撃子が動作する中心線に対して傾斜した側壁と、
    を有する、打撃作業機。
  8. 前記複数の凹部は、前記ケースの側面視で、前記ケースの円周方向における幅が、前記中心線に沿った方向で前記先端工具保持部材から離れるに伴い狭くなる三角形状の第1凹部と、前記ケースの円周方向における幅が前記先端工具保持部材から離れるに伴い広くなる三角形状の第2凹部と、
    を含む、請求項7に記載の打撃作業機。
  9. 前記先端工具保持部材を前記ケースに固定する第1固定要素が、前記中心線を中心とする円周方向に複数設けられ、
    前記第1凹部は、前記円周方向で前記複数の第1固定要素の間に配置されている、請求項8に記載の打撃作業機。
  10. 前記ピストンを往復動させるモータと、
    前記モータを支持し、かつ、前記ケースに固定されるハウジングと、
    前記ケースを前記ハウジングに固定し、かつ、前記中心線を中心とする円周方向で、前記複数の第1固定要素とは異なる位置に配置された複数の第2固定要素と、
    が設けられ、
    前記第2凹部は、前記円周方向で前記複数の第2固定要素の間に配置されている、請求項9に記載の打撃作業機。
  11. 前記ケースは、前記中心線を囲む胴部と、前記中心線に沿った方向で前記胴部の両端に接続された第1ボス部及び第2ボス部と、を備え、
    前記複数の凹部は、前記胴部の内面に設けられ、
    前記第1固定要素は、前記第1ボス部と前記先端工具保持部材とを互いに固定し、
    前記第2固定要素は、前記第2ボス部と前記ハウジングとを互いに固定し、
    前記第1ボス部は、第1減肉部を備え、前記第2ボス部は、第2減肉部を備え、
    前記第1凹部は、前記第1減肉部とつながっている、請求項10に記載の打撃作業機。
  12. 前記打撃子の打撃力を前記先端工具に伝達する打撃力伝達部材が設けられ、
    前記先端工具保持部材は、前記打撃力伝達部材が前記ピストンから離れる向きで前記中心線に沿った方向に移動することを規制するストッパを備えている、請求項7〜11のいずれか1項に記載の打撃作業機。
  13. 打撃機構により動作される打撃子を支持するケースと、前記ケースに取り付けられ、かつ、前記打撃子により打撃される先端工具を保持する先端工具保持部材と、を備えた打撃作業機であって、
    前記ケースの表面から径方向に突出し、かつ、前記ケースの側面視で、前記打撃子が動作する中心線に対して傾斜した複数のリブが設けられている、打撃作業機。
  14. 前記打撃機構は、
    回転する出力軸を有するモータと、
    前記出力軸の回転力をピストンの往復動力に変換する運動変換機構と、
    前記ピストンの往復動により圧力が変化し、かつ、前記打撃子を打撃する流体室と、
    を備えている、請求項13に記載の打撃作業機。
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