JP2015205551A - スポイラー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂製の第一部材1と合成樹脂製の第二部材2とを具備して、双方が振動溶着で一体化されたスポイラーにおいて、前記第二部材2の裏面2bに凸部21が設けられる一方、前記第一部材1には該凸部21に対向する部位に開口窓10が設けられ、前記凸部21のうち、少なくとも振動溶着の振動方向と向かい合う側の両側外壁面21a,21aが、該開口窓10を介して該第一部材1の下面1a側に露出するように配されてなる。
【選択図】図1
Description
しかし、振動溶着治具の下治具に二つの部材を重ね合わせてセットする際、実際に重ね合わさった二つの部材(第一部材と第二部材)が振幅方向に対し位置決めできないとなると、外周縁での両部材間の隙間(図10のε1,ε2)に、振幅の幅(例えば約1mm)でバラツキが生じることになる。振動方向にバラツキがあると、精度が要求される製品では不良になる問題があった。例えば、振動溶着リアスポイラーの設定振幅は1.0〜1.5mmほどであるが、製品として溶着後の第一部材,第二部材の合わせ位置が0.5mmも変われば、車両建て付けにおいて大きく影響を及ぼし問題となる。
請求項4に記載の発明の要旨は、合成樹脂製の第一部材(1)と合成樹脂製の第二部材(2)とを具備して、双方が振動溶着で一体化されたスポイラーにおいて、
前記第二部材(2)の裏面(2b)に凸部(21)が設けられる一方、前記第一部材(1)には該凸部(21)に対向する部位に開口窓(10)が設けられ、前記凸部(21)のうち、少なくとも振動溶着の振動方向と向かい合う側の両側外壁面(21a,21a)が、該開口窓(10)を介して該第一部材(1)の下面(1a)側に露出するように配されてなることを特徴とするスポイラーにある。請求項5のスポイラーは、請求項4で、凸部(21)の両側外壁面(21a,21a)が、該凸部(21)の前記第二部材裏面(2b)側から凸部先端(211)へ向けて間隔が狭まる側面視ハの字状に傾く斜面(212)を形成することを特徴とする。請求項6のスポイラーは、請求項4又は5で、第二部材(2)に、錐台状の櫓体(25)がその周りの裏面(2b)よりも隆起して一体成形され、且つ該櫓体(25)の天面(252)に透孔(252c)が貫通形成される一方、前記第一部材(1)には、前記櫓体(25)を覆う覆体(15)が一体成形され、且つ前記透孔(252c)と向き合う位置に通孔(152c)が形成されて、該通孔(152c)及び前記透孔(252c)への締結部材(SW)の挿入により第一部材(1)と第二部材(2)とを締結し、さらに該櫓体(25)に係る錐面の対面両壁部(251a,251a)に対応する覆体(15)の両側板(151,151)部位に切欠開口(151c)が設けられて、該切欠開口(151c)を前記開口窓(10)にして、該櫓体(25)を前記凸部(21)としたことを特徴とする。
(1)実施形態1
図1〜図11は本発明に係るスポイラー及びその製造方法の一形態で、図1は(イ)が下面側から見たスポイラーの概略斜視図、(ロ)が(イ)の要部斜視図、図2は図1の分解斜視図、図3は図1(ロ)に代わる他態様図、図4は下治具に第一部材をセットした車両前後方向での説明断面図、図5は図4の第一部材に第二部材を載置した説明断面図、図6は図5に対応する車幅方向での説明断面図、図7は図6の凸部に係合部を係合させた説明断面図、図8は図7の後、上下治具を閉じた説明断面図、図9は図8の凸部への係合部を解除した説明断面図、図10は図9の後に、振動溶着で第一部材に第二部材が一体化された説明断面図、図11は図6,図7に代わる凸部,係合部周りの他態様図である。尚、第一部材,第二部材は簡略図示し、溶着用の疣状突起kを強調して大きく描く。また図面を判り易くするため、図3を除き、断面を示すハッチングの図示を省く。
スポイラーPは、合成樹脂製の板状第一部材1と合成樹脂製の板状第二部材2とを具備し、双方が振動溶着で一体化されたものである。自動車のルーフエンド近くのバックドアに、車幅方向に延びる翼状の本スポイラーPが取付けられる。
第一部材1と第二部材2には、アッパー部材2とロア部材1の組合せやアウター部材とインナー部材との組合せがあるが、ここでは第一部材1をロア部材とし、第二部材2をアッパー部材とする。ロア部材1とアッパー部材2とが振動溶着で一体化されるスポイラーPになっている。
アッパー部材2における振動溶着の箇所は、裏面2b側であり、振動溶着時にロア部材1の溶着用の疣状突起kと対向,当接する。本実施形態の振動溶着の振動方向(以下、単に「振動方向」ともいう。)は車幅方向とする。振動溶着で、振動方向の振動に伴う製品の寸法バラツキをなくすべく、アッパー部材2の裏面2bには位置決め専用の凸部21が設けられる。凸部21は、車両後方側の車幅中央に位置するハイマウントストップランプ収容部13内に配しており、スポイラー外観に問題が生じることはない。尚、符号131はハイマウントストップランプ収容部13の第一底板部分、符号132は第二底板部分、符号135は縦壁部分、符号136は端面部分を示す。
アッパー部材2がロア部材1との振動溶着で一体化されたスポイラーPになると、凸部21のうち、少なくとも振動方向と向かい合う側の両側外壁面21a,21aが、ロア部材1の開口窓10を介してロア部材下面1a側に露出するように配される。
そして、ロア部材1には、アッパー部材2との組付け,セットで、前記凸部21に対向する部位に開口窓10が設けられる。スポイラーPが出来上がると、前記凸部21の両側外壁面21a,21aが、この開口窓10を介してロア部材1の下面1a側に露出する(図1,図3)。
ここでは、四角錐台状錐面に係る両側外壁面21a,21aが、凸部21のアッパー部材裏面2b側から凸部先端211へ向けて間隔が狭くなり、振動方向に対する側面視で、図11のようなハの字状に傾く両斜面212,212を形成する。次に述べるスポイラーの製造方法において、振動溶着の振動方向で、把持部75aを用いてロア部材1に対するアッパー部材2の位置決めの精度をより高められるからである(詳細後述)。
(1a)で述べたスポイラーPは、例えば次のような工程を経て製造される。
製造に先立ち、裏面2bに凸部21を設けたアッパー部材2と、該凸部21に対向する板状部位に開口窓10を設けたロア部材1とを準備する。尚、アッパー部材2,ロア部材1は、図2のごとく、図4,図5の車両前後方向長さに比べて図6〜図10の車幅方向の方が長いが、図6〜図10は、アッパー部材2,ロア部材1の要部を大きく描いて判り易くするため、車幅方向長さを実際よりも縮めて図示する。
また、ロア部材1の下面1aを反転した支持面61を有し、該支持面61にロア部材1をセットした際、開口窓10に位置決め装置7が臨む下治具6と、アッパー部材2の意匠面2aを反転した受面81を有する上治具8と、を具備する溶着設備5を用意する。下治具6は、開口窓10に対向する下方部位に位置決め装置7を備える。前記支持面61の上方で受面81が対向するように下治具6の上方に上治具8が配設される。下治具6を上昇させ (又は上治具8を下降させ)、ロア部材1,アッパー部材2を介在させて、上下治具6,8を閉じることができる。下治具6にロア部材1をセットし、該ロア部材1上にアッパー部材2を載置した状況下(図5,図6)、位置決め装置7は、ロッド72の上昇によりその先端に設けた係合部75を、開口窓10に臨む凸部21に係合させ、アッパー部材2の振動方向の位置決めができる。
アッパー部材2の車両前後方向に関しては、図5のごとくロア部材1の車両前後方向の端縁141にアッパー部材外周縁24の隆起部分241が近接又は当接することにより、位置決めがなされる。尚、ロア部材1へのアッパー部材2の車両前後方向の位置決めは、例えば特開2014-12471号公報のごとく、ロア部材(同公報ではアウター部材)に形成した位置決めリブによってアッパー部材(同公報ではインナー部材)の車両前後方向の移動を規制して、位置決めするなどしてもよい。
ロア部材1上にアッパー部材2が載置されると、溶着用疣状突起k上にアッパー部材2が載る図5,図6の姿態となるが、ロア部材1には四角錐台状凸部21に対向する部位に開口窓10が設けられていることから、凸部21が開口窓10を介してロア部材1の下面1a側に露出する。ロア部材1の開口窓10に下治具6の位置決め装置7が臨んでおり、凸部先端の天面21cが、位置決め装置7のロッド先端に設けた係合部75たる把持部75aと対向する。
図12,図13は別形態のスポイラーPで、図12は図1,図2に対応するスポイラーの全体斜視図と分解斜視図、図13は図12の要部拡大図である。尚、櫓体25,覆体15は図面を判り易くするため大きく描く。
本実施形態は、第一部材1と第二部材2との振動溶着に加えて、螺子部材やリベット等の機械締結用締結部材SWで第一部材1と第二部材2とを補助締結できるようにしたスポイラーPである。アッパー部材2とロア部材1とを、溶着結合と共に機械締結する大型スポイラーになっている。実施形態1と同様、ここでも第一部材1をロア部材1、第二部材2をアッパー部材2とする。補助締結用の櫓体25がアッパー部材2に設けられ、該櫓体25を覆う補助締結用の覆体15がロア部材1に設けられる。
櫓体25が凸部21になるよう、振動方向と向かい合う側の覆体15に係る両側板151に切欠開口151cが一対設けられる。切欠開口151cは、図13のごとく両側板151の大半を切欠き、さらに天板155の一部にまでその切欠が及ぶ。切欠開口151cの形成によって、櫓体25の対面両壁部251a,251aが凸部21の両側外壁面21a,21aにもなり、該切欠開口151cを介してロア部材1の下面1a側に両側外壁面21a,21aが露出する(図13)。櫓体25,覆体15を補助締結用にするにとどまらず、アッパー部材2の位置決め用としても利用したスポイラーPになっている。本実施形態は、さらにロア部材1に覆体15の側板151から天板155に及ぶ切欠開口151cを設けるに終わらず、覆体15に係る側板151の基端周囲のロア部材域1fをも切り欠く開口窓10とする。位置決め装置7の把持部75aで、櫓体25の対面両壁部251aを挟着し易くするためである。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
(2a)で述べたスポイラーPは例えば次のようにして造ることができる。
製造に先立ち、図12のアッパー部材2とロア部材1とを準備する。アッパー部材2は、錐台状の櫓体25をその周りのアッパー部材裏面2bよりも隆起させて一体成形し、且つ該櫓体25の天面252に透孔252cを貫通形成する。ロア部材1は、天面152に通孔152cが形成された覆体15を一体成形して、アッパー部材2との位置合わせ,セットで、覆体15が櫓体25を覆い、且つ透孔252cに通孔152cが向き合うようにする。そして、通孔152c及び透孔252cへ締結部材SWを挿着してロア部材1とアッパー部材2とを機械締結できるようする。さらに櫓体25に係る錐面のうち、振動方向と向かい合う側の対面両壁部251a,251aに対応する覆体15の両側板151,151部位に切欠開口151cを設ける。該切欠開口151cを開口窓10にして、櫓体25が凸部21にもなるようにする。
また、実施形態1で述べたような溶着設備5を用意する。
スポイラーの製造は、まず下治具6の支持面61に溶着面1b側を上向きにしたロア部材1をセットし(第一工程)、ロア部材1上の溶着面1bに裏面2bが対向するようにアッパー部材2を載置する(第二工程)。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
このように構成したスポイラー及びその製造方法によれば、下治具6上にセットされたロア部材1の開口窓10を介して、該ロア部材1上に載置したアッパー部材2の凸部21へ下治具6の位置決め装置7に係る係合部75を係合できるので、下治具6,ロア部材1に対し、アッパー部材2の振動方向の位置決めが精度良くできる。そして、この状態を保ったまま振動溶着し、且つ溶着振動機に取付けられた上治具8は振動溶着のスタート時と終了時の地点を同じにできるので、アッパー部材2とロア部材1との振動方向の位置ズレを少なくした製品を造ることができる。下治具6からアッパー部材裏面2bに設けた凸部21を係合部75で掴まえる機構で、且つ振動溶着の振動直前まで、凸部21を掴まえておくことで、ロア部材1,アッパー部材2の振動方向の位置ズレを最小限に抑えることができる。溶着一体化されたロア部材1とアッパー部材2との振動方向のバラツキをなくし、品質向上,歩留まり向上につながるスポイラーPを生産できる。
一方、本発明は、車幅方向(振動方向)に対するロア部材1,アッパー部材2の位置決めを、凸部21と開口窓10を設けて下治具6だけで完結できるので、振動方向のバラツキをなくした品質的に優れるスポイラーPを提供できる。下治具6に位置決めセットされたロア部材1にアッパー部材2を載せ、凸部21に係合部75を係合させて、下治具6,ロア部材1に対しアッパー部材2の直接的な位置決めが可能であり、スポイラーPの品質向上に貢献できる。下治具6上で、ロア部材1,アッパー部材2が車両前後方向のみならず振動方向の車幅方向にも位置決めセットされる。このロア部材1,アッパー部材2を、該下治具6と上治具8とで圧接状態で閉じ、次に、上治具8と一緒にアッパー部材2を振動させるのであるが、両部材1,2の溶着を終えた後、振動前のスタート時の地点に戻れるので、振動方向のロア部材1,アッパー部材2の位置関係において、両部材1,2が位置決めセットされた初期状態で溶着一体化される。溶着に伴う振動方向の振幅に影響されず、歩留まり向上が期待できる良好なスポイラーPを生産できる。
1b 溶着面
151 側板
151c 切欠開口
152c 通孔
155 天板
2 第二部材(アッパー部材)
2b 裏面(溶着面)
21 凸部
21a 両側外壁面
25 櫓体
251a 対面両壁部
252 天面
252c 透孔
6 下治具
61 支持面
7 位置決め装置
72 ロッド
75 係合部
8 上治具
SW 締結部材
Claims (6)
- 合成樹脂製の第一部材(1)と合成樹脂製の第二部材(2)とを振動溶着で一体化するスポイラーの製造方法において、
前記第二部材(2)の裏面(2b)に凸部(21)を設ける一方、前記第一部材(1)には該凸部(21)に対向する部位に開口窓(10)を設けて、下治具(6)の支持面(61)に溶着面(1b)側が上向きになる該第一部材(1)をセットすると共に、該溶着面(1b)に裏面(2b)が対向するように前記第二部材(2)を載置して、該凸部(21)が開口窓(10)を介して該第一部材(1)の下面(1a)側に露出するようにし、次に、下治具(6)に備える位置決め装置(7)に設けた係合部(75)を前記開口窓(10)に臨む前記凸部(21)に係合させて、第二部材(2)の振動方向の位置決めをし、その後、下治具(6)を上昇させるか又は上治具を下降させて上下治具(6,8)を閉じて、第一部材(1)と第二部材(2)とを圧接状態にし、続いて、前記凸部(21)への係合部(75)の係合を解除した後、振動溶着を行うことを特徴とするスポイラーの製造方法。 - 前記係合部(75)を、対向する両板片部(751)が振動溶着の振動方向に離間状態で突出して前記凸部(21)の両側外壁面(21a,21a)を挟着できる把持部(75a)とし、且つ前記両板片部(751)に係る内板面(752)の縦断面形状を先端に向け側面視逆ハの字状に広がるようにした請求項1記載のスポイラーの製造方法。
- 前記第二部材(2)に、錐台状の櫓体(25)をその周りの裏面(2b)よりも隆起させて一体成形し、且つ該櫓体(25)の天面(252)に透孔(252c)を貫通形成する一方、前記第一部材(1)には、天板(155)に通孔(152c)が形成された覆体(15)を一体成形して、該第二部材(2)との位置合わせ,セットで、該覆体(15)が前記櫓体(25)を覆い、且つ前記透孔(252c)に該通孔(152c)が向き合い、該通孔(152c)及び前記透孔(252c)への締結部材(SW)の挿入により第一部材(1)と第二部材(2)とを締結できるようにし、さらに該櫓体(25)に係る錐面の対面両壁部(251a,251a)に対応する覆体(15)の両側板(151,151)部位に切欠開口(151c)を設け、該切欠開口(151c)を前記開口窓(10)にして、該櫓体(25)が前記凸部(21)にもなるようにした請求項1又は2に記載のスポイラーの製造方法。
- 合成樹脂製の第一部材(1)と合成樹脂製の第二部材(2)とを具備して、双方が振動溶着で一体化されたスポイラーにおいて、
前記第二部材(2)の裏面(2b)に凸部(21)が設けられる一方、前記第一部材(1)には該凸部(21)に対向する部位に開口窓(10)が設けられ、前記凸部(21)のうち、少なくとも振動溶着の振動方向と向かい合う側の両側外壁面(21a,21a)が、該開口窓(10)を介して該第一部材(1)の下面(1a)側に露出するように配されてなることを特徴とするスポイラー。 - 前記凸部(21)の両側外壁面(21a,21a)が、該凸部(21)の前記第二部材裏面(2b)側から凸部先端(211)へ向けて間隔が狭まる側面視ハの字状に傾く斜面(212)を形成する請求項4記載のスポイラー。
- 前記第二部材(2)に、錐台状の櫓体(25)がその周りの裏面(2b)よりも隆起して一体成形され、且つ該櫓体(25)の天面(252)に透孔(252c)が貫通形成される一方、前記第一部材(1)には、前記櫓体(25)を覆う覆体(15)が一体成形され、且つ前記透孔(252c)と向き合う位置に通孔(152c)が形成されて、該通孔(152c)及び前記透孔(252c)への締結部材(SW)の挿入により第一部材(1)と第二部材(2)とを締結し、さらに該櫓体(25)に係る錐面の対面両壁部(251a,251a)に対応する覆体(15)の両側板(151,151)部位に切欠開口(151c)が設けられて、該切欠開口(151c)を前記開口窓(10)にして、該櫓体(25)を前記凸部(21)とした請求項4又は5に記載のスポイラー。
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