JP2015200692A - 電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示品質を高めることが可能な電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器を提供する。
【解決手段】素子基板10と、素子基板10とシール材を介して対向するように配置された対向基板20と、シール材で囲まれた領域に封入された液晶層15と、素子基板10と液晶層15との間に配置された画素電極27と、対向基板20と液晶層15との間に配置された対向電極31と、画素電極27を覆うように配置された第1無機配向膜28と、対向電極31を覆うように配置された第2無機配向膜32と、第1無機配向膜28の上に被覆された第1有機膜28aと、第2無機配向膜32の上に被覆された第2有機膜32aと、を含み、第1有機膜28aを形成するのに用いられる表面処理剤が含む原料の炭素数と比較して、第2有機膜32aを形成するのに用いられる表面処理剤が含む原料の炭素数が多い。
【選択図】図5

Description

本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器に関する。
上記電気光学装置として、例えば、画素電極をスイッチング制御する素子としてトランジスターを画素ごとに備えたアクティブ駆動方式の液晶装置が知られている。液晶装置は、例えば、直視型ディスプレイやライトバルブなどにおいて用いられている。
液晶装置は、例えば、画素電極が形成された素子基板と、共通電極が形成された対向基板との間に液晶層が挟持されている。このような液晶装置は、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、共通電極と液晶層との間の電荷移動量とにおいて差が生じやすい。これにより、プラス方向又はマイナス方向にフリッカーミニマムとなる最適Vcomがシフトし、その結果、フリッカーが生じるという問題がある。
そこで、特許文献1では、金属電極からなる画素電極のみに表面処理を施し、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、共通電極と液晶層との間の電荷移動量とを合わせて、フリッカーなど表示品質が低下することを抑えている方法が開示されている。
特開2011−209547号公報
しかしながら、電極の材質だけでなく、画素電極と共通電極との平面的な面積差によっても電荷移動量が変わることから、フリッカーが生じるなど表示品質が低下するという課題がある。
本発明の態様は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る電気光学装置は、素子基板と、前記素子基板とシール材を介して対向するように配置された対向基板と、前記シール材で囲まれた領域に封入された電気光学層と、前記素子基板と前記電気光学層との間に配置された画素電極と、前記対向基板と前記電気光学層との間に配置された対向電極と、前記画素電極を覆うように配置された第1配向膜と、前記対向電極を覆うように配置された第2配向膜と、前記第1配向膜を覆うように配置された第1有機膜と、前記第2配向膜を覆うように配置された第2有機膜と、を含み、前記第1有機膜の分子が含む炭素数と比較して、前記第2有機膜の分子が含む炭素数が多いことを特徴とする。この電気光学装置は、前記第1有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数と比較して、前記第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が多いというものである。
本適用例によれば、マイナスイオンの吸着量は炭素数に比例するので、第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を多くすることにより、第2有機膜の分子の炭素数が多くなる。よって、第2有機膜に多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、透過型の電気光学装置のように、電極の材質が同じであり、電極の面積に差がある場合、具体的には、画素電極と比較して対向電極の開口面積が大きい場合、対向電極側に多くのマイナスイオンを集めることが可能となり、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、対向電極と液晶層との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、Vcomシフトを抑えることが可能となり、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例2]本適用例に係る電気光学装置は、素子基板と、前記素子基板とシール材を介して対向するように配置された対向基板と、前記シール材で囲まれた領域に封入された電気光学層と、前記素子基板と前記電気光学層との間に配置された画素電極と、前記対向基板と前記電気光学層との間に配置された対向電極と、前記画素電極を覆うように配置された第1配向膜と、前記対向電極を覆うように配置された第2配向膜と、前記第1配向膜を覆うように配置された第1有機膜と、前記第2配向膜を覆うように配置された第2有機膜と、を含み、前記第1有機膜の分子が含む炭素数と比較して、前記第2有機膜の分子が含む炭素数が少ないことを特徴とする。この電気光学装置は、前記第1有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数と比較して、前記第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が少ないというものである。
本適用例によれば、マイナスイオンの吸着量は炭素数に比例するので、第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の炭素数が少ない、つまり第1有機膜の分子の炭素数を多くすることにより、第1有機膜に多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、反射型の電気光学装置のように、電極の材質が異なる場合、具体的には、画素電極に金属材料を用いて、対向電極にITOを用いた場合、画素電極側に多くのマイナスイオンを集めることが可能となり、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、対向電極と液晶層との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例3]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第2有機膜の分子が含む炭素数は、前記第1有機膜の分子が含む炭素数より1〜3多いことが好ましい。これにより、前記第2有機膜の分子が含む炭素数は、前記第1有機膜の分子が含む炭素数より1〜3多くなる。
本適用例によれば、第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が多いので、第2有機膜の分子の炭素数が多くなる。よって、第2有機膜に多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、透過型の電気光学装置のように、電極の材質が同じであり、電極の面積に差がある場合、具体的には、画素電極と比較して対向電極の開口面積が大きい場合、対向電極側に多くのマイナスイオンを集めることが可能となり、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、対向電極と液晶層との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例4]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第1有機膜の分子が含む炭素数は、前記第2有機膜の分子が含む炭素数より5〜10多いことが好ましい。これにより、前記第1有機膜の分子が含む炭素数は、前記第2有機膜の分子が含む炭素数より5〜10多くなる。
本適用例によれば、第1有機膜を形成するための表面処理剤が含む分子の原料の炭素数が多いので、第1有機膜の分子の炭素数が多くなる。よって、第1有機膜に多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、反射型の電気光学装置のように、電極の材質が異なる場合、具体的には、画素電極に金属材料を用いて、対向電極にITOを用いた場合、画素電極側に多くのマイナスイオンを集めることが可能となり、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、対向電極と液晶層との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例5]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第1配向膜及び前記第2配向膜は、無機配向膜であり、前記第1有機膜は、シランカップリング材から生成される物質を含むことが好ましい。
本適用例によれば、第1配向膜及び第2配向膜が無機配向膜であり、無機配向膜の表面にシラノール基が存在するので、シラノール基とシランカップリング材の加水分解基とを反応させることが可能となり、無機配向膜の表面にシランカップリング材から生成される物質を付与することができる。その結果、無機配向膜に表面処理を施すことが可能となり、表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例6]本適用例に係る電気光学装置の製造方法は、画素電極を覆うように配置された第1配向膜に第1の表面処理を行い、第1有機膜を形成する工程と、対向電極を覆うように配置された第2配向膜に第2の表面処理を行い、第2有機膜を形成する工程と、を含み、前記第1の表面処理を行い、前記第1有機膜を形成する工程に用いる第1の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数と比較して、前記第2の表面処理を行い、前記第2有機膜を形成する工程に用いる第2の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が多いことを特徴とする。この製造方法は、前記第1配向膜の上に第1有機膜を表面処理により形成する工程と、前記第2配向膜の上に第2有機膜を表面処理により形成する工程と、を有し、前記表面処理する工程は、前記第1有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数と比較して、前記第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が多くなるように表面処理をすることを特徴とする。
本適用例によれば、第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が多くなるように表面処理をするので、例えば、透過型の電気光学装置のように、電極の材質が同じであり、電極の面積に差がある場合、具体的には、画素電極と比較して対向電極の開口面積が大きい場合、第2有機膜に多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、対向電極と液晶層との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例7]本適用例に係る電気光学装置の製造方法は、画素電極を覆うように配置された第1配向膜に第1の表面処理を行い、第1有機膜を形成する工程と、対向電極を覆うように配置された第2配向膜に第2の表面処理を行い、第2有機膜を形成する工程と、を含み、前記第1の表面処理を行い、前記第1有機膜を形成する工程に用いる第1の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数と比較して、前記第2の表面処理を行い、前記第2有機膜を形成する工程に用いる第2の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が少ないことを特徴とする。この製造方法は、前記第1配向膜の上に第1有機膜を表面処理により形成する工程と、前記第2配向膜の上に第2有機膜を表面処理により形成する工程と、を有し、前記表面処理する工程は、前記第1有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の炭素数と比較して、前記第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の炭素数が少なくなるように表面処理をすることを特徴とする。
本適用例によれば、第2有機膜を形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が少ない、つまり第1有機膜の分子の炭素数が多くなるように表面処理をするので、例えば、反射型の電気光学装置のように、電極の材質が異なる場合、具体的には、画素電極に金属材料を用いて、対向電極にITOを用いた場合、第1有機膜に多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、画素電極と液晶層との間の電荷移動量と、対向電極と液晶層との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例8]上記適用例に係る電気光学装置の製造方法において、前記第1配向膜及び前記第2配向膜は、無機配向膜であり、前記第1の表面処理及び前記第2の表面処理は、シランカップリング処理であることが好ましい。
本適用例によれば、第1配向膜及び第2配向膜が無機配向膜であり、無機配向膜の表面にシラノール基が存在するので、シラノール基とシランカップリング材の加水分解基とを反応させることが可能となり、無機配向膜の表面にシランカップリング材から生成された物質を付与することができる。その結果、無機配向膜に表面処理を施すことが可能となり、表示品質が低下することを抑えることができる。
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記電気光学装置を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、上記電気光学装置を備えているので、表示特性を向上させることが可能な電子機器を提供することができる。
液晶装置の構成を示す模式平面図。 図1に示す液晶装置のH−H’線に沿う模式断面図。 液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。 液晶装置のうち主に画素の構造を示す模式断面図。 液晶装置のうち主に無機配向膜の構成、及び有機膜の構成を示す模式断面図。 液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャート。 液晶装置の製造方法のうち一部の製造方法を工程順に示す模式断面図。 液晶装置の製造方法のうち一部の製造方法を工程順に示す模式断面図。 CVD装置の構造を示す模式図。 液晶装置を備えた投射型表示装置の構成を示す概略図。 変形例の液晶装置の構造を示す模式断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
本実施形態では、電気光学装置として、薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば、投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
<液晶装置の構成>
図1は、液晶装置の構成を示す模式平面図である。図2は、図1に示す液晶装置のH−H’線に沿う模式断面図である。図3は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶装置の構成を、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向するように配置された素子基板10(第1基板)および対向基板20(第2基板)と、これら一対の基板10,20によって挟持された電気光学層としての液晶層15とを有する。素子基板10を構成する基板としての第1基材10a、および対向基板20を構成する第2基材20aは、例えば、ガラス基板、石英基板などの透明基板が用いられている。
素子基板10は対向基板20よりも大きく、両基板10,20は、対向基板20の外周に沿って配置されたシール材14を介して接合されている。平面視で環状に設けられたシール材14の内側で、素子基板10は対向基板20の間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層15を構成している。シール材14は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材14には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
シール材14の内縁より内側には、複数の画素Pが配列した表示領域Eが設けられている。表示領域Eは、表示に寄与する複数の画素Pに加えて、複数の画素Pを囲むように配置されたダミー画素を含むとしてもよい。また、図1及び図2では図示を省略したが、表示領域Eにおいて複数の画素Pをそれぞれ平面的に区分する遮光膜(ブラックマトリックス:BM)が対向基板20に設けられている。
素子基板10の1辺部に沿ったシール材14と該1辺部との間に、データ線駆動回路22が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材14と表示領域Eとの間に、検査回路25が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材14と表示領域Eとの間に走査線駆動回路24が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部に沿ったシール材14と検査回路25との間には、2つの走査線駆動回路24を繋ぐ複数の配線29が設けられている。
対向基板20における環状に配置されたシール材14と表示領域Eとの間には、遮光部材としての遮光膜18(見切り部)が設けられている。遮光膜18は、例えば、遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜18の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。なお、図1では図示を省略したが、表示領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光膜が設けられている。
これらデータ線駆動回路22、走査線駆動回路24に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続用端子61に接続されている。以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
図2に示すように、第1基材10aの液晶層15側の表面には、画素Pごとに設けられた透光性の画素電極27およびスイッチング素子である薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor、以降、「TFT30」と呼称する)と、信号配線と、これらを覆う配向膜28とが形成されている。
また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。本発明における素子基板10は、少なくとも画素電極27、TFT30、配向膜28を含むものである。
対向基板20の液晶層15側の表面には、遮光膜18と、これを覆うように成膜された絶縁膜33と、絶縁膜33を覆うように設けられた対向電極31と、対向電極31を覆う配向膜32とが設けられている。本発明における対向基板20は、少なくとも絶縁膜33、対向電極31、配向膜32を含むものである。
遮光膜18は、図1に示すように、表示領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路24、検査回路25と重なる位置に設けられている(図示簡略)。これにより対向基板20側からこれらの駆動回路を含む周辺回路に入射する光を遮蔽して、周辺回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
絶縁膜33は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜18を覆うように設けられている。このような絶縁膜33の形成方法としては、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
対向電極31は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、絶縁膜33を覆うと共に、図1に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部26により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
画素電極27を覆う配向膜28、および対向電極31を覆う配向膜32は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、負の誘電異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
このような液晶装置100は透過型であって、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも大きいノーマリーホワイトや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも小さいノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
図3に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、共通電位配線としての容量線3bとを有する。走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極27と、TFT30と、容量素子16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のデータ線側ソースドレイン領域(ソース領域)に電気的に接続されている。画素電極27は、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域(ドレイン領域)に電気的に接続されている。
データ線6aは、データ線駆動回路22(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路22から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは、走査線駆動回路24(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路24から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。
データ線駆動回路22からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路24は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングで供給する。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極27に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極27を介して液晶層15に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極27と液晶層15を介して対向配置された対向電極31との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極27と対向電極31との間に形成される液晶容量と並列に容量素子16が接続されている。容量素子16は、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域と容量線3bとの間に設けられている。
<液晶装置を構成する画素の構成>
図4は、液晶装置のうち主に画素の構造を示す模式断面図である。以下、液晶装置のうち画素の構造を、図4を参照しながら説明する。なお、図4は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、明示可能な尺度で表されている。
図4に示すように、液晶装置100は、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20とを備えている。素子基板10を構成する第1基材10aは、上記したように、例えば、石英基板等によって構成されている。
図4に示すように、第1基材10a上には、例えば、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)等の材料を含む下側遮光膜3cが形成されている。下側遮光膜3cは、平面的に格子状にパターニングされており、各画素Pの開口領域を規定している。なお、下側遮光膜3cは、導電性を有し、走査線3aの一部として機能するようにしてもよい。第1基材10a及び下側遮光膜3c上には、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁層11aが形成されている。
下地絶縁層11a上には、TFT30及び走査線3a等が形成されている。TFT30は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、ポリシリコン(高純度の多結晶シリコン)等からなる半導体層30aと、半導体層30a上に形成されたゲート絶縁層11gと、ゲート絶縁層11g上に形成されたポリシリコン膜等からなるゲート電極30gとを有する。走査線3aは、ゲート電極30gとしても機能する。
半導体層30aは、例えば、リン(P)イオン等のN型の不純物イオンが注入されることにより、N型のTFT30として形成されている。具体的には、半導体層30aは、チャネル領域30cと、データ線側LDD領域30s1と、データ線側ソースドレイン領域30sと、画素電極側LDD領域30d1と、画素電極側ソースドレイン領域30dとを備えている。
チャネル領域30cには、ボロン(B)イオン等のP型の不純物イオンがドープされている。その他の領域(30s1,30s,30d1,30d)には、リン(P)イオン等のN型の不純物イオンがドープされている。このように、TFT30は、N型のTFTとして形成されている。
ゲート電極30g及びゲート絶縁層11g上には、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁層11bが形成されている。第1層間絶縁層11b上には、容量素子16が設けられている。具体的には、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域30d及び画素電極27に電気的に接続された画素電位側容量電極としての第1容量電極16aと、固定電位側容量電極としての容量線3b(第2容量電極16b)の一部とが、誘電体膜16cを介して対向配置されることにより、容量素子16が形成されている。
誘電体膜16cは、例えば、シリコン窒化膜である。第2容量電極16b(容量線3b)は、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうち少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。或いは、Al(アルミニウム)膜から形成することも可能である。
第1容量電極16aは、例えば、導電性のポリシリコン膜からなり容量素子16の画素電位側容量電極として機能する。ただし、第1容量電極16aは、容量線3bと同様に、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。第1容量電極16aは、画素電位側容量電極としての機能のほか、コンタクトホールCNT1,CNT3,CNT4を介して、画素電極27とTFT30の画素電極側ソースドレイン領域30d(ドレイン領域)とを中継接続する機能を有する。
容量素子16上には、第2層間絶縁層11cを介してデータ線6aが形成されている。データ線6aは、ゲート絶縁層11g、第1層間絶縁層11b、誘電体膜16c、及び第2層間絶縁層11cに開孔されたコンタクトホールCNT2を介して、半導体層30aのデータ線側ソースドレイン領域30s(ソース領域)に電気的に接続されている。
データ線6aの上層には、第3層間絶縁層11dを介して画素電極27が形成されている。第3層間絶縁層11dは、例えば、シリコンの酸化物や窒化物からなり、TFT30が設けられた領域を覆うことによって生じる表面の凸部を平坦化する平坦化処理が施される。平坦化処理の方法としては、例えば化学的機械的研磨処理(Chemical Mechanical Polishing:CMP処理)やスピンコート処理などが挙げられる。第3層間絶縁層11dには、コンタクトホールCNT4が形成されている。
画素電極27は、コンタクトホールCNT4,CNT3を介して第1容量電極16aに接続されることにより、半導体層30aの画素電極側ソースドレイン領域30d(ドレイン領域)に電気的に接続されている。なお、画素電極27は、例えば、ITO膜等の透明導電性膜から形成されている。
画素電極27及び隣り合う画素電極27間の第3層間絶縁層11d上には、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着した配向膜28が設けられている。配向膜28上には、シール材14(図1及び図2参照)により囲まれた空間に液晶等が封入された液晶層15が設けられている。
一方、第2基材20a上(液晶層15側)には、例えば、PSG膜(リンをドーピングしたシリコン酸化膜)などからなる絶縁膜33が設けられている。絶縁膜33上には、その全面に渡って対向電極31が設けられている。対向電極31上には、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着した配向膜32が設けられている。対向電極31は、上述の画素電極27と同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。
液晶層15は、画素電極27と対向電極31との間で電界が生じていない状態で配向膜28,32によって所定の配向状態をとる。シール材14は、素子基板10及び対向基板20を貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、素子基板10と対向基板20の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサーが混入されている。
<透過型の液晶装置における、配向膜の構成、有機膜の構成>
図5は、液晶装置のうち主に無機配向膜の構成、及び有機膜の構成を示す模式断面図である。以下、無機配向膜、及び有機膜の構成について、図5を参照しながら説明する。なお、図5は、説明しやすいように簡略化して図示する。
図5に示すように、液晶装置100は、素子基板10と対向基板20とを備えている。素子基板10を構成する第1基材10a上の表示領域Eには、画素電極27が設けられている。画素電極27の表面、及び画素電極27が設けられていない第1基材10aの表面には、斜方蒸着法によって成膜された柱状構造物(カラム)を有する第1配向膜としての第1無機配向膜28が設けられている。
柱状構造物(図示せず)は、第1基材10a上の全体に亘って密集して設けられている。これら柱状構造物は、第1基材10aに対し傾斜して設けられており、傾斜角度によって液晶層15の液晶分子にプレチルト角が付与されるようになっている。ここで、プレチルト角とは、第1基材10a表面に直交する方向と液晶分子の長軸方向とのなす角度をいう。
第1無機配向膜28には、第1有機膜28aが表面処理によって付与されている。第1有機膜28aは、例えば、シランカップリング材を用いて形成された表面処理膜である。
対向基板20を構成する第2基材20a上(液晶層側)には、対向電極31が設けられている。対向電極31上には、対向電極31を覆うように斜方蒸着法によって成膜された第2配向膜としての第2無機配向膜32が設けられている。第2無機配向膜32上には、第2有機膜32aが表面処理によって付与されている。第2有機膜32aは、第1有機膜28aと同様に、シランカップリング材を用いて形成された表面処理膜である。
表面処理剤としては、直鎖アルキルを有するシランカップリング材が用いられる。本実施形態のように、透過型の液晶装置100の場合、第2有機膜32aを形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を、第1有機膜28aを形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数より多くする。
具体的には、第1有機膜28aを形成するための表面処理剤が含む原料の炭素数より、第2有機膜32aを形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を、1〜3多くする。例えば、第1有機膜28aを形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を8とする。第2有機膜32aを形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を10とする。
マイナスイオンの吸着量は、炭素数に比例する。よって、本実施形態の透過型の液晶装置100のように、電極の材質が同じであり、電極の面積に差がある場合、具体的には、画素電極27と比較して対向電極31の開口面積が大きい場合、対向電極31側の第2有機膜32aに多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となり、画素電極27と液晶層15との間の電荷移動量と、対向電極31と液晶層15との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を調整することにより配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、Vcomシフトを抑えることが可能となり、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
<液晶装置の製造方法>
図6は、液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャートである。図7及び図8は、液晶装置の製造方法のうち一部の製造方法を工程順に示す模式断面図である。図9は、CVD装置の構造を示す模式図である。以下、液晶装置の製造方法を、図6〜図9を参照しながら説明する。
最初に、素子基板10側の製造方法を説明する。まず、ステップS11では、石英基板などからなる第1基材10a上にTFT30を形成する。具体的には、まず、第1基材10a上に、アルミニウムなどからなる下側遮光膜3c(図4参照)を成膜する。その後、周知の成膜技術を用いて、シリコン酸化膜などからなる下地絶縁層11aを成膜する。
次に、下地絶縁層11a上に、TFT30を形成する。具体的には、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術、及びエッチング技術を用いて、TFT30を形成する。以降、これらが形成された層を回路層と称して簡略化して説明する。
ステップS12では、画素電極27を形成する。具体的には、図7(a)に示すように、TFT30などを含む回路層(図示せず)の上に、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術、及びエッチング技術を用いて、ITOなどからなる画素電極27を形成する。
ステップS13では、第1無機配向膜28を形成する。具体的には、図7(b)に示すように、画素電極27を覆うように第1無機配向膜28を形成する。第1無機配向膜28の製造方法としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着する斜方蒸着法が用いられる。
ステップS14では、第1無機配向膜28に第1有機膜28aを付与する。具体的には、図7(c)に示すように、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:以下CVDという。)を用いる。以下、図9を参照しながら、CVD装置70の構造及び第1有機膜28aの製造方法を説明する。
図9に示すように、まず、素子基板10と液状のシランカップリング材の入った容器72とを、CVD装置70の真空槽の如き密閉チャンバー71に入れる。このときのシランカップリング材は、表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が8となるように調製されている。次に、ヒーター73によって容器72を加熱し、シランカップリング材を気化させる。これにより、図7(c)に示すように、第1無機配向膜28の表面に第1有機膜28aが付与される。
具体的には、第1無機配向膜28の表面のシラノール基とシランカップシング材の加水分解基とが反応し、シランカップリング材から生成される物質が付着することにより第1有機膜28aが形成される。以上により、素子基板10側が完成する。
次に、対向基板20側の製造方法を説明する。まず、ステップS21では、図8(a)に示すように、ガラス基板等の透光性材料からなる第2基材20a上に、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、対向電極31を形成する。
ステップS22では、対向電極31上に第2無機配向膜32を形成する。具体的には、図8(b)に示すように、例えば、第1無機配向膜28と同様に、斜方蒸着法を用いて形成する。
ステップS23では、第2無機配向膜32に第2有機膜32aを付与する。具体的には、図8(c)に示すように、素子基板10と同じ化学気相成長法を用いる。まず、対向基板20と液状のシランカップリング材の入った容器72とを、CVD装置70(図9参照)の真空槽の如き密閉チャンバー71に入れる。このときのシランカップリング材は、表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が10となるように調製されている。次に、ヒーター73によって容器72を加熱し、シランカップリング材を気化させる。これにより、第2無機配向膜32の表面に第2有機膜32aが付与される。
以上により、対向基板20側が完成する。次に、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる方法を説明する。
ステップS31では、素子基板10上にシール材14を塗布する。具体的には、例えば、素子基板10とディスペンサー(吐出装置でも可能)との相対的な位置関係を変化させて、素子基板10における表示領域Eの周縁部に(表示領域Eを囲むように)シール材14を塗布する。
シール材14としては、例えば、紫外線硬化型エポキシ樹脂が挙げられる。なお、紫外線などの光硬化型樹脂に限定されず、熱硬化型樹脂などを用いるようにしてもよい。また、シール材14には、例えば、素子基板10と対向基板20との間隔(ギャップ或いはセルギャップ)を所定値とするためのスペーサー等のギャップ材が含まれている。
ステップS32では、シール材14で囲まれた中に液晶を滴下する。詳しくは、シール材14で囲まれた領域に液晶を滴下する(ODF(One Drop Fill)方式)。滴下する方法としては、例えば、インクジェットヘッドなどを用いることができる。また、液晶は、シール材14によって囲まれた領域(表示領域E)の中央部に滴下することが望ましい。
ステップS33では、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる。具体的には、素子基板10に塗布されたシール材14を介して素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる。より具体的には、互いの基板10,20の平面的な縦方向や横方向の位置精度を確保しながら行う。以上により、液晶装置100が完成する。
<電子機器の構成>
次に、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置について、図10を参照しながら説明する。図10は、上記した液晶装置を備えた投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図10に示すように、本実施形態の投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。
このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
このような投射型表示装置1000には、液晶ライトバルブ1210,1220,1230を用いているので、高い信頼性を得ることができる。
なお、液晶装置100が搭載される電子機器としては、投射型表示装置1000の他、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートフォン、EVF(Electrical View Finder)、モバイルミニプロジェクター、電子ブック、携帯電話、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
以上詳述したように、本実施形態の液晶装置100、液晶装置100の製造方法、及び電子機器によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態の液晶装置100、及び液晶装置100の製造方法によれば、マイナスイオンの吸着量は炭素数に比例するので、第2有機膜32aを形成するための表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を多くすることにより、第2有機膜32aに多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、透過型の液晶装置100のように、電極の材質が同じであり、電極の面積に差がある場合、具体的には、画素電極27と比較して対向電極31の開口面積が大きい場合、対向電極31側に多くのマイナスイオンを集めることが可能となり、画素電極27と液晶層15との間の電荷移動量と、対向電極31と液晶層15との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を調整することにより、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、Vcomシフトを抑えることが可能となり、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
(2)本実施形態の液晶装置100の製造方法によれば、配向膜が無機配向膜であり、無機配向膜の表面にシラノール基が存在するので、シラノール基とシランカップリング材の加水分解基とを反応させることが可能となり、第1無機配向膜28及び第2無機配向膜32の表面にシランカップリング材から生成された物質を付与することができる。その結果、第1無機配向膜28及び第2無機配向膜32に表面処理を施すことが可能となり、表示品質が低下することを抑えることができる。
(3)本実施形態の電子機器によれば、上記液晶装置100を備えているので、表示特性を向上させることが可能な電子機器を提供することができる。
なお、本発明の態様は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、本発明の態様の技術範囲に含まれるものである。また、以下のような形態で実施することもできる。
(変形例1)
上記したように、透過型の液晶装置100であることに限定されず、反射型の液晶装置200に適用するようにしてもよい。反射型の液晶装置200の場合の構造を、以下に説明する。図11は、反射型の液晶装置200の構造を示す模式断面図である。
図11に示す反射型の液晶装置200は、素子基板10側の第1有機膜28aを形成するための表面処理剤が含む原料の炭素数を、対向基板20側の第2有機膜32aを形成するための表面処理剤が含む原料の炭素数より多く(5〜10)なるように形成されている。反射型の液晶装置200は、画素電極27が金属材料(例えば、アルミニウム)で構成されている。
液晶装置200の製造方法は、第1実施形態の液晶装置100の製造方法と略同様である。具体的には、素子基板10の製造方法において、シランカップリング材の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数を、例えば、18に調製する。また、対向基板20の製造方法において、シランカップリング材の表面処理剤が含む原料の炭素数を、例えば、10に調製する。
このように、マイナスイオンの吸着量は炭素数に比例するので、第2有機膜を形成するための32aの表面処理剤が含む原料の炭素数が少ない、つまり第1有機膜28aの分子の炭素数を多くすることにより、第1有機膜28aに多くのマイナスイオンを吸着させることが可能となる。よって、反射型の液晶装置200のように、電極の材質が異なる場合、具体的には、画素電極27に金属材料を用いて、対向電極31にITOを用いた場合、画素電極27側に多くのマイナスイオンを集めることが可能となり、画素電極27と液晶層15との間の電荷移動量と、対向電極31と液晶層15との電荷移動量とを、略等しくすることができる。言い換えれば、配向膜へのイオンの吸着量の偏りを補正することができる。これにより、Vcomシフトを抑えることが可能となり、フリッカーが生じるなど表示品質が低下することを抑えることができる。
(変形例2)
上記したように、アクティブマトリックス型の液晶装置100に適用することに限定されず、例えば、単純マトリックス型の液晶装置に適用するようにしてもよい。
(変形例3)
上記したように、電気光学装置として液晶装置100を適用することに限定されず、例えば、有機EL装置、プラズマディスプレイ、電子ペーパー(EPD)等に適用するようにしてもよい。
3a…走査線、3b…容量線、3c…下側遮光膜、CNT1〜CNT4…コンタクトホール、6a…データ線、10…素子基板、10a…第1基材、11a…下地絶縁層、11b…第1層間絶縁層、11c…第2層間絶縁層、11d…第3層間絶縁層、11g…ゲート絶縁層、14…シール材、15…電気光学層としての液晶層、16…容量素子、16a…第1容量電極、16b…第2容量電極、16c…誘電体膜、18…遮光膜、20…対向基板、20a…第2基材、22…データ線駆動回路、24…走査線駆動回路、25…検査回路、26…上下導通部、27…画素電極、28…第1配向膜としての第1無機配向膜、28a…第1有機膜、29…配線、30…TFT、30a…半導体層、30c…チャネル領域、30d…画素電極側ソースドレイン領域、30d1…画素電極側LDD領域、30g…ゲート電極、30s…データ線側ソースドレイン領域、30s1…データ線側LDD領域、31…対向電極、32…第2配向膜としての第2無機配向膜、32a…第2有機膜、33…絶縁膜、61…外部接続用端子、70…CVD装置、71…密閉チャンバー、72…容器、73…ヒーター、100…透過型の液晶装置、200…反射型の液晶装置、1000…投射型表示装置、1100…偏光照明装置、1101…ランプユニット、1102…インテグレーターレンズ、1103…偏光変換素子、1104,1105…ダイクロイックミラー、1106,1107,1108…反射ミラー、1201,1202,1203,1204,1205…リレーレンズ、1206…クロスダイクロイックプリズム、1207…投射レンズ、1210,1220,1230…液晶ライトバルブ、1300…スクリーン。

Claims (9)

  1. 素子基板と、
    前記素子基板とシール材を介して対向するように配置された対向基板と、
    前記シール材で囲まれた領域に封入された電気光学層と、
    前記素子基板と前記電気光学層との間に配置された画素電極と、
    前記対向基板と前記電気光学層との間に配置された対向電極と、
    前記画素電極を覆うように配置された第1配向膜と、
    前記対向電極を覆うように配置された第2配向膜と、
    前記第1配向膜を覆うように配置された第1有機膜と、
    前記第2配向膜を覆うように配置された第2有機膜と、
    を含み、
    前記第1有機膜の分子が含む炭素数と比較して、前記第2有機膜の分子が含む炭素数が多いことを特徴とする電気光学装置。
  2. 素子基板と、
    前記素子基板とシール材を介して対向するように配置された対向基板と、
    前記シール材で囲まれた領域に封入された電気光学層と、
    前記素子基板と前記電気光学層との間に配置された画素電極と、
    前記対向基板と前記電気光学層との間に配置された対向電極と、
    前記画素電極を覆うように配置された第1配向膜と、
    前記対向電極を覆うように配置された第2配向膜と、
    前記第1配向膜を覆うように配置された第1有機膜と、
    前記第2配向膜を覆うように配置された第2有機膜と、
    を含み、
    前記第1有機膜の分子が含む炭素数と比較して、前記第2有機膜の分子が含む炭素数が少ないことを特徴とする電気光学装置。
  3. 請求項1に記載の電気光学装置であって、
    前記第2有機膜の分子が含む炭素数は、前記第1有機膜の分子が含む炭素数より1〜3多いことを特徴とする電気光学装置。
  4. 請求項2に記載の電気光学装置であって、
    前記第1有機膜の分子が含む炭素数は、前記第2有機膜の分子が含む炭素数より5〜10多いことを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
    前記第1配向膜及び前記第2配向膜は、無機配向膜であり、
    前記第1有機膜は、シランカップリング材から生成される物質を含むことを特徴とする電気光学装置。
  6. 画素電極を覆うように配置された第1配向膜に第1の表面処理を行い、第1有機膜を形成する工程と、
    対向電極を覆うように配置された第2配向膜に第2の表面処理を行い、第2有機膜を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1の表面処理を行い、前記第1有機膜を形成する工程に用いる第1の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数と比較して、前記第2の表面処理を行い、前記第2有機膜を形成する工程に用いる第2の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が多いことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  7. 画素電極を覆うように配置された第1配向膜に第1の表面処理を行い、第1有機膜を形成する工程と、
    対向電極を覆うように配置された第2配向膜に第2の表面処理を行い、第2有機膜を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1の表面処理を行い、前記第1有機膜を形成する工程に用いる第1の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数と比較して、前記第2の表面処理を行い、前記第2有機膜を形成する工程に用いる第2の表面処理剤が含む原料の分子の炭素数が少ないことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の電気光学装置の製造方法であって、
    前記第1配向膜及び前記第2配向膜は、無機配向膜であり、
    前記第1の表面処理及び前記第2の表面処理は、シランカップリング処理であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
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