JP2015199783A - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれよりなる成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
イソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐候性や耐衝撃性に優れることが知られており、自動車内外装部品等への適用も知られている(特許文献3)。
しかし、イソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂を用いた自動車内外装部品は、耐傷付き性が充分でないという課題があった
μs ≦ 0.25 (3)
(上記式(2)におけるμkは、下記摩擦係数測定試験により測定される動摩擦係数を示し、上記式(3)におけるμsは、同静摩擦係数を示す。
<摩擦係数測定試験>
該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形板に、予め表面を研磨した鋼板(材質:SK−5)を重ね合わせ、該成形板上で、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分にて該鋼板を移動させ、移動開始時の最大荷重を静摩擦係数μsとし、移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を動摩擦係数μkとする。)
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂である。
重合反応の形式は、公知の形式を用いることができ、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると樹脂組成物としたときの靱性が小さい可能性があり、還元粘度が大きすぎると、電気・電子機器部品や自動車内外装部品を成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。また、成形温度を適正以上に高くしなければならず、色調が悪化する場合がある。
尚、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明で用いる摺動性改質剤(B)は、ポリカーボネート樹脂(A)に添加することにより、そのポリカーボネート樹脂組成物が後述の式(2)及び(3)を満足するようになるものであればよく、特に制限はないが、中でも、黒鉛粉末、ピッチ系ミルド炭素繊維及びポリテトラフルオロエチレン粉末(以下、「PTFE粉末」と略記する。)からなる群から選ばれた1種以上の摺動性改質剤であることが好ましい。特に黒鉛粉末及び/又はピッチ系ミルド炭素繊維が好ましい。
本発明で用いる黒鉛粉末は、鱗片状黒鉛若しくは薄片化黒鉛が好ましい。
鱗片状黒鉛粉末は、平均粒子径が5〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。鱗片状黒鉛の市販品としては、日本黒鉛工業社製CPシリーズ、特CP等が挙げられる。
薄片化黒鉛粉末は、平均粒子径が5〜600μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。薄片化黒鉛の市販品としては、日本黒鉛工業社製GR−15、UP−15NやUP−35等が挙げれる。
黒鉛粉末の平均粒子径が大き過ぎると得られるポリカーボネート樹脂成形品の外観が悪くなる傾向があり、一方、平均粒子径が小さ過ぎると耐擦傷性の改善効果を十分に得ることができない場合がある。
本発明で用いるピッチ系ミルド炭素繊維は、原料ピッチを偏光顕微鏡で観察した場合に、光学的に無秩序で偏向を示さない等方性ピッチであり、例えば密度1.6g/cm3で、直径12〜18μmの短繊維を細かく粉砕した粉状体であることが好ましい。また、ピッチ系ミルド炭素繊維の平均繊維長と平均繊維径との比(アスペクト比)は3〜150であることが好ましい。
このようなピッチ系ミルド炭素繊維の市販品としては、大阪ガスケミカル社よりドナカーボ・ミルドS−2404やS−249等として入手することができる。
本発明で用いるPTFE粉末を構成するPTFEは、示差走査熱量計(DSC法)によって測定した分子量が100万未満であることが好ましい。DSC法によって測定された分子量が100万未満であることで、耐擦傷性の向上効果を十分に発揮することができる。
ここで示すPTFEの分子量は、示差走査熱量計による測定値から求めるDSC法により得られた値であり、示差走査熱量計によりPTFEの結晶化熱の測定を行い、下式に基づいて算出した数平均分子量(Mn)である。
Mn=2.1×1010×ΔHc−5.16
(ΔHc:DSC結晶化熱(cal/g))
このようなPTFE粉末の市販品としては、例えばダイキン工業社製のルブロンL−5、L−5F等を利用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、耐擦傷性や原着鮮映性を維持できる範囲において、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、充填剤等を添加することも出来る。
酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点から、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤の添加量が5質量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001質量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等が挙げられる。
これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が更に好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、その分子量は、1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。分子量が1000を超えると、成形品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。また分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300未満では、耐熱性に乏しく、成形時に金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。
さらに、ピペリジン構造を有する化合物が好ましい。ここで規定するピペリジン構造とは、飽和6員環のアミン構造となっていればよく、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。置換基としては、炭素数4以下のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、それら複数のピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。
光安定剤の添加量が5質量部より多いと、着色する傾向にあり、着色剤を添加したとしても、例えば深みと清澄感のある漆黒を得難い。一方、0.001質量部未満であると、自動車内外装品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。
着色剤としては、無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
着色剤の添加量が0.05質量部未満では鮮映性のある原着成形品を得難い。一方、5質量部より多いと、成形品の表面粗さが大きくなり、鮮映性のある原着成形品を得難い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、意匠性を維持できる範囲において、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ワラストナイト等の珪酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、チタン酸カリウム繊維、これらのウィスカー等の無機充填剤や、木粉、竹粉、ヤシ澱粉、コルク粉、パルプ粉などの粉末状有機充填剤;架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル共重合体、尿素樹脂などのバルン状・球状有機充填剤;炭素繊維、合成繊維、天然繊維などの繊維状有機充填剤を添加することもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記成分を所定の割合で同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(2)及び(3)を満足することを特徴とする。
μk ≦ 0.20 (2)
μs ≦ 0.25 (3)
(上記式(2)におけるμkは、下記摩擦係数測定試験により測定される動摩擦係数を示し、上記式(3)におけるμsは、同静摩擦係数を示す。
<摩擦係数測定試験>
該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形板に、予め表面を研磨した鋼板(材質:SK−5)を重ね合わせ、該成形板上で、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分にて該鋼板を移動させ、移動開始時の最大荷重を静摩擦係数μsとし、移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を動摩擦係数μkとする。)
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、これを成形してなる成形板の鋼板に対する上記の静摩擦係数μsが0.25以下であり、この静摩擦係数μsは0.24以下であることが好ましい。該静摩擦係数μsが0.25より大きいと耐擦傷性が悪くなる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の静摩擦係数μsは耐擦傷性の面からは小さいほど好ましいが、その下限は通常0.10以上である。
尚、本発明において、ポリカーボネート樹脂組成物の動摩擦係数μk及び静摩擦係数μsは具体的には後述の実施例の評価方法に記載の方法で測定される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形品を成形する際、任意の成形法を用いることができるが、射出成形、射出圧縮、射出プレス成形が好適に用いられる。その際に用いるランナーも、通常のコールドランナー方式だけでなく、ホットランナー方式を用いることも可能である。また、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形等も可能である。さらに意匠性を得るために、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形を用いることも可能である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、耐擦傷性に優れ、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する擦れ傷が少ないいため、塗装を施すことなく、従って、塗装のための工程、コストを削減して、製品として様々な部品に適用することができる。
このような本発明の成形品の適用用途としては特に制限はないが、自動車内装部品又は外装部品に好適である。
以下において、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
ポリカーボネート樹脂のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式(i)より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから次式(ii)より比粘度ηspを求めた。
ηrel=t/t0 (i)
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1 (ii)
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
ポリカーボネート樹脂組成物から射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)によりシート(100mm×100mm×2mmt)状の試験片1を作成した。この試験片1に、予め#1000のサンドペーパーで表面を研磨した鋼板(材質:SK−5、サイズ:40mm×40mm×1mmt)よりなる試験片2を研磨面が試験片1側となるように重ね合わせ、表面性測定機(新東科学製、形式:HEIDON−14DR)を用いて、試験片1上で試験片2を、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分で移動させたときの荷重より求めた。静摩擦係数μsは試験片2の移動開始時の最大荷重を採用し、動摩擦係数μkは移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を採用した。
平面摩耗試験機(大栄科学精器製作所社製、形式:PA−300A)において、ティシュ(日本製紙クレシア社製 メーカー型番:528896)を3回折り畳んで、摩耗子(底面の投影面積20mm×20mmで、底面がR45mmの湾曲面とされている。)に取り付け、上記(2)におけると同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)の表面に荷重9.8N、ストローク100mm、30往復/分の速度で100往復させた後、表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く傷が見当たらない
△:摩耗子幅に1本以上10本以下の傷が見られる
×:摩耗子幅全面が傷の発生で白く見える
ポリカーボネート樹脂組成物に配合する摺動性改質剤(B)としては、以下のものを用いた。
(B)−1:薄片化黒鉛粉末(日本黒鉛工業社製「UP−15N」、平均粒子径15μm)
(B)−2:ピッチ系ミルド炭素繊維(大阪ガスケミカル社製「ドナカーボ・ミルドS−2404」、アスペクト比3.1)
(B)−3:PTFE粉末(ダイキン工業社製「ルブロンL−5」、平均粒子径:5μm)
(B)−4:モンタン酸エステル(クラリアント・ジャパン社製「リコワックスE」)
(B)−5:超高分子量ポリエチレン粉末(三井化学社製「ハイゼックスミリオン240M」)
(B)−6:シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製「トスパール 120」、平均粒子径:2μm)
ポリカーボネート樹脂組成物のその他の添加剤としては以下のものを用いた。
着色剤:三菱カーボンブラック#960(三菱化学社製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)および酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.7/0.3/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%)。続いて熱媒で内容物の加温を行った。内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にした。内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を、還流冷却器に導いた。還流冷却器で凝縮した成分を重合反応装置に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
更に3つのベント口および注水設備を供えた二軸押出機に連続的に前記溶融状態のポリカーボネート共重合体を供給し、該ポリカーボネート共重合体100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF・ジャパン株式会社製、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を0.1質量部、アデカスタブ2112(株式会社ADEKA製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05質量部および離型剤としてユニスターE−275(日油株式会社製)0.3質量部を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮した後、ペレタイザーによりペレット化を行い、ポリカーボネート樹脂(A)−1を得た。ポリカーボネート樹脂(A)−1の還元粘度ηsp/cは0.44dL/gであった。
製造例1で得られたポリカーボネート樹脂(A)−1を97.6質量部、摺動性改質剤(B)として(B)−1を2.4質量部、着色剤としてカーボンブラック0.1質量部を用い、これらを予めブレンドしておき、二軸混練機(日本製鋼所社製、TEX30SST42BW:スクリュー径30mm、L/D=42)を用いて、途中一カ所から真空ポンプで絶対真空圧10〜20kPaに減圧調整しながら、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hrでストランド状に押し出し、ストランドカッターを用いてペレット状の樹脂組成物サンプルを得た。
得られたペレット状サンプルを、熱風乾燥機で100℃にて5時間乾燥した後、前述の評価法(2)〜(3)に従って、評価を行い、その結果を表1に表した。
表1に示す配合としたこと以外は実施例1と同様に押し出し、ペレット状サンプルを得、同様に評価を行って、結果を表1に表した。
表1に示す配合としたこと以外は実施例1と同様に押し出し、ペレット状サンプルを得、同様に評価を行って、結果を表1に表した。
Claims (8)
- 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、及び摺動性改質剤(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、下記式(2)及び(3)を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
μs ≦ 0.25 (3)
(上記式(2)におけるμkは、下記摩擦係数測定試験により測定される動摩擦係数を示し、上記式(3)におけるμsは、同静摩擦係数を示す。
<摩擦係数測定試験>
該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形板に、予め表面を研磨した鋼板(材質:SK−5)を重ね合わせ、該成形板上で、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分にて該鋼板を移動させ、移動開始時の最大荷重を静摩擦係数μsとし、移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を動摩擦係数μkとする。) - 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(a)と、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、及び前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる1種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、前記摺動性改質剤(B)を0.01質量部以上5質量部以下含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記摺動改質剤(B)が、黒鉛粉末、ピッチ系ミルド炭素繊維、及びポリテトラフルオロエチレン粉末からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記摺動性改質剤(B)が黒鉛粉末であることを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記摺動性改質剤(B)がピッチ系ミルド炭素繊維であることを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 自動車内装部品又は外装部品であることを特徴とする請求項7に記載の成形品。
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