JP2015199647A - 薄片状カーボンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な材料及び簡易なプロセスを用いて、薄片状カーボンを安定分散させることが可能な状態で得ることができる方法を提供することを目的とする。また、この方法を用いて得られる薄片状カーボン、薄片状カーボン組成物及び薄片状カーボン分散体を提供することも目的とする。【解決手段】薄片状カーボンの製造方法であって、層状構造を有する炭素質材料を、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物の共存下で、30MPa以上の加圧を行う、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、薄片状カーボンの製造方法に関する。特に、導電材料、伝熱材料、トランジスタ、キャパシタ等の蓄電デバイス、センサー、圧電材料、抗菌材料、ろ過材料、樹脂添加剤、光学材料等に使用するための薄片状カーボン、薄片状カーボン組成物、又は薄片状カーボン分散体の製造方法に関する。
グラフェンシートは、炭素原子がハニカム格子状に並んだ2次元単層シートで、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ等の構成単位でもある。このグラフェンシートが厚み10 nm以下程度に積層された薄片状カーボン(本発明において、グラフェンシートも含む概念である)は、その特異な諸物性(例えば、単層グラフェンシートの場合にはヤング率1.0 TPa、キャリア移動度200000 cm2V-1s-1、電気伝導性30・□-1、熱伝導率5000 Wm-1K-1等)を有していることから、導電材料、伝熱材料、トランジスタ、キャパシタ等の蓄電デバイス、センサー、圧電材料、抗菌材料、ろ過材料、樹脂添加剤、光学材料等に使用される新たな材料として注目を浴びている。
薄片状カーボンの製造方法としては、
(1)テープ等を用いた機械的剥離法
(2)金属箔上へのCVDによる形成
(3)SiC基板の加熱
(4)黒鉛の酸化による層間剥離及び得られる酸化グラフェンの還元
等が知られている。
これらのうち、(1)〜(3)の方法は量産性に問題があるとともに、基板上又はテープに付着した状態で薄片状カーボンが得られるために単離が困難である。特に、厚みの小さい薄片状カーボンの場合には、これらの基板又はテープから剥離して薄片状カーボンを単離することはほぼ不可能である。また、仮に単離することができたとしても、これらの方法により得られる薄片状カーボンは極めて凝集しやすく、分散した状態で単離することは非常に困難である。また、凝集した薄片状カーボンを剥離することも非常に困難である。
一方、(4)の方法は、黒鉛を酸化して生成した酸化黒鉛を超音波処理等により層間剥離して酸化グラフェンを得た後に、これを還元してグラフェンに戻す処理である。この方法を採用した場合、酸化グラフェンを液中で還元すると凝集を起こして成膜できなくなってしまう。また、凝集したグラフェンを1枚単位で剥離することは困難である。還元後の凝集を防ぐために、ドデシルベンゼンスルホン酸Naのような界面活性剤を共存させることも検討されている(非特許文献1)。しかしながら、強烈な酸化及び還元を行うため、グラフェン構造を維持したまま薄片状カーボンを得ることは非常に困難であるとともに、安全性にも問題が生ずる。さらに、この方法を採用したとしても、薄片状カーボンは沈殿しており、液中での分散安定化は達成されていない。
このように、薄片状カーボンは、優れた物性を有しているにもかかわらず、分散状態で単離することが非常に困難であり、その方法が求められている。
Adv. Funct. Mater. 2010, 20, 2893-2902
本発明は、安価な材料及び簡易なプロセスを用いて、薄片状カーボンを安定分散させることが可能な状態で得ることができる方法を提供することを目的とする。また、この方法を用いて得られる薄片状カーボン、薄片状カーボン組成物及び薄片状カーボン分散体を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、層状構造を有する炭素質材料に対して、特定の水溶性化合物の存在下、高圧処理を施すことにより、安価な材料及び簡易なプロセスを用いているにもかかわらず、薄片状カーボンを安定分散させることが可能な状態で得ることができることを見出した。本発明者らは、当該知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.薄片状カーボンの製造方法であって、
層状構造を有する炭素質材料を、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物の共存下で、30MPa以上の加圧を行う、製造方法。
項2.層状構造を有する炭素質材料、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物、及び溶媒を含有する炭素質材料分散体に対して、30MPa以上の加圧を行う、項1に記載の製造方法。
項3.前記溶媒が水を含有し、且つ、該水の含有量が、前記溶媒中の70重量%以上である、項2に記載の製造方法。
項4.前記疎水基が、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、及び炭素数3以上のポリオキシアルキレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.前記親水基が、一般式(1)〜(4):
[式中、−OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基;Rは2価の有機基;Xは、水素原子、アルカリ金属、NH、又は有機アンモニウム;Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム、又はアルキル基;一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
で示される少なくとも1種である、項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6.前記一般式(2)で示される親水基がポリオキシエチレン基及び/又はポリグリセリル基である、項5に記載の製造方法。
項7.前記親水基以外の構成部分の炭素数が10以上である、項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8.前記親水基以外の構成成分が、重合度が4以上のポリオキシプロピレン基及び/又は重合度が3以上のポリオキシブチレン基である、項1〜7に記載の製造方法。
項9.前記炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物のHLB値が12以上である、項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
項10.前記層状構造を有する炭素質材料が、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、酸化黒鉛及び土状黒鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
項11.前記加圧処理の前処理として、さらに、100W以上の超音波分散処理を行う、項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
項12.前記加圧処理により、
(i)2個以上の前記炭素質材料分散体同士を衝突させること
(ii)前記炭素質材料分散体と金属又はセラミックス材料とを衝突させること、及び
(iii)前記炭素質材料分散体を断面積1cm以下の空間を通過させること
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の処理が行われる、項2〜11のいずれかに記載の製造方法。
項13.前記層状構造を有する炭素質材料の含有量が10重量%以下の濃度で行われる、項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
項14.項1〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた薄片状カーボン。
項15.厚みが10nm以下である、項14に記載の薄片状カーボン。
項16.薄片状カーボン分散体の製造方法であって、
層状構造を有する炭素質材料、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物、及び溶媒を含有する炭素質材料分散体に対して、30MPa以上の加圧処理を行う、製造方法。
項17.項16に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン分散体。
項18.薄片状カーボン、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物、及び溶媒を含有する薄片状カーボン分散体であって、
前記疎水基が、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6以上のシクロアルキル基であり、
前記親水基が、一般式(1)〜(4):
[式中、−OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基;Rは2価の有機基;Xは、水素原子、アルカリ金属、NH、又は有機アンモニウム;Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム、又はアルキル基;一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
で示される少なくとも1種である、薄片状カーボン分散体。
項19.項16に記載の製造方法により得た薄片状カーボン分散体、又は請求項18に記載の薄片状カーボン分散体から、溶媒を乾燥させることを特徴とする、薄片状カーボン及び炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物を含有する薄片状カーボン組成物の製造方法。
項20.項19に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン組成物。
項21.炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物の含有量が、薄片状カーボン100重量部に対して、1重量部以上である、項20に記載の薄片状カーボン組成物。
項22.項19に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン組成物を水又は有機溶媒で洗浄して炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物を除去することを特徴とする、薄片状カーボンの製造方法。
項23.項22に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン。
本発明によれば、安価な材料及び簡易なプロセスを用いて、薄片状カーボンを安定分散させることが可能な状態で得ることができる。
また、本発明によれば、薄片状カーボンは、薄片状カーボン単体、薄片状カーボン組成物、及び薄片状カーボン分散体のいずれの態様の薄片状カーボン含有材料であっても、凝集を抑制しつつ得ることができる。つまり、用途に応じて、使用する形態を適宜設定することができるため、汎用性が高い。特に、薄片状カーボンの単離が容易であり、他材料に薄片状カーボンを均一混合することも可能であるため、薄片状カーボンを含むナノコンポジット等への応用も期待される。
実施例1−1で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1−1で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例2−1で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例2−1で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例2−1で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例2−2で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例4−1で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例4−2で得られた薄片状カーボンについての走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
1.薄片状カーボン分散体の製造方法
本発明の薄片状カーボンの製造方法においては、層状構造を有する炭素質材料を、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物の共存下で、30MPa以上の加圧処理を行う。
層状構造を有する炭素質材料と炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物とを共存させる方法は特に制限はないが、薄片状カーボンが安定分散した薄片状カーボン分散体が得られ、種々の用途に適用しやすいため、層状構造を有する炭素質材料、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物、及び溶媒を含有する炭素質材料分散体に対して、30MPa以上の加圧処理を行うことが好ましい。
層状構造を有する炭素質材料
層状構造を有する炭素質材料としては、特に制限はないが、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、土状黒鉛、酸化黒鉛等が挙げられる。酸化黒鉛とは、例えば、硫酸、硝酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水素等の1種以上の酸化剤により酸化された黒鉛が使用され得る。例えば、ハマーズ法により酸化黒鉛を得る場合には、黒鉛を濃硫酸中に浸し、過マンガン酸カリウムを加えて黒鉛を酸化させた後、反応物を希硫酸及び/又は過酸化水素でクエンチし、その後、蒸留水で洗浄すること等により、炭素原子に酸素原子が結合し、層間に酸素原子が導入されて酸化黒鉛を得ることができる。
なかでも、酸素等の異種原子を含まない純度の高い薄片状カーボンを得ようとする場合には、黒鉛を原料として用いることが好ましく、天然黒鉛及び膨張黒鉛がより好ましい。なお、膨張黒鉛を使用する場合は、グラフェン構造の酸化が少ない膨張黒鉛を採用することが好ましい。
また、製造の容易さを重視する場合には、酸化黒鉛を使用してもよい。酸化黒鉛を使用することにより、層間に溶媒分子が挿入されやすく、層方向にのみ剥離させることが容易であり、薄片化効率及び分散性が向上するため、処理時間をより短くすることが可能である。ただし、酸化黒鉛を使用する場合には、後に還元処理が必要となり、グラフェン構造、導電性及び強度をより維持する観点からは、他の材料(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、土状黒鉛)が好ましい。
一方、分散性をより向上させるために、土状黒鉛を採用することも可能である。ただし、結晶性及び構造維持の観点からは、他の材料(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、酸化黒鉛)が好ましい。
また、得られる薄片状カーボンの結晶性、強度、構造維持等を重視する場合には、人造黒鉛を使用してもよい。ただし、処理時間が長くなる傾向にあるため、より効率化のためには、他の材料(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、土状黒鉛、酸化黒鉛)が好ましい。
以上から、純度、製造の容易さ、グラフェン構造維持、導電性、強度等のバランスを考慮すると、天然黒鉛又は膨張黒鉛が特に好ましい。
本発明において、加圧処理を行う際の系中における層状構造を有する炭素質材料の含有量は、特に制限されないが、10重量%以下が好ましく、0.0001〜7重量%がより好ましく、0.001〜5重量%がさらに好ましい。なお、層状構造を有する炭素質材料の含有量は、薄いほうが薄片化(層間剥離)がより起こりやすいために薄片状カーボンをより効率的に得られ、処理回数をより少なくできる傾向があるとともに、粘度を適切に維持して加圧処理を行いやすい傾向がある。一方、層状構造を有する炭素質材料の含有量が濃いほうがより生産性に優れている。このため、薄片化の効率、粘度、生産性等のバランスの観点から、層状構造を有する炭素質材料の含有量を適宜設定することが好ましい。なお、本発明の製造方法において、炭素質材料分散体を使用する場合は、当該分散体中の層状構造を有する炭素質材料の含有量を上記範囲内とすることが好ましい。
炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物
従来は、湿式法にて薄片状カーボンを作製する場合、薄片状カーボンの酸化物及び水性溶媒を含む水分散体に還元処理を施していたが、この方法ではグラフェン構造を維持することが困難であるとともに、得られる薄片状カーボンが激しく凝集してしまうため、薄片状カーボン水分散体を得ることは困難であった。また、安全性の観点でも問題があった。一方、本発明においては、芳香環を有する水溶性化合物を使用することにより、グラフェン構造を維持した薄片状カーボンが凝集することなく、均一分散した状態(薄片状カーボン分散体等)で薄片状カーボンを得ることができる。この際、芳香環を有する水溶性化合物は、薄片状カーボンを均一分散させるための分散剤としても機能し得る。
このような水溶性化合物としては、特に制限されるわけではなく、層状構造を有する炭素質材料及び薄片状カーボンの分散剤として機能し得る種々多様な水溶性化合物を使用し得る。
なかでも、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物が有する疎水基としては、特に制限はないが、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及び炭素数3以上のポリオキシアルキレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アルキル基としては、鎖状アルキル基でも分岐鎖状アルキル基でもよいが、炭素との親和性の観点から、鎖状アルキル基が好ましい。また、アルキル基の炭素数は、炭素との親和性の観点から、6以上が好ましく、8〜28がより好ましく、10〜22がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(又はラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基(又はミリスチル基)、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(又はセチル基)、オクタデシル基、イコシル基等が挙げられる。
このアルキル基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基としては、後述のものが例示される。
アルキル基の置換基としてのアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、アルキルフェニル基(アルキル:炭素数1〜6のアルキル基;トリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基等のメチルフェニル基等)、キシリル基等のジメチルフェニル基等)、ナフチル基等が好ましい。
アルキル基の置換基としてのアラルキル基としては、前述したアリール基と炭素数1〜6のアルキル基を有する炭素数7〜14のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基等が好ましい。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。特に、水溶性を重視する場合は置換基としてフェニル基等が好ましく、層状構造を有する炭素質材料及び薄片状カーボンとの相溶性を重視する場合は置換基としてナフチル基、フルオレニル基等が好ましい。
アルケニル基としては、炭素との親和性と水溶性の観点から、炭素数が4以上が好ましく、6〜100がより好ましく、8〜30がさらに好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、オレイル基、リノレイル基等が挙げられる。
このアルケニル基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。なお、アリール基、アラルキル基としては前記したものが例示され、シクロアルキル基としては、後述のものが例示される。
アルケニル基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
アルケニル基の置換基としてのシクロアルキルとしては、後述のものが例示され、アルケニル基の置換基としてのアリール基及びアラルキル基としては、前記例示したものが挙げられる。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。特に、水溶性を重視する場合は置換基としてフェニル基等が好ましく、層状構造を有する炭素質材料及び薄片状カーボンとの相溶性を重視する場合は置換基としてナフチル基、フルオレニル基等が好ましい。
シクロアルキル基としては、炭素数5〜10(好ましくは5〜8、特に5〜6)のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が好ましい。
このシクロアルキル基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
シクロアルキル基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
シクロアルキル基の置換基としてのアリール基及びアラルキル基としては、前記例示したものが挙げられる。
なお、ポリオキシエチレン基等のポリオキシアルキレン基は通常親水性であるが、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等、炭素数3以上のポリオキシアルキレン基は重合度が上がるほど疎水性が増し、疎水基として使用することができる。特に重合度4以上のポリオキシプロピレン基、重合度3以上のポリオキシブチレン基が好ましく、ポリオキシエチレンとの共重合体がより好ましい。例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンやポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンを水溶性化合物として使用した場合には、ポリオキシプロピレン基及びポリオキシブチレン基も疎水基として機能し得る。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。特に、水溶性を重視する場合は置換基としてフェニル基等が好ましく、層状構造を有する炭素質材料及び薄片状カーボンとの相溶性を重視する場合は置換基としてナフチル基、フルオレニル基等が好ましい。
このような疎水基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(又はラウリル基)、ラウリルフェニル基、トリデシル基、テトラデシル基(又はミリスチル基)、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(又はセチル基)、オクタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、重合度4以上のポリオキシプロピレン基、重合度3以上のポリオキシブチレン基等が好ましい。
また、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物が有する親水基としては、前記水溶性化合物の水に対する溶解度を上昇させることができるものであれば特に制限はないが、前記水溶性化合物の水溶性、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの分散性等の観点から、一般式(1)〜(4):
[式中、−OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基;Rは2価の有機基;Xは、水素原子、アルカリ金属、NH、又は有機アンモニウム;Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム、又はアルキル基;一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
で示される少なくとも1種が好ましい。
一般式(1)において、−OHはアルコール性水酸基及びフェノール性水酸基のいずれも採用し得る。ただし、前記水溶性化合物の水溶性、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの分散性等の観点から、アルコール性水酸基が好ましい。なお、−OHがフェノール性水酸基の場合は、前記水溶性化合物の水溶性、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの分散性等の観点から、一般式(2)〜(4)のいずれかで示される親水基で置換されることが好ましい。
一般式(2)において、Rで示される2価の有機基としては、特に制限されないが、2価の炭化水素基が好ましい。2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(アルキレン基(又はアルキリデン基)、シクロアルキレン基、アルキレン(又はアルキリデン)−シクロアルキレン基、ビ又はトリシクロアルキレン基等)、芳香族炭化水素基(アリーレン基、アルキレン(又はアルキリデン)−アリーレン基等)等が挙げられる。
一般式(2)において、基Rで示されるアルキレン基(又はアルキリデン基)としては、アルキレン基が好ましく、C1−8アルキレン基がより好ましく、C1−4アルキレン基がさらに好ましく、C2−4アルキレン基が特に好ましく、C2−3アルキレン基が最も好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ブタン−2−イリデン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基、ペンタン−2,3−ジイル基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるシクロアルキレン基としては、C5−10シクロアルキレン基が好ましく、C5−8シクロアルキレン基がより好ましい。具体的には、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロへキシレン基、シクロへプチレン基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるアルキレン(又はアルキリデン)−シクロアルキレン基としては、アルキレン−シクロアルキレン基が好ましく、C1−6アルキレン−C5−10シクロアルキレン基がより好ましく、C1−4アルキレン−C5−8シクロアルキレン基がさらに好ましい。具体的には、メチレン−シクロへキシレン基、エチレン−シクロへキシレン基、エチレン−メチルシクロへキシレン基、エチリデン−シクロへキシレン基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるビ又はトリシクロアルキレン基としては、具体的には、ノルボルナン−ジイル基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるアリーレン基としては、C6−10アリーレン基が好ましい。具体的には、フェニレン基、ナフタレンジイル基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるアルキレン(又はアルキリデン)−アリーレン基としては、アルキレン−アリーレン基が好ましく、C1−6アルキレン−C6−20アリーレン基がより好ましく、C1−4アルキレン−C6−10アリーレン基がさらに好ましく、C1−2アルキレン−フェニレン基が特に好ましい。具体的には、メチレン−フェニレン基、エチレン−フェニレン基、エチレン−メチルフェニレン基、エチリデンフェニレン基等が例示できる。
これらのうち、二価の脂肪族炭化水素基、特に、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基等のC1−4アルキレン基等)が好ましい。
なお、アルキレン(若しくはアルキリデン)−シクロアルキレン基並びにアルキレン(アルキリデン)−アリーレン基とは、−Ra−Rb−(式中、Ra及びRbは、一般式(2)において、それぞれ別個の酸素原子に結合したアルキレン基又はアルキリデン基、Rbはシクロアルキレン基又はアリーレン基を示す)で示される基を示す。
このような一般式(2)で示される親水基としては、特に制限されないが、例えば、−OCO−、−OCO−、−OCHO−等が好適に使用され得る。特に一般式(2)で示される親水基が3つ以上重合した構造を有する場合は、Rの炭素が多いほど(例えば炭素数3以上)親水性が下がり疎水性を増すため、重合度が増しても親水性を保持できる−OCO−、−OCHO−が好ましい。
一般式(3)において、Xで示されるアルカリ金属としては、特に制限されず、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。
一般式(3)において、Xで示される有機アンモニウムとしては、第四級アンモニウムが好適であり、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が好適に使用され得る。
このような一般式(3)で示される親水基としては、特に制限されないが、例えば、−SO 、−SO Na、−SO 、−SO Li、−SO NH 、−SO N(CH 、−SO N(C 、−SO N(C 、−SO N(C 等が挙げられる。
一般式(4)において、Xで示されるアルカリ金属及び有機アンモニウムとしては、上記例示したものが挙げられる。
一般式(4)において、Xで示されるアルキル基としては、鎖状アルキル基でも分岐鎖状アルキル基でもよいが、炭素との親和性の観点から、鎖状アルキル基が好ましい。また、アルキル基の炭素数は、炭素との親和性の観点から、1〜2が好ましい。
このような一般式(4)で示される親水基としては、特に制限されないが、例えば、−COOH、−COONa、−COOK、−COOLi、−COONH、−COON(CH、−COON(C、−COON(C 、−COON(C 等が挙げられる。
これら親水基のなかでも、前記水溶性化合物の水溶性、pHによらない安定性、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの分散性等の観点から、一般式(2)及び/又は(4)で示される親水基が好ましい。これらの親水基は、単独で用いてもよいし、複数の親水基を用いてもよい。また、複数の親水基を使用する場合には、同じ親水基を複数用いてもよいし、同じ一般式で示される親水基を複数種用いてもよいし、異なる一般式で示される親水基を複数種用いてもよい。
ただし、一般式(2)で示される同じ親水基を複数有する、つまり重合した構造を有する場合、炭素数2以下は重合度が増すほど水溶性化合物の親水性は高くなるが、炭素数3以上の場合は重合度が増すほど疎水性が増す可能性がある。
本発明において使用する炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物において、親水基以外の構成部分(疏水基等)の炭素数は、水溶性化合物の水溶性、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの分散性等の観点から、10以上が好ましく、12〜18がより好ましい。
また、本発明において、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物として、非イオン系材料(ノニオン界面活性剤等)を使用する場合には、そのHLB値は、前記水溶性化合物の水溶性、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの分散性等の観点から、12以上が好ましく、13〜19がより好ましい。なお、疎水基を同じとした場合(層状構造を有する炭素質材料との親和性が同程度の場合)には、HLB値は高いほど好ましい。
上記のような条件を満たす炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物としては、特に制限はないが、芳香族水溶性化合物を使用してもよいし、非芳香族水溶性化合物を使用してもよいが、非芳香族水溶性化合物が好ましい。炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンウンデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンウンデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレントリデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンペンタデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンペンタデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル、コール酸ナトリウム、コール酸カリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンカリウム、デカグリセリンラウリン酸エステル、n−デシルアルコール等が挙げられる。なお、水溶性化合物が液体である場合は、溶媒として使用することもできる。
このような炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物としては、例えば、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン130K、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン210P、エマルゲン220(以上、花王(株)製ポリオキシエチレンアルキルエーテル類)、トリトンX−100、トリトンX−114、トリトンX−305、トリトンX−405(ダウケミカル社製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル類)等を使用できる。
本発明において、加圧処理を行う際の系中における前記水溶性化合物の含有量は、特に制限されないが、0.00001〜99.9重量%が好ましく、0.0001〜50重量%がより好ましく、0.001〜30重量%がさらに好ましく、0.01〜20重量%が特に好ましい。一方、本発明において、処理前に投入する前記水溶性化合物の含有量は、層状構造を有する炭素質材料100重量部に対して、10〜100000重量部が好ましく、20〜10000重量部がより好ましい。なお、前記水溶性化合物の含有量は、薄いほうが相対的に層状構造を有する炭素質材料の含有量が大きくなり導電性が向上しやすいとともに、安価に処理しやすい。一方、前記水溶性化合物の含有量が濃いほうが薄片化(層間剥離)がより起こりやすいために薄片状カーボンをより効率的に得られる傾向があるが、粘度が高くなると逆に薄片化効率が下がる可能性もある。このため、導電性、コスト、薄片化の効率等のバランスの観点から、前記水溶性化合物の含有量を適宜設定することが好ましい。なお、本発明の製造方法において、炭素質材料分散体を使用する場合は、当該分散体中の前記水溶性化合物の含有量を上記範囲内とすることが好ましい。
溶媒
本発明においては、上記のとおり、層状構造を有する炭素質材料を、前記水溶性化合物の共存下で、特定の処理を行うが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの汎用性等の観点から、層状構造を有する炭素質材料、及び前記水溶性化合物を含む炭素質材料分散体に対して、特定の処理を行うことが好ましい。
この炭素質材料分散体としては、分散液として形成してもよいし、基板上に塗膜として形成してもよい。
この際、分散体(分散液又は塗膜)を作製するために使用される溶媒としては、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率等の観点から、水を主溶媒として用いることが好ましい。
使用する溶媒中の水の含有量は、特に制限されないが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、前記水溶性化合物の溶解度等の観点から、70重量%以上(70〜100重量%)が好ましく、80重量%以上(80〜100重量%)がより好ましく、90〜100重量%がさらに好ましい。
なお、本発明において、溶媒としては、水のみを使用してもよく、有機溶媒は必ずしも使用しなくてもよいが、前記水溶性化合物の水への溶解性をより向上させるために、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール;エチレングリコール等のグリコール;グリセリン;2−メトキシエタノール等の有機溶媒を使用してもよい。
使用する溶媒中の有機溶媒の含有量は、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、前記水溶性化合物の溶解度等の観点から、30重量%以上(0〜30重量%)が好ましく、20重量%以下(0〜20重量%)がより好ましく、0〜10重量%がさらに好ましい。
本発明において、溶媒を使用した炭素質材料分散体を用いて特定の処理を行う場合、炭素質材料分散体中の溶媒の総量は、特に制限されないが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、前記水溶性化合物の溶解度等の観点から、40〜99.9998重量%が好ましく、63〜99.998重量%がより好ましく、85〜99.98重量%がさらに好ましい。
本発明において、溶媒を使用した炭素質材料分散体を用いて特定の処理を行う場合、炭素質材料分散体は、水溶性化合物分散体に層状構造を有する炭素質材料を投入してもよいし、層状構造を有する炭素質材料分散体に前記水溶性化合物を投入してもよい。また、溶媒中に、層状構造を有する炭素質材料及び前記水溶性化合物を同時に投入してもよい。
他の成分
本発明において、特定の処理を行う際には、層状構造を有する炭素質材料は、前記水溶性化合物以外にも、他の成分と共存させてもよい。つまり、特定の処理を行う前の炭素質材料分散体には、他の成分を含ませてもよい。これにより、最終的に得られる薄片状カーボン分散体や薄片状カーボン組成物中にも、これら他の成分を含ませることができる。このような他の成分としては、カーボンファイバー(特に繊維径500nm以下のカーボンナノファイバー)、活性炭、カーボンブラック(アセチレンブラック、オイルファーネスブラック等;特に導電性が高く、比表面積が大きいケッチェンブラック)、ガラス状カーボン、カーボンマイクロコイル、フラーレン、バイオマス系炭素材料(バガス、ソルガム、木くず、おがくず、竹、木皮、稲ワラ、籾殻、コーヒーかす、茶殻、おからかす、米糠、パルプくず等を原料としたもの;リグニンから製造したカーボンファイバー等)を、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
処理
本発明では、上記のとおり、層状構造を有する炭素質材料を、前記水溶性化合物の共存下で、特定の加圧処理を行う。なお、炭素質材料分散体を使用する場合には、炭素質材料分散体に対して、特定の加圧処理を行う。
加圧処理を施すことにより、層状構造を有する炭素質材料の微粒化が起こるために、条件によってはグラフェン構造を維持できない可能性もあるが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を効率よく行うことができ、処理時間を低減することができる。このような加圧処理を施す際の加圧レベルは、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができるものであれば特に制限はないが、30MPa以上、好ましくは50〜400MPa、より好ましくは100〜300MPaである。このような加圧処理は、高圧分散装置や超臨界水作製装置等を用いて行い得る。高圧分散装置は力学的な圧力をかけることにより分散することができ、超臨界水作製装置においては、水を加熱することにより系の圧力を上げることができる。
このような加圧により、例えば、
(i)2個以上の前記炭素質材料分散体同士を衝突させること、
(ii)前記炭素質材料分散体と金属又はセラミックス材料(炭化ケイ素、アルミナ等高硬度の材料)とを衝突させること、
(iii)前記炭素質材料分散体を断面積1cm以下の空間を通過させること
等の処理を行い得る。
上記(i)及び(ii)によれば、加圧条件をより強くすることが可能であり、層状構造を有する炭素質材料の薄片化をより効率よく行うことができ、処理時間をより低減することができる。また、上記(iii)によれば、グラフェン構造をより維持しつつ、層状構造を有する炭素質材料の薄片化をより適切に行うことができる。この加圧操作を1回以上、好ましくは10回以上行えばよい。
加圧温度は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる温度とすればよく、上記(i)及び(ii)の場合は0〜100℃、特に20〜95℃とし得る。また、上記(iii)の場合、力学的に圧力をかける場合は、0〜100℃が好ましく、水の超臨界状態により圧力を生み出す場合は、373~700℃が好ましく、380〜450℃がより好ましい。
なお、前記加圧処理を行う際には、予備処理(前処理)として、超音波分散処理を行い、層状構造を有する炭素質材料の微粒化を行っておくことが好ましい。これにより、目詰まり防止等の効果を有し得る。
超音波分散処理を施す際の出力は特に制限はないが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化の観点から、通常行われる超音波分散処理(40〜50W程度)よりも強力なものとすることが好ましい。具体的には、超音波分散処理の出力は、100W以上、好ましくは300〜20000W、より好ましくは400〜18000Wである。
超音波分散温度は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる温度とすればよく、0〜80℃、特に10〜70℃とし得る。超音波分散時間は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる時間とすればよく、1〜600分、特に3〜120分とし得る。
また、これらの処理の前処理又は後処理として、通常の機械的撹拌、乳化装置による分散処理、ビーズミルによる分散処理等の他の分散装置による分散処理を併用してもよい。
なお、本発明において、層状構造を有する炭素質材料として、酸化黒鉛を使用する場合には、上記加圧処理を施した分散体中には、薄片状カーボンの酸化物として存在している。このため、層状構造を有する炭素質材料として、酸化黒鉛を使用する場合には、後処理として還元処理を施すことが好ましい。還元処理としては、化学還元、電気化学還元等、種々の方法が採用できるが、化学還元が好ましい。なかでも、ヒドラジン、水素化ホウ素Na等のような還元剤による化学還元が好ましい。還元剤量は、薄片状カーボンの酸化物100重量部に対して、1〜1000重量部が好ましく、10〜500重量部がより好ましく、50〜300重量部がさらに好ましい。また、還元時に加熱を行うとより還元しやすくなる。加熱温度は、40〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましく、60〜120℃がさらに好ましい。還元時間は10分〜64時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましく、1〜24時間がさらに好ましい。ただし、グラフェン構造が過度に破壊されない程度とすることが好ましい。
2.薄片状カーボン分散体
上記した本発明の製造方法によれば、所望の薄片状カーボンが得られる。特に、本発明の製造方法によれば、所望の薄片状カーボンが分散した状態で存在する薄片状カーボン分散体が得られる。
このようにして得られる薄片状カーボンは、薄いほうが諸物性に優れるため好ましいが、厚みが10nm以下、特に0.3〜5nmの薄片状カーボンが得られ得る。厚みが非常に大きい薄片状カーボンが得られることもあるが、多数の薄片状カーボンの厚みは上記範囲内である。
このようにして得られる薄片状カーボンは、薄いほうが諸物性に優れるため好ましいが、10層以下(つまり1〜10層)のグラフェンが積層した層状構造を有する薄片状カーボンが得られ得る。積層数が非常に大きい薄片状カーボンが得られることもあるが、多数の薄片状カーボンの積層数は上記範囲内である。このような薄片状カーボンは、多くの凸角と凹角をもつ平面形状をしているため、その大きさは一概には規定できない。本明細書では、一枚の薄片状カーボンにおいて最も離れている凸角間の距離をその薄片状カーボンの大きさとする。
このような薄片状カーボンとしては、大きさが20nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上のものが得られ得る。このような大きさの薄片状カーボンは、十分な導電性が得られ得る。なお、薄片状カーボンの大きさは、大きい方が電気的物性等の諸物性が優れていることが知られており好ましいため、大きさの上限は限定されない。また、薄片状カーボンの大きさは、顕微鏡(レーザー顕微鏡等)観察により測定するものとする。
本発明の製造方法によれば、薄片状カーボンは、薄片状カーボン分散体として得られ得る。本発明の製造方法では、前記水溶性化合物を含んでいるため、薄片状カーボン分散体においても、前記水溶性化合物が含まれている。この水溶性化合物は、薄片状カーボン表面に吸着して溶媒中で薄片状カーボンを高濃度に孤立分散させることも可能であるため、薄片状カーボン分散体においては分散剤としても機能する。また、前記水溶性化合物は市販品を用いることができ、コスト及び分散性の両方で従来品より優位性がある。さらに、この水溶性化合物は、薄片状カーボン表面に残存しても十分な導電性を維持することができ、また、この水溶性化合物を薄片状カーボンから容易に除去することができるという優位性もある。
また、従来の酸化処理及び還元処理を行う方法においては、還元処理の際にプラスチック基板が加水分解されること、還元処理を施すと薄片状カーボンが凝集するため分散体として存在し得ないこと等から、プラスチック基板上に薄片状カーボン分散体を形成することは不可能であったが、本発明においては、上記水溶性化合物を含ませつつ特定の処理を行うことで、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基板が加水分解を受けることなく、薄片状カーボン分散体を基板上に形成することも可能である。また、上記のとおり、この薄片状カーボン分散体から薄片状カーボンの分離・精製が容易であり、他材料に薄片状カーボンを均一混合することも可能であるため、薄片状カーボンを含むナノコンポジット等へ適用できる。さらに、薄片状カーボン分散体の乾燥物である薄片状カーボン組成物は、前記水溶性化合物を含んでいても、導電性等の優れた諸物性を有するうえに、残存する前記水溶性化合物を容易に除去できるため、導電材料、伝熱材料、トランジスタ、キャパシタ等の蓄電デバイス、センサー、圧電材料、抗菌材料、ろ過材料、樹脂添加剤、光学材料等のさまざまな用途に適用することができる。
3.薄片状カーボン組成物及び薄片状カーボン
本発明において、薄片状カーボン組成物は、上記薄片状カーボン分散体の乾燥物であり、薄片状カーボンと前記水溶性化合物とを含んでいる。このような薄片状カーボン組成物の形状としては、特に制限はないが、塗膜、シート、塊状体等を挙げることができる。
乾燥物を得るためには、薄片状カーボン分散体の乾燥の他、基板上に薄片状カーボン分散体をスピンコートや塗布後に乾燥する方法、通常の固液分離により薄片状カーボン組成物を回収する方法等により実施することができる。この分離を行う方法としては、例えば、通常の固液分離に使用されている方法、例えば、濾紙、ガラスフィルター等を用いて濾過する方法;遠心分離後に濾過する方法;減圧濾過器を使用する方法を例示できる。次に、乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、温風乾燥機等を用いて50〜200℃程度で1〜24時間程度乾燥させる方法を例示できる。また、エバポレータ、減圧乾燥炉、熱風乾燥炉等により乾燥し、粉砕して使用してもよい。また、スプレードライヤ等により、瞬間的に粉末化すると、粉体中の組成がより一体である優位性と、その後液中に分散させる場合も分散がより容易であるという優位性もある。さらに、フリーズドライ等により崩壊しやすい粉末を作製することも可能である。
このようにして得られる薄片状カーボン組成物は、十分な導電性を有するだけではなく、優れたガスバリア性も有する。得られる薄片状カーボン組成物の組成は特に制限はないが、例えば、前記水溶性化合物の含有量を、薄片状カーボン100重量部に対して1重量部以上、好ましくは5〜100000重量部、より好ましくは10〜50000重量部、さらに好ましくは100〜10000重量部とし得る。
本発明において、薄片状カーボン組成物は、薄片状カーボン表面に前記水溶性化合物が残存していても十分な電気伝導性等の諸物性を有し得るが、必要に応じて、当該水溶性化合物を除去することができる。具体的には、前記水溶性化合物は、薄片状カーボン組成物を水、有機溶媒等で洗浄することにより除去することができる。洗浄処理は水及び有機溶媒以外にも、希酸又は希アルカリで洗浄することによっても除去できる。なお、前記水溶性化合物が有機アンモニウム塩の場合は、150〜400℃、好ましくは200〜350℃の熱処理により有機アンモニウム塩が分解されるため、熱処理によっても前記水溶性化合物を除去することができる。
従来の分散剤は、分散剤分子と薄片状カーボンとの疎水性相互作用を利用して吸着していると考えられ、また分子量が比較的大きいため、その吸着力も大きいと考えられる。他方、本発明で用いる水溶性化合物は薄片状カーボンと化学結合はしておらず、また分子量が小さいため従来品と比べて吸着力も弱い。よって、本発明で用いる水溶性化合物は従来品よりも薄片状カーボン組成物から除去し易いという利点がある。
前記水溶性化合物を除去するための洗浄は、薄片状カーボン組成物と洗浄液とを接触させることにより行うことができる。洗浄液としては、前記水溶性化合物を溶解できるものであれば、水、各種の有機溶媒等が使用できる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール(特に炭素数1〜6の低級アルコール)、アセトン等が使用できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、洗浄後に薄片状カーボン組成物から短時間で蒸発する有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、常圧における沸点が50〜250℃程度、特に60〜200℃程度のもの、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が例示できる。
また、上記のように、前記水溶性化合物を除去するための洗浄を、薄片状カーボン組成物と希酸又は希アルカリとを接触させ、次いで水洗することにより行ってもよい。希酸は、0.1〜5%塩酸が好ましく、希アルカリは0.1〜3%アンモニア水が好ましい。
洗浄操作は、洗浄液と薄片状カーボン組成物とを接触させればよい。例えば、薄片状カーボン分散体から回収された薄片状カーボン組成物を、洗浄液中に室温で静かに浸漬させるのが好ましい。浸漬時間は、薄片状カーボン組成物の形状を維持するために、30分以内が好ましく、20分以内がより好ましい。
洗浄液の使用量は、洗浄を行うに有効な量であれば特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、薄片状カーボン組成物100重量部に対して、洗浄液を100〜100000重量部程度、特に1000〜5000重量部程度使用すると良好な結果が得られる。
このようにして、薄片状カーボンを単離することができるが、この際得られる薄片状カーボンは、上記したような特徴を有するものである。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し本発明は実施例に限定されない。
実施例1−1
水100gにポリオキシエチレンラウリルエーテル(関東化学(株)製;推定HLB値16.9;ブリジ35相当品)を10g添加し、0.01gの膨張黒鉛(伊藤黒鉛(株)製)を加え、600Wの超音波分散装置を用いて、氷冷しながら5分間分散処理を加え、さらに、高圧分散装置を用いて約250MPaで分散処理(2個以上の炭素質材料分散液同士を衝突させる)を50回行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、1ヵ月後も分散状態が保持されていた。また、その材料をエタノールで洗浄してポリオキシエチレンラウリルエーテルを除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、及びラマン分光で分析したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。結果を図1〜2に示す。
実施例1−2
水100gにポリオキシエチレンラウリルエーテル(関東化学(株)製;推定HLB値16.9;ブリジ35相当品)を10g添加し、0.01gの膨張黒鉛(伊藤黒鉛(株)製)を加え、600Wの超音波分散装置を用いて、氷冷しながら5分間分散処理を加え、さらに、高圧分散装置を用いて約250MPaで分散処理(炭素質材料分散液と炭化ケイ素とを衝突させる)を50回行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、1ヵ月後も分散状態が保持されていた。また、その材料をエタノールで洗浄してポリオキシエチレンラウリルエーテルを除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、及びラマン分光で分析したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。
実施例2−1
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをトリトンX−100(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;推定HLB値13.5)5gとする以外は、実施例1−1と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。結果を図3〜5に示す。
実施例2−2
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをトリトンX−100(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;推定HLB値13.5)5gとする以外は、実施例1−2と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。結果を図6に示す。
実施例3−1
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをトリトンX−405(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;推定HLB値17.9)5gとする以外は、実施例1−1と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。
実施例3−2
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをトリトンX−405(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;推定HLB値17.9)5gとする以外は、実施例1−2と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。
実施例4−1
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをコール酸ナトリウム5gとする以外は、実施例1−1と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜15層であり、大部分の厚みが7nm以下であった。結果を図7に示す。
実施例4−2
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをコール酸ナトリウム5gとする以外は、実施例1−2と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜15層であり、大部分の厚みが7nm以下であった。結果を図8に示す。
実施例5−1
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをドデシルスルホン酸ナトリウム5gとする以外は、実施例1−1と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜20層であり、大部分の厚みが10nm以下であった。
実施例5−2
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをドデシルスルホン酸ナトリウム5gとする以外は、実施例1−2と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜20層であり、大部分の厚みが10nm以下であった。
実施例6−1
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム5gとする以外は、実施例1−1と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜20層であり、大部分の厚みが10nm以下であった。
実施例6−2
ポリオキシエチレンラウリルエーテルをジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム5gとする以外は、実施例1−2と同様に実験を行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、導電ガラスに塗布し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜20層であり、大部分の厚みが10nm以下であった。
実施例7
水100gにポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(和光純薬工業(株)製:160EO-30PO)を10g添加し、0.01gの膨張黒鉛(伊藤黒鉛(株)製)を加え、600Wの超音波分散装置を用いて、氷冷しながら5分間分散処理を加え、さらに、高圧分散装置を用いて約250MPaで分散処理(炭素質材料分散液と炭化ケイ素とを衝突させる)を50回行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、1ヵ月後も分散状態が保持されていた。また、その材料をエタノールで洗浄してポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で分析したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。
実施例8
水100gにデカグリセリンラウリン酸エステル(阪本薬品工業(株)製)を10g添加し、0.01gの膨張黒鉛(伊藤黒鉛(株)製)を加え、600Wの超音波分散装置を用いて、氷冷しながら5分間分散処理を加え、さらに、高圧分散装置を用いて約250MPaで分散処理(炭素質材料分散液と炭化ケイ素とを衝突させる)を50回行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、1ヵ月後も分散状態が保持されていた。また、その材料をエタノールで洗浄してデカグリセリンラウリン酸エステルを除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で分析したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。
実施例9
水100gにポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル(阪本薬品工業(株)製)を10g添加し、0.01gの膨張黒鉛(伊藤黒鉛(株)製)を加え、600Wの超音波分散装置を用いて、氷冷しながら5分間分散処理を加え、さらに、高圧分散装置を用いて約250MPaで分散処理(炭素質材料分散液と炭化ケイ素とを衝突させる)を50回行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、1ヵ月後も分散状態が保持されていた。また、その材料をエタノールで洗浄してポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテルを除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で分析したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。
実施例10
n-デシルアルコール100ml(83g)に0.01gの膨張黒鉛(伊藤黒鉛(株)製)を加え、600Wの超音波分散装置を用いて、氷冷しながら5分間分散処理を加え、さらに、高圧分散装置を用いて約250MPaで分散処理(炭素質材料分散液と炭化ケイ素とを衝突させる)を150回行った。
その結果、炭素質材料の分散液が得られ、1ヵ月後も分散状態が保持されていた。また、その材料をエタノールで洗浄してn-デシルアルコールを除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で分析したところ、薄片状カーボンが得られていた。この薄片状カーボンは、大部分の積層数が2〜10層であり、大部分の厚みが5nm以下であった。
このように、テープによる剥離や、高コストのCVD等を使用することなく、また強い酸化剤を用いて炭素系材料の芳香環構造を崩したり、その還元工程を行ったりすることなく、極めて高度に薄片化した高純度な炭素を、簡易かつ量産化が可能な方法で作製することができた。
その薄片化した炭素は、分散液の状態でも得ることができ、また、それを基板やテープから剥離する等の面倒な工程を経ずに単離することもできた。

Claims (23)

  1. 薄片状カーボンの製造方法であって、
    層状構造を有する炭素質材料を、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物の共存下で、30MPa以上の加圧を行う、製造方法。
  2. 層状構造を有する炭素質材料、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物、及び溶媒を含有する炭素質材料分散体に対して、30MPa以上の加圧を行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記溶媒が水を含有し、且つ、該水の含有量が、前記溶媒中の70重量%以上である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記疎水基が、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、及び炭素数3以上のポリオキシアルキレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記親水基が、一般式(1)〜(4):
    [式中、−OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基;Rは2価の有機基;Xは、水素原子、アルカリ金属、NH、又は有機アンモニウム;Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム、又はアルキル基;一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
    で示される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記一般式(2)で示される親水基がポリオキシエチレン基及び/又はポリグリセリル基である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記親水基以外の構成部分の炭素数が10以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記親水基以外の構成成分が、重合度が4以上のポリオキシプロピレン基及び/又は重合度が3以上のポリオキシブチレン基である、請求項1〜7に記載の製造方法。
  9. 前記炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物のHLB値が12以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記層状構造を有する炭素質材料が、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、酸化黒鉛及び土状黒鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記加圧処理の前処理として、さらに、100W以上の超音波分散処理を行う、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記加圧処理により、
    (i)2個以上の前記炭素質材料分散体同士を衝突させること
    (ii)前記炭素質材料分散体と金属又はセラミックス材料とを衝突させること、及び
    (iii)前記炭素質材料分散体を断面積1cm以下の空間を通過させること
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種の処理が行われる、請求項2〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記層状構造を有する炭素質材料の含有量が10重量%以下の濃度で行われる、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた薄片状カーボン。
  15. 厚みが10nm以下である、請求項14に記載の薄片状カーボン。
  16. 薄片状カーボン分散体の製造方法であって、
    層状構造を有する炭素質材料、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物、及び溶媒を含有する炭素質材料分散体に対して、30MPa以上の加圧処理を行う、製造方法。
  17. 請求項16に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン分散体。
  18. 薄片状カーボン、炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物、及び溶媒を含有する薄片状カーボン分散体であって、
    前記疎水基が、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアルキル基及び/又は置換基を有していてもよい炭素数6以上のシクロアルキル基であり、
    前記親水基が、一般式(1)〜(4):
    [式中、−OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基;Rは2価の有機基;Xは、水素原子、アルカリ金属、NH、又は有機アンモニウム;Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム、又はアルキル基;一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
    で示される少なくとも1種である、剥片状カーボン分散体。
  19. 請求項16に記載の製造方法により得た薄片状カーボン分散体、又は請求項18に記載の薄片状カーボン分散体から、溶媒を乾燥させることを特徴とする、薄片状カーボン及び炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物を含有する薄片状カーボン組成物の製造方法。
  20. 請求項19に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン組成物。
  21. 炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物の含有量が、薄片状カーボン100重量部に対して、1重量部以上である、請求項20に記載の薄片状カーボン組成物。
  22. 請求項19に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン組成物を水又は有機溶媒で洗浄して炭素と親和性の高い疎水基と、親水基とを有する水溶性化合物を除去することを特徴とする、薄片状カーボンの製造方法。
  23. 請求項22に記載の製造方法により得られた薄片状カーボン。
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