JP7451088B2 - 熱伝導材料 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導材料に関する。
黒鉛、カーボンナノチューブ等の結晶性を有する炭素材料は熱伝導性が高い材料であるため、熱伝導材料に使用されることがある(例えば、特許文献1参照)が、樹脂と炭素との間の熱抵抗が大きいため、期待したほど熱伝導性が高くならない場合が多いだけでなく、これらの炭素材料は樹脂との親和性も低いため、熱伝導性を向上させるために添加量を増やすと、混練、成形、強度等に問題が出る。
一方、グラフェンシートは、炭素原子がハニカム格子状に並んだ2次元単層シートであり、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ等の構成単位でもある。このグラフェンシートが厚み100nm以下程度に積層された薄片状カーボン(本発明において、グラフェンシートも含む概念である)は、その特異な諸物性を有していることから、様々な材料に使用される新たな材料として注目を浴びている。
国際公開第2014/080743号
しかしながら、薄片状カーボンのようなナノカーボン材料は熱伝導性が極めて高い反面、微細な構造のものほど凝集しやすく、そのポテンシャルをいかんなく発揮することが難しく、十分に熱伝導性及び放熱性を向上させることはできなかった。
本発明は、樹脂中に分散しやすく、且つ熱伝導性及び放熱性に優れた熱伝導材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、厚みが1~100nmである薄片状カーボンと、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含有することで、樹脂中に分散しやすく、且つ熱伝導性及び放熱性に優れた熱伝導材料が得られることを見出した。本発明者らは、当該知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.厚みが1~100nmである薄片状カーボンと、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含有する、熱伝導材料。
項2.前記親水基が、一般式(1)~(4):
Figure 0007451088000001
[式中、-OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基を示す。Rは2価の有機基を示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH又は有機アンモニウムを示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム又はアルキル基を示す。一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
で表される少なくとも1種である、項1に記載の熱伝導材料。
項3.前記親水基が、フェノール性水酸基及び/又はポリオキシエチレン基である、項1又は2に記載の熱伝導材料。
項4.前記疎水基が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及び炭素数3以上のポリオキシアルキレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導材料。
項5.前記疎水基が、2個以上の芳香環を有するアリール基である、項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導材料。
項6.前記薄片状カーボン1質量部に対して、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を0.01~1質量部含有する、項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導材料。
項7.熱伝導性放熱材料である、項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導材料。
項8.項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導材料の製造方法であって、
(1)前記薄片状カーボンと、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物と、溶媒とを含有する分散体から溶媒を除去する工程を備える、製造方法。
項9.前記溶媒を除去する工程が、前記分散体を濃縮する工程である、項8に記載の製造方法。
項10.前記溶媒が水である、項8又は9に記載の製造方法。
項11.項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導材料の熱処理物である、薄片状カーボン材料。
項12.項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導材料を400℃~600℃で熱処理する工程を備える、薄片状カーボン材料の製造方法。
項13.項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導材料又は項11に記載の薄片状カーボン材料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー及びグリースよりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する、熱伝導組成物。
項14.前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂及びポリウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項13に記載の熱伝導組成物。
項15.前記ゴムが、スチレン・ブタジエンゴム及び/又はシリコーンゴムである、項13又は14に記載の熱伝導組成物。
項16.項13~15のいずれか1項に記載の熱伝導組成物の製造方法であって、
(2)前記熱伝導材料若しくは前記薄片状カーボン材料、並びに溶媒を含む分散体と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー及びグリースよりなる群から選ばれる少なくとも1種とを混合する工程、並びに
を備える、製造方法。
本発明によれば、樹脂中に分散しやすく、且つ熱伝導性及び放熱性に優れた熱伝導材料を得ることができる。
親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量が少ない場合(薄片状カーボンの表面に親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物が被覆されている場合)の本発明の熱伝導材料の構成を示す。 親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量が多い場合(炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物中に薄片状カーボンが分散している場合)の本発明の熱伝導材料の構成を示す。 実施例1で得られた薄片状カーボンの断面の透過型電子顕微鏡像を示す。 試験例2において、実施例4及び比較例3の試料の放熱性を測定した位置を説明する概略図である。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
以下、本発明の実施形態を説明するが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。
1.熱伝導材料
本発明の熱伝導材料は、厚みが1~100nmである薄片状カーボンと、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含有する。
(1-1)薄片状カーボン
薄片状カーボンとしては、薄いほうが熱伝導性及び放熱性に優れるため好ましいが、その厚みは1~100nm、好ましくは1~20nmである。また、同様に、厚みが1~10nmである薄片状カーボンの含有割合は、薄片状カーボンの総数を100%として、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。つまり、厚みが大きい薄片状カーボンが含まれてもよいが、多数の薄片状カーボンの厚みは10nm以下であることが好ましい。なお、薄片状カーボンの厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定する。
薄片状カーボンは、薄いほうが熱伝導性及び放熱性に優れるため好ましいが、300層以下(つまり1~300層)のグラフェンが積層した層状構造を有する薄片状カーボンが好ましく、1~60層のグラフェンが積層した層状構造を有する薄片状カーボンがより好ましい。また、同様に、積層数が1~30層である薄片状カーボンの含有割合は、薄片状カーボンの総数を100%として、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。つまり、厚みが大きい薄片状カーボンが含まれてもよいが、多数の薄片状カーボンの厚みは30層以下であることが好ましい。なお、薄片状カーボンの積層は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定した厚みにより算出する。
薄片状カーボンは、通常、多くの凸角と凹角を有する平面形状をしているため、厚み以外のサイズは一概には規定しにくい。本明細書では、一枚の薄片状カーボンにおいて最も離れている凸角間の距離をその薄片状カーボンの大きさとする。
このような薄片状カーボンの大きさは、20nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、200nm以上がさらに好ましい。このような大きさの薄片状カーボンを使用することにより、熱伝導性及び放熱性をさらに向上させやすい。なお、薄片状カーボンの大きさは、大きい方が熱伝導性及び放熱性に優れていることが知られており好ましいため、大きさの上限は限定されないが、通常100μmである。また、薄片状カーボンの大きさは、透過型電子顕微鏡観察(TEM)観察により測定する。
本発明の熱伝導材料において、薄片状カーボンの含有量は、特に制限されないが、熱伝導性及び放熱性の観点から、本発明の熱伝導材料の総量を100質量%として、50~99.5質量%が好ましく、60~99.2質量%がより好ましい。
(1-2)親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物
本発明においては、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を使用することにより、グラフェン構造を維持した薄片状カーボンが凝集することなく、本発明の熱伝導材料中の薄片状カーボンを均一分散した状態で維持することができる。なお、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は、薄片状カーボンを均一分散させるための分散剤としても機能し得る。
このような親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物としては、特に制限されるわけではなく、薄片状カーボンの分散剤として機能し得る種々多様な有機化合物(特に水溶性化合物)を使用し得る。
なかでも、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物が有する疎水基としては、特に制限はないが、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、炭素数3以上のポリオキシアルキレン基等が好ましい。親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は、このような疎水基を、1種又は2種以上含むことができる。また、複数の疎水基を使用する場合には、同じ疎水基を複数用いてもよいし、同じ疎水基を複数用いてもよいし、異なる疎水基を複数用いてもよい。
アルキル基としては、鎖状アルキル基でも分岐鎖状アルキル基でもよいが、炭素との親和性の観点から、鎖状アルキル基が好ましい。また、アルキル基の炭素数は、炭素との親和性の観点から、6以上が好ましく、8~28がより好ましく、10~22がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(又はラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基(又はミリスチル基)、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(又はセチル基)、オクタデシル基、イコシル基等が挙げられる。
このアルキル基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基及びアリール基としては、後述のものが例示される。
アルキル基の置換基としてのアラルキル基としては、後述のアリール基と炭素数1~6のアルキル基を有する炭素数7~14のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基等が好ましい。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。特に、水溶性を重視する場合は置換基としてフェニル基等が好ましく、薄片状カーボンとの相溶性を重視する場合は置換基としてナフチル基、フルオレニル基等が好ましい。
アルケニル基としては、炭素との親和性と水溶性の観点から、炭素数は4以上が好ましく、6~100がより好ましく、8~30がさらに好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、オレイル基、リノレイル基等が挙げられる。
このアルケニル基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。なお、アラルキル基としては前記したものが例示され、シクロアルキル基及びアリール基としては、後述のものが例示される。
アルケニル基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert-ブチル基等が好ましい。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。特に、水溶性を重視する場合は置換基としてフェニル基等が好ましく、薄片状カーボンとの相溶性を重視する場合は置換基としてナフチル基、フルオレニル基等が好ましい。
シクロアルキル基としては、炭素数5~10(好ましくは5~8、特に5~6)のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が好ましい。
このシクロアルキル基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
シクロアルキル基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert-ブチル基等が好ましい。
シクロアルキル基の置換基としてのアリール基及びアラルキル基としては、前記例示したものが挙げられる。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。特に、水溶性を重視する場合は置換基としてフェニル基等が好ましく、薄片状カーボンとの相溶性を重視する場合は置換基としてナフチル基、フルオレニル基等が好ましい。
アリール基としては、炭素数6~18(特に6~14)のアリール基が好ましく、単環アリール基、縮環アリール基及び多環アリール基のいずれも採用でき、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、ピレニル基、トリフェニレニル基等が挙げられる。なお、炭素との親和性の観点から、2個以上の芳香環を有するアリール基(縮環アリール基及び多環アリール基)が好ましい。
このアリール基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基等が挙げられる。
アリール基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert-ブチル基等が好ましい。
アリール基の置換基としてのシクロアルキル基及びアラルキル基としては、前記例示したものが挙げられる。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。
ポリオキシエチレン基は通常親水性であるが、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等、炭素数3以上のポリオキシアルキレン基は重合度が上がるほど疎水性が増し、疎水基として機能する。特に重合度4以上のポリオキシプロピレン基、重合度3以上のポリオキシブチレン基が好ましい。例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンやポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンを親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物として使用した場合には、ポリオキシプロピレン基及びポリオキシブチレン基も疎水基として機能し得る。
この炭素数3以上のポリオキシアルキレン基は、置換基を有していてもよいし有していなくてもよい。このような置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。
炭素数3以上のポリオキシアルキレン基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert-ブチル基等が好ましい。
炭素数3以上のポリオキシアルキレン基の置換基としてのシクロアルキル基、アラルキル基及びアリール基としては、前記例示したものが挙げられる。
なお、置換基としては、上記のみに制限されず、フルオレン構造由来の基(フルオレニル基等)を有していてもよい。特に、水溶性を重視する場合は置換基としてフェニル基等が好ましく、薄片状カーボンとの相溶性を重視する場合は置換基としてナフチル基、フルオレニル基等が好ましい。
このような疎水基としては、炭素との親和性の観点から、アリール基及び炭素数3以上のポリオキシアルキレン基が好ましく、アリール基がより好ましく、2個以上の芳香環を有するアリール基(縮環アリール基及び多環アリール基)がさらに好ましい。具体的には、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、重合度4以上のポリオキシプロピレン基、重合度3以上のポリオキシブチレン基等が好ましい。
また、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物が有する親水基としては、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水に対する溶解度を上昇させることができるものであれば特に制限はないが、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水溶性、薄片状カーボンの分散性、熱伝導性、放熱性等の観点から、一般式(1)~(4):
Figure 0007451088000002
[式中、-OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基を示す。Rは2価の有機基を示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH又は有機アンモニウムを示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム又はアルキル基を示す。一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
で表される親水基が好ましい。親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は、このような親水基を、1種又は2種以上含むことができる。また、複数の親水基を使用する場合には、同じ親水基を複数用いてもよいし、同じ一般式で表される親水基を複数種用いてもよいし、異なる一般式で表される親水基を複数種用いてもよい。
一般式(1)において、-OHはアルコール性水酸基及びフェノール性水酸基のいずれも採用し得る。ただし、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水溶性、薄片状カーボンの分散性、熱伝導性、放熱性等の観点から、アルコール性水酸基が好ましいものの、フェノール性水酸基を含む場合(特に、複数のフェノール性水酸基を含む場合)は、必然的に疎水性に優れたベンゼン環も含むこととなり、全体として親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水溶性、薄片状カーボンの分散性、熱伝導性、放熱性等も優れるため好ましい。
一般式(2)において、Rで示される2価の有機基としては、特に制限されず、2価の炭化水素基が好ましい。2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(アルキレン基(又はアルキリデン基)、シクロアルキレン基、アルキレン(又はアルキリデン)-シクロアルキレン基、ビ又はトリシクロアルキレン基等)、芳香族炭化水素基(アリーレン基、アルキレン(又はアルキリデン)-アリーレン基等)等が挙げられる。
一般式(2)において、基Rで示されるアルキレン基(又はアルキリデン基)としては、アルキレン基が好ましく、C1-8アルキレン基がより好ましく、C1-4アルキレン基がさらに好ましく、C2-4アルキレン基が特に好ましく、C2-3アルキレン基が最も好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ブタン-2-イリデン基、1,2-ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基、ペンタン-2,3-ジイル基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるシクロアルキレン基としては、C5-10シクロアルキレン基が好ましく、C5-8シクロアルキレン基がより好ましい。具体的には、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロへキシレン基、シクロへプチレン基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるアルキレン(又はアルキリデン)-シクロアルキレン基としては、アルキレン-シクロアルキレン基が好ましく、C1-6アルキレン-C5-10シクロアルキレン基がより好ましく、C1-4アルキレン-C5-8シクロアルキレン基がさらに好ましい。具体的には、メチレン-シクロへキシレン基、エチレン-シクロへキシレン基、エチレン-メチルシクロへキシレン基、エチリデン-シクロへキシレン基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるビ又はトリシクロアルキレン基としては、具体的には、ノルボルナン-ジイル基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるアリーレン基としては、C6-10アリーレン基が好ましい。具体的には、フェニレン基、ナフタレンジイル基等が例示できる。
一般式(2)において、基Rで示されるアルキレン(又はアルキリデン)-アリーレン基としては、アルキレン-アリーレン基が好ましく、C1-6アルキレン-C6-20アリーレン基がより好ましく、C1-4アルキレン-C6-10アリーレン基がさらに好ましく、C1-2アルキレン-フェニレン基が特に好ましい。具体的には、メチレン-フェニレン基、エチレン-フェニレン基、エチレン-メチルフェニレン基、エチリデンフェニレン基等が例示できる。
これらのうち、2価の脂肪族炭化水素基、特に、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基等のC1-4アルキレン基等)が好ましい。
なお、アルキレン(若しくはアルキリデン)-シクロアルキレン基並びにアルキレン(アルキリデン)-アリーレン基とは、-Ra-Rb-(式中、Raは、一般式(2)において、それぞれ別個の酸素原子に結合したアルキレン基又はアルキリデン基、Rbはシクロアルキレン基又はアリーレン基を示す)で表される基を示す。
このような一般式(2)で表される親水基としては、特に制限されず、例えば、-OCO-、-OCO-、-OCHO-等が使用され得る。これらを複数(好ましくは3~100個)有するものも好ましく使用することができ、例えば、ポリオキシメチレン基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等を使用することができる。特に一般式(2)で表される親水基が3つ以上重合した構造を有する場合は、Rの炭素が多いほど(例えば炭素数3以上)親水性が下がり疎水性を増すため、重合度が増しても親水性を保持できる-OCO-、-OCHO-が好ましい。
一般式(3)において、Xで示されるアルカリ金属としては、特に制限されず、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。
一般式(3)において、Xで示される有機アンモニウムとしては、第四級アンモニウムが好適であり、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が好適に使用され得る。
このような一般式(3)で表される親水基としては、特に制限されないが、例えば、-SO 、-SO Na、-SO 、-SO Li、-SO NH 、-SO N(CH 、-SO N(C 、-SO N(C 、-SO N(C 等が挙げられる。
一般式(4)において、Xで示されるアルカリ金属及び有機アンモニウムとしては、上記例示したものが挙げられる。
一般式(4)において、Xで示されるアルキル基としては、鎖状アルキル基でも分岐鎖状アルキル基でもよいが、炭素との親和性の観点から、鎖状アルキル基が好ましい。また、アルキル基の炭素数は、炭素との親和性の観点から、1~2が好ましい。
このような一般式(4)で表される親水基としては、特に制限されないが、例えば、-COOH、-COONa、-COOK、-COOLi、-COONH、-COON(CH、-COON(C、-COON(C 、-COON(C 等が挙げられる。
これら親水基のなかでも、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水溶性、pHによらない安定性、薄片状カーボンの分散性、熱伝導性、放熱性等の観点から、一般式(2)で表される親水基が好ましい。
ただし、一般式(2)で表される同じ親水基を複数有する、つまり重合した構造を有する場合、炭素数2以下は重合度が増すほど水溶性化合物の親水性は高くなるが、炭素数3以上の場合は重合度が増すほど疎水性が増す可能性がある。
本発明において使用する親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物において、親水基以外の構成部分(疎水基等)の炭素数は、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水溶性、薄片状カーボンの分散性、熱伝導性、放熱性等の観点から、6以上が好ましく、8~18がより好ましい。
また、本発明において、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物として、非イオン系材料(ノニオン界面活性剤等)を使用する場合には、そのHLB値は、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水溶性、薄片状カーボンの分散性、熱伝導性、放熱性等の観点から、12以上が好ましく、13~19がより好ましい。なお、疎水基を同じとした場合(薄片状カーボンとの親和性が同程度の場合)には、HLB値は高いほど好ましい。
上記のような条件を満たす親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物としては、特に制限はないが、芳香族水溶性化合物を使用してもよいし、非芳香族水溶性化合物を使用してもよいが、芳香族水溶性化合物が好ましい。親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンウンデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンウンデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレントリデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンペンタデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンペンタデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル、コール酸ナトリウム、コール酸カリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンカリウム、デカグリセリンラウリン酸エステル、n-デシルアルコール等が挙げられる。
このような親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物としては、例えば、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン130K、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン210P、エマルゲン220(以上、花王(株)製ポリオキシエチレンアルキルエーテル類)、トリトンX-100、トリトンX-114、トリトンX-305、トリトンX-405(ダウケミカル社製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル類)、ノイゲンEN、ノイゲンEN-10(以上、第一工業製薬(株)製ポリオキシエチレンナフチルエーテル)等を使用できる。
本発明の熱伝導材料中における親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量は、特に制限されないが、熱伝導性及び放熱性の観点から、本発明の熱伝導材料の総量を100質量%として、0.5~50質量%が好ましく、0.8~40質量%がより好ましい。また、本発明の熱伝導材料中における親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量は、特に制限されないが、熱伝導性及び放熱性の観点から、薄片状カーボン1質量部に対して、0.01~1質量部が好ましく、0.02~0.8質量部がより好ましい。なお、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量が少ない場合には、本発明の熱伝導材料は、薄片状カーボンの表面に親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物が被覆されている構成を有する(図1)。一方、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量が多い場合には、本発明の熱伝導材料は、炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物中に薄片状カーボンが分散している構成を有する(図2)。いずれの場合も、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物が薄片状カーボンの周囲に介在することで、薄片状カーボンの凝集を抑制し、熱伝導性及び放熱性に優れた材料を得ることができる。
(1-3)他の成分
本発明の熱伝導材料において、薄片状カーボン及び親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物以外にも、他の成分を含ませてもよい。このような他の成分としては、例えば、カーボンファイバー(特に繊維径500nm以下のカーボンナノファイバー)、活性炭、カーボンブラック(アセチレンブラック、オイルファーネスブラック等;特に導電性が高く、比表面積が大きいケッチェンブラック)、ガラス状カーボン、カーボンマイクロコイル、フラーレン、バイオマス系炭素材料(バガス、ソルガム、木くず、おがくず、竹、木皮、稲ワラ、籾殻、コーヒーかす、茶殻、おからかす、米糠、パルプくず等を原料としたもの;リグニンから製造したカーボンファイバー等)、セルロースナノファイバー、窒化ホウ素、モリブデン化合物(二硫化モリブデン、有機モリブデン等)、二硫化タングステン、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等)、メラミンシアヌレート、フタロシアニン、酸化鉛、フッ化カルシウム、層状鉱物(マイカ、タルク等)等を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することもできる。
ただし、樹脂中に分散させやすく、塗布する際の塗膜の均一性、密着性等をさらに向上させる観点からは、他の成分の含有量は少ないことが好ましく、本発明の熱伝導材料の総量を100質量%として、0.01~10質量%が好ましく、0.02~5質量%がより好ましい。
このような本発明の熱伝導材料の形状としては、特に制限はなく、塗膜、シート、塊状体等を挙げることができる。
このような本発明の熱伝導材料は、上記のとおり、熱伝導性に優れるのみならず、放熱性にも優れた材料である。このため、本発明の熱伝導材料は、熱伝導性に優れるのみならず、加熱された後に放熱することでよりすばやく放熱して温度を冷却することが可能である。このため、本発明の熱伝導材料は、熱伝導性放熱材料としても機能し得る。
このような本発明の熱伝導材料は、熱伝導性及び放熱性に優れることから、電子材料用熱伝導グリース、電子材料用放熱塗料、電子材料用熱伝導ゴム、LED用放熱塗料、ヒートシンク用塗料、各種熱交換器用コーティング等の用途に用いることができる。
2.熱伝導材料の製造方法
本発明の熱伝導材料は、例えば、
(1)前記薄片状カーボンと、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物と、溶媒とを含有する分散体から溶媒を除去する工程
により製造することができる。
(2-1)分散体(薄片状カーボン分散体)
薄片状カーボンと、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物と、溶媒とを含有する分散体(薄片状カーボン分散体)において、薄片状カーボンと、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物については、上記した説明を採用することができる。また、薄片状カーボン分散体には、必要に応じて、上記した他の成分を含ませることもできる。
この薄片状カーボン分散体は、分散液として形成してもよいし、基板上に塗膜として形成してもよい。この際、薄片状カーボン分散体(薄片状カーボン分散液又は薄片状カーボン塗膜)を作製するために使用される溶媒としては、薄片状カーボンの分散性、得られる熱伝導材料の熱伝導性及び放熱性等の観点から、水を主溶媒として用いることが好ましい。
使用する溶媒中の水の含有量は、特に制限されないが、薄片状カーボンの分散性、得られる熱伝導材料の熱伝導性及び放熱性等の観点から、溶媒の総量を100質量%として、70質量%以上(70~100質量%)が好ましく、75~100質量%がより好ましい。
なお、本発明において、溶媒としては、水のみを使用してもよく、有機溶媒は必ずしも使用しなくてもよいが、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の水への溶解性をより向上させるために、メタノール、エタノール、2-プロパノール、tert-ブチルアルコール等のアルコール;エチレングリコール等のグリコール;グリセリン;2-メトキシエタノール等の有機溶媒を使用してもよい。
使用する溶媒中の有機溶媒の含有量は、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の溶解度、得られる熱伝導材料の熱伝導性及び放熱性等の観点から、溶媒の総量を100質量%として、30質量%以下(0~30質量%)が好ましく、5~25質量%がより好ましい。
上記薄片状カーボン分散体において、薄片状カーボンの含有量は、特に制限されないが、本発明の熱伝導材料の組成としやすい観点から、薄片状カーボン分散体の総量を100質量%として、20質量%以下が好ましく、0.0001~15質量%がより好ましく、0.001~10質量%がさらに好ましい。また、同様に、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量は、特に制限されないが、本発明の熱伝導材料の組成としやすい観点から、薄片状カーボン分散体の総量を100質量%として、0.00001~99.9質量%が好ましく、0.0001~50質量%がより好ましく、0.001~30質量%がさらに好ましい。同様に、上記薄片状カーボン分散体中における親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量は、特に制限されないが、本発明の熱伝導材料の組成としやすい観点から、薄片状カーボン1質量部に対して、0.01~1質量部が好ましく、0.02~0.8質量部がより好ましい。さらに、溶媒の含有量は、特に制限されないが、本発明の熱伝導材料の組成としやすい観点から、薄片状カーボン分散体の総量を100質量%として、40~99.9998質量%が好ましく、63~99.998質量%がより好ましく、85~99.98質量%がさらに好ましい。
(2-2)薄片状カーボン分散体の製造方法
本発明において、上記薄片状カーボン分散体の製造方法は、特に制限されず、溶媒に対して薄片状カーボン及び親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を投入することもできる。具体的には、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の分散体に薄片状カーボンを投入することもできるし、薄片状カーボンの分散体に親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を投入することもできる。また、溶媒中に、薄片状カーボン及び親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を同時に投入することもできる。
ただし、薄片状カーボンの分散性をより向上させて凝集しにくくし、得られる本発明の熱伝導材料の熱伝導性及び放熱性をさらに高める観点からは、回転する回転盤と、前記回転盤と略平行に設置された盤との間に、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含む組成物を設置し、前記回転盤と前記盤との最短距離が200μm以下となるように調整しながら、前記組成物中の炭素質材料に対してせん断を加えることが好ましい(磨砕法)。
また、薄片状カーボン分散体は、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含む組成物に対して、30MPa以上の加圧処理を行うことによっても製造することができる(高圧分散法)。
なお、得られる本発明の熱伝導性及び放熱性の観点からは、磨砕法が最も好ましい。
従来は、湿式法にて薄片状カーボンを作製する場合、薄片状カーボンの酸化物及び水性溶媒を含む水分散体に還元処理を施していたが、この方法ではグラフェン構造を維持することが困難であるとともに、得られる薄片状カーボンが激しく凝集してしまうため、薄片状カーボン水分散体を得ることは困難であった。また、安全性の観点でも問題があった。高圧処理を行う際には薄片状カーボン水分散体を得ることはできるものの、得られる薄片状カーボンが破壊されやすく、製造に時間がかかる傾向があるうえに、剥離し損ねた塊が残存することもあった。一方、本発明においては、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を使用することにより、グラフェン構造を維持した薄片状カーボンが凝集することなく、均一分散した状態(薄片状カーボン分散体)で薄片状カーボンを得ることができ、得られる薄片状カーボンも破壊されにくく、短時間で薄片状カーボンを得ることもできるうえに剥離し損ねた塊も残存しにくい。この際、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は、薄片状カーボンを均一分散させるための分散剤としても機能し得る。
また、せん断方法によれば、力のかかる方向が層状構造を有する炭素質材料の面方向と平行であり、且つ、狭い空間で処理するため、従来の高速攪拌、超音波処理、高圧処理等による製造方法と比較して、破壊が少なく、大きめのサイズの薄片状カーボン(例えば、大きさが1μm以上の薄片状カーボン)を得ることができ、剥離の効率がよく短時間(少ないパス回数)で処理を行うことができるとともに、剥離し損ねた厚みのある塊が残りにくい。
層状構造を有する炭素質材料
層状構造を有する炭素質材料としては、特に制限はないが、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、土状黒鉛、酸化黒鉛等が挙げられる。酸化黒鉛とは、例えば、硫酸、硝酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水素等の1種以上の酸化剤により酸化された黒鉛が使用され得る。例えば、ハマーズ法により酸化黒鉛を得る場合には、黒鉛を濃硫酸中に浸し、過マンガン酸カリウムを加えて黒鉛を酸化させた後、反応物を希硫酸及び/又は過酸化水素でクエンチし、その後、蒸留水で洗浄すること等により、炭素原子に酸素原子が結合し、層間に酸素原子が導入されて酸化黒鉛を得ることができる。
なかでも、酸素等の異種原子を含まない純度の高い薄片状カーボンを得ようとする場合には、黒鉛を原料として用いることが好ましく、天然黒鉛及び膨張黒鉛がより好ましい。なお、膨張黒鉛を使用する場合は、グラフェン構造の酸化が少ない膨張黒鉛を採用することが好ましい。また、膨張黒鉛を使用する場合は、300~1000℃程度で10秒~5時間程度加熱処理を加えてから用いてもよい。これにより、適度に膨張させた膨張黒鉛とすることも可能である。
また、製造の容易さを重視する場合には、酸化黒鉛を使用してもよい。酸化黒鉛を使用することにより、層間に溶媒分子が挿入されやすく、層方向にのみ剥離させることが容易であり、薄片化効率及び分散性が向上するため、処理時間をより短くすることが可能である。ただし、酸化黒鉛を使用する場合には、後に還元処理が必要となり、グラフェン構造、導電性及び強度をより維持する観点からは、他の材料(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、土状黒鉛)が好ましい。
一方、分散性をより向上させるために、土状黒鉛を採用することも可能である。ただし、結晶性,純度及び構造維持の観点からは、他の材料(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、酸化黒鉛)が好ましい。
また、得られる薄片状カーボンの結晶性、強度、構造維持等を重視する場合には、人造黒鉛を使用することもできる。
本発明において、回転する回転盤と,それに対して概平行に設置された盤の間で,二面間の最短距離が200μm以下を保持した状態でせん断を加える処理を行う際の系中における層状構造を有する炭素質材料の含有量は、特に制限されないが、薄片状カーボン分散体を製造するために用いられる組成物の総量を100質量%として、20質量%以下が好ましく、0.0001~15質量%がより好ましく、0.001~10質量%がさらに好ましい。なお、層状構造を有する炭素質材料の含有量は、薄いほうが薄片化(層間剥離)がより起こりやすいために薄片状カーボンをより効率的に得られ、処理回数をより少なくできる傾向があるとともに、粘度を適切に維持してせん断処理等を行いやすい傾向がある。一方、層状構造を有する炭素質材料の含有量が濃いほうがより生産性に優れている。このため、薄片化の効率、粘度、生産性等のバランスの観点から、層状構造を有する炭素質材料の含有量を適宜設定することが好ましい。なお、炭素質材料分散体を使用する場合は、当該薄片状カーボン分散体中の層状構造を有する炭素質材料の含有量を上記範囲内とすることが好ましい。
親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物
親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物としては、上記したものを採用できる。
本発明において、薄片状カーボン分散体を製造するために用いられる組成物中における親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量は、特に制限されないが、薄片状カーボン分散体を製造するために用いられる組成物の総量を100質量%として、0.00001~99.9質量%が好ましく、0.0001~50質量%がより好ましく、0.001~30質量%がさらに好ましい。一方、本発明において、薄片状カーボン分散体を製造するために用いられる組成物中における親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量は、層状構造を有する炭素質材料1質量部に対して、0.01~1質量部が好ましく、0.02~0.8質量部がより好ましい。なお、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量は、薄いほうが相対的に層状構造を有する炭素質材料の含有量が大きくなり熱伝導性及び放熱性が向上しやすいとともに、安価に処理しやすい。一方、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量が濃いほうが薄片化(層間剥離)がより起こりやすいために薄片状カーボンをより効率的に得られる傾向があるが、粘度が高くなると逆に薄片化効率が下がる可能性もある。このため、熱伝導性、放熱性、コスト、薄片化の効率等のバランスの観点から、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量を適宜設定することが好ましい。なお、この製造方法において、炭素質材料分散体を使用する場合は、当該炭素質材料分散体中の親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の含有量を上記範囲内とすることが好ましい。
溶媒
上記した薄片状カーボン分散体の製造方法においては、上記のとおり、層状構造を有する炭素質材料を、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の共存下で、特定の処理を行うことが好ましいが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、得られる薄片状カーボンの熱伝導性、放熱性等の観点から、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含む炭素質材料分散体に対して、特定の処理を行うことが好ましい。
この炭素質材料分散体としては、分散液として形成してもよいし、基板上に塗膜として形成してもよい。
溶媒としては、上記したものを採用できる。
この際、炭素質材料分散体(炭素質材料分散液又は炭素質材料塗膜)を作製するために使用される溶媒としては、上記したものを採用できる。
本発明において、溶媒を使用した炭素質材料分散体を用いて特定の処理を行う場合、炭素質材料分散体中の溶媒の総量は、特に制限されないが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化効率、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の溶解度等の観点から、炭素質材料分散体の総量を100質量%として、40~99.9998質量%が好ましく、63~99.998質量%がより好ましく、85~99.98質量%がさらに好ましい。
本発明において、溶媒を使用した炭素質材料分散体を用いて特定の処理を行う場合、炭素質材料分散体は、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物分散体に層状構造を有する炭素質材料を投入してもよいし、層状構造を有する炭素質材料分散体に親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を投入してもよい。また、溶媒中に、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを同時に投入してもよい。
他の成分
本発明において、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含む組成物(例えば、炭素質材料分散体等)には、他の成分を含ませてもよい。これにより、最終的に得られる薄片状カーボン分散体や熱伝導材料中にも、これら他の成分を含ませることができる。このような他の成分としては、上記したものを採用でき、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。ただし、樹脂中に分散させやすく、塗布する際の塗膜の均一性、密着性等をさらに向上させる熱伝導材料を得やすい観点からは、他の成分の含有量は少ないことが好ましく、炭素質材料分散体の総量を100質量%として、0.00001~5質量%が好ましく、0.0001~2質量%がより好ましい。
せん断処理(摩砕法)
本発明では、磨砕法を採用する場合、上記のとおり、回転する回転盤と、前記回転盤と略平行に設置された盤との間に、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含む組成物を設置し、前記回転盤と前記盤との最短距離が200μm以下となるように調整しながら、前記組成物中の炭素質材料に対してせん断を加える処理を行うことが好ましい。なお、炭素質材料分散体を使用する場合には、回転する回転盤と、前記回転盤と略平行に設置された盤との間に、炭素質材料分散体を設置し、前記回転盤と前記盤との最短距離が200μm以下となるように調整しながら、前記組成物中の炭素質材料に対してせん断を加える処理を行うことが好ましい。
せん断処理を施すことにより、層状構造を有する炭素質材料の微粒化が起こるために、条件によってはグラフェン構造を維持できない可能性もあるが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を効率よく行うことができ、処理時間を低減することができる。このようなせん断処理を施す際の前記回転盤と前記盤とは略平行に設置されているが、厳密に平行でなくてもよい。具体的には、前記回転盤に垂直な軸と、前記盤に垂直な軸とのなす角は10°以下が好ましく、5°以下がより好ましい。なお、前記回転盤に垂直な軸と、前記盤に垂直な軸とが厳密に平行であることが最も好ましい。このようなせん断処理を施す際の二面間の最短距離は、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができるものであれば特に制限はないが、200μm以下が好ましく、1~50μmがより好ましく、2~30μmがさらに好ましい。なお、前記回転盤と前記盤とは略平行に設置されているが、前記回転盤と前記盤との距離は場所によって異なることもある。この場合、前記回転盤と前記盤との最短距離は、前記回転盤と前記盤との間の距離のうち、最も短い箇所の距離を意味する。また、必ずしもあらかじめ前記回転盤と前記盤とを空ける必要はなく、前記回転盤と前記盤との間に処理する材料を挟んでもよく、また、前記回転盤と前記盤とを接触させておき、層状構造を有する炭素質材料が挟まることにより前記回転盤と前記盤との間が広がる状態になってもよい。このようなせん断処理は、盤状のものを回転させる機構があればよく、石臼、振動式ミキサー、スピンコーター、グラインダー等を用いて行い得る。
この際使用できる前記回転盤と前記盤の大きさは特に制限はなく、5~500mmが好ましく、10~200mmがより好ましい。また、せん断処理を行う際の回転盤の回転数は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる範囲とすることが好ましく、例えば、1000~10000ppmが好ましく、2000~5000ppmがより好ましい。
このようなせん断処理をすることにより、盤と層状構造を有する炭素質材料、層状構造を有する炭素質材料と層状構造を有する炭素質材料を接触させて層状構造を有する炭素質材料に対して層状構造を有する炭素質材料のグラフェン層と平行方向にせん断をかけることができる。
せん断処理における前記回転盤と前記盤との間の最短距離を小さくし、回転盤の回転速度を早くすることにより、条件をより強くすることが可能であり、層状構造を有する炭素質材料の薄片化をより効率よく行うことができ、処理時間をより低減することができる。このせん断操作は、1回以上、好ましくは3回以上行い得る。
せん断処理を行う温度は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる温度とすればよく、0℃以上、さらに0~100℃、特に20~95℃とし得る。なお、せん断処理を行う温度は、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物の溶解度が高い条件がよく、温度が高いほうが溶解度が増す場合は高温のほうが好ましく、曇点を有する水溶性化合物を使用する場合は曇点以下の温度に保持することが好ましい。
上記のせん断処理を行う前に、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とをよく接触させるため、撹拌装置、超音波分散装置等を用いて組成物を作製する前にあらかじめ撹拌し、層状構造を有する炭素質材料表面に、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物をなじませておいてもよい。
なお、本発明において、層状構造を有する炭素質材料として、酸化黒鉛を使用する場合には、上記せん断処理を施した分散体中には、薄片状カーボンの酸化物として存在している。このため、層状構造を有する炭素質材料として、酸化黒鉛を使用する場合には、後処理として還元処理を施すことが好ましい。還元処理としては、化学還元、電気化学還元等、種々の方法が採用できるが、化学還元が好ましい。なかでも、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等のような還元剤による化学還元が好ましい。還元剤量は、薄片状カーボンの酸化物1質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部がさらに好ましい。また、還元時に加熱を行うとより還元しやすくなる。加熱温度は、40~200℃が好ましく、50~150℃がより好ましく、60~120℃がさらに好ましい。還元時間は10分~64時間が好ましく、30分~48時間がより好ましく、1~24時間がさらに好ましい。ただし、グラフェン構造が過度に破壊されない程度とすることが好ましい。
上記した製造方法によれば、薄片状カーボンは、上記した薄片状カーボン分散体として得られ得る。この製造方法では、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を含んでいるため、薄片状カーボン分散体においても、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物が含まれている。この親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は、薄片状カーボン表面に吸着して溶媒中で薄片状カーボンを高濃度に孤立分散させることも可能であるため、薄片状カーボン分散体においては分散剤としても機能する。また、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は市販品を用いることができ、コスト及び分散性の両方で従来品より優位性がある。さらに、この親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は、薄片状カーボン表面に残存することによって、十分な熱伝導性及び放熱性を発揮することができる。
また、従来の酸化処理及び還元処理を行う方法においては、還元処理の際にプラスチック基板が加水分解されること、還元処理を施すと薄片状カーボンが凝集するため分散体として存在し得ないこと等から、プラスチック基板上に薄片状カーボン分散体を形成することは不可能であったが、本発明においては、上記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を含ませつつ特定の処理を行うことで、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基板が加水分解を受けることなく、薄片状カーボン分散体を基板上に形成することも可能である。
加圧処理(高圧分散法)
本発明では、高圧分散法を採用する場合、上記のとおり、層状構造を有する炭素質材料と、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含む組成物に対して、30MPa以上の加圧処理を行うことが好ましい。
加圧処理を施すことにより、層状構造を有する炭素質材料の微粒化が起こるために、条件によってはグラフェン構造を維持できない可能性もあるが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を効率よく行うことができ、処理時間を低減することができる。このような加圧処理を施す際の加圧レベルは、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができるものであれば特に制限はないが、30MPa以上が好ましく、50~400MPaがより好ましく、100~300MPaがさらに好ましい。このような加圧処理は、高圧分散装置や超臨界水作製装置等を用いて行い得る。高圧分散装置は力学的な圧力をかけることにより分散することができ、超臨界水作製装置においては、水を加熱することにより系の圧力を上げることができる。
このような加圧により、例えば、
(i)2個以上の前記炭素質材料分散体同士を衝突させること、
(ii)前記炭素質材料分散体と金属又はセラミックス材料(炭化ケイ素、アルミナ等高硬度の材料)とを衝突させること、
(iii)前記炭素質材料分散体を断面積1cm以下の空間を通過させること
等の処理を行い得る。
上記(i)及び(ii)によれば、加圧条件をより強くすることが可能であり、層状構造を有する炭素質材料の薄片化をより効率よく行うことができ、処理時間をより低減することができる。また、上記(iii)によれば、グラフェン構造をより維持しつつ、層状構造を有する炭素質材料の薄片化をより適切に行うことができる。この加圧操作を1回以上、好ましくは10回以上行うことができる。
加圧温度は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる温度とすればよく、上記(i)及び(ii)の場合は0~100℃、特に20~95℃とし得る。また、上記(iii)の場合、力学的に圧力をかける場合は、0~100℃が好ましく、水の超臨界状態により圧力を生み出す場合は、373~700℃が好ましく、380~450℃がより好ましい。
なお、前記加圧処理を行う際には、予備処理(前処理)として、超音波分散処理を行い、層状構造を有する炭素質材料の微粒化を行っておくことが好ましい。これにより、目詰まり防止等の効果を有し得る。
超音波分散処理を施す際の出力は特に制限はないが、層状構造を有する炭素質材料の薄片化の観点から、通常行われる超音波分散処理(40~50W程度)よりも強力なものとすることが好ましい。具体的には、超音波分散処理の出力は、100W以上が好ましく、300~20000Wがより好ましく、400~18000Wがさらに好ましい。
超音波分散温度は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる温度とすればよく、0~80℃、特に10~70℃とし得る。超音波分散時間は特に制限はなく、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行うことができる時間とすればよく、1~600分、特に3~120分とし得る。
また、これらの処理の前処理又は後処理として、通常の機械的撹拌、乳化装置による分散処理、ビーズミルによる分散処理等の他の分散装置による分散処理を併用してもよい。
なお、本発明において、層状構造を有する炭素質材料として、酸化黒鉛を使用する場合には、上記加圧処理を施した分散体中には、薄片状カーボンの酸化物として存在している。このため、層状構造を有する炭素質材料として、酸化黒鉛を使用する場合には、後処理として還元処理を施すことが好ましい。還元処理としては、化学還元、電気化学還元等、種々の方法が採用できるが、化学還元が好ましい。なかでも、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等のような還元剤による化学還元が好ましい。還元剤量は、薄片状カーボンの酸化物1質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部がさらに好ましい。また、還元時に加熱を行うとより還元しやすくなる。加熱温度は、40~200℃が好ましく、50~150℃がより好ましく、60~120℃がさらに好ましい。還元時間は10分~64時間が好ましく、30分~48時間がより好ましく、1~24時間がさらに好ましい。ただし、グラフェン構造が過度に破壊されない程度とすることが好ましい。
(2-3)本発明の熱伝導材料の製造方法
本発明の熱伝導材料は、上記の薄片状カーボン分散体から溶媒を除去することで得ることができる。
溶媒を除去するためには、薄片状カーボン分散体を濃縮する方法が挙げられ、薄片状カーボン分散体の乾燥の他、基板上に薄片状カーボン分散体をスピンコートや塗布後に乾燥する方法、通常の固液分離により本発明の熱伝導材料を回収する方法等により実施することができる。固液分離を行う方法としては、例えば、通常の固液分離に使用されている方法、例えば、濾紙、ガラスフィルター等を用いて濾過する方法;遠心分離後に濾過する方法;減圧濾過器を使用する方法を例示できる。次に、乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、温風乾燥機等を用いて50~200℃程度で1~24時間程度乾燥させる方法を例示できる。
3.薄片状カーボン材料
本発明の熱伝導材料は、薄片状カーボン表面に親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物で覆われていたり、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物中に薄片状カーボンが分散している構成を有していたりしても、十分な熱伝導性及び放熱性を有しているが、必要に応じて、当該親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物を除去することができる。具体的には、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は、400~600℃、好ましくは450~550℃の熱処理により除去し、本発明の薄片状カーボン材料を得ることができる。
従来の分散剤は、分散剤分子と薄片状カーボンとの疎水性相互作用を利用して吸着していると考えられ、また分子量が比較的大きいため、その吸着力も大きいと考えられる。他方、本発明で用いる親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は薄片状カーボンと化学結合はしておらず、また分子量が小さいため従来品と比べて吸着力も弱い。よって、本発明で用いる親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物は従来品よりも本発明の熱伝導材料から除去し易いという利点がある。
このようにして、薄片状カーボン材料を得ることができるが、この際得られる薄片状カーボンは、分散剤としての親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物が除去された後であっても凝集を抑制することができ、その熱伝導性及び放熱性を十分に発揮することができる。この点、上記した薄片状カーボン分散体及び本発明の熱伝導材料を経由するからこそ得られる特性であり、市販の薄片状カーボン等では凝集が避けられない。
4.熱伝導組成物
本発明の熱伝導組成物は、上記した本発明の熱伝導材料又は本発明の薄片状カーボン材料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー及びグリースよりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する。
本発明の熱伝導材料及び薄片状カーボン材料は、薄片状カーボンの凝集を抑制しており、他材料(例えば樹脂等)中に分散しやすい材料であるため、他材料と混合等することにより、薄片状カーボンを含むナノコンポジット等へ適用することが可能である。
このような他材料としては、より具体的には、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、ゴムとしては、ジエン系ゴム(スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等)、オレフィン系ゴム(エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム等)、アクリル系ゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーン系ゴム(シリコーンゴム等)、多硫化ゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエチレン構造を有する熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン構造を有する熱可塑性エラストマー、ブタジエン構造を有する熱可塑性エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体等)、ポリエチレンテレフタレート構造を有する熱可塑性エラストマー、ポリアミド6構造を有する熱可塑性エラストマー、ポリアミド66構造を有する熱可塑性エラストマー、ポリアミド11構造を有する熱可塑性エラストマー、ポリアミド12構造を有する熱可塑性エラストマー等が挙げられ、グリースとしては、カルシウム、リチウム、モリブデン、アルミニウム、ナトリウム等を含む金属せっけん系グリース;ウレア系グリース;パラフィン系グリース;ナフテン系グリース;エステル系グリース;ポリグリコール系グリース;シリコーン系グリース;フッ素系グリース等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。また、これら他材料は、公知又は市販品を用いることができる。
本発明の熱伝導組成物において、上記した他材料の含有量は、特に制限はなく、熱伝導性、放熱性等の観点から、本発明の熱伝導材料又は薄片状カーボン材料1質量部に対して、0.05~99質量部が好ましく、0.1~97質量部がより好ましい。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し本発明は実施例に限定されない。
実施例1
500gの天然黒鉛(伊藤黒鉛工業(株)製)、ポリオキシエチレンナフチルエーテル(HLB値17)250g、水10000gを混合し、セラミックグラインダーで1パス処理した。
得られた分散液に質量比で4倍量のエタノールを加えてろ過し、得られたケーキに質量比で3倍量のアセトンを加えてろ過した。得られたケーキにアセトンを加えて、薄片状カーボンを3.8質量%含む分散液(薄片状カーボン分散液)を作製した。なお、その分散液の一部を乾燥し、TG-DTAにより熱分析を行ったところ、有機材料(つまり、ポリオキシエチレンナフチルエーテル)が2.1質量%含まれていた。また、薄片状カーボンのTEM観察を実施し、平均層数は30層(厚み約10nm)であった。
得られた薄片状カーボンのアセトン分散液(カーボン分3.8質量%)10gに、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(SR-16H、阪本薬品工業(株)製)0.099g及びヘキサヒドロキシフタル酸無水物(HHPAH:東京化成工業(株)製)0.11gを加え、撹拌し、混合液を得た。
この混合液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株))を用い、室温150mmHg下で30分減圧蒸留し、固形分を得た。得られた固形分1.2gを、上下部が分離可能なφ10mm、厚み10mmの円筒状金型に入れ圧縮成形し、ペレットを得た。得られた薄片状カーボンの断面を透過型電子顕微鏡で観察した。結果を図3に示す。
得られたペレットを円形のシムリング(φ30mm、厚み3.0mm、(株)岩田製作所製)の中心に置き、ステンレス板で上下を挟み、加熱プレス(アズワン(株)製)にセットし、大気圧下100℃で10分、大気圧下110℃で30分、そして12MPa下150℃で1時間15分加熱プレスを行った。その結果、薄片状カーボンを65質量%含むエポキシ樹脂硬化物を得た。
実施例2
500gの天然黒鉛(伊藤黒鉛工業(株)製)、ポリオキシエチレンナフチルエーテル(HLB値17)250g、水10000gを混合し、セラミックグラインダーで1パス処理した。
得られた分散液に質量比で4倍量のエタノールを加えてろ過し、得られたケーキに質量比で3倍量のアセトンを加えてろ過した。得られたケーキにアセトンを加えて、薄片状カーボンを3.0質量%含む分散液(薄片状カーボン分散液)を作製した。なお、その分散液の一部を乾燥し、TG-DTAにより熱分析を行ったところ、有機材料(つまり、ポリオキシエチレンナフチルエーテル)が2.5質量%含まれていた。また、薄片状カーボンのTEM観察を実施し、平均層数は30層(厚み約10nm)であった。なお、実施例1との違いはロット間の差異である。
得られた薄片状カーボンのアセトン分散液(カーボン分3.0質量%)9.1gに、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(SR-16H、阪本薬品工業(株)製)0.13g及びヘキサヒドロキシフタル酸無水物(HHPAH:東京化成工業(株)製)0.14gを加え、撹拌し、混合液を得た。
この混合液から実施例1と同様に処理を行った結果、薄片状カーボンを50質量%含むエポキシ樹脂硬化物を得た。
実施例3
500gの天然黒鉛(伊藤黒鉛工業(株)製)、ポリオキシエチレンナフチルエーテル(HLB値17)250g、水10000gを混合し、セラミックグラインダーで1パス処理した。
得られた分散液に質量比で4倍量のエタノールを加えてろ過し、得られたケーキに質量比で3倍量のアセトンを加えてろ過した。得られたケーキにアセトンを加えて、薄片状カーボンを3.0質量%含む分散液(薄片状カーボン分散液)を作製した。なお、その分散液の一部を乾燥し、TG-DTAにより熱分析を行ったところ、有機材料(つまり、ポリオキシエチレンナフチルエーテル)が2.5質量%含まれていた。また、薄片状カーボンのTEM観察を実施し、平均層数は30層(厚み約10nm)であった。なお、実施例1との違いはロット間の差異である。
得られた薄片状カーボンのアセトン分散液(カーボン分3.0質量%)8.2gに、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(SR-16H、阪本薬品工業(株)製)0.18g及びヘキサヒドロキシフタル酸無水物(HHPAH:東京化成工業(株)製)0.19gを加え、撹拌し、混合液を得た。
この混合液から実施例1と同様に処理を行った結果、薄片状カーボンを40質量%含むエポキシ樹脂硬化物を得た。
比較例1
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(SR-16H、阪本薬品工業(株)製)0.19g及びヘキサヒドロキシフタル酸無水物(HHPAH:東京化成工業(株)製)0.21gに、アセトン10g、グラフェン(グラフェンテクノロジー社製)0.4gを加え、撹拌し、混合液を得た。
この混合液から実施例1と同様に処理を行った結果、グラフェンを50質量%含むエポキシ樹脂硬化物を得た。
比較例2
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(SR-16H、阪本薬品工業(株)製)0.19g及びヘキサヒドロキシフタル酸無水物(HHPAH:東京化成工業(株)製)0.21gに、アセトン10gのみを加え、撹拌し、混合液を得た。
この混合液から実施例1と同様に処理を行った結果、カーボン分を含まないエポキシ樹脂硬化物を得た。
試験例1:熱伝導率
実施例1~3及び比較例1~2で得られたエポキシ樹脂硬化物について、サーモウェーブアナライザーTA35((株)べテル製)により、厚み方向、面内方向の熱拡散率を測定し、熱伝導率を計算した。結果を表1に示す。
Figure 0007451088000003
実施例4
500gの天然黒鉛(伊藤黒鉛工業(株)製)、ポリオキシエチレンナフチルエーテル(HLB値17)250g、水10000gを混合し、セラミックグラインダーで1パス処理した。
得られた水分散液に、親水性ポリウレタン水性エマルジョン(ナガセケムテックス(株)製DSL-01、固形分30質量%)を、質量比でカーボン成分の0.5倍量となるように混合し、黒色の水分散液を得た。
この分散液を長さ150mm×幅70mm×厚み0.8mmのステンレス基板にスピンコーターを用いて回転数2000回転、600秒で基板上に塗布し、100℃で1時間熱処理した。その結果、薄片状カーボンとポリウレタンの複合体がステンレス上に均一に塗布された。
基板上部に50mm角のラバーヒーターを設置した。ヒーターを加熱し、ヒーター中心部から一定距離の部分の温度を測定した。
比較例3
長さ150mm×幅70mm×厚み0.8mmのステンレス基板について、何もコーティングせず、実施例4と同様にラバーヒーターを設置し、温度を測定した。
比較例4
カーボンナノチューブ(Nanocyl社製NC7000)に対して、親水性ポリウレタン水性エマルジョン(ナガセケムテックス(株)製DSL-01、固形分30質量%)を、質量比でカーボン成分の0.5倍量となるように混合し、水150gを加えて希釈した。
この分散液を実施例4と同様にステンレス上に塗布したが、塗布しやすくするため水で希釈しているにも関わらず、均一に塗布できず、カーボンナノチューブとポリウレタンの混合物が基板から脱離した。
試験例2:放熱性
実施例4及び比較例3で得られた試料について、ヒーター加熱900秒後に、図3に示すように、ヒーターから0mm(ヒーター上)、5mm、20mmの位置の温度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0007451088000004
その結果、いずれの位置においても実施例4の方が温度が低いという結果になった。実施例4において、薄片状カーボンの塗膜部分の熱伝導率が高く、且つ輻射率がステンレスと比較して高いため、ヒーターから周辺に伝熱する際に、比較例3と比較して熱を速やかに拡散しながらより多くの輻射による放熱が行われたと考えられる。
また、カーボンナノチューブ(比較例4)と比較して、塗膜の均一性、密着性が非常に良い結果となった。これは、周囲に有機物を吸着した薄片状カーボンが、凝集が発生しにくく、かつポリウレタン材料との親和性に優れていたからであると考えられる。

Claims (13)

  1. 厚みが1~100nmである薄片状カーボンと、親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する有機化合物とを含有し、前記薄片状カーボン1質量部に対して、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する芳香族水溶性化合物を0.01~1質量部含有し、
    前記親水基が、一般式(1)~(4):
    Figure 0007451088000005
    [式中、-OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基を示す。Rは2価の有機基を示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH又は有機アンモニウムを示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム又はアルキル基を示す。一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
    で表される少なくとも1種である、熱伝導性放熱材料。
  2. 前記親水基が、フェノール性水酸基及び/又はポリオキシエチレン基である、請求項1に記載の熱伝導性放熱材料。
  3. 前記疎水基が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及び炭素数3以上のポリオキシアルキレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の熱伝導性放熱材料。
  4. 前記疎水基が、2個以上の芳香環を有するアリール基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性放熱材料。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性放熱材料の製造方法であって、
    (1)前記薄片状カーボンと、前記親水基及び炭素と親和性の高い疎水基を有する芳香族水溶性化合物と、溶媒とを含有する分散体から溶媒を除去する工程を備え、
    前記親水基が、一般式(1)~(4):
    Figure 0007451088000006
    [式中、-OHはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基を示す。Rは2価の有機基を示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH又は有機アンモニウムを示す。Xは水素原子、アルカリ金属、NH、有機アンモニウム又はアルキル基を示す。一般式(2)の酸素原子はエーテル結合である。]
    で表される少なくとも1種である、製造方法。
  6. 前記溶媒を除去する工程が、前記分散体を濃縮する工程である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記溶媒が水である、請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性放熱材料の熱処理物である、薄片状カーボン材料からなる熱伝導性放熱材料。
  9. 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性放熱材料を400~600℃で熱処理する工程を備える、薄片状カーボン材料からなる熱伝導性放熱材料の製造方法。
  10. 請求項1~4及び8のいずれか1項に記載の熱伝導性放熱材料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー及びグリースよりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する、熱伝導性放熱組成物。
  11. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂及びポリウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の熱伝導性放熱組成物。
  12. 前記ゴムが、スチレン・ブタジエンゴム及び/又はシリコーンゴムである、請求項10又は11に記載の熱伝導性放熱組成物。
  13. 請求項10~12のいずれか1項に記載の熱伝導性放熱組成物の製造方法であって、
    (2)前記熱伝導性放熱材料及び溶媒を含む分散体と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー及びグリースよりなる群から選ばれる少なくとも1種とを混合する工程
    を備える、製造方法。
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