JP2015196927A - 嵩高編地およびその編成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 厚み方向に嵩張るように編成することができる嵩高編地およびその編成方法を提供する。【解決手段】 (a)に示すBBのベース編地5から、(b)に示すように付加編地6の始端を分岐させてFBで編成する。BBでは、(c)に示すように、ベース編地5を追加編成してクリアランスを設ける。(d)に示すように、BBで補強編地7の始端を分岐させ、FBで編成する。(e)に示すように、BBでクリアランスとしてのベース編地5を追加編成する。(f),(g)に示すように、補強編地7の終端と、付加編地6の終端とをベース編地5にそれぞれ接合する。ベース編地5を追加編成して、(h)に示すような嵩高編地10を得ることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、横編機で編成する編地として、編地を厚み方向に嵩張るように編成可能な、嵩高編地およびその編成方法に関する。
従来から、厚み方向に嵩張るようにした編地として、ベース編地の表面に、コース方向に延びるパイプ状の袋編み組織を形成し、内部に伸縮糸をインレイ編みで挿入してゴム編み部を形成した靴下(たとえば特許文献1参照)が知られている。また、少なくとも前後一対の針床を有し、編目の形成および目移しが可能な横編機を用いて、ベース編地の表面に筒状部を編成し、筒状部内にラバー棒などの部材を後入れするサポーターなどの編成方法(たとえば、特許文献2)も知られている。
実開昭56−126409号公報 特開2012−188772号公報
特許文献1のようなインレイ編みでは、挿入する編糸はベース編地の表面に沿ってコース方向に平行に延びるようになるので、表面から突出する厚み方向に嵩張るようにすることは困難である。特許文献2のように部材を後入れすることは、編成工程とは別工程で行う必要があり、後入れする箇所が多くなると手間がかかる。
本発明の目的は、厚み方向に嵩張るように編成することができる嵩高編地およびその編成方法を提供することである。
本発明は、少なくとも前後一対の針床を有して編目の形成および目移しが可能な横編機で、付加編地をベース編地から分岐する始端から終端まで編成し、終端をベース編地に接続して、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を付加して、嵩高の編地を一体的に編成するための嵩高編地の編成方法において、
ベース編地から付加編地の始端を分岐させ、
さらに、ベース編地または付加編地のうちの一方の編地から補強編地を分岐させて編成し、
補強編地の終端を一方の編地に接合し、
ベース編地と付加編地の始端から終端までの間とで突起列を形成して、補強編地で突起列を内側から補強する、
ことを特徴とする嵩高編地の編成方法である。
また本発明で、前記付加編地(6)の始端を、前記ベース編地(5)から分岐させた後で、前記補強編地分岐させる前に、ベース編地および付加編地を追加編成して、クリアランスを設ける、
ことを特徴とする
また本発明で、前記ベース編地は、前後の針床を使用してそれぞれ編地を編成しながら編幅の両端で開口する筒状編地として編成され、
前後の針床でそれぞれ編成する編地に、前後の針床でウエール方向に位置をずらしながら、前記嵩高編地による突起列をそれぞれ形成する、
ことを特徴とする。
また本発明で、前記補強編地は、熱融着糸を用いて編成する、
ことを特徴とする。
また本発明で、前記補強編地は、前記付加編地よりも、編成コース数が多くなるように編成する、
ことを特徴とする。
また本発明で、前記補強編地は、前記付加編地よりも、太い編糸で編成する、
ことを特徴とする。
さらに本発明は、少なくとも前後一対の針床を有して編目の形成および目移しが可能な横編機で、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を付加して、嵩高の編地を一体的に編成するための嵩高編地の編成方法において、
ベース編地の編目から付加編地の始端を分岐させ、
付加編地の終端をベース編地に接合し、
付加編地の始端と終端とを編成する編糸として、熱融着糸を用いて編成し
ベース編地と付加編地の始端から終端までの間とで突起列を形成して、熱融着糸で突起列を根元から補強する、
ことを特徴とする嵩高編地の編成方法である。
さらにまた本発明は、少なくとも前後一対の針床を有して編目の形成および目移しが可能な横編機で、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を付加して編成される嵩高編地であって、
突起列は、ベース編地の編目から分岐させた編目に続けて始端が編成され、終端がベース編地に接合されてベース編地に一体化される付加編地と、
付加編地の膨らみを内側から補強するように編成される補強編地と、
を含むことを特徴とする嵩高編地である。
本発明によれば、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を、付加編地を付加して形成し、付加編地の始端から終端までの間とベース編地との間に補強編地を編成することができる。付加編地とベース編地との間に、補強編地を収容するので、パイプ状となって膨らむ突起列を内側から補強し、クッション性を付与して突起列が厚み方向に嵩張るように編成することができる。
また本発明によれば、付加編地の始端を、ベース編地から分岐して、補強編地を分岐させる前に、ベース編地および付加編地を編成する。編成によって、ベース編地または付加編地の一方は突起列として膨らむ。付加編地が突起列として膨らむ場合を想定すると、ベース編地から付加編地を分岐させた後で、付加編地を編み続けると、歯口にはベース編地、付加編地の始端部分、および付加編地で編成中の先端部分の3枚の編地が同時に並ぶことになる。この状態で補強編地の編成を始めると、補強編地の始端部分と補強編地の先端部分も加わり、歯口に5枚の編地が並ぶ状態となる。補強編地のを分岐させるまでに、ベース編地に追加編成を行い、クリアランスを設けることで、歯口にはベース編地と付加編地の先端部分のみが並ぶ状態にすることができる。続けて補強編地を編成しても、歯口には最大で4枚の編地が並ぶだけに留めることが可能となる。
また本発明によれば、前後の針床で編幅の両端で開口する筒状の編地を編成しながら、各針床で編成する編地に突起列を、前後で位置をずらしながら付加するので、針床間に多数の編地が同時に並ぶ筒状編地の編成であっても、同時に歯口に並ぶ編地の最大枚数を減らして編み易くすることができる。
また本発明によれば、補強編地を熱融着糸を用いて編成するので、編成後に加熱して融着させれば、付加編地とベース編地との間を内側から補強する強度を増加させることができる。
また本発明によれば、付加編地とベース編地との間を、付加編地よりも編成コース数が多い補強編地で内側から補強することができる。
また本発明によれば、付加編地よりも補強編地を、太い編糸を使用して編成し、付加編地を内側から補強することができる。
さらに本発明によれば、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を、付加編地として編成し、付加編地の始端と終端との編成に熱融着糸を使用する。突起列は、根元を熱融着糸で補強するので、厚み方向に嵩張るように編成することができる。
さらにまた本発明によれば、横編機で、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を、付加編地の付加で形成し、補強編地で膨らみを内側から補強するので、厚み方向に嵩張るようにクッション性等を付与して編成することができる。
図1は、本発明の実施例1としての嵩高編地10およびその編成方法を簡略化して示す側面断面図である。 図2は、図1の嵩高編地10の主要部分の編成方法を、初期から途中までの手順で示す編成図である。 図3は、図1の嵩高編地10の主要部分の編成方法を、図2に続く手順で示す編成図である。 図4は、図1の嵩高編地10の主要部分の編成方法を、図3に続く手順で示す編成図である。 図5は、図1の嵩高編地10と他の嵩高編地11,12,13の構成を簡略化して示す模式的な断面図である。 図6は、図1に示す編成方法を応用して形成する嵩高編地としてのサポーター15の構成を示す模式的な側面図である。 図7は、本発明の実施例2としての嵩高編地の編成方法を、主要部分の手順として示す編成図である。 図8は、図7に続く手順を示す編成図である。 図9は、図8に続く手順を示す編成図である。 図10は、図7から図9までの手順を含む編成方法で編成される嵩高編地20の構成を示す模式的な断面図である。 図11は、本発明の実施例3としての嵩高編地30の構成を簡略化して示す断面図である。
以下、図1から図6で、本発明の実施例1としての嵩高編地10,11,12,13,15およびその編成方法について説明する。図7から図10で、本発明の実施例2としての嵩高編地20およびその編成方法について説明する。図11で、本発明の実施例3としての嵩高編地30について説明する。
同一の実施例内、および異なる実施例間で、先に説明した部分に対応する部分は、同一の参照符を付して重複する説明を省略することがある。また、説明対象となる図には記載されていない部分について、他の図に記載される参照符を付して言及する場合がある。
図1は、本発明の実施例1としての嵩高編地10およびその編成方法を簡略化して示す。図2、図3および図4は、嵩高編地10の編成手順を示す。図1では、嵩高編地10の編成に使用する横編機1の断面構成も簡略化して示す。横編機1は、少なくとも前後一対の針床として、前針床2および後針床3を有する。前針床2と後針床3とが対向する歯口4では、各針床での編目の形成および針床間での目移しが可能である。なお、前針床2および後針床3は、FBおよびBBとそれぞれ略称で示すことがある。
編成手順は、図2のS0に示すように、FBの編針A,B,C,D,E,F,G,H,I,JとBBの編針a,b,c,d,e,f,g,h,i,jをそれぞれ使用するものとして示す。実際に嵩高編地10を編成する場合は、より多い数など、異なる数の編針を使用して編成することができる。なお、図2、図3および図4の手順では、ベース編地5、付加編地6および補強編地7の編成に、編糸5a,6a,7aをそれぞれ使用し、給糸部材5b,6b,7bからそれぞれ供給するものとして示す。上方向または下方向の矢印は、目移しの方向を示し、左方向または右方向の矢印は、給糸部材5b,6b,7bの移動方向を示す。また、新たな給糸で編目が形成される際には、編糸5a,6a,7aを太線で示す。新たに形成されるベース編地5、付加編地6および補強編地7の編目は、塗りつぶした黒丸で、それぞれ示す。
図1(a)は、図2の手順S0ではFBの編針A〜Jに係止されていたベース編地5の編目が、手順S1でFBからBBの編針a〜jに目移しされた状態を示す。手順S2では、BBの編針aからjに編糸5aを給糸して各編針a〜jにベース編地5の編目を形成しながら、編針b,d,f,h,jからは、FBの編針B,D,F,H,Jに割増やしを行い、ベース編地5から付加編地6を分岐させる。図1(b)に示すように、BBでベース編地5から付加編地6への分岐部分10aの編目を係止し、図2の手順S3,S4で、分岐部分10aに続く付加編地6の始端からの編目を、編針B,D,F,H,Jに編糸6aを給糸して編成する。手順S3,S4は複数回、繰返す。図2に示す手順S3,S4に続いて、手順S5,S6、またはその複数回の繰返しでベース編地5を追加編成すると、図1(c)に示すように、分岐部分10aはBBの編針から離れ、BBにはベース編地5のみが係止され、クリアランスを設けることができる。付加編地6は、図2の手順S7,S8、またはその複数回の繰返しで、FBの編針B,D,F,H,Jに編糸6aを給糸して、追加編成される。
図1(d)は、図3の手順S9,S10で分岐部分10bを形成して、手順S11,S12で補強編地7を編成した状態を示す。手順S9では、BBの編針a,c,e,g,iからベース編地5の編目をFBの編針A,C,E,G,Iにそれぞれ目移しする。BBの編針a,c,e,g,iは、いったん空き針となる。手順S10では、FBの編針A,C,E,G,Iに編糸5aを給糸してベース編地5の編目を形成しながら、BBの編針a,c,e,g,iにも割増やしを行い、分岐部分10bを形成する。手順S11,S12では、FBの編針A,C,E,G,Iに編糸7aを給糸し、分岐部分10bに続く、補強編地7の編目を始端から編成する。手順S11,S12も複数回、繰返す。
図1(e)は、図3の手順S11,S12に続いて、BBでの手順13,S14で、ベース編地5を追加編成した状態を示す。手順S13,S14も複数回繰返す。分岐部分10bは、BBの編針から離れ、BBにはベース編地5のみが係止される。
図1(f)は、補強編地7の終端を接合部分10cでベース編地5に接合した状態を示す。接合部分10cでは、図3の手順S15に示すように、BBの編針a,c,e,g,iに係止されているベース編地5の編目を、FBの編針A,C,E,G,Iに係止されている補強編地7の編目にそれぞれ重ねる。FBの編針A,C,E,G,Iには、手順S16で、編糸5aを給糸して新たなベース編地5の編目を形成し、手順S17に示すように、FBの編針A,C,E,G,IからBBの編針a,c,e,g,iにそれぞれ目移しする。
図1(g)は、付加編地6の終端を接合部分10dでベース編地5に接合した状態を示す。接合前には、図4の手順S18,S19に示すように、BBの編針a,b,c,d,e,f,g,h,i,jに編糸5aを給糸して、ベース編地5の編目を編成する。手順S18,S19は、複数回繰返す。手順S20,S21、またはその複数回の繰返しで、付加編地6の編目を編成する。接合部分10dで、手順S22として示すように、BBの編針a,b,c,d,e,f,g,h,jに係止しているベース編地5の編目をFBの編針A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jにそれぞれ目移しする。FBの編針B,D,F,H,Jは、付加編地6の編目にベース編地5の編目が重ねられ、接合部分10dとなる。接合部分10dに続いて、図4の手順S23で、FBの編針A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jに編糸5aを給糸し、ベース編地5の編目を編成して、嵩高編地10を形成した状態を、図1(h)に示す。ベース編地5に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列8を付加して、嵩高編地10が一体的に形成されている。
本実施例では、図1(c)および図1(e)に示すように、付加編地6と補強編地7への分岐部分10a,10bを形成した後で、ベース編地5の追加編成を行っている。分岐部分10a,10bでは、割増やしを行っているので、ベース編地5の編目の一部を分ける場合のように分岐される編地の編目を減らすことなく、編地を付加することができる。
また、分岐部分10a,10b間でベース編地5の追加編成を行わないと、図1(e)では、BB側で付加編地6も編針に係止されている状態となる。この場合、FBとBBとの間には、付加編地6の分岐直後の始端部分と編成中の先端部分、補強編地7の分岐直後の始端部分と編成中の先端部分、およびベース編地5が掛かり、5枚の編地が並ぶ状態となる。本実施例では、分岐部分10a,10b間でベース編地5の追加編成を行っているので、図1(e)に示すように、分岐部分10aはBBの編針から離れ、付加編地6の分岐直後の始端部分も、BBの編針から離れる。したがって、本実施例のFBとBBとの間には、付加編地6の編成中の先端部分、補強編地7の分岐直後の始端部分と編成中の先端部分、およびベース編地5が掛かり、4枚の編地が並ぶ状態となる。分岐部分10a,10b間にベース編地5を追加編成すると、ベース編地5によるクリアランスが設けられ、編成時に歯口4のFBとBBとの対向部分に同時に掛かって編成対象となる編地を少なくして編成しやすくすることができる。
なお、本実施例の編成手順は、FBとBBとが歯口4を挟んで対向する二枚ベッドの横編機1を用いることを前提としているので、付加編地6および補強編地7は、針抜き状態で編成している。前後に二段ずつの針床を設ける四枚ベッドの横編機を用いれば、付加編地6および補強編地7も、総針状態で編成することができ、詰んだ状態の編目を得ることができる。
図5は、(a)で図1の嵩高編地10、(b),(c),(d)で他の嵩高編地11,12,13の構成を簡略化して示す。嵩高編地10では、各部と図2、図3および図4に示す編成手順との対応関係も示す。ベース編地5は、部分的に厚み方向に嵩張る部分を形成するための基板となる編地であるけれども、(b),(c)に示す嵩高編地11,12では、付加編地6の付加で、ベース編地5を突出させて突起列9,18としてそれぞれ嵩張るようにしている。(b)に示す嵩高編地11の補強編地7は、嵩高編地10と同様にベース編地5から始端を分岐させて、終端をベース編地5に接合させているけれども、(c)に示す嵩高編地12の補強編地7は、付加編地6から始端を分岐させて、終端を付加編地6に接合している。(d)に示す嵩高編地13のように、突起列19となる付加編地6の内部に補強編地7を複数列形成するようにしても、付加編地6を内側から補強することができる。
嵩高編地10,11,12、13では、ベース編地5とともに、ベース編地5の編目から分岐させた編目に始端が続く付加編地6を編成してクリアランスを設けて同時に編成する編地の最大枚数を減少させてから、ベース編地5または付加編地6の一方の編地の編目から分岐させた編目に続けて補強編地7の始端を編成している。続いて、補強編地7の終端を、始端を分岐させたベース編地5または付加編地6のうちの一方の編地に接合し、付加編地6の終端をベース編地5に接合している。ベース編地5には、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列8,9,18,19が、付加編地6の始端と終端との間、またはこの間のベース編地5で形成される。付加編地6の始端から終端までとベース編地5との間には、補強編地7を形成することができる。付加編地6の始端から終端までとベース編地5との間に、補強編地7を収容するので、パイプ状となって膨らむ突起列8,9,18,19を内側から補強することができる。突起列8,9,18,19の内部には平坦な編地は含まれず、パイプ状の編地が形成されるので、クッション性を持たせて厚み方向に嵩張るように編成することができる。
特に補強編地7を、熱融着糸を用いて編成し、後工程の加熱処理で融着させれば、補強編地7による付加編地6またはベース編地5への補強強度を増すことができる。熱融着糸に替えて、熱硬化性の糸や、熱収縮性の糸を使用しても、後工程の加熱処理で、同様に補強強度を増すことができる。
また、嵩高編地10,11,12,13は、付加編地6の編成に使用する編糸を細くして、編目も粗くすれば、補強編地7が透けて見えるような、特有の意匠効果を伴うようにすることも可能である。
図6は、図1に示す編成方法を応用して形成する嵩高編地としてのサポーター15の構成を示す。サポーター15は、捨て編み部の始端15aから終端15bまでをFBまたはBBで編成した後、筒状編地の編出し部となる分岐部15cで、割増やしなどによるFB,BBへの分岐を行う。ベース編地5はFB,BBでそれぞれ編成する。ベース編地5に、付加編地6および補強編地7を付加して突起列8を有する嵩高編地10を形成する。嵩高編地10を形成する部分は、FB側とBB側とが同時に歯口4に並ばないように、位置をずらして交互に編成することにより、図1(c)のクリアランスの一種として、同時に編成する編地の最大枚数を減らすことができる。嵩高編地10に替えて、他の嵩高編地11,12,13を使用することもできる。FBおよびBBでそれぞれ編成したベース編地5は、最後に伏目部15dによる伏目処理で接合し、全体として編幅の両端となる側面で開口した筒状編地となる。
図7、図8、図9および図10は、本発明の実施例2としての嵩高編地の編成方法を、主要部分の手順として示す。ただし、図7に示す手順S10に先行する部分は、図2の手順S0から図3の手順S9までと同様に編成すればよいので、図示を省略する。また、図7、図8および図9は、図2、図3および図4と同様に記載する。
図7の手順S10では、FBの編針A,C,E,G,Iに編糸5aを給糸してベース編地5の編目を形成しながら、BBの編針a,e,iに割増やしを行い、分岐部分10bを形成する。次の手順S11では、FBの編針C,Gに形成したベース編地5の編目をBBの編針c,gにそれぞれ目移しする。手順S12,S13では、分岐部分10bのうち、FBの編針A,E,Iに残る編目に編糸7aを給糸して、補強編地7の編成を行う。手順S14,S15では、BBの編針a,b,c,d,e,f,g,h,i,jに編糸5aを給糸して、ベース編地5を追加編成する。手順S16,S17では、FBの編針A,E,Iに編糸7aを給糸して、補強編地7を編成する。
手順S18では、BBの編針c,gに係止されているベース編地5の編目をFBの編針C,Gに目移しする。図8の手順S19では、FBの編針C,Gに編糸5aを給糸して、ベース編地5の編目を形成しながら、BBの編針c,gに割増やしを行い、分岐部分20aを形成する。手順S20,S21では、分岐部分20aのうち、FBの編針C,Gに形成した編目に続け、図10に示す内側補強編地21の始端を分岐部分20aに続けて編成する。手順S20,S21は、複数回、繰返す。手順S22では、BBの編針c,gで係止しているベース編地5の編目をFBの編針C,Gで係止している内側補強編地21の編目に目移しして重ね、ベース編地5に内側補強編地21の終端を接合する。手順S23では、FBで重ね目を係止している編針C,Gに編糸5aを給糸して、ベース編地5の編目を形成する。重ね目は新たに形成される編目にウエール方向で繋がる状態で、編針C,Gからノックオーバーされる。
なお、内側補強編地21の始端を手順S19でベース編地5から分岐させた後、手順S22で終端をベース編地5に接合させるまで、ベース編地5の編成は行わないので、内側補強編地21は、ベース編地5への付け根が詰った形状になる。内側補強編地21の始端と終端との間で、ベース編地5を追加編成すれば、内側補強編地21の始端と終端との間に間隔を設けることができる。
図8の手順S24では、FBの編針C,Gから編目をBBの編針c,gに目移しする。手順S25,S26では、BBの編針a,b,c,d,e,f,g,h,i,jに編糸5aを給糸して、ベース編地5の追加編成を行う。次に図9の手順S27,S28でFBの編針A,E,Iに編糸7aを給糸して、補強編地7の追加編成を行う。手順S27,S28は、複数回、繰返す。次に手順S29で、BBの編針a,e,iに係止しているベース編地5の編目をFBの編針A,E,Iで係止している補強編地7の編目に重ね、補強編地7の終端をベース編地5に接合する。次の手順S30では、FBで重ね目を係止している編針A,E,Iに編糸5aを給糸して、ベース編地5の編目を形成し、重ね目をノックオーバーさせる。次の手順S31では、FBの編針A,E,Iに形成された編目を、BBの編針a,e,iに目移しする。この段階では、付加編地6が編成の途中であるけれども、後の手順は、図4の手順18から手順S23までと同様に行えば、付加編地6の終端もベース編地5に接合される。
図10は、図7、図8および図9に示す手順で編成される嵩高編地20の構成を模式的に示す。嵩高編地20は、ベース編地5の表面に、付加編地6、補強編地7および内側補強編地21の三層がパイプ状となって膨らむ突起列28として付加され、厚み方向に嵩張る形状を得ることができる。付加編地6は、内部に補強編地7および内側補強編地21の二層の補強編地を収容するので、突起列としての状態を内側から十分に補強することができる。
なお、実施例1および2では、前後掛け目を行って分岐部分10a,10b,20aを形成している。分岐を割増やしではなく前後掛け目で行う場合にも、本発明を適用することができる。また、内側となる補強編地7や内側補強編地21は、外側となる付加編地6や補強編地7よりも、それぞれ編成コース数が多くなるように編成したり、太い編糸を用いて編成したりすれば、内側から補強する強度を増加させることができる。
図11は、本発明の実施例3としての嵩高編地30の構成を簡略化して示す。嵩高編地30では、図1に示すような横編機1で、ベース編地5に、複数の付加編地31を付加して、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ複数の突起列32を形成する。付加編地31は、ベース編地5の編目から分岐させた編目に続けて始端が編成され、終端がベース編地に接合してベース編地に一体化される。付加編地31は、一層であるけれども、ベース編地5からの分岐とベース編地5への接合とを行う接続部分31aに続く根元部分31bを、熱融着糸を使用して編成する。嵩高編地30の編成後に、熱融着糸を融着させる加熱工程を行えば、熱融着糸を使用した根元部分31bの強度が増して、付加編地31を補強することができる。なお、付加編地31の頂部区間31cは、ベース編地5を側方に開口する筒状にして、嵩高編地30をサポーター15等の内側に使用する場合、肌に触れる部分となるので、肌触りの良好な編糸を用いて編成することが好ましい。そのような編糸の素材としては、たとえばポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのポリエステルやナイロンを使用することができる。
本実施例と同様に、他の実施例でも、付加編地6と補強編地7とのうちの少なくとも一方は、編成の途中で編糸を変えることができる。また、付加編地6と補強編地7とを異なる編糸で編成することもできる。
本実施例では、付加編地31による突起列を二本ずつ並べるように形成しているので、一本ずつ形成する場合よりも、倒れにくくして、嵩張るようにすることができる。
各実施例では、嵩高編地を、人体に装着するサポーターとして使用する例を示しているけれども、物品の周囲で、保護や保温を行わせることもできる。
1 横編機
2 前針床
3 後針床
4 歯口
5 ベース編地
6,31 付加編地
7 補強編地
8,9,18,19,28、32 突起列
10,11,12,13,20,30 嵩高編地
10a,10b,20a 分岐部分
10c,10d 接合部分
15 サポーター
21 内側補強編地
31b 根元部分
本発明は、少なくとも前後一対の針床を有して編目の形成および目移しが可能な横編機で、付加編地をベース編地から分岐する始端から終端まで編成し、終端 をベース編地に接続して、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を付加して、嵩高の編地を一体的に編成するための嵩高 編地の編成方法において、
ベース編地から付加編地の始端を分岐させ、
さらに、ベース編地または付加編地のうちの一方の編地から補強編地を分岐させて編成し、
補強編地の終端を一方の編地に接合し、
付加編地の終端をベース編地に接合し、
ベース編地と付加編地の始端から終端までの間とで突起列を形成して、補強編地で突起列を内側から補強する、
ことを特徴とする嵩高編地の編成方法である。
図1(g)は、付加編地6の終端を接合部分10dでベース編地5に接合した状態を示す。接合前には、図4の手順S18,S19に示すように、BBの編針 a,b,c,d,e,f,g,h,i,jに編糸5aを給糸して、ベース編地5の編目を編成する。手順S18,S19は、複数回繰返す。手順 S20,S21、またはその複数回の繰返しで、付加編地6の編目を編成する。接合部分10dで、手順S22として示すように、BBの編針 a,b,c,d,e,f,g,h,i,jに係止しているベース編地5の編目をFBの編針A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jにそれぞれ目移しする。FBの 編針B,D,F,H,Jは、付加編地6の編目にベース編地5の編目が重ねられ、接合部分10dとなる。接合部分10dに続いて、図4の手順S23で、FB の編針A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jに編糸5aを給糸し、ベース編地5の編目を編成して、嵩高編地10を形成した状態を、図1(h)に示す。 ベース編地5に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列8を付加して、嵩高編地10が一体的に形成されている。
なお、実施例1および2では、割増やしを行って分岐部分10a,10b,20aを形成している。分岐を割増やしではなく前後掛け目で行う場合にも、本 発明を適用することができる。また、内側となる補強編地7や内側補強編地21は、外側となる付加編地6や補強編地7よりも、それぞれ編成コース数が多くなるように編成したり、太い編糸を用いて編成したりすれば、内側から補強する強度を増加させることができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも前後一対の針床を有して編目の形成および目移しが可能な横編機で、付加編地をベース編地から分岐する始端から終端まで編成し、終端をベース編地に接続して、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を付加して、嵩高の編地を一体的に編成するための嵩高編地の編成方法において、
    ベース編地から付加編地の始端を分岐させ、
    さらに、ベース編地または付加編地のうちの一方の編地から補強編地を分岐させて編成し、
    補強編地の終端を一方の編地に接合し、
    付加編地の終端をベース編地に接合し、
    ベース編地と付加編地の始端から終端までの間とで突起列を形成して、補強編地で突起列を内側から補強する、
    ことを特徴とする嵩高編地の編成方法。
  2. 前記付加編地の始端を、前記ベース編地から分岐させた後で、前記補強編地を分岐させる前に、ベース編地および付加編地を追加編成して、クリアランスを設ける、
    ことを特徴とする請求項1記載の嵩高編地の編成方法。
  3. 前記ベース編地は、前後の針床を使用してそれぞれ編地を編成しながら編幅の両端で開口する筒状編地として編成され、
    前後の針床(2,3)でそれぞれ編成する編地に、前後の針床でウエール方向に位置をずらしながら、前記嵩高編地による突起列をそれぞれ形成する、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の嵩高編地の編成方法。

  4. 前記補強編地は、熱融着糸を用いて編成する、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の嵩高編地の編成方法。
  5. 前記補強編地は、前記付加編地よりも、編成コース数が多くなるように編成する、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の嵩高編地の編成方法。
  6. 前記補強編地は、前記付加編地よりも、太い編糸で編成する、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の嵩高編地の編成方法。
  7. 少なくとも前後一対の針床を有して編目の形成および目移しが可能な横編機で、ベース編地に、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列を付加して、嵩高の編地を一体的に編成するための嵩高編地の編成方法において、
    ベース編地から付加編地の始端を分岐させ、
    付加編地の終端をベース編地に接合し、
    付加編地の始端と終端とを編成する編糸として、熱融着糸を用いて編成し、
    ベース編地と付加編地の始端から終端までの間とで突起列を形成して、熱融着糸で突起列を根元から補強する、
    ことを特徴とする嵩高編地の編成方法。
  8. 少なくとも前後一対の針床を有して編目の形成および目移しが可能な横編機で、ベース編地に付加編地が付加されて、コース方向に連続するパイプ状となって部分的に膨らむ突起列が形成されて編成される嵩高編地において、
    付加編地またはベース編地の膨らみを内側から補強するように編成される補強編地を、
    含むことを特徴とする嵩高編地。
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