JP2015196877A - AgCuBi系導電フィラー用粉末 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は微細共晶組織とAgとBiが濃化したCuAgBi相とCuが濃化したCuAg相が粉末組織内を占める効果を高める成分の制御をすることで、純Agと遜色のない電気伝導度を有し、アトマイズままの合金粉末で、Agコーティングが不要なAgCuBi系導電フィラー用粉末の提供。
【解決手段】 Agが1〜30質量%、Biが1〜30質量%で残部がCuおよび不可避的不純物からなり、かつAgとBiの合計量2〜35質量%であるCu−Ag−Bi合金からなる粉末で、該合金からなる粉末の組織は、AgとBiが濃化した第一相の2とCuが濃化した第二相の3とで形成され、第一相はCu−αAg−βBiで、αが1〜60質量%、βが5〜90質量%、ただしα+βは35〜99質量%であり、第二相はCu−γAgで、1質量%≦γ≦20質量%である、AgCuBi系導電フィラー用粉末。
【選択図】 図2
【解決手段】 Agが1〜30質量%、Biが1〜30質量%で残部がCuおよび不可避的不純物からなり、かつAgとBiの合計量2〜35質量%であるCu−Ag−Bi合金からなる粉末で、該合金からなる粉末の組織は、AgとBiが濃化した第一相の2とCuが濃化した第二相の3とで形成され、第一相はCu−αAg−βBiで、αが1〜60質量%、βが5〜90質量%、ただしα+βは35〜99質量%であり、第二相はCu−γAgで、1質量%≦γ≦20質量%である、AgCuBi系導電フィラー用粉末。
【選択図】 図2
Description
本発明は、導電性と放熱性に優れ、かつ製造コストが低く、導電性樹脂、導電性接着剤、基本回路用導電ペースト及び電子機器などに用いる導電フィラー用粉末に関する。
従来、導電性接着剤として利用されるAg導電フィラー用粉末では、配合される導電性フィラーとして、銀粒子が広く利用されている。銀自体、熱伝導性、電気伝導性に優れた金属であり、また、銀粒子の表面に形成される酸化被膜層の伸長も進み難いという利点を具えている。加えて、延性、展性に優れており、銀粒子相互の接触で凝集後、その銀粒子相互の接触部面積の拡大が容易に進むため、良好な導電性を示す導電性接着層が形成される。
このようなAg導電フィラー用粉末は、純Agを用いたり、母材となるCuにAgをコーティングすることで得られるが、純Agはコスト面、Agコーティングはプロセス面がコスト高になる。上記問題を同時に解決する急速冷却によって、BiとAgが濃化したAgCuBi相をもつ導電フィラー用粉末の詳細な検討例はない。
現状、Ag導電フィラー用粉末は、銅と銀との総重量を100としたとき、銅の重量比率が50以下であることを特徴とすることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、粉末最表層にAgが濃化している合金粉末が記載されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、粉末表層におけるAgとCuの比率やAgCu相の存在率が明確にされていない。
AgCuに導電性の優れたNiやZnを添加した合金粉末が記載されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、AgCuにBiを添加した合金粉末は記載されていない。
Biが添加されている導電フィラー粉末が記載されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、Agの代替合金としてSnが用いられており、SnCuBi合金に関する検討例である。
ところで、従来の銅系金属からなる芯材の表面を銀粒子で被覆してなる導電性フィラーでは、銅系金属を芯材にすることで、電子部品の電極に用いられるSn電極とフィラーとの間の電位差を小さくし、ガルバニック腐食を防止するようにしている。
しかしながら、このものは、芯材の表面に銀粒子を配置したものであるため、銅系粉末製造後に、得られた銅系粉末に銀をコーティングする製法が存在する。
上記の様な、銅系粉末に銀をコーティングする製法は、アトマイズした粉末を製造し、回収後、コーティングを施す装置で処理するため、コストや時間が問題になる。また、コーティング処理を避けるために、銅系粉末の代わりに銀粉末を用いることは、尚更コスト面が問題になる。
本発明が解決しようとする課題は、前記の問題を解決するものとして、コーティング処理することなく、アトマイズ製法のみで純Agと同程度の伝導率を示す導電フィラー粉末を提供することである。
上述のような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、Ag含有率が1〜30質量%、Bi含有率が1〜30質量%のCu−Ag−Bi合金からなるアトマイズ合金の成分で、1質量%≦α≦60質量%および5質量%≦β≦90質量%であるAgとBiの濃化相からなるCu−αAg−βBi合金相と、1質量%≦γ≦20質量%であるCu濃化相からなるCu−γAg合金相との組織を有するAgCuBi系導電フィラー粉末の生成を可能にした。
そこで、本発明の課題を解決するための手段としては、請求項1の手段では、Agが1〜30質量%、Biが1〜30質量%で、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、かつAgとBiの合計量2〜35質量%であるCu−Ag−Bi合金からなっている。このCu−Ag−Bi合金からなる粉末の組織は、AgとBiが濃化した第一相とCuが濃化した第二相とで形成され、第一相はCu−αAg−βBiで、αが1〜60質量%、βが5〜99質量%、ただしα+βは35〜99質量%であり、第二相はCu−γAgで、1質量%≦γ≦20質量%であることを特徴とするAgCuBi系導電フィラー用粉末である。
請求項2の手段では、Cu−Ag−Bi合金からなる粉末の組織は、AgとBiが濃化した第一相とCuが濃化した第二相とで形成され、第一相はCu−αAg−βBiで、αが20〜60質量%、βが50〜90質量%、ただし、α+βは70〜99質量%であり、第二相はCu−γAgで、1質量%≦γ≦10質量%であることを特徴とする請求項1の手段のAgCuBi系導電フィラー用粉末である。
請求項3の手段では、Cu−Ag−Bi合金からなる合金粉末の、AgとBiが濃化した第一相中において、CuとAgに対するBiの質量比X=MBi/(MCu+MAg)が1.2以上のAgCuBi相または純Bi相を有することを特徴とする請求項1または2の手段のAgCuBi系導電フィラー用粉末である。
請求項4の手段では、粉末は、アトマイズ合金粉末であることを特徴とする請求項1〜3の手段のいずれか1項の手段のAgCuBi系導電フィラー用粉末である。
上記アトマイズ合金粉末は、導電フィラー用粉末であり、導電性樹脂、導電性接着剤および基板回路用導電ペーストに用いる。
なお、上記のアトマイズ合金粉末は、ガスアトマイズ合金粉末、ディスクアトマイズ合金粉末、水アトマイズ合金粉末等であるが、この限りでない。
請求項1の手段では、Ag−Cu−Biは微細共晶組織の形成に有効であり、製造されるアトマイズ合金粉末の組織は、AgとBiが濃化したCu−αAg−βBi(1質量%≦α≦60質量%、5質量%≦β≦90質量%)相と、Cuが濃化したCu−γAg(1質量%≦γ≦20質量%)相の2相が形成される。結果、純Cu粉末よりも接触抵抗が減少するため、純Cu粉末よりも電気伝導度が高く、かつ純Agと遜色ない導電フィラー用粉末が製造できる。また酸化物を形成する場合でも、比抵抗の高いCu系の酸化物形成を抑制し、比抵抗の低いAg系の酸化物が形成されるため、電気伝導度の劣化を抑制することができる。
また、請求項2の手段のAgとBiが濃化したCu−αAg−βBi(20質量%≦α≦60質量%、50質量%≦β≦90質量%)相中において、低い温度(150〜250℃)域で熱処理を行うことで、AgCuBi相中のBiが一部溶融する。粉末同士が金属結合で結合することによって、粉末同士の接触抵抗が低減し、純Agと同等以上の電気伝導度を確保できる。さらに、熱処理中に応力負荷を加えることで、粉末同士の金属結合化がさらに顕著になり、純Agと同等以上の電気伝導度を確保できる。
さらに、請求項3の手段では、Cu−Ag−Bi合金からなる合金粉末の、AgとBiが濃化した第一相中において、CuとAgに対するBiの質量比X=MBi/(MCu+MAg)が1.2以上のAgCuBi相または純Bi相を有することで、Cuが大気に露出することを極力防止することができ、その結果、請求項1または2の手段のAgCuBi系導電フィラー用粉末からなる導電フィラーは、比抵抗の高いCu系の酸化物形成を抑制できる。
請求項4の手段では、Cu−Ag−Biの微細共晶組織の形成にさらに有効であるアトマイズ粉末を用いることで、AgとBiが濃化したCu−Ag−Bi相と、Cuが濃化したCu−Ag相の2相が形成されやすくなる。
導電フィラー用粉末は、導電性樹脂、導電性接着剤、および基板回路用導電ペーストに用いる導電フィラー用粉末であり、この粉末からなる導電フィラーは、純Agと遜色ない電気伝導度をもち、かつアトマイズままの合金粉末からなり、Agコーティングが不要なAgCuBi系導電フィラー用粉末であって、極めて優れた効果を奏するものである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
導電フィラー用粉末の電気伝導度は電子の移動量で決まってくる。電子を多量に移動、かつ移動を阻害するようなものの存在がない状態が求められる。そこで、導電フィラー材料に純Au、純Ag、純Cuを使用すれば良いのだが、純Auと純Agはコスト面に、純Cuは酸化のされ易さに、それぞれ問題がある。そこで、電子をより多く移動できる合金の研究を進めたところ、それら合金の中でもCu系合金表面にAgを存在させた合金が有望であることがわかった。そこで、本発明ではAgを採用するものとする。
導電フィラー用粉末の電気伝導度は電子の移動量で決まってくる。電子を多量に移動、かつ移動を阻害するようなものの存在がない状態が求められる。そこで、導電フィラー材料に純Au、純Ag、純Cuを使用すれば良いのだが、純Auと純Agはコスト面に、純Cuは酸化のされ易さに、それぞれ問題がある。そこで、電子をより多く移動できる合金の研究を進めたところ、それら合金の中でもCu系合金表面にAgを存在させた合金が有望であることがわかった。そこで、本発明ではAgを採用するものとする。
本発明の特徴は、AgCuBi系導電フィラー用粉末に、AgとBiが濃化したCu−αAg−βBi(1質量%≦α≦60質量%、5質量%≦β≦90質量%)相と、Cuが濃化したCu−γAg(1質量%≦γ≦20質量%)相の2相が形成されることである。
AgCuBi合金の溶融金属が冷却される際、Cuが多くAgが少ないと、CuAgが高融点であるため先に凝固し始め、凝固したCuAgの周囲に、AgとBiが多くCuが少ないAgCuBiが覆う形で凝固する。
上記のAg、Cu、Biの共晶組織に加えて、Biの比率を制御することで、さらにAgCuBi系導電フィラー用粉末の改善が見込まれる。Bi含有率が少なすぎると、AgとBiが濃化したCuAgBi相と、Cuが濃化したCuAg相の2相が現れにくくなる。また、Bi含有率が多すぎると、Bi自身の電気伝導度の低さが影響し、粉末全体の電気伝導度が低くなる。このことより、粉末全体のBi含有率は1〜30質量%とする。
上記のAg、Cu、Biの共晶組織に加えて、Agの比率を制御することで、さらにAgCuBi系導電フィラー用粉末の改善が見込まれる。Ag含有率が少なすぎると、AgとBiが濃化したCuAgBi相と、Cuが濃化したCuAg相の2相が現れにくくなる。また、Ag含有率が多すぎると、AgとBiが濃化したCuAgBi相と、Cuが濃化したCuAg相の2相が現れ易くなるが、コスト面で問題がある。このことより、粉末全体のAg含有率は1〜30質量%とする。
Ag、Cu、Biの共晶組織の制御については、上記に定めた成分の制御に加えて、原料金属を溶解した後の凝固時の冷却速度の制御によって可能である。製造方法としては、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法、水アトマイズ法等のアトマイズ法があるが、この限りではない。
ガスアトマイズ法は、溶融金属を出湯する際に噴霧ガスの圧力を調整することで、溶融金属の凝固速度を変化させることができる。例えば、噴霧ガスの圧力を下げることや他の製造条件最適化を図ることで、溶融金属の凝固する冷却速度が遅くなり、AgとBiが濃化したAgCuBi相と、Cuが濃化したCuAg相の2相が現れ易くなる。
ディスクアトマイズ法は、溶融金属を出湯する際に噴霧ガスを用いないので、ガスアトマイズ法と比較すると冷却速度を遅く制御できる。これより、他の製造条件の最適化と合わせて、AgとBiが濃化したAgCuBi相と、Cuが濃化したCuAg相の2相が現れ易くなる。
BiとAgの比率を制御して作製したAgCuBi系導電フィラー用粉末を用いることにより、アトマイズままの合金粉末で、Agコーティングが不要であり、かつ純Agと遜色ない優れた電気伝導度を示す粉末が得られる。
Cu、Ag、Biの他に、低融点を示すZn、In、Ga、Sn、Pb等の中から1つ以上を添加してもよい。これらの低融点金属を添加することで、AgとBiが濃化したAgCuBi相と、Cuが濃化したCuAg相の2相がより現れ易くなる。さらに、添加した低融点金属は、AgとBiが濃化したAgCuBi相にのみ存在するので、低い温度域で熱処理を行った場合、Biと同様に低融点金属の一部が溶融する。粉末同士が金属結合で結合することによって、粉末同士の接触抵抗が低減し、純Agと同等以上の電気伝導度を確保できる。また、Bi、Zn、In、Ga、Sn、Pb等の低融点金属は、アトマイズ時に溶湯の粘性を下げる効果があるので、微粉化の製造に繋がる。
以下、本発明について、実施例により具体的に説明する。
表1に示す組成のAgCuBi系導電フィラー用粉末を、ガスアトマイズ法およびディスクアトマイズ法により作製した。
表1に示す組成のAgCuBi系導電フィラー用粉末を、ガスアトマイズ法およびディスクアトマイズ法により作製した。
ガスアトマイズ法については、所定組成の原料を、底部に細孔を設けた石英坩堝内に入れ、Arガス雰囲気中で高周波誘導溶解炉により加熱溶融した後、Arガス雰囲気中で、ガス噴射により出湯させて、急冷凝固することで、ガスアトマイズ微粉末を得た。
ガス噴射圧を調整することで、急冷凝固する速度を変化させることができる。ガス噴射圧を下げると、ガスによる溶融金属の冷却が小さくなるので、急冷凝固する速度は遅くなる。対して、ガス噴射圧を上げると、ガスによる溶融金属の冷却が大きくなるので、急冷凝固する速度は早くなる。
ディスクアトマイズ法による粉末の製造について説明する。所定組成になるよう調合した原料を、底部に細孔を設けた石英坩堝内に入れ、この原料をArガス雰囲気中で高周波誘導溶解炉により加熱溶融した後、この溶湯をArガス雰囲気中で、40000〜60000r.p.m.の回転ディスク上に出湯させて、急冷凝固させることで微粉末を得た。ガスアトマイズについても同様にして微粉末を得た。
ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法などで作製したアトマイズ合金粉末を評価するために、東陽テクニカ製の粉体インピーダンス測定用4端子サンプルホルダーを用いて、アトマイズ合金粉末の電気伝導度を測定した。
電気伝導度測定に用いるアトマイズ合金粉末は、篩を用いて45μm以下の粒度に揃えた後、直径25mm、高さ10mmの円柱状のサンプルホルダーに充填させた後、高さ方向上下から4ニュートンメートルの荷重をかけた。
電気伝導度測定は、荷重方向上に電流Iのプラス端子と電圧Vのプラス端子を、荷重方向下に電流Iのマイナス端子と電圧Vのマイナス端子を取り付けて、電流を流して電圧を測定する四端子法を用いた。
表1は、本発明における実施例1〜28を、表2は比較例1〜34を表す。これらの特性として、表1では、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBiにおけるAgはαが1質量%以上で60質量%以下、Biはβが5質量%以上で90質量%以下を満たし、したがってα+βは35〜99質量%、かつ、Cuが濃化した第二相であるCu−γAgにおけるAgはγが1質量%以上で20質量%以下を満たしている。さらに、表1において、Agと同程度の電気伝導度4000AV-1m-1以上を示すものを評価Aとする。評価Bは電気伝導度が3500AV-1m-1以上で4000AV-1m-1未満のものであり、評価Cは電気伝導度が3500AV-1m-1未満のものである。
表2は、表1の比較例であり、表2の評価Dは以下に該当するものである。すなわち、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBiにおけるAgはαが1質量%未満または60質量%より大きく、Biはβが5質量%未満または90質量%より大きく、かつα+βは35質量%未満または99質量%より大きく、もしくは、Cuが濃化した第二相であるCu−γAgにおけるAgはγが1質量%未満または20質量%よりも大きいのいずれかに該当しているものであり、これらの該当箇所は下線を引いて示している。
すなわち、表1の実施例では、一番良い実施例が評価A、二番目に良い実施例が評価B、三番目に良い実施例が評価Cである。これに対して、表2の比較例では、全ての比較例が四番目であり、評価Dである。
例えば、実施例22は、Cu−Ag−Biアトマイズ合金におけるCuが70質量%、Agが20質量%、Biが10質量%である。これから製造されたフィラー材では、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBiではαが5質量%、βが65質量%で、Cuが濃化した第二相であるCu−γAgではγが4質量%であり、本発明の請求項2の条件を満たしている。このような本発明の請求項2の条件を満たし、かつ電気伝導度が4110AV-1m-1である本実施例は一番良い特性を示している。
比較例1〜34は、アトマイズ合金の成分Cu−Ag−Biの、Agが1質量%未満または30質量%よりも大きい、Biが1質量%未満または30質量%よりも大きい、すなわち、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBiの、Agはαが1質量%未満または60質量%よりも大きい、Biはβが5質量%未満で90質量%よりも大きい、もしくは、Cuが濃化した第二相であるCu−γAgの、Agはγが1質量%未満で20質量%よりも大きいのいずれかに当てはまるため、本発明の請求項の条件を満たさない。
例えば、比較例16は、アトマイズ合金成分のCuが70質量%、Agが20質量%、Biが10質量%であり、本発明の条件を満たしている。しかし、製造されたフィラー材の、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBiでは、αが1質量%で、βが32質量%であり、従ってα+βは33質量%であり、本発明の請求項の条件を満たしておらず、電気伝導度が930AV-1m-1、表かはDであり、良い特性を示していない。
比較例26では、フィラー材の、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBiでは、αが43質量%、βが24質量%を示しており、電気伝導度4090AV-1m-1と良い特性を示しているが、アトマイズ合金成分であるCu−Ag−BiにおけるAgが50質量%、Biが10質量%であり、本発明の粉末の条件であるAgが1〜30質量%でBiが1〜30質量%で残部がCuおよび不可避的不純物からなり、かつAgとBiの合計量が2〜35質量%を満たしていないので、評価はDである。
AgとBiが濃化したCu−αAg−βBiと、Cuが濃化したCu−γAgのα、β、γの数値は、任意箇所20点を計測したFE−SEM像の分析結果の平均値から求めている。
表1および表2における比Xは、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBi中において、CuとAgに対するBiの質量比X=MBi/(MCu+MAB)を、任意箇所20点を計測したFE−SEM像の分析結果の平均値から求めている。
以上のように、本発明では図2に示すように、アトマイズ合金の成分Cu−Ag−Bi(65質量%≦Cu≦98質量%、1質量%≦Ag≦30質量%、1質量%≦Bi≦30質量%)に対し、アトマイズ粉末の組織を、AgとBiが濃化した第一相であるCu−αAg−βBi(1質量%≦α≦60質量%、5質量%≦β≦90質量%)相2と、Cuが濃化したCu−γAg(1質量%≦γ≦20質量%)相3が、図1に示すアトマイズ合金粉末1の拡大部分Aに存在するように制御することで、純Agと遜色ない電気伝導度を有し、かつアトマイズままでの合金粉末で、Agコーティングが不要なAgCuBi系導電フィラー粉末の提供が可能になる。
なお、表1の実施例の評価結果として、実施例1〜28は、本願の請求項1に係る発明の条件を満たしているものであるが、この中の実施例22〜28は、特にCu−αAg−βBiにおける、α+βが70〜99質量%であり、本願の請求項2に係る発明の条件を満たすものである。さらに、表1の実施例の評価結果として、実施例20〜28は、比Xが1.2以上であり、本願の請求項3に係る発明の条件を満たすものである。
1 アトマイズ合金粉末
2 AgとBiが濃化したCu−αAg−βBi
3 Cuが濃化したCu−γAg
A 拡大部分
2 AgとBiが濃化したCu−αAg−βBi
3 Cuが濃化したCu−γAg
A 拡大部分
Claims (4)
- Agが1〜30質量%、Biが1〜30質量%で、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、かつAgとBiの合計量2〜35質量%であるCu−Ag−Bi合金からなり、この合金からなる粉末の組織は、AgとBiが濃化した第一相とCuが濃化した第二相とで形成され、第一相はCu−αAg−βBiで、αが1〜60質量%、βが5〜90質量%、但しα+βは35〜99質量%であり、第二相はCu−γAgで、1質量%≦γ≦20質量%であることを特徴とするAgCuBi系導電フィラー用粉末。
- Cu−Ag−Bi合金からなる粉末の組織は、AgとBiが濃化した第一相とCuが濃化した第二相とで形成され、第一相はCu−αAg−βBiで、αが20〜60質量%、βが50〜90質量%、ただしα+βは70〜99質量%であり、第二相はCu−γAgで、1質量%≦γ≦10質量%であることを特徴とする請求項1に記載のAgCuBi系導電フィラー用粉末。
- Cu−Ag−Bi合金からなる粉末の合金粉末の組織は、AgとBiが濃化した第一相中において、CuとAgに対するBiの質量比X=MBi/(MCu+MAg)が1.2以上のAgCuBi相または純Bi相を有することを特徴とする請求項1または2に記載のAgCuBi系導電フィラー用粉末。
- AgCuBi系導電フィラー用粉末は、アトマイズ粉末であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のAgCuBi系導電フィラー用粉末。
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