JP2015194259A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受部品の軌道面または転動面に、高負荷環境においても十分な耐久性を有する硬質膜が形成された転がり軸受を提供する。【解決手段】軌道面を有する軸受部品および転動面を有する軸受部品を備えた転がり軸受の前記軌道面または前記転動面にDLC膜が形成されている。前記DLC膜は、炭素と珪素と水素からなり、Si−H結合が存在し、残留応力の絶対値が0.12GPa以下である。前記DLC膜は、炭化水素ガスを導入したスパッタリング法により、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、軸受鋼からなる前記軸受部品の軌道面または転動面の温度を150〜180℃の範囲に制御して、厚さ1.6μm以下に成膜する方法で形成されている。【選択図】図1
Description
この発明は、軸受鋼からなる軸受部品の軌道面または転動面への硬質膜形成方法に関する。
ダイヤモンドライクカーボン(以下「DLC」と略称する。)膜は、その表面がダイヤモンドに準ずる硬さ(10GPa以上の塑性変形硬さ)を有し、摺動抵抗に関しても、摩擦係数が0.2以下と、二硫化モリブデンやフッ素樹脂と同程度に小さい。そのため、DLC膜は、軸受部品の軌道面や転動面に形成する新たな耐摩耗性被膜として注目されている。転がり軸受の軌道面等に形成されたDLC膜には、高い接触応力によって軌道面等から剥離し易いという問題点があり、DLC膜の密着性を改善するための提案が多数なされている。
特許文献1には、転がり軸受の転がり接触する軌道部に、表面に凹凸を有する厚さ30μm以上の窒化層を形成した上に、硬質非晶質炭素−水素−珪素膜であって珪素含有率が30at%以下であるDLC膜を形成することが記載されている。窒化層はガス窒化処理により形成され、表面の凹凸はイオン衝撃処理により10〜100nmの高さで平均幅300nm以下に形成されている。DLC膜はプラズマCVD法により形成されている。
しかし、窒化処理は、一般的には400℃以上の高温で行われるため、使用できる基材の材質が限定される。
特許文献2には、DLC膜と基材との間にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびSiの少なくとの一つの元素、またはその炭化物からなる中間層を、0.5nm以上10nm未満の厚さで設けることが記載されている。しかし、このような中間層を設けても、転がり軸受が使用されるような、接触面圧が数GPaにも及ぶ環境では、DLC膜の剥離が防止できない恐れがある。
特許文献2には、DLC膜と基材との間にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびSiの少なくとの一つの元素、またはその炭化物からなる中間層を、0.5nm以上10nm未満の厚さで設けることが記載されている。しかし、このような中間層を設けても、転がり軸受が使用されるような、接触面圧が数GPaにも及ぶ環境では、DLC膜の剥離が防止できない恐れがある。
特許文献3には、水素を含有するDLC膜からなる硬質炭素層が、自身の内部応力によって基板から剥がれたり、基板を反らせることを防止するために、水素を含有しない炭素層等からなる内部応力緩和層を設けることが記載されている。硬質炭素層は、炭化水素系ガスを原料として用いたプラズマCVD法により形成し、前記内部応力緩和層は、スパッタリング法により形成することが記載されている。
しかし、転がり軸受のように、基材が大きく弾性変形するような環境では、前記内部応力緩和層が存在していても、硬質炭素層の基板からの剥離や基板の反りを防止できない恐れがある。
しかし、転がり軸受のように、基材が大きく弾性変形するような環境では、前記内部応力緩和層が存在していても、硬質炭素層の基板からの剥離や基板の反りを防止できない恐れがある。
この発明の課題は、軸受鋼からなる軸受部品の軌道面または転動面への硬質膜を形成する方法として、高負荷環境においても十分な耐久性を有する硬質膜が形成できる方法を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明の第一態様は、下記の構成(1) 〜(4) を有する転がり軸受を提供する。
(1) 軌道面を有する軸受部品および転動面を有する軸受部品を備え、前記軌道面または前記転動面にDLC膜が形成されている。
(2) 前記DLC膜は、炭素と珪素と水素からなり、Si−H結合が存在し、残留応力の絶対値が0.12GPa以下である。
(1) 軌道面を有する軸受部品および転動面を有する軸受部品を備え、前記軌道面または前記転動面にDLC膜が形成されている。
(2) 前記DLC膜は、炭素と珪素と水素からなり、Si−H結合が存在し、残留応力の絶対値が0.12GPa以下である。
(3) 前記DLC膜は、炭化水素ガスを導入したスパッタリング法により、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、軸受鋼からなる前記軸受部品の軌道面または転動面の温度を150〜180℃の範囲に制御して、厚さ1.6μm以下に成膜する方法で形成されている。
(4) 前記DLC膜は、スラスト玉軸受の上レースおよび下レースの軌道溝に形成された場合に、両軌道溝間にSUJ2製玉を3個、等間隔で配置したものを、油浴内に入れ、荷重8820N、回転速度2000rpmの条件で、1千万回回転させる試験を行い、試験終了後に、前記軌道溝の状態を顕微鏡により観察し、画像処理を行って調べた剥離面積が4面積%以下となるDLC膜である。
第一態様の転がり軸受は、構成(1) 〜(4) に加えて下記の構成(5) を有することができる。
(4) 前記DLC膜は、スラスト玉軸受の上レースおよび下レースの軌道溝に形成された場合に、両軌道溝間にSUJ2製玉を3個、等間隔で配置したものを、油浴内に入れ、荷重8820N、回転速度2000rpmの条件で、1千万回回転させる試験を行い、試験終了後に、前記軌道溝の状態を顕微鏡により観察し、画像処理を行って調べた剥離面積が4面積%以下となるDLC膜である。
第一態様の転がり軸受は、構成(1) 〜(4) に加えて下記の構成(5) を有することができる。
(5) 前記DLC膜のヤング率は200GPa以下である。
この発明の第二態様である軸受部品への硬質膜形成方法は、軸受鋼からなる軸受部品の軌道面または転動面への硬質膜形成方法であって、炭素と珪素と水素からなるDLC膜を、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、炭化水素ガスを導入したスパッタリング法により、前記軌道面または転動面の温度を150〜180℃の範囲に制御して、厚さ1.6μm以下に成膜することを特徴とする。この方法で形成される炭素と珪素と水素からなるDLC膜の有効な厚さの下限値は0.8μmである。
この発明の第二態様である軸受部品への硬質膜形成方法は、軸受鋼からなる軸受部品の軌道面または転動面への硬質膜形成方法であって、炭素と珪素と水素からなるDLC膜を、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、炭化水素ガスを導入したスパッタリング法により、前記軌道面または転動面の温度を150〜180℃の範囲に制御して、厚さ1.6μm以下に成膜することを特徴とする。この方法で形成される炭素と珪素と水素からなるDLC膜の有効な厚さの下限値は0.8μmである。
DLC膜の線膨張係数は、一般に1〜7×10-6/℃であるが、軸受鋼の線膨張係数は12×10-6/℃程度であるため、軸受鋼からなる被成膜面の温度が高いほど、DLC膜と被成膜面との間に大きな体積膨張差が生じる。
また、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、炭化水素ガスを導入したスパッタリング法で成膜されると、DLC膜中に「C−H」結合だけでなく「Si−H」結合も存在する。「Si−H」は結合エネルギーが小さいため、未結合の「H」が積極的に「Si」と結合する。その結果、炭化水素ガスを導入しない場合と比較してDLC膜の残留応力が小さくなると考えられている。しかし、成膜時の基材(被成膜面)の温度が高いと、「Si−H」結合が切れやすくなり、DLC膜中に未結合の「H」が存在することで、DLC膜の体積膨張が生じ、圧縮残留応力が増加する。
また、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、炭化水素ガスを導入したスパッタリング法で成膜されると、DLC膜中に「C−H」結合だけでなく「Si−H」結合も存在する。「Si−H」は結合エネルギーが小さいため、未結合の「H」が積極的に「Si」と結合する。その結果、炭化水素ガスを導入しない場合と比較してDLC膜の残留応力が小さくなると考えられている。しかし、成膜時の基材(被成膜面)の温度が高いと、「Si−H」結合が切れやすくなり、DLC膜中に未結合の「H」が存在することで、DLC膜の体積膨張が生じ、圧縮残留応力が増加する。
また、成膜時の基材(被成膜面)の温度が高いと、珪素が結晶状態で成膜される傾向がある。
これに対して、この発明の方法では、被成膜面である軸受部品の軌道面または転動面の温度を150〜180℃の範囲に制御することで、炭素と珪素と水素からなるDLC膜の体積膨張が抑えられる。また、軸受鋼の硬度低下が抑制されて、被成膜面に対する炭素と珪素と水素からなるDLC膜の密着性および耐久性が良好になる。
これに対して、この発明の方法では、被成膜面である軸受部品の軌道面または転動面の温度を150〜180℃の範囲に制御することで、炭素と珪素と水素からなるDLC膜の体積膨張が抑えられる。また、軸受鋼の硬度低下が抑制されて、被成膜面に対する炭素と珪素と水素からなるDLC膜の密着性および耐久性が良好になる。
また、被成膜面の温度を150〜180℃の範囲に制御しても、炭素と珪素と水素からなるDLC膜の厚さが2.0μm以上になると残留応力が極端に大きくなるが、厚さを1.6μm以下にすることでDLC膜の残留応力が小さく、軸受部品として良好な状態にすることができる。
この発明によれば、軸受部品の軌道面または転動面に、高負荷環境においても十分な耐久性を有する硬質膜が形成された転がり軸受が提供される。
以下、この発明の実施形態について説明する。
図1のスラスト玉軸受(転がり軸受)は、上レース(軌道輪)1、下レース(軌道輪)2、玉(転動体)3、および保持器4で構成されている。上レース1と下レース2と玉3はSUJ2製であり、通常の方法で作製されている。上レース1の軌道溝(軌道面)1aと下レース2の軌道溝(軌道面)2aに、炭素と珪素と水素からなるDLC膜5が形成されている。
図1のスラスト玉軸受(転がり軸受)は、上レース(軌道輪)1、下レース(軌道輪)2、玉(転動体)3、および保持器4で構成されている。上レース1と下レース2と玉3はSUJ2製であり、通常の方法で作製されている。上レース1の軌道溝(軌道面)1aと下レース2の軌道溝(軌道面)2aに、炭素と珪素と水素からなるDLC膜5が形成されている。
このDLC膜5を、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、メタン(炭化水素)ガスとアルゴンガスを導入した非平衡マグネトロンスパッタリング法により成膜する。その際に、スパッタリング装置内の試料支持台をヒーターで加熱し、ヒーターの温度を制御することで、試料支持台に支持された上下のレース1,2の軌道溝1a,2aの温度を150〜180℃の範囲に保持する。また、DLC膜5の厚さが1.0〜1.6μmとなるように時間を設定して成膜する。これ以外の点は通常のマグネトロンスパッタリング法に従う。
この方法で、上レース1と下レース2に形成された炭素と珪素と水素からなるDLC膜5は、図1のスラスト玉軸受を、荷重8820N(900kgf)、回転速度2000rpm、油潤滑で回転させた場合でも剥離が殆ど生じず、良好な密着性および耐久性が得られる。
なお、軸受部品の軌道面および転動面に形成するDLC膜のヤング率は、150〜200GPaであることが好ましい。DLC膜のヤング率が150GPa未満であると、DLC膜の硬さが軸受部品の軌道面および転動面の硬さとして不十分となる。200GPaを超えると、軸受鋼からなる軸受部品より変形しにくいものとなるため、高負荷環境で剥離しやすくなる。
なお、軸受部品の軌道面および転動面に形成するDLC膜のヤング率は、150〜200GPaであることが好ましい。DLC膜のヤング率が150GPa未満であると、DLC膜の硬さが軸受部品の軌道面および転動面の硬さとして不十分となる。200GPaを超えると、軸受鋼からなる軸受部品より変形しにくいものとなるため、高負荷環境で剥離しやすくなる。
また、軸受鋼からなる軸受部品の軌道面および転動面とDLC膜との間に、クロムなどからなる金属製中間層を設けてもよい。
また、DLC膜の組成が、表面に向かうにつれて炭素の割合が珪素の割合より高くなるように成膜することも、DLC膜の圧縮残留応力を小さくする点で好ましい。
また、DLC膜の組成が、表面に向かうにつれて炭素の割合が珪素の割合より高くなるように成膜することも、DLC膜の圧縮残留応力を小さくする点で好ましい。
図1の転がり軸受を構成する上レース1と下レース2の軌道溝1a,2aに、炭素と珪素と水素からなるDLC膜5を、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、メタンガスとアルゴンガスを導入した非平衡マグネトロンスパッタリング法により成膜した。その際に、炭素ダーゲットに加える電圧を徐々に大きくし、珪素ターゲットに加える電圧を徐々に小さくすることで、DLC膜5の組成が、表面に向かうにつれて炭素の割合が珪素の割合より高くなるように成膜した。
また、成膜時の軌道溝1a,2aの温度が150℃(サンプルNo.1)、180℃(サンプルNo.2)、200℃(サンプルNo.3)、250℃(サンプルNo.4)、300℃(サンプルNo.5)の各温度±5℃になるように、試料支持台の温度を制御した。また、膜厚が同じ1.0μmとなるように成膜時間を設定した。これらの点以外は全て同じ条件で成膜した。
また、サンプルNo.6〜8では、成膜時の軌道溝1a,2aの温度を180℃で同じにし、成膜時間を変化させて、膜厚が異なるDLC5を成膜した。これらの点以外はNo.1〜No. 5と同じ条件とした。
このようにして得られたサンプルNo.2とNo.5のDLC膜5について、IRスペクトルを測定した。その結果のグラフを図2に示す。このグラフにおいて、波長2100cm-1付近の「Si−H」のピークが、成膜時の軌道溝の温度が150℃であるNo.2のDLC膜5では観察されるが、成膜時の軌道溝の温度が300℃であるNo.5のDLC膜5では観察されない。つまり、成膜時の軌道溝の温度が300℃の場合は、「Si−H」結合が切れて未結合の「H」が多く存在することにより、DLC膜5の体積膨張が大きくなり、圧縮残留応力が大きくなったと推察される。
このようにして得られたサンプルNo.2とNo.5のDLC膜5について、IRスペクトルを測定した。その結果のグラフを図2に示す。このグラフにおいて、波長2100cm-1付近の「Si−H」のピークが、成膜時の軌道溝の温度が150℃であるNo.2のDLC膜5では観察されるが、成膜時の軌道溝の温度が300℃であるNo.5のDLC膜5では観察されない。つまり、成膜時の軌道溝の温度が300℃の場合は、「Si−H」結合が切れて未結合の「H」が多く存在することにより、DLC膜5の体積膨張が大きくなり、圧縮残留応力が大きくなったと推察される。
また、得られた各サンプルの上レース1と下レース2を組み合わせ、通常の方法で作製したSUJ2製玉3を3個、軌道溝1a,2a間に等間隔で配置して、油浴(VG10)内に入れ、荷重8820N(900kgf)、回転速度2000rpmの条件で、1千万回(107 回)回転させる試験を行った。
試験終了後に、軌道溝1a,2aに形成されていたDLC膜5の状態を顕微鏡により観察した。そして、画像処理を行って、DLC膜5が剥がれている面積の割合を調べた。また、試験終了前(回転が1千万回に達する前)に軌道溝1a,2aに剥離が生じた場合は、その時点で、軌道溝1a,2aの剥離部分を除いた範囲で、DLC膜5が剥がれている面積の割合を調べた。その結果を下記の表1に示す。
試験終了後に、軌道溝1a,2aに形成されていたDLC膜5の状態を顕微鏡により観察した。そして、画像処理を行って、DLC膜5が剥がれている面積の割合を調べた。また、試験終了前(回転が1千万回に達する前)に軌道溝1a,2aに剥離が生じた場合は、その時点で、軌道溝1a,2aの剥離部分を除いた範囲で、DLC膜5が剥がれている面積の割合を調べた。その結果を下記の表1に示す。
また、ヤング率および残留応力を測定するための試験片に対し、サンプルNo.1〜No.8の軌道溝1a,2aに対する成膜と同じ条件で成膜を行い、ヤング率と残留応力を測定した。ヤング率はナノインデンテーション法により測定した。残留応力は金属薄片を用いた形状測定法により算出した。その結果も下記の表1に示す。残留応力で符号「−」が付いた値は圧縮応力を示す。符号無しの値は引張応力を示す。
表1から分かるように、この発明の方法の実施例に相当する方法で成膜を行ったNo.1、2、6、7は、DLC膜5の残留応力の絶対値が0.12GPa以下と小さく、剥がれ率が4面積%以下と小さかった。また、軌道溝面に剥離は生じなかった。
これに対して、成膜時の軌道溝の温度が180℃より高いNo.3〜5と、温度は180℃であるが膜厚が2.0μm以上であるNo.7とNo.8は、DLC膜5の残留応力の絶対値が0.32GPa以上と大きく、剥がれ率が7面積%以上と大きかった。また、軌道溝面に剥離が生じていた。
以上のことから、成膜時の軌道溝の温度150〜180℃、DLC膜5の厚さ1.6μm以下を満たす方法を採用することで、密着性および耐久性が良好な硬質膜が形成できることが分かる。
これに対して、成膜時の軌道溝の温度が180℃より高いNo.3〜5と、温度は180℃であるが膜厚が2.0μm以上であるNo.7とNo.8は、DLC膜5の残留応力の絶対値が0.32GPa以上と大きく、剥がれ率が7面積%以上と大きかった。また、軌道溝面に剥離が生じていた。
以上のことから、成膜時の軌道溝の温度150〜180℃、DLC膜5の厚さ1.6μm以下を満たす方法を採用することで、密着性および耐久性が良好な硬質膜が形成できることが分かる。
1 上レース(軌道輪)
1a 軌道溝(軌道面)
2 下レース(軌道輪)
2a 軌道溝(軌道面)
3 玉(転動体)
4 保持器
5 炭素と珪素と水素からなるDLC膜
1a 軌道溝(軌道面)
2 下レース(軌道輪)
2a 軌道溝(軌道面)
3 玉(転動体)
4 保持器
5 炭素と珪素と水素からなるDLC膜
Claims (2)
- 軌道面を有する軸受部品および転動面を有する軸受部品を備え、
前記軌道面または前記転動面にDLC膜が形成され、
前記DLC膜は、炭素と珪素と水素からなり、Si−H結合が存在し、残留応力の絶対値が0.12GPa以下であり、
前記DLC膜は、炭化水素ガスを導入したスパッタリング法により、珪素ターゲットおよび炭素ターゲットを用い、軸受鋼からなる前記軸受部品の軌道面または転動面の温度を150〜180℃の範囲に制御して、厚さ1.6μm以下に成膜する方法で形成され、
前記DLC膜は、スラスト玉軸受の上レースおよび下レースの軌道溝に形成された場合に、両軌道溝間にSUJ2製玉を3個、等間隔で配置したものを、油浴内に入れ、荷重8820N、回転速度2000rpmの条件で、1千万回回転させる試験を行い、試験終了後に、前記軌道溝の状態を顕微鏡により観察し、画像処理を行って調べた剥離面積が4面積%以下となるDLC膜である転がり軸受。 - 前記DLC膜のヤング率は200GPa以下である請求項1記載の転がり軸受。
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