JP2008001951A - ダイヤモンド状炭素膜およびその形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜が剥離しにくく、高い密着性と高い耐摩耗性、ならびに低摩擦特性を持つダイヤモンド状炭素膜とその製造方法を提供。
【解決手段】基板 1上に結合層 2を介して形成されたダイヤモンド状炭素膜において、結合層 2の上層に硬度が 500〜2000Hvの実質的に水素を含まない軟質炭素膜3aと、硬度が2000〜4000Hvの実質的に水素を含まない硬質炭素膜3bを交互に4層以上積層した高靭性ダイヤモンド状炭素膜層 3を形成し、該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層 2の上層に 500〜2000Hvの水素を含む最上層である潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層 4を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、家電、産業機械などの摺動部品、ならびに金型や切削工具などの耐摩耗用工具に使われる、低摩耗で耐摩耗性が高く、かつ密着性の高いダイヤモンド状炭素膜およびその形成方法に関する。
炭素膜の蒸着法は1960年代から様々な手法で開発され、形成された膜は手法や膜の組成からi‐C膜、α‐C膜、C:H膜、等と呼ばれて来たが、現在それらはダイヤモンド状炭素またはダイヤモンド状カーボン、あるいはDLCと総称されている。ダイヤモンド状炭素膜の種類としては、炭素のみから構成される膜、炭素と水素から構成される膜、およびそれらに炭素と水素以外の元素や化合物を添加した膜がある。これらは通常、黒鉛のような規則構造をとらず、アモルファス構造を基本としている。また、炭素膜中に炭素以外の金属(Me)を添加した場合にはMe−DLCと総称され、添加元素の種類によっても様々な呼び方がある。炭素のみから構成される膜は比較的硬質で熱に対する軟化抵抗が高い。炭素と水素から構成される膜は、ポリマー状の軟質膜からガラス状の硬質膜まで幅広い特性を持ち、熱に対する軟化抵抗が低いが、金属などとの無潤滑摺動において低い摩擦係数を示す。ダイヤモンド状炭素膜への炭素と水素以外の元素あるいは化合物の添加は、添加しない膜の特性を改善するために行われ、例えば潤滑油中の添加剤のダイヤモンド状炭素膜表面への吸着性を高め、潤滑特性を改善する。
特開昭64‐79372号公報 特開平5‐202477号公報 特開2000‐128516号公報 特開2003‐26414号公報 特開2001‐64005号公報 特開2002‐3236号公報
また、ダイヤモンド状炭素膜の熱的な安定性を高める目的、膜の応力を緩和する目的でも添加されることがある。炭素のみから構成されるダイヤモンド状炭素膜は、炭素イオンを加速するイオンビーム法、あるいは固体炭素源をアルゴンガスなどを雰囲気ガスとしてイオンスパッタあるいはアーク放電を利用して蒸発させる物理蒸着法などの公知の方法がある。炭素と水素から構成されるダイヤモンド状炭素膜は、前記の固体蒸発源をイオンスパッタまたはアーク放電で物理蒸発させながら水素や炭化水素を添加して形成する方法、および固体蒸発源を使わずに炭化水素を炭素源としてプラズマCVD法で形成する方法がある。膜中に炭素と水素以外の元素を含むダイヤモンド状炭素は、前2者の方法に、さらに物理蒸着法により固体源から元素や化合物を添加する方法、あるいは有機金属ガスなどの添加元素を含むガスを加えて添加する方法が掛け合わされ、手法は幅広くなる。
このように様々な手法でダイヤモンド状炭素膜が形成されるのであるが、それらがアモルファスであるが故、特に硬質なダイヤモンド状炭素膜は脆くて割れやすく、剥離しやすいという課題があった。そこで、それらの課題を解決するため、例えば特許文献1に見られるように、炭化チタニウムのごとき炭化物形成元素を中間層として用いて密着性を高める方法がとられる。しかし、この方法は炭化チタニウム自身が硬くて密着性を上げにくい膜であることと、ダイヤモンド状炭素膜自身の割れやすさを解決する手段を与えていない。特許文献2ではダイヤモンド状炭素膜を合成する際に処理温度を 200〜700 °C変化させて基体から表層に向かって膜の硬度を段階的に柔らかくする方法で 100μmの厚さまでダイヤモンド状炭素膜を形成している。この方法は製造段階での基体の温度制御が困難であり、また処理温度が高いので硬質な膜を得にくいという課題もある。特許文献3では、密着性を改善するため、下層に基板や金属との密着性の良い水素を含まないダイヤモンド状炭素膜を形成し、表層に低摩擦特性を持つ水素を含むダイヤモンド状炭素膜を形成し、密着性を上げている。
しかしながら、耐摩耗性を上げるため、下層に硬質なダイヤモンド状炭素膜を置くと、強い負荷がかかった時に、従来と同様に膜が割れて剥離するという課題がある。特許文献4では下層に置いた水素を含まない硬質なダイヤモンド状炭素膜の粗さをカバーするため、上層に平滑かつ低摩擦な水素を含有するダイヤモンド状炭素膜を置く構成を取っているが、水素を含まない硬質なダイヤモンド状炭素膜の層が 0.5〜200 nmと薄いため、耐摩耗性の点では不利である。特許文献5では、下層に高硬度炭素膜、表層に低硬度膜を置き、高硬度炭素膜の粗さをカバーしているが、高硬度炭素膜の割れやすさに対する解決策にはなっていない。また、切削工具や金型材料などではその限りではないが、自動車、家電、各種産業機械などに用いられる摺動材料は一般に安価な構造用鋼を用いることが多く、そのため 200°C程度の温度をかけても強度が低下し、寸法変化や変形が起こるという課題もある。しかしながら、現状の物理蒸着法や化学蒸着法では膜の密着性を高めるため、 200°Cをはるかに越える温度で処理されている。ダイヤモンド状炭素膜の形成温度についての開示は少ないが、多くの摺動部品へ適用するためには、その形成温度を材料の強度低下や寸法変化の影響のない範囲まで下げることも必要である。その対策として、特許文献6には光学用素子成形型を水冷して 180°C以下にする方法が開示されているが、一般的な量産部品では真空中で個々に部品を水冷することは困難であった。
自動車、家電、産業機械などの摺動部品、あるいは切削工具や金型などには高い耐久性が求められ、そのためには現状以上にダイヤモンド状炭素膜の耐摩耗性と耐剥離性を改善する必要がある。しかしながら、ダイヤモンド状炭素膜の場合、硬度の高い膜では強い負荷がかかると剥離しやすく、それを防止するために軟質膜にすると摩耗が進行しやすくなるという課題がある。それらの課題は前述のように従来の発明では解決されていなかった。また、摺動部品などの幅広い材料へダイヤモンド状炭素膜を適用するため、その形成温度を個別部品を水冷せずに 200°C以下に低減する必要があった。
本発明の課題は、摺動部品や金型あるいは切削工具などの強い負荷がかかる環境においても膜が剥離しにくく、高い密着性と高い耐摩耗性、ならびに低摩擦特性を持つダイヤモンド状炭素膜とその製造方法を提供することにある。
このため本発明は、基板上に結合層を介して形成されたダイヤモンド状炭素膜において、結合層の上層に硬度が 500〜2000Hvの実質的に水素を含まない軟質炭素膜と、硬度が2000〜4000Hvの実質的に水素を含まない硬質炭素膜を交互に4層以上積層した高靭性ダイヤモンド状炭素膜層を形成し、最上層である該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層の上層に 500〜2000Hvの水素を含む潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層を形成したことを特徴とするダイヤモンド状炭素膜を提供することによって上記した従来製品の課題を解決した。
高硬度ダイヤモンド状炭素膜は軽荷重ではその硬さゆえ、耐摩耗性に優れている。しかしながら、例えば密着性を調べるロックウェル圧痕試験では、膜硬さが硬いほど容易に剥離し、軟質膜に比べて密着性が低いことが判る。また、ファレックス試験でダイヤモンド状炭素膜の耐久性を調査すると硬質なダイヤモンド状炭素膜は短時間で損傷を受ける。
このダイヤモンド状炭素膜が損傷した部分を観察すると、膜は摩耗ではなく、膜が割れて剥離が連続的に進行して無くなっていることが観察される。膜が割れると、膜と基板の境界の膜の端面部に最大の応力が掛かることが知られており、したがって膜の割れが剥離につながるのである。そこで本発明者等は、基板上に結合層を介して形成されたダイヤモンド状炭素膜において、膜の耐摩耗性を維持しつつ、膜の割れを防止する方策として、結合層の上層に硬度が 500〜2000Hvの実質的に水素を含まない軟質炭素膜と、硬度が2000〜4000Hvの実質的に水素を含まない硬質炭素膜を交互に4層以上積層した高靭性ダイヤモンド状炭素膜層を形成し、このとき、ダイヤモンド状炭素膜は高い硬度を容易に得ることができ、硬軟の変化を行いやすい水素を含まない膜とし、靭性と耐摩耗性の両方を満足す、高い密着性と高い耐摩耗性、ならびに低摩擦特性を持つ高靭性ダイヤモンド状炭素膜を得るに至った。また、膜の割れは、割れ発生の拘束力が作用しないダイヤモンド状炭素膜の表層から進展するので、最上層である該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層の上層に割れの発生しにくいかつ低摩擦係数が期待される特性を持つ水素を含有する 500〜2000Hvの潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層を形成し、低摩擦で割れの発生を防止した。
好ましくは、前記高靭性ダイヤモンド状炭素膜を固体炭素を原料として物理蒸着法で形成し、前記水素を含まない軟質炭素膜と前記水素を含まない硬質炭素膜は前記物理蒸着法で蒸着中に基板に印加する電圧または固体炭素の蒸着速度で変化させて硬軟を変化させて形成し、前記水素を含有する潤滑性ダイヤモンド状炭素膜を固体炭素源からの蒸発有りないしは無しの状態で、雰囲気ガスに水素を含有するガスを加えて形成した。即ち、ダイヤモンド状炭素膜はアモルファス構造を取っており、例えば成膜時の基板に印加する電圧すなわち基板バイアスを高くすると、それに伴い膜の硬度が上がり、4000Hvにも達する硬さを得ることができる。また、ダイヤモンド状炭素膜の硬度は基板表面に入射する炭素または炭化水素数とイオンのエネルギ量(=イオンエネルギとイオン数を乗じたもの=基板電力v×イオン電流Aで概算=イオンの電力)のバランスで変わり、炭素や炭化水素数当たりのイオンエネルギ量が多いと硬い膜が形成され、イオンエネルギ量が少ないと軟らかい膜が形成される。したがって、ダイヤモンド状炭素膜の硬さは基板に入射するイオンのエネルギ量で制御され、それは通常基板に印加する電圧すなわち基板バイアスで制御される。水素を含有しない高靭性ダイヤモンド状炭素膜はターゲットに装着した個体炭素源をアルゴンイオンでスパッタ蒸発させるイオンスパッタ法またはアーク放電で蒸発させるアーク法などの公知の物理蒸着法で形成されるが、このとき基板に印加する基板バイアスを例えば−30Vと−100 Vのように交互に変化させる方法で得た。同様な高靭性ダイヤモンド状炭素膜は炭素ターゲットに投入する電力を大小に変化させて固体炭素の蒸発速度を変化させる方法でも得ることができる。また、最上層である該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層の表層を構成する水素を含有する潤滑性のダイヤモンド状炭素膜は、ターゲットから炭素を蒸発させながら、反応ガスとして水素、炭化水素またはその両者を雰囲気中に添加する方法、あるいはターゲットからの蒸発を行わず、炭化水素あるいは水素と炭化水素ガス中で放電を行わせ、プラズマ化学蒸着法にて形成する方法、ないしはその両者を使い水素含有率を徐々に変化させる方法で水素含有ダイヤモンド状炭素膜を得ることができる。
より好ましくは、前記ダイヤモンド状炭素膜およびその結合層の形成を、初期の加熱脱ガス工程はヒーターを使って加熱し、それ以降の工程は基板に投入するイオンの電力(イオンの電力=基板電力v×イオン電流A)を制御して、基板の温度を 200°C以下に保つことにより、ダイヤモンド状炭素膜を形成する基板の温度の上限を 200°Cとし、構造材料の軟化温度はその熱処理時の焼き戻し温度となるが、部品の多くは若干の硬度低下であれば許容範囲に入るので、ダイヤモンド状炭素膜を摺動部品へ適用する際に、多くのケースで基板の軟化や変形を防止できるのとなった。
即ち、ダイヤモンド状炭素膜の発熱を伴う工程としては、加熱脱ガス工程、スパッタクリーニング工程、結合層形成工程、高靭性ダイヤモンド状炭素膜形成工程、および潤滑性ダイヤモンド状炭素膜形成工程がある。初期の加熱脱ガス工程はヒーターを使って加熱するので、温度設定次第で 200°C以下に抑えることができ、それ以降の工程は蒸発源へ投入する電力の影響と、基板に流入するイオンエネルギ量の影響がある。中でもイオンエネルギ量は基板の温度に最も大きな影響を与えたので、基板の充填量にもよるが、略 400W以下に設定することで基板の温度を以下に抑えることができた。
さらに、前記高靭性ダイヤモンド状炭素膜の軟質炭素膜と硬質炭素膜の一層の厚さがそれぞれ0.01〜1 μmの範囲にあり、合計の厚さが 5μm以下であることが望ましい。
即ち、硬軟のダイヤモンド状炭素層を交互に積層して形成した高靭性なダイヤモンド状炭素膜は、膜が 0.5μm以下の場合には硬軟層の繰り返しが1回でも効果を奏するのであるが、全膜厚が厚くなると負荷時の変形が大きくなり、硬質ダイヤモンド状炭素膜の層が厚いと膜が割れやすくなる。また、硬質炭素膜層と軟質炭素膜層の組合せが例えば1000Hvと2000Hvのように比較的軟質な層の組合せで構成される場合には各層の厚さが 1μ程度でも十分に耐えるが、最高硬さが4000Hvの膜を積層する場合には一層の厚さは薄い方が好ましく、一層の厚さが 0.01 μm以下の場合には単独層としての効果が出ないためか、耐摩耗性が乏しくなる。また、ダイヤモンド状炭素膜の厚さは 5μm以下で通常の摺動膜としての特性は十分に発揮し、それ以上では密着性が不安定になるだけである。そこで、請求項4では、硬軟のダイヤモンド状炭素膜の一層の厚さを0.01〜1 μmとし、積層した合計の膜厚を 5μm以下とした。
より好ましくは、潤滑性のダイヤモンド状炭素膜は水素を含有することで低摩擦係数を持つが、その下層の高靭性ダイヤモンド状炭素膜の硬質膜より柔らかいので、耐摩耗性は下層ほど期待できない。また、摺動の相手材と摩擦係数の大きい高靭性ダイヤモンド状炭素膜との間に潤滑性ダイヤモンド状炭素膜を置いて、低摩擦特性を発揮させるには 0.1μm以上の潤滑性ダイヤモンド膜が好ましく、また、水素を含有する潤滑性ダイヤモンド状炭素膜の厚さは 2μm以下で通常の潤滑膜としての特性は十分に発揮し、それ以上では密着性が不安定になるだけである。そこで、請求項5では、水素を含有する潤滑性ダイヤモンド状炭素膜の厚さを 0.1μm以上、 2μm以下とした。
また、基板とダイヤモンド状炭素膜の間にSi、W、Ti、Crなどの炭化物形成元素あるいはその炭化物から成る結合層を置く方法は膜の密着性を改善する手段として従来から用いられている。基板の種類によって適する結合層の材料が異なり、超硬合金のような硬い基板には硬質な炭化物が適する。しかし、摺動部品に多く使われる鉄鋼系の材料の場合には、Crが比較的安定に高い密着性を確保できる。そこで、本発明では水素を含まない雰囲気下で基板の表層にスパッタ法またはアーク法でCr金属膜を形成し、さらに水素を含まない雰囲気下でCrの蒸発を継続しながら同様にスパッタ法またはアーク法で別のターゲットからCを蒸発させ、段階的にCの比率を増して、本結合層の上層の高靭性ダイヤモンド状炭素膜へつなげるようにした。結合層形成時の雰囲気に水素を含ませないのは、その残留ガスから上層の高靭性ダイヤモンド状炭素膜を形成する際に水素が取り込まれ、膜硬さの制御ができなくなるためである。そこで、請求項6では、結合層がCrとCから成り、物理蒸着法で水素を含まない雰囲気中で基板側にCr金属層を形成し、表層に向かってCの比率を段階的に高めるようにした。
本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜の構成図、図2は本発明の実施に用いたマグネトロンスパッタ装置の平面断面略図、図3は本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜ならびに比較例のファレックス試験後の写真、図4は本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜ならびに比較例のファレックス試験結果をそれぞれ示す。
図1に示すように、本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜は、基板 1上に結合層 2を介して形成されたダイヤモンド状炭素膜において、結合層 2の上層に硬度が 500〜2000Hvの実質的に水素を含まない軟質炭素膜3aと、硬度が2000〜4000Hvの実質的に水素を含まない硬質炭素膜3bを交互に4層以上(図1の実施形態では11層)積層した高靭性ダイヤモンド状炭素膜層 3を形成し、最上層である該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層 2の上層に 500〜2000Hvの水素を含む潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層 4を形成したことを特徴とするダイヤモンド状炭素膜としたものである。
かかる構成により、本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜は、基板上に結合層を介して形成されたダイヤモンド状炭素膜において、膜の耐摩耗性を維持しつつ、膜の割れを防止する方策として、結合層の上層に硬度が 500〜2000Hvの実質的に水素を含まない軟質炭素膜と、硬度が2000〜4000Hvの実質的に水素を含まない硬質炭素膜を交互に4層以上積層した高靭性ダイヤモンド状炭素膜層を形成し、このとき、ダイヤモンド状炭素膜は高い硬度を容易に得ることができ、硬軟の変化を行いやすい水素を含まない膜とし、靭性と耐摩耗性の両方を満足す、高い密着性と高い耐摩耗性、ならびに低摩擦特性を持つ高靭性ダイヤモンド状炭素膜を得るに至った。また、膜の割れは、割れ発生の拘束力が作用しないダイヤモンド状炭素膜の表層から進展するので、最上層である該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層の上層に割れの発生しにくいかつ低摩擦係数が期待される特性を持つ水素を含有する 500〜2000Hvの潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層を形成し、低摩擦で割れの発生を防止したダイヤモンド状炭素膜を提供するものとなった。
本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜は、図2に処理部の概略平面図を示すマグネトロンスパッタ装置を用いて形成した。図2に示すように、本装置は2個で一対のターゲットを左右に2組装着しており、左側ターゲット5、5'には黒鉛、右側ターゲット6、6'には金属クロム板を取り付けている。ダイヤモンド状炭素膜を被覆する基板 1は基板テーブル 7上に搭載された基板ステージ 8に装荷される。
本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜ならびに比較例のファレックス試験の結果評価用基板には、JIS SCR 420 製の直径 6.5mmx長さ40mmのファレックス試験用丸棒、および JIS SUJ2 製の直径20mmx厚さ 5mmのピンオンディスク試験用円板を用いた。
ファレックス試験では、まず、図2に示すマグネトロンスパッタ装置を用い、本装置を図示していない真空排気装置を用いてチャンバー 9内を排気した後、排気を継続しながらヒーター10を用いて温度を 180°Cに設定して、基板を含むチャンバー内の脱ガスを4時間行った。しかる後に80sccm(sccm:標準状態のガスの1分間当たりの流量を立方センチメートルで表現した単位)のArガスをガス導入口11を通してチャンバー 9内へ導入し、その雰囲気中で、左側ターゲット5、5'の黒鉛、右側ターゲット6、6'の金属クロム板に、ターゲット材料が多く蒸発しないような低い電圧を印加して放電を維持し、これにより得られるArイオンを基板へ引き込んで基板表面を30分間イオンクリーニングした。このとき、基板にかける最大電圧を 600Vとし、基板に入射するイオンのエネルギが 400Wを越えないように電磁石コイル13の電流量を調節した。以後の工程でも同様に基板へ入射するイオンエネルギが 400Wを越えないように調節しながらダイヤモンド状炭素膜を合成したが、それら個々の説明は省略する。
次いで、Crターゲットへの投入電力を上げ、金属Crを基体表面に蒸着した。引き続いて、左側ターゲット5、5'の黒鉛ターゲットへの投入電力を1時間かけて段階的に上げ、右側ターゲット6、6'のCrターゲットへの投入電力を段階的に下げて膜中のC/Cr比率を高めてた。その後、左側ターゲット5、5'の黒鉛ターゲットのCのみをスパッタ蒸発させ、基板に印加する電圧を−30Vと−100 Vとを15分ずつ交互に変化させた。−30Vの成膜では約1000Hvの水素を含まないダイヤモンド状炭素膜が得られ、−100 Vの成膜では約2500Hvの水素を含まないダイヤモンド状炭素膜が形成されること、ならびにその平均成膜速度が約 0.25 μm/hであることは予めの試験で求めておいた。最表層は左側ターゲット5、5'の黒鉛ターゲットからのC蒸発を維持しつつ、アセチレンを50sccm導入して水素含有ダイヤモンド状炭素を1時間合成した。これにより、基板上に厚さ 0.2μmの結合層、厚さ 0.5μmの高靭性ダイヤモンド状炭素膜層、および厚さ 1μmの潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層から構成される本発明の試料1のダイヤモンド状炭素膜を得た。
同様に、厚さ 0.2μmの結合層、実質的に水素を含まない軟質炭素膜と、実質的に水素を含まない硬質炭素膜を交互に硬軟層を12回繰り返して厚さ 2μmとした高靭性ダイヤモンド状炭素膜層、黒鉛ターゲットからのC蒸発が無視できる状態としてアセチレンのみで 1μmの潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層から構成される本発明の試料2を作製した。なお、比較のため、表層の水素含有潤滑性ダイヤモンド状炭素膜を成膜しない試験片(比較試料1)、ならびに水素を含まないダイヤモンド状炭素膜を硬軟層を多層化せず、硬質ダイヤモンド状炭素膜のみとした試験片(比較試料2)も準備した。また、結合層の効果を調べるため、CrとCの比を傾斜化せず、硬質なCrC膜とした試験片(比較試料3)も作製した。
これらの試験片の内、円板試験片を用いて、軸受鋼SUJ2製の直径 6mmの鋼球を相手材として、乾式でピンオンディスク試験を行い、摩擦係数と耐久性を調査した。試験条件は、加重10N、摺動速度 400mm/sとした。その試験結果を表1に示す。これに見られるように、表層に水素を含有する潤滑性ダイヤモンド状炭素膜を形成した膜は約 0.1の低摩擦係数を持ち、表層が水素を含まない高靭性ダイヤモンド状炭素膜とした膜は摩擦係数が約0.2 となった。また、この試験を10万回転分すなわち、4700mを目標に継続したところ、比較例1、および比較例3は途中で膜が剥離しのに対し、本発明の試料1、2および比較例2は低摩擦のまま10万回転までクリアした。ただし、比較例2の試料は摩擦係数が大きいまま10万回転したため、相手材を大きく削っていた。
圧痕剥離試験でもダイヤモンド状炭素膜の密着性評価を行ったが、同様に本発明のダイヤモンド状炭素膜の密着性が良好であった。それらの結果も合わせて表1に示した。
次いで、トランスミッション用潤滑油中で 680kgf(6.67kN)の荷重をかけながらファレックス試験を行った。ファレックス試験では膜の一部でも剥離が現れた段階で寿命と判定した。耐久試験後の丸棒の写真を図3に示す。また、その結果を図4にグラフで示す。以上に示したように、本発明の膜は2時間の耐久試験に耐えたのに対し、比較試料はいずれも本発明より短時間で膜に剥離が現れた。
このように本発明の構成によるダイヤモンド状炭素膜は従来の構成によるダイヤモンド状炭素膜に較べ、優れた密着性と耐摩耗性ならびに低摩擦特性を持つことが示された。
本実施例1、2では、マグネトロンスパッタ方式の装置を用いてダイヤモンド状炭素膜を形成したが、これは例えばアーク法などの公知の方法を用いても実施できることは自明のことである。
ダイヤモンド状炭素膜およびその結合層の形成を、初期の加熱脱ガス工程はヒーターを使って加熱し、それ以降の工程は蒸発源へ投入する電力を略 400W以下に設定して、 200°C以下の温度で行うことにより、ダイヤモンド状炭素膜形成の上限を 200°Cとし、構造材料の軟化温度はその熱処理時の焼き戻し温度となるが、部品の多くは若干の硬度低下であれば許容範囲に入るので、ダイヤモンド状炭素膜を摺動部品へ適用する際に、多くのケースで基板の軟化や変形を防止できるものとなった。
即ち、ダイヤモンド状炭素膜の発熱を伴う工程としては、加熱脱ガス工程、スパッタクリーニング工程、結合層形成工程、高靭性ダイヤモンド状炭素膜形成工程、および潤滑性ダイヤモンド状炭素膜形成工程がある。初期の加熱脱ガス工程はヒーターを使って加熱するので、温度設定次第で 200°C以下に抑えることができ、それ以降の工程は蒸発源へ投入する電力の影響と、基板に流入するイオンエネルギ量の影響がある。中でもイオンエネルギ量は基板の温度に最も大きな影響を与えたので、基板の充填量にもよるが、略 400W以下に設定することで基板の温度を以下に抑えることができた。
さらに、前記高靭性ダイヤモンド状炭素膜の軟質炭素膜と硬質炭素膜の一層の厚さがそれぞれ0.01〜1 μmの範囲にあり、合計の厚さが 5μm以下であることが望ましい。
即ち、硬軟のダイヤモンド状炭素層を交互に積層して形成した高靭性なダイヤモンド状炭素膜は、膜が 0.5μm以下の場合には硬軟層の繰り返しが1回でも効果を奏するのであるが、全膜厚が厚くなると負荷時の変形が大きくなり、硬質ダイヤモンド状炭素膜の層が厚いと膜が割れやすくなる。また、硬質炭素膜層と軟質炭素膜層の組合せが例えば1000Hvと2000Hvのように比較的軟質な層の組合せで構成される場合には各層の厚さが 1μ程度でも十分に耐えるが、最高硬さが4000Hvの膜を積層する場合には一層の厚さは薄い方が好ましく、一層の厚さが 0.01 μm以下の場合には単独層としての効果が出ないためか、耐摩耗性が乏しくなる。また、ダイヤモンド状炭素膜の厚さは 5μm以下で通常の摺動膜としての特性は十分に発揮し、それ以上では密着性が不安定になるだけである。
より好ましくは、潤滑性のダイヤモンド状炭素膜は水素を含有することで低摩擦係数を持つが、その下層の高靭性ダイヤモンド状炭素膜の硬質膜より柔らかいので、耐摩耗性は下層ほど期待できない。また、摺動の相手材と摩擦係数の大きい高靭性ダイヤモンド状炭素膜との間に潤滑性ダイヤモンド状炭素膜を置いて、低摩擦特性を発揮させるには 0.1μm以上の潤滑性ダイヤモンド膜が好ましく、また、水素を含有する潤滑性ダイヤモンド状炭素膜の厚さは 2μm以下で通常の潤滑膜としての特性は十分に発揮し、それ以上では密着性が不安定になるだけである。
また、基板とダイヤモンド状炭素膜の間にSi、W、Ti、Crなどの炭化物形成元素あるいはその炭化物から成る結合層を置く方法は膜の密着性を改善する手段として従来から用いられている。基板の種類によって適する結合層の材料が異なり、超硬合金のような硬い基板には硬質な炭化物が適する。しかし、摺動部品に多く使われる鉄鋼系の材料の場合には、Crが比較的安定に高い密着性を確保できる。そこで、本発明では水素を含まない雰囲気下で基板の表層にスパッタ法またはアーク法でCr金属膜を形成し、さらに水素を含まない雰囲気下でCrの蒸発を継続しながら同様にスパッタ法またはアーク法で別のターゲットからCを蒸発させ、段階的にCの比率を増して、本結合層の上層の高靭性ダイヤモンド状炭素膜へつなげるようにした。結合層形成時の雰囲気に水素を含ませないのは、その残留ガスから上層の高靭性ダイヤモンド状炭素膜を形成する際に水素が取り込まれ、膜硬さの制御ができなくなるためである。
これまで、水素を含まないダイヤモンド状炭素膜という説明をしてきたが、これはダイヤモンド状炭素膜を形成する雰囲気に水素あるいは炭化水素などの水素原子を含むガスを供給せずに成膜した膜であることを示し、処理装置内のチャンバー壁や基板からのアウトガスや排気ポンプの排気性能により除去しきれない不可避的な水素は対象外である。また、結合層を構成するCrやCはこれらを主成分とする膜を示し、同様な効果を持つ添加金属元素、不純物や微量添加剤として存在する元素を含むことがある。また、ダイヤモンド状炭素膜を構成するCあるいはCとHから構成される膜についても同様に原料に含まれる不純物やアウトガスに由来するNなどの元素を含むことがある。ダイヤモンド状炭素膜に含まれる水素の原子数比率は測定が特殊な方法であり、定量は難しいのであるが、従来の研究から水素原子を含むガスを用いて水素を添加した場合には 5〜50原子%含まれていると言われており、本発明の水素含有ダイヤモンド状炭素膜もその範囲と推定される。
本発明の本発明の実施形態のダイヤモンド状炭素膜の構成図。 本発明の実施に用いたマグネトロンスパッタ装置の平面断面略図。 本発明ならびに比較例のファレックス試験後の写真。 本発明ならびに比較例のファレックス試験結果。
符号の説明
1:基板、2:結合層、3:高靭性ダイヤモンド状炭素層
3a:実質的に水素を含まない軟質炭素膜、3b:実質的に水素を含まない硬質炭素膜
4:最上層の水素を含む潤滑性ダイヤモンド状炭素層
5、5’:黒鉛板装着ターゲット6、6’:クロム板装着ターゲット
7:基板テーブル、8:基板ステージ、9:チャンバー、10、10’:ヒーター
11:ガス導入口、12:排気口、13:電磁石コイル

Claims (6)

  1. 基板上に結合層を介して形成されたダイヤモンド状炭素膜において、結合層の上層に硬度が 500〜2000Hvの実質的に水素を含まない軟質炭素膜と、硬度が2000〜4000Hvの実質的に水素を含まない硬質炭素膜を交互に4層以上積層した高靭性ダイヤモンド状炭素膜層を形成し、最上層である該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層の上層に 500〜2000Hvの水素を含む潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層を形成したことを特徴とするダイヤモンド状炭素膜。
  2. 基板上に結合層を介して形成され、結合層の上層に硬度が 500〜2000Hvの実質的に水素を含まない軟質炭素膜と、硬度が2000〜4000Hvの実質的に水素を含まない硬質炭素膜を交互に4層以上積層した高靭性ダイヤモンド状炭素膜層を形成し、最上層である該高靭性ダイヤモンド状炭素膜層の上層に 500〜2000Hvの水素を含む潤滑性ダイヤモンド状炭素膜層を形成したダイヤモンド状炭素膜において、前記高靭性ダイヤモンド状炭素膜を固体炭素を原料として物理蒸着法で形成し、前記水素を含まない軟質炭素膜と前記水素を含まない硬質炭素膜は前記物理蒸着法で蒸着中に基板に印加する電圧または固体炭素の蒸着速度で変化させて硬軟を変化させて形成し、前記水素を含む潤滑性ダイヤモンド状炭素膜を固体炭素源からの蒸発有りないしは無しの状態で、雰囲気ガスに水素を含有するガスを加えて形成することを特徴とするダイヤモンド状炭素膜の形成方法。
  3. 前記ダイヤモンド状炭素膜およびその結合層の形成を、初期の加熱脱ガス工程はヒーターを使って加熱し、それ以降の工程は基板へ投入するイオンの電力(イオンの電力=基板電力v×イオン電流A)を制御して、基板の温度を 200°C以下に保つことを特徴とする請求項2記載のダイヤモンド状炭素膜の形成方法。
  4. 前記高靭性ダイヤモンド状炭素膜の軟質炭素膜と硬質炭素膜の一層の厚さがそれぞれ0.01〜1 μmの範囲にあり、合計の厚さが 5μm以下であることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド状炭素膜。
  5. 前記潤滑性ダイヤモンド状炭素膜の厚さが 0.1μm以上、 2μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のダイヤモンド状炭素膜。
  6. 前記結合層がCrとCから成り、物理蒸着法で水素を含まない雰囲気中で基板側にCr金属層を形成し、表層に向かってCの比率を段階的に高めたことを特徴とする請求項1、請求項4又は請求項5記載のダイヤモンド状炭素膜。
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