JP5435326B2 - ダイカスト用被覆金型およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼やアルミニウム、マグネシウム、亜鉛、それらの合金に代表される各種の鉄・非鉄金属の鋳造、特にはアルミニウムや、その合金の鋳造に用いて最適なダイカスト金型と、その製造方法に関するものである。
最近の、ダイカスト製品の軽量化、高性能化、用途の多様化等に伴っては、その製品寸法形状に対する金型の精度、そして金型表面に負荷される熱応力条件は、年々厳しくなっており、金型寿命が不安定化する傾向にある。ダイカスト用金型の表面は、溶融金属による過熱と、離型剤の噴霧による冷却を繰り返して受けることで、熱応力による疲労クラックが発生する。また同時に、溶融金属と接することで、金型表面では溶損や焼付きが発生する。
そこで、このような課題を防止又は抑制するためには、従来、様々な表面処理が施されたダイカスト用被覆金型が提案されており、特には、変寸や変形の少ない低温(A1変態点以下)で処理ができる、窒化、溶射、物理蒸着が適用されている。例えば、アルミダイカスト用金型の表面浸食を抑制する手法としては、その金型表面に化学的に安定な酸化物を被覆することが提案されており、具体的には、ジルコニアや、イットリアで安定化させたジルコニアを溶射被覆する手法がある(特許文献1)。また、上記の耐浸食性に加えては、それ自身も耐溶損性に優れた表面処理として、アルミナ−ジルコニアからなるセラミックス溶射層を被覆する手法が提案されている(特許文献2)。
一方では、物理蒸着も、密着強度の高い皮膜の得られる手法として適用される傾向にあり、例えばTiN、CrN、TiAlN、CrAlNに代表される窒化物膜が被覆されている。そして、これに斯かっては、物理蒸着による高温腐食環境に強い硬質層として、工具、とりわけ切削工具の表面に被覆した(Al,Cr)結晶体よりなる酸化膜も提案されている(特許文献3)。
特開平1−118355号公報 特開2002−241920号公報 特開平5−208326号公報
しかしながら近年では、上記金型の使用環境の変化に加えては、被成形材の薄肉化、複雑形状化への対処、また作業環境の改善から、離型剤を極力少なくしたり、果ては離型剤自体をフリーにして金型を使用する要望が高まっている。この場合、離型剤による金型の冷却や、金型への耐カジリ性改善の効果が期待できなくなることから、より耐久性の高い金型が要求されている。
そこで、本発明の目的は、離型剤を用いた使用環境は勿論のこと、離型剤が極めて少ない、又は離型剤フリーの使用環境でも、焼付きやヒートチェックの発生を格段に抑制できる、耐久性に優れたダイカスト用被覆金型と、その製造方法を提供することである。
本発明者らは、ダイカスト用被覆金型の損傷形態と焼付き後の金型断面を注意深く観察した。その結果、熱サイクルによる損傷がある一方では、活性な溶湯が金型表面に接触した際には、溶湯が金型表面の構成物質と反応して化合物を形成、それが成長して、焼付きが発生していることを確認した。特に後者の損傷が金型の耐久性に大きく影響を及ぼしている。
そこで、金型表面での溶湯との反応性を低下させ、同時にはヒートチェックの発生をも抑制するためには有効な、ダイカスト用金型表面への被覆材料を鋭意検討した結果、Crの酸化物であるA層の直上に、AlおよびCrの酸化物であるコランダム構造のB層が被覆されている積層構造である酸化物皮膜を被覆することがダイカスト用金型の耐久性向上に極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1は、工具鋼を基材とするダイカスト用金型の表面に皮膜を被覆したダイカスト用被覆金型であり、該皮膜はCrの酸化物であるA層の直上に、AlおよびCrの酸化物であるコランダム構造のB層が被覆されている積層構造であることを特徴とするダイカスト用被覆金型である。好ましくは、基材と該皮膜との間には、窒化物でなる中間層を被覆し、あるいはさらに、該皮膜の表面は、Raで0.1μm以下である。
ましくは、該皮膜は、B層が(AlCr)の酸化物(但しx、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100を満足する)である。該皮膜については
(1)A層の層厚T、B層の層厚Tが、夫々50nm以下である。
(2)A層およびB層の膜厚比T/Tが、1〜5である。
(3)B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換する。
(4)A層とB層とからなる積層構造が繰り返してなる。
のうちの、いずれか1要件以上を満たすことが、より好ましい。
本発明の第2は、CrターゲットおよびAlCr合金ターゲットを用いた物理蒸着法により、工具鋼を基材とするダイカスト用金型の表面にコランダム構造からなる酸化物皮膜を被覆する方法であって、基材の表面にCrの酸化物であるA層を被覆した後に、AlおよびCrの酸化物であるB層を交互に被覆することを特徴とするダイカスト用被覆金型の製造方法である。好ましくは、基材に酸化物皮膜を被覆する前には、窒化物でなる中間層を被覆する。また、好ましくは、被覆後の酸化物皮膜の表面を、Raで0.1μm以下に機械平滑化加工し、あるいはさらに、被覆前の基材の表面を、Raで0.05μm以下に機械平滑化加工する。
そして、該皮膜については、
(1)B層は、(AlCr)の酸化物(但しx、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100を満足する)とする。
(2)A層の層厚T、B層の層厚Tを、夫々50nm以下とする。
(3)A層およびB層の膜厚比T/Tを、1〜5とする。
(4)B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換する。
のうちの、いずれか1要件以上を満たすことが、より好ましい。
本発明によれば、ダイカスト金型表面の焼付き発生サイクルを飛躍的に向上させることができ、同時に耐ヒートチェックや耐溶損性をも改善することがでる。よって、ダイカスト用金型の耐久性が格段に向上することから、実用化にとって欠くことのできない技術となる。
上述のように、本発明の重要な特徴は、ダイカスト用金型の表面にCrの酸化物であるA層の直上に、AlおよびCrの酸化物であるコランダム構造のB層が被覆されている積層構造である酸化物皮膜を被覆したという、従来のダイカスト金型にはなかった使用形態を採用したところにある。本発明による、Crの酸化物であるA層の直上に、AlおよびCrの酸化物であるコランダム構造のB層が被覆されている積層構造である酸化物皮膜は、溶湯との反応性が極めて低く、耐焼付き性に優れる。よって、仮に溶湯が付着(物理的に)しても、容易に脱落させることができ、メンテナンス性も格段に向上する。なお、本発明で言うコランダム構造とは、コランダム構造と略相似な六方最密晶の結晶構造も含む。
そして、本発明のダイカスト用被覆金型は、工具鋼を基材とする。つまり、JISG0203にも規格されるような、金属等の加工用工具として用いられる鋼であるうちの、そのダイカスト用金型に使用できるものであれば、何ら成分組成等の限定を必要としないものであるが、合金工具鋼、熱間工具鋼が望ましい。特にSKD61や、その相当材が好適である。以上の構成を採用することにより、ダイカスト用金型の耐焼付き(カジリ)性が格段に向上し、耐久性が向上する。
まり、Crに代表されるCrの酸化物は安定でかつ靱性に優れた略相似なコランダム構造を有することから、この直上にAlおよびCrの酸化物を形成すれば、それは高硬度で、しかも溶湯との耐反応性にも優れた(AlCr)のコランダム構造を形成し易くなる。よって、このような構成を採用した本発明の酸化物皮膜は、B層の化学的安定性と、靭性の高いA層との相互作用により、耐焼付き性と耐ヒートチェック性が同時に向上する。
このとき、好ましくは、B層のAlとCrの組成関係が(AlCr)、x、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100、を満足することにより、B層がコランダム構造を形成し易く、化学的安定性が向上し、耐焼付性がさらに向上する。xの値が50未満の場合、Al含有による化学的安定性が得られ難く、耐焼付き性が低下する傾向にある。さらには膜硬度が低くなり、ダイカスト成形時の機械的摩耗や、金型のメンテナンスにおける磨き時の損耗を生じ易く、結果、金型の耐久性が低下する傾向にある。一方、xの値が90を越えると、B層がコランダム構造を形成し難くなる。
また、A層の層厚T、B層の層厚Tを夫々50nm以下とすることによって、あるいはさらに、A層およびB層の膜厚比T/Tを1〜5とすることによっても、B層が安定してコランダム構造となり易く、耐焼付き性が向上する。そして、基材への密着強度が上がり、膜硬度と耐クラック性も同時に向上して、機械的な摩耗抑制にも特に有効であることから、本発明の好ましい形態である。
さらに、B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、B(硼素)から選択される1種以上で置換することが好ましい。Siは、酸化物皮膜の硬さと耐酸化性を同時に向上させる効果を有する。W、Nbは、酸化物皮膜の、特に耐酸化性の向上に寄与する。Y、Bは、B層のコランダム構造化を容易にし、また耐焼付き性も向上させる。これらの添加元素は、B層中のAlおよび/またはCrに対して、原子比率で10%未満、より好ましくは5%未満添加することが、上記の効果を発揮する上で望ましい。10%を越えて多量に含有すると、B層が非晶質化し易く、耐焼付き性と硬度が低下して、本発明の効果が得られない場合もある。
本発明の皮膜を構成するA層とB層は、それらお互いの格子が連続して成長していることが好ましい。そして、その様態は、透過型電子顕微鏡による断面観察で確認することができる。本構成を採用することによって、A層とB層の接合強度が向上し、かつ皮膜がコランダム構造を保ったまま、整合性をもって連続的に成長するため、結晶性に優れ、欠陥の少ない膜が得られる。よって、皮膜の耐焼付き性が向上する。
また、上記のA層とB層の関係については、各層のX線回折において、最大強度を示す面指数を同一とし、かつ、その最大強度を示す面指数が(104)であって、さらにB層の(104)の回折強度をI(104)、同(116)の回折強度をI(116)としたとき、I(104)/I(116)>2とすることによっても、結晶性の良いコランダム構造の酸化物皮膜が得られる。
そして、本発明の皮膜は、上記のA層とB層とからなる積層構造が繰り返してなることが好ましい。つまり、A層とB層の被覆においては、それらを交互に積層していく「交互積層構造」こそが、B層をコランダム構造に維持し易い手法であることから、酸化物皮膜全体としての、安定したコランダム構造の皮膜を得るのに最適である。これによって、皮膜の耐焼付き性が向上し、金型の耐久性が向上する。
本発明の皮膜の表面は、Raで0.1μm以下の粗さとすることが好ましい。これにより、被覆後の膜表面の欠陥が減少して、酸化物皮膜の耐焼付き性が向上し、金型の耐久性がより向上する。なお、Raとは、JISB0601−2001に規格化される算術平均粗さである。
また、本発明の皮膜は、その内部に4GPa以下の残留圧縮応力を有することが好ましい。これにより、ヒートチェックの発生を抑制することができる。残留圧縮応力が4GPaを越えて大きくなると、基材に対する皮膜の耐剥離性が低下する傾向にある。
基材と上記の皮膜との間には、窒化物でなる中間層を被覆することも望ましい。中間層を被覆することにより、コランダム構造からなる酸化物皮膜内の残留応力が緩和され、該酸化物皮膜と基材との密着強度が向上する。なお中間層は、Crを必須成分として、これにAlおよび/またはSiを含有した、これら元素の窒化物が好ましい。これは、基材との密着性の向上と、酸化物皮膜のコランダム構造との特性ギャップの低減効果による機械的特性の向上に有効である。
次に、本発明のダイカスト用被覆金型の製造方法について説明する。
本発明の製造方法の重要な特徴は、その金型本体をなす基材の表面に、Crの酸化物であるA層を被覆した後には、AlおよびCrの酸化物であるB層を交互に被覆することによって、コランダム構造からなる酸化物皮膜をダイカスト用金型に被覆できるところにある。つまり、従来知られていた、コランダム構造を有するα−アルミナ(Al)はもちろんのこと、本発明のAlおよびCrの酸化物であるB層であっても、それ単独ではコランダム構造の皮膜を得ることは非常に困難であった。
ところが、コランダム構造と略相似な結晶構造であるCrの酸化物(Cr)のA層を被覆して、その直上に上記のB層を被覆すれば、コランダム構造からなるB層が容易に得られる。そして、この積層構造膜を交互に被覆することにより、膜全体がコランダム構造を維持したままの状態で、本発明の皮膜を十分な総厚さに成長させることができる。特にこのB層は、耐焼付き効果が高いことから、耐久性に優れたダイカスト用被覆金型が得られる。
そして、本発明は、上記の被覆手段にこそ、低温(基材のA1変態点以下)で平滑な皮膜表面が得られかつ、しかも皮膜内部には圧縮応力を残留させることのできる物理蒸着法を採用することが重要である。工具鋼でなる本発明のダイカスト用金型の製造方法にとっては、その最終工程に位置する表面処理の温度が上記工具鋼のA1変態点を超えるような環境であると、調質硬さが軟化する懸念がある。よって、専ら処理温度の高い化学蒸着(CVD)法の適用は、好ましくない。そして、物理蒸着(PVD)法によって、表面欠陥が少なく、耐ヒートチェック性にも優れた皮膜を成膜できる。
PVD法としては、例えばスパッタリング法やアークイオンプレーティング法、そしてイオン化蒸着法が利用できるが、特にイオン化率が高く、結晶性の良い膜が得られるアークイオンプレーティング法が最適である。そして、A層の金属成分はCrターゲット、B層の金属成分はAlCr合金ターゲットから供給する。
上記の物理蒸着法には、以下の様態および条件が使用できる。例えば物理蒸着装置としては、複数のターゲットを周囲に備えたチャンバの中心を基材が回転しながら被覆処理を行う、周知のバッチ式PVD装置を用いることができる。そして、これにおいて、成膜雰囲気等を調整することで、回転する基材表面がCrターゲット前面を通過する際には、金属成分がCrの酸化物であるA層が被覆され、AlCr合金ターゲット前面を通過する際には、金属成分がAlとCrの酸化物であるB層が被覆される。
そこで、より具体的な成膜条件例としては、チャンバ内に設置した基材の温度を550℃以下、チャンバ内に導入する酸素ガス(G)と窒素ガス(G)を、その流量比率G/Gにて0.02〜0.2、全ガス圧力を3〜15Paに調整して、被覆することが最適である。なお、上記酸化物皮膜の被覆に際しては、酸素に加え、キャリアガスとして窒素を同時に用いるとよい。結果として、この窒素は皮膜内部に残留する場合もあるが、本発明の効果を失うものではない。残留する場合の窒素量は、皮膜をAlCr(O)で表したとき、u+v=100、0<v≦12%(但し数値は原子比率)に規制することが望ましい。
さらにB層は、そのAlとCrの組成関係が(AlCr)、但しx、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100、を満足する酸化物皮膜であることが好ましい。B層の組成は、使用するAlCr合金ターゲットの成分により制御が可能である。
また、A層の層厚T、B層の層厚Tを夫々50nm以下とすること、あるいは、A層およびB層の膜厚比T/Tを1〜5とすることが好ましい。これらの要件は、基材の回転数、あるいはさらに、CrおよびAlCr合金ターゲットに供給する電流値により制御が可能である。
さらに、B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換することが好ましい。これらの選択元素の添加は、例えばAlCr合金ターゲットに予め添加しておく方法がある。
基材に酸化物皮膜を被覆する前には、窒化物からなる中間層を被覆しておくことが好ましい。これにより、酸化物皮膜を成膜する際に導入する酸素ガスによる、基材の酸化を防止することができる。また、酸化物皮膜の残留応力が低減され、ダイカスト用金型の耐久性が向上することは、既述の通りである。
A層とB層を被覆後の、酸化物皮膜の表面は、Raで0.1μm以下とすることが耐焼付き性の向上に有効であることは、既述の通りである。ここで、Raを0.1μm以下とする手法としては、被覆後の皮膜表面を、ラッピング処理といった、機械的に平滑化加工するものが適用できる。
また、成膜前の基材表面を研摩等によって予め平滑化した後に、被覆処理を行ってもよい。好ましくはスパッタリング法による被覆である。成膜前の基材の研摩レベルは鏡面が最適であるが、Raで0.05μm以下とすることにより、成膜後の酸化物皮膜の表面粗さをRaで0.1μm以下に制御し易い。もちろん、成膜後の皮膜にラッピング処理等の機械的平滑化加工を施してもよい。これらの製造方法によって、皮膜の耐焼付き性が高くなり、ダイカスト用金型の耐久性が向上する。
<評価用試料の作成>
まず、実際の使用による耐久性を評価するためのダイカスト用金型として、日立金属株式会社製の熱間工具鋼DAC(同社の登録商標である。JIS−SKD61相当)を基材とした、成形部が80×15mm、高さ10mm、抜け勾配1度、角R2mmの角型入れ子(硬度47HRC)を準備した。また、Al合金との親和性を評価するための試料として、同じ工具鋼を基材とした、φ10mm、全長120mmのピン状試験片(硬度47HRC)を準備した。そして、これらに加えては、上記の角型入れ子等に被覆した皮膜の分析用として、同様の基材試料と、超硬合金からなる基材試料も、別に準備した。
次に、上記の角型入れ子およびピン状試験片等の表面(作業面)を#1000の研摩紙で磨いた後、エアロラップ機により平滑化して、表面粗さをRaで0.05μm以下に整えた。超硬合金については、鏡面研摩した。そして、これらの試料を炭化水素系の溶剤中で超音波洗浄し、脱脂したものにつき、以下の表面処理を施して、本発明例、比較例、従来例となる評価用試料を作製した。
[試料No.1(本発明例)]
成膜手段には、アークイオンプレーティング法を用いた。前出のバッチ式PVD装置において、アーク蒸発源の一方には純Crターゲット、対向する位置にある他方のアーク蒸発源にはAl/Cr=70/30(原子比)のAlCr合金ターゲットを設置した。そして、試料を真空容器(チャンバ)内の、遊星機構を有する冶具テーブル上の、回転機構を有したプレートに設置した。なお、テーブルと、テーブル上のプレートは夫々独立して回転する。
成膜プロセスについて説明する。チャンバ内を1×10−2Paまで真空排気する。その後、加熱ヒータを600℃まで昇温し、試料を60分間加熱、脱ガスする。このとき、試料の温度は約500℃前後であった。次に、チャンバ内の圧力が5×10−3Paの真空度に達した後、Arを導入し、炉内の圧力を2Paとした。その後、チャンバ内のフィラメントに60Aの電力を供給し、−500Vのバイアス電圧で20分間の、Arイオンボンバードを実施して、試料の表面をクリーニングした。
次に、Arの供給を停止し、窒素を導入して、炉内圧力を3Paとした。そして、フィラメントへの電力供給を停止し、バイアス電圧を−100Vに変更して、Crターゲットへ150Aの電力を供給することにより、試料の表面に厚さ約1μmのCrN中間層を被覆した。その後、Crターゲットの電力を100A、AlCrターゲットの電力を100Aとして、上記中間層の上に、更なる中間層として、CrとAlCrの各窒化物膜を総厚さで約0.5μm被覆した。
そして、チャンバ内への窒素と酸素の流量比を窒素:酸素=100:10とし、炉内圧力を9〜10Paに調整して、回転する上記試料の表面にCrの酸化物(A層)とAlCrの酸化物(B層)でなる積層皮膜を成膜した。このとき、テーブルの回転速度は6回転/分とし、最初の真空排気から成膜完了まで一定とした。積層皮膜の厚さは約2μmである。最後に、成膜処理後の表面は、エアロラップによりRaで0.1μm以下の表面粗さに整えて、評価用試料とした。
[試料No.21(比較例)]
成膜手段には、アークイオンプレーティング法を用いた。そして、試料No.1の成膜工程に倣っては、厚さ約1μmのCrN中間層を被覆した後には、Crターゲットの電力供給を中止し、AlCrターゲットの電力を100Aとして、AlCrの窒化物膜(厚さ約0.5μm)のみを被覆したことと、そしてこれに続けては、酸化物皮膜の被覆工程においては、回転する上記試料の表面にAlCrの酸化物(B層)のみでなる皮膜(厚さ約2μm)を成膜した以外は、本発明例に同様の装置仕様および成膜プロセスに従って、評価用試料を作製した。
[試料No.31〜33(従来例)]
成膜手段には、アークイオンプレーティング法を用いた。上記のバッチ式PVD炉においては、アーク蒸発源の一方には中間層被覆用として純Crターゲットを設置した一方では、対向する位置にある他方のアーク蒸発源には以下の各種組成からなるターゲットを設置した。そして、成膜プロセスについては、試料No.1および21に倣っては、厚さ約1μmのCrN中間層の被覆までを行った後には、
(試料No.31) 稼動していたCrターゲットの電力供給を停止して、他方のアーク蒸発源に設置したCrターゲットの電力を100Aとし、上記のCrN中間層の上にCrの窒化物膜を厚さ約2.5μm被覆して、評価用試料とした。
(試料No.32) 稼動していたCrターゲットの電力供給を停止して、他方のアーク蒸発源に設置したAlCr(70/30:原子比)ターゲットの電力を100Aとし、上記のCrN中間層の上にAlCrの窒化物膜を厚さ約2.5μm被覆して、評価用試料とした。
(試料No.33) 稼動していたCrターゲットの電力供給を停止して、他方のアーク蒸発源に設置したTiSi(75/25:原子比)ターゲットの電力を100Aとし、上記のCrN中間層の上にTiSiの窒化物膜を厚さ約2.5μm被覆して、評価用試料とした。
なお、試料No.31〜33においても、テーブルの回転速度は6回転/分とし、最初の真空排気から成膜完了まで一定とした。そして同様に、成膜処理後の表面は、エアロラップによりRaで0.1μm以下の表面粗さに整えた。
[試料No.34(従来例)]
準備した角型入れ子およびピン状試験片に対しては、その表面に、フィルタードアークイオンプレーティング法による公知の成膜方法で水素フリーのDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を厚さ約0.3μm被覆して、評価用試料とした。
[試料No.35(従来例)]
準備した角型入れ子およびピン状試験片に対しては、その表面に、プラズマ窒化法による公知の処理方法で窒化層を厚さ約20μm形成した。
[試料No.36(従来例)]
準備した角型入れ子およびピン状試験片に対しては、それに表面処理をしないままのものを準備し、評価用試料とした。
<評価用試料の評価>
ダイカスト用金型の耐久性を評価するために、以下の鋳造による試験を実施した。鋳造には東芝機械株式会社製のコールドチャンバーマシン鋳造機を使用した。まず、上記で作製した各々の角型入れ子を、鋳造機の固定型の一部に装入し、鋳造作業を行った。使用した溶湯はAA(米国アルミニウム協会)規格の354、溶湯温度は680℃とした。鋳造条件は射出速度2m/s、鋳造圧力43MPa、サイクルタイム38秒とした。なお、射出直後の角型入れ子の溶湯との表面接触温度は500〜600℃程度と予想される。離型剤には日本アチソン株式会社製のDagCP−503を水で80倍に希釈したものを用いて、一回の噴霧量が0.05〜0.06リットルの、噴霧量が極力少なくなる条件とした。そして、上記条件の鋳造作業を繰り返すことで、角型入れ子の焼付きにより鋳造不可になるまでの連続ショット数を評価した。
また、金型に対するアルミニウム合金との親和性を評価するために、以下の簡易付着性評価試験を実施した。作製した各々のピン状試験片を、上記の354溶湯(溶湯温度700℃)に5秒間浸漬した後、その表面のアルミニウム合金の付着状態を目視観察し、その付着状況を評価した。これらの結果は、表1に示す。
そして、これに併せては、試料No.1と21の皮膜については、そのX線回折結果を図1に示す。本発明例の試料No.1の皮膜には、コランダム構造のCr酸化物に対応するピークと、その高角度側には隣接するように、コランダム構造のAlCr酸化物に対応するピークが確認できる。それに対し、比較例である試料No.21の皮膜には、コランダム構造の酸化物のピーク自体が認められない。
更に、試料No.1の皮膜は、Cr酸化物であるA層と、AlCrの酸化物であるB層の最大強度を示す面指数が、同一の(104)であった。そして、B層の(104)の回折強度I(104)と、B層の(116)の回折強度I(116)の比I(104)/I(116)も2を越えるものであった。なお、結晶構造の解析は、X線回折(XRD)装置により、管電圧120kV、管電流40μm、X線源Cukα、X線入射角5度、X線入射スリット0.4mm、2θを30〜70度とした。測定試料は、できるだけ平坦にするために、基材である超硬合金を鏡面研摩したものを用いた。
以上の結果より、コランダム構造の酸化物皮膜を有した試料No.1は、5000ショット後でも焼付きが発生しておらず、更に継続して鋳造が可能であった。また、簡易付着性評価試験においても、アルミニウム合金の付着は確認されなかった。それに対し、コランダム構造ではない酸化物皮膜を有した試料No.21は、100ショット後には焼付きが顕著になり、継続して鋳造を行うことが困難であった。また、試料No.21の表面には、多数のマイクロクラックから成長したと思われるクラックも多数観察され、皮膜の剥離も発生していた。
従来例についても説明する。CrNを被覆した試料No.31は22ショット後に、AlCrNを被覆した試料No.32は100ショットで、そして、TiSiNを被覆した試料No.33は3ショットで焼付きが発生して、いずれも鋳造を継続することが困難となった。DLCを被覆した試料No.34も、200ショットで焼付きが顕著になり、鋳造を継続することが困難となった。窒化処理を施した試料No.35、および、無表面処理の試料No.36は、ともに1ショット目で、被成形物が角型入れ子に張り付いてしまい、鋳造を継続することができなかった。
次に、本発明例の皮膜の断面構造を評価するために、電界放射型透過型電子顕微鏡(以下、FE−TEMと記す。)による解析を行った。加速電圧200kVで観察し、皮膜の組成分析はエネルギー分散型分析(EDS)により電子ビームをφ1nm未満に収束(分析領域は約φ1nm)させ、ナノ領域の組成を分析した。皮膜の結晶構造の解析はφ1250nmの制限視野回折像の撮影をカメラ長50cmで行った。A層の厚さT、B層の厚さT値は、FE−TEMの断面写真から実測した。各層の層厚は少なくとも5層以上の平均値とし、値は10nm以下を四捨五入した。
図2には、試料No.1の皮膜断面のSTEM(走査透過型電子顕微鏡)像を示す。STEM像の濃淡は原子番号に依存しており、原子番号の高い元素、つまり図2においてはCr含有量が多い層ほど、白く見える。すなわち、試料No.1の皮膜は、Crの酸化物(A層)に対応する「白色層」と、AlCrの酸化物(B層)に対応する「黒色層」とが交互に重なった積層構造である。表2には、図2中の層1〜4に対応したEDS分析結果を示す(図2中の各層1〜4の番号表示に対しては、その横に「三角」で指し示す点がEDSの分析領域である)。図2のSTEM像の濃淡に対応し、層1,3がB層、層2、4がA層である。
そして、図2の視野には、厚さの測定できる層が12層確認できることから(A、B各6層)、それら各層の厚みを測定したところ、A層は、下から順に11、20、21、18、13、13nmであり、6層の平均厚さが16nm、よって四捨五入した層厚は20nmであった。一方、B層は、下から順に7、8、8、17、30、6nmであり、6層の平均厚さは13nm、四捨五入した層厚は10nmであった。
図3に試料No.1の酸化物皮膜のφ1250nmの制限視野回折像を、図4には同φ140nmのそれを示す。図3、図4から、その各々はA層、B層を含む広範囲で同一の回折パターンを示し、各層は同一結晶構造をもつことが分かった。さらに、図5、図6には、そのナノビーム(ビーム径1nm)による電子線回折結果を示す。図5は、図2中の層1に対応し(分析領域は、図2中の層1の番号表示横の「三角」が指し示す点)、図6は、層2に対応したものである(分析領域は、図2中の層2の番号表示横の「三角」が指し示す点)。図5、図6からも、やはりA層、B層は同一の結晶構造、そして同一の結晶方位で成長していることが分かった。
図7には、A層とB層との界面近傍の格子像を示す(図7中に示される1、2の番号表示は、図2中のそれらに対応する)。図7から、A層、B層の界面では、そのお互いの格子は連続的に成長しており、A層とB層の間は極めて強固に結合していることが確認できた。
また、試料No.1の酸化物皮膜については、その酸素に対する、含有窒素量の分析も行った。まず、試料断面を斜め5度に鏡面研摩して、それを被分析面とした。そして、波長分散型電子線プローブ微小分析(WDS−EPMA)法により、酸化物皮膜内の加速電圧10kV、試料電流5×10−8A、取り込み時間10秒、分析領域直径1μm、分析深さが略1μmの条件で、被分析面中の5点を測定して、原子比で全体を100としたときの、その含有量の平均値を求めた。その結果、試料No.1での皮膜組成比は、その皮膜全体においては、Al:Cr:酸素:窒素=23.3:12.0:63.7:1.2であった。そして、皮膜中の酸素と窒素においては、酸素:窒素=98:2であった。
AlおよびCrの酸化物である本発明のB層については、その金型耐久性に対するAl含有量の影響を評価した。つまり、B層被覆用のターゲット組成を変更した以外には、その他の装置仕様および成膜プロセスは、すべて試料No.1のときと同じ条件により、評価用試料を作製した。そして、B層の結晶構造等を同定するとともに、実施例1では、実金型による耐久性評価の結果と整合性を得た、ピン状試験片による簡易付着性評価試験により、皮膜の耐久性を評価した。結果を表3に示す。
試料No.22は、AlOの形態を有するB層の結晶構造が非晶質であり、溶湯との親和性が強い。よって、簡易付着性評価試験の結果においても、全面にAlが付着し、ダイカスト用金型の被覆処理としては適さない。一方、B層のAl含有量が適正に制御された試料No.2〜4の皮膜は、前出の試料No.1と同様に、Al溶湯の付着がなく、溶湯に対する親和性が低いことから、ダイカスト用被覆金型の耐久性を向上させることができる。
金型の耐久性に対するA層およびB層の層厚T、Tの影響を評価した。つまり、成膜中の基材を搭載するテーブルの回転数を変更した以外には、その他の装置仕様および成膜プロセスは、すべて試料No.1のときと同じ条件により、評価用試料を作製した。そして、皮膜の結晶構造等を同定するとともに、ピン状試験片による簡易付着性評価試験により、皮膜の耐久性を評価した。結果を表4に示す。
各々の層が厚い傾向にある試料No.23は、B層の結晶構造がコランダム構造とならなかった(γ構造であった)。そして、簡易付着性評価試験においては、全面にAlが付着し、溶湯との親和性が強く、ダイカスト用の被覆処理としては適さない。一方、各々の層厚を適正に制御した試料No.5および6では、前出の試料No.1と同様、何れもB層がコランダム構造を呈していた。そして、Al溶湯の付着がなく、溶湯に対する親和性が低いことから、ダイカスト用被覆金型の耐久性を向上させることができる。
金型の耐久性に対するB層への添加元素の影響を評価した。つまり、B層被覆用のターゲット組成を変更した以外には、その他の装置仕様および成膜プロセスは、すべて試料No.1のときと同じ条件により、評価用試料を作製した。そして、B層の結晶構造等を同定するとともに、ピン状試験片による簡易付着性評価試験により、皮膜の耐久性を評価した。結果を表5に示す。
試料No.7〜11においては、前出の試料No.1と同様、何れの添加元素を含んだB層もコランダム構造を呈していた。そして、簡易付着性評価試験でも、Al溶湯の付着がなく、溶湯に対する親和性が低いことから、ダイカスト用被覆金型の耐久性を向上させることができる。
本発明は、特にアルミニウム合金のダイカスト用途分野に最適であるが、その他、熱間鍛造用金型、鋳抜きピン等の用途分野においても同様に効果を発揮する。
本発明例および比較例に被覆された酸化物皮膜の、X線回折結果の一例を示す図である。 本発明例に被覆された酸化物皮膜の、断面STEM像の一例を示す写真である。 本発明例に被覆された酸化物皮膜の、直径1250nmの制限視野回折像の一例を示す図である。 本発明例に被覆された酸化物皮膜の、直径140nmの制限視野回折像の一例を示す図である。 図2中の層1に対応する、直径1nmの電子線回折像の一例を示す図である。 図2中の層2に対応する、直径1nmの電子線回折像の一例を示す図である。 本発明例に被覆された酸化物皮膜の、A層、B層の界面の高倍率TEM像の一例を示す写真である。

Claims (16)

  1. 工具鋼を基材とするダイカスト用金型の表面に皮膜を被覆したダイカスト用被覆金型であり、該皮膜がCrの酸化物であるA層の直上に、AlおよびCrの酸化物であるコランダム構造のB層が被覆されている積層構造であることを特徴とするダイカスト用被覆金型。
  2. 該皮膜は、B層が(AlCr)の酸化物(但し、x、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100を満足する)であることを特徴とする請求項に記載のダイカスト用被覆金型。
  3. A層の層厚T、B層の層厚Tが、夫々50nm以下であることを特徴とする請求項またはに記載のダイカスト用被覆金型。
  4. A層およびB層の膜厚比T/Tが、1〜5であることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
  5. B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換したことを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
  6. 該皮膜は、上記A層とB層とからなる積層構造が繰り返してなることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
  7. 基材と該皮膜との間には、窒化物でなる中間層を被覆したことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
  8. 該皮膜の表面は、Raで0.1μm以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
  9. CrターゲットおよびAlCr合金ターゲットを用いた物理蒸着法により、工具鋼を基材とするダイカスト用金型の表面にコランダム構造からなる酸化物皮膜を被覆する方法であって、基材の表面にCrの酸化物であるA層を被覆した後に、AlおよびCrの酸化物であるB層を交互に被覆することを特徴とするダイカスト用被覆金型の製造方法。
  10. B層は、(AlCr)の酸化物(但しx、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100を満足する)とすることを特徴とする請求項に記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
  11. A層の層厚T、B層の層厚Tを、夫々50nm以下とすることを特徴とする請求項または10に記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
  12. A層およびB層の膜厚比T/Tを、1〜5とすることを特徴とする請求項ないし11のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
  13. B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換することを特徴とする請求項ないし12のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
  14. 基体に酸化物皮膜を被覆する前には、窒化物でなる中間層を被覆することを特徴とする請求項ないし13のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
  15. 被覆後の酸化物皮膜の表面を、Raで0.1μm以下に機械平滑化加工することを特徴とする請求項ないし14のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
  16. 被覆前の基材の表面を、Raで0.05μm以下に機械平滑化加工することを特徴とする請求項ないし15のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
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