JP5435326B2 - ダイカスト用被覆金型およびその製造方法 - Google Patents
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(1)A層の層厚TA、B層の層厚TBが、夫々50nm以下である。
(2)A層およびB層の膜厚比TA/TBが、1〜5である。
(3)B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換する。
(4)A層とB層とからなる積層構造が繰り返してなる。
のうちの、いずれか1要件以上を満たすことが、より好ましい。
(1)B層は、(AlxCry)の酸化物(但しx、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100を満足する)とする。
(2)A層の層厚TA、B層の層厚TBを、夫々50nm以下とする。
(3)A層およびB層の膜厚比TA/TBを、1〜5とする。
(4)B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換する。
のうちの、いずれか1要件以上を満たすことが、より好ましい。
まず、実際の使用による耐久性を評価するためのダイカスト用金型として、日立金属株式会社製の熱間工具鋼DAC(同社の登録商標である。JIS−SKD61相当)を基材とした、成形部が80×15mm、高さ10mm、抜け勾配1度、角R2mmの角型入れ子(硬度47HRC)を準備した。また、Al合金との親和性を評価するための試料として、同じ工具鋼を基材とした、φ10mm、全長120mmのピン状試験片(硬度47HRC)を準備した。そして、これらに加えては、上記の角型入れ子等に被覆した皮膜の分析用として、同様の基材試料と、超硬合金からなる基材試料も、別に準備した。
成膜手段には、アークイオンプレーティング法を用いた。前出のバッチ式PVD装置において、アーク蒸発源の一方には純Crターゲット、対向する位置にある他方のアーク蒸発源にはAl/Cr=70/30(原子比)のAlCr合金ターゲットを設置した。そして、試料を真空容器(チャンバ)内の、遊星機構を有する冶具テーブル上の、回転機構を有したプレートに設置した。なお、テーブルと、テーブル上のプレートは夫々独立して回転する。
成膜手段には、アークイオンプレーティング法を用いた。そして、試料No.1の成膜工程に倣っては、厚さ約1μmのCrN中間層を被覆した後には、Crターゲットの電力供給を中止し、AlCrターゲットの電力を100Aとして、AlCrの窒化物膜(厚さ約0.5μm)のみを被覆したことと、そしてこれに続けては、酸化物皮膜の被覆工程においては、回転する上記試料の表面にAlCrの酸化物(B層)のみでなる皮膜(厚さ約2μm)を成膜した以外は、本発明例に同様の装置仕様および成膜プロセスに従って、評価用試料を作製した。
成膜手段には、アークイオンプレーティング法を用いた。上記のバッチ式PVD炉においては、アーク蒸発源の一方には中間層被覆用として純Crターゲットを設置した一方では、対向する位置にある他方のアーク蒸発源には以下の各種組成からなるターゲットを設置した。そして、成膜プロセスについては、試料No.1および21に倣っては、厚さ約1μmのCrN中間層の被覆までを行った後には、
準備した角型入れ子およびピン状試験片に対しては、その表面に、フィルタードアークイオンプレーティング法による公知の成膜方法で水素フリーのDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を厚さ約0.3μm被覆して、評価用試料とした。
準備した角型入れ子およびピン状試験片に対しては、その表面に、プラズマ窒化法による公知の処理方法で窒化層を厚さ約20μm形成した。
準備した角型入れ子およびピン状試験片に対しては、それに表面処理をしないままのものを準備し、評価用試料とした。
ダイカスト用金型の耐久性を評価するために、以下の鋳造による試験を実施した。鋳造には東芝機械株式会社製のコールドチャンバーマシン鋳造機を使用した。まず、上記で作製した各々の角型入れ子を、鋳造機の固定型の一部に装入し、鋳造作業を行った。使用した溶湯はAA(米国アルミニウム協会)規格の354、溶湯温度は680℃とした。鋳造条件は射出速度2m/s、鋳造圧力43MPa、サイクルタイム38秒とした。なお、射出直後の角型入れ子の溶湯との表面接触温度は500〜600℃程度と予想される。離型剤には日本アチソン株式会社製のDagCP−503を水で80倍に希釈したものを用いて、一回の噴霧量が0.05〜0.06リットルの、噴霧量が極力少なくなる条件とした。そして、上記条件の鋳造作業を繰り返すことで、角型入れ子の焼付きにより鋳造不可になるまでの連続ショット数を評価した。
Claims (16)
- 工具鋼を基材とするダイカスト用金型の表面に皮膜を被覆したダイカスト用被覆金型であり、該皮膜がCrの酸化物であるA層の直上に、AlおよびCrの酸化物であるコランダム構造のB層が被覆されている積層構造であることを特徴とするダイカスト用被覆金型。
- 該皮膜は、B層が(AlxCry)の酸化物(但し、x、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100を満足する)であることを特徴とする請求項1に記載のダイカスト用被覆金型。
- A層の層厚TA、B層の層厚TBが、夫々50nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のダイカスト用被覆金型。
- A層およびB層の膜厚比TA/TBが、1〜5であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
- B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
- 該皮膜は、上記A層とB層とからなる積層構造が繰り返してなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
- 基材と該皮膜との間には、窒化物でなる中間層を被覆したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
- 該皮膜の表面は、Raで0.1μm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型。
- CrターゲットおよびAlCr合金ターゲットを用いた物理蒸着法により、工具鋼を基材とするダイカスト用金型の表面にコランダム構造からなる酸化物皮膜を被覆する方法であって、基材の表面にCrの酸化物であるA層を被覆した後に、AlおよびCrの酸化物であるB層を交互に被覆することを特徴とするダイカスト用被覆金型の製造方法。
- B層は、(AlxCry)の酸化物(但しx、yは原子比で50≦x≦90、x+y=100を満足する)とすることを特徴とする請求項9に記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
- A層の層厚TA、B層の層厚TBを、夫々50nm以下とすることを特徴とする請求項9または10に記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
- A層およびB層の膜厚比TA/TBを、1〜5とすることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
- B層のAlおよび/またはCrの一部を、Si、W、Nb、Y、Bから選択される1種以上で置換することを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
- 基体に酸化物皮膜を被覆する前には、窒化物でなる中間層を被覆することを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
- 被覆後の酸化物皮膜の表面を、Raで0.1μm以下に機械平滑化加工することを特徴とする請求項9ないし14のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
- 被覆前の基材の表面を、Raで0.05μm以下に機械平滑化加工することを特徴とする請求項9ないし15のいずれかに記載のダイカスト用被覆金型の製造方法。
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