JP2015193606A - 防カビシート - Google Patents

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Abstract

【課題】防カビ性に優れる防カビシートを提供する。
【解決手段】防カビ層を、防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分の組み合わせで形成して防カビシートを調製する。前記防カビ層は、空隙率1〜40%で形成された複数の孔部を有するとともに、前記孔部の平均孔径が0.1〜10μmであり、かつ最大孔径が20μm以下であってもよい。前記油脂成分は流動パラフィンであってもよい。前記抗菌剤は銀を含んでいてもよい。前記バインダー樹脂と油脂成分との質量割合は、バインダー樹脂/油脂成分=80/20〜40/60程度であってもよい。この防カビシートは、農業用植物がカビ由来の病害(特にイチゴ炭疽病)に感染するのを抑制するためのシートであってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、農業、食品、建築などの各種分野において、通気性を要求される環境で利用される防カビシートに関する。
農作物、食品、建造物などの各種分野において、カビ(糸状菌)の繁殖を抑制するために防カビ剤が使用されている。例えば、農作物の中で、イチゴに関しては、カビ(グロメレラ属、コレトトリカム属糸状菌など)の感染によるイチゴ炭疽病の被害が大きいが、イチゴ炭疽病では、土壌中や苗の葉に付着している胞子が水分などの飛沫により拡散して被害が拡大する。一般的にイチゴ炭疽病が発症した場合、その周辺80cm以内の苗を廃棄する措置が取られることが多く、タイミングを誤ると畝単位で作物が全滅する場合もある。このようなイチゴ炭疽病に対して、土中に防カビ剤を含む水溶液を散布する方法などが行われているが、防カビ効率が低い上に、土壌の汚染にもつながる。
一方、防カビ剤の適用方法として、不織布に防カビ剤を担持させて利用する方法も提案されている。
特開2003−166155号公報(特許文献1)には、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維及びポリオレフィン系繊維から選ばれた少なくとも1種類の合成繊維を含む繊維で構成された不織布であって、この不織布に防カビ剤を1〜10重量%の割合で付着させた不織布が開示されている。この文献には、防カビ剤の付着方法として、高分子バインダーを用いた付与が好ましいと記載されている。また、高分子バインダーとして、アクリル系、ポリウレタン系、シリコーン系、フッ素系、メラミン系、グリオキザ−ル系バインダーが例示され、実施例では、アクリル樹脂が使用されている。さらに、前記不織布は、環境負荷が少なく、人体に対して安全性が高い上に、安価で汎用性、耐久性に優れた機能性製品であることが記載されている。
特開2003−277202号公報(特許文献2)には、可撓性を有する基材の表面に、ガラス転移温度が−30〜−50℃の有機物のエマルジョンと抗菌・抗カビ剤を含む混合物の乾燥物が被覆されている抗菌防カビシートが開示されている。この文献には、可撓性を有する基材として、紙、合成樹脂シート、織布、不織布、ガラス繊維シート、金属繊維・ガラス繊維混合シート、難燃裏打紙が例示され、実施例では、壁紙原紙が使用されている。また、有機物のエマルジョンとして、アクリルエマルジョン、アクリルスチレンエマルジョン、アクリルシリコーンエマルジョン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、シリコーンエマルジョンなどが例示され、実施例では、アクリルエマルジョンが使用されている。
しかし、これらの防カビシートは、バインダー成分を用いて不織布に防カビ剤を担持させるため、防カビ剤がバインダー成分中に埋入し、防カビ能が低下する。そのため、防カビ能の強い防カビ剤を使用する必要があり、使用できる防カビ剤の種類も限定される。また、これらの防カビシートを農作物の防カビに利用した場合、通気性が低く、農作物の発育などを阻害する。
特開2003−166155号公報(請求項1、段落[0014][0030]、実施例) 特開2003−277202号公報(請求項1、段落[0009][0016]、実施例)
従って、本発明の目的は、防カビ性に優れる防カビシートを提供することにある。
本発明の他の目的は、通気性及び防カビ性に優れる防カビシートを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、バインダー成分を用いて通気性基材などの基材に防カビ剤を担持しても、防カビ性を向上できる防カビシートを提供することにある。
本発明の別の目的は、透湿防水性及び抗菌性も備えた防カビシートを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、防カビ層を防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分の組み合わせで形成することにより、防カビシートの防カビ性を向上でき、特に、通気性シートを前記防カビ層で被覆することにより、防カビシートの通気性及び防カビ性を向上できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の防カビシートは、防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分を含む防カビ層を含む。前記防カビ層は、空隙率1〜40%で形成された複数の孔部を有するとともに、前記孔部の平均孔径が0.1〜10μmであり、かつ最大孔径が20μm以下であってもよい。前記油脂成分は流動パラフィンであってもよい。前記バインダー樹脂は、水溶性樹脂又は水性エマルジョン由来の非水溶性樹脂(特に(メタ)アクリル系樹脂)であってもよい。前記防カビ剤は銀を含んでいてもよい。前記バインダー樹脂と前記油脂成分との質量割合は、百分率で、バインダー樹脂/油脂成分=80/20〜40/60程度であってもよい。前記防カビ層は、防カビ剤、バインダー樹脂、油脂成分及び水性溶媒を含む液状組成物をコーティングした後、乾燥させて得られる防カビ層であってもよい。前記液状組成物は、アルキレンオキサイド鎖を有する界面活性剤をさらに含んでいてもよい。前記防カビ層の孔部は貫通孔であってもよい。
本発明の防カビシートは、さらに基材シートを含み、防カビ層が前記基材シートを被覆していてもよい。前記基材シートは通気性シートであってもよい。特に、前記通気性シートは透湿防水シートであってもよい。この防カビシートにおいて、前記防カビ層は通気性シートの少なくとも一方の略全面を被覆していてもよい。
前記防カビ層の平均厚みは6μm以下であってもよい。本発明の防カビシートは、農業用植物がカビ由来の病害(特にイチゴ炭疽病)に感染するのを抑制するためのシートであってもよい。また、本発明には、前記防カビシートを用いてイチゴ炭疽病を抑制する方法も含まれる。
なお、本願明細書において「孔部」とは、防カビ層を貫通する貫通孔、防カビ層を貫通せず、防カビ層の表面で凹部を形成する非貫通孔(穴)の双方を含む意味で用いる。さらに、「孔径」とは、貫通孔及び非貫通孔の防カビ層表面における孔の大きさ(孔径)を意味する。
本発明では、防カビ層が、防カビ剤、親水性樹脂及び低分子疎水性樹脂の組み合わせで形成されているため、防カビシートの防カビ性を向上できる。特に、通気性シートを前記防カビ層で被覆することにより、防カビシートの通気性及び防カビ性を向上できる。また、防カビ層が、複数の孔部を有するため、防カビ剤が防カビ層の表面で露出し易く、バインダー成分を用いて通気性基材などの基材に防カビ剤を担持しても、防カビシートの防カビ性を向上できる。そのため、銀を含む防カビ剤など、それ程防カビ性が強くない防カビ剤であっても、有効に防カビ性を発現できる。さらに、前記通気性シートとして透湿防水シートを用いるとともに、銀を含む防カビ剤を用いると、透湿防水性及び抗菌性も付与できる。
本発明の防カビシートは、各種のカビを防除するためのシートであり、防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分を含む防カビ層を含む。本発明の防カビシートは、防カビ層を含んでいればよく、防カビ層単独で形成された防カビシートであってもよく、例えば、各種の二次元又は三次元成形体の表面を被覆する形態の防カビシートなどであってもよいが、生産性や形態安定性などの点から、通常、さらに基材シートを含み、基材シートと、この基材シートを被覆する防カビ層とを含む防カビシートである場合が多い。
[基材シート]
基材シートは、特に限定されず、各種の有機材料(熱可塑性樹脂、ゴム、熱硬化性樹脂など)や無機材料(金属、ガラス、セラミックなど)で形成されたシートを基材シートとして利用できる。これらのうち、柔軟性や透明性、取り扱い性などに優れる点から、有機材料(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、脂肪族ポリアミドなどのポリアミド、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂)で形成されたシートが好ましい。基材シートは、目的に応じて選択でき、非通気性シートであってもよいが、農業などの用途で利用する場合は、通気性シートであってもよい。
通気性シートは、通気性を有していればよく、多孔質プラスチックシートや布帛などが含まれる。
多孔質プラスチックシートとしては、多孔質ポリオレフィンシート、多孔質スチレン系樹脂シート、多孔質ポリエステルシート、多孔質ポリアミドシートなどが挙げられる。
多孔質プラスチックシートの平均孔径は0.01〜100μm(例えば、0.05〜50μm)程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜15μm、好ましくは0.3〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度である。
布帛としては、例えば、織布、編布、ネット、紙、不織布などが挙げられる。これらのうち、生産性や防カビ層との密着性、耐久性などの点から不織布が好ましい。
不織布は、少なくとも繊維を含む。繊維としては、例えば、天然繊維(綿、麻など)、再生繊維(レーヨンなど)、半合成繊維(セルロースエステル繊維など)、合成繊維[ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、スチレン系繊維、テトラフルオロエチレン系繊維、アクリル系繊維、ビニルアルコール系繊維(エチレンビニルアルコール系繊維など)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンアリレート系繊維、液晶ポリエステル繊維などの全芳香族ポリエステル系繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系繊維、アラミド繊維などの全芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリウレタン系繊維など]、無機繊維(炭素繊維やガラス繊維など)などが例示できる。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの繊維のうち、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリアミド6繊維などのポリアミド繊維などが汎用される。
繊維の平均繊度は、例えば、0.1〜5デニール、好ましくは0.2〜4デニール、さらに好ましくは0.5〜3デニール程度であってもよい。また、平均繊維長は、例えば、10〜150mm、好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは30〜60mm程度であってもよく、スパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸法などの直接紡糸法では、無限長であってもよい。
不織布の目付は、例えば、10〜500g/m、好ましくは20〜300g/m、さらに好ましくは50〜150g/m程度である。
不織布は、慣用の方法、例えば、前記繊維を含むウェブの形成工程と、ウェブの接着工程とを経て調製でき、具体的には、スパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンレース、ニードルパンチ、ステッチボンド法などにより調製できる。
通気性シートは、多孔質プラスチックシート、布帛のいずれかの単層構造であってもよく、積層構造(例えば、多孔質プラスチックシートと不織布との積層体など)であってもよい。
これらの通気性シートは、用途に応じて選択でき、例えば、通気性や柔軟性などが要求される用途では、不織布などの布帛が好ましく、透湿防水性が要求される用途では、透湿防水シートが好ましい。これらのシートのうち、水分などの飛沫によりカビが拡散するのを抑制できる点から、水を透過せずに水蒸気を透過する特性を有する透湿防水シートが好ましい。
透湿防水シートには、疎水性の微多孔質プラスチックシートや疎水性不織布などが含まれる。
疎水性の微多孔質プラスチックシートとしては、例えば、微多孔質ポリオレフィンシート(微多孔質ポリエチレン系シート、微多孔質ポリプロピレン系シートなど)、微多孔質スチレン系樹脂シートなどが挙げられる。これらのうち、微多孔質ポリエチレンシートなどが汎用される。微多孔質プラスチックシートの平均孔径は、例えば、0.1〜3μm、好ましくは0.3〜2.5μm、さらに好ましくは0.5〜2μm(特に0.6〜1.5μm)程度である。微多孔質プラスチックシートは、強度を向上させるために、不織布(ポリエステル不織布などの前記不織布又は後述する疎水性不織布)と積層してもよい。不織布の平均厚みは、微多孔質プラスチックシートの平均厚みに対して0.1〜100倍、好ましくは0.2〜50倍、さらに好ましくは0.5〜20倍程度である。微多孔質プラスチックシートと不織布とは接着剤などを用いた慣用の方法で接着されていてもよい。
疎水性不織布としては、例えば、ポリエチレン系不織布やポリプロピレン系不織布などのポリオレフィン不織布などが挙げられる。これらのうち、フラッシュ紡糸で得られたポリエチレン系不織布(特に高密度ポリエチレン不織布)であってもよい。
透湿防水シートの防水性は、JIS L1092の耐水度試験に準拠した方法において、0.1kPa以上であってもよく、例えば、0.1〜100kPa、好ましくは2〜50kPa、さらに好ましくは5〜30kPa程度である。
基材シートのうち、有機材料で形成された基材シート(特に通気性シート)は、慣用の添加剤、例えば、安定剤(耐光安定剤、耐熱安定剤など)、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、防虫剤(防蟻剤など)、防腐剤(抗菌剤など)などを含んでいてもよい。
基材シート(特に通気性シート)の平均厚みは、特に制限されず、例えば、0.05〜10mm、好ましくは0.1〜4mm、さらに好ましくは0.2〜2mm程度であってもよい。
[防カビ層]
防カビ層は、防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分を含む。
(防カビ剤)
防カビ剤は、目的のカビ種に応じて、慣用の防カビ剤を利用できる。防カビ剤には、有機系防カビ剤、無機系防カビ剤が含まれる。
有機系防カビ剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩化合物(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライドなど)、ピリジン化合物(メチルスルホニルテトラクロロピリジン、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライドなど)、イソチアゾロン化合物(メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン、ベンズイトチアゾリノンなど)、トリアゾール化合物(テブコナゾール、プロピコナゾール、アザコナゾール、シプロコナゾールなど)、ベンズイミダゾール化合物(カルベンダジム、チアベンダゾールなど)、フタルイミド化合物(カプタフォル、カプタン、フォルペット、フルオロフォルペットなど)、ハロアルキルチオ化合物(トリフルアニド、ジクロフルアニドなど)、フェノール化合物(オルトフェニルフェノール、ビフェニルなど)、ニトリル化合物(テトラクロロイソフタロニトリルなど)、ハロゲン含有化合物(ブロノポール、クロロタロニル、ジヨードメチルパラトリルスルホン、イマザリルなど)、天然物の抽出物(シソの葉エキス、ヨモギエキス、甘草エキス、アロエエキス、ドクダミ抽出物、ヒバオイル、ヒノキチオール、カテキンなどの植物抽出物、キチン、キトサン、プロタミン、プロポリスなど)などが挙げられる。
無機系防カビ剤としては、例えば、金属成分を含む防カビ剤、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、シリカ、抗菌性ガラスなどが挙げられる。
これらの防カビ剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの防カビ剤のうち、取り扱い性や耐久性などの点から、金属成分を含む防カビ剤が好ましい。
金属成分としては、例えば、チタン、ジルコニウム、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、白金、銅、銀、亜鉛、カドミウム、水銀などが挙げられる。これらの金属成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属成分のうち、防カビ性などの点から、銀、銅、亜鉛などが汎用され、人体に対する毒性が低く、幅広い菌種に対して防カビ性を示す上に、抗菌性も備える点から、銀が好ましい。
金属成分の存在形態は、特に限定されず、金属単体であってもよく、金属化合物の形態であってもよい。金属化合物としては、例えば、酸化物、塩化物、ハロゲン化物(臭化物、フッ化物など)、無機酸塩(硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩など)、有機酸塩(ギ酸塩や酢酸塩などのカルボン酸塩、乳酸塩やリンゴ酸塩などのオキシカルボン酸塩など)などが挙げられる。
金属成分は、多孔質担体などの担体に担持されていてもよい。担体としては、例えば、ゼオライト、シリカ、ガラス、ヒドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウムなど)、リン酸塩(リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウムなど)などが挙げられる。これらの担体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、取り扱い性や防カビ剤の担持性に優れる点から、ゼオライトやシリカゲルなどの多孔質粒子が好ましく、防カビ性などにも優れる点から、ゼオライトが特に好ましい。
金属成分を含む防カビ剤において、金属単体の割合は、特に限定されず、防カビ剤全体に対して0.01質量%以上(例えば、0.01〜100質量%)程度であり、例えば、0.05〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%(特に0.3〜5質量%)程度である。
防カビ剤の割合は、バインダー樹脂100質量部(固形分)に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは2〜20質量部、さらに好ましくは2.5〜15質量部(特に3〜10質量部)程度である。防カビ剤の割合が少なすぎると、防カビ性が低下する虞があり、多すぎると、防カビ剤が脱離し易くなる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、慣用のバインダー樹脂を利用できるが、製造過程において、油脂成分と相分離構造を形成できる点から、水溶性樹脂、水性エマルジョン由来の非水溶性樹脂が好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、水溶性(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ビニルピロリドン系樹脂、ポリアルキレングリコール、水溶性ウレタン樹脂(水溶性アクリルウレタン樹脂など)、水溶性スチレン系樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル、セルロース誘導体(セルロースエステルなど)、天然高分子、ポリエチレンスルホン酸又はその塩、ポリスチレンスルホン酸又はその塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、ポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。これらの水溶性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、水溶性樹脂も、水性エマルジョン又は水溶液形態の水溶性樹脂(水性エマルジョン又は水溶液の形態で市販されている水溶性樹脂)であってもよい。
これらの水溶性樹脂のうち、水溶性(メタ)アクリル系樹脂、水溶性ポリエステル、水溶性ウレタン樹脂などが好ましい。水溶性ポリエステルは、例えば、分子内にスルホン酸塩基やカルボン酸塩基などを導入したポリエステルであってもよい。水溶性(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸又はその塩で構成された単位を含む(メタ)アクリル系樹脂であってもよい。水溶性ウレタン樹脂は、分子内にカルボン酸塩基や3級アミノ基などの親水性基を導入したウレタン樹脂であってもよい。
水性エマルジョンに含まれる非水溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、スチレン系樹脂、ポリエステル(脂肪族ポリエステル、非晶性ポリエステルなど)、脂肪族ポリアミド、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの非水溶性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非水溶性樹脂のうち、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が好ましい。(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルで構成された単位を含む(メタ)アクリル系樹脂であってもよい。スチレン系樹脂は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのスチレン系エラストマーであってもよい。
水性エマルジョンは、非水溶性樹脂に加えて界面活性剤及び水性溶媒を含む。界面活性剤としては、慣用の界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の割合は、非水溶性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部程度である。
水性エマルジョンは、界面活性剤に加えて、慣用の添加剤、例えば、増粘剤、造膜助剤、湿潤剤、架橋剤、可塑剤、表面調整剤、消泡剤、粘度調整剤などを含んでいてもよい。
水性溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類などが挙げられる。これらの水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、水を含む溶媒、例えば、水単独の溶媒、水と低級アルコール(イソプロパノールなど)との混合溶媒などが汎用される。
非水溶性樹脂の割合は、水性エマルジョン全体に対して、例えば、1〜80質量%、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%程度である。
非水溶性樹脂の水性エマルジョンとしては、市販のSBRエマルジョン、市販のアクリルエマルジョンなどを使用できる。
これらのバインダー樹脂のうち、防カビ剤の担持性に優れる点から、水溶性又は非水溶性(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
水溶性又は非水溶性(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系単量体の単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロへキシルなどの(メタ)アクリル酸C3−12シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリル系単量体は共重合性単量体と組み合わせて使用してもよい。共重合性単量体としては、スチレンなどの芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル系単量体;無水マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸又はその誘導体;エチレンなどのオレフィン系単量体などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は、防カビ剤の担持性の点から、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びグリシジル基から選択された少なくとも一種の官能基を有する樹脂(例えば、水溶性(メタ)アクリル系樹脂)が好ましい。
水溶性樹脂及び非水溶性樹脂のガラス転移温度は、それぞれ、例えば、−30℃〜50℃、好ましくは−20℃〜40℃、さらに好ましくは−10℃〜30℃程度である。
水溶性樹脂及び非水溶性樹脂の重量平均分子量は、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、1000〜10万、好ましくは3000〜5万、さらに好ましくは5000〜5万程度である。
(油脂成分)
油脂成分は、製造過程において、前記バインダー樹脂と相分離構造を形成可能な成分であり、疎水性又は撥水性の脂肪族骨格を有していればよい。油脂成分には、高級脂肪酸又はその誘導体、天然油脂、鉱物油、ワックスなどが含まれる。
高級脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などの直鎖又は分岐鎖飽和C8−24脂肪酸;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、ガトレン酸、アラキドン酸、エルカ酸などの直鎖又は分岐鎖不飽和C8−24脂肪酸などが挙げられる。誘導体としては、これらの高級脂肪酸に対応する脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸の脂肪族骨格を有する脂肪族アルコールなどが挙げられる。
天然油脂としては、例えば、植物油(綿実油、あまに油、ひまし油、やし油、パーム油など)、動物油(牛脂、豚脂、馬脂、鶏脂など)、魚油(ニシン油、カレイ油、タラ油など)などが挙げられる。
鉱物油としては、例えば、パラフィン(ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンなど)、ナフテン性油、プロセスオイル、エキステンダーなどが挙げられる。
ワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックス(例えば、ポリエチレンワックス、エチレン共重合体ワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリC2−4オレフィン系ワックス、天然パラフィンや合成パラフィンなどのパラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックスなど)、植物性又は動物性ワックス(例えば、カルナウバワックス、ミツロウ、セラックワックス、モンタンワックスなど)などが挙げられる。
これらの油脂成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの油脂成分のうち、撥水性及び流動性が高く、製造過程において、バインダー樹脂との相分離性に優れる点から、ノルマルパラフィンなどのパラフィン、ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスが好ましく、流動パラフィンが特に好ましい。
油脂成分(特にパラフィン及びワックス)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、1000以下(例えば、100〜1000)であってもよく、例えば、500以下(例えば、120〜500)、好ましくは400以下(例えば、130〜300)、さらに好ましくは350以下(例えば、230〜350)程度であり、特に250以下(例えば、150〜250)程度であってもよい。なお、低分子量の油脂成分の分子量は化学式(分子式)に基づいて算出できる。油脂成分の分子量が高すぎると、流動性が低下し、製造過程において、バインダー樹脂に対する相分離性が低下するとともに、油脂成分の凝集性が低下するため、通気性が低下し易い。一方、油脂成分の分子量が低すぎると、比重が水に対して軽すぎるため、混和するのが困難となる。
油脂成分の粘度(37.8℃)は200mm/秒以下(例えば、1〜200mm/秒)であってもよく、例えば、2〜150mm/秒、好ましくは3〜100mm/秒(例えば、5〜50mm/秒)、さらに好ましくは8〜30mm/秒(特に10〜20mm/秒)程度である。粘度が高すぎると、流動性が低下し、製造過程において、バインダー樹脂に対する相分離性が低下するとともに、油脂成分の凝集性が低下するため、通気性が低下し易い。本発明では、粘度の測定方法は、JIS K5600−2−3に準拠して、コーンプレート型粘度計により測定できる。
バインダー樹脂と油脂成分との質量割合(固形分比)は、百分率で、バインダー樹脂/油脂成分=90/10〜30/70程度の範囲から選択でき、透湿性の点から、例えば、80/20〜40/60、好ましくは70/30〜45/55、さらに好ましくは68/32〜50/50(特に65/35〜55/45)程度であり、諸特性のバランスに優れる点から、例えば、90/10〜50/50、好ましくは80/20〜60/40、さらに好ましくは75/25〜65/35程度であってもよい。バインダー樹脂の割合が多すぎると、孔部の面積が小さくなるため、通気性及び防カビ性が低下するおそれがある。一方、油脂成分の割合が多すぎると、防カビ層の表面に油脂成分がしみ出し易くなるとともに、防カビ剤が不織布から脱離し易くなり、防カビ性の耐久性などが低下するおそれがある。
(防カビ層の特性)
防カビシートは、防カビ層単独で形成してもよく、防カビ層と基材シートとを組み合わせてもよい。基材シートと組み合わせる場合、防カビ層は、基材シート(例えば、通気性シート)の少なくとも一部を被覆していればよいが、通常、基材シートの少なくとも一方の略全面を被覆しており、両面の略全面を被覆してもよい。また、基材シートが布帛の場合、防カビ層の少なくとも一部が布帛の繊維間に浸透していてもよい。さらに、基材シートが、多孔質プラスチックシートと布帛との積層体の場合、いずれの側に被覆してもよいが、被覆容易性などの点から、多孔質プラスチックシートの上に被覆してもよい。
防カビ層は、防カビ性及び通気性を向上できる点から、複数の孔部を有するのが好ましい。前記孔部は、防カビ層を貫通する貫通孔であってもよく、非貫通孔であってもよい。防カビ層が孔部を有すると、表面積が大きくなり、防カビ剤の露出面積も大きくなるためか、防カビ性も向上できる。
通気性が要求される用途では、孔部が貫通孔を含むのが好ましく、貫通孔の割合(個数割合)は、孔部全体に対して10%以上であってもよく、例えば、30〜100%、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは80〜100%程度であってもよい。貫通孔の有無は、電子顕微鏡写真により評価できる。
孔部の空隙率(防カビ層の全表面に対して孔部が占める面積割合)は1〜40%程度の範囲から選択でき、例えば、2〜30%、好ましくは3〜20%、さらに好ましくは5〜15%(特に6〜10%)程度である。空隙率が大きすぎると、表面に油脂成分がしみ出し易くなるとともに、防カビ剤の保持力が低下し、小さすぎると、防カビ性(及び通気性が要求される用途では通気性)が低下するおそれがある。
孔部の平均孔径(異方形状の場合、長径と短径との平均値)は、例えば、0.1〜10μm(例えば、0.3〜8μm)、好ましくは0.4〜6μm(例えば、0.5〜5μm)、さらに好ましくは1〜3μm(特に1.5〜2.5μm)程度である。孔部の最大孔径は20μm以下であってもよく、例えば、15μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下(特に5μm以下)であってもよい。孔部の径が大きすぎると、表面に油脂成分がしみ出し易くなるとともに、防カビ剤の保持力が低下するおそれがあり、逆に小さすぎると、防カビ性(及び通気性が要求される用途では通気性)の向上効果が小さくなるおそれがある。
本発明では、空隙率及び孔部の孔径は、電子顕微鏡写真に基づいて測定し、平均孔径については400個以上測定して平均値を算出する。
防カビ層の平均厚み(孔部以外の平均厚み)は0.1μm以上であってもよく、例えば、0.5μm〜20mm、好ましくは1μm〜15mm、さらに好ましくは2μm〜10mm(2.5〜100μm)程度であってもよい。通気性を要求される用途(貫通孔を有する防カビ層)では、防カビ層の平均厚みは6μm以下であってもよく、例えば、1〜6μm、好ましくは1.2〜5.5μm(例えば、1.5〜5μm)、さらに好ましくは2〜4μm(特に2.5〜3.5μm)程度である。一方、貫通孔を有さない防カビ層の平均厚みは6μmを超えていてもよく、例えば、6.5〜100μm、好ましくは7〜50μm、さらに好ましくは8〜30μm程度であってもよい。本明細書では、防カビ層の平均厚みは、電子顕微鏡写真に基づいて、任意の10箇所の平均値として測定できる。
防カビ層も、基材シートの項で例示された慣用の添加剤を含んでいてもよい。
[防カビシートの特性]
本発明の防カビシートは、通気性は特に限定されず、非透湿シートであってもよいが、通気性を要求される場合、JIS K7129に準拠した方法において、透湿度が100g/(m・24時間)以上[例えば、100〜10000g/(m・24時間)]であるが、通常、150g/(m・24時間)以上[例えば、150〜9000g/(m・24時間)]程度である。特に、農業用途などにおいて、高い通気性を要求される場合、透湿度は、例えば、500g/(m・24時間)以上[例えば、500〜8000g/(m・24時間)]、好ましくは1000g/(m・24時間)以上[例えば、1000〜5000g/(m・24時間)]、さらに好ましくは2000g/(m・24時間)以上[例えば、2000〜4000g/(m・24時間)]程度である。
本発明の防カビシートは、透湿防水性を有していてもよく、JIS L1092の耐水度試験に準拠した方法において、防水性が0.1kPa以上であってもよく、例えば、0.1〜100kPa、好ましくは2〜50kPa、さらに好ましくは5〜30kPa程度である。
本発明の防カビシートは、カビ(糸状菌)の繁殖を抑制するために使用され、防除の対象となるカビとしては、人体や家畜、農作物などに有害なカビであれば特に限定されない。防除対象のカビとしては、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、カエトミウム(Chaetomium)属、オーレオバシディウム(Aureobasidium)属、カエトミウム(Chaetomium)属、グリオクラディウム(Gliocladium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、アルタナリア(Alternaria)属、ゲオトリカム(Geotricum)属、ムコール(Mucor)属、ミロテシウム(Myrothecium)属、リゾプス(Rhizopus)属、トリコダーマ(Trichoderm)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、パエシロマイセス(Paecilomyces)属、クリウラリア(Curyularia)属、チロミセス(Tyromyces)属、グロメレラ(Glomerella)属、コレトトリカム(Colletotrichum)属、フィトフィトラ(Phytophthora)属、フザリウム(Fusarium)属、ホーマ(Phoma)属、シュウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)属、ベンチュリア(Venturia)属、エリシフェ(Erysiphe)属、ピリキュラリア(Pyricularia)属、ボトリチス(Botrytis)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、パクシニア(Puccinia)属、セプトリア(Septoria)属、スクレロティニア(Sclerotinia)属、ピシウム(Pythium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、コルチシウム(Corticium)属、コリオボラス(Cochliobolus)属、クラビセプス(Claviceps)属菌、セラトバシジウム(Ceratobasidium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属の糸状菌などが挙げられる。これらのうち、通気性の要求が高い点から、ムコール属、グロメレラ属、コレトトリカム属、フィトフィトラ属、フザリウム属、ホーマ属などのカビに効果的である。
本発明の防カビシートは、農業、食品、建築などの各種分野の防カビシートとして利用できるが、通気性の要求が高い点から、農業用植物がカビ由来の病害に感染するのを抑制するための防カビシートであってもよい。農業用植物の病害としては、例えば、いもち病、チャ輪斑病、チャ炭疽病、キュウリ炭疽病、キュウリうどんこ病、キュウリ灰色カビ病、トマト葉カビ病、ネギさび病、イチゴ炭疽病、イチゴ疫病、イチゴ萎黄病、シバさび病などが挙げられる。これらのうち、通気性の要求が高く、防カビシート(特に、銀を含む防カビ剤を含む防カビシート)の効き目が大きい点から、グロメレラ・シングラータ(Glomerella cingulata)、コレトトリカム・アキュテータム(Colletotrichum acutatum)などの糸状菌により発症するイチゴ炭疽病に対して効果的である。
本発明の防カビシートは、イチゴなどの農作物に用いられる防カビシートとして使用される場合、例えば、苗や果実を包むためのシート、地温管理や水分管理のために土壌をカバーするためのマルチング農法用シート、果実マットなどとしても利用できる。特に、銀を含む防カビ剤を用いた防カビシートでは、抗菌性も有するため、皮を有さず、バクテリアの付着に関して厳格な安全基準が要求される農作物(イチゴなど)にも適している。
[防カビシートの製造方法]
本発明の防カビシートは、防カビ剤、バインダー樹脂、油脂成分及び水性溶媒を含む液状組成物を支持材の上にコーティングした後、乾燥させて得られる。詳しくは、本発明の防カビシートは、防カビ剤、バインダー樹脂、油脂成分及び水性溶媒を攪拌混合して液状組成物を調製する攪拌工程、得られた液状組成物を支持材の上にコーティング(被覆)する被覆(コーティング)工程、被覆した液状組成物を乾燥する乾燥工程を経て得られる。
攪拌工程では、水性溶媒としては、前記バインダー樹脂の項で例示された水性溶媒を利用できる。前記水性溶媒のうち、水単独、水と低級アルコールとの混合溶媒などが好ましい。水性溶媒の割合は、バインダー樹脂100質量部(固形分)に対して、例えば、50〜300質量部、好ましくは100〜250質量部、さらに好ましくは150〜200質量部程度である。
液状組成物の原料としては、バインダー樹脂の水性エマルジョンの項で例示された慣用の界面活性剤や添加剤を更に添加してもよい。前記界面活性剤のうち、液状組成物中で、バインダー樹脂と油脂成分とを均一に微分散できるとともに、後工程である乾燥工程において、適度に相分離して防カビ層の表面に孔部を形成できる点や、防カビ剤が金属成分(特に、銀)を含む防カビ剤である場合、金属イオンによる液状組成物の取り扱い性の低下を抑制できる点から、ノニオン性界面活性剤、特に、アルキレンオキサイド鎖(特にエチレンオキサイド鎖)を有する界面活性剤が好ましい。さらに、アルキレンオキサイド鎖を有する界面活性剤は、アセチレン骨格を有する脂肪族ジオール(アセチレンジオール)のアルキレンオキサイド付加物であってもよい。アセチレンジオールのアルキレンオキサイド付加物を用いると、適度な分散作用を有するためか、適度な空隙率で微細な孔部を形成できるとともに、金属イオン(特に銀イオン)と錯体を形成するためか、バインダー樹脂のゲル化や固化を抑制して取り扱い性を向上できる。
アセチレンジオールのアルキレンオキサイド付加物は、下記式(1)で表される化合物であってもよい。
Figure 2015193606
(式中、R〜Rは、同一又は異なってアルキル基であり、A及びAは、C2−4アルキレン基であり、m及びnは、同一又は異なって0以上の数であり、m及びnのいずれか一方は1以上である)。
式(1)において、R〜Rのアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシルなどのC1−12アルキル基などが挙げられる。これらのアルキル基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアルキル基のうち、メチル、エチル、ブチルなどのC1−4アルキル基が好ましく、少なくともイソブチル基などの分岐鎖C3−4アルキル基を含むものが特に好ましく、例えば、メチル基とイソブチル基との組み合わせであってもよい。
及びAのC2−4アルキレン基としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのC2−3アルキレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
m及びnは、いずれかが1以上の数であればよく、それぞれが、例えば、0〜100、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜10程度である。
アセチレンジオールのアルキレンオキサイド付加物の割合は、バインダー樹脂100質量部(固形分)に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部(特に1〜2質量部)程度である。
液状組成物の固形分濃度は、例えば、30〜80質量%、好ましくは35〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%程度である。
液状組成物の攪拌方法としては、通常の低速又は中速回転型攪拌機で攪拌する方法が好ましく、例えば、10〜1000rpm、好ましくは30〜800rpm、さらに好ましくは50〜500rpm程度の回転数で攪拌する方法などが挙げられる。
攪拌工程で調製された相分離した液状組成物は、前記被覆工程に供される。被覆工程において、コーティング方法としては、慣用のコーティング法、例えば、バーコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、キャスト法、ディッピング法などが挙げられる。これらのうち、簡便性などの点から、バーコーティング法が汎用される。
コーティングにおける塗布量は、特に限定されず、例えば0.5〜30g/m、好ましくは1〜15g/m、さらに好ましくは2〜10g/m程度であってもよいが、製膜性などの点から、2g/m以上程度が好ましい。塗布量が多すぎると、防カビシートの柔軟性が低下するおそれがあり、少なすぎると、防カビ剤の保持性が低下するおそれがある。防カビ層に貫通孔を形成する場合、塗布量は適宜選択できるが、バーコーターを用いる場合、例えば、♯10番以下のバーコーターを用いてもよく、好ましくは♯6番以下、さらに好ましくは♯4番以下(例えば、♯3〜4番程度)のバーコータを用いてもよい。
被覆工程において、支持材は、特に限定されないが、前記基材シートを支持材として用いると、基材シートの表面が防カビ層で被覆された積層シートを防カビシートとして得ることができる。この場合、前述のように、防カビ層は基材シートの少なくとも一部を被覆すればよく、通常、基材シートの一方の面を全面被覆することができる。
一方、支持材として、剥離性支持材を用いて、乾燥工程を経た防カビ層を剥離することにより、防カビ層単独で形成された防カビシートを調製してもよい。さらに、各種の二次元又は三次元成形体の上に液状組成物をコーティングすることにより、前記成形体を被覆する防カビシートを調製してもよい。
乾燥工程において、乾燥方法は、自然乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよい。加熱乾燥における加熱温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは80〜100℃程度である。
本発明の製造方法により、複数の孔部を有する防カビ層が形成される理由は、次のように推定できる。すなわち、攪拌工程において、バインダー樹脂と油脂成分とが均質に微分散された後、乾燥工程において、バインダー樹脂を含む連続相と、油脂成分を含む分散相とに相分離して海島構造が形成される。さらに、乾燥が進行すると、分散相を形成している油脂成分が凝集して連続相に取り込まれることにより、孔部が形成されると推定できる。本発明では、特定のバインダー樹脂と油脂成分とを組み合わせて相分離構造を形成することにより、通気性や防カビ性に優れた非対称な防カビ層を形成でき、特に、複数の孔部を形成することにより、通気性と防カビ性とを向上できるが、界面活性剤などを用いて分散状態を制御することにより、孔部の大きさや空隙率を制御することもできる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例で用いた材料、実施例における各物性値の測定方法を以下に示す。
[用いた材料]
アセチレン骨格含有分散剤:アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物、日新化学工業(株)製「サーフィノール465」
銀ゼオライト:防カビ剤、(株)シネナン製「AW10N」
アクリル樹脂エマルジョン:(株)T&K TOKA製「アクアパックワニスF−2」、固形分42±2%
流動パラフィン230:カネダ(株)製「ハイコールK−230」、分子量230、粘度(37.8℃)13.60mm/秒
流動パラフィン290:カネダ(株)製「ハイコールK−290」、分子量290、粘度(37.8℃)35.29mm/秒
流動パラフィン350:カネダ(株)製「ハイコールK−350」、分子量350、粘度(37.8℃)77.58mm/秒
透湿防水シート:七王工業(株)製「トーシツシートE」、微多孔質ポリエチレンフィルム(厚み37μm)とポリエステルスパンボンド不織布(目付40g/m)とをスプレーラミネートで部分接着した積層シート。
[透湿度]
水蒸気透過度試験機(デンマークPBI Dansensor社製「L80−5000型」)を用いて、JIS K7129(A法)に準拠して、測定範囲0.03で透湿度[単位:g/(m・24時間)]を測定した。
[防カビ性]
JIS Z2801「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」に準拠して、一部改変し、糸状菌であるイチゴ炭疽病原菌(Glomerella cingulata)を対象として、以下の方法で試験を行った。
イチゴ炭疽病菌をポテトデキストロース寒天(PDA)培地で培養し、菌糸伸長後にブラックライト(BL:352nm)を照射し、分生子を形成した菌を滅菌水で水洗し、濾液を二重のガーゼを用いて濾過し、分生子菌液を作製した。分生子菌液は遠心分離を行い、濃縮液を作製した。濃縮液はトーマ血球計算盤を用いて菌濃縮度測定を行った。滅菌水を用いて濃縮液を10倍希釈し、10個/mlの菌濃縮液に調整し、接種用の抗菌液とした。
試験用サンプルはエタノール洗浄を行わず、50mm×50mmにカットし、分生子菌液0.4mlを接種した後、接種面をポリエチレンフィルム(40mm×40mm)で覆い、培養直後の菌数を測定する検体と、培養3日後の菌数を測定する検体を用意した。培養直後の菌数を測定するため、接種直後の試験片及びフィルムを滅菌水で洗浄し、洗浄液をATP測定器(東亜ディーケーケー(株)製「ATPアナライザーAF−100」)を用いてATP測定を行った。また、25℃に設定した恒温器内で培養3日後の試験片及びフィルムについても、同様の方法でATP測定を行った。
次に、ATP測定により得られた数値から1cm当たりの菌数を求めて、その対数を計算し、接種直後の生菌数の対数から3日間培養後の生菌数の対数を引き算して抗菌活性値を求めた。
抗菌活性値=log(1cmの接種後生菌数)−log(1cmの3日間培養後の生菌数)。
[防カビ層の平均厚み]
電子顕微鏡(1500倍にて拡大、視野数5)を用いて観察し、電子顕微鏡写真に基づいて、任意の10箇所を測定して、平均した。
[防カビ層の孔部の分布]
JIS H7804に準拠して、防カビシートにおける防カビ層中の孔部の径と数について、電子顕微鏡(1500倍にて拡大、視野数5)を用いて観察し、その大きさと数をカウントした。
[防カビ層の空隙率、孔部の平均孔径及び最大孔径]
電子顕微鏡による孔部の大きさはJIS H7804に従って計測し、孔部の長径(最も長い箇所の半径)と短径(最も短い箇所の半径)とを加算して2で除した数を孔部の孔径とした。次に、1視野中の全ての孔部の面積を計算により求め、この全ての面積を足すことで孔部の総面積を求めた。さらに、1視野の縦の長さと横の長さを乗じて1視野中の面積を計算し、(孔部の総面積/1視野中の面積)により、空隙率(%)を求めた。
実施例1
水5.5gにアセチレン骨格含有分散剤0.5gを添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌後、銀ゼオライト2.5gを添加してさらに50〜300rpmで撹拌し、スラリー状の白色液体を作製した。この白色液体を、アクリル樹脂エマルジョン75gに添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌した。得られたエマルジョン組成物に10gの流動パラフィン230と5gの水とを添加した後、汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌して防カビ組成物を得た。防カビ組成物を、不織布表面にバーコーター(#4番)を用いて均一に塗工した後、90℃のオーブン内で60秒間乾燥して、防カビシート1を作製した。防カビ層の平均厚みは3.2μmであった。電子顕微鏡で観察した結果、防カビ層には貫通孔が形成されていた。
実施例2
流動パラフィン230の添加量を15gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート2を作製した。
実施例3
流動パラフィン230の添加量を20gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート3を作製した。
実施例4
流動パラフィン230の添加量を40gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート4を作製した。
実施例2〜4の防カビ層について、電子顕微鏡で観察した結果、いずれも貫通孔が形成されていた。
参考例1
流動パラフィン230の添加量を60gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート5を作製した。
実施例1〜4及び参考例1で得られた防カビシートの透湿度を測定した結果を表1に示す。なお、防カビ層をコーティングしない未処理シートの透湿度も測定した。
Figure 2015193606
防カビシート5は、油脂成分が多く、成膜できなかったため、透湿度は測定できなかった。また、表1の結果から、油脂成分の添加量を10g、15g、20g、40gと増やしていくと、透湿度が向上することを示している。なお、防カビシート5は、油脂成分が多く、成膜時に油脂成分が膜表面に残存した。
実施例5
流動パラフィン230を流動パラフィン350に変更する以外は実施例2と同様にして防カビシート6を作製した。
実施例6
流動パラフィン230を流動パラフィン290に変更する以外は実施例2と同様にして防カビシート7を作製した。
実施例5及び6の防カビ層について、電子顕微鏡で観察した結果、いずれも貫通孔が形成されていた。
実施例5及び6で得られた防カビシートの透湿度、防カビ性、孔部の分布、孔部の径及び空隙率を測定した結果を表2に示す。なお、防カビ層をコーティングしない未処理シートの防カビ性も測定した。
Figure 2015193606
表2の結果から、油脂成分の分子量(粘性)が低下すると孔部が増加し、それに伴って透湿度、防カビ活性値も向上した。
実施例7
水5.5gにアセチレン骨格含有分散剤0.5gと銀ゼオライト1.25gとを添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌し、スラリー状の白色液体を作製した。この白色液体を、アクリル樹脂エマルジョン75gに添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌した。得られたエマルジョン組成物に15gの流動性パラフィン290と5gの水とを添加した後、汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌して防カビ組成物を調製した。この防カビ組成物を不織布表面にバーコーター(#10番)を用いて均一に塗工した後、90℃のオーブン内で60秒間温風乾燥して、防カビシート8を得た。防カビ層の平均厚みは8.1μmであった。電子顕微鏡で観察した結果、防カビ層には、孔径1〜6μm程度の非貫通孔が形成されており、貫通孔は形成されていなかった。
比較例1
水5.5gにアセチレン骨格含有分散剤0.5gと銀ゼオライト1.25gとを添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌し、スラリー状の白色液体を作製した。この白色液体を、アクリル樹脂エマルジョン75gに添加した後、汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌して防カビ組成物を調製した。この防カビ組成物を不織布表面にバーコーター(#10番)を用いて均一に塗工し、90℃のオーブン内で60秒間温風乾燥して、防カビシート9を得た。
実施例7及び比較例1で得られた防カビシートの透湿度及び防カビ性を測定した結果を表3に示す。
Figure 2015193606
表3の結果から、いずれの防カビシートも、透湿性は有しておらず、防カビ性については、比較例1の防カビシートよりも実施例7の防カビシートの方が防カビ活性値が向上した。実施例の防カビシートでは、孔部が形成され、表面積が向上したことにより、防カビ性が向上したと推定できる。
本発明の防カビシートは、農業、食品、建築などの各種分野において、防カビ性を要求されるシートとして利用できる。特に、貫通孔を有する防カビシートは、通気性を要求される環境で利用される防カビシートとして利用でき、例えば、イチゴ炭疽病などの病害に農作物が感染するのを抑制するための農業用防カビシートとして有効に利用できる。

Claims (17)

  1. 防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分を含む防カビ層を含む防カビシート。
  2. 防カビ層が、空隙率1〜40%で形成された複数の孔部を有するとともに、前記孔部の平均孔径が0.1〜10μmであり、かつ最大孔径が20μm以下である請求項1記載の防カビシート。
  3. 油脂成分が流動パラフィンである請求項1又は2記載の防カビシート。
  4. バインダー樹脂が水溶性樹脂又は水性エマルジョン由来の非水溶性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の防カビシート。
  5. バインダー樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の防カビシート。
  6. 防カビ剤が銀を含む請求項1〜5のいずれかに記載の防カビシート。
  7. バインダー樹脂と油脂成分との質量割合が、百分率で、バインダー樹脂/油脂成分=80/20〜40/60である請求項1〜6のいずれかに記載の防カビシート。
  8. 防カビ層が、防カビ剤、バインダー樹脂、油脂成分及び水性溶媒を含む液状組成物をコーティングした後、乾燥させて得られる請求項1〜7のいずれかに記載の防カビシート。
  9. 液状組成物がアルキレンオキサイド鎖を有する界面活性剤をさらに含む請求項8記載の防カビシート。
  10. 孔部が貫通孔を含む請求項2〜9のいずれかに記載の防カビシート。
  11. さらに基材シートを含み、防カビ層が前記基材シートを被覆している請求項1〜10のいずれかに記載の防カビシート。
  12. 基材シートが通気性シートである請求項11記載の防カビシート。
  13. 基材シートが透湿防水シートである請求項12記載の防カビシート。
  14. 防カビ層が基材シートの少なくとも一方の略全面を被覆している請求項11〜13のいずれかに記載の防カビシート。
  15. 防カビ層の平均厚みが6μm以下である請求項1〜14のいずれかに記載の防カビシート。
  16. 農業用植物がカビ由来の病害に感染するのを抑制するためのシートである請求項1〜15のいずれかに記載の防カビシート。
  17. 病害がイチゴ炭疽病である請求項16記載の防カビシート。
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