JP2015193606A - 防カビシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防カビ層を、防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分の組み合わせで形成して防カビシートを調製する。前記防カビ層は、空隙率1〜40%で形成された複数の孔部を有するとともに、前記孔部の平均孔径が0.1〜10μmであり、かつ最大孔径が20μm以下であってもよい。前記油脂成分は流動パラフィンであってもよい。前記抗菌剤は銀を含んでいてもよい。前記バインダー樹脂と油脂成分との質量割合は、バインダー樹脂/油脂成分=80/20〜40/60程度であってもよい。この防カビシートは、農業用植物がカビ由来の病害(特にイチゴ炭疽病)に感染するのを抑制するためのシートであってもよい。
【選択図】なし
Description
基材シートは、特に限定されず、各種の有機材料(熱可塑性樹脂、ゴム、熱硬化性樹脂など)や無機材料(金属、ガラス、セラミックなど)で形成されたシートを基材シートとして利用できる。これらのうち、柔軟性や透明性、取り扱い性などに優れる点から、有機材料(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、脂肪族ポリアミドなどのポリアミド、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂)で形成されたシートが好ましい。基材シートは、目的に応じて選択でき、非通気性シートであってもよいが、農業などの用途で利用する場合は、通気性シートであってもよい。
防カビ層は、防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分を含む。
防カビ剤は、目的のカビ種に応じて、慣用の防カビ剤を利用できる。防カビ剤には、有機系防カビ剤、無機系防カビ剤が含まれる。
バインダー樹脂としては、慣用のバインダー樹脂を利用できるが、製造過程において、油脂成分と相分離構造を形成できる点から、水溶性樹脂、水性エマルジョン由来の非水溶性樹脂が好ましい。
油脂成分は、製造過程において、前記バインダー樹脂と相分離構造を形成可能な成分であり、疎水性又は撥水性の脂肪族骨格を有していればよい。油脂成分には、高級脂肪酸又はその誘導体、天然油脂、鉱物油、ワックスなどが含まれる。
防カビシートは、防カビ層単独で形成してもよく、防カビ層と基材シートとを組み合わせてもよい。基材シートと組み合わせる場合、防カビ層は、基材シート(例えば、通気性シート)の少なくとも一部を被覆していればよいが、通常、基材シートの少なくとも一方の略全面を被覆しており、両面の略全面を被覆してもよい。また、基材シートが布帛の場合、防カビ層の少なくとも一部が布帛の繊維間に浸透していてもよい。さらに、基材シートが、多孔質プラスチックシートと布帛との積層体の場合、いずれの側に被覆してもよいが、被覆容易性などの点から、多孔質プラスチックシートの上に被覆してもよい。
本発明の防カビシートは、通気性は特に限定されず、非透湿シートであってもよいが、通気性を要求される場合、JIS K7129に準拠した方法において、透湿度が100g/(m2・24時間)以上[例えば、100〜10000g/(m2・24時間)]であるが、通常、150g/(m2・24時間)以上[例えば、150〜9000g/(m2・24時間)]程度である。特に、農業用途などにおいて、高い通気性を要求される場合、透湿度は、例えば、500g/(m2・24時間)以上[例えば、500〜8000g/(m2・24時間)]、好ましくは1000g/(m2・24時間)以上[例えば、1000〜5000g/(m2・24時間)]、さらに好ましくは2000g/(m2・24時間)以上[例えば、2000〜4000g/(m2・24時間)]程度である。
本発明の防カビシートは、防カビ剤、バインダー樹脂、油脂成分及び水性溶媒を含む液状組成物を支持材の上にコーティングした後、乾燥させて得られる。詳しくは、本発明の防カビシートは、防カビ剤、バインダー樹脂、油脂成分及び水性溶媒を攪拌混合して液状組成物を調製する攪拌工程、得られた液状組成物を支持材の上にコーティング(被覆)する被覆(コーティング)工程、被覆した液状組成物を乾燥する乾燥工程を経て得られる。
アセチレン骨格含有分散剤:アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物、日新化学工業(株)製「サーフィノール465」
銀ゼオライト:防カビ剤、(株)シネナン製「AW10N」
アクリル樹脂エマルジョン:(株)T&K TOKA製「アクアパックワニスF−2」、固形分42±2%
流動パラフィン230:カネダ(株)製「ハイコールK−230」、分子量230、粘度(37.8℃)13.60mm2/秒
流動パラフィン290:カネダ(株)製「ハイコールK−290」、分子量290、粘度(37.8℃)35.29mm2/秒
流動パラフィン350:カネダ(株)製「ハイコールK−350」、分子量350、粘度(37.8℃)77.58mm2/秒
透湿防水シート:七王工業(株)製「トーシツシートE」、微多孔質ポリエチレンフィルム(厚み37μm)とポリエステルスパンボンド不織布(目付40g/m2)とをスプレーラミネートで部分接着した積層シート。
水蒸気透過度試験機(デンマークPBI Dansensor社製「L80−5000型」)を用いて、JIS K7129(A法)に準拠して、測定範囲0.03で透湿度[単位:g/(m2・24時間)]を測定した。
JIS Z2801「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」に準拠して、一部改変し、糸状菌であるイチゴ炭疽病原菌(Glomerella cingulata)を対象として、以下の方法で試験を行った。
電子顕微鏡(1500倍にて拡大、視野数5)を用いて観察し、電子顕微鏡写真に基づいて、任意の10箇所を測定して、平均した。
JIS H7804に準拠して、防カビシートにおける防カビ層中の孔部の径と数について、電子顕微鏡(1500倍にて拡大、視野数5)を用いて観察し、その大きさと数をカウントした。
電子顕微鏡による孔部の大きさはJIS H7804に従って計測し、孔部の長径(最も長い箇所の半径)と短径(最も短い箇所の半径)とを加算して2で除した数を孔部の孔径とした。次に、1視野中の全ての孔部の面積を計算により求め、この全ての面積を足すことで孔部の総面積を求めた。さらに、1視野の縦の長さと横の長さを乗じて1視野中の面積を計算し、(孔部の総面積/1視野中の面積)により、空隙率(%)を求めた。
水5.5gにアセチレン骨格含有分散剤0.5gを添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌後、銀ゼオライト2.5gを添加してさらに50〜300rpmで撹拌し、スラリー状の白色液体を作製した。この白色液体を、アクリル樹脂エマルジョン75gに添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌した。得られたエマルジョン組成物に10gの流動パラフィン230と5gの水とを添加した後、汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌して防カビ組成物を得た。防カビ組成物を、不織布表面にバーコーター(#4番)を用いて均一に塗工した後、90℃のオーブン内で60秒間乾燥して、防カビシート1を作製した。防カビ層の平均厚みは3.2μmであった。電子顕微鏡で観察した結果、防カビ層には貫通孔が形成されていた。
流動パラフィン230の添加量を15gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート2を作製した。
流動パラフィン230の添加量を20gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート3を作製した。
流動パラフィン230の添加量を40gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート4を作製した。
流動パラフィン230の添加量を60gに変更する以外は実施例1と同様にして防カビシート5を作製した。
流動パラフィン230を流動パラフィン350に変更する以外は実施例2と同様にして防カビシート6を作製した。
流動パラフィン230を流動パラフィン290に変更する以外は実施例2と同様にして防カビシート7を作製した。
水5.5gにアセチレン骨格含有分散剤0.5gと銀ゼオライト1.25gとを添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌し、スラリー状の白色液体を作製した。この白色液体を、アクリル樹脂エマルジョン75gに添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌した。得られたエマルジョン組成物に15gの流動性パラフィン290と5gの水とを添加した後、汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌して防カビ組成物を調製した。この防カビ組成物を不織布表面にバーコーター(#10番)を用いて均一に塗工した後、90℃のオーブン内で60秒間温風乾燥して、防カビシート8を得た。防カビ層の平均厚みは8.1μmであった。電子顕微鏡で観察した結果、防カビ層には、孔径1〜6μm程度の非貫通孔が形成されており、貫通孔は形成されていなかった。
水5.5gにアセチレン骨格含有分散剤0.5gと銀ゼオライト1.25gとを添加して汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌し、スラリー状の白色液体を作製した。この白色液体を、アクリル樹脂エマルジョン75gに添加した後、汎用のプロペラ攪拌機にて50〜300rpmで撹拌して防カビ組成物を調製した。この防カビ組成物を不織布表面にバーコーター(#10番)を用いて均一に塗工し、90℃のオーブン内で60秒間温風乾燥して、防カビシート9を得た。
Claims (17)
- 防カビ剤、バインダー樹脂及び油脂成分を含む防カビ層を含む防カビシート。
- 防カビ層が、空隙率1〜40%で形成された複数の孔部を有するとともに、前記孔部の平均孔径が0.1〜10μmであり、かつ最大孔径が20μm以下である請求項1記載の防カビシート。
- 油脂成分が流動パラフィンである請求項1又は2記載の防カビシート。
- バインダー樹脂が水溶性樹脂又は水性エマルジョン由来の非水溶性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の防カビシート。
- バインダー樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の防カビシート。
- 防カビ剤が銀を含む請求項1〜5のいずれかに記載の防カビシート。
- バインダー樹脂と油脂成分との質量割合が、百分率で、バインダー樹脂/油脂成分=80/20〜40/60である請求項1〜6のいずれかに記載の防カビシート。
- 防カビ層が、防カビ剤、バインダー樹脂、油脂成分及び水性溶媒を含む液状組成物をコーティングした後、乾燥させて得られる請求項1〜7のいずれかに記載の防カビシート。
- 液状組成物がアルキレンオキサイド鎖を有する界面活性剤をさらに含む請求項8記載の防カビシート。
- 孔部が貫通孔を含む請求項2〜9のいずれかに記載の防カビシート。
- さらに基材シートを含み、防カビ層が前記基材シートを被覆している請求項1〜10のいずれかに記載の防カビシート。
- 基材シートが通気性シートである請求項11記載の防カビシート。
- 基材シートが透湿防水シートである請求項12記載の防カビシート。
- 防カビ層が基材シートの少なくとも一方の略全面を被覆している請求項11〜13のいずれかに記載の防カビシート。
- 防カビ層の平均厚みが6μm以下である請求項1〜14のいずれかに記載の防カビシート。
- 農業用植物がカビ由来の病害に感染するのを抑制するためのシートである請求項1〜15のいずれかに記載の防カビシート。
- 病害がイチゴ炭疽病である請求項16記載の防カビシート。
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