JP2015193535A - 軽量耐火骨材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、軽量で、低熱伝導率であり、さらに、強度も十分に確保できる耐火物の原料として好適な軽量耐火骨材を提供する。
【解決手段】Al2O3成分及びZrO2成分を必須成分とするアルミナ−ジルコニア質の耐火骨材であって、Al2O3成分を67〜99質量%、ZrO2成分を1〜33質量%含有し、かつ、これらの合量が96質量%以上である中空粒子からなる軽量耐火骨材。
【選択図】なし
【解決手段】Al2O3成分及びZrO2成分を必須成分とするアルミナ−ジルコニア質の耐火骨材であって、Al2O3成分を67〜99質量%、ZrO2成分を1〜33質量%含有し、かつ、これらの合量が96質量%以上である中空粒子からなる軽量耐火骨材。
【選択図】なし
Description
本発明はアルミナおよびジルコニアを主要な化学成分とした軽量のセラミックス粒子からなる軽量耐火骨材に係り、特に、熱的、化学的に安定で、強度が高く、熱伝導率の低い軽量耐火骨材に関する。
溶融炉等の高温条件で使用される装置等は、内部が非常に高温となり、そのまま外部へ熱を放射したのでは、作業性、効率性が非常に悪くなるため、その外部には内部の熱を伝達しないように耐火物で被覆して構成される。
この耐火物の原料としては、耐火性の骨材が主成分として用いられる。耐火骨材は、耐火物の耐火性能、強度等を決定する成分であるが、さらに断熱性の向上や軽量化を図る観点から中空の耐火骨材が用いられてきた(特許文献1、特許文献2参照)。
このような中空の耐火骨材は、一般的に、電融法又は焼結法で製造され、近年は、純度99質量%以上のアルミナからなる中空軽量セラミックス原料も市販されるようになり、耐火物原料として使用されている。なお、中空粒子などの耐火物粒子を電融法で製造するものとしては、特許文献3などがある。
また、電融法で製造された純度99質量%以上のジルコニアからなる中空セラミックス原料も市販され、耐火物の原料として使用されている。
しかしながら、アルミナからなる中空セラミックス粒子は、その材料自身の熱伝導率が高いために十分な低熱伝導特性を実現しようとした場合に、中空粒子の厚みを薄くする必要があり、強度が低下する、粒子が割れやすいなどの問題があった。
また、ジルコニアからなる中空セラミックス粒子は、一般的には粒度が不揃いで、価格も高く、嵩比重も重いので断熱材として用いられることは少なく、ジルコニア組成の原料として耐火物などに用いられるのが一般的である。
このジルコニアの鉱物はバデライトであり、1100℃程度で転移して構造が変化するため、温度変動を与えると粒子に亀裂が発生し構造体としての強度が低下するので、耐火物の構成粒子としてそのまま使用するのは困難であった。
1100℃程度で転移するため耐火物原料として不適切な場合は、CaO等を添加して安定化したジルコニア原料も販売されているが、更に高価であり、構造体としてそのまま利用した耐火物原料としてはほとんど使用されていないのが実態である。
また、従来の軽量耐火骨材としては、シリカ系、ファイバー系が使用されているが、融点がそれぞれ1000℃、1500℃程度と耐熱性の点で必ずしも充分ではない。
また、従来の軽量耐火骨材としては、シリカ系、ファイバー系が使用されているが、融点がそれぞれ1000℃、1500℃程度と耐熱性の点で必ずしも充分ではない。
そこで、本発明は、上記した問題を解決すべくなされたものであり、軽量で、低熱伝導率であり、さらに、強度も十分に確保できる耐火物の原料として好適な軽量耐火骨材の提供を目的とする。
本発明の軽量耐火骨材は、Al2O3成分及びZrO2成分を必須成分とするアルミナ−ジルコニア質の耐火骨材であって、Al2O3成分を67〜99質量%、ZrO2成分を1〜33質量%含有し、かつ、これらの合量が96質量%以上であり、嵩比重が0.5〜0.97である中空粒子からなるものである。
本発明の軽量耐火骨材によれば、軽量で取り扱いやすく、熱伝導率も低いため断熱性に優れ、それでいて充分な強度も有する新規な耐火骨材を提供できる。また、この耐火骨材を耐火物の材料として用いることで、優れた耐火性能を有する耐火物が得られる。
本発明の軽量耐火骨材は、その化学成分としてAl2O3成分及びZrO2成分を必須成分とするもので、そのAl2O3成分の含有量を67〜99質量%、ZrO2成分の含有量を1〜33質量%、かつ、それらの合量(Al2O3+ZrO2)が96質量%以上であり、嵩比重が0.5〜0.97となるようにしたアルミナ−ジルコニア質中空粒子からなる。
Al2O3成分の含有量が67質量%未満、ZrO2成分の含有量が33質量%を超えると、ジルコニア比率が高くなるためジルコニアの相転移に伴う体積変化を吸収しきれず、粒子に亀裂が生じやすくなり、粒子強度の低下のおそれがある。また、アルミナに比べて比重の大きいジルコニアの比率が高くなるため質量が重くなり、目的の一つである軽量化の点で問題となる。さらに、ジルコニアは原料単価が高いため、製造原価の点でも問題となるおそれがある。一方、Al2O3成分の含有量が99質量%を超え、ZrO2成分の含有量が1質量%未満であると、強度が十分確保できなくなってしまう。なお、Al2O3成分の含有量が68〜99質量%、ZrO2成分の含有量を1〜32質量%であると上記と同様の理由で好ましい。
そして、それらの合量(Al2O3+ZrO2)が96質量%未満であると、その他の成分が不純物となって存在するため、上記効果のバランスがとれず、本発明の目的とする特性を有する耐火骨材を得ることができなくなってしまう。前記合量が98質量%以上であると上記効果のバランスが良好で、本発明の目的とする特性を好適に有し好ましい。また、軽量耐火物粒子を電融法により製造する場合には、前記合量が96質量%未満であると、溶解温度が低下し過ぎて中空の軽量耐火骨材粒子が製造できないおそれもある。軽量耐火物粒子を電融法により製造する場合、前記合量が98質量%以上であるとより好ましい。
通常、ZrO2の常温で安定な結晶構造は単斜晶相であり、1100℃前後で相転移して大きな体積変化を示すため、そのままでは焼結体の製造は難しい。一般的には、ZrO2成分を主成分とする耐火物原料ではCaO等を添加して立方晶に安定化して使用される。
これに対し、本発明のようにAl2O3成分及びZrO2成分を所定割合で配合し、コランダム鉱物とバデライト鉱物が複雑に絡んだ構造とすることで、高温で安定化されていない単斜晶相からなるZrO2を含有していても、熱的に安定な耐火骨材とできる。具体的には、ZrO2成分の転移する温度をまたいで熱サイクルを与えても粒子に亀裂が入ることを効果的に抑制し、耐火物原料として使用することを可能としたものである。
なお、ZrO2成分の含有量は、粒子が破砕しにくい充分な強度を有し、熱伝導率を低下させる観点から3質量%以上含有させることが好ましく、また、ジルコニアの転移温度をまたぐ、850℃〜1250℃の熱履歴を与えても粒子に亀裂が発生するのを効果的に抑制できる点から、31.5質量%以下であることが好ましい。ZrO2成分の含有量が31質量%以下であるとさらに好ましい。
本発明の軽量耐火骨材は、その粒径が50μm〜5mmのものであることが軽量耐火骨材として好ましく、その粒径が50μm〜2mmであるとより好ましい。また、100μm〜1mmの粒子が、特には、100μm〜600μmの粒子が、このアルミナ−ジルコニア質中空粒子中に90質量%以上含有するものであるとより好ましい。
また、この軽量耐火骨材は、その用途によって粒径の範囲を適宜選択すればよく、例えば、不定形耐火物の用途の場合には、100μm〜5mmが好ましく、100μm〜1mmであるとさらに好ましい。軽量結合レンガの用途の場合には、好ましくは100μm〜3mm、より好ましくは100μm〜2mmの範囲の粒子を使用できる。
本発明の軽量耐火骨材を断熱キャスタブルの骨材として使用する場合、その粒径が5mmを超えると、断熱キャスタブルの熱伝導率が高くなるおそれがあるので、本発明の断熱キャスタブル用粉体組成物において、軽量耐火骨材の粒径が5mm未満であることが好ましい。軽量耐火骨材の粒径が2mm未満であるとより好ましい。さらに、この軽量耐火骨材の粒径が1.5mm以下であるとさらに好ましく、1.0mm以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、粒径は、JIS篩いの目開き直径でいうものとする。軽量耐火骨材の粒径は、100〜425μmであると、これを含有する粉体組成物に水を添加して混練し、坏土とした際に適当な流動性が得られるため好ましい。
本発明の軽量耐火骨材は、その嵩比重が0.5〜1.8であると、これを骨材として用いた施工体に断熱性を付与すると同時に耐火物の軽量化を図ることができる点で好ましい。この嵩比重は、1.5以下であるとさらに好ましく、1.2以下であると特に好ましい。一方、軽量耐火骨材の嵩比重が0.5未満であると、粒子の強度が低下するため好ましくなく、0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
本発明の軽量耐火骨材の熱伝導率は、耐火物の断熱性に影響を及ぼす耐火骨材として重要な特性であり、1000℃における熱伝導率が0.3〜0.6W/m・Kの範囲であることが好ましい。このような範囲とすることで、本発明の軽量耐火骨材を使用した耐火物を、従来よりも低熱伝導にし、断熱性を向上させたものとできる。
この熱伝導率は、軽量耐火骨材の化学成分と、耐火物を構成した際の空隙比率および空隙の大きさの分布とにより主に決定され、本発明においては、Al2O3成分に、そのAl2O3成分よりも熱伝導率の低いZrO2成分を混合させて中空粒子としているため、Al2O3成分が主成分の中空粒子よりも熱伝導率を低下させることができ、耐火骨材としての断熱性を向上させたものである。
また、本発明の軽量耐火骨材は、耐火骨材として、それを適用した耐火物の耐火性を高めることに成功し、その溶解温度(融点)が1700℃以上であることが軽量、良好な断熱性、かつ良好な耐熱性をバランスさせる点で好ましい。溶解温度が1750℃以上であるとさらに好ましく、溶解温度が1800℃以上であると特に好ましい。なお、耐火物の耐熱性は、耐火度で表現することもあるが、上記溶解温度は、耐火度としては、39〜42に相当する。
さらに、本発明の軽量耐火骨材は、耐火物の品質を向上させるなどの観点から実用的な強度を有することが好ましい。中空粒子の強度を直接測定することは難しいので、本明細書では、金型に体積既知の粒子を充填し、20kg/cm2の圧力を掛けた場合の高さから体積圧縮率を求めて評価する(強度評価1)。前記体積収縮率が6%以下であると好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。また、別の評価方法(強度評価2)として、300μm〜600μmの粒子、約120〜150個中の破砕粒子をカウントし、全体粒子で割って破砕粒子比率を算出して評価する。破砕粒子比率が2.0%未満であると好ましく、破砕粒子比率が1.0%以下であるとさらに好ましい。
これは、Al2O3成分及びZrO2成分を併用した効果であり、Al2O3成分単独で構成された耐火骨材よりも強度が高い。そのため、本発明の軽量耐火骨材で耐火物を構成した際に骨材が破損したりする等により、耐火物の形状や性能が変動することを抑制し、安定した耐火物とできる。
これは、Al2O3成分及びZrO2成分を併用した効果であり、Al2O3成分単独で構成された耐火骨材よりも強度が高い。そのため、本発明の軽量耐火骨材で耐火物を構成した際に骨材が破損したりする等により、耐火物の形状や性能が変動することを抑制し、安定した耐火物とできる。
上記に説明した本発明の軽量耐火骨材は、その原料としてAl2O3及びZrO2原料を所定の配合比率に混合し、Al2O3成分及びZrO2成分を、それぞれ得られるAl2O3成分及びZrO2成分の比で含有するようにして、軽量耐火骨材の出発原料とする。
軽量耐火骨材の製造方法としては、焼結法又は電融−風砕法が一般的に用いられる。前者では有機物などの球状粒子を芯材としてその周囲に原料を絡め、焼成することにより、有機物などの芯材を揮発させ中空耐火物原料を製造する。また後者では国際公開第2009/072627号公報(特許文献3)に記載されているように、所定の組成の原料をアーク式の電気炉などで溶解し、その溶解原料に高圧の空気などを吹き付けて中空粒子化する方法がある。本発明の軽量耐火骨材を得るには、いずれの方法を用いることも可能であるが、製造コストの面から電融法が有利である。
また、焼結法では組成を自由に選ぶことが可能であるが、電融法では、Al2O3成分及びZrO2成分の合量を96質量%以上にすることが好ましく、98質量%以上とすることがより好ましい。前記合量が99.3質量%以上であると特に好ましい。電融法においては、不純物成分値が高くなると一般的に原料の溶融温度の低下を招き、結果として中空粒子が製造できないか、もしくは嵩比重が低下せず、軽量で低熱伝導を実現する中空の耐火骨材を得ることができない場合がある。
また、その製造方法による製造過程で、不純物成分がなくなる場合には、原料としてそのような成分が含まれていても問題ない。例えば、国際公開第2009/072627号公報(特許文献3)に記載されているように、使用済みの耐火物をリサイクルして、Al2O3成分及びZrO2成分の含有量を高純度化し、高酸化性の耐火物粒子を簡便かつ、生産性良く製造する電融法による耐火物粒子の製造方法を用いてもよい。
以下に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によってなんら限定されるものではない。
炉内径直径800mm、高さ600mm、炉内容積0.6m3のアーク式溶融炉を試験炉として使用し、トランスとしては500kVAを使用した。なお、溶融炉の内張耐火物は、Al2O3含有量97%以上の電鋳耐火物を使用した。
Al2O3原料としては99.3%以上の純度のバイヤーアルミナ、ZrO2原料としては99.5%以上の純度の電融ジルコニアカレットを用い、これら原料を所定の組成に混合して、最終的にAl2O3成分及びZrO2成分が表1の割合(質量%)となるように溶融原料とした。
これらの溶融原料を電気炉で溶融した。溶融条件は電圧100−300V、電力100〜400kWで、溶融用混合原料の全体投入時間は20〜30分であった。溶解に必要とした電力は1トン当たり約2000kWhであった。
次に、圧力4MPaの圧縮空気に0.4L/秒の水を加え、図1の如く、圧縮空気を水と共に溶融物の下方から前方に向けて出湯された溶融物に吹付けて、溶融物を粒子化した。粒子は耐火物で保護された金属製の捕集容器にて回収し、耐火物粒子とした。このときの圧縮空気の流速は100m/秒であった。
なお、図1は、溶融終了後、粒子化する場合の概念図であるが、1は溶融炉本体、2は溶融するための電極(溶融電極)、3は溶融物、をそれぞれ示す。溶融電極2には図示しないが制御系統を通して電源に接続される。溶融物3は、出湯口4より排出されるが、出湯口4の後方に設置されたノズル5から圧縮空気6と水を吹付けることにより、粒子7となって浮遊し、捕集箱8で回収される。この圧縮空気によって、粒子は十分に酸化された状態で粒子化されるため、その後に粉砕工程や粒子を酸化するための熱処理工程等が不要となる。
得られた粒子の粒度は95%以上が、0.1〜4mmの範囲であり、98%以上が0.05〜15mmの範囲であった。このとき粒度のピークは1.2mmであった。
得られた各耐火物粒子の化学成分を蛍光X線回折装置(リガク社製)により分析した結果を表1〜3に示す。例1〜3、例9が本発明の比較例であり、例4、例6〜例8、例12、例13が本発明の参考例であり、例5が本発明の実施例である。例10、例11は参考例として電鋳耐火物の物性を示す。例10は、アルミナ質電鋳耐火物、例11はジルコニア質電鋳耐火物である。なお、表中、溶解温度(℃)は、化学組成からZrO2−Al2O3状態図より読み取った。
例4〜9では徐々にジルコニア含有量を増大し、最後はジルコニア98質量%程度の粒子を試作し、同じく0.1〜1.0mmの粒子について嵩比重を測定した。
[嵩比重]
嵩比重は、体積既知の容器に0.1〜1.0mm粒子を軽く三回タップし充填し、擦りきり後の質量を測定して算出した。粒子の粒径を揃えた理由は、変動要素を軽減するためである。
例1〜3ではアルミナ原料のみを溶解した。結果としてアルミナ含有量は、99.4〜99.7質量%となり、0.1〜1.0mm粒子の嵩比重は、それぞれ0.9〜1.2g/cm3となった。嵩比重が、0.9〜1.2と一定にならなかった理由は、周囲の耐火物が溶解し、純度が低下したことが原因と考えられる。例4〜9ではジルコニア含有量を増大していったが、同様に多少の不純物に影響され嵩比重が変動していると考えられる。
嵩比重は、体積既知の容器に0.1〜1.0mm粒子を軽く三回タップし充填し、擦りきり後の質量を測定して算出した。粒子の粒径を揃えた理由は、変動要素を軽減するためである。
例1〜3ではアルミナ原料のみを溶解した。結果としてアルミナ含有量は、99.4〜99.7質量%となり、0.1〜1.0mm粒子の嵩比重は、それぞれ0.9〜1.2g/cm3となった。嵩比重が、0.9〜1.2と一定にならなかった理由は、周囲の耐火物が溶解し、純度が低下したことが原因と考えられる。例4〜9ではジルコニア含有量を増大していったが、同様に多少の不純物に影響され嵩比重が変動していると考えられる。
[熱伝導率]
次に例1〜9のサンプルについて常温(20℃)、500℃、1000℃の熱伝導率(W/(m・K))を測定した。熱伝導率の測定に用いた粒子は、0.1mm〜1.0mmの粒径を有するもので篩により分級したものを使用した。熱伝導率の測定には高温熱伝導率自動測定装置(スペインラボ社製、商品名:HWM−15)を用いた。
次に例1〜9のサンプルについて常温(20℃)、500℃、1000℃の熱伝導率(W/(m・K))を測定した。熱伝導率の測定に用いた粒子は、0.1mm〜1.0mmの粒径を有するもので篩により分級したものを使用した。熱伝導率の測定には高温熱伝導率自動測定装置(スペインラボ社製、商品名:HWM−15)を用いた。
参考のために同様に電融法で製造されたアルミナ質電鋳煉瓦(例10)およびジルコニア質電鋳煉瓦(例11)の熱伝導率を表2に併せて示す。これによればアルミナはジルコニアの2倍以上の熱伝導率を示し、特に常温ではその差が大きい。
嵩比重と熱伝導率(20℃、500℃、1000℃の平均値)との関係を図2に示す。単にアルミナ組成の中空粒子(例1〜3)と、アルミナ質電鋳煉瓦(例10)の熱伝導率と嵩比重の関係を比較すると嵩比重が増大すると共に熱伝導率が増大していくことが判る。一方でアルミナの一部をジルコニアに置き換えていくと嵩比重が高くなっていっても、熱伝導率が変わらないか、低下傾向を示すことが判る。
参考例として示したジルコニア質電鋳煉瓦(例11)の熱伝導率はアルミナ質電鋳煉瓦(例10)の1/2以下であり、ジルコニア量の増大により熱伝導率が低下している原因は、ジルコニアの熱伝導率がアルミナに比較して低いことに起因している。
[熱サイクル試験]
次に粒子の熱的安定性を確認するために、ジルコニアの転移温度である1100℃を前後する850℃〜1250℃を40回、100℃/hの昇降温速度で変動させ、粒子に発生する亀裂比率(個数基準)を顕微鏡で観察した。
亀裂が観察されない又は1%以下の粒子で亀裂が観察された場合:○、1%超10%以下の粒子で亀裂が観察された場合:△、10%超の粒子で亀裂が観察された場合:×として評価した。
次に粒子の熱的安定性を確認するために、ジルコニアの転移温度である1100℃を前後する850℃〜1250℃を40回、100℃/hの昇降温速度で変動させ、粒子に発生する亀裂比率(個数基準)を顕微鏡で観察した。
亀裂が観察されない又は1%以下の粒子で亀裂が観察された場合:○、1%超10%以下の粒子で亀裂が観察された場合:△、10%超の粒子で亀裂が観察された場合:×として評価した。
この結果、ジルコニア含有量が0〜31.4%の例1〜8では亀裂が全く発生しなかった。またジルコニア98.4%の例9では10%以上の粒子に亀裂が観察された。
[体積圧縮率]
体積一定の各粒子サンプルを直径50mmの金型内に20kg/cm2の圧力を掛けた場合の高さから体積圧縮率を求めて評価した。体積圧縮率が、3%未満を○、3%以上6%未満を△、6%以上を×として、評価(強度評価1)した。なお、中空粒子の強度を評価する場合には、同程度の空隙率で比較する必要がある。直接、測定できないので、理論比重=4.0×Al2O3量+5.6×ZrO2量と、上記嵩比重とから次の(1)式により算出した。
((理論比重−嵩比重)/理論比重))×100(%) …(1)
また、粒子中のZrO2含有量と体積圧縮率との関係を図3に示す。ZrO2を含有することにより、体積圧縮率が低下し、粒子の強度が高くなることが確認された。
体積一定の各粒子サンプルを直径50mmの金型内に20kg/cm2の圧力を掛けた場合の高さから体積圧縮率を求めて評価した。体積圧縮率が、3%未満を○、3%以上6%未満を△、6%以上を×として、評価(強度評価1)した。なお、中空粒子の強度を評価する場合には、同程度の空隙率で比較する必要がある。直接、測定できないので、理論比重=4.0×Al2O3量+5.6×ZrO2量と、上記嵩比重とから次の(1)式により算出した。
((理論比重−嵩比重)/理論比重))×100(%) …(1)
また、粒子中のZrO2含有量と体積圧縮率との関係を図3に示す。ZrO2を含有することにより、体積圧縮率が低下し、粒子の強度が高くなることが確認された。
[破砕粒子比率]
粒径300μm〜600μmの粒子を約120〜150個準備し、その中で破砕粒子が何個あるかをカウントし、全体粒子で割って破砕粒子比率を算出して評価した。破砕粒子比率が、1%以下を○、1%超2%未満を△、2%以上を×として、評価(強度評価2)した。
粒径300μm〜600μmの粒子を約120〜150個準備し、その中で破砕粒子が何個あるかをカウントし、全体粒子で割って破砕粒子比率を算出して評価した。破砕粒子比率が、1%以下を○、1%超2%未満を△、2%以上を×として、評価(強度評価2)した。
本発明は、アルミナとジルコニアを必須成分とし、軽量で充分な粒子強度を有し、断熱性もあり、しかも耐熱性も併せもつ、断熱性と耐熱性を兼ね備えた耐火物に好適な中空の耐火物粒子に関する。
1…溶融炉本体、2…溶融電極、3…溶融物、4…出湯口、5…ノズル、6…圧縮空気、7…粒子、8…捕集箱
Claims (5)
- Al2O3及びZrO2を必須成分とするアルミナ−ジルコニア質の耐火骨材であって、
Al2O3を67〜99質量%、ZrO2を1〜33質量%含有し、かつ、これらの合量が96質量%以上であり、嵩比重が0.5〜0.97である中空粒子からなることを特徴とする軽量耐火骨材。 - 前記中空粒子の1000℃における熱伝導率が0.3〜0.6W/m・Kである請求項1記載の軽量耐火骨材。
- 前記中空粒子の溶解温度が1700℃以上である請求項1又は2記載の軽量耐火骨材。
- Al2O3及びZrO2の合量が98質量%以上である請求項1乃至3のいずれか1項記載の軽量耐火骨材。
- 前記中空粒子が溶融法により得られたものである請求項1乃至4のいずれか1項記載の軽量耐火骨材。
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