JP2015193211A - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
少なくとも、基材層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層されており、
前記表面保護層が、ブロックイソシアネートを含む、加飾シート。
【選択図】なし
Description
項1. 少なくとも、基材層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層されており、
前記表面保護層が、ブロックイソシアネートを含む、加飾シート。
項2. 前記プライマー層が、ポリオール樹脂を含む樹脂組成物により形成されてなる、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記ポリオール樹脂が、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートジオールからなる群から選択された少なくとも1種である、項2に記載の加飾シート。
項4. 前記ポリオール樹脂のガラス転移点(Tg)が55℃以上であり、重量平均分子量が2千以上である、項2または3に記載の加飾シート。
項5. 前記表面保護層が、前記ブロックイソシアネートの解離反応を促進するための触媒をさらに含む、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記基材層と前記プライマー層との間に、絵柄層をさらに有する、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層されており、
前記表面保護層が、ブロックイソシアネートを含む樹脂組成物の硬化物により形成されてなる、加飾樹脂成形品。
項8. 項1〜6のいずれかに記載の加飾シートを射出成形型に挿入し、前記射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を前記射出成形型内に射出して前記樹脂と前記加飾シートとを一体化する一体化工程、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
項9. 前記加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程を前記一体化工程の前に備える、項8に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
項10. 前記真空成形工程において前記加飾シートを加熱する工程を有する、項9に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層されており、表面保護層が、ブロックイソシアネートを含むことを特徴とする。本発明の加飾シートにおいては、表面保護層がブロックイソシアネートを含んでおり、かつ、当該表面保護層がプライマー層の上に積層されていることにより、成形性に優れると共に、加飾樹脂成形品に高い耐薬品性を付与する機能を有する加飾シートとすることができる。本発明の加飾シートによって加飾樹脂成形品に高い耐薬品性を付与できる詳細な機構は必ずしも明確でないが、例えば次のように考えることができる。表面保護層がブロックイソシアネートを含んでおり、かつ、当該表面保護層がプライマー層の上に積層されているため、加飾シートを成形して加飾樹脂成形品とする過程でブロックイソシアネートによる架橋反応が開始し、表面保護層自体に加え、表面保護層とプライマー層との界面部分においても架橋密度が高められる。加飾シートにおいては、最表面に位置する表面保護層とプライマー層との界面は、各層内に比して剥離や薬品による劣化が生じやすい部分であるが、本発明の加飾シートにおいては、表面保護層とプライマー層との界面部分においても架橋密度が高められるため、加飾樹脂成形品に成形した際の耐薬品性が効果的に高められている。さらに、本発明の加飾シートにおいては、加飾シートを成形して加飾樹脂成形品とする前まではブロックイソシアネートによる反応を開始させることなく、表面保護層の架橋密度を低く維持することができている。このため、成形時における本発明の加飾シートは、適度な柔軟性を保持しており、優れた成形性を備えている。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、プライマー層2と、表面保護層3とがこの順に積層された積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、樹脂成形品に装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、絵柄層4を設けてもよい。また、基材層1の色の変化やバラツキを抑制することなどを目的として、基材層1とプライマー層2との間、絵柄層4を設ける場合であれば基材層1と絵柄層4との間などに、必要に応じて、隠蔽層5を設けてもよい。さらに、基材層1の下に、接着層6などを設けてもよい。
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
表面保護層3は、加飾シートの耐薬品性、耐傷付き性などを高めるために、後述のプライマー層2の直上に設けられる層である。表面保護層3は、ブロックイソシアネートを含む樹脂組成物により形成されている。上述の通り、本発明の加飾シートにおいては、表面保護層3がブロックイソシアネートを含んでいるため、加飾シートを成形して加飾樹脂成形品とする過程でブロックイソシアネートによる架橋を開始させ、表面保護層、及び表面保護層とプライマー層との界面の架橋密度を高めて硬く形成することができ、得られる加飾樹脂成形品に優れた耐薬品性を付与しているものと考えられる。このため、本発明の加飾シートを用いて得られる加飾樹脂成形品は、耐薬品性が効果的に高められている。また、本発明の加飾シートでは、加飾シートを加熱して成形に供する過程において、表面保護3に含まれるブロックイソシアネートの保護基を解離させ、生成するイソシアネート化合物による架橋反応を開始させることができるため、成形時には適度な柔軟性を保持しており、優れた成形性も備えている。
表面保護層3の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層3の形成において好適に使用される。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されず、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜6個が挙げられる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有する多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートであることが好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されない。このようなウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜12個が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、シリコーンで変性されたシリコーン変性ウレタン(メタ)アクリレートを用いてもよい。表面保護層3の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物に、上記のポリカーボネート(メタ)アクリレートに加えて、ウレタン(メタ)アクリレートをさらに含んでいてもよい。ウレタン(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾シートにおいて、プライマー層2は、加飾シートの耐薬品性及び成形性を高めることを目的として、表面保護層3の直下に設けられる層である。本発明においては、表面保護層3とプライマー層2とが接するように設けられていることにより、表面保護層3とプライマー層2との界面部分において、表面保護層3に含まれるブロックイソシアネートがプライマー層2を構成する下記のプライマー組成物と架橋反応し、表面保護層3とプライマー層2とが強固に接着される。このため、加飾シートの耐薬品性が高められている。
絵柄層4は、樹脂成形品に装飾性を与える層であり、基材層1と表面保護層3との間などに必要に応じて設けられる。絵柄層4は、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。絵柄層4によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
隠蔽層5は、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と表面保護層3との間、絵柄層4を設ける場合であれば基材層1と絵柄層4との間などに、必要に応じて設けられる層である(図示していない)。
接着層6は、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて設けられる層である。接着層6を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層されており、表面保護層が、ブロックイソシアネートを含む樹脂組成物の硬化物により形成されてなることを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の絵柄層4、隠蔽層5などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
(加飾シートの作製)
基材としてのABS樹脂フィルム(厚さ:400μm)上に、アクリル樹脂をバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷により木目柄の絵柄層(厚み5μm)を形成した。次に絵柄層の全面に、表1及び表2に記載の組成を有するプライマー組成物を用いてグラビア印刷によりプライマー層(厚み2μm)を設けた。次に、表1及び表2に記載の樹脂(電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂)を、樹脂組成物の硬化後の厚みが10μmとなるようにバーコートにより塗工した。次に、樹脂組成物を硬化させて、表面保護層を形成した。次に、電子線硬化性樹脂を用いた場合については、未硬化の表面保護層に対して、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂を硬化させた。また、熱硬化性樹脂を用いた場合については、硬化が完了するまで40℃で養生した。熱可塑性樹脂を用いた場合については、塗工後特に何もしなかった。以上のようにして、基材層/絵柄層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。次に、得られた加飾シートの成形性、密着性、耐薬品性、及び耐熱密着性を以下のようにして評価した。結果を表1及び表2に示す。
真空成形にて、加飾シートを180℃に加熱し、延伸倍率が100〜250%となる部分を有する型、延伸倍率が100〜300%となる部分を有する型、及び延伸倍率が100〜350%となる部分を有する型を用いて成形を行った。成形後の加飾シートの表面状態を目視で観察し、成形性を以下の基準で評価した。
◎◎◎:伸度350%の部分で塗膜の割れがなく、成形性が特に高い
◎◎:伸度300%の部分で塗膜の割れがなく、成形性が極めて高い
◎:伸度250%の部分で塗膜の割れがなく、成形性が非常に高い
○:伸度200%の部分で塗膜の割れがなく、成形性が高い
△:伸度150%の部分で塗膜の割れがなく、成形性は実用上問題がない
××:伸度150%未満の部分で塗膜の割れがあり、成形性は実用上問題がある
上記の成形性評価を行った後の各加飾シートの表面に対して、カッターで長さ5mm、間隔2mmで縦11本、横11本の切れ込みを入れ、縦10マス×横10マスの合計100マスの碁盤目状の切れ込みを形成した。この切れ込みの上から、ニチバン社製のセロテープ(登録商標)(No.405−1P)を圧着した後、急激に剥離することにより、表面保護層の密着性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:剥離が全く見られない
○:剥離が目視では見られない
×:剥離が見られる
エタノール水溶液
上記の成形性評価を行った後の各加飾シートの表面に、ガーゼ(縦20mm×横20mm×厚み約1mm)を3枚重ねにして置き、エタノール(純度99.5%)をガーゼ全面が浸されるまでエタノール水溶液を滴下し(滴下量は3〜5ml)、上から時計皿で被覆した。これを室温(25℃)で1時間放置した後、時計皿及びガーゼを取り除いて、加飾シートのガーゼをのせていた部分(試験表面)の状態を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
◎:試験表面に塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等の異常が見られず、外観は良好だった
○:試験表面の一部に軽微な塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等が確認されたが、外観は実用上問題なかった
△:試験表面の全体に軽微な塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等が確認され、外観が悪く実用上問題があった
×:試験表面の全面に塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等の異常が確認され、外観が悪く実用上問題があった
上記の成形性評価を行った後の各加飾シートの表面に対して、縦50mm×横50mmの部分に市販の日焼け止め化粧料0.5gを均一に塗布した。これを80℃のオーブン内に1時間放置した。加飾シートを取り出し、洗浄液で表面を洗い流した後、日焼け止め化粧料を塗布した部分(試験表面)の状態を目視で観察して、日焼け止め化粧料について耐薬品性を以下の基準で評価した。日焼け止め化粧料は、市販のSPF50のものであり、成分として、1−(4−メトキシフェニル)−3−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3−プロパンジオン 3%、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル 10%、サリチル酸2−エチルヘキシル 5%、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル 10%を含有している。
◎:試験表面に塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等の異常が見られず、外観は良好だった
○:試験表面の一部に軽微な塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等が確認されたが、外観は実用上問題なかった
△:試験表面の全体に軽微な塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等が確認され、外観が悪く実用上問題があった
×:試験表面の全面に塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等の異常が確認され、外観が悪く実用上問題があった
実施例5、7、8、比較例3で得られた加飾シートを、それぞれ、180℃に加熱し、延伸倍率が100〜300%となる部分を有する型を用いて真空成形を行った。次に、ABS樹脂を成形樹脂として用いた射出成形によって、加飾樹脂成形品を得た。なお、射出成形時の成形樹脂の温度は、240℃とした。得られた加飾樹脂成形品を、110℃、相対湿度15%の環境下で1週間静置した後、表面保護層の剥がれについて評価した。評価基準は、以下の通りである。結果を表2に示す。
◎:表面保護層の剥がれは全く見られず、耐熱密着性は非常に良好である。
〇:表面保護層の剥がれが若干見られたが、軽微であり、耐熱密着性は良好である。
△:表面保護層の剥がれが若干見られたが、実用上問題ない。
××:表面保護層が剥がれ、実用上問題がある。
樹脂
A:熱硬化性樹脂
アクリルポリオール(水酸基価:55、重量平均分子量:8千)
B:電子線硬化性樹脂
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:1万) 65質量部
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:2万) 32質量部
4官能シリコーン変性ウレタンアクリレート(重量平均分子量:6千)3質量部
C:熱可塑性樹脂
アクリル樹脂(PMMA、重量平均分子量1万)
硬化剤
a:ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーのブロック体(反応開始温度110℃)
b:ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
2…プライマー層
3…表面保護層
4…絵柄層
Claims (10)
- 少なくとも、基材層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層されており、
前記表面保護層が、ブロックイソシアネートを含む、加飾シート。 - 前記プライマー層が、ポリオール樹脂を含む樹脂組成物により形成されてなる、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記ポリオール樹脂が、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートジオールからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項2に記載の加飾シート。
- 前記ポリオール樹脂のガラス転移点(Tg)が55℃以上であり、重量平均分子量が2千以上である、請求項2または3に記載の加飾シート。
- 前記表面保護層が、前記ブロックイソシアネートの解離反応を促進するための触媒をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記基材層と前記プライマー層との間に、絵柄層をさらに有する、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層されており、
前記表面保護層が、ブロックイソシアネートを含む樹脂組成物の硬化物により形成されてなる、加飾樹脂成形品。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シートを射出成形型に挿入し、前記射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を前記射出成形型内に射出して前記樹脂と前記加飾シートとを一体化する一体化工程、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。 - 前記加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程を前記一体化工程の前に備える、請求項8に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
- 前記真空成形工程において前記加飾シートを加熱する工程を有する、請求項9に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
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