JP2015192640A - 培養容器及びそれを利用した複数の積層細胞シートの作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、温度応答性ポリマーを表面に被覆した培養皿に組み込んだ入れ子内で細胞を培養して細胞シートを得て、細胞付着部を具備した培養細胞移動治具により細胞シートを回収する工程を繰り返すことによって、積層細胞シートを得る工程を含む積層細胞シートを製造する方法、及び該方法に使用される細胞培養容器を提供する。
【選択図】なし
Description
(a)0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを被覆した培養面を有する細胞培養基材上に細胞を播種し、前記ポリマーの水和力が弱い温度で細胞を培養する工程;
(b)工程(a)で得られた細胞に、細胞付着部を具備した培養細胞移動治具を積載し、前記ポリマーの水和力が強い状態となる温度で静置後、前記培養面から剥離した細胞シートを培養細胞移動治具に付着させる工程;
(c)さらに工程(a)において細胞を培養し、次に、該細胞上に、工程(b)で得られた細胞シートを付着した培養細胞移動培養細胞移動治具を積層し、前記ポリマーの水和力が強い状態となる温度で静置後、前記培養面から剥離した細胞シートを培養細胞移動治具に付着させて細胞シートを積層する工程;及び
(d)工程(c)で得られた積層細胞シートを付着させた培養細胞移動培養細胞移動治具を、細胞培養基材上に積載し、培養細胞移動治具細胞付着部と積層細胞シートの付着力を弱め、積層細胞シートを細胞培養基材上に付着させた後、細胞移動治具を除去する工程
を含む方法。
[2]前記工程(a)が、前記細胞培養基材に第一の入れ子を組み入れ、該第一の入れ子の内側に細胞を播種し、前記ポリマーの水和力が弱い温度で細胞を培養後、該第一の入れ子を除去する工程を含む、上記[1]に記載の積層細胞シートを製造する方法。
[3]前記工程(a)において、前記細胞培養基材の培養面が、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを被覆し、前記ポリマーの水和力が弱い温度では細胞が接着する領域と、いずれの温度でも細胞が接着しない領域とを有する培養面である上記[1]に記載の積層細胞シートを製造する方法。
[4]前記積層細胞シートを製造する方法であって、
前記工程(c)と(d)の前に、さらに前記(a)〜(c)の工程を繰り返して、3層以上の積層細胞シートを得る工程をさらに含む、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の積層細胞シートを製造する方法。
[5]工程(d)で得られた積層細胞シートを付着させた細胞培養基材に、第二の入れ子を積載し、該第二の入れ子の内側に培地を添加し、細胞培養基材を覆う蓋を積載する工程をさらに含む、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の積層細胞シートを製造する方法。
[6]細胞付着部が、細胞接着性タンパク質、細胞接着性ペプチド、及び親水性ポリマーからなる群から1種又は2種以上選択される、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の積層細胞シートを製造する方法。
[7]細胞接着性タンパク質が、ゼラチンゲル、フィブリンゲル、フィブロネクチン、ラミニン、及びコラーゲンからなる群から1種又は2種以上選択される、上記[6]に記載の方法。
[8]0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーが、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)である、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9]前記第一の入れ子が、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、又は384ウェルを有する、上記[2]に記載の方法。
[10]前記細胞を接着する領域が、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、又は384ウェルと対応する領域を有する、上記[3]に記載の方法。
[11]前記第二の入れ子が、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、又は384ウェルを有する、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の方法。
[12]上記[1]〜[11]のいずれか1つに記載の方法に使用される培養容器であって、蓋、細胞培養基材、入れ子、を備える上記培養容器。
[13]前記入れ子が、光非透過性の樹脂材料で成形されている、[12]に記載の培養容器。
本発明によれば、積層細胞シートを作製するために、新たに開発した細胞培養容器が提供される。本発明の細胞培養容器は、上述したように、例えば、図1に示される蓋、カバープレート、入れ子、支持体、及びベースプレートを構成部品として具備することを特徴とするが、本発明の積層細胞シートを作製する工程において、上記の細胞培養容器の他に、製造工程の一部において、限定されないが、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを表面に被覆した培養皿、及び細胞付着部を有する培養細胞移動治具を用いることができる(図5参照)。
本発明の積層細胞シートを作製する方法において使用される培養皿は、後述する入れ子を組み込むための受け皿として使用される。培養皿の形状は、組み込まれる入れ子の形状及び大きさに合致していれば、特に限定されない。ここで、本明細書において使用するとき、用語「合致する」とは、組み合わせられる2部品が互いに組み合わせることが可能な程度に形状及び大きさが実質的に一致していることを意味する。例えば、培養皿と入れ子を組み合わせる場合、入れ子は、それを受け入れる培養皿の内部形状に実質的に一致し、さらに、培養皿の内寸に実質的に一致するような大きさを有していればよい。この場合、入れ子は、必要に応じて、培養皿から出し入れされるため、出し入れが可能な程度に、培養皿の内寸より小さいことが好ましい。
本発明の積層細胞シートを製造する方法において使用される入れ子は、上記培養皿に組み込まれ、ウェルごとに独立させて細胞シートを作製するために適したものである。入れ子の素材は、限定されないが、上記の培養皿と同じ素材であってもよい。ここで、本発明の入れ子内の各ウェルの数及び形状は、限定されないが、6個、12個、24個、48個、96個、384個であってもよく、各々、単一の内径を有する円筒形状に貫通しているものであってもよい。また、各ウェルは、限定されないが、水平面で縦及び横に、各々均等な間隔で配置されていることが好ましい。例えば、ウェル数が96個の場合、市販の96ウェルプレートのように縦8×横12の配置をとることができる。
本発明の積層細胞シートを製造する方法において使用される培養細胞移動治具は、本体に細胞付着部を具備することを特徴とし、培養皿で作製した細胞シートを該細胞付着部に付着させ、培養皿から剥離し、及び回収するために使用される(工程(b))。培養細胞移動治具の素材は、限定されないが、上記の培養皿と同じ素材であってもよい。本発明によれば、培養皿で新たに作製した細胞シート上に、先に得られた細胞シートを付着した培養細胞移動治具を積層することによって積層細胞シートを得ることができる(工程(c)及び(d))。ここで、細胞シートを付着させる方法は、限定されないが、本発明の培養細胞移動治具には、細胞付着部が設けられているため、培養皿上の培養シートに培養細胞移動治具を積層し、静置させるだけでよい。細胞付着部は、限定されないが、例えば、細胞接着性タンパク質、細胞接着性ペプチド、又は親水性ポリマーの1種若しくは2種以上からなるものであってもよい。細胞付着部に細胞接着性タンパク質及び/又は細胞接着性ペプチドを用いた場合、細胞シートは、培養細胞移動治具に対して、その細胞接着性タンパク質及び/又は細胞接着性ペプチドを介して付着する。また、細胞付着部に親水性ポリマーを利用した場合、親水性ポリマーの吸水力又は細胞付着部ポリマー層表面の親疎水性の性質に応じて、細胞シートが物理的に付着する。その際、付着を促進させる目的で細胞シートに負担がかからない程度に荷重をかけてもよい。
本発明の積層細胞シートを製造する方法において使用される支持体は、積層化させた細胞シートを培養時に支持する部品である。支持体の大きさ及び形状は、培養皿及びベースプレートに合致していればよい。一方、支持体の厚さは、作製した積層培養シートを支持するのに十分な強度が得られる程度であればよく、支持体の素材に応じて適宜変更することができる。また、本発明の細胞培養容器中で積層培養シートを観察又は測定を行うために、支持体は透過性を有してもよく、測定の種類により、着色されていてもよい。前記支持体の細胞シートを積載する面は平面であってもよい。さらに、細胞シートの形状及び/又は数に応じて、細胞が積載される領域の外側に凸部を設けることができ、適宜選択することができる。前記凸部は、細胞シートの直径より大きく、入れ子に設けた隔壁の内壁の直径より小さいものがよく、入れ子と組み合わせた際、入れ子の隔壁の内壁と前記凸部の外部が密着させることができるようになる。これにより、細胞培養基材に組み込まれた入れ子の底面部から細胞及び培養液が漏れ出ないようになる。
本発明の積層細胞シートを作製する方法において使用されるベースプレートは、支持体を安定に固定化するための部品である。ベースプレートの素材は、限定されないが、上記の培養皿や支持体と同じ素材であってもよい。また、ベースプレートの形状及び大きさは、上記支持体又は入れ子を積層するのに適した形状及び大きさであることが好ましい。なお、プレートリーダー上で測定する場合は、ベースプレートは、プレートリーダーに設置し得る形状及び大きさであることが好ましい。より好ましくは、ベースプレートは、WO2012/098931(特許文献6)に開示された細胞培養処理システムにおいて使用される細胞シート積層化モジュールに設置し得る形状及び大きさを有する。また、ベースプレートの素材も限定されないが、例えば、上記の培養皿と同じで素材であってよく、透過性を有してもよい。
本発明の積層細胞シートを製造する方法において使用されるカバープレートは、支持体上に付着させた積層細胞シートをベースプレートに移し、入れ子を積層した後、該入れ子をベースプレートに固定するために使用される。したがって、本発明のカバープレートの形状及び大きさは、ベースプレート及び入れ子に対応していることが好ましい。また、蓋は、作製された積層細胞シートの無菌状態を維持するために必要な部位品であり、カバープレートに合致した形状及び大きさであることが好ましい。なお、ベースプレート及び蓋の素材も限定されないが、例えば、上記の培養皿と同じで素材であってよく、透過性を有してもよい。本発明の一実施形態では、蓋とカバープレートを一体化させた部品を作製することができる(図6参照)。また、蓋の代わりに、カバープレート等を密閉するフィルムを採用してもよい。
本発明によれば、本発明の細胞培養容器を用いて、積層細胞シートを製造する方法が提供される。より具体的には、本発明は、積層細胞シートを製造する方法であって、
(a)0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを被覆した培養面を有する細胞培養基材上に細胞を播種し、前記ポリマーの水和力が弱い温度で細胞を培養する工程;
(b)工程(a)で得られた細胞に、細胞付着部を具備した培養細胞移動治具を積載し、前記ポリマーの水和力が強い状態となる温度で静置後、前記培養面から剥離した細胞シートを培養細胞移動治具に付着させる工程;
(c)さらに工程(a)において細胞を培養し、次に、該細胞上に、工程(b)で得られた細胞シートを付着した培養細胞移動培養細胞移動治具を積層し、前記ポリマーの水和力が強い状態となる温度で静置後、前記培養面から剥離した細胞シートを培養細胞移動治具に付着させて細胞シートを積層する工程;及び
(d)工程(c)で得られた積層細胞シートを付着させた培養細胞移動培養細胞移動治具を、細胞培養基材上に積載し、培養細胞移動治具細胞付着部と積層細胞シートの付着力を弱め、積層細胞シートを細胞培養基材上に付着させた後、細胞移動治具を除去する工程
を含む方法を提供することができる。
本発明の方法によって製造される積層細胞シートを構成する細胞の種類は、限定されないが、例えば、得られた積層細胞シートを移植に使用する場合にはその移植部位の細胞、又は評価を行いたい臓器由来若しくは組織由来の細胞であってもよい。より具体的には、心筋組織の再生、又は心筋機能を評価する方法を目的とした場合、使用する細胞としては心筋細胞、心筋芽細胞、筋芽細胞、間葉系幹細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、線維芽細胞、骨髄由来細胞、又は脂肪由来細胞のいずれか1種若しくは2種以上の細胞が混在したものであってもよく、混在している細胞の種類及び比率は限定されない。肝組織の再生、肝組織を模倣した人工肝臓の作製、又は肝機能を評価する方法などを目的とした場合、例えば、使用する細胞としては、肝実質細胞、類洞内皮細胞、クッパー細胞、星細胞、ピット細胞、胆管上皮細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、線維芽細胞、骨髄由来細胞、脂肪由来細胞、又は間葉系幹細胞のいずれか1種若しくは2種以上の細胞が混在したものであってもよく、混在している細胞の種類及び比率は限定されない。腎組織の再生、腎組織を模倣した人工腎臓の作製、又は腎機能を評価する方法を目的とした場合、例えば、使用する細胞としては、腎細胞、顆粒細胞、集合管上皮細胞、壁側上皮細胞、足細胞、メサンギウム細胞、平滑筋細胞、尿細管細胞、間在細胞、糸球体細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、線維芽細胞、骨髄由来細胞、脂肪由来細胞、又は間葉系幹細胞のいずれか1種若しくは2種以上の細胞が混在したものであってもよく、混在している細胞の種類及び比率は限定されない。副腎組織の再生、副腎を模倣した人工副腎の作製、又は副腎機能を評価する方法を目的とした場合、例えば、使用する細胞としては、副腎髄質細胞、副腎皮質細胞、球状層細胞、束状層細胞、網上層細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、線維芽細胞、骨髄由来細胞、脂肪由来細胞、又は間葉系幹細胞のいずれか1種若しくは2種以上の細胞が混在したものであってもよく、混在している細胞の種類及び比率は限定されない。皮膚の再生、又は皮膚機能を評価する方法を目的とした場合、例えば、使用する細胞としては、表皮角化細胞、メラノサイト、立毛筋細胞、毛包細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、線維芽細胞、骨髄由来細胞、脂肪由来細胞、又は間葉系幹細胞のいずれか1種若しくは2種以上の細胞が混在したものであってもよく、混在している細胞の種類及び比率は限定されない。粘膜組織の再生、又は粘膜組織の機能を評価する方法を目的とした場合、例えば、使用する細胞としては、粘膜を構成する組織から採取される細胞であってもよい。粘膜の種類としては、頬側粘膜、胃粘膜、腸管粘膜、嗅上皮、口腔粘膜、子宮粘膜などが挙げられる。粘膜組織から採取される細胞のうち、いずれか1種若しくは2種以上の細胞が混在したものであってもよく、混在している細胞の種類及び比率は限定されない。
本発明によれば、細胞シートは、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマー(例えば、温度応答性ポリマー)を被覆した培養皿に入れ子を組み込み、各ウェルに上記の播種濃度で細胞を播種し、常法に従った培養条件下で培養することによって得られる。本発明は、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを被覆した培養皿から培養した細胞シートを回収するために、最初に、培養皿から入れ子を除去し、得られた細胞シート上に、細胞付着部を有する培養細胞移動治具を積層し、次に、培養皿の温度を被覆ポリマーの上限臨界溶解温度以上若しくは下限臨界溶解温度以下(例えば、20℃以下)で静置することによって、培養皿から培養細胞移動治具の細胞付着部に転写させることを特徴とする。その際、培養液中において行うことも、その他の等張液中において行うことも可能であり、目的に合わせて選択することができる。なお、上記の通り、温度以外の培養条件は、常法に従えばよく、限定されるものではない。例えば、使用する培地については、ウシ胎児血清(FCS)、ヒト血清などの血清が添加されている培地でもよく、また、このような血清が添加されていない無血清培地でもよい。
本発明によれば、上記の温度応答性ポリマーを被覆した培養皿及び培養細胞移動治具を用いることによって、細胞シートを積層化させ、所望の積層数を有する積層細胞シートを得ることができる。より具体的には、培養細胞移動治具に転写された細胞シートを、温度応答性ポリマーを被覆した培養皿上で新たに作製した細胞シート上に積層し、被覆ポリマーの上限臨界溶解温度以上若しくは下限臨界溶解温度以下(例えば、20℃以下)で静置することによって、積層した細胞シートを得ることができる。上記工程を繰り返すことによって、所望の積層数を有する積層細胞シートを簡便かつ迅速に作製することができる(工程(d))。なお、積層数は、積層細胞シートが使用される目的に適宜合わせればよく、限定されないが、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、又はそれを超えてもよい。
上記で作製した積層細胞シートを利用する場合、支持体に転写された積層細胞シートを用いることが好都合である。例えば、樹脂支持体に積層細胞シートを転写し、さらに、ベースプレートに積層後、入れ子を組み込み、必要に応じて、カバープレート及び蓋を積層することによって、積層細胞シートを有する密閉された細胞培養容器を薬剤の生体組織に対する効果を簡便に評価できるようになる。このような評価系は、実験動物の代替となるばかりでなく、動物の個体差に依存しない安定的なデータが得られる。
図1に示すような容器上部部品(部品A)、容器内部部品(部品B)、容器下部部品(部品C)、およびの樹脂支持体からなる細胞培養容器を作製した。その際の各部品の寸法を図2に示す。各部品の材質としては容器内部部品の一部を除いてエポキシ系樹脂(オブジェット製MED610)を選択した。得られた部品の写真を図3に示す。これらの各部品を組み合わせることで本発明の細胞培養容器を得た。細胞培養器の蓋はサーモサイエンティフィック製の既製品を適用させた。得られた培養容器の写真を図4に示す。容器内部部品の下部にはシリコーン樹脂が塗布した。最終的に、容器内部品に設けられたそれぞれの円筒は樹脂支持体を底面とする直径6.5〜7.0mm、高さ10mmの培養槽とした。顕微鏡観察ができる厚さ0.1mmの透明なポリカーボネート製樹脂支持体(99×63mm)を採用し、細胞の接着性を向上させるためにあらかじめ400W、90秒間のO2ガスプラズマ処理を行った。
セルシード社製の温度応答性ポリマーが固定化された培養皿に容器内部部品(部品B)を挿入し、それぞれの円筒内にロンザ製SkBM2培地に懸濁させたロンザ製ヒト骨格筋筋芽細胞を5×105cells/cm2となるように播種した。同様の手技で5枚の培養皿を準備した。翌日、容器内内部部品を取り出し60枚の小面積細胞シート(直径6.5mm)が接着する培養皿5枚を得た。得られた細胞シートにシグマアルドリッチ製ゼラチンの7%溶液で作製したゲルを取り付けた治具を密着させ20℃で20分間静置した後に治具を持ち上げ細胞シートをゲルに転写した。同じ作業を5回繰り返して5層の積層細胞シートとした。樹脂シートを挿入した容器上に治具を密着させ37℃20分間静置した後に緩衝溶液で洗浄して5層の積層細胞シートが60枚接着する樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを容器下部部品(部品C)の上に置き、その上に容器内部部品と容器上部部品(部品A)を置きM3のボルトとナット4組で固定した。固定後すぐにそれぞれの円筒内に200μLのSkBM2培地を添加した。これにより、隔壁で囲まれた60室に小面積の積層細胞シートを有する1枚のマルチウェルプレートが得られ、本培養容器が本発明として好ましいものであることが分かった
図6に示すような容器隔壁部品(部品D)、容器底面部品(部品E)、及び樹脂支持体からなる細胞培養容器を作製した。その際の各部品の寸法を図7に示す。各部品の材質としては容器内部部品の一部を除いてエポキシ系樹脂(オブジェット製MED610)を選択した。これらの各部品を組み合わせることで96個の隔壁にて囲まれた培養槽を有する本発明の細胞培養容器を得た。細胞培養器の蓋はサーモサイエンティフィック製の既製品を適用させた。容器内部部品の下部にはシリコーン樹脂が塗布した。最終的に、容器内部品に設けられたそれぞれの円筒は樹脂支持体を底面とする直径6.5〜7.0mm、高さ10mmの培養槽とした。顕微鏡観察ができる厚さ0.1mmの透明なポリカーボネート製の樹脂支持体(104×72mm)を採用し、細胞の接着性を向上させるためにあらかじめ400W、90秒間のO2ガスプラズマ処理を行った。
図8に示すような容器隔壁部品(部品A、B2)、容器底面部品(部品F)からなる細胞培養容器を作製した。各部品はポリカーボネートを使用し作製し、部品B2にはシリコーン製の緩衝板をインサート成形にて装着した。これらの各部品を組み合わせることで60個の隔壁にて囲まれた培養槽を有する本発明の細胞培養容器を得た。細胞培養器の蓋はサーモサイエンティフィック製の既製品を適用した。部品Fは細胞の接着性を向上させるためにあらかじめ400W、90秒間のO2ガスプラズマ処理を行った。
図5(1)に示すウェルプレートサイズに合わせた小面積細胞シートを作製する工程に代えて、図11に示す温度応答性培養表面と細胞非接着表面を有する細胞培養容器を利用し、小面積細胞シートを得る工程を採用した。図11の細胞培養容器に、ロンザ製SkBM2培地に懸濁させたロンザ製ヒト骨格筋筋芽細胞を5×105cells/cm2となるように播種した。同様の手技で5枚の培養皿を準備した。翌日、得られた細胞シートにシグマアルドリッチ製ゼラチンの7%溶液で作製したゲルを取り付けた治具を密着させ20℃で20分間静置した後に治具を持ち上げ細胞シートをゲルに転写した。同じ作業を5回繰り返して5層の積層細胞シートとした。樹脂シートを挿入した容器上に治具を密着させ37℃20分間静置した後に緩衝溶液で洗浄して5層の積層細胞シートが60枚接着する樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを容器下部部品(図5の部品Cに相当)の上に置き、その上に容器内部部品と容器上部部品(図5の部品Aに相当)を置きM3のボルトとナット4組で固定した。固定後すぐにそれぞれの円筒内に200μLのSkBM2培地を添加した。これにより、隔壁で囲まれた60室に小面積の積層細胞シートを有する1枚のマルチウェルプレートが得られ、本培養容器が本発明として好ましいものであることが分かった。
Claims (13)
- 積層細胞シートを製造する方法であって、
(a)0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを被覆した培養面を有する細胞培養基材上に細胞を播種し、前記ポリマーの水和力が弱い温度で細胞を培養する工程;
(b)工程(a)で得られた細胞に、細胞付着部を具備した培養細胞移動治具を積載し、前記ポリマーの水和力が強い状態となる温度で静置後、前記培養面から剥離した細胞シートを培養細胞移動治具に付着させる工程;
(c)さらに工程(a)において細胞を培養し、次に、該細胞上に、工程(b)で得られた細胞シートを付着した培養細胞移動培養細胞移動治具を積層し、前記ポリマーの水和力が強い状態となる温度で静置後、前記培養面から剥離した細胞シートを培養細胞移動治具に付着させて細胞シートを積層する工程;及び
(d)工程(c)で得られた積層細胞シートを付着させた培養細胞移動培養細胞移動治具を、細胞培養基材上に積載し、培養細胞移動治具細胞付着部と積層細胞シートの付着力を弱め、積層細胞シートを細胞培養基材上に付着させた後、細胞移動治具を除去する工程
を含む方法。 - 前記工程(a)が、前記細胞培養基材に第一の入れ子を組み入れ、該第一の入れ子の内側に細胞を播種し、前記ポリマーの水和力が弱い温度で細胞を培養後、該第一の入れ子を除去する工程を含む、請求項1に記載の積層細胞シートを製造する方法。
- 前記工程(a)において、前記細胞培養基材の培養面が、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを被覆し、前記ポリマーの水和力が弱い温度では細胞が接着する領域と、いずれの温度でも細胞が接着しない領域とを有する培養面である、請求項1に記載の積層細胞シートを製造する方法。
- 前記積層細胞シートを製造する方法であって、
前記工程(c)と(d)の前に、さらに前記(a)〜(c)の工程を繰り返して、3層以上の積層細胞シートを得る工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層細胞シートを製造する方法。 - 工程(d)で得られた積層細胞シートを付着させた細胞培養基材に、第二の入れ子を積載し、該第二の入れ子の内側に培地を添加し、細胞培養基材を覆う蓋を積載する工程
をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層細胞シートを製造する方法。 - 細胞付着部が、細胞接着性タンパク質、細胞接着性ペプチド、及び親水性ポリマーからなる群から1種又は2種以上選択される、請求項1〜5に記載の積層細胞シートを製造する方法。
- 細胞接着性タンパク質が、ゼラチンゲル、フィブリンゲル、フィブロネクチン、ラミニン、及びコラーゲンからなる群から1種又は2種以上選択される、請求項6に記載の方法。
- 0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーが、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記第一の入れ子が、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、又は384ウェルを有する、請求項2に記載の方法。
- 前記細胞を接着する領域が、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、又は384ウェルと対応する領域を有する、請求項3に記載の方法。
- 前記第二の入れ子が、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、又は384ウェルを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法に使用される培養容器であって、蓋、細胞培養基材、入れ子、を備える上記培養容器。
- 前記入れ子が、光非透過性の樹脂材料で成形されている、請求項12に記載の培養容器。
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