JP2015183291A - 銀被覆銅粉及びこれを用いた導電性ペースト - Google Patents

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卓 藤本
康成 脇森
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康成 脇森
林 富雄
Tomio Hayashi
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Abstract

【課題】被覆する銀の量を増やすことなく、導電性ペーストを作製した際に、ペーストが経時的に増粘するのを抑制できる銀被覆銅粉を提供する。【解決手段】銅粉粒子が銀で被覆されると共に、当該銅粉粒子の表面が部分的に露出してなる構成を備えた銀被覆銅粉粒子からなる銀被覆銅粉であって、銀の被覆量が銅の含有量の35質量%以下であり、且つ、X線光電子分光装置(XPS)を用いて銀被覆銅粉粒子の表面を測定して得られるX線光電子分光スペクトルにおいて、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率が0.02〜0.60であることを特徴とする銀被覆銅粉を提案する。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性ペーストなどの材料として好適に用いることができる銀被覆銅粉に関する。
銀は導電性に優れているため、異方導電性フィルム、導電性ペースト、導電性接着剤など、各種導電性材料の主要構成材料として用いられている。例えば銀粒子に、結合剤および溶剤を混合して導電性ペーストとし、この導電性ペーストを用いて基板上に回路パターンを印刷し、焼き付けることでプリント配線板や電子部品の電気回路などを形成することができる。
しかし、銀はとても高価であるため、無電解メッキなどによって芯材粒子に、貴金属の膜をメッキしてなる被覆粉と呼ばれる導電性粉末が開発され使用されている。例えば特許文献1には、芯材としての銀被覆銅粒子の表面を、酸化銀、炭酸銀、及び有機酸銀のいずれかの銀化合物で被覆してなる銀化合物被覆銅粉であって、SSA(m/g)が0.1〜10.0であり、D50(μm)が0.5〜10.0であり、1wt%〜40wt%の割合で銀化合物を粒子に付着させてなる銀化合物被覆銅粉が開示されている。
銅粉粒子表面に銀を被覆させる方法として、還元メッキ被覆法と置換メッキ被覆法の2種類を挙げることができる。
還元メッキ被覆法は、銅粉粒子の表面に、還元剤で還元された銀の微粒子を緻密に被覆させていく方法であり、例えば特許文献2には、還元剤が溶存した水溶液中で金属銅粉と硝酸銀を反応させる銀被覆銅粉の製造方法が提案されている。
他方、置換メッキ被覆法は、銅粉粒子の界面で、銀イオンが金属の銅と電子の授受を行い、銀イオンが金属の銀に還元され、代わりに金属の銅が酸化され銅イオンになることで、銅粉粒子の表面層を銀層とする方法であり、例えば特許文献3には、銀イオンが存在する有機溶媒含有溶液中で、銀イオンと金属銅との置換反応により、銀を銅粒子の表面に被覆する銀被覆銅粉の製造方法が記載されている。
特許文献4には、銅粉粒子表面が銀で被覆されてなる銀被覆銅粉粒子からなる銀被覆銅粉であって、銀被覆銅粉粒子の表面に存在する銀の量に対する、銀被覆銅粉粒子の表面に存在する銅の量の比率(X線電子分光の強度比から測定)0.05未満であることを特徴とする銀被覆銅粉が開示されている。
特開2008―106368号公報 特開2000−248303号公報 特開2006−161081号公報 特開2013−1917号公報
銀被覆銅粉は、銅粒子を完全に銀で被覆することが難しいため、ところどころ銅(Cu)が粒子表面に露出している。そのため、このような銀被覆銅粉を用いて導電性ペーストを作製すると、ペースト中の樹脂と粒子表面の銅(Cu)とが反応して経時的に粘性が高まるという問題を抱えていた。
そうかと言って、銀の被覆率を100%に近づけようとすると、銀の量を増やす必要があるため、コスト高を招いてしまうほか、導電ペースト中の銀元素量に起因するマイグレーションを引き起こす原因となり、半導体搭載基板のビアペーストなど絶縁信頼性が必要な用途の原料には適さないものとなる。
そこで本発明は、銀の量を増やすことなく、しかも、導電性ペーストを作製した際に、ペーストが経時的に増粘するのを抑制することができる、新たな銀被覆銅粉を提供せんとするものである。
本発明は、銅粉粒子が銀で被覆されると共に、当該銅粉粒子の表面が部分的に露出してなる構成を備えた銀被覆銅粉粒子からなる銀被覆銅粉であって、銀の被覆量が銅の含有量の35質量%以下であり、且つ、X線光電子分光装置(XPS)を用いて銀被覆銅粉粒子の表面を測定して得られるX線光電子分光スペクトルにおいて、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率が0.02〜0.60であることを特徴とする銀被覆銅粉を提案する。
本発明が提案する銀被覆銅粉は、銀の被覆量が銅の含有量の35質量%以下であるから、銀量の増加による製造コストの上昇を抑えることができると共に、導電ペースト中の銀元素量に起因するマイグレーションを抑制することができ、例えば半導体搭載基板のビアペーストなど絶縁信頼性が必要な用途の原料にも適するものである。
さらに本発明が提案する銀被覆銅粉は、銀の被覆量が銅の含有量の35質量%以下であり、銀量が多い訳でもないにもかかわらず、銀被覆銅粉粒子表面における、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率が極めて小さい、言い換えれば、銀被覆銅粉粒子表面におけるCu及びCu2Oの合計濃度よりも、CuO及びCu(OH)2の合計濃度の方が極めて高いため、導電性ペーストを作製した際に、ペーストが経時的に増粘するのを抑制することができるという特徴を有している。
よって、本発明が提案する銀被覆銅粉は、導電性ペーストなどの材料として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について詳述する。但し、本発明の範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。
<本銀被覆銅粉>
本実施形態に係る銅粉は、芯材としての銅粉粒子が銀で被覆されてなる銀被覆銅粉粒子(「本銀被覆銅粉粒子」と称する)からなる銀被覆銅粉(「本銀被覆銅粉」と称する)である。但し、本銀被覆銅粉粒子は、芯材としての銅粉粒子が銀で完全に被覆されている訳ではなく、銅粉粒子表面が部分的に露出してなる構成を備えた銀被覆銅粉粒子である。
(銀の量)
本銀被覆銅粉において、銀の被覆量は、銅の含有量に対して35質量%以下であるのが好ましい。銀の被覆量が、銅の含有量の35質量%以下であれば、貴金属である銀の原料単価に起因する製造コストを低く抑えることができ、経済的に優位であるほか、導電体に含まれる銀元素に起因したマイグレーションを抑制できる点で好ましい。但し、銀被覆量が少なすぎると、本銀被覆銅粒子が重なり合った時に、粒子表面の銀同士が接触する機会が少なるなり導電性を高めることができない可能性が生じる。
かかる観点から、本銀被覆銅粉においては、銀の被覆量は、銅の含有量の1.0〜35質量%であるのがさらに好ましく、中でも3.0質量%以上或いは25質量%以下、その中でも5.0質量%以上或いは20質量%以下であるのがより一層好ましい。
(粒子表面状態)
本銀被覆銅粉においては、X線光電子分光装置(XPS)を用いて銀被覆銅粉粒子の表面を測定して得られるX線光電子分光スペクトルにおいて、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率が0.02〜0.60であることが重要である。
このように、本銀被覆銅粉粒子の表面は、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率が0.60以下であって、このように当該比率が極めて小さいため、言い換えれば、本銀被覆銅粉粒子表面におけるCu及びCu2Oの合計濃度よりも、CuO及びCu(OH)2の合計濃度の方が極めて高いため、導電性ペーストを作製した際に、ペーストが経時的に増粘するのを抑制することができる。他方、前記比率が0.02以上であれば、導電性に深刻な影響を与えることがない。
かかる観点から、本銀被覆銅粉粒子の表面を測定して得られるX線光電子分光スペクトルにおいて、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率は0.02〜0.60であることが重要であり、中でも0.03以上或いは0.25以下であるのが好ましく、その中でも0.04以上或いは0.10以下であるのがさらに好ましい。
なお、X線光電子分光スペクトルにおいて、Cu(II)のピークとは、CuO及びCu(OH)2に由来するピークを意味する。これらは同一ピークで検出されるため、両者をそれぞれ区別することはできない。
また、Cu(I)及びCu(0)のピークとは、Cu及びCu2Oに由来するピークを意味する。これらは同一ピークで検出されるため、両者をそれぞれ区別することはできない。
本銀被覆銅粉において、粒子表面におけるCu(II)すなわち、CuO及びCu(OH)2の割合をこのように高くするためには、後述するように、芯材である銅粉粒子に銀を被覆した後、所定の酸化処理を施すのが好ましい。
(粒子形状)
本銀被覆銅粉粒子の粒子形状は、特に限定するものではない。例えば、少ない量で伝導性を得ることができる観点から言えば、デンドライト状を呈するのが好ましい。
ここで、「デンドライト状」とは、主枝から枝部分が分岐して平面状或いは三次元的に成長してなる形状のものを包含する。
他方、分散性の観点から言えば、本銀被覆銅粉粒子は球状を呈するのが好ましい。
そのほか、伝導性と分散性の両方をあるレベルで兼ね備えることができるという観点からは、略球状、ピーナツ殻状、フレーク状などであるのが好ましい。
なお、本銀被覆銅粉粒子が上記各形状を呈するとは、本銀被覆銅粉粒子を電子顕微鏡観察(1000倍)で観察した際、上記各形状を呈する粒子が80個数%以上を占める場合を意味するものである。
(D50)
本銀被覆銅粉の中心粒径(D50)、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50は、0.5〜20μmであるのが好ましい。
導電粒子として大きな粒子であると、ペースト中の導電粒子のネットワークが少なくなるため、導電性能が低下するおそれがある。その一方、粒子径が小さ過ぎると、銀の被覆にムラをなくすためには、銀の含有量を多くする必要があり、経済的に無駄である。
かかる観点から、本銀被覆銅粉粒子がデンドライト状を呈する場合には、D50は2.0μm〜20.0μmであるのが好ましく、中でも3.0μm以上或いは15.0μm以下、その中でも4.0μm以上或いは10.0μm以下であるのがさらに好ましい。
他方、本銀被覆銅粉粒子が、球状、略球状、ピーナッツ殻状、フレーク状などの粒状を呈する場合には、D50は0.5μm〜20μmであるのが好ましく、中でも1.0μm以上或いは15.0μm以下、その中でも2.0μm以上或いは10.0μm以下であるのがさらに好ましい。
(BET比表面積)
本銀被覆銅粉のBET比表面積(SSA)は、本銀被覆銅粉粒子がデンドライト状を呈する場合には、0.2〜2.0m2/gであるのが好ましい。
デンドライト状粒子からなる粉体である場合においてSSAが0.2m2/g〜2.0m2/gであれば、枝が適度に発達しており導通が確保しやすく、且つペースト製造が行いやすい観点から好ましい。
かかる観点から、デンドライト状粒子からなる粉体である場合におけるSSAは0.2m2/g〜2.0m2/gであるのが好ましく、中でも0.35m2/g以上或いは1.6m2/g以下、その中でも0.6m2/g以上或いは1.2m2/g以下であるのがさらに好ましい。
他方、本銀被覆銅粉粒子が、球状、略球状、ピーナッツ殻状、フレーク状などの粒状を呈する場合には、BET比表面積(SSA)は、0.1〜1.5m2/gであるのが好ましい。粒状粒子からなる粉体である場合においてSSAが0.1〜1.5m2/gであれば、分散性が良好であり、且つペースト製造が行いやすい点で好ましい。
かかる観点から、粒状を呈する場合におけるSSAは0.1〜1.5m2/gであるのが好まく、中でも0.2m2/g以上或いは1.25m2/g以下、その中でも0.3m2/g以上或いは1.0m2/g以下であるのがさらに好ましい。
(タップ嵩密度:TD)
本銀被覆銅粉のタップ嵩密度(TD)は、本銀被覆銅粉粒子がデンドライト状を呈する場合には、0.5〜2.0g/cm3であるのが好ましい。
デンドライト状粒子からなる粉体である場合においてTDが0.5〜2.0g/cm3であれば、デンドライトの枝が適度に発達しており、少ない充填量で導通を十分確保できる観点から好ましい。
かかる観点から、デンドライト状粒子からなる粉体である場合におけるTDは0.5〜2.0g/cm3であるのが好ましく、中でも0.75g/cm3以上或いは1.75g/cm3以下、その中でも1.0g/cm3以上或いは1.5g/cm3以下であるのがさらに好ましい。
他方、本銀被覆銅粉粒子が、球状、略球状、ピーナッツ殻状、フレーク状などの粒状を呈する場合には、タップ嵩密度(TD)は、3.0〜6.0g/cm3であるのが好ましい。
粒状粒子からなる粉体である場合においてTDが3.0〜6.0g/cm3であれば、最適な充填量で導通を十分確保できる観点から好ましい。
かかる観点から、粒状粒子からなる粉体である場合におけるTDは3.0〜6.0g/cm3であるのが好ましく、中でも3.5g/cm3以上或いは5.5g/cm3以下、その中でも4.0g/cm3以上或いは5.0g/cm3以下であるのがさらに好ましい。
<用途>
本銀被覆銅粉は導電特性に優れており、しかもペースト作製時の増粘を抑制することもできるから、本銀被覆銅粉を用いて導電性ペーストや導電性接着剤などの導電性樹脂組成物、さらには導電性塗料など、各種導電性材料の主要構成材料として好適に用いることができる。
例えば導電性ペーストを作製するには、本銀被覆銅粉をバインダ及び溶剤、さらに必要に応じて硬化剤やカップリング剤、硬化促進剤などと混合して導電性ペーストを作製することができる。
この際、バインダとしては、液状のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
溶剤としては、テルピネオール、エチルカルビトール、カルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート等が挙げることができる。
硬化剤としては、2エチル4メチルイミダゾールなどを挙げることができ、硬化促進剤としては、3級アミン類、3級アミン塩類、イミダゾール類、ホスフィン類、ホスホニウム塩類等を挙げることができる。
導電性ペーストは、これを用いて基板上に回路パターンを形成して各種電気回路を形成することができる。例えば焼成済み基板或いは未焼成基板に塗布又は印刷し、加熱し、必要に応じて加圧して焼き付けることでプリント配線板や各種電子部品の電気回路や外部電極などを形成することができる。
<製造方法>
本銀被覆銅粉は、芯材としての銅粉に銀を被覆させた後、所定の酸化処理を施して、粒子表面に存在する銅(Cu)を酸化させるのが好ましい。
(銅粉)
芯材としての銅粉の粒子形状及び粒度などは特に限定するものではない。例えば電解法で得られる銅粉であってもよいし、湿式法で得られた銅粉であってもよいし、アトマイズ法により得られた銅粉であってもよい。また、銅粉粒子の形状としては、デンドライト状、球状、略球状、ピーナッツ殻状、フレーク状など任意である。
(銀の被覆方法)
芯材としての銅粉に銀を被覆させる方法も任意である。
好ましい一例として、芯材としての銅粉を水に分散させ、キレート剤を添加した後、水に可溶な銀塩を加えて置換反応させて銅粉粒子の表面層を銀に置換させた後、得られた銀被覆銅粉を溶液から取り出してキレート剤を用いて洗浄し、乾燥させる方法を挙げることができる。但し、この方法に限定されるものではない。
置換メッキ被覆法は、還元メッキ被覆法に比べて、芯材(銅粉粒子)表面に銀をより均一に被覆することができるばかりか、被覆後の粒子の凝集を抑えることができ、さらには、より安価に製造できるという特徴を有しているため、置換メッキ被覆法を採用するのが好ましい。
従来の置換メッキ被覆法においては、反応溶液から銀被覆銅粉を取り出す時に、水などで濾過・洗浄していたが、水で洗浄しただけでは、銅イオンの一部が銀被覆銅粉に吸着されるため、粒子表面に銅イオンが残留することになり、この状態で乾燥させると、銅イオンが酸化銅を形成し、粒子表面に酸化銅の被膜を出来ることになってしまった。
これに対し、キレート剤を用いて洗浄することで、置換反応後に銅の再吸着を防止することができるため、粒子表面に残留する銅イオンを抑制することができ、その結果、粒子表面に酸化銅の被膜が出来ることを抑制して、導電性を高めることができる。
キレート剤を用いて洗浄した場合、キレート剤が残留する可能性があるため、純水などを用いて洗浄するのが好ましい。
キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸塩(以下「EDTA」という)、ジエチレントリアミン五酢酸、イミノ二酢酸などのアミノカルボン酸系キレート剤のほか、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸)、1,3-プロパンジアミン四酢酸から選ばれた1種又は2種以上のものを挙げることができるが、中でもEDTAを用いるのが好ましい。
銀粉粒子における銀の含有率は、銀塩の添加量、反応時間、反応速度、キレート剤の添加量などによって調整することができる。
置換反応終了後は、銀粉粒子を十分に洗浄し、乾燥させるのが好ましい。
(酸化処理)
芯材としての銅粉に銀を被覆させて銀被覆銅粉を得た後、銀被覆銅粉に所定の酸化処理を施して、粒子表面に存在する銅(Cu)を酸化させるのが好ましい。
酸化処理としては、例えば、銀被覆銅粉を酸化性雰囲気中で加熱する方法を挙げることができる。具体的には、焼成炉、恒温恒湿炉や乾燥炉を使用して、湿度30〜96%RHで、酸素濃度0.5〜21vol%の酸化性雰囲気において、60〜156℃で3時間〜24時間加熱する方法を挙げることができる。
また、銀被覆銅粉を水蒸気中で加熱する方法を挙げることもできる。具体的には、スチーム養生装置内に銀被覆銅粉を静置して、60〜155℃で3時間〜18時間加熱する方法を挙げることができる。
また、酸化剤で銀被覆銅粉を処理する方法などを挙げることができる。具体的には、クロム酸、二クロム酸、過酸化水素、過マンガン酸、次亜塩素酸などの酸化剤を溶解してなる水溶液中に銀被覆銅粉を入れて処理したり、或いは、銀被覆銅粉をオゾンと接触させて酸化したりする方法を挙げることができる。
なお、酸化処理の方法を上記方法に限定するものではない。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「好ましくYより小さい」の意を包含する。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
(XPSによる表面分析)
X線光電子分光分析(X−rayPhotoelectronSpectroscopy、XPS)により、実施例・比較例で得た銀被覆銅粉(サンプル)の粒子表面の分析を行った。
X線源として、Al−Kα線(1486.8eV)を用いて、17KV×0.023Aで操作した。
帯電補正:SiO2の結合エネルギーを103.2eVとして帯電補正を行った。
より具体的には、実施例・比較例で得た銀被覆銅粉(サンプル)について、X線光電子分光装置(XPS)を用いて、上記条件で銀被覆銅粉粒子の表面を分析し、得られたX線光電子分光スペクトルにおいて、Cu(II)のピークすなわちCuO及びCu(OH)2のピークのピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピークすなわちCu及びCu2Oのピークのピーク強度の比率を求めた。
なお、X線光電子分光装置(XPS)は、粒子表面から約十nmまでの深さの元素成分について定量分析を行うことができる。
(銀量の測定)
実施例・比較例で得た銀被覆銅粉(サンプル)について、ICP発光分光分析により、銀量を測定した。
(粒度測定)
銀被覆銅粉(サンプル)を少量ビーカーに取り、3%トリトンX溶液(関東化学製)を2、3滴添加し、粉末になじませてから、0.1%SNディスパーサント41溶液(サンノプコ製)50mLを添加し、その後、超音波分散器TIPφ20を用いて2分間分散処理して測定用サンプルを調製した。
この測定用サンプルを、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置MT3300(日機装製)を用いて体積累積粒径D50を測定した。
(比表面積の測定)
比表面積(SSA)は、マウンテック社製モノソーブにて、BET一点法で測定した。
(タップ嵩密度(TD)測定)
実施例・比較例で得た銀被覆銅粉(サンプル)のタップ嵩密度(g/cm3)は、試料200gを用いてパウダーテスターPT−E型(ホソカワミクロン製)により測定した。
(増粘試験)
実施例・比較例で得られた銀被覆銅粉(サンプル)90質量部と、エポキシ樹脂4.7質量部と、エポキシ樹脂硬化剤2.6質量部、硬化促進剤2.6質量部とを混錬してエポキシ系導電ペーストを得た。
得られたエポキシ系導電ペーストを、25℃、大気環境下に72時間保存し、保存前と保存後の粘度を測定し、増粘率を評価した。この際、粘度計としてThermo Scientific社の粘度計「RheoStress6000」を用いて、室温(25℃)で、測定システムにコーン・プレート型を取り付けた時に、速度30rpmにおいて測定される値を用いた。
(導電性ペーストの導電性(比抵抗)試験)
シリコーンシーラント(スリーボンド社製、型番5211)に対し、銀被覆銅粉(サンプル)を70質量%の比率で配合し、さらに銀被覆銅粉(サンプル)と同じ質量のトルエンを添加し、シンキー社製あわ取り練太郎(型番AR−100)を用いて十分に混合した後、ガラス板状にスクリーン印刷により1cm×10cmの帯状のパターンを印刷した。そのペーストを大気中にて70℃で60分間乾燥させ後、デジタルボルトメーター(YOKOGAWA ELECTRIC WORKS製)にて電気抵抗を測定した。
また、マイクロメーターにて膜厚を測定し、比抵抗(Ω・cm)=幅(cm)×膜厚(μm)×電気抵抗(Ω)/(長さ(cm)×104)という式にて、導電性ペーストの導電性(比抵抗)を算出した。
<実施例1>
芯材としての電解銅粉(純度99%以上、デンドライト、D50:13μm)25kgを、50℃に保温した純水50L中に投入してよく攪拌させた。これとは別に、純水5Lに硝酸銀4.5kg投入して硝酸銀溶液を作製した。前記の銅粉を溶解した溶液に、硝酸銀溶液を一括添加した。この状態で2時間攪拌を行い、銀被覆銅粉スラリーを得た。
次に、真空ろ過にて銀被覆銅粉スラリーのろ過を行い、ろ過が終わった後、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)600gを純水6Lに溶解させた溶液を用いて洗浄し、続いて3Lの純水で残留EDTAを洗浄した。その後、120℃で3時間乾燥させてデンドライト状銀被覆銅粉を得た。
このようにして得られたデンドライト状銀被覆銅粉を、恒温恒湿器を用いて、湿度85%RHで、酸素濃度15vol%の酸化性雰囲気において、100℃で8時間加熱する酸化処理を施して、銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
<実施例2>
芯材として、電解銅粉(純度99%以上、デンドライト、D50:7.4μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
<実施例3>
芯材として、銅粉(純度99%以上、球状、D50:2.5μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
<実施例4>
芯材として、電解銅粉(純度99%以上、ピーナツ殻状、D50:6.4μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
<実施例5>
芯材として、銅粉(純度99%以上、フレーク状、D50:3.2μm)を使用すると共に、酸化処理方法として、恒温恒湿器を用いて、湿度85%RHで、酸素濃度5vol%の酸化性雰囲気において、150℃で24時間加熱する酸化処理を施した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
<実施例6>
酸化処理方法として、銀被覆銅粉(50g/L)を水中に入れ、さらに35wt%濃度の過酸化水素水を、銀被覆銅粉に対して10wt%の割合で添加して十分に攪拌した後、脱水、乾燥(120℃、3時間)を行って酸化処理を施した以外は、実施例1と同様にして銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
<比較例1>
電解銅粉(実施例1と同様)25kgを純水50L中に投入しよく攪拌させた。これとは別に純水5Lに硝酸銀4.5kg投入して硝酸銀溶液を作製した。前記の銅粉を溶解した溶液に、硝酸銀溶液を一括添加した。この状態で2時間攪拌を行い、銀被覆銅粉スラリーを得た。次に真空ろ過にてろ過を行い、ろ過が終わった後、洗浄を行った。洗浄水は純水6Lを用いた。ろ過後、90℃、3時間乾燥を行ってデンドライト状銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
<比較例2>
比較例1で得たデンドライト状銀被覆銅粉(サンプル)を、恒温恒湿器を用いて、湿度85RH%で、酸素濃度21vol%の酸化性雰囲気において、200℃で6時間加熱する酸化処理を施して、銀被覆銅粉(サンプル)を得た。
Figure 2015183291
(考察)
上記実施例の結果とこれまで発明者が行ってきた試験結果を総合すると、銀の被覆量が、銅の含有量の35質量%以下であっても、銀被覆銅粉粒子表面における、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率が0.02〜0.60であれば、導電性ペーストを作製した際に、ペーストが経時的に増粘するのを抑制することができ、十分な抵抗値を得られることが分かった。

Claims (4)

  1. 銅粉粒子が銀で被覆されると共に、当該銅粉粒子の表面が部分的に露出してなる構成を備えた銀被覆銅粉粒子からなる銀被覆銅粉であって、
    銀の被覆量が銅の含有量の35質量%以下であり、且つ、X線光電子分光装置(XPS)を用いて銀被覆銅粉粒子の表面を測定して得られるX線光電子分光スペクトルにおいて、Cu(II)のピーク強度に対する、Cu(I)及びCu(0)のピーク強度の比率が0.02〜0.60であることを特徴とする銀被覆銅粉。
  2. レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50が2.0μm〜20.0μmであり、BET比表面積が0.2〜2.0m2/gであり、且つタップ嵩密度が0.5〜2.0g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の銀被覆銅粉
  3. レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50が0.5μm〜20.0μmであり、BET比表面積が0.1〜1.5m2/gであり、且つタップ嵩密度が3.0〜6.0g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の銀被覆銅粉
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の銀被覆銅粉を用いてなる導電性ペースト。
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