JP2015181780A - 運動解析方法、運動解析装置、運動解析システム及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】被験者が運動器具を構えた時の運動器具の姿勢情報を提示することが可能な運動解析方法、運動解析装置、運動解析システム及びプログラムを提供すること。
【解決手段】運動解析方法は、ゴルフクラブ3に装着されたセンサーユニット10の出力を用いて、被験者2がゴルフクラブ3を構えた時におけるゴルフクラブ3のシャフトの長軸回りの回転角度θを計算する回転角度計算工程(S30)と、回転角度θを用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程(S50)と、を含む。
【選択図】図7
【解決手段】運動解析方法は、ゴルフクラブ3に装着されたセンサーユニット10の出力を用いて、被験者2がゴルフクラブ3を構えた時におけるゴルフクラブ3のシャフトの長軸回りの回転角度θを計算する回転角度計算工程(S30)と、回転角度θを用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程(S50)と、を含む。
【選択図】図7
Description
本発明は、被験者の運動を解析する、運動解析方法、運動解析装置、運動解析システム及びプログラムに関する。
従来、ゴルフのスイングをカメラで撮影し、撮影画像をもとにスイングを解析するカメラシステムが知られているが、このようなカメラシステムでは、大掛かりな装置が必要な上に設置場所を選ぶため、簡易に計測することができず利便性が悪い。これに対して、特許文献1では、ゴルフクラブに3軸の加速度センサーと3軸のジャイロセンサーを装着し、これらのセンサーの出力を用いてスイングを解析する装置が提案されており、この装置を用いればカメラが不要となり利便性が向上する。
ところで、ゴルフスイングにおいて、アドレス姿勢は打球の良し悪しを決める1つの要因となる。例えば、打球方向に対してシャフトを垂直にするアドレス姿勢以外にも、クラブヘッドのロフトを立てて、シャフトを打球方向に寝かせたハンドファーストと呼ばれるアドレス姿勢にする場合がある。しかしながら、慣性センサーを用いた従来のスイング解析装置においては、被験者ごとのアドレス姿勢の違いによるゴルフクラブの初期姿勢の違いが考慮されていなかった。そのため、例えば、被験者のアドレス姿勢によっては必ずしも精度のよい解析結果が得られず、あるいは、被験者はどの程度ハンドファーストに構えているかについて客観的に知る由が無かった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、被験者が運動器具を構えた時の運動器具の姿勢情報を提示することが可能な運動解析方法、運動解析装置、運動解析システム及びプログラムを提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る運動解析方法は、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算工程と、前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程と、を含む。
本適用例に係る運動解析方法は、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算工程と、前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程と、を含む。
運動器具は、例えば、ゴルフクラブ、テニスラケット、野球のバット、ホッケーのスティック等の打球に用いられる器具である。シャフトは、運動器具の柄の部分であり、グリップ部を有する運動器具ではグリップ部もシャフトに含まれる。
慣性センサーは、加速度や角速度等の慣性量を計測可能なセンサーであればよく、例えば、加速度や角速度を計測可能な慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Uni
t)でもよい。また、慣性センサーは、運動器具に対して脱着可能であってもよいし、例えば、運動器具に内蔵されるなど、運動器具に固定されていて取り外すことができないものでもよい。
t)でもよい。また、慣性センサーは、運動器具に対して脱着可能であってもよいし、例えば、運動器具に内蔵されるなど、運動器具に固定されていて取り外すことができないものでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、被験者が構えた時の運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算し、この回転角度を用いて被験者が運動器具を構えた時の運動器具の初期姿勢情報を生成することができる。従って、例えば、運動器具の初期姿勢情報を用いて被験者の運動を精度よく解析し、あるいは、運動器具の初期姿勢情報を提示して被験者に運動の改善を促すことができる。
また、本適用例に係る運動解析方法によれば、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて運動器具の初期姿勢情報を生成することができるので、カメラ等の大型の測定具を用意する必要がなく、計測する場所が大きく制限されない。
[適用例2]
上記適用例に係る運動解析方法において、打球目標方向に対し前記シャフトを垂直に立てたときの前記運動器具の姿勢を基準姿勢とした場合に、前記回転角度は前記基準姿勢に対する前記初期姿勢の前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度であってもよい。
上記適用例に係る運動解析方法において、打球目標方向に対し前記シャフトを垂直に立てたときの前記運動器具の姿勢を基準姿勢とした場合に、前記回転角度は前記基準姿勢に対する前記初期姿勢の前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度であってもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、被験者が構えた時の運動器具の初期姿勢の、基準姿勢に対する運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度から運動器具の初期姿勢情報を生成することができる。
[適用例3]
上記適用例に係る運動解析方法において、前記慣性センサーは、前記シャフトの長軸方向を第1検出軸、前記打球目標方向を第2検出軸、および、前記第1検出軸と前記第2検出軸とに直交する下向きの方向を第3検出軸とする複数の検出軸を備え、前記回転角度計算工程において、前記運動器具が前記初期姿勢の時に前記慣性センサーが計測する前記第2検出軸の方向の加速度と第3検出軸の方向の加速度とを用いて、前記回転角度を計算してもよい。
上記適用例に係る運動解析方法において、前記慣性センサーは、前記シャフトの長軸方向を第1検出軸、前記打球目標方向を第2検出軸、および、前記第1検出軸と前記第2検出軸とに直交する下向きの方向を第3検出軸とする複数の検出軸を備え、前記回転角度計算工程において、前記運動器具が前記初期姿勢の時に前記慣性センサーが計測する前記第2検出軸の方向の加速度と第3検出軸の方向の加速度とを用いて、前記回転角度を計算してもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、運動器具の初期姿勢の基準姿勢に対する運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を比較的容易に計算することができる。
[適用例4]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記運動器具が前記初期姿勢の時に前記慣性センサーが計測する前記第1検出軸の方向の加速度、前記第2検出軸の方向の加速度及び前記第3検出軸の方向の加速度の合成加速度を計算し、前記第1検出軸の方向の加速度と前記合成加速度とを用いて、前記シャフトの傾斜角度を計算する傾斜角度計算工程を含み、前記初期姿勢情報生成工程において、前記傾斜角度を用いて前記初期姿勢情報を生成してもよい。
上記適用例に係る運動解析方法は、前記運動器具が前記初期姿勢の時に前記慣性センサーが計測する前記第1検出軸の方向の加速度、前記第2検出軸の方向の加速度及び前記第3検出軸の方向の加速度の合成加速度を計算し、前記第1検出軸の方向の加速度と前記合成加速度とを用いて、前記シャフトの傾斜角度を計算する傾斜角度計算工程を含み、前記初期姿勢情報生成工程において、前記傾斜角度を用いて前記初期姿勢情報を生成してもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、運動器具の初期姿勢におけるシャフトの長軸の傾斜角度を比較的容易に計算することができる。また、この傾斜角度を用いて、より詳細な初期姿勢情報を生成することができる。
[適用例5]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記初期姿勢情報と前記慣性センサーの出力とを用いて、前記被験者が前記運動器具を用いて打球した運動を解析する運動解析工程を含んでもよい。
上記適用例に係る運動解析方法は、前記初期姿勢情報と前記慣性センサーの出力とを用いて、前記被験者が前記運動器具を用いて打球した運動を解析する運動解析工程を含んでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、運動器具の初期姿勢情報を用いて被験者の運動を精度よく解析することができる。
[適用例6]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記運動解析工程において、前記慣性センサーの出力の合成値を計算し、当該合成値に基づいて前記被験者が前記運動器具を用いて打球した時を特定してもよい。
慣性センサーの出力の合成値は、慣性センサーの各検出軸の出力の和あるいはその平均値、慣性センサーの各検出軸の出力の二乗和あるいはその平方根、慣性センサーの各検出軸の出力の積等であってもよい。
上記適用例に係る運動解析方法は、前記運動解析工程において、前記慣性センサーの出力の合成値を計算し、当該合成値に基づいて前記被験者が前記運動器具を用いて打球した時を特定してもよい。
慣性センサーの出力の合成値は、慣性センサーの各検出軸の出力の和あるいはその平均値、慣性センサーの各検出軸の出力の二乗和あるいはその平方根、慣性センサーの各検出軸の出力の積等であってもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、慣性センサーの出力の合成値に基づき、被験者が打球したタイミングを比較的容易に特定することができる。
[適用例7]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記初期姿勢情報を用いて、前記被験者の構え方に関するアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成工程を含んでもよい。
上記適用例に係る運動解析方法は、前記初期姿勢情報を用いて、前記被験者の構え方に関するアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成工程を含んでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、被験者は、アドバイス情報に基づいて、自己のアドレス姿勢を具体的に知ることができる。
[適用例8]
上記適用例に係る運動解析方法において、前記運動器具は、ゴルフクラブであってもよい。
上記適用例に係る運動解析方法において、前記運動器具は、ゴルフクラブであってもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、例えば、ゴルフクラブの初期姿勢情報を用いて被験者の運動を精度よく解析し、あるいは、ゴルフクラブの初期姿勢情報を提示して被験者に運動の改善を促すことができる。
[適用例9]
本適用例に係る運動解析装置は、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算部と、前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成部と、を含む。
本適用例に係る運動解析装置は、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算部と、前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成部と、を含む。
本適用例に係る運動解析装置によれば、例えば、運動器具の初期姿勢情報を用いて被験者の運動を精度よく解析し、あるいは、運動器具の初期姿勢情報を提示して被験者に運動の改善を促すことができる。
また、本適用例に係る運動解析装置によれば、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて運動器具の初期姿勢情報を生成することができるので、カメラ等の大型の測定具を用意する必要がなく、計測する場所が大きく制限されない。
[適用例10]
本適用例に係る運動解析システムは、上記の運動解析装置と、前記慣性センサーと、を含む。
本適用例に係る運動解析システムは、上記の運動解析装置と、前記慣性センサーと、を含む。
本適用例に係る運動解析システムによれば、例えば、運動器具の初期姿勢情報を用いて被験者の運動を精度よく解析し、あるいは、運動器具の初期姿勢情報を提示して被験者に
運動の改善を促すことができる。
運動の改善を促すことができる。
[適用例11]
本適用例に係るプログラムは、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算工程と、前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程と、をコンピューターに実行させる。
本適用例に係るプログラムは、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算工程と、前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程と、をコンピューターに実行させる。
本適用例に係るプログラムによれば、例えば、運動器具の初期姿勢情報を用いて被験者の運動を精度よく解析し、あるいは、運動器具の初期姿勢情報を提示して被験者に運動の改善を促すことができる。
また、本適用例に係るプログラムによれば、運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて運動器具の初期姿勢情報を生成することができるので、カメラ等の大型の測定具を用意する必要がなく、計測する場所が大きく制限されない。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、ゴルフスイングの解析を行う運動解析システム(運動解析装置)を例に挙げて説明する。
1.運動解析システム
[運動解析システムの概要]
図1は、本実施形態の運動解析システムの概要について説明するための図である。本実施形態の運動解析システム1は、センサーユニット10(慣性センサーの一例)及び運動解析装置20を含んで構成されている。
[運動解析システムの概要]
図1は、本実施形態の運動解析システムの概要について説明するための図である。本実施形態の運動解析システム1は、センサーユニット10(慣性センサーの一例)及び運動解析装置20を含んで構成されている。
センサーユニット10は、3軸の各軸方向に生じる加速度と3軸の各軸回りに生じる角速度を計測可能であり、ゴルフクラブ3(運動器具の一例)に装着される。
本実施形態では、図2に示すように、センサーユニット10は、3つの検出軸(x軸(第2検出軸の一例),y軸(第1検出軸の一例),z軸(第3検出軸の一例))のうちの1軸、例えばy軸をシャフトの長軸方向に合わせて、ゴルフクラブ3のシャフトの一部に取り付けられる。望ましくは、センサーユニット10は、打球時の衝撃が伝わりにくく、スイング時に遠心力がかからないグリップ部に近い位置に取り付けられる。シャフトは、ゴルフクラブ3のヘッドを除いた柄の部分であり、グリップ部も含まれる。
被験者2は、あらかじめ決められた手順に従って、ゴルフボール4を打球するスイング動作を行う。図3は、被験者2が行う動作の手順を示す図である。図3に示すように、被験者2は、まず、ゴルフクラブ3を握って、アドレスの姿勢をとり、所定時間以上(例えば、1秒以上)静止する(S1)。次に、被験者2は、スイング動作を行い、ゴルフボール4を打球する(S2)。
被験者2が図3に示す手順に従ってゴルフボール4を打球する動作を行う間、センサーユニット10は、所定周期(例えば1ms)で3軸加速度と3軸角速度を計測し、計測したデータを順次、運動解析装置20に送信する。センサーユニット10は、計測したデータをすぐに送信してもよいし、計測したデータを内部メモリーに記憶しておき、被験者2のスイング動作の終了後などの所望のタイミングで計測データを送信するようにしてもよい。あるいは、センサーユニット10は、計測したデータをメモリーカード等の着脱可能な記録媒体に記憶しておき、運動解析装置20は、当該記録媒体から計測データを読み出すようにしてもよい。
運動解析装置20は、センサーユニット10が計測したデータを用いて、被験者2がゴルフクラブ3を構えた時(アドレス時)におけるゴルフクラブ3のシャフトの長軸回りの回転角度やシャフトの傾斜角度を計算し、当該回転角度や傾斜角度を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢情報を生成する。ゴルフクラブ3の初期姿勢情報は、例えば、被験者2のアドレス時における、ライ角(ゴルフクラブ3のシャフトの傾斜角)、フェース角(ゴルフクラブ3のフェースの方位角)、ロフト角(ゴルフクラブ3のフェースの傾斜角)等の一部又は全部を含んでもよい。
また、運動解析装置20は、ゴルフクラブ3の初期姿勢情報とセンサーユニット10が計測したデータとを用いて、被験者2がゴルフクラブ3を用いて打球した運動を解析する。
さらに、運動解析装置20は、ゴルフクラブ3の初期姿勢情報を用いて、被験者2の構え方(アドレス姿勢)に関するアドバイス情報を生成し、当該アドバイス情報を画像、音声、振動等により被験者2に提示する。
なお、センサーユニット10と運動解析装置20との間の通信は、無線通信でもよいし、有線通信でもよい。
図4(A)及び図4(B)は、ゴルフクラブ3の初期姿勢の一例を示す図である。本実施形態では、打球の目標方向を示すターゲットラインをX軸、X軸に垂直な水平面上の軸をY軸、鉛直上方向(重力加速度の方向と逆方向)をZ軸とするXYZ座標系(ワールド座標系)を定義し、図4(A)及び図4(B)にはX軸、Y軸、Z軸が表記されている。ターゲットラインとは、例えば、ボールをまっすぐ飛ばす方向を指す。図4(A)及び図
4(B)は、ゴルフクラブ3及びゴルフボール4をXZ平面に投影した図である。図4(A)は、被験者2が、ゴルフクラブ3のシャフトの長軸が打球の目標方向に対して垂直になるようにアドレスした場合の図である。一方、図4(B)は、被験者2が、ゴルフクラブ3のグリップがヘッドよりも打球方向側にくるようにアドレスした場合、すなわち、被験者2がゴルフクラブ3のロフトを立ててハンドファーストに構えた場合の図である。
4(B)は、ゴルフクラブ3及びゴルフボール4をXZ平面に投影した図である。図4(A)は、被験者2が、ゴルフクラブ3のシャフトの長軸が打球の目標方向に対して垂直になるようにアドレスした場合の図である。一方、図4(B)は、被験者2が、ゴルフクラブ3のグリップがヘッドよりも打球方向側にくるようにアドレスした場合、すなわち、被験者2がゴルフクラブ3のロフトを立ててハンドファーストに構えた場合の図である。
また、図5(A)及び図5(B)は、それぞれ、図4(A)及び図4(B)に対してゴルフクラブ3及びセンサーユニット10をシャフトの長軸に垂直な平面で切った断面図である。被験者が図4(B)のようにハンドファーストに構えた場合、図4(A)のように構えた場合に対して、ゴルフクラブ3は、シャフトの長軸回りにハンドファーストの程度に応じた角度θだけ回転した状態になる。
慣性センサーの計測データを用いて、ゴルフクラブ3のシャフトの重力方向に対する傾きを特定することはできるが、重力加速度に垂直な方向の角度、すなわち方位角を特定することはできない。そのため、慣性センサーを用いた従来の運動解析システムでは、例えば、被験者2のアドレス時においてセンサーユニット10のx軸が打球の目標方向を向いている前提のもと、センサーユニット10のx軸を水平面に投影した軸をX軸(方位角0°)としている。この場合、被験者2が図4(B)のようなハンドファーストのアドレス姿勢をとるとセンサーユニット10のx軸が打球の目標方向を向かないため、スイング解析の精度が劣化する場合がある。
本実施形態の運動解析システム1では、図2に示したように、y軸をゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向に合わせて、ゴルフクラブ3にセンサーユニット10を装着する。そして、被験者2が、例えば、図4(A)のようなアドレス姿勢をとった時のゴルフクラブ3の姿勢、すなわち、打球の目標方向に対してシャフトを垂直に立てたときのゴルフクラブ3の姿勢を基準姿勢と定義する。従って、ゴルフクラブ3の初期姿勢が基準姿勢のとき、ゴルフクラブ3の基準姿勢に対する初期姿勢のシャフトの長軸回りの回転角度は0°であり、センサーユニット10は、y軸がシャフトの長軸方向、x軸が打球の目標方向、z軸がx軸とy軸とに直交する下向きの方向をそれぞれ向くので、x軸が水平になる。そのため、x軸方向の重力加速度の計測値がゼロとなる。一方、被験者2が、図4(B)のようなハンドファーストのアドレス姿勢をとった場合、図5(B)に示すように、ゴルフクラブ3の基準姿勢に対する初期姿勢のシャフトの長軸回りの回転角度θが生じるため、x軸方向に重力加速度成分が計測される。そこで、本実施形態の運動解析システム1では、運動解析装置20は、被験者2のアドレス時におけるセンサーユニット10の計測データ(重力加速度の計測データ)を用いてこの回転角度θを計算し、ゴルフクラブ3の初期姿勢(アドレス時の姿勢)を特定する。運動解析装置20は、ゴルフクラブ3の初期姿勢を正確に特定することで、スイング解析を精度よく行うことができる。
[運動解析システムの構成]
図6は、センサーユニット10及び運動解析装置20の構成例を示す図である。図6に示すように、本実施形態では、センサーユニット10は、加速度センサー100、角速度センサー110、信号処理部120及び通信部130を含んで構成されている。
図6は、センサーユニット10及び運動解析装置20の構成例を示す図である。図6に示すように、本実施形態では、センサーユニット10は、加速度センサー100、角速度センサー110、信号処理部120及び通信部130を含んで構成されている。
加速度センサー100は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々に生じる加速度を計測し、計測した3軸加速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(加速度データ)を出力する。
角速度センサー110は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸の各々の軸回りに生じる角速度を計測し、計測した3軸角速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(角速度データ)を出力する。
信号処理部120は、加速度センサー100と角速度センサー110から、それぞれ加速度データと角速度データを受け取って時刻情報を付して不図示の記憶部に記憶し、記憶した計測データ(加速度データと角速度データ)に時刻情報を付して通信用のフォーマットに合わせたパケットデータを生成し、通信部130に出力する。
加速度センサー100及び角速度センサー110は、それぞれ3軸が、センサーユニット10に対して定義される直交座標系(センサー座標系)の3軸(x軸、y軸、z軸)と一致するようにセンサーユニット10に取り付けられるのが理想的だが、実際には取り付け角の誤差が生じる。そこで、信号処理部120は、取り付け角誤差に応じてあらかじめ算出された補正パラメーターを用いて、加速度データ及び角速度データをxyz座標系のデータに変換する処理を行う。
さらに、信号処理部120は、加速度センサー100及び角速度センサー110の温度補正処理を行う。なお、加速度センサー100及び角速度センサー110に温度補正の機能が組み込まれていてもよい。
なお、加速度センサー100と角速度センサー110は、アナログ信号を出力するものであってもよく、この場合は、信号処理部120が、加速度センサー100の出力信号と角速度センサー110の出力信号をそれぞれA/D変換して計測データ(加速度データと角速度データ)を生成し、これらを用いて通信用のパケットデータを生成すればよい。
通信部130は、信号処理部120から受け取ったパケットデータを運動解析装置20に送信する処理や、運動解析装置20から制御コマンドを受信して信号処理部120に送る処理等を行う。信号処理部120は、制御コマンドに応じた各種処理を行う。
運動解析装置20は、処理部200、通信部210、操作部220、ROM230、RAM240、記録媒体250、表示部260、音出力部270を含んで構成されており、例えば、パーソナルコンピューター(PC)やスマートフォンなどの携帯機器であってもよい。
通信部210は、センサーユニット10から送信されたパケットデータを受信し、処理部200に送る処理や、処理部200からの制御コマンドをセンサーユニット10に送信する処理等を行う。
操作部220は、ユーザーからの操作データを取得し、処理部200に送る処理を行う。操作部220は、例えば、タッチパネル型ディスプレイ、ボタン、キー、マイクなどであってもよい。
ROM230は、処理部200が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムや、アプリケーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。
RAM240は、処理部200の作業領域として用いられ、ROM230から読み出されたプログラムやデータ、操作部220から入力されたデータ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する記憶部である。
記録媒体250は、処理部200の処理により生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータを記憶する不揮発性の記憶部である。また、記録媒体250は、処理部200が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムや、アプリケーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶していてもよい。
また、本実施形態では、ROM230、RAM240、あるいは記録媒体250には、ゴルフクラブ3の仕様情報(シャフトの長さ、重心の位置、ライ角、フェース角、ロフト角等の情報)、センサーユニット10の装着位置(ゴルフクラブ3のヘッドあるいはグリップエンドからの距離)の情報、被験者2の腕の長さや重心の位置等の情報が記憶されており、これらの情報は処理部200によって使用される。
表示部260は、処理部200の処理結果を文字、グラフ、表、アニメーション、その他の画像として表示するものである。表示部260は、例えば、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などであってもよい。なお、1つのタッチパネル型ディスプレイで操作部220と表示部260の機能を実現するようにしてもよい。
音出力部270は、処理部200の処理結果を音声やブザー音等の音として出力するものである。音出力部270は、例えば、スピーカーやブザーなどであってもよい。
処理部200は、ROM230あるいは記録媒体250に記憶されているプログラム、あるいはネットワークを介してサーバーから受信してRAM240や記録媒体250に記憶したプログラムに従って、センサーユニット10に制御コマンドを送信する処理や、センサーユニット10から通信部210を介して受信したデータに対する各種の計算処理や、その他の各種の制御処理を行う。特に、本実施形態では、処理部200は、当該プログラムを実行することにより、データ取得部201、回転角度計算部202、傾斜角度計算部203、初期姿勢情報生成部204、運動解析部205、アドバイス情報生成部206、記憶処理部207、表示処理部208及び音出力処理部209として機能する。
データ取得部201は、通信部210がセンサーユニット10から受信したパケットデータを受け取り、受け取ったパケットデータから時刻情報及び計測データを取得し、記憶処理部207に送る処理を行う。
記憶処理部207は、データ取得部201から時刻情報と計測データを受け取り、これらを対応づけてRAM240に記憶させる処理を行う。
回転角度計算部202は、センサーユニット10が出力する計測データ(加速度データ)を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢の基準姿勢に対するシャフトの長軸回りの回転角度θを計算する処理を行う。本実施形態では、回転角度計算部202は、ゴルフクラブ3が初期姿勢の時にセンサーユニット10が計測するx軸方向の加速度とz軸方向の加速度とを用いて、回転角度θを計算する。
傾斜角度計算部203は、センサーユニット10が出力する計測データ(加速度データ)を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢の重力方向に対する傾斜角度ψを計算する処理を行う。本実施形態では、傾斜角度計算部203は、ゴルフクラブ3が初期姿勢の時にセンサーユニット10が計測するx軸方向の加速度、z軸方向の加速度及びz軸方向の加速度の合成加速度を計算し、y軸方向の加速度と合成加速度とを用いて傾斜角度ψを計算する。
初期姿勢情報生成部204は、回転角度θ、傾斜角度ψ、ゴルフクラブ3の仕様としてのライ角、フェース角、ロフト角等の一部又は全部の情報を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢情報を生成する処理を行う。ゴルフクラブ3の初期姿勢情報は、例えば、被験者2のアドレス時のライ角、フェース角、ロフト角等の一部又は全部の情報を含んでもよい。
運動解析部205は、ゴルフクラブ3の初期姿勢情報とセンサーユニット10が出力する計測データ(加速度データ及び角速度データ)とを用いて、被験者2のスイング運動を解析し、運動解析情報を生成する処理を行う。
具体的には、運動解析部205は、まず、RAM240に記憶された、被験者2の静止動作時(アドレス時)の計測データを用いてオフセット量を計算する。次に、運動解析部205は、RAM240に記憶された計測データからオフセット量を減算してバイアス補正し、バイアス補正された計測データを用いて、被験者2のスイング動作中(図3のステップS2の動作中)のセンサーユニット10の位置及び姿勢を計算する。運動解析部205は、例えば、センサーユニット10の初期位置をXYZ座標系の原点(0,0,0)とし、加速度データを積分してセンサーユニット10の初期位置からの位置の変化を時系列に計算することができる。また、運動解析部205は、ゴルフクラブ3が初期姿勢の時のセンサーユニット10の姿勢を初期姿勢として、角速度データを用いた回転演算を行ってセンサーユニット10の初期姿勢からの姿勢の変化を時系列に計算することができる。センサーユニット10の姿勢は、例えば、X軸、Y軸、Z軸回りの回転角(ロール角、ピッチ角、ヨー角)、オイラー角、クオータ二オン(四元数)などで表現することができる。
なお、センサーユニット10の信号処理部120が、計測データのオフセット量を計算し、計測データのバイアス補正を行うようにしてもよいし、加速度センサー100及び角速度センサー110にバイアス補正の機能が組み込まれていてもよい。これらの場合は、運動解析部205による計測データのバイアス補正が不要となる。
また、運動解析部205は、ゴルフクラブ3のシャフトの長さや重心の位置、センサーユニット10の装着位置、ゴルフクラブ3の特徴(剛体である等)や人体の特徴(関節の曲がる方向が決まっている等)を考慮した運動解析モデル(二重振子モデル等)を定義し、センサーユニット10の位置及び姿勢の情報、ゴルフクラブ3のシャフトの長さや重心の位置、センサーユニット10の装着位置、被験者2の特徴(腕の長さや重心の位置等)の情報を用いて、この運動解析モデルの軌跡を計算する。
また、運動解析部205は、RAM240に記憶された時刻情報と計測データを用いて、被験者2のスイング動作の期間において打球したタイミング(時刻)を検出する。本実施形態では、運動解析部205は、センサーユニット10が出力する計測データ(加速度データ又は角速度データ)の合成値を計算し、当該合成値に基づいて被験者2が打球したタイミング(時刻)を特定する。そして、運動解析部205は、打球時(インパクト時)の運動解析モデルの位置及び姿勢と、ゴルフクラブ3の仕様としてのライ角、フェース角、ロフト角等の一部又は全部の情報とを用いて、被験者2の打球時のライ角、フェース角、ロフト角等の一部又は全部を計算し、これらの情報を含む姿勢情報(打球時におけるゴルフクラブの姿勢情報)を生成する。
さらに、運動解析部205は、運動解析モデルの軌跡や打球時におけるゴルフクラブ3の姿勢情報等を用いて運動解析情報を生成する。運動解析情報は、例えば、スイングの軌跡(ゴルフクラブ3のヘッドの軌跡)、バックスイングからフォロースルーまでのスイングのリズム、ヘッドスピード、打球時の入射角(クラブパス)やフェース角、シャフトローテーション(スイング中のフェース角の変化量)、Vゾーン、ゴルフクラブ3の減速率の情報、あるいは、被験者2が複数回のスイングを行った場合のこれら各情報のばらつきの情報等である。
アドバイス情報生成部206は、ゴルフクラブ3の初期姿勢情報や運動解析情報を用いて、被験者2の構え方(アドレス姿勢)に関するアドバイス情報を生成する処理を行う。アドバイス情報は、例えば、ハンドファーストになっているか否か、どの程度のハンドフ
ァーストであるか、ハンドファーストにする(しない)ための方法、理想的なアドレス姿勢等の情報であってもよい。
ァーストであるか、ハンドファーストにする(しない)ための方法、理想的なアドレス姿勢等の情報であってもよい。
なお、被験者2の理想的なアドレス姿勢はゴルフクラブ3の種類や被験者2の身体的特徴やスイングの癖等により異なるため、アドバイス情報生成部206は、ゴルフクラブ3の特徴や運動解析モデルの軌跡の情報等も考慮した所定の演算を行い、アドバイス情報を生成してもよい。
記憶処理部207は、ROM230、RAM240及び記録媒体250に対する各種プログラムや各種データのリード/ライト処理を行う。記憶処理部207は、データ取得部201から受け取った時刻情報と計測データを対応づけてRAM240に記憶させる処理の他、初期姿勢情報、運動解析情報、アドバイス情報等をRAM240に記憶させ、あるいは、記録として残したい場合は記録媒体250に記憶させる処理も行う。
表示処理部208は、表示部260に対して各種の画像(文字や記号等も含む)を表示させる処理を行う。例えば、表示処理部208は、被験者2のスイング運動が終了した後、自動的に、あるいは、所定の入力操作が行われたときに、RAM240あるいは記録媒体250に記憶されている運動解析情報やアドバイス情報を読み出して表示部260に運動解析用の画像やアドバイス用の画像を表示させる処理を行う。また、表示処理部208は、RAM240あるいは記録媒体250に記憶されている初期姿勢情報等を読み出して表示部260に各種の画像を表示させてもよい。あるいは、センサーユニット10に表示部を設けておいて、表示処理部208は、通信部210を介してセンサーユニット10にこれらの画像を送信し、センサーユニット10の表示部に各種の画像を表示させてもよい。
音出力処理部209は、音出力部270に対して各種の音(音声やブザー音等も含む)を出力させる処理を行う。例えば、音出力処理部209は、被験者2のスイング運動が終了した後、自動的に、あるいは、所定の入力操作が行われたときに、RAM240あるいは記録媒体250に記憶されている運動解析情報やアドバイス情報を読み出して音出力部270に運動解析用の音やアドバイス用の音を出力させてもよい。また、音出力処理部209は、RAM240あるいは記録媒体250に記憶されている初期姿勢情報等を読み出して音出力部270に各種の音を出力させてもよい。あるいは、センサーユニット10に音出力部を設けておいて、音出力処理部209は、通信部210を介してセンサーユニット10にこれらの音を送信し、センサーユニット10の音出力部に各種の音を出力させてもよい。
なお、運動解析装置20あるいはセンサーユニット10の振動機構を設けておいて、当該振動機構により各種の情報を振動情報に変換して被験者2に提示してもよい。
[運動解析処理]
図7は、本実施形態における処理部200による運動解析処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
図7は、本実施形態における処理部200による運動解析処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
図7に示すように、まず、処理部200は、センサーユニット10の計測データを取得する(S10)。処理部200は、工程S10において、被験者2のスイング運動(静止動作も含む)における最初の計測データを取得するとリアルタイムに工程S20以降の処理を行ってもよいし、センサーユニット10から被験者2のスイング運動における一連の計測データの一部又は全部を取得した後に、工程S20以降の処理を行ってもよい。
次に、処理部200は、センサーユニット10から取得した計測データを用いて被験者
2の静止動作(アドレス動作)(図4のステップS1の動作)を検出する(S20)。処理部200は、リアルタイムに処理を行う場合は、静止動作(アドレス動作)を検出した場合に、例えば、所定の画像や音を出力し、あるいは、センサーユニット10にLEDを設けておいて当該LEDを点灯させる等して、被験者2に静止状態を検出したことを通知し、被験者2は、この通知を確認した後にスイングを開始してもよい。
2の静止動作(アドレス動作)(図4のステップS1の動作)を検出する(S20)。処理部200は、リアルタイムに処理を行う場合は、静止動作(アドレス動作)を検出した場合に、例えば、所定の画像や音を出力し、あるいは、センサーユニット10にLEDを設けておいて当該LEDを点灯させる等して、被験者2に静止状態を検出したことを通知し、被験者2は、この通知を確認した後にスイングを開始してもよい。
次に、処理部200は、センサーユニット10から取得した計測データ(被験者2の静止動作(アドレス動作)における計測データ)を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢の基準姿勢に対するシャフトの長軸回りの回転角度θを計算する(S30)。図8は、センサーユニット10が計測する加速度と回転角度θとの関係を示す図である。図8に示すように、アドレス時においてセンサーユニット10が計測するx軸方向の加速度ax及びy軸方向の加速度ayと回転角度θとの間には、次の式(1)の関係が成り立つ。従って、処理部200は、式(1)を用いてアドレス時のゴルフクラブ3の回転角度θを計算することができる。
次に、処理部200は、センサーユニット10から取得した計測データ(被験者2の静止動作(アドレス動作)における計測データ)を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢におけるシャフトの鉛直方向に対する傾斜角度ψを計算する(S40)。図9は、センサーユニット10が計測する加速度と傾斜角度ψとの関係を示す図である。図9に示すように、アドレス時においてセンサーユニット10が計測するx軸方向の加速度ax、y軸方向の加速度ay及びz軸方向の加速度azの合成加速度axyzは重力加速度1Gであり、y軸方向の加速度ay及び合成加速度axyzとゴルフクラブ3の鉛直方向に対する傾斜角度ψとの間には、次の式(2)の関係が成り立つ。従って、処理部200は、式(2)を用いてアドレス時のゴルフクラブ3の傾斜角度ψを計算することができる。
次に、処理部200は、回転角度θ、傾斜角度ψ、ゴルフクラブ3の仕様としてのライ角、フェース角、ロフト角等の情報を用いて、被験者2のアドレス時のライ角、フェース角、ロフト角等を計算し、ゴルフクラブ3の初期姿勢情報を生成する(S50)。
次に、処理部200は、センサーユニット10から取得した計測データを用いて、被験者2が打球したタイミングを検出する(S60)。
また、処理部200は、工程S60の処理と並行して、被験者2のスイング動作中のセンサーユニット10の位置と姿勢を計算する処理(S70)、及び、センサーユニット10の位置と姿勢の変化から運動解析モデルの軌跡を計算する処理(S80)を行う。処理部200は、例えば、センサーユニット10の初期位置をXYZ座標系の原点とし、センサーユニット10が計測する加速度データから重力加速度の方向を特定し、XYZ座標系
での初期姿勢を計算する。その後、処理部200は、センサーユニット10が計測する加速度データを積分して位置を計算するとともに、センサーユニット10が計測する角速度データを用いて回転計算を行って姿勢を計算する。さらに、処理部200は、センサーユニット10の位置及び姿勢、ゴルフクラブ3の仕様情報、センサーユニット10の装着位置、被験者2の特徴情報等を用いて運動解析モデルの軌跡を計算する。
での初期姿勢を計算する。その後、処理部200は、センサーユニット10が計測する加速度データを積分して位置を計算するとともに、センサーユニット10が計測する角速度データを用いて回転計算を行って姿勢を計算する。さらに、処理部200は、センサーユニット10の位置及び姿勢、ゴルフクラブ3の仕様情報、センサーユニット10の装着位置、被験者2の特徴情報等を用いて運動解析モデルの軌跡を計算する。
次に、処理部200は、運動解析モデルの軌跡やゴルフクラブの仕様情報等を用いて、被験者2の打球時のゴルフクラブ3の姿勢(ライ角、フェース角、ロフト角等)等を計算し、運動解析情報を生成する(S90)。
最後に、処理部200は、初期姿勢情報や運動解析情報を用いて、アドレス姿勢に関するアドバイス情報を生成する(S100)。
なお、図7のフローチャートにおいて、可能な範囲で各工程の順番を適宜変えてもよい。
[インパクト検出処理]
図10は、被験者2が打球したタイミングを検出する処理(図7の工程S60の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。
図10は、被験者2が打球したタイミングを検出する処理(図7の工程S60の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。
図10に示すように、まず、処理部200は、取得した角速度データ(時刻t毎の角速度データ)を用いて各時刻tでの角速度の合成値n0(t)の値を計算する(S200)。例えば、時刻tでの角速度データをx(t)、y(t)、z(t)とすると、角速度の合成値n0(t)は、次の式(3)で計算される。
被験者2がスイングを行ってゴルフボール4を打ったときの3軸角速度データx(t)、y(t)、z(t)の一例を、図11(A)に示す。図11(A)において、横軸は時間(msec)、縦軸は角速度(dps)である。
次に、処理部200は、各時刻tでの角速度の合成値n0(t)を所定範囲に正規化(スケール変換)した合成値n(t)に変換する(S210)。例えば、計測データの取得期間における角速度の合成値の最大値をmax(n0)とすると、次の式(4)により、角速度の合成値n0(t)が0〜100の範囲に正規化した合成値n(t)に変換される。
図11(B)は、図11(A)の3軸角速度データx(t),y(t),z(t)から3軸角速度の合成値n0(t)を式(2)に従って計算した後に式(3)に従って0〜1
00に正規化した合成値n(t)をグラフ表示した図である。図11(B)において、横軸は時間(msec)、縦軸は角速度の合成値である。
00に正規化した合成値n(t)をグラフ表示した図である。図11(B)において、横軸は時間(msec)、縦軸は角速度の合成値である。
次に、処理部200は、各時刻tでの正規化後の合成値n(t)の微分dn(t)を計算する(S220)。例えば、3軸角速度データの計測周期をΔtとすると、時刻tでの角速度の合成値の微分(差分)dn(t)は次の式(5)で計算される。
図11(C)は、図11(B)の3軸角速度の合成値n(t)からその微分dn(t)を式(4)に従って計算し、グラフ表示した図である。図11(C)において、横軸は時間(msec)、縦軸は3軸角速度の合成値の微分値である。なお、図11(A)及び図11(B)では横軸を0〜5秒で表示しているが、図11(C)では、打球の前後の微分値の変化がわかるように、横軸を2秒〜2.8秒で表示している。
最後に、処理部200は、合成値の微分dn(t)の値が最大となる時刻と最小となる時刻のうち、先の時刻を打球のタイミングとして検出する(S230)。通常のゴルフスイングでは、打球の瞬間にスイング速度が最大になると考えられる。そして、スイング速度に応じて角速度の合成値の値も変化すると考えられるので、一連のスイング動作の中で角速度の合成値の微分値が最大又は最小となるタイミング(すなわち、角速度の合成値の微分値が正の最大値又は負の最小値になるタイミング)を打球(インパクト)のタイミングとして捉えることができる。なお、打球によりゴルフクラブ3が振動するため、角速度の合成値の微分値が最大となるタイミングと最小となるタイミングが対になって生じると考えられるが、そのうちの先のタイミングが打球の瞬間と考えられる。従って、例えば、図11(C)のグラフでは、T1とT2のうち、T1が打球のタイミングとして検出される。
なお、被験者2がスイング動作を行う場合、トップ位置でゴルフクラブを静止し、ダウンスイングを行い、打球し、フォロースルーを行うといった一連のリズムが想定される。従って、処理部200は、図10のフローチャートに従って、被験者2が打球したタイミングの候補を検出し、検出したタイミングの前後の計測データがこのリズムとマッチするか否かを判定し、マッチする場合には、検出したタイミングを被験者2が打球したタイミングとして確定し、マッチしない場合には、次の候補を検出するようにしてもよい。
また、図10のフローチャートでは、処理部200は、3軸角速度データを用いて打球のタイミングを検出しているが、3軸加速度データを用いて、同様に打球のタイミングを検出することもできる。
[センサーユニットの姿勢計算処理]
図12は、センサーユニット10の姿勢(初期姿勢及び時刻Nでの姿勢)を計算する処理(図7の工程S70の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。
図12は、センサーユニット10の姿勢(初期姿勢及び時刻Nでの姿勢)を計算する処理(図7の工程S70の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。
図12に示すように、まず、処理部200は、時刻t=0として(S300)、静止時の3軸加速度データから重力加速度の向きを特定し、センサーユニット10の初期姿勢(時刻t=0の姿勢)を表すクォータニオンp(0)を計算する(S310)。
例えば、初期姿勢を任意のXYZ座標系のベクトル(X0,Y0,Z0)とすると、ク
ォータニオンp(0)は、次の式(6)で表される。
ォータニオンp(0)は、次の式(6)で表される。
また、回転を表すクォータニオンqは次の式(7)で表される。
式(7)において、対象とする回転の回転角をφ、回転軸の単位ベクトルを(rx,ry,rz)とすると、w,x,y,zは、次の式(8)で表される。
時刻t=0ではセンサーユニット10は静止しているのでφ=0として、時刻t=0での回転を表すクォータニオンq(0)は、式(8)にφ=0を代入した式(7)より、次の式(9)のようになる。
次に、処理部200は、時刻tをt+1に更新し(S320)、時刻tの3軸角速度データから、時刻tの単位時間あたりの回転を表すクォータニオンΔq(t)を計算する(S330)。
例えば、時刻tの3軸角速度データをω(t)=(ωx(t),ωy(t),ωz(t))とすると、時刻tで計測された1サンプルあたりの角速度の大きさ|ω(t)|は、次の式(10)で計算される。
この角速度の大きさ|ω(t)|は、単位時間当たりの回転角度となっているため、時
刻tの単位時間あたりの回転を表すクォータニオンΔq(t+1)は、次の式(11)で計算される。
刻tの単位時間あたりの回転を表すクォータニオンΔq(t+1)は、次の式(11)で計算される。
ここでは、t=1なので、処理部200は、時刻t=1の3軸角速度データω(1)=(ωx(1),ωy(1),ωz(1))から、式(11)により、Δq(1)を計算する。
次に、処理部200は、時刻0からtまでの回転を表すクォータニオンq(t)を計算する(S340)。クォータニオンq(t)は、次の式(12)で計算される。
ここでは、t=1なので、処理部200は、式(9)のq(0)と工程S330で計算したΔq(1)から、式(12)により、q(1)を計算する。
次に、処理部200は、t=Nになるまで工程S320〜S340の処理を繰り返し、t=Nになると(S350のY)、工程S310で計算した初期姿勢を表すクォータニオンp(0)と直近の工程S340で計算した時刻t=0からNまでの回転を表すクォータニオンq(N)とから、次の式(13)により、時刻Nでの姿勢を表すクォータニオンp(N)を計算し(S360)、処理を終了する。
式(13)において、q*(N)はq(N)の共役クォータニオンである。このp(N)は、次の式(14)のように表され、センサーユニット10の時刻Nの姿勢をXYZ座標系のベクトルで表記すると、(XN,YN,ZN)となる。
処理部200は、被験者2が打球した時刻を時刻Nとして、打球時のセンサーユニット10の姿勢を計算する。
以上に説明したように、本実施形態の運動解析システム1では、センサーユニット10
を、そのy軸をゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向に合わせてゴルフクラブ3に装着するものとし、打球の目標方向に対してシャフトを垂直に立てたときのゴルフクラブ3の姿勢をセンサーユニット10の基準姿勢と定義する。そして、運動解析装置20は、被験者2のアドレス時におけるセンサーユニット10の計測データ(重力加速度の計測データ)を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢の基準姿勢に対するシャフトの長軸回りの回転角度θを計算することで、ゴルフクラブ3の初期姿勢を正確に特定することができる。従って、本実施形態の運動解析システム1あるいは運動解析装置20によれば、正確に特定したゴルフクラブ3の初期姿勢に基づき、スイング解析を精度よく行うことができる。
を、そのy軸をゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向に合わせてゴルフクラブ3に装着するものとし、打球の目標方向に対してシャフトを垂直に立てたときのゴルフクラブ3の姿勢をセンサーユニット10の基準姿勢と定義する。そして、運動解析装置20は、被験者2のアドレス時におけるセンサーユニット10の計測データ(重力加速度の計測データ)を用いて、ゴルフクラブ3の初期姿勢の基準姿勢に対するシャフトの長軸回りの回転角度θを計算することで、ゴルフクラブ3の初期姿勢を正確に特定することができる。従って、本実施形態の運動解析システム1あるいは運動解析装置20によれば、正確に特定したゴルフクラブ3の初期姿勢に基づき、スイング解析を精度よく行うことができる。
また、本実施形態の運動解析システム1あるいは運動解析装置20によれば、正確に特定したゴルフクラブ3の初期姿勢に基づいて、被験者2のアドレス姿勢に関するアドバイス情報を生成して提示するので、被験者2は、自己のアドレス姿勢を具体的に知ることができる。これにより、被験者2にゴルフスイングの改善を促すことができる。
また、本実施形態の運動解析システム1あるいは運動解析装置20によれば、ゴルフクラブ3に装着されたセンサーユニット10の計測データを用いて初期姿勢情報、アドバイス情報及び運動解析情報等を生成することができるので、カメラ等の大型の測定具を用意する必要がなく、計測する場所が大きく制限されない。
2.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、センサーユニットが計測した3軸角速度の合成値として式(3)に示すような二乗和の平方根を用いて、被験者2が打球したタイミング(インパクト)を検出しているが、3軸角速度の合成値として、これ以外にも、例えば、3軸角速度の二乗和、3軸角速度の和あるいはその平均値、3軸角速度の積等を用いてもよい。また、3軸角速度の合成値に代えて、3軸加速度の二乗和あるいはその平方根、3軸加速度の和あるいはその平均値、3軸加速度の積等の3軸加速度の合成値を用いてもよい。
また、上述した実施形態では、ゴルフスイングを解析する運動解析システム(運動解析装置)を例に挙げたが、本発明は、テニスや野球などの様々な運動のスイングを解析する運動解析システム(運動解析装置)に適用することができる。
また、上述した実施形態では、運動解析装置20は、1つのセンサーユニット10の計測データを用いて運動解析モデルの軌跡の計算を行っているが、複数のセンサーユニット10の各々をゴルフクラブ3又は被験者2に装着し、運動解析装置20は、当該複数のセンサーユニット10の計測データを用いて運動解析モデルの軌跡の計算を行ってもよい。
また、上述した実施形態では、センサーユニット10と運動解析装置20が別体であるが、これらを一体化して運動器具又は被験者に装着可能な運動解析装置であってもよい。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構
成を含む。
成を含む。
1 運動解析システム、2 被験者、3 ゴルフクラブ、4 ゴルフボール、10 センサーユニット、20 運動解析装置、100 加速度センサー、110 角速度センサー、120 信号処理部、130 通信部、200 処理部、201 データ取得部、202 回転角度計算部、203 傾斜角度計算部、204 初期姿勢情報生成部、205 運動解析部、206 アドバイス情報生成部、207 記憶処理部、208 表示処理部、209 音出力処理部、210 通信部、220 操作部、230 ROM、240 RAM、250 記録媒体、260 表示部、270 音出力部
Claims (11)
- 運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算工程と、
前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程と、を含む、運動解析方法。 - 打球目標方向に対し前記シャフトを垂直に立てたときの前記運動器具の姿勢を基準姿勢とした場合に、前記回転角度は前記基準姿勢に対する前記初期姿勢の前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度である、請求項1に記載の運動解析方法。
- 前記慣性センサーは、
前記シャフトの長軸方向を第1検出軸、前記打球目標方向を第2検出軸、および、前記第1検出軸と前記第2検出軸とに直交する下向きの方向を第3検出軸とする複数の検出軸を備え、
前記回転角度計算工程において、
前記運動器具が前記初期姿勢の時に前記慣性センサーが計測する前記第2検出軸の方向の加速度と第3検出軸の方向の加速度とを用いて、前記回転角度を計算する、請求項2に記載の運動解析装置。 - 前記運動器具が前記初期姿勢の時に前記慣性センサーが計測する前記第1検出軸の方向の加速度、前記第2検出軸の方向の加速度及び前記第3検出軸の方向の加速度の合成加速度を計算し、前記第1検出軸の方向の加速度と前記合成加速度とを用いて、前記シャフトの傾斜角度を計算する傾斜角度計算工程を含み、
前記初期姿勢情報生成工程において、
前記傾斜角度を用いて前記初期姿勢情報を生成する、請求項3に記載の運動解析方法。 - 前記初期姿勢情報と前記慣性センサーの出力とを用いて、前記被験者が前記運動器具を用いて打球した運動を解析する運動解析工程を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の運動解析方法。
- 前記運動解析工程において、
前記慣性センサーの出力の合成値を計算し、当該合成値に基づいて前記被験者が前記運動器具を用いて打球した時を特定する、請求項5に記載の運動解析方法。 - 前記初期姿勢情報を用いて、前記被験者の構え方に関するアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成工程を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の運動解析方法。
- 前記運動器具は、ゴルフクラブである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の運動解析方法。
- 運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算部と、
前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成部と、を含む、運動解析装置。 - 請求項9に記載の運動解析装置と、前記慣性センサーと、を含む、運動解析システム。
- 運動器具に装着された慣性センサーの出力を用いて、被験者が前記運動器具を構えた時における前記運動器具のシャフトの長軸回りの回転角度を計算する回転角度計算工程と、
前記回転角度を用いて、前記運動器具の初期姿勢に関する初期姿勢情報を生成する初期姿勢情報生成工程と、をコンピューターに実行させる、プログラム。
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