JP2015180529A - プラズマ処理装置、印刷装置、印刷システム、プログラムおよび印刷物の製造方法 - Google Patents

プラズマ処理装置、印刷装置、印刷システム、プログラムおよび印刷物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質な印刷物を製造することが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、被記録媒体の所定の領域を少なくとも2回プラズマ処理するプラズマ処理手段と、前記プラズマ処理手段が被記録媒体の所定の領域に対して1回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を第1エネルギーとし、所定領域に対して2回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を第1エネルギー量よりも低い第2エネルギー量とする制御手段と、前記プラズマ手段によって1回目にプラズマ処理された所定の領域にインクジェット記録する記録手段と、を備え、制御手段は、記録手段によってインクジェット記録された所定の領域に対して2回目のプラズマ処理を実施する。
【選択図】図3

Description

本発明は、プラズマ処理装置、印刷装置、印刷システム、プログラムおよび印刷物の製造方法に関する。
一般的に、アクリル、ポリエステルまたは塩ビのフィルムやコート紙などの非浸透メディア・緩浸透メディアは、普通紙などと比較して、濡れ性や乾燥性の点で劣っている。そのため、このようなメディアに対して印刷する場合、着弾したインクがメディア内部へ素早く浸透せず、その結果、ドットの不規則な結合(ビーディング)や隣接ドット間の混色(ブリード)などが発生し、画質が低下してしまう場合が存在した。
このような問題を解決する技術としては、一度に射出するインク量を少なくし、マルチパスで複数回に分けて少量のインクを重ねて印字するマルチパス印字方式や、インクドットを乾燥させるための乾燥装置を追加する方法などが存在する。
しかしながら、マルチパス印字方式を採用した場合、そのスキャンピッチ(バンド幅)で発生するバンディング(濃度ムラ)によって異常画像が発生しやすいという課題が存在する。これは、前処理としてメディアにプラズマ処理を実行した場合でも解消しきれない問題であった。
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、マルチパス印字においてバンディングの発生を抑制し、高品質な印刷物を製造することが可能なプラズマ処理装置、印刷装置、印刷システム、プログラムおよび印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかるプラズマ処理装置は、被記録媒体の所定の領域を少なくとも2回プラズマ処理するプラズマ処理手段と、前記プラズマ処理手段が前記被記録媒体の前記所定の領域に対して1回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を第1エネルギー量とし、前記所定の領域に対して2回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を前記第1エネルギー量よりも低い第2エネルギー量とする制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかる印刷装置は、上述したプラズマ処理装置と、前記プラズマ処理手段によって前記1回目にプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録する記録手段と、を備え、前記制御手段は、前記記録手段によってインクジェット記録された前記所定の領域に対して前記2回目のプラズマ処理を実施することを特徴とする。
また、本発明にかかる印刷システムは、上述したプラズマ処理装置と、前記プラズマ処理手段によって前記1回目にプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録する記録装置と、を備え、前記制御手段は、前記記録装置によってインクジェット記録された前記所定の領域に対して前記2回目のプラズマ処理を実施することを特徴とする。
また、本発明にかかるプログラムは、被記録媒体の所定の領域を少なくとも2回プラズマ処理するプラズマ処理手段と、前記プラズマ処理手段によってプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録する記録手段とを備える印刷装置に搭載されたコンピュータを動作させるためのプログラムであって、前記プラズマ処理手段が前記被記録媒体の前記所定の領域に対して1回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を第1エネルギー量とするステップと、前記記録手段が前記所定の領域に対してインクジェット記録を実施した後に前記所定の領域に対して2回目のプラズマ処理を実施する場合、前記プラズマ処理手段のプラズマエネルギー量を前記第1エネルギー量よりも低い第2エネルギー量とするステップと、を前記コンピュータに実行させる。
また、本発明にかかる印刷物の製造方法は、被記録媒体にインクジェット記録方式で画像が形成された印刷物を製造するための製造方法であって、前記被記録媒体の所定の領域を第1のプラズマエネルギー量でプラズマ処理する工程と、前記第1のプラズマエネルギー量でプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録を実施する工程と、前記インクジェット記録された前記所定の領域に対して2回目のプラズマ処理を実施する場合、前記第1のプラズマエネルギー量よりも低い第2のプラズマエネルギー量で前記所定の領域をプラズマ処理する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、マルチパス印字においてバンディングの発生を抑制し、高品質な印刷物を製造することが可能なプラズマ処理装置、印刷装置、印刷システム、プログラムおよび印刷物の製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態にかかるプラズマ処理装置の一例を示す概略図である。 図2は、実施形態にかかる印刷装置(システム)の概略構成を示す模式図である。 図3は、インクジェット記録装置のヘッド構成の概略構成を示す上視図である。 図4は、ヘッド構成のスキャン方向に沿った概略構成を示す側視図である。 図5は、インクジェット記録装置に搭載されたプラズマ処理装置の概略構成を示す模式図である。 図6は、マルチパス方式で5スキャン分印刷した際の印刷状態を示す上視図である。 図7は、図6に示す印刷状態の断面構造を示す側視図である。 図8は、メディアに着弾したインク滴における顔料分布の一例を示す図である。 図9は、メディアに着弾したインク滴に発生したビニングの一例を示す図である。 図10は、メディアに着弾したインク滴がその後に乾燥した状態を示す図である。 図11は、メディアに着弾したインク滴に発生したコーヒーステインの一例を示す図である。 図12は、インクのpH値とインクの粘度との関係の一例を示す図である。 図13は、プラズマエネルギー量を変化させつつインク滴を着弾させることで観測された顔料凝集の均一性に関する結果を示す図である。 図14は、実施形態においてプラズマ処理をしなかった場合(プラズマエネルギー量=0J/cm)の白塩ビシートの表面状態を示す画像である。 図15は、実施形態においてプラズマエネルギー量を2.0J/cmとした場合の白塩ビシートの表面状態を示す画像である。 図16は、実施形態においてプラズマエネルギー量を5.6J/cmとした場合の白塩ビシートの表面状態を示す画像である。 図17は、実施形態にかかるプラズマエネルギー量と表面粗さRaとの関係を示すグラフである。 図18は、実施形態にかかる同じ大きさのインク滴を非浸透系メディアである白塩ビシート表面に滴下した際のドット径を示すグラフである。 図19は、実施形態にかかる同じ大きさのインク滴を同じく非浸透系メディアであるターポリン表面に滴下した際のドット径を示すグラフである。 図20は、実施形態にかかる同じ大きさのインク滴を非浸透系メディア(白塩ビシート)表面に滴下した際に実際にメディア表面に形成されたインクドットを示す画像である。 図21は、実施形態にかかる非浸透系メディアである白塩ビシートに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。 図22は、実施形態にかかる非浸透系メディアであるターポリンに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
以下の実施形態では、記録媒体や印刷メディアなどの被処理物(以下、単にメディアまたは被記録媒体という)にインクが着弾した直後にインク顔料の分散を防止しつつ顔料を凝集させるために、メディア表面にプラズマ処理を施す。プラズマ処理を施すことで、メディアの浸透率やメディア表面の濡れ性が上がり、着弾したドットが素早く拡がるため、メディア表面のインクを素早く乾燥させることが可能となる。
メディアに対してプラズマ処理を行うと、発生した酸素ラジカルやオゾンのような活性種によって表面の有機物が酸化反応し、親水性かつ酸性の官能基が形成される。したがって、プラズマ処理を施すことで、メディア表面のpH値も制御(酸性化)することが可能である。
このように、プラズマ処理を用いることで、インク顔料の凝集性や浸透性をコントロールしてインクドット(以下、単にドットという)の真円度を向上させるとともに、ドットの合一を防止してドットの鮮鋭度や色域を拡げることが可能である。その結果、ビーディングやブリードといった画像不良を解決して、高品質な画像が形成された印刷物を得ることができる。また、メディア上の顔料の凝集厚みを薄く均一にすることにより、インク液滴量を削減して、インク乾燥エネルギーの低減および印刷コストの低減を図ることも可能になる。
図1は、実施形態で採用されるプラズマ処理の概略を説明するための模式図である。図1に示すように、実施形態で採用されるプラズマ処理には、放電電極11と、カウンタ電極14と、誘電体12と、高周波高圧電源15とを備えたプラズマ処理装置10が用いられる。誘電体12は、放電電極11とカウンタ電極(接地電極)14との間に配置される。放電電極11およびカウンタ電極14は、金属部分が露出した電極であってもよいし、絶縁ゴムやセラミックスなどの誘電体または絶縁体で被覆された電極であってもよい。また、放電電極11とカウンタ電極14との間に配置される誘電体12は、ポリイミド、シリコン、セラミックスなどの絶縁体であってもよい。なお、プラズマ処理として、コロナ放電を採用した場合、誘電体12は省略されてもよい。ただし、例えば誘電体バリア放電を採用した場合など、誘電体12を設けた方が好ましい場合もある。その場合、誘電体12の位置は、放電電極11側に近接または接触するように配置するよりも、カウンタ電極14側に近接または接触するように配置した方が、沿面放電の領域が広がるため、よりプラズマ処理の効果を高めることが可能である。また、放電電極11およびカウンタ電極14側(もしくは誘電体12が設けられている側の電極はその誘電体12)は、2つの電極間を通過する被処理物20と接触する位置に配置されてもよいし、接触しない位置に配置されてもよい。
高周波高圧電源15は、放電電極11とカウンタ電極14との間に高周波・高電圧のパルス電圧を印加する。このパルス電圧の電圧値は、たとえば約10kV(キロボルト)(p−p)程度である。また、その周波数は、たとえば約20kHz(キロヘルツ)とすることができる。このような高周波・高電圧のパルス電圧を2つの電極間に供給することで、放電電極11と誘電体12との間に大気圧非平衡プラズマ13が発生する。メディア20は、大気圧非平衡プラズマ13の発生中に放電電極11と誘電体12との間を通過する。これにより、メディア20の放電電極11側の表面がプラズマ処理される。
図1に示すようなプラズマ処理装置10を用いたプラズマ処理では、メディア20に大気中のプラズマ照射を行うことによって、メディア20表面の高分子を反応させ、親水性の官能基を形成する。詳細には、放電電極から放出された電子eが電界中で加速されて、大気中の原子や分子を励起・イオン化する。イオン化された原子や分子からも電子が放出され、高エネルギーの電子が増加し、その結果、ストリーマ放電(プラズマ)が発生する。このストリーマ放電による高エネルギーの電子によって、メディア(たとえばコート紙)表面の高分子結合(コート紙のコート層は炭酸カルシウムとバインダとして澱粉で固められているが、その澱粉が高分子構造を有している)が切断され、気相中の酸素ラジカルOや水酸ラジカル(*OH)、オゾンOと再結合する。これらの処理をプラズマ処理と呼ぶ。これにより、印刷媒体の表面に水酸基やカルボキシル基等の極性官能基が形成される。その結果、印刷媒体の表面に親水性や酸性が付与される。なお、カルボキシル基の増加により、印刷媒体表面が酸性化(pH値の低下)する。
印刷媒体表面における隣接したドットは、印刷媒体表面の親水性が上がることにより、濡れ広がって合一する。これに起因したドット間の混色の発生を防ぐためには、着色剤(例えば顔料や染料)をドット内で迅速に凝集させることや、ビヒクルが濡れ広がるよりも早くビヒクルを乾燥させたり印刷媒体内へ浸透させたりすることが必要になる。上記において例示したプラズマ処理は、印刷媒体表面を酸性化させる酸性化処理手段(工程)としても作用することから、ドット内での着色剤の凝集速度を高めることができる。この点においても、インクジェット記録処理の前処理としてプラズマ処理を実行することは有効であると考えられる。
なお、プラズマ処理装置10によるプラズマ処理は、たとえば誘電体バリア放電を利用した大気圧非平衡プラズマ処理であってよい。大気圧非平衡プラズマによるプラズマ処理は、電子温度が極めて高く、ガス温度が常温付近であるため、メディアに対するプラズマ処理方法として好ましい方法の1つである。
また、大気圧非平衡プラズマを広範囲に安定して発生させるには、ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電を採用した大気圧非平衡プラズマ処理を実行するとよい。ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電は、たとえば誘電体で被覆された電極間に交番する高電圧が印加することで得ることが可能である。
ただし、大気圧非平衡プラズマを発生させる方法としては、上述したストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電以外にも、種々の方法を用いることができる。たとえば、電極間に誘電体等の絶縁物を挿入する誘電体バリア放電、細い金属ワイヤ等に著しい不平等電界を形成するコロナ放電、短パルス電圧を印加するパルス放電などを適用することが可能である。また、これらの方法を2つ以上組み合わせることも可能である。また、本実施形態におけるプラズマ処理は、大気中で実施されているが、これに限らず、窒素や酸素等のガス雰囲気下で実施されてもよい。
また、図1に例示したプラズマ処理装置10では、搬送方向に合わせてメディア20を送り出すように回転可能な放電電極11が採用されているが、この構成に限られるものではない。たとえば後述において例示されるような、メディア20の搬送方向に対して垂直方向(スキャン方向)に移動可能な1つ以上の放電電極が採用されてもよい。
つぎに、実施形態にかかるプラズマ処理装置、印刷装置、印刷システム、プログラムおよび印刷物の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の吐出ヘッド(記録ヘッド、インクヘッド)を有する画像形成装置を説明するが、これらの吐出ヘッドに限定されない。すなわち、グリーン(G)、レッド(R)及びその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有してもよいし、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有していてもよい。ここで、以後の説明において、K、C、M及びYは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。
また、本実施形態では、メディア20として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、ロール紙という)を用いるが、これに限定されものではなく、たとえばカット紙など、画像を形成できるメディアであればよい。すなわち、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜及びその他表面にインク等で画像を形成することができるものもメディア20として用いることができる。また、メディア20として紙を採用した場合、その種類としては、普通紙、上質紙、再生紙、薄紙、厚紙、コート紙等を用いることができる。メディア20として採用した紙がコート紙のような非浸透紙または緩浸透紙の場合、以下の実施形態はより効果を発し得る。なお、ロール紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙(連帳紙、連続帳票)であってよい。その場合、ロール紙におけるページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域と定義することができる。
図2は、本実施形態にかかる印刷装置(システム)の概略構成を示す模式図である。図2に示すように、印刷装置(システム1)は、メディア20(ロール紙)を搬送経路D1に沿って搬入(搬送)する搬入部30と、プラズマ処理されたメディア20の表面に画像を形成する画像形成装置40とを有する。画像形成装置40は、プラズマ処理されたメディア20にインクジェット処理により画像を形成するインクジェット記録装置170を含む。このインクジェット記録装置170は、メディア20表面をプラズマ処理するためのプラズマ処理装置を搭載している。また、画像形成装置40は、画像が形成されたメディア20を後処理する後処理部70をさらに含んでもよい。これらの装置は、別の筐体で存在し全体でシステムを構成しても良いし、同じ筐体内に収められた印刷装置であってもよい。また、印刷システムとして構成される場合には、システムの全体または一部を制御する制御部は、何れかの装置に含まれていてもよいし、独立した別筐体に設けられてもよい。
印刷装置(システム1)は、印字後のメディア20を乾燥する乾燥部50と、画像形成された(場合によってはさらに後処理された)メディア20を搬出する搬出部60とを有してもよい。また、印刷装置(システム1)は、メディア20に対して前処理を施す前処理部として、プラズマ処理装置の他に、メディア20表面に高分子材料を含む先塗り剤と呼ばれる処理液を塗布する先塗り処理部(不図示)をさらに備えてもよい。
さらにまた、印刷装置(システム1)は、各部の動作を制御する制御部(不図示)を有する。この制御部は、たとえば印刷対象の画像データからラスタデータを生成する印刷制御装置に接続されてもよい。印刷制御装置は、印刷装置(システム)1の内部に設けられても、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介した外部に設けられてもよい。
つづいて、図2に示す印刷装置(システム)1におけるインクジェット記録装置170の概略構成を、図3〜図5に抜粋して示す。図3は、インクジェット記録装置のヘッド構成の概略構成を示す上視図であり、図4はヘッド構成のスキャン方向に沿った概略構成を示す側視図である。図5は、インクジェット記録装置に搭載されたプラズマ処理装置の概略構成を示す模式図である。
図3および図4に示すように、インクジェット記録装置170は、インクジェットヘッド171と、複数の放電電極101a〜101d,101w〜101zと、これらを搭載するキャリッジ172とを備える。キャリッジ172は、不図示の移動機構によって、メディア20の搬送方向(副走査方向)と垂直な方向(スキャン方向または主走査方向という)に往復移動することができる。インクジェットヘッド171は、キャリッジ172によってスキャン方向へ搬送されている最中にインクドットを吐出することで、メディア20表面に印字する。放電電極101a〜101d,101w〜101zは、同じくキャリッジ172によってスキャン方向へ搬送されている最中に放電することで、メディア20表面にプラズマ処理を施す。
より具体的には、インクジェットヘッド171は、たとえば印刷速度の高速化のために、複数の同色ヘッド(たとえば4色×4ヘッド)を備えている。図3に示すインクジェットヘッド171の例では、4色分の4つのヘッドが主走査方向に並んでいる。各色のヘッドは配列する複数のノズルを備えている。各色のヘッドの複数のノズルは、副走査方向に並ぶ4つのまとまり(以下、ノズルグループという)に分割されている。したがって、主走査方向の各列には、4色分のノズルグループが並んでいることとなる。その場合、図3に例示するインクジェットヘッド171は、(a)〜(d)のノズルグループを備えることとなる。また、以下の説明において、各ノズルグループ(a)〜(d)が一度のスキャンで印字する帯状の領域またはこの帯状の領域に印刷された画像をバンドという。
各ノズルグループ(a)〜(d)におけるノズルは、高解像度(たとえば1200dpi)の高速画像形成を達成するために、間隔を補正するようにずらして固定されている。また、インクジェットヘッド171は、各ノズルから吐出されるインクのドット(液滴)が大/中/小滴と呼ばれる3種類の容量に対応するように、複数種類の駆動周波数に対応している。この駆動周波数は、不図示の制御装置に接続された不図示の駆動回路からインクジェットヘッド171へ入力される。
複数の放電電極101a〜101d,101w〜101zは、たとえばスキャン方向においてインクジェットヘッド171をサンドウィッチするように、キャリッジ172におけるインクジェットヘッド171の両サイドに搭載されている。図3および図4において、インクジェットヘッド171に対して一方の側(これを右側とする)に配置された放電電極を放電電極101a〜101d(これらを放電電極101Aとする)とし、これらと反対側(これを左側とする)に配置された放電電極を放電電極101w〜101z(これらを放電電極101Zとする)とする。
個々の放電電極101a〜101d,101w〜101zの電極長さは、インクジェットヘッド171における各ノズルグループ(a)〜(d)の副走査方向に沿った長さ(以下、バンド幅という)に一致している。たとえば4スキャンのマルチスキャンヘッドの場合、バンド幅は、インクジェットヘッド171全体の副走査方向に沿った長さの1/4になる。その場合、各放電電極101a〜101d,101w〜101zの副走査方向に沿った長さも、バンド幅と同様、インクジェットヘッド171全体の長さの1/4に設定される。
このような放電電極を101a〜101d,101w〜101zを備えるプラズマ処理装置100は、図5に示すように、放電電極101a〜101d,101w〜101zそれぞれに設けられた高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105z(ただし、高周波高圧電源105w〜105zは図示省略)と、放電電極101a〜101d,101w〜101zの移動領域全体に対して対向配置された誘電体102およびカウンタ電極104と、高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを制御する制御部160とを備える。誘電体102は、たとえば放電電極101a〜101d,101w〜101zとカウンタ電極104との間であってたとえばカウンタ電極104側に設けられている。ただし、これに限定されず、誘電体102が放電電極101a〜101d,101w〜101z側に設けられてもよい。その場合、誘電体102は、放電電極101a〜101d,101w〜101zの配置に応じて複数のピースに分断されていてもよい。
図5に示す誘電体102およびカウンタ電極104は、たとえば放電電極101a〜101d,101w〜101zの移動範囲全体を覆うサイズを有しているとよい。放電電極101a〜101d,101w〜101zとカウンタ電極104との間には、メディア20が通過するためのギャップが設けられている。このギャップの距離は、通過するメディア20が放電電極101a〜101d,101w〜101zに接触する距離であってもよいし、接触しない距離であってもよい。
高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zは、制御部160の制御に従い、放電電極101a〜101d,105w〜105zとカウンタ電極104の間に電圧約10KV(p−p)、周波数約20KHzのパルス電圧を供給することで、メディア20の搬送経路上に大気圧非平衡プラズマを発生させる。この際のプラズマエネルギー量は、たとえば各放電電極101a〜101d,101w〜101zへ供給した高周波・高電圧パルスの電圧値および印加時間と、その際にメディア20に流れた電流とから求めることができる。なお、一度のプラズマ処理におけるプラズマエネルギー量は、放電電極101a〜101d,101w〜101zごとではなく、放電電極全体でのエネルギー量として算出または制御されてよい。
制御部160は、高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを個別にオン/オフすることが可能である。たとえば制御部160は、上位装置から入力された印刷速度情報に比例した数の高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを選択的に駆動することで、メディア20に対するプラズマエネルギー量を調節してもよい。また、メディアの種類によって必要なプラズマエネルギー量が異なる場合には、制御部160は、メディアの種類に応じた数の高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを選択的に駆動することで、プラズマエネルギー量を調節してもよい。
本実施形態では、各ノズルグループ(a)〜(d)と各放電電極101a〜101dまたは101w〜101zとが一対一で対応している。すなわち、あるノズルグループ(たとえばノズルグループ(a))が印字対象領域とするバンドに対しては、これに対応づけられた放電電極(たとえば101aまたは101w)がプラズマ処理を行うように構成されている。その場合、プラズマ処理と印字処理とを一度のスキャンで実行することで、効率的な印刷処理を実行することができる。
また、主走査方向に並んだ複数のノズルを有するインクジェットヘッド171による画像形成方法としては、オーバーラップ記録方式を採用することができる。オーバーラップ記録方式とは、同一の主走査ラインに対して異なるノズルを用いて複数回印字することで、1つの主走査ラインの画像を完成させる記録方式である。また、同じくインクジェットヘッド171を用いた画像形成方法としては、複数のパスに対応したノズルで主走査方向の走査(スキャン)を繰り返すことにより画像を形成するマルチパス方式も合わせて採用することもできる。
ここで、マルチパス方式の画像形成方法について説明する。図6は、マルチパス方式で5スキャン分印刷した際の印刷状態を示す上視図であり、図7は、図6に示す印刷状態の断面構造を示す側視図である。なお、図6および図7に示す印刷状態では、説明を分かりやすくするために、副走査方向のパス数を4としている。
インクジェットヘッド171のノズルグループ(図示せず)は、4つの第1パス列〜第4パス列(ノズルグループ(a)〜(d))に分割されており、各パス列に配置された複数のノズルで対応するパスの印刷が行われる。1回のスキャンで形成される印刷領域は、バンド幅BWを有する帯状のバンドとなる。第1スキャン〜第3スキャンまでは、副走査方向における印刷開始位置に合わせて第1パス列に対応するノズルグループから順に駆動が開始される。第4スキャン以降、第N−3スキャン(第Nスキャンは最終スキャンに相当)までは、1回のスキャンで4つ全てのパス列が印刷される。したがって、第4スキャン〜第N−3スキャンでは、1回のスキャンで4つのパスの印刷が行われる。第N−2スキャン〜第Nスキャンでは、第1スキャン〜第3スキャンまでとは逆に、副走査方向における印刷終了位置に合わせて第1パス列に対応するノズルグループから順に駆動が終了する。4回のスキャンが終了したバンドには、完成画像が形成されている。
具体的には、図6および図7に例示するように、第1スキャンが完了すると、副走査方向における印刷開始位置に相当するバンド201に、第1スキャンによる画像(1)が形成される。次に、インクジェットヘッド171またはメディアの副走査方向への移動により、インクジェットヘッド171のスキャン位置がメディア20に対してバンド幅BWだけ副走査方向へ移動し、画像(2)が第2スキャンによってバンド201および202に形成される。以降、スキャン毎にインクジェットヘッド171のスキャン位置がメディア20に対してバンド幅BWだけ副走査方向へ移動し、画像(3)以降の画像が各バンド203〜205に重ねられてゆく。そして、4回のスキャンによって4つの画像が重ねられることで、そのバンドの画像が完成する。たとえば図6および図7に示すように第5スキャンまでを完了した状態では、バンド201および202の画像が完成している。
ところが、上記のような印刷方法では、パスの切り替えが同一のライン上で行われるため、各バンドの端部が同一のラインに並ぶ。ここで、バンディングが生じるメカニズムについて以下に説明する。図8〜図11は、バンディングが生じるメカニズムを説明するための図であって、インク滴の着弾後の状態変化を示す図である。
一般的に、マルチパス方式では、特定のバンド幅BWのピッチ(書き込み幅をパス数で割った幅)でインクが重ね塗りされる。このとき、インクの特性によって乾燥しやすい場所に顔料が集まる。その状態でインクが乾燥すると、バンド端部の濃度が高くなる現象が発生する。このような現象は、一般にコーヒーステイン現象(コーヒー滴をこぼした際に滴の周辺部に色の濃いシミが残る現象)と呼ばれている。
具体的には、図8に示すように、メディア20に着弾したインク滴211では、顔料が液滴の表面に集まることによって、顔料の分布偏差が生じる。また、着弾後のインク滴211は、通常、中央部の盛り上がった部分に比べて縁部分の乾燥が速い。そのため、図9に示すように、縁部分が先に増粘した結果、縁部分に顔料が集結するビニングが発生する。その後、図10に示すように、インク滴211全体の乾燥が進むと、顔料が密集している縁部分の高さが保たれたまま、中央部212の高さが低くなるため、中央部212の顔料がさらに縁部分へ集結することになる。その結果、図11に示すように、インク滴213の縁部分に、顔料濃度の高い、すなわち色の濃い盛り上がった部分(コーヒーステイン)が形成される。このようなコーヒーステイン現象を帯状のバンドに適用した場合、バンドの境界部分にスジ状の縞模様(バンディング)が発生することになる。
そこで本実施形態にかかる印刷装置(システム)1は、メディアに対してプラズマ処理を実施するためのプラズマ処理装置を備える。このプラズマ処理装置は、図2〜図5に示したように、インクジェット記録装置170に搭載されてもよいし、インクジェット記録装置170とは別ユニットとして、メディア20の搬送経路D1上に配置されてもよい。メディアにプラズマ処理を施すことで、そのプラズマエネルギー量に応じた量のCO基、OH基、COOH基等の親水性の官能基がメディア表面に生成される。メディア表面に親水性の官能基が生成されると、メディア表面のpH値や表面エネルギーが高くなるとともに、インクに対する濡れ性が向上する。それにより、インク滴のメディアへの浸透速度が速くなるため、顔料の凝集速度が速くなる。その結果、バンドの縁部分に顔料が移動して縁部分の顔料密度が高くなること、すなわちバンディングが発生することを抑制することが可能となる。
プラズマ処理により顔料の凝集速度が増すことの理由としては、使用されているインクがアルカリ性であり、且つ、インク液中に顔料が分散体で均一に分散されていることが考えられる。プラズマ処理されたメディア20表面は、生成された極性官能基(CO基、OH基、COOH基)によって酸性に傾いている。そのため、インクのアルカリ性がメディア20表面の酸性によって中和された結果、顔料が凝集しやすくなり、顔料が均一に凝集沈降することになる。その結果、顔料がムラのない均一な濃度になる。このような作用より、上記で説明したコーヒーステイン現象による濃度ムラが改善される。
なお、本説明における酸性化とは、インクに含まれる顔料が凝集するpH値までメディア表面のpH値を下げることを意味する。pH値を下げるとは、物体中の水素イオンH濃度を上昇させることである。メディア表面に触れる前のインク中の顔料はマイナスに帯電し、ビヒクルなどの液体中で顔料が分散している。図12に、インクのpH値とインクの粘度との関係の一例を示す。図12に示すように、インクは、そのpH値が低いほど、その粘度が上昇する。これは、インクの酸性度が高くなるほど、インクのビヒクル中でマイナスに帯電している顔料が電気的に中和され、その結果、顔料同士が凝集するためである。したがって、たとえば図12に示すグラフにおいてインクのpH値が必要な粘度と対応する値となるようにメディア表面のpH値を下げることで、インクの粘度を上昇させることが可能である。これは、インクが酸性であるメディア表面に付着した際、顔料がメディア表面の水素イオンH+によって電気的に中和された結果、顔料同士が凝集するためである。それにより、隣接したドット間の混色を防止するとともに、顔料がメディアの奥深く(さらには裏面まで)浸透するのを防止することが可能となる。ただし、必要な粘度と対応するpH値となるようにインクのpH値を下げるためには、メディア表面のpH値を必要な粘度と対応するインクのpH値よりも低くしておく必要がある。
また、インクを必要な粘度とするためのpH値は、インクの特性によって異なる。すなわち、図12のインクAに示すように、比較的中性に近いpH値で顔料が凝集して粘度が上がるインクもあれば、インクAとは異なる特性を持つインクBに示すように、顔料を凝集させるためにインクAよりも低いpH値が必要なインクも存在する。
着色剤がドット内で凝集する挙動や、ビヒクルの乾燥速度やメディア内への浸透速度は、ドットの大きさ(小滴、中滴、大滴)によって変わる液滴量や、メディアの種類などによって異なる。そこで以下の実施形態では、プラズマ処理におけるプラズマエネルギー量を、被処理物の種類や印刷モード(液滴量)などに応じて最適な値に制御してもよい。
図13に、プラズマエネルギー量を変化させつつインク滴を着弾させることで観測された顔料凝集の均一性に関する結果を示す。図13に示すように、メディアに与えたプラズマエネルギー量が大きいほど、メディアに形成されたドットの真円度が向上している。これは、メディアに与えたプラズマエネルギー量が大きいほど、メディア表面の酸性度が高くなって顔料の凝集速度が増し、その結果、顔料凝集の均一性が向上したためであると考えられる。したがって、マルチパス印字の際には、プラズマ処理を実施して顔料の凝集速度を上げることにより、各バンドで顔料が均一に薄く拡がるため、バンディングの発生を抑制して高品質な画像を形成することが可能となる。
ただし、メディアにおけるある領域に対して最初にプラズマ処理をした際の処理効果と、同一領域に対して2回目以降にプラズマ処理をした場合の処理効果とは、メディアの物性やインク物性等によって異なる場合がある。そこで本実施形態では、あらかじめメディアやインクの吐出量に対するプラズマエネルギー量の適切量を特定しておくことで、各印字パターンに応じて最も効率的なプラズマエネルギー量を各放電電極に与えて、効率的なプラズマ処理を実施するように構成してもよい。
たとえば、メディア(被処理物)20に対して画像形成した後は、メディア20にインクの水分が残った状態となる。この状態でプラズマ処理を施した場合、乾燥した状態のメディア20に対して同じプラズマエネルギー量でプラズマ処理を施した場合と比較して、より多くの活性種が形成される。そこで本実施形態では、画像形成した後、すなわち2回目以降に実施するプラズマ処理のプラズマエネルギー量を、同一領域に対して1回目に実施するプラズマ処理のプラズマエネルギー量よりも低いプラズマエネルギー量に設定する。

上記の表1は、スキャン毎の各放電電極に与えるプラズマエネルギー量の量を示している。なお、表1において、第1放電電極は、たとえば図3の放電電極101a/101wに相当し、第2放電電極は、たとえば図3の放電電極101b/101xに相当し、第3放電電極は、たとえば図3の放電電極101c/101yに相当し、第4放電電極は、たとえば図3の放電電極101d/101zに相当するものとする。
表1に示すように、第1スキャン、すなわち最初のスキャンの際は、副走査方向において最も上流側に位置する第1放電電極のみを駆動し、その後、第4スキャンまで、駆動する放電電極を1本ずつ上流側から増加する。第4スキャン以降、第N−3スキャンまでは、4つ全ての放電電極が駆動される。第N−2スキャン〜第Nスキャンでは、駆動する放電電極が下流側から1本ずつ減少する。したがって、第Nスキャンでは、第1放電電極のみが駆動されることとなる。
また、メディアに対する最初のプラズマ処理は、全てのスキャンにおいて第1放電電極が担当している。そこで、表1では、第1放電電極に与えるプラズマエネルギー量が他の放電電極に与えるプラズマエネルギー量よりも大きく設定されている。なお、表1では、第2放電電極は全てのスキンにおいて2回目のプラズマ処理を担当し、第3放電電極は全てのスキャンにおいて3回目のプラズマ処理を担当し、第4放電電極は全てのスキャンにおいて4回目のプラズマ処理を担当する。そこで、表1では、第2〜第4放電電極に与えるプラズマエネルギー量を第1放電電極に与えるプラズマエネルギー量よりも低い同じ値のプラズマエネルギー量としているが、これに限るものではない。たとえば第2放電電極から第4放電電極へ向かうにつれて段階的に弱いプラズマエネルギー量としてもよい。
つぎに、メディアに与えたプラズマエネルギー量とその処理効果について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明では、メディアの種類または物性を予め特定しておくとともに、バンド毎に予め求めておいた適性プラズマエネルギー量でプラズマ処理を実行する。また、スキャン毎にそのバンド幅に対するプラズマエネルギー量を適切な値に調節できるようになっている。これは、たとえば印加電圧と周波数とを調節することで実現できる。基本的には、プラズマエネルギー量を0.1〜10.0J/cmの範囲で変化させることで、その処理効果を検討した。
メディアにおけるプラズマエネルギー量量の最適条件を求める手段としては、各メディアに対するプラズマエネルギー量を連続的に変化させ、このメディアに実際にインクジェット記録を行うことで形成された画像を比較する方法を用いた。画像評価の項目として、目視評価以外に、印刷濃度、ドット径、真円度および粒状度を測定するとともに、その他の評価項目として、バンディングの発生状況および定着性を測定した。ただし、これらはインクやインクジェット記録の設定条件に左右されるため、補助的に、処理後のメディアのpH、および、メディアと純水とで形成される接触角も、基本特性として測定しておいた。
これらの測定結果に基づき、メディアおよび使用インクごとの最適条件を求めた。インクジェット記録装置の制御には、このようにして求められた最適条件(最適プラズマエネルギー量等)を用いた。なお、実際の製品は、印字後の印字品質検出部(図示しない)にて印字品質状態を検出し、その際のプラズマエネルギー量を確認した上で、インクジェット記録にて印刷し、その後、印刷済メディアを排出して終了する構成であってもよい。
また、より製品に近い制御としては、プラズマ処理後にメディアの表面を例えば固体用のpH測定器で測定し、その結果からプラズマエネルギー量(印加電圧や周波数等)を変更する手順であってもよい。プラズマ処理結果の確認手段としては、上記pH測定以外に、接触角測定等を適用することもできる。接触各測定には、たとえば濡れ試薬を利用することができる。プラズマ処理が不十分の場合には濡れ試薬がはじかれてドーム状になるため、濡れ試薬を用いることで、プラズマ処理が行われたか否かを簡易に確認することができる。なお、濡れ試薬を用いたプラズマ処理結果の確認は、常時ではなく、定期的な実行であってよい。
さらに、濡れ性をチェックする手段としては、メディアに付着した濡れ試薬の高さを例えば光学的に測る方法や、濡れ試薬の色の濃度差を例えば光学的に測る方法などが考えられる。塗布量の測定としては、メディアに形成されたドットの光沢度や濡れ試薬に含まれる物質の特定吸収波長を使った吸光度測定法などが考えられる。
以上のような最適化制御を定期的に行うことで、プラズマ処理の処理条件を、メディアや使用インクに応じて最適な条件に設定することができる。ただし、このような最適化制御は、例えば想定外のメディアが使用された場合などでは有効でない可能性がある。そのような場合には、プラズマ処理の確認結果に基づいてメディアを再処理してもよい。その際、測定結果や使用プラズマエネルギー量やメディアや使用インク等の情報を蓄積しておくことで、次回以降ではこの蓄積データを用いた学習制御が可能である。
なお、上記した最適化制御は、メディアや使用インクに基づいたものである。そのため、画像の最適化を考えれば、実際の印刷結果に基づくことがより好ましい。例えば反射濃度計を組み込んだインクジェット記録装置に、メディアに対するプラズマエネルギー量を連続的に変化させ、基準となるテストパターンをインクジェット記録で印刷し、それにより形成されたテストパターンの印刷濃度を反射濃度計で測定する。そして、最も高い印刷濃度を得た処理条件を最適条件として設定し、以降の動作では、最適化制御によって最適条件を維持しつつ、インクジェット記録を行う。これにより、短時間で測定や処理条件の変更が実行できるため、速やかなインクジェット記録を行うことができる。また、反射濃度計からの濃度情報を蓄積しておくことで、次回以降ではこの蓄積データを用いた学習制御も可能となる。
ただし、インクの成分や種類、メディアの種類等によって最適条件が変わることになる。そこで、使用インクの成分や種類、使用メディアの種類等とその際の条件や結果等を記憶しておき、記憶された情報に基づいて適宜条件変更することで、高品質の印刷物を安定して出力することが可能となる。例えば、浸透性の高いメディアと浸透性の低いメディアとで条件を変更することが可能となるため、高品質の印刷物を安定して出力することが可能となる。
さらに、プラズマ処理前に例えばメディアの電気抵抗を測定するとともに、メディアの厚さや性状をある程度特定しておき、上記の検討を行って最適化する併用処理を行うことも可能である。
また、一般的に、メディア表面の濡れ性が高い場合、メディアの表面粗さを増大させるとメディア表面の濡れ性がさらに向上し、メディア表面の濡れ性が低い場合、メディアの表面粗さを増大させるとメディア表面の濡れ性がさらに低下することが知られている。そこで、プラズマ処理を用いることで、被処理物表面の濡れ性(親水性)や凹凸(表面粗さ)を制御する。すなわち、プラズマ処理を用いることで、インク顔料の凝集性や浸透性をコントロールする。これにより、インクドット(単にドットともいう)の真円度を向上させるとともに、ドットの合一を防止してドットの鮮鋭度や色域を拡げることが可能である。その結果、バンディングだけでなく、ビーディングやブリードといった画像不良を解決して、高品質な画像が形成された印刷物を得ることができる。また、メディア上の顔料の凝集厚みを薄く均一にすることにより、インク液滴量を削減して、インク乾燥エネルギーの低減および印刷コストの低減を図ることも可能になる。
ここで、本実施形態におけるプラズマ処理とメディアの表面粗さとの関係について、図面を用いて説明する。図14〜図16は、プラズマ処理を施した白塩ビシートのSEM(Scanning Electron Microscope)写真を示す。なお、図14はプラズマ処理をしなかった場合(プラズマエネルギー量=0J/cm)の白塩ビシートの表面状態を示し、図15はプラズマエネルギー量を2.0J/cmとした場合の白塩ビシートの表面状態を示し、図16はプラズマエネルギー量を5.6J/cmとした場合の白塩ビシートの表面状態を示す。また、図17に、プラズマエネルギー量と表面粗さRaとの関係を示す。
図14〜図16および図17に示すように、プラズマエネルギー量が0J/cm(プラズマ処理をしない場合)から2J/cm程度の範囲では、プラズマエネルギー量を増やすに従って処理面の表面粗さRaが低下する。これは、処理面(すなわち、メディア表面)における比較的大きな凹凸が減少するためと考えられる。一方、プラズマエネルギー量が2J/cm程度を超えた範囲では、プラズマエネルギー量を増やすに従って処理面の表面粗さRaが増加する。これは、処理面に比較的細かい凹凸が形成され、その結果、表面が粗面化するためと考えられる。なお、プラズマエネルギー量が2J/cm程度を超えた範囲では、プラズマエネルギー量を0J/cmとした場合(プラズマ処理をしない場合)よりも、処理面の表面粗さRaが高く(粗く)なった。
つづいて、非浸透系メディアに対するプラズマ処理の効果を、実際の実験結果を用いて説明する。なお、非浸透系メディアとしては、白塩ビシートを用いた。ただし、一部の実験結果は、ターポリンについても取得した。ターポリンとは、ポリエステル系の繊維を合成樹脂で挟んで作られているシートである。
以下では白塩ビについて説明するが、ポリエステルやアクリル等の熱可塑性樹脂からなる非浸透系メディアに対しても、プラズマ処理をすることで、濡れ性を高くするという効果は得られる。
つづいて、メディアに白塩ビを用いた場合の実験結果を説明する。本実験では、壁紙やポスター等の幅広のメディアへ印刷するインクジェットヘッドが往復するシャトル方式のインクジェット記録装置を用いた。そのため、本実験ではプラズマ処理とインクジェット記録とが分離した流れで行われたが、実際の製品では、メディア搬送でインクジェットヘッドより上流側にプラズマ処理装置を設けて一連の流れでプラズマ処理とインクジェット記録とを行ってもよいし、図3に示すように、プラズマ処理装置をインクジェットヘッドと一体化させてもよい。
また、本実験では、着色剤約3wt%、エーテル系およびジオール系溶剤約50wt%、界面活性剤少量、粒径100〜300NMのスチレン・アクリル樹脂約5wt%を加えて分散させるとともに、表面張力:21〜24N/M、粘度:8〜11MPa・sに調製した水性顔料インクを用いた。
今回使用したスチレン・アクリル系樹脂以外の好適な例としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂など、疎水性の樹脂を挙げることができる。これらのいずれも、分子量が比較的低く、エマルジョンを形成することが好ましい。
また、ノズルの目詰まりを更に有効に防止することを目的として、グリコール類を添加することが好ましい。グリコール類の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等がある。また、他のチオジグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の単体及び混合物等が挙げられる。
さらに、有機溶媒の好ましい例としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−N−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−isO−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−isO−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−N−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−N−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−isO−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−N−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−isO−プロピルエーテル等のグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
より実際の製品に近いインクにするために、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、染料溶解助剤、または酸化防止剤、導電率調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を加えてもよい。上述したように、プラズマ処理によってメディア表面に酸性基が生成されることにより顔料の凝集速度が速くなるが、インク塗布後にプラズマを照射した場合でも、インクに含まれている樹脂(高分子)、例えばシロキサンやポリエーテル部が反応することで、顔料の凝集速度が速まる。その効果は、インクの成分にも依るが、今回実施評価したインクでは、インクの塗布前のプラズマエネルギー量に対して約1/2のプラズマエネルギー量にて最適な画像を形成することが可能であった。
さらにまた、本実験に用いたインクジェット記録装置には、加熱乾燥装置が搭載されている。非浸透系メディアを印刷する場合、水性顔料インクでは溶剤インクのような揮発性は望めないので、加熱乾燥装置が必要である。さらに、非浸透系メディアはインクの着色剤を表面に固定する能力がない(普通紙なら繊維の中へ入り込んで固定される)ので、乾燥と共にメディアへ定着させるために、インク中に合成樹脂を加えて着色剤を熱融着させる必要がある。加熱乾燥装置は、記録前の予熱ヒータ、インクジェットヘッド下部に設けられた印刷中ヒータ、記録後の印刷後ヒータの3箇所設けられている。以下の表2に、実験条件としての各ヒータの使用をまとめる。

表2において、テストした白塩ビシートは、通常3箇所のヒータを50℃以上に加熱して印刷しているので、Ref.とした。これに対して、プラズマ処理を行った白塩ビシートには、印刷後ヒータのみを使用した。なお、プラズマ処理に用いたプラズマエネルギー量は5.6J/cmである。また、比較対象として、プラズマ処理を行わずに印刷後ヒータのみを使用した白塩ビシートについても測定した(プラズマエネルギー量=0J/cm)。
図18は、同じ大きさのインク滴を非浸透系メディアである白塩ビシート表面に滴下した際のドット径を示すグラフである。また、図19は、同じ大きさのインク滴を同じく非浸透系メディアであるターポリン表面に滴下した際のドット径を示すグラフである。図18および図19に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずに使用ヒータ数を減らした場合(0J/cm)と比較して、ドット径が1.2〜1.3倍に広がった。これは、上述のように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm)では、メディア表面に着弾したインクを素早く乾燥させることができることを意味している。
図20は、同じ大きさのインク滴を非浸透系メディア(白塩ビシート)表面に滴下した際に実際にメディア表面に形成されたインクドットを示す画像である。なお、図20では、左側が黒インクのインクドットを示し、右側がシアンインクのインクドットを示す。また、図20では、それぞれの条件について4回のドット形成を行った。図20に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずに使用ヒータ数を減らした場合(0J/cm)と比較して、ドット径が広がっていることがわかる。また、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずに使用ヒータ数を減らした場合(0J/cm)と比較して、ドットの真円性も向上していることがわかる。
図21は、非浸透系メディアである白塩ビシートに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。図22は、非浸透系メディアであるターポリンに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。図21および図22に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずに使用ヒータ数を減らした場合(0J/cm)と比較して、画像濃度が上がっていることがわかる。これは、プラズマ処理を施すことで、インク滴量を減らしてもプラズマ処理を施さない場合と同じ濃度が得られることを示している。
なお、上述のように、たとえばインクに合成樹脂を添加した場合、印刷後ヒータによって画像形成されたメディアを加熱することでインク中の合成樹脂を一時的に溶融することが可能となるため、表面に形成した画像をメディアに密着させることが可能となる。その結果、形成画像が剥がれ難くなり、また、定着性も向上することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
1 印刷装置(システム)
10 プラズマ処理装置
11、101A、101Z、101a〜101d、101w〜101z 放電電極
12、102 誘電体
13 大気圧非平衡プラズマ
14、104 カウンタ電極
15 高周波高圧電源
20 メディア
30 搬入部
40 画像形成装置
50 乾燥部
60 搬出部
70 後処理部
160 制御部
170 インクジェット記録装置
171 インクジェットヘッド
172 キャリッジ
D1 搬送経路
特許第4662590号公報 特開2010−188568号公報

Claims (19)

  1. 被記録媒体の所定の領域を少なくとも2回プラズマ処理するプラズマ処理手段と、
    前記プラズマ処理手段が前記被記録媒体の前記所定の領域に対して1回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を第1エネルギー量とし、前記所定の領域に対して2回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を前記第1エネルギー量よりも低い第2エネルギー量とする制御手段と、
    を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記プラズマ処理手段は、前記被記録媒体の表面を酸性化することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記プラズマ処理手段は、大気圧非平衡プラズマを前記被記録媒体に接触させることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記プラズマ処理手段は、前記被記録媒体の少なくとも表面の浸透率を上げることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  5. 請求項1に記載のプラズマ処理装置と、
    前記プラズマ処理手段によって前記1回目にプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録する記録手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記記録手段によってインクジェット記録された前記所定の領域に対して前記2回目のプラズマ処理を実施する
    ことを特徴とする印刷装置。
  6. 前記記録手段は、前記被記録媒体の搬送方向と垂直なスキャン方向に対して往復しながらインクジェット記録を行うインクジェットヘッドを含み、
    前記プラズマ処理手段は、前記インクジェットヘッドに対して前記スキャン方向に近接配置された電極を含む
    ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  7. 前記インクジェットヘッドは、前記被記録媒体の搬送方向に複数配列し、
    前記電極は、各インクジェットヘッドに対して前記スキャン方向に近接配置されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
  8. 前記制御手段は、前記被記録媒体の種類および印字モードのうち少なくとも1つに基づいて前記プラズマ処理手段のプラズマエネルギー量を調節することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  9. 前記制御手段は、前記記録手段が使用するインクに応じて前記プラズマ処理手段のプラズマエネルギー量を調節することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  10. 前記制御手段は、前記記録手段が吐出するインク滴のサイズに応じて前記プラズマ処理手段のプラズマエネルギー量を調節することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  11. 前記記録手段により前記被記録媒体表面に付与されるインクは、負帯電した顔料が液体中へ分散しているインクであることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  12. 前記記録手段により前記被記録媒体表面に付与されるインクは、水性顔料インクであることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  13. 前記被記録媒体は、表面に有機高分子を有し、水に対して非浸透系または緩浸透系の媒体であることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  14. 前記被記録媒体は、表面にコート層を有するコート紙であることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  15. 前記プラズマ処理手段は、前記記録手段により前記被記録媒体表面に付着されるインクの粘度が所定の粘度以上となる酸性度まで、前記被記録媒体の少なくとも表面を酸性化することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  16. 前記プラズマ処理手段は、前記被記録媒体の少なくとも表面の水素イオン濃度を、前記記録手段により前記被記録媒体表面に付与されるインクの特性に応じて上昇させることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
  17. 請求項1に記載のプラズマ処理装置と、
    前記プラズマ処理手段によって前記1回目にプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録する記録装置と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記記録装置によってインクジェット記録された前記所定の領域に対して前記2回目のプラズマ処理を実施する
    ことを特徴とする印刷システム。
  18. 被記録媒体の所定の領域を少なくとも2回プラズマ処理するプラズマ処理手段と、前記プラズマ処理手段によってプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録する記録手段とを備える印刷装置に搭載されたコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
    前記プラズマ処理手段が前記被記録媒体の前記所定の領域に対して1回目にプラズマ処理するプラズマエネルギー量を第1エネルギー量とするステップと、
    前記記録手段が前記所定の領域に対してインクジェット記録を実施した後に前記所定の領域に対して2回目のプラズマ処理を実施する場合、前記プラズマ処理手段のプラズマエネルギー量を前記第1エネルギー量よりも低い第2エネルギー量とするステップと、
    を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
  19. 被記録媒体にインクジェット記録方式で画像が形成された印刷物を製造するための製造方法であって、
    前記被記録媒体の所定の領域を第1のプラズマエネルギー量でプラズマ処理する工程と、
    前記第1のプラズマエネルギー量でプラズマ処理された前記所定の領域にインクジェット記録を実施する工程と、
    前記インクジェット記録された前記所定の領域に対して2回目のプラズマ処理を実施する場合、前記第1のプラズマエネルギー量よりも低い第2のプラズマエネルギー量で前記所定の領域をプラズマ処理する工程と、
    を含むことを特徴とする印刷物の製造方法。
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