JP2013178922A - インジケータ、評価用シート及びプラズマ処理評価方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】窒素酸化物と水との反応によって得られる水素イオンと反応して変化する組成物を用いて、プラズマ処理の評価を行う。
【解決手段】プラズマ照射装置10において、窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスが供給されてプラズマ化されるとともに窒素酸化物が生成され、プラズマとともに照射され、窒素酸化物と大気中の水蒸気とが反応して水素イオンが生成される。一方、評価用シート12は、水素イオンと反応して色が変化するものである。したがって、作動状態にあるプラズマ照射装置10と評価用シート12とをスキャンさせ、スキャン後の評価用シート12の色に基づけば、プラズマ照射装置10によるプラズマ処理の評価を行うことができる。
【選択図】図3
【解決手段】プラズマ照射装置10において、窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスが供給されてプラズマ化されるとともに窒素酸化物が生成され、プラズマとともに照射され、窒素酸化物と大気中の水蒸気とが反応して水素イオンが生成される。一方、評価用シート12は、水素イオンと反応して色が変化するものである。したがって、作動状態にあるプラズマ照射装置10と評価用シート12とをスキャンさせ、スキャン後の評価用シート12の色に基づけば、プラズマ照射装置10によるプラズマ処理の評価を行うことができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、被処理物にプラズマが照射されて処理が行われる場合の、そのプラズマ処理の評価に関するものである。
特許文献1、2には、プラズマ化された過酸化水素ガスを用いて殺菌処理が行われる場合の、その殺菌処理が行われたか否かを評価するために用いられる組成物、その組成物を有するシートについての記載がある。また、特許文献2には、大気から遮断されたプラズマ減菌器内で、プラズマ殺菌処理が行われるとの記載がある。
本発明の課題は、プラズマに起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンを利用して、プラズマ処理の評価を可能とすることである。
本発明に係るインジケータは、プラズマに起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物を含むものとされる。
インジケータにプラズマが照射されると、組成物が水素イオンと反応して変化する。この変化に基づけば、プラズマ処理の評価を行うことができる。
インジケータにプラズマが照射されると、組成物が水素イオンと反応して変化する。この変化に基づけば、プラズマ処理の評価を行うことができる。
本願において特許請求が可能と認識されている発明、その発明の効果等について説明する。
(1)プラズマ処理を評価するためのインジケータであって、プラズマに起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物を含むことを特徴とするインジケータ。
「プラズマ処理」としては、例えば、被処理物の表面等の洗浄、改質等が該当し、具体的には、有機物除去、親水性や撥水性の向上等が該当する。
「プラズマ処理の評価」とは、プラズマ処理が行われたか否かの評価と、プラズマ処理の程度の評価との少なくとも一方の評価をいう。プラズマ処理の程度は、例えば、被処理物に照射されたプラズマ(活性種、反応種と称することができる)の量で表すことができ、照射されたプラズマの量が多いほど処理レベルが高い、すなわち、プラズマ処理(例えば、有機物除去等)が良好に行われたと評価することができる。
「プラズマに起因して生成される窒素酸化物」には、例えば、「プラズマにより生成される窒素酸化物」と「プラズマと反応して生成される窒素酸化物」との少なくとも一方が含まれる。
また、「窒素酸化物によって得られる水素イオン」とは、窒素酸化物と水(大気中に含まれる水蒸気であっても、組成物、インジケータに含まれる水であってもよい)との反応により得られる水素イオンをいう。
「プラズマにより生成される窒素酸化物」とは、プラズマ照射装置によって生成されるプラズマから生成される窒素酸化物をいう。例えば、図1の[i]に示すように、プラズマ照射装置に窒素ガスおよび酸素ガスを含む処理ガスが供給された場合に、放電領域において、プラズマ(励起状態にある窒素分子、酸素分子、窒素原子、酸素原子、窒素イオン、酸素イオン、オゾン等)が生成されるが、これらプラズマおよびプラズマ中に含まれる処理ガスの分子(基底状態にある窒素分子、酸素分子)等の反応により生成される一酸化窒素、二酸化窒素等の窒素酸化物をいう。これら窒素酸化物は、プラズマとともに、プラズマ照射装置から照射され、プラズマ照射装置の外部において、水と反応して水素イオンが生成される。
2NO+O2→2NO2
3NO2+H2O→2HNO3+NO
HNO3→H++NO3 -
なお、窒素酸化物は、プラズマ照射装置の外で、すなわち、照射されたプラズマの反応により生成される場合もある。
以上のことから、プラズマ照射装置から窒素酸化物が照射される場合、あるいは、窒素原子、酸素原子等が含まれるプラズマが照射される(図1の[i]の場合)には、大気中に照射されても、大気から遮断された空間に照射されてもよい。例えば、減圧中、あるいは、真空中に照射されるようにしてもよい。
「プラズマと反応して生成される窒素酸化物」とは、プラズマ照射装置の外部の大気中において、プラズマ照射装置から照射されたプラズマと空気(窒素と酸素との少なくとも一方)との反応により生成される窒素酸化物をいう。例えば、図1の[ii]に示すように、プラズマ照射装置に処理ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスが供給され、プラズマ化されて(例えば、希ガスの原子が励起され準安定状態とされる。この準安定状態の原子をメタステーブル化された原子と称し、*を付して表す)、大気中に照射される。そして、プラズマ(例えば、Ar*)と空気(窒素および酸素)とが反応して窒素酸化物が生成される。また、窒素酸化物と水とが反応して水素イオンが生成される。
Ar*+N2→Ar+2N*
Ar*+O2→Ar+2O*
2N*+2O*→2NO
2NO+O2→2NO2
3NO2+H2O→2HNO3+NO
HNO3→H++NO3 -
以上のことから、図1の[ii]の場合には、照射されたプラズマと空気とが反応して窒素酸化物が生成されるとともに、水素イオンが生成されるため、プラズマが大気(少なくとも窒素原子と酸素原子とが含まれる)中に照射されることが望ましい。
なお、希ガスに限らず、放電によりプラズマ化されるガス(メタステーブル化されるガス)であれば、処理ガスとして用いることができる。
また、窒素原子、あるいは、酸素原子が含まれるプラズマが生成されるガスを処理ガスとして用いた場合には、酸素原子、あるいは、窒素原子が含まれる雰囲気中に照射されるようにすることができる。例えば、窒素原子等が含まれるプラズマが酸素原子が含まれる雰囲気(酸素分子が含まれる雰囲気も含む)中に照射された場合、酸素原子等が含まれるプラズマが窒素原子が含まれる雰囲気(窒素分子が含まれる雰囲気)中に照射された場合であっても、窒素酸化物が生成される。
いずれにしても、照射されたプラズマにより水素イオンが生成されるため、水素イオンの有無に基づけば、プラズマが照射されたか否かがわかる。また、照射されたプラズマの量が多い場合は少ない場合に比較して生成される水素イオンの量が多くなるため、水素イオンの量(あるいは、濃度)に基づけば、プラズマ処理の程度がわかる。
「組成物」は、化合物のうち、水素イオンと反応して自身が変化するものである。そして、組成物が水素イオンと反応して自身の色が変化するものである場合には、水素イオンが生成されたこと、すなわち、プラズマが照射されたことを、視覚により認識することができる。図2に、組成物としての一例であるメチルイエロー(例えば、pH指示薬)が、水素イオンと反応して、構造が変化し、変色(黄色からオレンジないし赤色)する状態を示す。
「インジケータ」は、少なくとも1種類の組成物を含むものである。また、インジケータは、水素イオンの有無を表示するものであっても、水素イオンの量の多少を表示するものであってもよい。
(2)前記組成物が、前記水素イオンと反応して色が変化するpH指示薬である(1)項に記載のインジケータ。
組成物は、pH7未満で色が変化する(変色領域にpH7未満が含まれる)pH指示薬とすることができる。また、pH6.5未満で変化するものとしたり、pH6.0未満で変化するものとしたりすることができる。
(3)前記pH指示薬が、pH5.4未満で色が変化するものである(2)項に記載のインジケータ。
pH指示薬としては、pH5.4未満で色が変化するものが望ましく、5.2未満、5.0未満、4.8未満、4.5未満で変化するものとすることもできる。
(4)前記pH指示薬が、メチルバイオレット<[4−{ビス(4−ジメチルアミノフェニル)メチレン}−2,5−シクロヘキサンジエン−1−イリデン]ジメチルアンモニウムクロリド>、チモールブルー<4−[9−(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−プロパンー2−イルフェニル)−7,7−ジオキソ−8−オキサ−7λ6−チアビシクロ[4.3.0]ノナ−1,3,5−トリエン−9−イル]−5−メチル−2−プロパン−2−イル−フェノール>、メチルイエロー<4−ジメチルアミノアゾベンゼン>、ブロモフェノールブルー<4,4′−[3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド)−3−イリデン]ビス(2,6−ジブロモフェノール)>、メチルレッド<4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−2′−カルボン酸>、ブロモフェノールレッド<3,3−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、リトマス、ブロモチモールブルー<4,4′−(3H−2,1ベンゾキサチオール−3−イリデン)ビス[2ブロモ−3−メチル−6−(1−メチルエチル)フェノール]S,S−ジオキシド>、ピクリン酸<2,4,6−トリニトロフェノール>、o−クレゾールレッド<3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、2,4−ジニトロフェノール、コンゴーレッド<3,3′−(1E,1′E)−ビフェニル−4,4′−ジイルビス(ジアゼン−2,1−ジイル)ビス(4−アミノナフタレン−1−スルホン酸)ナトリウム>、メチルオレンジ<4−ジメチルアミノアゾベンゼン−4−スルホン酸ナトリウム>、ブロモクレゾールグリーン<3,3−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、メチルパープル、ブロモクレゾールパープル<3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモ−5−メチルフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、クロロフェノールレッド<3,3−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、p−ニトロフェノール、ニュートラルレッド<8−(ジメチルアミノ)−3−メチル−2−フェナジンアミン・塩酸塩>、フェノールレッド<3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>から選択された1つである(2)項または(3)項に記載のインジケータ。
pH指示薬として、例えば、上述のものを用いることができる。また、上述に記載のpH指示薬に限らず、水素イオンと反応して変色する物質を広く用いることができる。
なお、<>には、体系名を記載した。
(5)前記プラズマが、窒素原子と酸素原子との少なくとも一方を含む雰囲気中において照射され、前記組成物が前記雰囲気中で前記水素イオンと反応するものである(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
(6)前記プラズマが大気中において照射され、前記組成物が大気中で前記水素イオンと反応するものである(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
大気中にプラズマが照射されるようにすれば、大気から遮断する装置が不要となるため、簡単に、被処理物にプラズマ処理を施すことができる。
(7)前記水素イオンが、前記窒素酸化物と水との反応により生成されるものである(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
水には大気中の水蒸気が含まれる。また、水はインジケータや組成物に含まれていてもよい。
(8)前記プラズマが、窒素原子、酸素原子および希ガスのうちの少なくとも1つを含む処理ガスを用いて生成されるものである(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
(9)前記プラズマが、窒素ガスと希ガスとの少なくとも一方を含む処理ガスを用いて生成されるものである(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
プラズマ照射装置に、窒素ガスと希ガスとの少なくとも一方を含む処理ガス(反応ガス、母ガスと称することができる)が供給され、放電領域においてプラズマ化されて、プラズマ照射口から照射される。
(10)前記プラズマが前記希ガスを処理ガスとして用いて生成され、前記窒素酸化物が前記プラズマと空気との反応により生成されるものである(8)項または(9)項に記載のインジケータ。
図1の[ii]の場合である。
なお、希ガスに限らず、例えば、水素ガス等、放電領域においてメタステーブル化(準安定化)されるものであれば、処理ガスとして用いることができる。
(11)前記プラズマが前記窒素原子を含む処理ガスを用いて生成され、前記窒素酸化物が前記プラズマにより生成されたものである(8)項または(9)項に記載のインジケータ。
例えば、NH3等を処理ガスとして用いることができる。
(12)前記プラズマが前記窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスを用いて生成され、前記窒素酸化物が前記プラズマにより生成されたものである(8)項または(9)項に記載のインジケータ。
図1の[i]の場合である。
(13)当該インジケータが、前記水素イオンの量が多い場合と少ない場合とで、異なる色を示すものである(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
「プラズマ処理」としては、例えば、被処理物の表面等の洗浄、改質等が該当し、具体的には、有機物除去、親水性や撥水性の向上等が該当する。
「プラズマ処理の評価」とは、プラズマ処理が行われたか否かの評価と、プラズマ処理の程度の評価との少なくとも一方の評価をいう。プラズマ処理の程度は、例えば、被処理物に照射されたプラズマ(活性種、反応種と称することができる)の量で表すことができ、照射されたプラズマの量が多いほど処理レベルが高い、すなわち、プラズマ処理(例えば、有機物除去等)が良好に行われたと評価することができる。
「プラズマに起因して生成される窒素酸化物」には、例えば、「プラズマにより生成される窒素酸化物」と「プラズマと反応して生成される窒素酸化物」との少なくとも一方が含まれる。
また、「窒素酸化物によって得られる水素イオン」とは、窒素酸化物と水(大気中に含まれる水蒸気であっても、組成物、インジケータに含まれる水であってもよい)との反応により得られる水素イオンをいう。
「プラズマにより生成される窒素酸化物」とは、プラズマ照射装置によって生成されるプラズマから生成される窒素酸化物をいう。例えば、図1の[i]に示すように、プラズマ照射装置に窒素ガスおよび酸素ガスを含む処理ガスが供給された場合に、放電領域において、プラズマ(励起状態にある窒素分子、酸素分子、窒素原子、酸素原子、窒素イオン、酸素イオン、オゾン等)が生成されるが、これらプラズマおよびプラズマ中に含まれる処理ガスの分子(基底状態にある窒素分子、酸素分子)等の反応により生成される一酸化窒素、二酸化窒素等の窒素酸化物をいう。これら窒素酸化物は、プラズマとともに、プラズマ照射装置から照射され、プラズマ照射装置の外部において、水と反応して水素イオンが生成される。
2NO+O2→2NO2
3NO2+H2O→2HNO3+NO
HNO3→H++NO3 -
なお、窒素酸化物は、プラズマ照射装置の外で、すなわち、照射されたプラズマの反応により生成される場合もある。
以上のことから、プラズマ照射装置から窒素酸化物が照射される場合、あるいは、窒素原子、酸素原子等が含まれるプラズマが照射される(図1の[i]の場合)には、大気中に照射されても、大気から遮断された空間に照射されてもよい。例えば、減圧中、あるいは、真空中に照射されるようにしてもよい。
「プラズマと反応して生成される窒素酸化物」とは、プラズマ照射装置の外部の大気中において、プラズマ照射装置から照射されたプラズマと空気(窒素と酸素との少なくとも一方)との反応により生成される窒素酸化物をいう。例えば、図1の[ii]に示すように、プラズマ照射装置に処理ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスが供給され、プラズマ化されて(例えば、希ガスの原子が励起され準安定状態とされる。この準安定状態の原子をメタステーブル化された原子と称し、*を付して表す)、大気中に照射される。そして、プラズマ(例えば、Ar*)と空気(窒素および酸素)とが反応して窒素酸化物が生成される。また、窒素酸化物と水とが反応して水素イオンが生成される。
Ar*+N2→Ar+2N*
Ar*+O2→Ar+2O*
2N*+2O*→2NO
2NO+O2→2NO2
3NO2+H2O→2HNO3+NO
HNO3→H++NO3 -
以上のことから、図1の[ii]の場合には、照射されたプラズマと空気とが反応して窒素酸化物が生成されるとともに、水素イオンが生成されるため、プラズマが大気(少なくとも窒素原子と酸素原子とが含まれる)中に照射されることが望ましい。
なお、希ガスに限らず、放電によりプラズマ化されるガス(メタステーブル化されるガス)であれば、処理ガスとして用いることができる。
また、窒素原子、あるいは、酸素原子が含まれるプラズマが生成されるガスを処理ガスとして用いた場合には、酸素原子、あるいは、窒素原子が含まれる雰囲気中に照射されるようにすることができる。例えば、窒素原子等が含まれるプラズマが酸素原子が含まれる雰囲気(酸素分子が含まれる雰囲気も含む)中に照射された場合、酸素原子等が含まれるプラズマが窒素原子が含まれる雰囲気(窒素分子が含まれる雰囲気)中に照射された場合であっても、窒素酸化物が生成される。
いずれにしても、照射されたプラズマにより水素イオンが生成されるため、水素イオンの有無に基づけば、プラズマが照射されたか否かがわかる。また、照射されたプラズマの量が多い場合は少ない場合に比較して生成される水素イオンの量が多くなるため、水素イオンの量(あるいは、濃度)に基づけば、プラズマ処理の程度がわかる。
「組成物」は、化合物のうち、水素イオンと反応して自身が変化するものである。そして、組成物が水素イオンと反応して自身の色が変化するものである場合には、水素イオンが生成されたこと、すなわち、プラズマが照射されたことを、視覚により認識することができる。図2に、組成物としての一例であるメチルイエロー(例えば、pH指示薬)が、水素イオンと反応して、構造が変化し、変色(黄色からオレンジないし赤色)する状態を示す。
「インジケータ」は、少なくとも1種類の組成物を含むものである。また、インジケータは、水素イオンの有無を表示するものであっても、水素イオンの量の多少を表示するものであってもよい。
(2)前記組成物が、前記水素イオンと反応して色が変化するpH指示薬である(1)項に記載のインジケータ。
組成物は、pH7未満で色が変化する(変色領域にpH7未満が含まれる)pH指示薬とすることができる。また、pH6.5未満で変化するものとしたり、pH6.0未満で変化するものとしたりすることができる。
(3)前記pH指示薬が、pH5.4未満で色が変化するものである(2)項に記載のインジケータ。
pH指示薬としては、pH5.4未満で色が変化するものが望ましく、5.2未満、5.0未満、4.8未満、4.5未満で変化するものとすることもできる。
(4)前記pH指示薬が、メチルバイオレット<[4−{ビス(4−ジメチルアミノフェニル)メチレン}−2,5−シクロヘキサンジエン−1−イリデン]ジメチルアンモニウムクロリド>、チモールブルー<4−[9−(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−プロパンー2−イルフェニル)−7,7−ジオキソ−8−オキサ−7λ6−チアビシクロ[4.3.0]ノナ−1,3,5−トリエン−9−イル]−5−メチル−2−プロパン−2−イル−フェノール>、メチルイエロー<4−ジメチルアミノアゾベンゼン>、ブロモフェノールブルー<4,4′−[3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド)−3−イリデン]ビス(2,6−ジブロモフェノール)>、メチルレッド<4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−2′−カルボン酸>、ブロモフェノールレッド<3,3−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、リトマス、ブロモチモールブルー<4,4′−(3H−2,1ベンゾキサチオール−3−イリデン)ビス[2ブロモ−3−メチル−6−(1−メチルエチル)フェノール]S,S−ジオキシド>、ピクリン酸<2,4,6−トリニトロフェノール>、o−クレゾールレッド<3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、2,4−ジニトロフェノール、コンゴーレッド<3,3′−(1E,1′E)−ビフェニル−4,4′−ジイルビス(ジアゼン−2,1−ジイル)ビス(4−アミノナフタレン−1−スルホン酸)ナトリウム>、メチルオレンジ<4−ジメチルアミノアゾベンゼン−4−スルホン酸ナトリウム>、ブロモクレゾールグリーン<3,3−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、メチルパープル、ブロモクレゾールパープル<3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモ−5−メチルフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、クロロフェノールレッド<3,3−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>、p−ニトロフェノール、ニュートラルレッド<8−(ジメチルアミノ)−3−メチル−2−フェナジンアミン・塩酸塩>、フェノールレッド<3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1,1−ジオキシド>から選択された1つである(2)項または(3)項に記載のインジケータ。
pH指示薬として、例えば、上述のものを用いることができる。また、上述に記載のpH指示薬に限らず、水素イオンと反応して変色する物質を広く用いることができる。
なお、<>には、体系名を記載した。
(5)前記プラズマが、窒素原子と酸素原子との少なくとも一方を含む雰囲気中において照射され、前記組成物が前記雰囲気中で前記水素イオンと反応するものである(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
(6)前記プラズマが大気中において照射され、前記組成物が大気中で前記水素イオンと反応するものである(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
大気中にプラズマが照射されるようにすれば、大気から遮断する装置が不要となるため、簡単に、被処理物にプラズマ処理を施すことができる。
(7)前記水素イオンが、前記窒素酸化物と水との反応により生成されるものである(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
水には大気中の水蒸気が含まれる。また、水はインジケータや組成物に含まれていてもよい。
(8)前記プラズマが、窒素原子、酸素原子および希ガスのうちの少なくとも1つを含む処理ガスを用いて生成されるものである(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
(9)前記プラズマが、窒素ガスと希ガスとの少なくとも一方を含む処理ガスを用いて生成されるものである(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
プラズマ照射装置に、窒素ガスと希ガスとの少なくとも一方を含む処理ガス(反応ガス、母ガスと称することができる)が供給され、放電領域においてプラズマ化されて、プラズマ照射口から照射される。
(10)前記プラズマが前記希ガスを処理ガスとして用いて生成され、前記窒素酸化物が前記プラズマと空気との反応により生成されるものである(8)項または(9)項に記載のインジケータ。
図1の[ii]の場合である。
なお、希ガスに限らず、例えば、水素ガス等、放電領域においてメタステーブル化(準安定化)されるものであれば、処理ガスとして用いることができる。
(11)前記プラズマが前記窒素原子を含む処理ガスを用いて生成され、前記窒素酸化物が前記プラズマにより生成されたものである(8)項または(9)項に記載のインジケータ。
例えば、NH3等を処理ガスとして用いることができる。
(12)前記プラズマが前記窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスを用いて生成され、前記窒素酸化物が前記プラズマにより生成されたものである(8)項または(9)項に記載のインジケータ。
図1の[i]の場合である。
(13)当該インジケータが、前記水素イオンの量が多い場合と少ない場合とで、異なる色を示すものである(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のインジケータ。
(14)プラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するためのインジケータであって、前記プラズマ照射装置において生成されたプラズマに起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物を含むことを特徴とするインジケータ。
窒素酸化物は、プラズマ照射装置において生成されたプラズマに起因して生成されるものである。例えば、プラズマ照射装置において生成されたプラズマの反応により生成される場合(図1の[i]の場合)、プラズマ照射装置において生成され、照射されたプラズマと空気との反応により生成される場合(図1の[ii]の場合)等がある。
本項に記載のインジケータには、(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(15)前記窒素酸化物が、前記プラズマ照射装置に窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスが供給されることにより生成されて、プラズマとともに照射されるものである(14)項に記載のインジケータ。
(16)前記窒素酸化物が、前記プラズマ照射装置から大気中に照射されたプラズマが空気中の窒素と酸素との少なくとも一方と反応して生成されるものである(14)項に記載のインジケータ。
(17)プラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するためのインジケータであって、前記プラズマ照射装置が大気中にプラズマを照射するものであり、当該インジケータが、大気中において前記プラズマ照射装置の作動に起因して生成される水素イオンと反応することにより変化する組成物を含むことを特徴とするインジケータ。
本項に記載のインジケータには、(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
窒素酸化物は、プラズマ照射装置において生成されたプラズマに起因して生成されるものである。例えば、プラズマ照射装置において生成されたプラズマの反応により生成される場合(図1の[i]の場合)、プラズマ照射装置において生成され、照射されたプラズマと空気との反応により生成される場合(図1の[ii]の場合)等がある。
本項に記載のインジケータには、(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(15)前記窒素酸化物が、前記プラズマ照射装置に窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスが供給されることにより生成されて、プラズマとともに照射されるものである(14)項に記載のインジケータ。
(16)前記窒素酸化物が、前記プラズマ照射装置から大気中に照射されたプラズマが空気中の窒素と酸素との少なくとも一方と反応して生成されるものである(14)項に記載のインジケータ。
(17)プラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するためのインジケータであって、前記プラズマ照射装置が大気中にプラズマを照射するものであり、当該インジケータが、大気中において前記プラズマ照射装置の作動に起因して生成される水素イオンと反応することにより変化する組成物を含むことを特徴とするインジケータ。
本項に記載のインジケータには、(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(18)プラズマ処理を評価するために用いられる評価用シートであって、
プラズマにより生成される窒素酸化物、あるいは、プラズマと反応して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。
評価用シートを用いれば、プラズマ処理の評価を簡単に行うことができる。
本項に記載の評価用シートには、(1)項ないし(17)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(19)前記基材が、パルプ、プラスチックス、セラミックスのうちの1つ以上の材料により製造されたものである(18)項に記載の評価用シート。
評価用シートは、シート状の基材の表面に組成物を有する層が設けられた構造を成したものとしたり、シート状の基材に組成物が含浸された構造を成したものとしたりすること等ができる。
パルプは、セルロース、リブニン等の植物繊維を含むものであり、紙等の材料として使用されることが多い。
(20)前記基材が多孔性のものであり、前記組成物が前記基材の孔に保持された(18)項または(19)項に記載の評価用シート。
紙(濾紙)は多孔性のものであるため、その孔(隙間)に組成物を保持させることができる。また、プラスチックス、セラミックスを用いた場合であっても、多孔性のシートに加工することができる。
(21)当該評価用シートが、pH試験紙である(18)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の評価用シート。
(22)前記組成物が、互いに異なる設定範囲内の水素イオン濃度で変色する複数種類のpH指示薬を含む(18)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の評価用シート。
複数種類のpH指示薬の各々のpHの設定範囲は重複部分を有することがある。
(23)プラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するための評価用シートであって、
前記プラズマ照射装置の作動に起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。
本項に記載の評価用シートには、(1)項ないし(22)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(24)大気中にプラズマを照射するプラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するための評価用シートであって、
前記プラズマによって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。
本項に記載の評価用シートには、(1)項ないし(23)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
プラズマにより生成される窒素酸化物、あるいは、プラズマと反応して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。
評価用シートを用いれば、プラズマ処理の評価を簡単に行うことができる。
本項に記載の評価用シートには、(1)項ないし(17)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(19)前記基材が、パルプ、プラスチックス、セラミックスのうちの1つ以上の材料により製造されたものである(18)項に記載の評価用シート。
評価用シートは、シート状の基材の表面に組成物を有する層が設けられた構造を成したものとしたり、シート状の基材に組成物が含浸された構造を成したものとしたりすること等ができる。
パルプは、セルロース、リブニン等の植物繊維を含むものであり、紙等の材料として使用されることが多い。
(20)前記基材が多孔性のものであり、前記組成物が前記基材の孔に保持された(18)項または(19)項に記載の評価用シート。
紙(濾紙)は多孔性のものであるため、その孔(隙間)に組成物を保持させることができる。また、プラスチックス、セラミックスを用いた場合であっても、多孔性のシートに加工することができる。
(21)当該評価用シートが、pH試験紙である(18)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の評価用シート。
(22)前記組成物が、互いに異なる設定範囲内の水素イオン濃度で変色する複数種類のpH指示薬を含む(18)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の評価用シート。
複数種類のpH指示薬の各々のpHの設定範囲は重複部分を有することがある。
(23)プラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するための評価用シートであって、
前記プラズマ照射装置の作動に起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。
本項に記載の評価用シートには、(1)項ないし(22)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(24)大気中にプラズマを照射するプラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するための評価用シートであって、
前記プラズマによって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。
本項に記載の評価用シートには、(1)項ないし(23)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(25)プラズマ照射装置において生成されるプラズマに起因して作成される窒素酸化物によって得られた水素イオンと反応することにより変化するインジケータを用いて前記プラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するプラズマ処理評価方法であって、
前記インジケータを、前記プラズマ照射装置のプラズマ照射口と隙間を隔てて配設し、前記プラズマ照射装置を作動させる作動工程と、
その作動工程の後の前記インジケータの変化に基づいて前記プラズマ処理の評価を行う評価工程と
を含むことを特徴とするプラズマ処理評価方法。
本項に記載のプラズマ処理評価方法には、(1)項ないし(24)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
インジケータを用いれば、プラズマ照射装置のプラズマ照射部からプラズマが照射されているか否かを評価したり、プラズマ照射部から照射されるプラズマの量の多少を評価したりすることができる。
(26)水素イオンと反応して変化するインジケータを用いて、大気中にプラズマをプラズマ照射口から照射するプラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するプラズマ処理評価方法であって、
前記水素イオンが、前記プラズマ照射装置の前記プラズマ照射口からの照射物と大気との反応により生成されるものであり、
前記インジケータを、前記プラズマ照射口との間に大気を介在させて配設して、前記プラズマ照射装置を作動させる作動工程と、
その作動工程の後の前記インジケータの変化に基づいて前記プラズマ処理の評価を行う評価工程と
を含むことを特徴とするプラズマ処理評価方法。
本項に記載のプラズマ処理評価方法には、(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
前記インジケータを、前記プラズマ照射装置のプラズマ照射口と隙間を隔てて配設し、前記プラズマ照射装置を作動させる作動工程と、
その作動工程の後の前記インジケータの変化に基づいて前記プラズマ処理の評価を行う評価工程と
を含むことを特徴とするプラズマ処理評価方法。
本項に記載のプラズマ処理評価方法には、(1)項ないし(24)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
インジケータを用いれば、プラズマ照射装置のプラズマ照射部からプラズマが照射されているか否かを評価したり、プラズマ照射部から照射されるプラズマの量の多少を評価したりすることができる。
(26)水素イオンと反応して変化するインジケータを用いて、大気中にプラズマをプラズマ照射口から照射するプラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するプラズマ処理評価方法であって、
前記水素イオンが、前記プラズマ照射装置の前記プラズマ照射口からの照射物と大気との反応により生成されるものであり、
前記インジケータを、前記プラズマ照射口との間に大気を介在させて配設して、前記プラズマ照射装置を作動させる作動工程と、
その作動工程の後の前記インジケータの変化に基づいて前記プラズマ処理の評価を行う評価工程と
を含むことを特徴とするプラズマ処理評価方法。
本項に記載のプラズマ処理評価方法には、(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
以下、本発明の一実施形態である評価用シートを用いて、本発明の一実施形態であるプラズマ処理評価方法を実施する場合について図面に基づいて詳細に説明する。また、評価用シートには、本発明の一実施形態であるインジケータとしての組成物が含まれるが、評価用シート自体をインジケータと考えることもできる。
[共通の実施例の概要]
以下に記載の共通の実施例において、図3,4に示すプラズマ照射装置10(10p,10q)によるプラズマ処理の評価が評価用シート12(12s、12a,12b,12c)を用いて行われる。
プラズマ照射装置10は、本体14と、その本体14に設けられたガス供給部16と、一対の電極18a,bと、プラズマ照射部20とを含む。一対の電極18a,bの間に形成された空間に対して、ガス供給部16が上流側に設けられ、プラズマ照射部20が下流側に設けられる。
なお、図3,4において、xがガス等の流れ方向であり、yがガス等の流れ方向に直交する方向であり、zがプラズマ照射装置10と評価用シート12との相対移動方向である。
以下に記載の共通の実施例において、図3,4に示すプラズマ照射装置10(10p,10q)によるプラズマ処理の評価が評価用シート12(12s、12a,12b,12c)を用いて行われる。
プラズマ照射装置10は、本体14と、その本体14に設けられたガス供給部16と、一対の電極18a,bと、プラズマ照射部20とを含む。一対の電極18a,bの間に形成された空間に対して、ガス供給部16が上流側に設けられ、プラズマ照射部20が下流側に設けられる。
なお、図3,4において、xがガス等の流れ方向であり、yがガス等の流れ方向に直交する方向であり、zがプラズマ照射装置10と評価用シート12との相対移動方向である。
ガス供給部16には図示しないガスボンベが接続され、x方向に設定流量q(cc/sec)で窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガス(反応ガス、母ガスと称することもできる)が供給される。
一対の電極18a,bは、ガス供給部16から供給された処理ガスが流れる方向(x方向)に対して交差する方向(例えば、直交する方向であるy方向)に隔たって設けられる。一対の電極18a,bには交流電源22が接続され、電圧が印加される。それにより、一対の電極18a,bの間に電位差が生じ、一方から他方に向かって放電され、放電領域(プラズマ化領域と称することができる)Pが形成される。
プラズマ照射部20は、一対の電極18a,bの離間方向(y方向)に並んで配設された複数の通路24を含む。通路24は、概してx方向に延びたものであり、一端部の開口が放電領域Pに対向し、他端部の開口がプラズマ照射口26とされる。
一対の電極18a,bは、ガス供給部16から供給された処理ガスが流れる方向(x方向)に対して交差する方向(例えば、直交する方向であるy方向)に隔たって設けられる。一対の電極18a,bには交流電源22が接続され、電圧が印加される。それにより、一対の電極18a,bの間に電位差が生じ、一方から他方に向かって放電され、放電領域(プラズマ化領域と称することができる)Pが形成される。
プラズマ照射部20は、一対の電極18a,bの離間方向(y方向)に並んで配設された複数の通路24を含む。通路24は、概してx方向に延びたものであり、一端部の開口が放電領域Pに対向し、他端部の開口がプラズマ照射口26とされる。
本プラズマ照射装置10において、一対の電極18a,bの間に形成された放電領域Pに窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスが供給されると、プラズマ{励起状態にある窒素分子(N2),励起状態にある酸素分子(O2),窒素原子(N)、酸素原子(O),オゾン(O3),これらのイオン,ラジカル等の活性種}が生成される。また、これらプラズマ、プラズマ中に含まれる処理ガス(基底状態にある窒素分子、酸素分子)等の反応により一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)が生成され、プラズマとともにプラズマ照射口26から照射される。
そして、一酸化窒素が大気中の酸素(O2)と反応して二酸化窒素が生成され、二酸化窒素が大気中の水(水蒸気:H20)と反応して、硝酸(HNO3)が形成されるとともに水素イオン(H+)が生成される。
2NO+O2→2NO2
3NO2+H2O→2HNO3+NO
HNO3→H++NO3 -
そして、一酸化窒素が大気中の酸素(O2)と反応して二酸化窒素が生成され、二酸化窒素が大気中の水(水蒸気:H20)と反応して、硝酸(HNO3)が形成されるとともに水素イオン(H+)が生成される。
2NO+O2→2NO2
3NO2+H2O→2HNO3+NO
HNO3→H++NO3 -
このように、プラズマ照射装置10に、放電領域Pが形成され、処理ガスが供給される状態をプラズマ照射装置10の作動状態と称する。そして、プラズマ照射装置10の作動状態において、プラズマ照射装置10と評価用シート12とを図4に示すように、z方向に相対移動させ(作動工程)、その相対移動(以下、これらの相対移動をスキャンと称する)後の評価用シート12の色に基づいて、プラズマ処理の評価が行われる(評価工程)。
以下、具体的なプラズマ処理の評価について説明する。
以下、具体的なプラズマ処理の評価について説明する。
実施例1においては、プラズマ照射装置10pのプラズマ処理の評価が評価用シートとしてのpH試験紙12sを用いて行われる。pH試験紙12sは、MACHEREY-NAGEL社(ドイツ国)製、商品名「PEHANON(登録商標)pH1.0-12.0」、型番「90401」のものであり、図5に示す特性を有する。
pH試験紙12sは、基材としてのシート状の紙(濾紙)に、複数種類のpH指示薬が含浸された構造を成す。水素イオンと、複数種類のpH指示薬のうちの1つ以上が反応することにより、そのpH指示薬の構造が変化することにより色が変わり、pH試験紙12sの色が変わる。
pH試験紙12sは、図5に示すように、pH1で赤色を示し、pH2で濃いオレンジ色、pH3でオレンジ色、pH4で黄色、pH5で薄い黄緑色、pH6で黄緑色、pH7で緑色、pH8で薄い紫色を示すものである。また、pH9〜12ではpH値が大きくなるのに伴って紫色が濃くなる。
pH値は、一般的には、水溶液中の水素イオンの濃度で決まる値であり、水素イオンの濃度が高くなると小さくなる。それに対して、pH試験紙12sに直接プラズマが供給される場合には、そのpH試験紙12sに供給された水素イオンの量(複数回照射された場合には、各々において照射された水素イオンの量の合計)で決まる値であると考えたり、pH試験紙12sの単位面積当たりに供給された水素イオンの量で決まる値であると考えたりすることができる。いずれにしても、pH試験紙12sに水素イオンが供給されれば、pH値は7より小さい値となり、供給された水素イオンの量が多い場合は少ない場合よりpH値は小さくなる。
pH試験紙12sは、基材としてのシート状の紙(濾紙)に、複数種類のpH指示薬が含浸された構造を成す。水素イオンと、複数種類のpH指示薬のうちの1つ以上が反応することにより、そのpH指示薬の構造が変化することにより色が変わり、pH試験紙12sの色が変わる。
pH試験紙12sは、図5に示すように、pH1で赤色を示し、pH2で濃いオレンジ色、pH3でオレンジ色、pH4で黄色、pH5で薄い黄緑色、pH6で黄緑色、pH7で緑色、pH8で薄い紫色を示すものである。また、pH9〜12ではpH値が大きくなるのに伴って紫色が濃くなる。
pH値は、一般的には、水溶液中の水素イオンの濃度で決まる値であり、水素イオンの濃度が高くなると小さくなる。それに対して、pH試験紙12sに直接プラズマが供給される場合には、そのpH試験紙12sに供給された水素イオンの量(複数回照射された場合には、各々において照射された水素イオンの量の合計)で決まる値であると考えたり、pH試験紙12sの単位面積当たりに供給された水素イオンの量で決まる値であると考えたりすることができる。いずれにしても、pH試験紙12sに水素イオンが供給されれば、pH値は7より小さい値となり、供給された水素イオンの量が多い場合は少ない場合よりpH値は小さくなる。
本実施例においては、プラズマ照射装置10pのガス供給部16からの供給される処理ガスの流量をq(cc/sec)とした。また、プラズマ照射装置10pとpH試験紙12sとを、z方向に速度v(mm/sec)で相対移動させた。なお、プラズマ照射口26とpH試験紙12sの面30との間のギャップ(x方向の隙間)を1mmとした。
そして、作動状態にあるプラズマ照射装置10pと緑色(pH7)であるpH試験紙12sとをスキャンさせ(作動工程)、スキャン後のpH試験紙12sの色に基づき、pH値を取得した(評価工程)。
その評価結果を図6に示す。
1回スキャンした場合には、pH試験紙12sは緑色から黄緑色に変化した。黄緑色であることからpH値は4〜5である。
2回スキャンした場合には、pH試験紙12sは濃い黄色になった。このことから、pH値は3〜4である。
3回スキャンした場合には、黄色とオレンジ色との中間よりオレンジ色に近い色になったことから、pH値は3〜4の間の3に近い値である。
4回スキャンした場合には、オレンジ色になったことから、pH値は3である。
そして、作動状態にあるプラズマ照射装置10pと緑色(pH7)であるpH試験紙12sとをスキャンさせ(作動工程)、スキャン後のpH試験紙12sの色に基づき、pH値を取得した(評価工程)。
その評価結果を図6に示す。
1回スキャンした場合には、pH試験紙12sは緑色から黄緑色に変化した。黄緑色であることからpH値は4〜5である。
2回スキャンした場合には、pH試験紙12sは濃い黄色になった。このことから、pH値は3〜4である。
3回スキャンした場合には、黄色とオレンジ色との中間よりオレンジ色に近い色になったことから、pH値は3〜4の間の3に近い値である。
4回スキャンした場合には、オレンジ色になったことから、pH値は3である。
以上のように、pH試験紙12sと作動状態にあるプラズマ照射装置10pとをスキャンさせると、pH試験紙12sがpH7未満を示す色に変色するため、pH指示薬が水素イオンと反応したことがわかる。このように、水素イオンが検出されたことから、プラズマ照射装置10pから一酸化窒素、二酸化窒素等の窒素酸化物が照射されるとともにプラズマが照射されたと評価することができる。換言すれば、pH試験紙12sを用いれば、プラズマ処理の評価を行うことができるのであり、pH試験紙12は、プラズマ処理の評価に適したものであるといえる。また、プラズマ照射装置10pにより、被処理物に所望のプラズマ処理が行われたと評価することができる。
スキャン回数が多くなるとpH値が小さくなることから、pH試験紙12sに照射された水素イオンの量の合計が多くなったことがわかる。一方、水素イオンは窒素酸化物と水との反応により生成されるため、水素イオンの量が多い場合は少ない場合より、プラズマ照射装置10pから照射された一酸化窒素、二酸化窒素の量が多いと推定することができる。また、一酸化窒素、二酸化窒素は、プラズマの反応により生成されるため、一酸化窒素、二酸化窒素の量が多い場合は少ない場合より照射されたプラズマの量が多いと推定することができる。以上により、スキャン回数の増加に伴って照射されたプラズマの量が多くなったと評価することができる。換言すれば、pH試験紙12sを用いれば、照射されたプラズマの量の多少を評価することができるのである。また、スキャン回数を多くすれば、被処理物に良好にプラズマ処理が施されたと評価することができるのであり、高いプラズマ処理の効果が得られたと評価することができる。
スキャン回数が多くなるとpH値が小さくなることから、pH試験紙12sに照射された水素イオンの量の合計が多くなったことがわかる。一方、水素イオンは窒素酸化物と水との反応により生成されるため、水素イオンの量が多い場合は少ない場合より、プラズマ照射装置10pから照射された一酸化窒素、二酸化窒素の量が多いと推定することができる。また、一酸化窒素、二酸化窒素は、プラズマの反応により生成されるため、一酸化窒素、二酸化窒素の量が多い場合は少ない場合より照射されたプラズマの量が多いと推定することができる。以上により、スキャン回数の増加に伴って照射されたプラズマの量が多くなったと評価することができる。換言すれば、pH試験紙12sを用いれば、照射されたプラズマの量の多少を評価することができるのである。また、スキャン回数を多くすれば、被処理物に良好にプラズマ処理が施されたと評価することができるのであり、高いプラズマ処理の効果が得られたと評価することができる。
実施例2においては、プラズマ照射装置10qのプラズマ処理の評価が実施例1と同じpH試験紙12sを用いて行われる。プラズマ照射装置10qは、プラズマ照射装置10pの5倍のプラズマ生成能力を有するものである。プラズマ生成能力は、例えば、供給された処理ガスの量に対する生成されたプラズマの量で表されるものであり、処理ガスの供給流量が同じ場合において、プラズマ生成能力が高い場合は低い場合より単位時間当たりに生成されるプラズマの量が多くなる。
本実施例において、プラズマ照射装置10qのガス供給部16から供給される処理ガスの流量をq(cc/sec)とし、スキャン速度を5v(mm/sec)とした。なお、照射口26とpH試験紙12sの面30との間のギャップ(x方向の隙間)を1mmとした。
そして、緑色(pH7)のpH試験紙12sと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとをスキャンさせた後の、pH試験紙12sの色に基づいてプラズマ処理の評価を行った。その評価結果を図7に示す。
図7と図6とを比較すると明らかなように、本実施例においては実施例1における場合と同様の評価結果が得られた。
上述のように、プラズマ照射装置10qは、プラズマ照射装置10pの5倍のプラズマ生成能力を有するものであるため、実施例1における場合と比較して、スキャン速度が5倍とされても、1回のスキャンにおいて、pH試験紙12sに供給されるプラズマ等の量も水素イオンの量も実施例1における場合と同じになると考えられる。
以上により、プラズマ生成能力が高いプラズマ照射装置10qを用いれば、短い時間で、良好にプラズマ処理を施すことができるのであり、作業効率を高めることができる。
本実施例において、プラズマ照射装置10qのガス供給部16から供給される処理ガスの流量をq(cc/sec)とし、スキャン速度を5v(mm/sec)とした。なお、照射口26とpH試験紙12sの面30との間のギャップ(x方向の隙間)を1mmとした。
そして、緑色(pH7)のpH試験紙12sと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとをスキャンさせた後の、pH試験紙12sの色に基づいてプラズマ処理の評価を行った。その評価結果を図7に示す。
図7と図6とを比較すると明らかなように、本実施例においては実施例1における場合と同様の評価結果が得られた。
上述のように、プラズマ照射装置10qは、プラズマ照射装置10pの5倍のプラズマ生成能力を有するものであるため、実施例1における場合と比較して、スキャン速度が5倍とされても、1回のスキャンにおいて、pH試験紙12sに供給されるプラズマ等の量も水素イオンの量も実施例1における場合と同じになると考えられる。
以上により、プラズマ生成能力が高いプラズマ照射装置10qを用いれば、短い時間で、良好にプラズマ処理を施すことができるのであり、作業効率を高めることができる。
プラズマ照射装置10qのプラズマ処理の評価を、インジケータとしてのフェノールパープルを含む評価用シートとしてのpH試験紙12aを用いて行った。
pH試験紙12aは、アドバンティック東洋株式会社製、商品名「pH試験紙 ブックタイプ PPフェノールパープル」、商品コード「07010130」のものであり、基材としての紙(濾紙)に、フェノールパープルが含浸された構造を成す。フェノールパープルは、pH指示薬であるブロムフェノールブルー(C19H10Br4O5S)とブロムフェノールレッド(C19H12Cl2O4S)との混合物である。
pH試験紙12aは、水素イオン濃度をpH3.4〜6.4の間で検出可能なものであり、図8に示すように、pH3.4で黄色、pH4.6で灰色を示し、pH3.8では黄色と灰色との中間の黄色に近い色を示し、pH4.2では黄色と灰色との中間で灰色に近い色を示すものである。また、pH5.0では黄土色、pH6.4では赤紫色を示し、pH5.2、pH5.6、pH6.0では、黄土色と赤紫色との中間の、pH値が大きくなると、紫色に近い色を示す。
照射前に濃い黄土色(pH5.2)であるpH試験紙12aと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとを1回スキャンさせたところ、pH試験紙12aの色が黄色と灰色との中間の黄色に近い色に変化した。図8に示すpH試験紙12aの特性から、pH値は3.8である。pH値が3.8であることから、pH試験紙12aに水素イオンが供給されたことがわかり、プラズマ照射装置10qからプラズマが照射されたと評価することができる。また、インジケータとしてのフェノールパープル、フェノールパープルを含むpH試験紙12aは、プラズマ処理の評価に適したものであるといえる。
pH試験紙12aは、アドバンティック東洋株式会社製、商品名「pH試験紙 ブックタイプ PPフェノールパープル」、商品コード「07010130」のものであり、基材としての紙(濾紙)に、フェノールパープルが含浸された構造を成す。フェノールパープルは、pH指示薬であるブロムフェノールブルー(C19H10Br4O5S)とブロムフェノールレッド(C19H12Cl2O4S)との混合物である。
pH試験紙12aは、水素イオン濃度をpH3.4〜6.4の間で検出可能なものであり、図8に示すように、pH3.4で黄色、pH4.6で灰色を示し、pH3.8では黄色と灰色との中間の黄色に近い色を示し、pH4.2では黄色と灰色との中間で灰色に近い色を示すものである。また、pH5.0では黄土色、pH6.4では赤紫色を示し、pH5.2、pH5.6、pH6.0では、黄土色と赤紫色との中間の、pH値が大きくなると、紫色に近い色を示す。
照射前に濃い黄土色(pH5.2)であるpH試験紙12aと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとを1回スキャンさせたところ、pH試験紙12aの色が黄色と灰色との中間の黄色に近い色に変化した。図8に示すpH試験紙12aの特性から、pH値は3.8である。pH値が3.8であることから、pH試験紙12aに水素イオンが供給されたことがわかり、プラズマ照射装置10qからプラズマが照射されたと評価することができる。また、インジケータとしてのフェノールパープル、フェノールパープルを含むpH試験紙12aは、プラズマ処理の評価に適したものであるといえる。
プラズマ照射装置10qのプラズマ処理の評価を、インジケータであるブロムフェノールブルー(組成物)を含むpH試験紙12bを用いて行った。pH試験紙12bは、アドバンティック東洋株式会社製、商品名「pH試験紙 ブックタイプ BPBブロムフェノールブルー」、商品コード「07010030」のものであり、基材としての紙(濾紙)と、その濾紙に含浸されたブロムフェノールブルー(C19H10Br4O5S)とを含むものである。pH試験紙12bは、pH値3.6〜4.4の間で検出可能なものであり、図9に示すように、pH3.6で黄緑色、pH4.0で灰色を示し、pH4.4で紫色を示す。また、pH3.8では黄緑色と灰色との中間色、pH4.2には灰色と紫色との中間色を示すものである。
照射前に青色であったpH試験紙12bと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとを1回スキャンさせたところ、pH試験紙12bは灰色に変色した。その結果、pHが4.0となり、プラズマ照射装置10qからプラズマが照射されたと評価することができる。また、組成物としてのブロムフェノールブルーを含むインジケータ、ブロムフェノールブルーを含むpH試験紙12bを用いれば、プラズマ処理の評価を行うことができる。
照射前に青色であったpH試験紙12bと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとを1回スキャンさせたところ、pH試験紙12bは灰色に変色した。その結果、pHが4.0となり、プラズマ照射装置10qからプラズマが照射されたと評価することができる。また、組成物としてのブロムフェノールブルーを含むインジケータ、ブロムフェノールブルーを含むpH試験紙12bを用いれば、プラズマ処理の評価を行うことができる。
プラズマ照射装置10qのプラズマ処理の評価を、インジケータとしてのブロムクレゾールグリーン(組成物)を含むpH試験紙12cを用いて行った。pH試験紙12cは、アドバンティック東洋株式会社製、商品名「pH試験紙 ロールタイプ BCGブロムクレゾールグリーン」、商品コード「07011010」のものであり、基材としての紙(濾紙)と、その濾紙に含浸されたブロムクレゾールグリーン(C21H14Br4O5S)とを含む。pH試験紙12cは、水素イオン濃度をpH4.0〜5.6の間で検出可能なものであり、図10に示すように、pH4.0で黄色、pH5.0で青色、pH5.6で濃青色を示すものである。また、pH4.2〜4.8においては、黄色と青色との中間で、pH値が大きいほど青色が濃くなり、pH5.2、pH5.4においては、pH値が大きいほど濃青色に近くなる。
照射前にやや濃い青色(pH5.2)であったpH試験紙12cと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとを1回スキャンさせたところ、pH試験紙12cは黄色と青色との中間の黄色に近い色に変色した。その結果、pHが4.4となり、プラズマ処理が良好に行われたと評価することができる。また、組成物としてのブロムクレゾールグリーンを含むインジケータ、ブロムクレゾールグリーンを含むpH試験紙12cを用いれば、プラズマ処理の評価を行うことができる。
照射前にやや濃い青色(pH5.2)であったpH試験紙12cと作動状態にあるプラズマ照射装置10qとを1回スキャンさせたところ、pH試験紙12cは黄色と青色との中間の黄色に近い色に変色した。その結果、pHが4.4となり、プラズマ処理が良好に行われたと評価することができる。また、組成物としてのブロムクレゾールグリーンを含むインジケータ、ブロムクレゾールグリーンを含むpH試験紙12cを用いれば、プラズマ処理の評価を行うことができる。
なお、上記実施例においては、プラズマ照射装置10に窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスが供給されてプラズマが生成される場合のプラズマ処理の評価が行われたが、アルゴン等の希ガスが供給されてプラズマが作成される場合のプラズマ処理の評価も同様に行うことができる。
また、プラズマ処理の評価において、作動状態にあるプラズマ照射装置10と評価用シート12とをスキャンさせることは不可欠ではなく、プラズマ照射装置10、評価用シート12は静止したままでもよい。
さらに、実施例1〜5におけるプラズマ処理の評価は、大気から遮断された雰囲気で行うこともできる。その場合には、pH試験紙に水が含まれるようにすることができる。
また、インジケータに用いられる組成物は、上記実施例において用いられたものに限定されない。本明細書に記載の組成物、その誘導体等を用いることもできる。
さらに、本発明は、上記複数の実施例に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施すことができる。
また、プラズマ処理の評価において、作動状態にあるプラズマ照射装置10と評価用シート12とをスキャンさせることは不可欠ではなく、プラズマ照射装置10、評価用シート12は静止したままでもよい。
さらに、実施例1〜5におけるプラズマ処理の評価は、大気から遮断された雰囲気で行うこともできる。その場合には、pH試験紙に水が含まれるようにすることができる。
また、インジケータに用いられる組成物は、上記実施例において用いられたものに限定されない。本明細書に記載の組成物、その誘導体等を用いることもできる。
さらに、本発明は、上記複数の実施例に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施すことができる。
10:プラズマ照射装置 12:pH試験紙 16:ガス供給部 18:電極 20:プラズマ照射部
Claims (10)
- プラズマ処理を評価するためのインジケータであって、プラズマに起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物を含むことを特徴とするインジケータ。
- 前記組成物が、pH5.4未満で色が変化するpH指示薬である請求項1に記載のインジケータ。
- 前記プラズマが大気中に照射され、前記組成物が大気中で前記水素イオンと反応するものである請求項1または2に記載のインジケータ。
- 前記プラズマが窒素ガスと希ガスとの少なくとも一方を含む処理ガスを用いて生成されるものである請求項1ないし3のいずれか1つに記載のインジケータ。
- 前記窒素酸化物が、前記プラズマを生成して、照射するプラズマ照射装置に窒素ガスと酸素ガスとを含む処理ガスが供給されることにより生成されて、前記プラズマとともに照射されるものである請求項1ないし4のいずれか1つに記載のインジケータ。
- 前記窒素酸化物が、前記プラズマを生成して、照射するプラズマ照射装置から大気中に照射された前記プラズマが空気と反応して生成されるものである請求項1ないし4のいずれか1つに記載のインジケータ。
- 当該インジケータが、前記水素イオンの量が多い場合と少ない場合とで、異なる色を示すものである請求項1ないし6のいずれか1つに記載のインジケータ。
- プラズマ処理を評価するために用いられる評価用シートであって、
プラズマに起因して生成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。 - 大気中にプラズマを照射するプラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するための評価用シートであって、
前記プラズマに起因して得られる水素イオンと反応することにより変化する組成物と、
その組成物を保持するシート状の基材と
を含むことを特徴とする評価用シート。 - プラズマ照射装置において生成されるプラズマに起因して作成される窒素酸化物によって得られる水素イオンと反応することにより変化するインジケータを用いて前記プラズマ照射装置のプラズマ処理を評価するプラズマ処理評価方法であって、
前記インジケータを、前記プラズマ照射装置のプラズマ照射口と隙間を隔てて配設し、前記プラズマ照射装置を作動させる作動工程と、
その作動工程の後の前記インジケータの変化に基づいて前記プラズマ処理の評価を行う評価工程と
を含むことを特徴とするプラズマ処理評価方法。
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