以下に図面を参照して、印刷装置、印刷システム、印刷物の製造方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、被処理物の処理対象面側にプラズマ処理を行う。
本実施の形態において用いる被処理物は、例えば、非浸透性の記録媒体、緩浸透性の記録媒体、浸透性の記録媒体である。
非浸透性の記録媒体とは、実質的にインクなどの液滴が浸透しない記録媒体をいう。「実質的に浸透しない」とは、1分後の液滴の浸透率が5%以下であることをいう。非浸透性の記録媒体としては、例えば、アート紙、合成樹脂、ゴム、コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。また、機能付加の目的で、これら材質を複数組み合わせて複合化した基材も使用できる。また、普通紙などに、これらの非浸透性の層(たとえば、コート層)を形成した媒体を用いてもよい。
また、緩浸透性の記録媒体とは、10pl(ピコリットル)の液滴を記録媒体上に滴下した場合に、全液量が浸透するまでの時間が100m秒以上である記録媒体をいい、具体的にはアート紙などが挙げられる。浸透性の記録媒体は、10plの液滴を記録媒体上に滴下した場合に全液量が浸透するまでの時間が100m秒以下である記録媒体であり、具体的には普通紙、多孔質紙などである。
本実施の形態では、被処理物として、非浸透性の記録媒体、または緩浸透性の記録媒体を適用した場合に、特に効果的である。
なお、以下では、被処理物を、記録メディア、または、記録媒体と称する場合がある。
本実施の形態では、プラズマ処理した処理領域に吐出したインクによるインク層の表面粗さを調整するために、目的とする表面粗さに応じたプラズマエネルギー量で、被処理物の処理領域にプラズマ処理を行う。
被処理物の表面をプラズマ処理すると、被処理物表面の濡れ性が向上する。被処理物表面の濡れ性が向上すると、プラズマ処理された被処理物に着弾したドットが素早く拡がる。このため、被処理物表面のインクを素早く乾燥させることが可能となる。このため、インク顔料の分散が防止されつつ顔料が凝集する。その結果、ビーディングやブリードなどの発生の抑制を図ることができる。また、顔料の凝集により、インク層の表面粗さを調整することができる。
詳細には、プラズマ処理では、プラズマで発生した酸素ラジカルや水酸ラジカル(−OH)、オゾンのような活性種によって表面の有機物が酸化反応し、親水性の官能基が形成される。
このため、プラズマ処理を用いることで、被処理物表面の濡れ性(親水性)を制御できるだけでなく、被処理物表面のpH値も制御(酸性化)することが可能になる。また、プラズマ処理を用いることで、プラズマ処理された被処理物上に形成されるインク層に含まれる顔料の凝集性をコントロールし、インク層の表面粗さを調整することができる。
また、プラズマ処理を用いることで、浸透性をコントロールしてインクドット(以下、単にドットという)の真円度を向上させるとともに、ドットの合一を防止してドットの鮮鋭度や色域を拡げることも可能である。その結果、ビーディングやブリードといった画像不良を解決して、高品質な画像が形成された印刷物を得ることができる。また、被処理物上の顔料の凝集厚みを薄く均一にすることにより、インク液滴量を削減して、インク乾燥エネルギーの低減および印刷コストの低減を図ることも可能になる。
図1は、本実施の形態で採用するプラズマ処理の概略の説明図である。図1に示すように、本実施の形態で採用されるプラズマ処理には、放電電極11と、カウンタ電極14と、誘電体12と、高周波高圧電源15と、を備えたプラズマ処理装置10を用いる。誘電体12は、放電電極11とカウンタ電極14との間に配置される。高周波高圧電源15は、放電電極11とカウンタ電極14との間に高周波・高電圧のパルス電圧を印加する。
このパルス電圧の電圧値は、たとえば約10kV(キロボルト)(p−p)程度である。また、その周波数は、例えば、約20kHz(キロヘルツ)である。このような高周波・高電圧のパルス電圧を2つの電極間に供給することで、放電電極11と誘電体12との間に大気圧非平衡プラズマ13が発生する。被処理物20は、大気圧非平衡プラズマ13の発生中に放電電極11と誘電体12との間を通過する。これにより、被処理物20の放電電極11側(すなわち、処理対象面側)がプラズマ処理される。
なお、図1には、一例として、プラズマ処理装置10が、回転型の放電電極11とベルトコンベア型の誘電体12とを採用した場合を示した。被処理物20は、回転する放電電極11と誘電体12との間で挟持搬送されることで、大気圧非平衡プラズマ13中を通過する。これにより、被処理物20の処理対象面側が大気圧非平衡プラズマ13に接触し、プラズマ処理が施される。大気圧非平衡プラズマ13は、誘電体バリア放電を利用したプラズマである。
大気圧非平衡プラズマによるプラズマ処理は、電子温度が極めて高く、ガス温度が常温付近であるため、被処理物20に対するプラズマ処理方法として好ましい方法の1つである。
大気圧非平衡プラズマを広範囲に安定して発生させるには、ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電を採用した大気圧非平衡プラズマ処理を実行することが好ましい。ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電は、たとえば誘電体で被覆された電極間に交番する高電圧が印加することで得ることが可能である。
ただし、大気圧非平衡プラズマを発生させる方法としては、ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電以外にも、種々の方法を用いることができる。たとえば、電極間に誘電体等の絶縁物を挿入する誘電体バリア放電、細い金属ワイヤ等に著しい不平等電界を形成するコロナ放電、短パルス電圧を印加するパルス放電などを適用することが可能である。また、これらの方法を2つ以上組み合わせることも可能である。また、本実施の形態におけるプラズマ処理は、大気中で実施されているが、これに限らず、窒素や酸素等のガス雰囲気下で実施されてもよい。
また、図1に例示したプラズマ処理装置10では、搬送方向に合わせて被処理物20を送り出すように回転可能な放電電極11が採用されているが、この構成に限られるものではない。たとえば後述において例示されるような、被処理物20の搬送方向に対して垂直方向(スキャン方向)に移動可能な1つ以上の放電電極が採用されてもよい。
次に、本実施の形態で用いるプラズマ処理について、更に具体的に説明する。
プラズマ処理では、被処理物20に大気中のプラズマ照射を行うことによって、被処理物20表面の高分子を反応させ、親水性の官能基を形成する。詳細には、放電電極から放出された電子eが電界中で加速されて、大気中の原子や分子を励起・イオン化する。イオン化された原子や分子からも電子が放出され、高エネルギーの電子が増加し、その結果、ストリーマ放電(プラズマ)が発生する。このストリーマ放電による高エネルギーの電子によって、被処理物20(たとえばコート紙)表面の高分子結合(コート紙のコート層は炭酸カルシウムとバインダとして澱粉で固められているが、その澱粉が高分子構造を有している)が切断され、気相中の酸素ラジカルO*や水酸ラジカル(―OH)、オゾンO3と再結合する。これにより、被処理物20の表面に水酸基やカルボキシル基等の極性官能基が形成される。その結果、被処理物20の表面に親水性や酸性が付与される。それにより、被処理物20表面の濡れ性が向上すると共に、酸性化(pH値の低下)する。
なお、本実施の形態における酸性化とは、インクに含まれる顔料が凝集するpH値まで被処理物20における処理対象面側表面のpH値を下げることを意味する。pH値を下げるとは、物体中の水素イオンH+濃度を上昇させることである。被処理物20の処理対象面側表面に触れる前のインク中の顔料はマイナスに帯電し、ビヒクル中で顔料が分散している。
図2は、インクのpH値とインクの粘度との関係の一例を示す図である。図2に示すように、インクは、そのpH値が低いほど、その粘度が上昇する。これは、インクの酸性度が高くなるほど、インクのビヒクル中でマイナスに帯電している顔料が電気的に中和され、その結果、顔料同士が凝集するためである。したがって、たとえば図2に示すグラフにおいてインクのpH値が必要な粘度と対応する値となるように被処理物20の処理対象面側表面のpH値を下げることで、インクの粘度を上昇させることが可能である。これは、インクが、被処理物20の処理対象面側表面に付着した際、顔料が該処理対象面側表面の水素イオンH+によって電気的に中和された結果、顔料同士が凝集するためである。それにより、隣接したドット間の混色を防止するとともに、顔料が被処理物20の奥深く(さらには裏面まで)浸透するのを防止することが可能となる。ただし、必要な粘度と対応するpH値となるようにインクのpH値を下げるためには、被処理物20の処理対象面側表面のpH値を必要な粘度と対応するインクのpH値よりも低くしておく必要がある。
また、インクを必要な粘度とするためのpH値は、インクの特性によって異なる。すなわち、図2のインクAに示すように、比較的中性に近いpH値で顔料が凝集して粘度が上がるインクもあれば、インクAとは異なる特性を持つインクBに示すように、顔料を凝集させるためにインクAよりも低いpH値が必要なインクも存在する。
顔料がドット内で凝集する挙動や、ビヒクルの乾燥速度や被処理物20内への浸透速度は、ドットの大きさ(小滴、中滴、大滴)によって変わる液滴量や、被処理物20の種類や、インク種などによって異なる。そこで以下の実施の形態では、プラズマ処理におけるプラズマエネルギー量を、被処理物20の種類やインク量(液滴量)やインク種などに応じて最適な値に制御してもよい。
図3は、本実施の形態にかかるプラズマエネルギーと被処理物表面の濡れ性、ビーディング、pH値および浸透性との評価結果を示すグラフである。図3では、被処理物20としてコート紙へ印刷した場合の表面特性(濡れ性、ビーディング、pH値、浸透性(吸液特性))がプラズマエネルギーに依存してどのように変化するかを示した。なお、図3に示す評価を得るにあたり、インクには、顔料が酸により凝集する特性の水性顔料インク(マイナスに帯電した顔料が分散されているアルカリ性インク)を使用した。
図3に示すように、コート紙表面の濡れ性は、プラズマエネルギーが低い値(たとえば0.2J/cm2程度以下)で急激に良くなり、それ以上エネルギーを増加させてもあまり改善しなかった。一方、コート紙表面のpH値は、ある程度まではプラズマエネルギーを高めることにより低下した。ただし、プラズマエネルギーがある値(たとえば4J/cm2程度)を超えたところで飽和状態になった。また、浸透性(吸液特性)は、pHの低下が飽和したあたり(たとえば4J/cm2程度)から急激に良くなった。ただし、この現象は、インクに含まれている高分子成分に依存して異なると考えられる。
この結果として、浸透性(吸液特性)がよくなり始めて(例えば4J/cm2程度)からビーディング(粒状度)の値が非常に良い状態となっていることが判明した。ここでのビーディング(粒状度)とは、画像のざらつき感を数値で表したものであり、濃度のばらつきを平均濃度の標準偏差で表したものである。図3では、2色以上のドットからなる色のベタ画像の濃度を複数サンプリングし、その濃度の標準偏差をビーディング(粒状度)として表している。このように、本実施の形態にかかるプラズマ処理を施したコート紙に吐出されたインクは、真円状に広がりかつ凝集しながら浸透した。
また、被処理物20表面の濡れ性向上や、被処理物20表面の酸性化(pHの低下)により、インク顔料の凝集、浸透性の向上、ビヒクルのコート層内部への浸透などが生じる。これらにより、被処理物20表面の顔料濃度が上昇するため、ドットが合一したとしても、顔料の移動を抑えることが可能となり、その結果、顔料の混濁を抑制し、顔料を均一に被処理物表面に沈降凝集させることが可能となる。
また、被処理物20表面の濡れ性の向上や、被処理物20表面の酸性化(pHの低下)により、インクに含まれる顔料の凝集速度が上がり、このインクによるインク層の表面の凹凸(表面粗さ)も調整される。
ただし、表面粗さの調整効果は、インクの成分(インク種)やインクの滴量(インク量)に依存して異なる。たとえばインクの適量が小滴の場合、大滴の場合に比べて、ドットの合一による顔料の混濁は発生し難い。それは、ビヒクル量が小滴の場合の方が、ビヒクルがより早く乾燥・浸透するためであり、少しのpH反応で顔料を凝集することができるためである。また、プラズマ処理の効果は、被処理物20の種類や環境(湿度など)によって変動する。そこで、プラズマ処理におけるプラズマエネルギー量を、インク量や被処理物20の種類、インクの成分(すなわちインク種)、環境などに応じて最適な値に制御してもよい。
図4は、プラズマエネルギー量と、顔料凝集の均一性と、の観察結果を示す図である。図4に示すように、プラズマエネルギー量が大きいほど、顔料凝集の均一性が向上することがわかる。
図5は、各種非浸透性の記録媒体をプラズマ処理したときの純水の接触角の測定結果を示すグラフである。図5において、横軸はプラズマエネルギーを示す。図5に示されるように、非浸透性の記録媒体であっても、プラズマ処理することで、濡れ性が高くなることがわかる。水性顔料インクの場合、純水よりも表面張力が低いことから、より濡れ易いと考えられる。すなわち、プラズマ処理によって水性顔料インクが薄く濡れ広がり易くなった結果、水分の蒸発に有利な表面状態が得られる。なお、以下では塩化ビニルについて説明するが、本結果の通り、ポリエステルやアクリル等の熱可塑性樹脂からなる非浸透性の記録媒体に対しても、プラズマ処理の効果が見られた。
図6は、同じ大きさのインク滴を非浸透性の記録媒体である塩化ビニルシート表面に滴下した際のドット径を示すグラフである。また、図7は、同じ大きさのインク滴を同じく非浸透性の記録媒体であるターポリン表面に滴下した際のドット径を示すグラフである。ターポリンとは、ポリエステル系の繊維を合成樹脂で挟んで作られているシートである。
なお、図6および図7の実験で用いたインクには、エーテル系およびジオール系溶剤約50wt%、および界面活性剤少量の混合液中に、顔料約3wt%、粒径100〜300nmのスチレン・アクリル樹脂約5wt%加えて分散させ、表面張力:21〜24N/m、粘度:8〜11mPa・sに調製した水性顔料インクを用いた。
図6および図7に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、ドット径が1.2〜1.3倍に広がった。これは、上述のように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、非浸透性の記録媒体表面に着弾したインクを素早く乾燥させることができることを意味している。
図8は、同じ大きさのインク滴を非浸透性の記録媒体(塩化ビニルシート)表面に滴下した際に実際に記録媒体表面に形成されたインクドットを示す画像である。なお、図8では、左側が黒インクのインクドットを示し、右側がシアンインクのインクドットを示す。また、図8では、それぞれの条件について4回のドット形成を行った。図8に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、ドット径が広がっていることがわかる。また、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、ドットの真円性も向上していることがわかる。
図9は、非浸透性の記録媒体である塩化ビニルシートに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。図10は、非浸透性の記録媒体であるターポリンに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。図9および図10に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、画像濃度が上がっていることがわかる。これは、プラズマ処理を施すことで、インク滴量を減らしてもプラズマ処理を施さない場合と同じ濃度が得られることを示している。
図11は、各種の被処理物20にプラズマ処理を施したときの、プラズマ処理された領域上に形成したインク層の表面粗さと、インク層の光沢度と、の評価結果を示す図である。
図11に示すように、被処理物20としてOHPシートを用いた場合には、被処理物20の表面に与えるプラズマエネルギー量が大きいほど、インク層の表面粗さが大きくなり、光沢度が低下した。
一方、被処理物20として、LumiArt(登録商標)を用いた場合、被処理物20の表面に与えるプラズマエネルギー量を未処理の状態から2.8J/cm2に増加させると、インク層の表面粗さが高くなり、光沢度が低下した。しかし、被処理物20として、LumiArt(登録商標)を用いた場合、プラズマエネルギー量を2.79J/cm2から6.97J/cm2に増加させても、表面粗さは大きくなったものの、光沢度は略同じであった。この光沢度は、LumiArt(登録商標)の表面の光沢度と略同じであることから、被処理物20の表面の光沢度を下限として、光沢度が飽和したためと考えられる。
このように、被処理物20へプラズマ処理を施すことにより、被処理物20上に形成したインクによるインク層の表面粗さが大きくなる(平滑性が低下する)。これは、親水性によるビヒクルの濡れ広がりよりも、酸性化による顔料の凝集性向上が支配的に作用し、レベリングが完了する前に顔料が凝集したため、インク層表面の表面粗さが高くなったものと考えられる。また、図11に示すように、インク層を目的とする表面粗さとするために必要なプラズマエネルギー量は、被処理物20の種類によっても異なる。
上記に説明したように、本発明者は、被処理物20の処理対象面側をプラズマ処理し、プラズマ処理した処理領域上にインクを吐出してインク層を形成することで、インク層の表面の凹凸(表面粗さ)を制御することができることを見出した。
また、本発明者は、被処理物20の種類や、インク量や、インク種別により、目的とする表面粗さのインク層を実現するために必要なプラズマエネルギー量が異なることも見出した。
すなわち、光沢度の評価結果(図11参照)に示したように、本発明者は、被処理物20の表面のプラズマエネルギー量を調整することで、インク層の表面粗さを調整することができることを見出した。また、本発明者は、インク層の表面の凹凸が、被処理物20の種類により異なることを見出した。この評価結果に示すように、インク層表面の凹凸は、プラズマエネルギー量が大きくなるほど、プラズマ処理した処理領域に吐出したインクによるインク層表面の表面粗さが高くなり(粗面化)、光の乱反射により光沢度が低くなった。このため、本発明者は、光沢度をあげてインク層の表面にグロス処理を施したい場合には、プラズマエネルギー量を少な目とすればよい(プラズマにより濡れ性は向上し、インク層は薄く広がった状態で乾燥)ことを見出した。また、本発明者は、プラズマエネルギー量を大きくするほど、プラズマ処理された領域の酸性化が強くなり、顔料の凝集速度が速くなり、粗面化が大きくなった状態で乾燥されることを見出した。このため、インク層表面にマット処理を施すことも可能であることも見出した。
そこで、本実施の形態の印刷システムでは、被処理物20の処理対象面側に形成されるインク層の表面を、目的とする表面粗さとするためのプラズマエネルギー量で、被処理物20の処理対象面側をプラズマ処理する。これにより、プラズマ処理された処理領域上に形成されたインク層を、目的とする表面粗さに調整する。
また、本実施の形態の印刷システムでは、被処理物20の種類や、インク量や、インク種別に応じた、目的とする表面粗さとするためのプラズマエネルギー量で、被処理物20の処理対象面側をプラズマ処理する。これにより、プラズマ処理された処理領域上に形成されたインク層を、目的とする表面粗さに調整する。
次に、本実施の形態に係る印刷システムを具体的に説明する。
図12は、本実施の形態にかかる印刷システムの概略構成を示す模式図である。図12に示すように、印刷システム1は、画像処理装置30と、印刷装置170と、を備える。画像処理装置30と印刷装置170とは、信号やデータ授受可能に接続されている。画像処理装置30と印刷装置170とは、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して接続されている。
画像処理装置30は、印刷装置170で用いる印刷データを生成する(詳細後述)。印刷装置170は、記録部171と、プラズマ処理部101と、制御部160と、を含む。記録部171は、インク滴をノズルから吐出することでインク層(すなわち、インクによる画像)を形成するインクジェット記録装置である。プラズマ処理部101は、上記プラズマ処理装置10と同様の機能を有する。印刷装置170は、図示を省略する搬送路に、被処理物20を順次搬送し、プラズマ処理、およびインクによるインク層(画像)の形成を行う。
なお、本実施の形態では、画像処理装置30と、印刷装置170と、を別体として構成した場合を説明する。しかし、印刷装置170に画像処理装置30を搭載し、一体的に構成してもよい。
つづいて、印刷装置170の概略構成を、図13〜図15に抜粋して示す。
なお、本実施の形態では、一例として、印刷装置170のインクジェット記録方式として、マルチパス方式を用いる場合を説明する。なお、印刷装置170によるインクジェット記録方式は、マルチパス方式に限定されず、例えば、シングルパス方式であってもよい。
図13は、印刷装置170のヘッド部173の概略構成を示す上視図である。図14は、ヘッド部173のスキャン方向(主走査方向、矢印X方向)に沿った概略構成を示す側視図である。図15は、ヘッド部173に搭載されたプラズマ処理部101の概略構成を示す模式図である。
図13および図14に示すように、印刷装置170は、制御部160と、記録部171と、プラズマ処理部101と、を含む。また、印刷装置170は、加熱乾燥部103と、検出部102と、を含む。検出部102と、加熱乾燥部103と、記録部171と、プラズマ処理部101と、は、制御部160に電気的に接続されている。
プラズマ処理部101と、検出部102と、加熱乾燥部103と、記録部171と、は、主走査方向(図13〜図15中、矢印X方向)に走査されるキャリッジ172に搭載されている。そして、ヘッド部173は、プラズマ処理部101と、検出部102と、加熱乾燥部103と、記録部171と、キャリッジ172と、を含む構成である。
キャリッジ172は、不図示の駆動機構によって、被処理物20の搬送方向(副走査方向、矢印Y方向)に対して直交する方向(スキャン方向または主走査方向という(矢印X方向参照))に往復移動する。記録部171は、キャリッジ172によってスキャン方向へ搬送されている最中にインク滴を吐出することで、被処理物20に対してインクによるインク層を形成する。
プラズマ処理部101は、複数の放電電極101a〜101d,101w〜101zを備える。放電電極101a〜101d,101w〜101zは、キャリッジ172によってスキャン方向へ搬送されている最中に放電することで、被処理物20の処理対象面側(被処理物20における、プラズマ処理部101との対向面側)にプラズマ処理を施す。
記録部171は、たとえば、複数の吐出ヘッド(たとえば5色×4ヘッド)を備えている。本実施の形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)の5色の吐出ヘッド(171Y、171M、171C、171K、171W)を有する場合を説明する。しかし、これらの吐出ヘッドに限定されない。すなわち、グリーン(G)、レッド(R)及びその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有してもよいし、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有していてもよい。ここで、以後の説明において、K、C、M、Y、Wは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトの各々に対応するものとする。
記録部171が吐出するインクのインク種は限定されない。例えば、顔料(例えば、約3wt%)と、界面活性剤少量と、スチレン・アクリル樹脂(例えば、粒径100nm〜300nm)(例えば、約5wt%)と、各種添加剤防腐剤、防かび剤、pH調整剤、染料溶解助剤、または酸化防止剤、導電率調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などと、を有機溶媒(例えば、エーテル系およびジオール系溶剤)(例えば、約50wt%)に分散させたものをインクとして用いる。
なお、スチレン・アクリル樹脂に代えて、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などの疎水性の樹脂を用いても良い。なお、何れの樹脂についても、分子量が比較的低く、エマルジョンを形成することが好ましい。
また、インクには、ノズルの目詰まりを有効に防止する成分として、グリコール類を添加することが好ましい。添加するグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等がある。また、他のチオジグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の単体及び混合物等が挙げられる。
有機溶媒の好ましい例としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等のグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、ピロリドン、N−メチルピロリドン、等が挙げられる。
また、インクの主成分は、水であってもよい。インクに、有機溶剤やモノマーやオリゴマーを使用しない場合、特別な部材でできたインクカートリッジや供給路を選定する必要が無いので、装置構成の簡略化を図ることができる。
インクに含まれるこれらの材料の混合比や含まれる成分の種類によって、インク種が定まる。
また、本実施の形態では、被処理物20として、予め定めた大きさ(例えば、A4、B4など)に切断されたカット紙を用いる場合を説明するが、これに限定されず、連続紙(ロール紙と称される場合もある)を用いてもよい。
なお、被処理物20の種類は、限定されないが、被処理物20としてコート紙のような非浸透性の記録媒体や、緩浸透性の記録媒体を用いる場合、本実施の形態はより効果を発し得る。
図13に示す例では、5色分の5つの吐出ヘッド(171Y、171M、171C、171K、171W)が主走査方向に沿って配列されている。各色の吐出ヘッドは、副走査方向(図13〜図15中、矢印Y方向参照)に配列された複数のノズル(図示省略)を備える。各ノズルは、画像データの各画素に対応するインク滴を吐出する。
本実施の形態では、各色の吐出ヘッドに設けられた複数のノズルは、副走査方向(矢印Y方向)に沿って4つのまとまり(以下、ノズルグループという)に分割されている。したがって、主走査方向の各列には、5色分のノズルグループが並んでいることとなる。その場合、図13に例示する記録部171は、(a)〜(d)のノズルグループを備えることとなる。また、以下の説明において、各ノズルグループ(a)〜(d)が一度のスキャンで印字する帯状の領域またはこの帯状の領域に印刷された画像を、バンドという。
各ノズルグループ(a)〜(d)におけるノズルは、高解像度(たとえば1200dpi)の高速画像形成を達成するために、間隔を補正するようにずらして固定されている。また、記録部171は、例えば、各ノズルから吐出されるインクのドット(液滴)が大/中/小滴と呼ばれる3種類の容量に対応するように、複数種類の駆動周波数に対応している。この駆動周波数は、制御部160に接続された不図示の駆動回路から記録部171へ入力される。
プラズマ処理部101に設けられた複数の放電電極101a〜101d,101w〜101zは、たとえば、記録部171をスキャン方向に両側から挟むように、記録部171の両サイドに搭載されている。図13および図14において、記録部171に対して一方の側に配置された放電電極を放電電極101a〜101d(これらを放電電極101Aとする)とし、これらと反対側に配置された放電電極を放電電極101w〜101z(これらを放電電極101Zとする)とする。
個々の放電電極101a〜101d,101w〜101zの電極長さは、例えば、記録部171における各ノズルグループ(a)〜(d)の副走査方向に沿った長さ(以下、バンド幅という)に一致している。たとえば4スキャンのマルチスキャンヘッドの場合、バンド幅は、記録部171全体の副走査方向に沿った長さの1/4になる。その場合、各放電電極101a〜101d,101w〜101zの副走査方向に沿った長さも、バンド幅と同様、記録部171全体の長さの1/4に設定される。
なお、個々の放電電極101a〜101d,101w〜101zの電極長さは、各ノズルの副走査方向に沿った長さであってもよく、バンド幅に一致する形態に限定されない。
このような放電電極101a〜101d,101w〜101zを備えるプラズマ処理部101は、図15に示すように、放電電極101a〜101d,101w〜101zそれぞれに設けられた高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105z(ただし、高周波高圧電源105w〜105zは図示省略)と、放電電極101a〜101d,101w〜101zの移動領域全体に対して対向配置された誘電体107およびカウンタ電極104と、高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを制御する制御部160とを備える。誘電体107は、たとえば放電電極101a〜101d,101w〜101zとカウンタ電極104との間であってたとえばカウンタ電極104側に設けられている。ただし、これに限定されず、誘電体107が放電電極101a〜101d,101w〜101z側に設けられてもよい。その場合、誘電体107は、放電電極101a〜101d,101w〜101zの配置に応じて複数のピースに分断されていてもよい。
図15に示す誘電体107およびカウンタ電極104は、たとえば放電電極101a〜101d,101w〜101zの移動範囲全体を覆うサイズを有しているとよい。放電電極101a〜101d,101w〜101zとカウンタ電極104との間には、被処理物20が通過するためのギャップが設けられている。このギャップの距離は、通過する被処理物20が放電電極101a〜101d,101w〜101zに接触する距離であってもよいし、接触しない距離であってもよい。
高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zは、制御部160の制御に従い、放電電極101a〜101d,105w〜105zとカウンタ電極104の間に電圧約10KV(p−p)、周波数約20KHzのパルス電圧を供給することで、被処理物20の搬送経路上に大気圧非平衡プラズマを発生させる。この際のプラズマエネルギー量は、たとえば各放電電極101a〜101d,101w〜101zへ供給した高周波・高電圧パルスの電圧値および印加時間と、その際に被処理物20に流れた電流とから求めることができる。
制御部160は、高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを個別にオン/オフすることが可能である。たとえば制御部160は、上位装置から入力された印刷速度情報に比例した数の高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを選択的に駆動することで、被処理物20に対するプラズマエネルギー量やプラズマ処理する領域を調節してもよい。
また、被処理物20上の各処理領域によって必要なプラズマエネルギー量が異なる場合には、制御部160は、被処理物20の種類に応じた数の高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zを選択的に駆動することで、プラズマエネルギー量を調節してもよい。また、ヘッド部173による走査位置と、各高周波高圧電源105a〜105d,105w〜105zのオンオフ制御と、を組み合わせることで、被処理物20上の特定の領域に選択的に目的とする所望のプラズマエネルギー量のプラズマを発生させてもよい。
図13に示す例では、各ノズルグループ(a)〜(d)と各放電電極101a〜101dまたは101w〜101zとが一対一で対応している。すなわち、あるノズルグループ(たとえばノズルグループ(a))が印字対象領域とするバンドに対しては、これに対応づけられた放電電極(たとえば101aまたは101w)がプラズマ処理を行うように構成されている。その場合、プラズマ処理と印字処理とを一度のスキャンで実行することで、効率的な印刷処理を実行することができる。
また、ノズルグループを更に細かく分割し、ノズルグループ毎に放電電極を対応づけて配置してもよい。また、副走査方向(矢印Y方向)に配列されたノズルごとに、ノズル幅(ノズルの副走査方向(矢印Y方向)における幅)に応じた幅(矢印Y方向の長さ)の放電電極を配置させた構成としてもよい。このような構成とすることで、プラズマ処理部101でプラズマ処理する領域を、更に細分化し、所望の領域ごとに任意のプラズマエネルギー量でプラズマ処理することが可能となる。
また、主走査方向に配列された複数のノズルを有する記録部171による画像形成方法としては、オーバーラップ記録方式を採用することができる。オーバーラップ記録方式とは、同一の主走査ラインに対して異なるノズルを用いて複数回印字することで、1つの主走査ラインの画像を完成させる記録方式である。また、同じく記録部171を用いた画像形成方法としては、複数のパスに対応したノズルで主走査方向の走査(スキャン)を繰り返すことにより画像を形成するマルチパス方式も合わせて採用することもできる。
ここで、マルチパス方式の画像形成方法について説明する。図16は、マルチパス方式で5スキャン分印刷した際の印刷状態を示す上視図であり、図17は、図16に示す印刷状態の断面構造を示す側視図である。なお、図16および図17に示す印刷状態では、説明を分かりやすくするために、副走査方向のパス数を4としている。
記録部171のノズルグループ(図示せず)は、例えば、4つの第1パス列〜第4パス列(ノズルグループ(a)〜(d))に分割されており、各パス列に配置された複数のノズルで対応するパスの印刷が行われる。1回のスキャンで形成される印刷領域は、バンド幅BWを有する帯状のバンドとなる。第1スキャン〜第3スキャンまでは、副走査方向における印刷開始位置に合わせて第1パス列に対応するノズルグループから順に駆動が開始される。第4スキャン以降、第N−3スキャン(第Nスキャンは最終スキャンに相当)までは、1回のスキャンで4つ全てのパス列が印刷される。したがって、第4スキャン〜第N−3スキャンでは、1回のスキャンで4つのパスの印刷が行われる。第N−2スキャン〜第Nスキャンでは、第1スキャン〜第3スキャンまでとは逆に、副走査方向における印刷終了位置に合わせて第1パス列に対応するノズルグループから順に駆動が終了する。4回のスキャンが終了したバンドには、完成画像が形成されている。
具体的には、図16および図17に例示するように、第1スキャンが完了すると、副走査方向における印刷開始位置に相当するバンド201に、第1スキャンによる画像(1)が形成される。次に、記録部171または被処理物20の副走査方向への移動により、記録部171のスキャン位置が被処理物20に対してバンド幅BWだけ副走査方向へ移動し、画像(2)が第2スキャンによってバンド201および202に形成される。以降、スキャン毎に記録部171のスキャン位置が被処理物20に対してバンド幅BWだけ副走査方向へ移動し、画像(3)以降の画像が各バンドに重ねられてゆく。そして、4回のスキャンによって4つの画像が重ねられることで、そのバンドの画像が完成する。たとえば図16および図17に示すように第5スキャンまでを完了した状態では、バンド201および202の画像が完成している。
図13および図14に戻り、加熱乾燥部103は、記録部171によって吐出されたインクを乾燥させる。本実施の形態では、加熱乾燥部103は、熱を加える加熱装置である場合を説明する。しかし、加熱乾燥部103は、インク層を乾燥または硬化させる装置であればよく、インクの種類によって適宜調整すればよい。
なお、本実施の形態では、加熱乾燥部103は、記録部171および検出部102を、主走査方向(矢印X方向)の両側から挟むように配置されている。加熱乾燥部103は、記録部171のプラズマ処理部101A側に設けられた加熱乾燥部103Zと、記録部171のプラズマ処理部101Z側に設けられた加熱乾燥部103Aと、を含む。
また、検出部102は、プラズマ処理部101によってプラズマ処理された後のプラズマ処理状態を検出する。検出部102には、例えば、固体用の公知のpH測定器を用いる。なお、検出部102は、プラズマ処理状態を検出可能な公知の測定器を用いればよく、pH測定器に限定されない。また、ヘッド部173は、検出部102を備えない構成であってもよい。本実施の形態では、検出部102は、記録部171、検出部102、およびプラズマ処理部101を、スキャン方向(矢印X方向)の両側から挟むように配置されている。
このため、ヘッド部173が主走査方向(矢印X方向)の一方(例えば、矢印XA方向、図14参照)に走査されることで、プラズマ処理部101Aによってプラズマ処理された領域が、検出部102Aによって検出され、記録部171によってインク滴が吐出される。また、ヘッド部173が主走査方向(矢印X方向)の他方(例えば、矢印XB方向、図14参照)に走査されることで、プラズマ処理部101Zによってプラズマ処理された領域が、検出部102Zによって検出され、記録部171によってインク滴が吐出される。
また、制御部160は、複数のインク層を重ねて形成する場合、1層分のインク滴の吐出と加熱乾燥部103による加熱と、の一連の走査を、インク層の積層数分繰り返すように、ヘッド部173(記録部171、プラズマ処理部101、加熱乾燥部103)を制御すればよい。
また、このとき、制御部160は、各色の吐出ヘッド(171Y、171M、171C、171K、171W)によるインク吐出領域を変えて印字するように制御してもよい。例えば、被処理物20上に、白インクによる白色インク層と、カラーインク(CMYK)によるカラーインク層と、をこの順に積層した印刷物を得るとする。
この場合、制御部160は、白色インクを吐出する吐出ヘッド171Wの、副走査方向(矢印Y方向)の上流側のノズルグループ(a)〜(b)から白色のインク滴を吐出し、カラーインクを吐出する吐出ヘッド(171Y、171M、171C、171K)の、副走査方向(矢印Y方向)の下流側のノズルグループ(c)〜(d)からCMYKのインク滴の各々を吐出するように制御する。このとき、制御部160は、ヘッド部173の主走査方向への駆動についても制御する。これにより、白色のインク層上に、カラーのインク層が積層された状態となる。
一方、被処理物20上に、カラーインク層、白色インク層、をこの順に積層した印刷物を得るとする。
この場合、制御部160は、白色インクを吐出する吐出ヘッド171Wの、副走査方向(矢印Y方向)の下流側のノズルグループ(c)〜(d)から白色のインク滴を吐出し、カラーインクを吐出する吐出ヘッド(171Y、171M、171C、171K)の、副走査方向(矢印Y方向)の上流側のノズルグループ(a)〜(b)からCMYKのインク滴の各々を吐出するように制御する。このとき、制御部160は、ヘッド部173の主走査方向への駆動や、被処理物20の副走査方向へのバンド幅ごとの搬送についても制御する。これにより、カラーインク層上に、白色インク層が積層された状態となる。
また、被処理物20上に、カラーインク層、白色インク層、カラーインク層、をこの順に積層した印刷物を得るとする。
この場合、制御部160は、各色の記録ヘッド171のノズルを、副走査方向(矢印Y方向)に3分割したノズルグループごとに、主走査方向(矢印X方向)への走査ごとにインクを吐出するノズルグループを色ごとに制御することで、この3層のインク層による印刷物を得ることができる。
ここで、被処理物20上にインク層を形成することで印刷物を得る方法には、複数の印刷方法がある。
図18は、印刷方法の種類の説明図である。
図18に示すように、印刷方法には、例えば、通常印刷、アンダーレイ印刷、オーバーレイ印刷、3層レイヤ印刷、白インク印刷などがある。
例えば、被処理物20として透明な媒体を用いたとする。
図18(A)は、通常印刷の説明図である。図18(B)は、アンダーレイ印刷の説明図である。図18(C)は、オーバーレイ印刷の説明図である。図18(D)は、3層レイヤ印刷の説明図である。図18(E)は、白インク印刷の説明図である。
図18(A)に示すように、通常印刷は、被処理物20上にカラーインクによるカラーインク層22を形成する方法である。図18(B)に示すように、アンダーレイ印刷は、被処理物20として透明な媒体を用い、被処理物20上に、白インクによる白インク層24、カラーインクによるカラーインク層22をこの順に積層させる印刷方法である。
図18(C)に示すように、オーバーレイ印刷は、透明な被処理物20上に、ミラーリング処理(対象処理)した有色画像によるカラーインク層22を形成し、更に、白インクによる白インク層24を形成する印刷方法である。オーバーレイ印刷は、透明な被処理物20側からカラーインク層22を視認させる印刷方法であり、透明な被処理物20によって、表光沢性を付与しつつ、カラーインク層22を保護する。
図18(D)に示すように、3層レイヤ印刷は、透明な被処理物20上に、カラーインク層22、白インク層24、カラーインク層22をこの順に積層させる印刷方法である。3層レイヤ印刷は、透明な部材に印刷物を貼り付けて用いる場合などに利用され、被処理物20の表裏双方から視認されることを想定した印刷方法である。
図18(E)に示すように、白インク印刷は、被処理物20上に、白インクによる白インク層24を形成する印刷方法である。
ここで、従来、被処理物20上に形成されたインク層の特定の領域を、他の領域とは異なる表面粗さとすることで、光沢度を高めたグロス仕上げや、つや消し効果の得られるマット仕上げなどを施したい場合があった。しかし、従来では、インク層の表面における特定の領域の表面粗さを調整したり、インク層の表面を異なる複数種類の表面粗さに調整するためには、別途、透明なトナーなどを付与する必要があり、容易に調整することはできなかった。
また、透明な被処理物20にインク層を形成した印刷物について、一方の面側に光源を配置して、他方の面側から印刷物を視認させる場合がある。例えば、印刷物を、電飾看板に用いる場合などである。印刷物を電飾看板に用いた場合、被処理物20上に吐出されたインクの吐出ムラが光によって強調され、濃度ムラとして視認される場合があった。
このような場合、例えば、白色インク層などのインク層の表面を、光散乱を生じさせる表面粗さに調整することで、視認される濃度ムラを抑制する必要があった。
そこで、本実施の形態の印刷装置170は、被処理物20の処理対象面側における、インク層の表面粗さの調整対象領域に対応する処理領域を、該処理領域上に形成されるインク層表面を設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。
また、画像処理装置30では、インク層表面における、表面粗さの調整対象領域と、調整対象領域の表面粗さと、を設定した設定情報を含む印刷データを生成する。印刷装置170では、印刷データに含まれる設定情報に応じて、設定情報に含まれる表面粗さを実現させるために、プラズマエネルギー量を調整する。
まず、画像処理装置30について説明する。
図19は、画像処理装置30のブロック図である。
画像処理装置30は、制御部32と、入力部34と、表示部36と、記憶部38と、を備える。制御部32と、入力部34と、表示部36と、記憶部38とは、データ授受可能に接続されている。入力部34は、ユーザによる操作指示を受け付ける。入力部34は、例えば、キーボード、マウス、マイクなどである。表示部36は、各種画像を表示する公知の表示装置である。入力部34と表示部36とを一体的に構成したタッチパネルとしてもよい。記憶部38は、各種データを記憶する。
制御部32は、画像処理装置30全体を制御する。制御部32は、通信部32Aと、受付部32Bと、生成部32Cと、を含む。通信部32A、受付部32B、および生成部32Cの一部またはすべては、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
通信部32Aは、図示を省略する外部装置や、印刷装置170と通信を行う。受付部32Bは、インクにより形成する画像の画像データを外部装置などから受け付ける。
また、受付部32Bは、入力部34から設定情報の入力を受け付ける。設定情報は、被処理物20の処理対象面側に形成されるインク層表面における、表面粗さの調整対象領域と、調整対象領域の表面粗さと、を含むデータである。
本実施の形態では、設定情報は、調整対象領域の表面粗さの強度を、該調整対象領域の表面粗さとして含む場合を説明する。また、一例として、設定情報に示される、調整対象領域の表面粗さの強度は、「強度大」、「標準強度」、「強度小」の3通りである場合を説明する。なお、表面粗さの強度は、この3通りに限定されず、表面粗さの強度を更に細分化して示した、4通り以上であってもよい。また、設定情報は、調整対象領域の表面粗さの値を含む形態であってもよい。
例えば、受付部32Bは、表面粗さの調整対象領域と、表面粗さの強度と、を入力するための入力画面を表示部36に表示する。
図20は、入力画面25の一例を示す図である。例えば、受付部32Bは、入力画面25に、受け付けた画像データの画像27を表示すると共に、調整対象領域および表面粗さの強度の入力を促す文字情報などを表示する。ユーザは、入力部34を操作しながら、画像27(インク層)における、表面粗さの調整対象領域Pを設定する。ユーザは、1または複数の調整対象領域Pを設定することが可能である。
例えば、ユーザが、入力部34を操作することで、表面粗さの調整対象領域P1〜P3を設定したとする。そして、ユーザは、各調整対象領域P1〜P3について、目的とする表面粗さを入力する。本実施の形態では、一例として、上述したように、各調整対象領域P1〜P3の各々に表面粗さの強度(「強度大」、「標準強度」、「強度小」)を設定することで、表面粗さの強度を入力する場合を説明する。
本実施の形態では、表面粗さの強度は、後述する基準エネルギーに対する表面粗さの強度の割合を示す。図20に示す例では、ユーザが、調整対象領域P1、調整対象領域P2、調整対象領域P3、のこの順に、高い(強い)表面粗さを設定したことを示す(P1<P2<P3)。
なお、ユーザは、表面粗さの強度に代えて、目的とする表面粗さの値を入力部34により入力してもよい。また、ユーザは、入力部34の操作指示により、調整対象領域Pの位置、範囲、形状を、任意に設定することができる。また、ユーザは、複数の調整対象領域の各々について、異なる表面粗さの強度を設定することも可能である。
図19に戻り、受付部32Bは、入力部34から、ユーザによって設定された表面粗さの調整対象領域、調整対象領域の表面粗さ(本実施の形態では表面粗さの強度)を含む設定情報を受け付ける。例えば、受付部32Bは、ユーザによって設定された表面粗さの調整対象領域を、調整対象領域を示すオブジェクト単位で示し、調整対象領域の表面粗さの強度を画素値(例えば、濃度値)で示した、設定情報を受け付ける。
生成部32Cは、設定情報と、画像データと、を含む印刷データを生成する。
詳細には、生成部32Cは、受付部32Bで受け付けた画像データを、印刷装置170で処理可能なデータ形式に変換する。例えば、生成部32Cは、受け付けた画像データについて、ベクターデータをラスターデータに変換する変換処理や、CMYKWへの色変換処理、ガンマ補正処理などを施すことで、印刷装置170で処理可能なデータ形式に変換する。
また、生成部32Cは、受付部32Bが受け付けた設定情報に設定された各調整対象領域の表面粗さ(本実施の形態では表面粗さの強度)を、画素を単位として設定した設定情報に変換する。すなわち、ベクター形式により示される調整対象領域を構成する各画素の画素値として、設定された表面粗さ(本実施の形態では表面粗さの強度)を示す画素値を設定することで、ラスター形式の設定情報を生成する。なお、ラスター形式の設定情報の各画素位置は、ラスター形式の画像データの各画素位置に対応する。
そして、生成部32Cは、ラスター形式に変換した画像データと、ラスター形式に変換した設定情報と、を含む印刷データを生成する。通信部32Aは、生成された印刷データを、印刷装置170へ出力する。なお、データ形式は、これらの形式に限定されない。
図21は、印刷装置170の機能ブロック図である。
印刷装置170は、制御部160と、記憶部162と、プラズマ処理部101と、記録部171と、検出部102と、加熱乾燥部103と、を備える。制御部160と、記憶部162、プラズマ処理部101、記録部171、検出部102、および加熱乾燥部103と、は、データや信号授受可能に接続されている。上述したように、プラズマ処理部101と、記録部171と、検出部102と、加熱乾燥部103と、が、ヘッド部173を構成する。記憶部162は、各種データを記憶する。
制御部160は、CPUなどを含んで構成されるコンピュータであり、印刷装置170全体を制御する。なお、制御部160は、CPU以外の回路などで構成してもよい。
制御部160は、通信部160Aと、取得部160Bと、算出部160Cと、プラズマ制御部160Dと、記録制御部160Eと、を含む。通信部160A、取得部160B、算出部160C、プラズマ制御部160D、および記録制御部160Eの一部またはすべては、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、ICなどのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
通信部160Aは、画像処理装置30や図示を省略する外部装置などと通信する。本実施の形態では、通信部160Aは、画像処理装置30から印刷データを受信する。
取得部160Bは、受信した印刷データに含まれる設定情報を取得する。すなわち、取得部160Bは、インクによるインク層表面における、表面粗さの調整対象領域と、調整対象領域の表面粗さ(表面粗さの強度)と、を設定した設定情報を取得する。なお、複数の調整対象領域が設定されている場合、取得部160Bは、インク層表面における、複数の調整対象領域と、複数の調整対象領域の各々の表面粗さと、の各々を設定した設定情報を取得することとなる。
算出部160Cは、被処理物20の処理対象面側における、設定情報に設定された調整対象領域に対応する処理領域上に形成されるインク層表面を、設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量を算出する。
本実施の形態では、算出部160Cは、被処理物20の処理対象面側の表面(すなわち、被処理物20自体の表面)に与えるプラズマエネルギー量を算出する場合を説明する。以下、被処理物20の処理対象面側の表面を、単に、被処理物20の表面と称して説明する場合がある。
例えば、予め記憶部162に、インク層表面の表面粗さと、該表面粗さを実現するために被処理物20の表面に与えるプラズマエネルギー量と、を対応づけて記憶部162に記憶する。そして、算出部160Cは、設定情報に設定された調整対象領域の表面粗さに対応するプラズマエネルギー量を、記憶部162から読取ることで、プラズマエネルギー量を算出する。
なお、算出部160Cは、被処理物20の種類、被処理物20の表面の処理領域上に付与されるインク量、および、処理領域上に付与されるインク種の少なくとも1つに応じて、調整対象領域に対応する処理領域に与えるプラズマエネルギー量を算出することが好ましい。
本実施の形態では、一例として、算出部160Cが、被処理物20の種類(以下、紙種と称する)、処理領域上に付与されるインク量、および、処理領域上に付与されるインク種に応じて、被処理物20の表面における調整対象領域に対応する処理領域に与えるプラズマのプラズマエネルギー量を、算出する場合を説明する。
例えば、制御部160は、第1テーブルと、第2テーブルと、を予め記憶部162に記憶する。
第1テーブルは、解像度と液滴量との関係を示すテーブルである。図22は、第1テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図22に示すように、第1テーブルは、記録する画像の解像度ごとに、ノズルから吐出する液滴量である小滴、中滴、大滴、の各々に対応する液滴量(pl)を対応づけたテーブルである。
記録制御部160Eは、画像データの各画素の画素値に応じた液滴量を算出する。そして、記録制御部160Eは、算出した液滴量のインク滴を対応するノズルから吐出するように、記録部171を制御する。これにより、記録制御部160Eは、解像度、および画像データに示される各画素位置の濃度に応じた液滴量のインク滴を、各画素位置の画素に対応する走査位置で、対応するノズルから吐出するように記録部171を制御する。
このため、被処理物20上の各画素に対応する領域に吐出されるインク量は、印刷時の画像の解像度と、画像データに規定された各画素の画素値によって定まることとなる。
記憶部162は、インク種の各々に対応する第2テーブルを予め記憶する。第2テーブルは、インク種と紙種とに対応する基準エネルギー量を対応づけたデータである。基準エネルギー量は、予め定めた基準表面粗さを実現するために、被処理物20表面に与えるプラズマエネルギー量である。基準表面粗さは、インク層の表面粗さであって、かつ、予め定めた基準となる表面粗さである。基準表面粗さは、任意の表面粗さを設定すればよい。
すなわち、第2テーブルに登録されている各基準エネルギー量は、インク種と、インク量、紙種と、に対応する基準エネルギー量である。
図23は、第2テーブルのデータ構造の一例を示す図である。なお、図23には、ある1種類のインク種に対応する、第2テーブル(インク量と紙種とに対応する基準エネルギー量の対応関係)を示した。実際には、記憶部162は、複数種類のインク種の各々ごとに、第2テーブル(インク量と紙種とに対応する基準エネルギー量を登録したテーブル)を予め記憶する。
なお、ユーザは、予め複数種類の紙種と、複数種類のインク種と、複数種類のインク量と、を用いて、インク層の表面を基準表面粗さとするために被処理物20の表面に加えるべきプラズマエネルギー量(基準エネルギー量)を、印刷装置170を用いて予め測定すればよい。そして、制御部160は、測定された各条件に対応するプラズマエネルギー量を、測定条件(紙種、インク種、インク量)に対応する基準エネルギーとして、各インク種に対応する第2テーブルに予め登録すればよい。
算出部160Cは、印刷データ、第1テーブル、使用するインク種に対応する第2テーブルを用いて、調整対象領域に対応する処理領域に与えるプラズマエネルギー量を算出する。
まず、算出部160Cは、通信部160Aで受け付けた印刷データに含まれる画像データの各画素の内、取得部160Bで取得した設定情報に設定された調整対象領域と重なる画素位置の画素を抽出する。そして、算出部160Cは、抽出した各画素の画素値から、各画素に対応するインク滴の吐出量(大滴、中滴、小滴)を判別する。具体的には、算出部160Cは、抽出した各画素の画素値について、予め定めた第1閾値未満である場合に小滴、第1閾値以上で且つ第1閾値より大きい第2閾値未満である場合に中滴、第2閾値以上である場合に大滴であると判別する。
そして、算出部160Cは、印刷時の解像度を取得する。解像度は、印刷データに解像度を含む形態とし、印刷データから読取ることで取得すればよい。なお、算出部160Cは、印刷装置170に設けられた図示を省略する入力部から、ユーザによって指定された印刷時の解像度を取得してもよい。
そして、算出部160Cは、解像度と、画像データにおける調整対象領域と重なる各画素位置の画素の吐出量(大滴、中滴、小滴)と、に対応する液滴量を、第1テーブル(図22参照)から読取る。
そして、算出部160Cは、被処理物20の表面における、調整対象領域に対応する処理領域上に付与されるインク量を算出する。例えば、算出部160Cは、画像データの画像における、設定情報に設定された調整対象領域と重なる画素位置ごとに、各画素位置に付与される液滴量の厚み方向(インク層の積層方向)の加算値を、処理領域の各画素位置に付与されるインク量として算出する。これによって、算出部160Cは、被処理物20の表面における、調整対象領域に対応する処理領域上に付与されるインク量を算出する。
次に、算出部160Cは、印刷時に用いるインク種を読取る。算出部160Cは、例えば、記録部171に設けられた図示を省略するセンサから、インク種を示す信号を受信することでインク種を読取る。また、算出部160Cは、例えば、印刷装置170に設けられた図示を省略する入力部からインク種を取得してもよい。例えば、ユーザは、図示を省略する入力部を操作することで、印刷に用いるインク種を入力する。算出部160Cは、入力部からインク種を受け付けることで、インク種を取得すればよい。また、算出部160Cは、印刷データから、インク種を読取っても良い。この場合、印刷データは、インク種を含む形態とすればよい。
また、算出部160Cは、印刷に用いる被処理物20の種類(紙種)を読取る。例えば、印刷データを、紙種を示す情報を含む構成とし、算出部160Cは、印刷データから紙種を読取る。この場合、画像処理装置30では、例えばユーザによる入力部34の操作によって、印刷対象の紙種を含む印刷データを生成すればよい。また、算出部160Cは、印刷装置170に設けられた図示を省略する被処理物20を貯留した貯留部に設けられたセンサ(図示省略)から、紙種を示す信号を受け付けても良い。そして、算出部160Cは、このセンサから受け付けた紙種を示す信号を読取ることで、紙種を取得してもよい。
次に、算出部160Cは、画素位置ごとに、取得したインク種に対応する第2テーブル(図23参照)における、取得した紙種と算出したインク量に対応する、基準エネルギー量を読取る。これによって、算出部160Cは、被処理物20の表面における、調整対象領域に対応する処理領域に与える基準エネルギー量を算出する。
次に、算出部160Cは、設定情報に示される、調整対象領域に応じた表面粗さの強度を示す情報を読取る。例えば、表面粗さの強度「強度小」は、基準エネルギーの50%(1/2倍)を示し、「標準強度」は、基準エネルギーであることを示し(すなわち100%(1倍))、「強度大」は、基準エネルギーの150%(1.5倍)であることを示す。なお、これらの値は任意であり、適宜設定可能であり、かつ、ユーザによる操作指示によって適宜変更可能である。
そして、算出部160Cは、処理対象領域(すなわち、処理対象領域を構成する画素の画素位置)ごとに算出した基準エネルギー量に、対応する調整対象領域に設定された表面粗さの強度に応じた値(50%(1/2倍)、100%(1倍)、150%(1.5倍))を乗算した乗算値を、処理領域の各画素位置に付与するプラズマエネルギー量として算出する。
このため、例えば、表面粗さの強度「強度小」の設定された調整対象領域に対応する処理領域には、算出された基準エネルギー量の1/2倍のプラズマエネルギー量が設定される。また、例えば、表面粗さの強度「標準強度」の設定された調整対象領域に対応する処理領域には、算出された基準エネルギー量のプラズマエネルギー量が設定される。また、例えば、表面粗さの強度「強度大」の設定された調整対象領域に対応する処理領域には、算出された基準エネルギー量の2倍のプラズマエネルギー量が設定される。
このようにして、算出部160Cは、被処理物20の表面における、設定情報に示される調整対象領域に対応する処理領域上に形成されるインク層表面を、設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量を、調整対象領域ごと(処理領域ごと)に算出する。
プラズマ制御部160Dは、被処理物20の表面における、設定情報によって設定されたインク層の調整対象領域に対応する処理領域を、算出部160Cで算出された対応するプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。
本実施の形態では、プラズマ制御部160Dは、被処理物20の表面における、インク層の調整対象領域に対応する処理領域を、算出部160Cで算出された対応するプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する場合を説明する。
プラズマエネルギー量は、上述したように、調整対象のインク層に含まれる顔料を、設定情報に設定された表面粗さが得られるように凝集させるためのプラズマのエネルギー量である。
プラズマ制御部160Dは、調整対象領域に対応する処理領域ごとに算出されたプラズマエネルギー量で、対応する処理領域をプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。例えば、プラズマ制御部160Dは、プラズマ処理部101に設けられた、複数の放電電極101a〜101d,101w〜101zの内の電圧を印加する放電電極の選択や、放電電極に印加する電圧の電圧値、電圧印加時間、キャリッジ172の副走査方向への速度、被処理物20の主走査方向への搬送タイミング、などを組み合わせて制御することで、被処理物20の表面における、調整対象領域に対応する処理領域に、算出した対応するプラズマエネルギー量のプラズマ処理を行うように、制御する。
また、プラズマ制御部160Dは、設定情報に複数の調整対象領域が含まれる場合、複数の調整対象領域の各々に対応する被処理物20上の処理領域の各々を、処理領域の各々上に形成されるインク層の表面を設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量でプラズマ処理する。
このため、プラズマ処理された処理領域上に形成されたインクによるインク層表面を、目的とする表面粗さに調整することができる。
次に、印刷装置170が実行する印刷処理の手順を説明する。図24は、印刷装置170が実行する印刷処理の手順を示すフローチャートである。
まず、通信部160Aが、印刷データを画像処理装置30から受信する(ステップS100)。次に、通信部160Aは、受信した印刷データを、記憶部162に記憶する(ステップS102)。
次に、取得部160Bが、印刷データから、設定情報と、画像データと、を取得する(ステップS104)。
次に、算出部160Cが、印刷時に用いる紙種(被処理物20の種類)を取得する(ステップS106)。また、算出部160Cは、印刷時に用いるインク種を取得する(ステップS108)。
次に、算出部160Cは、記憶部162に記憶されている第1テーブル(図22参照)と、取得したインク種に対応する第2テーブル(図23参照)を読取る(ステップS110)。
次に算出部160Cが、ステップS104で取得した画像データと、設定情報と、ステップS110で読取った第1テーブルと、を用いて、被処理物20の表面における、調整対象領域に対応する処理領域上に付与されるインク量を算出する(ステップS112)。
次に、算出部160Cは、ステップS108で取得したインク種に対応する第2テーブル(図23参照)における、ステップS106で取得した紙種と、ステップS112で算出したインク量に対応する、基準エネルギー量を読取る。この処理により、算出部160Cは、各調整対象領域に対応する処理領域に付与する基準エネルギー量を算出する(ステップS114)。
次に、算出部160Cは、設定情報に示される、調整対象領域に応じた表面粗さの強度を示す情報を読取る(ステップS116)。次に、算出部160Cは、調整対象領域に対応する処理領域上に形成されるインク層表面を、設定情報に設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量を、処理領域ごとに算出する(ステップS118)。具体的には、算出部160Cは、上述したように、ステップS114で算出した処理領域ごとの基準エネルギー量の各々に、設定情報に示される、対応する調整対象領域に設定された表面粗さの強度を示す値(上述した、「強度大」に対応する1.5倍、「標準強度」に対応する1倍、「強度小」に対応する0.5倍)を乗算した乗算値を、処理領域に付与するプラズマエネルギー量として算出する。
次に、プラズマ制御部160Dが、ステップS118で算出されたプラズマエネルギー量で、被処理物20の処理対象面側の対応する処理領域の各々をプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する(ステップS120)。
そして、記録制御部160Eが、画像データによって示される各画素の濃度値に応じたインク滴を対応する位置に吐出するように、記録部171を制御する(ステップS122)。
ステップS120〜ステップS122の処理時には、制御部160は、ヘッド部173の走査および被処理物20の搬送を制御する。
そして、制御部160は、印刷データに含まれる画像データの画像の形成が終了するまで(ステップS124:Yes)、ステップS120〜ステップS122の処理を繰り返し実行する(ステップS124:No)。そして、ステップS124で肯定判断すると(ステップS124:Yes)、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の印刷装置170は、プラズマ処理部101と、記録部171と、取得部160Bと、プラズマ制御部160Dと、を備える。プラズマ処理部101は、被処理物20の処理対象面側をプラズマ処理する。記録部171は、インクを吐出する。取得部160Bは、インクによるインク層表面における、表面粗さの調整対象領域と、調整対象領域の表面粗さと、を設定した設定情報を取得する。プラズマ制御部160Dは、被処理物20の処理対象面側における調整対象領域に対応する処理領域を、処理領域上に形成されるインク層表面を設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。
このため、本実施の形態の印刷装置170は、被処理物20上に形成されたインク層表面の表面粗さを、目的とする表面粗さに容易に調整することができる。
また、印刷装置170は、インク層表面の表面粗さを、目的とする表面粗さに容易に調整することができるので、インク層の表面の任意の領域の表面粗さの調整や、白色インク層の光沢度などを、容易に調整することができる。
すなわち、インク層の表面が粗くなるほど、光が乱反射する。このため、インク層の表面における、ユーザ所望の調整対象領域に、つや消し効果などのマット仕上げを施すことができる。また、プラズマエネルギー量を調整することで、インク層の表面における、ユーザ所望の調整対象領域に、光沢度を高めたグロス仕上げを施すことも可能である。
また、透明な被処理物20を用い、印刷物を、インク層の形成された面の対向面側から光を照射する電飾看板などに適用する場合、印刷物のインク層は、透明な被処理物20を介して視認されることとなる。このため、プラズマエネルギー量を調整して、インク層の表面の表面粗さを調整することにより、印刷物を透過する透過光量を調整することができる。このため、透過光量の調整によるグラデーションの表現も可能となる。すなわち、バックライトの透過光を乱反射させることで、透過光量を調整し、グラデーションを調整することができる。特に、白色インク層の表面の表面粗さを調整することにより、よりグラデーションを付けやすくなる。
また、電飾看板などに適用する場合に問題となる事の多い、インク(特に白色インク)の吐出ムラが光によって強調されることで視認される濃度ムラを、白色インク層の表面粗さを粗く(高く)することによる光散乱の効果により、抑制することができる。
また、本実施の形態の印刷装置170では、プラズマ処理により被処理物20自体の表面粗さを調整するのではなく、被処理物20にプラズマ処理を施すことで、被処理物20上に形成するインク層の表面の表面粗さを調整する。このため、プラズマ処理により被処理物20の表面の平滑性に変化がみられない場合であっても、プラズマ処理によりインクの凝集性を向上させることで、インク層の表面粗さを容易に調整することができる。
なお、ヘッド部173の走査時に、プラズマ処理部101によってプラズマ処理された処理領域をプラズマ処理部101で検出し、検出結果を制御部160へ出力してもよい。そして、制御部160では、目的とするプラズマ処理結果が得られるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー量を補正してもよい。
また、本実施の形態では、第2テーブルには、基準エネルギー量を登録する場合を説明した(図23参照)。しかし、基準エネルギー量に代えて、該基準エネルギー量のプラズマ処理を実現するための条件を登録してもよい。例えば、第2テーブルには、基準エネルギー量に代えて、プラズマ処理部101の放電電極の駆動数や、放電電極に印加する電圧の電圧値、電圧印加時間、キャリッジ172の副走査方向への速度、被処理物20の主走査方向への搬送タイミング、などを組み合わせた値を登録してもよい。
(第2の実施の形態)
上記実施の形態では、算出部160Cは、被処理物20の表面に施すプラズマのプラズマエネルギー量を算出する場合を説明した。そして、上記実施の形態では、プラズマ制御部160Dは、被処理物20の表面における処理領域に、プラズマ処理を行う場合を説明した。
しかし、プラズマ制御部160Dは、被処理物20の処理対象面側にプラズマ処理を実行すればよく、プラズマ処理する層は、被処理物20の表面に限定されない。
具体的には、プラズマ制御部160Dは、表面粗さの調整対象のインク層より被処理物20側の層の表面にプラズマ処理を実行すればよい。
上記実施の形態で説明したように、本発明者は、被処理物20の表面にプラズマ処理を施すことにより、被処理物20のプラズマ処理された処理領域に吐出されたインクに含まれる顔料の凝集速度が速くなることを見出した。また、本発明者は、被処理物20の表面に形成されたインク層に対して、更にプラズマ処理を施すことで、インクに含まれる樹脂(例えばシロキサン、ポリエーテル)が反応し、該インク層上に吐出するインクに含まれる顔料の凝集速度も速まることを見出した。
このため、プラズマ制御部160Dは、記録部171によって被処理物20の処理対象面側に複数のインク層が積層される場合、被処理物20の表面と、複数のインク層の内の表面粗さの調整対象のインク層(以下、調整対象層と称する)より被処理物20側の少なくとも1層と、の少なくとも1つにおける、調整対象領域に対応する処理領域を、設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御してもよい。
この場合、印刷データを、形成するインク層の積層数、調整対象のインク層、を示す印刷条件情報を含む構成とすればよい。
画像処理装置30の制御部32では(図19参照)、例えば、印刷方法と、調整対象のインク層である調整対象層と、の入力画面を表示部36に表示する制御を行い、ユーザによる印刷方法の入力を受け付ければよい。そして、画像処理装置30では、各印刷方法に対応するインク層の積層数を予め記憶しておけばよい。
例えば、画像処理装置30の制御部32は、第1の実施の形態で説明した、通常印刷、アンダーレイ印刷、オーバーレイ印刷、3層レイヤ印刷、白インク印刷、などの印刷方法の一覧を選択可能に表示部36に表示すると共に、調整対象層の入力を促す文字情報を表示部36に表示する。ユーザは、入力部34を操作することで、印刷方法、および調整対象層を選択する。また、第1の実施の形態と同様に、ユーザは、入力部34を操作することで、調整対象層における、表面粗さの調整対象領域を入力する。
そして、画像処理装置30の受付部32Bは、入力部34から、印刷方法と、調整対象層と、調整対象層における調整対象領域と、調整対象領域の表面粗さと、を含む設定情報を入力部34から受付ければよい。
制御部32の生成部32Cは、第1の実施の形態と同様にして生成したラスター形式の画像データと、ラスター形式の設定情報と、を含む印刷データを生成すればよい。
そして、印刷装置170のプラズマ制御部160Dでは(図21参照)、印刷データの設定情報に含まれる印刷方法が、複数のインク層を形成する印刷方法(アンダーレイ印刷、オーバーレイ印刷、3層レイヤ印刷(図18参照))を示す場合に、複数のインク層を積層した画像を記録すると判断する。
そして、プラズマ制御部160Dは、複数のインク層を積層した画像を記録すると判断した場合、被処理物20の表面と、複数のインク層の内の表面粗さの調整対象のインク層としての調整対象層より被処理物20側の少なくとも1層と、の少なくとも1つにおける、調整対象領域に対応する処理領域を、処理領域上に形成される調整対象層表面を設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。
この場合、記憶部162は、図23に示す、インク種に対応する第2テーブル(インク量と紙種に対応する基準エネルギー量を登録したテーブル)に代えて、印刷方法と、調整対象層に対応するプラズマ処理する対象の層(被処理物20の表面も含む)と、インク種と、の組合せごとに、対応する第2テーブル(インク量と紙種に対応する基準エネルギー量を登録したテーブル)を予め記憶すればよい。プラズマ処理する対象の層(以下、プラズマ処理対象層と称する)は、被処理物20の表面や、調整対象層より被処理物20側のインク層表面である。
上記条件を満たす基準エネルギー量は、予め測定し、対応する第2テーブルに予め登録すればよい。
そして、算出部160Cは、プラズマ処理対象層ごとに、プラズマ処理対象層における、調整対象領域に対応する処理領域上に付与されるインク量を、解像度と、画像データと、第1テーブル(図22参照)と、から算出すればよい。インク量の算出は、第1の実施の形態と同様にすればよい。
また、算出部160Cは、印刷方法と、調整対象層に対応するプラズマ処理対象層と、インク種と、対応する第2テーブルを読取り、該第2テーブルにおける、インク量と紙種に対応する基準エネルギー量を読取る。この処理により、算出部160Cは、プラズマ処理対象層における、調整対象領域に対応する処理領域に与えるプラズマの基準エネルギー量を算出する。
そして、算出部160Cは、算出した基準エネルギーと、設定情報に示される調整対象領域に応じた表面粗さの強度と、を用いて、第1の実施の形態と同様にして、プラズマ処理対象層における処理領域に与えるプラズマエネルギー量を算出すればよい。
プラズマ制御部160Dは、被処理物20の表面と、複数のインク層の内の表面粗さの調整対象層より被処理物20側の少なくとも1層と、の内、プラズマ処理対象層における、調整対象領域に対応する処理領域を、算出部160Cで算出された各プラズマ処理対象層および各処理領域に対応するプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。
この場合、プラズマ制御部160Dは、記録部171によってインク滴が吐出されてインク層が形成されるタイミングに応じて、被処理物20の表面、および被処理物20に形成された1または複数のインク層の内、設定されたプラズマ処理対象層の表面に、算出部160Cで算出されたプラズマエネルギー量でプラズマ処理を行うようにタイミング制御を行えばよい。
以上説明したように、プラズマ制御部160Dは、複数のインク層が積層される場合、被処理物20の表面と、複数のインク層の内の表面粗さの調整対象層より被処理物20側の少なくとも1層と、の少なくとも1つにおける、調整対象領域に対応する処理領域を、処理領域上に形成される調整対象層の表面を設定された表面粗さとするためのプラズマエネルギー量でプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御してもよい。
(第3の実施の形態)
次に、上述した画像処理装置30、および印刷装置170のハードウェア構成について説明する。
図25は、画像処理装置30、および印刷装置170のハードウェア構成図である。画像処理装置30、および印刷装置170は、ハードウェア構成として、装置全体を制御するCPU2901と、各種データや各種プログラムを記憶するROM2902と、各種データや各種プログラムを記憶するRAM2903と、キーボードやマウス等の入力装置2905と、ディスプレイ装置等の表示装置2904と、通信装置2906と、を主に備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
上記実施の形態の画像処理装置30、および印刷装置170で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供される。
また、上記実施の形態の画像処理装置30、および印刷装置170で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施の形態の画像処理装置30、および印刷装置170で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
また、上記実施の形態の画像処理装置30、および印刷装置170で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
上記実施の形態の画像処理装置30、および印刷装置170で実行されるプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上記各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、種々の変形が可能である。