JP2015178824A - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の運転状態及び一時停止状態において、シリンダヘッドの温度及びシリンダブロックの温度の制御性を高めることができる、内燃機関の冷却装置を提供する。
【解決手段】シリンダヘッド及びラジエータを経由しシリンダブロックを迂回する第1冷却液ライン、シリンダブロックを経由しラジエータを迂回する第2冷却液ライン、シリンダヘッド及びヒータコアを経由しラジエータを迂回する第3冷却液ラインそれぞれの出口が接続される電動式の流量制御弁と、第1冷却液ラインから分岐し、ラジエータを迂回して流量制御弁の出口ポート側に合流するバイパスラインと、機械式ウォータポンプと、電動式ウォータポンプと、を備え、機関運転中はヘッド温度及びブロック温度に応じて流量制御弁を制御し、機関の一時停止状態では、電動式ウォータポンプを動作させると共に、流量制御弁をヘッド温度及びヒータコアでの熱交換要求の有無に応じて制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリンダヘッド、シリンダブロックに冷却液を循環させて冷却する内燃機関の冷却装置に関する。
特許文献1には、空調用冷却水回路に電動ウォータポンプを備えたシステムに対し、アイドリングストップ制御によってエンジンが停止した際、電動ウォータポンプを起動することで空調用冷却水回路に冷却水を流して空調能力を確保することが開示されている。
特開2008−248715号公報
内燃機関の暖機運転中においては、シリンダヘッドの温度(燃焼室の温度)を早期に上昇させることで燃焼性が改善され、燃費性能や排気性状などを改善することができる。
また、内燃機関の暖機完了後においては、シリンダヘッドの温度上昇を抑制することでノッキングの発生を抑制できる一方で、シリンダブロックの温度を高めることでフリクションが低減され、燃費性能を向上させることができる。
このため、シリンダヘッドの温度とシリンダブロックの温度とを個別に制御できる冷却装置の提供が望まれていた。
更に、アイドリングストップ制御による内燃機関の一時停止中にシリンダヘッド(燃焼室)の温度が上昇すると、内燃機関を再始動させるときにプレイグニッションやノッキングなどの燃焼異常が発生して始動性が低下する場合がある。このため、内燃機関の一時停止中においてシリンダヘッドを冷却することが望まれるが、シリンダブロックの温度低下はフリクションの増大を招くという問題があった。
そこで、本発明は、シリンダヘッドの温度とシリンダブロックの温度とをそれぞれに制御することができ、以って、内燃機関の燃費性能や一時停止状態からの再始動性の向上などに寄与できる、内燃機関の冷却装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明に係る内燃機関の冷却装置は、内燃機関のシリンダヘッド及びラジエータを経由しシリンダブロックを迂回する第1冷却液ラインと、前記シリンダブロックを経由し前記ラジエータを迂回する第2冷却液ラインと、を含む複数の冷却液ラインを備えると共に、前記複数の冷却液ラインそれぞれの出口が接続される複数の入口ポートを有し、前記複数の冷却液ラインそれぞれへの冷却液の供給量を制御する電動式の流量制御弁と、前記シリンダヘッドと前記ラジエータとの間の前記第1冷却液ラインから分岐し、前記ラジエータを迂回して前記流量制御弁の出口ポート側に合流するバイパスラインと、前記内燃機関を駆動源として冷却液を循環させる機械式ウォータポンプと、モータを駆動源として冷却液を循環させる電動式ウォータポンプと、を備えるようにした。
上記発明によると、シリンダヘッドへの冷却液の供給量とシリンダブロックへの冷却液の供給量とをそれぞれに制御することが可能で、また、内燃機関の停止状態において電動式ウォータポンプによって冷却液を循環させることが可能であり、シリンダヘッドの温度及びシリンダブロックの温度の制御性を高めることができ、内燃機関の燃費性能や再始動性を向上させることができる。
本発明の実施形態における内燃機関の冷却装置のシステム概略図である。 本発明の実施形態における流量制御弁の流路切替え特性及び内燃機関の運転状態での流量制御弁の制御を例示するタイムチャートである。 本発明の実施形態における内燃機関の運転状態での流量制御弁の制御を例示するフローチャートである。 本発明の実施形態におけるアイドリングストップ状態での流量制御弁及び電動式ウォータポンプの制御を例示するフローチャートである。 本発明の実施形態におけるアイドリングストップ状態での流量制御弁及び電動式ウォータポンプの制御を例示するフローチャートである。 本発明の実施形態におけるアイドリングストップ状態での電動式ウォータポンプの起動制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態におけるアイドリングストップ状態での電動式ウォータポンプの起動制御を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態におけるアイドリングストップ状態での電動式ウォータポンプの起動制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態におけるアイドリングストップ状態での電動式ウォータポンプの起動制御を示すタイムチャートである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の冷却装置の一例を示す構成図である。
内燃機関10は、シリンダヘッド11及びシリンダブロック12を有してなり、内燃機関10の出力軸には、動力伝達装置の一例としての変速機20が接続され、変速機20の出力が図示省略した駆動輪に伝達される。つまり、内燃機関10は、車両を駆動する動力源として用いられる。
内燃機関10の冷却装置は、冷却水(冷却液)を循環させる水冷式冷却装置であり、電気式アクチュエータによって動作する電動式の流量制御弁(MCV)30、モータを駆動源として冷却水を循環させる電動式ウォータポンプ(ELWP)40、内燃機関10を駆動源として冷却液を循環させる機械式ウォータポンプ45、ラジエータ50、内燃機関10に設けた冷却水通路60、これらを接続する複数の配管70で構成され、冷却水通路60と複数の配管70とで冷却液循環経路が形成される。
なお、電動式ウォータポンプ40の最大吐出能力は、機械式ウォータポンプ45の最大吐出能力よりも低く設定されている。
これは、高吐出量を必要とする内燃機関10の運転中は機械式ウォータポンプ45によって冷却水を循環させ、内燃機関10の運転中に比べて吐出量の要求が低くなる内燃機関10の停止状態において、電動式ウォータポンプ40を動作させて冷却水を循環させるためである。換言すれば、電動式ウォータポンプ40の最大吐出能力は、内燃機関10の停止状態において必要となる最大吐出量を基準に設定される。
内燃機関10には、冷却水通路60として、シリンダヘッド11の気筒配列方向の一方端に設けた冷却水入口13と、シリンダヘッド11の気筒配列方向の他方端に設けた冷却水出口14とを接続し、シリンダヘッド11内に延設されるヘッド側冷却水通路61を設けてある。
また、内燃機関60には、冷却水通路60として、ヘッド側冷却水通路61から分岐してシリンダブロック12に至り、シリンダブロック12内に延設されて、シリンダブロック12に設けた冷却水出口15に接続されるブロック側冷却水通路62を設けてある。シリンダブロック12の冷却水出口15は、冷却水出口14が設けられる側と同じ気筒配列方向の端部に設けられる。
このように、図1に例示した冷却装置において、シリンダブロック12には、シリンダヘッド11を経由して冷却水が供給され、シリンダブロック12に流れずにシリンダヘッド11を通過した冷却水は冷却水出口14から排出され、シリンダヘッド11に流入した後シリンダブロック12内を通過した冷却水は冷却水出口15から排出される。
シリンダヘッド11の冷却水出口14には、第1冷却水配管71(第1冷却液ライン、ラジエータ冷却液ライン)の一端が接続され、第1冷却水配管71の他端は、ラジエータ50の冷却水入口51に接続される。
シリンダブロック12の冷却水出口15には第2冷却水配管72(第2冷却液ライン、ブロック冷却液ライン)の一端が接続され、第2冷却水配管72の他端は流量制御弁30の4つの入口ポート31−34のうちの第1入口ポート31に接続される。
第2冷却水配管72の途中には、内燃機関10の潤滑油を冷却するためのオイルクーラー16を設けてあり、オイルクーラー16は、第2冷却水配管72内を流れる冷却水と内燃機関10の潤滑油との間で熱交換を行わせる。
また、第3冷却水配管73(第4冷却液ライン、動力伝達系冷却液ライン)は一端が第1冷却水配管71に接続され、他端が流量制御弁30の第2入口ポート32に接続され、この第3冷却水配管73は途中には変速機20の作動油を加熱するためのオイルウォーマー21が設けられる。
オイルウォーマー21は、第3冷却水配管73内を流れる冷却水と変速機20の作動油との間で熱交換を行わせる。つまり、シリンダヘッド11を通過した冷却水(温水)を分流させて水冷式のオイルウォーマー21に導き、オイルウォーマー21において作動油を加熱する。
更に、第4冷却水配管74(第3冷却液ライン、ヒータコア冷却液ライン)は、一端が第1冷却水配管71に接続され、他端が流量制御弁30の第3入口ポート33に接続される。
第4冷却水配管74には、各種の熱交換デバイスが設けられている。
上記の熱交換デバイスとして、上流側から順に、車両用空調装置において空調空気を加熱するヒータコア91、内燃機関10の排気還流装置を構成する水冷式のEGRクーラ92、同じく排気還流装置を構成する排気還流量を調整するための排気還流制御弁(EGR弁)93、内燃機関10の吸入空気量を調整するスロットルバルブ94が設けられる。
ヒータコア91は、第4冷却水配管74内の冷却水と空調空気との間で熱交換を行わせることで、空調空気を暖めるデバイスである。
EGRクーラ92は、排気還流装置によって内燃機関10の吸気系に還流される排気と第4冷却水配管74内の冷却水との間で熱交換を行わせ、吸気系に還流させる排気の温度を低下させるデバイスである。
また、排気還流制御弁93及びスロットルバルブ94は、第4冷却水配管74内の冷却水との間で熱交換を行うことで暖められるように構成され、これにより排気中や吸気中に含まれる水分が、排気還流制御弁93、スロットルバルブ94の周辺で凍結することを抑制する。
このように、シリンダヘッド11を通過した冷却水を分流させて、ヒータコア91、EGRクーラ92、排気還流制御弁93、スロットルバルブ94に導き、これらとの間での熱交換を行わせる。
また、第5冷却水配管75は、一端がラジエータ50の冷却水出口52に接続され、他端が流量制御弁30の第4入口ポート34に接続される。
流量制御弁30は、1つの出口ポート35を有し、この出口ポート35には、第6冷却水配管76の一端が接続される。第6冷却水配管76の他端は、機械式ウォータポンプ45の吸込口46に接続される。
そして、機械式ウォータポンプ45の吐出口47には第7冷却水配管77の一端が接続され、第7冷却水配管77の他端はシリンダヘッド11の冷却水入口13に接続される。
また、第8冷却水配管78(バイパスライン)は、第3冷却水配管73、第4冷却水配管74が接続される部分よりも下流側の第1冷却水配管71に一端が接続され、他端が第6冷却水配管76(流量制御弁30の流出側)に接続される。
流量制御弁30は、前述したように、4つの入口ポート31−34と1つの出口ポート35とを備え、入口ポート31−34には冷却水配管72,73,74,75(第1−第4冷却液ラインの出口)がそれぞれ接続され、出口ポート35に第6冷却水配管76が接続される。
流量制御弁30は、例えば回転式の流路切換バルブであり、複数の入口ポート31−35が形成されたステータに、流路が設けられたロータを嵌装し、ロータを電動モータなどの電動アクチュエータで回転駆動してロータの角度位置を変更することで、ステータの各開口を接続する構成である。
そして、係る回転式の流量制御弁30では、ロータ角度に応じて4つの入口ポート31−34の開口面積割合が変化し、ロータ角度の選定によって所望の開口面積割合(流量割合)に制御できるようにロータの流路などが適合される。
上記構成において、ヘッド側冷却水通路61と第1冷却水配管71とによって、シリンダヘッド11及びラジエータ50を経由しラジエータ12を迂回するラジエータ冷却液ライン(第1冷却液ライン)が構成される。
また、ブロック側冷却水通路62と第2冷却水配管72とによって、シリンダブロック12を経由しラジエータ50を迂回するブロック冷却液ライン(第2冷却液ライン)が構成される。
また、ヘッド側冷却水通路61と第4冷却水配管74とによって、シリンダヘッド11及びヒータコア91を経由しラジエータ50を迂回するヒータコア冷却液ライン(第3冷却液ライン)が構成される。
また、ヘッド側冷却水通路61と第3冷却水配管73とによって、シリンダヘッド11及び変速機20(動力伝達装置)のオイルウォーマー21を経由しラジエータ50を迂回する動力伝達系冷却液ライン(第4冷却液ライン)が構成される。
更に、第8冷却水配管78によって、シリンダヘッド11とラジエータ50との間のラジエータ冷却液ラインから分岐し、ラジエータ50を迂回して流量制御弁30の流出側(出口ポート35、機械式ウォータポンプ40の吸込口46)に合流するバイパスラインが構成される。
つまり、流量制御弁30は、ラジエータ冷却液ライン、ブロック冷却液ライン、ヒータコア冷却液ライン及び動力伝達系冷却液ラインの出口がそれぞれ流入側(入口ポート)に接続され、流出側(出口ポート)が機械式ウォータポンプ45の吸引側に接続される。そして、流量制御弁30は、各冷却液ラインの出口開口面積を調整することで、ラジエータ冷却液ライン、ブロック冷却液ライン、ヒータコア冷却液ライン及び動力伝達系冷却液ラインへの冷却水の供給量(分配割合)を制御する流路切り替え機構である。
また、冷却装置は、冷却水の温度を検出する第1温度センサ81及び第2温度センサ82からなる温度検出部を備える。
第1温度センサ81は、冷却水出口14近傍の第1冷却水配管71内の冷却水温度TW1、つまり、シリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)の出口付近の冷却水の温度TW1を検出する。
また、第2温度センサ82は、冷却水出口15近傍の第2冷却水配管71内の冷却水温度TW2、つまり、シリンダブロック12(ブロック側冷却水通路62)の出口付近で冷却水の温度TW2を検出する。
第1温度センサ81の水温検出信号TW1及び第2温度センサ82の水温検出信号TW2は、マイクロコンピュータを備える電子制御装置(コントローラ、制御ユニット)100に入力される。
また、バイパスラインを構成する第8冷却水配管78の途中に、電動式ウォータポンプ40を配置してある。
つまり、第1冷却水配管71に一端が接続される第8冷却水配管78aの他端を電動式ウォータポンプ40の吸込口41に接続し、電動式ウォータポンプ40の吐出口42に一端が接続される第8冷却水配管78bの他端を第6冷却水配管76に接続させてある。
電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40の吐出量、流量制御弁30のロータ角度(各冷却液ラインへの冷却水の供給量)を制御する機能を有すると共に、内燃機関10に燃料を噴射する燃料噴射装置17、及び、点火装置18の動作を制御する機能を有している。
図2は、内燃機関10の運転状態における電子制御装置100による流量制御弁30の制御の一例を概略的に示すタイムチャートである。
なお、内燃機関10の運転状態において、電子制御装置100は電動式ウォータポンプ40の駆動を停止し、内燃機関10によって機械式ウォータポンプ45が回転駆動されて冷却水が循環される。
まず、図2に例示した流量制御弁30のロータ角度による流路の切替え特性について説明する。
流量制御弁30は、ロータ角度がストッパで規制される基準角度位置から所定角度範囲内では、入口ポート31−34を全て閉じる(第1の流路切替えパターン)。
なお、入口ポート31−34を閉じる状態は、入口ポート31−34の開口面積を零とする状態の他、零よりも大きい最小開口面積とする状態(漏れ流量が発生する状態)を含むものとする。
上記入口ポート31−34を全て閉じる角度よりもロータ角度を増加させると、ヒータコア冷却液ラインの出口が接続される第3入口ポート33が所定開度にまで開くようになる(第2の流路切替えパターン)。前記所定開度は、第2の流路切替えパターンに適合させて予め設定された開度であり、第3入口ポート33の最大開口面積よりも小さい中間開口面積であって、第2の流路切替えパターンにおける上限開度である。
第3入口ポート33が一定開度にまで開く角度から更にロータ角度を増大させると、ブロック冷却液ラインの出口が接続される第1入口ポート31が開き出し、第1入口ポート31の開口面積は、ロータ角度の増大に応じて漸増する(第3の流路切替えパターン)。
第1入口ポート31が開き出する角度よりもより大きな角度位置で、動力伝達系冷却液ラインの出口が接続される第2入口ポート32が所定開度まで開くようになる(第4の流路切替えパターン)。前記所定開度は、第4の流路切替えパターンに適合させて予め設定された開度であり、第2入口ポート32の最大開口面積よりも小さい中間開口面積であって、第4の流路切替えパターンにおける上限開度である。
更に、第2入口ポート32が一定開度まで開く角度よりも大きな角度位置で、ラジエータ冷却液ラインの出口が接続される第4入口ポート34が開き出し、第4入口ポート34の開口面積は、ロータ角度の増大に応じて漸増する(第5の流路切替えパターン)。
なお、第4入口ポート34が開口面積は、開き始めの当初は第1入口ポート31の開口面積よりも小さいが、ロータ角度の増大に応じて第1入口ポート31の開口面積よりも大きくなるように設定される。
次いで、図2に例示した、電子制御装置100による内燃機関10の運転状態での流量制御弁30の制御を概説する。
電子制御装置100は、内燃機関10の運転状態において、第1温度センサ81、第2温度センサ82の検出出力、つまり、シリンダヘッド11の温度及びシリンダブロック12の温度に基づき、流量制御弁30のロータ角度を制御する。
まず、電子制御装置100は、内燃機関10の冷機始動時に、流量制御弁30のロータ角度を入口ポート31−34が全て閉じる位置(第1パターン)に制御し、バイパスラインを介して冷却水が循環するようにして、シリンダヘッド11を暖機する。
第1温度センサ81で検出されるシリンダヘッド11の出口温度TW1がシリンダヘッド11の暖機完了を示す温度に達すると(時刻t1)、電子制御装置100は、ヒータコア冷却液ラインが開く角度位置(第2パターン)にまでロータ角度を増加させ、ヒータコア91への冷却水の供給を開始させる。
次いで、第2温度センサ82で検出されるシリンダブロック12の出口温度TW2が設定温度に達すると(時刻t2)、電子制御装置100は、ブロック冷却液ラインが開く角度位置(第3パターン)にまでロータ角度を増加させ、シリンダブロック12への冷却水の供給を開始させる。
そして、シリンダブロック12への冷却水の供給を開始してからシリンダブロック12の出口温度TW2が所定温度だけ上昇し、目標温度付近に達すると(時刻t4)、電子制御装置100は、動力伝達系冷却液ラインが開く角度位置(第4パターン)までロータ角度を増加させ、オイルウォーマー21への冷却水の供給を開始させる。
以上のようにして各部の暖機が完了すると、電子制御装置100は、シリンダヘッド11の出口温度を目標温度付近に維持し、シリンダブロック12の出口温度をシリンダヘッド11の目標温度よりも高い目標温度に維持するように、温度上昇に応じてラジエータ冷却液ラインを開く角度(第5パターン)にまでロータ角度を増大させ、ラジエータ冷却液ラインの開口面積を調整する。
つまり、電子制御装置100は、内燃機関10の暖機の進行に伴って流量制御弁30のロータ角度を増大させ、暖機完了後は、ラジエータ冷却液ラインの開口面積を調整することで、シリンダヘッド11及びシリンダブロック12の温度を調整する。
換言すれば、各冷却液ラインへの冷却水供給量の要求が内燃機関10の暖機の進行に伴って変化するので、係る要求供給量の変化に対応して流量制御弁30の制御特性が変化するように、流量制御弁30のロータ角度と各入口ポート31−34の開口面積との相関を適合させてある。
ここで、シリンダヘッド11の出口での冷却水温度TW1を目標温度付近に維持することが、シリンダブロック12の出口での冷却水温度TW2を目標温度に維持することよりも優先されるようにしてある。
つまり、例えば、内燃機関10の高負荷運転時などにおいて、シリンダヘッド11の出口での冷却水温度TW1が目標温度よりも高くなる一方で、シリンダブロック12の出口での冷却水温度TW2が目標付近に維持されている場合、電子制御装置100は、ラジエータ冷却液ラインの開口面積を増やす制御を行う(時刻t5以降)。
従って、内燃機関10の高負荷運転時には、シリンダヘッド11の出口での冷却水温度TW1が目標付近に維持されるものの、シリンダブロック12の出口での冷却水温度TW2が目標よりも低下する場合があり得る。
図3のフローチャートは、内燃機関10の運転状態における電子制御装置100による流量制御弁30の制御の一例を示し、電子制御装置100は、図3のフローチャートに示すルーチンを所定時間毎の割り込み処理によって実施する。
まず、ステップS401で、電子制御装置100は、内燃機関10が冷機状態で始動されたか、運転停止直後の再始動状態であって内燃機関10の温度が高い状態であるかを、第1温度センサ81の水温検出信号TW1、つまり、シリンダヘッド11の出口水温TW1と、第1閾値温度TH1とを比較して判別する。
そして、シリンダヘッド11の出口水温TW1が第1閾値温度TH1を下回る冷機状態で始動された場合、電子制御装置100は、ステップS402へ進む。
一方、シリンダヘッド11の出口水温TW1が第1閾値温度TH1以上である、暖機完了状態での再始動状態である場合、電子制御装置100は、ステップS402−ステップS407を迂回してステップS408へ進む。
冷機始動状態であってステップS402へ進むと、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ目標角度を第1パターンに従って設定する。
電子制御装置100は、第1パターンにおいて、第1入口ポート31、第2入口ポート32、第3入口ポート33及び第4入口ポート34を全て閉じる(遮断する)ロータ角度を、ロータ目標角度(流量制御弁30の制御目標値)に設定する。
係るロータ目標角度の設定によって、第1入口ポート31、第2入口ポート32、第3入口ポート33及び第4入口ポート34を介した冷却水の循環が停止され、機械式ウォータポンプ45から吐出された冷却水は、第7冷却水配管77、ヘッド側冷却水通路61、第1冷却水配管71、第8冷却水配管78を経由し、機械式ウォータポンプ45に再度吸引される経路を循環することになる。
第1パターンは、シリンダヘッド11(燃焼室)の温度上昇を促進させ、燃焼性を早期に向上させることで、燃費改善を図ることを目的とする。
上記の第1パターンに従って流量制御弁30を制御している状態で、電子制御装置100はステップS403へ進み、第1温度センサ81の水温検出信号TW1、つまり、シリンダヘッド11の出口水温TW1と、第2閾値温度TH2とを比較する。
ここで、第2閾値温度TH2は、第1閾値温度TH1よりも高い温度(例えば、TH2=80℃−100℃)であり、シリンダヘッド11(燃焼室)の温度が十分な燃焼性を得られる程度に上がったこと、換言すれば、シリンダヘッド11の暖機完了を判定できるように適合される。
そして、シリンダヘッド11の出口水温TW1が第2閾値温度TH2に達していない場合(TW1<TH2である場合)、電子制御装置100はステップS402に戻り、第1パターンに従った流量制御弁30の制御を継続する。
すなわち、TW1<TH2である場合、十分な燃焼性が得られる温度にまでシリンダヘッド11(燃焼室)の温度が高くなっていない状態であるため、電子制御装置100は、シリンダヘッド11の昇温を促進させるための第1パターンでの制御を継続する。
そして、シリンダヘッド11の出口水温TW1が第2閾値温度TH2に達し(TW1≧TH2になると)、シリンダヘッド11の暖機完了状態になると、電子制御装置100はステップS404へ進む。
ステップS404で、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ目標角度を第2パターンに従って設定する。
電子制御装置100は、第2パターンにおいて、第1入口ポート31、第2入口ポート32及び第4入口ポート34を閉じた状態に保持し、第3入口ポート33の開く角度位置を、ロータ目標角度(流量制御弁30の制御目標値)に設定する。
第2パターンに従った目標角度の設定によって、第1入口ポート31、第2入口ポート32及び第4入口ポート34を介した冷却水の循環は停止状態に保持される一方、第3入口ポート33を介した冷却水の循環が開始される。
これによって、機械式ウォータポンプ45から吐出された冷却水は、第7冷却水配管77、ヘッド側冷却水通路61、第4冷却水配管74、流量制御弁30、第6冷却水配管76を経由し、機械式ウォータポンプ45に再度吸引される経路を循環するようになり、また、ヘッド側冷却水通路61から排出された冷却水の一部は、第1冷却水配管71、第8冷却水配管78を介して循環される。
第2パターンでは、シリンダヘッド11を通過した冷却水が第4冷却水配管74に分流されることで、第4冷却水配管74に配置されるヒータコア91、EGRクーラ92、排気還流制御弁93、スロットルバルブ94と冷却水との間で熱交換が行われる。
また、第2パターンでは、冷却水がラジエータ50を迂回して循環し、また、十分に温度上昇していないシリンダブロック12に第2冷却水配管72(第1冷却液ライン)を介して冷却水が循環されることがなく、更に、第3冷却水配管73(第4冷却液ライン)に配置されるオイルオイルウォーマー21に冷却水が循環されず、冷却水温度を高く維持できる。
従って、ヒータコア91などが配置される第4冷却水配管74に十分に高い温度の冷却水を供給でき、ヒータコア91での熱交換による暖房(空調空気の加熱作用)の立ち上がり応答を高めることができる。
係る第2パターンの設定状態で、電子制御装置100は、シリンダヘッド11の出口水温TW1を第2閾値温度TH2付近に維持するように、暖機の進行に伴い、流量制御弁30のロータ角度の目標を徐々に増大させて第3入口ポート33の開口面積を増やす。
また、第2パターンにおいて、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ角度を後述する第3パターンに切り替わる角度位置(第1入口ポート31が開き始めるロータ角度)の手前を限度として増大させ、第3入口ポート33の開口面積を、第2パターンでのロータ角度の限界値での開口面積を上限値として増大させる。
電子制御装置100は、第2パターンに従ってヒータコア91に冷却水を循環させている状態でステップS405へ進み、第2温度センサ82の水温検出信号TW2、つまり、シリンダブロック12の出口水温TW2と、第3閾値温度TH3とを比較する。
第3閾値温度TH3は、第2閾値温度TH2と同じか若しくは所定温度だけ高い側若しくは低い側にずれた温度に設定される。
そして、電子制御装置100は、第3閾値温度TH3とシリンダブロック12の出口水温TW2とを比較することで、シリンダブロック12の温度が、冷却水の供給を開始して温度制御(ブロック冷却制御)を開始する温度に達したか否か、換言すれば、シリンダブロック12の暖機が完了したか否かを検出する。
電子制御装置100は、シリンダブロック12の出口水温TW2が第3閾値温度TH3を下回る間、つまり、シリンダブロック12の暖機中である場合には、ステップS404に戻り、第2パターンに従った流量制御弁30の制御を継続させる。
一方、シリンダブロック12の出口水温TW2が第3閾値温度TH3以上になると、電子制御装置100は、ステップS406へ進む。
ステップS406で、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ目標角度を第3パターンに従って設定する。
電子制御装置100は、第3パターンにおいて、第2入口ポート32及び第4入口ポート34を閉じた状態に保持し、第3入口ポート34の開口面積を上限値に保持し、第1入口ポート31が開く角度位置を、ロータ目標角度(流量制御弁30の制御目標値)に設定する。
第3パターンに従った目標角度の設定によって、第2入口ポート32及び第4入口ポート34を介した冷却水の循環は停止状態に保持され、かつ、第3入口ポート33を介した冷却水の循環が継続される一方で、第1入口ポート31を介した冷却水の循環が開始される。
これにより、機械式ウォータポンプ45から吐出された冷却水の一部は、ブロック側冷却水通路62、第2冷却水配管72、流量制御弁30、第6冷却水配管76を経由し、機械式ウォータポンプ45に再度吸引される経路を循環するようになる。
そして、第3パターンでは、機械式ウォータポンプ45が吐出した冷却水の一部がシリンダブロック12に供給され、シリンダブロック12の温度が制御されるようになる。
係る第3パターンの設定状態で、電子制御装置100は、シリンダブロック12の出口水温TW2の上昇に応じて、流量制御弁30のロータ角度の目標を徐々に増大させて第1入口ポート31の開口面積を増やす。
なお、第3パターンにおいて、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ角度を後述する第4パターンに切り替わる角度位置(第2入口ポート32が開き始めるロータ角度)の手前を限度として増大させ、第1入口ポート31の開口面積を、第3パターンでのロータ角度の限界値での開口面積を上限値として増大させる。
係る第3パターンによる流量制御弁30の制御によりシリンダブロック12への冷却水の供給を制御することで、シリンダブロック12の温度を目標温度に向けて漸増させ、シリンダブロック12の温度が目標温度を超えてオーバーシュートすることを抑制する。
電子制御装置100は、第3パターンに従ってシリンダブロック12に冷却水を循環させている状態でステップS407へ進み、第2温度センサ82の水温検出信号TW2、つまり、シリンダブロック12の出口水温TW2と、第4閾値温度TH4とを比較する。
第4閾値温度TH4は、シリンダヘッド11の目標温度である第2閾値温度TH2よりも高く、かつ、シリンダブロック12への冷却水供給を開始させる第3閾値温度TH3よりも高い、シリンダブロック12の目標温度であり、例えば、100℃−110℃程度の値に設定される。
つまり、シリンダヘッド11の目標温度は、プレイグニッションやノッキングの抑制を目的として設定されるのに対し、シリンダブロック12の目標温度はフリクション抑制を目的として設定され、シリンダヘッド11の目標温度よりもシリンダブロック12の目標温度を高くすることでフリクションの低減を促進させる。
シリンダブロック12の出口水温TW2が第4閾値温度TH4を下回る場合、電子制御装置100は、ステップS406に戻り、第3パターンに従った流量制御弁30の制御を継続させる。
一方、シリンダブロック12の出口水温TW2が第4閾値温度TH4、つまり、シリンダブロック12の目標温度に達すると、電子制御装置100はステップS408へ進む。
ステップS408で、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ目標角度を第4パターンに従って設定する。
電子制御装置100は、第4パターンにおいて、第4入口ポート34を閉じた状態に保持し、第3入口ポート34の開口面積を上限値に保持し、第1入口ポート31の開口面積が第3パターンに引き続き増大し、また、第2入口ポート32の開口面積が上限値にまで開く角度位置を、ロータ目標角度(流量制御弁30の制御目標値)に設定する。
係る第4パターンでは、ラジエータ50(第1冷却液ライン)を経由しての冷却水の循環は第1−第3パターンに引き続き行われないものの、第4冷却液ライン(変速機20、オイルウォーマー21)への冷却水の供給が開始される結果、第2冷却液ライン(シリンダブロック12)、第3冷却液ライン(ヒータコア91)、第4冷却液ライン(オイルウォーマー21)及びバイパスラインに冷却水が供給されることになる。
そして、第2入口ポート32を開くことで、シリンダヘッド11を通過した冷却水が分流して第4冷却水配管74に流れ込み、オイルウォーマー21(変速機20)を経由して流量制御弁30に至り、再度機械式ウォータポンプ45に吸引される経路を冷却水が循環するようになる。
これにより、オイルウォーマー21において変速機20の作動油と冷却水との間での熱交換が行われ、変速機20の暖機(作動油の温度上昇)が促進される。
電子制御装置100は、ステップS408で第4パターンに従った流量制御弁30の制御を開始した後、ステップS409へ進み、シリンダブロック12の出口水温TW2と第4閾値温度TH4(目標ブロック温度)との偏差ΔTC、及び、シリンダヘッド11の出口水温TW1と第2閾値温度TH2(目標シリンダ温度)との偏差ΔTBを演算する。
次いで、電子制御装置100は、ステップS410へ進み、ステップS409で求めた温度偏差ΔTC、ΔTBに基づき、流量制御弁30の制御パターンの切り替え制御を実施する。
つまり、内燃機関10の負荷の増大(発熱量の増大)によって、シリンダブロック12の出口水温TW2及び/又はシリンダヘッド11の出口水温TW1が目標温度よりも所定以上に高くなると、流量制御弁30のロータ目標角度を第5パターンに従って設定し、負荷が小さくなると、第4パターンに戻す制御を行う。
電子制御装置100は、第5パターンにおいて、第2入口ポート32及び第3入口ポート33の開度を所定開度にし、第1入口ポート31及び第4入口ポート34の開度を第4パターンの場合よりも増大させる角度位置を、ロータ目標角度(流量制御弁30の制御目標値)に設定する。
第5パターンに従った目標角度の設定によって、ラジエータ50を迂回して冷却水を循環させていた状態から、冷却水の一部がラジエータ50(第1冷却液ライン)を介して循環されるようになる。
そして、ラジエータ50を通過する際に冷却水が放熱することで、内燃機関10を冷却する能力が上がり、内燃機関10(シリンダヘッド11、シリンダブロック12)が過熱することが抑制される。
なお、電子制御装置10は、第5パターンにおいて、シリンダブロック12の出口水温TW2及びシリンダヘッド11の出口水温TW1を共に目標温度付近に保持するように制御するが、高負荷状態では、シリンダヘッド11の温度上昇の抑制を優先させ、シリンダブロック12の温度が目標温度を下回ることになる場合でも、シリンダヘッド11の温度が目標温度を所定以上に上回る場合には、第4入口ポート34の開口面積の増大を実施する。
これにより、内燃機関10の高負荷域でシリンダヘッド11の温度上昇を十分に抑え、プレイグニッションやノッキングを抑制できるから、プレイグニッションやノッキングを抑制するための点火時期の遅角補正量を低減でき、内燃機関10の出力性能の低下を抑制できる。
次に、内燃機関10がアイドリングストップ制御によって一時停止したときの電子制御装置100による流量制御弁30及び電動式ウォータポンプ40の制御の一例を示す。
電子制御装置100は、車両の信号待ちなどの間に内燃機関10の運転を自動停止させるアイドリングストップ制御機能を有すると共に、アイドリングストップ制御によって内燃機関10が一時停止しているときに、電動式ウォータポンプ40を動作させて冷却水を循環させ、また、流量制御弁30のロータ角度を制御して各冷却液ラインへの冷却水の供給量を調整する機能を有している。
なお、内燃機関10の一時停止状態は、アイドリングストップ制御による一時停止に限定されるものではなく、例えば、ハイブリッド車両における駆動源の切り替えに伴う内燃機関10の自動停止状態などが含まれる。
図4及び図5のフローチャートは、電子制御装置100による内燃機関10の一時停止状態における電動式ウォータポンプ40及び流量制御弁30の制御の一例を示す。図4及び図5のフローチャートに示すルーチンは、電子制御装置100によって所定時間毎に割り込み処理される。
電子制御装置100は、ステップS501で、アイドリングストップ制御によって内燃機関10を自動停止させる要求があるか否か、換言すれば、内燃機関10の負荷、回転速度やブレーキの作動状態などがアイドリングストップ制御によって内燃機関10を自動停止させる条件を満たしているか否かを検出する。
そして、アイドリングストップ要求がある場合(アイドリングストップ条件を満たしていて内燃機関10が自動停止される場合)、電子制御装置100は、ステップS502へ進み、ヒータコア91で内燃機関10の冷却水によって空調空気を暖めることが要求される状態(暖房要求状態)であるか否かを検出する。
電子制御装置100は、ヒータコア91での空調空気の加熱要求状態であるか否かを、空調装置におけるブロア風量の設定、空調空気の温度設定、外気温度などの空調条件に基づいて検出する。
例えば、電子制御装置100は、ブロア風量が所定風量以上でかつ空調空気の温度設定が所定温度よりも高い場合や、ブロア風量が所定風量以上で外気温度が所定温度を下回る場合などに、ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されていることを検出する構成とすることができる。
ここで、電子制御装置100は、CAN(Controller Area Network)で接続されている空調制御ユニットからブロア風量などの情報を取得することができ、また、ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されているか否かを示す信号を空調制御ユニットから取得することもできる。
更に、電子制御装置100は、空調装置の温度設定スイッチや外気温度センサなどの出力信号を直接入力する構成とすることができる。
ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されている場合、電子制御装置100は、ステップS503へ進み、流量制御弁30のロータ角度を、ヒータコア冷却液ライン(第3冷却液ライン、第3入口ポート33)が開き、他のラジエータ冷却液ライン(第1冷却液ライン、第4入口ポート34)、ブロック冷却液ライン(第2冷却液ライン、第1入口ポート31)、動力伝達系冷却液ライン(第4冷却液ライン、第2入口ポート32)が閉じる角度に制御する。
つまり、電子制御装置100は、ステップS503において、シリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)を通過した冷却水が、ラジエータ50を迂回しバイパスライン(第8冷却水配管78)を通過する経路と、ヒータコア91及び流量制御弁30を通過する経路とに分かれて流れ、第6冷却水配管76で合流して再度シリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)に供給されるように、流量制御弁30のロータ角度を制御する。
換言すれば、内燃機関10が運転状態から一時停止され、そのときにヒータコア91での空調空気の加熱が要求されていれば、電子制御装置100は、ラジエータ冷却液ライン(第1冷却液ライン)、ブロック冷却液ライン(第2冷却液ライン)、動力伝達系冷却液ライン(第4冷却液ライン)への冷却水の供給量を一時停止前よりも減少させ、ヒータコア冷却液ライン(第3冷却液ライン)への冷却水の供給量を一時停止前と同等に保持するように、流量制御弁30のロータ角度を制御する。
次いで、電子制御装置100は、ステップS504へ進み、第1温度センサ81の出力信号から求めたシリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)の出口付近での冷却水温度TW1が第1設定温度SL1(例えば、90℃)以上であるか否かを検出する。
そして、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1以上(TW1≧SL1)である場合、電子制御装置100は、ステップS505へ進み、電動式ウォータポンプ40への電力供給を行うと共にポンプ駆動電圧を所定の第1電圧V1に設定する。
内燃機関10の一時停止状態では、機械式ウォータポンプ45が停止するが、電動式ウォータポンプ40を駆動させることで、内燃機関10の停止後も冷却水を循環させることができる。
ここで、流量制御弁30のロータ角度が、ステップS503での制御によってヒータコア冷却液ラインが開き他の冷却液ラインが閉じる角度に制御されているので、シリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)を通過した冷却水は、ラジエータ50を迂回しバイパスライン(第8冷却水配管78)を通過する経路と、ヒータコア91及び流量制御弁30を通過する経路とに分かれて流れることになる。
そして、バイパスライン(第8冷却水配管78)に流れた冷却水は電動式ウォータポンプ40に吸引されて再びシリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)に向けて送り出され、ヒータコア91が設けられる第4冷却水配管74及び機械式ウォータポンプ45を通過した冷却水と合流して、再度シリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)に供給されることになる。
ステップS504で、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1未満(TW1<SL1)であることを検出した場合、電子制御装置100は、ステップS506へ進み、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2以下であるか否かを検出する。
なお、第2設定温度SL2は、第1設定温度SL1よりも低い温度であり、例えば、SL2=70℃とすることができる。
そして、電子制御装置100は、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2以下でない場合、つまり、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1未満でかつ第2設定温度SL2よりも高い状態であれば、ステップS507へ進み、電動式ウォータポンプ40への電力供給を行うと共にポンプ駆動電圧を所定の第2電圧V2に設定する。
なお、第2電圧V2は、第1電圧V1よりも低い電圧であり、電動式ウォータポンプ40の吐出量は、第1電圧V1で駆動する場合よりも第2電圧V2で駆動する場合の方が少なくなる。
また、電子制御装置100は、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2以下である場合はステップS508へ進み、電動式ウォータポンプ40への電力供給を行うと共にポンプ駆動電圧を所定の第3電圧V3に設定する。
なお、第3電圧V3は、第2電圧V2よりも低い電圧であり、電動式ウォータポンプ40の吐出量は、第2電圧V2で駆動する場合よりも第3電圧V3で駆動する場合の方が少なくなる。つまり、第3電圧V3<第2電圧V2<第1電圧V1であり、「第3電圧V3を印加したときの吐出量」<「第2電圧V2を印加したときの吐出量」<「第1電圧V1を印加したときの吐出量」となる。
ここで、電子制御装置100は、冷却水温度TW1(シリンダヘッド11の温度、燃焼室の温度)を、第1設定温度SL1よりも低い第2設定温度SL2以下に下げることを目標として、電動式ウォータポンプ40の駆動電圧(換言すれば、吐出量)を制御するように構成されている。
そして、電子制御装置100は、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1以上である場合、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1未満である場合よりも高いポンプ駆動電圧(多い吐出量)を設定することで、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2以下にまで速やかに低下するようにする。
一方、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1未満でかつ第2設定温度SL2よりも高い状態にまで低下すると、電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40の駆動電圧(吐出量)を低下させて、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2付近にまで徐々に低下するようにする。
更に、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2以下に低下した場合は、シリンダヘッド11の過剰な温度低下を抑制するために、電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40の駆動電圧を更に低下させ、ヒータコア91での空調空気の加熱に必要な吐出量とする。
つまり、第1設定温度SL1、第1電圧V1、第2電圧V2及び第3電圧V3は、冷却水温度TW1を第2設定温度SL2以下にまで低下させる制御において、オーバーシュートの発生を抑制しつつ高い応答性で温度低下を実現でき、かつ、ヒータコア91に十分な冷却液を供給できるように適合される。
また、シリンダヘッド11の目標温度である第2設定温度SL2は、再始動状態におけるプレイグニッションやノッキングの発生を抑制できる上限温度に基づき適合される。
但し、駆動電圧の可変制御を行わずに、冷却水温度TW1が目標温度よりも高いか低いかに応じて、電動式ウォータポンプ40を駆動するか停止させるかを切り替える構成とすることができ、更に、ポンプ駆動電圧を図4及び図5のフローチャートに示した制御例よりも多段に切り替える構成とすることができる。
一方、電子制御装置100は、ステップS502で、ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されていない状態であることを検出すると、ステップS509へ進む。
ステップS509において、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ角度を、ヒータコア冷却液ライン(第3冷却液ライン、第3入口ポート33)、ラジエータ冷却液ライン(第1冷却液ライン、第4入口ポート34)、ブロック冷却液ライン(第2冷却液ライン、第1入口ポート31)、及び、動力伝達系冷却液ライン(第4冷却液ライン、第2入口ポート32)の全てが閉じる角度に制御する。
つまり、ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されていない状態では、シリンダヘッド11(ヘッド側冷却水通路61)を通過した冷却水をヒータコア91に向けて分流させ、ヒータコア冷却液ラインに冷却水を供給する必要はない。そこで、電子制御装置100は、ヒータコア冷却液ラインを含む全冷却液ラインを閉じるように、流量制御弁30のロータ角度を制御する。
次いで、電子制御装置100は、ステップS510へ進み、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1以上であるか否かを検出する。
そして、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1以上である場合、電子制御装置100は、ステップS511へ進み、電動式ウォータポンプ40への電力供給を行うと共にポンプ駆動電圧を所定の第4電圧V4に設定する。
ここで、第4電圧V4は、第1電圧V1と同等、若しくは、第1電圧V1よりも低い電圧とすることができる。
一方、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1未満である場合、電子制御装置100はステップS512へ進み、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2以下であるか否かを検出する。
ここで、冷却水温度TW1が第1設定温度SL1未満でかつ第2設定温度SL2よりも高い状態である場合、電子制御装置100は、ステップS513へ進み、電動式ウォータポンプ40への電力供給を行うと共にポンプ駆動電圧を所定の第5電圧V5に設定する。
第5電圧V5は、第4電圧V4よりも低い電圧であって、第2電圧V2と同等、若しくは、第2電圧V2よりも低い電圧とすることができる。
また、冷却水温度TW1が第2設定温度SL2以下である場合、電子制御装置100はステップS514へ進み、電動式ウォータポンプ40への電力供給を遮断し、電動式ウォータポンプ40を停止させる。
また、電子制御装置100は、ステップS501でアイドリングストップ要求がないことを検出した場合、つまり、内燃機関10が運転されていて機械式ウォータポンプ45が駆動される状態の場合、ステップS515へ進み、電動式ウォータポンプ40への電力供給を遮断し、電動式ウォータポンプ40を停止させる。
更に、電子制御装置100は、ステップS516へ進み、前述したように、内燃機関10の運転状態において冷却水温度TW1及び冷却水温度TW2に基づいて流量制御弁30のロータ角度、つまり、各冷却液ラインへの冷却水の供給量を制御する。
上記のように、内燃機関10がアイドリングストップ制御によって停止し、機械式ウォータポンプ45による冷却水の循環が停止するときに、電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40を駆動し、しかも、ブロック冷却液ライン(第2冷却液ライン)への冷却水の供給が停止するように流量制御弁30を制御するので、シリンダブロック12の過剰な温度低下を抑制しつつ、シリンダヘッド11の温度上昇を抑制することができる。
従って、シリンダヘッド11の温度が上昇した状態で再始動されてプレイグニッションやノッキングなど異常燃焼が発生することを抑制できる。
これにより、再始動性が向上すると共に、ノッキングを抑制するための点火時期の遅角要求を減少させることができ、内燃機関10の出力特性を向上させて燃費性能を改善できる。また、シリンダブロック12の温度低下によるフリクションの増大を抑制でき、これによっても燃費性能を改善できる。
また、ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されているか否かに応じて、ヒータコア91(ヒータコア冷却液ライン)に冷却水を供給するか否かを切り替えるので、アイドリングストップ中における空調性能(暖房性能)の低下を抑制できる。
また、ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されていない場合には、加熱要求がある場合に比べて電動式ウォータポンプ40の駆動電圧(吐出量)を低くすることで、アイドリングストップ中における電力消費を抑制できる。
なお、電子制御装置100は、ヒータコア91での空調空気の加熱が要求されているか否かを検出することはなく、ステップS503−ステップS508の各ステップ、又は、ステップS509−ステップS514の各ステップのいずれか一方を実施することができる。
ところで、アイドリングストップ要求に基づき、内燃機関10への燃料噴射、点火動作を停止させても直ちに内燃機関10の回転が停止することはなく、慣性力により機関回転速度は徐々に低下し、内燃機関10で駆動される機械式ウォータポンプ45の回転速度(吐出量)も徐々に低下することになる。
このため、アイドリングストップ要求が発生した直後(内燃機関10の停止制御を実施した直後)で、内燃機関10の回転速度がアイドリング回転速度に近い状態では、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の吐出量よりも多い状態を保持する場合がある。
係る状態での電動式ウォータポンプ40の駆動は、実質的に冷却水の循環に寄与しない無駄な駆動となり、アイドリングストップ中に電力を無駄に消費することになる。
また、アイドリングストップ要求に基づき、流量制御弁30のロータ角度を内燃機関10の停止状態での制御目標に切り替える制御を実施しても、流量制御弁30のロータ角度の変化には遅れがある。
このため、流量制御弁30の目標ロータ角度の切り替えに同期して電動式ウォータポンプ40を起動させると、流量制御弁30のロータ角度が実際に機関停止状態の目標角度に切り替わる前から電動式ウォータポンプ40を起動させることになり、機関停止中のシリンダヘッド11の温度上昇を抑制するという目的に寄与しない無駄なポンプ駆動になる可能性がある。
そこで、電子制御装置100が、内燃機関10の一時停止指令(アイドリングストップ要求の発生)から所定の遅延期間が経過した後に電動式ウォータポンプ40を起動するよう構成することができる。
図6のフローチャートは、電子制御装置100によって実施される、電動式ウォータポンプ40の起動の遅延処理の一例を示す。
電子制御装置100は、ステップS601でアイドリングストップ要求があるか否かを検出し、アイドリングストップ要求がない場合、つまり、内燃機関10が運転される状態では、電動式ウォータポンプ40を駆動する処理を行うことなく、本ルーチンを終了させることで、電動式ウォータポンプ40を停止状態に保持する。
一方、アイドリングストップ要求がある場合、電子制御装置100は、ステップS602へ進み、電動式ウォータポンプ40の駆動要求があるか否かを検出する。
ここで、図4及び図5のフローチャートのステップS505、ステップS507、ステップS508、ステップS511、ステップS513の処理を電子制御装置100が実施する条件であるときが、電動式ウォータポンプ40の駆動要求の発生状態である。
電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40の駆動要求がある場合、ステップS603へ進み、流量制御弁30のロータ角度を、内燃機関10の運転中の制御目標から内燃機関10の一時停止状態での制御目標に切り替える。
なお、内燃機関10の運転中におけるロータ角度の制御目標とは、図4のフローチャートのステップS516で決定される値であり、内燃機関10の一時停止状態におけるロータ角度の制御目標とはステップS503又はステップS509にて決定される値である。
次いで、電子制御装置100は、ステップS504へ進み、アイドリングストップ要求の立ち上がり(内燃機関10の停止処理の実施)からの経過時間が所定時間THT1に達したか否かを検出する。
ここで、電子制御装置100は、アイドリングストップ要求の立ち上がりからの経過時間が所定時間THT1未満であれば、ステップS604を迂回して本ルーチンを終了させることで、電動式ウォータポンプ40を駆動せずに停止状態に保持させる。
そして、電子制御装置100は、アイドリングストップ要求の立ち上がりからの経過時間が所定時間THT1に達すると、ステップS605へ進み、電動式ウォータポンプ40への通電を開始させる。
前記所定時間THT1は、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなる機関回転速度にまで低下するのに要する時間、及び/又は、流量制御弁30のロータ角度が一時停止状態での制御目標に変化するのに要する時間に基づいて、予め適合された時間である。
例えば、流量制御弁30のロータ角度が一時停止状態での制御目標に変化するのに要する時間よりも、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなる機関回転速度にまで低下するのに要する時間が長い場合、前記所定時間THT1を、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなる時間として設定する。
これにより、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の吐出量よりも多い状態で電動式ウォータポンプ40が起動されることを抑止し、かつ、流量制御弁30のロータ角度が一時停止状態での制御目標に変化する前に電動式ウォータポンプ40が起動されることを抑止でき、内燃機関10の停止状態での無駄な電力消費を抑制できる。
また、機械式ウォータポンプ45の回転が停止する前から電動式ウォータポンプ40を起動させることで、冷却水の循環量の落ち込みを抑制し、内燃機関10が停止するときの冷却性能の低下を抑制できる。
図7のタイムチャートは、電子制御装置100が、図6のフローチャートに従って電動式ウォータポンプ40の起動を制御したときの内燃機関10の回転速度、電動式ウォータポンプ40の駆動/停止、流量制御弁30のロータ角度などの相関を示す。
図7のタイムチャートにおいて、電子制御装置100は、時刻t1でアイドリングストップ要求が立ち上がると、流量制御弁30のロータ角度を、アイドリングストップ要求状態でヒータコア91での空調空気の加熱要求があるか否かによって決定される所定角度に切り替える。
その後、内燃機関10及び機械式ウォータポンプ45の回転速度は減少方向に変化するが、内燃機関10及び機械式ウォータポンプ45が停止する前の時刻t2にて、電子制御装置100は電動式ウォータポンプ40を起動させる。
時刻t2は、時刻t1から所定時間THT1だけ経過したタイミングであり、機械式ウォータポンプ45の回転速度が、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなる回転速度にまで低下することが見込まれるタイミング、及び/又は、流量制御弁30のロータ角度が一時停止状態での制御目標に変化するタイミングに基づいている。
そして、時刻t3にて、アイドリングストップ要求が解消し、内燃機関10が再始動されると、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ角度を、内燃機関10の一時停止中の制御目標から内燃機関10の運転中の制御目標に切替え、また、電動式ウォータポンプ40の駆動を停止する。
なお、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなる回転速度にまで低下することが見込まれるタイミングとして前記所定時間THT1を設定する場合は、電動式ウォータポンプ40を駆動させるときの駆動電圧の設定や、アイドリングストップ要求の立ち上がりタイミングにおける内燃機関10の回転速度などに応じて可変とすることができる。
即ち、電動式ウォータポンプ40の駆動電圧の設定が高い場合には、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなるのが早まるので、電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40の駆動電圧が高いほど前記所定時間THT1をより短い時間に変更することができる。
また、アイドリングストップ要求の立ち上がりタイミングにおける内燃機関10の回転速度が高いほど、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなるタイミングが遅くなるので、電子制御装置100は、アイドリングストップ要求の立ち上がりタイミングにおける内燃機関10の回転速度が高いほど前記所定時間THT1をより長い時間に変更することができる。
また、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなると見込まれるタイミングで、電動式ウォータポンプ40を起動させる場合、起動タイミングを、内燃機関10の回転速度に基づいて検出することができる。
つまり、ステップS604の処理を、内燃機関10の回転速度が所定回転速度THN1(0rpm<THN<アイドル回転速度)にまで低下したか否かの判定処理に変更し、内燃機関10の回転速度が所定回転速度THN1にまで低下したときにステップS605に進んで、電動式ウォータポンプ40を起動させる構成とすることができる。
ここで、所定回転速度THN1は、機械式ウォータポンプ45の吐出量が電動式ウォータポンプ40の設定吐出量よりも少なくなる回転速度に基づく値であり、固定値として与えることができる他、電動式ウォータポンプ40の駆動電圧が高いほどより高い回転速度に変更することができる。
ところで、アイドリングストップ要求の立ち上がりに同期して、流量制御弁30のロータ角度を内燃機関10の一時停止状態での制御目標に切り替える場合、内燃機関10の回転速度がスタータの回転速度付近にまで低下する前に発進要求が生じると、内燃機関10は直ぐに再始動されるのに、流量制御弁30のロータ角度が内燃機関10の運転状態での制御目標に戻るのが遅れてしまう場合がある。
このような発進要求(再始動要求)に対する流量制御弁30の応答遅れを抑制するために、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ角度の切り替え制御の開始を、アイドリングストップ要求の立ち上がりから遅らせることができる。
図8のフローチャートは、アイドリングストップ要求の立ち上がりに対して流量制御弁30のロータ角度の切り替え制御の開始を遅らせる処理の一例を示す。
電子制御装置100は、ステップS701でアイドリングストップ要求があるか否かを検出し、アイドリングストップ要求がない場合、つまり、内燃機関10が運転される状態では、電動式ウォータポンプ40を駆動する処理を行うことなく、本ルーチンを終了させることで、電動式ウォータポンプ40を停止状態に保持する。
一方、アイドリングストップ要求がある場合、電子制御装置100は、ステップS702へ進み、電動式ウォータポンプ40の駆動要求があるか否かを、前記ステップS602と同様に検出する。
電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40の駆動要求がある場合、ステップS703へ進み、内燃機関10の回転速度が所定速度THN(0rpm<THN<アイドル回転速度)にまで低下したか否かを検出する。
そして、内燃機関10の回転速度が所定速度THNよりも高い場合には、電子制御装置100は、ステップS704及びステップS705を迂回して本ルーチンを終了させることで、電動式ウォータポンプ40を停止状態に保持させる。
一方、内燃機関10の回転速度が所定速度THNにまで低下すると、電子制御装置100は、ステップS704に進み、内燃機関10の回転速度が所定速度THNに達した時点からの経過時間が所定時間THT2に達したか否かを検出する。
ここで、内燃機関10の回転速度が所定速度THNに達した時点からの経過時間が所定時間THT2未満であれば、電子制御装置100は、ステップS705を迂回して本ルーチンを終了させることで、電動式ウォータポンプ40を停止状態に保持させる。
一方、内燃機関10の回転速度が所定速度THNにまで低下した時点からの経過時間が所定時間THT2に達すると、電子制御装置100は、ステップS705に進み、電動式ウォータポンプ40への通電を開始させる。
上記の電動式ウォータポンプ40の駆動制御における所定速度THNは、例えば、スタータの回転速度に基づく値であり、内燃機関10の回転速度が所定速度THNにまで低下した場合には、発進要求が発生したとしても(スタータが起動されたとしても)内燃機関10が停止状態にまで至るものと推定される回転速度である。
つまり、内燃機関10の回転速度が所定速度THNにまで低下してから流量制御弁30のロータ角度を機関停止状態での目標に向けて制御すれば、仮に、直後に発進要求が発生しても、実際に内燃機関10が再始動されるまでには時間的な余裕があり、機関停止状態に適合するロータ角度の状態で内燃機関10が運転されることを抑制できる。
更に、流量制御弁30のロータ角度を機関停止状態での目標にするための制御を開始してから、実際に流量制御弁30のロータ角度が切り替わるのに要する時間として、所定時間THT2の遅延時間を設け、この遅延時間が経過してから電動式ウォータポンプ40を起動させることで、流量制御弁30のロータ角度を機関停止状態での目標に切り替わる前から電動式ウォータポンプ40が起動されることを抑制できる。
図9のタイムチャートは、電子制御装置100が、図8のフローチャートに従って流量制御弁30のロータ角度の切り替え及び電動式ウォータポンプ40の起動を制御したときの内燃機関10の回転速度、電動式ウォータポンプ40の駆動/停止、流量制御弁30のロータ角度などの相関を示す。
図9において、時刻t1でアイドリングストップ要求が立ち上がるが、電子制御装置100は、このタイミングでは流量制御弁30のロータ角度の切り替え制御及び電動式ウォータポンプ40の起動は行わない。
その後時刻t2にて、内燃機関10の回転速度が所定速度THNにまで低下すると、電子制御装置100は、流量制御弁30のロータ角度を、アイドリングストップ要求状態でヒータコア91での空調空気の加熱要求があるか否かによって決定される所定角度に切り替える制御を実施する。
そして、流量制御弁30の制御を実施した時刻t2から所定時間THT2が経過した時刻t3、つまり実際に流量制御弁30のロータ角度が切り替わったと見込まれる時点で、電子制御装置100は、電動式ウォータポンプ40が起動される。
なお、内燃機関10の回転速度が所定速度まで低下したときに流量制御弁30のロータ角度の切り替えを実施し、その後、内燃機関10の回転速度が更に低い所定速度まで低下したタイミングで電動式ウォータポンプ40を起動させることができる。
また、電動式ウォータポンプ40の駆動電圧を目標電圧にまで段階的に増加させる構成とすることができる。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、流量制御弁30は、ロータ式に限定されるものではなく、例えば、電気式アクチュエータによって弁体を直線運動させる構造の流量制御弁を用いることができる。
また、第4冷却水配管74(第3冷却液ライン、ヒータコア冷却液ライン)に、ヒータコア91のみを配置する構成とすることができ、また、第4冷却水配管74(第3冷却液ライン、ヒータコア冷却液ライン)に、ヒータコア91と共に、EGRクーラ92、排気還流制御弁93、スロットルバルブ94のうちの1つ乃至2つを配置する構成とすることができる。
また、ブロック側冷却水通路62とヘッド側冷却水通路61とを内燃機関10内で接続する通路を設けずに、ブロック側冷却水通路62の入口をシリンダブロック12に形成し、第7冷却水配管77を途中で2つに分岐させ、一方をヘッド側冷却水通路61に接続させ、他方をブロック側冷却水通路62に接続させる配管構造とすることができる。
また、第1−第4冷却液ラインのうちの第4冷却液ライン(動力伝達装置ライン、変速機ライン、オイルウォーマーライン)を省略した冷却装置とすることができる。
また、第2冷却液ライン(ブロック冷却液ライン)にオイルクーラー16が配置されない構造とすることができる。
また、アイドリングストップ中にシリンダヘッド11を冷却するときに、シリンダヘッド11を通過した冷却水の全量又は一部がラジエータ50を経由して電動式ウォータポンプ40に戻される一方、シリンダブロック12への冷却水の供給を停止できるように、流量制御弁30の流路切替え特性を設定することができる。
また、電動式ウォータポンプ40を、機械式ウォータポンプ45の下流側で内燃機関10よりも上流側の第7冷却水配管77に配置したり、第8冷却水配管78が接続される部分よりも下流側で機械式ウォータポンプ45よりも上流側の第6冷却水配管76に配置したりすることができる。
なお、電動式ウォータポンプ40を、冷却水の流量が比較的少ないバイパスラインに配置することで、機械式ウォータポンプ45の稼働状態において電動式ウォータポンプ40が通水抵抗となることを抑制できる。
更に、内燃機関10の運転中、例えば、内燃機関10の回転速度が所定速度以下であるときに、電動式ウォータポンプ40を駆動させて、機械式ウォータポンプ45による吐出量の不足を、電動式ウォータポンプ40で補う構成とすることができる。
また、運転者による内燃機関10の停止操作から所定期間だけ、電動式ウォータポンプ40を駆動し、流量制御弁30のロータ角度を制御する構成とすることができる。
また、内燃機関10は車両の駆動源として用いられる機関に限定されるものではなく、冷却水には不凍液が含まれるものとする。
また、流量制御弁30は、図2に示した最大角度の状態(各入口ポートの開口面積が最大となる角度)がデフォルト角度となるように弾性部材によって回転方向に付勢されるよう構成し、係るデフォルト角度から電動アクチュエータにより弾性部材の付勢力に抗してロータを回転させる構成とすることができる。
10…内燃機関、11…シリンダヘッド、12…シリンダブロック、16…オイルクーラー、20…変速機(動力伝達装置)、21…オイルウォーマー、30…流量制御弁、31−34…入口ポート、35…出口ポート、40…電動式ウォータポンプ、45…機械式ウォータポンプ、50…ラジエータ、61…ヘッド側冷却水通路、62…ブロック側冷却水通路、71…第1冷却水配管、72…第2冷却水配管、73…第3冷却水配管、74…第4冷却水配管、75…第5冷却水配管、76…第6冷却水配管、77…第7冷却水配管、78…第8冷却水配管、81…第1温度センサ、82…第2温度センサ、91…ヒータコア、92…EGRクーラ、93…排気還流制御弁、94…スロットルバルブ、100…電子制御装置

Claims (15)

  1. 内燃機関のシリンダヘッド及びラジエータを経由しシリンダブロックを迂回する第1冷却液ラインと、
    前記シリンダブロックを経由し前記ラジエータを迂回する第2冷却液ラインと、
    を含む複数の冷却液ラインを備えると共に、
    前記複数の冷却液ラインそれぞれの出口が接続される複数の入口ポートを有し、前記複数の冷却液ラインそれぞれへの冷却液の供給量を制御する電動式の流量制御弁と、
    前記シリンダヘッドと前記ラジエータとの間の前記第1冷却液ラインから分岐し、前記ラジエータを迂回して前記流量制御弁の出口ポート側に合流するバイパスラインと、
    前記内燃機関を駆動源として冷却液を循環させる機械式ウォータポンプと、
    モータを駆動源として冷却液を循環させる電動式ウォータポンプと、
    を備える、内燃機関の冷却装置。
  2. 前記複数の冷却液ラインとして、更に、前記シリンダヘッド及びヒータコアを経由し前記ラジエータを迂回する第3冷却液ラインを含む、請求項1記載の内燃機関の冷却装置。
  3. 前記複数の冷却液ラインとして、更に、前記シリンダヘッド及び前記内燃機関の動力伝達装置を経由し前記ラジエータを迂回する第4冷却液ラインを含む、請求項2記載の内燃機関の冷却装置。
  4. 前記流量制御弁の出口ポートと前記機械式ウォータポンプの吸込口とが接続され、前記バイパスラインの出口が前記流量制御弁の出口ポートと前記機械式ウォータポンプの吸込口との間に合流し、前記電動式ウォータポンプが前記バイパスラインに配設される、請求項1から3のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
  5. 前記シリンダヘッドの出口での冷却液の温度を検出する第1温度センサと、前記シリンダブロックの出口での冷却液の温度を検出する第2温度センサと、を備える、請求項1から4のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
  6. 前記流量制御弁は、流路の切替えパターンとして、前記複数の入口ポートを全て閉じるパターンと、前記第3冷却液ラインが接続される入口ポートを開き他の入口ポートを閉じるパターンと、前記第2冷却液ラインが接続される入口ポート及び前記第3冷却液ラインが接続される入口ポートを開き他の入口ポートを閉じるパターンと、前記複数の入口ポートを全て開くパターンとを含む、請求項2記載の内燃機関の冷却装置。
  7. 前記流量制御弁は、流路の切替えパターンとして、前記複数の入口ポートを全て閉じるパターンと、前記第3冷却液ラインが接続される入口ポートを開き他の入口ポートを閉じるパターンと、前記第2冷却液ラインが接続される入口ポート及び前記第3冷却液ラインが接続される入口ポートを開き他の入口ポートを閉じるパターンと、前記複数の入口ポートを全て開くパターンと、前記第1冷却液ラインが接続される入口ポートを閉じ他の入口ポートを開くパターンとを含む、請求項3記載の内燃機関の冷却装置。
  8. 前記内燃機関の一時停止状態において、前記電動式ウォータポンプを動作させると共に、前記流量制御弁を、前記複数の入口ポートを全て閉じるパターン又は前記第3冷却液ラインが接続される入口ポートを開き他の入口ポートを閉じるパターンに制御する、請求項6又は7記載の内燃機関の冷却装置。
  9. 前記ヒータコアにおける熱交換要求がある場合に、前記流量制御弁を、前記第3冷却液ラインが接続される入口ポートを開き他の入口ポートを閉じるパターンに制御し、前記ヒータコアにおける熱交換要求がない場合に、前記流量制御弁を、前記複数の入口ポートを全て閉じるパターンに制御する、請求項8記載の内燃機関の冷却装置。
  10. 前記内燃機関の一時停止状態において、前記電動式ウォータポンプを動作させ、前記複数の冷却液ラインへの冷却液の供給量が前記内燃機関の一時停止前よりも減少するように前記流量制御弁を制御する、請求項1から3のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
  11. 前記内燃機関の一時停止状態において、前記電動式ウォータポンプを動作させ、前記複数の冷却液ラインのうち前記第3冷却液ライン以外の冷却液ラインへの冷却液の供給量が前記内燃機関の一時停止前よりも減少するように前記流量制御弁を制御する、請求項2又は3記載の内燃機関の冷却装置。
  12. 前記内燃機関の一時停止状態において、前記電動式ウォータポンプを動作させ、前記ヒータコアにおける熱交換要求があるときに前記複数の冷却液ラインのうち前記第3冷却液ライン以外の冷却液ラインへの冷却液の供給量が前記内燃機関の一時停止前よりも減少するように前記流量制御弁を制御し、前記ヒータコアにおける熱交換要求がないときに前記複数の冷却液ラインへの冷却液の供給量が前記内燃機関の一時停止前よりも減少するように前記流量制御弁を制御する、請求項2又は3記載の内燃機関の冷却装置。
  13. 前記内燃機関の一時停止状態において、前記シリンダヘッドの温度が高いほど前記電動式ウォータポンプの吐出量を増加させる、請求項8から12のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
  14. 前記内燃機関の一時停止状態において、前記ヒータコアにおける熱交換要求がある場合、熱交換要求がない場合よりも前記電動式ウォータポンプの吐出量を増加させる、請求項8から13のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
  15. 前記内燃機関の一時停止指令から所定の遅延期間が経過した後に前記電動式ウォータポンプを起動させる、請求項8から14のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
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