JP2015178571A - 含水性コンタクトレンズ用インク組成物 - Google Patents

含水性コンタクトレンズ用インク組成物 Download PDF

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Ryo Matsushita
良 松下
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Koji Otani
浩二 大谷
安藤 一郎
Ichiro Ando
一郎 安藤
寿夫 河野
Toshio Kono
寿夫 河野
直毅 平田
Naoki Hirata
直毅 平田
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Abstract

【課題】インクジェット印刷等の公知の印刷手法に従って、コンタクトレンズへ印刷(着色)した後に、重合工程や付着工程等といった煩雑な処理が必要とされず、また、印刷(着色)された含水性コンタクトレンズからの着色剤の溶出が効果的に抑制される、含水性コンタクトレンズ用インク組成物を提供すること。
【解決手段】所定の構造式で表わされる、非重合性化合物を着色剤として用いて、含水性コンタクトレンズ用インク組成物を構成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、含水性コンタクトレンズ用インク組成物に関するものである。
従来より、含水性コンタクトレンズを始めとする各種の眼用レンズにおいては、その一部に着色を施すことにより、所望とする文字を記したり、或いは模様を描くこと等が行なわれている。これらは、インクジェット印刷によって実施されることが多く、従来より、眼用レンズに対してインクジェット印刷を実施する際に用いられるインク組成物等について、様々な研究が為されている。
例えば、特許文献1(特開2009−73922号公報)においては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、1つのビニル基を有するビニルエーテル、着色剤からなる透明性合成樹脂への印刷に適したインク組成物が提案されている。かかるインク組成物にあっては、アクリル系樹脂等の透明性合成樹脂からなるコンタクトレンズ等に印刷され、重合せしめることによって、コンタクトレンズ等に明瞭な着色を施すことが出来るとされている。
また、特許文献2(特開平8−194191号公報)においては、膨潤状態のソフトコンタクトレンズに、発色成分としてモノマーあるいはポリマー中の水酸基等と共有結合を形成し得る反応染料を含有する染料溶液を所望の形状に浸透または付着させた後、カチオン化合物を含む水溶液中に浸漬して発色成分をコンタクトレンズ基材に固着させることを特徴とする着色コンタクトレンズの製造方法が、提案されている。そして、かかる製造方法に従うことにより、レンズへのダメージが小さく、かつ煮沸消毒処理等によっても退色などの変化をきたさないような堅牢な着色コンタクトレンズが得られる、とされている。
しかしながら、上記した特許文献1及び特許文献2に開示の技術にあっては、何れも、コンタクトレンズ表面へのインク組成物(染料溶液)の印刷の後に、重合工程や固着工程といった煩雑な処理が必要であり、それらの工程を含むことにより、着色コンタクトレンズの製造コストが必然的に上昇するという問題がある。
一方、反応性基を有する着色剤(染料)を含むインク組成物は、経時変化や、周辺環境による成分変化が生じ易いため、そのようなインク組成物をインクジェット式印刷装置に使用すると、インクジェットヘッドの目詰まりが生じ、印刷の品質低下を招く恐れがある。
加えて、コンタクトレンズは、その周囲が涙液で覆われた状態で眼球に装着されるのであり、着色剤が涙液中に溶出すると、溶出した着色剤によってコンタクトレンズ装用者に対して悪影響を与える恐れがある。
特開2009−73922号公報 特開平8−194191号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、コンタクトレンズへの印刷後に、重合工程等の煩雑な処理が必要とされず、また、印刷(着色)された含水性コンタクトレンズからの着色剤の溶出が効果的に抑制される、含水性コンタクトレンズ用インク組成物を提供することにある。
そして、本発明は、かかる課題を解決すべく、下記一般式(I)で表わされる着色剤を含む含水性コンタクトレンズ用インク組成物を、その要旨とするものである。
Figure 2015178571
(上記一般式(I)中、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立して、水素原子、
置換若しくは非置換の芳香族残基、又は下記一般式(II)で表わされる原子団であ
る。但し、R1 、R2 及びR3 のうちの少なくとも一つは、下記一般式(II)で表
わされる原子団である。)
Figure 2015178571
(上記一般式(II)中、R4 及びR5 は、それぞれ独立して、水素原子、ホルミ ル基、炭素数が1〜20のアシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、又は下 記一般式(III )で表わされる原子団であり、Xは、置換又は非置換のナフタレン 環若しくはベンゾカルバゾール環であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭 素数が1〜5のアルコキシ基である。)
Figure 2015178571
(上記一般式(III )中、R6 は、炭素数が1〜20の脂肪族炭化水素若しくは脂 環式炭化水素、炭素数が6〜20の芳香族炭化水素、メタクリロイルオキシアルキ ル基、又はアクリロイルオキシアルキル基である。)
なお、本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物の、好ましい第一の態様においては、前記着色剤が有機溶媒に溶解して、構成されている。
また、本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物における、好ましい第二の態様においては、前記有機溶媒の、80℃での蒸気圧が760mmHg以下である。
さらに、本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物における、好ましい第三の態様においては、前記有機溶媒が水溶性である。
加えて、本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物における、好ましい第四の態様においては、前記有機溶媒がN−メチル−2−ピロリドン及び/又は2−ピロリドンである。
このように、本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物にあっては、着色剤として特定の構造を呈するものを用いて、構成されるものである。そのような特定の着色剤を含む本発明に係る含水性コンタクトレンズ用インク組成物にあっては、コンタクトレンズ表面への印刷の後、重合工程等の煩雑な処理が不要となるのである。
また、そのような着色剤は、含水性コンタクトレンズ内に一度、取り込まれると、その後、コンタクトレンズ外へ容易に溶出乃至は析出するものでないところから、例えば、本発明のインク組成物を用いて着色された含水性コンタクトレンズの装用者に対して、着色剤による悪影響を与える恐れが極めて低いものとなるのである。
ところで、本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物は、下記一般式(I)で表わされる着色剤を含むものである。含水性コンタクトレンズ用インク組成物において、下記一般式(I)で表わされる如き、特定の構造を有する非重合性着色剤を採用することにより、本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物においては、コンタクトレンズ表面への印刷後に、重合工程等の煩雑な処理が必要とされないのである。尚、以下において、含水性コンタクトレンズとは、レンズ形状を呈する重合体を水和せしめて含水状態(膨潤状態)にあるもののみならず、水和せしめる前の非含水状態(非膨潤状態)にあるものをも意味するものである。また、重合体作製直後の、水和せしめる前の非含水状態(非膨潤状態)にある含水性コンタクトレンズを、レンズ前駆体と表現する場合もある。
Figure 2015178571
上記一般式(I)において、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換の芳香族残基、又は下記一般式(II)で表わされる原子団である。但し、R1 、R2 及びR3 のうちの少なくとも一つは、下記一般式(II)で表わされる原子団である。
Figure 2015178571
上記一般式(II)中、R4 及びR5 は、それぞれ独立して、水素原子、ホルミル基、炭素数が1〜20のアシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、又は下記一般式(III )で表わされる原子団であり、Xは、置換又は非置換のナフタレン環若しくはベンゾカルバゾール環であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1〜5のアルコキシ基である。
Figure 2015178571
上記一般式(III )中、R6 は、炭素数が1〜20の脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素、炭素数が6〜20の芳香族炭化水素、メタクリロイルオキシアルキル基、又はアクリロイルオキシアルキル基である。
このような構造を有する、本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物にて使用される着色剤は、従来より公知の方法により、合成することが可能である。本発明にて用いられる着色剤は、例えば、以下の手法に従って合成される。
先ず、所定のニトロ基含有化合物(出発物質)中のニトロ基を、従来より公知の手法に従って還元し、得られる還元物と、酸無水物、酸クロライド又はモノイソシアネートとを反応させて、カップラーを合成する。
ここで、出発物質として使用されるニトロ基含有化合物としては、3−ヒドロキシ−3’−ニトロ−2−ナフトアニリド(慣用名:ナフトールAS−BS)、3−ヒドロキシ−7−メトキシ−N−(3−ニトロフェニル)ナフトアミド、6−ヒドロキシ−N−(3−ニトロフェニル)ナフトアミド、1−ヒドロキシ−N−(3−ニトロフェニル)ナフトアミド、6−ヒドロキシ−N−(2−ニトロフェニル)−2−ナフトアミド等のN−ニトロフェニル−ヒドロキシ−ナフトアミド類似体等を、例示することが出来る。また、それらN−ニトロフェニル−ヒドロキシ−ナフトアミド類似体の還元は、例えば、鉄触媒の存在下において、N−ニトロフェニル−ヒドロキシ−ナフトアミド類似体と濃塩酸とを反応させることにより、実施可能である。
また、ニトロ基含有化合物(出発物質)の還元物と反応せしめられる酸無水物としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物やイソ酪酸無水物等を例示することが出来る。また、出発物質の還元物と反応せしめられる酸クロライドとしては、一般式:RCOCl(但し、Rは炭素数が2〜17のアルキル基である。)で表わされる化合物、より具体的には、プロピオン酸クロライド、バレリル酸クロライドやステアリン酸クロライド等の他、o−トルイル酸クロライドやm−トルイル酸クロライド等を例示することが出来る。更に、出発物質の還元物と反応せしめられるモノイソシアネートとしては、メチルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、オクタデカイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネートやフェニルイソシアネート等を、例示することが出来る。
上述の如くしてカップラーを準備する一方で、所定のアミンを、酸性水溶液(例えば塩酸)中にて亜硝酸塩等と作用させることにより、ジアゾニウム塩を合成する。ここで使用されるアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノトリフェニルアミン、4−アミノジフェニルアミンや4,4’、4’’−トリアミノトリフェニルアミン等を、例示することが出来る。
そして、得られたカップラーとジアゾニウム塩とを反応させることにより、目的とする着色剤が得られるのである。
本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物において使用される着色剤としては、例えば、下記構造式(a)〜(o)で示される化合物を挙げることが出来る。
Figure 2015178571
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なお、上述の如き着色剤の、本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物における配合割合は、印刷方法や、被印刷物である含水性コンタクトレンズの種類等に応じて適宜に決定される。例えば、後述する有機溶媒を用いて、液状の含水性コンタクトレンズ用インク組成物を調製する場合には、有機溶媒の100重量部に対して、0.02〜5重量部の量的割合において、好ましくは0.1〜2重量部の量的割合において、着色剤が配合される。着色剤の配合量が少なすぎると、印刷箇所の視認性が充分に確保され得ない恐れがある。その一方、着色剤の配合量を多くすると、印刷箇所の視認性の確保は容易となるものの、配合量が多すぎると、例えば加熱によってインク組成物をコンタクトレンズ内に浸透させる際に、必要とされる加熱時間が長くなり、その結果、コンタクトレンズに悪影響を与える恐れや、着色剤がレンズ内に完全に浸透せず、レンズ表面に着色剤が残存する恐れがある。
本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物は、従来のインク組成物と同様に、一般には、上述の如き着色剤を各種溶媒に添加し、着色剤を溶解乃至は分散せしめることによって調製される。本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物を調製する際に使用される溶媒としては、着色剤を効果的に溶解乃至は分散せしめることが可能なものであれば、如何なるものであっても使用可能である。
そのような溶媒の中でも、本発明においては、有機溶媒が好ましく、より好ましくは、80℃での蒸気圧が760mmHg以下の有機溶媒であり、80℃での蒸気圧が760mmHg以下であって、且つ、水溶性を示す有機溶媒が、最も好ましい。この、80℃での蒸気圧が760mmHg以下であって、且つ、水溶性を示す有機溶媒を使用することにより、以下の効果を享受することが可能である。
1)有機溶媒の揮発性が低いために、経時変化や環境変化等によるインク組成物の成分変 化が生じ難くなり、例えば、調製から時間が経過したインク組成物をインクジェット式 印刷装置に用いた場合にあっても、かかる印刷装置における目詰まりの発生を効果的に 抑制し得る。
2)含水性コンタクトレンズは、通常、所望とする形状を呈する重合体(レンズ前駆体) を作製後、かかるレンズ前駆体に対して水和処理を施して、前駆体を膨潤させることに よって製造されている。例えば、本発明に係るインク組成物を用いて、レンズ前駆体に 対して加熱を伴う印刷処理(着色処理)を施す場合、かかる加熱の際に、揮発性の低い 有機溶媒は、レンズ表面より揮発することなく、着色剤のレンズ前駆体内へ浸透に大き く寄与する。また、加熱を伴う印刷処理(着色処理)後のレンズ前駆体に対して、水和 処理を施すと、かかる水和処理において、着色剤は溶出することなくレンズ前駆体内に 止まる一方で、レンズ前駆体内に着色剤と共に浸透した有機溶媒は、水和処理のための 水と置換され、前駆体の外部へ効果的に排出されることとなり、その結果、水和処理に よって得られる含水性コンタクトレンズが、眼球に対して悪影響を与える恐れがある有 機溶媒が効果的に排除されるものとなる。
本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物において、使用可能な有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、リン酸トリエチル、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ε−カプロラクタム等を、例示することが出来、これらのうちの一種、又は二種以上のものを適宜に選択して、使用することが出来る。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが好ましく、最も好ましくはN−メチル−2−ピロリドン及び/又は2−ピロリドンである。
なお、本発明に係る含水性コンタクトレンズ用インク組成物においては、従来のコンタクトレンズ用インク組成物を調製する際に用いられる他の成分であっても、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、使用することが出来る。そのような成分としては、増粘剤を例示することが出来る。また、本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物には、上述した着色剤以外にも、従来より公知の重合性の着色剤(重合性色素)を配合することが可能であり、重合性着色剤(重合性色素)を用いる場合には、重合性モノマーを併せて配合することが可能である。
そのような重合性モノマーとしては、例えば、国際公開第2005/116728号の第15頁に例示された親水性モノマーや、国際公開第2004/063795号の第15頁、20〜21頁及び23〜24頁に例示されたピロリドン誘導体、N−置換アクリルアミド及び親水性モノマー等を、挙げることが出来る。
より具体的に、重合性着色剤(重合性色素)と併用される重合性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(アルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;エチレングリコールアリルエーテル;エチレングリコールビニルエーテル;(メタ)アクリル酸;アミノスチレン;ヒドロキシスチレン;酢酸ビニル;グリシジル(メタ)アクリレート;アリルグリシジルエーテル;プロピオン酸ビニル;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム等のN−ビニルラクタム;N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニルフタルイミド等のN−ビニルアミド;1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−i−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−i−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−t−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン等の、重合性基がメチレン基であるピロリドン誘導体等を、例示することが出来る。なお、上記記載において、「・・(メタ)アクリレート」なる表記は「・・アクリレート」及び「・・メタクリレート」を含む総称として、また、「・・(メタ)アクリル・・」なる表記は「・・アクリル・・」及び「・・メタクリル・・」を含む総称として、各々、用いられていることが理解されるべきである。
尤も、本発明の含水性コンタクトレンズ用インク組成物にあっては、上述した着色剤及び有機溶媒のみから構成されるものであることが望ましい。けだし、上述した着色剤及び有機溶媒のみを用いてインク組成物を構成し、かかるインク組成物を後述する印刷処理(着色処理)に供すると、含水性コンタクトレンズ表面におけるインク組成物の残渣を効果的に低減することが可能となるからである。また、本発明のインク組成物は、含水性コンタクトレンズであれば、如何なるものに対しても使用することが可能である。
ところで、本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物を用いた、含水性コンタクトレンズに対する印刷処理(着色処理)は、有利には、以下の手順に従って実施される。
先ず、本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物を、乾燥状態(非膨潤状態)にある含水性コンタクトレンズの前駆体(レンズ前駆体)の表面に付着させる。インク組成物をレンズ前駆体の表面に付着させる方法としては、液状のインク組成物をレンズ前駆体表面に塗布する方法等、従来より公知の方法を使用することが可能である。特に、インク組成物をレンズ前駆体表面に塗布する方法としては、例えば、パッド印刷方法、スクリーン印刷方法、インクジェット式印刷装置を用いる方法等を、挙げることが出来る。これらの中で、所望の文字や数字、虹彩模様等の図形のパターン(以下、本段落において文字等と総称する。)を簡便に印刷できる観点から、インクジェット式印刷装置を用いることが特に好ましい。インクジェット式印刷装置は、液状のインク組成物を、非常に微細な液滴としてレンズ表面に噴霧するものであり、表面に着弾した液滴は一つのドットを形成し、このドットの集まりによって、所望とする文字等が形成される。一般に、小さなドットが高密度で集合してなる文字等は、鮮鋭なコントラストを与え、優れた視認性を発揮する。インクジェット式印刷装置にて印字、描画する際、液滴の大きさ、液滴が着弾する地点などは、コンピューター等によって正確に制御することが可能であり、コンピューターのプログラムを変更することによって、文字等の形や大きさを容易に変更することが可能である。このように、インクジェット式印刷装置を用いた塗布方法は、非常に生産性が高く、また一定した高品質の印刷ができるという優れた利点を有する。更に、インクジェット式印刷装置によれば、塗布される液滴が微細であり、レンズへ着弾した際の界面面積に比して液滴量が少ないので、より迅速に、レンズ前駆体に浸透し易くなる。従って、インクジェット式印刷装置は、上記した利点以外に、レンズ表面への着色剤の析出や残渣の発生をより低減させて、着色剤をレンズ内部へ浸透させることが可能ならしめられ、この点においても、非常に有利な方法である。
なお、本発明においては、従来より公知の各種インクジェット式印刷装置の何れであっても、使用することが可能である。代表的なインクジェット式印刷装置は、インク組成物供給系とピエゾ素子等の圧電素子を備えたノズルから構成された吐出装置とからなり、圧電素子に電圧を負荷することによって生じる振動で、インク組成物を微細な液滴として、ノズルから吐出する機構を有している。所望の液滴を吐出できるものである限り、何れのインクジェット式印刷装置であっても好適に用いることができる。なお、ノズルは、単一であっても、複数であっても構わない。
本発明のインク組成物をレンズ前駆体の表面に付着するために要する時間は、インク組成物を接触させる方法や、印刷面積やその形状等によって変化することとなるが、例えば、インクジェット式印刷装置を用いる場合、通常、数秒〜10分程度である。
次いで、本発明のインク組成物が付着せしめられたレンズ前駆体に対して、加熱処理が施される。この加熱処理によって、インク組成物を構成する着色剤及び溶媒が、効果的にレンズ前駆体内に浸透するのである。
ここで、上記加熱処理は、90〜130℃の加熱温度において、好ましくは数秒〜1分程度の加熱時間にて、より好ましくは5〜30秒の加熱時間にて、実施される。加熱温度が低すぎたり、加熱時間が短すぎると、加熱処理の効果を享受し得ない恐れがあり、その一方、加熱温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎると、レンズ前駆体が変形、変質等する恐れがあるからである。なお、本発明における加熱処理は、コンタクトレンズの加熱方法として従来より公知の方法の何れかに従って、実施することが可能である。
加熱処理が施されたレンズ前駆体に対しては、必要に応じて、レンズ内に侵入(浸透)した溶媒の除去処理が施される。尤も、上記したように、所定の有機溶媒を用いてインク組成物を構成することにより、この除去処理は不要である。
そして、以上の処理が施されたレンズ前駆体に対して、従来と同様の手法に従って水和処理を施すことにより、着色された含水性コンタクトレンズが得られることとなるのである。また、上記の如き、所定の有機溶媒を含むインク組成物を用いた場合には、この水和処理の際に、着色剤は溶出することなくレンズ前駆体内に止まる一方で、レンズ前駆体内に着色剤と共に浸透した有機溶媒は、水和処理のための水と置換され、前駆体の外部へ効果的に排出されることとなる。
以上の如くして得られた、本発明のインク組成物を用いて着色された含水性コンタクトレンズにあっては、着色剤がレンズ内に効果的に保持され、その結果、かかる含水性コンタクトレンズの装用者に対して、着色剤による悪影響を与える恐れが極めて低いものとなっているのである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、下記表1に示す配合組成に従い、各成分を配合してなる含水性コンタクトレンズ用インク組成物を24種類、調製した(実施例1〜実施例16、比較例1〜比較例8)。なお、下記表1における着色剤A〜着色剤Dは、各々、以下に示す着色剤(化合物)を表わしている。
・着色剤A:上記構造式(a)で示される化合物
・着色剤B:上記構造式(b)で示される化合物
・着色剤C:上記構造式(c)で示される化合物
・着色剤D:上記構造式(d)で示される化合物
調製した各インク組成物を、ピエゾ式インクジェット式印刷装置を用いて、分子中にシリコーン基を含有する含水性ソフトコンタクトレンズの外面側の表面に、ドットで構成された所定のパターンを形成するように、インク組成物を印刷(塗布)した。なお、インク組成物の印刷は、乾燥状態(非膨潤状態)にある含水性ソフトコンタクトレンズに対して行なった。
上記印刷(塗布)の後、コンタクトレンズを、約90℃で15秒間、加熱し、インク組成物をコンタクトレンズに浸透させた。このようにして得られた、インク組成物が浸透したコンタクトレンズを試料として用いて、以下の実験を行ない、各試料について評価した。それら評価結果を、下記表1に示す。
−耐オートクレーブ性の評価−
試料に対して、生理食塩水中にて、121℃で20分間の高圧蒸気滅菌処理を施し、かかる処理後の試料の外面側表面を肉眼で観察して、印刷(塗布)したパターンの視認性を以下の基準に従って評価した。
○:パターンのラインを明確に識別でき、視認性は良好である。
×:パターンのラインが不明確であり、視認性は不良である。
−耐油性の評価−
試料を、室温下、約2mLの眼脂成分(ワックスエステル)中に約24時間、浸漬せしめ、かかる浸漬後の試料の外面側表面を肉眼で観察して、印刷(塗布)したパターンの視認性を以下の基準に従って評価した。
○:パターンのラインを明確に識別でき、視認性は良好である。
×:パターンのラインが不明確であり、視認性は不良である。
Figure 2015178571
かかる表1の結果からも明らかなように、本発明に従う含水性コンタクトレンズ用インク組成物にあっては、それを用いて着色されたコンタクトレンズより、着色剤が外部へ容易に溶出乃至は析出するものでないことが、認められたのである。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表わされる着色剤を含む含水性コンタクトレンズ用インク組成物。
    Figure 2015178571
    (上記一般式(I)中、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立して、水素原子、
    置換若しくは非置換の芳香族残基、又は下記一般式(II)で表わされる原子団であ
    る。但し、R1 、R2 及びR3 のうちの少なくとも一つは、下記一般式(II)で表
    わされる原子団である。)
    Figure 2015178571
    (上記一般式(II)中、R4 及びR5 は、それぞれ独立して、水素原子、ホルミ ル基、炭素数が1〜20のアシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、又は下 記一般式(III )で表わされる原子団であり、Xは、置換又は非置換のナフタレン 環若しくはベンゾカルバゾール環であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭 素数が1〜5のアルコキシ基である。)
    Figure 2015178571
    (上記一般式(III )中、R6 は、炭素数が1〜20の脂肪族炭化水素若しくは脂 環式炭化水素、炭素数が6〜20の芳香族炭化水素、メタクリロイルオキシアルキ ル基、又はアクリロイルオキシアルキル基である。)
  2. 前記着色剤が有機溶媒に溶解してなる請求項1に記載の含水性コンタクトレンズ用インク組成物。
  3. 前記有機溶媒の、80℃での蒸気圧が760mmHg以下である請求項2に記載の含水性コンタクトレンズ用インク組成物。
  4. 前記有機溶媒が水溶性である請求項2又は請求項3に記載の含水性コンタクトレンズ用インク組成物。
  5. 前記有機溶媒がN−メチル−2−ピロリドン及び/又は2−ピロリドンである請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の含水性コンタクトレンズ用インク組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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