JP2014019811A - インクセットおよびそれを用いた印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷できる水性のインクセットと、前記インクセットを用いた印刷方法とを提供する。
【解決手段】インクセットは、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水を含む水性の下地液と、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、含窒素系溶剤、水、および色材を含む水性のインクとを組み合わせた。
第1の印刷方法は、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、前記インクセットのうち下地液を塗布したのち、インクを印刷する。また第2の印刷方法は、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に直接に、前記インクセットのうちインクのみを印刷する。
【選択図】なし
【解決手段】インクセットは、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水を含む水性の下地液と、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、含窒素系溶剤、水、および色材を含む水性のインクとを組み合わせた。
第1の印刷方法は、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、前記インクセットのうち下地液を塗布したのち、インクを印刷する。また第2の印刷方法は、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に直接に、前記インクセットのうちインクのみを印刷する。
【選択図】なし
Description
本発明は、種々の非吸収性媒体の表面への印刷に適した新規なインクセットと、前記インクセットを用いた印刷方法に関するものである。
近年、環境への負荷を軽減すること等を目的として、例えば従来の紙製の段ボール等に代えて、ポリプロピレン等のポリオレフィン系プラスチックからなる段ボール状の包装材等の利用が広まりつつある。
また、同じく環境への負荷を軽減すること等を目的として、前記包装材等の表面に文字や図柄等を印刷するためのインクとしては、主溶剤として水を用いた水性のインクが望ましいと考えられている。
また、同じく環境への負荷を軽減すること等を目的として、前記包装材等の表面に文字や図柄等を印刷するためのインクとしては、主溶剤として水を用いた水性のインクが望ましいと考えられている。
しかし、前記ポリオレフィン系プラスチック等の種々の非吸収性媒体の表面に、いずれも定着性良く印刷できる水性のインクは、未だ開発されていないのが現状である。
例えば特許文献1、2等には、それぞれ顔料等の色材、塩化ビニル−アクリル系共重合体等のバインダ樹脂、式(1):
例えば特許文献1、2等には、それぞれ顔料等の色材、塩化ビニル−アクリル系共重合体等のバインダ樹脂、式(1):
〔式中、R1、R2、およびR3は同一または異なるアルキル基を示す。〕
で表されるアミド系溶剤、および水を含む水性のインクが記載されている。
かかるインクによれば、前記塩化ビニル−アクリル系共重合体等のバインダ樹脂、およびアミド系溶剤の作用によって、例えばターポリン(繊維布の表面がポリ塩化ビニル系樹脂によってコートされたシート)等の、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面には、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することができる。
で表されるアミド系溶剤、および水を含む水性のインクが記載されている。
かかるインクによれば、前記塩化ビニル−アクリル系共重合体等のバインダ樹脂、およびアミド系溶剤の作用によって、例えばターポリン(繊維布の表面がポリ塩化ビニル系樹脂によってコートされたシート)等の、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面には、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することができる。
しかしこれらのインクは、前記ポリオレフィン系プラスチックや、あるいはポリエチレンテレフタレート系プラスチック、ミラーコート紙、キャストコート紙等の、前記ポリ塩化ビニル系プラスチック以外の他の非吸収性媒体の表面への印刷には適しておらず、これらの表面に定着性に優れた文字や図柄等を印刷することはできない。
特許文献3には、バインダ樹脂、2−ピロリドン等の環状アミド系溶剤、および水を含む水性の下地液を、インクによる印刷前の非吸収性媒体の表面に塗布し、乾燥させて下地層を形成したのち、前記下地層の表面に水性のインクを用いて印刷することで、印刷した文字や図柄等の定着性を向上することが記載されている。
特許文献3には、バインダ樹脂、2−ピロリドン等の環状アミド系溶剤、および水を含む水性の下地液を、インクによる印刷前の非吸収性媒体の表面に塗布し、乾燥させて下地層を形成したのち、前記下地層の表面に水性のインクを用いて印刷することで、印刷した文字や図柄等の定着性を向上することが記載されている。
しかし、特許文献3の実施例において実際に効果を検証しているのは、前記バインダ樹脂としてスチレン−アクリル系共重合体を用いるとともに、非吸収性媒体としてポリ塩化ビニル系プラスチックを用いた場合のみである。
かかるスチレン−アクリル系共重合体をバインダ樹脂として含む下地液によれば、前記ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に対する定着性に優れた下地層を形成することはできる。
かかるスチレン−アクリル系共重合体をバインダ樹脂として含む下地液によれば、前記ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に対する定着性に優れた下地層を形成することはできる。
しかし、前述したポリオレフィン系プラスチック等の他の非吸収性媒体の表面には、ポリ塩化ビニル系プラスチックの場合と同等の定着性に優れた下地層を形成することができない。そのため、前記下地層を介したとしても、前記他の非吸収性媒体の表面に、水性のインクを用いて、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することはできない。
本発明の目的は、例えばポリ塩化ビニル系プラスチック等だけでなく、ポリオレフィン系プラスチック等の、種々の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することができる水性のインクセットと、前記インクセットを用いた印刷方法とを提供することにある。
本発明は、インクと、前記インクを用いて非吸収性媒体の表面に印刷するに先立って前記表面に塗布される下地液とを含むインクセットであって、
前記下地液は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水を含む水性の下地液であるとともに、
前記インクは、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、含窒素系溶剤、水、および色材を含む水性のインクであることを特徴とするものである。
前記下地液は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水を含む水性の下地液であるとともに、
前記インクは、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、含窒素系溶剤、水、および色材を含む水性のインクであることを特徴とするものである。
前記下地液に含まれる3種のバインダ樹脂は、いずれもポリオレフィン系プラスチック等の、種々の非吸収性媒体に対する親和性、定着性に優れている。また含窒素系溶剤は、前記3種のバインダ樹脂の増膜性に寄与し、前記下地液の乾燥性や、前記バインダ樹脂の、非吸収性媒体の表面への定着性を向上するべく機能する。
そのため、前記下地液を用いることにより、前記種々の非吸収性媒体の表面に対して、これまでよりも定着性に優れた下地層を形成することができる。
そのため、前記下地液を用いることにより、前記種々の非吸収性媒体の表面に対して、これまでよりも定着性に優れた下地層を形成することができる。
また、前記インクに含まれるバインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂は、前記3種のバインダ樹脂に対する親和性を有している上、含窒素系溶剤は、前記下地液からなる下地層に対する浸透性を有し、前記インクの乾燥性や、前記バインダ樹脂、および色材(顔料、着色微粒子、分散剤等)の、下地層の表面への定着性を向上するべく機能する。
そのため前記インクを用いることで、前記下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することができる。
そのため前記インクを用いることで、前記下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することができる。
したがって、前記下地液とインクとを組み合わせた本発明のインクセットによれば、前記ポリオレフィン系プラスチック等の種々の非吸収性媒体の表面に、これまでよりも定着性に優れた文字や図柄等を印刷することが可能となる。
また、前記インクに含まれるポリ塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル系プラスチックに対する親和性に優れている上、含窒素系溶剤は、前記ポリ塩化ビニル系プラスチックに対する浸透性を有し、前記インクの乾燥性や、前記バインダ樹脂、および顔料等の色材の、前記ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面への定着性を向上するべく機能する。
また、前記インクに含まれるポリ塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル系プラスチックに対する親和性に優れている上、含窒素系溶剤は、前記ポリ塩化ビニル系プラスチックに対する浸透性を有し、前記インクの乾燥性や、前記バインダ樹脂、および顔料等の色材の、前記ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面への定着性を向上するべく機能する。
そのため、前記インクを単独で用いることにより、前記ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することも可能となる。
なお、印刷した文字や図柄等の表面の光沢性を向上することを考慮すると、下地液のバインダ樹脂としては、前記3種の中でも、特にポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を選択して用いるのが好ましい。
なお、印刷した文字や図柄等の表面の光沢性を向上することを考慮すると、下地液のバインダ樹脂としては、前記3種の中でも、特にポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を選択して用いるのが好ましい。
この理由の一つは、前記下地液とともに本発明のインクセットを構成する前記インクが、前記3種のバインダ樹脂のうちポリオレフィン系樹脂からなる下地層よりも、その他の2種のバインダ樹脂のうちの少なくとも1種からなる下地層に対して、特に浸透性に優れていることにある。
すなわち、前記2種のバインダ樹脂のうちの少なくとも1種からなる下地層に対して、前記インクが良好に、かつ速やかに浸透することにより、インク乾燥の過程でその表面の凹凸が均されるため、印刷した文字や図柄等の表面の光沢性が向上する。
すなわち、前記2種のバインダ樹脂のうちの少なくとも1種からなる下地層に対して、前記インクが良好に、かつ速やかに浸透することにより、インク乾燥の過程でその表面の凹凸が均されるため、印刷した文字や図柄等の表面の光沢性が向上する。
またもう一つの理由は、前記2種のバインダ樹脂が、ポリオレフィン系樹脂よりも強い造膜性を有していることにある。すなわち、かかる強い造膜性を有する前記2種のバインダ樹脂のうちの少なくとも1種からなる下地層は、面方向のつながりが強く、連続した良好なフィルム状を呈するため、その表面がより平滑になり、当該下地層の表面に印刷した文字や図柄等の表面の光沢性も向上する。
なお、下地液の塗布からインクの印刷までの、トータルの印刷時間の短縮や、印刷に要するエネルギーを少なくすること等を考慮すると、前記下地液のバインダ樹脂はカチオン性であり、前記インクのバインダ樹脂、および色材は、ともにアニオン性であるのが好ましい。
かかる下地液とインクとの組み合わせによれば、非吸収性媒体の表面に形成した下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をしても、インク中のバインダ樹脂、および色材を、カチオンとアニオンの相互作用によって前記下地層の表面に速やかに、かつ良好に定着させて、印刷した文字や図柄等が滲むのを防止することができる。
かかる下地液とインクとの組み合わせによれば、非吸収性媒体の表面に形成した下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をしても、インク中のバインダ樹脂、および色材を、カチオンとアニオンの相互作用によって前記下地層の表面に速やかに、かつ良好に定着させて、印刷した文字や図柄等が滲むのを防止することができる。
そのため、前記下地液を塗布後、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷することができ、トータルの印刷時間を短縮することができる。また乾燥工程に要するエネルギーが不要となる分、印刷に要するエネルギーを少なくすることも可能となる。
前記下地液の含窒素系溶剤は、前記式(1)で表されるアミド系溶剤を少なくとも含んでいるのが好ましい。
前記下地液の含窒素系溶剤は、前記式(1)で表されるアミド系溶剤を少なくとも含んでいるのが好ましい。
式(1)のアミド系溶剤は、含窒素系溶剤の中でも、前記下地液に含まれる3種のバインダ樹脂の増膜性に優れている。そのため下地層の、前記非吸収性媒体の表面に対する定着性をさらに向上することができる。
また、前記非吸収性媒体中に速やかに浸透できるため、下地液の乾燥性を向上させることもできる。そのため、下地層の乾燥工程に要する時間を短縮したりエネルギーを少なくしたりでき、トータルの印刷時間を短縮することができる。また場合によっては、乾燥工程を省略してもインクを滲みにくくすることも可能である。
また、前記非吸収性媒体中に速やかに浸透できるため、下地液の乾燥性を向上させることもできる。そのため、下地層の乾燥工程に要する時間を短縮したりエネルギーを少なくしたりでき、トータルの印刷時間を短縮することができる。また場合によっては、乾燥工程を省略してもインクを滲みにくくすることも可能である。
なお含窒素系溶剤としては、下地液の、非吸収性媒体に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整するため、前記式(1)のアミド系溶剤と、2−ピロリドン等の他の含窒素系溶剤とを併用してもよい。
また、前記インクの含窒素系溶剤は、同じく式(1)のアミド系溶剤を少なくとも含んでいるとともに、前記バインダ樹脂は、塩化ビニル−アクリル系共重合体であるのが好ましい。
また、前記インクの含窒素系溶剤は、同じく式(1)のアミド系溶剤を少なくとも含んでいるとともに、前記バインダ樹脂は、塩化ビニル−アクリル系共重合体であるのが好ましい。
式(1)のアミド系溶剤は、含窒素系溶剤の中でも、前記3種のバインダ樹脂のうちの少なくとも1種からなる下地層に対する浸透性に優れている。また塩化ビニル−アクリル系共重合体は、ポリ塩化ビニル系樹脂の中でも、特に前記3種の、下地層を形成するバインダ樹脂に対する親和性に優れている。そのため、前記インクによって形成される文字や図柄等の、前記下地層の表面に対する定着性をさらに向上することができる。
また、式(1)のアミド系溶剤は前記下地層中に速やかに浸透できるため、インクの乾燥性を向上させることもできる。したがって、印刷後の乾燥工程を短縮したり省略したりでき、トータルの印刷時間を短縮することができる。
なお含窒素系溶剤としては、インクの、下地層に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整するため、前記式(1)のアミド系溶剤と、2−ピロリドン等の他の含窒素系溶剤とを併用してもよい。
なお含窒素系溶剤としては、インクの、下地層に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整するため、前記式(1)のアミド系溶剤と、2−ピロリドン等の他の含窒素系溶剤とを併用してもよい。
また、下地液とインクとで、前記同じ含窒素系溶剤を使用すると、下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をした際に、異なる溶剤が混ざり合わずに分離したりすることによるショックが生じるのを防止して、印刷した文字や図柄等が滲むのを防止することができる。そのため、下地層の乾燥工程に要する時間を短縮したりエネルギーを少なくしたり、あるいは乾燥工程を省略したりでき、トータルの印刷時間を短縮することができる。
本発明は、前記本発明のインクセットを用いて、ポリオレフィン系プラスチック、ポリエチレンテレフタレート系プラスチック、ミラーコート紙、およびキャストコート紙からなる群より選ばれた1種の非吸収性媒体の表面に印刷するための印刷方法であって、前記表面の少なくとも印刷をする領域に、インクジェット印刷法によって下地液を塗布したのち、前記領域に、インクジェット印刷法によってインクを印刷することを特徴とするものである。
本発明によれば、例えば1台のインクジェットプリンタを用いて、前記ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、前記本発明のインクセットを構成する下地液の塗布と、インクによる印刷とを連続して効率よく行うことができる。そして前記非吸収性媒体の表面に、先に説明したように、これまでよりも定着性に優れた文字や図柄等を印刷することが可能となる。
前記本発明の印刷方法においては、前記下地液として、ポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種をバインダ樹脂として含むものを用い、前記下地液を前記領域に塗布したのち、前記領域に、前記インクを用いて印刷するのが好ましい。
これにより、先に説明したように、前記2種のバインダ樹脂の機能によって、前記下地液からなる下地層の表面に印刷した文字や図柄等の表面の光沢性を向上することが可能となる。
これにより、先に説明したように、前記2種のバインダ樹脂の機能によって、前記下地液からなる下地層の表面に印刷した文字や図柄等の表面の光沢性を向上することが可能となる。
また、本発明の印刷方法においては、前記下地液としてカチオン性のバインダ樹脂を含むものを用いるとともに、前記インクとしてアニオン性のバインダ樹脂および色材を含むものを用い、前記下地液を前記領域に塗布後、前記領域に、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷するのが好ましい。
これにより、先に説明したように、下地液を塗布後、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷しても滲みが生じるのを防止して、トータルの印刷時間を短縮したり、印刷に要するエネルギーを少なくしたりすることが可能となる。
これにより、先に説明したように、下地液を塗布後、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷しても滲みが生じるのを防止して、トータルの印刷時間を短縮したり、印刷に要するエネルギーを少なくしたりすることが可能となる。
本発明は、前記本発明のインクセットのうちインクのみを、非吸収性媒体としてのポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に直接に印刷することを特徴とするものである。
本発明のインクセットを構成する下地液によれば、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面だけでなく、従来の、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面にも定着性のよい下地層を形成することができる。
本発明のインクセットを構成する下地液によれば、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面だけでなく、従来の、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面にも定着性のよい下地層を形成することができる。
しかし、前記本発明のインクセットを構成するインクは、前記のようにそれ自体が、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に定着性のよい印刷をするのに適しているため、当該インクを直接に印刷することで下地液の塗布、およびその乾燥を省略して、トータルの印刷時間を短縮したり、印刷に要するエネルギーを少なくしたりすることが可能となる。
本発明によれば、例えばポリ塩化ビニル系プラスチック等だけでなく、ポリオレフィン系プラスチック等の、種々の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷することができる水性のインクセットと、前記インクセットを用いた印刷方法とを提供することが可能となる。
《インクセット》
本発明のインクセットは、前記のように
(a) ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水を含む水性の下地液、および
(b) バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、含窒素系溶剤、水、および色材を含む水性のインク
からなる。
本発明のインクセットは、前記のように
(a) ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水を含む水性の下地液、および
(b) バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、含窒素系溶剤、水、および色材を含む水性のインク
からなる。
〈下地液〉
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、前記のようにポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いる。
中でも、印刷の光沢性を向上することを考慮すると、先に説明したようにポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いるのが好ましい。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、前記のようにポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いる。
中でも、印刷の光沢性を向上することを考慮すると、先に説明したようにポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いるのが好ましい。
またバインダ樹脂は、先に説明したように下地液の乾燥工程を省略して、下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をした際に、文字や図柄等が滲むのを防止するためにカチオン性であるのが好ましいが、乾燥工程を含む場合はアニオン性であってもよい。
さらにバインダ樹脂としては、含窒素系溶剤、および水と配合して水性の下地液を調整する作業の容易性や、前記下地液中にできるだけ均一に分散させること等を考慮すると、水性のエマルションの状態で供給されたものを用いるのが好ましい。
さらにバインダ樹脂としては、含窒素系溶剤、および水と配合して水性の下地液を調整する作業の容易性や、前記下地液中にできるだけ均一に分散させること等を考慮すると、水性のエマルションの状態で供給されたものを用いるのが好ましい。
ポリアミド系樹脂のエマルションとしては、いずれもユニチカ(株)製の型番M3−C−2225(有効成分濃度:25質量%、カチオン性)、M4−C−X025(有効成分濃度:25質量%、カチオン性)、MC−2220(有効成分濃度:20質量%、アニオン性)、MA−X020(有効成分濃度:20質量%、アニオン性)、MD−X020(有効成分濃度:20質量%、アニオン性)、ME−X020(有効成分濃度:20質量%、アニオン性)等の1種または2種以上が挙げられる。
またポリオレフィン系樹脂のエマルションとしては、ユニチカ(株)製のアローベース(登録商標)シリーズ、および東洋紡績(株)製のハードレン(登録商標)シリーズの各種エマルションが挙げられる。
このうちアローベースシリーズのエマルションとしては、例えばCB−1010(PE骨格、有効成分濃度:20%、カチオン性)、CB−1200(PE骨格、有効成分濃度:23質量%、カチオン性)、CD−1200(PE骨格、有効成分濃度:20質量%、カチオン性)、SB−1200(PE骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性)、SD−1200(PE骨格、有効成分濃度:20質量%、アニオン性)、SE−1200(PE骨格、有効成分濃度:20質量%、アニオン性)、TC−4010(PP骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性)、TD−4010(PP骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性)等の1種または2種以上が挙げられる。
このうちアローベースシリーズのエマルションとしては、例えばCB−1010(PE骨格、有効成分濃度:20%、カチオン性)、CB−1200(PE骨格、有効成分濃度:23質量%、カチオン性)、CD−1200(PE骨格、有効成分濃度:20質量%、カチオン性)、SB−1200(PE骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性)、SD−1200(PE骨格、有効成分濃度:20質量%、アニオン性)、SE−1200(PE骨格、有効成分濃度:20質量%、アニオン性)、TC−4010(PP骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性)、TD−4010(PP骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性)等の1種または2種以上が挙げられる。
またハードレン(登録商標)シリーズのエマルションとしては、いずれも塩素化ポリオレフィンであるEW−5303(塩素含有量:17質量%、樹脂濃度:30質量%)、EW−5504(塩素含有量:16質量%、樹脂濃度:40質量%)、EW−8511(塩素含有量:16質量%、樹脂濃度:30質量%)、EZ−1000(塩素含有量:21質量%、樹脂濃度:30質量%)、EZ−2000(塩素含有量:20質量%、樹脂濃度:30質量%)、EH-801J(塩素含有量:16質量%、樹脂濃度:30質量%)、EW5313−4(塩素含有量:10質量%、樹脂濃度:30質量%)、EW−5515(塩素含有量:15質量%、樹脂濃度:30質量%)、EZ−1001(塩素含有量:17質量%、樹脂濃度:30質量%)、EZ−2001(塩素含有量:14質量%、樹脂濃度:30質量%)、EZ-1001E(塩素含有量:16.5質量%、樹脂濃度:30質量%)等の1種または2種以上が挙げられる。
さらにポリウレタン系樹脂のエマルションとしては、例えばDSM NeoResins+社製のNeoRez(登録商標)シリーズのうちR−600(有効成分濃度:33%、アニオン性)、宇部興産(株)製のUW−1005−E(有効成分濃度:29.8質量%)、UW−5002(有効成分濃度27.9質量%)、UW−5034−E(有効成分濃度:29.8質量%)、UW−5101(有効成分濃度:30質量%)、UW−5502(有効成分濃度:29.9質量%)等の1種または2種以上が挙げられる。
バインダ樹脂としては、前記3種のうち互いに親和性、相溶性を有する2種以上を併用してもよいが、できるだけ均一な特性を有する良好な下地層を形成することや、下地液の構成を単純化して生産性を向上し、生産コストを低減すること等を考慮すると、いずれか1種を単独で用いる(同一種内の2種以上を併用する場合を含む)のが好ましい。
バインダ樹脂の配合割合は、下地液の総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下であるのが好ましい。
バインダ樹脂の配合割合は、下地液の総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた下地層を形成できないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、例えばインクジェットプリンタを使用して、インクジェット印刷法によって下地液を非吸収性媒体の表面に塗布する際に、前記インクジェットプリンタのヘッドのノズルにおいて目詰まり等を生じやすくなるおそれがある。
なお前記配合割合は、バインダ樹脂のエマルションを使用する場合、当該エマルション中に含まれる有効成分としてのバインダ樹脂自体の配合割合である。
(含窒素系溶剤)
含窒素系溶剤としては、先に説明したように、式(1):
(含窒素系溶剤)
含窒素系溶剤としては、先に説明したように、式(1):
〔式中、R1、R2、およびR3は同一または異なるアルキル基を示す。〕
で表されるアミド系溶剤を用いるのが好ましい。
前記式(1)のアミド系溶剤において、R1〜R3に相当するアルキル基としては、それぞれ個別に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
で表されるアミド系溶剤を用いるのが好ましい。
前記式(1)のアミド系溶剤において、R1〜R3に相当するアルキル基としては、それぞれ個別に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
中でもR1〜R3の炭素数の合計が3〜6の範囲内であるのが好ましく、特にR1、R2がともにメチル基で、かつR3が炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせが好ましい。
前記式(1)のアミド系溶剤の具体的化合物としては、例えば式(1-1):
前記式(1)のアミド系溶剤の具体的化合物としては、例えば式(1-1):
で表されるアミド系溶剤〔分子量:131.2、沸点:216℃〕、および式(1-2):
で表されるアミド系溶剤〔分子量:173.3、沸点:252℃〕からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられ、特に式(1-1)のアミド系溶剤が好ましい。
かかる式(1-1)のアミド系溶剤は、式(1)のアミド系溶剤の中でも、下地液に含まれる3種のバインダ樹脂の増膜性に特に優れている。そのため下地層の、前記非吸収性媒体の表面に対する定着性を、より一層向上することができる。また下地液の乾燥性をさらに向上させることもできる。
かかる式(1-1)のアミド系溶剤は、式(1)のアミド系溶剤の中でも、下地液に含まれる3種のバインダ樹脂の増膜性に特に優れている。そのため下地層の、前記非吸収性媒体の表面に対する定着性を、より一層向上することができる。また下地液の乾燥性をさらに向上させることもできる。
含窒素系溶剤としては、前記式(1)のアミド系溶剤を単独で用いてもよいが、下地液の、非吸収性媒体に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整するために、他の含窒素系溶剤を併用してもよい。
前記他の含窒素系溶剤としては、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の環状アミド系溶剤の1種または2種以上が挙げられ、特に2−ピロリドンが好ましい。
前記他の含窒素系溶剤としては、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の環状アミド系溶剤の1種または2種以上が挙げられ、特に2−ピロリドンが好ましい。
含窒素系溶剤として、式(1)のアミド系溶剤と、2−ピロリドン等の他の含窒素系溶剤とを併用する場合、式(1)のアミド系溶剤の配合割合は、下地液の総量の5質量%以上であるのが好ましく、20質量%以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた下地層を形成する効果が十分に得られないおそれがある。また、式(1)のアミド系溶剤は溶解力が非常に強いため、その配合割合が前記範囲を超える場合には、インクジェットプリンタのヘッドを損傷させたり腐食させたりするおそれがある。
配合割合が前記範囲未満では、式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた下地層を形成する効果が十分に得られないおそれがある。また、式(1)のアミド系溶剤は溶解力が非常に強いため、その配合割合が前記範囲を超える場合には、インクジェットプリンタのヘッドを損傷させたり腐食させたりするおそれがある。
また、2−ピロリドン等の他の含窒素系溶剤の配合割合は、下地液の総量の5質量%以上であるのが好ましく、20質量%以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、前記他の含窒素系溶剤を配合することによる、下地液の、非吸収性媒体に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整する効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、相対的に式(1)のアミド系溶剤の配合割合が少なくなるため、当該式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた下地層を形成する効果が十分に得られないおそれがある。
配合割合が前記範囲未満では、前記他の含窒素系溶剤を配合することによる、下地液の、非吸収性媒体に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整する効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、相対的に式(1)のアミド系溶剤の配合割合が少なくなるため、当該式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、定着性に優れた下地層を形成する効果が十分に得られないおそれがある。
(界面活性剤)
下地液には、水性である当該下地液の、疎水性である非吸収性媒体の表面への濡れ性を向上するために、界面活性剤を配合してもよい。
前記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤や、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
下地液には、水性である当該下地液の、疎水性である非吸収性媒体の表面への濡れ性を向上するために、界面活性剤を配合してもよい。
前記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤や、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
このうちフッ素系界面活性剤としては、例えばデュポン(株)製のCapstone(登録商標)シリーズのうちFS−30(有効成分濃度:25質量%)、FS−31(有効成分濃度:25質量%)、FS−34(有効成分濃度:25質量%)、FS−35(有効成分濃度:25質量%)、スリーエム社製のNOVEC(登録商標)シリーズのうちFC−4430(有効成分濃度:85〜95質量%)、FC−4432(有効成分濃度:80〜92質量%)、およびDIC(株)製の商品名メガファックスシリーズの各種製品等の1種または2種以上が挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤の配合割合は、下地液の総量の0.05質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下であるのが好ましい。前記配合割合は、フッ素系界面活性剤として、前記Capstoneシリーズ等の製品を使用する場合、当該製品中に含まれる有効成分自体の配合割合である。
またアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば日信化学工業(株)製のオルフィン(登録商標)EXP.4001(有効成分濃度:80質量%)、EXP.4200(有効成分濃度:75質量%)、EXP.4123(有効成分濃度:40質量%)、同サーフィノール(登録商標)104シリーズ(有効成分濃度:50〜75質量%)、同サーフィノール61(有効成分濃度:100質量%)、420(有効成分濃度:100質量%)、440(有効成分濃度:100質量%)、465(有効成分濃度:100質量%)、485(有効成分濃度:100質量%)、同ダイノール604(有効成分濃度:100質量%)等の1種または2種以上が挙げられる。
またアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば日信化学工業(株)製のオルフィン(登録商標)EXP.4001(有効成分濃度:80質量%)、EXP.4200(有効成分濃度:75質量%)、EXP.4123(有効成分濃度:40質量%)、同サーフィノール(登録商標)104シリーズ(有効成分濃度:50〜75質量%)、同サーフィノール61(有効成分濃度:100質量%)、420(有効成分濃度:100質量%)、440(有効成分濃度:100質量%)、465(有効成分濃度:100質量%)、485(有効成分濃度:100質量%)、同ダイノール604(有効成分濃度:100質量%)等の1種または2種以上が挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤の配合割合は、下地液の総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、1.5質量%以下であるのが好ましい。前記配合割合は、アセチレングリコール系界面活性剤として、前記各シリーズ等の製品を使用する場合、当該製品中に含まれる有効成分自体の配合割合である。
前記フッ素系界面活性剤、およびアセチレングリコール系界面活性剤は、それぞれ界面活性剤としての機能が異なるため、両者を併用するのが好ましい。
前記フッ素系界面活性剤、およびアセチレングリコール系界面活性剤は、それぞれ界面活性剤としての機能が異なるため、両者を併用するのが好ましい。
(その他の添加剤等)
水性の下地液には、従来公知の種々の添加剤を配合してもよい。かかる添加剤としては、例えば防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
前記各成分に水を加えることで、水性の下地液が調製される。
〈インク〉
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、前記のようにポリ塩化ビニル系樹脂を用いる。中でも、前記3種の、下地層を構成するバインダ樹脂に対する親和性に特に優れた塩化ビニル−アクリル系共重合体が好ましい。
水性の下地液には、従来公知の種々の添加剤を配合してもよい。かかる添加剤としては、例えば防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
前記各成分に水を加えることで、水性の下地液が調製される。
〈インク〉
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、前記のようにポリ塩化ビニル系樹脂を用いる。中でも、前記3種の、下地層を構成するバインダ樹脂に対する親和性に特に優れた塩化ビニル−アクリル系共重合体が好ましい。
また、下地液のバインダ樹脂として前記のようにカチオン性のものを用いる場合、インクのバインダ樹脂は、下地液の乾燥工程を省略して、下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をした際に、文字や図柄等が滲むのを防止するために、アニオン性であるのが好ましい。
さらにバインダ樹脂としては、含窒素系溶剤、色材、および水と配合して水性のインクを調整する作業の容易性や、前記インク中にできるだけ均一に分散させること等を考慮すると、水性のエマルションの状態で供給されたものを用いるのが好ましい。
さらにバインダ樹脂としては、含窒素系溶剤、色材、および水と配合して水性のインクを調整する作業の容易性や、前記インク中にできるだけ均一に分散させること等を考慮すると、水性のエマルションの状態で供給されたものを用いるのが好ましい。
塩化ビニル−アクリル系共重合体のエマルションとしては、例えば日信化学工業(株)製のビニブラン(登録商標)シリーズのうち品番278(有効成分濃度:43質量%、アニオン性)、985(有効成分濃度:40質量%、アニオン性)、700(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)、701(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)、711(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)、721(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)、700FS(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL35(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL65(有効成分濃度:30質量%、アニオン性)等の1種または2種以上が挙げられる。
バインダ樹脂の配合割合は、インクの総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷できないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、インクジェットプリンタを使用して、インクジェット印刷法によってインクを下地層の表面に印刷する際に、前記インクジェットプリンタのヘッドのノズルにおいて目詰まり等を生じやすくなるおそれがある。
配合割合が前記範囲未満では、下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を印刷できないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、インクジェットプリンタを使用して、インクジェット印刷法によってインクを下地層の表面に印刷する際に、前記インクジェットプリンタのヘッドのノズルにおいて目詰まり等を生じやすくなるおそれがある。
なお前記配合割合は、バインダ樹脂のエマルションを使用する場合、当該エマルション中に含まれる有効成分としてのバインダ樹脂自体の配合割合である。
(含窒素系溶剤)
含窒素系溶剤としては、先に説明したように、式(1):
(含窒素系溶剤)
含窒素系溶剤としては、先に説明したように、式(1):
〔式中、R1、R2、およびR3は同一または異なるアルキル基を示す。〕
で表されるアミド系溶剤を用いるのが好ましい。
前記R1〜R3に相当するアルキル基は、先に説明したとおりである。特にR1〜R3の炭素数の合計が3〜6の範囲内であるのが好ましく、特にR1、R2がともにメチル基で、かつR3が炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせが好ましい。
で表されるアミド系溶剤を用いるのが好ましい。
前記R1〜R3に相当するアルキル基は、先に説明したとおりである。特にR1〜R3の炭素数の合計が3〜6の範囲内であるのが好ましく、特にR1、R2がともにメチル基で、かつR3が炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせが好ましい。
前記式(1)のアミド系溶剤の具体的化合物としては、例えば式(1-1):
で表されるアミド系溶剤〔分子量:131.2、沸点:216℃〕、および式(1-2):
で表されるアミド系溶剤〔分子量:173.3、沸点:252℃〕からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられ、特に式(1-1)のアミド系溶剤が好ましい。
かかる式(1-1)のアミド系溶剤は、式(1)のアミド系溶剤の中でも、前記3種のバインダ樹脂のうちの少なくとも1種からなる下地層に対する浸透性に特に優れている。そのため、前記インクによって形成される文字や図柄等の、前記下地層の表面に対する定着性を、より一層向上することができる。また、前記下地層中に速やかに浸透できるため、インクの乾燥性をさらに向上させることもできる。
かかる式(1-1)のアミド系溶剤は、式(1)のアミド系溶剤の中でも、前記3種のバインダ樹脂のうちの少なくとも1種からなる下地層に対する浸透性に特に優れている。そのため、前記インクによって形成される文字や図柄等の、前記下地層の表面に対する定着性を、より一層向上することができる。また、前記下地層中に速やかに浸透できるため、インクの乾燥性をさらに向上させることもできる。
含窒素系溶剤としては、前記式(1)のアミド系溶剤を単独で用いてもよいが、インクの、下地層に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整するために、他の含窒素系溶剤を併用してもよい。
前記他の含窒素系溶剤としては、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の環状アミド系溶剤の1種または2種以上が挙げられ、特に2−ピロリドンが好ましい。
前記他の含窒素系溶剤としては、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の環状アミド系溶剤の1種または2種以上が挙げられ、特に2−ピロリドンが好ましい。
含窒素系溶剤として、式(1)のアミド系溶剤と、2−ピロリドン等の他の含窒素系溶剤とを併用する場合、式(1)のアミド系溶剤の配合割合は、インクの総量の5質量%以上であるのが好ましく、20質量%以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を形成する効果が十分に得られないおそれがある。また、式(1)のアミド系溶剤は溶解力が非常に強いため、その配合割合が前記範囲を超える場合には、インクジェットプリンタのヘッドを損傷させたり腐食させたりするおそれがある。また、色材がカーボンブラック等の無機顔料であればあまり影響を生じないが、特に有機顔料は、前記強い溶解力によって侵食されてしまうおそれがある。
配合割合が前記範囲未満では、式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を形成する効果が十分に得られないおそれがある。また、式(1)のアミド系溶剤は溶解力が非常に強いため、その配合割合が前記範囲を超える場合には、インクジェットプリンタのヘッドを損傷させたり腐食させたりするおそれがある。また、色材がカーボンブラック等の無機顔料であればあまり影響を生じないが、特に有機顔料は、前記強い溶解力によって侵食されてしまうおそれがある。
また、2−ピロリドン等の他の含窒素系溶剤の配合割合は、インクの総量の10質量%以上であるのが好ましく、30質量%以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、前記他の含窒素系溶剤を配合することによる、インクの、下地層に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整する効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、相対的に式(1)のアミド系溶剤の配合割合が少なくなるため、当該式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を形成する効果が十分に得られないおそれがある。
配合割合が前記範囲未満では、前記他の含窒素系溶剤を配合することによる、インクの、下地層に対する浸透性や、あるいは乾燥性等を調整する効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、相対的に式(1)のアミド系溶剤の配合割合が少なくなるため、当該式(1)のアミド系溶剤を配合することによる、下地層の表面に、定着性に優れた文字や図柄等を形成する効果が十分に得られないおそれがある。
含窒素系溶剤としては、下地液とインクとで、同じ種類の溶剤を使用するのが好ましい。これにより、下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をした際に、異なる溶剤が混ざり合わずに分離したりすることによるショックが生じるのを防止して、印刷した文字や図柄等が滲むのを防止することができる。そのため、下地層の乾燥工程に要する時間を短縮したりエネルギーを少なくしたり、あるいは乾燥工程を省略したりでき、トータルの印刷時間を短縮することができる。
(界面活性剤)
インクには、水性である当該インクの、下地層の表面への濡れ性を向上したり、顔料等の色材の分散性を向上したりするために、界面活性剤を配合してもよい。
前記界面活性剤としては、やはり下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をした際に、異なる溶剤が混ざり合わずに分離したりすることによるショックが生じるのを防止するために、下地液で使用したのと同じ界面活性剤を使用するのが好ましい。
インクには、水性である当該インクの、下地層の表面への濡れ性を向上したり、顔料等の色材の分散性を向上したりするために、界面活性剤を配合してもよい。
前記界面活性剤としては、やはり下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をした際に、異なる溶剤が混ざり合わずに分離したりすることによるショックが生じるのを防止するために、下地液で使用したのと同じ界面活性剤を使用するのが好ましい。
すなわち界面活性剤としては、前述したCapstoneシリーズ等のフッ素系界面活性剤や、オルフィンシリーズ等のアセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。特に、両界面活性剤を併用するのが好ましい。
このうちフッ素系界面活性剤の配合割合は、インクの総量の0.05質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下であるのが好ましい。
前記配合割合は、フッ素系界面活性剤として、前記Capstoneシリーズ等の製品を使用する場合、当該製品中に含まれる有効成分自体の配合割合である。
このうちフッ素系界面活性剤の配合割合は、インクの総量の0.05質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下であるのが好ましい。
前記配合割合は、フッ素系界面活性剤として、前記Capstoneシリーズ等の製品を使用する場合、当該製品中に含まれる有効成分自体の配合割合である。
またアセチレングリコール系界面活性剤の配合割合は、インクの総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以下であるのが好ましい。前記配合割合は、アセチレングリコール系界面活性剤として、前記各オルフィンシリーズ等の製品を使用する場合、当該製品中に含まれる有効成分自体の配合割合である。
(色材)
色材としては、顔料、染料、着色微粒子等の種々の色材が使用可能であり、特に耐光性、耐候性等に優れた文字や図柄等を印刷することを考慮すると、任意の無機顔料、および/または有機顔料が好ましい。
(色材)
色材としては、顔料、染料、着色微粒子等の種々の色材が使用可能であり、特に耐光性、耐候性等に優れた文字や図柄等を印刷することを考慮すると、任意の無機顔料、および/または有機顔料が好ましい。
このうち無機顔料としては、例えば酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造された中性、酸性、塩基性等の種々のカーボンブラックの1種または2種以上が挙げられる。
また有機顔料としては、例えばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
また有機顔料としては、例えばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
顔料は、インクの色目に応じて1種または2種以上を用いることができる。また顔料は、インク中での分散安定性を向上するために表面を処理してもよい。
顔料の具体例としては、下記の各種顔料が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料としては、バインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水と配合して水性のインクを調整する作業の容易性や、前記インク中にできるだけ均一に分散させること等を考慮すると、水性の顔料分散液の状態で用いるのが好ましい。
顔料の具体例としては、下記の各種顔料が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料としては、バインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水と配合して水性のインクを調整する作業の容易性や、前記インク中にできるだけ均一に分散させること等を考慮すると、水性の顔料分散液の状態で用いるのが好ましい。
また、下地液のバインダ樹脂として前記のようにカチオン性のものを用いる場合、顔料等の色材は、下地液の乾燥工程を省略して、下地層が十分に乾燥していない状態で印刷をした際に、文字や図柄等が滲むのを防止するために、アニオン性であるのが好ましい。
色材のうち染料は、周知のようにアニオン性のものが多くあるのでので、かかるアニオン性のものを選択して使用することができる。また顔料は、例えば表面を改質してカルボキシル基等を導入してアニオン性とした状態で使用するのが好ましい。
色材のうち染料は、周知のようにアニオン性のものが多くあるのでので、かかるアニオン性のものを選択して使用することができる。また顔料は、例えば表面を改質してカルボキシル基等を導入してアニオン性とした状態で使用するのが好ましい。
色材の配合割合は、インクの総量の0.3質量%以上であるのが好ましく、6質量%以下であるのが好ましい。前記配合割合は、前記顔料分散液を使用する場合、当該顔料分散液中に含まれる顔料自体の配合割合である。
(その他の添加剤等)
水性のインクには、従来公知の種々の添加剤を配合してもよい。かかる添加剤としては、例えば防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
(その他の添加剤等)
水性のインクには、従来公知の種々の添加剤を配合してもよい。かかる添加剤としては、例えば防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
前記各成分に水を加えることで、水性のインクが調製される。
《印刷方法1》
本発明の印刷方法は、前記下地液とインクとからなる本発明のインクセットを用いて、ポリオレフィン系プラスチック、ポリエチレンテレフタレート系プラスチック、ミラーコート紙、およびキャストコート紙からなる群より選ばれた1種の非吸収性媒体の表面に印刷するための印刷方法であって、前記表面の少なくとも印刷をする領域に、インクジェット印刷法によって下地液を塗布したのち、前記領域に、インクジェット印刷法によってインクを印刷することを特徴とするものである。
《印刷方法1》
本発明の印刷方法は、前記下地液とインクとからなる本発明のインクセットを用いて、ポリオレフィン系プラスチック、ポリエチレンテレフタレート系プラスチック、ミラーコート紙、およびキャストコート紙からなる群より選ばれた1種の非吸収性媒体の表面に印刷するための印刷方法であって、前記表面の少なくとも印刷をする領域に、インクジェット印刷法によって下地液を塗布したのち、前記領域に、インクジェット印刷法によってインクを印刷することを特徴とするものである。
本発明によれば、例えば1台のインクジェットプリンタを用いて、前記ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に、前記本発明のインクセットを構成する下地液の塗布と、インクによる印刷とを連続して効率よく行うことができる。そして前記非吸収性媒体の表面に、先に説明したように、これまでよりも定着性に優れた文字や図柄等を印刷することが可能となる。
例えばフルカラーの文字や図柄等を、インクジェット印刷法によって印刷する場合は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の4色、あるいはさらにライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えた6色のインク等と、下地液とを含むインクセットを1台のインクジェットプリンタのインクの供給部(インクカートリッジ等)に充てんする。
そして、まず下地液を充てんした供給部から、ヘッドのノズルを通して、前記下地液を、前記ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面の、インクによって任意の文字や図柄等を印刷する領域、ないしは前記表面の略全面に塗布して下地層を形成する。
次いで、前記下地層を必要に応じて乾燥させたのち、その表面に、通常のインクジェット印刷法と同様に、前記各色のインクを、それぞれの供給部から、ヘッドのノズルを通して、形成画像に対応させて順次、断続的に吐出させることにより、任意の文字や図柄等を、前記非吸収性媒体の表面に印刷することができる。
次いで、前記下地層を必要に応じて乾燥させたのち、その表面に、通常のインクジェット印刷法と同様に、前記各色のインクを、それぞれの供給部から、ヘッドのノズルを通して、形成画像に対応させて順次、断続的に吐出させることにより、任意の文字や図柄等を、前記非吸収性媒体の表面に印刷することができる。
前記本発明の印刷方法においては、前記下地液として、ポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種をバインダ樹脂として含むものを用い、前記下地液を前記領域に塗布したのち、前記領域に、前記インクを用いて印刷するのが好ましい。
これにより、先に説明したように、前記2種のバインダ樹脂の機能によって、前記下地液からなる下地層の表面に印刷した文字や図柄等の表面の光沢性を向上することが可能となる。
これにより、先に説明したように、前記2種のバインダ樹脂の機能によって、前記下地液からなる下地層の表面に印刷した文字や図柄等の表面の光沢性を向上することが可能となる。
また、本発明の印刷方法においては、前記下地液としてカチオン性のバインダ樹脂を含むものを用いるとともに、前記インクとしてアニオン性のバインダ樹脂および色材を含むものを用い、前記下地液を前記領域に塗布後、前記領域に、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷するのが好ましい。
これにより、先に説明したように、下地液を塗布後、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷しても滲みが生じるのを防止して、トータルの印刷時間を短縮したり、印刷に要するエネルギーを少なくしたりすることが可能となる。
これにより、先に説明したように、下地液を塗布後、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷しても滲みが生じるのを防止して、トータルの印刷時間を短縮したり、印刷に要するエネルギーを少なくしたりすることが可能となる。
なお本発明のインクセットを用いれば、前記本発明の印刷方法1によらず、下地液を、例えばスプレーコート法等の、インクジェット印刷法以外の他の任意の塗布方法によってポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面に塗布して下地層を形成した上に、インクジェット印刷法によってインクを印刷することもできる。
《印刷方法2》
本発明の他の印刷方法は、前記本発明のインクセットのうちインクのみを、非吸収性媒体としてのポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に直接に印刷することを特徴とするものである。
《印刷方法2》
本発明の他の印刷方法は、前記本発明のインクセットのうちインクのみを、非吸収性媒体としてのポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に直接に印刷することを特徴とするものである。
具体的には、前記インクセットから下地液を除いたシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の4色、あるいはさらにライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えた6色のインク等を、1台のインクジェットプリンタのインクの供給部(インクカートリッジ等)に充てんする。
そしてポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に、通常のインクジェット印刷法と同様に、前記各色のインクを、それぞれの供給部から、ヘッドのノズルを通して、形成画像に対応させて順次、断続的に吐出させることにより、任意の文字や図柄等を、前記表面に印刷することができる。
そしてポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に、通常のインクジェット印刷法と同様に、前記各色のインクを、それぞれの供給部から、ヘッドのノズルを通して、形成画像に対応させて順次、断続的に吐出させることにより、任意の文字や図柄等を、前記表面に印刷することができる。
本発明のインクセットを構成する下地液によれば、ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性媒体の表面だけでなく、従来の、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面にも定着性のよい下地層を形成することができる。
しかし、前記本発明のインクセットを構成するインクは、前記のようにそれ自体が、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に定着性のよい印刷をするのに適しているため、当該インクを直接に印刷することで下地液の塗布、およびその乾燥を省略して、トータルの印刷時間を短縮したり、印刷に要するエネルギーを少なくしたりすることが可能となる。
しかし、前記本発明のインクセットを構成するインクは、前記のようにそれ自体が、ポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に定着性のよい印刷をするのに適しているため、当該インクを直接に印刷することで下地液の塗布、およびその乾燥を省略して、トータルの印刷時間を短縮したり、印刷に要するエネルギーを少なくしたりすることが可能となる。
〈下地液1〉
バインダ樹脂としての、カチオン性のポリアミド系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のM3−C−2225、有効成分濃度:25質量%、カチオン性〕20質量部、含窒素系溶剤としての、前記式(1-1)で表されるアミド系溶剤10質量部、および2−ピロリドン10質量部、フッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のCapstone FS−30、有効成分濃度:25質量%〕1.6質量部、アセチレングリコール系界面活性剤〔日信化学工業(株)製のオルフィンEXP.4200、有効成分濃度:75質量%〕0.5質量部、殺生剤〔Arch Chemicals社製のProxel(登録商標)XL−2〕0.2質量部、および超純水57.7質量部を配合し、混合したのち5μmのメンブランフィルタを用いてろ過して下地液1を調製した。
バインダ樹脂としての、カチオン性のポリアミド系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のM3−C−2225、有効成分濃度:25質量%、カチオン性〕20質量部、含窒素系溶剤としての、前記式(1-1)で表されるアミド系溶剤10質量部、および2−ピロリドン10質量部、フッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のCapstone FS−30、有効成分濃度:25質量%〕1.6質量部、アセチレングリコール系界面活性剤〔日信化学工業(株)製のオルフィンEXP.4200、有効成分濃度:75質量%〕0.5質量部、殺生剤〔Arch Chemicals社製のProxel(登録商標)XL−2〕0.2質量部、および超純水57.7質量部を配合し、混合したのち5μmのメンブランフィルタを用いてろ過して下地液1を調製した。
〈下地液2〉
バインダ樹脂として、カチオン性のポリオレフィン系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のアローベースCB−1010、PE骨格、有効成分濃度:20%、カチオン性〕25質量部を配合するとともに、超純水の量を52.7質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液2を調製した。
バインダ樹脂として、カチオン性のポリオレフィン系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のアローベースCB−1010、PE骨格、有効成分濃度:20%、カチオン性〕25質量部を配合するとともに、超純水の量を52.7質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液2を調製した。
〈下地液3〉
バインダ樹脂として、アニオン性のポリアミド系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のMC−2220、有効成分濃度:20質量%、アニオン性〕25質量部を配合するとともに、超純水の量を52.7質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液3を調製した。
バインダ樹脂として、アニオン性のポリアミド系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のMC−2220、有効成分濃度:20質量%、アニオン性〕25質量部を配合するとともに、超純水の量を52.7質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液3を調製した。
〈下地液4〉
バインダ樹脂として、アニオン性のポリオレフィン系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のアローベースSB−1200、PE骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性〕20質量部を配合したこと以外は前記下地液1と同様にして下地液4を調製した。
〈下地液5〉
バインダ樹脂として、アニオン性のポリウレタン系樹脂のエマルション〔DSM NeoResins+社製のNeoRez R−600、有効成分濃度:33%、アニオン性〕15.1質量部を配合するとともに、超純水の量を62.6質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液5を調製した。
バインダ樹脂として、アニオン性のポリオレフィン系樹脂のエマルション〔ユニチカ(株)製のアローベースSB−1200、PE骨格、有効成分濃度:25質量%、アニオン性〕20質量部を配合したこと以外は前記下地液1と同様にして下地液4を調製した。
〈下地液5〉
バインダ樹脂として、アニオン性のポリウレタン系樹脂のエマルション〔DSM NeoResins+社製のNeoRez R−600、有効成分濃度:33%、アニオン性〕15.1質量部を配合するとともに、超純水の量を62.6質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液5を調製した。
〈下地液6〉
バインダ樹脂として、アニオン性のスチレン−アクリル系共重合体のエマルション〔BASF社製のJONCRYL(登録商標)74J、有効成分濃度:45質量%、アニオン性〕11.1質量部を配合するとともに、超純水の量を66.6質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液6を調製した。
バインダ樹脂として、アニオン性のスチレン−アクリル系共重合体のエマルション〔BASF社製のJONCRYL(登録商標)74J、有効成分濃度:45質量%、アニオン性〕11.1質量部を配合するとともに、超純水の量を66.6質量部としたこと以外は前記下地液1と同様にして下地液6を調製した。
〈インク1〉
色材として、その表面にカルボキシル基等を導入してアニオン性としたカーボンブラックを15質量%の割合で含む顔料分散液を用意した。
次いで、前記顔料分散液26.6質量部、バインダ樹脂としての、アニオン性の塩化ビニル−アクリル系共重合体のエマルション〔日信化学工業(株)製のビニブラン711、有効成分濃度:30質量%、アニオン性〕25質量部、含窒素系溶剤としての、前記式(1-1)で表されるアミド系溶剤9質量部、および2−ピロリドン20質量部、フッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のCapstone FS−30、有効成分濃度:25質量%〕1.6質量部、アセチレングリコール系界面活性剤〔日信化学工業(株)製のオルフィンEXP.4200、有効成分濃度:75質量%〕0.5質量部、殺生剤〔Arch Chemicals社製のProxel(登録商標)XL−2〕0.2質量部、および超純水17.1質量部を配合し、混合したのち5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインク1を調製した。
色材として、その表面にカルボキシル基等を導入してアニオン性としたカーボンブラックを15質量%の割合で含む顔料分散液を用意した。
次いで、前記顔料分散液26.6質量部、バインダ樹脂としての、アニオン性の塩化ビニル−アクリル系共重合体のエマルション〔日信化学工業(株)製のビニブラン711、有効成分濃度:30質量%、アニオン性〕25質量部、含窒素系溶剤としての、前記式(1-1)で表されるアミド系溶剤9質量部、および2−ピロリドン20質量部、フッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のCapstone FS−30、有効成分濃度:25質量%〕1.6質量部、アセチレングリコール系界面活性剤〔日信化学工業(株)製のオルフィンEXP.4200、有効成分濃度:75質量%〕0.5質量部、殺生剤〔Arch Chemicals社製のProxel(登録商標)XL−2〕0.2質量部、および超純水17.1質量部を配合し、混合したのち5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインク1を調製した。
〈インク2〉
含窒素系溶剤として、前記式(1-1)で表されるアミド系溶剤を配合せず、かつ2−ピロリドンの量を29質量部としたこと以外は前記インク1と同様にしてインク2を調製した。
〈インク3〉
バインダ樹脂として、アニオン性のスチレン−アクリル系共重合体のエマルション〔BASF社製のJONCRYL(登録商標)74J、有効成分濃度:45質量%、アニオン性〕16.7質量部を配合するとともに、超純水の量を25.4質量部としたこと以外は前記インク1と同様にしてインク3を調製した。
含窒素系溶剤として、前記式(1-1)で表されるアミド系溶剤を配合せず、かつ2−ピロリドンの量を29質量部としたこと以外は前記インク1と同様にしてインク2を調製した。
〈インク3〉
バインダ樹脂として、アニオン性のスチレン−アクリル系共重合体のエマルション〔BASF社製のJONCRYL(登録商標)74J、有効成分濃度:45質量%、アニオン性〕16.7質量部を配合するとともに、超純水の量を25.4質量部としたこと以外は前記インク1と同様にしてインク3を調製した。
〈インク4〉
バインダ樹脂として、水溶性ポリウレタン樹脂〔第一工業製薬(株)製のスーパーフレックス(登録商標)126、不揮発分:30質量%、アニオン性〕25質量部を配合したこと以外は前記インク1と同様にしてインク4を調製した。
〈実施例1〜6、比較例1〜3〉
前記下地液1〜6、およびインク1〜4を、表1に示すように組み合わせて各実施例、比較例のインクセットを構成した。
バインダ樹脂として、水溶性ポリウレタン樹脂〔第一工業製薬(株)製のスーパーフレックス(登録商標)126、不揮発分:30質量%、アニオン性〕25質量部を配合したこと以外は前記インク1と同様にしてインク4を調製した。
〈実施例1〜6、比較例1〜3〉
前記下地液1〜6、およびインク1〜4を、表1に示すように組み合わせて各実施例、比較例のインクセットを構成した。
そして前記各実施例、比較例のインクセットについて、下記の各試験を実施してその特性を評価した。
〈定着性1〉
前記各実施例、比較例のインクセットの下地液、およびインクを、それぞれピエゾ方式のヘッドを備えたインクジェットプリンタの供給部に充てんした。
〈定着性1〉
前記各実施例、比較例のインクセットの下地液、およびインクを、それぞれピエゾ方式のヘッドを備えたインクジェットプリンタの供給部に充てんした。
そして温度25℃、相対湿度40%の環境下、前記インクジェットプリンタを用いて、まず下地液を、非吸収性媒体としてのポリプロピレンシートの表面の略全面にベタ印刷したのち、ドライヤーを用いて乾燥させて下地層を形成した。
次いでインクを、前記下地層の表面にベタ印刷したのち、再びドライヤーを用いて乾燥させたのち、印刷面を、エタノールと水とを質量比1:1で配合した混合溶液を滲み込ませた綿棒を用いて強くこすったのち観察して、インクセットの、ポリプロピレンシートの表面への定着性を、下記の基準で評価した。
次いでインクを、前記下地層の表面にベタ印刷したのち、再びドライヤーを用いて乾燥させたのち、印刷面を、エタノールと水とを質量比1:1で配合した混合溶液を滲み込ませた綿棒を用いて強くこすったのち観察して、インクセットの、ポリプロピレンシートの表面への定着性を、下記の基準で評価した。
×:下地層またはインクによる印刷の少なくとも一方が剥離した。定着性不良。
○:いずれも剥離しなかった。定着性良好。
〈光沢性〉
前記定着性試験において、綿棒を用いてこする前の印刷面の光沢性を、日本電色工業(株)製のハンディ型光沢計PG−IMを用いて測定した60°光沢度をもとに、下記の基準で評価した。
○:いずれも剥離しなかった。定着性良好。
〈光沢性〉
前記定着性試験において、綿棒を用いてこする前の印刷面の光沢性を、日本電色工業(株)製のハンディ型光沢計PG−IMを用いて測定した60°光沢度をもとに、下記の基準で評価した。
○:60°光沢度80以上。光沢あり。
△:60°光沢度60以上、80未満。光沢やや劣る。
×:60°光沢度60未満。光沢なし。
〈鮮明性〉
前記各実施例、比較例のインクセットの下地液、およびインクを、それぞれピエゾ方式のヘッドを備えたインクジェットプリンタの供給部に充てんした。
△:60°光沢度60以上、80未満。光沢やや劣る。
×:60°光沢度60未満。光沢なし。
〈鮮明性〉
前記各実施例、比較例のインクセットの下地液、およびインクを、それぞれピエゾ方式のヘッドを備えたインクジェットプリンタの供給部に充てんした。
そして温度25℃、相対湿度40%の環境下、前記インクジェットプリンタを用いて、まず下地液を、非吸収性媒体としてのポリプロピレンシートの表面の略全面にベタ印刷したのち、乾燥工程を経ずに直接に、インクを、6ポイントの罫線パターンとなるように印刷したのち、ドライヤーを用いて乾燥させた。
そして印刷面を観察して、全く滲みが見られなかったものを○(鮮明性良好)として評価した。また滲みが見られたものについては、下地液をベタ印刷し、次いでドライヤーを用いて乾燥させて下地層を形成したのち、同様にインクを、6ポイントの罫線パターンとなるように印刷した。
そして印刷面を観察して、全く滲みが見られなかったものを○(鮮明性良好)として評価した。また滲みが見られたものについては、下地液をベタ印刷し、次いでドライヤーを用いて乾燥させて下地層を形成したのち、同様にインクを、6ポイントの罫線パターンとなるように印刷した。
そして印刷面を観察して、滲みが見られなかったものを△(鮮明性通常)、滲みが見られたものを×(鮮明性不良)として評価した。
〈定着性2〉
前記各実施例、比較例のインクセットのうちインクを、ワイヤーバー(ドクター0.10、直径0.10mmのピアノ線を金属棒に巻きつけたもの)を用いて、繊維布の表面がポリ塩化ビニル系樹脂によってコートされたターポリンの表面に塗布した。
〈定着性2〉
前記各実施例、比較例のインクセットのうちインクを、ワイヤーバー(ドクター0.10、直径0.10mmのピアノ線を金属棒に巻きつけたもの)を用いて、繊維布の表面がポリ塩化ビニル系樹脂によってコートされたターポリンの表面に塗布した。
そして温度25℃、相対湿度40%の環境下で1.5分間静置した後、塗膜を指でこすって、指にインクが付着するか否かを観察した。また前記環境下で24時間静置後、綿棒を用いて強くこすった際に塗膜が剥がれるか否かを観察した。
そして下記の基準で、インクの、ターポリンの表面への定着性を評価した。
○:1.5分後に指に付着せず、24時間後に塗膜は剥がれなかった。定着性良好。
そして下記の基準で、インクの、ターポリンの表面への定着性を評価した。
○:1.5分後に指に付着せず、24時間後に塗膜は剥がれなかった。定着性良好。
△:1.5分後に指に付着したが、24時間後に塗膜は剥がれなかった。定着性通常。
×:1.5分後に指に付着し、24時間後に塗膜が剥がれた。定着性不良。
以上の結果を表1に示す。
×:1.5分後に指に付着し、24時間後に塗膜が剥がれた。定着性不良。
以上の結果を表1に示す。
表1の比較例1の結果より、バインダ樹脂としてポリアミド系樹脂を用いた下地液1と、バインダ樹脂としてスチレン−アクリル系共重合体を用いたインク3とを組み合わせた場合には、ポリプロピレンシートの表面に対する定着性が不良になることが判った。綿棒でこすった後の表面を観察したところ、下地液1からなる下地層は残留していたが、その上のインクによる印刷が剥離しているのが確認された。また前記インク3は、ターポリンの表面に直接に印刷した際の定着性も不良であることが判った。
また比較例2の結果より、バインダ樹脂としてスチレン−アクリル系共重合体を用いた下地液6と、バインダ樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂を含むインク1と組み合わせた場合には、やはりポリプロピレンシートの表面に対する印刷の定着性が不良になることが判った。綿棒でこすった後の表面を観察したところ、下地液1からなる下地層から剥離しているのが確認された。なお前記インク1は、ターポリンの表面に直接に印刷した際の定着性は良好であった。
さらに比較例3の結果より、バインダ樹脂として水溶性ポリウレタン樹脂を用いたインク4を用いて、下地層を介さずに直接に印刷をした場合には、ポリプロピレンシート、およびターポリンのいずれに対しても印刷の定着性が不良になることが判った。また印刷の光沢性、および鮮明性も不良になることが判った。かかる比較例3は、特許文献2を再現したものである。
これに対し、実施例1〜6の結果より、バインダ樹脂として、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む下地液1〜6のいずれかと、バインダ樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂を含むインク1または2とを組み合わせることにより、ポリプロピレンシート、およびターポリンのいずれに対しても定着性に優れた文字や図柄等を印刷できることが判った。
また実施例1、3、5、6と実施例2、4の結果より、印刷の光沢性を向上することを考慮すると、下地液のバインダ樹脂としては、前記3種のうちポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましいことが判った。
また実施例1、2、6と実施例3、4の結果より、下地液の乾燥工程を省略してもインクを滲みにくくしてトータルの印刷時間を短縮することを考慮すると、下地液のバインダ樹脂をカチオン性、インクのバインダ樹脂および顔料をアニオン性とするのが好ましいことも判った。
また実施例1、2、6と実施例3、4の結果より、下地液の乾燥工程を省略してもインクを滲みにくくしてトータルの印刷時間を短縮することを考慮すると、下地液のバインダ樹脂をカチオン性、インクのバインダ樹脂および顔料をアニオン性とするのが好ましいことも判った。
さらに実施例1〜5と実施例6の結果より、インクの含窒素系溶剤としては、式(1)で表されるアミド系溶剤を用いるのが、当該インクの定着性を向上する上で好ましいことも判った。
Claims (9)
- インクと、前記インクを用いて非吸収性媒体の表面に印刷するに先立って前記表面に塗布される下地液とを含むインクセットであって、
前記下地液は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂、含窒素系溶剤、および水を含む水性の下地液であるとともに、
前記インクは、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、含窒素系溶剤、水、および色材を含む水性のインクであることを特徴とするインクセット。 - 前記下地液のバインダ樹脂は、ポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のインクセット。
- 前記下地液のバインダ樹脂はカチオン性であり、前記インクのバインダ樹脂、および色材は、ともにアニオン性である請求項1または2に記載のインクセット。
- 前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクセットを用いて、ポリオレフィン系プラスチック、ポリエチレンテレフタレート系プラスチック、ミラーコート紙、およびキャストコート紙からなる群より選ばれた1種の非吸収性媒体の表面に印刷するための印刷方法であって、前記表面の少なくとも印刷をする領域に、インクジェット印刷法によって下地液を塗布したのち、前記領域に、インクジェット印刷法によってインクを印刷することを特徴とする印刷方法。
- 前記下地液として、ポリアミド系樹脂、およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種をバインダ樹脂として含むものを用い、前記下地液を前記領域に塗布したのち、前記領域に、前記インクを用いて印刷する請求項6に記載の印刷方法。
- 前記下地液としてカチオン性のバインダ樹脂を含むものを用いるとともに、前記インクとしてアニオン性のバインダ樹脂および色材を含むものを用い、前記下地液を前記領域に塗布後、前記領域に、乾燥工程を経ずに直接に、前記インクを用いて印刷する請求項6または7に記載の印刷方法。
- 前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクセットを用いて、非吸収性媒体としてのポリ塩化ビニル系プラスチックの表面に印刷するための印刷方法であって、前記表面に直接に、前記インクセット中のインクのみを用いて印刷することを特徴とする印刷方法。
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