JP6280670B2 - インクジェット用水性顔料インク組成物、画像形成方法、画像形成物、インクセットおよびインクジェットプリンター - Google Patents
インクジェット用水性顔料インク組成物、画像形成方法、画像形成物、インクセットおよびインクジェットプリンター Download PDFInfo
- Publication number
- JP6280670B2 JP6280670B2 JP2017500578A JP2017500578A JP6280670B2 JP 6280670 B2 JP6280670 B2 JP 6280670B2 JP 2017500578 A JP2017500578 A JP 2017500578A JP 2017500578 A JP2017500578 A JP 2017500578A JP 6280670 B2 JP6280670 B2 JP 6280670B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- inkjet
- ink
- ink composition
- pigment
- aqueous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41M—PRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
- B41M5/00—Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D11/00—Inks
- C09D11/30—Inkjet printing inks
- C09D11/32—Inkjet printing inks characterised by colouring agents
- C09D11/322—Pigment inks
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D11/00—Inks
- C09D11/30—Inkjet printing inks
- C09D11/40—Ink-sets specially adapted for multi-colour inkjet printing
Description
また、特許文献2には、エマルジョン粒子の水和安定を阻害せず保湿性を有する水溶性溶剤によって、耐摩擦性、保存安定性、吐出安定性に優れた水性顔料インク組成物が提供できることが記載されている。
また、特許文献4には、プリントヘッドのノズルの目詰まり防止とインク皮膜の乾燥性とのバランスから、使用水性溶剤の沸点範囲を限定することによって、吐出安定性に優れ、低温乾燥による塗膜特性に優れた水性顔料インク組成物が記載されている。
該エマルジョン樹脂の平均粒子径が、該顔料の平均粒子径より小さく、かつ70nm以下であり、
該エマルジョン樹脂の含有量が、該顔料の含有量以上であり、かつインクジェット用水性顔料インク組成物全体に対して、2質量%以上10質量%以下であり、
該水性有機溶剤は、3−メトキシ−3−メチルブタノール(3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール)及びピロリドン系溶剤を、インクジェット用水性顔料インク組成物全体に対して、それぞれ2質量%以上18質量%以下の範囲で含有することを特徴とするインクジェット用水性顔料インク組成物を提供するものである。
また、インクの再溶解性、連続吐出性、ヘッド目詰まり性等の吐出時の安定性にも優れている。
すなわち、低温乾燥下でも、非インク吸収性基材又は低インク吸収性基材に対しても、良好な塗膜特性(耐擦性、耐水性、柔軟性、延伸性等)を有する画像を実現できるインクジェット用水性顔料組成物を提供することができる。
3−メトキシ−3−メチルブタノールを含有することによって、エマルジョン樹脂の再溶解性が向上し、その結果、インクを吸引するクリーニング時にノズルに付着したエマルジョン樹脂を再溶解し易くなり(クリーニング特性が向上し)、またインクの吐出時には吐出安定性が向上する。
3−メトキシ−3−メチルブタノールは、特異的に水と共に蒸発し易く(共沸し易く)、そのため3−メトキシ−3−メチルブタノールと水とがほぼ同時に基材上からなくなり易いために、上記基材上であっても乾燥性や耐擦性が向上する。
このため、3−メトキシ−3−メチルブタノールは、比較的低温で水と一定比率で蒸発する特性を有しているため、本発明のインクジェット用水性顔料インク組成物は、外部エネルギー供給が少ない中でも、低吸収性基材上や非インク吸収性基材上での良好なインク皮膜形成が可能となる。
一般に、1,2−へキサンジオール等の「他の溶剤」が保湿性を確保するあまり水を抱え込むかのように水の蒸発速度を低下させるところ、3−メトキシ−3−メチルブタノールは水と共沸し易く、水が蒸発すると共に3−メトキシ−3−メチルブタノールも蒸発して、(1,2−ヘキサンジオール等の高沸点の「他の溶剤」が含有されていても)画像形成後のインクの基材上での乾燥速度(例えば溶剤の全ての成分が実質的に蒸発するまでの時間)が良好なまま維持できる。
上記効果を奏する結果から、及び、1,2−ヘキサンジオール等の高沸点の「他の溶剤」の含有量を減らせることもあり、非インク吸収性基材や低インク吸収性基材上に吐出して画像形成した場合でも、乾燥性・耐擦性等に優れ、高品質の画像を実現できる。
例えば、「分散剤が表面に存在する顔料」の表面が「+」側になっている場合、平均粒子径の小さい「−」表面のエマルジョン樹脂が、それをびっしりと均一に取り囲み、全体として表面が「−」の粒子となるので、「−」荷電による反発と立体障害により、インクの経時での保存安定性や、容器内及びノズル内での分散安定性等が良好となる。
該エマルジョン樹脂の平均粒子径が、該顔料の平均粒子径より小さく、かつ70nm以下であり、
該エマルジョン樹脂の含有量が、該顔料の含有量以上であり、かつインクジェット用水性顔料インク組成物全体に対して、2質量%以上10質量%以下であり、
該水性有機溶剤は、3−メトキシ−3−メチルブタノール及びピロリドン系溶剤を、インクジェット用水性顔料インク組成物全体に対して、それぞれ2質量%以上18質量%以下の範囲で含有することを特徴とする。
また、本発明のインクジェット用水性顔料インク組成物に含有される「水及び水性有機溶剤」を単に「溶剤」と略記することがある。なお、顔料、エマルジョン樹脂等、溶解しておらず分散しているものも存在するが、インクに含有される「水及び水性有機溶剤」を単に「溶剤」と略記する。
本発明において使用される顔料の種類は、特に限定はなく公知の無機顔料や有機顔料を使用できる。また、色も限定はなく、色の三原色であるシアン、マゼンタ又はイエロー;ブラック;等の他、その他の色の顔料も使用可能である。顔料は、同系統色の間で及び/又は異系統色の間で、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多環式顔料としては、限定はないが、例えば、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、イソインドリン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。
ピグメントイエロー12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,98,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,168,180,181,185,213;
ピグメントレッド48,53,57,97,112,122,123,168,176,177,184,188,202,206,209,242,254,255;
ピグメントバイオレット19,23,29,30,37、ピグメントブルー15:1,15:3,15:4,15:6,60、ピグメントオレンジ36,43,51,55,59,61,71,74;
ピグメントグリーン7,36、ピグメントブラック7;
等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
具体的には、例えば、キャボット社製の「リーガル」、「モナーク」等;コロンビア社製の「ラーベン」等;デグッサ・ヒュルス社製の「ブリンテックス」、「スペシャルブラック」等;三菱化学株式会社製の「HCF」、「MCF」、「RCF」、「RFF」、「SCF」等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
平均粒子径の下限が上記以上であると、顔料の凝集が抑制される;顔料の安定分散のために、エマルジョン樹脂の平均粒子径を顔料の平均粒径より小さくさせ易い等の効果がある。また、インクジェット用水性顔料インク組成物として使用したときに、インク皮膜の光学濃度値を増加し易くできる。
一方、平均粒子径の上限が上記以下であると、顔料の分散安定性が良くなる、色調や明度が良くなる等の効果がある。また、インクジェット用水性顔料インク組成物として使用したときに、吐出安定性が良くなる。
本発明において、顔料の平均粒子径は、顔料分散体(ミルベース)を、1μmのフィルターでろ過した後、得られたろ液中の顔料粒子の平均粒子径(D50)の数値を意味する。具体的には、常法に従い動的光散乱法で測定したものであり、例えばスペクトリス株式会社の「ゼーターサイザー ナノS」で測定される平均粒子径である。
顔料の含有量が少な過ぎると、印刷物の濃度がうすくなる場合があり、一方、顔料の含有量が多過ぎると、粘度の調整が難しくなる、インク皮膜の光学濃度値が飽和し顔料が無駄になる等の場合がある。
本発明において、「分散剤」は顔料を分散させるために用いられる。水性有機溶剤中で顔料を分散させる際には、顔料自身に官能基を付与した自己分散性顔料を分散させる、顔料を樹脂で覆ったカプセル化顔料にして分散させる、高分子分散剤を使用して顔料を分散させる等の方法が用いられており、本発明においては、何れも使用可能である。
また、カプセル化顔料は、顔料種によらず表面構造を等しくできるが、使用する樹脂量が非常に多く、また、カプセル化顔料自身を水性有機溶剤に分散させる技術が必要となる。
また、市販品を用いることもでき、市販品としては、例えば、
DISPERBYK−180,184,185,187,190,191,193,194N,198,199,2010,2012,2015,2091,2096,BYKJET−9151,BYKJET−9170(以上商品名、ビック・ケミー株式会社製、BYKJETは登録商標);
Efka PX−4550,4560,4585,4701(以上商品名、ウイルバー・エリス株式会社製);
DA−703−50(商品名、楠本化成株式会社製);
アロンA−6330(商品名、東亞合成株式会社製);
TEGO Dispers 750W,755W(以上商品名、エボニック・テゴ・ケミー株式会社製、TEGOは登録商標);
SOLSPERSE−41000,43000,44000,46000,47000(以上商品名、ルーブリゾール株式会社製、SOLSPERSEは登録商標);
等が挙げられる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用しでもよい。
水性有機溶剤中で表面が疎水性の顔料を分散させ、十分な分散安定性を得るために、上記したように高分子分散剤が好ましい。しかし、高分子分散剤だけでは、十分な分散安定性が得られ難い場合もあり、顔料に親水基を導入した顔料誘導体(シナジスト)と上記高分子分散剤との併用で、より良い分散安定性が得られる場合があるので、その場合はシナジストの併用が好ましい。
Solseperse−5000,12000,22000(以上商品名、ルーブリゾール株式会社製);
Synergist Yellow−8020,8404,9043,4827(以上商品名、株式会社分散材料研究所製);
Synergist Red−3953,4327,4474,4858,4966,5507,5525,5909,6006,6547(以上商品名、株式会社分散材料研究所製);
Synergist Blue−6831,7215,7438,7854,0785,0785A(以上商品名、株式会社分散材料研究所製);
Synergist Violet−6965,7349,7572,7988(以上商品名、株式会社分散材料研究所製);
等が挙げられる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用しでもよい。
本発明のインクジェット用水性顔料インク組成物には、必須成分として、エマルジョン樹脂を含有する。本発明で「エマルジョン樹脂」とは、「分散液であるエマルジョン」中の固形成分である樹脂のことを言う。「エマルジョン樹脂の含有量」も、エマルジョン中の「樹脂(固形分)」(換算)の含有量を意味する。
このうち、本発明のインクに、より好ましいエマルジョン樹脂は、印刷皮膜の柔軟性・延伸性に優れる等の点から、ウレタン系、(メタ)アクリル系又は塩化ビニル系のエマルジョン樹脂であり、特に好ましいエマルジョン樹脂は、印刷皮膜の柔軟性・延伸性に特に優れている点から、塩化ビニル系エマルジョン樹脂である。
良好な保存安定性を示し、優れた延伸性を示す市販の「エマルジョン樹脂を含有するエマルジョン」としては、具体的には、例えば、ビニブラン700,701,711,985(以上商品名、日信化学工業株式会社製、ビニブランは登録商標);アクリットWAN−6000(商品名、大成ファインケミカル株式会社製、アクリットは登録商標)等が挙げられる。
平均粒子径の上限が上記以下であると、上記理由等により、顔料の周囲に存在する分散剤の周りに更に平均粒子径の小さいエマルジョン樹脂が均一に取り囲み、全体として1個の粒子のように振る舞い、インクの保存安定性が良好となる。
また、「分散剤が表面に存在する顔料」が例えば「+」表面になっている場合、「−」表面のエマルジョン樹脂で均一に取り囲み、全体として「−」表面の粒子とし易くなるので、荷電による反発と立体障害により、インクの保存安定性や、ノズル内での分散安定性等が良好となる。
また、エマルジョン樹脂の平均粒子径は、顔料の平均粒子径より小さいことが必須である。
平均粒子径比=エマルジョン樹脂の平均粒子径[nm]/顔料の平均粒子径[nm]で定義される平均粒子径比は、前記効果を発揮させるために、0.05〜0.8が好ましく、0.1〜0.6がより好ましく、0.15〜0.4が特に好ましい。
エマルジョン樹脂の含有量が上記下限以上であると、本発明の前記効果を発揮し、インクの保存安定性、基材上のインク皮膜の耐擦性、耐水性、光沢等が良好となる。
一方、エマルジョン樹脂の含有量が上記上限以下であると、着弾したインクの乾燥性が大きくなり過ぎず、吐出安定性に優れる。
[含有比]=[エマルジョン樹脂の含有量(質量%)]/[顔料の含有量(質量%)]で定義される含有比は、前記効果を発揮させるために、1以上が必須であるが、1.0〜2.6が好ましく、1.2〜2.3がより好ましく、1.4〜2が特に好ましい。
一方、上記含有比が大き過ぎると、インク皮膜の光学濃度値の低下、乾燥性の速過ぎ、吐出安定性が劣化する等の場合がある。
エマルジョン樹脂粒子が顔料の周囲を完全に覆う配置をとった状態で、そこに更に、水性有機溶剤として、3−メトキシ−3−メチルブタノールやピロリドン系溶剤を組み合わせると、前記本発明の効果が相乗的に奏される。これは、3−メトキシ−3−メチルブタノールが、エマルジョン樹脂粒子の水和配置の安定性を壊さないような分子構造の水性有機溶剤であるからだと考えられる。
本発明において、インクは溶剤として水及び水性有機溶剤を含有する。水性有機溶剤を含有することによって、インクの粘度、インクの着弾後の乾燥性、MFT(最低造膜温度)の制御、再溶解性の向上等が得られる。
水性有機溶剤として、3−メトキシ−3−メチルブタノール及びピロリドン系溶剤を必須成分として含有する。
水性有機溶剤として、3−メトキシ−3−メチルブタノールを含有することによって、エマルジョン樹脂の再溶解性が向上してクリーニング特性が向上し、インクの吐出時には吐出安定性が向上する。
また、インク着弾後の乾燥速度が著しく向上し、低温乾燥性が向上して耐擦性に優れるようになり、非インク吸収性基林や低インク吸収性基材上に吐出して画像形成しても乾燥が速く、低温乾燥性が良好であり高品質の画像を実現できる。
18質量%以下の範囲で含有することが必須である。
好ましくは、3質量%以上15質量%以下、より好ましくは、4質量%以上12質量%以下、特に好ましくは、5質量%以上9質量%以下である。
3−メトキシ−3−メチルブタノールが上記範囲の含有量であると、前記した3−メトキシ−3−メチルブタノール含有の効果を奏し易く、裏腹の物性の両立が達成され易い。特に、下限が上記以上であると、ノズルから吐出して基材上に着弾したインクの乾燥性に優れ、耐擦性、耐水性等が優れる。上限が上記以下であると、乾燥が速過ぎず、ノズルで目詰まりが発生し難い。
本発明のインクは、水性有機溶剤として、3−メトキシ−3−メチルブタノール及びピロリドン系溶剤を必須成分として含有するが、そのうち、ピロリドン系溶剤を含有することによって、前記した本発明の効果を発揮する。ピロリドン系溶剤は、特に強極性有機溶剤特有の基材への密着増加効果、MFT低下効果等を有しており、非インク吸収性基材や低インク吸収性基材上に吐出しても高品質の画像を得ることができる。
そのため、特に、3−メトキシ−3−メチルブタノールと併用することによって、インクの再溶解性、吐出安定性、乾燥性、基材への密着性に関しバランスの良い配合処方を見出し得る点等で相乗効果を発揮する。
好ましくは、3質量%以上15質量%以下、より好ましくは、4質量%以上12質量%以下、特に好ましくは、5質量%以上9質量%以下である。
ピロリドン系溶剤が上記範囲の含有量であると、前記したピロリドン系溶剤含有の効果を奏し易く、特に下限が上記以上であると、ノズルから吐出し基材上に着弾したインクの密着が優れ、耐擦性、耐水性等が向上する。また、インクの再溶解性が優れ、その結果、ノズルで目詰まりが発生し難くなる。一方、上限が上記以下であると、インクの保存安定性が優れる。
本発明のインクは、3−メトキシ−3−メチルブタノール及びピロリドン系溶剤を、インクに対して、合計で4質量%以上25質量%以下の範囲で含有することが好ましい。合計量は、より好ましくは、5質量%以上22質量%以下の範囲であり、特に好ましくは、7質量%以上18質量%以下の範囲である。合計量の上記範囲であると、3−メトキシ−3−メチルブタノールとピロリドン系溶剤のそれぞれの項で記載した効果を発揮する。
本発明のインクは、水性有機溶剤として、更に、前記以外の他の溶剤も含有させることができる。
中でも、1,2−アルカンジオールを含有することが好ましく、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール又は1,2−ヘキサンジオールを含有することがより好ましく、1,2−へキサンジオールを含有することが特に好ましい。
1,2−アルカンジオールを含有すると、保湿性、ヘッド目詰まり性、基材への浸透性等が向上し、ベタ部濃淡ムラ低減に効果を奏する。
本発明のインクは水を含有する。
インク全体に対する水の含有量は、限定はないが、60〜80質量%が好ましく、65〜75質量%が特に好ましい。
本発明のインクジェット用水性顔料インク組成物には、必要に応じて、消泡剤、表面張力調整剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤等のインクに含有することが知られている公知の成分を更に含有させてもよい。
本発明のインクジェット用水性顔料インク組成物の製造方法は、特に限定されないが、プレミックス後、ペイントシェーカー、サンドミル分散機等によって、水、水性有機溶剤及び分散剤の混合液中に顔料を分散し、得られた顔料分散液を、水、本発明における水性有機溶剤、エマルジョン樹脂等と混合して製造することが好ましい。その後、フィルター等を用いて、粗大粒子を除去し、必要に応じて脱気することにより製造することが好ましい。
本発明のインクジェット用水性顔料インク組成物は、ノズルから吐出させて基材に着弾させて画像を形成するために用いられる。該画像形成方法(基材の種類、着弾したインクの乾燥方法等)は特に限定はないが以下に示す方法が好ましい。
基材の種類は特に限定されないが、前記した3−メトキシ−3−メチルブタノールとピロリドン系溶剤との(相乗)効果を得るために、該基材は、金属、ガラス、ポリエチレンテレフタレート等の非インク吸収性基材や、塩化ビニル等の低インク吸収性基材であることが好ましい。
上記加熱工程の加熱温度は、50℃以上70℃以下がより好ましく、55℃以上60℃以下が特に好ましい。
上記温度範囲で加熱することによって、耐擦性、耐水性等が向上し、ベタ部濃淡ムラの発生を抑えた高品質の印刷画像を形成できる。
また、基材として、前記非インク吸収性基材や前記低インク吸収性基材を用いたときに、更に上記画像形成方法は、上記効果を発揮するために好ましい。
本発明は、前記インクを用いて基材上に形成されたものであることを特徴とする画像形成物である。
ここで、基材は前記したもの等が挙げられる。該画像形成物は、耐擦性、耐水性、延伸性、柔軟性、ベタ部濃淡ムラ等に優れている。
また、以下の記載において、「部」とは質量部を、「%」とは質量%を示す。
また、「エマルジョン樹脂分散体」とは、エマルジョン樹脂を含有する水溶液(分散液)のことを意味する。
また、印刷される対象(メディア)である「基材」を、「被記録媒体」と表現することがある。
〈顔料分散体の調製〉
先ず、下記の材料を下記の割合で秤量し、ビーズミルテスト分散機を用いて、直径0.3mmのジルコニアビーズを分散メディアとして、80分間分散して、顔料分散体Aを得た。
顔料分散体A中の顔料の平均粒子径は、140nmであった。
:20.0部
(2)分散剤(ビック・ケミージャパン株式会社製、商品名「BYKJET−9170」、BYKJETは登録商標)
:10.0部
(3)水性有機溶剤3−メトキシ−3−メチルブタノール
:10.0部
(4)消泡剤(日信化学工業株式会社製、商品名「サーフィノール104E」、サーフィノールは登録商標)
:0.3部
(5)イオン交換水
:59.7部
次に、上記で得た顔料分散体Aと下記の材料とを下記の割合で混合・攪拌し、実施例1のインクジェット用水性顔料インク組成物を得た。
(1)顔料分散体A(顔料濃度:20.0%)
:18.0部
(2)エマルジョン樹脂分散体:塩化ビニル系エマルジョン樹脂(日信化学工業株式会社製、製品名「ビニブラン701」、ビニブランは登録商標、固形分30%、平均粒子径30nm)
:20.0部
(3)水性有機溶剤1:3−メトキシ−3−メチルブタノール
:4.0部
(4)水性有機溶剤2:2−ピロリドン
:5.0部
(5)水性有機溶剤3:EVONIK社製、1,2−へキサンジオール等
:7.0部
(6)各種添加剤(消泡剤、表面張力調整剤等)
:0.5部
(7)イオン交換水
:45.5部
エマルジョン樹脂分散体を、商品名「ビニブラン711」(日信化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
「ビニブラン711」は、塩化ビニル系エマルジョン樹脂であり、固形分は30%、平均粒子径は70nmである。
エマルジョン樹脂分散体を、「ビニブラン701」20.0部から、「アクリットWAN−6000」(大成ファインケミカル株式会社製、アクリットは登録商標)15.7部に変更して、イオン交換水の配合量を49.8部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
「アクリットWAN−6000」は、アクリル系エマルジョン樹脂であり、固形分は38.3%であり、平均粒子径は30nmである。
インクジェット用水性顔料インク調製の際の「水性有機溶剤1」である3−メトキシ−3−メチルブグノールの配合量を4.0部から2.0部に変更し、「水性有機溶剤2」である2−ピロリドンの配合量を5.0部から2.0部に変更し、イオン交換水の配合量45.5部から50.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
「水性有機溶剤2」である2−ピロリドンの配合量を5.0部から15.0部に変更し、イオン交換水の配合量を35.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
インクジェット用水性顔料インク調製の際の「水性有機溶剤1」である3−メトキシ−3−メチルブタノールの配合量を4.0部から15.0部に変更し、イオン交換水の配合量を34.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
インクジェット用水性顔料インク調製の際の「水性有機溶剤1」である3−メトキシ−3−メチルブタノールの配合量を4.0部から10.0部に変更し、「水性有機溶剤2」である2−ピロリドンの配合量を5.0部から10.0部に変更し、イオン交換水の配合量を34.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
エマルジョン樹脂分散体である「ビニブラン701」の配合量を20.0部から13.3部に変更し、イオン交換水の配合を52.2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8のインクジェッ卜用水性顔料インク組成物を作製した。
エマルジョン樹脂分散体である「ビニブラン701」の配合量を20.0部から30.0部に変更し、イオン交換水の配合を35.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。本実施例9では、エマルジョン樹脂の含有量は、9.0部であった。
インクジェット用水性顔料インク調製の際の「水性有機溶剤1」である3−メトキシ−3−メチルブタノールの配合量を4.0部から0.7部に変更し、イオン交換水の配合量を48.8部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
エマルジョン樹脂分散体を、「ビニブラン701」20.0部から、商品名「ビニブラン603」(日信化学工業株式会社製)12.0部に変更し、イオン交換水の配合量を53.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。「ビニブラン603」は、塩化ビニル/酢酸ビニル系エマルジョン樹脂であり、固形分は50%であり、平均粒子径は150nmである。
エマルジョン樹脂分散体を、「ビニブラン701」20.0部から、商品名「ポリゾールAP6730」(昭和電工株式会社製、ポリゾールは登録商標)20.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
「ポリゾールAP6730」は、スチレン/アクリル系エマルジョン樹脂であり、固形分は30%であり、平均粒子径は100nmである。
上記、実施例1の〈インクジェット用水性顔料インク組成物の調製〉で示した処方の中で、
(3)水性有機溶剤1:3−メトキシ−3−メチルブタノール
:配合せず
(4)水性有機溶剤2:2−ピロリドン
:配合せず
(5)水性有機溶剤3:EVONIK社製、1,2−へキサンジオール等
:16.0部
と変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のインクジェット用水性顔料インク
組成物を作製した。
上記、実施例1の〈インクジェット用水性顔料インク組成物の調製〉で示した処方の中で、
(3)水性有機溶剤1:3−メトキシ−3−メチルブタノール
:配合せず
(4)水性有機溶剤2:2−ピロリドン
:5.0部(実施例1と変更なし)
(5)水性有機溶剤3:EVONIK社製、1,2−へキサンジオール等
:11.0部
と変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
上記、実施例1の〈インクジェット用水性顔料インク組成物の調製〉で示した処方の中で、
(3)水性有機溶剤1:3−メトキシ−3−メチルブタノール
:4.0部(実施例1と変更なし)
(4)水性有機溶剤2:2−ピロリドン
:配合せず
(5)水性有機溶剤3:EVONIK社製、1,2−ヘキサンジオール等
:12.0部
と変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例5のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
上記、実施例1の〈インクジェット用水性顔料インク組成物の調製〉で示した処方の中で、
(3)水性有機溶剤1:3−メトキシ−3−メチルブタノール
:4.0部(実施例1と変更なし)
(4)水性有機溶剤2:2−ピロリドン
:20.0部
(5)水性有機溶剤3:EVONIK社製、1,2−ヘキサンジオール等
:7.0部(実施例1と変更なし)
と変更し、イオン交換水の配合量を30.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
上記、実施例1の〈インクジェット用水性顔料インク組成物の調製〉で示した処方の中で、
(3)水性有機溶剤1:3−メトキシ−3−メチルブタノール
:20.0部
(4)水性有機溶剤2:2−ピロリドン
:5.0部(実施例1と変更なし)
(5)水性有機溶剤3:EVONIK社製、1,2−へキサンジオール等
:7.0部(実施例1と変更なし)
と変更し、イオン交換水の配合量を29.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
エマルジョン樹脂分散体であるビニブラン701の配合量を20.0部から35.0部に変更し、イオン交換水の配合量を30.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
本比較例8では、エマルジョン樹脂の含有量は、10.5部であった。
エマルジョン樹脂分散体であるビニブラン701の配合量を20.0部から6.0部に変更し、イオン交換水の配合量を74.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例9のインクジェット用水性顔料インク組成物を作製した。
本比較例9では、エマルジョン樹脂の含有量は、1.8部であった。
大塚電子株式会社製の濃厚系粒子アナライザーFPAR−1000を用いて、動的光散乱法により、キュムラント平均粒子径を測定した。
エマルジョン樹脂分散体を150℃で2時間乾燥させて重量測定し「固形分」とした。
各インクを、各々サンプルビン内に密封して45℃環境下に3ヶ月放置した。
放置後のインクの粘度変化、及び、インク成分の分離・沈降・凝集状態を観察することにより、インクの保存安定性を評価した。
A:調製直後の粘度と比較して、変化率が±5%未満
B:調製直後の粘度と比較して、変化率が±5%以上、±10%未満
C:調製直後の粘度と比較して、変化率が±10%以上、±20%未満
D:調製直後の粘度と比較して、変化率が±20%以上
A:インク成分の分離、沈降、凝集の、何れもが見られない
B:インク成分の分離、沈降、凝集のうち、何れかが僅かに見られる
C:インク成分の分離、沈降、凝集のうち、何れかが明確に見られる
D:インク成分の分離、沈降、凝集の、何れもが著しく見られる
アルミ板上に、バーコーター#3にて、各色インクを塗布し、室温にて1ヶ月放置した。
放置後の塗布板上に同色インクを1滴落とし(円形に広がる)、3分後に紙製ウェス(キムワイプ(登録商標)使用)を1/8に折りたたんだ面で、インク滴の真上から軽く指で押さえた。この操作を紙製ウェスの新しい面で3回行い、インクを吸い取った塗布面を観察した。
A:塗布面のインク成分が円形に溶解して、紙製ウェスに吸い取られ、アルミ板表面が円形状に露出する
B:塗布面のインク成分が円形に一部溶解して、紙製ウェスに吸い取られるが、アルミ板表面に残渣が残る
C:塗布面のインク成分が円形に膨潤するが殆ど溶解せず、紙製ウェスに殆ど吸い取られない
D:塗布面のインク成分が円形に膨潤も溶解もせず(変化せず)、紙製ウェスに吸い取られずインク滴の跡が残らない
〈〈連続吐出性の評価方法〉〉
インクジェット記録方式のプリンターとしてインクジェットプリンターVJ−1304(商品名、武藤工業株式会社製)にインクを充填して、被記録媒体VJ−MF−3G(商品名、武藤工業株式会社純正被記録媒体)に塗り潰しパターンを印刷した前後のノズルチェックパターンを比較し、塗り潰しパターン印刷後のノズルチェックパターンに、新たな欠損があれば不良、なければ良好とした。
印刷パターンは、Bk、Cy、Ma、Ye各色100%のdutyであり、横720dpi、縦720dpiの2passで印刷する場合は、プラテンヒーターを設定せず、横1440dpi、縦1440dpiの16passで印刷する場合は、プラテンヒーターを50℃に設定した。
A:塗潰しパターン印刷後に、各色のノズルチェックパターンの欠損が発生しない
B:塗潰しパターン印刷後に、各色のノズルチェックパターンに1〜4ヶ所の欠損が発生する
C:塗潰しパターン印刷後に、各色のノズルチェックパターンに5〜9ヶ所の欠損が発生する
D:塗潰しパターン印刷後に、各色のノズルチェックパターンに10ヶ所以上の欠損が発生する
インクジェット記録方式のプリンターとしてインクジェットプリンターVJ−1304(商品名、武藤工業株式会社製)にインクを充填して、ノズル目詰まりのない状態にした後、ノズルチェックパターンを印刷し、プリントヘッドのキャップを装着した状態で電源を落とし、そのまま1週間室温で放置した。
1週間経過後に再度ノズルチェックパターンを印刷し、1週間室温放置前後のノズルチェックパターンを比較し、1週間経過後のパターンに欠損がないか、又は、クリーニング動作後に正常に吐出するか否かを観察した。
A:1週間室温放置後に、ノズルチェックパターンの欠損がないか又はノズルチェックパターンの欠損が発生するが、3回以内のクリーニング動作で全ノズルからインクが正常吐出される
B:1週間室温放置後に、ノズルチェックパターンの欠損が発生するが、4回〜6回のクリーニング動作で全ノズルからインクが正常吐出される
C:1週間室温放置後に、ノズルチェックパターンの欠損が発生し、7回以上のクリーニング動作で全ノズルからインクが正常吐出される
D:1週間室温放置後に、ノズルチェックパターンの欠損が発生し、いくらクリーニング動作を行っても全ノズルからインクが正常吐出されない
〈〈乾燥性の評価方法〉〉
インクジェット記録方式のプリンターとしてインクジェットプリンターVJ−1304(商品名、武藤工業株式会社製)にインクを充填して、被記録媒体VJ−MF−3G(商品名、武藤工業株式会社純正被記録媒体)に、横720dpi、縦720dpiの8pass、プラテンヒーターを50℃に設定の条件で塗り潰しパターンを印刷した。
その印刷物を、60℃の恒温槽内に所定の時間放置した後に取り出し、JIS L 0849 I型の摩擦試験機に綿布カナキン3号を装着し、900gの荷重で100往復摩擦した。この操作を数回繰り返し、十分な強度が得られる時間を記録した。
印刷パターンは、100%dutyで、各Bk、Cy、Ma、Ye、R(Ye100%+Ma100%)、G(Ye100%+Cy100%)、B(Cy100%+Ma100%)、3K(cy100%+Ma100%+Ye100%)の塗り潰しパターンを用いた。
A:100%dutyの各色塗潰しパターンにおいて、60℃に設定した恒温槽による6分未満の加熱で十分な摩擦強度が得られる
B:100%dutyの各色塗潰しパターンにおいて、60℃に設定した恒温槽による6分〜8分の範囲の加熱で十分な摩擦強度が得られる
C:100%dutyの各色塗潰しパターンにおいて、60℃に設定した恒温槽による8分〜10分の範囲の加熱で十分な摩擦強度が得られる
D:100%dutyの各色塗潰しパタ−ンにおいて、60℃に設定した恒温槽による10分までの加熱で十分な摩擦強度が得られない
インクジェット記録方式のプリンターとしてインクジェットプリンターVJ−1304(商品名、武藤工業株式会社製)にインクを充填して、被記録媒体VJ−MF−3G(商品名、武藤工業株式会社純正被記録媒体)に、横720dpi、縦720dpiの8pass、プラテンヒーターを50℃に設定の条件で塗り潰しパターンを印刷した。
その印刷物を60℃の恒温槽内に10分間放置した後に取り出し、JIS L 0849 I型の摩擦試験機に綿布カ7キン3号を装着し、900gの荷重で100往復摩擦した。
印刷パターンは、100%dutyで各Bk、Cy、Ma、Yeの塗り潰しパターンを用いた。
A:試験後の印刷面に傷がなく、試験布への色移りが殆どない
B:試験後の印刷面に小さな傷があり、試験布への色移りがある
C:試験後の印刷面に傷があり、その部分で被記録媒体が露出している
D:試験後の印刷面が剥がれ、被記録媒体が大きく露出している
インクジェット記録方式のプリンターとしてインクジェットプリンターVJ−1304(商品名、武藤工業株式会社製)にインクを充填して、被記録媒体VJ−MF−3G(商品名、武藤工業株式会社純正被記録媒体)に、横720dpi、縦720dpiの8pass、プラテンヒーターを50℃に設定の条件で塗り潰しパターンを印刷した。
その印刷物を60℃の恒温槽内に10分間放置した後に取り出し、JIS L 0849 I型の摩擦試験機に水で湿らせた綿布カナキン3号を装着し、900gの加重で10往復摩擦した。
印刷パターンは、100%dutyで各Bk、Cy、Ma、Yeの塗り潰しパターンを用いた。
A:試験後の印刷面に傷がなく、試験布への色移りが殆どない
B:試験後の印刷面に小さな傷があり、試験布への色移りがある
C:試験後の印刷面に傷があり、その部分で被記録媒体が露出している
D:試験後の印刷面が剥がれ、被記録媒体が大きく露出している
インクジェット記録方式のプリンターとしてインクジェットプリンターVJ−1304(商品名、武藤工業株式会社製)にインクを充填して、被記録媒体VJ−MF−3G(商品名、武藤工業株式会社純正被記録媒体)に、横720dpi、縦720dpiの8pass、プラテンヒーターを50℃に設定の条件で塗り潰しパターンを印刷後、VJ−MF−3Gの離型紙部分を剥離させ、延伸倍率2倍まで延伸させた。
A:2倍の延伸倍率の印刷皮膜が被記録媒体の延伸に追随し、表面に異常が認められない
B:2倍の延伸倍率の印刷皮膜の表面光沢が低下する
C:2倍の延伸倍率の印刷皮膜に肉眼で見える亀裂が認められる
D:印刷皮膜が殆ど延伸せず、印刷皮膜が部分的に剥離する
インクジェット記録方式のプリンターとしてインクジェットプリンターVJ−1304(商品名、武藤工業株式会社製)にインクを充填して、被記録媒体Vj−MF−3G(商品名、武藤工業株式会社純正被記録媒体)に、横720dpi、縦720dpiの8pass、又は縦1440dpi、横1440dpiの16passでカラーチャート及びJISx9204 N7RGBを、プラテンヒーターを50℃に設定して印刷し、濃淡ムラの有無を目視で確認した。
A:カラーチャートにおいて少なくともduty160%以上でモットリングがなく、JISx9204 N7RGBにおいて濃淡ムラがない
B:カラーチャートにおいてduty160%以上でモットリングがあり、JISx9204 N7RGBにおいて色の濃い部分に若干の濃淡ムラがある
C: カラーチャートにおいてduty100%〜160%でモットリングがあり、JISx9204 N7RGBにおいて色の濃い部分にはっきりと濃淡ムラがある。
D:カラーチャートにおいてduty100%以下でモットリングがあり、JISx9204 N7RGBにおいて印刷範囲全体に濃淡ムラがある。
上記各評価項目の判定結果を全て合わせて、下記の判定基準で総合的に評価した。
A4:「B」以下がなく「A〜B」が1個以下
A3:「B」以下がなく「A〜B」が2個以上
A2:「C」以下がなく「B」が1個
A1:「C」以下がなく「B」が2個
B:「C」以下がなく「B」が3個
C:「D」がなく「C」が1個以上、又は、「B」が4個以上
D:「D」が1個以上
一方、本発明の要件を満たしていない比較例のインクは、何れかの評価項目に劣り、上記総合評価が、B〜Dと劣っていた。
言い換えれば、先述した再溶解性の評価結果がDの場合には、長期放置後の印刷再開時における印刷再現性が悪いことを意味し、評価結果がAの場合には、印刷再開時における印刷再現性が良いことを意味する。すなわち、評価結果Aは、プリンター(インクジェットヘッド)の大気暴露における乾燥耐久性が優れており、印刷使用−未使用(大気放置)−印刷使用という実サイクルにおける耐久性に優れている証となるものである。
一方、総合評価におけるB〜Dは、何れかの評価項目に劣る点があり、言い換えれば印刷直後の画像品質または使用環境にて何らかの欠点を有しているので、上記実使用に耐えることのできないものである。すなわち総合評価A1〜A4とB〜Dとは、全く異なる性能と言ってよく、総合評価A1〜A4を有する実施例1〜10は、本課題に即した格段の効果を有するものと言える。
また先に記載したように、本発明に用いる基材の種類は特に限定されるものではなく、塩化ビニル以外に、金属、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の非インク吸収性基材や、低インク吸収性基材を用いることができる。
この試験における「耐擦性」の評価方法は、摩擦試験機に綿布カナキン3号、900gの荷重にて塗膜を100回往復させた後、塗膜外観を評価したものである。
また、「耐水性(浸漬)」の評価方法については、各非吸収性記録媒体に塗布した試験片を常温の水道水に24時間浸漬後、室温放置した後の塗膜外観・色落ちの評価を実施したものである。
ここで判定基準について、「耐擦性」の評価Aは「試験後の印刷面に傷がなく、試験布への色移りが殆どない」ことを意味しており、また、「耐水性(浸漬)」の評価Aは「試験後の印刷面に変色及び色落ちが殆どない」ことを意味している。
インクジェットプリンター10は、ローラ11、インクジェットヘッド14、ドライバ13,16、制御部15、画像処理部17を備える。制御部15は、ローラ11を駆動させるためのドライバ13を制御し、ローラ11により基材(被記録媒体)12を移動させる。また、制御部は、ネットワーク回線、メモリまたは外部機器等から送られてくる画像データを画像処理部17に供給する。画像処理部は、画像データを、インクジェットヘッド14により基材12にインク組成物20を着弾させて画像を記録するための画像記録データに変換し、これをインクジェットヘッド14に出力する。
インクジェットヘッド14は、インク組成物20の吐出方向が基材を向くように配置されており、インクジェットヘッド14全体がドライバ16により移動可能となっている。また、インクジェットヘッド14は、インク組成物20の保持手段であるインクタンク(図示せず)を備える。ドライバ16は、モータ等の駆動源を有し、制御部15からの駆動信号によって駆動源を駆動させることにより、インクジェットヘッド14を基材12の表面に沿った方向に移動させ、インク組成物20を吐出させて、基材12に着弾させる。着弾したインク組成物20は加熱工程(図示せず)によって加熱され、これにより、本発明に係る画像形成物を得ることができる。なお加熱工程の例としては、実施例にてプラテンヒーターを用いたが、これに限るものではなく、エアーヒーター(ヒートエアーブロー)や赤外線ランプなどを単独または組み合わせて用いることができる。
11 ローラ
12 基材(被記録媒体)
13、16 ドライバ
14 インクジェットヘッド
15 制御部
17 画像処理部
20 インク組成物
Claims (9)
- 顔料、分散剤、エマルジョン樹脂、水及び水性有機溶剤を含むインクジェット用水性顔料インク組成物であって、
該エマルジョン樹脂の平均粒子径が、該顔料の平均粒子径より小さく、かつ70nm以下であり、
該エマルジョン樹脂の含有量が、該顔料の含有量以上であり、かつインクジェット用水性顔料インク組成物全体に対して、2質量%以上10質量%以下であり、
該水性有機溶剤は、3−メトキシ−3−メチルブタノール及びピロリドン系溶剤を、インクジェット用水性顔料インク組成物全体に対して、それぞれ2質量%以上18質量%以下の範囲で含有することを特徴とするインクジェット用水性顔料インク組成物。 - 3−メトキシ−3−メチルブタノール及びピロリドン系溶剤を、インクジェット用水性顔料インク組成物全体に対して、合計で4質量%以上25質量%以下の範囲で含有する請求項1に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物。
- 上記エマルジョン樹脂が、塩化ビニル系、(メタ)アクリル系又はウレタン系エマルジョン樹脂である請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物。
- 上記ピロリドン系溶剤が、2−ピロリドンである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物。
- 非インク吸収性基材又は低インク吸収性基材に画像を形成するために用いられる請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物。
- 請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物をインクジェットヘッドから吐出し、吐出された液滴を基材に着弾させる吐出工程と、該基材に着弾したインクジェット用水性顔料インク組成物を40℃以上80℃以下で加熱する加熱工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物を用いて基材上に形成されたものであることを特徴とする画像形成物。
- 請求項1乃至5の何れかの請求項に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物を含むインクセット。
- インクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを駆動するためのドライバと、
画像処理部と、
制御部を備え、
請求項1乃至5の何れかの請求項に記載のインクジェット用水性顔料インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出することを特徴とするインクジェットプリンター。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015030797 | 2015-02-19 | ||
JP2015030797 | 2015-02-19 | ||
PCT/JP2016/052613 WO2016132858A1 (ja) | 2015-02-19 | 2016-01-29 | インクジェット用水性顔料インク組成物、画像形成方法、画像形成物、インクセットおよびインクジェットプリンター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2016132858A1 JPWO2016132858A1 (ja) | 2017-08-17 |
JP6280670B2 true JP6280670B2 (ja) | 2018-02-14 |
Family
ID=56692530
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017500578A Active JP6280670B2 (ja) | 2015-02-19 | 2016-01-29 | インクジェット用水性顔料インク組成物、画像形成方法、画像形成物、インクセットおよびインクジェットプリンター |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6280670B2 (ja) |
TW (1) | TW201631066A (ja) |
WO (1) | WO2016132858A1 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6645201B2 (ja) | 2015-06-10 | 2020-02-14 | 株式会社リコー | インク、並びにインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物 |
JP6864860B2 (ja) * | 2016-09-07 | 2021-04-28 | 株式会社リコー | インク、インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法 |
WO2019049690A1 (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | インク組成物及び画像形成方法 |
JP7031194B2 (ja) * | 2017-09-26 | 2022-03-08 | ブラザー工業株式会社 | インクジェット記録用水性インク及びインクジェット記録方法 |
US11485868B2 (en) | 2019-03-12 | 2022-11-01 | Sun Chemical Corporation | Composite aqueous inkjet fluids |
JP7306068B2 (ja) * | 2019-05-31 | 2023-07-11 | ブラザー工業株式会社 | 洗浄液 |
JP2022101126A (ja) * | 2020-12-24 | 2022-07-06 | 共同印刷株式会社 | タングステン系赤外線吸収性顔料分散液、染色液、繊維製品、及び繊維製品の処理方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002371211A (ja) * | 2001-06-15 | 2002-12-26 | Toppan Printing Co Ltd | インクジェット用インクおよびそれを用いた記録方法 |
JP2007177160A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | General Technology Kk | 油性インクジェットインク |
JP4317241B2 (ja) * | 2007-05-18 | 2009-08-19 | 東芝テック株式会社 | インクジェット記録用水性インク |
ATE540090T1 (de) * | 2009-08-28 | 2012-01-15 | Toshiba Kk | Wässrige tintenstrahl-tinte |
KR20120095354A (ko) * | 2009-09-30 | 2012-08-28 | 가부시키가이샤 디엔피 파인 케미칼 | 잉크 조성물 |
JP6232798B2 (ja) * | 2013-01-29 | 2017-11-22 | 株式会社リコー | インクジェット記録用インクおよびその記録方法 |
-
2016
- 2016-01-29 WO PCT/JP2016/052613 patent/WO2016132858A1/ja active Application Filing
- 2016-01-29 JP JP2017500578A patent/JP6280670B2/ja active Active
- 2016-02-18 TW TW105104743A patent/TW201631066A/zh unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2016132858A1 (ja) | 2017-08-17 |
TW201631066A (zh) | 2016-09-01 |
WO2016132858A1 (ja) | 2016-08-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6280670B2 (ja) | インクジェット用水性顔料インク組成物、画像形成方法、画像形成物、インクセットおよびインクジェットプリンター | |
JP7088269B2 (ja) | 前処理液、インキセット、及び印刷物の製造方法 | |
JP7030262B2 (ja) | 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット | |
CN101874084B (zh) | 非水喷墨油墨以及喷墨记录方法 | |
JP2014019811A (ja) | インクセットおよびそれを用いた印刷方法 | |
JP7067071B2 (ja) | 前処理液、インキセット、及び印刷物の製造方法 | |
JP2012184376A (ja) | インクジェットインク及びインクジェット記録方法 | |
JP2018178054A (ja) | 水性インクジェットインキ、及び、印刷物の製造方法 | |
JP6642615B2 (ja) | 水性インクジェットインキ、および、印刷物の製造方法 | |
JP6705144B2 (ja) | インキセット及び印刷物の製造方法 | |
JP6592869B1 (ja) | インキセット、及び印刷物の記録方法 | |
JP6089919B2 (ja) | 水性インクジェットインク | |
JP6089903B2 (ja) | インクジェット用水性インキ | |
JP6709514B2 (ja) | 水性インキ組成物 | |
JP6089933B2 (ja) | インクジェットインキ | |
JP2014205767A (ja) | インクジェット用水性インキ | |
JP6390218B2 (ja) | 水性インクジェット用インキセット | |
JP6814365B1 (ja) | 前処理液、インキセット、及び印刷物 | |
JP2018122588A (ja) | 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット | |
JP2008138018A (ja) | 油性顔料インク組成物 | |
JP2015021037A (ja) | インクジェットインク | |
JP2020094084A (ja) | 水性インクジェットインクおよびインクジェット記録方法 | |
JP6868208B2 (ja) | インク、インク収容容器及びインクジェット記録装置 | |
JP6845957B1 (ja) | 水性インクジェットインキセット、及び、印刷物の製造方法 | |
JP2013173902A (ja) | インクジェット記録用インク組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170228 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180109 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180119 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6280670 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |