本発明は、車両用物品ホルダ、特に手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に取付けられる車載備品に着脱可能に装着される物品ホルダに関する。
上記車両用物品ホルダとして、例えばスライドドア近傍の車載備品としてのアシストグリップに着脱可能に固定される傘ホルダが知られている(下記特許文献1を参照)。
ところが上記従来の傘ホルダでは、これをアシストグリップに固定するための固定体としての取付ブラケットが、該グリップの開口部を塞ぐ比較的大型の部品として構成され、そのため、この取付ブラケットをアシストグリップに固定した状態では、アシストグリップ本来のグリップ機能が阻害されて、該グリップを手で的確に握ることができなくなる虞れがあった。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来装置の前記問題を簡単な構造で解決できるようにした車両用物品ホルダを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に設置される車載備品に着脱可能に装着される車両用物品ホルダにおいて、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と前記車載備品の前記被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有して前記ホルダ本体に隣接、固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように前記固定体に連設されるレバー体とを備え、前記固定体、前記レバー体及び前記ホルダ本体は、前記挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成されることを特徴とする。
また請求項2の発明は、請求項1の発明の前記特徴に加えて、前記固定体は、球状体の一部を切欠いた形状に形成されていて、その切欠き面が前記ホルダ本体との結合面とされることを特徴とする。
また請求項3の発明は、請求項1又は2の発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体は、球状体の一部を切欠いた形状に形成されていて、その切欠き面が前記固定体との結合面とされることを特徴とする。
また請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体及び前記固定体は、それらの結合面相互を対向させた背中合わせの状態で該結合面相互が一体的に結合されていて、全体として球状に形成されることを特徴とする。
また請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体及び前記固定体の結合面相互が着脱可能に結合されることを特徴とする。
また請求項6の発明は、請求項1〜5の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記レバー体の少なくとも一側縁部には、前記物品を掛け止めするための係合凹部が形成されることを特徴とする。
また請求項7の発明は、請求項1〜6の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記把持部は、前記ホルダ本体にその外面に開口するよう形成されて物品を押し込んで把持し得る凹部より構成され、前記ホルダ本体には、それの前記凹部周囲の壁部分の弾性拡開変形を許容する切れ目が、該凹部の内面に開口するよう形成されることを特徴とする。
また請求項8の発明は、請求項1〜7の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体及び前記固定体の結合面相互が、その両者の相対位置を該結合面と直交する軸線回りに位置調節可能として結合されることを特徴とする。
尚、本発明において、「球状体」或いは「球状」とは、厳密な意味での球体に限定されず、即ち、球体に近い全体的に丸みを帯びた立体(例えば扁球体、楕円球、俵形のもの、紡錘形のもの、繭形のもの等)を含む広い概念である。
本発明によれば、物品ホルダが、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、車載備品の被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有してホルダ本体に隣接、固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように固定体に連設されるレバー体とを備え、それら固定体、レバー体及びホルダ本体は、固定体の挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成されるので、ホルダ本体とレバー体付きの固定体とが相互に隣接、直結されることで、物品ホルダは全体として小型化されて、これを車載備品の被握り部分に固定しても被握り部分のグリップ機能を損なう虞れはなくなり、従って、その物品ホルダを車載備品に支障なく固定可能となる。しかも、その物品ホルダの各要素(固定体、レバー体及びホルダ本体)を小型化しつつ車載備品の周辺で相互に近接配置できるため、その各要素を、車載備品の被握り部分とは別個独立したサブグリップとして兼用することも可能であり、使い勝手が頗る良好となる。
また特に請求項2の発明によれば、前記固定体は、これが概ね半球状に形成されて恰もボールを握るような感覚となって握り易くなるため、固定体の、サブグリップとしての機能性が良好となる。また特にホルダ本体の把持部に物品を把持させた状態では、ホルダ本体をサブグリップとして使用しにくくなることから、固定体のサブグリップとしての有用性が一層、高められる。
また特に請求項3の発明によれば、前記ホルダ本体は、これが概ね半球状に形成されて恰もボールを握るような感覚となって握り易くなるため、ホルダ本体の、サブグリップとしての機能性が良好となる。従って、そのホルダ本体の把持部に物品を把持させていない状態では、ホルダ本体をサブグリップとして有効活用することができる。
また特に請求項4の発明によれば、ホルダ本体及び固定体は、それらの結合面相互を対向させた背中合わせの状態で結合面相互が一体的に結合されていて、全体として球状をなして一層握り易くなるので、ホルダ本体の把持部に物品を把持させていない状態では、ホルダ本体及び固定体の両方に同時に手を掛けることができて、比較的大型のサブグリップとして活用可能となり、しかもどの方向からでも握り易くなることから、使い勝手が向上する。
また特に請求項5の発明によれば、ホルダ本体及び固定体の結合面相互が着脱可能であるので、ホルダ本体が破損した場合には新品のホルダ本体と交換するだけで容易に対応可能となり、またホルダ本体を、別種の物品を把持させるための別のホルダ本体と交換することも可能となって、車室内で多様な物品ホルダを選択的に使用可能となり、利便性が更に向上する。
また特に請求項6の発明によれば、レバー体の少なくとも一側縁部には、物品を掛け止めするための係合凹部が形成されるので、レバー体を利用した簡単な構造で買物袋やバッグの把手等を容易に掛け止めることができ、利便性が更に向上する。また特にレバーの両側縁部に係合凹部をそれぞれ形成すれば、レバー体の向きを上下反転させた場合でも、レバー体に買物袋等を掛け止めることが可能となる。
また特に請求項7の発明によれば、物品の把持部をホルダ本体の外面より後退する凹部で構成したことで、把持部が嵩張ってホルダ本体が大型化するのを回避可能である。またホルダ本体には、それの前記凹部周囲の壁部分の弾性拡開変形を許容する切れ目が、該凹部の内面に開口するよう形成されるので、把持部に物品を押し込んで把持させたり或いは把持部から物品を引き出して取り出す際には、ホルダ本体の、把持部周囲の壁部分を容易に弾性拡開変形させることができて、把持部による物品の脱着操作性を高めることができる。
また特に請求項8の発明によれば、ホルダ本体及び固定体の結合面相互が、その両者の相対位置を該結合面と直交する軸線回りに位置調節可能として結合されるので、車載備品の被握り部分に固定した固定体に対するホルダ本体の相対位置関係を前記軸線回りに任意に調節でき、従って、ホルダ本体の取付姿勢、延いては物品の把持姿勢をより最適に設定可能となる。
本発明の第1実施形態の傘ホルダをアシストグリップに装着した状態を示す、自動車の乗降口周辺を示す斜視図
前記第1実施形態の傘ホルダの全体斜視図(図1の2矢視拡大斜視図)
前記第1実施形態の傘ホルダの正面図(図2の3矢視図)
図3の4−4線断面図
前記第1実施形態の傘ホルダをアシストグリップから分離した自由状態を示す図4対応断面図
前記第1実施形態の傘ホルダの分解斜視図
前記第1実施形態の傘ホルダの幾つかの使用態様を示す概略斜視図
(A)(B)は、それぞれ本発明の第2,第3実施形態の傘ホルダの要部分解斜視図(図6対応図)
(C)(D)は、それぞれ本発明の第4,第5実施形態の傘ホルダの要部分解斜視図(図6対応図)
本発明の実施の形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
図1〜図7は、本発明の物品ホルダとしての傘ホルダの第1実施形態を示している。この傘ホルダAが取付けられる自動車Vは、図1に例示したように、車体Fの左右少なくとも一方の側面に、スライドドアDで開閉可能な乗降口Eを開口させたミニバンタイプの自動車であり、その乗降口Eの周辺には、搭乗者が乗降の際に手を握って体を支えるための、車載備品としてのアシストグリップGが設置される。
本実施形態では、乗降口Eの横に設けられる第2列のシートSが、車体フロアに従来公知のシート移動装置Tを介して支持されており、このシート移動装置TによりシートSは、車内で前向きの通常乗車位置と、車外で横向きとなる降車位置(図1実線位置)との間を、乗降口Eを通して随時移動できるようになっており、特に要介護者の乗降に便利である。尚、このようなシート移動装置Tを搭載せず、シートSが常に前向き姿勢に置かれる通常の自動車に本発明を適用してもよい。
前記アシストグリップGは、乗降口Eの開口周縁に沿って概ね直線状に延びていて手で握ることが可能な被握り部分Gnと、その被握り部分Gnの両端から乗降口Eの開口周縁側に屈曲する上下一対の取付腕部Gtとから構成され、その両取付腕部Gtが乗降口Eの開口周縁の車体F(例えばセンタピラー)に固着される。そして、このアシストグリップGの被握り部分Gnに傘ホルダAが着脱可能に取付けられる。次に、この傘ホルダAの構造を、図2〜図6を併せて参照して説明する。
傘ホルダAは、物品としての傘Kを着脱可能に把持し得る把持部Haを有するホルダ本体Hと、アシストグリップGの被握り部分Gnの一部を挟持し得る挟持部Csを有してホルダ本体Hに隣接、固定される固定体Cと、その固定体Cの挟持部Csを開閉操作し得るように固定体Cに連設されるレバー体Lとを備えている。
それら固定体C、レバー体L及びホルダ本体Hは、固定体Cの挟持部CsがアシストグリップGの被握り部分Gnの任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分Gnの他の部分を手で握り得る形状(即ち前記他の部分を手で握るのに障害とならないコンパクトな形状)に形成される。例えば、図示例では、固定体Cは、球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状)に形成されていて、その切欠き面がホルダ本体Hとの結合面J1とされる。またホルダ本体Hは、同じく球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状)に形成されていて、その切欠き面が固定体Cとの結合面J2とされる。そして、ホルダ本体H及び固定体Cは、それらの結合面J1,J2相互を対向させた背中合わせの状態で該結合面J1,J2相互が着脱可能に結合されていて、全体として球状に形成される。
前記固定体Cは、アシストグリップGの被握り部分Gnを相互間に挟持する一対の係合溝1a,2aを各々有する第1,第2挟持部半体1,2を主要部とするものであって、その両挟持部半体1,2が本発明の挟持部Csを構成する。而して、第1,第2挟持部半体1,2は、表面の摩擦係数が大きく且つ手に馴染み易く多少の弾性変形が可能な硬質ゴム材等の材料で成形されており、その両挟持部半体1,2間にアシストグリップGの被握り部分Gnを滑りなく強固に挟持可能となっている。
ところで固定体Cは、前述の如く球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状体)に形成されているが、この固定体Cを構成する前記第1,第2挟持部半体1,2は、前記半球状体を前記結合面J1に概ね沿うような分割面で二つ割りとした形状に形成されており、その第1,第2挟持部半体1,2の平坦な相対向面(分割面)に前記係合溝1a,2aが相対向するように各々凹設される。
また、その第1,第2挟持部半体1,2には、それらの一側より同一放射方向に延びる帯板状の第1,第2レバー半体3,4の基部がそれぞれ一体に埋設、固定される。その各レバー半体3,4は、硬質の合成樹脂材等で形成される。
そして、その第1挟持部半体1と第1レバー半体3との結合体と、第2挟持部半体2と第2レバー半体4との結合体との相互間には、その相互を開閉揺動可能にヒンジ連結するヒンジ連結機構5が設けられる。そのヒンジ連結機構5は、前記両結合体の相対向面の両側にそれぞれ突設された各一対のヒンジブラケットb1,b2と、それらヒンジブラケットb1,b2に貫通支持されるヒンジ軸5sとを備える。
また第1,第2レバー半体3,4間には、その両レバー半体3,4を開き方向に(従って両挟持部半体1,2を閉じ方向に)弾発付勢する付勢手段としての捩じりコイルばね6が、それの中間コイル部を前記ヒンジ軸5sに巻装させるようにして介装される。そして、その捩じりコイルばね6の付勢力で両レバー半体3,4を介して両挟持部半体1,2が閉じ方向に付勢され、これにより、両挟持部半体1,2の係合溝1a,2a間にアシストグリップGの被握り部分Gnが挟持、固定される。またその捩じりコイルばね6の付勢力に抗して両レバー半体3,4を閉じ操作すれば、その操作力が両挟持部半体1,2を強制的に開いて固定体CをアシストグリップGから離脱させることができる。第1,第2レバー半体3,4には、捩じりコイルばね6の両端部をその横ずれを規制しつつ当接、係合させるばね受け部3b,4bがそれぞれ一体的に設けられる。
尚、本実施形態では、第1挟持部半体1と第1レバー半体3との結合体(特にその両者1,3の接続部分)と、第2挟持部半体2と第2レバー半体4との結合体(特にその両者2,4の接続部分)との相互間にヒンジ連結機構5を設け、且つその第1,第2レバー半体3,4間に、その両レバー半体3,4を開き方向(即ち第1,第2挟持部半体1,2の閉じ方向)に付勢する付勢手段としての捩じりコイルばね6を介装したものを示したが、本発明では、ヒンジ連結機構を、第1,第2レバー半体3,4の相互間或いは第1,第2挟持部半体1,2の相互間に直接設けるようにしてもよい。また、その第1,第2挟持部半体1,2を閉じ方向に付勢する弾発付勢手段としてのばねを、第1,第2レバー半体3,4を介さずに第1,第2挟持部半体1,2間に直接介装するようにしてもよい。この場合、弾発付勢手段は、捩じりコイルばねに限定されず、棒状のトーションバー、圧縮コイルばね、引張コイルばね、板ばね等であってもよい。
また、レバー体L、即ち第1,第2レバー半体3,4の少なくとも一側縁部(図示例では両側縁部)には、傘Kを掛け止めするための係合凹部3a,4aがそれぞれ形成される。これにより、レバー体Lを利用した簡単な構造で買物袋やバッグの把手等を容易に掛け止めることができ、利便性の向上が図られる。また特にレバー体L(即ち各レバー半体3,4)の両側縁部に係合凹部3a,4aをそれぞれ形成すれば、レバー体Lの向きを上下反転させた場合でも、レバー体Lに買物袋等を掛け止めることが可能となる。
また前記ホルダ本体Hは、硬質ゴム材より、前述の如く球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状体)に形成されている。そして、そのホルダ本体Hの半球面状の外面には、傘Kを着脱可能に押込んで把持し得る凹部としての把持溝Haが凹設されており、この凹部、即ち把持溝Haが本発明の把持部を構成する。そして、このように傘Kの把持部をホルダ本体Hの外面より後退する凹部(把持溝Ha)より構成したことで、把持部が嵩張ってホルダ本体Hが大型化するのを回避可能である。
またホルダ本体Hの、把持溝Ha周辺の壁部分(より具体的に言えば、把持溝Haを相互間に挟む一対の壁部分7,8の基部)には、該壁部分7,8の無理のない弾性拡開変形を許容するスリット状の切れ目10が形成される。従って、この切れ目10の特設により、把持溝Haに傘Kを押し込んで把持させる際にホルダ本体の、把持溝Ha周囲の壁部分7,8を容易に弾性拡開変形させることができて、把持部による傘Kの脱着操作性を高めることができる。
またホルダ本体Hの、把持溝Haの開口縁部には、対をなすローラ収容凹部13が形成され、それらローラ収容凹部13には、把持溝Ha内に傘Kをスムーズに押し込んで把持させたり或いは把持溝Ha外に傘Kをスムーズに引き出して取り出したりするための一対のガイドローラ11がそれぞれ収容される。その両ガイドローラ11は、ホルダ本体Hの、把持溝Haの周辺部にそれぞれ回転自在に軸支12される。このガイドローラ11は、基本的に円筒状をなしており、その外周面には、その周方向に並ぶスリップ防止用の多数の案内突部11aが一体に設けられる。
次にホルダ本体H及び固定体C間の結合構造について具体的に説明する。それらホルダ本体H及び固定体Cの相対向する結合面J1,J2のうちホルダ本体Hの結合面J2は、基本的に円形の平坦面をなしていて、その外周縁部には横断面円弧状のアール面rが形成される。また固定体C(即ち第2挟持部半体2)の結合面J1は、ホルダ本体H側の結合面J2と浅く嵌合し得るように底面が基本的に平坦な円形凹面で構成され、その結合面J1の中央部には、前記係合溝2aに沿って延びる長方形状の係合突部2tが突設される。尚、この係合突部2tは、結合面J1に一体成形してもよく、或いは図示例のように結合面J1に別部材を結合することで形成してもよい。そして、この係合突部2tに相対回転不能に凹凸係合する長方形状の凹所15が、その長手方向を前記把持溝Haの長手方向に沿わせるようにしてホルダ本体Hの結合面J2の中央部に形成される。
また前記把持溝Haの底壁には、その溝長手方向の一端部と他端部において、該底壁を貫通して前記凹所15に開口する一対のボルト挿通孔16が穿設され、一方、それらボルト挿通孔16に対応した一対のねじ孔19が前記係合突部2tに設けられる。そして、前記ボルト挿通孔16を通して把持溝Ha側から前記係合突部2tのねじ孔19に螺挿、緊締される一対のボルト17により、ホルダ本体Hと固定体C(即ち第2挟持部半体2)とが互いに着脱可能に結合される。尚、このボルト17に対する回転操作は、把持溝Haの内部空間を通して工具をボルト17に係合させるようにして行われる。
次に本実施形態の作用を、図7も併せて参照して説明する。自動車Vの左右一方のスライドドアDをスライドさせると、図1に示すように乗降口Eが開放される。そして、この乗降口Eの開放形態では、乗降口Eの横に設けられる第2列のシートSが、従来公知のシート移動装置Tの作動により、車内に在って前向きの通常乗車位置と、車外で横向きとなる降車位置(図1実線位置)との間を乗降口Eを通して移動可能となっている。
本実施形態の傘ホルダAを使用する場合には、先ず、乗降口Eの一側の車体F(センタピラー)に固定のアシストグリップGに傘ホルダAを装着する。そして、その傘ホルダAのホルダ本体Hの把持溝Haに傘Kの柄部分Kaを押し込んで嵌合させることで、傘Kを、乗降口Eの直上に拡げた状態でアシストグリップGに固定、支持させることができる。これにより、乗降口Eを通る乗降者が雨や雪で濡れたり直射日光を浴びたりするのを傘Aで効果的に防止可能となる。この傘ホルダAの取付けに際しては、固定体Cの挟持部Cs(即ち第1,第2挟持部半体1,2)の開き操作を、第1,第2レバー半体3,4を捩じりコイルばね6の付勢力に抗して相互に接近させる方向に握り操作することで行い得るため、前記挟持部CsをアシストグリップGに挟持、固定させる操作を容易且つ的確に行うことができ、アシストグリップGに対する傘ホルダAの脱着操作性が頗る良好となる。
而して、本実施形態によれば、傘ホルダAの主要構成要素である固定体C、レバー体L及びホルダ本体Hは、固定体Cの挟持部CsがアシストグリップGの被握り部分Gnの任意の一部分(例えば上部)を挟持した状態で該被握り部分の他の部分(例えば下部)を手で握り得る形状(特にホルダ本体H及び固定体Cは、全体として概ね球状のコンパクトな形状)に形成されている。そして、ホルダ本体Hとレバー体L付きの固定体Cとが相互に背中合わせの隣接状態で直結されていて、傘ホルダAは全体として小型化されるため、これをアシストグリップGの被握り部分Gnに挟持固定しても、被握り部分Gnのグリップ機能を損なう虞れはなくなることから、その傘ホルダAをアシストグリップGに支障なく固定可能となる。
即ち、図7の(A)(B)に例示したように、傘ホルダAの固定体Cの挟持部CsでアシストグリップGの被握り部分Gnの上部を挟持させた状態では、その被握り部分Gnの下部が周囲から開放状態にあるため、乗降者は、被握り部分Gnの下部を車室内からでも車外からでも支障なく握ることができてスムーズな乗降動作が可能となる。
しかも、その傘ホルダAの各要素(固定体C、レバー体L及びホルダ本体H)を小型化しつつアシストグリップGの周辺で相互に近接配置できることから、その各要素C,L,Hを、アシストグリップGの被握り部分Gnとは別個独立したサブグリップとして兼用することも可能であり、使い勝手が頗る良好となる。例えば、図7の(C)は、ホルダ本体Hが傘Kを把持していない状態で、乗降者が少なくともホルダ本体Hを(図示例では固定体Cにも跨がるように)握っている使用態様が示され、また図7の(D)は、同じく乗降者がレバー体L(即ちレバー半体3,4)を握っている使用態様が示される。
さらに図7の(E)は、ホルダ本体Hに傘Kを把持させた状態であっても、乗降者は、前記(A)(B)と同様、被握り部分Gnの下部を車室内からでも車外からでも支障なく握り得ることが示される。また(F)は、ホルダ本体Hに傘Kを把持させた状態でも、乗降者がレバー体L(即ちレバー半体3,4)を支障なく握り得ることが示される。
また本実施形態において、固定体Cは、これが概ね半球状に形成されていて恰もボールを握るような感覚となって握り易いことから、固定体Cの、サブグリップとしての機能性が良好となる。また特にホルダ本体Hに傘Kを把持させた状態では、ホルダ本体Hをサブグリップとして使用しにくくなることから、固定体Cのサブグリップとしての有用性が一層、高められる。一方、ホルダ本体Hは、これも概ね半球状に形成されていて恰もボールを握るような感覚となって握り易いため、ホルダ本体Hの、サブグリップとしての機能性が良好となり、特にホルダ本体Hに傘Kを把持させていない状態では、ホルダ本体Hをサブグリップとして有効活用可能となる。
その上、これらホルダ本体H及び固定体Cは、それらの結合面J1,J2相互を対向させた背中合わせの状態で、該結合面J1,J2相互が一体的に結合されていて全体として球状をなし、恰もボール感覚で一層握り易くなることから、ホルダ本体Hの把持溝Haに傘Kを把持させていない状態では、図7(C)に示すようにホルダ本体H及び固定体Cの両方に同時に手を掛けることができて比較的大型のサブグリップとして活用可能となり、しかもどの方向からでも握り易いために、使い勝手が頗る良好である。
また特に本実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互がボルト17を以て着脱可能に嵌着される結合構造となっている。このため、ホルダ本体H及び固定体C相互を十分な結合強度を確保しつつ容易に脱着操作することが可能となる。しかもホルダ本体Hが破損した場合には新品のホルダ本体Hと交換するだけで容易に且つ低コストで対応可能となる。さらに別種の物品(例えばドリンク用カップ等)を把持させるための、固定体Cと結合可能な別のホルダ本体を用意すれば、ホルダ本体Hを該別のホルダ本体と随時に交換することも可能となって、車室内で多様な物品ホルダを選択的に使用可能となり、利便性が更に向上する。
また、図8(A)(B)は、本発明の第2,第3実施形態が、さらに図9(C)(D)は、本発明の第4,第5実施形態がそれぞれ示される。これら第2〜第5実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互の結合構造のみが第1実施形態と異なっており、次にそれらの結合構造を順に説明する。尚、第2〜第5実施形態において、第1実施形態の構成要素と対応する構成要素の参照符号については、第1実施形態と同様のものが付される。
先ず、図8(A)の第2実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J1の中心部には雄ねじ軸部20が、またその何れか他方の結合面J2の中心部には、その雄ねじ軸部20が螺合する雌ねじ孔21がそれぞれ設けられる。而して、それら雄ねじ軸部20を雌ねじ孔21に螺合させることで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能に結合される。
また図8(B)の第3実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J2の外周部又はその近傍には弾性変形可能な複数の弾性突起部30が周方向に等間隔で突設される。またその何れか他方の結合面J2の外周部又はその近傍には、前記複数の弾性突起部30がそれぞれ弾力的に係合する複数の係合孔31が周方向で等間隔に設けられる。
而して、それら弾性突起部30を任意の係合孔31に押し込んで弾力的に係止させることで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能として、且つその結合面J1,J2相互が、その相対位置を該結合面J1,J2の中心部と直交する軸線回りに位置調節可能として結合される。また、このようにホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2の相対結合位置が前記軸線軸線回りに位置調節可能とされることで、アシストグリップGに装着される固定体Cに対するホルダ本体Hの相対位置を前記軸線回りに段階的(図示例では90°刻み)に随時調節可能となるから、その相対位置の調節により、ホルダ本体Hの取付姿勢、延いては傘Aの把持姿勢をより最適に設定可能となる。
また図9(C)の第4実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J1の中心部より多少オフセットした位置には、先部が該結合面J1に沿って延びるL字状突起部40が設けられる。またその他方の結合面J2の中心部には、前記L字状突起部40が選択的に且つ摺動可能に嵌合する複数の係合孔41aを有する正多角形状の扁平な支持突部41が突設されており、それら複数の係合孔41aは支持突部41内で放射状に交差している。
而して、そのL字状突起部40を支持突部41の何れかの係合孔41aに摺動可能に差し込むことで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能として、且つその結合面J1,J2相互が、その相対位置を該結合面J1,J2の中心部と直交する軸線回りに位置調節可能として結合される。尚、L字状突起部40を支持突部41の何れかの係合孔41aに嵌合させた状態は、それらの嵌合面相互に作用する摩擦力で保持される。
また図9(D)の第5実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J1には、その周方向に並ぶ少なくとも一対の係止爪部50が設けられる。その各係止爪部50は、例えば結合面J1の周方向に円弧状に延びる爪本体50aと、その爪本体50aの一端に一体に連設した鉤部50bとを有する。また他方の結合面J2には、前記係止爪部50が係脱可能に係合する少なくとも一対の係合孔51がその周方向に円弧状に延びるようにして設けられ、その係合孔51の一端には、前記鉤部50bが出没し得る鉤孔51bが形成される。その係合孔51の内壁には、係止爪部50を係合孔51に押込んだ後、係合孔51に沿って回動させることで周方向の複数の係止位置に係止爪部50を順次、係止固定し得るような係止バネ付きの被係止機構(図示せず)が設けられる。これらの係止爪部50及び係合孔51(即ち前記被係止機構)の構造は、例えば、従来周知の電気配線用プラグの係止爪と、これを押し回して固定させるコンセントのプラグ係合孔との結合構造と類似のものが使用される。
而して、係止爪部50を係合孔51に押込んで周方向に所定量回動させて任意の係止位置に係止させることで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能として、且つその結合面J1,J2相互が、その相対位置を該結合面J1,J2の中心部と直交する軸線回りに位置調節可能として結合される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施の形態が可能である。
たとえば、前記実施形態では、物品ホルダとして傘ホルダAを例示したが、本発明の物品ホルダは傘ホルダに限定されず、車室内の車載備品の被握り部分に取付け可能な種々の物品ホルダ(例えば、カップホルダ、書類ホルダ、ランプホルダ等)に実施可能である。また、この場合、本発明の物品は傘Kに限定されず、ホルダに把持可能なカップ、書類、ランプ等となる。
また前記実施形態では、被握り部分Gbを有する車載備品としてスライドドア周辺のアシストグリップGを例示したが、本発明の車載備品は、スライドドア周辺のアシストグリップに限定されず、物品ホルダを取付け可能な被握り部分を有して車室に設置される種々の車載備品(例えば、フロントピラー周辺のアシストグリップ、天井のグラブレール、フロントシート背面のシートバックグリップ、ドアの車室側の把手、シートバックにヘッドレストを昇降可能に支持するヘッドレスト支持バー等)に実施可能である。
また前記実施形態では、レバー体Lの第1,第2レバー半体3,4並びに固定体Cの第1,第2挟持部半体1,2を各々硬質の合成樹脂で一体成形したものを示したが、本発明では、第1,第2レバー半体3,4並びに第1,第2挟持部半体1,2を各々、補強用の芯材とその芯材の表面を一体的に被覆するゴム材又は合成樹脂材とで構成してもよい。この場合、第1レバー半体3及び第1挟持部半体1は、その両者の芯材相互を一体成形してもよく、またその両者の芯材を各々被覆するゴム材又は合成樹脂材を一体成形してもよい。また、同様に、第2レバー半体4及び第2挟持部半体2は、その両者の芯材相互を一体成形してもよく、またその両者の芯材を被覆するゴム材又は合成樹脂材を一体成形してもよい。
また前記実施形態では、ホルダ本体Hを硬質ゴム材で一体成形したものを示したが、本発明では、ホルダ本体Hの一部、例えば把持溝Haの底壁部分に補強用の芯材を一体に埋め込むようにしてもよい。
また前記実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互を凹凸嵌合させ或いは一平面で突き合わせ、ボルト17で着脱可能に結着したものを示したが、本発明では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互を、着脱が困難又は容易でない適宜の結合手段(例えば接着手段、溶着手段、溶接手段、カシメ手段等)により結合してもよい。
A・・・・・物品ホルダとしての傘ホルダ
C・・・・・固定体
Cs・・・・固定体の挟持部
F・・・・・車体
G・・・・・車載備品としてのアシストグリップ
Gn・・・・被握り部分
H・・・・・ホルダ本体
Ha・・・・把持部を構成する凹部としての把持溝
J1・・・・固定体のホルダ本体との結合面
J2・・・・ホルダ本体の固定体との結合面
K・・・・・物品としての傘
L・・・・・レバー体
1,2・・・第1,第2挟持部半体
3,4・・・第1,第2レバー半体
3a,4a・・係合凹部
7,8・・・壁部分
10・・・・切れ目
本発明は、車両用物品ホルダ、特に手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に取付けられる車載備品に着脱可能に装着される物品ホルダに関する。
上記車両用物品ホルダとして、例えばスライドドア近傍の車載備品としてのアシストグリップに着脱可能に固定される傘ホルダが知られている(下記特許文献1を参照)。
ところが上記従来の傘ホルダでは、これをアシストグリップに固定するための固定体としての取付ブラケットが、該グリップの開口部を塞ぐ比較的大型の部品として構成され、そのため、この取付ブラケットをアシストグリップに固定した状態では、アシストグリップ本来のグリップ機能が阻害されて、該グリップを手で的確に握ることができなくなる虞れがあった。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来装置の前記問題を簡単な構造で解決できるようにした車両用物品ホルダを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に設置される車載備品に着脱可能に装着される車両用物品ホルダにおいて、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、前記車載備品の前記被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有して前記ホルダ本体に固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように前記固定体に連設されるレバー体とを備えていて、前記ホルダ本体と、前記レバー体を連接した前記固定体とが相互に隣接状態で直結されており、前記固定体、前記レバー体及び前記ホルダ本体は、前記挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成されることを特徴とする。
また請求項2の発明は、手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に設置される車載備品に着脱可能に装着される車両用物品ホルダにおいて、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、前記車載備品の前記被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有して前記ホルダ本体に隣接、固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように前記固定体に連設されるレバー体とを備え、前記固定体、前記レバー体及び前記ホルダ本体は、前記挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成され、前記固定体は、球状体の一部を切欠いた形状に形成されていて、その切欠き面が前記ホルダ本体との結合面とされることを特徴とする。
また請求項3の発明は、手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に設置される車載備品に着脱可能に装着される車両用物品ホルダにおいて、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、前記車載備品の前記被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有して前記ホルダ本体に隣接、固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように前記固定体に連設されるレバー体とを備え、前記固定体、前記レバー体及び前記ホルダ本体は、前記挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成され、前記ホルダ本体は、球状体の一部を切欠いた形状に形成されていて、その切欠き面が前記固定体との結合面とされることを特徴とする。
また請求項4の発明は、手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に設置される車載備品に着脱可能に装着される車両用物品ホルダにおいて、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、前記車載備品の前記被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有して前記ホルダ本体に隣接、固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように前記固定体に連設されるレバー体とを備え、前記固定体、前記レバー体及び前記ホルダ本体は、前記挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成され、前記ホルダ本体は、球状体の一部を切欠いた形状に形成されていて、その切欠き面が前記固定体との結合面とされることを特徴とする。
また請求項5の発明は、手で握ることが可能な被握り部分を有して車室の所定位置に設置される車載備品に着脱可能に装着される車両用物品ホルダにおいて、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、前記車載備品の前記被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有して前記ホルダ本体に隣接、固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように前記固定体に連設されるレバー体とを備え、前記固定体、前記レバー体及び前記ホルダ本体は、前記挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成され、前記把持部は、前記ホルダ本体にその外面に開口するよう形成されて物品を押し込んで把持し得る凹部より構成され、前記ホルダ本体には、それの前記凹部周囲の壁部分の弾性拡開変形を許容する切れ目が、該凹部の内面に開口するよう形成されることを特徴とする。
また請求項6の発明は、請求項1の発明の前記特徴に加えて、前記固定体は、球状体の一部を切欠いた形状に形成されていて、その切欠き面が前記ホルダ本体との結合面とされることを特徴とする。
また請求項7の発明は、請求項1又は6の発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体は、球状体の一部を切欠いた形状に形成されていて、その切欠き面が前記固定体との結合面とされることを特徴とする。
また請求項8の発明は、請求項1〜3,6,7の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体及び前記固定体は、それらの結合面相互を対向させた背中合わせの状態で該結合面相互が一体的に結合されていて、全体として球状に形成されることを特徴とする。
また請求項9の発明は、請求項1〜3,6〜8の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体及び前記固定体の結合面相互が着脱可能に結合されることを特徴とする。
また請求項10の発明は、請求項1〜3,5〜9の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記レバー体の少なくとも一側縁部には、前記物品を掛け止めするための係合凹部が形成されることを特徴とする。
また請求項11の発明は、請求項1〜4,6〜10の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記把持部は、前記ホルダ本体にその外面に開口するよう形成されて物品を押し込んで把持し得る凹部より構成され、前記ホルダ本体には、それの前記凹部周囲の壁部分の弾性拡開変形を許容する切れ目が、該凹部の内面に開口するよう形成されることを特徴とする。
また請求項12の発明は、請求項1〜11の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記ホルダ本体及び前記固定体の結合面相互が、その両者の相対位置を該結合面と直交する軸線回りに位置調節可能として結合されることを特徴とする。
尚、本発明において、「球状体」或いは「球状」とは、厳密な意味での球体に限定されず、即ち、球体に近い全体的に丸みを帯びた立体(例えば扁球体、楕円球、俵形のもの、紡錘形のもの、繭形のもの等)を含む広い概念である。
請求項1の発明によれば、物品ホルダが、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、車載備品の被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有してホルダ本体に固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように固定体に連設されるレバー体とを備えていて、ホルダ本体と、レバー体を連接した固定体とが相互に隣接状態で直結されており、また請求項2〜5の発明によれば、物品ホルダが、物品を着脱可能に把持し得る把持部を有するホルダ本体と、車載備品の被握り部分の一部を挟持し得る挟持部を有してホルダ本体に隣接、固定される固定体と、前記挟持部を開閉操作し得るように固定体に連設されるレバー体とを備えており、これら請求項1〜5の発明の発明において、それら固定体、レバー体及びホルダ本体は、固定体の挟持部が前記被握り部分の任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分の他の部分を手で握り得る形状に形成されるので、ホルダ本体とレバー体付きの固定体とが相互に隣接、直結されることで、物品ホルダは全体として小型化されて、これを車載備品の被握り部分に固定しても被握り部分のグリップ機能を損なう虞れはなくなり、従って、その物品ホルダを車載備品に支障なく固定可能となる。しかも、その物品ホルダの各要素(固定体、レバー体及びホルダ本体)を小型化しつつ車載備品の周辺で相互に近接配置できるため、その各要素を、車載備品の被握り部分とは別個独立したサブグリップとして兼用することも可能であり、使い勝手が頗る良好となる。
また特に請求項2,6の発明によれば、前記固定体は、これが概ね半球状に形成されて恰もボールを握るような感覚となって握り易くなるため、固定体の、サブグリップとしての機能性が良好となる。また特にホルダ本体の把持部に物品を把持させた状態では、ホルダ本体をサブグリップとして使用しにくくなることから、固定体のサブグリップとしての有用性が一層、高められる。
また特に請求項3,7の発明によれば、前記ホルダ本体は、これが概ね半球状に形成されて恰もボールを握るような感覚となって握り易くなるため、ホルダ本体の、サブグリップとしての機能性が良好となる。従って、そのホルダ本体の把持部に物品を把持させていない状態では、ホルダ本体をサブグリップとして有効活用することができる。
また特に請求項8の発明によれば、ホルダ本体及び固定体は、それらの結合面相互を対向させた背中合わせの状態で結合面相互が一体的に結合されていて、全体として球状をなして一層握り易くなるので、ホルダ本体の把持部に物品を把持させていない状態では、ホルダ本体及び固定体の両方に同時に手を掛けることができて、比較的大型のサブグリップとして活用可能となり、しかもどの方向からでも握り易くなることから、使い勝手が向上する。
また特に請求項9の発明によれば、ホルダ本体及び固定体の結合面相互が着脱可能であるので、ホルダ本体が破損した場合には新品のホルダ本体と交換するだけで容易に対応可能となり、またホルダ本体を、別種の物品を把持させるための別のホルダ本体と交換することも可能となって、車室内で多様な物品ホルダを選択的に使用可能となり、利便性が更に向上する。
また特に請求項4,10の発明によれば、レバー体の少なくとも一側縁部には、物品を掛け止めするための係合凹部が形成されるので、レバー体を利用した簡単な構造で買物袋やバッグの把手等を容易に掛け止めることができ、利便性が更に向上する。また特にレバー体の両側縁部に係合凹部をそれぞれ形成すれば、レバー体の向きを上下反転させた場合でも、レバー体に買物袋等を掛け止めることが可能となる。
また特に請求項5,11の発明によれば、物品の把持部をホルダ本体の外面より後退する凹部で構成したことで、把持部が嵩張ってホルダ本体が大型化するのを回避可能である。またホルダ本体には、それの前記凹部周囲の壁部分の弾性拡開変形を許容する切れ目が、該凹部の内面に開口するよう形成されるので、把持部に物品を押し込んで把持させたり或いは把持部から物品を引き出して取り出す際には、ホルダ本体の、把持部周囲の壁部分を容易に弾性拡開変形させることができて、把持部による物品の脱着操作性を高めることができる。
また特に請求項12の発明によれば、ホルダ本体及び固定体の結合面相互が、その両者の相対位置を該結合面と直交する軸線回りに位置調節可能として結合されるので、車載備品の被握り部分に固定した固定体に対するホルダ本体の相対位置関係を前記軸線回りに任意に調節でき、従って、ホルダ本体の取付姿勢、延いては物品の把持姿勢をより最適に設定可能となる。
本発明の第1実施形態の傘ホルダをアシストグリップに装着した状態を示す、自動車の乗降口周辺を示す斜視図
前記第1実施形態の傘ホルダの全体斜視図(図1の2矢視拡大斜視図)
前記第1実施形態の傘ホルダの正面図(図2の3矢視図)
図3の4−4線断面図
前記第1実施形態の傘ホルダをアシストグリップから分離した自由状態を示す図4対応断面図
前記第1実施形態の傘ホルダの分解斜視図
前記第1実施形態の傘ホルダの幾つかの使用態様を示す概略斜視図
(A)(B)は、それぞれ本発明の第2,第3実施形態の傘ホルダの要部分解斜視図(図6対応図)
(C)(D)は、それぞれ本発明の第4,第5実施形態の傘ホルダの要部分解斜視図(図6対応図)
本発明の実施の形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
図1〜図7は、本発明の物品ホルダとしての傘ホルダの第1実施形態を示している。この傘ホルダAが取付けられる自動車Vは、図1に例示したように、車体Fの左右少なくとも一方の側面に、スライドドアDで開閉可能な乗降口Eを開口させたミニバンタイプの自動車であり、その乗降口Eの周辺には、搭乗者が乗降の際に手で握って体を支えるための、車載備品としてのアシストグリップGが設置される。
本実施形態では、乗降口Eの横に設けられる第2列のシートSが、車体フロアに従来公知のシート移動装置Tを介して支持されており、このシート移動装置TによりシートSは、車内で前向きの通常乗車位置と、車外で横向きとなる降車位置(図1実線位置)との間を、乗降口Eを通して随時移動できるようになっており、特に要介護者の乗降に便利である。尚、このようなシート移動装置Tを搭載せず、シートSが常に前向き姿勢に置かれる通常の自動車に本発明を適用してもよい。
前記アシストグリップGは、乗降口Eの開口周縁に沿って概ね直線状に延びていて手で握ることが可能な被握り部分Gnと、その被握り部分Gnの両端から乗降口Eの開口周縁側に屈曲する上下一対の取付腕部Gtとから構成され、その両取付腕部Gtが乗降口Eの開口周縁の車体F(例えばセンタピラー)に固着される。そして、このアシストグリップGの被握り部分Gnに傘ホルダAが着脱可能に取付けられる。次に、この傘ホルダAの構造を、図2〜図6を併せて参照して説明する。
傘ホルダAは、物品としての傘Kを着脱可能に把持し得る把持部Haを有するホルダ本体Hと、アシストグリップGの被握り部分Gnの一部を挟持し得る挟持部Csを有してホルダ本体Hに隣接、固定される固定体Cと、その固定体Cの挟持部Csを開閉操作し得るように固定体Cに連設されるレバー体Lとを備えている。
それら固定体C、レバー体L及びホルダ本体Hは、固定体Cの挟持部CsがアシストグリップGの被握り部分Gnの任意の一部分を挟持した状態で該被握り部分Gnの他の部分を手で握り得る形状(即ち前記他の部分を手で握るのに障害とならないコンパクトな形状)に形成される。例えば、図示例では、固定体Cは、球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状)に形成されていて、その切欠き面がホルダ本体Hとの結合面J1とされる。またホルダ本体Hは、同じく球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状)に形成されていて、その切欠き面が固定体Cとの結合面J2とされる。そして、ホルダ本体H及び固定体Cは、それらの結合面J1,J2相互を対向させた背中合わせの状態で該結合面J1,J2相互が着脱可能に結合されていて、全体として球状に形成される。
前記固定体Cは、アシストグリップGの被握り部分Gnを相互間に挟持する一対の係合溝1a,2aを各々有する第1,第2挟持部半体1,2を主要部とするものであって、その両挟持部半体1,2が本発明の挟持部Csを構成する。而して、第1,第2挟持部半体1,2は、表面の摩擦係数が大きく且つ手に馴染み易く多少の弾性変形が可能な硬質ゴム材等の材料で成形されており、その両挟持部半体1,2間にアシストグリップGの被握り部分Gnを滑りなく強固に挟持可能となっている。
ところで固定体Cは、前述の如く球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状体)に形成されているが、この固定体Cを構成する前記第1,第2挟持部半体1,2は、前記半球状体を前記結合面J1に概ね沿うような分割面で二つ割りとした形状に形成されており、その第1,第2挟持部半体1,2の平坦な相対向面(分割面)に前記係合溝1a,2aが相対向するように各々凹設される。
また、その第1,第2挟持部半体1,2には、それらの一側より同一放射方向に延びる帯板状の第1,第2レバー半体3,4の基部がそれぞれ一体に埋設、固定される。その各レバー半体3,4は、硬質の合成樹脂材等で形成される。
そして、その第1挟持部半体1と第1レバー半体3との結合体と、第2挟持部半体2と第2レバー半体4との結合体との相互間には、その相互を開閉揺動可能にヒンジ連結するヒンジ連結機構5が設けられる。そのヒンジ連結機構5は、前記両結合体の相対向面の両側にそれぞれ突設された各一対のヒンジブラケットb1,b2と、それらヒンジブラケットb1,b2に貫通支持されるヒンジ軸5sとを備える。
また第1,第2レバー半体3,4間には、その両レバー半体3,4を開き方向に(従って両挟持部半体1,2を閉じ方向に)弾発付勢する付勢手段としての捩じりコイルばね6が、それの中間コイル部を前記ヒンジ軸5sに巻装させるようにして介装される。そして、その捩じりコイルばね6の付勢力で両レバー半体3,4を介して両挟持部半体1,2が閉じ方向に付勢され、これにより、両挟持部半体1,2の係合溝1a,2a間にアシストグリップGの被握り部分Gnが挟持、固定される。またその捩じりコイルばね6の付勢力に抗して両レバー半体3,4を閉じ操作すれば、その操作力が両挟持部半体1,2を強制的に開いて固定体CをアシストグリップGから離脱させることができる。第1,第2レバー半体3,4には、捩じりコイルばね6の両端部をその横ずれを規制しつつ当接、係合させるばね受け部3b,4bがそれぞれ一体的に設けられる。
尚、本実施形態では、第1挟持部半体1と第1レバー半体3との結合体(特にその両者1,3の接続部分)と、第2挟持部半体2と第2レバー半体4との結合体(特にその両者2,4の接続部分)との相互間にヒンジ連結機構5を設け、且つその第1,第2レバー半体3,4間に、その両レバー半体3,4を開き方向(即ち第1,第2挟持部半体1,2の閉じ方向)に付勢する付勢手段としての捩じりコイルばね6を介装したものを示したが、本発明では、ヒンジ連結機構を、第1,第2レバー半体3,4の相互間或いは第1,第2挟持部半体1,2の相互間に直接設けるようにしてもよい。また、その第1,第2挟持部半体1,2を閉じ方向に付勢する弾発付勢手段としてのばねを、第1,第2レバー半体3,4を介さずに第1,第2挟持部半体1,2間に直接介装するようにしてもよい。この場合、弾発付勢手段は、捩じりコイルばねに限定されず、棒状のトーションバー、圧縮コイルばね、引張コイルばね、板ばね等であってもよい。
また、レバー体L、即ち第1,第2レバー半体3,4の少なくとも一側縁部(図示例では両側縁部)には、傘Kを掛け止めするための係合凹部3a,4aがそれぞれ形成される。これにより、レバー体Lを利用した簡単な構造で買物袋やバッグの把手等を容易に掛け止めることができ、利便性の向上が図られる。また特にレバー体L(即ち各レバー半体3,4)の両側縁部に係合凹部3a,4aをそれぞれ形成すれば、レバー体Lの向きを上下反転させた場合でも、レバー体Lに買物袋等を掛け止めることが可能となる。
また前記ホルダ本体Hは、硬質ゴム材より、前述の如く球状体の一部を切欠いた形状(即ち概ね半球状体)に形成されている。そして、そのホルダ本体Hの半球面状の外面には、傘Kを着脱可能に押込んで把持し得る凹部としての把持溝Haが凹設されており、この凹部、即ち把持溝Haが本発明の把持部を構成する。そして、このように傘Kの把持部をホルダ本体Hの外面より後退する凹部(把持溝Ha)より構成したことで、把持部が嵩張ってホルダ本体Hが大型化するのを回避可能である。
またホルダ本体Hの、把持溝Ha周辺の壁部分(より具体的に言えば、把持溝Haを相互間に挟む一対の壁部分7,8の基部)には、該壁部分7,8の無理のない弾性拡開変形を許容するスリット状の切れ目10が形成される。従って、この切れ目10の特設により、把持溝Haに傘Kを押し込んで把持させる際にホルダ本体Hの、把持溝Ha周囲の壁部分7,8を容易に弾性拡開変形させることができて、把持部による傘Kの脱着操作性を高めることができる。
またホルダ本体Hの、把持溝Haの開口縁部には、対をなすローラ収容凹部13が形成され、それらローラ収容凹部13には、把持溝Ha内に傘Kをスムーズに押し込んで把持させたり或いは把持溝Ha外に傘Kをスムーズに引き出して取り出したりするための一対のガイドローラ11がそれぞれ収容される。その両ガイドローラ11は、ホルダ本体Hの、把持溝Haの周辺部にそれぞれ回転自在に軸支12される。このガイドローラ11は、基本的に円筒状をなしており、その外周面には、その周方向に並ぶスリップ防止用の多数の案内突部11aが一体に設けられる。
次にホルダ本体H及び固定体C間の結合構造について具体的に説明する。それらホルダ本体H及び固定体Cの相対向する結合面J1,J2のうちホルダ本体Hの結合面J2は、基本的に円形の平坦面をなしていて、その外周縁部には横断面円弧状のアール面rが形成される。また固定体C(即ち第2挟持部半体2)の結合面J1は、ホルダ本体H側の結合面J2と浅く嵌合し得るように底面が基本的に平坦な円形凹面で構成され、その結合面J1の中央部には、前記係合溝2aに沿って延びる長方形状の係合突部2tが突設される。尚、この係合突部2tは、結合面J1に一体成形してもよく、或いは図示例のように結合面J1に別部材を結合することで形成してもよい。そして、この係合突部2tに相対回転不能に凹凸係合する長方形状の凹所15が、その長手方向を前記把持溝Haの長手方向に沿わせるようにしてホルダ本体Hの結合面J2の中央部に形成される。
また前記把持溝Haの底壁には、その溝長手方向の一端部と他端部において、該底壁を貫通して前記凹所15に開口する一対のボルト挿通孔16が穿設され、一方、それらボルト挿通孔16に対応した一対のねじ孔19が前記係合突部2tに設けられる。そして、前記ボルト挿通孔16を通して把持溝Ha側から前記係合突部2tのねじ孔19に螺挿、緊締される一対のボルト17により、ホルダ本体Hと固定体C(即ち第2挟持部半体2)とが互いに着脱可能に結合される。尚、このボルト17に対する回転操作は、把持溝Haの内部空間を通して工具をボルト17に係合させるようにして行われる。
次に本実施形態の作用を、図7も併せて参照して説明する。自動車Vの左右一方のスライドドアDをスライドさせると、図1に示すように乗降口Eが開放される。そして、この乗降口Eの開放形態では、乗降口Eの横に設けられる第2列のシートSが、従来公知のシート移動装置Tの作動により、車内に在って前向きの通常乗車位置と、車外で横向きとなる降車位置(図1実線位置)との間を乗降口Eを通して移動可能となっている。
本実施形態の傘ホルダAを使用する場合には、先ず、乗降口Eの一側の車体F(センタピラー)に固定のアシストグリップGに傘ホルダAを装着する。そして、その傘ホルダAのホルダ本体Hの把持溝Haに傘Kの柄部分Kaを押し込んで嵌合させることで、傘Kを、乗降口Eの直上に拡げた状態でアシストグリップGに固定、支持させることができる。これにより、乗降口Eを通る乗降者が雨や雪で濡れたり直射日光を浴びたりするのを傘Aで効果的に防止可能となる。この傘ホルダAの取付けに際しては、固定体Cの挟持部Cs(即ち第1,第2挟持部半体1,2)の開き操作を、第1,第2レバー半体3,4を捩じりコイルばね6の付勢力に抗して相互に接近させる方向に握り操作することで行い得るため、前記挟持部CsをアシストグリップGに挟持、固定させる操作を容易且つ的確に行うことができ、アシストグリップGに対する傘ホルダAの脱着操作性が頗る良好となる。
而して、本実施形態によれば、傘ホルダAの主要構成要素である固定体C、レバー体L及びホルダ本体Hは、固定体Cの挟持部CsがアシストグリップGの被握り部分Gnの任意の一部分(例えば上部)を挟持した状態で該被握り部分Gnの他の部分(例えば下部)を手で握り得る形状(特にホルダ本体H及び固定体Cは、全体として概ね球状のコンパクトな形状)に形成されている。そして、ホルダ本体Hとレバー体L付きの固定体Cとが相互に背中合わせの隣接状態で直結されていて、傘ホルダAは全体として小型化されるため、これをアシストグリップGの被握り部分Gnに挟持固定しても、被握り部分Gnのグリップ機能を損なう虞れはなくなることから、その傘ホルダAをアシストグリップGに支障なく固定可能となる。
即ち、図7の(A)(B)に例示したように、傘ホルダAの固定体Cの挟持部CsでアシストグリップGの被握り部分Gnの上部を挟持させた状態では、その被握り部分Gnの下部が周囲から開放状態にあるため、乗降者は、被握り部分Gnの下部を車室内からでも車外からでも支障なく握ることができてスムーズな乗降動作が可能となる。
しかも、その傘ホルダAの各要素(固定体C、レバー体L及びホルダ本体H)を小型化しつつアシストグリップGの周辺で相互に近接配置できることから、その各要素C,L,Hを、アシストグリップGの被握り部分Gnとは別個独立したサブグリップとして兼用することも可能であり、使い勝手が頗る良好となる。例えば、図7の(C)は、ホルダ本体Hが傘Kを把持していない状態で、乗降者が少なくともホルダ本体Hを(図示例では固定体Cにも跨がるように)握っている使用態様が示され、また図7の(D)は、同じく乗降者がレバー体L(即ちレバー半体3,4)を握っている使用態様が示される。
さらに図7の(E)は、ホルダ本体Hに傘Kを把持させた状態であっても、乗降者は、前記(A)(B)と同様、被握り部分Gnの下部を車室内からでも車外からでも支障なく握り得ることが示される。また(F)は、ホルダ本体Hに傘Kを把持させた状態でも、乗降者がレバー体L(即ちレバー半体3,4)を支障なく握り得ることが示される。
また本実施形態において、固定体Cは、これが概ね半球状に形成されていて恰もボールを握るような感覚となって握り易いことから、固定体Cの、サブグリップとしての機能性が良好となる。また特にホルダ本体Hに傘Kを把持させた状態では、ホルダ本体Hをサブグリップとして使用しにくくなることから、固定体Cのサブグリップとしての有用性が一層、高められる。一方、ホルダ本体Hは、これも概ね半球状に形成されていて恰もボールを握るような感覚となって握り易いため、ホルダ本体Hの、サブグリップとしての機能性が良好となり、特にホルダ本体Hに傘Kを把持させていない状態では、ホルダ本体Hをサブグリップとして有効活用可能となる。
その上、これらホルダ本体H及び固定体Cは、それらの結合面J1,J2相互を対向させた背中合わせの状態で、該結合面J1,J2相互が一体的に結合されていて全体として球状をなし、恰もボール感覚で一層握り易くなることから、ホルダ本体Hの把持溝Haに傘Kを把持させていない状態では、図7(C)に示すようにホルダ本体H及び固定体Cの両方に同時に手を掛けることができて比較的大型のサブグリップとして活用可能となり、しかもどの方向からでも握り易いために、使い勝手が頗る良好である。
また特に本実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互がボルト17を以て着脱可能に嵌着される結合構造となっている。このため、ホルダ本体H及び固定体C相互を十分な結合強度を確保しつつ容易に脱着操作することが可能となる。しかもホルダ本体Hが破損した場合には新品のホルダ本体Hと交換するだけで容易に且つ低コストで対応可能となる。さらに別種の物品(例えばドリンク用カップ等)を把持させるための、固定体Cと結合可能な別のホルダ本体を用意すれば、ホルダ本体Hを該別のホルダ本体と随時に交換することも可能となって、車室内で多様な物品ホルダを選択的に使用可能となり、利便性が更に向上する。
また、図8(A)(B)は、本発明の第2,第3実施形態が、さらに図9(C)(D)は、本発明の第4,第5実施形態がそれぞれ示される。これら第2〜第5実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互の結合構造のみが第1実施形態と異なっており、次にそれらの結合構造を順に説明する。尚、第2〜第5実施形態において、第1実施形態の構成要素と対応する構成要素の参照符号については、第1実施形態と同様のものが付される。
先ず、図8(A)の第2実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J1の中心部には雄ねじ軸部20が、またその何れか他方の結合面J2の中心部には、その雄ねじ軸部20が螺合する雌ねじ孔21がそれぞれ設けられる。而して、それら雄ねじ軸部20を雌ねじ孔21に螺合させることで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能に結合される。
また図8(B)の第3実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J2の外周部又はその近傍には弾性変形可能な複数の弾性突起部30が周方向に等間隔で突設される。またその何れか他方の結合面J1の外周部又はその近傍には、前記複数の弾性突起部30がそれぞれ弾力的に係合する複数の係合孔31が周方向で等間隔に設けられる。
而して、それら弾性突起部30を任意の係合孔31に押し込んで弾力的に係止させることで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能として、且つその結合面J1,J2相互が、その相対位置を該結合面J1,J2の中心部と直交する軸線回りに位置調節可能として結合される。また、このようにホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2の相対結合位置が前記軸線回りに位置調節可能とされることで、アシストグリップGに装着される固定体Cに対するホルダ本体Hの相対位置を前記軸線回りに段階的(図示例では90°刻み)に随時調節可能となるから、その相対位置の調節により、ホルダ本体Hの取付姿勢、延いては傘Kの把持姿勢をより最適に設定可能となる。
また図9(C)の第4実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J1の中心部より多少オフセットした位置には、先部が該結合面J1に沿って延びるL字状突起部40が設けられる。またその他方の結合面J2の中心部には、前記L字状突起部40が選択的に且つ摺動可能に嵌合する複数の係合孔41aを有する正多角形状の扁平な支持突部41が突設されており、それら複数の係合孔41aは支持突部41内で放射状に交差している。
而して、そのL字状突起部40を支持突部41の何れかの係合孔41aに摺動可能に差し込むことで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能として、且つその結合面J1,J2相互が、その相対位置を該結合面J1,J2の中心部と直交する軸線回りに位置調節可能として結合される。尚、L字状突起部40を支持突部41の何れかの係合孔41aに嵌合させた状態は、それらの嵌合面相互に作用する摩擦力で保持される。
また図9(D)の第5実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの各々平坦面とした結合面J1,J2相互を一平面上で突き合わせており、その何れか一方の結合面J2には、その周方向に並ぶ少なくとも一対の係止爪部50が設けられる。その各係止爪部50は、例えば結合面J2の周方向に円弧状に延びる爪本体50aと、その爪本体50aの一端に一体に連設した鉤部50bとを有する。また他方の結合面J1には、前記係止爪部50が係脱可能に係合する少なくとも一対の係合孔51がその周方向に円弧状に延びるようにして設けられ、その係合孔51の一端には、前記鉤部50bが出没し得る鉤孔51bが形成される。その係合孔51の内壁には、係止爪部50を係合孔51に押込んだ後、係合孔51に沿って回動させることで周方向の複数の係止位置に係止爪部50を順次、係止固定し得るような係止バネ付きの被係止機構(図示せず)が設けられる。これらの係止爪部50及び係合孔51(即ち前記被係止機構)の構造は、例えば、従来周知の電気配線用プラグの係止爪と、これを押し回して固定させるコンセントのプラグ係合孔との結合構造と類似のものが使用される。
而して、係止爪部50を係合孔51に押込んで周方向に所定量回動させて任意の係止位置に係止させることで、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互が着脱可能として、且つその結合面J1,J2相互が、その相対位置を該結合面J1,J2の中心部と直交する軸線回りに位置調節可能として結合される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施の形態が可能である。
たとえば、前記実施形態では、物品ホルダとして傘ホルダAを例示したが、本発明の物品ホルダは傘ホルダに限定されず、車室内の車載備品の被握り部分に取付け可能な種々の物品ホルダ(例えば、カップホルダ、書類ホルダ、ランプホルダ等)に実施可能である。また、この場合、本発明の物品は傘Kに限定されず、ホルダに把持可能なカップ、書類、ランプ等となる。
また前記実施形態では、被握り部分Gnを有する車載備品としてスライドドア周辺のアシストグリップGを例示したが、本発明の車載備品は、スライドドア周辺のアシストグリップに限定されず、物品ホルダを取付け可能な被握り部分を有して車室に設置される種々の車載備品(例えば、フロントピラー周辺のアシストグリップ、天井のグラブレール、フロントシート背面のシートバックグリップ、ドアの車室側の把手、シートバックにヘッドレストを昇降可能に支持するヘッドレスト支持バー等)に実施可能である。
また前記実施形態では、レバー体Lの第1,第2レバー半体3,4並びに固定体Cの第1,第2挟持部半体1,2を各々硬質の合成樹脂で一体成形したものを示したが、本発明では、第1,第2レバー半体3,4並びに第1,第2挟持部半体1,2を各々、補強用の芯材とその芯材の表面を一体的に被覆するゴム材又は合成樹脂材とで構成してもよい。この場合、第1レバー半体3及び第1挟持部半体1は、その両者の芯材相互を一体成形してもよく、またその両者の芯材を各々被覆するゴム材又は合成樹脂材を一体成形してもよい。また、同様に、第2レバー半体4及び第2挟持部半体2は、その両者の芯材相互を一体成形してもよく、またその両者の芯材を被覆するゴム材又は合成樹脂材を一体成形してもよい。
また前記実施形態では、ホルダ本体Hを硬質ゴム材で一体成形したものを示したが、本発明では、ホルダ本体Hの一部、例えば把持溝Haの底壁部分に補強用の芯材を一体に埋め込むようにしてもよい。
また前記実施形態では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互を凹凸嵌合させ或いは一平面で突き合わせ、ボルト17で着脱可能に結着したものを示したが、本発明では、ホルダ本体H及び固定体Cの結合面J1,J2相互を、着脱が困難又は容易でない適宜の結合手段(例えば接着手段、溶着手段、溶接手段、カシメ手段等)により結合してもよい。
A・・・・・物品ホルダとしての傘ホルダ
C・・・・・固定体
Cs・・・・固定体の挟持部
F・・・・・車体
G・・・・・車載備品としてのアシストグリップ
Gn・・・・被握り部分
H・・・・・ホルダ本体
Ha・・・・把持部を構成する凹部としての把持溝
J1・・・・固定体のホルダ本体との結合面
J2・・・・ホルダ本体の固定体との結合面
K・・・・・物品としての傘
L・・・・・レバー体
1,2・・・第1,第2挟持部半体
3,4・・・第1,第2レバー半体
3a,4a・・係合凹部
7,8・・・壁部分
10・・・・切れ目