JP2015177609A - 電圧変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンバータの昇圧動作を停止することなく、バッテリ電圧センサおよびコンバータ入力電圧センサの異常を切り分ける。
【解決手段】電圧変換装置は、バッテリと、コンバータと、バッテリ電圧センサと、コンバータの入力電圧VLを検出する電圧センサと、リアクトル電流を検出する電流センサと、制御装置とを備える。制御装置は、コンバータの昇圧動作を停止することなく、リアクトル電流に基づいて算出されたVL推定値と、コンバータの入力電圧VLと、バッテリ電圧VBとに基づき、バッテリ電圧センサまたは入力電圧センサの異常を判定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、バッテリから供給される電圧を昇圧して負荷に供給することができる電圧変換装置に関する。
従来、バッテリ電圧を昇圧回路で昇圧して負荷(例えばモータ等)に供給する負荷駆動装置が知られている。このような負荷駆動装置は、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車(燃料電池車を含む)等の電動車両に搭載される。
これに関連して、特許文献1には、バッテリ、昇圧回路、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧センサ、昇圧回路の入力電圧を検出する入力電圧センサ、および、昇圧回路の出力電圧を検出する出力電圧センサを含む負荷駆動回路において、上記各センサにより検出される3つの電圧値を比較して、どの電圧センサが異常であるかを特定することが記載されている。
特開2006−288163号公報
上記特許文献1の技術では、昇圧回路による昇圧動作を停止させることで、上記3つの電圧値が理想的には等しくなることを利用して、各センサにより検出された電圧値同士の差分に基づいて各センサの異常を判定している。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、各電圧センサの異常を切り分ける判定を行う際に、昇圧回路の昇圧動作を停止させる必要がある。そのため、昇圧回路の出力電圧を受けて駆動されている負荷が、センサ異常判定のための昇圧動作停止によって、動力性能が低下するという課題がある。
本発明の目的は、昇圧回路の昇圧動作を停止することなく、バッテリ電圧センサおよび昇圧回路の入力電圧センサの異常を切り分けることができる電圧変換装置を提供することである。
本発明に係る電圧変換装置は、バッテリと、前記バッテリから入力される電圧を昇圧可能な昇圧回路と、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧センサと、前記昇圧回路の入力電圧を検出する入力電圧センサと、前記昇圧回路の入力電流を検出する入力電流センサと、前記各センサから検出値が入力されるとともに前記昇圧回路の昇圧動作を制御する制御装置と、を備える電圧変換装置であって、前記制御装置は、前記昇圧回路の昇圧動作を停止することなく、前記昇圧回路の入力電流に基づいて算出された入力電圧推定値と、前記昇圧回路の入力電圧と、前記バッテリ電圧とに基づき、前記バッテリ電圧センサまたは前記入力電圧センサの異常を判定するものである。
本発明に係る電圧変換装置において、前記入力電圧推定値に対する前記入力電圧センサの検出値および前記バッテリ電圧センサの検出値の各差分を絶対値で比較し、差分が大きい方の電圧センサが異常であると判定するのが好ましい。
また、本発明に係る電圧変換装置において、前記バッテリ電圧センサおよび前記入力電圧センサのうち、異常と判定された一方の電圧センサに代えて、他方の電圧センサの検出値を用いて制御を継続するのが好ましい。
本発明に係る電圧変換装置によれば、バッテリ電圧センサおよび昇圧回路の入力電圧センサの異常判定に際に昇圧回路の昇圧動作を停止しないので、負荷への供給電力が不足することがない。したがって、負荷の動力性能に影響を与えずに、バッテリ電圧センサおよび入力電圧センサの異常を切り分けることができる。
本発明の一実施形態である電圧変換装置を含むモータ駆動装置の全体概略構成を示す図である。 コンバータが上アームオン時の電流の流れを示す図である。 コンバータが下アームオン時の電流の流れを示す図である。 制御装置の、コンバータの制御に関する部分の機能ブロック図である。 制御装置の処理手順を示すフローチャートである。 制御装置の別の処理手順を示すフローチャートである。 図6におけるバッテリ電圧推定値の算出の仕方を説明するための図である。
以下に、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
図1は、本発明の一実施形態である電圧変換装置10が適用されるモータ駆動装置100の回路図である。図1に示すように、モータ駆動装置100は、直流電源であるバッテリBと、コンバータ(昇圧回路)20と、インバータ30と、正極線12a,12bと、負極線14と、電流センサ13,19と、電圧センサ16,18,22と、フィルタコンデンサC1と、平滑コンデンサC2と、制御装置50とを備える。このうち、本実施形態の電圧変換装置10は、直流電源であるバッテリB、正極線12a、負極線14、電流センサ13,19、電圧センサ16,18、コンバータ20、フィルタコンデンサC1、および、制御装置50を含んで構成される。
モータ駆動装置100は、ハイブリッド自動車や電気自動車(燃料電池自動車を含む)などの電動車両に搭載される。そして、モータMは、図示されない駆動輪に機械的に連結され、車両を駆動するためのトルクを発生する。あるいは、モータMは、図示されないエンジンに機械的に連結され、エンジンの動力を用いて発電する発電機として動作し、かつ、エンジンの始動を行なう電動機としてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
バッテリBは、再充電可能な蓄電装置であり、例えばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池である。なお、バッテリBとして、二次電池に代えて大容量のキャパシタを用いてもよい。
バッテリBの正極端子には正極線12aが接続され、バッテリBの負極端子には負極線14が接続されている。そして、正極線12aにはシステムメインリレーSMR1が、負極線14にはシステムメインリレーSMR2が設けられている。各リレーSMR1,SMR2は、制御装置50からの信号を受けてオンオフ制御される。
電圧センサ16は、バッテリBの端子間電圧を検出するセンサである。電圧センサ16によって検出されたバッテリ電圧VBは制御装置50へ出力される。以下において、電圧センサ16を適宜にVBセンサという。
電流センサ13は、バッテリBの正極端子に接続される正極線12aに設けられている。電流センサ13は、バッテリBに出入りする電流を検出するセンサである。電流センサ13によって検出されたバッテリ電流IBは、制御装置50へ出力される。以下において、電流センサ13を適宜にIBセンサという。
コンバータ20は、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。リアクトルL1の一方端は、バッテリBの正極端子に接続される正極線12aに接続され、他方端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点に接続される。スイッチング素子Q1,Q2は、正極線12bと負極線14との間に直列に接続される。そして、スイッチング素子Q1のコレクタは正極線12bに接続され、スイッチング素子Q2のエミッタは負極線14に接続される。また、スイッチング素子Q1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。
コンバータ20は、制御装置50からの信号に基づいて、正極線12bおよび負極線14間の電圧をバッテリ電圧VB以上の電圧に昇圧する。コンバータ20の信号には、スイッチング素子Q1のオンデューティを制御するためのゲート信号S1と、スイッチング素子Q2のオンデューティを制御するためのゲート信号S2とが含まれる。ゲート信号S1,S2は、スイッチング素子Q1,Q2が互いに逆の状態(すなわち、Q1オンのときはQ2オフ、Q1オフのときはQ2オン)となるように関連付けられている。
電流センサ(入力電流センサ)19は、コンバータ20のリアクトルL1に入力されるリアクトル電流ILを検出し、その検出値を制御装置50へ出力する。電流センサ19は、バッテリBからリアクトルL1へ流れる電流を正値として検出し、リアクトルL1からバッテリBへ流れる電流を負値として検出する。以下において、電流センサ19を適宜にILセンサという。
フィルタコンデンサC1は、正極線12aと負極線14との間に接続される。電圧センサ18は、フィルタコンデンサC1の両端の電圧VLをコンバータ20の入力電圧として検出し、その検出値を制御装置50へ出力する。以下において、電圧センサ18を適宜にVLセンサという。
平滑コンデンサC2は、正極線12bと負極線14との間に接続される。平滑コンデンサC2は、コンバータ20からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ30へ供給する。電圧センサ22は、平滑コンデンサC2の両端の電圧VHをコンバータ20の出力電圧として検出し、その検出値を制御装置へ出力する。以下において、電圧センサ22を適宜にVHセンサという。
インバータ30は、U相アーム32と、V相アーム34と、W相アーム36とを含む。U相アーム32、V相アーム34およびW相アーム36は、正極線12bと負極線14との間に並列に接続される。U相アーム32は、直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4を含む。V相アーム34は、直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6を含む。W相アーム36は、直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8を含む。また、スイッチング素子Q3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続される。そして、各相アームの中間点は、モータMの各相コイルにそれぞれ接続されている。
インバータ30は、制御装置50からの信号S3〜S8に基づいて、正極線12bおよび負極線14から供給される直流電力を三相交流に変換してモータMへ出力し、モータMを駆動する。これにより、モータMは、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ30は、モータ駆動装置100が搭載された電動車両の制動時、モータMにより発電された三相交流電力を制御装置50からの信号に基づいて直流に変換し、コンバータ20側の正極線12bおよび負極線14へ出力する。
制御装置50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成される。制御装置50は、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、所定の演算処理を実行するように構成される。あるいは、ECUの少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
制御装置50は、パルス幅変調法を用いて、コンバータ20を駆動するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を信号S1,S2としてコンバータ20へ出力する。
また、制御装置50は、図示されない外部のECUから受けるモータMのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、モータMを駆動するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を信号S3〜S8としてインバータ30へ出力する。
図2は、コンバータ20のスイッチング素子Q1がオン状態のとき、すなわち上アームオン時の(正の)電流ILの流れを示す。この場合、図2に示すように、電流ILがダイオードD1を流れる。スイッチング素子Q1,Q2の接続点と負極線14との間の電圧をVm、リアクトルL1のインダクタンス値をL、電流ILの傾き(単位時間当たりの変化率)をdIL/dtとすると、この状態での電圧方程式は、下記の式(1)となる。
VL−L(dIL/dt)−Vm=0 ・・・(1)
平滑コンデンサC2の両端の電圧をVHとすると、電流ILがダイオードD1を流れている間は電圧Vm=VHとなるため、これを式(1)に代入して変形すると下記の式(2)となり、さらに式(2)を変形すると式(3)となる。
VL−L(dIL/dt)−VH=0 ・・・(2)
dIL/dt=(VL−VH)/L ・・・(3)
この式(3)より、電流ILが正の場合、スイッチング素子Q1のオン時は、電流ILの傾きdIL/dtが(VL−VH)/Lとなることが分かる。通常、VL<VHであるので電流ILの傾きdIL/dtは負である。
図3は、コンバータ20のスイッチング素子Q2がオン状態のとき、すなわち下アームオン時の(正の)電流ILの流れを示す。この場合、図3に示すように、電流ILがスイッチング素子Q2を流れる。この状態での電圧方程式は、下記の式(4)となる。
VL−L(dIL/dt)−Vm=0 ・・・(4)
式(4)そのものは上記の式(1)と同じであるが、電流ILがスイッチング素子Q2を流れている間は、電圧Vmは、VHではなく0となるため、これを式(4)に代入して変形すると下記の式(5)となり、さらに式(5)を変形すると式(6)となる。
VL−L(dIL/dt)−0=0 ・・・(5)
dIL/dt=VL/L ・・・(6)
この式(6)より、電流ILが正の場合、スイッチング素子Q2のオン時は、電流ILの傾きdIL/dtがVL/Lとなることが分かる。通常、VL>0であるので電流ILの傾きdIL/dtは正である。
このように、電流ILが正の場合、スイッチング素子Q1のオン時の電流ILは傾き(VL−VH)/Lで減少し、スイッチング素子Q2のオン時の電流ILは傾きdIL/dtがVL/Lで増加するようになっている。
次に、図4を参照して、コンバータ20における昇圧動作の制御について説明する。図4は、制御装置50の、コンバータ20の制御に関する部分の機能ブロック図である。図4に示すように、制御装置50は、電圧指令生成部52と、減算部54,58と、電圧制御演算部56と、電流制御演算部60と、駆動信号生成部62と、キャリア生成部64とを含む。
電圧指令生成部52は、コンバータ20の出力電圧である電圧VHの目標値を示す電圧指令値VRを生成する。例えば、電圧指令生成部52は、モータMのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNから算出されるモータMのパワーに基づいて電圧指令値VRを生成する。
減算部54は、VHセンサ22から入力された電圧VHの検出値を電圧指令値VRから減算し、その演算結果を電圧制御演算部56へ出力する。
電圧制御演算部56は、電圧VLの検出値と、電圧指令値VRから電圧VHの検出値を減算した値とを用いて、電圧VHを電圧指令値VRに一致させるための制御演算(例えば比例積分制御)を実行する。そして、電圧制御演算部56は、算出された制御量を電流指令値IRとして出力する。
減算部58は、電圧制御演算部56から出力される電流指令値IRから電流ILの検出値を減算し、その演算結果を電流制御演算部60へ出力する。
電流制御演算部60は、電流指令値IRからILセンサ19による電流ILの検出値を減算した値を減算部58から受け、電流ILを電流指令値IRに一致させるための制御演算(例えば比例積分制御)を実行する。そして、電流制御演算部60は、算出された制御量をデューティ指令値dとして駆動信号生成部62へ出力する。ここで、デューティ指令値d=VL/VHで表すことができる。
キャリア生成部64は、後述する駆動信号生成部62においてPWM信号S1,S2を生成するための、三角波から成るキャリア信号CRを生成し、その生成したキャリア信号を駆動信号生成部62へ出力する。
駆動信号生成部62は、電流制御演算部60から受けるデューティ指令値dを、キャリア生成部64から受けるキャリア信号CRと大小比較し、その比較結果に応じてゲート信号S1,S2を生成する。例えば、駆動信号生成部62は、キャリア信号CRがデューティ指令値dよりも小さい場合にゲート信号S1をオン(かつゲート信号S2をオフ)とし、そうでない場合にゲート信号S2をオン(かつゲート信号S1をオフ)とする。
この制御装置50においては、電圧VHを電圧指令値VRに一致させるための制御演算が電圧制御演算部56により実行される(電圧制御)。そして、電圧制御演算部56の制御出力を電流ILの電流指令値IRとして、電流ILを電流指令値IRに一致させるための制御演算が電流制御演算部60により実行される(電流制御)。このように、電圧VHおよび電流ILについてのフィードバック制御が実行されることで、スイッチング素子Q1,Q2の各オン時間の間に設定されるデッドタイム等に起因する電圧VHの変動を抑制できる。
なお、減算部54、電圧制御演算部56、減算部58および電流制御演算部60は、電圧VHを電圧指令値VRに一致させるためのメインループ68を形成し、減算部58および電流制御演算部60は、電流ILを電流指令値IRに一致させるためのマイナーループ70を形成する。
上記のような電圧変換装置10を含むモータ駆動装置100が正常に動作するには、各種センサによって電圧値や電流値が精度よく検出される必要がある。そのために、制御装置50は、各種センサの異常を監視し、異常が検出された場合には適切な措置を講じてフェールセーフモードに移行する必要がある。
ここで、電圧変換装置10に含まれるVLセンサ18に異常が生じた場合には、上述したコンバータ20の昇圧制御を実行できなくなる。また、電圧変換装置10に含まれるVBセンサ16に異常が生じた場合、バッテリBの状態を監視できなくなる。本実施形態の電圧変換装置10では、VLセンサ18およびVBセンサ16の両方が正常に機能していれば2つの検出値は一致する。よって、両者の差分が誤差や一時的変動等を考慮して予め設定した閾値を超える場合には、いずれかのセンサに異常であると判定できる。しかし、どのセンサが異常かを切り分けるためにコンバータ20の昇圧動作を停止させると、コンバータ20の出力電圧VHの低下によりモータMの動力性能が低下することになる。
そこで、本実施形態の電圧変換装置10では、制御装置50において下記の処理を実行することで、VBセンサ16およびVLセンサ18の異常の切り分けを行っている。
図5は、制御装置50で実行される処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、制御装置50は、ステップS10において、バッテリ電圧VBとコンバータ20の入力電圧VLとの偏差の絶対値が所定の閾値を超えているかを判定する。ここで、上記偏差が閾値を超えていれば、次のステップS12に移行し、そうでなければ処理を終了する。
次に、制御装置50は、ILセンサ19により検出されたリアクトル電流ILを用いて、コンバータ入力電圧VLの推定値(VLest)を算出する。この算出には、リアクトル電流ILの変化率ΔILを用いる。この変化率ΔILは、図3に示すようにスイッチング素子Q2のオン時にリアクトル電流ILを2点以上サンプリングして算出することができる。あるいは、ILセンサ19に微分回路を追加し、その微分回路の出力をΔILとしてもよい。このように取得した変化率ΔILを上記の式(5)に代入することによってVL推定値を算出できる。すなわち、下記の式(7)によってVL推定値を算出する。
VLest=L×ΔIL ・・・(7)
なお、リアクトルL1のインダクタンス値Lは、既知の固定値として予め記憶された値を読み出してもよいし、リアクトル電流ILをパラメータとして算出するようにしてもよい。
続いて、制御装置50は、ステップS14において、VLセンサ18の検出値である電圧VLと上記VL推定値との差分の絶対値と、VBセンサ16の検出値である電圧VBと上記VL推定値との差分の絶対値とを比較し、いずれが大きいかを判定する。
そして、電圧VLの差分の方が大きいと判定された場合、VLセンサ18が異常であると特定され、続くステップS16においてVLセンサ18による検出値VLをVBセンサ16による検出値VBに置き換えて一連の処理を終了する。この場合、VBセンサ16によって検出される電圧VBがコンバータ20の昇圧制御におけるVLとして用いられることになる。
他方、上記ステップS14において、電圧VBの差分の方が大きいと判定された場合には、VBセンサ16が異常であると特定され、続くステップS18においてVBセンサ16による検出値VBをVLセンサ18による検出値VLに置き換えて一連の処理を終了する。この場合は、VLセンサ18によって検出される電圧VLがバッテリ状態の監視に用いられることになる。
上述したように本実施形態の電圧変換装置10によれば、バッテリ電圧センサ16およびコンバータ20の入力電圧センサ18の異常判定を、コンバータ20の昇圧動作を停止しなくても行うことができるので、モータMへの供給電力が不足することがない。したがって、モータMの動力性能に影響を与えずに、バッテリ電圧センサ16および入力電圧センサ18の異常を切り分けることができる。
また、センサ異常が検出された一方の電圧センサ16,18の検出値に代えて、他方の電圧センサ16,18の検出値をその後の制御(監視を含む)に用いることで、制御を継続することができる。
次に、図6を参照して、制御装置50における別の処理手順について説明する。図6において、図5と同じ処理については同一のステップ番号を付して説明を繰り返さない。図6を参照すると、この処理手順ではステップS20,S22が上述した図5の処理手順と相違する。
図6に示すように、制御装置50は、ステップS10においてVBセンサ16およびVLセンサ18のいずれかに異常があると判定されたとき、続くステップS20において、IBセンサ13(図1参照)の検出値である電流IBを用いて、バッテリ電圧VBの推定値(VBest)を算出する。具体的には、バッテリ電圧VBの推定値は、バッテリ温度、バッテリBのSOC(State of Charge)値、および、バッテリBの内部抵抗RBに基づいて導出することができる。
より詳しくは、バッテリ温度TBは、図示しない温度センサによって検出されて、制御装置50に入力される。また、SOC値は、IBセンサ13の検出値を積算することによって求められる。さらに、バッテリBの内部抵抗RBは、メモリに予め記憶されたマップ等からバッテリ温度TBなどをパラメータとして導出された値を用いることができる。
そして、図7に示すように、SOC値をパラメータとしてメモリから読み出したバッテリ理想電圧VB0から内部抵抗RBによる電圧降下分を減算することによって、バッテリ電圧VBの推定値を算出することができる。すなわち、下記の式(8)によりVB推定値を算出する。
VBest=VB0−(RB×IB)・・・(8)
続いて、制御装置50は、ステップS22において、VLセンサ18の検出値である電圧VLと上記VB推定値との差分の絶対値と、VBセンサ16の検出値である電圧VBと上記VB推定値との差分の絶対値とを比較し、いずれが大きいかを判定する。
そして、電圧VLの差分の方が大きいと判定された場合にはVLセンサ18が異常であると特定され、電圧VBの差分の方が大きいと判定された場合にはVBセンサ16が異常であると特定される。その後の処理(ステップS16,S18)は、図5と同様である。
このようにVBセンサ16およびVLセンサ18の異常判定をVB推定値によって行う場合にも、コンバータ20の昇圧動作を停止せずに行うことができるので、モータMへの供給電力が不足することがない。したがって、モータMの動力性能に影響を与えずに、バッテリ電圧センサ16および入力電圧センサ18の異常を切り分けることができる。
また、センサ異常が検出された一方の電圧センサ16,18の検出値に代えて、他方の電圧センサ16,18の検出値を用いることで、その後の制御(監視を含む)を継続することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、種々の変更や改良が可能である。
例えば、上記においては、式(7)によりリアクトル電流ILの変化率ΔILを用いてVL推定値を算出する例について説明したが、これに限定されるものではなく、バッテリ電流IBの変化率ΔIBに基づいてVL推定値を算出してもよい。
10 電圧変換装置、12a,12b 正極線、13,19 電流センサ、14 負極線、16 バッテリ電圧センサ、18 入力電圧センサ、20 コンバータ(昇圧回路)、22 電圧センサ、30 インバータ、32 U相アーム、34 V相アーム、36 W相アーム、50 制御装置、52 電圧指令生成部、54,58 減算部、56 電圧制御演算部、60 電流制御演算部、62 駆動信号生成部、64 キャリア生成部、68 メインループ、70 マイナーループ、100 モータ駆動装置、B バッテリ、C1 フィルタコンデンサ、C2 平滑コンデンサ、CR キャリア信号、d デューティ指令値、D1〜D8 ダイオード、IB バッテリ電流、IL リアクトル電流、IR 電流指令値、L インダクタンス値、L1 リアクトル、M モータ、MRN モータ回転数、Q1〜Q8 スイッチング素子、RB (バッテリの)内部抵抗、S1,S2 ゲート信号、S3〜S8 信号、SMR1,SMR2 システムメインリレー、TB バッテリ温度、TR トルク指令値、VB バッテリ電圧、VB0 バッテリ理想電圧、VH (コンバータの)出力電圧、VL (コンバータの)入力電圧、Vm 電圧、VR 電圧指令値、ΔIB,ΔIL 変化率。

Claims (3)

  1. バッテリと、前記バッテリから入力される電圧を昇圧可能な昇圧回路と、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧センサと、前記昇圧回路の入力電圧を検出する入力電圧センサと、前記昇圧回路の入力電流を検出する入力電流センサと、前記各センサから検出値が入力されるとともに前記昇圧回路の昇圧動作を制御する制御装置と、を備える電圧変換装置であって、
    前記制御装置は、前記昇圧回路の昇圧動作を停止することなく、前記昇圧回路の入力電流に基づいて算出された入力電圧推定値と、前記昇圧回路の入力電圧と、前記バッテリ電圧とに基づき、前記バッテリ電圧センサまたは前記入力電圧センサの異常を判定する、
    電圧変換装置。
  2. 請求項1に記載の電圧変換装置において、
    前記入力電圧推定値に対する前記入力電圧センサの検出値および前記バッテリ電圧センサの検出値の各差分を絶対値で比較し、差分が大きい方の電圧センサが異常であると判定する、電圧変換装置。
  3. 請求項1または2に記載の電圧変換装置において、
    前記バッテリ電圧センサおよび前記入力電圧センサのうち、異常と判定された一方の電圧センサに代えて、他方の電圧センサの検出値を用いて制御を継続する、電圧変換装置。
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