JP2015176760A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存特性が良いリチウム二次電池を提供する。【解決手段】式(I)で表される環状硫酸エステル化合物を含有する非水電解液。(R1は式(II)又は式(III)で表される基;R2はH、C1〜6のアルキル基、式(II)又は式(III)で表される基)【選択図】なし

Description

本発明は、携帯電子機器の電源、車載、及び電力貯蔵などに利用される充放電可能なリチウム二次電池に関する。
近年、リチウム二次電池は、携帯電話やノート型パソコンなどの電子機器、或いは電気自動車や電力貯蔵用の電源として広く使用されている。特に最近では、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載可能な、高容量で高出力かつエネルギー密度の高い電池の要望が急拡大している。
リチウム二次電池は、主に、リチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極および負極、並びに、リチウム塩と非水溶媒とを含む電池用非水電解液から構成される。
正極に用いられる正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiFePOのようなリチウム金属酸化物が用いられる。
また、非水電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどカーボネート類の混合溶媒(非水溶媒)に、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SOCFCFのようなLi電解質を混合した溶液が用いられている。
一方、負極に用いられる負極用活物質としては、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金など)や炭素材料が知られており、特にリチウムを吸蔵、放出が可能なコークス、人造黒鉛、天然黒鉛を採用したリチウム二次電池が実用化されている。
電池性能を改善する試みとして、種々の添加剤を電池用非水電解液に含有させることが提案されている。
例えば、添加剤として、特定の環状硫酸エステルを含有する電池用非水電解液が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、サイクル特性等の電池性能を改善する試みとして、正極に用いられる正極活物質に関する検討も行われている。
正極活物質の一例として、リチウム(Li)と、遷移金属と、を含むリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
上記のリチウム遷移金属複合酸化物として、具体的には、Liと、Mn、Ni、及びCoからなる群から選択される少なくとも1種と、を含むリチウム遷移金属複合酸化物が知られている(例えば、特許文献2〜5、10、11、及び13参照)。
また、上記のリチウム遷移金属複合酸化物として、リン酸鉄リチウム(LiFePO)に代表される、リン酸遷移金属リチウムも知られている(例えば、特許文献6〜9参照)。
また、リチウム遷移金属複合酸化物を得るための原料として、特定のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物が知られている(例えば、特許文献12参照)。
国際公開第2012/053644号パンフレット 特許第4995444号公報 特許第5277686号公報 特開2013−101968号公報 特開2013−175410号公報 特許第4880936号公報 特許第5271751号公報 特許第5317390号公報 特開2010−282761号公報 特開2009−158330号公報 特開2010−199077号公報 特許第5365711号公報 特開2012−252964号公報
しかしながら、リチウム二次電池に関し、(特に、充電電圧が高い場合において)、保存後の容量維持率を更に向上させることが求められている。
従って、本発明の目的は、保存後の容量維持率が高いリチウム二次電池を提供することである。
前記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
<1> リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を含む正極と、負極と、下記一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物である添加剤Aを含有する非水電解液と、を備えるリチウム二次電池。
〔一般式(I)において、Rは、一般式(II)で表される基又は式(III)で表される基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(II)で表される基、又は式(III)で表される基を表す。
一般式(II)において、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基を表す。一般式(II)、式(III)、および式(IV)における波線は、結合位置を表す。
一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物中に、一般式(II)で表される基が2つ含まれる場合、2つの一般式(II)で表される基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。〕
<2> 前記リチウム遷移金属複合酸化物が、Liと、Co、Ni、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種と、を含む<1>に記載のリチウム二次電池。
<3> 前記リチウム遷移金属複合酸化物が、更に、Na、Mg、Ca、Sr、B、Al、Ge、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zr、Nb、Mo、W、Sn、Hf、及びTaからなる群から選択される少なくとも1種を含む<2>に記載のリチウム二次電池。
<4> 前記正極活物質が、下記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
Li1+x(Ni1/3±δ1Co1/3±δ2Mn1/3±δ31−x ・・・ (P1)
〔一般式(P1)中、xは、−0.1≦x≦0.2を満たす値を表し、δ1は、0≦δ1≦0.1を満たす値を表し、δ2は、0≦δ2≦0.1を満たす値を表し、δ3は、0≦δ3≦0.1を満たす値を表す。〕
<5> 前記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、LiイオンからなるLi層と、酸化物イオンからなるO層と、Ni、Co、及びMnからなる遷移金属層と、が積層された積層構造を有する<4>に記載のリチウム二次電池。
<6> 前記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、空間群P2/cで表される超格子構造を有する<4>又は<5>に記載のリチウム二次電池。
<7> 前記正極活物質が、下記一般式(P10)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
Li1+aMO ・・・ (P10)
〔一般式(P10)中、Mは、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を表し、aは、−0.05<a≦0.25を満たす値を表す。〕
<8> 前記一般式(P10)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が、下記一般式(P11)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である<7>に記載のリチウム二次電池。
Li1+aNiMnCo ・・・ (P11)
〔一般式(P11)中、x、y及びzは、x+y+z=1を満たすそれぞれ0以上の値を表し、aは−0.05≦a≦0.25を満たす値を表す。〕
<9> 前記一般式(P11)中、x、y、及びzは、0.1≦x≦0.55、0.1≦y≦0.55、z<0.5を満たす値である<8>に記載のリチウム二次電池。
<10> 前記正極活物質が、下記一般式(P20)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
LiMgNiMe ・・・ (P20)
〔一般式(P20)中、Meは、Al、Co、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。
t、x、y、及びzは、0.8≦t≦1.3、0.01≦x≦0.2、0.6≦y≦0.98、0.01≦z≦0.2、x+y+z=1を満たす値を表す。〕
<11> 前記正極活物質が、下記一般式(P30)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
LiCo1−x−y−zZrMg ・・・ (P30)
〔一般式(P30)中、Mは、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。
a、x、y、及びzは、0<a≦1.1、0.0001≦x、0.0001≦y、x+y+z≦0.03を満たす値を表す。〕
<12> 前記正極活物質が、下記一般式(P31)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
LiMnNiCo ・・・ (P31)
〔一般式(P31)中、Xは、Zr、Mg、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも一種を表す。
b、s、t、u、及びvは、0<b≦1.1、0.1≦s≦0.5、0.1≦t≦0.5、v=0または0.0001≦v≦0.03、s+t+u+v=1を満たす値を表す。〕
<13> 前記正極活物質が、下記一般式(P30)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物と、下記一般式(P31)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物と、を質量比で、51:49〜90:10の比率で含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
LiCo1−x−y−zZrMg ・・・ (P30)
〔一般式(P30)中、Mは、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。a、x、y、及びzは、0<a≦1.1、0.0001≦x、0.0001≦y、x+y+z≦0.03を満たす値を表す。〕
LiMnNiCo ・・・ (P31)
〔一般式(P31)中、Xは、Zr、Mg、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも一種を表す。b、s、t、u、及びvは、0<b≦1.1、0.1≦s≦0.5、0.1≦t≦0.5、v=0または0.0001≦v≦0.03、s+t+u+v=1を満たす値を表す。〕
<14> 前記正極活物質が、下記一般式(P40)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
Li1+sNiCoMnCaMg ・・・ (P40)
〔一般式(P40)中、Aは、Na、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、及びWからなる群から選択される少なくとも1種である。
s、x、y、z、t、u、及びvは、−0.05≦s≦0.20、x+y+z+t+u+v=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0.0002≦t≦0.01、0≦u≦0.005、0.0002≦t+u+v≦0.02を満たす値である。〕
<15> 前記正極活物質が、下記一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
LiMPO ・・・ (P50)
〔一般式(P10)中、Mは、少なくとも1種の遷移金属元素を表す。xは、0.85≦x≦1.15を満たす。〕
<16> 前記正極活物質が、LiFePOを含む<15>に記載のリチウム二次電池。
<17> 前記正極が、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩の少なくとも一方を含む<1>〜<16>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
<18> 前記正極が、ジフルオロリン酸リチウムを含む<1>〜<17>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
<19> 前記正極の充電上限電位が、4.2V以上である<1>〜<18>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
<20> 前記正極の充電上限電位が、4.3V〜4.7Vである<1>〜<19>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
<21> 前記添加剤Aの含有量が、前記非水電解液の全量に対し、0.01質量%以上である<1>〜<20>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
<22> 前記非水電解液が、更に、炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物、フッ素原子を有するカーボネート化合物、フルオロリン酸化合物、及び環状スルトン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である添加剤Bを含有する<1>〜<21>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
<23> 前記添加剤Bの含有量が、前記非水電解液の全量に対し、0.01質量%〜10質量%である<22>に記載のリチウム二次電池。
<24> 前記添加剤Bが、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロ(ビスオキサラト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム、1,3−プロパンスルトン、及び1,3−プロペンスルトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である<22>又は<23>に記載のリチウム二次電池。
<25> 前記負極が、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む負極活物質を含む<1>〜<24>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
<26> <1>〜<25>のいずれか1項に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
本発明によれば、保存後の容量維持率が高いリチウム二次電池を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池の一例を示すコイン型電池の模式的断面図である。
本発明のリチウム二次電池は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を含む正極と、負極と、下記一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物である添加剤Aを含有する非水電解液と、を備える。
本発明のリチウム二次電池によれば、保存後の容量維持率が向上する。更に、本発明のリチウム二次電池では、電池の充電保存時における開放電圧の低下も抑制できる。
かかる効果が得られる理由は、リチウム二次電池の充電時、以下の骨格を有する添加剤A(一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物)が、電極表面に強固な被膜を形成することで、電極表面での継続的な溶媒分解などが抑えられるため、と推測される。
以下、本発明のリチウム二次電池の各構成要素について説明する。
〔非水電解液〕
本発明における非水電解液は、下記一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物(以下、「一般式(I)で表される化合物」ともいう)である添加剤Aを含有する。
一般式(I)において、Rは、一般式(II)で表される基又は式(III)で表される基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(II)で表される基、又は式(III)で表される基を表す。
一般式(II)において、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基を表す。一般式(II)、式(III)、および式(IV)における波線は、結合位置を表す。
一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物中に、一般式(II)で表される基が2つ含まれる場合、2つの一般式(II)で表される基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。
一般式(I)中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が具体例として挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
一般式(I)中、「炭素数1〜6のアルキル基」とは、炭素数が1〜6個である直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、3,3−ジメチルブチル基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
一般式(I)中、「炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基」とは、炭素数が1〜6個である直鎖又は分岐鎖のハロゲン化アルキル基であり、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソブチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、ブロモプロピル基、ヨウ化メチル基、ヨウ化エチル基、ヨウ化プロピル基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基がより好ましい。
一般式(I)中、「炭素数1〜6のアルコキシ基」とは、炭素数が1〜6個である直鎖又は分岐鎖アルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1−エチルプロポキシ基、ヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。
一般式(I)中のRとして、好ましくは、一般式(II)で表される基(一般式(II)において、Rは、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基であることが好ましい。)、又は式(III)で表される基である。
一般式(I)中のRとして、好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、一般式(II)で表される基(一般式(II)において、Rは、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は、式(IV)で表される基であることが好ましい。)、又は式(III)で表される基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(I)中のRが一般式(II)で表される基である場合、一般式(II)中のRは前述のとおり、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基であるが、Rとしてより好ましくは、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は、式(IV)で表される基であり、更に好ましくは、フッ素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、又は、式(IV)で表される基である。
一般式(I)中のRが一般式(II)で表される基である場合、一般式(II)中のRの好ましい範囲については、一般式(I)中のRが一般式(II)で表される基である場合におけるRの好ましい範囲と同様である。
本発明の効果がより効果的に奏される点からみた一般式(I)の好ましい形態は、
が、一般式(II)で表される基(一般式(II)中、Rはフッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基であることが好ましい)、又は式(III)で表される基であり、Rが、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、一般式(II)で表される基(一般式(II)中、Rはフッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基であることが好ましい。)、又は式(III)で表される基である形態である。
一般式(I)のより好ましい形態は、Rが一般式(II)で表される基(一般式(II)中、Rはフッ素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、又は式(IV)で表される基であることが好ましい)又は式(III)で表される基であり、Rが水素原子又はメチル基である形態である。
一般式(I)の更に好ましい形態は、Rが式(III)で表される基であり、Rが水素原子である組み合わせ(最も好ましくは1,2:3,4−ジ−O−スルファニル−メゾ−エリスリトール)である。
一般式(I)において、Rが一般式(II)で表される基である環状硫酸エステル化合物は、下記一般式(XII)で表される環状硫酸エステル化合物である。
一般式(XII)中、R及びRは、一般式(I)及び一般式(II)におけるR及びRとそれぞれ同義である。
一般式(XII)で表される環状硫酸エステル化合物としては、Rが、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基である化合物が好ましい。
更に、一般式(XII)で表される環状硫酸エステル化合物としては、Rが、水素原子又はメチル基であって、Rが、フッ素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、又は式(IV)で表される基である化合物が特に好ましい。
一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物として、好ましくは、4−メチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−エチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、ビス((2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン−4−イル)メチル)サルフェート、又は4,4’−ビス(2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオランであり、更に好ましくは、4−メチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−エチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、ビス((2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン−4−イル)メチル)サルフェート、又は4,4’−ビス(2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオランであり、特に好ましくは、4−メチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−エチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、又はビス((2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン−4−イル)メチル)サルフェートである。
本発明における一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物の具体例〔例示化合物A−1〜例示化合物A−30〕を、一般式(I)における各置換基を明示することで下記の表に記載するが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
下記例示化合物の構造中、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「iPr」はイソプロピル基を、「Bu」はブチル基を、「tBu」はターシャリーブチル基を、「Pent」はペンチル基を、「Hex」はヘキシル基を、「OMe」はメトキシ基を、「OEt」はエトキシ基を、「OPr」はプロポキシ基を、「OBu」はブトキシ基を、「OPent」はペンチルオキシ基を、「OHex」はヘキシルオキシ基を、それぞれ表す。また、R〜Rにおける「波線」は、結合位置を表す。
なお、2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン環の4位及び5位の置換基に由来する立体異性体が生じる場合があるが、両者とも本発明に含まれる化合物である。
一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物のうち、分子内に2個以上の不斉炭素が存在する場合はそれぞれ立体異性体(ジアステレオマー)が存在するが、特に記載しない限りは、対応するジアステレオマーの混合物である。
一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物を合成する方法には特に制限はないが、例えば、国際公開第2012/053644号パンフレットの段落0062〜0068に記載の合成方法によって合成することができる。
本発明における非水電解液は、添加剤A(例えば、一般式(I)で表される化合物)を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本発明における非水電解液中における添加剤Aの含有量(2種以上である場合には総含有量)には特に制限はないが、本発明の効果がより効果的に奏される観点から、非水電解液の全量に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.001質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.05質量%〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
なお、添加剤Aは、非水電解液として実際に二次電池作製に供すると、その電池を解体して再び非水電解液を取り出しても、その中の含有量が著しく低下している場合が多い。そのため、電池から抜き出した非水電解液から、少なくとも上記添加剤Aが検出できる場合には、非水電解液に添加剤Aが含まれるとみなすことができる。後述の添加剤B、添加剤Cをはじめとする他の添加剤についても同様である。
<添加剤B>
本発明における非水電解液は、更に、炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物、フッ素原子で置換されたカーボネート化合物、フルオロリン酸化合物、及び環状スルトン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である添加剤Bを含有することが好ましい。 本発明における非水電解液が添加剤Bを含有することにより、上述した本発明の効果がより効果的に奏される。この理由は、添加剤Bが、添加剤Aによって電極表面に形成された被膜を強化することにより、電極表面での溶媒の分解がより効果的に抑制されるためと考えられる。
(炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物)
炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物としては、メチルビニルカーボネート、エチルビニルカーボネート、ジビニルカーボネート、メチルプロピニルカーボネート、エチルプロピニルカーボネート、ジプロピニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどの鎖状カーボネート類;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,4−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,4−ジエチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、プロピニルエチレンカーボネート、4,4−ジプロピニルエチレンカーボネート、4,5−ジプロピニルエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネートであり、より好ましくは、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートである。
(フッ素原子を有するカーボネート化合物)
フッ素原子を有するカーボネート化合物としては、メチルトリフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネートなどの鎖状カーボネート類;4−フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−トリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、4−フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネートである。
(フルオロリン酸化合物)
フルオロリン酸化合物としては、ジフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム、ジフルオロリン酸、モノフルオロリン酸、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、フルオロリン酸ジメチル、フルオロリン酸ジエチルなどが挙げられる。これらのうち、好ましくはジフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウムである。
(環状スルトン化合物)
環状スルトン化合物としては、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1−メチル−1,3−プロペンスルトン、2−メチル−1,3−プロペンスルトン、3−メチル−1,3−プロペンスルトン等のスルトン類が挙げられる。これらのうち、好ましくは、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトンである。
上述した添加剤Bは、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム、1,3−プロパンスルトン、及び1,3−プロペンスルトンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
本発明における非水電解液が添加剤Bを含有する場合、含有される添加剤Bは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
本発明における非水電解液が添加剤Bを含有する場合、その含有量(2種以上である場合には総含有量)には特に制限はないが、本発明の効果がより効果的に奏される観点から、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.05質量%〜5質量%の範囲であることがより好ましく、0.1質量%〜4質量%の範囲であることが更に好ましく、0.1質量%〜2質量%の範囲であることが更に好ましく、0.1質量%〜1質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、本発明における非水電解液が添加剤Bを含有する場合、添加剤A及び添加剤Bの総含有量は、本発明の効果がより効果的に奏される観点から、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜8質量%の範囲であることがより好ましく、0.5質量%〜8質量%の範囲であることが特に好ましい。
<添加剤C>
本発明における非水電解液は、下記一般式(V)で表される電解質化合物である添加剤Cを含有することができる。
これにより、保存後の容量維持率を向上できることに加え、初期及び充電保存時における電池の低温放電特性を向上させることができる。即ち、本発明における非水電解液が、前述の添加剤Aと、添加剤Cと、を含むことにより、電池の初期特性と電池の保存特性とをより高いレベルで両立させることができる。
ここで、非水電解液が、前述の添加剤Aを含まずに添加剤Cを含む場合には、初期における電池の低温放電特性の向上の効果は得られるものの、電池の保存特性を十分に満足させることができない。即ち、この場合には、保存時の容量維持率が低下する場合があり、また、保存時の開放電圧の低下を抑制できない場合がある。
以下、一般式(V)で表される電解質化合物について説明する。
〔一般式(V)において、Mは、アルカリ金属、Yは、遷移元素、周期律表の13族、14族又は15族元素を表し、bは1〜3の整数、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数、qは0又は1を表す。R11は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、またqが1でmが2〜4の場合にはm個のR11はそれぞれが結合していてもよい。)を表し、R12は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、また、nが2〜8の場合はn個のR12はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)、又は−Q13を表す。Q、Q及びQは、それぞれ独立に、O、SまたはNR14を表し、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、R13および/またはR14が複数個存在する場合はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)を表す。〕
一般式(V)で表される電解質化合物において、Mは、アルカリ金属であり、Yは、遷移金属、又は周期表の13族、14族もしくは15族元素である。Yとしては、このうちAl、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf又はSbであることが好ましく、Al、BまたはPであることがより好ましい。YがAl、BまたはPの場合には、アニオン化合物の合成が比較的容易になり、製造コストを抑えることができる。アニオンの価数およびカチオンの個数を表すbは1〜3の整数であり、1であることが好ましい。bが3より大きい場合は、アニオン化合物の塩が混合有機溶媒に溶解しにくくなる傾向があるので好ましくない。また、定数m、nは、配位子の数に関係する値であり、Mの種類によって決まってくるものであるが、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数である。定数qは、0または1である。qが0の場合には、キレートリングが五員環となり、qが1の場合にはキレートリングが六員環となる。
11は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基を表す。これらのアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基又はハロゲン化アリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の水素原子の代わりに、ハロゲン原子、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、又は水酸基を置換基として含んでいてもよい。また、これらの基の炭素元素の代わりに、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子が導入された構造であってもよい。また、qが1でmが2〜4のときには、m個のR11はそれぞれが結合していてもよい。そのような例としては、エチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。
12は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基又は−Q13(Q、R13については後述する。)を表す。
12におけるこれらのアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基又はハロゲン化アリール基は、R11と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、また、nが2〜8のときにはn個のR12は、それぞれ結合して環を形成してもよい。R12としては、電子吸引性の基が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
、Q及びQは、それぞれ独立に、O、S又はNR14を表す。つまり、配位子はこれらヘテロ原子を介してYに結合することになる。
13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリール基を表す。これらのアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はハロゲン化アリール基は、R11と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、R13及びR14は複数個存在する場合にはそれぞれが結合して環を形成してもよい。
Mにおけるアルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。このうち、リチウムが特に好ましい。
nとしては、0〜4の整数が好ましい。
本発明における非水電解液が一般式(V)で表される電解質化合物を含む場合、本発明における非水電解液は前記一般式(V)で表される化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
また、一般式(V)で表される電解質化合物は、下記一般式(VI)で表される化合物、下記一般式(VII)で表される化合物、下記一般式(VIII)で表される化合物、及び、下記一般式(IX)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。一般式(VI)〜(IX)で表される化合物において、Mがリチウム、ナトリウム、又はカリウムである化合物が、一般式(V)で表される電解質化合物の更に好ましい化合物として挙げられ、特に好ましくは、一般式(VIII)においてMがリチウムである化合物である。
〔一般式(VI)〜(IX)中、Mは一般式(V)におけるMと同義である。〕
前記一般式(V)で表される電解質化合物の合成方法としては、たとえば一般式(VI)で表される化合物の場合は、非水溶媒中でLiBFとこのLiBFに対して2倍モルのリチウムアルコキシドとを反応させた後、シュウ酸を添加して、ホウ素に結合しているアルコキシドをシュウ酸に置換する方法等がある。
また、一般式(VII)で表される化合物の場合には、非水溶媒中でLiPFとこのLiPFに対して1倍モルのシュウ酸とを反応させて、リンに結合しているフッ素原子をシュウ酸で置換する方法等がある。
また、一般式(VIII)で表される化合物の場合には、非水溶媒中でLiPFとこのLiPFに対して2倍モルのシュウ酸とを反応させて、リンに結合しているフッ素原子をシュウ酸で置換する方法等がある。
また、一般式(IX)で表される化合物の場合には、非水溶媒中でLiPFとこのLiPFに対して3倍モルのシュウ酸とを反応させて、リンに結合しているフッ素原子をシュウ酸で置換する方法等がある。
これらの場合には、アニオン化合物のリチウム塩を得ることができる。
本発明における非水電解液が添加剤Cを含有する場合、含有される添加剤Cは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
本発明における非水電解液が添加剤Cを含有する場合、添加剤Cの含有量(2種以上である場合には総含有量)は、非水電解液全質量に対して0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.05質量%〜5質量%の範囲であることがより好ましい。この範囲において、より効果的に、電池の低温特性の改善と、電池の保存特性の改善と、を両立することができる。
本発明における非水電解液が添加剤Cを含有する場合、含有される添加剤Bは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
また、本発明における非水電解液が添加剤Cを含有する場合、添加剤A及び添加剤Cの総含有量は、本発明の効果がより効果的に奏される観点から、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜8質量%の範囲であることがより好ましく、0.5質量%〜8質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、本発明における非水電解液が添加剤B及び添加剤Cを含有する場合、添加剤A、添加剤B、及び添加剤Cの総含有量は、本発明の効果がより効果的に奏される観点から、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜8質量%の範囲であることがより好ましく、0.5質量%〜8質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、本発明における非水電解液は、上記以外のその他の添加剤を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、上述のジフロロリン酸リチウム以外のジフロロリン酸塩、モノフロロリン酸塩が挙げられる。
また、その他の添加剤は、例えば、国際公開第2012/053644号パンフレット、特許第4033074号公報、特許第4819409号公報、特開2012−226878号公報、特許第4995444号公報、特許第5277686号公報、特開2013−101968号公報、特開2013−175410号公報、特許第5271751号公報、特許第4880936号公報、特許第5317390号公報、特開2010−282761号公報、特開2009−158330号公報、特開2010−199077号公報、特開2012−252964号公報などに記載の添加剤の中から、適宜選択して用いることができる。
次に、非水電解液の他の成分について説明する。
非水電解液は、一般的には、電解質と非水溶媒とを含有する。
<非水溶媒>
本発明における非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができるが、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン性溶媒を用いることが好ましい。
電池の安全性の向上のために、溶媒の引火点の向上を志向する場合は、非水溶媒として環状の非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。
(環状の非プロトン性溶媒)
環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状カルボン酸エステル、環状スルホン、環状エーテルを用いることができる。
環状の非プロトン性溶媒は単独で使用してもよいし、複数種混合して使用してもよい。
環状の非プロトン性溶媒の非水溶媒中の混合割合は、10質量%〜100質量%、さらに好ましくは20質量%〜90質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%である。このような比率にすることによって、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
環状カーボネートの例として具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、誘電率が高いエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートが好適に使用される。負極活物質に黒鉛を使用した電池の場合は、エチレンカーボネートがより好ましい。また、これら環状カーボネートは2種類以上を混合して使用してもよい。
環状カルボン酸エステルとして、具体的にはγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、あるいはメチルγ−ブチロラクトン、エチルγ−ブチロラクトン、エチルδ−バレロラクトンなどのアルキル置換体などを例示することができる。
環状カルボン酸エステルは、蒸気圧が低く、粘度が低く、かつ誘電率が高く、電解液の引火点と電解質の解離度を下げることなく電解液の粘度を下げることができる。このため、電解液の引火性を高くすることなく電池の放電特性に関わる指標である電解液の伝導度を高めることができるという特徴を有するので、溶媒の引火点の向上を指向する場合は、上記環状の非プロトン性溶媒として環状カルボン酸エステルを使用することが好ましい。環状カルボン酸エステルの中でも、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。
また、環状カルボン酸エステルは、他の環状の非プロトン性溶媒と混合して使用することが好ましい。例えば、環状カルボン酸エステルと、環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートとの混合物が挙げられる。
環状スルホンの例としては、スルホラン、2−メチルスルホラン、3―メチルスルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルプロピルスルホンなどが挙げられる。
環状エーテルの例としてジオキソランを挙げることができる。
(鎖状の非プロトン性溶媒)
本発明の鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、鎖状リン酸エステルなどを用いることができる。
鎖状の非プロトン性溶媒の非水溶媒中の混合割合は、10質量%〜100質量%、さらに好ましくは20質量%〜90質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%である。
鎖状カーボネートとして具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどが挙げられる。これら鎖状カーボネートは2種類以上を混合して使用してもよい。
鎖状カルボン酸エステルとして具体的には、ピバリン酸メチルなどが挙げられる。
鎖状エーテルとして具体的には、ジメトキシエタンなどが挙げられる。
鎖状リン酸エステルとして具体的には、リン酸トリメチルなどが挙げられる。
(溶媒の組み合わせ)
本発明における非水電解液で使用する非水溶媒は、1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。また、環状の非プロトン性溶媒のみを1種類又は複数種類用いても、鎖状の非プロトン性溶媒のみを1種類又は複数種類用いても、又は環状の非プロトン性溶媒及び鎖状のプロトン性溶媒を混合して用いてもよい。電池の負荷特性、低温特性の向上を特に意図した場合は、非水溶媒として環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒を組み合わせて使用することが好ましい。
さらに、電解液の電気化学的安定性から、環状の非プロトン性溶媒には環状カーボネートを、鎖状の非プロトン性溶媒には鎖状カーボネートを適用することが最も好ましい。また、環状カルボン酸エステルと環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートの組み合わせによっても電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート:鎖状カーボネートが、5:95〜80〜20、さらに好ましくは10:90〜70:30、特に好ましくは15:85〜55:45である。このような比率にすることによって、電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温又は低温での電気伝導性に優れた電解液とすることができるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
環状カルボン酸エステルと環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートの組み合わせの例として、具体的には、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとスルホランとジメチルカーボネートなどが挙げられる。
(その他の溶媒)
本発明における非水電解液は、非水溶媒として、上記以外の他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミドなどのアミド、メチル−N,N−ジメチルカーバメートなどの鎖状カーバメート、N−メチルピロリドンなどの環状アミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどの環状ウレア、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリブチル、ほう酸トリオクチル、ほう酸トリメチルシリル等のホウ素化合物、及び下記の一般式で表されるポリエチレングリコール誘導体などを挙げることができる。
HO(CHCHO)
HO[CHCH(CH)O]
CHO(CHCHO)
CHO[CHCH(CH)O]
CHO(CHCHO)CH
CHO[CHCH(CH)O]CH
19PhO(CHCHO)[CH(CH)O]CH
(Phはフェニル基)
CHO[CHCH(CH)O]CO[OCH(CH)CHOCH
上記式中、a〜fは、5〜250の整数、g〜jは2〜249の整数、5≦g+h≦250、5≦i+j≦250である。
<電解質>
本発明における非水電解液は、種々公知の電解質を含有することができる。電解質としては、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、いずれをも使用することができる。
本発明における電解質の具体例としては、(CNPF、(CNBF、(CNClO、(CNAsF、(CSiF、(CNOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、(CNPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)などのテトラアルキルアンモニウム塩、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)などのリチウム塩が挙げられる。また、次の一般式で表されるリチウム塩も使用することができる。
LiC(SO27)(SO28)(SO29)、LiN(SOOR30)(SOOR31)、LiN(SO32)(SO33)(ここでR27〜R33は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基である)。これらの電解質は単独で使用してもよく、また2種類以上を混合してもよい。
これらのうち、特にリチウム塩が望ましく、さらには、LiPF、LiBF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiClO、LiAsF、LiNSO[C(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)が好ましい。
本発明における電解質は、通常は、非水電解液中に0.1mol/L〜3mol/L、好ましくは0.5mol/L〜2mol/Lの濃度で含まれることが好ましい。
本発明における非水電解液において、非水溶媒として、γ−ブチロラクトンなどの環状カルボン酸エステルを併用する場合には、特にLiPFを含有することが望ましい。LiPFは、解離度が高いため、電解液の伝導度を高めることができ、さらに負極上での電解液の還元分解反応を抑制する作用がある。LiPFは単独で使用してもよいし、LiPFとそれ以外の電解質を使用してもよい。それ以外の電解質としては、通常、非水電解液用電解質として使用されるものであれば、いずれも使用することができるが、前述のリチウム塩の具体例のうちLiPF以外のリチウム塩が好ましい。
具体例としては、LiPFとLiBF、LiPFとLiN[SO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPFとLiBFとLiN[SO(2k+1)](k=1〜8の整数)などが例示される。
リチウム塩中に占めるLiPFの比率は、1質量%〜100質量%、好ましくは10質量%〜100質量%、さらに好ましくは50質量%〜100質量%が望ましい。このような電解質は、0.1mol/L〜3mol/L、好ましくは0.5mol/L〜2mol/Lの濃度で非水電解液中に含まれることが好ましい。
また、本発明における非水電解液は、過充電防止剤を含有することもできる。
過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、ターフェニル(o−、m−、p−体)の部分水素化体(例えば、1,2−ジシクロヘキシルベンゼン、2−フェニルビシクロヘキシル、1,2−ジフェニルシクロヘキサン、o−シクロヘキシルビフェニル)、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,3−ジ−t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;フルオロトルエン(o−、m−、p−体)、ジフルオロトルエン、トリフルオロトルエン、テトラフルオロトルエン、ペンタフルオロトルエン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン(o−、m−、p−体)、1−フルオロ−4−t−ブチルベンゼン、2−フルオロビフェニル、フルオロシクロヘキシルベンゼン(例えば、1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)等の芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
中でも、上記で例示した芳香族化合物が好ましい。
また、過充電防止剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンとt−ブチルベンゼン又はt−アミルベンゼンとの組み合わせ、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン等の酸素を含有しない芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種と、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の含酸素芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種を併用するのが過充電防止特性と高温保存特性のバランスの点から好ましい。
本発明における非水電解液が過充電防止剤を含有する場合、過充電防止剤の含有量には特に制限はないが、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上である。
また、上記過充電防止剤の含有量は、例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
本発明における非水電解液は、本発明の目的を妨げない範囲で、上述した化合物以外の他の化合物を添加剤として少なくとも1種含有していてもよい。
他の化合物として具体的には、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸エチレン、硫酸プロピレン、硫酸ブテン、硫酸ペンテン、硫酸ビニレン等の硫酸エステル類;並びにスルホラン、3−スルホレン、ジビニルスルホン等のイオウ系化合物、を挙げることができる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのうち、硫酸エチレン、硫酸プロピレン、硫酸ブテン、硫酸ペンテンが好ましい。
〔正極〕
本発明における正極は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を含む。
正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本明細書中において、「リチウム遷移金属複合酸化物」とは、リチウム(Li)と遷移金属元素とを含む複合酸化物を指す。
リチウム遷移金属複合酸化物は、必要応じ、リチウム及び遷移金属元素以外の金属元素を含んでいてもよい。
また、リチウム遷移金属複合酸化物は、リン(P)を含んでいてもよいし、リン(P)を含んでいなくてもよい。
リン(P)を含むリチウム遷移金属複合酸化物としては、リン酸鉄リチウム(LiFePO)に代表されるリン酸遷移金属リチウムが挙げられる。
正極活物質は、リン酸遷移金属リチウムであるリチウム遷移金属複合酸化物を含んでいてもよいし、リン酸遷移金属リチウム以外のリチウム遷移金属複合酸化物を含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウム二次電池は、サイクル特性等の電池性能に優れるという利点がある。
しかし、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウム二次電池では、充放電時に遷移金属が非水電解液中に溶出することにより、充放電容量が低下する場合がある。
この充放電容量の低下の問題は、例えば60℃程度の高温環境下で充放電を繰り返し行った場合、電池の容量を高める等の目的で電池の充電電圧を高くした場合(例えば、正極の充電上限電位が4.2V以上の場合、特に4.3V以上の場合)等に、特に顕著となる傾向がある。
この問題に関し、本発明のリチウム二次電池では、上述した非水電解液中の添加剤Aの作用(電極表面に被膜を形成する作用)により、リチウム遷移金属複合酸化物を用いた場合に特に問題となる、充放電容量の低下を抑制できる。
また、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウム二次電池では、例えば60℃程度の高温環境下で充放電を繰り返し行った場合に、電池の内部抵抗の著しい上昇を引き起こす場合がある。
しかし、本発明のリチウム二次電池では、上述した非水電解液中の添加剤Aの作用により、上記内部抵抗の上昇も抑制できる。
また、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウム二次電池では、満充電時に正極活物質が酸素を放出して非水電解液と化学反応を起こすおそれがある。
しかし、本発明のリチウム二次電池では、上述した非水電解液中の添加剤Aの作用により、上記酸素と非水電解液との化学反応を抑制できる。
また、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウム二次電池では、特に、電池の充電電圧を高くした場合(例えば、正極の充電上限電位が4.2V以上の場合、特に4.3V以上の場合)において、高温保存時のガス発生によって電池の膨れが生じる場合がある。
しかし、本発明のリチウム二次電池では、上述した非水電解液中の添加剤Aの作用により、上記電池の膨れを抑制できる。
以上のように、本発明における添加剤Aは、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いた場合や、電池の充電電圧が高い場合(例えば、正極の充電上限電位が4.2V以上の場合、特に4.3V以上の場合)の問題を、効果的に改善することができる。
正極の充電上限電位の上限には特に制限はないが、正極上限電位は、例えば4.7V以下とすることができ、4.35V未満とすることもできる。
正極上限電位の範囲の例として、具体的には、4.2V〜4.7Vが挙げられ、4.3V〜4.7Vが好ましい。
ここで、「正極の充電上限電位」とは、リチウム二次電池が、通常使用時の充放電サイクルにおける充電によって到達する最も高い電位のことをいう。例えば、「正極の充電上限電位が4.2V〜4.7V」とは、当該リチウム二次電池が、定格で定められる充電電圧まで充電したときに、正極の電位が4.2V〜4.7Vになるまで充電された履歴を有することを意味する。また、初期活性化処理(化成)、急速充電及び/又は意図しない事象等により、本発明の効果が失われない範囲で一時的(例えば100時間以内)に正極の上限電位が4.7V超で充電される場合も、「正極の充電上限電位が4.2V〜4.7V」の範囲に含まれる。
<正極活物質>
前述のとおり、正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を少なくとも1種含む。
前述のとおり、正極活物質中には、リチウム遷移金属複合酸化物が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
リチウム遷移金属複合酸化物は、Liと、Co、Ni、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種と、(更に、必要に応じ、少なくとも一種のその他の元素と、)を含むことができる。
リチウム遷移金属複合酸化物は、更に必要に応じ、Na、Mg、Ca、Sr、B、Al、Ge、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zr、Nb、Mo、W、Sn、Hf、及びTaからなる群から選択される少なくとも1種(以下、「添加元素」ともいう)を含んでいてもよい。
上記添加元素のうち、特に、Al、Mgが含まれると、正極構造が壊れにくいという利点がある。
また、上記添加元素のうち、Ca及びMgが含まれると、初期放電容量を大きく減少させることなく、電池のサイクルに伴う容量維持率を向上させることができる。これは、電池反応に寄与しないCaイオンやMgイオンが、Liサイトに固溶することで、サイクルを伴う結晶構造変化の歪みが小さくなるためと考えられる。
Caは、Liサイトに固溶することで、Liサイトで柱のような役割を果たし、結晶構造の安定化に寄与すると考えられる。
Mgは、サイクル特性の一層の改善、高耐久性に寄与すると考えられる。
また、Naは、焼成時に結晶成長を促進させる作用があると考えられる。
その他の添加元素についても、電池の容量、サイクル特性、出力特性、安全性、耐久性の向上に寄与すると考えられる。
以下、リチウム遷移金属複合酸化物の具体例(第1具体例〜第7具体例)を挙げる。
また、下記の具体例以外にも、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−X)〔0<X<1〕、LiMnO、LiFePOF、LiFe(PO、LiFeP等も挙げられる。
但し、本発明におけるリチウム遷移金属複合酸化物は、これらの具体例には限定されない。
また、本発明における正極活物質としては、一つの具体例のみのリチウム遷移金属複合酸化物を用いるだけでなく、2つ以上の具体例を任意に組み合わせて用いることもできる。また、一つの具体例のリチウム遷移金属複合酸化物から、一種のみを用いることもできるし、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、特定の具体例における好ましい態様は、他の具体例に適用することもできる。
(リチウム遷移金属複合酸化物の第1具体例)
第1具体例は、下記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である。
第1具体例については、特許第4995444号公報を参照することができる。
Li1+x(Ni1/3±δ1Co1/3±δ2Mn1/3±δ31−x ・・・ (P1)
〔一般式(P1)中、xは、−0.1≦x≦0.2を満たす値を表し、δ1は、0≦δ1≦0.1を満たす値を表し、δ2は、0≦δ2≦0.1を満たす値を表し、δ3は、0≦δ3≦0.1を満たす値を表す。〕
一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、LiイオンからなるLi層と、酸化物イオンからなるO層と、Ni、Co、及びMnからなる遷移金属層とが積層された積層構造を有することが好ましい。
一般式(P1)で表される上記複合酸化物は、リチウムが脱離しても格子体積の変化がほとんどなく、また、過充電時における酸素放出量も少ない。そのため、正極活物質が膨張又は収縮してリチウムイオン二次電池内において接触不良を起こしたり、所謂熱暴走反応を起こしたりすることを抑制できる。したがって、上記リチウムイオン二次電池の放電容量の低下や内部抵抗の上昇を抑制することができ、充放電を繰り返しても高い放電容量及び出力を発揮することができる。
この理由は次のように考えられる。
即ち、上記一般式(P1)で表される上記複合酸化物においては、Niイオン、Coイオン、Mnイオンが1/3±δモルずつ配合されている。その結果、上記複合酸化物において、各イオンの形式酸化数は、それぞれNiイオンが+2、Coイオンが+3、Mnイオンが+4となり、上記遷移金属層においてNiイオン、Coイオン、及びMnイオンが規則的に配列し易くなる。そのため、上述のごとく、放電容量の低下や内部抵抗の上昇を防止することができると考えられる。
一般式(P1)において、x<−0.1の場合には、遷移金属がLiのサイトを占有し、電池容量を低下させるおそれがある。一方、x>0.2の場合には、LiCOやLiOH等の不純物相が現れ、上記リチウムイオン二次電池の内部抵抗を増加させるおそれがある。より好ましくは、0≦x≦0.1がよい。
また、δ1、δ2、又はδ3が0.1を越える場合には、上記複合酸化物における上記遷移金属層において、Niイオン、Coイオン、Mnイオンの配列がランダムになりやすい。その結果、充放電を繰り返すことにより、格子体積が変化し易くなり、充放電容量や出力が低下し易くなるおそれがある。
より好ましくは、0≦δ1≦0.05、0≦δ2≦0.05、0≦δ3≦0.05がよい。この場合には、上記複合酸化物の上記遷移金属層において、Niイオン、Coイオン、及びMnイオンがより一層規則的に配列し易くなり、後述の超格子構造を形成し易くなる。
一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、超格子構造を有することが好ましい。
超格子構造の空間群は、P3112、P2/cが好ましく、P2/cが特に好ましい。
超格子構造については後述する。
−第1具体例の製造例−
水酸化リチウム(LiOH・HO)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、水酸化コバルト(Co(OH))、及び水酸化マンガン(Mn(OH))を準備する。次いで、水酸化リチウムと、水酸化ニッケルと、水酸化コバルトと、水酸化マンガンとを、Li:Ni:Co:Mnが、モル比で、1.01:0.33:0.33:0.34となるような混合比で混合して混合原料を得る。
次いで、この混合原料を酸素雰囲気中で温度850℃にて焼成し、Li(Ni0.33Co0.33Mn0.34)Oを得る。
この製造例では、空間群P2/cで表される超格子構造を有するLi(Ni0.33Co0.33Mn0.34)Oを製造することができる。
また、焼成温度を1000℃に変更することで、空間群P3112で表される超格子構造を有するLi(Ni0.33Co0.33Mn0.34)Oを製造することができる。

超格子構造は、例えば、電子線回折測定(TEM)による結晶構造解析によって確認する。
(リチウム遷移金属複合酸化物の第2具体例)
第2具体例は、下記一般式(P10)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である。
第2具体例については、特許第5277686号公報を参照することができる。
Li1+aMO ・・・ (P10)
〔一般式(P10)中、Mは、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を表し、aは、−0.05<a≦0.25を満たす値を表す。〕
aの値が大きすぎると、結晶構造や熱安定性が不安定になったり、電池容量の低下を招いたりする場合がある。
一般式(P10)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の中でも、電池特性の点から、下記一般式(P11)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。
Li1+aNiMnCo ・・・ (P11)
〔一般式(P11)中、x、y及びzは、x+y+z=1を満たすそれぞれ0以上の値を表し、aは−0.05≦a≦0.25を満たす値を表す。]
一般式(P11)において、x+y+z=1であり、層状の結晶構造の安定性、活物質の化学的安定性及び原料のコストを考慮すると、0.1≦x≦0.55、0.1≦y≦0.55、z<0.5であるものが特に好ましい。また、xとyの比率が1から大きく逸脱すると、合成面・コスト面での問題が生じる場合があり、好ましくは−0.15≦x−y≦0.15、より好ましくは−0.05≦x−y≦0.05である。また、zの値が大きすぎると原料コストが上昇する場合がある。また、aについては、−0.05≦a≦0.25である。
−第2具体例の製造例−
以下、第2具体例の製造例として、LiMn0.33Ni0.33Co0.33の製造例について説明する。
マンガン原料としてMn、ニッケル原料としてNiO、及びコバルト原料としてCo(OH)を、Mn:Ni:Co=1:1:1のモル比となるように秤量し、これに純水を加えてスラリーとし、攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式ビーズミルを用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.2μmに湿式粉砕する。
スラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し、マンガン原料、ニッケル原料、コバルト原料のみからなる、粒径約5μmのほぼ球状の造粒粒子を得る。得られた造粒粒子に、メジアン径3μmのLiOH粉末を、Mn、Ni、及びCoの合計モル数に対するLiのモル数の比が1.05となるように添加し、ハイスピードミキサーにて混合して、ニッケル原料、コバルト原料、マンガン原料の造粒粒子とリチウム原料との混合粉を得る。
この混合粉を空気流通下、950℃で12時間焼成(昇降温速度5℃/分)した後、解砕し、目開き45μmの篩を通し、LiMn0.33Ni0.33Co0.33を得る。
−第2具体例の性状−
以下、第2具体例(一般式(P10)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物)の性状の好ましい態様を示す。
但し、第2具体例以外の具体例が、下記の性状を有していてもよいことはもちろんである。
第2具体例の性状には特に制限はないが、粒子(粉体)であることが好ましい。
粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パス切れ等の劣化がおきやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐため好ましい。
また、板状等軸配向性の粒子であるよりも球状ないし楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作製する際の導電剤との混合においても、均一に混合されやすいため好ましい。
第2具体例の粉体は、嵩密度が1.0g/cc以上で、また、レーザー回折・散乱法により求めた平均一次粒子径Bが0.1〜3μm、二次粒子のメジアン径Aが3〜20μmであることが好ましい。
第2具体例の平均一次粒子径は、結晶を発達させて充放電の可逆性をより向上させる観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.4μm以上である。
第2具体例の平均一次粒子径は、球状の二次粒子を形成し易くし、粉体充填性を向上させ、また、比表面積を大きくする観点から、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.6μm以下である。
また、第2具体例の二次粒子のメジアン径は、嵩密度をより高くする観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは5μm以上である。
第2具体例の二次粒子のメジアン径は、電池性能をより向上させる観点、塗布性をより向上させる観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、更に好ましくは16μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
また、第2具体例の二次粒子の90%積算径(D90)は、嵩密度をより向上させる観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上、特に好ましくは8μm以上である。
第2具体例の二次粒子の90%積算径(D90)は、電池性能をより向上させる観点、塗布性をより向上させる観点から、好ましくは30μm以下、より好ましくは26μm以下、更に好ましくは23μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
ここで規定する90%積算径(D90)は、屈折率1.24で設定した場合の値である。
第2具体例の嵩密度は、粉体充填性をより向上させ、単位容積当たりの容量密度をより高くする観点から、好ましくは1.0g/cc以上、より好ましくは1.4g/cc以上、より好ましくは1.6g/cc以上である。
また、第2具体例の嵩密度は、比表面積をより高くする観点から、好ましくは3g/cc以下、より好ましくは2.8g/cc以下、更に好ましくは2.6g/cc以下である。
第2具体例のBET比表面積は、電池性能をより向上させる観点から、0.2m/g以上が好ましく、より好ましくは0.3m/g以上、特に好ましくは0.4m/g以上である。
第2具体例のBET比表面積は、嵩密度をより高くする観点から、1.8m/g以下が好ましく、より好ましくは1.5m/g以下、特に好ましくは1.3m/g以下である。
(リチウム遷移金属複合酸化物の第3具体例)
第3具体例は、下記一般式(P20)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である。
一般式(P20)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、添加元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物の一例である。
第3具体例については、特開2009−158330公報を参照することができる。
LiMgNiMe ・・・ (P20)
〔一般式(P20)中、Meは、Al、Co、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。
t、x、y、及びzは、0.8≦t≦1.3、0.01≦x≦0.2、0.6≦y≦0.98、0.01≦z≦0.2、x+y+z=1を満たす値を表す。〕
一般式(P20)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いることにより、リチウム二次電池の高容量化を図ることができると共に、熱的安定性を向上させることができる。
一般式(P20)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、共沈法等の周知の方法によって合成できる。
(リチウム遷移金属複合酸化物の第4具体例)
第4具体例は、下記一般式(P30)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である。
一般式(P30)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、添加元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物の一例である。
第4具体例については、特開2010−199077公報を参照することができる。
LiCo1−x−y−zZrMg ・・・ (P30)
〔一般式(P30)中、Mは、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。
a、x、y、及びzは、0<a≦1.1、0.0001≦x、0.0001≦y、x+y+z≦0.03を満たす値を表す。〕
一般式(P30)において、0.0001≦x、かつ、0.0001≦yであることにより、高容量でサイクル特性及び高温での安定性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
x+y+z≦0.03を満たすことにより、電池容量がより高く維持される。
(リチウム遷移金属複合酸化物の第5具体例)
第5具体例は、下記一般式(P31)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である。
一般式(P31)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、添加元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物の一例である。
第5具体例についても、特開2010−199077公報を参照することができる。
LiMnNiCo ・・・ (P31)
〔一般式(P31)中、Xは、Zr、Mg、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも一種を表す。
b、s、t、u、及びvは、0<b≦1.1、0.1≦s≦0.5、0.1≦t≦0.5、v=0または0.0001≦v≦0.03、s+t+u+v=1を満たす値を表す。〕
一般式(P31)において、0.1≦t≦0.5、かつ、0.1≦s≦0.5であることにより、高容量でサイクル特性及び高温での安定性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
0.0001≦v≦0.03を満たすことにより、化合物の熱安定性がさらに高まる。
第4具体例と第5具体例とは、組み合わせて用いることが好ましい。
これにより、コバルト・ニッケル・マンガン等の合計モル数に対するリチウムのモル数を大きくできるので、充放電に寄与するリチウム量を十分に大きくすることができる。従って、高容量でサイクル特性及び高温での安定性に優れたリチウム二次電池を効果的に得ることができる。
好ましくは、一般式(P30)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物:一般式(P31)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(質量比)として、51:49〜90:10の比率で用いることである。
(リチウム遷移金属複合酸化物の第6具体例)
第6具体例は、下記一般式(P40)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である。
一般式(P40)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、添加元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物の一例である。
第6具体例については、特開2012−252964公報を参照することができる。
Li1+sNiCoMnCaMg ・・・ (P40)
〔一般式(P40)中、Aは、Na、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、及びWからなる群から選択される少なくとも1種である。
s、x、y、z、t、u、及びvは、−0.05≦s≦0.20、x+y+z+t+u+v=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0.0002≦t≦0.01、0≦u≦0.005、0.0002≦t+u+v≦0.02を満たす値である。〕
一般式(P40)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、層状構造を有する六方晶系リチウム遷移金属複合酸化物粒子であることが好ましい。
層状構造を有する六方晶系の構造をとる正極活物質は、スピネル構造正極活物質と比較して、理論容量密度やサイクル特性に優れるという利点がある。
また、一般式(P40)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、平均粒径が3〜8μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.6以下であることが好ましい。
一般式(P40)において、Liの過剰量を示す原子比sが、−0.05から0.20までの範囲である。Liの過剰量sが−0.05未満の場合、得られた正極活物質を用いたリチウム二次電池における正極の反応抵抗が大きくなるため、電池の出力が低くなる場合がある。一方、Liの過剰量sが0.20を超える場合、上記正極活物質を電池の正極に用いた場合の初期放電容量が低下するとともに、正極の反応抵抗も増加する場合がある。Liの過剰量を示すsは、反応抵抗をより低減させる観点から、0.10以上とすることが好ましい。
また、Ni、Co、Mnは、Liとともに、層状構造を有する六方晶系リチウム遷移金属複合酸化物の基本骨格を構成する。
これらの含有量を示す原子比x、y、zは、得られた正極活物質を用いた非水系電解質二次電池における、電池容量やサイクル特性、安全性などを考慮して決定される。xの値は、0.3〜0.7、好ましくは0.33〜0.45とし、yの値は、0.1〜0.4、好ましくは0.25〜0.35とし、zの値は0.1〜0.4、好ましくは0.30〜0.40とする。
一般式(P40)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物では、Ni、Co、Mnのほか、添加元素を上記範囲で含有することが重要である。
添加元素は少なくともカルシウム(Ca)を含み、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選択される1種以上の添加元素であるが、Caのほか、Mgを含むことが好ましく、さらにNaを含むことがより好ましい。
上記範囲で、Ca、または、CaとMgを添加することにより、この正極活物質を正極に用いた非水系電解質二次電池において、初期放電容量を大きく減少させることなく、電池のサイクルに伴う容量維持率を向上させることができる。これは、電池反応に寄与しないCaイオンやMgイオンが、Liサイトに固溶することで、サイクルを伴う結晶構造変化の歪みが小さくなるためと考えられる。
少なくともCaを添加する必要があるのは、イオン半径が他の構成イオンより大きく、Liサイトに固溶することで、Liサイトで柱のような役割を果たし、結晶構造の安定化に寄与するためである。
一般式(P40)においては、Caの含有量を示す原子比tを0.0002〜0.01、好ましくは、0.0005〜0.008、好ましくは、0.001〜0.004となるように調整する。Caの含有量を示すtが、0.0002未満の場合には、サイクルに伴う容量維持率が低下する場合があり、tが0.01を超える場合には、放電容量の低下が大きくなる場合があり、電気自動車やプラグインハイブリッド車のバッテリーなど、高エネルギ密度が要求される用途に適合しなくなる場合がある。
また、Mgの含有量を示す原子比uを0.005以下、好ましくは0.0005以上0.0035となるように調整する。Mgをこのような範囲で含有することにより、サイクル特性が一層改善され、高耐久性を有する電池が得られる。一方、uが0.005を超える場合には、Caと同様に、放電容量の低下を招く場合がある。
さらに、Naは、Liを除く金属元素(Me)の合計量に対して、0.08〜1mol%(原子比で0.0008〜0.01)とすることが好ましく、0.1〜1mol%(原子比で0.001〜0.01)とすることがより好ましい。Naは焼成時に結晶成長を促進させる作用があり、その含有量が1mol%を超えると正極活物質の結晶子径が200nmを超えて、電池の初期放電容量の低下を招く場合がある。
その他の添加元素についても、電池の容量、サイクル特性、出力特性、安全性、耐久性の向上の観点から添加されるものである。Ca、Mg、Naを含む添加元素が、粒子の表面または内部に均一に分布することで、少量の添加でも粒子全体で容量の低下を抑制しつつ上記効果を得ることができる。より少ない添加量で効果を得るためには、粒子内部より粒子表面における添加元素の濃度を高めることが好ましい。
全原子に対するCa、Mg、Naを含む添加元素の含有量を示す原子比t+u+vが0.02を超えると、Redox反応に貢献する金属元素が減少するため、電池容量が低下するため好ましくない。したがって、添加元素は、上記の組成範囲となるように調整する。
以下、第6具体例の好ましい形態について説明するが、他の具体例が、以下の好ましい形態に該当することがあってもよい。
第6具体例の結晶子径は、50〜200nmであることが好ましい。
第6具体例に含まれるSO量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、第6具体例は、一般式:NiCoMnCaMg(OH)2+a(x+y+z+t+u+v=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0.0002≦t≦0.01、0≦u≦0.005、0.0002≦t+u+v≦0.02、0≦a≦0.5、Aは、Na、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子であり、該二次粒子の平均粒径が3〜7μmの範囲にあり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.55以下である、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を用いて製造されたものであることが好ましい。
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子は、前記添加元素Aとしてナトリウムが含まれ、このナトリウムの含有量が0.08〜1mol%であることが好ましい。
上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の好ましい製造方法は、
ニッケル化合物、コバルト化合物、および、マンガンとカルシウムもしくはカルシウムおよびマグネシウムとを含有する化合物が溶解した混合水溶液と、アンモニウムイオン供給体が添加され、カルシウムおよびマグネシウムが上記添加量となるように調整された核生成用水溶液を、液温25℃基準でのpH値が12.0〜14.0となるように制御して、核生成を行う核生成工程と、
該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液を、液温25℃基準でのpH値が10.5〜12.0となり、かつ、前記核生成工程における前記pH値より低くなるように制御して、前記核を成長させる粒子成長工程と、
粒子成長工程で得られた複合水酸化物粒子を水洗する水洗工程と
を備える製造方法である。
上記製造方法において、前記混合水溶液が、カルシウムを10〜30mg/L、マグネシウムを10〜50mg/L含有していることが好ましい。
また、上記製造方法において、前記核粒子成長工程の後で、前記複合水酸化物粒子を、pH13〜14.5のスラリーに調整して保持した後、水洗することが好ましい。
また、上記製造方法において、前記核生成用水溶液または粒子成長用水溶液の調整、前記スラリーの調製、および水洗の少なくともいずれか1つに、カルシウムを5〜20mg/L、マグネシウムを2〜5mg/L含有する水を用いることが好ましい。
第6具体例の特に好ましい製造方法は、
出発原料として、上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を用い、該ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を、105〜400℃で熱処理する工程と、
前記熱処理工程後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物またはニッケルコバルトマンガン複合酸化物またはそれらの混合物に、ニッケルとコバルトとマンガンとカルシウムとマグネシウムと添加元素Aの原子数の和とリチウムの原子数との比が1:0.95〜1.20となるように、リチウム化合物を加えて混合する工程と、
前記混合工程で得られた混合物を、酸化性雰囲気中、800〜1000℃の温度で焼成し、解砕して、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を得る工程と、
を備える製造方法である。
この製造方法における前記混合工程において、リチウム化合物を加えて混合する際に、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムから選択される1種以上の元素を含む化合物をさらに加えて混合することが好ましい。
(リチウム遷移金属複合酸化物の第7具体例)
第7具体例は、下記一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である。
一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、リン酸遷移金属リチウムであるリチウム遷移金属複合酸化物の一例である。
第7具体例については、特許第4880936号公報、特許第5271751号公報、特許第5317390号公報、特開2010−282761号公報を参照することができる。
LiMPO ・・・ (P50)
〔一般式(P10)中、Mは、少なくとも1種の遷移金属元素を表す。xは、0.85≦x≦1.15を満たす。〕
一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、オリビン構造の化合物であることが好ましい。
一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、優れた放電性能及び充電性能を発揮でき、さらに、ハイブリット自動車用電池等に用いた場合において、制動時の回収エネルギーの回収効率が高いという利点を有する。
しかし、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、特に、60℃程度の高温環境下で充放電を繰り返し行ったときに、充放電容量が低下するという問題がある。この問題は、遷移金属の溶出によるものと考えられる。この充放電容量が低下の問題は、高電圧(例えば4.2V以上)の充電時や、60℃程度の高温環境下で充放電を繰り返し行ったときに、特に顕著である。
この充放電容量が低下の問題に関し、本発明のリチウム二次電池では、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(第7具体例)を用いた場合であっても、既述の非水電解液中の添加剤Aの作用により、かかる充放電容量の低下を抑制できる。
一般式(P50)において、xが0.85〜1.15という範囲から外れる場合には、充放電の際に、急激に容量が低下したり抵抗が上昇したりするおそれがある。xは1.00が最も好ましい。
なお、上記一般式(P50)で表される化合物は、化学量論組成のものだけでなく、一部の元素が欠損等した非化学量論組成のものも含む。
一般式(P50)において、Mとしては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、Fe、Mn、Ni、Coを含むことがより好ましく、Fe、Mn、Coを含むことがより好ましく、Feを含むことが特に好ましい。
また、主となる遷移金属の他に、Mo、Ta、W、Si、B、Al、S等の元素を少量添加することも可能である。少量添加を行う場合は、0.1mol%以上5mol%以下が好ましく、さらに好ましくは0.2mol%以上2.5mol%以下である。
一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いた場合の作用機構については未だ不明な点が多いが、特定のフルオロリン酸塩の中心金属への作用に加え、アニオン部分への相互作用も推察され、これらの複合作用によって機能が発現し、効果が得られるものと考えられる。
一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物のメジアン径には特に制限はないが、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したメジアン径(d50)が3.5μm以下であることが望ましい。
メジアン径が3.5μm以下であることが望ましい理由は、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は固体内でのリチウム拡散速度が低いが、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物のメジアン径を小さくすれば、固体内でのリチウム拡散距離を短くすることができるので、リチウム拡散速度の低下を補うことができるからである。このような観点からすれば、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物のメジアン径は小さい程好ましく、特に、0.9μm以下であることが好ましい。
更に、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物のBET比表面積は10m/g以上、特に、16m/g以上であることが望ましい。
これは、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物のBET比表面積を大きくすることにより、反応面積が増えるため、固体内での低いリチウム拡散速度を補うことができるからである。
また、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の表面に炭素をコーティングし、且つ、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の量に対する炭素の量が0.5質量%以上5質量%以下とすることも好ましい。
このように、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の表面に炭素をコーティングするのは、以下に示す理由による。即ち、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は電子伝導性が低く、固体内でのリチウム拡散速度が遅いため、ハイレート特性が低いという課題がある。そこで、上記構成の如く、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の表面に炭素をコーティングし、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の電子伝導性の低下を抑制することにより、ハイレート特性の飛躍的な向上を図るためである。
尚、正極作製時に炭素から成る導電剤を加えることも考えられるが、このような方法を用いたとしても、正極活物質粒子表面からの導電パスを作るのみであるため、正極活物質粒子内の導電パスが確保できない。したがって、正極活物質の利用率はさほど向上せず、ハイレート特性の飛躍的な向上は図れない。
一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の量に対する炭素の量(以下、炭素コート量と称するときがある)を0.5質量%以上に規制するのは、炭素コート量が0.5質量%未満の場合、コート量が少な過ぎるため、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の低い電子伝導性を十分に補うことができない場合があるためである。一方、炭素コート量を5質量%以下に規制するのは、炭素コート量が5質量%を超える場合には、正極における正極活物質の充填性が低下し、電池としてのエネルギー密度が低下するからである。
また、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を含有する層(正極活物質層)は、充填密度が1.7g/cm以上3.15g/cm以下であることが好ましく、その範囲のなかでも1.7g/cm以上2.7g/cm以下、特に2.0g/cm以上2.3g/cm以下であることが望ましい。
正極活物質層における充填密度が1.7g/cm未満の場合は正極におけるエネルギー密度が低下すると共に、正極活物質と導電剤、及び正極活物質と正極集電体との密着性が低くなり、正極内での電子伝導性が不十分となることにより、ハイレート放電時の放電特性が低下する場合がある。一方、正極活物質層における充填密度が3.15g/cmを超えると正極内の空間が狭くなりすぎ、電極内へ含浸される電解液の量が少なくなって、電池の放電容量が低下する場合がある。
−表面被覆−
また、正極活物質としては、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加、
乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加
後、加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等に
より該正極活物質表面に付着させることができる。なお、炭素を付着させる場合には、炭
素質を、例えば、活性炭等の形で後から機械的に付着させる方法も用いることもできる。
表面付着物質の量としては、一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物に対して質量で、下限として好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、上限として、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができるが、その付着量が少なすぎる場合その効果は十分に発現しない場合があり、多すぎる場合には、リチウムイオンの出入りを阻害するため抵抗が増加する場合がある。
(超格子構造)
本発明におけるリチウム遷移金属複合酸化物は、超格子構造を有することも好ましい。
以下、一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(第1具体例)を例として、超格子構造について説明する。
しかし、第1具体例以外の具体例に係るリチウム遷移金属複合酸化物が、超格子構造を採ってもよいことはもちろんである。
一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造の空間群をR3−mで表し、Liイオンが3bサイト、NiイオンとCoイオンとMnイオンとが3aサイト、酸化物イオンが6cサイトを占有しているとしたとき、Niイオン、Coイオン、及びMnイオンが3aサイト中で規則的に配列した超格子構造を有することが好ましい。このとき、上記複合酸化物の結晶構造の空間群の対称性はR3−mより低くなる。空間群の対象性については、例えば「ティ・ハーン(T. Hahn)、インターナショナル・テーブルズ・フォー・クリスタログラフィ・ヴォル・エー(International Tables for crystallography Vol.A)、クルワー・アカデミック・パブリッシャーズ(Kluwer Academic Publishers)、2002年に記載されているように、インターナショナル・テーブルによって、対象性の低いものから順番に1番〜230番までの番号(インターナショナル・テーブル・ナンバー)付けがされており、例えばR3−mはNo.166である。したがって、上記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が超格子構造を有する場合には、その結晶構造の空間群は、R3−m(No.166)よりも低いインターナショナル・テーブル・ナンバー番号に帰属する。その結果、上記正極活物質の結晶構造の安定性がより向上し、充放電を繰り返したときの放電容量の低下や内部抵抗の上昇をより一層抑制することができる。なお、上述の空間群を示す「R3−m」において、本来、「−」は「3」の上に付されるが、明細書作成の便宜のため、本明細書においては「3」の右隣に付して表してある。
一般に、LiMeO2(Meは、Co、Ni、CoxNi1−x、CoNiMn1−x−y等)の結晶構造は、空間群R3−mで表され、Liイオン、Meイオン、酸化物イオンは、それぞれ3aサイト、3bサイト、及び6cサイトを占有している。
LiMeOは、Liイオンからなる層(Li層)、Meイオンからなる層(Me層)、及び酸化物イオンからなるO層が複数積み上げられた構造を有しており、Me層とLi層は、それぞれO層に挟まれている。また、Me層において、各Meイオン間の距離は格子定数a(ただし、六方晶配置)に相当し、中心のMeイオンからみて、MeイオンとMeイオンとは角度γ=120°をなす。中心のMeイオン、Meイオン、Meイオン、Meイオンで囲まれた領域が単位格子である。
Me層において、Meイオン、即ち、Niイオン、Coイオン、及びMnイオンは、ランダムに配列することができるが、規則的に配列することもできる。
Niイオン、Coイオン、Mnイオンがランダムに配列した結晶構造の空間群は、R3−mで表され、インターナショナル・テーブル・ナンバーは、No.166となる。これに対し、規則的に配列した結晶構造の空間群としては、P3112が挙げられ、このインターナショナル・テーブル・ナンバーは、No.151となる。また、規則的に配列した結晶構造の空間群としては、P2/cも挙げられ、このインターナショナル・テーブル・ナンバーは、No.13となる。
このように、Niイオン、Coイオン、Meイオンが規則的に配列した超格子構造の場合には、インターナショナル・テーブル・ナンバーが、一般的なLiMeO2の結晶構造のインターナショナル・テーブル・ナンバー、即ちNo166よりも小さくなる。そして、この場合には、上記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造の安定性がより向上し、充放電を繰り返しても放電容量の低下や内部抵抗の上昇をより一層抑制することができる。
超格子構造の空間群は、P3112、P2/cが好ましく、P2/cが特に好ましい。
また、上記一般式(P1)におけるxは、x=0であり、上記層状化合物においてNiイオン、Coイオン、及びMnイオンは、wood表記[√3×√3]R30°で表される超格子構造を形成しており、該超格子構造の空間群はP312又はP312であることがよい。
この場合には、上記リチウムイオン二次電池の充放電を繰り返したときの放電容量の低下や内部抵抗の上昇をさらにより一層抑制することができる。また、充放電を繰り返す前の初期抵抗を低減させることができる。
上記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物において、x=0のときは、該リチウム遷移金属複合酸化物は、Li(Ni1/3±δ1Co1/3±δ2Mn1/3±δ3)O(但し、0≦δ1≦0.1、0≦δ2≦0.1、0≦δ3≦0.1)で表される。このリチウム遷移金属複合酸化物が上述のごとくwood表記[√3×√3]R30°で表される超格子構造を形成する場合には、上記リチウム遷移金属複合酸化物は、Niイオン、Mnイオン、及びCoイオンが√3倍の単位格子を基準にして規則的に配列した超格子構造を有する。詳細には、Niイオンを中心とすると、第一近接として3つのCoイオンと3つのMnイオンとがNiイオンを取り囲み、第二近接として6つのNiイオンが取り囲んだ構造をしている。また、同様に、Coイオンを中心とすると、第一近接としてNiイオンとMnイオンがCoイオンを取り囲み、第二近接として,Coイオンが取り囲んだ構造をしている。さらに、同様に、Mnイオンを中心とすると、第一近接としてNiとCoイオンがMnイオンを取り囲み、第二近接として,Mnイオンが取り囲んだ構造をしている。
Niイオン、Coイオン、Mnイオンが、規則的に配設して超格子構造を形成したとき、この構造の単位格子の格子定数をbとする。超格子構造でないときの構造と同様の格子定数aの単位格子と比較して、格子定数bは、格子定数aの√3倍である。そのため、このような構造は、中心Meイオン(例えばNiイオン)とMeイオン(例えばNiイオン)との距離、及び中心MeイオンとMeイオン(例えばNiイオン)との距離に基づいて、[√3×√3]と表記される。また、単位格子において中心Meイオンを介してMeイオンとMeイオンとがなす角度βは120°であるが、単位格子よりも角度α=30°だけずれた構造を有している。したがって、このような構造はwood表記で[√3×√3]R30°と表すことができ、√3は、単位格子に対する大きさを表し、R30°は、単位格子と単位格子74とのなす角度αが30°であることを表している。
上記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造(超格子構造)は、例えばX線回折測定(XRD)、電子線回折測定(TEM)、中性子回折測定(ND)等を用いた結晶構造解析によって判別することができる。
(リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法)
リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法には特に制限はなく、無機化合物の製造方法として一般的な方法が用いられる。
例えば、球状ないし楕円球状のリチウム遷移金属複合酸化物を作製するには種々の方法が考えられる。
例えば、遷移金属硝酸塩、硫酸塩等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を得る方法が挙げられる。
また、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を得る方法も挙げられる。
また、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源と、必要に応じ他の元素の原料物質とを水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これを高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
焼成温度は、組成や使用するリチウム化合物原料に依存する。
焼成温度は、通常800℃以上、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上である。
また、焼成温度は、通常1100℃以下、好ましくは1075℃以下、より好ましくは1050℃以下である。
焼成には、例えば、箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。
焼成工程は、通常、昇温・最高温度保持・降温の三工程に分けられる。
二番目の最高温度保持工程は必ずしも一回とは限らず、目的に応じて二段階又はそれ以上の段階をふませてもよく、二次粒子を破壊しない程度に凝集を解消することを意味する解砕工程又は、一次粒子或いは更に微小粉末まで砕くことを意味する粉砕工程を挟んで、昇温・最高温度保持・降温の工程を二回又はそれ以上繰り返してもよい。
昇温工程は、通常1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で炉内を昇温させる。
最高温度保持工程での保持時間は、温度によっても異なるが、結晶性がよいリチウム遷移金属複合酸化物を得る観点から、通常30分以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上である。
また、上記保持時間は、通常50時間以下、好ましくは25時間以下、より好ましくは20時間以下である。
降温工程では、通常0.1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉内を降温させる。
焼成時の雰囲気は、空気等の酸素含有ガス雰囲気を用いることができる。通常は酸素濃度が1体積%以上、好ましくは10体積%以上で100体積%以下、より好ましくは50体積%以下の雰囲気とする。
リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法については、例えば、特許第4995444号公報、特許第5277686号公報、特開2013−101968号公報、特開2013−175410号公報、特許第4880936号公報、特許第5271751号公報、特許第5317390号公報、特開2010−282761号公報、特開2009−158330号公報、特開2010−199077号公報、特許第5365711号公報、特開2012−252964号公報、等に記載されている公知の方法を適宜参照できる。
また、上述した添加元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法については、例えば、特許第5365711号公報の段落0034〜0067、特開2012−252964号公報の段落0065〜0153を適宜参照できる。
上述した添加元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、下記一般式(M1)で表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を原料として製造することができる。
Ni1−x−y−zCoMn(OH) ・・・ (M1)
〔一般式(M1)中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、及びWからなる群から選択される少なくとも1種である。
x、y、及びzは、0<x≦1/3、0<y≦1/3、0≦z≦0.1を満たす値である。〕
一般式(M1)で表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、窒素吸着BET法により測定される比表面積が1.0〜10.0m/g(好ましくは1.0m/g以上8.0m/g未満)であり、かつ高周波−赤外燃焼法により測定される炭素含有量が0.1質量%以下であり、X線回折における(101)面の半価幅が1.5°以下であることが好ましい。
また、一般式(M1)で表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、
少なくともニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩を含む混合水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを反応槽に供給して混合するとともに、液温25℃基準でpHが11〜13の範囲に保持されるように苛性アルカリ水溶液を供給して反応溶液とし、該反応溶液中でニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を晶析させる晶析工程と、
晶析した上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を固液分離して、水洗する固液分離工程と、
水洗した上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を乾燥する乾燥工程と、
を有し、
上記晶析工程において、上記反応溶液の開放面と接触する反応槽内の雰囲気の酸素濃度を0.2容量%以下に保持する製造方法によって製造されたものであることが好ましい。
上記一般式(M1)で表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の製造方法において、上記反応溶液のアンモニウムイオン濃度を5〜20g/Lの範囲に保持することが好ましい。
また、上記製造方法において、上記反応溶液の温度を20〜70℃の範囲に保持することが好ましい。
また、上記製造方法において、上記反応槽内に不活性ガスを供給することにより、上記酸素濃度を0.2容量%以下に保持することが好ましい。
また、上記製造方法において、上記混合水溶液と上記アンモニウムイオン供給体を含む水溶液をそれぞれ連続的に供給して、上記反応槽からニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を含む反応溶液を連続的にオーバーフローさせてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を回収することが好ましい。
また、上記製造方法において、上記晶析工程で得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の表面を上記M元素で被覆することが好ましい。
また、上記製造方法において、上記ニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩は、硫酸塩、硝酸塩及び塩化物の少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記製造方法において、上記アンモニウムイオン供給体は、アンモニア、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくとも1種であることが好ましい。
以上、正極活物質に含まれるリチウム遷移金属複合酸化物について説明したが、正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物に加えて、その他の正極活物質を用いることもできる。
その他の正極活物質としては、MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物が挙げられる。
また、その他の正極活物質としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等も挙げられる。
また、負極がリチウム金属又はリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。
また、正極として、リチウム遷移金属複合酸化物と、炭素材料と、の混合物を用いることもできる。
正極活物質は、1種類のみ使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。正極活物質は導電性が不充分である場合には、導電性助剤とともに使用することができる。 導電性助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
正極活物質中におけるリチウム遷移金属複合酸化物の含有量には特に制限はないが、上記含有量は、正極活物質の全量に対し、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物の含有量が上記範囲であると、前述の添加剤Aによる効果がより効果的に発揮される。
<正極の構成>
本発明における正極の好ましい構成は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を含有する正極活物質層を、集電体上に形成してなる構成である。正極活物質層は、更に、結着剤(バインダー)を含有することが好ましい。
正極活物質層中における正極活物質の含有量(またはリチウム遷移金属複合酸化物の含有量)には特に制限はないが、正極活物質層の全量に対し、通常、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
また、正極活物質層中における正極活物質の含有量(またはリチウム遷移金属複合酸化物の含有量)は、正極活物質層の強度の観点から、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99質量%以下である。
正極活物質層は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質と、結着剤と、(更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等と、)を乾式で混合してシート状にしたものを、正極集電体に圧着することにより作製することができる。
また、正極活物質層は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質と、結着剤と、(更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等と、)を、液体媒体中に溶解又は分散させてスラリーとし、得られたスラリーを、正極集電体に塗布し、乾燥させることにより作製することもできる。
正極集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。また、形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されているため好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、強度の観点から、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。
また、薄膜である正極集電体の厚さは、取り扱い性の観点から、通常100mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは50μm以下である。
結着剤(バインダー)としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。
なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中の結着剤の割合は、正極の機械的強度の観点から、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
また、正極活物質層中の結着剤の割合は、電池容量及び導電性をより向上させる観点から、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
正極活物質層には、導電性を高めるために、導電材を含有させることができる。
導電材の種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、無定形炭素(例えばニードルコークス、)等の炭素材料;等を挙げることができる。
なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中の導電材の割合は、導電性をより向上させる観点から、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
また、正極活物質層中の導電材の割合は、電池容量をより向上させる観点から、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
スラリーを形成するための液体媒体としては、リチウム遷移金属複合酸化物(例えば粉体)、結着剤、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を、溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はない。
上記液体媒体としては、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒の例としては、水、アルコール等が挙げられる。
有機系溶媒の例としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。
特に、水系溶媒を用いる場合には、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することもできる。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、正極活物質層の厚さは、通常10μm以上200μm以下程度である。塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
<リン含有化合物>
本発明における正極は、良好なサイクル特性(特に、高電圧で充放電を行った際のサイクル特性)と低温特性とを実現する観点から、リン含有化合物を少なくとも1種含んでいてもよい。
正極がリン含有化合物を含むことは、リチウム遷移金属複合酸化物が上記第2具体例及び上記第7具体例である場合において特に好適である。但し、リチウム遷移金属複合酸化物がその他の具体例である場合であっても、正極は、リン含有化合物を含んでいてもよい。
リン含有化合物としては、一分子内にリンを含む化合物であれば特に制限はないが、フッ化リン酸イオンを含有又は発生する化合物が好ましい。
リン含有化合物としては、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上の化合物を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩としては、一以上のモノフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオン等、及びそれらのカウンターカチオンから形成されるものであれば、その種類には特に制限はなく、リチウム二次電池としたときの性質を鑑みて選択される。
モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩等のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Cu等の金属元素の他、NR(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表す。)で表現される「アンモニウム又は4級アンモニウム」が挙げられる。
ここで、R〜Rの炭素数1〜12の有機基としては、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、窒素原子含有複素環基、等が挙げられる。
〜Rとしては、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、窒素原子含有複素環基等が好ましい。
これらのカウンターカチオンとしては、リチウム二次電池に用いたときの電池特性の点から、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又はNR(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表す。)が好ましく、リチウムが特に好ましい。
また、中でも、ジフルオロリン酸塩が、放電負荷特性向上効果が大きい上、電池のサイクル、高温保存特性の点でより好ましく、ジフルオロリン酸リチウムが特に好ましい。
これらのリン含有化合物は、正極活物質等と混合して正極を作製したり、これらを溶解させた溶液を電池作製前に正極に塗布したり、溶液に正極を浸しておくこと等により用いることが好ましい。また、電池作製時に、正極とともに電池内に封入することも好ましい。
正極がリン含有化合物を含有する場合、正極は、少なくとも、正極活物質とリン含有化合物とを混合して作製されることが好ましい。
正極にリン含有化合物を含有させる方法としては、塗布時に導電材、結着材と同時にリン含有化合物を加える方法; 塗布後の正極上にコーティングする方法; 正極をリン含有化合物含有溶液に浸漬する等の方法;等が考えられる。また、電池内部で目的のリン含有化合物となるような前駆体を用いてもよい。
また、あらかじめリン含有化合物を含む正極活物質を用いてもよい。
正極活物質にリン含有化合物を含有させる方法としては、正極活物質をリン含有化合物含有溶液に浸漬後乾燥させる方法; 正極活物質とリン含有化合物を混合する方法; 等が挙げられる。
本発明における正極がリン含有化合物を含む場合は、リチウム二次電池が、下記態様1〜態様3の少なくとも1つであることも好ましい。
−態様1−
態様1は、非水電解液がヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含有し、かつ、リチウム二次電池より取り出した正極表面付近及び正極内部のリンK吸収端X線吸収微細構造スペクトルを1階微分して得られるパターンが以下の条件を満たす態様である。
(条件)
2150eV〜2154eV付近に存在する第1ピークの強度について、正極表面付近を測定した際の強度をa、正極内部を測定した際の強度をa’とし、2154eV〜2160eV付近に存在する第2ピークの強度について、正極表面付近を測定した際の強度をb、正極内部を測定した際の強度をb’としたとき、(a/b)/(a’/b’)の値が0.5以上である。
−態様2−
リチウム二次電池より取り出した正極表面付近のリンK吸収端X線吸収微細構造スペクトルにおいて2150eV〜2154eV付近に存在するピークの半値幅をn、NaPOのリンK吸収端X線吸収微細構造スペクトルにおいて2150eV〜2154eV付近に存在するピークの半値幅をmとしたとき、m/nが1.05以下である態様である。
−態様3−
正極最表層部分におけるリン(P)の原子濃度pと正極活物質に含まれる遷移金属の原子濃度の総和qの比p/qが0.2以上である態様である。
態様1及び態様2では、正極表面付近及び内部のリンK吸収端XAFSスペクトルとその1階微分して得られるパターンが特定の条件を満たす。
ここで、態様1及び態様2における「リンK吸収端X線吸収微細構造(XAFS)スペクトル」の測定方法を示す。
−−リンK吸収端X線吸収微細構造(XAFS)スペクトルの測定方法−−
高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 放射光科学研究施設(Photon Factory)のビームライン9A(軟X線モード)において、下記条件により行う。
X線分光器 :Si(111)二結晶分光器
正極表面付近の測定法:ヘリウム転換電子収量法
正極内部の測定法 :蛍光X線収量法(ライトル型電離箱による)
エネルギー校正 :リン酸ナトリウムのリンK吸収端XAFSスペクトルにおいて、 吸収強度が最大となるエネルギーを2151.8eVとする。
ここで、リンK吸収端XAFSデータについて説明する。
試料にX線を照射すると、電子や蛍光X線が放出される。このとき、電子を検出すれば正極最表面からおおよそ100nmまでの深さの正極表面付近(以下、「正極表面付近」と略す。)、蛍光X線を検出すれば正極最表面から1μm程度の深さの正極内部(以下、「正極内部」と略す。)の情報を得ることができる。リンK吸収端XAFSデータでは、例えば、2150〜2154eVのピークとしてフッ化リン酸イオンに由来するピークが得られ、2154〜2160eVのピークはヘキサフルオロリン酸イオンに由来するピークが得られる。
リンK吸収端XAFSスペクトルを1階微分することにより、微分スペクトルパターンを得ることができる。微分スペクトルのピーク強度は、それぞれのピークに対応する1組の極大値と極小値の差として定義される。
リチウム二次電池の該正極におけるリンK吸収端XAFSスペクトルのピーク強度は、おおよそ対応する化学種の存在量と対応する。すなわち、ピーク強度比a/b、若しくはa’/b’が増加することは、正極において、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオンの量を基準としたときのフッ化リン酸イオンの量が増加することを意味する。
態様1のリチウム二次電池は、正極について、リンK吸収端XAFSスペクトルを1階微分して得られるパターンが以下の特定の条件を満たす。
(条件)
2150eV〜2154eV付近に存在する第1ピークの強度について、正極表面付近を測定した際の強度をa、正極内部を測定した際の強度をa’とし、2154eV〜2160eV付近に存在する第2ピークの強度について、正極表面付近を測定した際の強度をb、正極内部を測定した際の強度をb’とする。そして、正極表面付近における第1ピークと第2ピークの強度比を(a/b)、正極内部における第1ピークと第2ピークの強度比を(a’/b’)としたときに、(a/b)/(a’/b’)の値が0.5以上である。
態様1においては、正極表面付近と正極内部のフッ化リン酸イオンの比である(a/b)/(a’/b’)の値は0.5以上であるが、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.2以上である。
(a/b)/(a’/b’)の値が大きい、すなわち、ヘキサフルオロリン酸イオンの量を基準としたとき、正極内部よりも正極表面付近のフッ化リン酸イオンの相対量が大きいほど、良好なサイクル特性と低温特性を実現することができ、高電圧で充放電を行った際のサイクル特性も向上させることができる。
XAFS法によって正極表面付近の状態を知るためには、おおよそ100nm程度までの表面の情報が得られる検出法である電子収量法を用いることが好ましい。
また、正極内部の情報を知るためには、1μm程度の検出深さを持つ蛍光X線収量法を用いることが好ましい。
但し、正極内部の情報を知るためには、透過法による測定も可能であるので、透過法によって測定されたスペクトルにおいて上記と同様にして求められたa’とb’を代わりに使用することができる。条件及び好ましい範囲等は、上記した蛍光X線収量法の場合と同じである。
また、微分スペクトルパターンがノイズを多く含むようであれば、微分スペクトルにスムージング処理を施してもよい。スムージング処理の方法としては、Savitzky-Golay法、隣接平均法等が挙げられる。
次に、態様2のリチウム二次電池は、NaPO及び正極表面付近のリンK吸収端XAFSスペクトルにおいて、2150eV〜2154eV付近に存在するピークの半値幅をそれぞれm、nとしたとき、m/n(以下、「ピーク半値幅比」と称することがある。)が1.05以下である。
リンK吸収端XAFSスペクトルのピーク半値幅は、以下の方法により算出することができる。
2150eV〜2154eV付近に存在するピークの最大強度位置CからX線エネルギー軸に垂直な直線を引き、バックグラウンド直線gとの交点をDとする。更に、線分CDを2等分し、直線gに平行な直線がピークによって切り取られる点をE、Fとすると、ピーク半値幅は線分EFのX線エネルギー軸上での長さに対応する。ここで、正極表面において、2150〜2154eVのピークに近接して他のピークが現れる場合は、バックグラウンド直線gはそれらのピークを含む範囲に作製する。
リチウム二次電池の正極におけるリンK吸収端XAFSスペクトルのピーク半値幅は、フッ化リン酸イオンのフッ化の度合いと関係がある。リンK吸収端XAFSスペクトルのピークは一般に、リン1s軌道から真空準位付近の空軌道への遷移に由来すると考えられている。フッ化リン酸イオンにおける遷移先の空軌道は、リン3p軌道とリンに結合している配位子の2p軌道からなり、配位子が酸素とフッ素の両方に存在する場合は遷移先の軌道が複雑になって、配位子が酸素だけの場合よりもピーク幅が広がると推察される。すなわち、ピーク半値幅比m/nが減少することは、正極表面に存在するリン酸化合物における平均的なフッ化の度合い、すなわち、フッ化リン酸イオンの割合が増加することと等しい。基準として用いるNaPOは安定な物質であるため、同じ装置条件で測定することにより、ピーク半値幅比を一意に算出することが可能である。
態様2においては、NaPOと正極表面付近のフッ化リン酸イオンとの比を示す、ピーク半値幅比m/nの値が1.05以下であるが、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下である。m/nの値が小さい、すなわち、正極表面付近のフッ化リン酸イオンの量が多いほど、良好なサイクル特性と低温特性を実現することができ、高電圧で充放電を行った際のサイクル特性も向上させることができる。
正極表面のリン含有化合物の量は、他の表面分析手法によっても見積もることができる。そのような方法の一つとして、1〜10nm程度の検出深さを持つX線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy、以下、「XPS」と称することがある。)が挙げられる。
態様3のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出可能な遷移金属を含有する正極及び負極、並びに、リチウム塩及びリチウム塩を溶解する非水溶媒からなる非水系電解液を備えたリチウム二次電池であって、該正極最表層部分におけるリン(P)の原子濃度pと正極活物質に含まれる遷移金属の原子濃度の総和qの比p/qが0.2以上である。
すなわち、正極最表層部分におけるリン(P)の原子濃度pと、正極活物質に含まれる遷移金属の原子濃度の総和qの比p/qが0.2以上である。上記p及びqは、XPSによって測定される。
以下、本発明の態様3における「X線光電子分光法(XPS)による表面組成」の測定方法を示す。
−−X線光電子分光法(XPS)による表面組成の測定方法−−
Physical Electronics社製 X線光電子分光装置「ESCA−5700」を用い、下記条件により測定を行う。
X線源 :単色化AlKα
分析面積 :0.8mm径
取り出し角:65°
定量方法 :Mn2p1/2、Co2p3/2、Ni3p、P2p各ピークの面積を感度係数で補正。Mn、Co、Ni以外の遷移金属元素が含まれる場合は、それらの元素のピークについても同様に測定、定量を行う。定量に際しては、最も強く観測されるピークを使うのが一般的であるが、そのピークが他の構成元素のピークと重複する場合は、他のピークを用いる。
態様3においては、正極活物質中に含まれる遷移金属元素の原子濃度の総和を基準としたときのリンの原子濃度の比p/qは0.2以上であるが、より好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.8以上である。XPS測定によって得られたスペクトルパターンにおいて、リンに由来するピークが強いほど、正極最表面からおおよそ1nmまでの深さの正極最表層(以下、「正極最表層」と略す。)にフッ化リン酸イオン等のリン含有化合物の量が多いことを意味する。その結果として、p/qの値は大きいほど良好なサイクル特性と低温特性を実現することができ、また、高電圧で充放電を行った際のサイクル特性も向上させることができる。
なお、態様1〜3において、リチウム二次電池より正極を取り出す際は、酸化によるフッ化リン酸イオンの分解を防ぐために、例えば、アルゴン雰囲気のグローブボックス等を用いて試料を極力酸素に触れないように取り扱うことが好ましい。
態様1を実現するための具体的方法は制限されるものではないが、例えば、上記「リン含有化合物」を、前述の方法で、正極活物質、結着材、導電材等と混合して作製した正極を、ヘキサフルオロリン酸リチウムを含有する非水電解液とともに電池作製に供する方法が挙げられる。また、上記の混合する代わりに、リン含有化合物を溶解させた溶液を電池作製以前に正極に塗布する、又は、同様の溶液に正極を浸しておく、等の方法も挙げられる。更に、電池作製時に、正極等の電池構成部材とともにリン含有化合物を電池内に封入しておいてもよい。
態様3を実現するための具体的方法は制限されるものではないが、例えば、非水電解液が、ヘキサフルオロリン酸リチウムを含有する非水電解液に限定されないこと以外は、態様1を実現するための具体的方法と同様である。
〔負極〕
本発明における負極に用いられる負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。また、チタン酸リチウムでもよい。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
上記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
上記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
上記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
負極の構成としては、負極活物質を含有する負極活物質層を、負極集電体上に形成してなる構成が挙げられる。負極活物質層は、更に、結着剤を含有することが好ましい。
上記結着剤としては、前述した正極活物質層中の結着剤と同様のものを用いることができる。
負極活物質層は、前述の正極活物質層と同様に、負極活物質(及び好ましくは結着剤)を含むスラリーを用いて形成することができる。負極活物質層を形成するためのスラリー中の溶媒としては、正極活物質層を作製するためのスラリー中の溶媒と同様のものを用いることができる。負極活物質層を形成するためのスラリー中には、増粘剤(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等)を含有させることもできる。
また、負極活物質として、上記金属又は上記合金を用いる場合には、負極の構成として、集電体上に、蒸着、スパッタ、めっき等の手法によって負極活物質からなる負極活物質層を形成してなる構成も挙げられる。この場合には、負極活物質層中に、結着剤が含まれないことがある。
負極集電体の材質としては、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔である。更に好ましくは、圧延法による圧延銅箔、電解法による電解銅箔である。
また、銅箔の厚さが25μmよりも薄い場合、銅箔の材質として、純銅よりも強度の高い銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることができる。
〔セパレータ〕
本発明のリチウム二次電池は、正極と負極との間に、セパレータを備えることができる。
上記セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
上記多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
上記高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本発明における非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
〔電池の構成〕
本発明のリチウム二次電池は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。しかし、電池の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
本発明のリチウム二次電池(非水電解液二次電池)の例として、図1に示すコイン型電池が挙げられる。
図1に示すコイン型電池では、円盤状負極2、非水電解液を注入したセパレータ5、円盤状正極1、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板7、8が、この順序に積層された状態で、正極缶3(以下、「電池缶」ともいう)と封口板4(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶3と封口板4とはガスケット6を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ5に注入される非水電解液として、本発明における非水電解液を用いることができる。
なお、本発明のリチウム二次電池は、負極と、正極と、非水電解液と、を含むリチウム二次電池(充放電前のリチウム二次電池)を、充放電させて得られたリチウム二次電池であってもよい。
即ち、本発明のリチウム二次電池は、まず、負極と、正極と、非水電解液と、を含む充放電前のリチウム二次電池を作製し、次いで、この充放電前のリチウム二次電池を1回以上充放電させることによって作製されたリチウム二次電池(充放電されたリチウム二次電池)であってもよい。
本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、種々公知の用途に用いることができる。例えば、ノートパソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器を問わず広く利用可能なものである。
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
なお、以下の実施例において、「wt%」は質量%を表す。
また、以下の実施例において、「添加量」は、最終的に得られる非水電解液中における含有量(即ち、最終的に得られる非水電解液全量に対する量)を表す。
〔実施例1−1〕
以下の手順にて、リチウム二次電池を作製した。
<負極の作製>
人造黒鉛20質量部、天然黒鉛系黒鉛80質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部及びSBRラテックス2質量部を水溶媒で混錬してペースト状の負極合剤スラリーを調製した。
次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して負極集電体と負極活物質層からなるシート状の負極を得た。このときの負極活物質層の塗布密度は10mg/cmであり、充填密度は1.5g/mlであった。
<正極の作製>
表1に示す正極活物質90質量部、アセチレンブラック5質量部及びポリフッ化ビニリデン5質量部を、N−メチルピロリジノンを溶媒として混錬してペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
次に、この正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔の正極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して正極集電体と正極活物質とからなるシート状の正極を得た。このときの正極活物質層の塗布密度は30mg/cmであり、充填密度は2.5g/mlであった。
<非水電解液の調製>
非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とをそれぞれ30:35:35(質量比)の割合で混合し、混合溶媒を得た。
得られた混合溶媒中に、電解質であるLiPFを、最終的に得られる非水電解液中における電解質濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた。
上記で得られた溶液に対して、添加剤A(環状硫酸エステル化合物)としての上記例示化合物A−1(添加量0.5wt%)を添加し、非水電解液を得た。
<コイン型電池の作製>
上述の負極を直径14mmで、上述の正極を直径13mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いて、コイン状の電極(負極及び正極)を得た。また、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを直径17mmの円盤状に打ち抜きセパレータを得た。
得られたコイン状の負極、セパレータ及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(2032サイズ)内に積層し、上記非水電解液20μlを注入してセパレータと正極と負極に含漬させた。
さらに、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより電池を密封し、直径20mm、高さ3.2mmの図1で示す構成を有するコイン型のリチウム二次電池(以下、試験用電池と称する)を作製した。
得られたコイン型電池(試験用電池)について、各測定を実施した。
[評価方法]
<電池の充放電特性:高温保存後の容量維持率>
上記コイン型電池を、25℃の恒温槽中で1mA定電流かつ定電圧4.2Vで充電し、この25℃恒温槽中で1mA定電流で2.85Vまで放電した際の放電容量を測定し、初期放電容量[mAh]とした。
その後、定電圧4.2Vで充電し、次いで、この充電後のコイン型電池を80℃の恒温槽内で2日間保存した後、25℃恒温槽中で1mA定電流で2.85Vまで放電した際の放電容量を測定し、高温保存後の放電容量[mAh]とし、下記式により高温保存後の容量維持率[%]を求めた。
実施例1−1での高温保存後の容量維持率[%]
=(高温保存後の放電容量[mAh]/初期放電容量[mAh])
後述の比較例1−1のコイン型電池についても同様にして、初期放電容量[mAh]及び高温保存後の放電容量[mAh]を測定し、比較例1−1での高温保存後の容量維持率[%]を求めた。
以上の結果から、下記式により、比較例1−1での高温保存後容量維持率[%]を100%としたときの実施例1−1での高温保存後容量維持率[%](相対値;%)として、「高温保存後容量維持率[%]」を求めた。
得られた結果を表1に示す。
高温保存後の容量維持率[%]
=(実施例1−1での高温保存試験後の容量維持率[%]/比較例1−1での高温保存後の容量維持率[%])×100[%]
〔実施例1−2、比較例1−1〕
正極活物質と添加剤Aとの組み合わせを、下記表1に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
比較例1−1において、添加剤A欄の「無し」との表記は、添加剤Aを添加しなかったことを示す(後述の各比較例においても、同様である)。
結果を表1に示す。
〔実施例2−1、2−2、比較例2−1〕
正極活物質と添加剤Aとの組み合わせを、下記表1に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
但し、これらの例における高温保存後の容量維持率[%]は、比較例2−1での高温保存後容量維持率[%]を100%としたときの相対値として求めた。
結果を表1に示す。
〔実施例3−1、3−2、比較例3−1〕
正極活物質と添加剤Aとの組み合わせを、下記表1に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
但し、これらの例における高温保存後の容量維持率[%]は、比較例3−1での高温保存後容量維持率[%]を100%としたときの相対値として求めた。
結果を表1に示す。
〔実施例4−1、4−2、比較例4−1〕
正極活物質と添加剤Aとの組み合わせを、下記表1に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
但し、これらの例における高温保存後の容量維持率[%]は、比較例4−1での高温保存後容量維持率[%]を100%としたときの相対値として求めた。
結果を表1に示す。
〔実施例5−1、5−2、比較例5−1〕
正極活物質と添加剤Aとの組み合わせを、下記表1に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
但し、これらの例における高温保存後の容量維持率[%]は、比較例5−1での高温保存後容量維持率[%]を100%としたときの相対値として求めた。
結果を表1に示す。
〔実施例6−1、6−2、比較例6−1〕
正極活物質と添加剤Aとの組み合わせを、下記表1に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
但し、これらの例における高温保存後の容量維持率[%]は、比較例6−1での高温保存後容量維持率[%]を100%としたときの相対値として求めた。
結果を表1に示す。
−表1の説明−
・例示化合物A−1及びA−22は、一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物である添加剤Aの具体例である。
表1に示すように、添加剤Aを含有する非水電解液を用いた各実施例では、保存後の容量維持率が顕著に高いことが確認された。
1 正極
2 負極
3 正極缶
4 封口板
5 セパレータ
6 ガスケット
7,8 スペーサー板

Claims (26)

  1. リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を含む正極と、
    負極と、
    下記一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物である添加剤Aを含有する非水電解液と、
    を備えるリチウム二次電池。

    〔一般式(I)において、Rは、一般式(II)で表される基又は式(III)で表される基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(II)で表される基、又は式(III)で表される基を表す。
    一般式(II)において、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基を表す。一般式(II)、式(III)、および式(IV)における波線は、結合位置を表す。
    一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物中に、一般式(II)で表される基が2つ含まれる場合、2つの一般式(II)で表される基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。〕
  2. 前記リチウム遷移金属複合酸化物が、
    Liと、
    Co、Ni、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種と、
    を含む請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記リチウム遷移金属複合酸化物が、更に、Na、Mg、Ca、Sr、B、Al、Ge、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zr、Nb、Mo、W、Sn、Hf、及びTaからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記正極活物質が、下記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    Li1+x(Ni1/3±δ1Co1/3±δ2Mn1/3±δ31−x ・・・ (P1)
    〔一般式(P1)中、xは、−0.1≦x≦0.2を満たす値を表し、δ1は、0≦δ1≦0.1を満たす値を表し、δ2は、0≦δ2≦0.1を満たす値を表し、δ3は、0≦δ3≦0.1を満たす値を表す。〕
  5. 前記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、LiイオンからなるLi層と、酸化物イオンからなるO層と、Ni、Co、及びMnからなる遷移金属層と、が積層された積層構造を有する請求項4に記載のリチウム二次電池。
  6. 前記一般式(P1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、空間群P2/cで表される超格子構造を有する請求項4又は請求項5に記載のリチウム二次電池。
  7. 前記正極活物質が、下記一般式(P10)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    Li1+aMO ・・・ (P10)
    〔一般式(P10)中、Mは、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を表し、aは、−0.05<a≦0.25を満たす値を表す。〕
  8. 前記一般式(P10)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が、下記一般式(P11)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物である請求項7に記載のリチウム二次電池。
    Li1+aNiMnCo ・・・ (P11)
    〔一般式(P11)中、x、y及びzは、x+y+z=1を満たすそれぞれ0以上の値を表し、aは−0.05≦a≦0.25を満たす値を表す。〕
  9. 前記一般式(P11)中、x、y、及びzは、0.1≦x≦0.55、0.1≦y≦0.55、z<0.5を満たす値である請求項8に記載のリチウム二次電池。
  10. 前記正極活物質が、下記一般式(P20)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    LiMgNiMe ・・・ (P20)
    〔一般式(P20)中、Meは、Al、Co、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。
    t、x、y、及びzは、0.8≦t≦1.3、0.01≦x≦0.2、0.6≦y≦0.98、0.01≦z≦0.2、x+y+z=1を満たす値を表す。〕
  11. 前記正極活物質が、下記一般式(P30)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    LiCo1−x−y−zZrMg ・・・ (P30)
    〔一般式(P30)中、Mは、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。
    a、x、y、及びzは、0<a≦1.1、0.0001≦x、0.0001≦y、x+y+z≦0.03を満たす値を表す。〕
  12. 前記正極活物質が、下記一般式(P31)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    LiMnNiCo ・・・ (P31)
    〔一般式(P31)中、Xは、Zr、Mg、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも一種を表す。
    b、s、t、u、及びvは、0<b≦1.1、0.1≦s≦0.5、0.1≦t≦0.5、v=0または0.0001≦v≦0.03、s+t+u+v=1を満たす値を表す。〕
  13. 前記正極活物質が、下記一般式(P30)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物と、下記一般式(P31)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物と、を質量比で、51:49〜90:10の比率で含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    LiCo1−x−y−zZrMg ・・・ (P30)
    〔一般式(P30)中、Mは、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも1種を表す。a、x、y、及びzは、0<a≦1.1、0.0001≦x、0.0001≦y、x+y+z≦0.03を満たす値を表す。〕
    LiMnNiCo ・・・ (P31)
    〔一般式(P31)中、Xは、Zr、Mg、Al、Ti、及びSnからなる群から選択される少なくとも一種を表す。b、s、t、u、及びvは、0<b≦1.1、0.1≦s≦0.5、0.1≦t≦0.5、v=0または0.0001≦v≦0.03、s+t+u+v=1を満たす値を表す。〕
  14. 前記正極活物質が、下記一般式(P40)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    Li1+sNiCoMnCaMg ・・・ (P40)
    〔一般式(P40)中、Aは、Na、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、及びWからなる群から選択される少なくとも1種である。
    s、x、y、z、t、u、及びvは、−0.05≦s≦0.20、x+y+z+t+u+v=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0.0002≦t≦0.01、0≦u≦0.005、0.0002≦t+u+v≦0.02を満たす値である。〕
  15. 前記正極活物質が、下記一般式(P50)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    LiMPO ・・・ (P50)
    〔一般式(P10)中、Mは、少なくとも1種の遷移金属元素を表す。xは、0.85≦x≦1.15を満たす。〕
  16. 前記正極活物質が、LiFePOを含む請求項15に記載のリチウム二次電池。
  17. 前記正極が、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  18. 前記正極が、ジフルオロリン酸リチウムを含む請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  19. 前記正極の充電上限電位が、4.2V以上である請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  20. 前記正極の充電上限電位が、4.3V〜4.7Vである請求項1〜請求項19のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  21. 前記添加剤Aの含有量が、前記非水電解液の全量に対し、0.01質量%以上である請求項1〜請求項20のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  22. 前記非水電解液が、更に、炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物、フッ素原子を有するカーボネート化合物、フルオロリン酸化合物、及び環状スルトン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である添加剤Bを含有する請求項1〜請求項21のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  23. 前記添加剤Bの含有量が、前記非水電解液の全量に対し、0.01質量%〜10質量%である請求項22に記載のリチウム二次電池。
  24. 前記添加剤Bが、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロ(ビスオキサラト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム、1,3−プロパンスルトン、及び1,3−プロペンスルトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項22又は請求項23に記載のリチウム二次電池。
  25. 前記負極が、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む負極活物質を含む請求項1〜請求項24のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  26. 請求項1〜請求項25のいずれか1項に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
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